Workplace Density Major Report

スペースの活用方法は
次のステージへ
アジアにおけるワークプレイスを取り巻く環境は、
どのようにスペース使用率を急激かつ劇的に変化させていくのか
調査報告
CBRE ワークプレイスストラテジー部
スペースは、密度から使用率へ
テナント企業における実態
%*
国別のスペース使用率
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
27%
38%
中国
(香港を含む)
空席
(不在)
シンガポール
一時離席中
打合せ中
41%
40%
世界の平均空席率 40%
米国
電話中
英国
40%
46%
オーストラリアと
ニュージーランド
日本
(個人で)
使用中
参考資料:CBRE、2015年9月。
*CBREの観察調査に基づく数値。
スペース
使用率
業種別のスペース使用率
政府
教育機関
27
51
法律サービス
ビジネスサービス/
コンサルティング
% 空席
% 空席
29
65
不動産
電気通信
% 空席
31
% 空席
参考資料:CBRE、2015年9月。
70
% 空席
% 空席
会議室の需給バランス
会議室の大きさ
(席数)
の割合
開催された会議の規模
(人数)
の割合
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
2
3
会議の規模
(人数)
4
5
6
会議室の大きさ
(席数)
7
8
人数
(席数)
9
10
11-15
16-20
21+
参考資料:CBRE、2015年9月。
「会議の規模」
(薄緑)は、実際に行われた会議規模の割合であり、当社のスペース使用率調査(観察調査)
を通じ数値が算出
されています。
「会議室の大きさ」は、当社が観察した企業のオフィスにある全ての会議室規模を表しています。
多くの企業は、オフィス内に大きな会議室を作りますが、ほとんどは小規模な会議が多いです。会議室のサイズを適正化する
ことによって、
オフィス面積を効率化できる可能性があります。
行われる会議の規模
静的・動的なスペースの
密度マトリックス
59 %
観察調査データによると、
の 会議
は 2 ∼ 3 名 の 小さな 会 議 が 占めて います
が、観察された最も一般的な会議室の規模
は、6人部屋でした
(詰め込み)
静的なスペースの密度
高
適度な節減
過度な節減
生産性リスク
重大な
生産性リスク
適度な節減
現在
低
低
生産性向上の
機会
動的なスペースの密度
(共有)
高
ワークプレイスにかかるコスト削減戦略を静的なスペース
の密度の考え方から動的なスペースの密度の考え方へと変
化させることにより、より効果的なワークプレイスを構築す
参考資料:CBRE、2015年9月。
ることを可能にしながら、コスト削減も実現することができ
ます。
参考資料:CBRE、2015年9月。
「スペース使用率」
は、
異なる種類のスペースが使用されている時間の平均量として定義されます。
「占有率」
は、
いくつのデスクが個人に割り当てられるか、
または空いている
(割り当てられていない)
のかを示しており、
どれほどの頻度で使用されるのかは示しておりません。
スペースの活用方法は
次のステージへ
アジアにおけるワークプレイスを取り巻く環境は、
どのようにスペース使用率を急激かつ劇的に変化させていくのか
「どのよ
CBREのクライアントが懸念している項目の1つに、
うにして、
スペースを効率的に利用することができるのか?」
という点があります。言い換えると、
「静的なスペースの密度」が大きくなることは通常、効率
性を厳しく強いることよって、プライベート個室、個人用の
デスク、
プリンター、収納スペースなどのアメニティを「取り
• どのように、より多くのスペースを賃貸することなく、既
存専有面積で人員増に対応できるか?
上げ」、従業員が効果的に働くために必要と感じているもの
を考慮していない考え方であると従業員に受け止められま
す。同様に、
リーダーと従業員は、新しい発想「動的なスペー
• どのように、変動しやすい人員増に対して柔軟に対応で
きるか?
スの密度」によるワークプレイス変革の実施に神経質になっ
ています。なぜならこの変化は、費用削減だけのためにビジ
ネスと文化を崩壊させることになりかねないからです。
• どのようにして、余剰スペースを解放していくか?
しかしながら、別のアプローチもあります。新しいダイナミッ
企業は「静的なスペースの密度」、すなわち働く場所の平方
クなワークプレイスを手に入れるために、
リーダーシップと
フィートあたりのスペース使用人数を増すことによって、費
従業員の合意を得るには、費用削減だけではない丁寧な説
用を削減しなければならないという強い圧力を受けていま
明と、
「取り上げる」のではなく
「与える」力強い価値の提案
す。
しかしながら、
これをやり過ぎると、会社のパフォーマン
がなければなりません。この「与える」ものは、選択、管理、
ビ
スと生産性を損なうリスクがあります。現在多くの企業にお
ジネス変化への対応能力、それに仕事の楽しみとパフォー
いて、一層のスペース削減により、従業員の生産性・パフォ
マンス向上に関するものです。
ーマンス・雇用の定着が危険にさらされる域に達していま
す。おそらく、すでに多くの企業でその影響がみられ始めて
デスクシェアリング
(アジャイル・ワーキング、アクティビティ
います。
ベースワーク、ホットデスキングなど)を間違って実行する
と、費用削減だけを重視し、組織のパフォーマンスに対する
不可能ではないにせよ、両方のバランスをとることは困難
影響について乏しい理解しかない人々が、
ビジネス上、非常
な作業です。
しかしながら、第3の選択肢があります。新しい
に危険なリスクを生み出してしまいます。企業とそのアドバ
ダイナミックな働き方は、従業員のモビリティを高めること
イザーが考えもなく使用率調査を行い、不十分に収集・解釈
により、両方を同時に達成することができます。
したデータを分析し、誤解に基づく戦略決定を行った場合、
費用を削減する代わりに、組織の混乱を生じる戦略を実行し
これらの新しい働き方を実行しても、座席あたりの費用は
てしまったという事例をよく見かけます。更に悪いことに、計
削減されません。その代わり、
スペースの活用を最適化する
画した規模の費用削減が全く達成されないことがよくあり
ことによって、一人あたりの費用を削減することを目的とし
ます。
ており、これをCBREは「動的なスペースの密度」と定めて
います。これにより、従業員は、主要な仕事場として固定さ
本特別レポートは、この議論の背後にある問題を科学的に
れたデスクをひとつ割り当てられるのではなく、オフィス内
分析することを目的としており、企業内の効率性とパフォー
で異なる仕事場を選択することにより、柔軟に働くことがで
マンスを向上させるために、密度と使用率データを利用す
きます。従業員が動的にスペースを利用することができれ
る方法を説明します。
ば、潜在的な未活用スペースを取り戻すこと、つまり
「デス
クシェアリング」と一般に呼ばれるものが大変簡単になりま
す。うまく導入されるなら、
このアプローチは不動産損益を
改善する一方で、全体的に従業員の生産性・パフォーマンス・
