地学 小出良幸 第3講 はかる:宇宙の記述のしかた http://ext-web.edu.sgu.ac.jp/koide/chigaku/ ▼ この世をつくるもの 1 この世は、何からできているか 基本的構成要素 空間、時間、物質、エネルギー 力(相互作用) 空間・時間 2 「この世」 (宇宙)の 基本的構成要素 物質 ・時間と空間 力 E=mc2 (相互作用) ・物質とエネルギー E=mc2 エネルギー ・力(相互作用) 重力、電磁気力、強い力、 図 1 この世の基本要素 弱い力) ▼ この世を、どうはかるか 1 はかった数の表しかた 小さなもの 大きなもの 多数の単位 2 ひとつの単位で:1 koide ・大きな数字や小さな数字を表すことが大変 ・単位の基準を正確にしなければならない 3 すべてを一つの単位で表す方法:指数 問題:大きな数、小さな数を簡単にあらわす方法 4 正確さを表す方法:有効数字 問題: 「1 koide」は、正確か。 E-mail: chigaku2016@ykoide.com 6 物質量:物質の量をはかる モル(mol) 1 mol「0.012 kg の 12C に含まれる原子の等しい数 の構成要素を含む系の物質量」 7 電流:力と物質の関係をはかる アンペア(A) 1 A「真空中に 1 m の間隔で平行におかれた無限に 小さい円形断面を持つ無限に長い 2 本の直線状導 体のそれぞれをながれ、これらの導体の長さ 1m ご とに 2×10-7 N の力をおよぼし合う一定の電流」 8 光度:物質のエネルギー状態をはかる カンデ ラ(cd) 1 cd「周波数 540×1012 Hz の単色放射を放出し所 定の方向の放射強度が 1/683 W・sr である光源のそ の方向における光度」 9 単位の依存関係 光度 周波数と放射強度 仕事率 W 長さ 時間 光速と時間 Cs の周期 温度 質量 電流 キログラム原器 無限と力 力 N H2O の三重点 物質量 12C の数と質量 ▼ この世のつくり プランク点 クォークのレベル クォーク 10-38kg 原子核 1.7×10 -27kg 90 ブ ラ ッ ク ホ ー 筋 道 た き て っ ど た の 宙 宇 70 10 density (kg/m3) ▼ 基本単位 1 基本単位 問題: 「koide」という単位が、いつでも、だれでも、 どこでも、正確に決定できるか。 基本単位 SI 系 時間、長さ、質量、電流、温度、 物質量、光度 組立単位 2 時間:時間をはかる 秒(s) 1 秒は、「セシウムという元素(133Cs)の発する放 射の 91 9263 1770 周期の継続時間」 3 長さ:空間をはかる メートル(m) 1 m「光が真空中で 1/(2 9979 2458) sec の間に進 む距離」 4 質量:物質の量をはかる キログラム(kg) 国際キログラム原器 5 温度:物質のエネルギー状態をはかる ケルビ ン(K) 1 K「水の三重点における熱力学的温度の 1/273.16」 10 50 10 原子のレベル 原子1.7×10-27kg 水分子3.1×10-25kg 人間 6×10 1kg 地球 6×1024kg 太陽 2×1030kg ル の 領 域 ρ R2 ∝ 10 2 1030 クォークのレベル 星のレベル 太陽系 10 34kg 球状星団 10 36kg 銀河 10 37kg 銀河団 10 45kg 泡構造 10 46kg 宇宙 10 53kg 4 kg /m 3 中性子星 2.4×10 30kg 白色矮星 2.8×10 30kg 1010 原子のレベル 人類 地球 太陽 -10 10 星のレベル 現在の宇宙 -30 10 10 -35 10 -25 10 -15 10 -5 10 5 10 15 10 25 size (m) 図 2 この世のすべての物質 ▼ レポート 10 月 27 日 24 時(締切り厳守) 第 1 回テーマ 地球が自転していることを示す方 法を考えなさい。 レポートはメール(携帯の E-mail でも可)また は、紙でも可。レポートには、氏名、学生番号、テ ーマを忘れないようにしてください。 地学 小出良幸 第3講 はかる:宇宙の記述のしかた http://ext-web.edu.sgu.ac.jp/koide/chigaku/ E-mail: chigaku2016@ykoide.com ▼ 前口上:その夢の価値観は自分の本音で決める 後悔しない人生の選択の方法 選択の時の方法として、重要なのは、後悔しない方法で行うこと。サイコロを転がしたり、友人につら れては判断したりするのは、もしうまくいかなったとき、一番後悔する選択となる。後悔しないためには、 情報を集め、自分の夢や適正、好みを元に、選択をする。