来日目前! 新布陣による アマランスの新作 『マッシヴ・アディクティヴ』 発売! SLIPKNOT GERARD WAY GREEN DAY SiM NEW BREED THE GAME SHOP THE STARBEMS DEATHROLL YELLOWCARD KEN YOKOYAMA EXTREME ROCK T.C.L KNOCK OUT MONKEY SikTh / ANTHEM KAGERO ANGRY FROG REBIRTH LOKA / I AM GIANT Vol.86 October - November 2014 Issue 特別両面表紙 ¥0 ¥0 FREE! FREE! 11月にKNOTFEST JAPAN 2014を開催するスリップノットの 最新作『.5: THE GRAY CHAPTER』完成&最新インタヴュー!! AMARANTHE GERARD WAY / GREEN DAY / SiM T.C.L / KNOCK OUT MONKEY / SikTh / ANTHEM / KAGERO ANGRY FROG REBIRTH / LOKA / I AM GIANT / NEW BREED THE GAME SHOP / THE STARBEMS / DEATHROLL YELLOWCARD / KEN YOKOYAMA / EXTREME ROCK Vol.86 October - November 2014 Issue 特別両面表紙 CONTENTS GrindHouse Magazine October - November 2014 Issue グラインドハウス・マガジン Vol.86 www.grindhouse.jp Latest Interviews SLIPKNOT 11 ......... SiM 14 ......... GERARD WAY 16 ......... SikTh 17 ......... ANTHEM 18 ......... KAGERO 19 ......... ANGRY FROG REBIRTH 20 ......... LOKA Pick-up Artists 21 ......... GREEN DAY AM GIANT 23 ......... KNOCK OUT MONKEY 24 ......... NEW BREED 25 ......... THE GAME SHOP 26 ......... THE STARBEMS / DEATHROLL 27 ......... T.C.L / EXTREME ROCK 22 ......... I 04 08 GrindHouse Disc Reviews 28 ......... 国内盤・輸入盤レヴュー AMARANTHE Vol. What is GrindHouse!? NEXT 2000年の創刊以来、US、UK、日本を中心としたシーン最前線のロックアーティストを紹介してきた「グラインド 87 December 2014 January 2015 Issue Issue of ハウス・マガジン」。情報提供のスピードアップと、誰でも自由に無料でアクセスできる手軽さを重視し、2012年 フリーペーパー 2014年11月30日発行予定 夏にウェブマガジン&フリーペーパーとしてリニューアル! ウェブマガジン www.grindhouse.jpにて随時更新 ウェブマガジンwww.grindhouse.jpには、アー ティストのインタヴュー、ライヴレポート、ディスクレヴューなど、最新情報を随時アップ。このフリーペーパーでは、 注目アーティストのロングインタヴューとカラーグラビアを厳選してお届けします。「グラインドハウス・マガジン」 フリーペーパーは毎奇数月末の発行。次号Vol.87は2014年11月30日発行予定です! グラインドハウス・マガジン編集部 〒153-0052 東京都目黒区祐天寺1-20-8-301 有限会社 グラインドハウス TEL: 03-3794-6405 FAX: 03-3794-6406 info@grindhouse.jp 発行人:有島博志/Publisher: Hiro Arishima 編集:権田アスカ/Editor: Aska Gonda スタッフ:松本美和、望月裕介 Staff: Miwa Matsumoto, Yusuke Mochizuki デザイン:一乃瀬光太郎 印刷:株式会社 八紘美術 2014年 9月30日発行 ※本誌掲載の記事、写真等の無断複写、複製、転載を固く禁じます Where to Get? [ 配布場所 ] 全国のタワーレコード、ディスクユニオン、HMVの店舗ほか、アパ レルショップ、バー、ライヴやイベント会場にて、無料で配布中! フリーペーパーの設置や配布にご協力いただける店舗も、随時募集 しております。配布場所、広告、記事に関するお問い合わせやご要望 は、info@grindhouse.jpまでメールでお願いいたします。 ©GrindHouse magazine どうぞお気軽にご連絡ください!! October - November 2014 03 Cover Artists text by Hiro Arishima / translation by Mariko Kawahara もう、絶え間なきアートの戦いさ。オレにはいまだに、アートを創造する力があるのかもしれ 11月15日、16日に、スリッップノット主催のロックフェス、ノットフェス・ ジャパン2014が開催される。また、10月15日には通算5枚目の新作 『.5: THE GRAY CHAPTER』が日本先行発売されるため、ショーン #6 クラウン クラハンがプロモーションで来日した。これまでの経験 からいくと、だいたい彼との取材には脱線・転覆がつきものなんだけど、 今回は珍しくそういうこともなくスムーズに進み、無事終わった。ある意味、 奇跡である(笑)。 ないし、音楽だって愛しているけど、どんどんそれが難しくなってきている。だけどついに、 暗い闇から抜け出られたような気がする。そして幸いなことに、オレをそこから抜け出させて くれた仲間たちがいるし、オレについてきてくれた仲間たちがいる。だから、また山を登って いる気分だ。イイことさ。これまでは、山から転げ落ち、心の準備ができていない状況に向か い、果てしなく歩いていかないといけなかった。だけど、やっと節目にきたんだ。なにかしら のスタート地点に立ったようだ。それがなんであるかは、オレにもまだわからない。それが人 生の謎というものさ。 Interview with Shawn Crahan スリップノットはとても…とても…わからない、決してラクじゃないよ。このバンドを続ける には、かなりの労力を要する。必ず相当な痛みを伴う。だけどオレは、ほかのやり方はしたく ̶プロモ来日後、もう連日連夜、取材だのトークイベントだのと、駆け足でスケジュールを ない。寝ているとき、自分がスリップノットにどれだけの労力を注ぎ込んできたかがわかる。 こなしているようですね。 自分のすべてを捧げたことがわかる。オレにとっては、それが大切なんだ。仲間たちは、相変 ああ。でも、日本は相変わらずすばらしいし、滞在を楽しんでいるよ。オレは日本にいるのが わらずオレにとって大切な存在だ。ファンだって大切な存在だ。ポールが亡くなってから、一 大好きなんで、仕事という気がしない。常に新しいものを見て、新しいことを経験できる。た 連のライヴを演った。気づくと、彼が亡くなってから4年が経過していた。幸いなことに、オ だ、こういうところ(レコード会社のアーティストルーム)で取材をするのは好きじゃないけ レはアートをやっているから、この状況を乗り越えられる。アートが、オレの役に立ってくれ どね。外で、酒やタバコを楽しみながらやった方がずっとイイ。人生を謳歌したいからね。こ ているんだ。 のスペースは、オレにはちょっと息苦しいんだ。もうたくさんだとオレが思うときがきたら、 ̶8年もの長きにわたり、公私ともども大変な時期を過ごしてきたにもかかわらず、スリップノッ きっとみんなもわかってくれるんじゃないかな。こういう場所は、ほかのみんなにとっては都 トやその音楽に対してブレなかったのは、やはりそれらへの強い愛情と情熱があるからですか? 合がいいかもしれないが、オレにとっては都合が悪い。だけど、オレも努力している。いつの …わからない。みんなそれぞれの人生を送らねばならないけど、オレの人生はとても変わって 日か、オフィスでこうした取材をするんじゃなく、キミがオレを自宅に招待してくれるだろ いる。まるで映画のようさ。これ以上、異様になり得ないくらい異様だ。オレの人生は本当に う。もちろん、キミのせいではないことはわかっているさ。ただ、こういう照明(蛍光灯)だ 奇妙だ。毎日自分に これ以上異様になどなりようがない と言い聞かせているんだ。それな と少しやりにくいんだ。まあだけど、自分なりに楽しんでいるよ。キミたちはオレのことをよ のに、想像もつかないような方へ展開していく。そして、ただ進み続ける。それが、このバン く知っているし、なにがあろうとも、オレはいつだって楽しもうと思っている。長い一日にな ドのあり方なんだ。今、スリップノットにはすべての要素が整った。だからオレがオーケーと るけど、大丈夫さ。長い日というのは、ときにあるものさ。特に新しいことじゃない。 言ったら、次にはドアが開き、エレベーター、食べ物、ショウ、金、すべてがやってくる。オ ̶トークイベントでは、ツーショット写真は撮らせてくれるわ、ハグはしてくれるわ、大変な レがすべてを計画したわけじゃない。ただ、やろうと決めたら、世界がそれについてくる。そ ファンサービスだったそうですね。ファンがツイートしていました。それもスゴいんですけど、 して、オレたちはベストをつくす。これまでオレたちがやってきたこと、オレたちが人々のた その前に、こうしてプロモ来日し、トークイベントに出ること自体、前例がないでしょう。 めに、そして自分たちのために長くやってこられたことを誇りに思うし、とても満足もしてい ステージ上に座り、別のバンドとトークしたのは、あれが初めてだった。すべてはファンのた る。オレは恵まれている。アートに、ロックンロールに、完璧に恵まれている。これがオレの めさ。昨日はキッズを招き、ほかのアーティストと話をするイイ機会だった。楽しかったよ。 夢だったんだ。だから、やっているとガツンとくるんだ。バン、バンってな! オレはファンのためにできることならなんでもしたいと思っている。ファンと親しくなりたい ̶前作『オール・ホープ・イズ・ゴーン』 (2008年)のときと、今現在とでは、スリップ からね。ハローと言うぐらい、なんの苦労もない。こうした試みがうまくいくといいと思って ノットの状態が違います。特に曲作りの面において、メインソングライターの顔ぶれが変わ いる。 うまくいっている というのは、 人を感動させる ということだ。オレは駆け引きや りました。今回、曲作りはどういうふうに進めたんですか? 名声というものは気にしない。誰かがキミにツイートしてきて、意義あることだったと言って 主にジム(#7ルート/g)が書いた。ギタリストが書いた初めての作品だから、すばらしい きたということは、うまくいっている証拠だ。これまでとは違った試みだったけどね。 よ。とても悲しくて、とてもメロディックで、とにかくすばらしい。だけどいつもと同じく、 ̶スリップノットは世界的モンスターバンドなんで、今、ファンと直接接する機会は、昔と スリップノット全員が関わらなければ、曲にはならない。新作がすばらしいのは、全員がさら 比べるとずいぶん少なくなってきているでしょう。 なるステップアップをしたから。そして、全員で痛みを打ち砕こうとした。それは、聴けばわ イヤ、実は今の方がやりやすい。オレは名声を利用して現実の世界から自分を隔離するような かる。だからスゴいんだ。聴けば、全員のプレイがハッキリ聴こえてくる。パーカッション、 ことはしないからね。オレたちが名声を得たのは、この現実世界のおかげだ。オレはいまだに バッキングヴォーカル、シド、クレイグ、すべてが聴こえる。とてもシリアスな作品さ。コン ひとりで出かけるし、会場を歩き回ってファンに挨拶する。オレは常に、いたるところにいる。 セプト作ではないけれど、ストーリーがある。怒っていて、痛みを多く伴っており、美しい。 ひとつの場所に長く留まることはないかもしれないけど、必ずある程度まとまった時間をとる オレたちに必要なものがすべて詰まっている。 ようにはしている。自分のルーツを忘れてしまうほど、ビッグにはなりたくないからね。もち ̶4曲、新曲を聴かせてもらいましたけど、メンバー全員のプレイがそれぞれものスゴく ろん、ものスゴい数のファンがいるときは、挨拶ができない場合もある。危険かもしれないか ハッキリ、立体的に出てきます。いろんな意味で非常に激しく、ダークですね。 らね。それでも、以前と変わらないやり方でやるようにはしているよ。 全員がステップアップし、意見を出し合った結果さ。そして、互いのプレイが邪魔をしてない。 ̶ところで、髪型をモヒカンにしたんですね? ライヴのときはマスクを被るわけですから、 全員が永遠を刻んだんだ。新作は美しい動きのようなものさ。キミは気に入ってくれたかい? お客さんたちにそのモヒカンを見せられないのは残念ですね(笑)。 ̶もちろん! それがクラウンだからな。知ってのとおり、ショーンとクラウンは別人だから。 よかった。 ̶なぜモヒカンに? ̶4曲聴いた限りでは、 『スリップノット』 (2000年)と『アイオワ』 (2001年)の間を う〜ん、スリップノットとして出てきたころのオレはモヒカンだった。戦士の出で立ちのつも 行っているような印象を受けました。 りだったんだ。そして、このところツラい日々を送っていたから、また戦いに備えることにし それは、すばらしい。 たんだ。オレがいまだに敵として通用すること、戦士であることを示すために。この髪型にし ̶さて、今年11月に、日本で初めてノットフェスが開催されますね。 たのは久々さ。モヒカンにしたのは10〜12年ぶりかな。モヒカンの長さは今回が一番長く て、これくらいあるんだ(と、頭上に手を上げてその高さを示す)。 ̶ツラい日々というのは、バンドの活動面において? それともプライベート面で? 新作『.5: THE GRAY CHAPTER』発売&ノットフェス開催迫る! スリップノット最新インタヴュー!! オレは思いっきり楽しむつもりだよ。日本のファンと、多くの時間を過ごすんだ。オレの好き なことで忙しくしていたい。ノットフェスで人生を謳歌してやる! ̶2年前の夏、アメリカでノットフェスを観たとき、とても楽しかったです。ミュージア 人生が、かな。父親と母親を亡くし、ポール(#2グレイ/b)も亡くした。妻は今もなお、病 ムがあったり、車を棒で叩いてストレスを発散したりすることもできて(笑)。 を患っている。ツラい8年間だったよ。やっと最悪の時期は抜け出たような気がするけど。痛 別に、ロラパルーザ(90年代前半に全米各地を転戦し、一世を風靡したパッケージツアー) みや嘆き、そして悲しみは人を強くする。オレは一人っ子でね。だから両親が逝ってしまった をパクッたわけじゃないけど、オレが行った初めてのロラパルーザには巨大なパーカッション 今、両親と同じように頼れる人はいない。それに、動揺することがたまにある。ポールが逝っ があった。子供だったオレにはあれがスゴく楽しかったんだ。だからノットフェスでもやった てしまったせいで、かなり拍子抜けもした。大勢の人たちに、 ポールはアナタたちにバンド んだよ。だけど、あの棒がすぐ壊されたのには、腹が立った。プラスチック製で、すぐに壊れ を続けてほしいと思っているハズだ って言われたけど、 他のメンバーは続けたくないのか た。ファンにこん棒を渡し殴り合いをさせるわけにはいかなかったから、棒は鎖につながれて もしれないと思ったことが、キミにはないのか? なんて返したこともあったさ。こうなると いたんだけどね。 04 October - November 2014 October - November 2014 05 Cover Artists SLIPKNOT: Past, Present and Future text by Yusuke Mochizuki 一期一会、袖振り合うも多生の縁、とはよく言ったもので ある。前者は出会いというものは一度きりだし、目の前の人 と会うのも今回限りかもしれないと、後者はどんな些細な出 会いも、縁によるものだと説いている。どちらも、だからこ そ縁というものは大切にしろということなのだ。実際、日常 は人、ものを問わず、出会いと別れにあふれている。誰かと 覚悟はいいか? ついにスリップノットの新作 『.5: THE GRAY CHAPTER』が世に解き放たれる!! 突然離れ離れになってしまったり、ちょっとしたことで疎遠 になってしまったり…ということは、みんなが経験している はずだ。しかし、相手が亡くなってしまい、会うことが二度 とかなわないのは、悲しいものだ。 2010年5月に、スリップノットのポール#2グレイ(b)が 亡くなったという一報を聞いたとき、世界中のメタルシーン リィが「このツアーがダメなら解散する」と発言したり、い ノットそのものは続いていく。それを実感した世界中のファ 方のバンドで今もフロントマンを務めるコリィの存在を考え 怒りや憎しみをぶつけるさまや、デス/ブラックメタルの影 する。スペシャルゲストとしてKORNが、オープニングアク を、大きな激震と悲しみが襲った。もうあの9人のスリップ くつか悶着はあったのだが:笑)。 ンは、新作を気長に待つ心構えができたと思う。ジョーイも ると、なんとも微妙な気持ちにさせられる。というか、コ 響色濃いブルータリティは、『アイオワ』譲りのものだと言 トとしてKING 810が帯同する予定だ。その一環として、先 リィは板ばさみになっているんでは…。 える。とはいえ、通して聴いてみると、思いのほかギターの に書いたとおり、11月15日、16日にノットフェス・ジャパ ともあれ、新作の制作が少しずつ進んでいく中で、ここ日 轟音が前に出ていない。エレクトロニクスやスクラッチと ン2014が開催される。もちろんスリップノットがヘッドラ 本でも11月にノットフェス・ジャパン2014を開催すること いった飛び道具がかなりフィーチャーされているし、ドラム イナーに座り、ほかにKORNやトリヴィアム、ファイヴ・ しかし、その矢先、2013年12月に状況は一変する。 が決定。