エンゲージメントを向上させます。
4
CBRE WORKPLACE STRATEGY
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コスト削減
低使用率を改善させることによる、米国ドルでの年間削減コスト
(フロアあたり、
または従業員200名あたり)
最高
インド
最高
240,000
最高
英国
米国
オーストラリア/
ニュージーランド
313,000
最高
347,000
最高
342,000
$400,000
$300,000
$200,000
$100,000
$0
参考資料:CBRE、2015年9月。
$500,000
最高
日本
477,000
$800,000
最高
$700,000
中国
(香港を含む)
293,000
$600,000
シンガポール
320,000
USD
前提条件
上図の数字は、
従業員200名または標準サイズのフロアプレートにあるオフィス・スペースの1フロアを基準として、
会社が
全スペースを利用できる場合に可能となる賃貸料・運営上の削減額
(米国ドル)
を表しています。
これらの削減額は、地理的場所あたりの平均座席費用に利用水準を乗じて算出されています。CBREが行ったスペース使用
より保守的な推定となるよう、未
率調査による未使用スペースの範囲は、一般的に27%∼58%です。この図では、CBREは、
使用スペースの水準を10%∼20%の間として調整しました。
これら高水準の費用節減の推測には、
そのソリューションが機能するのに必要な設備費用等は考慮されていないことにご留
意ください。
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CBRE WORKPLACE STRATEGY
5
1
静的なワークプレイスの密度
静的なワークプレイスの密度
アジアでは効率性を追求した
結果、静的なスペースの密度
が、限界を超えてはいないも
のの、限界に達しています。
密度は、以下を含む多くの要因により、非常に大きくかつ急速に変化する可能性があります。
• 費用の問題(例えば、オフィスが中心業務地区にあるのか、その郊外にあるのか)
• 仕事の性質(例えば、財務部門の従業員は、
しばしば、特殊なスペースとデスクが必要な
場合があります。他の部門には、特殊なサポートスペース
(研究室、ショールーム、
クライ
アントスペース/エクスペリエンスセンター、技術スペースなど)
が必要かもしれません
• 国内企業と多国籍企業
• 組織の規模
• オフィスの内装を手掛ける際の一般的な標準とベンチマーク
• 建物のインフラに基づくコンプライアンスと規則
• 測定可能な活動
• 報奨としてのスペースの利用(例えば、上級スタッフには、より大きなオフィススペースを
割り当てられることがよくあります)
• 政府または労働者審議会の規則
これらの要因は、時には劇的に変動するにもかかわらず、全ての地域、特にアジア太平洋エリ
アにおける静的なスペースの密度は、多くの組織で限界に近づいており、限界を超えている
組織もいることは明らかです。これは、消費者物価指数の上昇を超える賃貸費用の上昇を相
殺するため、既存の専有面積内で人数を増やしたいという企業の欲求が高まっていることが
反映された結果です。従って、当該地域および他地域の多くのワークプレイスにおいて、高密
度化が一層進んでいます。
6
CBRE WORKPLACE STRATEGY
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既存オフィスで観察された、密度に対する
「応急措置」
• 小部屋やL字型デスクをベンチデスクへ置き換える
• 予算外の人員増に対応するため、2人が並ぶベンチデスクを3人が使えるワークポイント
に分割、または6人が並ぶベンチデスクを8人が使えるワークポイントに分割することに
よって作られる、座席を詰め込んでの利用
• 会議室やカジュアルな多目的スペース、アメニティをなくし、デスクに置き換える
長方形のベンチデスク配置やその他の高密度なオープンプランの環境を導入するという解
決策は、通常、周りに邪魔されない仕事スペースや静かなブースといった個人的な小部屋を
十分に増やすことなく、
また家で仕事ができるフレキシビリティや空き時間を活用できるリモ
ートワークを推進することなく導入されています。視覚・騒音によって仕事を邪魔されること
が増えると、生産性の低下(従業員の思考持続時間・生産性・創造的思考・満足感への悪影響)
が生じてしまうことを示す多くの調査データがあるにもかかわらず、
この傾向は抑止できず、
発生しています。
国別のワークプレイス密度
新しい施設におけるワークプレイスの「静的なスペースの密度」は、
この10年間で半減した
都市もあります。例えば香港では、
1デスクあたり100平方フィートから、1デスクあたり50
∼60平方フィート
(日本・韓国と同様の比率)
まで縮小しました。
オーストラリアとニュージーランドでは、標準は1デスクあたり100∼120平方フィート程度
と、比較的高いままです。ヨーロッパと米国では、密度は1デスクあたり150∼200平方フィ
ート程度と、アジア標準の2倍です。
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CBRE WORKPLACE STRATEGY
7
図1は、
会社が一般的にターゲットとする新しいオフィスにおけるワークプレイス密度を、
1デスク当たりの平方フィートにより、
アジ
ア太平洋の国別に示しています。アジアの多くの地域において、
ワークプレイス密度の増加は、
CBREが従業員の生産性、パフォー
マンス、
雇用の定着を危険にさらすと考える域にすでに達しています。いくつかの国では、
グローバル企業は、
ワークプレイスでの
人々のパフォーマンスを向上させる、
集中やコラボレーションのためのスペースを適切に多様化させる必要性に対処するため、
密
度を低下させるよう地域のリーダーシップに要求しています。
図1:アジア太平洋の国別の静的なワークプレイスの密度の範囲(1デスクあたりの平方フィート)
香港
50
インド
50
120
中国
50
120
フィリピン
110
55
125
インドネシア
80
タイ
80
110
120
日本
90
120
シンガポール
90
120
台湾
90
オーストラリア
90
韓国
130
120
100
マレーシア
130
110
ニュージーランド
140
120
0
20
40
60
70
80
100
120
150
140
免責事項
引用している1デスクあたり平方フィートは、賃貸面積の平方フィート
(RSF)
ではなく、ネットまたは利用可能面積の平方フィート
(USF)
に基づいています。USFは、
ロビー・洗面所・階段吹き抜け・倉庫・共有廊下の一部ま
たは全部を除いたもので、その国の市場慣行に左右されます。
引用している1デスクあたり最低平方フィートは、市場データから観察された絶対的な最大オフィス占有密度を示しています。場合によっては、CBREが利用できるデータの範囲で、建物内の特定の区画やフロアのみを
表している密度も含みます。
しかしながら、
テナントが運営するすべてのフロアを考慮した場合の密度は、共有スペースの偏在により、大きくなる可能性があります。