そのためには、自分をよく見つめて、自分をよ く知る必要がある。 ▼ この世をつくるもの 1 この世は、何からできているか 前回の講義で「この世」とは、何かを考えた。 「この世」とは、広義としては「宇宙」を意味していると いう結論にたどりついた。 「この世」を、記述するにはどうすればいいかを考える。 「この世」には、いろいろなものがある。 銀河、星、地球、生命、人類、私、あなた、など、 宇宙に存在するすべてものから、「この世」はできている。「この世」は「多様である」では、この世が何 からできているかという、疑問に対して、答えは出ない。 もし、 「この世」のすべてのものは、いくつかのものからできるというものがわかれば、そのものだけを 詳しく調べれば、少ない労力で、効率的に「この世」をつくるものを示すことになる。そのようなものが あるとしら、それらを、 基本的構成要素 とよぼう。 では、 「この世」の基本的構成要素などというものは、本当にあるのか。あるとすると、それは何か、と いうことについて考えていく。 その「この世」=「宇宙」にたどりつく過程で、基本的構成要素の候補になりそうなものが、いくつか でてきた。 前回の講義で、 「この世」を調べたとき、理化学事典には「宇宙」は、 「存在する限りの全空間、全時間およびそこに含まれている物質、エネルギーをいう」 とあった。これは、この世を構成するものを示している。 つまり、 空間、時間、物質、エネルギー が基本的構成要素の候補として考えられる。 その他に、重要なものがある。それは、物理学が解き明かそうとしてきた歴史の中に答えがある。 ケプラー、ニュートン、アインシュタインへとつづく物理学は、物体の運動をより正確に記述すること を目指した。近代物理学は、物質と力(あるいは相互作用)による運動を正確に記述することを目指して きたことがわかる。 ここで出てきた運動とは、物質と力によって引き起こされる現象である。運動は、基本的構成要素には ふくめなくてもいい。なぜなら、物質と力(あるいは相互作用)があれば、現象である運動が表現できる からである。したがって、 力(相互作用) が基本的なものとして抽出される。 以上のことから、基本的構成要素の候補として、 空間、時間、物質、エネルギー、力(相互作用) があげられる。 2 「この世」 (宇宙)の基本的構成要素 空間、時間、物質、エネルギー、力(相互作用)という候補が、 それぞれ別々に存在し、それ以上、ほかの基本的構成要素に分解できないものかどうかを、調べる。 ・時間と空間 時間と空間の 2 つは、 「この世」を定義するときに使ったもの。だから、時間と空間は、これ以上分解も できないし、他の要素で、つくることもできない。このような状態のことを独立(どくりつ)という。 時間と空間は、基本的構成要素といえる。 空間・時間 物質 E=mc2 力 (相互作用) エネルギー 図 1 この世の基本要素 ・物質とエネルギー アインシュタインは、エネルギーと物質とは等しい(等価)であることを示した。 それは、 E=mc2 という有名な式。ここで、E はエネルギー、m は質量、c は光速。 ・力(相互作用) 力は、物質同士の相互作用を意味する。つまり、物質と力(相互作用)は、お互いに単独には、存在し 得ない。物質と力は、二つで一つの基本的構成要素というべきもの。 「この世」の力(相互作用)には、4 つの種類があることがわかっている。 重力、電磁気力、強い力(相互作用) 、弱い力(相互作用) 重力 宇宙全体の構造から、天体、原子までの大きな物質に作用。ある素粒子が関与している可能性があるが、 まだ発見されていない。 電磁気力 分子や原子のサイズのものに作用。ある素粒子が関与 強い相互作用と強い相互作用 原子や素粒子の小さいサイズのものに作用ある種の素粒子が媒介、関与していることがわかっている。 物質、エネルギーと力は、全体として基本的構成要素ではあるが、それぞれ切っても切れない深い関係 にある。その切っても切れない深い関係を解き明かすことが、物理学という学問の重要な目的。 基本的構成要素をさぐることから、時間と空間という宇宙において、物質、エネルギー、力(相互作用) という関係を解き明かすことという物理学の目的にまでたどりついた。 ▼ この世を、どうはかるか 1 はかった数の表しかた E=mc2 という式がでてきた。でも、この式が正しいかどうか、確かめるためには、数字をいれてみるのが 一番。この式に当てはまるようなできごとや現象をさがし、c と m を観測し、実際に測定して、データ(値) を求め、そのデータを式に入れてみる。 観測するためには、はからなければならない。