いろいろとトラブルは絶えないが、スリップノット と二台のパーカッションによる、濁流のようなリズムが押し フィンガー・デス・パンチ、リンプ・ビズキット、ラム・オ 寄せてくるさまは、むしろデビュー作『スリップノット』を ヴ・ゴッド、イン・フレイムスらのほか、日本からもマキシ ノットを見ることは、絶対にできない。日本のファンが、ス さて、ツアーができたとなれば、今度は新作だ。とはい 新バンドのスカー・ザ・マーターとしても作品をリリース リップノットでのポールを見たのは、2008年にラウドパー え、ポールは単なるオリジナルメンバーのひとりではなく、 し、とにかくアーティストとして前に進んでいることをうか クのトリを務めたのが最後だった。当時と同じライナップを コリィが加入する前にヴォーカルをやっていた時期があった がわせた。 二度と見ることができないどころか、バンド自体がもはや存 し、なによりもスリップノットのメインソングライターだっ 続できないかもしれないのだ。彼らの今後を不安視する声 た。ショーンが彼のことを「バンドの核」と言ったのは、そ ジョーイのバンド脱退。絶対に起こるはずのないことが、な は動いていく。そして7月になると、突然短編映像を数本、 は、あとを絶たなかった。 ういったことに起因する。それはメンバー全員が、ほかの誰 んの前触れもなく、突然起きてしまった。バンドは「個人的 バンドの公式ウェブサイトで発表。どれもホラー映画のよう 思い起こさせる。それらを『オール・ホープ・イズ・ゴー マム ザ ホルモン、coldrain、SiM、MAN WITH A MISSION、 ポールが亡くなった直後、メンバー全員が素顔で出席した よりも知っているはずだった。作風も、ベースを誰が弾くの な理由によって、道を分かつことになった」という声明を発 な、猟奇的で不気味、かつグロテスクなものだ。これに使わ ン』で身に着けた楽曲の幅広さと整合性で、コンパクトに、 Crossfaithらが出演する。久しぶりの日本でのライヴとなる 記者会見で、ショーン#6 クラウン クラハンは「彼はス かも分からないまま、「新作には着手するつもりだ」という 表。脱退の理由そのものの明言をさけていることと、ジョー れているBGMが、新作のヒントになっているのか…と話題 かつ聴きやすくまとめた印象だ。それにおどろおどろしい小 ファイヴ・フィンガー・デス・パンチや、かつてスリップ イからのステートメントが特にないことから、これは解雇で になるなか、8月に入ると、突然新曲 ザ・ネガティヴ・ワ 曲やサンプリングを塗りたくり、身の毛もよだつようなおぞ ノットとは犬猿の仲と言われたリンプ・ビズキットとの共演 ましい空気を作り出している。大所帯のバンドであるがゆえ など、見所は多い。そのなかで、新しいチャプターを迎えた リップノットの、最も重要な核だった」と発言した。その 2012年に入ると、スリップノットとして初のベストアル はないか…という声がささやかれた。かと思えば、2014年 ン が公開された。それとときを同じくして、クラウンがプ トーン・サワーとして、ジョーイ#1ジョーディソン(ds) バム『アンテナズ・トゥ・ヘル』をリリースするとともに、 へと年が明けてすぐに、今度はジョーイが「俺は辞めていな ロモーションのために来日、ニコニコ生放送の特番に出演す の手数、音数の多さを最大限に生かした、まさしくスリップ スリップノットが、その雄姿を見せつけてくれることだろ はマーダードールズとしての活動に着手。この時期、ジムは バンドの地元であるアイオワ州にてノットフェスを開催。ス い。過去18年間、俺の人生そのものだったスリップノット るほか、インタヴューに応じた。かと思えば、今度は新作か ノットのアルバムなのだ。 う。 スリップノットに関して「バンドのこの先がまったくわから リップノットがヘッドライナーとして立ちつつ、ほかにデフ を放棄するわけがない」と反論。なんだかもう、「コントか ら、もう1曲 ザ・デヴィル・イン・アイ を公開。これま これを書いている9月半ばの時点で、本作で誰がドラムや ない」とコメント。その後、DVD作品『(シック)ネス』の トーンズ、ラム・オヴ・ゴッド、サージ・タンキアン、マ よ!」とずっこけるしかなかったのだけれど、結局、バンド でなかなか物事が進まず、焦らされてきたなかで、いきなり ベースをプレイしているのかはわからない。 ザ・ネガティ リリースにあたってクラウンに取材した際は「スリップノッ シーン・ヘッド、ザ・ディリンジャー・エスケイプ・プラン 側は沈黙を守るどころか、そのままレコーディングに突入し の連続発表には驚かされた。そして、新作のタイトルが『.5: ヴ・ワン 公開後、ラム・オヴ・ゴッドのクリス・アドラー トは必ず復活する」と断言。かと思えば、コリィが「ポール 等、豪華なバンドたちが一堂に会した。この時期、コリィは てしまう。ポールに続いて、やはりメインソングライターで THE GRAY CHAPTER』であることと、そのアートワーク がドラムを担当したのではないか、という噂が流れたが、ク 抜きでスリップノットを続けるのは意味がない」とこぼした 「ポールもバンドが続いていくことを望んでいるはず。だか あり、バンドのトライバルのロゴデザイン等、イメージ戦略 が発表される。発売日は日本先行で10月15日にセットされ リス本人ははぐらかしている(そもそも、本作で聴けるドラ ムは、明らかに彼のスタイルではない)。新作が発売された とき、そのクレジットでやっと明らかになるようだ。わかっ り、バンドの中でもいろいろな意見が渦巻き、意思の統一が らどうにか体勢を立て直して、より強力なバンドになろうと の上でも非常に重要な存在であったジョーイの離脱は、せっ た(本国は10月21日発売)。iTunes Storeでの予約注文も できていないことが、ありありと伝わってきた。 しているんだ」と、格段に前向きな発言をしていた。と同時 かく前向きになったバンドの行く末に影を落とさないわけが スタートした…というわけだ。 しかし同じ2010年の年末、2011年の夏フェスに出演す に、ストーン・サワーが再始動。2枚に分かれた連作『ハウ ない。 るツアーという形でスリップノットが活動を再開させるとい ス・オヴ・ゴールド・アンド・ボーンズ』のVol.1を2012年 うニュースが飛び込んできた。ベーシストは、かつてバンド 06 メンバーの発言のみが一人歩きしていった。 後、コリィ#8テイラー(vo)とジム#7ルート(g)はス の10月に、そして2013年4月にVol.2をリリースした。 新作『.5: THE GRAY CHAPTER』は、アルバムとしては ているのは、スリップノットはデビュー時の9人がいて初め この一連のゴタゴタには困惑させられたが、それ以上に、 実に6年ぶりとなる。いろいろなことが起こり続けていたた て、スリップノットたらしめる…ということ。今後ドラム、 ファンに再び不安な気持ちを味わわせることになった。また め、それほど長いスパンは感じないが、バンド史上、これほ ベースともに正式な後任は迎えずに活動していくようだ。と はいえ、彼らのことだ。こちらの予想を大幅に裏切る発表を 隠しているかもしれない。油断は禁物である。 のギタリストだったドニー・スティールがステージに立たず その勢いのまま、5月に開催されたOzzfest Japan 2013 余談だが、5月にジムがストーン・サワーから離脱。これは どリリースに時間がかかったのは、初めてだ。内容に関し にプレイすることなど、続報が次々と発表された。ともあ に、スリップノットがヘッドライナーのひとつとして出演 スリップノットの新作を制作するためには、ストーン・サ て、コリィは以前「『アイオワ』と『Vol.3:(ザ・サブリ れ、スリップノットがまだ続いていくこと、そしてメンバー (ストーン・サワーも別の日に出演した)。新体制になった ワーと同時に活動するのは物理的に無理…ということによる ミナル・ヴァーシズ)』を合わせたような作風だ」と語って 新作リリース後、スリップノットはまず10月24日から26 日にかけて、カリフォルニア州にてノットフェスを開催。そ の後は12月まで「Prepare For Hell」と題したツアーに出発 がスリップノットとして動き出すことができるくらいには立 スリップノット初の日本公演とのことで、多くのファンが詰 ものらしい。解雇というか、お互いに妥協点を見つけるため いた。たしかに楽曲の展開やリフの質感、メロディの挟み込 ち直ったことが、なによりもファンを安堵させた(まぁ、コ めかけた。新作の制作には時間がかかるだろうが、スリップ だったようだ。スリップノットに専念するためとはいえ、両 み方等、『Vol.3』の方法論がありつつ、なりふり構わずに October - November 2014 October - November 2014 07 Cover Artists 3枚目の新作が発売され、 ラウドパーク14参戦が間近に迫る あのアマランスが大きく動く! グロ ウラーのアンディが脱退し、ヘンリ ク・エングルンドを後任に迎えた新布 陣によるニューアルバム『マッシヴ・ アディクティヴ』がついにリリースさ れるのだ。また、ラウドパーク14参 戦で、4度目の来日も決まっている。 前作『ザ・ネクサス』(2013年)発 売から、それに伴うツアーの話、そし て今回の新作について、バンドの司令 塔、オロフ・モルク(g,key)が、 ガッツリ語ってくれた。 アマランスを聴くべし! をアメリカとヨーロッパで初めてやれたし、いいツアー ンリクを迎えて態勢を維持したね。ヘンリクとはどういう うことって、とても大切なことだよ。別にボクたちが6人組 に今は新しいメンバーがいるんだから、いろんなサウンド するようなことはしたくないし、前作と同じくらいの出来 だった。最初の半年はライヴの連続で、家にいられたのは 経緯で知り合い、彼にはどういう音楽的背景があるの? だからというだけではなく、これだけツアーをしている を試してみる機会が増えた。だから、昨年9月に新作用の曲 の作品が作れたとしたら、それはそれでイイことさ。それ 10日間ぐらい。東京で2晩、大阪で1晩、単独ライヴを ボクとジェイク・E(clean vo)が彼に会ったのは、ストッ と、お互いうんざりすることもあるけど、ヘンリクとはラ 作りを始めたとき、3ヵ月間オフをとり、焦らずじっくり だけでもかなりの努力が必要だけど、それでは十分じゃな 演ったけど、あれもよかった。前作発売後はライヴをたく クホルムで演ったライヴ後に行ったロックバーだった クにつき合えるんだ。腹を立てることもまずないんで、こ やったんだ。腰を据え、アマランス・サウンドの新しい追 かった。ボクたちは、それよりもっとずっとイイ作品を作 さん演り、移動も多かったけど、作品に対する反応がわ (笑)。で、とにかく気が合った。彼はSCARPOINTという れはバンド内の関係にとって、イイことだと思うよ。 求の仕方を考えたかったから。そして、レコード会社やメ らないといけなかった。コンポーザーとして、アーティス かったし、おもしろかったよ。 テクニカルデスメタルバンドをやっていてね(ホーンテッ ̶ヘンリクと、エリーセとジェイクとのコンビネーショ ディアの人々に新作を聴かせたところ、 新しいけど、な トとしての自分をそこまで追い込むのは大変だったけど、 ̶で、驚いたんだけど、昨年10月にアンディが脱退した ドの新ギタリスト、オーラ・エングルンドもかつて在籍)。 ンはどうですか? なにしろ、トリプルヴォーカル隊はア んだかイイ意味で、懐かしいね! と、みんなが口を揃え 同時に挑戦として、とてもおもしろいことでもあったよ。 じゃない。 彼はそのバンドに16年もいて、そっちのバンドも辞めるわ マランスの最大の売りのひとつだし、生命線だから。 た。新作でボクたちはまさにそういうものを求めていたん ̶うん、わかる。新作はアマランスの作品、そして音楽 彼は個人的な理由で辞めたんだ。大切にしている家庭と、 けじゃない。アンディの代わりを探していたとき、ヘンリ 彼が入ったことで、トリプルヴォーカルのあり方が変わっ だと思う。 であることに変わりはないけど、ニュアンス、タッチ、 気に入っている普通の仕事があるから。彼はそういう人生 クが自分はグロウラーだと言っていたことを思い出し、 た。以前は、エリーセはエリーセのパートをやり、美しい ̶新作で3枚目じゃない。昔は3枚目がそのバンドの勝負 ヴァイブがこれまでとは異なるんだ。やはりアンディとヘ ̶4度目の来日が迫っているけど、もうすっかり日本通に を楽しんでいたし、ボクらはそれを尊重した。世界中を旅 SCARPOINTを聴いてみたところ、すばらしかった。一時 歌を歌い、ジェイクはジェイクのパートをやり、アンディ 作だなんて言われたものだけど、そういったことは念頭に ンリクではグロウルが全然違うし、エリーセの歌唱法や声 なったでしょ。 するのが好きな人もいれば、家族と一緒に過ごすのが好き 的にでもバンドに招いて、様子を見てみないかと、ボクと はまったく別のパートをやっていた。今もエリーセは前と あった? また、『アマランス』から前作より、前作から 色もこれまでと異なるところがけっこうある。3曲目の ド 実はスウェーデン以外の国で初めてプレイしたのが日本 な人もいる。それはボクたち全員に言えることで、家族と ジェイクで話したんだ。彼はとても音楽の趣味が広い。新 同じやり方を維持しているけど、ジェイクとヘンリクはシ 新作の違いの方が大きいと言ったけど、具体的に今回、ど ロップ・デッド・シニカル がイイ例だけど、新作にはこ だったんだ。2003年当時、ボクはまだ20歳で、すべてに 一緒に過ごすのも好きだけど、別のことも並行してやって 作にとっても、そこがよかった。もちろん彼はグロウラー ンクロでやることが多い。2人の男性シンガーとして一緒に ういう作風にしたいと思ったの? れまでになかったようなタイプの曲もある。この曲はもろ 圧倒された。文化も食べ物もテクノロジーも、すべてが刺 いる。アンディは昨年のUSツアーにもヨーロッパツアーに だけど、グルーヴィでファストなグロウルの仕方も試して やっていて、そこにエリーセが絡んでくる。そういったシ これまで作ってきた作品でいろんなスタイルやサウンドを にロックンロールって感じだし。それに、オロフもソロを 激的だった。そのときすでに日本に対し強烈な印象を抱い も参加しなかったんで、ヘンリクを試してみた。ヘンリク おり、新しいものにしようとしていた。そう、アマランス ンクロが多々見られるのはうれしいよ。ライヴに幅が出る 試してきたけど、今回は多様な作品にするとともに、アマ 弾くときは、前以上にバリッと弾いているし。 ていたんで、それ以降、行くたびに楽しいよ。もちろん、 がバンドにしっくり溶け込む様子を見たアンディは、安心 のコンセプトにピッタリな男なのさ(笑)。 からね。そんなにしょっちゅうやっているわけじゃないけ ランス独特のサウンドを見つけたいという思いがあった。 確かにかなり違う点は多い(笑)。数日前に新作を通しで ファンは世界一だし、ボクたちにとって日本は大事なとこ して辞めていけたんじゃないかな。ボクたちを悪い状況に ̶バンドはチームであり、団体行動が要求されるじゃな ど、とても素敵なアイディアだし、ライヴでも、とてもう それを引き出し、できるだけ前面に押し出し、アマランス 聴いてみたんだけど、ギターソロの数は前作より少ないこ ろなんだ。ちなみに昨日、ヘルシンキのレストランでスゴ 追い込まなくて済んだから。いまだに彼とはイイ友だちだ い。よって、メンバー同士の音楽的趣味が合うだけでは一 まくいっているよ。 をユニークなものにしたかったんだ。それを具体的に説明 とに気がついた。だけど、曲を書いているときはここにソ くおいしい日本食を食べたんだ。で、今は本場の味が楽し よ。イエテボリでアヴェンジド・セヴンフォールドと一緒 緒にやれないし、長続きもしない。その点、ヘンリクとは ̶新作の曲作りをしているときや、新作を制作中に、これ するのは難しいけど、見事に成功したと思う。聴いてみる ロを入れるべきか否かなんてことは考えない。ただ、曲の みってわけさ(笑)。 に演ったとき、ライヴを観にきてくれたし、その後は前の うまくヴァイブが合っているのかな? が新生アマランスの第1弾だという思いや自覚ってあった? と、これまでボクたちがやってきた作品より、アマランス 流れのなかで自然にできていく。今回、ボクのソロはどれ ̶なんでまたフィンランドへ行ったの? ようにみんなで一緒に騒いだよ。家族の一員とも言える人 そこがおもしろいところでさ。特にボクとヘンリクは知り 『アマランス』(2011年)を完成させ、初めて聴いたと らしく聴こえる。それが一番の望みだったんじゃないか もちょっとルーツに戻った感じかな。80年代風になってい 新たな作品契約を交わすために朝に行って、その日のうち がバンドを辞めていくのは怖いけど、それでも交流は続く 合ってからスゴく仲がよくなった。ジェイクとエリーセ き、これこそボクたちが今後も追求していくサウンドだと な。あと、曲作りの面も、プレイの面も、サウンド面で ると思う。イングヴェイ・マルムスティーンやヨーロッパ に戻ってきたんだ。 んだってことを再確認させられた。そしてもちろん、ヘン (・リド/vo)のことは10年も知っているから、もちろん いうことは、すでにわかっていた。だから、その後もそん も、できるだけいけるところまでいくということを念頭に のジョン・ノーラムっぽい音になっているんだ(笑)。モ ̶前作発売後のワールドツアーを振り返り、今、どう総 リクはすばらしい仕事をしてくれているよ。 ボクたちは親友だ。だけど知り合ったばかりの相手は勝手 なに変えようとは思わなかった。とは言え、『アマラン 置いた。ボクにとっては、意欲的なプロジェクトだった ダンでメロディックなメタルのなかに、オールドスクール 括する? ̶女性ヴォーカル+男性クリーンヴォーカル+男性グロ が違い、なにをするのも楽しい。だからボクたちはそっち ス』と前作の違いは、起こるべくして起こったんだ。前作 ね。もちろん、最初の2枚の作品にだって満足しているし、 なタッチのソロを入れられてよかったよ。 とてもハードだったけど、本格的なヘッドライン・ツアー ウラーというトリプルヴォーカル隊を崩すことはせず、ヘ の面でもうまくいっているよ。キミが言うように、そうい と新作の違いはさらに大きなものである必要があった。特 見事な出来栄えだと思う。だから、3枚目で過去を台なしに ̶前作には4分を超える曲が2曲あったけど、それ以外は 08 October - November 2014 October - November 2014 09 text by Hiro Arishima / translation by Mariko Kawahara Cover Artists すべて3分台の曲だったよね。