トイレの数など、多くの要素によって定められた、一連の法律・規則・条令の適用を受けます。ほとんどの国には、目標として定められ
ほとんどの国において、1デスクあたり最低平方フィートは、避難階段の幅、通気/換気、
た標準的なターゲット密度があり、市場の標準的な需要を表しています。
しかしながら、
より先進的/高効率な建物設計では、最大許容密度が潜在的に高くなり、ほとんどの国では数字上の上限が定められていません。
本稿に含まれる情報は、信頼性が高いと考えられる情報源から入手しました。当社はその正確性を疑っておりませんが、当社はそれについていかなる保証または表明も行わず、いかなる場合において、何らかの方法で、
より高いオフィス占有密度が観察される可能性を容認します。むしろ、高い密度は、
テナントが一定のスペースで対応できる人数を増やすことを可能にさせますが、
「静的なスペースの密度」から
「動的なスペースの密度」へ
と考え方を変える必要性を強調するものです。同時に
「静的なスペースの密度」すなわち、広い個人のワークスペースを提供しながら、もっと多くの人々を収容する能力を縮小させます。
参考資料:CBRE、2015年9月。
生産性の「危険ゾーン」
1デスクあたり60平方フィート以下が、明確な生産性低下の危険ゾーンであると考えています。スペース削減を推し
CBREは、
進めた場合、密度が小さくなると、共有のコラボレーションスペースや分離された静かなワークスペースの削減を意味すること
となり、
デスクサイズが縮小されると、
オープンなワークエリアでの、騒がしさによる仕事の中断を増加させるため、社員の生産
性・パフォーマンス・雇用の定着を危険にさらすことになるかもしれません。さらにいくつかの組織において、60∼110平方フィ
ートの水準では、特に知識集約型の仕事において、仕事のあらゆる側面を完全にはサポートできないというリスクが存在するか
もしれません。スマートな組織は、静的なスペースの密度を維持、
またはさらに増加させ、同時に、動的なスペースの密度を低い
水準、ある場合ではさらに低い水準に抑えるモビリティ戦略とシェアリングを実行しています。これらの戦略は、すでに生じてい
るデスク不足のために、人々に
「在宅勤務させる」
ことを強いず、全体的なコストベースの削減を可能にする一方で、人々のパフ
ォーマンスを維持または改善します。その意味では、
これらの戦略は、充分な削減を行った結果、
より上質なワークプレイス環境
を創出するための投資だとみることができます。
8
CBRE WORKPLACE STRATEGY
© CBRE Ltd. 2015
2
スペース使用率
すべての組織やチームは異なりますが、何らかの一般化を行うことができます。例えば、会社内の営業・マーケティング・IT部門は
通常、
非常にモバイルです。対照的に、
財務・法務・人事部門は通常、
より固定的です。業種や、
地域にまたがる違いもあります。
図2:2つの異なる業界における会社Aと会社Bの、地域ごとのスペース使用率の違い
100%
0%
会社A
会社B
会社A
会社B
会社A
会社B
デスクにいる
デスクにいる
デスクにいる
デスクにいる
デスクにいる
デスクにいる
ヨーロッパ
アジア*
アジアの発展途上国*
不在
一時離席中
個人で使用中
ワークスペースには誰もいない、
あるいは、一日中使用された形
跡がない場合。
その時、物理的に誰もいないが、その日にデスクが
使われたことが確認できた場合
(例えば、
コンピュー
ターが作動中、
食べ物/飲み物があるなど)
。
物理的にワークスペース
に誰かがいる。
* 「成熟したアジア」にはシンガポールと香港、
「発展途上のアジア」にはフィリピンが含まれます。このデータが2つの特定の会社のみの
ケーススタディーであることにご留意ください。
参考資料:CBRE、2015年9月。
スペース使用率は、組織文化によって向上させることができま
す。一貫した取り組みを世界的に推進している会社において、地
域的なスペース使用率のばらつきが小さいことをCBREは観察
してきました。そうでない会社では、
より大きな地域的ばらつき
があります。
過去 3 年にわたって、CBREは、標準化された使用率データを集めてきました。当社のクライアントが、自らのスペース使用
率を業界ベンチマークに対して、または時系列を通して比較するのに役立てることができるようになりました。このデータに
は、14ヶ国、36都市、77のクライアント、63,235のワークポイント、そして3,315,170の観察データに関する調査が含まれ
ています。
国別のスペース使用率
図3(次ページ)
は、知識労働者のオフィス環境(コールセンターを除く)
について、様々な市場における国別のスペース使用率
よりも比較的高いことを示していま
を示しています。結果として、中国と香港の平均的使用率がその他の市場(平均は73%)
これがおそらく、
プレゼンティズム
(マネジャーにオフィスで自分の存在を見られることがキャリアの前進
す。CBREの調査は、
にとって重要であるという感覚による長時間持続的に働く慣習)のような文化的な仕事の慣習と、またオルタナティブな選択
肢の欠如によるものであることを発見しました。すなわち、ほとんどの従業員は、デスク1つとわずかな会議室しか与えられて
おらず、それは必然的に従業員が常にデスクにいることを意味しています。
© CBRE Ltd. 2015
CBRE WORKPLACE STRATEGY
9
図3:国別のスペース使用率
100%
90%
80%
27%
38%
70%
40%
40%
46%
オーストラリアと
ニュージーランド
日本
世界の平均空席率 40%
60%
%*
41%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
シンガポール
中国
(香港を含む)
不在
一時離席中
打合せ中
米国
電話中
英国
個人で使用中
注:上記の結果は、その組織のために完了したCBREのクライアント調査からのデータであり、低い使用率を改善できる大きな機会が認められ
ました。示された低使用率の水準は、サンプルごとの全体平均より高い可能性があります。
しかしながら、各国間の低使用率の水準の相対的
な差異は、興味深いデータを示しています
サンプルサイズは場所によって大幅に異なり、すべての組織が唯一であるとして結果を扱う必要があります。サンプルサイズが小さ過ぎたた
め、
インドは上記のグラフから除去しました。
参考資料:CBRE、2015年9月。
*CBREの観察に基づく数値。
ケーススタディー
日本のCBREワークプレイスチームは最近、4,200名以上の従業員を有し、東京都心のビル 1棟を賃借している、
を終えました。TUSデータに基づく調査結果
ビジネスサービス/コンサルティング業のスペース使用率調査(TUS)
ピーク時でも36%でした
として、当該クライアントのオフィス平均使用率は27%であり、
これらの数字は、会社が毎月の賃借料を半減できる、つまりは月あたり100万米ドル超の潜在的コスト削減に相当
することを意味します。
10
CBRE WORKPLACE STRATEGY
© CBRE Ltd. 2015
図4は、図3で調査した市場の業界別スペース使用率を示しています。政府と法律サービス
