2015 年 8 月吉日 ~突撃★ドメーヌ最新情報!!~ ◆VCN°21 ドメーヌ・ル・ブリゾー 生産地方:ロワール 新着ワイン 3 種類♪ VdF キャラクテール 2012(白) クリスチャン亡き後、ナタリーが単独で仕込んだキャラクテール!クリスチャンの男らしいマッチョなキャラ クテールと違い、彼女の女性らしい上品で清楚なイメージがワインの味わいにみごとに反映されている!それで いて、噛めば噛むほど味が出るような緻密なワインなのだからすごい!彼女曰く、2012 年はブドウの腐敗で半分 以上を選果で落としてしまったが、厳格な選果を行った甲斐があって、結果、香り高く洗練された真っ直ぐなワ インが出来上がったとのこと!ナタリーのセンスが詰まったデビュー作を是非! VdF パタポン 2013(赤) 2013 年は、モルティエのピノドニスが単独で仕込むだけのレベルにまで達していなかったことから、全てパタ ポンにアッサンブラージュされている!(このパタポンとは別にパタポン・シャペル 2013 年もつくっている) 最初に少し還元があるが、スワリングするとすぐに消え、その後から出てくる柑橘系の香りは、あまりにも官能 的過ぎてこれだけで酔ってしまいそう!開けたては少し硬いのでカラフがおススメ! VdF エンジョイ!2010(赤) クリスチャンが遺した最後の赤!コート・ダレットやコテクゥールのコーは粘土質の多いモルティエの区画で あるのに対し、エンジョイのコーはシレックスの多いシャペルの区画から!ナタリー曰く、シャペルの畑はシレ ックスが多い分ワインがミネラリーで骨格がはっきりとしているとのこと。全房のセミマセラシオンで仕込んで いるが、ピジャージュをしっかりと施しており、ワインはタンニンの抽出の多いクラシックなスタイルに仕上が っている!ファイバータンクで 38 ヶ月の長期熟成!ジビエなどの料理と合わせたいワインだ! ◆VCN°27 ナナ・ヴァン 生産地方:ロワール 新着ワイン 2 種類♪ VdF ペティアン・ナチュレル ソー・ワット!2013(白) 今回新しくリリースするテレブラン 100%のペティアン・ナチュレル!ワインの名前は、マイルス・デイビス の曲の「So What!」がナタリーの好きな曲であるということに加えて、2014 年の南仏のサロンで初めてサンプ ルをお披露目した時に、結構なお客さんがテレブランのペティアンというだけで見向きもしなかったことから、 「テレブランでペティアンをつくって何が悪いの!?」という反骨心も込めてこう名付けたそうだ!ナタリー曰く、 良質なテレブランからは、ナスタチウムのような独特の甘い香りが感じられるとのこと! VdF ペティアン・ナチュレル バブリー!2013(ロゼ) 買いブドウをエミール・レディアに変え、ラベルも一新しリリース!ブドウ品種はサンソーで、樹齢は 60 年を 超すヴィエーユ・ヴィーニュ!畑はベジエの北、モンターニュ・ノワールと呼ばれる丘陵の麓クレルモン・エロ ーにある。香りはイチゴやフランボワーズが華やかで、泡に勢いがありフルーティで飲み口も爽やか!アフター に残る心地よい苦みが食欲をそそる! ミレジム情報 当主ナタリー・ゴビシェールのコメント 2010 年は、スタートが涼しく、例年よりも成長サイクルが 10 日ほど遅れたが、雨が少なく乾燥していたので、 ブドウの病気はほとんどなかった。そのまま夏も適度に暑く、このまま天候が崩れなければグレートヴィンテージ が期待できた。だが、収穫の直前から雨が降り出し、水不足気味だったブドウは一気に水を吸い上げてしまったた め、実の破裂による腐敗が始まり、楽観的な状況が一転、ブドウの取り入れに一刻を争う厳しい年になってしまっ た。 2012 年は、ロワール中がスタートから厳しい状況の中、私のドメーヌは、9 月初めまで立上げ以来の豊作が期 待できるだけの健全なブドウが実っていた!