アピ シリーズは世界の標準法として細菌同定検査をリードしていきます No.35 改定 2010 年 いつも弊社アピ製品をご愛顧いただきありがとうございます。「api news」では、日頃アピ製品をご利用のお客様に細菌 検査に関する情報をご紹介させていただいております。今回は、“Candida dubliniensis”について特集致しました。 ◆Candida dubliniensis C. dubliniensis および C. albicans の主な相違点 C. dubliniensis C. albicans Candida 属は土壌などの生活環境中に広く分布し、健常人 サブロー寒天培地あるいは からも分離される常在菌です。また、アメリカでは院内感染として注 ポテトデキストロース寒天培地上で 目されており、日和見真菌感染症の原因菌の一つとして知られて クリーム状の白いコロニーを形成 い ま す 。 Candida 属 の 中 で病 原 性 の 最も 強 い 菌 は Candida 長期間の保存菌株は - albicans であり、カンジダ症の主な原因菌です。C. dubliniensis 小さいコロニーを形成 1) は性状が C. albicans と非常に似ており、コーンミール寒天培地上 37℃で発育する 42℃で遅発育あるいは 42℃で発育 で厚膜胞子を産生することや血清中で発芽管(germ tube)を伸ば 1) 全く発育しない すなど C. albicans と共通した特徴をもちます。1995 年、Sullivan *chromID Candida 上では C. dubliniensis は らにより DNA フィンガープリントが C. albicans とは異なることから C. albicans よりも薄い青色コロニーを形成 2) rRNA 解析により C. dubliniensis を新菌種として報告されました。 形態学的に両菌種の鑑別は非常に難しいですが、42℃や 45℃での発育や炭水化物資化性(C. albicans +, C. dubliniensis -)により区別することができるため、主に炭水化物資化能を利用したアピキット(ID32 C アピ, アピ C オク サノグラム)では両菌種を鑑別同定することが可能です(両菌の主な相違点を表に示します)。 ◆病原性 C. albicans が皮膚等の正常細菌叢を構成するのに対し、本菌が常在菌として存在することは非常にまれです。アイル ランド人における疫学調査では、健常人が口腔内に本菌を保有する割合はわずか 3.5%、それに対し、HIV 感染患者およ び AIDS 患者の口腔から分離される割合は 15-30%と高いことが報告されています 3)。1995 年に初めて命名された菌株も HIV 感染患者の口腔から分離された株です。新しく分離された菌であるため、その病原性については不明な点が多く、 AIDS 患者以外にも、義歯性口内炎、糖尿病、嚢胞性繊維症患者の口腔からの分離報告例もあり、口腔以外には、 便、喀痰、膣、尿、創傷検体からも分離されています。カンジダ症の原因菌の 65%は C. albicans であり、本菌による全 身性感染症の起因率はわずか 2%などの報告 4)から、形態学的に非常に似た菌であるにも関らず、その病原性が大きく 異なる可能性があるため、菌名を正しく同定する必要性はいうまでもありません。 ◆感受性試験および治療 C. dubliniensis は本来アゾール系、ポリエン系、キャンディン系薬剤に感受性を示し、臨床から分離される大半の分離 株はアゾール系に感受性を示します。しかし、これまでにフルコナゾールにおいて C. albicans よりも本菌のほうが高い MIC 値を示す報告がなされたり、フルコナゾールで治療を受けている HIV 感染症患者から分離された株ではフルコナゾールに 低い感受性や耐性を示すことも報告されています。in vitro 実験では、フルコナゾールに曝露した本菌はより上皮細胞に 接着しやすく、かつプロテイナーゼの分泌量も増加し、同じ環境下では、C. albicans の上皮細胞への接着は減少すること から、フルコナゾール暴露により本菌が耐性化しやすく、HIV 感染患者からの分離株が耐性を示す理由の一つと推測され ます 3) 4)。 ◆アピ製品では アピ C オクサノグラム(品番:20217) 体外診断用医薬品承認番号 16200AMY00253000 アピ C オクサノグラムで試験すると、下記のような結果が得られます。 V 4.0 Profile 6152014 Candida dubliniensis %ID =99.9、 %T=0.97 ※参考文献※ 1) DEREK SULLIVAN and DAVID COLEMAN, 1998. Candida dubliniensis:Characteristics and Indentification. J. Cli. Microbiol. 36(2): 329-334 2) Elena Eraso, Maria D. Moragues, Maria Villar-Vial, Ismail H. Sahand, Nagore Gonzalez-Gomez, Jose Ponton, and Guillermo Quindos, 2006. Evaluation of the New Chrogenic Medium Candida ID 2 for Isolation and Identification of Candida albicans and Other Medically Important Candida Species. J. Cli. Microbiol. 44(9): 3340-3345 3) E. Pinjon, G.P.Moran, D.C. Coleman and D.J. Sullivan, 2005. Azole susceptibility and resistance in Candida dubliniensis. Biochem. Soc. Trans. 33(5): 1210-1214 4) Derek J. Sullivan, Gary P. Moran, Emmanuelle Pinjo, Asmaa Al-Mosaid, Cheryl Stokes, Claire Vaughan, David C. Coleman, 2004. Comparison of the epidermiology, grug resitance mechanisms, and virlence of Candida dubliniensis and Candida albicans. FEMS Yeast Res. 4: 369-376 ☆「api news」に関する皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております☆ 薬剤感受性試験用 Etest(真菌用)のご案内 深在性真菌症の増加に伴い真菌でも耐性株の報告が増えてきています。 また、薬剤の副作用の観点からも適切に感受性試験を行なうことが必要 です。現在下記の薬剤(真菌用)を販売しております。 製品ラインナップ ・ アムホテリシン B ・フルシトシン ・ フルコナゾール ・ミカファンギン ・ イトラコナゾール ・ボリコナゾール 自己認証番号 13A2X00243000032 シスメックス・ビオメリュ-株式会社 〒141-0032 東京都品川区大崎 1-2-2 大崎セントラルタワー8F www.sysmex-biomerieux.jp
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