今回は見事に全曲3分台に なアプローチと、ニュースクール、つまりモダンなアプ トに移り、といった感じに組み立てていって大作にしてし なっている。 ローチの融合、共存共栄と言えるよね? まうと、そんなに心に残るものにはならない。単なるいろ ラードだけど、普通こういうタイプの曲って、4〜5分台に そうだね、かなりそうだと言える。少なくともボクは、小 んなメロディの寄せ集めになってしまう。アマランスの曲 なっても不思議じゃない。それでも3分半強で完結させてい さいころからクラシック音楽の教育を受け、バイオリンと を10分にしたら、いろんなヴォーカルメロディが出てき る。3分台にするというこだわりは、相変わらず強いね。 ピアノと作曲をやっていた。だからボクたちの音楽には、 て、心に残らなくなってしまう。だからキミは正しいよ。 そうだね、アマランスはそれでとてもうまくいっている。 明らかにネオクラシカルっぽいパートこそないけど、曲の 正直、ボクはそんなふうに考えたことはなかったけど、確 前作のときは次作では大作指向のもっと長い曲をやろうか アレンジにはクラシック音楽の要素が自然に出てくる。た かにボクたちが曲をあまり引き延ばさない理由は、そこに なとも思ったし、それでうまくいく気もするけど、アマラ とえばコーラスで、ボクはクラシック音楽のクワイアーと あるんだろう。キミが言ったように、核となる要素はメロ ンスの場合、たとえメロウバラードでもエネルギーにあふ まったく同じものを作っている。そしてアマランスのギ ディ、ハーモニー、そしてヴォーカルだよ。もちろん音楽 れている。実はボクにとって一番の挑戦は、あまり多くを ターは、シンフォニーのチェロと同じ役割を果たしてい そのものだって大事だ。だけどうちにはヴォーカリストが3 加えて6〜7分とか、10分の長い曲にしないこと。長い曲 る。ひとつのスタイルに固執するんじゃなく、異なるアイ 人いるし、それぞれがメロディを奏でることは、アマラン を作るのって超簡単だもの。全然、冒険していない。本当 ディアや異なるバックグラウンドをいかにうまく融合させ スのサウンドにとって、とても大事なものなんだ。 の挑戦は、短すぎず、かといって長すぎない曲を作るこ ることができるかをこういったことが表わしているんだ。 ̶新作でファンに伝え、一緒に共有したい音楽的なこ と。どうしたらうまくやれるかっていうアイディアは、ボ ̶こういう聞き方は素人っぽいかもしれないけど、デ と、歌詞的なこととは? クの頭のなかにさらにある。ライヴでは、7〜8分のアマラ ビュー作『アマランス』のときから思っていたんだ。どん ボクたちが伝えようとしているのは、ポジティヴなエネル ンスの曲があってもイイかもしれない。ソロをもうちょっ なにヘヴィにしようが、モダンなテイストをまぶそうが、 ギーなんだ。これは以前のインタヴューでも言ったと思う と入れて、エリーセだけのパートを長くし、グロウルだけ グロウルが出てこようが、メロディも曲も大事で、かつあ けど、とても大事なことなんで、もう一度繰り返すね。絶 のパートを長くしたりしてね。おもしろいことをいろいろ くまでもヴォーカルが主体であるのが、アマランスの音楽 とやれると思う。だけど、作品全体がコンパクトな新作 オーヴァー・アンド・ダン はメロウバ 新ミニ作『 i AGAINST i 』発売! 結成10周年の節目に、 SiMが投 げかけるルーツ感とは? SiM text by Hiro Arishima ̶昨春シングル『EViLS』でのメジャー移籍から今日までの1年半を振り返ってみ てどう? その間に3枚目のフル作『PANDORA』 (2013年)、2作目のDVD『10 YEARS』 (2014年)発売もあったし。 MAH「昨年1月のDEAD POP FESTiVALのときにメジャー移籍を発表し、そのときは 正直実感があまりなくて、作品発売のときの規模感が大きくなる程度で、バンドに大 きな変化はないと思っていたんですけど、今は全然違う。想像以上にバンドで生きて ここ2年ほどの間のSiMの いる感がある。バンドマンとして生きている感がスゴくある。余計なことを考えなく 飛躍には、まさに目を見張 てよくなったし。サポートしてくれる人たちがいっぱい増えたんで、より音楽に集中 るものがある。CDセール スは右肩上がりとなり、ラ イヴの観客動員もウナギ上 りで、チケットが最もとり にくいバンドのひとつと できるようになった。イイ意味でそれぞれ個人がやりたいこと、好きなことをやれる ようになっている。出たかったフェスティバルに出られるようになり、しかも前はサ ブステージだったのが、今年はほとんどメインステージの一番手をやらせてもらえ た。一番手っていうのはお客さんを呼べると主催者側に期待されているってことだと 捉えている。京都大作戦はまた別ですけど。そうした期待を強く感じられ、なんか成 長できているかなあって。階段を上っている感もあるし」 なっている。当然、発言力、 GODRi「とりあえず…」 影響力というものも持つ。 ̶痩せた? そうした渦中にSiMは結成 GODRi「メジャー移籍後なのかな、それまでよりちょっとおいしいものが、それもいっ 望といったネガティヴなことしか語らないバンドが多いよ 10周年を迎え、6曲入り新 ぱい食べられるようになり、食生活が過度になってしまって10キロぐらい太りまし だと。だから3分台の曲でわかりやすく聴かせる、と。ライ ね。バンドのメンバーが憂鬱になっているのを聞いて、逆 ミニ作『i AGAINST i』を た。で、こりゃマズいなと、もとに戻しました(笑)」 に、そうしたものは合わなかった。だけど、次のアルバム ヴではもっと発展させることも可能だと言っていたけど、 に気分がよくなる人だっているのかもしれない。だけど、 発売した。MAH(vo)、 でアーティスティックな面がより進歩すれば、また違った 少なくともスタジオで作品を作るときはそうだよね。 ちょっと落ち込んでいる人がポジティヴさやいいヴァイブ ものになるかもしれないよ。 そうだね、まさにそうだと思う。心に残るキャッチーなメ やエネルギーにあふれたものをメタルシーンで聴くこと ̶キーボード/エレクトロパートはオロフが書いている ロディ、特にヴォーカルメロディを作ろうと思ったら、同 も、とても大事だと思う。つまり、僕たちが伝えたいの SHOW-HATE(g)のメン んだよね。オロフはもともと、ハードロック/ヘヴィメタ じメロディを3〜4回以上繰り返して曲を引き延ばしたらお は、気分がよくなるメタルかな(笑)。 バー全員に聞いた。 ル畑の出じゃない。それでいてキーボード/エレクトロ かしいよ。それに、心に残るもの、キャッチーなものにす パートはとても今風のモダンなものを書いている。そうい るためには、また聴きたいと思わせないといけない。心に う意味で言うと、アマランスの音楽ってオールドスクール 残るメロディだって、1回しかやらないで、すぐに次のパー GODRi(ds)、SIN(b)、 MAH「かつてはカップラーメンだったのが最近では弁当になったりするから (笑)」 GODRi「それはともかく、単純にまわりの、メンバー以外のSiMに関わってくれるス タッフがどんどん増えていっているのが身にしみてありがたいなと。昔は当然メン バーだけでツアーを回っていましたから」 SIN「対バンとかも幅が広がり、前よりスゴく刺激になってる。いろんなライヴも観ら れるし。と同時にちょっと不安というか、この先もこのままいけるのか? みたいな(笑)。 この人たちを越えられるのか? みたいなのもありますし」 SHOW-HATE「 『EViLS』ツアーで全国を回って、今現在のライヴスタイルというか、 SiMのライヴをどうしていくかを確立できた。MC、そして言葉を大事にした。それと 並行して、さらにその先を見なきゃいけないとも思う。成長していくにつれ、見る 10 October - November 2014 October - November 2014 11 ̶それって『PANDORA』を作ったからこそ言えるんだよね? では、 『PANDORA』を 先っていうのがどんどん高いものになっていく。MAHも言っていたけど、フェスでは 早い時間での出番が多い。その後、先輩たちがヤバいライヴを演っているのを観て、 作ってなかったから『i AGAINST i』はもっと違う作風になっていた? 自分たちがもっと上に行くにはどうしたらイイのかを考える時期にもきています。欲 MAH「そうですね」 深いもので、行けば行くほどもっと先を、上を見る。まあ、そういう思いが湧かなく SHOW-HATE「やっぱり作ってきた、過去にやってきたものがあるからこそできるわけ なったら、それこそ終わりなんですけど」 で。絶対そう。蒼かった時代が悪いわけではなく、そのよさもあり、そのときにしか ̶野心や上昇志向がより強くなったと? できないこともある。それがあるからこそ次のものができる。それを追っていくと自 SHOW-HATE「もちろんもっと売れてもっと多くの人たちにSiMを聴いてほしいし、ずっ 分たちがやってきたことが見える曲たちになるのが理想だと思うんです。そういうの と音楽でやっていきたいからこそ、そこを突き詰めないとバンドとして生き残れな が今回、スゴく出ている感じがします」 い。自分が音楽をやっていたっていうのを将来残したいし。28年間生きているけど、 ̶明るいところ、ユルいところ、めちゃくちゃブルータルなところ、ものスゴくグ それが自分のなかでの自然な思いなんで。それで、ボクの存在を証明しているような ルーヴィなところ…ひとつひとつが前よりハッキリしているように思えるんだ。 Fallen Idols はパートによっては、かなりブルータルじゃない。 もんですから」 ̶ 『EViLS』発売時の取材で、 Same Sky は夏フェスとかで演るために書いた、って MAH「そうですね」 言ってたよね。昨年の京都大作戦で聴いたら確かによかったし、ライヴ映えするよね? ̶そうかと思うと GUNSHOTS は全然タイプが違うユルい曲。 IKAROS にい MAH「はい。2010年頃から たっては、昭和を感じるし。 Same Sky を出すまでの間、とにかく賑やかし曲を狙っ ていたんです。どこに行っても、初めて聴いた人でも、まわりに合わせワーワー言え MAH「正解です (笑)」 たら楽しい! SiMって楽しい! みたいな曲を作っていて。ただ、そういうお客さん ̶そういう意味で、これはこれで新しいような気がする。さっき作り方を変えたと たちは流行りのバンドを追っかけると思うから、時代とともに流行るジャンルが変わ 言っていたけど、 『PANDORA』と『i AGAINST i』では真逆じゃない。新しいチャプ ればそっちにいっちゃう。どこかでSiMじゃなきゃいけないヤツ? HEY-SMITHでも ターの始まり? coldrainでもなくSiMだっていうのをなにか作りたくて、そういう意味で狙ったとこ MAH「そうすね、 『SEEDS ろもある。あとは、やっぱりもっとメジャーシーンにいきSiMの曲が放送される機会 がったっていうのがあり、それでSiM=こんなバンドっていうのができ上がり、ボク が増えるだろうなっていうのも想定し、オーバーグラウンドにもこういうスタイルな たちもそれに乗っかったところがある。だけど『LiFE and DEATH』 (2012年)で、 らいけるかもって。で、実際フェスで演り、あの曲が大好きで始まった瞬間号泣す それじゃつまらないと、ダブステップとかを入れ出した。まあそういう、『SEEDS る、そういうお客さんたちも増えてきている。いくらメタルっぽいのが流行っている OF HOPE』で一回でき上がっちゃったSiM像みたいなのを戻さなきゃいけないと思っ とは言え、日本って結局は歌謡曲の国なんで、ロックが根本にある人たちはそんなに た。あれじゃ生き残れないと思ったし、ボクたちのアイデンティティも感じない。だ いないから、ああいうメロディや日本語詞が刺さるんでしょう。なるほどなあ、ふー から正直、『i AGAINST i』を出すっていうのはちょっと不安でもあるんです。これが んっとも思う。意外なところで海外のファンにも Same Sky は人気なんです。こ 果たして今のみんなにウケるかっていう。そういうのはあるけど、この結成10周年っ れは意外だったけど、だいたい想定した反応でしたね(笑)」 ていうタイミングもちょうどよくて。 『SEEDS OF HOPE』からのラウドなSiMって SHOW-HATE「日本語詞っていうのもあり、自分は日本人だし、スゴく入りやすい曲っ いうのが1回ボクたちのなかでは一段落し、しかも10周年ってこともあり原点回帰も ていうか。歌詞を読み、アレンジ自体もその歌詞に合わせ色づけしたから、ライヴで しやすかった。で、この『i AGAINST i』をとりあえずポンっと放り投げてみようと。 演るとフレーズに気持ちがこもり、いつも心がウルウルする(笑)。だけど、けっこう 曲も6曲だからといって、まとまった感じではなく、6つの方向に散らばっている。も 前向きなことを歌っているんですよ」 う今回はなんでもイイかな、ぐらいのノリで作った。狙ったのは、タイトルもそうです ̶歌詞はポジティヴだよね。 けど、ルーツ感です。ボクたちがどんな音楽を聴いてきたのかとか、そういうことです MAH「そうですね」 OF HOPE』 (2011年)の KiLLiNG ME で知名度が上 オがおもしろいとか。あとはライヴを観ればわかってもらえると思うんで。だからそ ね。最近のラウドロックバンドのなかで、異色な感じを改めて出していきたい」 となるん に。映画の予告編みたいな。で、本編を観たら全然違うじゃんってこともあるし、ああ、 ういう意味ではわりと実験的ですよ、今回は」 ̶『i AGAINST i』を出し、再びツアーにも出るね。今回成しとげたい目標や抱負は? だけど、笑って終われる。あの曲を演るようになってから考え方がポジティヴになっ このシーンを観たかったんだ、みたいなところもある。 Blah Blah Blah と Same ̶洗練されたエッセンスも加えて、っていうのが『i AGAINST i』の第一印象だっ MAH「フェスのメインステージのイイ時間にやらせてもらうこと。夕方以降に(笑) 。 『EViLS』って3曲入りで、それが3つの点としてつながり、『PANDORA』の序章 SHOW-HATE「自分が前に経験した出来事と照らし合わせてみると、ウッ! たこともあり、心から笑って演れるようになった。最初は入り込みすぎて暗くなりが Sky は対極な感じの、だけどどっちもSiMみたいなところを見せて。 f.a.i.t.h は たの。そして、わかりやすく聴かせる。1曲のなかでその表情がガラッと変わったり 自分たちでも大きなフェスもやりたいし。あと、前から言っていますけどMステや紅 ちだったけど、演るにつれ曲も自分も成長していって。思い出深い曲になっています」 ずっとライヴで演っていたんで、別として。で、 『PANDORA』でそれをもうちょっ もするけど、起承転結がハッキリしているし。 白みたいなものに出られるようになるとか」 GODRi「単純に、夏フェスとかでバーっと曲を演っていると ああ疲れた ってなるけ と広げていきつつ、どうしてこことここがつながるのかっていうのを10曲以上にわ MAH「実は作り方もちょっと変えていて。 『PANDORA』のときは元ネタがあり、あ GODRi「大雑把に言うと、止まっていられないんでやれるだけ、10年後も20年後もバン ど、あの曲を挟んで演ることで 超気持ちよかった〜 になる、みたいな(笑)。また たってちょっとずつ間を埋めていき、なるほどこうやってつながっていくから、両方 とはみんなでセッションみたいな、一からセッションで作った曲もけっこう多かった ドをやっていたい。今年、SiMは結成10周年ですけど、ボクはまだ5年目。越えられな 新しい達成感みたいなものが生まれ、スゴい発見になったというか」 SiMなんだね、みたいな。そういうものにしようっていう、その流れは前もってあり んですけど、今回は全曲ガッチリしたデモがあり、それをみんなで形にして。つまり いけどそれを越えられるぐらいの経験を、SiMでしていきたいなって思っています」 MAH「なんか音楽を演ってる感があるよね」 ました」 完全に戻したんですよ」 SIN「徐々に有名になりCDセールスも上がってきているというのはあるんですけど、 GODRi「そうそう」 ̶ 『EViLS』から『PANDORA』へと明確な流れを作ったわけだけど、そこから今 ̶昔に? だけどまだ全然満足してない。もっともっと売れたいし」 SIN「勢いだけじゃなくてね」 回の『i AGAINST i』へはどういう方向で? MAH「はい。 『PANDORA』はそのセッション感がイイ面もあったものの、ボク的に SHOW-HATE「冗談に聞こえるかもしれないですけど、世界中の人に知ってもらいたい MAH「スポーツ大会みたいな(笑)」 MAH「その流れからすると、今回はそういうフォーマットじゃない。わりと好き放題 はちょっと詰めが甘かったなって思うところが多くて。だから一から組み立て、それ し、とりあえず日本人全員に知ってもらいたいっていう、そんな気持ちでやっていま SIN「ずっと激しく動き回っていて、あの曲でやっと音楽家として見せられるっていう にやっている。音楽的にもそう。一回フラットな状態に戻してやる、っていうか。 をみんなで形にしていく方がもっとカッチリしたものになるだろうっていうのがあっ す。SiMっていう音楽が当たり前のように横にあるような。それぐらい大きくなりた 『PANDORA』でオーバーグラウンドの人たちにも聴けるレゲエロックをある程度 たんですね。そういうところがその洗練されているっていう印象に出ているのかな。 いなっていう、アバウトな目標ですけど」 (笑)」 ̶ 『PANDORA』はそれまでSiMがやってきたことの集大成+α的な作風だと思った やったかなというやり尽くした感があった。今回は昔やっていたようなスカ、レゲエ のね。けっこう枠を広げているし。それに対し、ファンから否定的な意見もあったよ 感を引き戻しつつ、今まで耕してきた畑に、それが実るかどうかっていうのをちょっ SHOW-HATE 「うん、それはけっこうある。ダブステップパートとかも、とりあえず ね。ファンは自分の好きなそれまでの姿であり続けてほしいと思うところがあるか と実験しようかなみたいな、そういう作り方をしている。 