ADR 用語集

2003/11/15
【ADR 用語集】
本用語集の位置づけについて
本用語集は、米国を中心として、ADR 関連用語がどのように定義されているかをとり
まとめました。別資料で説明したとおり、米国等においても、ADR の考え方や制度は比
較的新しい考え方で、取り組みの主体も市民団体から、弁護士事務所、あるいは元判事
をずらりと揃えた民間会社まで非常に多様です。当然、取り組む主体によって、米国等
でも用語の定義の仕方も微妙に異なってきます。本用語集は正しい一つの説明を記述す
るのではなく、複数の定義を併記する体裁としました。本資料をひとつのタタキ台とし
て、日本における ADR に関する議論と ADR に関する取り組みに少しでもお役に立てた
ら幸いです。
用語の訳間違い等、ご指摘、ご教授いただけますと助かります。よろしくおねがいい
たします。
株式会社三菱総合研究所
情報通信政策研究部
入江、土屋
TEL 03-3277-5583
FAX 03-3277-3473
irie@mri.co.jp
tsuchi-k@mri.co.jp
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(アイウエオ順)
ADR (Alternative Dispute Resolution)
・ ADR プロセスは、裁判長(presiding judge)による判決以外の手順で、例えば、ENE (Early
Neutral Evaluation)やメディエーション、ミニ・トライアル、仲裁のような手続を通じて、
中立の第三者が論争になっている問題の解決を助けるために介入すること。
(ADR Act)
・ ADR は、通常、紛争を解決しようと紛争当事者が自ら開始する伝統的な訴訟プロセス外
の一連の手続きをいう。(ADR Canada)
・ 訴訟や仲裁(arbitration)の非柔軟性を回避する紛争解決手法の総称。当事者が直接およ
び間接費用を最小限におさえ、より良い又は似たような結果を達成することに焦点をあ
てる。(CEDR)
以下、アイウエオ順
アービトレーション(arbitration)・仲裁
・ 紛争を解決する方法の 1 つで、紛争当事者が公平な第三者に事件を委ね、その第三者が
紛争を解決すべく判断を行なうことである。この判断は通常拘束的である。第三者が単
に紛争当事者らで解決策をみつけるのを助けるメディエーションとは異なる。(C)
・ 最終および拘束ある判断のために、公平な一個人または複数の人に紛争を付託すること。
契約上の規定に基づいて、当事者は、解決される問題の範囲、判断される救済の範囲、
プロセスの多くの手続上の局面をコントロールすることができる。(AAA)
・ 当事者が、中立の第三者である仲裁人の判断に拘束されることに同意する、伝統的な非
公開の紛争プロセス。仲裁人が下した裁定は通常法廷の判断と同様に法的に執行可能で
ある。(CEDR)
・ おそらく非公開の紛争解決法として最もよく知られている仲裁は、正式な拘束力あるプ
ロセスで、紛争が、指名された第三者、即ち一人または二人以上の仲裁人の判断によっ
て解決される。(CIArb)
・
[仲裁] 紛争を、当事者が選定し、その判断に服することを合意した第三者の裁定に委
ねること、または、それによる紛争処理手続。コモン・ロー上の仲裁は強制履行ができ
ないが、制定法上の仲裁は強制履行が可能。制定法としてイギリスでは 1950 年法、1979
年法、アメリカでは連邦法(1925 年)と州については Uniform Arbitration Act(統一
仲裁法)を採用した法律その他がある。なお、アメリカ諸州では、裁判所の負担軽減の
ため、前審的に仲裁を司法機構に取り入れた強制仲裁(judicial arbitration)制度が普及
しつつある。
(英米法辞典)
アーリー・ニュートラル・イバリュエーション(Early Neutral Evaluation、ENE)
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・ ケースプランを改善するため、紛争の早い段階で当事者に、アドバイス的な評価を与え
