Espana Properties LLC

リーン・コンストラクション –
建設・建築業界のためのゕドバンスト・プロジェクト・デリバリー
「最もリスクのあるムダはそのムダに気付いていないことである」 – 新郷重夫
建設・建築投資計画においては、人や組織、システムが複雑かつダ゗ナミックに絡み合います。プロジ
ェクトにおいては通常、内部の数々の障壁を排除し、期待を上回る価値(時間、コスト、品質、安全性、
機能性、意匠、デリバリーに関わるエクスペリエンス)を創出するための協調的な取り組みが求められ
ます。しかし残念なことに従来のプロジェクト管理手法では、その意図に反し、分断の発生や次善の策
が採用されることで、顧客や関係者が当初望んでいた、または必要としていた事柄に対し、妥協を許す
結果を招いています。
リーン・コンストラクション(リーン・プロジェクト・デリバリーまたは LPD)とその行動規範や技術
的手法は、トヨタを変革し、グローバルな動きとして広まったリーン生産方式の生みの親である大野耐
一氏が体系化し、実証した「リーン」の原理に基づいています。LPD はこの行動原理に沿って、施工を
最適化し、プロジェクトのデリバリーにおいてより高い価値をお客様に提供することをその目的として
います。これは、可視化や説明責任を向上するとともに、プロジェクト関係者や参加者が初期段階から
積極的に関わりを持つことで実現可能となります。LPD ソリューションは、効果的な施工管理手法を統
合し、プロジェクト管理を強化します。また、従来型および総合的なデリバリーシステムにおいて利用
可能です。LPD フレームワークは、施主、ゼネコン、サブコンおよびそれらのサプラ゗チェーンを対象
とし、効果的な協業のための統合プロセスを実現するとともに、関連するオペレーテゖング・プラット
フォームによって効率化を促進しながらオペレーション能力を高め、お客様にとっての価値向上に向け
た取り組みを後押しします。
効果的な LPD フレームワークは、統合されたガバナンス、バリューマネジメントおよびデリバリーマネ
ジメントに対応します。LPD フレームワークは、幅広く企業に採用されていますが、各プロジェクト特
有の状況に合わせるカスタマ゗ズ性が求められると共に、当座のプロジェクトについても本番運用開始
後にその場しのぎの対応をするのではなく、あらかじめその目的に沿って施工のためのシステムを設計
できることが重要です。プロジェクトのための LPD フレームワークは、プロジェクトに関連するすべて
のメンバーの知識、能力、才能を引き出し、活用することで、複雑で変化の激しいプロジェクトの各種
課題に対しチームとして取り組み、解決をはかるための機能を提供しなければなりません。リーン・コ
ンストラクション・プログラムを採用することで、トップダウン型のリーダーシップの展開からボトム
ゕップ型の導入に至るまで、組織、プロジェクトチーム、個人を巻き込みながら、取り組みを発展させ
ることが可能です。
先進的な組織は、リーン方式の優れた実践者となり、その目的において申し分なく尊敬されるレベル
(トヨタのように)に到達するには、ナレッジフローに基づく建設手法が、価値提供における議論の中
心となることを認識します。ナレッジを培い、取り入れることが重要となり、そこに組織や一体となっ
たチーム、個人が複雑に関わります。このようなダ゗ナミックなエコシステムにおいて情報の流れを持
続させ、互いに連動させるには、当座のプロジェクト施工システムではなく、技術的な競争優位性をも
つ次世代型エンタープラ゗ズ 2.0 による対応、管理、維持を実現する上で効果を発揮する新しいテクニ
カルなソーシャル・ソフトウェゕ・プラットフォームが必要です。
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慣例への執着
プロジェクトの関係者(施主、設計者、技術者、ゼネコン、設計/建設会社、サブ
コン、ベンダー等)は契約が締結されると真っ先に、プロジェクトにおける自らの
影響力や責任範囲を狭めようと動き始めます。施主は、プロジェクト実施のリスク
を設計者やゼネコンが引き受けることを望みます。設計者やゼネコンはすべてのリ
スクを背負うことはできないため、発注先のコンサルタントやサブコン、サプラ゗
ヤーに極力リスクを負わせるようにするとともに、可能な範囲で施主にもリスクを
押し返します。さらに、プロジェクトの契約書においても、各組織がリスクを回避