『PANDORA』のストー 『PANDORA』で初めてやったから、どうしてイイかわからないところもあったけど、 ら、それまでにない新しいことに敏感でしょう。だけどバンドは常々新しいところを リー性もそうなんですけど、曲だけだとちょっと難しかったり、普段聴き慣れないリ だけどこの音はカッコいいし入れたいということで、入れた。だけどそれで自分なりに 見ていて、そこに挑戦したがる。この差は難しいところだけど、今考えてみると ズムが入っていたりする部分を、映像だったりボクが作るストーリーで間口を広げて 勉強するじゃないですか。それが今回生かせたから、洗練されているっていうのも、や いたんですね。今回もわりとそうなっていて、スカとかレゲエが入ってくるけどビデ りたいことがハッキリしているからっていうのもあるんでしょう。音の部分でも」 『PANDORA』での作風の違いって、 『EViLS』のころから意図していたでしょ? あとは単純に新しい機材に慣れてきたっていうのが、楽器隊にはあると思うし」 MAH「音楽的なところは想定していました。スゴく抽象的なイメージなんですけど、 12 October - November 2014 October - November 2014 13 GERARD WAY マイ・ケミカル・ロマンス解散から1年半、 ジェラルド・ウェイが ついにソロデビュー! text by Hiro Arishima translation by Sachiko Yasue 返ったら、恥を感じたかもしれない。もう特別ではなくなってしまっていただろう。 を読んだとき、正直その理由がよくわからなかったんだ。もちろんかなり驚いたし、 そうなったら、その状態を飲み込むのが本当にツラいことになっていたよ。あのあと ショックも受けたよ。その後、ジェラルドやほかのメンバーたちの発言を目にしたと も作品を出し、ツアーもやり続けて…となったら、今みたいにイイ気分にはなれな き、メンバーみんながMCRにやり終えた感を強く抱いているなと思ったんだけど、 かっただろうね。 実際そうだったの? ̶潮時だったんだね。 ボク個人のことしか言えないけど、それが自分の感じたことだった。スゴくやり終え うん。自分にとって正しい時期に止めることができたよ。 た感があった。というか、だいぶ前からその感触はあった。自分にはミッションのよ ̶実は、ソロデビュー作を聴く前に、アーティスト写真1点とソロデビュー作の うなものがあり、それを遂行できた。それはそうせざるを得ないものに感じられた ジャケットを見たの。それからはデイヴィッド・ボウイの『英雄夢物語』 (77年)を し、大切なものだとも感じていた。だけど目指していた境地を超えたことで、ボクは 想起し、もしかしたらソロデビュー作の作風はアメリカ風ではなく、イギリス風なの 幸せでなくなってしまったんだ。だから、そうだね、キミは正しいよ。ボクはMCR かなと思ったんだ。今回、ボウイを少しでも意識した? をやり終えたんだ。 もちろんさ! ボウイがベルリンで暮らして作品を出していた時期があったじゃな ̶そういう思いを、具体的にいつごろから抱き始めたの? い? あの時期を意識したよ。あのころはイギー・ポップもブライアン・イーノもベ 『ザ・ブラック・パレード』 (2006年)のツアーの最後の方では、もうそう思って ルリンで作品を作っていた。だからボウイの『ステイション・トゥ・ステイション』 いたような気がする。当時はその後の計画はなにもなかったし、達成したいと思って (76年)、『ロウ』(77年)、さらにはイーノの『ヒア・カム・ザ・ウォーム・ いたことをすべて達成できていたから。だけどほかになにをやればイイかわからな ジェッツ』 (73年)、イギーの『イディオット』 (77年)あたりをイメージしてい かったし、このまま続けるべきなのか悩んだ。20代と30代の多くをMCRで過ごした る。というか、振り返ってみたらそんな感じだったんだ。 し、すっかり大人になり、違和感が生じ始めていた。どうすればイイかわからなかっ ̶そのあと、ソロデビュー作を聴いたら予想していたよりUK系に傾いた作風、音 たからMCRを続けたけど、やっぱりしっくりこなかった。最初は続けても大丈夫だ 楽だったよ。ジェラルドが歌っているわけだからそこここでMCRを思い起こさせる ろうって思っていたんだけどね…。 けど、描いている世界観は前とは全然違うね。なぜ、今UKモードなの? ̶身体が大きくなったのにまだ小さなTシャツを着ているような感覚だったとか? そうすることが正しい気がしたんだ。こういうものを作りたいんだって思ってさ。今 うーん…というか自分を見失ったような、目標がなくなってしまったような感じがし 回はけっこう試行錯誤した。自分の声を違う風に聴こえさせるというより、自分の声 たんだ。もうなにをやったらイイのかわからなくなっていたよ。やりたいことは全部 の録音の仕方を変えたかった。自分の声に今までとは違うアプローチをとった。ト やってしまったし、その境地すらはるかに超えてしまっていたから。だけどMCRに ラックやハーモニーを重ねるんじゃなく。ここ7、8年、自分の声にやってきたことを 留まるのが一番ラクだったから、そうしていた。 今回はやらなかった。もちろんその時々で、MCRを思わせる部分もあるとは思うけ ̶そう思いつつも『デンジャー・デイズ』 (原題 DANGER DAYS : THE TRUE ど、自分の声をいろんな方向に押し出すために、さまざまな実験をやってみたんだ。 LIVES OF THE FABULOUS KILLJOYS/2010年)を出し、さらにはそれに続く5枚 ̶それが、描く世界観の違いに明確に現れているんだろうね。 目の制作にも着手していたんだよね? そうだね。実際、自分の世界観は変わった。昔ほど闘ってないし、現状の多くや自分 うん。作曲やプリプロダクションが終わり、トラッキングを始めようかという段階ま の役割を受け容れている。今のボクには愛する家族がいて、アートを作るためにここ できていた。だけど、どうもしっくりこなかったんだ。 にいる。それに気づいてからは、人生がすこぶるシンプルになったんだよね。 ̶レディング&リーズ・フェスティバル出演時のセットリストを見たとき、ジェラ もちろんさ! バンドをほっぽり出したと取った人もいたけど、ボクはこんな状態で ルドのこの新たなソロアーティストとしての取り組みに対する強い気概と、潔さを感 なんの前兆もなく突然、全 MCRを続けることこそがファンのためにならないと思ったんだ。偽物をファンに捧 じたよ。MCRの曲は1曲も演らず全曲ソロデビュー作の曲で固めている。MCRはも 世界を一瞬にして駆け巡っ げるわけにはいかないから。それはファンを欺くことになる。 う過去なのかな? ̶5枚目の制作を途中で止めたのは、ファンに対しても自分自身に対しても正直で それとはちょっと違って、MCRを過去のものにするのではなく、なじみのあるもの いたかったからだね。 に頼らないぞという意思表示だったんだ。昔の曲で、観客を盛り上げたくなかった。 スの解散宣言。正直、受け 入れるまでに時間がかかっ たけど、ベスト盤『メイ・ そう。 そういうことに興味がなかったんだ。再出発ということだけに興味があった。もし ̶ソロデビュー作『ヘジタント・エイリアン』があと1ヵ月で発売になるけど(取 ̶解散声明が出る前後からソロ曲 Millions Zero Zero のデモ音源を公開して MCRの曲をなにか演っていたら、そっちに観客の興味が集中したと思うし、ネガ 材実施日は8月29日)、今の率直な心境は? マイ・ケミカル・ロマンス(MCR)で いたから、けっこう前から気持ちもヴァイブもソロアーティストの方向に向かってい ティヴな注目を集めてしまったんじゃないかな。新しいものを聴きにきた人たちは、 デス・ネヴァー・ストッ 新作を出したときとは、やっぱり違う感覚があるんじゃない? たんだろうね。 ボクが過去のものに依存しているってガッカリしただろう。 プ・ユー〜ザ・グレイテス うーん、まぁでも、けっこう似ている面もあるよ。明らかな違いもあるけど、曲を世 たぶん自分では気づかないうちにね。新曲を作ったのはそれが自分の生業だから。そ ̶では、ソロ曲で固めて正解だったね。 ト・ヒッツ2001-2013 界に送り出すときのワクワク感は同じ。今回の方が少しその度合いが強いかもしれな の曲をどうしようというのは当時あまり考えていなかった。MCRっぽくはなかった うん。パラシュートなしで飛び降りる必要があったんだ(笑)。「誰も新曲を理解し 〜』の発売で音楽的総括を いけど。というか、レベルが違うような気がする。なにしろ、クレイジーな日々だっ けど、必ずしもソロ向けというわけでもなかった。ただ、音楽っぽかった、というだ てくれてなさそうだから、MCRの曲でもやるか」なんて可能性は一切なかったんだ 終えたあと、ジェラルド・ たから。とにかく、このアルバムは作るのが大変だった。前はミサイルの上に乗って け。よかったのは、また曲を作るようになれたということ。一時期、曲作りをやめて よね。リハーサルですら、MCRの曲は一切演らなかったんだ。 ウェイ(vo)は噂どおり、 いるような…、いやミサイルというのとはちょっと違うな。なにか隠し持っていた秘 いたから。自分としては、また曲作りができてうれしいみたいな気持ちしかなかっ ̶ソロデビュー作でファンに伝え、一緒に共有したい歌詞的なこと、音楽的なこと 『ヘジタント・エイリア 密をドカーンと人前に出すような感覚だったけど、今回は…どうだろう、秘密という た。MCRは消えつつあったけど、自分はただ曲を書いていた。当然、なんらかの形 とは? より、水面下にあったものを表にさらけ出すような感じかな。 で世に出したいとは思っていたけど、どんな形にするかは考えてなかったんだ。 ボクのアートをシェアしてほしいな。自分に言い聞かせていることをやっているだけ ̶先日、イギリスのレディング&リーズ・フェスティバルでソロアーティストとし ̶で、最終的にソロという形になったと。一番いい解決法だったんじゃない? だから。今回、それを形にしたんだ。 てのライヴデビューを飾ったね。 別のバンドを始めるという手もあったし、実際、最初はそれも考えたけど、なんか違 ̶10月からいよいよソロツアーが始まるね。 実はその前に2回、ライヴを演ったんだ。1回目はロサンゼルスのレコード会社の中 うなって。で、自分が責任を持ち、自分の名前でやってみようと思ったんだよね。 本当に楽しみだよ。もちろん、まだ大変な作業が目の前にあるけど、一番大変なデ 庭だったけど、2回目はちゃんとしたライヴをイギリス、ポーツマスのウェッジウッ ̶MCRとしての最終作となるベスト盤には、メンバー全員が選曲などに深く関っ ビューライヴが終わったから、これからはもっと楽しめるんじゃないかな。実験的な ドルームズでやった。 たと思うけど、今、あの作品をどう捉えている? こともできるだろうし、MCR時代の曲もやる気になるかもね。今ならそうしても理 ̶MCRとソロのライヴでは違った? MCRとはなんだったんだろう? ソロだってことはあまり意識してなかったね。とてもリラックスしていたし、なじみのあ MCRの曲をじっくり聴いたのはひさしぶりだった。で、 おぉ、スゴくイイじゃない るものだった。自分はいるべき場所でやるべきことをやっているんだなって実感できた。 か! って思った。今にしてみれば、自分の人生のなかで本当にすばらしいチャプ ン』でソロデビューした。 マイケミ解散からソロ活動 転身のすべてを、ジェラル ドが激白する! October - November 2014 ターだった気がする。あの状態で終わりにできてよかった。あのまま続けてから振り ̶解散は、長いあいだ、悩みに悩んだ末の結論だったんだよね? たマイ・ケミカル・ロマン 14 ̶ジェラルドがソロアーティストとして第一歩を踏み出し、前へと進もうとしてい るのはわかっているし、それが一番大切なのも認識しているけど、MCRの解散声明 そして、ジェラルドにとって にかなっているような気がするんだ。最高の自分を見せるよ! October - November 2014 15 感じますね︒田丸もサポートのと レコーディングでも︑ひしひしと ディアがあり︑森川ならできると 〝 Sailing 〟のように︑以前からアイ ︶と い っ し ょ に ス テ ー ジ に きと同じではダメだと試行錯誤し 雄/ 立った︒それで昔とはまったく違う 今また︑最高値を更新したバ ̶ リーダー︑柴田直人︵b︶の 感覚を味わって︑こいつともまだ終 ンドの姿が詰まった作品ですよね︒ 思って曲にしたものもあります︒ バーチェンジを経て2年ぶり 胃がん治療︑そしてメン て︑プレイヤーとして成長した︒ の 新 作﹃ スをお願いしようとしたんですけ ﹄を担当したロイZにミック OATH BURNING ます︒このメンバーだと︑僕は完 ど︑彼の健康上の問題もあって︑ 実 は 今 回 ︑ 前 作﹃ 磋琢磨してきたものの︑彼もまた 全にミュージシャンでいられる︒ ︵ 昭 男 /g ︶も 覚 醒 し た 部 分 が あ り よる安定感と円熟味に裏打 とは別の道を考えていた ANTHEM たとえばライヴのときに︑常にバ /前 ︶とは︑ずっといっしょに切 ちされつつ︑フルスロット タイミングだった︒それもあって︑ のになりましたけど︑今度はこの ね︒現状の ANTHEM を象徴するも 実現しなかった︒それで前々作 僕の中で森川がヴォーカルで︑田丸 柴田さんの中の確信が︑音に ̶ 新作に入っている曲をライヴで聴 ンドの状態を意識して︑見せ方を うな︑力強く熱いメタルア そのまま出ているんでしょうね︒ いたとき︑音源の百倍いいと思っ くれた日本のチームとやったんで 新作はさらに力強く︑熱いサウン てもらえるようにしたい︒そうい ﹃ HERALDIC DEVICE ﹄を手がけて ドになっていると思います︒ うアルバムだと思うんです︒新作 考えるようなことがまったくなく レコーディングは本当に大変で︑ が出て︑それがライヴに繋がって て︑ライヴに没頭できる︒お客さ たことが︑前に進むための原動力 精神的にも肉体的にも疲弊するん いくのは︑理想的ですね︒ライヴ ︵勇︶がドラムという編成を らった︒ になったんですね︒ ですけど︑このメンバーでできる をやったら︑また次の作品にも反 ルバムだ︒柴田に語っても なにかを作りたい︑こいつと音を のがうれしいんです︒いいパ 映されるだろうし︒そうやってい す︒とはいえ︑今の僕たちの持つ 出したい︑と最初に火がついた衝 フォーマンスで︑お互いにケツを けば︑ずっと燃え続けられるよう の理想形として︑やりた ANTHEM 動以上に熱いものはないんですよ 蹴りあっている感じですね︒ちく な気がするんです︒ 強い部分とか︑パンチ力のような ね︒周囲の人たちも︑みんなで協 しょうと思っても︑そこにはすご んからも好評で︑いい相乗効果が生 力して ANTHEM を支えてくれてい く笑顔がある︒このアルバムは︑ た人間としては︑ここで動かない る︒それなら︑僕はやりたいこと 僕が森川とまだやれることがある 森川は︑今また ANTHEM に加入す あったのでは? たことで︑またバランスに変化が た田丸さんが正式メンバーになっ し︑ずっとサポートメンバーだっ ヴォーカルが森川さんに交代 ̶ ピックアップすることが多かった 森川がかっこよく歌うところを うキャッチボールがあった︒まず それならこうしたらどうか 歌い方をして︑それに対して僕が が持ってきた曲を想定とは違った ても︑僕の心を燃やすんです︒僕 病気によって過去を振り返っ ̶ のはおかしいだろうと︒ を徹底的にやらないと失礼な気も と思った︑ほんの一部なんです︒ るというのは︑相当の覚悟だった ですね︒ 〝 Love Of Hell 〟 〝 Pain 〟 とい … と思います︒その気概はライヴでも 月 れたバンドだから︒ お客さんには︑昔 ̶ 撃してくれ! 