る非拘束的なプロセス。メディエーションと同様、民事の多くのタイプの紛争に広く適
用できる。特に、非常に複雑なケースでの適用が有効であると言われている。(FJC)
・ 第三者(通常、判事か法的資格を有している者)が解決のディスカッションとして裁判
で出されるであろう結果に関して意見を述べる、非公開且つ非拘束的な手法。(イギリス
CIArb)
アクティブ・リスニング(active listening)
・ 完全に相手が言っていることに耳を傾け、そのメッセージの内容とその背後にある感情
両方を適切に理解しているかどうかを確認することである。(C)
アドボカシー(advocacy)
・ 紛争において特定の側につく(又は特定の側のために働く)プロセス。紛争当事者は彼
ら自身、ネゴーシエーション(交渉)・メディエーション・政治的ディベートにおいて
自己の立場を主張するためにアドボカシーに従事することができる。相手側を自分の要
求に同意するよう説得する試みはアドボカシーである。(C)
・ ①弁論、②訴答を行なうこと→pleading、③擁護;唱道
一定の立場を強く訴える説得
活動(英米法辞典)
イシュー(issue)
・ 問題が「何」か;討論または話し合いの議題。(AAA テキスト)
インタレスト(interests)
・ 人々があるポジション(p.8 参照)をとるきっかけとなる潜在的な欲求や懸念。ポジショ
ンが「この家をここに建てたい!」というような彼らが欲しいというものである一方で、
インタレストはそのようなポジションをとる理由(よい景色がみえる静かな場所が欲し
いから、という理由等)である。当事者同士のポジションが正反対でも、しばしば、当
事者同士のインタレストは矛盾しないので、話し合う余地はある。(C)
・ ポジションの原因となる「なぜ」;当事者の懸念、ニーズまたは欲望。(AAA テキスト)
インタレスト・ベースド・プロブレム・ソルビング(interest-based problem solving)
・ ポジションではなく、インタレストの意味で問題を定義し、お互いに満足する解決策を
得るために互いのインタレストを調和させるべく取り組むことである。(C)
ウイン−ウイン・アプローチ(win-win (cooperative or problem solving) approach)
・ 全ての紛争当事者を満足させる解決法を見つけたいと思っている人々によって取られ
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る紛争へのアプローチである。このウィン−ウィンの取引では、紛争渦中の当事者は双
方が 勝つ ような方法で共通の問題を解決するために協力することを試みる。対峙す
る者を敵とみなし、紛争に勝つためには相手が負けなければならないとするウィン−ル
ーズアプローチと比較対照される。
(C)
エンパワメント(empowerment)
・エンパワメントとは、個人またはグループ(集団)に、よりパワー(p.6 参照)を与える
ことである。これは、教育、連合形成やコミュニティの組織化、リソースの発展または
アドボカシーを支援することを通じて当事者自身によっても行なわれる。または、より
パワーが少ない(力関係が弱い)個人やグループを効果的に演出することを助けるメデ
ィエーターによっても行なわれる。このアプローチは倫理的ジレンマを生じさせるが(と
いうのも当事者の一方をより支援することはメディエーターの中立性を損なうからであ
る)、このアプローチが二人の当事者のパワーが比較的均衡している時に最もよく機能す
ることから、問題解決またはメディエーションの
合意志向(settlement-oriented)方法
においてよく行なわれている。しかしながら、ブッシュ(Baruch Bush)とフォルガー
(Joe Folger)は、変容的なメディエーションを通じて両当事者を同時にエンパワメント
することを主張している。これは、紛争当事者の
び人生の問題を扱う自己能力
自己の価値と強みに関する自覚およ
を回復させる。このアプローチは一方側のみのエンパワ
メントの倫理的ジレンマを回避するが、解決(settlement)達成という本来の目的を犠牲
