No. 136 November 2008 医療が揺れるさなかで何をすべきか この 1 年間の学事(教育・研究)活動の総括 平成 20 年度医学部学士編入学生入学宣誓式 国際交流センターオープニングセレモニー ■学事 第 42 回・第 43 回教育懇談会 新任教授紹介 平成 20 年度オープンキャンパス <学生のページ> バーモント大学医学部での夏期医学研修 セントマイケルズ・カレッジ語学・医学研修 医学部学生のメディカルホームステイ ■学術 金沢医科大学医学会 ひらめき☆ときめき サイエンス 金沢医科大学 FDD-MB センター開設 ■病院 第 29 回連携病院会議 平成 20 年度医療監視 ■管理・運営 病院別館改修工事ほか進捗状況 ■随想・報告 米欧回覧実記を読んで カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学記 セントマイケルズ・カレッジ語学・医学研修 視察を終えて ■同窓会・後援会 金沢医科大学北辰同窓会評議員会・総会 金沢医大後援会 橘会総会 冬紅葉の金沢 金沢医科大学報 2 医療が揺れるさなかで何をすべきか 理事長 山 下 公 一 いささか過激なタイトルですが、いま、わが国の医療を取り巻く事情は大変なことになっていることは 皆さんご存知のとおりであり、はなはだ遺憾なことです。脳出血の妊婦が東京都の真ん中で名門病院の間 をたらいまわしされた事態は、単に医師不足にとどまらず、救急医療の受け手の重大な連携不足をも露呈 しており、正に医療の崩壊を暗示するものであり、是非正常な方向に向けて戦略的に対策を急がねばなら ないものがあると感じます。 医療費亡国論が誤りの根源 わが国の医療費抑制政策は、1983 年に厚生省部内から出された「医療費亡国論」に端を発して、以来一 貫して医療費を切り詰める政策が進められてきました。これにはいろいろな評価はありますが、先進国中 で最低レベルの医療費をさらに削減するという思慮に欠けた余りにも偏った施策であり、これを実施して きた結果として、多くの中核病院が診療報酬不足による経営破綻に陥り、今日の「医療の荒廃」をきたして いるというのが一般的な見方であろうと思います。医療、介護、福祉の面で従来の施策を転換して我が国 の健康福祉を回復し確保するのは並大抵ではないとしても、是非実現してゆく必要があります。 医療費抑制政策の 180 度方針転換なるか 厚生労働省は、昨今の厳しい「医師不足」 「看護師不足」の問題、卒後初期臨床研修制度、後期高齢医療 制度に対する社会からの強い批判、進行する公立病院の経営破綻などに直面して、急遽 5 月に「安心と希 望の医療確保ビジョン会議」を立ち上げ、舛添厚労大臣は上記ビジョンを発表するとともに、 「医師は基本 的に増やす」と述べました。これは、厚労省がこれまで一貫して行ってきた医療費抑制政策、医師数抑制 政策から一転して養成数の増加へと 180 度の方針転換に踏み切ったことになります。政府もこれに呼応し て「社会保障の機能強化のための緊急対策− 5 つの安心プラン−」を 7 月に打ち出しました。その結果文部 科学省も、今まで主張してきた医師養成数の制限を緩和し、77 大学医学部で入学定員を 693 人増やし、総 定員数を過去最多の 8,486 人にすることを公表しました(11 月 4 日) 。本学でも 10 名の定員増が受理され、 総定員数は 110 人となります。これは時限的特例措置となっており、本学としては地域医療充実策として 県内の進学校を対象とする指定校推薦制度や特別奨学金貸与制度を新しく実施することになりました。 医師養成数増で問題は解決するか 「日本の医師の数は果たして不足かどうか」については、OECD のデータが引き合いに出されます。国 情による違いもあり単純な数の比較は注意が必要ですが、それによると 2005 年のデータでは、日本の医師 数は人口 1 万人あたり 20 人であり、OECD の 30 カ国中 27 位で最下位のランクに属しています。ちなみに、 上位のベルギーは 40 人、イタリア、スペイン、スイスでは 38 人であり、日本はその約半数という数字です。 今回の医学部入学定員増という緊急措置により医師数が増加することは確実と考えられます。しかし、 問題は「需要に対応できる医師が居るべきところに居るか」であり、現在起こっている医師の偏在が、地域 的な偏在ばかりでなく、専門別の偏在に及んでいることです。産科医、外科医、麻酔科医、小児科医など に年々減少の傾向が見られる点が指摘されていますが、ハードでも打ち込む魅力ややりがいが認められる というような対策も必要でしょう。必要な緊急手術にも応じられないというような事態が頻発するようで はどうにもなりません。 また無節操に医師の数を増やすことは、厚労省、文科省がおそれるように医療費を不必要に膨張させる 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 3 おそれもありますが、医師の質の低下や医師のワーキングプアを生むおそれもあり、入学定員の増加は医 師の適正配置への施策を欠いては、その効果は予期しないものとなるのではないでしょうか。 医師と協働 (collaborate) できるコメディカルを求めて 医学の進歩にしたがって医師のなすべき業務は質的に高度化、複雑化し、量的にも増大し、コメディ カルとともに行う患者に対するチーム医療の形態が一般的となってきております。ここでは看護師や薬剤 師などは、医師の助手的存在であるのではなく、医師と対等な立場で協力してそれぞれの専門領域のサー ビスを提供する医療人として働くわけです。そのためには、自主性を発揮できる専門知識とともに信頼性 のある判断力と人格の形成が必要であり、大学レベルでの正規の教育と臨床実習を受けることが必要との 考え方から、4 年制大学の看護学部と 6 年制の大学薬学部の教育制度が始まっているわけです。本学では、 平成 19 年度から看護学部が開設され、平成 22 年度からは北陸大学薬学部の 120 名の臨床実習を担当するこ とになっており準備が進んでいます。 近年、麻酔科医が病院を去ってフリーランス医となることが流行しており、大病院では麻酔科医の減少 でピンチとなっています。こんな時こそ、麻酔科学会が無視してきているといわれる、看護学部卒の看護 師に一定期間の研修を課して麻酔士の資格を与えるという方策を実現する好機ではないでしょうか。 また、産科医の不足に対しては助産師の力を十分に利用できる方策を考えて産科医の負担を減らすチー ム医療の方策を考えるということ、これらはいずれも現行法では実施が難しとは言わずに、真剣に検討す べき問題であると思います。 看護学部の完成年度は平成 22 年度ですが、従来の本学看護専門学校は平成 20 年度をもって 36 年間の歴 史とその役割を終えることになります。看護師は准看護師を含めて養成制度には長い歴史とともに、養成 機関も養成所、高等学校、看護学校、看護専門学校、大学看護学部と多様であり、現在、毎年 5 万人が養 成を終えて新たに就業していますが、大学・短大卒が 4 分の 1、専門学校卒が約半数というように混在し ている状況です。言うまでもなく、大学卒が優れていて専門学校卒が劣るというわけではありません。大 切なことは、お互いを尊重し合って働く姿勢にあると思います。今後、専門学校卒の人は望めば看護学部 に編入も可能で、奨学資金の貸与制度もあります。 本学の看護学部は平成 19 年に突如としてできたものではありません。本学の看護学教育は昭和 48 年に はじまった長い歴史と、高い国試合格率を続けてきた誇り高い伝統があることを再確認しつつ、看護学部 にその歴史と伝統をつないでゆくべきものであることを、特に現在の看護学部の指導者各位にお願いして おきたいと思います。 再び氷見市民病院への協力のお願い ご存知のように、氷見市民病院は本年 4 月から本学が経営を受託する形で運営されてきて、現在 7 カ月 が経過したところです。公立病院の大部分が経営破綻に陥っている昨今、氷見市民病院の再建の行方は全 国から注目されており、金沢医科大学の真価をも問われる重要な事態ともなっております、CEO の竹越 襄副理事長、高島茂樹病院長をはじめ、本学から出向の皆さんや氷見市民病院で従来から勤務されてきて いる皆さんのおかげで何とか順調な運営がなされてきておりますが、特に十分な応援体制がとれていない 2,3の診療科の体制整備へのご協力を再度お願いする次第です。 金沢医科大学報 4 この1年間の学事(教育・研究)活動の総括 学 長 山 田 裕 一 要 約 平成 19(2007 )年 9 月の学長就任時に「教育の金沢医科大学」という標語を掲げ、日本で最良の医学教育 を実現することを目指すと謳いました。そのために、優れた教員と能力の高い学生の確保、および標準以 上の教育施設とその効率的運営体制の整備に心がけてきました。 教員の中でもっとも重要な位置を占める「部門教授」の選考では、全国から「選りすぐった」教員を確保 することに努め、大きな成果を得ることができたと考えています。一方、本学志願者確保について努力し ましたが、看護学部志願者は増加したものの、医学部志願者数は 2,600 名弱で昨年度とほぼ同数でした。 医学部志願者数増加のため、平成 21 年度入試では地方入試会場を 2 カ所増設するほか、センター試験の導 入を検討しています。また、入学定員 10 名増加にともない「特別奨学金貸与学生」を、従来の 3 名から 10 名に増加し、より能力の高い学生を確保しようと考えています。 施設面では、情報処理教室の拡充、バーチャル・スライド・システムの導入、クリニカル・シミュレー ション・センター(CSC )開設準備、講堂および講義室の音響装置の更新などが行われました。ソフト的 には、時間をかけた教育、個別学習支援の重視を掲げ、従来 1 年間の基礎医学教育を 1.5 年間に延長し、6 学年生の臨床実習(CCS )を復活、5、6 学年生での共通標準試験、および 3、5、6 学年生での成績下位者 を対象とした補習授業などを実施してきました。今後の課題として、CBT や国試結果から本学の特に弱点 となっている教育課題を明らかにし、その克服に取り組みたいと考えています。また、卒前 6 年と卒後 4 ∼6 年を一貫した 10∼12 年の医師養成課程と考えて、キャリア形成、プロフェッショナル育成の視点も重 視して、研修医確保にも繋げたいと思います。 研究面では、外部資金の獲得に大きな成果のあった 1 年でした。関係者の努力に敬意を払います。反面、 臨床医学系部門の教員不足が研究活動にも大きく影響しつつあり、今後、基礎医学部門との共同研究を進 め、さらには留学生の力も加えて収穫を上げて行きたいと考えます。国際交流センターの開設で国際交流 は新しい時代を迎えようとしています。国の留学生 30 万人計画を考慮しつつ、アジアの医系大学との交流 を強めたいと考えています。 最後に、講座制の問題を含めて、医科大学として組織のあり方について議論を進めます。広く情報を公 開し、共有しながら、できるだけ風通しを良くして、多くの教職員からの知恵を頂戴しながら検討を進め たいと思います。 ※ 本要約の本文の全文は、本学 HP 学長メッセージ→施策・提言に収載しております。 これからの 1 年間の主要目標 現在考えている今後の 1 年間の主要な目標は次のとおりです。 1. 入学志願者を医学部で 3,000 人、看護学部で 300 人以上獲得する 2. 平成 20 年度卒業生を 100 人以上、その中から国試合格者を 90 人以上出す 3. 成績下位学生対象の個別学習支援プログラムを充実、強化する 4. 4 月にクリニカル・シミュレーション・センター(CSC )をスタートさせる 5. アナトミーセンターおよび法医剖検室の設備改善を進める 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 6. 教育棟(仮称)の新築計画に取り掛かる 7. 携帯電話を利用した学生への教務関係連絡システムを確立する 8. 効率的な学生出席管理システムの導入を検討する 9. 標準試験問題等作成、管理、運用システムの更新に取り組む 10. ネイティブスピーカー教員を増やし、英語教育の充実強化に引き続き取り組む 11. 医学、看護学教育における「地域貢献活動」の位置づけ、内容を明確にする 12. 一般教育(教養)の位置づけ、内容、形式について明確にする 13. 学生の意見も聞いて、臨床実習のさらなる充実、強化に取り組む 14. 共用試験で全国平均水準以上の成績をあげる 15. 国試における弱点と、その補強策を明らかにする 16. 