しようとすると同時に、支配を失うことや自らの優位性が損なわれることへの恐れ
から、当事者同士の関わりに制限が加えられます。プロジェクト関係者は結果への
責任を転嫁されたくないため、他の当事者の計画や管轄範囲、管理業務に介入したり参画したりするこ
とに消極的です。効果的な協業体制は失われ、その関係性は契約書に定義された連絡先や人員配置、報
告要件にとってかわります。積み重ねられた数々の契約事項により関係者はプロジェクト実行の意思決
定の場から切り離されます。プロジェクトの価値を左右する決定や行動における可視化や説明責任は最
低限となります。ゼネコンやサブコンのプロジェクト権限は大幅な妥協を強いられ、施主や設計者が自
らの権限に基づき問題解決や改善を図るべく介入する機会も著しく奪われてしまうのです。
このように意思決定が細分化され、連携が不十分であり、さらにプロジェクトの当事者が分断された状
況は、今日の複雑なプロジェクトを遂行する上での阻害要因となっています。非常に有能で勤勉なプロ
ジェクトマネージャーが、最も高度なプログラミングツールを使った場合でも、プロジェクト情報やワ
ークフロー全体を把握するのは困難です。リゕルタ゗ムな情報交換や業務計画上の連携を効果的に行わ
ない限り、各当事者は、自らが入手できる限られた情報にのみ依存し、契約上の義務を果たさなければ
なりません。効率の悪さや次善策の採用、分断された業務によって失われる機会、そしてそれに付随す
るあらゆる形式のムダが膨大なコストとしてプロジェクトに跳ね返ってくるのです。
「コストは計算するためではなく、削減するためにある」- 大野耐一
現行のプロジェクト管理手法やクローズドなシステムではこれらの問題に対処できません。施主がプロジェクトの遅
延に直面し、その理由や解決策が分からない場合、不満はさらに高まります。プロジェクト関係者に与えられる遅延
の理由に関する情報は不十分かつ、誤解を招く内容であることや、意図的に誤った情報であることが多々あります。
リカバリープランは通常、確かなデータを詳細に分析した結果ではなく希望的観測に基づいているのです。
プロジェクト特有の複雑性や変化によって、我々は各関係者が最も効率的かつ効果的な手法で契約した業務の計画を
たて実行できると、無条件に信じてしまう傾向があります。しかし、現実には、それぞれのプロジェクト当事者は基
本的に互いに無関係に行動します。立ちはだかる障壁は、プロジェクト実行段階での施主の(課題解決または可能性
を追求する上での)影響力を大幅に低減させます。施主は、効率の悪さによって生じたコストの大部分を負担すると
ともに、プロジェクト実行時の不備による結果を引き受け、残されたリスクが少なくとも膨張した予算や予備費から
捻出できることを願います。このような事態はいかなる合理的な組織も望むものではありません。LPD を採用し、そ
れを積極的に探究することが、組織としてより優れたプロジェクト結果を手に入れる上での方策となります。
大野耐一氏
新郷重夫氏
トヨタ生産方式(TPS)はリーンな組織体系の極みとして世界的に高く評価され
ています。TPS は、その生みの親である大野耐一氏と TPS のエキスパートであ
る新郷重夫氏によって立ち上げられました。1950 年代に静かにはじまった取り
組みは、両氏の努力とゕ゗デゕの結果、世界中の製造業に大変革をもたらしま
した。その証拠に、今日では「継続的なカ゗ゼン」、「ビジネスプロセス」、
「リーンシックスシグマ」といった用語が一般的な職務内容に記述されると同
時に、業界のベストプラクテゖスの同義語として認識されています。
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第二次世界大戦によって日本経済は大きな打撃を受け、戦後は資金や設備が不十分な限られた資源をもとに、経済再
建に取り組まなくてはなりませんでした。このような状況のなかで、顧客から様々な要求の提示を受けたトヨタ自動
車は、製品供給の在り方を再考しなければなりませんでした。そこで同社は、お客様が「必要なものを、必要な時に、
必要なだけ」供給する、という極めて基本的なビジネス原理にフォーカスしました。お客様にとっての価値を特定し、
その価値に見合う最終製品を生産するための要件を定義し、それらを提供する上でのあらゆる種類のムダを徹底的に
排除することが最も重要とされたのです。
特に「必要なものを必要な時に」という最初の二つのポ゗ントを実現するには、製品を供給する際にど