日︑ 日の かつ を持って︑楽しんでいる SikTh を目 てないほどにハングリーで︑情熱 のを楽しみにしているよ! くれた人たちも︑みんなに会える ンも︑新しく SikTh に興味を持って 以前から応援してくれているファ メッセージをお願いします︒ もいると思います︒彼らに一言︑ 今回が SikTh 初体験だという若い人 しみにしているファンもいれば︑ ことがあり︑久しぶりのライヴを楽 を観た SikTh んだけど︑みんな勇人が選んでく も楽しみだよ︒ Cyclamen はもちろ よ︒共演するバンドたちを観るの は失われていないと自負している ど︑今もサウンドのフレッシュさ されてから時間が経っているけ は初めてだよね︒作品がリリース ド・デイ﹄の曲をライヴで聴くの なは︑﹃デス・オブ・ア・デッ てプレイするだけさ︒日本のみん とにかく︑ありったけの力を込め そうですか? で行われます︒どんなライヴになり 2日間にわたって︑渋谷の Cyclone 日本公演は ̶ えているくらいさ︒ 来的には日本への移住を真剣に考 盛り上がっているみたいだし︒将 ンダーグラウンドの音楽シーンも 歩くのも好きなんだ︒それに︑ア 着くんだよね︒公園をなんとなく ときから︑自分の家のように落ち で︑女性も美しい︒初めて行った 日本は安全で︑清潔で︑完璧主義 して︒自分の中でアップデートさ くなってしまったんです︒いろん はダウンロード・フェスティバル れたものを︑作品とライヴで提示 ものがよく出ていると思います 出演前に︑俺が体調を崩してし 彼には歌唱力だけで測りきれない まれています︒こういうときのバ る勇人が︑立ち上がってくれたん まってさ︒全員でのリハーサルが ものがある︒どんな歌い方であっ ンドが︑悪いはずがないですよ︒ いよいよ間近に迫った︑ だ︒彼自身も︑小さなライヴハウ で︑以前の活動時期には正当な評 その通りだね︒ SikTh は︑先を行き し続けるのが︑僕の音楽人生だと な意見もありましたけど︑紆余曲 から復帰し Ozzfest Japan 2013 去年︑胃がんの治療を終え︑ ̶ コーディングにおいて︑すぐに感 ましたが︑その後のライヴやレ やはり大きな病気をしたあとだ 覚は取り戻せましたか? と︑果たしてできるのかという不 い具合にステップを踏めるように 安はありましたね︒ただ幸い︑い にいろいろとフォローもしてもら 組んでもらえたし︑たくさんの人 えたので︑体力も感覚も︑極端に 支障なくできたと思います︒ 復帰後︑柴田さんのなかで︑な ̶ 僕は若いころから︑やりたいこと にか変化したことはありますか? から大病をしても︑自分の価値観 しかやらない人間なんですね︒だ が変わることはないと思っていま 考えるわけですよ︒今後やりたい したけど︑やっぱり人生について 指すのかを突き詰めて考えたんで ことはなんなのか︑誰となにを目 す︒その間に︑いろいろなイベン トで昔の ANTHEM のメンバーとラ ︵ シ ク ス ︶の 来 日 公 SikTh 価を受けていなかったように思い 過ぎていた︒新しいバンドたちか ︶︑そして彼の運営 SikTh イヴをやることになって︑森川︵之 演︒現在のプログレッシヴ スで SikTh を観るのが夢だったそう あまりできなかったんだけど︑メ ンバーそれぞれがしっかりと事前 だしね︒ ティックな音楽シーンに多 /エクストリーム/カオ そもそも︑再結成の理由は? ̶ 準備をしていたから︑ライヴはう いる人からも︑以前よりもいいラ まくいった︒昔の俺たちを知って に飢えていたはず SikTh 俺はずっと︑すぐにでも SikTh をや バーも︑ イヴだったと言ってもらえたし キャラクターは全然違うけど︑以 ます︒しかしここ数年のあいだ 観客がみんな︑エネルギーに満ち ら︑ SikTh に影響を受けたと言って の今西勇人︵ 12 りたいと思っていた︒ほかのメン く今年の目玉のひとつだ︒ さ︒でも今が再結成のタイミング ね︒ 前よりも結束は強くなったね︒み に︑新しい世代のプログレッシ ていて︑素晴らしかったよ︒これ もらえるのはうれしいよ︒昔か 思っていないんだけどね︒ そういえばマイキーは︑個人 ̶ 11 見逃す手はない︒間違いな メンバーのなかでも特に親 だったんだ︒実際︑やってよかっ んなの気持ちが同じ方向を向いて までやってきたライヴでも最高の ら︑ ン︵・ヒル/ ︶は︑ まさにそう︒俺は個人で何度も練 10 大な影響を与えた彼らを︑ 日家であるマイキー・グッ たと思う︒メンバーそれぞれの いるし︑バンドとして本来あるべ ヴ・メタルが台頭し︑そのほとん の音楽は今聴いても斬新 ̶SikTh ︶が︑日本への思 き姿になったと思う︒ 経 験 だ っ た ︒ 感 極 ま っ て ︑ 2曲 目 ミュージシャンというか︑バンド とても感慨深いよ︒また日本でプ で泣きそうになったくらいさ 仲間からの評価がとても高かった どが SikTh からの影響を公言してい ︵笑︶︒みんなが俺たちに合わせて んだ︒自分たちとしては︑大衆か 再 結 成 後 の 初 ラ イ ヴ は ︑ 6月 ̶ 飛び跳ねたり︑大声で歌ってくれ ます︒﹁やっと時代が追いついた﹂ 行くのを楽しみにしているんだ︒ るなんて︑想像もしていなかった︒ ら理解されにくいバンドだとは という実感はありますか? すね︒どんな経緯で決まったんで する Realising Media による企画で の曲はテクニカルで︑構 ̶SikTh のダウンロード・フェスティバル ダン︵・ウェラー/g ︶とジャスティ しょうか? の Cyclamen 成も複雑ですよね︒マイキーの歌 的に旅行で何回も日本を訪れてい でしたね︒ 作品をプロデュースしたことがあ い方も特殊ですし︒再結成にあ ますよね︒ から︒ほかのメンバーも︑日本に るし︑俺も彼らの曲にゲスト たって︑相当リハーサルを重ねた 今回の日本公演は︑ Cyclamen ̶ ヴォーカルとして参加したことが のではないですか? 習をやってから︑ジャスティンと はミュージシャンズ・ SikTh に始めた新しいプロジェクトで︑ たちはみんな︑勇人とは友だちな 勇人といっしょに曲を書いた︒俺 合流してリハーサルスタジオに をして︑バンド全体で集まって音 入った︒そこで納得するまで準備 を出したんだ︒正直︑全員が以前 界中からライヴのオファーがあっ たけど︑どういうわけか日本から よりもうまくなったと思う︵笑︶︒実 んだ︒ SikTh が再結成してから︑世 がどれだけ日本が好きかを知ってい はなにもなかった︒そこで俺たち 思います︒ 折の中でいろんなことを考えてき ルのエンジンが火を吹くよ ﹄︒長いキャリアに WORLD ABSOLUTE そういう彼らによって︑僕や清水 vo vo わっていなかったんだな と …いう思 text by Yusuke Mochizuki いが大きくなって︒逆に坂本︵英三 新体制となったANTHEMが、渾身のヘヴィメタルで再び燃え上がる!! にリリースされる ANTHEM ANTHEM レイしたいと︑ずっと思っていた もうすぐですね︒ ̶ 年ぶりとなる日本公演が︑ 語った︒ いとライヴへの意気込みを ドマン︵ vo あ る ︒ ほ か に も ︑ 俺 が 2 0 1 2年 vo vo 17 October - November 2014 October - November 2014 16 10年のときを越え、 SikThが再び日本に来襲! 来日目前インタヴューが実現! text by Yusuke Mochizuki translation by Miwa Matsumoto 10 ANGRY FROG REBIRTH が︑初の映像作品﹃ BRAVE NEW WORLD Tour 2014 -9 Cities- TOUR FINAL Live at SHIBUYA CLUB ﹄をリリース︒ QUATTRO いを続ける中︑彼は音楽以外のこと に興味があるみたいだったし﹂ そうだったんですか︒これまで ̶ の活動に対する思いは︑今作にも収 録された〝 EMILY 〟前の熱っぽく続 池田﹁ライヴのテンポが悪くなると くMCにも表れていますよね︒ か︑伝えたいことは曲で伝えろよと D V Dタ イ ト ル に も あ る ツ アーより最終日の模様を︑多 ︵笑︶︒僕自身は気取ってステージに いった意見もあるんですけどね えの速い編集で収録︒濃密な 角的なカメラワークと切り替 立っているわけじゃないし︑ついつ 面と言えば? ちなみに︑DVDのオススメ場 ̶ なっちゃうんです﹂ い目の前の人に言葉でも伝えたく ︶︑ に︒新たなツアー直前の池田 /g ︶︑U︵ ライヴを生々しく伝える作品 直 樹︵ ︵b︶に話を聞いた︒ roku みんなでシンガロングするところで ﹁〝 2step syndrome 〟のサビ前︑ すね︒フロアに肩車がどんどん増え roku 池田﹁このツアーで︵オリジナルギ ていって︑何度観ても鳥肌が立ちま まずは6︑7月のツアーの感想を︒ ̶ ︑サポートドラ Maru タリストの ことに︒そういった意味では︑1本 上げてきたものをいったん清算する るし︑映像も生々しい︒ 〝 SUMMER 通してもお客さんがたくさん映ってい として憧れていたんですよ︒DVDを した︒ああいう景色ってプレイヤー マーの Jimmy との︶今までの体制が 1本 が 思 い 出 に 残 る ラ イ ヴ だ っ た 〟の相撲︵AFR版ウォール・オ DAY 最後になり︑ ANGRY がずっと作り し︑普通のツアーともまた違った特 ブ・デスのごっちゃん DEATH のこ 無謀にも気合いの入ったオー ̶ 別なものになった気がします︒それ ディエンスの間にカメラが入ってい と︶もすごいと思います﹂ ルバムを引っさげてこの4年間のす きますからね︵笑︶︒ こそ結成からの集大成とも言えるア きたんじゃないかと︒僕らの原点は︑ べてを出し切り︑終わらせることがで れなければ︑ 〝 Tonight 〟もいちばん ﹁みんなのタフさにカメラが壊 おいしいところ︵フロアに大中小と roku もない中でライヴをやっていた最初 三層のモッシュの輪ができた︑山手 渋谷 CYCLONE でまだCDリリース の1年間︒そして今までに培ってき 線モッシュ︶が撮れていたはず︒そ ていて︑中には自分みたいに歌がう Maru れにお客さんの歌声もけっこう入っ が今回のクアトロだったと思います﹂ 日︑公式ウェブで たもので︑大きな会場に挑戦したの 8月 ̶ さん脱退の発表があったときには︑ すけど︑メンバー全員が︑いろい まくないコがいたり︵笑︶︒ラ イ ヴ ろなことに対応できるようになっ で音痴なヤツが歌うのってけっこ レーズの関係性を意識したかな︒ たのではないですか? 突然のことに驚きました︒ もちろん最終的にライヴでやるこ う勇気がいるけど︑無我夢中になっ あったそうですが ︒ … とも想定しているし︒だから頭に の脱退は以 池田﹁実を言うと︑ Maru 白水﹁ちょっと燃え尽き症候群みた 前から決まっていたんです︒話し合 もともとすごかったが︑こ いだった︵笑︶︒ニューヨークは音 ストゥルメンタル・バンド とは全然反応が違ったから︒それ 楽をやるには最高だったし︑日本 て︑なんの悔いもないね﹂ の音が全部入ってい ある KAGERO にいてもできるというか︒ が出てきても︑どんな人が目の前 力 の すべてを猛烈にビルド ﹄で︑持てる ﹃ KAGERO IV が4作目 KAGERO 仕方を変えて︑日本に対応したラ 表現や最後のブラッシュアップの から︑いろんなやり方を試して︑ すよね︒特にポップな面が︑今ま 素を全方向に振り切らせた作風で 新作はバンドが持っている要 ̶ ろいろあって︑目線が変わったの こうはならなかっただろうね︒い 白水﹁アメリカに行かなかったら︑ 思ったけど︑今回は余裕で越えら これを越えるのは難しいだろうと れたもん︒CDはアートワーク かな︒ ﹃ KAGERO﹄ IIIを作ったとき︑ 白水﹁曲ごとのテーマというか︑カ でとは違った形でフィーチャーさ ラーのイメージができているか れていて︒ してきたんだと思う︒今年になっ イヴを模索したかな︒それが去年 てライヴが変わったと言われるの 末から今年頭くらいに︑フィット 原朋学︵ ︶に話を聞いた︒ 白水悠︵b︶と︑ハギこと萩 と︑なんだかすごい状態だ︒ text by Tsunetoshi Kodama アップ︒かつライヴも絶好調 の 合わせたハードコア・イン どんな曲 た︒ジャズとパンクを掛け 結成からの4年間を総括するライヴDVDをリリースするとともに、新ツアーでさらなる世界へ! こでまさかの大化けに驚い ANGRY FROG REBIRTH 白 水﹁ ア ル バ ム は 2 年 半 ぶ り だ け リジナル作ですね︒ んですよ︒加入したてのころは︑ も︑成長して自信がついたと思う で︑自分たちは意識していなくて ハギ﹁ひたすらライヴをやったこと は︑そういうことなのかな﹂ は︑最初のメンバーの反応はすご ら︒たとえば〝 Cry Baby 〟なんか と︑曲として一貫性が出てくるか ようになったのかな︒それがある ら︑振り切ったアレンジができる 報われたように思うし︑これでま を正式に作ることで︑自分自身が ションを越えたものだから︑それ ングだったり︑自分のディレク だったり︑ミックスとかマスタリ 新作はハギさん加入後︑初オ ̶ ど︑実感は全然ない︵笑︶︒オリジ ハギ﹁1枚出したら︑出し続けたい 白水﹁でもCDは持っているけどラ よね﹂ たなにか起こればうれしいね﹂ ハギ﹁でも︑僕たちメンバーも白水 イヴに来ない人が何倍もいる︒ C かった︒〝それ︑やっちゃう?〟み に寄っているし︑白水からも僕たち たいな︵笑︶﹂ なれなかったと思うんです︒でも に歩み寄ってきてくれているのは︑ Dで 好 き に な っ た な ら ︑ そ れ で 満 こんなにほかのバンドに声をかけ 今は〝こういうバンドをやってい 足しないでライヴにも来てほし られなかったと思うし︑親密にも てすぐさま再録ベスト盤の るので︑聴いてみてください〟と 作っているときに感じましたね︒以 く ら い ︒ 2 0 1 2年 に ハ ギ が 入 っ ﹃ KAGERO ZERO ﹄を出して︑す 前よりも白水のやりたいことが見え ナルは出してなかったんだなって ぐに〝 Little Garden 〟とかを作っ 言えるようになった﹂ たから﹂ それも︑アルバムを作ったか ̶ い︒観ないともったいないなと思 ハギさんのドラムは︑歴代の ̶ えることを︑ライヴでやっている つもりだから︒それに︑たまたま て︑求められていることができるよ ライヴで観て︑気に入ってくれた かつ︑ライヴと音 の曲とし KAGERO 人には︑この新作を堂々と勧めら らこそでは? てクリアになっていないと︑メン メンバーとは全然違いますよね︒ バーも意味がわからないだろうし れるよね﹂ うになるまで早くなった﹂ ハギ﹁かもしれないですね︒とにか ね︒逆にクリアなものを出せば︑ 源︑どちらもいいものとしてリン くライヴに来てもらえれば︑いい みんなもクリアに返してくれるん クしているというか︒ ものを見せられる自信はあるの だろうし﹂ さとパワーで︑バンドのエンジン 白水﹁バンドに限らず︑人となにか がかなり強力になりましたし︒ で︒もちろん音源で気に入ってく パンク/ハードコア由来の音の強 をやるときにないものねだりをし れるのもうれしいんだけど﹂ 白水﹁ 俺 の 中 で ギはこれまでのドラマーとタイプ ハギ﹁この4人でやっているという ても︑いいことはないからね︒ハ ことを踏まえているんじゃないか な︒ひとりの絶対的な存在がい 白水﹁以前は︑レコーディングもラ て︑メンバーがバックバンドみた イヴのままやればいいと思ってい たからね︒でも﹃ KAGERO ﹄ IIあ フィーチャーしたほうがおもしろ たりで︑音源にはライヴとは違う が違うから︑ハギができることを 過去の曲を再録したベスト盤を いと思って︒ハギが入ってすぐ︑ いと思う﹂ いになっていると︑こうはいかな さっきのライヴの話もそうで ̶ やり方があるんだと気づいて︒今 ン ジ と か プ レ イ ︑ パ ー ト 間 で のフ 回は︑音 源 だ か ら こ そ で き る ア レ た だ ︑ 去 年 行 っ た U Sツ ア ー ̶ 後︑なかなか調子が出ない時期が 落としがあるかもしれないので探し クしていました︒でも︑どこかに見 事務所の︶社長が1日かけてチェッ トもあったみたいで︑映像は︵所属 Cに集中できない〟といったツイー で︑ ︵〝 EMILY 〟前の︶池田さんのM いです︒〝Uさんのチャックが全開 初から本編最後まで全開だったみた るところですかね︵笑︶︒それこそ最 U﹁僕の場合はチャックが開いてい いんです﹂ て歌ってくれたこと︑それがうれし りすることもあるじゃないですか︒そ たり︑ようやく歌詞の意味が分かった 曲って年齢とともに聞こえ方が変わっ 出 て い な い コ も 多 い ︒ それこそ︑ ンって高校生や大学生とまだ社会に たりして︒それに のファ ANGRY の曲にいろいろな思いを重ね合わせ な場面で聴かれたり︑受け手側がそ 始まる気がするんですよ︒さまざま 僕たちの元を離れ︑そこから成長が 池田﹁曲って人の手に届いた時点で く瞬間に接した気がします︒ ひとりにとって特別な歌になってい な心の呟きだった歌が︑受け手一人 ういった意味では︑ ANGRY のファン 池 田﹁ そ う で す ね ︒ 本 編 の ラ イ ヴ じゃなく番外編のオフ映像がおもし が 歳ぐらいになったとき︑僕たちの てみてほしいです︵笑︶﹂ ろいんで︑それを観てもらいたいん ですね︒楽屋でどんな様子なのかと なって思いもあります﹂ 曲がそのときの応援歌になっていれば 新たにサポート2人を迎え︑9月 ̶ か︑メンバーの人となりが分かると 思うんで︵笑︶﹂ 日 に 始 ま っ た﹃ BRAVE NEW U﹁楽屋でケーキを食べようとする 2府 県 に-対する展望も︒ ﹄ Tour 2014-2015 1-都1道 WORLD 1月の発覚時には緊急入院が必要な 池田﹁そうですね︒まったく未知数 池やん︵池田は若年性の糖尿病︒昨年 状態だった︶とかヤバいよね︵笑︶﹂ ポートメンバーに刺激を受け︑変 の部分があって︑逆に自分たちもサ ドの雰囲気も違うと思うし︑新曲も す︒ツアー1本目とラストではバン わっていければなって思っていま ハハハ︒個人的には︑アンコー ̶ SUNDAY ルで池田さんがドラムを叩いて最初 の 部 分 を 演 奏 し た〝 やっていこうと考えています﹂ 〟が未収録なのが残念です︒ SILENCE 池田﹁ああ︑あれは〝ツアーが終わっ 池 田﹁ た ! 〟っ て 完 全 に 浮 か れ た 状 態 な人には︑今までこんなのなかった 新曲はどんな感じに? ̶ もなぜカットされたのかは分かりま と受け取ってもらえるんじゃないか ︵笑︶︒その場のノリだし︑観なくて す︒︵アンコール時に急遽︑ゲスト なぁ︒自分としてもファンの人にな 浮かれ︑衣装を忘れて寝間着でライ 日も友だちがいっぱい集まるからと 文学的な内容になっています﹂ 延長線上といった感じ︒歌詞もより にかを伝えるというより︑音遊びの のような音楽が好き ANGRY のレコ発に出演することとなり︶翌 アクトだった a crowd of rebellion ヴ︵笑︶︒僕は浮かれるとまったくダ メなんです﹂ その一方︑ 〝 U &〟Iでは個人的 ̶ Text by Yusuke Mochizuki vo 19 October - November 2014 October - November 2014 18 30 43 vo 作ったのも︑よかったと思う﹂ Text by Yusuke Mochizuki 10 ジャズとパンクの鬼っ子、KAGEROが、 またまた自己最高値を更新!! KAGERO 20 ds ︵ ︶を中 Kihiro されたのち︑去る9月 日︑なんと日本 望に応える形で5月にデジタルリリース どうポリッシュされていったのか︑本 きな曲が︑最初はどんなサウンドで︑ グリーン・デイを彷彿とさせることに 90年代初頭の︑インディーズ時代の るエネルギーが︑1980年代末期〜 のか︒それはやはり︑この作品に満ち がファン垂涎の幻のアルバムとなった ン違いにもかかわらず︑なぜこの作品 部作収録曲のデモテイクとヴァージョ 完全未発表曲は1曲だけで︑残りは三 のみでCDが一般発売されたのである︒ ジョー・アームストロング︵ /g ︶ バーの近況を伝えておこう︒ビリー・ 休止中ではあるが︑その代わりにメン グリーン・デイとしての活動は現在︑ い機会になると思う︒ ン・デイ・サウンドの本質を知る︑い リスナーには︑バンドの原点とグリー いだろう︒三部作をまだ聴いていない 作と聴き比べて遍歴をたどるのも楽し 10 2012年に発売された︑グリーン・ デイのアルバム﹃ウノ!﹄﹃ドス!﹄ ンロール三部作がどう生まれたかは︑ ﹃トレ!﹄︒この︑ストレートなロック 去年発売されたドキュメンタリー映像 作品にして︑シリーズ完結編とでも言 うべき﹃クアトロ!﹄に詳しい︒前号 でも紹介した最新作﹃デモリシャス﹄は︑ 加入するときの手土産みたいな感 たら︑ ﹃ウノ!﹄ ﹃ドス!﹄ ﹃トレ!