は、最も高い使用率を示し、
この2つの分野がデスクワーク中心である性質と、従業員がしば
しば労働時間の相当な割合を自分のデスクか会議室で過ごすという事実を反映しています。
スペース使用率が比較的低い分野には、
ビジネスサービス/コンサルティングがあり、その
スタッフはしばしばオフィス外でクライアントと過ごすため、スペース使用率が低くなってい
ます。
図4:業界別のスペース使用
政府
27%
73%
法律サービス
71%
29%
不動産
69%
31%
ホスピタリティ/
エンターテイメント
33%
67%
金融サービス
62%
38%
テクノロジー
61%
39%
エンジニアリング
60%
40%
研究開発/
研究所
55%
45%
メディア
54%
46%
製造/工業
53%
47%
公共事業
52%
48%
教育
52%
48%
エネルギー
51%
49%
ビジネスサービス/
コンサルティング
65%
35%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
不在
使用中または一時離席中
ワークスペースには誰もいない、
あるいは、一日中使用された形
跡がない場合。
その時、
物理的に誰もいないが、
物理的に ワークスペースに誰かがいる。または、
その日にデスクが使われたことが確認できた場合
(例えば、
コンピューターが作
動中、
食べ物/飲み物があるなど)
100%
参考資料:CBRE、2015年9月。
© CBRE Ltd. 2015
CBRE WORKPLACE STRATEGY
11
ご存じですか?
固定席の世界平均使用率は、
60%です(空席は除く)。
この事実は、既存の潜在的な低使用率を改善するために、モビリティプログラムを実行するこ
とによって、既存のオフィススペースで、会社が短期から中期的な人員増に不自由なく対応
することができることを明確に示しています。
会議室の世界平均使用率は、
わずか30%です。
さらに平均すると、会議室にある座席は、40%未満しか使用されていません。この発見は、会
議室の構成比を適正化する必要性を明らかに示しており、小規模/カジュアルなスペースを
多くし、大規模/フォーマルなスペースを少なくすることを含んでいます。これらの部屋のい
くつかは、会議に利用するのではなく、集中やプライベートの業務活動をサポートするものと
して再設定することができます。あるいは、
このスペースは、
ソーシャルやコラボレーションの
ための仕様に再配分することができます。
デスクにいる時間の
は、
大部分(85%)
個人で働いています。
特に混みあったオープンなオフィスでは、集中作業のために、
より静かで仕事を中断されるこ
とのないスペースを、社員に提供することについてもっと検討するべきです。この結果は、実
際マネジャーが望むほどにはチームメンバー同士でフェイストゥフェイスのコラボレーション
が起きていないだけでなく、更にいえば、
「コラボレーションとは何か、それをどのようにサポ
ートするのか?」
ということの共通理解について、よく理解がされていないという事実も反映
しています。
デスクでのコラボレーションは、
平均して約3.6%です
観察された最も高い割合はオーストラリアの4.6%で、最低はカリフォルニア州の2.3%でし
た。どれほどのコラボレーションスペースを作ったとしても、人々はデスクでコラボレーション
をし続けるだろうとCBREは考察しています。これは、オープンプラン環境において、静かで
仕事を邪魔されないスペースを提供することに影響してきます。多くの組織は、あまりに多く
の間違ったコラボレーションやミーティングスペースを作っており、
これは膨大な量の無駄な
投資の代表です。
オフィスは、火曜日に
最もよく利用され、
金曜日が最少です。
中国を除く、調査したすべての場所で、従業員が金曜日に早めに退社することを発見しました。
フィ
この違い(金曜日と比較した月曜日から木曜日までの平均)
は、
ドイツ
(9%)、米国(8%)、
リピン
(8%)で最も顕著でした。実のところ、中国の従業員は、月曜日から木曜日までと比較
して、金曜日には平均で更に2%の時間をオフィスで過ごしていました。
オフィスは、
昼食時に仕事で居眠りすることが、いくつかのアジア諸国では許容されるとみなされている
昼食後(午後2時と午後3時の間)
こともCBREは観察しました。もっとも、多国籍企業より現地企業でのことですが。一方インド
に、最もよく利用されます。
の従業員は、昼食後にグループで社交的な散歩をするのを好みます。
認識 vs 実態
認識と実態の間には、
しばしば大きなずれがあります。
CBREは、調査アンケートデータを通して、従業員が平均的な1日に行うと認識していること
と、実際の使用率データとを比較しました(休暇やその他の要素については調整しました)。
そして、ほとんどの時間で、従業員が実際よりもデスクに固定されて作業していると認識して
いることを発見しました。これは、新しい働き方を実行する際には、効果的なチェンジマネジメ
ントが必要であることを強調するものです。
注:CBREが中国で行った調査について、
調査を受けたいずれの組織でも、
土曜に働く必要はありませんで
した
12
CBRE WORKPLACE STRATEGY
© CBRE Ltd. 2015
図5:オフィス内外で費やす時間の割合
84% 個人でデスクで働いている時間
個人で働く
40%
電話
デスクで協働作業
デスクから離れて会議
37%
デスクから離れている
(外出して散歩、
集中スペース、アドミン業務、休憩室など)
8%
オフィス外
8%
デスクで
過ごした時間
4% 3%
参考資料:CBRE、2015年9月。
図6:一日の時間別スペース使用率
100%
90%
80%
70%
60%
不在
50%
一時離席中
40%
30%
打合せ中
20%
電話中
10%
個人で使用中
0%
8am
9am
10am
11am
正午
1pm
2pm
3pm
4pm
5pm
6pm
参考資料:CBRE、2015年9月。
図7:認識と実態のずれ
100%
90%
15%
7%
9%
11%
23%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
23%
3%
6%
+8%
58%
45%
不在
10%
一時離席中
0%
実態
認識
観察調査より
従業員アンケートより
打合せ中
電話中
個人で使用中
参考資料:CBRE、2015年9月。
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13
コラボレーションエリア/会議室のスペース使用率
会議室のスペース使用率における世界平均は、わずか30%です。この発見は、会議室を多目
的スペースに転用することで、その使用率を大きく増加させることができる機会があること
ミーティングエリアのスペース使用率の最適水準が40∼60%の
を示しています。CBREは、
間だと考えています。
あなたの組織が最適水準より低い場合は、あまりにミーティングスペースが多すぎるのでは
ないか、またはこれらのスペースを他の目的に上手く活用できないかを検討すべきです。あ
なたの組織が最適水準を超えている場合は、提供されているスペースが正しいサイズである