海外への学生派遣を一層活発にする 17. トイレ、学生食堂などの学生用施設のアメニティ改善を進める 18. 平成 21 年度の文科省・教育 GP を 1 件以上獲得する 19. 平成 21 年度の科研費、金額で 9 千万円以上を獲得する 20. 2 件以上の特許申請 21. 大学院入学生を 20 名以上獲得する 22. 社会人大学院生向け遠隔授業システムを確立する 23. 留学生(大学院枠:奨学生)の拡大の可能性について検討開始 24. 平成 22 年度の初期研修医を 30 名以上獲得する 25. 本学卒業生についての臨床能力評価とその有効利用を検討する 26. 大学組織のあり方の検討を始める 5 金沢医科大学報 6 平成 20 年度 医学部学士編入学生入学宣誓式 第 1 学年次第 2 学期医学部学士編入学生を迎える 平成 20 年 8 月 20 日(水) 午前 10 時 本学本部棟会議室 平成 20 年 8 月 20 日(水)午前 10 時から平成 20 年度医 学部学士編入学生入学宣誓式が、本学本部棟会議室に おいて挙行された。 父兄、教職員に迎えられた医学部学士編入学生 4 名 に対して、山田裕一学長から式辞、山下公一理事長か ら告辞が述べられた。これを受けて、入学生代表の疋 島和樹さんが入学宣誓を行った。 本学医学部では、平成 3 年度から編入学(学士入学) 制度を導入しているが、カリキュラムの見直しに伴い、 従来の第 2 学年次編入学制度を廃止し、本年より新た に第 1 学年次第 2 学期編入学制度が導入された。 (庶務課 出雲淳子記) 医学部学士編入学生入学宣誓式 皆さんは少し遠回りをしてから医学部に入学されま 式 辞 した。もちろん、この回り道は無駄なことではありま 学 長 山田裕一 せん。そもそも、人生に無駄なことなど存在しないの かもしれませんが、特に医師という人間として大きな 平成 20 年度の医学部学士編入学試験に見事に合格 包容力を求められる職業にあっては、医学以外の分野 し、本日晴れて入学式を迎えた皆さん、また、ご両親 を学んだことや医療以外の職業体験は、願ってもない をはじめとするご家族の皆様、大学を代表して、心か 貴重な経験であり、将来必ず役立つ皆さんの財産であ らお喜びと歓迎の意を表します。 ります。その貴重な財産を独り占めせず、惜しみなく 当金沢医科大学において、学士、すなわち 4 年制大 他人にも分け与えてくださることを期待しています。 学の卒業者を編入学生として迎え入れることが始まっ 本学にとって、そのようなかけがえのない財産である たのは平成 3 年度からでした。大学を卒業したのちに、 という意味で皆さんは特別な存在なのです。 さらに医学部進学を志すことに示された明確な目的意 ところで、ご承知のように、皆さんがこれから進む 識、そして大学や社会での経験によって得た広い見識 医療の世界は、けっしてバラ色とは言えません。 「医療 と円熟した人格に期待し、それゆえに、入学後は、同 崩壊」とさえ呼ばれる今日の状況は、4 年前に始まった 級生間で強力なリーダーシップを発揮して、若い学生 新臨床研修制度が直接の引き金になりましたが、基本 たちに意識の変革と高揚を促すような、そういう役割 的には、長年にわたり日本政府が厳しく医療費を抑制 を果たしてほしいという意図で制定された制度であり してきた、そのツケが回ったものであります。すなわち、 ます。 社会が高齢化する中で必然的に上昇せざるをえない医 もちろん、これらは大学側の一方的で過剰な期待で 療費を無理やり抑え込んで、医療機関にとっては「売り す。入学生の皆さんにはあまり深刻には受け止めず、 上げ」に相当する診療報酬を強く抑制する一方で、医学 これからの 5 年半、のびのびと勉学に励んでほしいと 部定員と医師国家試験合格率を厳しく管理して、医師 思っていますが、しかし、このような大きな期待があ 数の増加も抑えてきました。今日の高度で複雑化した ったことは、心の片隅に置いておいてください。皆さ 医療技術を維持するための必要経費の急速な増大と相 んはやはり、本学にとって特別の存在の学生であるか まって、以前から、ほとんどの医療機関、特に地方自 らです。 治体病院は、赤字を抱えざるをえない状況でした。新 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 臨床研修制度以降、大学からの派遣医師が減少して診 おこり、地方では非常な高給を用意しても医師が集ま 療科目を制限した結果、患者が離れていったことが追 らないという状況が生まれている背景の一部に、こう い打ちになり、多くの病院経営は一挙に破綻に直面し した若い医師の思想や態度の問題があるのではないか ました。人減らしで悪化した勤務条件を嫌った医師が と考えてしまいます。しかし、医師という職業にある さらに病院を離れ、残った医師たちが疲弊しきってし 者の過剰なまでの私的生活の優先は、しばしば国民一 まい、明日にも辞めたいという悪循環に陥っているこ 般の感情と大きく遊離し、 「医療改革」への国民の支持 とは、皆さんもお聞きおよびのことでしょう。 を失いかねないのではないかと懸念します。 皆さんが医師として医療の現場に直接関わるのは、 編入学までして医学部に進んだ皆さんには、医師と 早くても 6 年後です。それまでに少しでも、医療現場 なることを単に生活の糧を得るための手段とは考えな を働きやすいものにしておくことは、私たち先に立つ いでいただきたい。 「滅私奉公」の思想からでなく、プ 者の責務ですが、今日の「医療崩壊」には、若い医師の ロフェッショナルの職業的倫理として、生涯を通じて 側にも一部責任があるのではないかと思っています。 地域社会のために学び、働く医師となることをここに 医師としての社会的使命よりも、個人としての私的生 誓ってください。皆さんが国民や患者の思いを心に刻 活を優先することが、現在の若い医師に共通の思想や み、それを裏切らぬよう勉学に励み、近い将来、彼ら 態度です。心身の負担が大きい労働を嫌い、華やかな の信頼にまっすぐ応えることのできる医師となること 生活を求めがちにも見えます。医師の都市への集中が を心から願って本日の式辞といたします。 告 辞 7 で脱落を余儀なくされる場合に時に遭遇いたします。 理事長 山下公一 その点、一旦大学を卒業してから改めて医学部に編入 学を希望し、厳しい選考を経てここに立っている皆さ 本日ここに医学の道を志して新しく編入学が許され んは、医師となるべくしっかりとした目的意識を持ち、 た 4 名の皆さんを迎えて、規模はささやかではありま 将来に対して大きな夢を持って学習に研修に励んでい すが、皆さんの広大な前途への出発点となる意義深い ただけるものと思っております。 入学式を挙行するにあたって、大学を代表して歓迎の 本来、医師という職業で代表される医学への道は大 気持ちをお伝えするとともに皆さんの喜びをともにお 変厳しいものであり、特に臨床業務につく医師の仕事 祝いしたいと思います。 は、実にハード・ワーキングなものであります。人の 本学の編入学制度は、理科系あるいは文科系の大学 命を救うという神業に近い仕事が与えられる一方で、 を卒業し、既にしっかりとした学識を身につけた上で、 失敗は許されるものではなく、そしてハード・ワーキ 医学の道へ進む確固とした意思をお持ちの人を対象と ングな仕事に従事することを前提として、医師という して、医学の専門知識と技能を修得していただき、立 免許が与えられると考えるべきであります。医師とい 派な医師となって社会に貢献していただく、そのよう う職業に従事する者は、生涯にわたって学習と研修に なすぐれた人材を育成することを目的として、平成 3 励むことを約束せねばなりません。そのような理由か 年から行われ、定着してきた制度であります。現在で ら、西洋では古くから、医師の職業を、神学者、法律 は編入学制度を実施する大学は増えておりますが、本 家とともにラーニッド・プロフェッション(Learned 学が編入学を実施する決断をした 18 年前は、国内では Profession )という別格の職業として格付けがされてき 制度化している大学はきわめて少ない状況でした。 ているのであります。 ご存知のように、米国における医学教育制度では、 本学の編入学制度は、一般の大学において一般的教 一旦大学を卒業した上で医学部へ進学することになる 養を身につけて卒業した上で、なお、人のため社会の 点がわが国と異なります。医学部はいわば大学院コー ために身を挺することに意気を感じる方々に、医学へ スの形となり、3 年ないしは 4 年の修業年限で医学を学 の道を開こうとしたのに始まっております。 び、卒業のあとインターン、レジデントの厳しい研修 過程へ進み、医師を目指すことになります。 これに対して、わが国では高等学校を卒業する 18 歳 皆さんは多数の編入学志願者の中から厳正な選考を 経て入学が許可されたわけで、その信念の固さと学業 に対する意識の高さから、本学としても心から歓迎し、 の時点で、将来への志望を決めて大学を選ぶことにな また私達同じ道を志すものとしても、心強い後輩とし りますが、多くの事例を見ておりますと、18 歳の時点 て迎え、共に学ぶことの喜びを分かち合いたいと思っ で自分の将来に確固とした目的意識を持つということ ております。 は必ずしも容易ではなく、また医学への教育研修が求 ここに本学の学生として迎えた 4 名の皆さんの新しい める課題が重すぎて耐えられないという理由で、中途 門出を心から祝福し、この入学式の告辞といたします。 金沢医科大学報 8 金沢医科大学 国際交流センター オープニングセレモニー 平成 20 年 9 月 10 日(水) 12:00 平 成 20 年 9 月 10 日 (水)正午から、教養 棟国際交流センター 前ラウンジにて、金 沢医科大学国際交流 センターオープニン グセレモニーが開催 された。 国際交流センター は、 「人と知とキャン パ ス の 国 際 化 」と い うスローガンのもと、 本学が展開する国際 山田学長の挨拶 交流の下記の基本方 針を結実するべく、平成 20 年 4 月、国際交流課を昇格 させて開設された。 □ 教育面では: 1 )広く世界に貢献できるグローバルな視野と見識、 技術をもった人材を育成する。 2 )海外の大学・教育機関との交流により、教育・ 研究の促進と質的向上を図り、医学の発展に寄与 する。 □ 研究面では: 1 )グローバルな学術研究ネットワークを構築する。 2 )国際的研究人材を育成する。 3 )研究成果を国際的に発信する。 本年 6 月に閣議決定された「骨太 2008 」において、 「留学生 30 万人計画」の策定がまとめられるなど、大 学が国際化を推進する中で、留学生等受入や海外の大 学等との国際交流を推進する組織として、 「国際交流 センター」の設置がかねてより求められていた。 今回のオープニングセレモニー開催の目的は、 1 )今日までの本学における国際交流の歴史と活 動、2 )センター設立が本学の国際交流のマイル ストーンとなるための戦略的取組みであること を、学生・教職員の皆様に知っていただくことに あった。 セレモニーには 100 名近くの学生、留学生、教 職員が出席し、本学における国際交流ヘの関心と 期待の高さが窺えた。始めに、山下公一理事長の 挨拶があり、山田裕一学長、勝田省吾センター長 が本学における国際交流の展望と発展への期待に ついて述べた。引き続き勝田センター長から、相 野田紀子教授はじめスタッフが紹介され、それぞれが 本学の国際交流の発展に貢献したいという抱負を述べ た。大原義朗医学部長による乾杯の発声の後、センタ ー屋外にもテーブルを配したオープンカフェ形式のリ ラックスした雰囲気の中、参加者は食事を楽しみなが ら、本学の国際交流について意見交換を行った。日本 語の不安な留学生のためにセレモニーの進行はすべて 英語で執り行われ、英語、中国語、日本語が飛び交う インターナショナルな雰囲気を楽しんだ。 会場には、本学が海外の諸機関と交流を開始した 1982 年から現在に至るまでの国際交流年表、留学生受 入・派遣数などの統計表、中国、インドネシア、アメ リカ、ベトナムの協定校、パラグアイにおける医療援 助協力の写真等をパネル展示した。なかでも医学部生 たちは海外の語学や医学研修プログラムの紹介パネル に興味を示していた。同時に、現在中国北京市の同仁 病院長として活躍している 20 年前の本学留学生韓 徳 民先生が出演している NHK スペシャル「激流中国:病 人大行列∼13 億人の医療」 (平成 20 年 6 月 15 日放送)を 放映した。この番組は、現代の中国医療における都市 と農村の経済的格差について取り上げたものであった。 