つまり、この世の仕組みを解き明かすには、はからなけ ればならないのである。 つぎの、そのはかり方を考えていく。 小さなもの 空間や物質を観測するときを考えてみる。まず空間や物質の距離や大きさを、はかる場合がある。 身長や草木は、1 m、2 m という値。 小さいもの、虫なら 1 cm、2 cm という値に、 砂粒なら 1 mm、 細菌なら 1μm、 原子なら 1 nm、1Å(オングストローグ) 、 などというあらわし方を、必要におうじて使いわける。 大きなもの 逆に大きなものは、駅から徒歩 10 分なら 1 km、惑星の距離を考えるときは 1 AU(天文単位)、ほかの恒 星までの距離を考えるときは、光が一年間を要して進む、長さや距離である 1 光年というあらわし方をし たりする。大きさについては、nm から光年の単位があれば、この世のものが、すべてはかれる。 多数の単位 大きさ、長さをはかるだけで、 光年、AU、km、m、cm、mm、μm、nm、Å という単位を使った。日本では、これ以外に、寸、尺、間、里などという単位も使われていた。これ以外 にも、大きさ、長さを測る単位は、世界中でたくさんあるはず。 大きさ、長さをはかるだけで、これだけ単位がある。他の、たとえば時間、エネルギー、力、重さ、な どをさまざまな性質をはかるときは、それぞれの性質で、それぞれの大きさをあらわす単位をたくさん使 うはず。今までせっかく、単純化して「この世」をみてきたのに、これでは一気に複雑になってしまう。 2 ひとつの単位で:1 koide それを解決するためには、一つの基本要素をあらわすのに、一つの単位だけを使うということにすれば いい。 長さは、例えば、 「koide」という単位を決めて、すべてそれであらせばいい。 1 koide とは、私の身長を基準として 1 にする。 単位は「koide」で解決するが、2 つの問題がある。 ・大きな数字や小さな数字を表すことが大変 一つの単位しか使わないと、大きな数や小さな数では、ゼロがいっぱいならんで、めんどくさい。 ・単位の基準を正確にしなければならない 「koide」という単位が、いつでも、だれでも、どこでも、正確に決定できるようにしておく必要がある。 その問題を、解決しなければ、一つの単位方式は、逆に、使いづらくなる。 3 すべてを一つの単位で表す方法:指数 問題:大きな数、小さな数を簡単にあらわす方法 10 のなん乗という考え方。 1000 koide と 0.0001 koide を、指数を使ってあらわす。 1000 koide は、1×10×10×10 koide 10×10×10 を 10 の 3 乗 実際の書き方は、1×103 と書く。 1000 koide は 1×103 10000 koide は 1×104 koide ゼロの数だけ、乗の数になる。これで、どんなに大きな数でも使えるようになった。 小さな数 0.1 は、10-1 と書く 0.0001koide は、1×10-4 koide 小さい数でも、規則は同じで、ゼロの数だけ書けばいい。 ここでは、1000 とか 0.0001 というキリのいい数だけをつかった。はんぱな数、例えば、12345 koide と か、0.12345 koide はどうするか。 それも、むりやり 10 の何乗というかたちで書くことに決めてしまう。 12345koide は、1.2345×104 koide 0.12345 koide は、1.2345×10-1 koide せっかく小数をやめたのに、また小数を使ってしまうのだが、この方式でどんな数でも一通りの方法で あらわせる便利さをとる。 さらに、この小数は、重要な役わりをもっている。それは、数の正確さをあらわしている。 1.000×103 と 1×103 は、数字で書けば、1000 というかたちになる。なのに、2 通りのあらわし方がある。 でも、そこには重要な意味が隠されている。 4 正確さを表す方法:有効数字 問題: 「1 koide」は、正確か。 じつは、1.000×103 と 1×103 とは、意味が違う。1×103 の 1 は、0.5 から 1.4 までの値を意味し、四捨 五入をして、1 になる値。1.000×103 の 1.000 は、0.995 から 1.004 までの値となる。 今までの数字のあらわし方では、数字の正確さをあらわせない。しかし、何乗というあらわし方で、今 述べたような約束にすると、数字の正確さも伝えることができる。この値は、なん桁までは正確です、と いう意味で、有効数字という。 指数を使えば、単位が一つで、どんな値、数値、数でも、正確にあらわすことができる。 ▼ 基本単位 1 基本単位 問題: 「koide」という単位が、いつでも、だれでも、どこでも、正確に決定できるか。 