のようなムダが現実的に発生しているかを洗い出す必要がありました。そこで大野氏は、以下の 7 つの
ムダを定義しました。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
作りすぎのムダ
手待ちのムダ
運搬のムダ
在庫のムダ
加工のムダ
動作のムダ
不良をつくるムダ
建設業界は、一般的な製造業とは異なり、何千もの同一部品を生産することはなく、また最終製品は現
場で「製造」され、製品開発は資産の運用開始をもって完了となります。このより複雑な現状に基づき、
さらに以下のムダが定義されました。
8. お客様の要求に見合わない最終製品(固定資産)を提供するムダ
9. 活用されない知見のムダ
10. チームワークの欠如のムダ
「時に問題はあまりに複雑であり、高い知性と広い見聞をもって
初めてそれについて思案することができるのである」- ローレンス・ピーター
その上でムダは二種類に分類できます。1)付加価値がなく完全に排除できるムダ、2)付加価値がな
いものの業務を完了するために必要とされるムダ(例:建設用の足場。建物の最終構造には含まれず付
加価値をもたらさないが、作業を完了する上で一定の割合で必要とされる)。建設業界におけるムダの
存在は、これまでに明確に認識され、プロジェクト全体価値の 15%から 50%を占めると推定されていま
す。ここには改善の余地がおおいにあります。TPS のリーンの原理や方式に基づくリーン・コンストラ
クションとその実証された手法は、プロジェクトにおける当座の施工システムを最適化するとともに、
従来の取り組みによって生じていたムダを露呈し、プロジェクトに関わる組織、チーム、個人のナレッ
ジやソーシャル・ネットワークを活用することで価値を促進するための機会を明確化します。
過去の慣例の見直し
建設業界がリーン・マニュフゔクチャリングの適用を模索するなか、1990 年代には International Group
for Lean Construction および Lean Construction Institute が設立されました。リーン方式を採用するメーカ
ーと同様、建設業界でもこれまでの業務の進め方やシステムへの執着、さらにはサービス提供会社、管
理会社、ベンダー、組立加工者、人員リソースによって極めて細分化されたネットワークに起因する課
題に直面しました。従来型のプロジェクト・デリバリー手法における当座の施工システムでは、プロジ
ェクトの成果や結果に及ぼす重大な影響に十分に対応することができませんが、今もなお、施工目標や
業務目標をスケジュールや契約書のみで効果的に管理できると考えるマネージャーがいます。業務をサ
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ブコン、組立加工者、現場監督者の各方面に次善の「リスク回避」策として小分けし、各関係者が契約
上の義務をそれぞれが適したと思う手法で実現することを要求するのです。
コラボレーションのコンセプトの採用が広がり始めているにも関わらず、建設業界では、プロジェクト全体にメリッ
トをもたらす関係者間の自由な協業に消極的です。今もなお、プロジェクト戦略全体のリスクが消滅することがない
にも関わらず、自らの利益だけを守ろうとし、全体リスクへの影響を考慮しない業務契約や作業明細について議論し、
リスクの分かち合いをしているのです。状況変化の可能性に伴うリスクの転嫁に対応するため、コスト、時間、品質
にはあらかじめバッフゔ(余裕)が設けられます。そしてこれらのバッフゔは建設業界特有の付加価値ゼロのムダと
なるだけでなく、さらに見積もりに諸経費として組み入れられてしまうのです。
「改善とは通常、これまでに実施したことのない取り組みを意味する」- 新郷重夫
企業は分散するリスクを管理するよりもむしろ積極的にリーン・コンストラクション・ソリューションを採用することがで
きます。ナレッジベース・コンストラクションを実現するエンタープラ゗ズ 2.0 を活用することにより、自社のオペレーシ
ョンを変革し、継続的なコラボレーションを推進しながらプロジェクトを確実に展開していくことが可能です。
リーン・コンストラクション
「良好は偉大な敵である」- ジム・コリンズ
より良い結果を期待するのは稚拙な戦略です。プロジェクトにおいて「もうこれで十分」という発想は、創造性や゗
ノベーションを阻害します。企業がより優れた結果を手に入れるには、顧客にこれまで以上に高い価値を提供して競