今回、できるだけ多くの教職員や学生が気兼ねなく 参加し、楽しめる雰囲気作りを心掛けた。学生、教員、 事務職員、留学生、法人役員の参加者が忌憚なく意見 交換を行い、国際交流センターの存在を知っていただ ける良い機会となった。 同日午後 5 時より第 1 回交流カフェが開催され、教 職員対象の英会話教室、パラオ共和国への国際医療協 力など、センターの様々な活動が始動している。 (国際交流センター事務課 古本郁美、大江佐乙美記) 会場風景 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 9 学 事 第 42 回教育懇談会 シミュレーション教育による 新しい医療研修のあり方 講師: 首藤太一先生(大阪市立大学医学研究科 卒後 医学教育学准教授) 小澤朋子先生(大阪市立大学医学部スキルス シミュレーションセンター管理人) 首藤太一先生 小澤朋子先生 日時: 平成 20 年 9 月 5 日(金) 午後 5 時 30 分 場所: 病院本館 4 階 C41 講義室 た医療技術のシミュレーションが不可欠の時代になっ たと述べられ、大阪市立大学で実施している授業、講 平成 21 年 4 月に本学のクリニカル・シミュレーショ ン・センターが開設される予定である。 第 42 回教育懇談会は、センター設立の意義を理解 習会とその効果を紹介された。さらに SSC 運営のた めの種々の工夫、特にインストラクターの確保が重要 であることを述べられた。 し、また設立準備や運営のノウハウを学ぶ機会として 小澤先生は、SSC 管理人として講習会の企画・準 開催された。講師には、年間 7 千名を超える利用者が 備・後片付け、アンケート集計、シミュレータの保守 ある大阪市立大学医学部スキルスシミュレーション のほか、インストラクター、利用者の相談相手、夜間 センター (SSC )の指導的立場にある首藤太一先生と、 に及ぶ勤務時間のシフトなど、多彩な仕事の内容を紹 SSC の運営に不可欠の存在として知られる小澤朋子 介された。 先生をお招きした。 講演後の討論では、卒前・卒後教育の連携、看護学 首 藤 先 生 は、 医 師 養 成 で 最 も 難 し い の が 心 意 気 部の演習での利用方法、シミュレーション教育と実際 mindset の教育であり、その教育方法として早期臨床 の医療行為との関連のさせ方、臨場感の出し方、セン 体験と低学年からのシミュレーション実習(コミュニ ター維持費、など多彩な質問が出され、参加者が本学 ケーション論)が効果的であることを示された。また でのシミュレーション教育に強い関心を持っているこ 医療行為にリスクが伴うのは避けられないので、医学 とが示された。 生、看護学生、研修医、その他の病院職員を対象とし (クリニカル・シミュレーション・センター 安田幸雄記) り速くより安く診断し、 第 43 回教育懇談会 治療へ至る道筋を学ぶこ とが重要であることを示 総合医(ジェネラリスト)養成の 意義をめぐって された。それには、病歴 が重要であり、次にその 情報に基づいた理学的 講師: 松村理司先生(洛和会音羽病院院長) 所見(hypothesis-driven 日時: 平成 20 年 9 月 25 日(木) 午後 5 時 physical examination ) 場所: 病院本館 4 階 C41 講義室 をとるという基本的な手 技の習得につきること を、ご自身の経験した症 平成 20 年 9 月 25 日(木)、洛和会音羽病院院長の松村 理司先生を講師にお迎えして、第 43 回教育懇談会が 松村理司先生 開催された。冒頭、松村先生は、初期研修の目的とし 分かりやすく解説された。さらに、米国留学中に出会 て、ありふれた(common )疾患をより多く診て、よ われた臨床家の精神に触れることで体得していかれた 例などを紹介しながら、 【学事】 金沢医科大学報 10 ものを具体的にお話し下さり、聴衆側も追体験できて、 情報については再度病歴や身体所見を取り直すこと、 学生ならば知らず知らずのうちに一角の医師になった といった基本的な姿勢である。 「頭の中にあるものし ような気分に浸れたのではないかと推察された。 か見えず、聴こえない」診療への戒めである。 ところで、松村先生のお話は軽妙ではあっても、実 話題は多岐にわたり、90 分が直ぐにきてしまった は多くの科学的な態度や根拠に根ざしていることが随 感のある講演であったが、現代においては病院勤務医 所にみてとれた。それは、たとえば、検査前確率の概 とはいわば専門医集団であり、だからこそ hospitalist 念を学び常にそれに基づいて行動すること、具体的に (急性期病棟における内科系一般医)ともいうべき存 は病歴で得た情報と身体所見の情報を頭の中でつき合 在(総合医)の果たす役割が大きいことを述べられた わせ、互いに補完し合う情報を確認し、逆に矛盾する のが印象的であった。(脳脊髄神経治療学 松井 真記) 平成 20 年度 医学部第2学年 看護体験実習・報告会 (3 )患者の運送等 (4 )ベッドメーキングをはじめとする医療環境の整備 (5 )患者の訴えの聞き取りおよび記録の見学 (6 )バイタルサインのチェック、三測表作成の見学 (7 )医療介助(指示受け、薬剤準備、手術前後の準備、 検査準備、創傷処置の介助、療養指導)の見学 (8 )介護業務(体位変換、食事、清潔、排泄、歩行、 医学部 2 学年の看護体験実習が、8 月 25 日(月)か ら 29 日(金)の 5 日間、本学病院において実施された。 看護体験実習は Early Clinical Exposure(早期臨床体 験)の一環として平成 14 年度から開始され、今回で 7 年目となる。 本実習の目的は 2 つあり、第一は 6 年間の卒前医学 寝衣交換)の見学 (9 )看護問診、入院診療計画書、看護診断、看護計画、 看護記録の作成の見学 (10 )医師、他職種間の連絡および報告の見学 以上 4 日間の病棟における実習の後、最終日の 29 日 (金)に、看護部より前野副部長、谷内裕美子師長(新 教育の比較的早い時期に実際の医療現場を体験するこ 館 5 階西、内科系 )、平内美雪師長(新館 8 階東、外科系) とで医学を学ぶモチベーションをさらに強固なものに の 3 名に出席いただいて、実習報告会を開催した。学 すること、第二は看護師の実際の仕事を肌で感じるこ 生自身が司会を勤めながら、各グループが各自工夫し とにより患者を中心としたチーム医療の重要性とそこ て作成したパワーポイントを用いて実習で学習した内 での医師の役割を学ぶことである。 容と感想をプレゼンテーションし、質疑応答を行った。 事前のオリエンテーションでは、米倉第 2 学年主任 発表では、看護師の仕事の多様さと大変さ、チーム医 による実習の目的・内容・注意事項の説明の後、消化 療とそこで求められる医師の役割の重要性、患者さん 器内科の尾崎一晶助教から感染予防に関して、手洗い を中心に考えることの大切さなど、現場でしか得られ の方法や針刺し等の事故防止について、また学生部作 ない知識や新鮮な驚きや感動が報告された。それらの 成の「学外実習に伴う感染予防対策」資料を用いた解 報告から、学生諸君が今後の医師への歩みに役立つ貴 説と説明があった。さらに、前野聡子看護部副部長よ 重な体験を今回の実習を通じて得たことが強く感じら り、チーム医療の中での看護業務、病棟の日課、実習 れた。報告終了後、前野副部長、谷内師長、平内師長 にあたっての服装や態度、患者さんへの接し方、個人 より、今回の実習と報告会に関して貴重なコメントを 情報保護への留意などについての説明と注意が行われ いただき、最後に加藤 2 学年副主任、八田 2 学年副主 た。 任のコメントで報告会は終了となった。今年度の看護 実習は月曜から木曜までの 4 日間、3∼6 人づつのグ ループが 19 の病棟に配属されて、病棟責任者の管理・ 指導の下、医師・保健師・助産師・看護師法に抵触し 体験実習も、今後の医学学習の大きな一助となる有意 義な実習であった。 実習にあたってご指導、ご協力、ご配慮をいただき ない範囲で、以下の内容を柱とする実習を行った。 ました看護部、各病棟、各診療科の方々に、この場を (1 )引継ぎの見学 借りまして、あらためて感謝申し上げます。 (2 )入院患者の誘導、入院時オリエンテーションの 見学 (第 2 学年主任 米倉秀人記) 〈30、31 頁に関連記事掲載〉 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 11 第 36 回 解剖学実習解剖体 納棺式 平成 20 年 7 月 2 日(水) 、アナトミーセンター2 階実 習室において、第 36 回納棺式が、大原義朗医学部長、 分子細胞形態科学の教職員および実習を修了した医学 部第 2 学年生の参列のもと厳粛に執り行われた。 はじめに、学生の新谷明里さんが司会進行を務め開 催を宣言した。合図により各班の学生が、26 体のご 遺体一体一体に献花を行った。 次に、各班代表により、お棺の蓋に釘を打つ「〆釘」 が行われた。学生を代表し田中辰樹さんが「お礼の言 葉」を述べ、参加者全員でご遺体に謝意を表するとと お礼の言葉を述べる学生代表田中辰樹さん 最後に分子細胞形態科学篠原治道教授から挨拶があ り、各班の学生により順次出棺が行われ閉会した。 (教学課 安田裕美子記) もに、故人のご冥福をお祈りしつつ黙祷を捧げた。 平成 20 年度 墓参行事 平成 20 年 8 月 7 日(木)午後 1 時半から、本学慰霊碑 前において、毎年恒例であるお盆の墓参が行われた。 墓参には作田 実天寿会会長はじめ、役員、一般会員、 ご遺族の方々にご参列いただいた。本学からは、分子 細胞形態科学の教職員および関係職員が参加し、この 夏の記録的な猛暑の中、厳粛に執り行われた。 はじめに、分子細胞形態科学篠原治道教授、八田稔 久教授、作田会長の献花に続いて、参列者全員による 献花が粛々と行われた。納骨堂には、本学の医学教育 参列者によって献花が行われる のため、医療福祉、健康増進のため尊いご遺体を捧げ られた方々が眠っておられ、御霊の安らかならんこと を祈念した。 墓参終了後、天寿会員、ご遺族の方々と、本学関係 者が歓談し、和やかなひとときを過ごした。 (教学課 安田裕美子記) 【学事】 金沢医科大学報 平成 21 年度 医学部入学試験説明会 全国8カ所で開催 12 臨床実習の様子がわかってとても良かった」 、 「オープ ンキャンパスで大学をもっと知りたくなった」 、 「東京 にいながらにして貴校の特色がよく理解でき来て良か った」などの意見が寄せられた。 (入学センター 村井幸美記) 平 成 20 年 7 月 28 日( 月 )か ら 7 月 31 日( 木 )に か け て、全国 8ヵ所(金沢、札幌、仙台、広島、福岡、東京、 名古屋、大阪)で、受験生やその家族、高校の進路指 導教諭等を対象とした平成 21 年度医学部入学試験の 説明会が開催された。総参加者は 178 名(前年 193 名) であった。 説明会では、はじめにビデオ「キャンパスからのメ ッセージ」を放映し、本学の最新の教育内容、学生生 活を映像で紹介した。その後入試実施委員から「本学 の概要」 、 「教育方針」 、 「平成 21 年度入試要項」等につ いて詳細な説明が行われた。 参加者からは「大学紹介ビデオで、大学の雰囲気や、 金沢会場 <平成 21 年度入試地区別説明会> 7 月 28 日(月) ホテル金沢、福岡ガーデンパレス 7 月 29 日(火) 札幌ガーデンパレス、大阪ガーデンパレス、広島ガーデンパレス 7 月 30 日(水) 仙台サンプラザ、キャッスルプラザ (名古屋) 7 月 31 日(木) 東京ガーデンパレス 平成 21 年度 医学部特別推薦入学 試験(AO 入試)に 173 名が出願 る 173 名の出願があった。その後、志願倍率の高さに よる敬遠からか志願者数は減少傾向にあったが、今回 (平成 21 年度)は昨年度の 137 名を 36 名上回る増加と なった。 今回の志願者増加の要因としては、AO 入試が導入 平成 21 年度医学部特別推薦入学試験(AO 入試)は 後 9 年目を迎え本学の入学試験として定着してきたこ 9 月 1 日(月)から 8 日(月)までの 8 日間出願受付を行 とのほかに、看護学部の紹介も兼ねて地元高校を訪問 い、過去最多となった平成 18 年度 AO 入試志願者数と する機会が増えたこと、或いは大学資料委託販売企画 同数の 173 名から出願があった。 