☆ トピックスベイエリアを中心とした東京変貌の可能性に期待～東京五輪・特区を追い風に～作成者：坂入晶子 9 月 8 日朝 5 時 20 分頃、テレビを見ながら歓声を上げた方も数多くいることでしょう。「2020 年夏季東京五輪決定」のニュースは関東一円に住む人々を始め、日本全体に元気を与えてくれるニュースとなりました。49 年前の東京五輪を体験した方は、当時の賑やかさを思い出したでしょうし、体験していなくても、7 年後に期待を馳せることでわくわくとした気持ちになったことでしょう。招致委員会のプランでは五輪の会場は既存の施設を活かしつつ、いわゆる臨海副都心エリア（ベイエリア）に選手村を始めとして会場を新設します。注目のこのエリアは五輪の他にもアジアヘッドクォーター特区（以下で説明）の一角でもあり、今後大きく変貌する可能性に期待が高まります。 ◆ 2020 年東京五輪開催決定！東京都が試算した 2020 年東京五輪の経済波及効果は 2013 年～20 年の間、全国で約 3 兆円と言われています。これには競技場の建設費や観客の消費支出は含まれていますが、道路整備などの費用は含んでいないようです。実際の効果のほどはわかりませんが、東京五輪が決まったことで、お金・人・モノが大なり小なり動き出すことは確実。アベノミクスの追い風になるであろうことは言うまでもありません。五輪のメーンスタジアムは全面建て替えが予定されている国立競技場（新宿区）。総工費約 1,300 億円、工期は 2014 年 7 月～2019 年 3 月までとされており、大手ゼネコンである大成建設（1801）、大林組（1802）、清水建設（1803）、鹿島建設（1812）などには注目が集まりそうです。また、選手村ほか各競技場の建設予定地とされている東京湾の臨海副都心エリアの開発は今後一段と進むことが予想されます。恩恵を受けると考えられる主な企業は、「ららぽーと豊洲」など豊洲地区の土地を保有しているＩＨＩ（7013）、このエリアで超高層マンションを建設・計画している三井不動産（8801）、三菱地所（8802）、住友不動産（8830）など大手不動産会社、東洋建設（1890）など「マリコン」と呼ばれる海洋土木各社です。また、最近では 8 月 30 日に都市開発機構（ＵＲ）から有明の土地 3.6 ヘクタールを大和ハウス工業（1925）が落札するなど、その他の企業でも関心の高いエリアとなっています。 ◆アジアヘッドクォーター特区・国家戦略特区で変わる東京アジアヘッドクォーター特区とは、アジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点のより一層の集積を目指し、新たな外国企業誘致プロジェクトを実施する特区として東京都が提案し、2011 年 12 月に国より指定を受けた特区です。新たに特区内に進出する外国企業に対し、税制優遇を始め、規制緩和や財政・金融支援のメニューを用意し、従業員とその家族が安心して生活できるよう、生活環境・ビジネス環境の整備も推進していく予定となっています。このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致します。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。 ☆ トピックス誘致目標は 2016 年までにアジア地域の業務統括拠点・研究開発拠点 50 社を含む 500 社以上としており、それに向けた取り組みが進行中です。まだ課題は多いものの、今回の五輪開催がこうした国際競争力向上の施策を後押しするのではないかとの期待が関係者の間にも広がっているとの声も聞かれます。アジアヘッドクォーター特区は主に 5 つの地域に区分されており、それぞれ下図に示したように「東京都心・臨海地域」、「新宿駅周辺地域」「渋谷駅周辺地域」「品川駅・田町駅周辺地域」「羽田空港跡地」となっています。この特区内では様々な再開発計画などが持ち上がっており（一例は以下で紹介）、注目を集めそうです。 ≪特区内で計画・構想されている再開発など≫ （出所）各種報道・資料より当社作成（9 月 12 日現在） ※以下に記載したのはほんの一例です「羽田空港跡地」 ☆ 「羽田グローバルアライアンスセンター（仮称）」を整備 ☆ 羽田・成田の年間発着枠の拡充（2014 年度中に約 75 万回）からの一段の増枠 ☆ 羽田の国際線ターミナル拡張・増設、新設（出所）東京都のアジアヘッドクォーター特区公式サイトより「東京都心・臨海地域」 ☆ 丸の内地下に新東京駅（羽田と成田を結ぶ新路線）「品川駅・田町駅周辺地域」 ☆ 品川－田町間に山手線新駅 ☆ 芝浦水再生センターの再構築・上部に複合ビル、外構には緑地を整備 ☆ リニア中央新幹線起点上記に挙げた計画・構想では主に、京浜急行電鉄（9006）、京成電鉄（9009）ＪＲ東日本（9020）など電鉄各社や、それぞれのプロジェクトの共同事業会社、大手不動産会社、その他にも周辺土地持ち会社、建設会社など様々な関連銘柄が考えられます。また、アベノミクスの成長戦略の一環として、国家戦略特区創設の準備も進められており、東京都の猪瀬知事は 7 月の記者会見で「アジアヘッドクォーター特区はいずれ国家戦略特区に名称が変わっていくと思う」と述べているようです。東京からはしばらく目が離せない状態が続きそうです。 ◆ＩＲ推進法案（通称：カジノ法案）、臨時国会提出か？ 2013 年 10 月中旬にも召集される予定の秋の臨時国会に、提出が見込まれているＩＲ推進法案。これはカジノ併設の総合型リゾート（ＩＲ）を推進するための法案で、提出されれば成立する可能性が高いと言われています。この法案は 2 年以内にカジノ実施に必要な法制を整えることを政府に求める法律となっており、成立すれば、16～18 年度には日本にカジノが誕生する可能性があります。都内で有力候補として挙がっているのが、臨海副都心エリアのお台場地域と羽田周辺地域。ＩＲ推進法案の行方とともに、関心の高いエリアとなりそうです。以上のように、今後東京は大きく変貌する可能性を秘めています。東京五輪決定をきっかけとして、ますます変化に拍車がかかると考えられ、関連銘柄の動向には注目が集まりそうです。このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致します。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。