かどうかを検証し、あるいは従業員にカジュアルなコラボレーションスペースをもっと利用す
るよう奨励すべきです。
図8:国別のミーティングエリアのスペース使用率
60%
50%
40%
30%
20%
10%
米国
インド
マルタ
ポーランド
香港
中国
ニュージーランド
使用中または一時離席中**
日本
シンガポール
英国
オーストラリア
不在
フィリピン
ドイツ
0%
参考資料:CBRE、2015年9月。
図8は、国別のミーティングエリアのスペース使用率を示しています。調査結果は、米国のミー
ティングスペースにおけるスペース使用率が特に低いことを示しています。ここ数十年にわ
たってコラボレーションを過剰に宣伝した結果、あまりにコラボレーションスペースが多く作
られすぎたと言うこともできます。
図9:業界別のミーティングエリアのスペース使用率
60%
50%
40%
30%
20%
10%
法律サービス
政府
教育
公共事業
エンジニアリング
電気通信
製造/工業
研究開発
/研究所
ホスピタリティ/
エンターテイメント
エネルギー
テクノロジー
金融サービス
使用中または一時離席中*
ビジネスサービス
/コンサルティング
不在
メディア
不動産
0%
不動産業のデータは、CBREグローバルオフィスのみによるものであることにご留意ください。
参考資料:CBRE、2015年9月。
*物理的に ワークスペースに誰かがいる。または、その時、物理的に誰もいないが、その日にデスクが使われたこ
とが確認できた場合(例えば、
コンピューターが作動中、食べ物/飲み物があるなど)
14
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ご存じですか?
会議室は、
週半ばの水曜日に
最もよく利用され、
金曜日が最少です。
曜日間のばらつきは非常に小さく、その範囲は5%(最低が27%、最高が32%)
しかありませ
ん。このことは、他の日と比べてその日に従業員がより活発にコラボレーションしているとい
うことを示しているのではありません。なぜなら、従業員は、デスクでも、
オフィス内外の他の
どこででも、
コラボレーションしているからです。
に
半分以上の組織(51%)
活用されていない会議室が
あります。
クライアントのオフィスにある会議室のうち、51%は活用されていない会議室であり、38%
は推奨するターゲット使用率(ピーク時の部屋の予約が難しくなる場合があるが、通常は問題
がない)の範囲内であり、11%は会議室の確保が極めて難しい高い使用率となっています。
あなたの組織でも、50%の会議室が活用されていない可能性があります。
図10: 業界別のミーティングエリアのスペース使用率
90%
80%
51%
38%
11%
活用されていない会議室
ピーク時に予約が難しい
可能性があるが、通常はOK
困難
ターゲット使用率を
下回る
ターゲット使用率の
範囲内
会議室使用率の平均
70%
ターゲット
使用率を
上回る
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
CBREのクライアントの会議室の使用率(左から右に最少の使用率から最大の使用率へ)
参考資料:CBRE、2015年9月。
観察された全会議のうち
59%が、2~3人の会議でした。
ほとんどの会議が2~3人だけで
行われているにもかかわらず、
最も一般的な会議室のサイズは
6人部屋でした。
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会議は形式ばらず、密に行うものとなってきています。このことは、もっと多くの小規模な
ミーティングエリアとコラボレーションスペースが必要であることを意味します。
平均的な部屋で行われる平均的な会議では、少なくとも半分の席が空席になっていると考えら
れます。このことは、会議室の必要量を定量化しようとしているテナントは常に、定量的データ
に基づいて、
根拠に基づいた決定を行うべきであることを示しています。
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15
「会議の規模」
(黄緑)
は、
の割合で、当社の使用率調査を
通じてCBREが観察したものを
表します。
「会議室の大きさ」は、
当社が観察した全てのオフィス
に作られていた会議室の席数
を表します。
ほとんどの組織がより大規模な
図11:観察された会議の人数 vs 会議室の実際の大きさ
会議室の大きさ
(席数)
の割合
開催された会議の規模
(人数)
の割合
実際に開催された会議の人数
会議室を作りますが、ほとんど
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
の会議は小規模なものです。
「適切なサイズ」の会議室を構
2
3
会議の規模
(人数)
4
5
6
7
8
人数
(席数)
会議室の大きさ
(席数)
9
10
11-15 16-20 21+
参考資料:CBRE、2015年9月。
築することにより、
スペース効
率を高めることができます。
図12:会議の大きさにおける加重平均
6.00
加重平均の会議サイズ
(人数)
5.50
5.00
4.50
4.00
3.50
会議の大きさは中国が最大で、
どの会議にも5.7名が出席して
います。それに対して、
オースト
香港
オーストラリアと
ニュージーランド
参考資料:CBRE、2015年9月。
日本
英国
シンガポール
米国
インド
中国
3.00
平均的な会議の規模が大きいということは、よりコンセンサス重視で、意思決定の権限が集
中化した組織文化であることを示唆しているかもしれません。
ラリアとニュージーランドは平均
4.3名です。
会議の性質の図示
(西洋人 vs 中国人)
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注 – 出典 ヤン・リュウ、http://bsix12.com/east-meets-west/
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ケーススタディー
ある大規模なFMCG組織は、新しい施設の大会議室の数を10倍に増やす予定でした。この動きは、従業員のフィー
ドバックと、必要なときに部屋を予約できないという認識によるものでした。
しかしながら、追加の分析によると、ほと
んどの時間で、人々は部屋を予約していても部屋を使用しに現れないことが判明しました。
これは行動の問題であり、適切な教育または、
より高性能の会議室予約システムを導入することにより改善できまし
た。最終的な解決方法として、大規模な部屋の数を三倍増とし、潜在的な巨額の誤った設備投資を回避出来ました。
図13:会議室使用率
100%
17%
80%
60%
33%
40%
20%
51%
0%
9am
10am
空き―予約なし
11am
空き―予約あり
正午
1pm
2pm
3pm
4pm
5pm
6pm
使用中
参考資料:CBRE、2015年9月。
測定のツール
使用率を測定するためには、沢山のツールがありますが、測定を始める前に、以下について自問
する必要があります。
•
•
•
•
どのようなデータを望んでいるのか?