業者による 「 テレメール 」(パソコン・携帯電話等から 本学医学部の AO 入試は平成 13 年度入試から導入さ 資料請求が出来るシステム)で、AO 入試要項を幅広 れ、一般入学試験など学力重視の選抜方式では評価が く受験生に配布できたことも一因ではないかと考えら 困難な学習意欲、医師としての使命感や人間性に評価 れる。 の重点を置き、書類選考や面接に十分な時間を掛け丁 寧に選抜を行う入学試験として受験生や高校の先生な どの推薦者から高い評価を得ている。 本学の AO 入試は、導入後 5 年間は平均 130 名弱の 志願者数であったが、平成 17 年度に推薦入試との同 日実施からの分離や学力担保のための基礎学力テスト の導入等の改革が行われ、平成 18 年度には最多とな AO 入 試 は 第 1 次 選 考 の 書 類 選 考 結 果 が 9 月 25 日 (木)に発表され、続いて 1 次合格者は 10 月 19 日(日) に本学にて実施された第2次選考に臨んだ。基礎学力 テストや面接(グループ・個人)の課題を経て、10 月 23 日(木)に最終の合格者 11 名が発表された。 (入学センター 森 茂樹記) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 13 新任教授紹介 医学部 あかい 医学部 たくや 1997 年 1998 年 2001 年 2006 年 3月 4月 1月 1月 2008 年 10 月 とおる 伊藤 透 臨床教授 脳脊髄神経治療学(脳神経外 科学) 内視鏡科 このたび、平成 20 年 10 月 1 日付けで脳脊髄神経治 療学(脳神経外科学)特任教授を拝命いたしました。 昭和 61 年に富山医科薬科大学(現 富山大学)を卒 業後、同大学脳神経外科学教室に入局し、高久 晃 教授の指導を受けました。脳神経外科全般について、 その基礎、救急対応、手術を学ぶとともに、血液凝 固系因子と血管内皮の反応、および脳腫瘍増殖・浸 潤について研究しました。その後、平成 9 年に、金 沢医科大学脳神経外科学名誉教授 角家 暁先生、現 主任教授飯塚秀明先生のご招聘により、当大学に転 任いたしました。転任後は、脳脊髄神経系疾患全般 の診断・治療はもとより、小児科、小児外科、形成 外科など、関連各科のご協力を得て、脳神経外科医 の subspeciality として小児神経外科の研鑽を重ね ております。北陸は、全国で小児疾患治療センター のない数少ない地域となっております。本学は、小 児疾患治療に必須の診療科が充実しており、そのセ ンターとして機能することが求められているものと 考えております。将来を担う子供たちが元気に生活 できるよう、近隣の大学、病院の先生との連携を密 にして診療に取り組みたいと考えております。また、 研究面では、解剖学八田稔久教授のご支援を得て、 成長と脳脊髄液循環の変化をテーマに、小児および 成人水頭症の新たな治療法の開発をめざして、取り 組みを始めました。一方、国際交流委員会副委員長 も拝命いたしました。海外の大学・病院との連携を 密にすることで、本学学生がさらに見聞を広める機 会をつくることができればと考えております。 これまでご支援いただきました大学・病院の皆様 に感謝いたしますとともに、今後も、ご指導、ご鞭 撻を賜りますようお願い申し上げます。 【略歴】 1986 年 3 月 1990 年 4 月 1991 年 3 月 いとう 赤井 卓也 特任教授 富山医科薬科大学卒業 富山医科薬科大学医学部助手「脳神経外科学」 米国 Wayne 州立大学医学部 Research fellow 「生理学」 金沢医科大学脳神経外科学助手 金沢医科大学 脳神経外科学講師 カナダ Toronto 小児病院 Clinical observer 金沢医科大学脳脊髄神経治療学(脳神経外 科学)助教授 金沢医科大学脳脊髄神経治療学(脳神経外 科学)特任教授 このたび、平成 20 年 10 月 1 日付けで内視鏡科臨床教授 を拝命致しました。 昭和 57 年に本学を卒業、本学大学院一期生として第 2 病理学教室(武川昭男教授−外科病理学)で学位を取得、 消化器内視鏡の修行のため金沢大学がん研究所外科(故 麿伊正義教授)に入局。北陸の消化器内視鏡の草分け的存 在の麿伊先生の下で消化器内視鏡診断・治療を学ぶと共 に消化器外科の修練も受けました。この間、国立がんセ ンターの放射線診断部に内地留学。その後、本学の消化 器内科学に入局し、さらに新しく開設された総合診療科 に移籍し助教授に昇任。この間、早期消化器癌の診断・ 内視鏡治療のみならず肝・胆嚢・膵臓疾患などの診断・ 内視鏡治療に精力的に励んでまいりました。平成 19 年 4 月から内視鏡科の准教授に就任し、今般は内視鏡科臨床 教授を拝命致いたしました。 内視鏡科は平成 19 年 4 月に開設された臨床科で、その 目的は 3 つあります。第 1 は、早期の食道・胃・大腸癌な どの癌腫を主とした消化器病変の高度な内視鏡診断、各 種の内視鏡的切除、ステント挿入術などの治療を行うこ と。第 2 は、本学病院が推進している検診において質の 高い消化管内視鏡検査を提供すること。第 3 は、病院内 の他科からの内視鏡対診(診断・治療)に迅速に対応する ことです。昭和 20 年代の後半から始まった日本発の軟性 消化器内視鏡診断・治療の道程は今後、さらに発展を続 けて行くものと思われます。内視鏡治療は患者様にとっ て優しいとの観点から、新しい内視鏡機器、内視鏡診断・ 治療法の開発などを進めて行きたいと思っています。北 陸におられる方がこれらの恩恵を享受できるように努力 をいたしたいと存じます。 本学を卒業した臨床家として現在行わせていただいて いる診療は、大学院修了後より思い描いていたそのもの であり、この度いただいた立場は私が理想にしていたも のです。本学の卒業生として現在の置かれている立場、 環境に感謝し、その責任の重さを痛感している毎日です。 このご恩に報いるべく、日々の診療、教育、後輩が一人 でも多く残ってもらえる環境作りに努力をし、臨床を基 盤とする研究に励み、微力ながら本学の発展に努力して いく所存でございます。今後とも、皆様にはご指導、ご 鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。 【略歴】 1982 年 3 月 1986 年 3 月 1986 年 4 月 1988 年 5 月 1991 年 2 月 1995 年 4 月 1996 年 4 月 2001 年 7 月 2001 年 8 月 2007 年 4 月 2008 年 4 月 2008 年 10 月 金沢医科大学医学部卒業 金沢医科大学大学院医学研究科修了(病理 系Ⅱ) 金沢大学がん研究所外科入局 国立がんセンター放射線診断部内地留学 (1988 年 10 月まで) 国立病院機構石川病院外科医長 金沢医科大学消化器内科学助手 金沢医科大学消化器内科学講師 金沢医科大学総合診療科講師 金沢医科大学総合診療科助教授 金沢医科大学病院内視鏡科准教授 内視鏡センター部長 金沢医科大学病院内視鏡科臨床教授 【学事】 金沢医科大学報 平成 19 年度 優良教員表彰 14 上田 文夫 一般教育機構講師 井口 晶晴 呼吸機能治療学(呼吸器内科学)講師 堀口 章子 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)講師 〈研究活動部門 6 名〉 西条 旨子 健康増進予防医学(公衆衛生学)准教授 平成 19 年度教員評価における優良教員の表彰式が 宮澤 克人 泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)准教授 平成 20 年 9 月 18 日(木) 、本部棟 2 階会議室Ⅰで行わ 倉田 康孝 生理機能制御学(生理学)准教授 れた。 河野 美幸 臓器機能再建学(小児外科学)准教授 山田裕一学長から優良教員賞の受賞者一人ひとりに 金山 景錫 顎口腔機能病態学(口腔科学)講師 表彰状が授与され、将来の我が大学を担う人材として、 中村 常之 発生発達医学(小児科学)講師 さらなる活躍を期待している旨の激励がなされた。 (学長室 中居邦克記) 平成 19 年度優良教員表彰者 〈教育活動部門 7 名〉 〈診療活動部門 7 名〉 田中 達朗 泌尿生殖器治療学(泌尿器科学)准教授 伊藤 透 内視鏡科准教授 土島 睦 消化器機能治療学(消化器内科学)講師 病態診断医学(臨床病理学)講師 岩井 邦充 高齢医学(老年病学)准教授 黒瀬 望 田邉 洋 環境皮膚科学(皮膚科学)准教授 山村 淳一 発生発達医学(小児科学)助教 正木 康史 血液免疫制御学(血液免疫内科学)准教授 白石 美治 侵襲制御学(麻酔学)講師 東 伸明 分子細胞形態科学(解剖学)講師 増山 宏明 臓器機能再建学(小児外科学)講師 優良教員賞受賞者 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 看護学部 15 引き続き芝本利重学生部長から学生生活等全般につ いて、坂井恵子教務副委員長から教務関係等について、 落合富美江入試実施副委員長から平成 20 年度看護学 第2回 部入試状況等についてそれぞれ詳細に説明がされ、保 看護学部保護者連絡会 護者の方は看護学部についての理解を深めた。 正午から、看護学部棟 1 階ラウンジにおいて親睦を 兼ねた食事会が行われ、保護者と看護学部教員が歓談 平成 20 年 9 月 21 日(日)午前 11 時から、第 2 回看護 学部保護者連絡会が本部棟 4 階講堂において、保護者 66 名の出席により開催された。 した。 午後 1 時から希望者による個別面談および学内見学 が実施された。個別面談では、成績および学生生活な 開催に先立ち俵 友惠看護学部長から「大学教育は知 ど多岐にわたり質疑応答が行われた。また学内見学で 識の切り売りをする場ではなく、自分で考え、自分で は、クラブハウス・図書館・病院新館 11 階および 12 できるだけ多くの選択肢を見つけ出し、その状況下で 階の見学と看護学部棟 2 階の実習室において模擬演習 最適の方法を選び出すことができる人間の育成を目指 を見学・体験した。 しています。今日の自分より明日の自分、自己開発能 力の育成へ向け学生教育に教職員は邁進しておりま 次回の保護者連絡会ではより一層内容を充実させ、 保護者と看護学部との連携を深めたい。 (看護学部事務課 中新 茂記) す。今後とも保護者の方々の協力を是非お願いいたし ます」との挨拶があった。 看護学部保護者連絡会(本部棟 4 階講堂) 芝本利重学生部長による説明 模擬演習体験 食事会 【学事】 金沢医科大学報 16 午後からは参加者の希望に応じて入試説明会や個別 平成 20 年度 医学部 相談を行い、施設見学希望者にはクラブハウスや図書 館、病院新館、スキルスラボの見学も行われた。参加 者はそれぞれに本学を理解した様子で、午後 3 時には 全てのプログラムを終了した。 本学のオープンキャンパスは受験生の視点で本学を 平成 20 年度医学部オープンキャンパスが、平成 20 見てもらうことに重点を置いており、毎回、約 30 名 年 7 月 21 日(月・祝) 、8 月 10 日(日)と 24 日(日)の 3 の在学生が中心となり、参加者の案内や説明などを 回開催された。 行っている。参加者アンケートでも、 「在学生のイキ 第 1 回 目 の 7 月 21 日 に は 117 名( 受 験 生 本 人 45 名、 イキとした姿に接し、この大学で学びたいと思いま 父 母 等 72 名 )、 第 2 回 目 の 8 月 10 日 に は 100 名( 受 験 した」 、 「参加して、受験へのモチベーションが上がっ 生本人 51 名、父母等 49 名)、第 3 回目の 8 月 24 日には た」、 「模擬講義はとても興味深く楽しかった」などの 105 名(受験生本人 52 名、父母等 53 名)の合わせて 322 感想があり大変好評であった。 名(昨年度は 337 名)の参加があった。 (入学センター 村井幸美記) 午前 10 時に始まり、篠原治道教授から開会の挨拶、 続いて入試実施委員よりプログラム等の説明のあと、 参加者は 4 つのグループに分かれ、在学生がガイドと なりキャンパスツアーを行った。 午前中は体験コースとして環境皮膚科学(皮膚科 学)の田邊 洋准教授や分子細胞形態科学(解剖学)の 東 伸明講師による模擬講義があり、また模擬面接も 行われた。 昼食は学生食堂で参加者と在学生、教職員が食事を 取りながら歓談した。その間も受験生は、受験勉強の ことや学生生活のことなど、 「ホームページ」や「大学 案内」では分からない在学生の生の声に聞き入ってい た。 在学生と歓談する参加者 <学生サポーターの声> 興味のある入試方法で入学した学生を選び、自由に質 問することができます。