﹄は︑ が︑今もルックアウト・レコーズだっ 身︑﹁もしグリーン・デイのレーベル 尽きる︒ベースのマイク・ダーント自 アヴィーチーは︑メガヒット作﹃トゥ グ・ア・ウーマン〟という曲を共作︒ 〝 ノー・プリージン ヴィーチーと最近︑ デン出身のDJ/プロデューサー︑ア は︑EDMシーンを牽引するスウェー ロック史を塗り替えた﹃アメリカン・ トしているくらいだ︒ ク・アインジガー︑コールドプレイの リーだけでなく︑インキュバスのマイ バムの制作に早くも着手しており︑ビ ルー﹄ ︵2013年︶に続くニュー・アル イディオット﹄ ︵2004年︶や﹃ 世 ムになっていたに違いない﹂とコメン この﹃デモリシャス﹄みたいなアルバ vo タイトルからある程度察しがつくよう じで持ち込んだんです︒ミドルテ GREEN DAY text by Yusuke Mochizuki に︑この三部作収録曲のデモテイク 曲 をコンパイルした︑レア音源集だ︒未 発表曲〝ステイト・オブ・ショック〟と︑ の未発表アコースティック・ヴァー ﹃ウノ!﹄収録の〝ステイ・ザ・ナイト〟 ジョンが特別に追加された︑全 曲入 りとなっている︒ ﹃デモリシャス﹄はもともと︑アメリカ で今年4月 日に開催された﹁レコー ド・ストア・デイ﹂のために企画され た も の ︒ 20 0 8年 に ア メ リ カ で 始 まった年に一度の祭典で︑レコード店 とアーティストが一体となってレコー ド文化を見直し︑レコードの楽しさを 音楽ファンと共有することを目的に︑ 毎年数多くのアーティストが貴重な作 品を限定リリースしている︒日本でも2 年前からイベントが開催されているの で︑聞いたことがある人もいるかもしれ ない︒アナログ・レコードにこだわりを 持つパンク系アーティストやパンクロッ ク・ファンは今も非常に多く︑グリー ン・デイもそんなバンドのひとつだ︒ そんな彼らが︑ ﹁レコード・ストア・デ イ﹂に限定発売したのが今回の﹃デモ リシャス﹄で︑アナログ・レコード2枚 組という形態だけでなく︑CD及びカ セットでもリリースされた︒残念なが ら日本ではほとんど流通せず︑入手困難 なレア作品になっていたが︑ファンの要 出ていると思う﹂ 新作はこの4人がそろってから ̶ の Supe 初のアルバムですが︑当初の構想は ﹁まさにこの 4人というの どんなものだったんでしょう? 心に︑ Sexy, Bad & Heavy ︒ 4人 編 成 と な っ て LOKA 初 の 作 品 で あ る ︑ 2枚 目 の が ︑ 最大のテーマ︒加入してすぐ Kihiro ﹄が QUATTRO に︑勝己が〝 FROM YESTERDAY 〟 ア ル バ ム﹃ 発売中だ︒よりメロディに を作ってきてくれて︑その後もメ ンバー全員が持ち込んだアイディ 重きを置いた今作につい KEN'ICHI アをすり合わせて︑どう幅を広げ ︑ Kihiro ︵ ︶︑ SIN ︵g ︶︑勝己︵b︶の ていこうかというのが強かったね﹂ て︑ メンバー全員に話を聞いた︒ はもともと︑ Kihiro さん ̶LOKA ン ポ で メ ロ デ ィ ッ ク な〝 〝 FROM YESTERDAY 〟は︑ 勝己﹁ がスタートさせたんで と KEN'ICHI じですね﹂ だわって︑間口を広げていった感 んなテンポの曲を入れることにこ 〟もありつつ︑いろ YESTERDAY FROM すよね︒以前は外部からソングラ イターを迎えて︑楽曲や作品を発 表していましたが︒ ﹁楽曲提供ではなくて︑メン Kihiro バーではない人といっしょに作曲 ンジをやることが多かったんで ﹁僕は以前のバンドでは︑アレ す︒今回は︑これまで違う音楽を SIN と持っていたヴィジョン KEN'ICHI や っ て き た 4人 を 混 ぜ て ︑ お も し というのが正しいね︒ … を形にするのを︑サポートしても ろい化学反応を起こしたいと思っ した ﹁最初はプロジェクト的な て︑ギターのアレンジもすごく突 らったっていう感じだったのかな﹂ KEN'ICHI 感じだったんです︒誰が作った曲 き詰めていきました﹂ 以前の︑攻撃的なプログラミ ̶ の色に染める LOKA ことを目指していて︒とはいえ︑ ングも目立つド派手なサウンドか をやっても︑ たし︑メンバーを探していたんで バンドにしたいという話はしてい ら︑今回は Kihiro さんのヴォーカル とメロディを軸にした作風になっ ﹁EDMの要素も残しつつ︑ Kihiro ていますね︒ す︒そのなかで勝己と SIN に出会っ たという感じですね﹂ ふたりとも︑サポートを経て ̶ もっとバンド感を強調したね︒そ を重視するタイプで︑俺にないも れにリズム隊のふたりがメロディ のを引き出してくれるから︑自分 ﹁最初に4人だけでまわった の加入ですよね︒ からね︒加入してからも何度か海 ツアーでの相性や空気がよかった のメロディに対する意識を考え直 Kihiro 外ツアーをやったけど︑言葉が通 ﹁家で聴く音楽はポップス したりもして﹂ LOKA 最強の4人が集結し、新たな翼を得たLOKAが、 ネクスト・レベルへと飛翔!! 16 をテーマとするバンド︑ 元 18 じない国でいっしょに過ごすこと KEN'ICHI ムだが︑ストリートパンクの神髄を知 ピリッツに溢れたストレートなアルバ レ!﹄は原点回帰と言えるパンク・ス 比較すれば︑﹃ウノ!﹄﹃ドス!﹄﹃ト 紀のブレイクダウン﹄ ︵2009年︶と ベースのマイク・ダーントは︑グリー 好きならずともチェックしたい作品だ︒ 一緒に曲作りをしているという︒EDM ア・ダウンのサージ・タンキアンらとも クリス・マーティン︑システム・オブ・ 面したコメディアンを目指す男と︑長 ン・デイのマネージャー︑パット・マ く仲違いしていたものの︑彼の余命を るメンバーには︑この三部作すらオー シャス﹄のロウ・サウンドを聴いてい 知って夢を応援することにした兄弟の う映画を制作中︒末期の病気で死に直 ると︑音楽ってもっとシンプルで楽し 物語だという︒マイクの妻が乳がんで グナレーラと共に﹃ CRICKETS ﹄とい いはずだ︑低予算で音質が悪くてもパ 闘病中であることも︑作品に影響を与 バー・プロダクションに感じるのかも ンクロックはカッコいいし︑レコード しれない︒荒削りで生々しい﹃デモリ のおもしろさって︑こういうもんだろ ば︑ビリーが出演する︑フランク・ホ えているのかもしれない︒映画といえ てくる気がするのだ︒ エーリー監督作品﹃ Like Sunday, Like う? そんな風にメンバーが語りかけ 特別追加された2曲以外の︑残り 曲 とかが多いし︑歌が一番大事とい なっている︒三部作に入っている大好 ス!﹄から4曲︑ ﹃トレ!﹄から4曲と の 内 訳 は ︑﹃ ウ ノ ! ﹄ か ら 8 曲 ︑﹃ ド がすごく広がった﹂ 入れたことによって︑アイディア 追って紹介したい︒ 公開日程は未定だが︑発表され次第︑ ﹄の撮影は無事終了したそうだ︒ Rain 月まで続くツアー中 ︵権田アスカ︶ う意識はもともとあったんです︒ 現在︑ ̶ ですけど︑どんな意識で臨んでい でも ますか? がやっているのはハー LOKA ドな音楽だから︑それと歌を融合 ﹁少しずつですけど︑ と思うんです︒おかげでこれまで自 というバンドが広がっている LOKA KEN'ICHI の歌詞を入れたのはすごく大きな 分たちのことを見たことがなかった ﹁あとは︑挑 戦 だ ね ︒ 日 本 語 のころとか︑俺のこ Supe 人に観てもらえるし︑いろんな人た 挑戦︒ とを昔から知っている人は驚くだ 本︑いろんな場 と思うけど︑この4人だからこ たまたま来た人も︑取り込んでい ほしいですね︒対バンを目当てに 所に行くから︑どこかで観にきて 勝己﹁トータルで そ︑挑戦できる道があったね︒ ﹁爪跡を残すじゃないけど︑お きたいし﹂ SIN わったなと思う﹂ 入っていますね﹂ す︒今までにないくらい気合いが かったと思ってもらいたいんで 客さんには︑今までで一番楽し 勝己﹁曲は作りやすかったですね︒ があったし︑ SIN はフレーズでもい がすごくうれしくて︒どんどん だちになっているみたいで︑それ とりで来ていたお客さん同士が友 のライヴにひ LOKA ろんな意見を出してくれる︒メロ ファン同士が繋がっていくこと ﹁最近︑ ディに関しては︑英語が合うもの で︑お客さんもいっしょになって Kihiro と日本語が合うものがあるんです ださい!﹂ たから︑ぜひそれで遊びにきてく 思いっきり踊れるおもちゃを作っ だちだったら楽しいじゃない? 行って︑そこにいる百人が全員友 合いがある︒だって︑ライヴに チャラした感じにはそういう意味 ティ推しというか︑派手でチャラ あってほしい︒だからこそパー なと友だちになれるような場で もちろん新しい人も︑すぐにみん 独特の空間を作っていきたいね︒ けど︑今回 Kihiro が日本語詞も取り なら叩けるという安心感 KEN'ICHI ドラムはどんなフレーズでも と広がっているし︑考え方も変 いう意識があったけど︑今はもっ て︑そこから離れちゃいけないと のときはひとつの道筋があっ Supe も︑みんなをビックリさせる楽曲だ 〝 DAEDALUS 〟や︑最後の〝 MAYBE 〟 ちに会うのが楽しみですね﹂ ろうし︑あとは勝己が作ってきた Kihiro させたいという思いがありました﹂ 12 vo で強くなった結束が︑自然と音にも 21 16 19 21 October - November 2014 October - November 2014 20 40 ds ︵KOM︶の KNOCK OUT MONKEY 音楽から時折︑ J-POP のような明るさ や入りやすさを感じる︒バックで鳴る サウンドは︑ハードロック/メタル︑ パンクロック︑ヘヴィロック︑ミクス チャー︑そして王道ロック︒そうやす やすとは共存共栄しない要素を絶妙な バランスで混在させ︑自己最強の魅力 としているのが︑彼らのすごさだ︒ KOMのことを知り︑ライヴに足繁く Paint it 通うようになったのは︑メ ジ ャ ー デ ビ ュ ー と な っ た 昨 秋 発売の﹃ ﹄がきっかけ︒それから︑早くも Out!!!! 1年の時間が流れた︒メジャーファース トフルアルバム﹃ INPUT ∝ ﹄ OUTPUT リア史上初の2カ月連続リリースとし ︵2014年︶を出し︑夏にはバンドキャ てシングル﹃ Wonderful Life ﹄ ﹃ Greed ﹄ 答えがかえってきた︒ んば Hatch でやれたことです﹂という 自分にとっても念願だった︑大阪のな アーファイナルを︑バンドにとっても るに違いない︒ 月には新シングルが し︑より研磨したものを聴かせてくれ 分たちの持ち得るすべてをフルに駆使 であり︑それ以外の何者でもない︒自 ∝ ﹄ OUTPUT モードに入っている︒ ﹁次のステージに は休むことなく︑すでに次なる活動 伴う活動を一段落させたものの︑彼ら ﹃ Wonderful Life ﹄ ﹃ Greed ﹄発売に テスト・フィッツ﹄ ︵2001年︶︑そ 年︶︑ミニストリーのベスト盤﹃グレイ ルズの﹃ウィズ・ティース﹄ ︵2005 挙げてくれた︒ナイン・インチ・ネイ に?﹂と聞いたら︑ w-shun は3作品を 最後に︑ ﹁最近よく聴いている音楽はな 発売される予定だ︒ 突き進む前に︑ ﹃ INPUT して︑レヴァリーの﹃ブリード・ザ・ O U T P U﹄ Tや ︑ 続 く の内容に関するところで反省点はあ スカイ﹄ ︵2001年︶だ︒ INPUT んな言葉がかえってきた︒ る?﹂と聞いたところ︑ w-shun からこ ﹃ KOMを取り巻く環境が以前とは変わ に島国ニッポンでは︑それが顕著だ︒ ∝ ﹁相変わらず必死です︵笑︶︒でも︑やっ この1年をこう振り返った︒ ︵ /g ︶が︑ だったようだ︒ w-shun も多忙で︑もっとも手応えのある期間 アー敢行もあり︑バンド結成以来︑最 縁 が な い 層 に も K O Mの 名 や 音 楽 が は控えめに言うも︑傍から見て w-shun づき始めているなによりの証拠だ︒細 着実にKOMの名や音楽が拡散し︑根 こしたそう︒ゆっくりと︑が︑しかし であふれ返り︑相当の盛り上がりを起 りますしね︒で︑最近︑肌荒れがヒド ん︒気負っちゃうとおもしろくなくな ︵ 笑 ︶︒ で も 一 切 の 気 負 い は あ り ま せ のかもしれません︒今さらですけど ﹁実感というより︑自覚が少し出てきた した内容と合致する発言である︒が︑ 歌ものアルバム ̶ ︒ある意味︑前述 現したいという欲があります﹂ ているんで︑次はまた観点を変えて表 と歌ものアルバムになったな︑と思っ 思っています︒反省というより︑わり そこに関しては表現できたのかなと り︑このジャンルの隠れた名作である︒ イ﹄は彼らの2枚目のアルバムにあた が挙げた﹃ブリード・ザ・スカ w-shun で︑残念ながらすでに解散している︒ スチャーがかったヘヴィロックバンド セッツ州ハーヴァード出身の︑ややミク レヴァリーはアメリカ︑マサチュー だが︑かなりコアなセレクションだ︒ て聴き直すことが多いです﹂とのこと いると︑間違いなく事はイイ方向に向 かいジャンル分けはさておき︑ロック いんです︵笑︶︒それ以外はなにも変 しかし︑次の新音源で︑KOMの音楽 ﹁昔好きだった曲やアーティストを改め かい︑そして進み始めている︒確実に なる音楽の性格/形態上︑一夜にして わってないです﹂と w-shun ︒で︑あえ 的根幹を揺るがすような大きな変化が 自分はまず今作を最初に聴き︑その後 取ることを一番大事にしているんで︑ ファンベースは広がり︑ファンひとり 大爆発し︑サクセスを手にするなんて て聞いてみた︒ここ半年で︑もっとも あるとは考えにくい︒KOMはKOM デビュー作を聴いた︒ヘンな言い方か ﹁歌詞を書くなかで〝今の自分〟を切り ひとりのバンドへの期待感などの熱量 ことはあり得ない︒ロックバンドがサ 刺激的で︑印象的だったことは︑と︒ Gに 可 能 性 を 感 じ て い て ︑ 充 実 し た もしれないけど︑インキュバスの4枚 身は実感しているんだろうか? 自 りつつあることを︑はたして w-shun も増している︒ ﹃ Greed ﹄表題曲が読売 クセスストーリーを綴るのにはそれな すると︑ ﹁﹃ INPUT 日々を過ごしている︒ブラインドス 目﹃モーニング・ヴュー﹄ ︵2001年︶ の JAPAN FESTIVAL 2014 テレビ・日本テレビ系アニメ﹃名探偵 りの道のりと時間が必要とされる︒特 レ違いがその原因と言われた︒シェル ポットをやっていたころのようなワク ている曲に落とし込めている自負もある コナン﹄のオープニングテーマに抜擢 ポット﹄ ︵2004年︶︑ ﹃エンド・ザ・ トンが説明する︒ ワクした気持ちを︑また取り戻すこと んで︑今はさらにバンドの精度を上げた されたことから︑普段ロックにあまり サイレンス﹄ ︵2006年︶を発売し︑ キャリアの始まりだし︑本当にいいバ ﹁ブラインドスポットはボク個人の音楽 いという気持ちでいっぱいです﹂ 今春︑ニュージーランド出身でトリプ ザ・ユーズドのサポートで東名阪を巡 ∝ ギターリフと手数の多いリズムが合体 れる美メロにヘヴィでアグレッシヴな 輸入盤日本盤仕様で発売した︒連打さ より帯&ライナーノーツ付 recordings A B D U C T I O﹄ Nを ルライト︵ が︑この ︶中心の 4人組オルタナ ラインドスポットのシェルトン・ウー ︵IAG︶︒元ブ I AM GIANT そのブランドンが紹介してくれたの のブランドン・レイハナ︵g ︶だった︒ ストとして同行していたのが︑HMN した︒2度目の来日時に助っ人ベーシ 中をツアーし︑イイ思い出がたくさん たんだ︒ブラインドスポットでは世界 散した︒それで︑ I AM GIANT を結成し れぞれに挑戦をしていこうと決め︑解 で︑メンバーそれぞれの道を進み︑そ な疲れ切ってしまったんだと思う︒ ンドだった︒ 年間活動してきてみん 外の3人もIAGのほかにそれぞれ活 現地に移り住んでいる︒シェルトン以 はイギリスで︑そのためシェルトンは ル・マシューズ︵b︶の4人︒活動基盤 ︵ ︶︑アンドリュー・カー︵g ︶︑ポー シェルトンのほかエド・マーティン I A Gは 20 0 8年 結 成 ︒ 顔 ぶ れ は ができてうれしいよ﹂ 売 す る ︒デ ビ ュ ー 作 収 録 曲〝 仕様で GrindHouse recordings より発 帯&ライナーノーツ付の輸入盤日本盤 に入った︒そして︑今作を 月 日に サウンド︑との印象を得た︒非常に気 激しくし︑たくさんフックを持たせた かさを取り除き︑メロディの振り幅を からネイチャー感や流れるような穏や ︵有島博志︶ する独自のスタイルが好評を得た︒来 できたし︑多くのことを学ばせても 動歴がある︒なかでもポールは︑ダブ ﹄のツ OUTPUT ︑かなりの〝通〟である︒ w-shun ルギター主軸のインストバンド 演︑サマソニ2006参戦ほかで来日 年初頭には2枚目のフル作発売が予定 ティヴヘヴィロック・バンドだ︒ブラ らった︒だけど︑どんどん新しいこと ルプラチナセールスを上げた の初フル作﹃ されている︒ GrindHouse recordings インドスポットは2度目の来日をした に挑戦していかないと︒今はこのIA The 〟と︑スリップ Crash 追加収録する︒このトラックリストは 〝 Duality 〟をボーナストラックとして 日本独自のものだ︒ 品さ︒ボクたちはサウンドガーデンや かったんだ︒ごかましのない本物の作 ルタナティヴヘヴィロック作を作りた ﹁ときが経っても色褪せることのないオ のソニーと契約し︑今日までにデビュー ヘルメットのような 年代オルタナ 作﹃ THE HORRIFYING TRUTH ﹄ ︵20 ﹃ SCIENCE & SURVIVAL ﹄ ︵2013年︶ 1 1 年 / 日 本 盤 未 発 売 ︶︑ 2 枚 目 IAGは結成からほどなくしてメジャー プ 入りしたシングルも手がけている︒ クを獲得した作品や︑チャートのトッ でも活動︒プロデュースやエンジニア ノットのアコースティックカヴァー 〝 Living 〟 〝 City Limits 〟 〝 Neon Sunrise 〟 Heart Purple 22 ティヴロックバンドをたくさん聴いて のという意味がある︒もともとオルタ ちビッグでラウドでアグレッシヴなも とボクたちが信じているもの︑すなわ ﹁バンド名には︑このバンドに不可欠だ まわりで起きた出来事も盛り込んで構 にスポットを当て︑ボクたち自身や︑ 