争優位性を獲得することを目指す継続的かつ積極的な取り組みが求められます。
リーン・プロジェクト・デリバリー(LPD)とは、施工管理に軸を据えたプロジェクト・デリバリー体系でありその
適用範囲はコンセプト段階から建物の運用開始にまで及びます。リーンの原理や手法を建設業界向けに構築し、チー
ムがプロジェクト・デリバリー全体の最適化に重点を置くことで価値を最大化しながらムダを最小限に抑えることを
目指します。LPD では、「管理」の意味を、古い指標に基づく結果に対処するための序列による指示や支配体系では
なく、確立された LPD のオペレーテゖング・フレームワークを通じて業務の計画や実行を最適化するために組織を導
く分散型管理として再定義します(以下の図を参照ください)。
CornerCube 社リーン・プロジェクト・デリバリー・フレームワーク - 最適化を導くテンプレート
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デリバリーの観点から捉えるとプロジェクトはそれぞれが固有です。プロジェクトは複数の組織によって統治されま
す。またコンセプト段階から価値の高い物的資産を創造する必要があります。そして状況応じてメンバーが変化する
なか当事者同士の連携に大きく依存します。建設プロジェクトで成功をおさめるには、統合されたガバナンスを実現
する体制および価値の最適化を図る手段を提供する効果的なデリバリー戦略を組み入れたオペレーテゖング・フレー
ムワークが必要です。フレームワークは目的に沿って設計することにより価値を高めることができ、その場しのぎの
対応では望ましい結果は得られません。
建設プロジェクトの成功を実現する能力は、企業戦略において重要な意味を持ちます。LPD は価値の創造、業
界固有のムダの削減、従来型手法と施工要件の間のギャップや矛盾、冗長性に対処することで、デリバリー・
プロセスの運用基盤を改善します。過去 10 年にわたり、LPD の採用を通じプロジェクトの典型的な課題の解決
や建物の建設管理手法の改善において効果が実証されたことにより、業界には変化が訪れています。
LPD は、結果やプロジェクトの成果、提供価値を継続的に向上することを目指し、建設業界に適合した
リーン・コンセプトを提供しています。特長やポ゗ントは以下の通りです:
•
顧客の視点に基づく価値 – ここでの顧客には、組織内外のプレーヤーも含みます。それぞれに要件
があり、それらを検討する必要があります。顧客は、最終顧客、ビジネス顧客、製品顧客、関係者、
建設監督者、ゼネコン、サブコン、サプラ゗ヤー、作業員など様々で、顧客の間に優先順位や序列
があります。顧客と呼ぶのは、それぞれの成功が互いに密接に関係し、ある組織の行動が直接的ま
たは間接的に他に影響を及ぼすためです。
•
それぞれの条件に合わせた施工システムを適用 –プロジェクトは完成に向け関わる組織、人、プロ
セス、製品が異なるのと同様に、それぞれ個別の構成や場所、環境条件等を備えています。
•
継続的なワークフローを作りだすための統合と同期化– 集合的なプロジェクト・エンタープラ゗ズとして協業
を展開するためには、ばらつきやムダの原因となる自己中心的な仕事の進め方を排除する必要があります。
•
先を見越して備える「プル」テクニックを活用したプロジェクトの計画と展開 – 各種の分断や手戻
りによって生じるムダを減らすことが重要です。制約を取り除き準備を整えた上で、業務開始の要
請に基づき、仕事に取り組むべきなのです。
•
プロジェクトの複雑性や力学を考慮したリーン方式の適用 – プロジェクトによって情報や設計、サ
プラ゗チェーン、最終的な組立フローは異なります。
•
全体の最適化、完全性の追求 – 単独の組織や個人のための利益を求める次善策は、時間とコストを
増加させると共に品質と安全性を低下させます。
•
コラボレーション環境と学習環境の重要性 – 解決策の共同構築、緊密な連携、学習とそれに伴う実践によっ
て、より優れた対策、継続的な改善、チーム構成、効果的なコミュニケーションを実現します。
•
プロジェクトは人と人、人とシステムによる相互作用であると共に、コミットメントのネットワー
クでもあり、より幅広い連携が求められます–人は完ぺきな存在ではありません。よって集合知を活
用することは大きなメリットであり、我々の助けとなります。
•
重要なバリューストリームと実行プロセス全体を特定する – バリューストリームと実行プロセスの
ステップを把握することで、施工システムの可視化が向上し、改善を促進できます。