また、グループ内には各学年 ふなやま 船山 みずき(医学部第 4 学年) 私は入学してから毎年、オー プンキャンパスのお手伝いをさ せていただいています。オープ ンキャンパスの内容は、模擬講 義や模擬面接、入試説明会など ですが、模擬講義では、前年の 「第 6 学年生が選ぶ ティーチャ ー・ オブ ・ ザ ・ イヤー」に輝いた先生の講義を生で聞く ことができます。また模擬面接では、実際に入試の際 に使われる教養棟で、面接を模擬体験することができ、 参加者の方にも、毎年好評と聞いています。 本学オープンキャンパスの大きな特長は、主に在学 生が参加者への応対を行う点です。学生は 4 グループに 分かれて大学を案内しますが、自分の入学方法を書い たカードを首から提げているので、参加者は、自分が の学生がいて、学年によって変わる学校生活について も訊くことができます。 本学では、入試の一つとして AO 入試を採用していま すが、私は AO 入試を受験し入学しました。そのため毎 年 AO 入試について多くの質問を受けます。その一つ一 つにお答えしていると、この大学に入学したいという、 参加者の熱い気持ちが伝わってきます。実際に本学で 学生生活を送っている私たちに接していただくことで、 将来は後輩になる彼らの勉強に対するモチベーション がさらに上がり、夢を実現することに貢献できれば、 これ以上の喜びはありません。来春にはこのキャンパ スで、本学医学生としてお会いできることを楽しみに しています。 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 17 スに 90 名を受け入れるにあたっては、学生サポータ 平成 20 年度 看護学部 ーの増員のみならず、内容は低下させずに運営形式を 大きく組み替えるという試みを行った。 オープンキャンパスのホスト役を務めてくれた学生 は、延べ 44 名。特に 2 回目は、前日まで実習に追われ て疲労困憊していたはずの 2 年生も、1 年生とともに 本年度も 2 回のオープンキャンバスが開催された。 最後まで笑顔で参加者に接してくれた。参加者と現役 第 1 回目の 7 月 20 日(日)には 55 名(受験生本人 33 の学生との交流はオープンキャンパス成功の大きな要 名、父母等 22 名)、第 2 回目の 8 月 23 日(土)には 90 名 因となっており、これはアンケートにも反映されてい (受験生本人 61 名、父母等 29 名)、合わせて 145 名の る。メインホストという大役を果たしてくれた学生サ 参加があった。これは昨年度の実績(113 名)を大きく 上回るものであり、本学看護学部の認知度の上昇を物 語るものと考えられる。 ポーター達に改めて拍手を送りたい。 最後に、協力してくれた多くの教職員に感謝すると ともに、この成功が本学部受験者の数と質のさらなる 第 1 回目は他大学看護学部のオープンキャンパス開 向上に繋がることを祈ります。 (看護学部 石橋隆治記) 催日と重なっていたにもかかわらず、予想以上の参加 者があり、学生サポーターを急遽増員した。今年度の 模擬講義と模擬演習は母性看護学と小児看護学を中心 に据え、妊婦の生活、乳幼児のおむつ交換などを学び、 体験してもらおうと、教員と学生が一丸となって取り 組んだ。また、血圧測定を組み入れて演習項目を増や し、新たな試みのスナップ写真サービスでは、妊婦服 姿で赤ちゃんの人形を抱き、自らポーズをとる高校生 の姿に微笑ましさを感じる一場面もあった。看護学部 の 1 年間を展示したコーナーにも参加者は興味深く見 入っていた。昼食は、山田裕一学長の発案によるホテ ルのケータリングサービスで、参加者はもちろん学生 や教員にも大好評だった。第 2 回のオープンキャンパ 模擬演習 <学生サポーターの声> 新生児のおむつ交換の 3 つでしたが、先生や同級生以外 の人たちと実習を行うのは今回が初めての体験なので、 おだき あつこ 小瀧 敦子(看護学部第 2 学年) うまく説明ができるか不安や緊張もありました。しか し、参加者の方々が学生の説明にしっかりと耳を傾け 今回のオープンキャンパスに は本当に多くの方々に参加して いただき、とても嬉しい思いで いっぱいです。なかには、遠方 質問などもしてくださって、会話がはずみ笑顔で技術 体験を行うことができました。 昼食時には参加者の方と同じテーブルを囲み、たく さんのお話をしました。私たちがこれまでに行ってき から何時間もかけて参加された 方もいることを知り、この大学 の魅力や良いところなど存分に 伝えることができればいいなという気持ちでお手伝い たことや思っていること、特に勉強のことや部活動の ことを中心に話をし、訪れた高校生や保護者の方は興 味深く聞いてくださり、質問もたくさん受けました。 1 日という短い時間でしたが、とても楽しそうに参加 をしました。 まずは、十数人のグループに分かれて、看護学部棟 や病院新館見学などのキャンパスツアーや模擬講義、 看護実習室で在学生と行う模擬演習などに参加してい してくださり、帰り際には「楽しかったです」 、「あり がとう」と声をかけていただき、オープンキャンパス のお手伝いをして良かったと思いました。まだ 1・2 学 年生しかいない看護学部ですが、参加してくださった ただきました。模擬演習については、学生が事前に何 度も集まって練習や打ち合わせを重ね、当日を迎えま した。今回の模擬演習体験は、血圧測定、妊婦体験、 たくさんの受験生とともに、来春を迎えられることを 心より願っています。 【学事】 金沢医科大学報 18 国際交流 Center for International Exchange Kanazawa Medical University CIE Café 交流カフェ 交流カフェ(CIE Cafe )は、国際交流センターのキ ーコンセプト“人と知とキャンパスの国際化”の実現 を目指す企画第 1 弾で、多様な言語と参加者で身近な 事柄を共有しながら一時を過ごそうという集いです。 月 1 回開催され、お菓子とコーヒー・お茶を楽しみな 第 1 回交流カフェ (国際交流センターラウンジ) がらの毎回 1 時間あまり。内容は 1. 身近な話題の提供、 2. 自由な議論、3. 話題提供者の母国語ミニ講座という 三部構成です。教員・職員・学生のどなたでも、どう ぞ気軽に息抜きとして立ち寄ってみてください。 第1回 CIE Cafe 2008.9.10(水) 17:15 ∼ 18:15 オープニングセレモニーと同日の夕刻、第 1 回交流 カフェ(CIE Cafe )を開催した。 当日は 24 名の参加者を得、 「中国と日本の色彩感覚 の違い Meaning of Color in China and Japan 」につ いて、話題提供者の唐 立華さん(病理病態学大学院生) による「日本に来て最初のお正月に、大学内の至る所 唐 立華さん 曲 静涛さん に白紙に黒字で『謹賀新年』と書いてあったのでびっ どんどん盛り上がり、 「漢字を覚えるのは大変、特に くり仰天した。中国で白と黒はお葬式の時だけ」とい 画数が多い漢字を中国や日本の子どもたちはどんな風 う体験談から、楽しい一時が始まった。 「花嫁の伝統 に覚えるのだろう」 、 「ところで 57 画もある中国語の漢 的な衣装は中国で赤、日本で白」、 「紫は日本では高貴 字を知っていますか」 (私は、ある種の麺を意味する な色、中国ではふつうの色」、 「中国の伝統医学では 5 現存のこの漢字を頭の体操のため必死に覚えました) 、 つの色を使う」など、話しが盛り上がった。最後の中 「中国語漢字が単純化されているので子どもたちにと 国語ミニ講座では、 “理解”と“交流”を意味する中国 っては覚えやすくなった」 、 「でも、日本人にとって 語を参加者全員で斉唱し、時間超過で第 1 回を終えた。 は漢字の意味が理解しにくくなった」などなど、侃々 諤々。 第2回 CIE Cafe 2008.10.1(水) 17:15 ∼ 18:15 10 月 1 日(水)の夕刻、国際交流センター前のラウ 最後の「ことばミニ講座」では“手紙を書く”という 表現を中国語で一同斉唱し、第 2 回カフェを終了した。 ンジで 22 名の方々の参加の下、第 2 回交流カフェを開 催した。今回は曲 静涛さん(感覚機能病態学大学院生) からの話題で、 「 “手紙”の意味は? 中国語と日本語で 第 1 回、第 2 回の交流カフェにご参加くださった皆 様、ありがとうございました。11 月からは毎月第 2 水 … Do you know the meaning of“手紙”? 」。司会は第 曜日の同時間に行い、第 3 回カフェは 11 月 12 日に開 1 回交流カフェで話題を提供してくださった唐さん。 催します。たまたま第 1 回、第 2 回ともに中国からの 「皆さん、 “手紙”の意味をご存知ですか?」、 「当た 話題提供でしたが、様々な文化・社会の話題を中心に、 り前でしょ、 “手紙”は手紙に決っているでしょ。」 、 共通のコミュニケーション手段を英語として(ご安心 「いえいえ、それは日本語でのこと。中国語ではトイ ください、実際には英語と日本語が飛び交っておりま レットペーパーなのですよ。ですから、私に手紙をく す)一時を過ごそう、というのがこの交流カフェの趣 ださい、なんて言うと… 旨です。毎回、学内に予告ポスターを貼りますので、 」、 「まだありますよ。 ‘娘’ は日本語では daughter とか young girl を意味します どうぞご覧下さい。今後もたくさんの方々のご参加を が、中国語では mother のことなのです。 」やりとりは お待ちしています。 (国際交流センター 相野田紀子記) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 19 レンジしていた。ベトナム揚げ春巻きは、健康増 内灘祭に留学生が出店 進予防医学大学院生 Thai The Pham さんがこの日 のために母国で調達した材料を用いたもので、ま とめて購入してくれるお客さんが多く、製造が追 平成 20 年 10 月 4 日(土) 、5 日(日)と開催された いつかないほどの評判だった。 内灘祭に、留学生が本学の学生たちと一緒に模擬 4 日のみの出店だったが午後 3 時過ぎにはほとん 店を出店した。留学生が出店するのは 5 年ぶりとい どの商品が売り切れ、参加した留学生からは「また うこともあり、経験者の感覚機能病態学(眼科学) 来年も行いたい」という声が多く聞かれた。 大学院生の曲 静涛さんをリーダーに、合計 9 名の 日頃、研究や勉学に多忙な日々を送っている留 留学生が力を合わせて取り組んだ。また、留学生 学生が、本学の学生や教職員、近隣の住民と触れ が日頃からお世話になっている内灘町国際交流ボ 合う良い機会となった。 ランティアグループ「Switch うちなだ」から日本語 教室の先生方に、準備段階から協力していた だいた。 中国の手作り水餃子、中国西北地方の伝統 料理「麦飯」、ベトナムの揚げ春巻きを実演販 売した。水餃子は曲さんら数人の中国人留学 生がその場で皮を作り、具材を包み、茹でた てを提供した。留学生は慣れた手つきで、注 文に合わせ手早く調理していた。また日本で は知られていない「麦飯」は、じゃがいもと 野菜を小麦粉と調味料で和え、油で揚げてか ら蒸したもので、童 暁鵬さん(血液免疫制御 学大学院生)の出身である西安(長安)の伝統 料理とのこと。日本では珍しい調理法で作ら れたこの料理に、多くの方が興味を持ちチャ (国際交流センター事務課 大江佐乙美記) 【学事】 金沢医科大学報 20 国際交流 パラオ共和国との遠隔医療についての調査 国際交流委員会 副委員長 赤 井 卓 也 脳脊髄神経治療学(脳神経外科学)特任教授 要旨 平成 20 年 10 月 6 日(月)から 10 日(金)の 5 日間 の日程で、パラオ国立ベラウ病院を訪問・視察し、 本学としてできる医療協力について、保健省大臣、 病院長、事務局長ら、担当者と協議した。ベラウ 病院はパラオ唯一の入院設備のある病院である が、手術が必要な重傷患者は、ハワイ、マニラに 移送して治療されている。同病院から金沢医科大 学に対しての希望は、① 各症例において緊急に治 療が必要かどうか判断するためのコメントを当方 からもらいたい、② 次のステップとして、病院の レベルアップのために金沢医科大学の協力を得た Yano 大臣と Tele Medicine のスタッフ い、ということであった。