だが、9 月中旬から天候が崩れ、いつものようにブドウの腐敗が始ま ってしまった。不幸にもクリスチャンの死も同時に重なり、収穫の後半は作業全てが後手に回ってしまった…。 2013 年は、雨が多く赤白共にブドウがあまり熟さなかった。スタートは順調だったのだが、5 月に霜、そして 6 月にジャニエール一帯が雹に当たり、この時点でブドウの 20%が被害に遭った。その後も、長雨と気温の上がらな い日が続き、ブドウの成長にも勢いがなく、ペースは例年よりも 2 週間~3 週間遅れてしまった。7 月の終わりか ら天候が回復し、一瞬遅れたペースを取り戻すかのように思えたのだが、9 月に入りまた雨の多い不安定な天候に 逆戻り。完熟を前に水を吸ったブドウが破裂し始めたので、腐敗が広がる前にやむを得ず収穫に取り掛からなけれ ばならなかった。 「ヨシ」のつ・ぶ・や・き 今回、クリスチャンが仕込んだ最後の赤「エンジョイ!」がリリースされる! このワイン…実はナタリー自身もクリスチャンがどういうコンセプトで仕込んだのか知らない、非常にミステリ アスなワインなのだ!今までのワインよりもクラシックなスタイルで、しかもシャペルの区画のコーでつくったの もこれが初めて。普段、赤は 1 年以内に瓶詰めを行うのだが、このコーのタンクだけぽつんと隅に置かれたままク リスチャンは手を付けなかったそうだ。 「もしかしたら今までのつくりとは逆に、ピジャージュをしっかりとかけて 梗の部分も含めたタンニンを抽出し、長期熟成をしてでき上がるワインを実験的につくってみたかったのでは?」 とナタリーは推測するが、本当の理由はクリスチャン本人しか知らない…。 そんな特別なワインをみんなに楽しんで飲んでもらいたいという思いを込めて、ナタリーは「エンジョイ!」と いう名前を付けた!クリスチャンの最後に相応しい良い名前だ! (2015.4.21.のドメーヌ突撃訪問&6.28.の突撃電話より) ドメーヌワインは地元のテロワールの味!ネゴスワインはひらめきの味! クリスチャン・ショサール & ナタリー・ゴビシェール ( ドメーヌ・ル・ブリゾー & ナナ・ヴァン ) 生産地 ロワール地方は、トゥール市からナント市に向かうちょうどあいだの町シャトー・デュ・ロワールの手前を、東に 5 km ほど、川に沿った農道を通り過ぎると、クリスチャン・ショサールとナタリー・ゴビシェールのドメーヌが あるマルソン村に着く。彼らの畑は総面積 9 ha で、ドメーヌのまわり半径 5 km 以内に複数点在し、大半が小高 い丘の南向きの斜面に面している。畑の土壌は、表面が主に粘土質と顆粒状のシレックスに覆われ、その土壌の下 の部分(0.5 m~1.8 m)は石灰質、さらにその下は Perrons または Pangee と呼ばれる大昔まだ地球の大陸がひ とつだった時(パンゲア大陸)の原岩盤が存在し、三層に折り重なっている。気候は穏やかで夏は暖かく、秋から 冬春にかけてはロワール川(支流)と地上の温暖差で朝夕はしばしば深い霧に覆われ、その霧がブドウの貴腐化な どの環境条件に影響を与える。 歴史 現オーナーであるクリスチャン・ショサールが本格的にワインづくりを始めたのは 1988 年、ヴヴレーで 7 ha の 畑を借りた時からだ。以前は高速道路の橋など国の公共事業を請負う企業で働いていたそうだ。彼はワインをつく る夢を捨てきれず 1986 年、当時 32 歳の時に仕事を辞めてボルドーの醸造学校でワインの勉強をし始める。初め からナチュラルなワイン、というよりもむしろ昔ながらの手作りのワインをつくると決めていた彼は、持ち前のセ ンスの良さを生かして、初っ端から SO2 ゼロ添加で質の高いセンセーショナルなワインをつくりだす。