どれくらいの頻度で、情報を収集することを望んでいるのか
(断続的またはリアルタイム)
?
予算はどれぐらいか?
変革のための投資効果検討についての調査を行うのか?それとも、現行のスペース管理の
ためなのか?それとも、他の目的なのか?
場合によっては、既存のビジネスシステムを通して、
この情報の一部をすでに収集している組織
もあり、使用状況を理解するために、その既存データを活用することができるかもしれません。
また、ある組織では、多くの異なるデータを融合させるソリューションを生み出す必要があるか
もしれません。始める前に正確なツールを使用する方法だけでなく、データを解釈・使用する方
法についても、
きちんと理解していなければなりません。
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17
図14:スペース使用率を測定する一般的な方法
CBREは、使用率データを集めるために利用できるあらゆる方法を調査しました。評価については、以下に記載します。これら
は、
データの入手元から、3つのカテゴリーに分類されます。(A)組織がすでに持っているもの、(B)物理的なデータを収集する
方法、および(C)技術的なデータを収集する方法。
オプション
コスト
拡張性
正確性
精度
侵襲性
仕事の
報告の
プロファイ
スピード
リング
受容性
概要
組織がすでに
持っているもの
スワイプ式カードまたは
セキュリティデータ
セキュリティカードのアクセ
ス記録による入室(利用可
能であれば、退室も含む)
デ
ータを、個人の出勤を知ら
せるために使用します。
共連れにより不正確なデータとな
る傾向があるため、データは容易
に利用できない恐れがあります。
また、デスクの使用率に関して、い
かなる詳細なデータもありません。
IP/PC/VOIP/シンクライア
ントのモニタリング
出勤や活動を検知する有線・
無線データポートの活用。
PC の処理活動がないことを活動
なしと見なすことができません。ま
た、
デスク以外のスペースではいか
なるデータも収集出来ません。
物理的な調査
在席人数または「点呼」確認
個人が、出勤をメモしながら
歩き回ります。
紙 面 上にの み 記 録されま
す。多様なデータ
(計画的な
データ、計画的でないデー
タ)を記録することができ
ます。
安価で活動的な方法ですが、ワー
クスタイルのプロファイリングやワ
ークパターンの詳細分析には活用
できません。観察者によって誤差が
生じる傾向があります。
紙ベースの観察調査
分析・視覚化できるように、
フロアプランまたは記入表
上に、個人が、出勤や各種業
務活動をメモしながら歩き
回ります。
コピーする場合、紙入力はバックア
ップ資料として良いです。しかし、
調査後のデータ入力は、調査結果
報告を遅らせる可能性があります。
データ起こしに時間がかかり、入力
ミスが起こる可能性がかなりあり
ます。
電子ベースの観察調査
個人が、タブレット上のアプ
リにデータを入力しながら
歩き回り、空間的な場所デ
ータを記録します。各種自
動化されたレポートと視覚
化されたデータが提供され
ます。
電子的な方法により、
調査中のデー
タのモニタリングが可能となり、観
察者によるデータ入力ミスの確認
も組み込むことができます。紙ベー
スの調査よりも準備に時間がかか
り、
高価となる可能性があります。
MOBY( CBRE 独自のモビ
データの正確性・精度・報告スピード
に優れています。プロセスに沿って
データを収集していくことにより、
チームごとに仕事のプロファイリン
グを行うことが可能です
(例:紙の使
用/保管、
デスクのパーソナライズ
性など)
リティプロファイリングツ
ール)
電子的な観察調査方法。
良い
18
普通
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悪い
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オプション
コスト
拡張性
正確性
精度
侵襲性
仕事の
報告の
プロファイ
スピード
リング
受容性
概要
技術的なデータ収集
人数カウント
ビデオイメージングと形状
認識を用いて、そのエリア
に出入りする人々の数を集
計できるテクノロジーを導
入することもできます。
広範囲のスペースまたはエントラン
スを対象としているため、
デスクの
使用率または業務活動の詳細に関
するデータは利用できません。
受動赤外線( PIR )センサー
システム
受信機が椅子の下部とオフ
ィス全体に設置され、赤外
線センサーにより従業員の
存在を検出します。
設置が高価ですが、
長期モニタリン
グのコスト効率は高いです。活動デ
ータのみよりは、
占有率のデータ収
集に優れます。
人の追跡
従業員が着用するセンサー・
テクノロジーにより、動きに
加え、会話と社交パターン
を追跡します。 このテクノ
ロジーは、個人がなぜそれ
ぞれのスペースで時間を過
ごすのかという理由を明ら
かにし、
ソーシャル・マッピン
グを作成するのに役立つよ
う設計されています。
センサーとして信頼性に欠けます。
テナントにより導入が困難となる場
合が多いです。センサーが目立ち、
プライバシー侵害とみなされるこ
とがあります。
受動式WiFiトラッキング
デバイスとルーターからの
Wi-Fi 信号を利用して、ユ
ーザーの位置を三角測量し
ます。
容易に拡張可能。しかし、人々が
WiFiをオンにしない、また逆に、複数
のデバイスを有している場合、正確
性に欠ける可能性があります。チー
ムごとに使用率を示すこともできま
せん。データのプライバシーについ
て懸念があがる可能性があります。
LED照明センサー
「ヒートマップ」スペースを
つくることができる、人感セ
ンサー付きLEDライト。
組織により現在調査されている新
しいテクノロジーです。
良い
普通
悪い
すべての多様なツール・方法には、
コストがかかり、
また利点もあります。CBREは、それらを以下の要素に基づき評価しました。
• コスト ― 調査の準備から完了までのコスト
• 拡張性 ― その方法が100のデスクとスペースを対象にした場合と同じように、1,000になったとしても容易に適用できるどうか
• 正確性 ― その方法が調査期間中のスペースの実際の占有率をどの程度正確に反映できるか
• 精度 ― 測定の頻度に関してデータの詳細の水準、または特定のスペースを正確に示す能力
• 侵襲性 ― その方法がどの程度テナントの手を煩わせるか、またはどの程度認識されたプライバシーを侵害するのか
• 仕事のプロファイリング ― チームのワークスタイル/パターンに関して情報を収集する能力
• 報告のスピード ― データを収集した後に、レポートを作成するのに要する時間
• 受容性 ― やり方の侵襲性に関するクライアントの受入れに対する水準。例:ほとんどのクライアントにおいて、電子的に監視されるような