にする。(C)
オープン・エンド・クエスチョン(open-ended question)
・ 答えが一つに決まらない広がりのある質問。
・ (多肢選択法によらない)自由回答式の質問。
(リーダーズ英和辞典)
・ 例)
−この紛争がどのようにして始まったか教えてくれますか。
−この問題をあなたはどう捉えていますか。
−可能な解決策は何ですか。
−他の代替的手段(alternatives)として何が考えられますか。
(AAA テキスト)
コーカス(caucus)
・ メディエーターが、個々の当事者と問題点を話し合うために行なうミーティングのこと。
(AAA)
・ メディエーターと各当事者との非公開の秘密の話し合い。コーカスの面会はしばしば各
当事者の重要な問題とニーズを考察し、強みと弱みに関してオープンにするよう促し、
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解決のための選択肢を話し合うために行なわれる。(CEDR, ADR Group)
コー・メディエーション(co-mediations)共同調停
・ 同一のメディエーションで 2 人以上の調停人を使うプロセスのこと。(CEDR)
・ 同一のメディエーションで 2 人以上の調停人を使うプロセスのこと。すぐには解決しそ
うもない困難な問題や当事者が数多く関わっている場合によく使われる。(ADR
Group)
コモン・グランド(common ground)/コモナリティーズ(commonalities)
・ 2 人またはグループが共有している、又は共通にもっているもの。例えば、同じ場所に
住んでいる、似ている価値観、関心、ニーズをもっている、或いは、似た恐怖体験があ
るなど。紛争当事者同士はしばしば相手とは共通点が全くないと思っているが、大抵、
共通のものを持っているものである。少なくとも、他者を恐がることなく平和で安全な
場所に住みたいということはほとんど万人が共通にもつニーズである。(C)
コンシリエーション(conciliation)
・ メディエーションに似ているが、コンシリエーター(conciliator)は合意に達する前に当
事者に解決策を提案できる。(CIArb)
・ 中立の第三者が、当該事例における解決策や意見を言うなどして積極的な役割を果たす
プロセス。しかしながら、メディエーションとコンシリエーションのどちらのプロセス
が積極的かということについては国際的な意見の一致はなく、商事紛争においては第三
者ファシリテーションの一般的な条件として、メディエーションの適用が増加している。
(CEDR, ADR Group)
・ 争訟的方法によらずに紛争を解決する手続。両当事者が合意によって解決に到達する手
続。両当事者が合意によって解決に到達することを目的とするから、たとえ、conciliator
(調停者)が解決案を示す場合にも、それは当事者を拘束するものではない。裁判外の
手続としては、イギリスの Employment Protection Act 1978(雇用保護法)、アメリカ
の National Labor Relations Act(連邦労働関係法)のように、労使紛争の円満な解決
のために行なわれることが多い。これに対して裁判手続に付置されるものとしては、少
額裁判手続があり、アメリカの一部の州では,調停手続の付置された裁判所を court of
conciliation とよぶことがある。(英米法辞典)
ニーズ(needs)
・ 心理学者のアブラハム・マズロー(Abraham Maslow)は、全ての人々は一定の生物学的
および心理学的要求の獲得に駆り立てられることを示し、それを基本的な人間の欲求
ニーズ と呼んだ。ジョン・バートン(John Burton)やハーバート・ケルマン(Herbert
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Kelman)のような紛争理論学者は、このアイディアを紛争理論に適用し、安全(security)、
アイデンティティと認識への欲求は、根強く長引く紛争の背後にあることを示唆した。