その後ビニ ョロンの仕事と、一方でアンボワーズにある醸造学校の講師を掛け持ちながら 1999 年までヴヴレーでワインづく りを続ける。 (ティエリ・ピュズラがクリスチャンに習ったことは周知の通り)その後、ある事情からヴヴレーのワ イナリーを引き払い、2001 年まで アメリカのオレゴン等各地を放浪する。2001 年にジュネーブの試飲会で現 在の妻ナタリーと知りあってから再びワインづくり再開を決意する。2002 年ジャニエールにドメーヌ・ル・ブリ ゾーを立ち上げ、そして 2006 年にはナタリーの愛称をから取ったナナ・ヴァンというネゴシアンも立ち上げ現在 に至る。 生産者 現在、クリスチャンは 9 ha のドメーヌの畑と醸造+ネゴスワインの醸造の 4 人で管理している。 (繁忙期は季節労 働者が数人手伝う。)彼の所有するブドウ品種は、シュナン、シャルドネ、ピノドニス、ガメイ、コーで、樹齢は 8 ~40 年。ブドウ栽培のベースはビオロジックだが、2006 年からドメーヌの畑全てをビオディナミ農法に変えて、 さらなるワインの質とテロワールの表現に磨きをかける。醸造も「よりナチュラルに」をモットーに、テクニック はほとんど使わない。そのかわり収穫期間や醸造、熟成期間等の醸造工程には細心の注意をはらい「ここぞ!」と いうタイミングを逃さぬよう神経を集中させる。 クリスチャン・ショサールの+α情報 <もっと知りたい畑のこと> 土壌:アルジロ・シレックス、カリケール 総面積:9 ha 品種:シュナン、シャルドネ、ピノドニス、ガメイ、コー 樹齢:8~45 年 剪定方法:ゴブレとコルドンロワイヤルの間 生産量:ドメーヌは白 15~20 hL/ha、赤 20~25 hL/ha、、ネゴスは 赤白ともに 30 hL/ha 収穫方法:収穫者 15 人で手摘み。畑でブドウの粒レベルの選果 ビオの認証:なし <もっと知りたい醸造のこと> 醸造方法:赤はスミ・マセラシオンカルボニック、白はバレルファーマンテーション 赤は、ブドウを畑で選果後、除梗破砕をせずに房ごとファイバータンクへ。マセラシオンの期間は 5~30 日で その間は毎日足で軽く踏むピジャージュのみ。マロラクティック醗酵が始まる前にプレスし、フリーランとプ レスワインをアッサンブラージュした後、ワインを古樽に移し、樽の中でマロラクティック醗酵と熟成を経る。 マロラクティック醗酵終了後、一度ワインをスーティラージュして再び樽に戻す。約 1 年の熟成、その後ファ イバータンクで 1 ヶ月の置いて瓶詰め。(ネゴスのワインは古樽のかわりにすべてファイバータンクを使用) 白は、ブドウ畑で選果後、バスランで 3 時間かけて圧搾。ジュースをそのまま古樽へ移し自然発酵。醗酵途中 一度ワインをスーティラージュして再び樽に戻す。発酵と熟成を含めてトータル 1 年間樽で寝かせる。 (ネゴス のワインは古樽のかわりにすべてファイバータンクを使用:ネゴスのロゼワインも白と同様の方法) 酵母:自然酵母 発酵期間:赤はファイバータンクで 5~30 日。白は古樽で 1 年。(ネゴスは全てファイバータンク) 熟成方法:ドメーヌは赤、白ともに古樽。ネゴスは全てファイバータンク。 SO2 添加:ビン詰め時に少々。 熟成樽:5 年樽以上 フィルター:多孔性珪土(キースラテール) ちょっと一言、独り言 日本では、自らの似顔絵がそのままエチケットになった「パタポン」で超有名なクリスチャン・ショサール。 いつも仏頂面でめったに笑い顔を見せない強面な第一印象は違って、いざ実際にあってじっくり話してみると、い たってシンプルな人間であることがよくわかる。彼自らも「まがったことが嫌い!」と言う、本当にまっすぐを絵 に描いたような人間性に義侠心すら感じるのだが、彼のまわりのビニョロン仲間が言うには、これでも昔よりはず いぶん性格が丸くなったようだ。 