症例コンサルテーショ ンのためには、ベラウ国立病院で撮影した画像と病歴 視察および協議内容 をインターネットで当院へ転送し、それに対し各担当 10 月 7 日にベラウ国立病院内にある保健省 Yano 大 科がコメントを書き込んで返送するシステムの構築が 臣のオフィスを訪問。視察に来訪した旨を挨拶した後、 必要である。また、診断・治療技能、看護技能の向上 事務局長、病院長と挨拶。その後、大臣みずから、病 のための教育的支援も求められた。 院内の各所を案内してくれた。ベラウ国立病院のビジ 本学の国際医療協力の一つとして、早急に大学およ ネスアワーは午前 7 時 30 分から午後 4 時 30 分である。 び病院内全部局・全科の協力のもとに、本計画を進め 私の訪れた午前 9 時頃は、朝の最も慌ただしい時間と ることが必要と考えられた。 思いきや、人の流れはゆっくりで、我先にと急ぐ人 はなく、診察側も何かのんびりとしていた。この、時 パラオ視察にいたった経緯 の流れはパラオであるゆえか。ベラウ国立病院は、80 パラオは、グアムとマニラの中間の位置するサン 床で、医師 23 名(約半数がパラオ人、1 名の台湾から ゴ礁に浮かぶ約 600 の島からなる人口約 22,000 人の独 の研修医)、看護師 116 名(ほとんどパラオ人)、薬剤 立国である。第 2 次世界大戦前は、20,000 人近くの日 師 2 名で、在院日数は 5 ∼ 6 日である。病院内は film 本人が居住し、現在も日本名を姓としている人も多い less で、当院同様に PACS システムがあった。しかし、 親日的な国である。戦後、アメリカが信託統治してい CT は 1 slice scan のものが 1 台のみで、かつ故障中で たが 1994 年に独立した。ベラウ国立病院は、そのパ あった。ナースステーションにもコンピューターが配 ラオ唯一の入院施設(80 床)をもつ病院である。現在、 備されていた。財政難で在庫切れとなっている薬剤名 ハワイ海軍病院と提携し、症例のコンサルト、移送、 が薬局に列挙されていた。何か、ある程度の機材はあ 治療援助などを受けているが、2009 年にその提携が るが機能していない印象をうけた。各所を回った後、 終了する。そこで、パラオ保健省から JICA(ジャイ 大臣、事務局長、Tele Medicine 担当者らと会議。現在、 カ)の現地派遣員を介して、本学の山田裕一学長、大 外科的治療が必要な症例は、ハワイの海軍病院へ連絡 原義朗医学部長に医療支援の希望が伝えられた。パラ し、向こうが受け入れを承諾すれば、そちらへ転送(主 オへの医療支援は、本学がめざす国際医療協力に合致 に腫瘍症例約 15 例/年) 。そうならなかった症例は、 するものであり、金沢医科大学に何が求められており、 マニラへ転送している(約 100 例 / 年)。緊急時は、最 われわれはどのような協力ができるのかを把握するた も近いグアムへ転送することもある。金沢医科大学へ め、今回の視察に至った。 期待していることは、重症症例において、外科的治療 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 21 言われた。島の人の話では、 最近は台湾、韓国資本がパ ラオにかなり入ってきてい るとのことであった。大統 領府の保健省オフィスとベ ラウ国立病院ともネットワ ークで結ばれていた。帰り 際にバナナを一房いただい た。 ベラウ国立病院 第 3 日 は、 離 島( ペ リ リ が必要かどうか、画像および病歴からコメントをもら ュー島)の診療所まで病院所有の船で 1 時間の船旅で いたいということであった。現状では、コンサルトは あった。港から診療所までは、かなり古い救急車(日 週に 5 件程度、緊急のコンサルトは月 1 件程度である。 本で使用されていたもの)で移動。この島は太平洋戦 さらに、次のステップとして病院職員のスキルアップ 争の激戦地で中隊が玉砕したところである。この島 のための教育的援助の希望があった。午後は、ハワイ に診療所は 1 カ所で、ナースのみ常駐。まだ、ネット と行っている Tele Medicine およびマニラとの交信に ワークでつながれていない。医師は、アメリカ軍の医 ついて、大臣および担当者から説明を受けた。ハワイ 師が週 1 回、ボランティア ? で訪れている。患者さん は、そこの海軍病院のサーバーにパラオからコンサル も彼が来る木曜日に多く訪れる。もちろん島民はいつ トされた症例がカルテファイルとして画像とともに保 でも治療が受けられることを望んでいるが、国には人 存されており、閲覧権限のある医師はパラオからでも 的、金銭的余裕はない。彼も次の赴任地が決まってお その情報をみることができるシステムとなっていた。 り、その後診療所をどう維持するのかは未定だそうで このシステムは、パラオのみならずアメリカが関与す ある。この日は、喘息のこどもを連れてベラウ病院へ る太平洋の島々ともつながっているようである。マニ の帰路についた。この日は大臣主催のパーティがあり、 ラとの交信は、マニラにいる放射線科医へ、その都度、 イスラエル人医師とともに参加した。病院長とゆっく メールと jpeg file を別々に送るといった簡単なもので り話をする機会をもてた。彼は、アメリカ人でさらに あった。相手方担当者が不在の時は、いつまでも返事 南の島で医学校の校長をしていたそうである。今、こ がないようだ。また、ちょうどイスラエルから 2 週間 の施設でできることは限られているため、病院に必要 の予定で、放射線科医、技師が来訪しており、この日 なものは Tele Medicine 以外では、医師よりも教育さ の午後は職員向けに講義を行っていた。 れた看護師と、病院職員の啓蒙であると仰っていた。 第 2 日は、バベルダオブ島(一番大きな島だがほと んどジャングル)の診療所および大統領府を訪問。診 今後の課題 療所には医師は常駐しておらずナースが 1 名常駐して 今回の視察で、パラオにはお金はないけれど、外国 いた。医師は週に数日、曜日を決めて診療所を訪れて からの援助で不揃いではあるが、ある程度の機材があ いた。診療所とベラウ国立病院を結ぶネットワークが ることがわかった。Tele Medicine もその一つで、国 配備されたところで、これからは医師が訪れたときは、 内のネットワークは構築されつつあるが、それを機能 国立病院にある患者ファイルをみることができるよう させるのはこれからのようである。そこで、金沢医科 になるとのことであった。緊急時は、常駐ナースが、 大学がこのネットワークの一翼を担うことが期待され ナース兼、ドライバー兼、救急隊員として国立病院ま ている。日本の大学として、歴史的に関係の深い国で で患者を転送するそうである(救急車は島に 1 台のみ あるパラオに対して、金沢医科大学ができる医療協力 で大統領府にある) 。この島は、最近、台湾の援助で を明らかにし、そのための環境を早急に整備すること 道路が整備された。その後、大統領府へ向かい保健省 が必要であると考えられた。これを成功させるには、 のオフィスを訪れた。大統領とは面会しなかったが、 大学および病院内全部局・全科の協力が不可欠であ 秘書らしき人が大統領府内を案内してくれた。府内の る。 廊下にパラオと国交のある国の国旗が飾られていた が、パラオ国旗の次がアメリカ国旗、その隣が日本国 最後に、今回の視察の機会を与えていただいた山田 旗であり、日本の位置付けがわかった。秘書官らしき 学長、大原医学部長、勝田省吾国際交流委員会委員長、 人からも「このとおりだ。よろしく」のようなことを 飯塚秀明病院長に感謝申し上げます。 【学事】 金沢医科大学報 22 学生のページ 第8回 バーモント大学医学部での夏期医学研修報告 (期間:2008/7/20 ∼ 8/2 ) 第 8 回バーモント大学医学部での夏期医学研修が 7 月 20 日から 8 月 2 日、米国バーモント州のバーモント 大学において実施され、医学部第 5 学年の大関舞子、岡 美江、新田恭子、村田麗衣、米良佳奈子の 5 名が 参加した。参加学生の研修報告から 2 編を掲載した。 バーモント夏季滞在プログラムに 参加して おおぜき ま い こ 大関 舞子(医学部第5学年) (国際交流センター) 患者さんは安心して治療に専念していた。光を取り入 れ、植物を増やすというような構造的な部分はもちろ ん、人間関係においても明るい雰囲気が作り出されて いた。また、患者と医師との関係がとても親密で、ま 平成 20 年 7 月 20 日∼8 月 2 日までの二週間、アメリ カ・バーモント州にあるバーモント大学附属 Fletcher るで友達同士であるかのように接しており、お互い信 頼しあっている姿が見受けられた。 Allen Health Care にて研修させていただいた。この 実習の中でも特に外来実習が印象的だった。患者さ 研修を通し、アメリカの医療だけでなく、倫理観や生 んはまず受付を済ませ、自分の番が回ってくると診察 き方など大変多くのことを学んだ。私が経験したこと 室(個室)へと案内される。そして医師が患者さんの を全て書き起こすことは難しいが、ここにその一部、 待つ診察室へと出向くのだ。その後、診察室では 15 特に印象に残ったことを記そうと思う。 分から 20 分ほど医療面接・診察を行う。その場で医 師はカルテを記すことはせず、じっくりインフォーム 1.アメリカの医療現場について ドコンセントに集中するのである。ここでの長いとも 2 週間の研修の間、私は主に Hematology, Oncology, 思えるディスカッションによって、信頼関係が築かれ General Surgery, Radiology, Emergency Medicine で ているように思われた。その後、医師はオフィスに戻 実習させていただいた。日本での実習中にみる医療現 り、カルテに記載すべき内容をパソコンへの録音のみ 場との違いに触れ、驚くことが多かった。 で済ませてしまい、次に待つ患者さんのもとへ向かう。 一つ目の驚きは、細かく仕事が分けられ見事に分 録音された内容は医師から医療知識を持った専門オペ 業されていたことだ。そして、それらが全てうまく機 レータに送信され、カルテへの記載がなされるのであ 能していることであった。次に、明るい医療現場を作 る。診察後の患者さんはナビゲーターと呼ばれる役職 り出していたことにも驚いた。もともと快活な国民性 を経由して、次に行く場所の指示を受ける。また、疾 や、私が今回現場の一部分しか見ていないということ 患に複数の科が絡んでいる場合、基本的には、患者さ もあるが、明るい現場を作ることで患者さんの不安や んは診察室の個室で待っていれば、各科の医師が時間 痛みを少しでも取り除く工夫がなされており、実際に 差で診察しに来るというシステムになっていた。この 時間割設定、各科の情報交換などもナビ ゲーターによってなされていた。 一人の患者さんに対して、たくさんの スタッフが関与していることも驚きであっ た。医師・看護師・薬剤師・ソーシャルワ ーカー・栄養療法士・理学療法士などはも ちろんのこと、アメリカ独特の Physician Assistant, Nurse Practitioner, Therapist, Volunteer な ど さ ま ざ ま 職 業 の 人 た ち に よってチーム医療が実施されていた。腫 左から木田教授、宮岡さん(鳥取大学)、新田さん、林さん(鳥取大学)、米良さん、 モーリン医学部長、佐藤講師(本学病理病態学)、岡さん、筆者 大関、村田さん 瘍カンファレンスでは、ある一人の肺癌 の患者さんに対し、Lung Surgery, Lung 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 23 学生のページ Physician, Surgery, Radiology, Radiation Oncology, とで医療行為を行い、医療チームの一員としてしっか Oncology, Pathology…と各科の医師たちが集い、ディ り組み込まれていた。また実習の合間にディスカッシ スカッションしている姿を見て医師同士のチームワー ョン形式の勉強会を行い、そこには医師やフェローも クを感じ、 とても印象に残った。 このような医療体系は、 参加し、会話を楽しみながら疾患について勉強してい 患者さんの不安・負担を軽減し、QOL を向上するよう る姿があった。このような積極性・勉強熱心さに圧倒 工夫された結果であろう。 され、私も今後の実習を有効に活用しようと刺激を受 Hematology/Oncology の Philip 先生は、 「もし自分 けた。 が病気になったとき最高の医療と最高のサービスを受 けたいでしょう。