ことは容認しません。
参考資料:WCOガイド:使用率および占有率の調査、2013年4月
(2015年4月にCBREが編集)
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19
CBRE MOBY 仕事プロファイリング・ツール
デスクが空いているか使用されているかを簡単に測定する多くのツールが売り出されています。 自社ツールを開発
するにあたり、
「なぜ、デスクが空いているかどうかを調べるためだけに、毎時オフィスを歩き回る人員を派遣するが
必要あるのか?」についてCBREは考えました。
CBREのMOBYツールは、従業員がどのようにコラボレーションしているのか、IT機器や紙を使用しているのか、さら
にはどのようにその仕事環境を個人仕様にカスタマイズするのかなど、従業員のワークスタイルに関して、
これまで
以上に大量の情報を収集することが可能です。技術的にデータを収集するツールでは、使用率データを取り込むだけ
で、
「なぜ?」
という質問には答えてくれないことがよくあります。MOBYはこれに挑戦しています。アウトプットは、個
別のワークプレイス戦略とチェンジマネジメントのソリューションを作成するのに非常に有益です。MOBYは、あらゆ
る種の企業ソリューションを提供でき、最終的にはスペース管理システムと連携することも可能です。
利点:
MOBYの仕組み
準備
フロアプランは、画像としてスキ
ャン・格納され、特定の建物とし
て登録されます。
トレーニング
調査員のトレーニングは、双方向
のクラスルーム形式で提供され
ます。テストルートとシナリオ設
定を調査員候補者に説明し、
トレ
ーニングの最後には、携帯デバ
イスを使用して模擬回答できる
ようになっています。これは、調
査員候補者にソフトウェアに慣
れ親しんでもらい、シナリオ解釈
による誤差率を減らすことを目
的としています。
トレーニング関
連コストも最小化できます。
タブレットまたはデスクトップ・コ
ンピューターを使用して、
フロア
プラン上にルートストップとして
、順番に番号が付けられます。確
実なデータを得るため、現地確
認を行い、修正を行います。
データ収集
調査員個人は直接自分の携帯デ
バイスに情報を入力します。入
力したデータはセントラルサー
バーと同期します。
レポート
TUS の完了後ただちに、調査者
が収集したすべてのデータを、分
析そしてレビューすることができ
ます。自動化されたダッシュボー
ドで、すべての統計とグラフを作
成し、
また、各種変数でフィルタリ
ングすることができます。
あるいは、
クライアントの必要性
に応じて、分析をカスタマイズす
るため、データを標準Excel形式
で出力することも可能です。
データを収集するシステムは一
切のインストールが不要で、最
近のタッチスクリーン式のスマ
ートフォンで機能します。ルート
番号以外のいかなる情報も調査
員は利用できません。
• 正確性 - 紙でデータ収集し、その後データ入力する2段階のプロセスではなく、スマートフォンを用いた1ステッ
プのデータ収集方法は、
ヒューマンエラーの可能性を低減させます。
• 効率性 - 合理化されたプロセスは、データ照合の時間が減り、データを洞察する時間が増えることを意味します。
• スピード - 素早く取り掛かることができ、また標準レポートは、データ収集終了後ただちに出力することが可能で
す。仮レポートは、
データ収集の途中で作成できます。
• 安全性 - アプリケーションと収集されたデータへのアクセスは制限され、データの安全性は確実に保たれます。
20
CBRE WORKPLACE STRATEGY
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リスク ― 不十分な調査を実施すると、
どのようなリスクがもたらされるのか
不動産とワークプレイスの業界には、使用率データの収集とその解釈を単純化し過ぎてしま
う人がいます。その際、新しいダイナミックなワークプレイスソリューションを実行するため
に、潜在的なコスト削減水準や、組織がシステム、
プロセス、文化、テクノロジーに適応する能
力に関して、誤った考察や推測を行う危険を冒してしまいます。
いかなる使用率調査においても、データの質を高め、確実にそれを正しく解釈し、適応させる
上で、一定のリスクがあります。
• 観察者による誤差: 使用率調査における最大のリスクは、空きスペース(誰もデスクを使
用していない)
と、一時的に利用されていないスペース
(デスクは使用されているが、一
時的に利用者がデスクから離れている)
との違いを確実に理解させるために、正しいトレ
ーニングを実施することです。包括的かつ一貫したトレーニング体制が極めて重要です。
「使用中のデスク」
とし
• 解釈の違いによる誤差: シェアリング比率の可能性を評価する際、
て、人が物理的にそのデスクにいる時間だけを含める分析者がいます。データによれば、
シェアリングの可能性
人々がオフィスビルにいる時間の約50-70%しかこれに該当せず、
を誇張するものです。これが正しいなら、従業員個人はデスクを離れる度に、他の誰かが
そのスペースを確実に使用できるよう、すべての所有物を片付けなければならないとい
うことになります。明らかに、
これは無意味だとわかります。
• ピークと平均: ダイナミックかつ共有して使うオフィスソリューションになると説明される
と時、平均使用率に基づいて見積もられるのではないかと、従業員は間違いなく神経質
になります。ピーク時の使用率はもっと高いはずだと心配するからです。例えば、銀行員
は全従業員の出勤が求められる月末作業について心配になります。使用率データからシ
ェアリング比率を解釈する際には、
これらのパターンに対処できるバッファー、あるいは、
あふれる人員を収容できる物理的なソリューションを組み入れなければなりません。
このスペースは使用中ですが、一時的に無人です
このスペースは使用されていません
(空き)
使用率を観察する際には、2つの違いを認識することが鍵です。
データを解釈し、提案を行う際には、2つの違いを理解することが極めて重要です。
参考資料:CBRE、2015年9月。
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21
ケーススタディー
CBREは、ある金融機関のスペース使用率を測定するために
MOBYツールを使用しました。
スペースをより効率的に活用することで、
この組織内の空いているまたは使用されていない(不在)
スペ
ースは、32%から10%に低下しました。
図15:実施前後のスペース使用率
前
100%
32% 不在
80%
60%
24% 一時離席中
40%
20%
44% 使用中
0%
8am
9am