彼らが主張するには、例えば、最も民族的(ethnic)で人種的な(racial)紛争は、インタレ
スト・ベースド(interest- based)の紛争ではない(それゆえに交渉はできない)が、
従属するグループのこれらの基本的要求へのニーズによって駆り立てられている。欲求
の紛争が解決されるためには、全てのグループの基本的欲求をみたすように社会を再編
成するしかない。(C)
ネゴーシエーション (negotiation)
・ 交渉(bargaining)−2 人またはそれ以上の、共通の問題に対して解決策を探している紛
争当事者間におけるディスカッションまたはギブ・エンド・テイクのこと。交渉は人々
−親子間、夫婦間、雇用者と被雇用者との間−や国家間で常に起こる。お互いにとって
便益のある解決策をもとめることで比較的協力的にもなり得るし、逆に、相手よりも勝
ろうと思えば、対立する交渉(取引)にもなり得る。(C)
・ 当事者がお互いに差異についてカンファレンスやディスカッションを通じて伝え合い、
解決のために妥協を図ろうとするプロセスである。(AAA)
バトナ(BATNA, best alternatives to negotiated agreement)
・ BATNA はロジャー・フィッシャー(Roger Fisher)とウィリアム・ユーリー(William
Ury)が開発した定義で、”best alternative to a negotiated agreement”の頭文字である。
ネゴーシエーターは交渉で決まった合意(neogotiated agreement)に同意する前に
BATNA を考えなければならない。その合意が一方の BATNA と同等かそれよりも良い
場合、当該合意は受け入れられるべきである。しかし、他に考えた代替的手段が良い場
合は、話し合い(交渉)で決まった合意の代わりに遂行されなければならない。一方の
BATNA が良い場合(若しくは単によく見える場合)、その代替的手段を遂行し、当事
者は交渉には入りたがらないことが多い。(C)
・ ハーバード・ネゴーシエーション・プロジェクトのロジャー・フィッシャー(Roger
Fisher)とウィリアム・ユーリー(William Ury)によって開発された手法で、交渉を
する当事者に彼らの選択肢を評価させるものである。BATNA は、交渉をやめた(中止
した)ときに、当事者が期待できる最もよい結果である。(CEDR)
・ 交渉する当事者に彼らの選択肢を評価させる手法。BATNA は交渉をやめたときに当事
者が期待できる最も良い結果である。(ADR Group)
パラフレイジング(paraphrasing)
・ わかりやすく言い換えること。(リーダーズ英和辞典)
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・ 目的:話している人が何を話しているか、あなた(メディエーター)と話者自身で確認
(はっきりさせる)すること。話し手は自分が話したことの言い換えを聞き、それが自
分が話したかったことなのかどうかを確認する。聞き手は、自分の理解の正確度を確認
する。
手法:1.話し手が話したことの要旨を話す。
2.あなたが聞いたことが正しいかどうか確かめる。
3.正しければ、当事者が話し続けることができるように促進する;「もっと教え
て下さい」
4.もし、理解ができなければ、もう一回説明してもらう。(話し手は修正してま
た話し続けるだろう)
5.話している最中に何を話したか、何を話してないかを聞くのに有益。あなたが
次に何を言おうかとか、話し手(当事者)が何を次に話すだろうか、と考えて
はならない。
例)話し手:これまた彼が時間厳守でない例なんですよ。私の評判を下げてます!彼は
とにかく、我々の契約に違反したのです。彼の言い訳にはもう飽き飽きし
てますし、もう聞いてあげようなんて思いません。
聞き手:あなたは彼が遅れたことに対して苛立っているのですね。遅れたことは前
にもあり、それであなたの評判を下げていると。あなたは彼が契約違反を
したと思っており、もう遅れたことに対する理由は受け付けないというこ
とですね。
話し手:そうです。契約を解除して損害賠償をいただきたい!