でもその分、医療費は高くなってし 3.アクティビティについて まうね。」と話されていた。アメリカでは医療費が高 木田正俊先生と御家族には大変お世話になり、バー く、医療を受けられない人はたくさんいる。それに比 モントでの滞在を楽しませていただいた。1 日の実習 較し、日本は世界でも誇れる「国民皆保険制度」によ が終わると、毎日のように木田先生の車に乗り込み、 って、誰でも医療が受けられる。確かに、アメリカの 色々なところへ連れて行っていただいた。テディベア ように無駄を省くのは良いことだが、削ってばかりで 工場、アイスクリーム工場、大自然の中のドライブ、 は良い医療を提供できない状況になるのは問題だ。し 大きなステーキ. . .中でも映画「サウンド・オブ・ミ かし今日、この制度のありがたみが薄らいでいるのも ュージック」に出てくるトラップ一家の経営するロッ 一つの原因ではないかと思うが、日本でも医療費の問 ジに行けたことは感激だった。夜はみんなで食事に行 題が叫ばれている。無駄を省き、その上で医療にはお き、中でも友達になった米国人?学生と将来について 金がかかるという意識を国民が持てば、新しい展望が 語った夜は忘れられない。この滞在を通して出会った 見えるかもしれないということを考えさせられた。 人々は一生の宝だ。 2.医学教育・医学生について 冒頭に記したが、ここに記したのは経験したことのほ アメリカでの医学教育は大学卒業後 4 年間で行わ んの一部であり、言葉では言い尽くせないほどのすばら れ、後半の 2 年間で病棟での臨床実習が行われている。 しい経験をさせていただいた。木田先生、先生の御家族 今回の滞在期間中は夏休みだったので、医学生と接す をはじめ、このプログラムに関わった方々に心から感謝 る機会はほとんどなかったが、夏休み中に有志で実習 を申し上げたい。本当にありがとうございました。 している学生に会うことができた。彼らは指導医のも バーモント大学での研修を終えて おか よしえ 岡 美江(医学部第5学年) 2008 年 7 月 20 日から 8 月 2 日の約 2 週間、アメリカ にあるバーモント大学とその付属病院で研修させてい ただきました。短い間ではありましたが、毎日毎日、 一瞬一瞬がとても充実した時間となりました。 そもそも、今回このプログラムに参加しようと思っ た理由は 2 つあります。1 つは、単純に海外の医療現 場はどういったものなのかをこの目で見てみたいとい 修了証書を手に木田先生と筆者 岡 う好奇心から。そして2つめは、入学から 5 年目とな っては初の海外でもあり少し不安はありましたが、そ り、医学生という長いマラソンのゴールが見えてきた れもすぐに消え去り、ここから何かを得て帰ろうとい 今、どんな医師になりたいのかをもう一度見つめなお う好奇心の固まりとなって臨みました。 し、自分に発破をかけたいと思ったからです。私にと 研修は 1 人の医師に対して学生 2 人がついて見学す 【学事】 金沢医科大学報 24 学生のページ る形式で行われました。病理学が主体の合同カンファ と同じように忙しく動き回っていましたが、患者さん レンスの他、放射線腫瘍科、一般外科、泌尿器科、救 にもスタッフにも、そして私たち日本人学生にも常に 急救命科などを毎日見学させていただき、エイズや麻 笑顔で、時にはジョークを交えて接してくれ、とても 薬中毒など、これまでみたことのなかった症例に触れ 明るい雰囲気でした。笑顔が笑顔を呼び、患者さんも ることもできました。また、アメリカの医学生やアメ 笑顔になる。アメリカ生活 3 日目で表情筋が疲れてし リカで活躍する日本人医師、病院ボランティアスタッ まった私は、普段からもっと笑顔を増やしていきたい フとの交流もあり、見るもの、触れるもの、どんな小 と感じました。 さなことでもそれら全てが新鮮で、文字通り世界観が 大きく変わる夏休みとなりました。 アメリカの医学生のモチベーションの高さも、私に 大きな刺激を与えてくれました。日本では、 「なぜ医 バ ー モ ン ト 大 学 附 属 病 院 で あ る Fletcher Allen 師になりたいのか」がはっきりしないまま高校を卒業 Health Care では、患者さんの立場に立った医療が、 し、すぐ医学部に進学する学生が多いと思うのです。 あらゆる角度から実践されていました。患者さんは受 アメリカは日本と違い、4 年間カレッジで文学や政治 付を済ましてから個室で待ち、医師が各個室を訪問し など、他の勉強を終えた学生が医学部に進学するので、 診察をするスタイルは、日本と大きく違うところだと 本当に医師になりたいと思う学生が集っており、授業 思います。こうすることで患者さんはプライバシーを をさぼることもないそうです。信念を持って頑張って 守られ、できるだけ病気の体を動かすことなく診察を 医師を目指す学生たちと、なんとなく医師になってし 受けることができるのだと思います。笑顔でなごやか まう学生には大きな開きがあると感じます。 に、けれども患者さんの納得のいくまでコミュニケー 今回の滞在では、バーモント大学の木田正俊教授と ションを取っているからなのか、予後の良くない病気 ご家族のお計らいにより、他大学の学生との夕食や交 を抱えているにも関わらず、明るい患者さんが非常に 流、週末のカナダやバーモント州観光など多くの体験 多いことに驚かされました。 をさせていただきました。 また、白衣を着ず、ピンク、イエロー、パープル、 今回のプログラムを通して、多くの素晴らしい出会 グリーンなどのカラフルな服を着て医療行為にあたる いがありました。世界には大きな視点を持って前向き 医師やスタッフが多いことにも驚かされました。なぜ に行動し、実際に形にするパワフルな人たちがたくさ なのか聞いてみたところ、ある医師は、 「白衣を着る んいるのだと実感しました。出会いに勝る宝物はない と威圧感を与えるでしょ?私のカラフルな私服をとて と改めて感じています。世の中には職業、経歴など、 も楽しみにしてくれている患者さんもいるのよ」と教 様々な方がいて、それぞれに違う視点でその人生を歩 えてくれました。それぞれのスタッフがさまざまな考 んできていると思うのですが、その方々と交流するこ え方を持ち、けれども患者さんによりよい効果を与え とで、自分では気付かなかったものの見方、知らなか たいと仕事に携わっていることが覗われました。 った世界を垣間見ることができ、広い視野を持つこと 患者さんに対する取り組みはこれだけではありま ができると思います。上手く説明できませんが、本を せん。自然光をふんだんに取り入れたホテルのような 読み、作者の体験した人生や体得したものの何万分の 病院内、患者さんがリラックスできるように室内のラ 1かでも自分のものとすることができる、といった感 イトの色や壁に投影される景色が選べる MRI 検査室、 覚に似ているかもしれません。5 年生になって、気付 食べたい時間に食べたいメニューが運ばれる入院食、 けば目の前の実習に取り組むのが精一杯の毎日となっ 抗がん剤治療を受けながら眺められる色とりどりの花 ていました。今後医師となってからは、もっと日々の が咲き乱れる美しい庭。日本でも近年「患者中心の医 生活に追われることになるでしょう。しかしどんなに 療」という言葉が叫ばれていますが、アメリカでは先 多忙となっても、小さくまとまろうとせず、自分を成 を歩いていると実感しました。 長させるためにアンテナを張り巡らしていたいと思い ところで、一つ私が再確認したのはアメリカは笑顔 の国だということ。 “笑顔でいることが、時には病を ました。 ご多忙にも関わらず私たちのために多くの時間を割 打ち砕くほどの影響を与える”とは父の言葉ですが、 き、充実したものになるようにとご尽力くださった木 アメリカは文化的な違いもあるためか、笑顔が溢れて 田先生とご家族、ならびに関係者の皆様にこの場をお いました。目が合うだけで知らない人同士でも微笑み 借りしまして厚く御礼申し上げます。本当にどうもあ あう習慣があるのです。病院で働く医師は日本の医師 りがとうございました。 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 25 学生のページ 第1回 セントマイケルズ・カレッジ語学・医学研修報告 (期間:2008/7/13 ∼ 8/10 ) 第 1 回セントマイケルズ・カレッジ語学・医学研修が 7 月 13 日から 8 月 10 日、米国バーモント州のセント マイケルズ・カレッジにおいて実施され、医学部第 1 学年の天下井悠佳、片山恵理子、坂入佐知子、吉田太 郎、第 2 学年の木下香織の 5 名が参加した。参加学生の研修報告から 2 編を掲載した。(国際交流センター) 非常に速く話されるので、ほとんど聞き取ることがで 留学から学んだこと あ ま がい ゆ か 天下井 悠佳(医学部第 1 学年) きませんでした。そして何より、簡単な言い回しや単 語がとっさに出てこない私自身に一番驚き、ショック でした。また、このプログラムの参加者の多くが外国 人だと思い込んでいましたが、日本人が多く、最初は 少しがっかりしました。なぜなら、多くの外国人に囲 まれて生活するのが一番良いと思っていたからです。 しかし、これは大きな間違いでした。多くの日本人留 学生が、朝から夜まで英語のみの会話を実践しており、 その志や意識は高く、 「同じ日本人なのにこの違いは なんなのだろう!」と感化され、良い影響を受けまし た。 セントマイケルズ・カレッジでの生活は、月曜日か ら金曜日、朝9時から午後の3時半くらいまで毎日授 業がありました。午前のクラスでは、効果的なプレゼ ンテーションの方法を学んだり、映画とそのスクリプ トを同時進行で理解していくというものでした。午後 は、医学的な内容の長文を読む Medical English のク 修了証書の授与を終えて。左から木下さん、坂入さん、 筆者 天下井、吉田さん、片山さん ラスと、様々なシチュエーションでの会話表現を学ぶ 2 つのクラスがありました。私たちは他の参加者と異 今回、アメリカ・バーモント州にあるセントマイ なり、プログラムに途中から参加したため、初めは混 ケルズ・カレッジにて、4 週間の研修に参加しました。 乱し不安な気持ちが募りました。また、クラスメイト 勉強はもちろんのこと、様々な国の人々と触れ合った 達が支障なく会話している中で私は授業内容も分から り、集団生活を送る中で、普段の生活の中ではできな ず、追い打ちをかけられた思いでした。しかし勉強し いことを体験したと思います。出発前、海外経験があ ていくにつれて、先生の言いたいことが分かったり、 まり無く、授業以外に英語をほとんど使ったことがな 少しずつ会話もできるようになっていきました。また、 い私は、どんな生活を送るのか、果たして自分の英語 初めは、英語を話さなくてはいけない環境だと分かっ が通じるのか、不安な気持ちで一杯でした。ただ「こ ていても少し気恥ずかしく、特に日本人の前では話し の留学が自分の力になるよう、とにかく楽しんでこよ にくかったのですが、生活するうちに自然とそんな気 う」という想いを胸に日本を旅立ちました。 持ちも無くなっていきました。 長いフライトを経て降り立ったバーモントの地は、 7 月 22 日には、バーモント大学付属病院の見学に行 自然が豊かで緑が多く、また空が高く晴れ渡っていた きました。普段見ることができない厨房や病理の部屋 のが印象的です。学校の庭は非常に広く、リスや野ウ に入れていただいたり、アメリカの医療について詳し サギを見つけることもありました。 く説明を受けたりしました。アメリカでは、日本以上 到着して早速、学校の先生とコミュニケーションを に患者さんの意志を尊重していることに感銘を受けま 図ろうと試みたのですが、中々英語が伝わらず、また した。週末には、ボストンや NY 観光、また湖上での 【学事】 金沢医科大学報 26 学生のページ ダンスパーティーに参加しました。忙しいスケジュー なく、人間的にも大きく成長できたのではないかと思 ルだったのですが、楽しい時間が過ごせ、良い思い出 います。バーモントで過ごした時間は、全て私にとっ が出来ました。 てプラスであり、無駄なことは一つもありませんでし 慣れない環境や集団生活の中で、時には友達と衝突 た。 することもありました。また、思うように英語が上達 今、私には新たな目標があります。それは、5学年 せず、焦り落ち込むこともありました。しかし、自分 時にバーモント大学で行われるプログラムに参加する の思うようにいかない状況でこそ、前向きな気持ちに ことです。より熱心に勉強し、英語だけではなく医学 切り換えることが大切だということを学ぶことができ 的な知識や心構えをしっかり身につけられるように、 ました。