目標だった︒歌詞は真実のダークな面 で美しく流れていくような作品作りが 響を受けた︒だから︑最初から最後ま サークル︑ピンク・フロイドからも影 やア・パーフェクト・ ISIS ナティヴロックをやろうと結成したバ 築したんだ﹂ きたし︑ ンドだけど︑本当の意味で自分たちの インドスポット時代は︑ここまでタ なお︑写真一番右がシェルトンだ︒ブラ トゥーを入れていなかったように思う︒ 2枚分の時間はかかる︒IAGは今作 が目指した音楽を達成できたと思う︒ いったい彼になにがあったのか ︒ … たいし︑そのために今後も努力してい きたいから︑ヘヴィでプログレッシヴ な面をさらに強化するつもりだよ﹂ ︵有島博志/翻訳・松本美和︶ アーティストとして常に成長していき ﹃ SCIENCE & SURVIVAL ﹄で自分たち サウンドが固まるまで︑作品の1枚や などを発売している︒ 90 GrindHouse 旗揚げのきっかけになったのが︑同郷 直後に解散し︑当時はメンバー間のス INTERSTELLAR ︵HMN︶ HEAVY METAL NINJAS に初出演したとき︑場内が観客 TENT WING ていてめちゃくちゃ楽しいです︒楽しい を発売︒もちろんその間には︑単発ラ 11 届 き 始 め て いると聞くし︑ ROCK IN pic by KAZUKI WATANABE ことも苦しいことも︑すべてを今︑作っ イヴ︑フェスティバル出演︑そしてツ KNOCK OUT MONKEY もこなし︑ゴールド〜プラチナディス のほか︑最近では STYLUS TADPOLE 10 vo 10 10 I AM GIANT ds 23 October - November 2014 October - November 2014 22 vo のブラインドスポット︒ ﹃ブラインドス pic by Shelton Woolright ンの動向をつぶさに観察し︑動物的な といった︑現シーンを引っ張 MISSION や Crossfaith けば︑細部まで相当こだわって作りこ かで華やかでありつつも︑ちょっと聴 そのサウンドも︑ビカビカときらびや のが︑ THE GAME SHOP の強みだ︒ そのどちらにも涼しい顔で出ていける ン・インチ・ネイルズといったインダ 嗅覚で取り入れているセンスは︑群を る猛者たちと共演を重ねる︒またバンド ものがあったということだ︒ほかにも 関西から登場した飛び道具にして︑今 ストリアルによって活発化︒その後 抜いている︒ 形態に留まらず︑DJセットでも活躍︒ んでいることがわかるはず︒また︑ を筆頭にドラムンベース︑ダブステッ だ︒イギリスのベース・ミュージック MAN WITH A 後最終兵器としてシーンに君臨するで も︑ザ・プロディジー︑アタリ・ 関西出身とあって︑先輩格にあたる スティーヴ・アオキや DJ BAKU ︑ BIG ︑ RIZE あろう逸材︒それが THE GAME SHOP ティーンエイジ・ライオット︑ペン ︵前 UZUMAKI ︶とも親交が深 UZMK く︑2013年の秋に UZMK 主催のイ タルの大ファンというだけあって︑肉 デュラムやエンター・シカリに BOOM 厚なビートやギターリフには︑たしか 等々︑ここでは BOOM SATELLITES る存在も向こうに回してきた︒ プにグリッチホップ︑果ては昔懐かし 音源は︑いくつかのコンピレーション ︵g ︶は LOUDNESS 等︑メ KENJIRO もキャリアが長く︑黎明期からシーン 自身 メインステージに大抜擢︒ UZMK といった︑世界に名だた CHOCOLATE ティストたちが︑ロックの方法論でエ ベント DOGIMAZUN に出演した際は︑ レクトロミュージックを︑もしくは逆 にヘヴィなロックが宿っているのだ︒ とても書ききれないほど多くのアー らの影響を消化した︑ダンサブルかつ 参加を経て︑2013年に自主制作の い8ビットやゲーム・ミュージックか ハイスペックなサウンドを放つバンド を切り拓いてきただけに︑イベントに とはいえ︑小難しく考える必要は︑一 バンドを呼ぶにしても︑やはり吟味に 切なし︒ ﹃ HYBRID GAME ﹄収録の楽 の方法論で︑新しいサウンドを提示し 曲〝 CHOKKAN ROCK 〟にあるとお で︑現在︑各方面から注目を浴び︑支 リリース︒この時点で早耳のリスナー り︑直感に従って楽しめばいいのだ︒ 持層を増やしている︒ から支持を得て︑主催イベントも3百 彼ら自身が音楽を素直に楽しんでいる ファーストミニ作﹃ control game ﹄を 吟味を重ねるはず︒それだけ 人以上を集めてソールドアウトさせた し︑そのサウンドはあくまでストリー 続けてきた︒ THE GAME SHOP も︑ THE ほどだ︒ トから発信されているものなのだから︒ 間違いなくその系譜に連なる存在では ある︒しかし日々更新される音楽シー そして今年に入り︑さらに活動を活性化︒ 古くは 年代のニューウェイヴやポス トパンク︑そしてミニストリーやナイ の実力には︑目を見張る GAME SHOP まず︑7月にはタワーレコード限定販売 し︑ 月 日にお目見えする︒現状で リースを発表︒ ﹃ FUTURE GAME ﹄と題 そ ん な 彼 ら が ︑ ま た ま た 新 E Pの リ Rockman's にて︑3曲入りEP﹃ HYBRID GAME ﹄ を リ リ ー ス ︵ 収 録 曲 の〝 ミコン〜スーパーファミコン世代とし しか聴けていないのだけれど︑浮遊感 はタイトルトラック〝 Future Game 〟 〟というタイトルだけで︑ファ Attack 日には︑ 内にてムラサキスポー a-nation island トータルの作風や内容について言及で に︑さらに磨きがかかっている︒まだ のあるメロディと扇情的なサウンド 笑 ︶︒ 8 月 ツが主導した︑ロックとエクストリー てはアガる ム・スポーツの融合を図るイベント ろうと︑その場の空気を読みつつ︑自 はたまたヒップホップだろうとDJだ ミクスチャーだろうとパンクだろうと︑ もアリなのだ︒相手がメタルだろうと と思う︒ THE GAME SHOP は︑なんで ここまで読んだら︑わかってもらえる 天下︑会場を大いに沸かせた︒ バッターとして出演︒雲ひとつない炎 るはず! まだまだ︑リスナーを熱くさせてくれ てしまったが︑ THE GAME SHOP が 視野に入っているのでは? 夏は終わっ 作を連発とくれば︑次はフルアルバムも さまざまなイベントに出演しつつ︑ミニ と︑かなり幅広い面々だ︒ THE HATE オブアキバ︑ JAWEYE ︑ FEAR FROM ツアーを予定︒共演するバンドもキバ 本作リリース後は︑東名阪にてレコ発 きないが︑期待がかかる︒ 分たちならではの空間を作り上げる︒ 第1回に︑トップ EXTREME ROCK ロックもエレクトロも好きなリスナー は以前よりもかなり増えてきている し︑ライヴハウスにもクラブにも遊び いるにちがいない︒ひょっとしたら︑ 当然︑その機会を生かしたいと考えて の楽曲の作曲・編曲も手がけるプロ ももいろクローバーZや BABYMETAL た野心作だったが︑今回のEPでも︑ まることはないはずの要素を取り入れ ︵望月裕介︶ 存分に生かしたいからこそ︑あえてリ にいくという人も︑普通にいると思う︒ リースする作品の数を抑えているのか でまわった全国ツアーを大成功させた リリース後︑彼らが北海道から九州ま ﹃ the PIONEERS of SENSATION ﹄の ルータルな一面を追求した曲も収録さ ないかと想像が膨らむが︑もちろんブ とん追求した作品になっているんじゃ も︑楽曲が持つそれぞれの魅力をとこ 限に生かして︑作品全体の統一感より デューサー/ヴォーカリスト/ギタリ ことに加え︑数々のイベントおよび れているそうだ︒ と共同プロデュース スト︑ NARASAKI フェス出演︑さらには2度にわたる中 今回︑リリースする作品はEPという もしれない︒2年4カ月ぶりとなる今 国ツアーなど︑ライヴ活動に邁進して ことで︑楽曲の多彩さをアピールする した曲など︑さらなる新境地をアピー きたことを考えれば︑バンドは今︑い ことにしたのか︑それとも多彩さをア 回の新作も︑ファンをさんざん待たせ い状態にあるに違いない︒また︑現在 ピールするため︑あえて今回は5曲に ルする曲も収録されているという︒ のラウドシーンの最前線で活躍してい 絞ったのか︒ともあれ︑〝分岐点〟と ておきながら︵ってオイオイ︶︑5曲 るバンドや海外のバンドと同じステー 入りのEPというところに︑彼ららし ジに立つことで︑刺激もたっぷり受け いう意味を持つ﹃ The DIVIDE ﹄という EPというフォーマットの性質を最大 てきたはずだ︒今回のEPは︑きっと タイトルも興味深い︒ いこだわりが感じられないか︒ この2年間に吸収してきたものを思う もし︑今回の EPが アルバムのリリースが待っているんじゃ のEPのあとに︑あっと驚くようなフル とってひとつの分岐点になるのなら︑こ に NEW BREED 存分︑濃縮還元したものになっている 実はまだ︑リリースに先駆け︑ミュージッ ないか? なんの根拠もなしに︑そんな にちがいない︒ クビデオが公開された〝 Things we've んだから︑たとえライヴが忙しいとは メロン・ミゼル︵アイ・シー・スターズ︑ がいない︒日本人として初めて︑キャ が一皮剥けたことを実感しているにち 〟を聴いた誰もが︑バンド we've lost と思うが︑今はリリースに対してとこと 含め︑メンバーたちの声をお届けできる 品の向こうになにを見すえているのかも 容はもちろん︑ NEW BREED が今回の作 てしまった︒たぶん次号では︑EPの全 ことまで想像して︑思わず一人で興奮し 〟と〝 Untitled 〟の2曲しか新作の lost いえ︑リリースするチャンスは以前よ スリーピング・ウィズ・サイレンズ等︶ ん慎重な彼らがついに完成させた新作の Things ︵b︶︑ Mark ︵ ︶の現在の Tommie-B りも増えるだろうし︑メンバーのモチ 全曲の到着を︑わくわくしながら待つこ 曲 を 聴 け て い な い の だ が ︑〝 ライナップが揃った時点から数えて ベーションだって上がるはずだ︒ をプロデューサーに迎え︑ミゼルが拠点 とにしよう︒ しかし NEW BREED の場合︑年を追う ん慎重に取り組んできたバンドである︒ も︑5年が過ぎている︒スクリーモに それにもかかわらず︑リリースの間隔 としているフロリダでレコーディングし ﹄をリリースしたのが︑結成 & Haters その NEW BREED が 月 日︑待望の エレクトロサウンドを取り入れた先駆 が毎回︑大体2年空いてしまう本当の た﹃ the PIONEERS of SENSATION ﹄ 思えば︑2003年の結成以来︑精力 新作﹃ The DIVIDE ﹄をリリースする︒ 者として︑後続のバンドに影響を与え 理由はわからない︒単純にタイミング ︵g ︶︑ Tama 2年 4 カ 月 前 に リ リ ー ス し た 2作 目 たバンドである︒リリースのチャンス は︑スクリーモ エ ×レクトロの延長上 ︵ ︶︑ Toyo ﹃ the PIONEERS of SENSATION ﹄も︑ の問題なのか︑それとも彼らのポリ だった︒ その前の作品から1年8カ月空いてい ならいくらでもあったはずだ︒ でブラックメタルとダブステップとい ds に︑音源のリリースについては︑とこと る︒そもそも彼らが︑ファーストアル う︑普通に考えたらひとつの作品に収 ︵山口智男︶ に対してそれだけ慎重であるならば︑ シーなのか︒いずれにせよ︑リリース ごとに活動の勢いは増していっている 15 これが︑それほど熱心に活動している から7年経った2010年 月のこと 10 わけではないバンドなら納得できる︒ 15 vo 10 14 バムにして初の単独音源となる 的に行ってきたライヴ活動とは反対 THE GAME SHOP ﹃ Heart racing moments for all Lovers 10 25 October - November 2014 October - November 2014 24 NEW BREED 70 チャーが欧米にはごく普通にあるのに︑ 露できる︑開催当日がいったいどうな ま事を進めた︒今だからこそ正直に吐 慎重になりつつ︑どこかで手探りのま 号で紹介した なぜ日本ではそれがなかなか起こらず︑ るか︑始めてみないとわからなかった 号︑ 根づきもしないのか︒自分は過去︑そ ︵苦笑︶︒だけど︑いざフタを開け︑す 誌 のカルチャーの渦中に足を踏み入れ︑ 凄腕フロントマン リゾートステージで a-nation island 肌がピリピリするくらいその熱さを体 に交代し︑ツイン 退︑ドラムも KENJI によれば︑﹁よりシンプルな状態とな 無事開催された︒午後1時から3時間︑ べてが進行していくに従い︑その手探 と KYONO り︑音の方向性もより明確になった﹂ り感は次第に﹁イケる!﹂との実感に が8月 日︑ EXTREME ROCK 章へと歩を進めている︒まず︑ そうだ︒そんな新体制での新音源 ︑ Northern19 ︑ SECRET TOTALFAT 感してきただけに︑なおさらそう思う︒ ヴォーカル体制の5人組に︒ KYONO Y A M A Dが A 昨春発売の初フル作 ︑ THE GAME SHOP が大熱演 7 LINE /バンドを日本に紹介し︑喧伝すると とは︑あまりにも壮大だ︒洋楽ロック なく︑確かな第一歩は踏み出せた︒そ いするくらいの興奮を覚えた︒間違い り上がりがシンクロした瞬間は︑身震 れを受けての大勢のお客さんたちの盛 変わっていった︒なかでも︑ライダー 現在配信のみで発売中だ︒ 小川元といったその名を世界に轟かす いう仕事を長くやってきていることか たちの好滑走とバンドたちの力演︑そ 日本勢が一枚岩状態となって勢いよく ら︑そのハードルの高さや壁の厚さは 欧米のカルチャーを日本に持ち込み︑ た︒とにかくこの布陣で曲を作ったら 滑走し︑会場を盛り上げた︒ 欧米と同様に発展させていくなんてこ どんなのができるのか︑ワクワク感が スケボー︑スノボーなどのアクション して来年の開催に向け︑すでに事は動 米国勢ライダーをはじめ︑安床兄弟︑ ハンパなかった︒このまま次作の制作に 重々承知している︒だから︑タッグを き出している︒楽しみだ︒ ポール・リュック・ロンシェッティの 突入したいです︵笑︶﹂ と スポーツと︑ロック︑パンクロックが 組んだアクションスポーツ業界最大手 構成を組み︑それをみんなでまとめ ハードコアが一緒くたになって突進 ︒ YAMADA のムラサキスポーツの現場担当者とも 日までの集大成的作品です﹂ し︑襲いかかってくるさまは破壊力満 ﹁間違いなく次ステージにつながる2曲 発し︑刺激を放つ︑いわゆるクロスカル 共存共栄し︑たくさんのエネルギーを 年代スラッシュメタルやパンク/ 載でカッコいい︒ライヴで体感できる です︒次作制作が楽しみです︒期待し せひ遊びにきてほしいで 曲︑すべての楽器を担当する で退廃的な音世界が脳を翻弄︒﹁よく ﹄は︑過激 BRAINWASHING から8月に発売され METAL JAPAN 痴の闇 -Guchi no Yami- REMIX 〟は︑ ︵有島博志︶ パワーとエネルギーも強烈だ︒しか 月 日には恒例になりつつある自主 イベント BAY ROCK も開催する︵詳し ︑山嵐ら STARBEMS ︑ HUSKING 共演するほか︑ NAMBA69 ︑ THE BEE が出る︒ と ﹁新曲2曲を初披露するのと︑ T.C.L の初 WAGDUG FUTURISTIC UNITY ︒ 共演が楽しみです︵笑︶﹂と YAMADA ク祭り! ﹁とても楽しみにしています︒秋のロッ す!﹂と KYONO は言う︒ ︵有島博志︶ 引き続き T.C.L は我が道をゆく ︒ … る人よりスゴい︒そういう意味で︑今 回はユーモアじゃないですけど︑怒り ﹄ CHAINS VOL.3 Extream ConneXion たコンピ﹃ METAL JAPAN HEAVY 人とのズレを感じる﹂という自身の理 バム﹃ ていてください!