聞き手:あなたは、金銭的な損害賠償を受ける権利があり、契約が断たれるべきだ
とお考えですね。
(AAA テキスト)
パワー(power)
・ 紛争理論家のケネス・ボールディング(Kenneth Boulding)の定義に従えば、パワー
とは、自分が欲するものを得る能力または「未来を変える」能力のことである。これは、
力(時々”power-over”と称される)や協力(”power-with”または exchange power と称
される)または integrative system−人々を集団でいさせるアイデンティティや関係−
によって起こる。(C)
ファシリテーション(facilitation)
・ コンセンサスづくりのミーティングを運営することを助ける第三者によって行なわれ
る。ファシリテーターは典型的に当事者が基礎的ルールと議事を設定・執行し、当事者
が相互にゴールに迎えるよう助ける。メディエーターに類似しているが、ファシリテー
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ターは審議についてはメディエーターよりも少ない関与の仕方で、メディエーターのよ
うに「解決」することがその目的ではない。(C)
フレーミング(framing)
・ 問題が何なのか定義するプロセス。写真のフレームがある部分のみを囲んでいて他の部
分は切り落としてあるように、人々は問題のある部分を重要だと定義することができる
一方で彼らに関心がない問題は無視する(又は気がつかない)。(C)
ブレーン・ストーミング(brainstorming)
・ 創造的集団思考法。(リーダーズ英和辞典)
・ 例)
1.プロセスをやめ、大きな画用紙かフリップチャート*を用意する。
*講演などで使う 1 枚ずつめくれる大型の解説用図表
2.部屋にいる人全員に、他の代替手段はないかどうか聞く。
a. 時間制限をつける(2∼3 分)
b. 量が重要なのであって、質ではない。
c. 良し悪しの判断をしてはならない。
3.あなた(メディエーター)もクリエーティブな解決策を話すために参加する(これは、
採用されるべき解決策ではなく、あくまでも、あなたのアイディアで、もしかした
ら当事者によって採用されるかもしれないし、断られるかもしれないし、拒否され
るかもしれない)。
4.ブレーンストーミングをやめる。
5.当事者に何が良いと思うか尋ねる。
6.最も見込みのある(期待できる)解決策(promising solution(s))を進展させる。
(AAA テキスト)
ポジション、立場(position)
・ 人々が欲しいと言うもの―相手に対して行なう表面的な欲求。インタレストとポジショ
ンを最初に区別したフィッシャー(Fisher)とユーリー(Ury)によれば、ポジションとは、
人々が判断をするのに依拠するもので(decided upon)、インタレストとはそう判断する
ようになった原因である。しばしば、一方当事者のポジションは他方当事者のポジショ
ンの反対であるが、彼らのインタレストは事実上矛盾しない(共存できる compatible)。
(C)
・ 議題に対する一方当事者が提案した解決策(ソリューション)。(AAA テキスト)
ミーダブ(med-arb; mediation-arbitration)
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・ 紛争においてメディエーター兼仲裁人として働く中立の第三者を活用する。必要に応じ
て、メディエーションにおける説得の自由意思のテクニックと、仲裁人の最終且つ拘束
力ある判断を下す権限を組み合わせる。(AAA)
・ メディエート(調停)された交渉が解決に至らなかった場合、当事者が、メディエータ
ーに仲裁人に「変わって」(仲裁人になって)法的拘束力ある判断(裁定)を下す権限
を付与する契約をするプロセス。(CEDR)
メディエーション(mediation)
・ メディエーションとは、当事者間の紛争で当事者自身が自発的に合意に達することがで
きるように、メディエーターが当事者間のコミュニケーションや交渉を促進するプロセ
スを指す。(UMA)
・ メディエーションとは、当事者が拘束力を持たない合意に至るために中立の第三者が支
援するプロセスをいう。
(AAA)
・ メディエーションとは、中立の第三者であるメディエーターが、当事者間の交渉を促進
して、当事者の紛争を手助けする、柔軟で非拘束的な紛争解決プロセスである。
(FJC)
・ メディエーションとは、仲介者(intermediary)が当事者と一緒になって行なう紛争解
決手法である。仲介者が当事者間のコミュニケーションと紛争状態の分析を向上させる
のを手助けすることで、当事者はその紛争に関わる者全ての利益又はニーズに応えるべ
く当該紛争を解決すべく選択肢を認識し、選択することができる。仲裁では仲介者は両
方の側の主張を聞き、当事者のために判断を下すのに対して、メディエーターは紛争当
事者自身が解決策を設計するのを手助けする。
(C)
・ ①調停;介入
中立な第三者が紛争当事者の間に入って説得によって紛争の解決を図る
