高タンパク質食の真実 P h y s i c i a n s C o m m i t t e e f o r R e s p o n s i b l e M e d i c i n e 5 1 0 0 W i s c o n s i n A v e., n. w., S u i t e 4 0 0 • W a s h i n g t o n, D C 2 0 0 1 6 phone (202) 686-2210 • Fax (202) 686-2216 • pcrm@pcrm.org • www.pcrm.org 適 正な体重を維持することは、健康のため に重要です。健康な食事をすることで適 切な体重を維持することができるでしょ う。残念なことに、即効性のあるダイエットを求めて 多くの人が流行の食事療法を行っています。高タン パク質・炭水化物制限の食事も例外ではありませ ん。1970年代に流行したこの食事療法は、今日再び 流行しています。 (これは、米国における肥満率が空 前の高さを記録しているためです。) しかし、 これら、 アトキンスダイエットや同様のプログラムでは、動物 性の食事により、健康に重要な影響を及ぼすという ことが考えられていません。 デューク大学1、ペンシル 2 ベニア大学 およびフィラデルフィア医学センター 3 の体重減少の研究では、高タンパク質食による最初 の6か月間の平均体重減少幅は20ポンド (約9キロ) で、他の体重減少プログラムと比較しても特に大き いということはありませんでした。加えて、炭水化物 制限食に関する研究試験107件のデータの結果で は、炭水化物の摂取量は、体重減少とは関連がない ことがわかっています。 高タンパクの健康リスク ケトーシス 心臓病 典型的な高タンパク質食には、食事性コレステロ ールおよび飽和脂肪酸が非常に高い割合で含まれ ています。 この食事が血清コレステロール値に与え る影響に関する研究が、現在進んでいます。 しかし ながら、飽和脂肪の多い食事は動脈コンプライアン スを損なうことが検証されています。最近の研究は、 高脂肪食の摂取(ハムとチーズのサンドイッチ、全 乳、アイスクリームなど)が全身動脈コンプライアン スを3時間で25%、6時間で27%低下させることを示 しています9。 腎疾患 高タンパク質食は、腎機能の低下とも関連して おり、将来的に腎機能が失われる可能性もありま す。ハーバード大学の1624人の女性を対象にした Nurse’s Health Studyでは、高タンパク質食は、腎機 能の低下と明らかな関連がみられました。腎臓障害 は、すでに腎機能が低下していた人にのみしかみら れませんでしたが、 もはやこの疾患はめずらしいも のではなく、米国の成人の4人に1人がこの病気にか かっています。一方、植物性のタンパク質は、有害な 影響はないといわれています10。 高タンパク質食は、 コントロール不良の糖尿病や 飢餓状態で生じるケトーシスに導きます。細胞のエ ネルギー源であるグルコースを提供する炭水化物 が食事に十分に含まれていないと、脂肪酸からケト ン体が形成されます。 ケトン体が増加すると、体内の 酸塩基平衡が乱れ、代謝アシドーシスが引き起こさ れて、低リン酸血症が生じたり、骨からカルシウムを 奪い、それが骨粗しょう症や腎臓結石の発生を招い たりします6。 糖尿病の合併症として、腎臓や心臓の問題が特に よく見られます。腎臓へ負担をかけ動脈コンプライ アンスを低下させるような食事は勧められません。 結腸直腸がん 栄養不足 ハーバード大学の研究によると、定期的な肉の摂 取は大腸がんのリスクを約3倍に増加させます。高タ ンパクの食事は、動物性食品が中心になるため、通 常は食物繊維が不足します。食物繊維は、発がん物 質を含む不要な物質を消化管から排除させ、がん 予防する大腸内生化学的環境を整えるといわれて います8。 米国心臓学会は、 「高タンパク質食は、推奨しな い。なぜなら、必須栄養素が含まれる健康的な食品 を制限し、必要な栄養を十分に満たすのに必要な 種類の食品を摂取できなくなるからである。高タン パク質食を行っている人には、 ビタミンやミネラルの 不足や、心臓・腎臓・骨・肝臓の異常を引き起こす潜 在的リスクがある。 」 と述べています7。 骨粗しょう症 大量のタンパク質摂取は、尿中のカルシウムが失 われることが知られており、研究では骨折リスクを高 めることが示されています12,13。 糖尿病合併症 1 13093D-NTR • 20130529 high Protein Diet 健康的な体重減少 体重減少のための方法には様々なものがありま すが、野菜、果物、全粒穀物、豆類から構成した健康 的なプラントベースの食事を摂ることで、簡単に健 康的に体重を減少させることができます。そして、そ れと同時に、 コレステロール値、血圧、血糖値、その 他の様々な健康状態の大幅な改善をもたらします。 脂肪が多く含まれた食物繊維を含まない食品を取 り除き、低脂肪で食物繊維が豊富な栄養価の高い 食品を増やすことが健康的に体重を減少させる方 法です。 参考文献 6. Wiederkehr M, Krapf R. Metabolic and endocrine effects of metabolic acidosis in humans. Swiss Med Wkly 2001;131:127-32. 7. St Jeor ST, Howard BV, Prewitt TE, Bovee V, Bazzarre T, Eckel RH; Nutrition Committee of the Council on Nutrition, Physical Activity, and Metabolism of the American Heart Association. Dietary protein and weight reduction: a statement for healthcare professionals from the Nutrition Committee of the Council on Nutrition, Physical Activity, and Metabolism of the American Heart Association. Circulation 2001;104:1869-74. 8. World Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Research. Food, Nutrition, and the Prevention of Cancer: a global perspective. World Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Research, Washington, DC, 1997, pp. 216-51. 9. Fleming RM. The effect of high-protein diets on coronary blood flow. Angiology 2000 Oct;51(10):817-26. 10. Knight EL, Stampfer MJ, Hankinson SE, Spiegelman D, Curhan GC. 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