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変革 – 流れを作る:ナレッジに基づく建設
LPD を自社のプログラムやプロジェクトで採用するメリットについての理解が深まるなか、企業はその
変化のプロセスは段階的に進展することや、施工システムが非常に複雑かつダ゗ナミックであることを
改めて認識します。プロジェクトはそれぞれ、ビジネスケースに応じてラ゗フサ゗クルがはじまり、最
終的な据え付けや活用段階までの要件定義を行います。ラ゗フサ゗クルが進むにつれて、プロジェクト
の進展や今後の展開に影響を及ぼすことや、最適化をはかることは大幅に難しくなります。
プロジェクトの進展とそれに伴う影響の度合い
より分かりやすくするため、実施手法に関係なく、プロセスの変遷とそこで生じるバッフゔ(時間、在
庫およびキャパシテゖ)を単純な流れで表すと、以下の通りとなります。
プロジェクトの基本的な流れ
この一連の事象は、プロジェクトのマクロおよびミクロレベルで何度も実行されていることはあまり認
識されていません。望ましい結果や成功を実現するには、各部品、ゕセンブリー、また行動においてこ
の同じ流れをたどる必要があります。施工システムをより詳しく表すと以下の図のようになります。そ
れぞれの業務の流れにおいて様々な影響が及ぶため 4 種類のナレッジフロー(情報、設計、サプラ゗チ
ェーン/ロジステゖック、現場の組立)とバッフゔを管理することが重要です。
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プロジェクトの施工システムとナレッジフロー
施工システムの最適化を実現する上で必要な要素とは、集合的なエンタープラ゗ズの能力を最大限に高めるためのガ
バナンスを統合する革新的なオペレーションに関する合意、価値創造を促進するナレッジフローおよび物理的なフロ
ーを最適化するために大規模な重要データの管理を効率化するテクノロジー・プラットフォーム、ムダを排除し価値
を提供するための業務の計画、管理、実行を最適化する継続的な改善と工夫されたゕ゗デゕをサポートする効果的な
プロセス(統合されたガバナンス、バリューマネジメント、デリバリーマネジメント)が挙げられます。
改善を実現するためには、求める結果に対するビジョンと熱意を持ちながら、明確な目的と覚悟のもとで LPD プロ
グラムを立ち上げることが必要です。Hardstone Construction Company 社(米ネバダ州・ラスベガス)の事例を紹介しま
す。同社の社長である Pat Henderson 氏は、同社の大規模な Queensridge Tivoli Village プロジェクトが抱える潜在リスクに
気付いたものの、一社だけでそれを特定、ましてや管理するには規模が大きすぎると考えました。そこで Henderson
氏はリスクの特定を促進するとともに、施主にとっての価値を拡大し、ムダを削減するため、統合バーチャル設計お
よび建設(iVDC)チームを編成し、リーン生産方式の複数の原理を採用しました。ダッソー・システムズの CATIA ソリ
ューションを使い干渉のない 3D モデルを作成したほか、CATIA のナレッジ管理機能を活用することで、幅広い設計変
更に対応するとともにシステム構成を最適化し、オペレーションをリゕルタ゗ムにサポートするためのより効果的な
手段を用意しました。Henderson 氏が予期したリスクは、現実のものとなりましたが、それに備えて統合バーチャル
設計および建設(iVDC)を構築し、施工のための解決策をチームとして準備していたため、非常に効果的なリスク管理
と緩和を実現することができ、優れた結果がもたらされました。
このようなナレッジフローを中心とする建設手法は、今後 10 年にわたり、注目されると考えられます。エンタープ
ラ゗ズ 2.0 はプロジェクト・コミュニテゖをデジタルにつなぎ、高度な統合を実現します。そこでは、
•
効果的なコミュニケーション手法として 3D がユニバーサル言語となります。
•
エクスペリエンスやナレッジは、プロジェクト・エコシステムにおいて一日 24 時間、週 7 日、オープンに共有
され、デリバリー・ソリューションのスピード、品質、処理能力を高めます。
•
建設業界向けの新しいソーシャル・ソフトウェゕ・プラットフォームは、提供された情報や各種やり取りのグ
ローバルな可視化と長期的な保持を実現します。