現在、生活を共にするナタリーと出会ってから彼も落ちついて、とても近づきやすい人間に変わったようなので ある。2006 年にドメーヌのほかにネゴシアンを立ち上げたのも彼女ナタリーの意見が大きく、もう少し価格帯の 安いワインでクリスチャンの色があるワインができないかとの提案が、そのままネゴスのワインをつくるきっかけ に結びついたそうだ。クリスチャン曰く、ドメーヌのワインはテロワールやセパージュをそのまま 100%反映させ たもの。それに対して、ネゴスのワインは、テロワールというよりはむしろクリスチャン・ショサールの醸造セン スをワインに反映させたものというのが彼のコンセプトだ。すなわち、ドメーヌワインは、その年の天候による出 来不出来があっても、ブドウ本来から来るワインの質を究極的に引き出すことを前提とし、そして、ネゴスのワイ ンは、買いブドウの中から毎年安定したワインの量と味をうまくアレンジして提供できることを前提としている。 ネゴスを「毎年安定したワイン」なんて書いてしまうと、思わずネガティブに捉えてしまいがちだが、その辺は全 くご心配なく。彼は前述したように、まっすぐな人間ゆえに妥協したくてもできない性格なのだ。たとえば、シュ ナンでつくった L’Aillery の 2005 年だが、2006 年はブドウ農家と畑の手入れの仕方、ブドウの収穫量で折り合い がつかず結局つくるのを止めている。新しく良いブドウ農家が見つかるまで探すと言っているが、インポーターと しては少し心配…でも、たとえ価格の安いネゴスのワインであっても、ブドウの質をおろそかに出来ないというこ だわりが良くわかる。そして、それはそのままドメーヌのワインについても言える。 クリスチャンが 2002 年からジャニエールにドメーヌを構えた理由のひとつに、シュナンブランの存在がある。 彼にとってシュナンブランは、テロワールをワインに反映する最も適した品種のひとつだ。彼曰く、シュナンはソ ービニヨンブランのようにブドウ本来からくる華やかな香りが少ないが、ただ、熟成からくる複雑な香りや味わい はまさにテロワールに由来と呼べるもので、何ものにも変えられない独特の魅力があるとのこと。彼のドメーヌワ インで、同じシュナン品種なのに 5 つも 6 つもキュヴェが分かれているのは、区画ごとの区分全てにテロワールの 違いがあることを彼が経験則から見つけたからだという。ちなみに、彼がジャニエールにたどり着く前の 1 年間は アルザス、ジュラ、アルデッシュ、ボルドー、ブルゴーニュ、ローヌとドメーヌの立ち上げ先をくまなく探しまわ ったそうだ。場所を選ぶ基準のひとつとして、やはり彼は、ワイン熟成によって複雑性が増す品種の存在をプライ オリティーに置いている。彼にとって熟成に妙を感じる品種はシュナン、シャルドネ、リースリング、サヴァニャ ン、モーザックなどで、ソービニヨンやゲヴュルツ、ミュスカのようなブドウ本来の香りが強い品種にあまり魅力 を感じないようだ。「キュヴェ・ブリゾーは今飲んでも確かに美味しいが、寝かせた時に本当の真価を発揮する。 10 年経ったブリゾーを飲んだらあまりの美味しさにぶっ倒れるかもしれないぞ!」というクリスチャン。機会があ れば、ぜひ 10 年寝かせたものを飲んでみたいものだ。 最後に、彼は 1988 年のヴヴレーからすでに SO2 無添加のワインをつくっていたそうだ。 (2002 年からは、輸出の 問題上瓶詰め時にやむを得ず少量の SO2 を入れている)そして何と彼自身、ヴァンナチュレルの宣教師ともいえる ジュール=ショヴェの存在を、2001 年にナタリーから教えてもらうまで全く知らなかったというから驚きだ! やっぱり天才は、人に何かを教えてもらう必要なく、共通の真理を共有することが出来るのか!?
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