行為。②国際調停
中立の第三国が紛争当事国の主張を調和させて解決を図る手続。
(英米法辞典)
評価的メディエーション (Evaluative Mediation)
・ このプロセスを使って、当事者は当該事例がどのような結果になるかについて「試行」
することができる。メディエーターは当事者に事実関係および法律的な主張をさせる。
その後で、メディエーターは裁判に関する自己の評価(予想)または結果の予想につい
て言及する。当事者間のギャップが大きい場合や問題がいくぶんか複雑で利害関係が大
きいなど、より困難な事例についてよく利用される。(JAMS)
・ メディエーションのアプローチで、中立の第三者が、提案を示したり当該事例のメリッ
トや当事者間の特定の問題に見解を示したりするなどして比較的アクティブな又は介
入的な役割を果たすこと。(CEDR, ADR Group)
促進的なメディエーション (Facilitative Mediation) ※助成的と訳される場合もある。
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・ このプロセスでは、結果のコントロールは殆ど完全に当事者およびその弁護士(counsel)
に委ねられている。メディエーターはコミュニケーションを促進させ、全ての関連する
情報が当事者間で交わされ、聞かれていることを保証しながら解決のための選択肢を生
み出すのを助ける。メディエーターは、当事者の利益から問題を区別することも助ける。
(JAMS)
・ メディエーションのアプローチで、中立の第三者が、当事者が解決しようとする自己努
力を手助けすること。メディエーターはプロセスに責任があるが、当事者は中身
(content)に責任をもつ。このアプローチは時々、”interest-based” mediation と呼ばれ
る。(CEDR, ADR Group)
変容的なメディエーション (Transformative Mediation)
・促進的なメディエーションと似ている手法だが、使うプロセスを決定するのはメディ
エーターと当事者である。(CEDR, ADR Group)
リフレイミング(reframing)
・ メディエーターによって使われる手段で、当該状況がより肯定的(ポジティブ)にみら
れるように、言い換えや言葉の構成、状況構成・順序の並び替えをすること。
(CEDR)
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(凡例)
凡例
国
出典
C
米
University of Colorado, USA
http://www.colorado.edu/conflict/peace/glossary.htm 2003
UMA
米
Uniform Mediation Act of 2001 (US)
ADR Act
米
Alternative Dispute Resolution Act of 1998 (US)
FJC
米
Federal Judicial Center
“Guide to Judicial Management of Cases in ADR” 2001
JAMS
米
http://www.jamsadr.com/images/PDF/PressKit/jams_glossary.pdf
2003
AAA
米
American Arbitration Association
http://www.adr.org/index2.1.jsp?JSPssid=16235&JSPsrc
=upload/livesite/focusArea/consumer/glossary.htm 2003
AAA テキスト
米
トレーニングテキスト
“Mediation – 40-Hour Mediator Skills Traing for Court-Based
Settlement Programs”
CIArb
英
http://www.arbitrators.org/DRS/adr_def.htm 2003
CEDR
英
http://www.cedr.co.uk/index.php?location=/library/glossary.htm
2003
ADR Group
英
http://www.adrgroup.co.uk/glossary_of_adr_terms.html 2003
ADR Canada
カ
ADR Institute of Canada
ナ
http://www.adrcanada.ca/news/faq.html 2003
ダ
リーダーズ英
日
松田徳一郎監修『リーダーズ英和辞典』研究社
日
田中英夫編『英米法辞典』(東京大学出版会、1991)
和辞典
英米法辞典
※ 全て、英語文献はすべて、抄訳かつ仮訳です。
※ レビン小林久子『調停者ハンドブック−調停の理念と技法』信山社出版株式会社
(1998 年)は、単語選定に当たって参考にしました。
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