﹂と KYONO は言う︒ ︶︒ T.C.L と くは www.tclofficial.com 日に発売する 方を変えています﹂ ロ・プロジェクト︒福島県いわき市を ないか︒そういう風に自分の楽曲を発 いけば︑興味深いものができるんじゃ た︒そういった意味では 2作目で めにリスナーとしても分かりにくかっ がないので︑若干サウンドもクリアに ンピでは︑くぐもった音質にする必要 囲気を意識したからなんです︒逆にコ 本誌読者ならば要注目の存在である︒ なっています﹂ ︵兒玉常利︶ にしたいという気持ちもありました﹂ 〟など全8曲︒タイトル曲と〝愚 〝 3.11 今作は東日本大震災をモチーフにした としてのスタイルを明確 DEATHROLL かけなんです﹂ をスタートさせるきっ DEATHROLL 表していきたいと思ったのが︑ にも収録︒それぞれ音質が違うこだわ りようだ︒ 脱退したことから︑元 るものの︑決して主張や攻撃的な姿勢 してリズムもズラし︑苦しみぬいた感 ﹁灰となって気力は果て︑苦痛を感じ 情を曲調に表現しています︒コンピと 中心に活動を続け︑シューマンなどの の山下潤一郎が助っ人に︒日高︑菊池 つつ︑ダークでブルータルなサウンド たくないヴォーカルスタイルも苦しむ 音質が違うのは︑アルバムはひとつの クラッシック音楽家からの影響もあり るさい︑速い︑熱い だ …けど︑今回は を追求している︒ 感情を表現しています︒実を言うと 作品としてプリミティヴブラックな雰 ASPARAGUS 少々明るくしようと︒初フル作﹃ SAD ︶︑越川和磨︵g 篤︵g /元 Fed MUSIC ﹁たとえネガティヴで聴き苦しい楽曲 ファースト︵2012年の﹃荒涼﹄ ︶に 体験を楽曲化︒あえてハーモニーを崩 /元毛皮のマリーズ︶︑後藤裕亮︵g / だったとしても︑それを自分の中だけ はさまざまなタイプの楽曲があったた ﹁まさに〝 3.11 〟は東日本大震災の実 ︶︑高地広明 元 LOCAL SOUND STYLE に留めておくのはもったいない︒一般 をやめない︒そういった強さを思い描 ﹄ ︵2013年︶のときは怒り BLOOD ︶の大所帯 ︵ /元 SHENKEY GUNS 的ではない奇想天外な代物でも貫いて ︵有島博志︶ きながら作曲しました︒歌メロのまっ しかなかった︒ BEAT CRUSADERS 6人が繰り出すやや明るめな轟音を伏 VOMITING ︵ビークル︶を成しとげられなかった怒 して待て! WITH りや︑東日本大震災をめぐる行政への じゃなく︑明るく怒る方向に︒それっ てビークルでやれなかったことのひと つなんです﹂ 年代後半から解散の2010年まで それこそ4月リリースの2枚目のアル DEATHROLL に新たなポップカルチャーを創り出し たビークルの解散後︑2012年に日高 が始めたのが︑この THE STARBEMS だ︒今日までに前出フル作とシングル ﹄ ︵2013 ﹃ FUTURE PRIMITIVE e.p. ﹄ 年︶︑ ﹃ ULTRA RENEGADES e.p. のテーマは﹁ストレンジなもの︒ヘン ︵2014年︶を出している︒ビークル なものがお茶の間に流れる瞬間って楽 しかったじゃないですか︑昭和のこ THE ろ︒それの平成版になれたらイイな と﹂いうものだったが︑ では日高の音楽ルーツに STARBEMS 立ち返り︑ ﹁はみ出し者のサントラ﹂に ベクトルを向けた︒パンク/ハードコ アが勢いよく疾走し︑心地よく駆け抜 ける︒それと並行して聴く者をグイッ と手繰り寄せるキャッチーな響きも忘 れない︒ 結果︑笑いながら怒らないと伝わらな ﹁初フル作のあと︑いろんな経験をした いなと︒竹中直人さんの︑あのパンチ 力︑破壊力って︑逆に普通に怒ってい THE STARBEMS ds MARATHON 怒り︒今回はその怒りを和らげるん 想や世界︑美学も濃密に息づく︒ のメタル/アンビエントなソ KAZU は作詞︑作 DEATHROLL し︑初フル作発売後にメンバーチェン も脱 RYO 月 が初 WAGDUG FUTURISTIC UNITY が加入し︑もともとはト ILL DES PINS 13 新作制作に入る直前に寺尾順平︵b︶が pics by M.Mizuguchi (stage) & Days EXTREME ROCK 10 T.C.L Vanishing リプルヴォーカルだったが ﹄を City の日高 央︵ ︶が言う︒ THE STARBEMS の ジも経験した︒ BITCH ︵b︶に代わって ﹁ TORUxxx ︵g ︶と KENJI が大まかな 15 7年経ち︑やっと作品を作ろうか的な 05年に始め︑の ん び り や る う ち に ﹁もともと横浜の仲間たちと遊びで20 を擁する T.C.L が︑次 YAMADA ﹃ Tremendous Classixx ﹄を振り返った︒ 〝 NEW BEGINNING 〟 〝 RAISE UP 〟が しかし︑言うが易し︑やるが難しだ︒ 85 を繰り広げ︑ジミー・ウィルキンス︑ 84 感じだった︵笑︶︒そういう意味では今 本 こ 枚目のフル作﹃ 12 ﹁これまでの方向性と基本は一緒︒う vo 11 27 October - November 2014 October - November 2014 26 W 80 2 90 OUT OUT NOW 10.15 OUT OUT 10.8 10.22 アマランス アンセム 『BRAVE NEW WORLD Tour 2014 -9 Cities- KEN YOKOYAMA 『アブソリュート・ワールド』 10.15 OUT NOW ジェラルド・ウェイ 『マッシヴ・アディクティヴ』 ANGRY FROG REBIRTH OUT OUT NOW OUT NOW 『横山健 -疾風勁草編-』 isolate 『ヘジタント・エイリアン』 スリップノット 『ヒビノコト』 『.5:ザ・グレイ・チャプター』 スクリーム担当のアンディの脱退により、新メ マイ・ケミカル・ロマンスのフロントマンによ 東京を拠点とするisolateの初フル作は、壮絶 ついにスリップノットが帰ってくる。フルアル ンバーとしてヘンリクを迎えてレコーディング る11曲入りソロデビュー作。早々と公開された だ。これまでのEP等で確立した、ブラックメタ バムとしては、『オール・ホープ・イズ・ゴー された、3作目となる新作。ジェイクとエリーセ デモ音源からある程度予測していたが、想像以 ルやポストロックの要素を含む、激情ほとばし ン』以来6年ぶりだ。まずアルバムタイトルに、 による男女クリーンヴォーカルはますますポッ 上にジェラルドのブリットポップ愛にあふれた るカオティックなハードコアを、より突き詰め 2010年に急逝したポール・グレイ(b)の名前 TOUR FINAL Live at SHIBUYA CLUB QUATTRO』 22年ぶりに森川之雄(vo)を迎えての約2年ぶり 日本を代表するパンクロッカーの半生を辿った プさに磨きをかけ、ヘンリクも攻撃性を剥き出 作品だ。マイケミ結成前のアートスクール時代 た内容であることは間違いない。が、次元が違 が入っているのが、泣かせる。が、アルバムの 初の映像作品で、今夏の全国ツアーより最終日 の新作。柴田直人(b)が病気を経たこともあり、 ドキュメンタリー。2010年頃から4年間、横山に しにしたスクリームで、存在感たっぷりに暴れ にリアルタイムで聴いてハマっていたものの、 いすぎる。ブラストビートが暴風雨のように吹 内容は、そんな感傷を無慈悲に打ち砕く。とに の模様を収録。AFR版ウォール・オブ・デスの 4人が一丸となってのブランニューな意気込みが濃 密着した貴重な映像とともに約2時間、生い立ち まくる。トリプルヴォーカルが絡み合いながら 独自のサウンドを築き上げるために封印してい き荒れ、周囲のものを手当たり次第になぎ倒し かく暗く、そして重い。楽曲の展開、リフ等、 始まるド真ん中にカメラが入っていくなど、映 密。緩急の妙とともに飽くなき野心がスリリング からハイスタの挫折、AIR JAM復活まで、とこ 昇華していくその独自のスタイルは、メンバー たUKロックからの影響を、バンド解散を機に解 ながら爆走していくさまは、圧巻の一言。その 各パートの組み立て方は『Vol.3:(ザ・サブリ 像はメンバーや観客の瞬間瞬間の感情に肉薄。 に息づき、ジャンルとしてはもちろんメタルなの とん赤裸々に語りたおす横山の言葉の力に圧倒 チェンジ後も崩れることなく、より高揚感のあ 禁したといったところか。かといって、マイケ なかで、鋭いトレモロが紡ぎだすメロディと血 ミナル・ヴァーシズ)』に近い。しかし、飛び さらに切り替えの速い編集で、当日の熱狂と感 だが、フラットな姿勢でバンドの可能性を最大限 される。カップリングのCDにはメッセージ色の るものに。メタルとダンスミュージックが融合 ミの呪縛を一掃するわけではなく、プロデュー を吐く様なヴォーカルが、美しいけれど重苦し 道具的なノイズやサンプリング、ブラストビー 動をスリリングな に追求した痛快作に。 濃い新曲 Stop The World を収録。 OUT したハイブリットなメロディックメタルサウンド サーはマイケミで仕事をしてきたダグ・マッ く、切なささえ伴って胸を締めつける。余計な トとともに吐き出される、口汚い怒号、それら DATE もしっかりアップデート。ヘッドバンギング必 キーンだし、アクアバッツのイアンやゲット・ 枝葉を削ぎ落とすことで楽曲がコンパクトに をひとつにまとめた整合感と、これまでの作品 至のヘヴィナンバー Dynamite 、思わず踊り アップ・キッズのジェームズなど旧知のアー なったぶん、もともと内包していた攻撃性と殺 すべての要素を集約させている。そこにグロテ たくなるダンサブルな Drop Dead Cynical ティストの力を借りており、弟のマイキーも 気、情感がむき出しになっているのだ。それら スクなホラー映画を思わせるSEを塗りこませる など、今後彼らの代表曲として、ライヴでも人 バッキングコーラスで参加しているらしい。実 が徹底的にこだわり抜いた、立体的かつ奥行き ことで、地下から腐臭が立ち上ってくるかのよ 気の定番になることだろう。すべての楽曲が3分 にのびのびと、今やりたいことを楽しみながら のあるサウンドメイキングによって、余すこと うだ。鬱々と、混沌とした空気感には、恐怖さ 台というコンパクトさも健在だが、展開もしっ 突き詰めているといった印象だ。一時期、曲が なく封じ込められている。聴けば聴くほど、細 え感じる。11月にはノットフェス・ジャパン かりと練られていて、飽きさせない。デビュー 書けなくなるほど落ち込んでいたとは思えな 部まで緻密に計算された音のディテールが見え 2014のために日本の地を踏む彼ら。これを書い から3年、作品ごとにしっかり成長ぶりを見せつ い、ポジディヴに弾けるポップでカラフルなサ てくるはず。ただしライヴで発せられる殺気 ている時点で、メンバーの詳細等、明らかに けてくれる、彼らのポテンシャルの高さに驚か ウンドに、 「おかえり!」と涙するマイケミファ は、音源の比ではない。www.grindhouse.jpに なっていないことは多いものの、本作はスリッ されるばかりだ。 ンも多いはず。日本盤はボーナストラック1曲を 掲載のインタヴューもチェックしつつ、ライヴ プノットが起こすマジックがまだまだ衰えてい 追加収録。 で戦慄してほしい。 ないことを証明する衝撃作だ。 作品 に。筆者もその場に いたが、新たな感慨とあのときの興奮が交錯。 (兒玉常利) Live Power Creative:LPCD-0004 (兒玉常利) ユニバーサルインターナショナル: (山口智男) PIZZA OF DEATH RECORDS:PZBA-9 初回限定盤UICN-9026、通常盤UICN-1067 OUT OUT NOW 10.22 OUT NOW IMPORTED (松並慎一郎) (権田アスカ) Now Printing ユニバーサルインターナショナル: MEANING ROACH 2CDスペシャル・エディションWPCR-16130/1、 通常盤UICN-1066 通常盤WPCR-16122 『ロイヤル・ブラッド』 沖縄出身の4人組による3曲入りシングル。5曲入り イギリスから登場した、ベース/ヴォーカルと OUT 以上に日本語詞、そして歌心に力を注ぐことで、 EP『GET MORE!!』より1年ぶりの新音源だ。前 ドラムによるユニットのデビュー作。異色な編 10.15 ドラマ性の高いメタル/ハードコアにさらに磨き EPで思いっ切り際立たせたキャッチネスを引き 成ながら、粗暴で土臭いリフ、無骨なドラム、 をかけている。メロディそのものも、ポジティヴ 続き生かしつつ、ヘヴィなところはヘヴィに、ブ 吐き捨てるようなメロディをひたすら叩きつけ かつ力強い明るさを感じさせる。FC FIVEに捧げ ルータルなところはブルータルにと両要素を共存 る楽曲は、気迫も音圧も充分。ぶっきらぼうだ た Not Fucking Dead をはじめ、曲ごとの 共栄させた、そのバランス感に響く。曲それぞれ けど、どこか親しみやすいサウンドが、一度耳 テーマにもぜひ耳を傾けたい。 の尺もよく、わかりやすい。 にへばりついたらなかなか離れない。 (有島博志) One-Coin records / BULLSHIT RECORDS:ONECO-15 OUT ワーナーミュージック・ジャパン:WPCR-15899 IMPORTED 10.22 IMPORTED Now Printing WANIMA ANTI-FLAG 『Can Not Behaved!!』 CORROSION OF CONFORMITY 『A DOCUMENT OF DISSENT』 『IX』 メロコア/スカパンク/ハードコアが渾然一体 反ファシスト、反戦、反国家主義を掲げるピッツ ノースカロライナ出身のスラッジバンドの通算 となった高揚感もさることながら、日本語にこだ バーグ出身の4人組パンクバンドの、結成20年の 9作目。グルーヴ感溢れるドゥームメタルを鳴ら わった歌がその存在を輝かせている。期待の3人 軌跡を追うベスト盤が古巣のファットから発売に。 しているが、地を這うようなヘヴィさだけでは 組がピザ・オブ・デス・レコーズからリリース インディーズはもちろん、メジャー所属時のアル なく、ときにパンキッシュに疾走し、原点とも する1stミニアルバム。懐かしさと親しみやすさが バムからも選曲された26曲を発表順に収録。 いえるハードコアな一面も垣間見せる。パンクも 織りなすメロディの魅力はJ-POPファンも含む キャッチーなメロディに乗る一貫した熱いメッ スラッシュも吸収した3ピースから放たれるその 幅広いリスナーから歓迎されそうだ。 セージを、改めて受け止めたい。 サウンドは、豪快かつ変幻自在だ。 (山口智男) (権田アスカ) LOKA 『KAGERO IV』 28 October - November 2014 FAT WRECK CHORDS:FAT921-2 SiM 『QUATTRO』 イエローカード 『i AGAINST i』 『リフト・ア・セイル』 まるで、ぶん殴るような音である。ジャズとパン Vol.85にも書いた、LOKAの2枚目のフル作が発 快進撃が止まらないSiMが結成10周年を迎え、自 「速い曲はない」なんて噂もあったようだが、フタ クの鬼っ子、KAGEROによる4作目のフルアルバ 売された。カリフォルニア州南部ロングビーチに らのルーツである レゲエ×パンク というテー を開けてみれば、緩急のメリハリをつけた曲の ムは、全方位的に振り切った作品だ。彼らが初期 拠点を置き活動していたSupeのキャリアを2010年 マに改めて真正面から取り組んだミニアルバムを 数々が、あいかわらず青いライアン・キーの歌声 から貫いてきた、圧倒的な馬力と熱量で突き進む 秋に無期限の休止とした2年後より始動した、 リリース。レゲエ×パンクと言ってもハードコア とは裏腹にバンドの成熟を印象づけるイエロー サウンドは今回も健在。だが、今回の音には確信 Kihiro(vo)のリーダーバンドの新音源だ。当初の あり、ミクスチャーあり、ダブステップあり、メ カードの9作目のアルバム。前作はなんと、全米 が宿っている。というのも、長らく流動的だった 音源、デビューEP『 01 -zero one-』 (2012年)、 タルあり、バラードありとミニアルバムという 10位を記録。その結果が自信となって、メン ドラマーの座に、萩原朋学が正式加入。この編成 初フル作『EnFLAME』 (同)こそ、エレクトロ フォーマットの特性を生かして、あえてヴァラエ バーたちにファンにおもねらない曲作りをさせた での再録ベスト盤やカヴァー集の制作、そして ビートから感じられるクレイジーさ、ヴィジュアル ティに富んだ曲作りに挑んだことを想像させる6曲 のか。今年の夏はワープド・ツアー全公演でメイ USツアーを経ることで、バンドのさまざまな面 面などでの妖艶さが時折、バンドの本質を覆い隠 が収録されている。自らのルーツに改めて取り組 ンステージに立ったそうだ。新作の充実ぶりと考 を見直すことができたようだ。ボカスカとパワフ してしまうことになり、正直それが鼻につくこと んでも、単なる原点回帰で終わらず、前進を続け えあわせると、バンドのコンディションは過去最 ルなドラムと、早口でまくしたてながら暴れ回る もあった。Kihiroは才能と力量を兼ね備えたシン るバンドの姿をアピールした作品になっていると 高と言ってもいいだろう。ギターをかなりひずま ベースを土台に、耳をつんざくようなサックスと ガーであり、フロントマンである。そこが100% ころに、メンバーたちが常に未来を見据えている せているせいか、やや重苦しい前半の印象は、ダ ピアノが空気を引き裂き、メロディで琴線を揺さ 発揮されていなかった。だけど、今作ではそれが ことが窺え、頼もしい。曲ごとに趣向を凝らした ンサブルなM4から一気に変わる。そのあとには、 ぶってくる。ギターとヴォーカルという、ロック これ見よがしに大開花し、魅力、説得力と相まって アレンジが聴きどころにはちがいないが、そうい フォーク、ピアノバラードも含む幅広い曲が並ん における必殺武器がないにも関わらず、ここまで ダイレクトに放たれる。メロディのフックの強さ、 う曲の数々がどれもシンガロング、あるいは2ス でいるが、もちろん、M7、M9、M10といったラ 攻撃的で破壊的な音が出せるのだ。とはいえ、た 曲のよさ、作風の流れのポイントを的確に押さえた、 テップを誘う、ある意味キャッチーなフレーズを イヴ映えが確実なアップテンポの曲も収録されて だ激しいばかりではなく、親しみやすいポップな クオリティが高く良質なヘヴィロック作に仕上 フィーチャーしたものになっているところが、常 いるので、新作の内容を心配していたファンもご 側面もあり、ゆったりと柔らかなメロディも強 がった。センスがあり、非常によくできている。 にライヴを主戦場と考え、活動を続けてきた彼ら 安心を。プロデューサーはおなじみのニール・ア 調。ロックとは? ジャズとは? そんな古来よ 日本語詞にも挑戦しているものの、違和感は皆無。 らしい。日本のラウドロックシーンをリードする ヴロン。バンド再始動のきっかけを作ったドラ り続く論争を真正面から叩き壊す、KAGEROが 90年代後半から2000年代前半に一世を風靡した 存在に成長しても、SiMの挑戦は終わらない! マー、LPが不参加なのは残念だが、アンバーリ 打ち立てたニュースタンダードがここにある。 USヘヴィロック直系というのも◎だ。必聴! (望月裕介) ンのネイト・ヤングがその穴を見事埋めている。 (山口智男) (有島博志) (山口智男) (松並慎一郎) Ragged Jam Records / KADOKAWAメディアファクトリー: PIZZA OF DEATH RECORDS:PZCA-69 OUT IMPORTED 10.8 IMPORTED OUT NOW OUT NOW (望月裕介) KAGERO PIZZA OF DEATH RECORDS:PZCA-68 (望月裕介) ワーナーミュージック・ジャパン: DVD付限定デラックス・エディションUICN-9025、 限定シングルを経ての、新ミニアルバム。これまで (望月裕介) KEEP AND WALK RECORDS:KAW-7 ロイヤル・ブラッド 『CALL ME LAZY』 『150』 ワーナーミュージック・ジャパン:WPCR-15874 (望月裕介) Candlelight Records:CANDIE426CDSE クロスザリミット:CTLR-1011 EMI RECORDS:UPCH-27004 KICK ROCK INVASION:EKRM-1296 RAGC-007 October - November 2014 29
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