koide という単位は、長さの単位で、私の身長が 1 koide とする。私の身長を正確にはかれば、すむ。 私はいつでも koide という単位は使えるが、誰でも使えるものではない。私がいないところでは使えない。 私自身の身長も、朝と夜では違っている。koide は、不確かな単位といえる。従って、koide は使用できな い。 もっと一般的な長さの単位 m を使ったほうがいい。でも、1 m はどうして決めたのか。1 m は、物差し を使えばはかれるが、そのものさしの 1 m は、どのようにして決めたのか。 みんなが納得するものを使わなければならない。正確さも必要。必要とならば、有効数字がいくらでも 得られるものがいい。 以上のことから、基本的要素をはかるためには、次のような条件を満たすことが重要である。 ・ひとつの単位で示せること ・いくらでも正確にできること ・ 「この世」 、宇宙のどこでも、だれでも、いくらでも、いつでも、利用できること ・必要最低限ものだけ 「この世」の基本的要素の素性を知るために、はかる基準となる単位をきめておかなければならない。 できれば、今まで使っていたもので、大幅に変更がなく、経験に反さないものが望ましい。 基本単位 いままでは、MKSA 系や CGSA 系が、MKSA 系を拡大した SI 系とよばれるものに変った。1960 年、国際度 量衝総会で、国際単位系(International System of Units)が決められた。 さて、 「この世」の性質をあらわすのに、7 つの基本単位が必要 基本単位は、時間、長さ、質量、電流、温度、物質量、光度 組立単位 その他の単位は、7 つの基本単位で導き出すことができる。 「この世」のすべてのもの、現象、法則は、これらの基本単位と組立単位で記述することができる。 2 時間:時間をはかる 秒(second、s) 1 秒は、地球の公転速度。1 年から 1 秒を決めた 公転周期も正確でなく、ぶれやばらつきがあることがわかってきた。 1967 年以降、1 秒は、 「セシウムという元素(133Cs)の発する放射の 91 9263 1770 周期の継続時間」 現在 15 桁の精度で図ることができる。いい装置をつかうの 18 桁まであげられる可能性がある。 特徴:この世に共通の元素と回数(周期)を用いて決定している 3 長さ:空間をはかる メートル(meter、m) 1 m は、地球の北極から赤道までの長さ(子午線)の 1000 万分の 1(1×10-7)とされていた。 19 世後半ごろから、北極から赤道までの子午線が一定ではないことがわかってきた。1889 年以降は、光 速を利用。 1 m は、 「光が真空中で 1/(2 9979 2458) sec の間に進む距離」と決められ。 特徴:この世で不変の値である光速と時間を用いて決定している 4 質量:物質の量をはかる キログラム(kilogram、kg) 1889 年以前、1 kg は、 「1 気圧最大密度の温度における水 1,000 cm3 の質量」 それを基準に、原器とよばれる重さの基準となるものがつくられ、後に厳密に測定したところ、定義と原 器に違いがあることがわかった。実際使われていた原器を、質量の基準とされた。 1 kg は、フランスに国際キログラム原器というものがあって、それが 1 kg と決められている。 キログラム原器に基づいて準キログラム原器が 40 個つくられ、日本は 3 個ある。20 年か 30 年に一度、40 個の原器の精度を比べている。2014 年にあった。現在の天秤は 10 億分の 1 の差を測れる(10 桁) 。現在の キログラム原器は、5/10 億分/100 年変動していることがわかってきた。 新しい「1 キログラム」の定義は、2018 年に開かれる国際度量衡委員会の総会で決まる予定。 特徴:地球固有の、それも誤差のある値を用いている 5 温度:物質のエネルギー状態をはかる ケルビン(Kelvin、K) 理想的な気体では、気体の種類によらず共通の振る舞いをします。その振る舞いは、2 の法則で表され る。 ・ボイルの法則:温度が一定なら、圧力を 2 倍すると体積は半分になる。 ・シャルルの法則:圧力が一定なら、体積は温度が 1℃さがることに、0℃のときの体積の 1/273.15 ずつ 減る。 実際の気体は、この法則からずれていく。また、圧力が上がったり、温度が下がると液体や固体になっ たりして適用できなくなる。しかし、適用できるような仮想的な気体を、 「理想気体」という。 理想気体では、シャルルの法則から、-273.15℃で体積がゼロになる。この温度を「絶対 0 度」と定義す る。 