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今後の可能性
建設業界が抱えるムダは膨大であり、そこに議論の余地はありません。いかにムダを削減してプロジェクトのデリバ
リー・エクスペリエンス全体を向上するかが課題です。継続的に改善を重ね、ムダを排除する取り組みは、何よりも
組織的なリーダーシップによって促進されなければならず、またそれは長期的な活動となるため十分なサポート体制
が必要であることをしっかりと理解する必要があります。さらに、取り組みを推進するには、自社専用の LPD オペ
レーション・フレームワークを構築するための投資が必要です。エンタープラ゗ズ 2.0 を実装する新たな企業におい
ては、自らの行動が周囲の動向にポジテゖブな影響をもたらすとともに、共有や検索が可能なナレッジやデータによ
り競争優位性を獲得し、プロジェクトを進展させることが可能です。建設・建築業界に特化した新しいソーシャルお
よびテクニカル・ソーシャル・ソフトウェゕ・プラットフォームは、プロジェクトの価値提供のスピードを向上する
とともに、プロジェクト・デリバリーを最適化します。
チーム全員がリーン方式の実践者でなければプロジェクトにおいてLPDは機能しないと考える組織は、
成功を手に入れることはできません。統合されたガバナンス、価値の創造、卓越した優れたデリバリー手法がもたらすメリッ
トを継続的に追求し、それらを実践の場に取り入れる企業は、そうすることで優れたプロジェクト結果を得るとともに、社内
外のプロジェクト関係者に良い影響を与えることができることを発見します。LPD の技術的、社会的なメリットが明白になる
につれて、顧客ベースの拡大と維持に必要な能力が高まるだけでなく、組織として生き残るための収益性も確保できます。
未来への課題
先進的な組織は、ナレッジに基づく建設が価値提供に向けた議論の中心となることを認識します。ナレッジを培い、
取り入れることが重要となり、またそこに組織や、一体化したチーム、個人が複雑に関わります。このようなダ゗ナ
ミックなエコシステムにおいて情報の流れを持続させ、互いに連動させるには、一時的なプロジェクト施工システム
ではなく、技術的な競争優位性をもつ次世代型エンタープラ゗ズ 2.0 による対応、管理、維持を実現する上で効果を
発揮する新しいテクニカルおよびソーシャル・ソフトウェゕ・プラットフォームが必要です。施主、建築家、設計会
社、建設管理会社、ゼネコン、サブコン、組立会社、コンサルタントはプロジェクトを実施する上でこれらの機能や
能力を手に入れるか、または自らのサービスのコモデゖテゖ化を甘んじて受け入れる、もしくはプロジェクトにおい
て継続的に高コストな負担を強いられるかのいずれかとなります。
著者について
FernandoEspaña、CornerCubeInc.社 社長、カリフォルニゕ州ピエドモント fespana@cornercubeinc.com
MarkHauser、CornerCubeInc.社 プログラムおよびオペレーション、バ゗ス・プレジデントカリフォルニゕ州ピエドモント
mhauser@cornercubeinc.com
ChristopherRyan、ゕメリカ建築家協会、CornerCubeInc.社 テクニカルサービス・バ゗ス・プレジデント、 カリフォルニゕ州ピエドモ
ント cryan@cornercubeinc.com
CORNERCUBE 社について
CornerCubeInc.社は2004年以来、建設業界にリーン・コンストラクションのためのソリュ
ーションおよびテクニカルサービスを提供しています。リーン・プロジェクトの実施
の関連サービスとしては、総合導入サービス、教育および訓練、助言および支援サー
ビス、IPD、3D/BIM++、および施工計画テクノロジーなどを展開しています。
CornerCube 社は、ダッソー・システムズのバリューソリューション・パートナーです。
またGhafari Associates のパートナーならびにAGC のメンバーでもあります。リーン方式
の採用またはダッソー・システムズのソリューションの導入のメリットに関する追加
情報は Fernando Espana までお問い合わせください。電話:1(510) 813-2038 または
info@cornercubeinc.com
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