10am
11am
12noon
1pm
2pm
3pm
4pm
5pm
2pm
3pm
4pm
5pm
後
100%
10% 不在
80%
39% 一時離席中
60%
40%
51% 使用中
20%
0%
8am
9am
10am
11am
12noon
1pm
参考資料:CBRE、2015年9月。
22
CBRE WORKPLACE STRATEGY
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3 結論
私たちは、
テクノロジーと仕事の進化に対応して、物理的にオフ
ィス環境を変革させられる特別な時代にいます。ワークプレイ
ス密度やスペース使用率といったベンチマーキングの測定基準
は、
テナントがオフィスと不動産を戦略的に資産管理するにあたり、
極めて重要な要素となってきています。
それと同時に、重大なリスクが存在します。このデータをあまりに単純化
して理解すると、生産性と従業員の満足感を犠牲にして、会社が静的または動
的なワークプレイス密度を増加させる可能性があります。
オフィス使用率を測定する多くの方法があります。組織はまず、
ソリューションを求め
る前に、なぜデータを必要とするのか、そしてどんなデータを必要としているのかを理解
する必要があります。
会社が自問する必要のある現実の問題は、現在と将来にわたってその組織に適しているワー
クプレイスのソリューションは何かということです。テナントは、従業員がどのように働くのか、
そしてその組織の目標と責務が何なのかを徹底的に理解しなければなりません。これらの2つ
の基本的な視点を合わせることによってのみ、会社は、
コスト効率の高いビジネス変革を達成で
きるオフィス戦略を実行することができます。
密度と使用率を再考し、確固となる根拠を持って、
スペース管理や変革のための投資効果検討を
行うことで、現状を見つめ直す時です。これにより、
コスト削減だけでなく、
ビジネスと従業員のパ
フォーマンスも改善することができます。
参考文献
• 従来型オフィス設計対オープンオフィス設計、長期的現地調査、環境と行動2002年5月号第34巻第3号 279-299
http://eab.sagepub.com/content/34/3/279#cited-by
• オフィスの物理環境:現代の新しい問題、産業・組織心理学の国際的な再検討 2011年、第26巻
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/9781119992592.ch6/summary
• スティールケース360、プライバシーの危機 http://www.steelcase.com/insights/articles/privacy-crisis/
• 作業スペースの満足感:間仕切りのないオフィスのプライバシーと通信の交換、環境心理学ジャーナル、第36巻、2013年12月、
18–26ページ http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272494413000340
• ストレスとオープンオフィスの騒音。エヴァンズ、ゲイリー・W、ジョンソン、デーナ、応用心理学ジャーナル、第85(5)巻、
2000年10月、779-783。http://dx.doi.org/10.1037/0021-9010.85.5.779
免責事項
ここに含まれる使用率データは、
CBRE MOBY(当社独自のモビリティ・プロファイリング・ソフトウェア)から入手しました。このデータには、14ヶ
国、36都市、77のクライアント、63,235のワークポイント、そして3,315,170の観察データに関する調査が含まれています。当社はその正
確性を疑っておりませんが、サンプル規模は、国、都市および業種ごとに異なり、結果として、結論を導くにあたっての信頼度は変化します。こ
れらの結果は、幅広い業種の傾向を示すものとして扱う必要があります。
各地域の主要レポートの詳細については、以下にご連絡ください。
リサーチ
ヘンリー・チン(博士)
ジョナサン・ヒルズ
リサーチヘッド
(アジア太平洋)
ディレクター(アジア太平洋)
+852 2820 8160
henry.chin@cbre.com.hk
+852 2820 2881
jonathan.hills@cbre.com.hk
ビジネスライン
ピーター・アンドリュー
ジョン・イップ
アンドルー・マーシャル
ワークプレイスストラテジーヘッド
シニアコンサルタント
ディレクター
ワークプレイスストラテジー(アジア太平洋)
ワークプレイスストラテジー(アジア)
+65 6326 1677
peter.andrew@cbre.com.sg
+852 2820 6582
john.ip@cbre.com.hk
+65 9171 3862
andrew.marshall@cbre.com
オーストラリア
中国
香港
(アジア太平洋)
マット・ストルードウィック
リード・ハッチャー
ディレクター
シニアディレクター
ワークプレイスストラテジー(太平洋)
オキュパーアーコンサルティング
(中国)
+61 432 842 362
matt.strudwick@cbre.com.au
+86 2124011313
reed.hatcher@cbre.com.cn
インド
日本
シンガポール
ゴーラヴ・チャラヤ
スミット・アローラー
金子 千夏
シニアディレクター(コンサルティング)
ディレクター
+91 124 4659817
sumit.arora@cbre.co.in
+080 9804 5533
chinatsu.kaneko@cbre.co.jp
リサ・キャメロン
ディレクター(ワークプレイスストラテジー)
+852 2820 1419
lisa.cameron@cbre.com.hk
アソシエイトディレクター
(ワークプレイスストラテジー)
+65 6229 1131
gaurav.charaya@cbre.com.sg
グローバル調査および活動の詳細については、以下にご連絡ください。
ニック・アクスフォード(博士)
リチャード・バーカム(博士)
(MRICS)
リサーチグローバル・ヘッド
グローバル・チーフ・エコノミスト
+44 20 7182 2876
nick.axford@cbre.com
+44 0 20 7182 2665
richard.barkham@cbre.com
ヘンリー・チン(博士)
ニール・ブレイク(博士)
スペンサー・レビー
リサーチヘッド
(アジア太平洋)
リサーチヘッド
(EMEA)
リサーチヘッド
(アメリカ)
+852 2820 8160
henry.chin@cbre.com.hk
+44 20 7182 2133
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