摂氏 0 度は、絶対温度で+273.16 度になる。 こららの前提から、 1 K は、 「水の三重点における熱力学的温度の 1/273.16」 と定義された。 H2O は、一気圧(101325Pa)では 0℃で固体(氷)から液体(水)、100℃で液体(水)から気体(水蒸気) に変わる。 しかし、611Pa では、約 0.01℃で固体、液体、気体がすべて共存する条件がある。これを三重点呼ぶ。 その点を摂氏 0 度、つまり、273.16K と決める。したがって、その 1/273.16 が 1 K となる。 特徴:普遍的な定義 6 物質量:物質の量をはかる モル(mole、mol) 1 mol は、 「0.012 kg の 12C に含まれる原子の等しい数(アボガドロ数、6.022045×1023)の構成要素を含む 系の物質量」 特徴:質量を用いて定義している 7 電流:力と物質の関係をはかる アンペア(ampere、A) 1 A は、 「真空中に 1 m の間隔で平行におかれた無限に小さい円形断面を持つ無限に長い 2 本の直線状導体 のそれぞれをながれ、これらの導体の長さ 1m ごとに 2×10-7 N の力をおよぼし合う一定の電流」 特徴: 「無限に小さい」 、 「無限に長い」という概念、力の単位 N(ニュートン)は kg・m/s2 で質量を用いて いる 8 光度:物質のエネルギー状態をはかる カンデラ(candela、cd) 1 cd は、 「周波数 540×1012 Hz の単色放射を放出し所定の方向の放射強度が 1/683 W・sr である光源のその 方向における光度」 sr はストラジアンと呼び、(球の半径)2 に等しい面積の持つ球面上の面の中心に対する角度。これは長さに よる角度表現で、組立単位である。 特徴:周波数は回数だが、放射強度の単位は、仕事率(ワット W)が使われている。W は、kg・m2/s3 とあら わされる。 9 単位の依存関係 基本単位の一番の問題は質量である。 質量は誤差もあり、地球固有のものである。質量を正確に定義できれば、他のものも正確に定義できる。 質量の問題がある限り、この世の基本単位にはなれない。 光度 周波数と放射強度 仕事率 W 長さ 時間 光速と時間 Cs の周期 温度 質量 電流 キログラム原器 無限と力 H2O の三重点 力 N 物質量 12C の数と質量 「この世」をはかるためには、私たちの単位は、普遍性がないことが判明した。私たちの人類の智恵は、 現在のところこの程度である。 ▼ この世のつくり 「この世」の物質を、大きさと密度(質量と大きさの関係)で、みていく。密度は、質量を大きさで規 格化したものである。 プランク点 クォークのレベル クォーク 10-38kg 原子核 1.7×10 -27kg 90 10 筋 道 た き て っ ど た の 宙 宇 ブ ラ ッ ク ホ ー 70 density (kg/m3) 10 50 10 原子のレベル 原子1.7×10-27kg 水分子3.1×10-25kg 人間 6×10 1kg 地球 6×1024kg 太陽 2×1030kg ル の 領 域 ρ R2 ∝ 10 2 30 10 星のレベル 太陽系 10 34kg 球状星団 10 36kg 銀河 10 37kg 銀河団 10 45kg 泡構造 10 46kg 宇宙 10 53kg 4 kg /m 3 クォークのレベル 中性子星 2.4×10 30kg 白色矮星 2.8×10 30kg 10 10 原子のレベル 人類 地球 -10 10 太陽 星のレベル 現在の宇宙 -30 10 10 -35 10 -25 10 -15 10 -5 10 5 10 15 10 25 size (m) 図 2 この世のすべての物質 「この世」の物質は、でたらめにあるのではなく、規則性をもっていることがわかる。その規則を探る ことが、物理学、天文学の目的である。 「この世」を単純に「はかる」ということを考えることによって、科学の中の物理学や天文学の目指す ものを知ることができた。それは、同時に「この世」の根源に迫るものである。 ▼ レポート 10 月 27 日 24 時(締切り厳守) 第 1 回テーマ 地球が自転していることを示す方法を考えなさい。 人の考えではなく、自分で考えて、自分自身の考えを述べること。レポートは資料や参考書を見ないよ うに!!レポートはメール(携帯の E-mail でも可)の提出でもかまいません。紙でのレポートは、各回の 講義の最後に小出に出してください。なおレポートには、氏名、学生番号、テーマを忘れないようにして ください。
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