この貴重な 4 週間を過ごし、英語力だけでは 日々励んでいきます。 実り多き研修 じる程度が英語の勉強にはいいのだと実感し、あきら きのした かおり 木下 香織(医学部第2学年) めずに頑張って良かったと思いました。 学校では、午前中は主に文法の教科書を使い、様々 な問題を解きました。先生の解説の前に、3∼4 人の グループに分かれて答えを互いに確認するのですが、 分からない点の説明も英語なので、文法と同時にリス ニングやスピーキングの練習もでき、一石二鳥でした。 また宿題の一つとして、一冊の小説を毎日少しずつ読 んでくる必要があり、授業では、その小説についての 読解の問題に皆で答えた後、今度は同じ内容の DVD を見て、本との共通点や相違点について話し合ったり しました。 月・水・金曜日の午後はオーラルクラスで、校舎の 外に出て、先生の出すトピックについて皆で話し合っ リンダ先生(奥)による Medical English の授業 たり、映画を観て意見を出し合ったりなど、とても英 語力が鍛えられました。火・木曜日の午後は、金沢医 科大生のための医学英語クラスがあり、医学の歴史や 昨年のハワイ研修、今春のタイ研修に引き続き、今 解剖学、脳について学んだり、プレゼンテーションを 夏はアメリカ・バーモント州にあるセントマイケル 行いました。専門用語が多く、単語の意味を調べるの ズ・カレッジへの短期留学に参加しました。今回の留 に時間がかかりました。大変でしたが、今後の勉強に 学は 4 週間と期間は短かったのですが、今までに行っ も役立つことばかりで、一番好きな授業でした。 た語学留学の中で一番内容が濃いと感じるものでし た。 初日にプレースメントテストを受け、クラス分けが 授業以外にも様々なアクティビティがあり、州都で あるモントピリアやボストンへの観光、アイススケー トに行きました。外国人のクラスメイト達と街を観光 なされました。私のクラスには、コロンビアやベネズ したり、街の人に目的地までの行き方を尋ねたりと、 エラ、イタリア、ガーナ、韓国、日本など、様々な国 学校では使わない英語を練習することもできました。 の学生がいました。皆、会話のスピードが速くて聞き バーモント大学附属病院であるフレッチャー・アレ 取れなかったので、責任者の方にひとつ下のレベルに ン・ヘルスケアの見学では、診察室だけでなく、MRI 移動したいとお願いしたのですが、 「もう少し頑張っ 室や調理室、空調設備などの裏側まで見ることができ てみて」と言われ、私は少し不本意ながらも続けるこ ました。普段見ることができない部分が見学でき良か とになりました。すると、いつの間にか先生やクラス ったと思うと同時に、裏側で働いているスタッフのお メイトの会話のほとんどが聞き取れるようになり、授 かげで医師は患者様に素晴らしい医療を施すことがで 業についていけるようになりました。少し難しいと感 きるのだと改めて思い、医療以外の大事な部分にも気 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 27 学生のページ 付いた、本当に充実した一日を送ることができました。 なりましたが、訪米してくださった澁谷良穂先生をは プログラムの最終日の卒業式では、代表でスピー じめバーモント大学の木田正俊先生ご夫妻、バーモン チをすることになりました。多くの人の前で話すのが ト大学留学中の佐藤勝明先生(病理病態学講師) 、国 苦手な私でしたが、先生が推薦してくださったことで 際交流センターの古本課長や大江さんに助けられ、最 少し自信がつき、スピーチを終えた時には、今までに 後まで頑張ることができました。この研修では英語力 ない達成感で一杯になりました。また、スピーチの の修得だけではなく、困難が自分を成長させるという 間、クラスメイトや現地で知り合った方々の顔が目に ことに気付くことができました。同時に、私は周りに 入り、4 週間の思い出が走馬燈のように浮かびました。 支えられているのだと感じ皆に感謝するとともに、今 そして、本当に充実した時間を過ごすことができたの まで以上に、様々な面で自分のできる限り頑張ってい だと改めて実感しました。 こうと思いました。このような素晴らしい機会を与え 毎日の授業や生活は大変きつく、途中で挫けそうに てくださった皆様、本当にありがとうございました。 体験報告 ドイツでの夏季臨床実習 ひさむら みつき 久村 光紀(医学部第 3 学年) 原因で HIV に感染した 40 代半ばの女性、乳がん発覚 と同時に夫婦ともども HIV に感染していることがわ かったという 40 代のカップル、某アフリカ諸国から ドイツに移民し知的障害者の息子を持つ HIV 感染者 2007 年 7 月に開催された第 39 回日本医学教育学会 の 20 代の女性など、多様な境遇の方々がいらっしゃ で個人的な通訳をしたことがきっかけとなりゲッチン いました。私は Kochen 教授のご指導のもと、打診・ ゲン(ドイツ)大学医学部総合内科・家庭医学科部長 聴診、直腸検査をさせていだだきました。また、各患 Kochen 教授のもとで、2 日間にわたる臨床実習をさ 者の血液検査、超音波検査、心電図検査結果について、 せていただきました。 口頭試問形式で分析をしながらアクティブに学ぶこと Kochen 教授は、週 2 回午前中に学外の診療所にて ができました。私にとって実際に診察をさせていただ 5∼6 名の主に HIV 患者を診察され、1 名につき約 40 くのは生まれて初めての経験なので、終始緊張してお 分∼1 時間の診察時間を持たれています。身体診察な りましたが、患者を不安にさせないよう声をかけ、心 どはほんの 5∼10 分間で終了しますが、先生は患者に 遣いを忘れないよう診察することや、患者との信頼関 Open Question をなげかけ、現在の状況や悩み事など 係を築く大切さを実際に体感することができたことは をまるでカウンセラーのように聞き出し、各患者の家 大変貴重な経験であり、Kochen 教授に心から感謝し 族背景などバックグランドを把握なさった上で診察を ております。 されています。「 医師と患者の距離感を縮め、信頼関 係を築くことで、より良い治療ができる。以前のよう なパターナリズムでは信頼関係は生まれにくい 」 と先 生はおっしゃっていました。そのため、現在ドイツの 内科医、精神科医、小児科医などは患者に威圧感を与 える白衣を着用しません。簡単なことから、改善して いくことが大切なのだと感じられます。 ドイツの医学生(教育は 6 年制)は、2 学年から臨床 実習に入ります。実際に患者と触れ合うことでコミュ ニケーション力、診察力を養い、臨床医になるトレ ーニングをしています。私は、この 2 日間で、11 名の HIV 患者の診察に同席しました。20 年以上前に交通 事故で左膝下を切断する手術を受け、その時の輸血が Kochen 教授(後列左から 2 人目)とスタッフ。 筆者は前列左から 2 人目 【学事】 金沢医科大学報 28 学生のページ 体験報告 福島式「鍵穴手術」を見る よしかわ まさし 吉川 将史(医学部第 2 学年) 療法人信愛会 畷生会脳神経外科病院)の顧問として就 任されたことにより実現しました。 現在福島先生は、カロライナ頭蓋底手術センター所 長およびデューク大学脳外科教授を務めておられ、さ らにはスウェーデンのカロリンスカ研究所教授、フラ ンス・マルセイユ大学教授、ドイツ・フランクフルト 大学教授も兼任し、日本でも全国の医療施設を回られ て、年間 200 例を超える手術を行い、大変お忙しい毎 日を過ごしておられます。マスコミで“神の手”とし て知られる福島先生は、 「鍵穴手術(キーホールオペレ ーション) 」という手術手技を開発され、多くの患者 の命を救ってこられたことで有名です。私達はその鍵 穴手術を見せていただきました。手術対象は主として 三叉神経痛、聴神経腫瘍、下垂体腫瘍、頭蓋底手術で、 その特徴は患者の負担を軽減すること、つまり低浸襲 手術であり、かつ術後の感染症対策のための処理にあ ります。かなり高度な技術を要する手術であり、この 手術が可能な医師があまりいないことが福島先生を世 界的に有名な脳外科医にしたのです。 今回の研修をとおして、患者を助けたいという欲求 筆者 吉川と福島孝徳先生 に真っすぐに進み、また一生懸命にその欲求を満たす 夏休みの期間を利用して、私と橋本君は2008年8月5 ことが名医の姿であることを実感し、また現場で直接 日から12日の8日間、ノースカロライナ州にあるDuke に先生の臨床に触れ、私自身も「こうなりたい」、 「こ University Hospital と Duke Raleigh Hospital の 2 施 うありたい」と素直に思いました。医師を目指すこれ 設を見学し、デューク大学脳神経外科医、福島孝徳先 からの長い道のり、高度な医療を支える一員となるこ 生のもとで研修をさせていただきました。以前から福 とを目指して、今のこの気持ちを忘れずに努力してい 島先生にはメディアなどを通して憧れをもっており、 きたいと強く思いました。 一度お会いしたいと思っていたところ、父の病院(医 ドクター福島孝徳を訪ねて はしもと 橋本 まさゆき 昌之(医学部第 2 学年) 英語でした。しかし、生粋のアメリカ人医師や看護師 たちを圧倒するほどにハキハキと快活に話されて、冗 談をとばしながら場の空気をリードする先生の姿を目 の当たりにし、同じ日本人として大変わくわくするも この夏、同学年の吉川将史君に誘われ、開業をされ のがありました。先生いわく、 「英語は単語さえでき つつ米国デューク大学の医師として日々激務をこなさ ればいい、聞き取りはしっかりできないとダメだけど、 れている世界的な脳神経外科医、福島孝徳先生のもと 文法や発音で完璧さを目指す必要はない」とおっしゃ を訪れ、一週間にわたって、病院および手術を見学す り、そのことの正しさはまさに先生が身をもって体現 るという大変貴重な体験をすることができました。 されていました。もちろん、これには先生の知識と経 はじめは、福島先生は世界各国で手術をこなしてい 験に裏打ちされた満ち溢れんばかりの自信も大きく手 らっしゃるので、英語はバイリンガルなのだろうと好 伝ってのことでしょうが。なるほど日本では、英語は 奇心を抱いたのですが、実際には強い日本語なまりの 「学力」を数値化するためのクイズ素材になって久し 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 29 学生のページ 筆者 橋本 いのですが、一歩日本 ていると、福島先生は指摘されます。すなわち、公共 の外に踏み出せば、英 の空間を個々人がアレンジしてきれいに快適にしてい 語は日々人間が自らを こうという意識が日本では希薄で、むしろ公共の空間 主張し、理解し理解さ だから汚いものは汚いまま放っておこうという意識が れるためにこそ意味を 日本人には強く、これを先生は「感性がわびしい」と なす、動的で有機的な 嘆かれます。また一方では、旧態依然として自由の もの。母国語である日 きかない医療政策の弊害が見えてきます。日本ではい 本語と同じように、神 くらクリーンで明るい病院空間を達成しても、それに 経質に文法や構文を気 対して報酬を求めることが大変困難であるということ にする必要はなく、自 です。このことを先生は、 「患者さんが個人の意思に 信をもってはっきりと よる投資で快適な入院生活を送る権利を侵害する悪平 単語を伝えれば大抵用 等、社会主義に他ならない」と冗談交じりに糾弾され は足りるというのも理 ます。考えてみれば、病院という所は病を退けるため のある話。思うに、こ にあるのであって、その施設自体が病気のような雰囲 と医者をはじめとする医療現場の形態、そこで用いら 気というのは好ましいことではないでしょうし、逆に れる知識を伴うメタ言語は、もっぱら国際的なスタン きれいで明るく快適な空間はそれだけで患者さんや関 ダードに依拠しているため、しっかり勉強すればそれ 係者に安心感を与え、精神衛生という面で高い医療効 だけ国際的な活動のチャンスも広がるところがあるの 果を担うことも期待できるのではないでしょうか。今 かもしれません。 後、より進んだ医療の実現には、すべての病院が外観 今回気になった点の一つとして、病院施設のクオリ ティがありました。米国の病院では全室個室は当たり 的な清潔さにおいても高いクオリティを達成できるよ う、政策としての投資も必須だと考えます。 前、施設は全体にわたって常にクリーニングが行き届 今回の訪米で米国型医療の一角を間近に垣間見、福 き、整然として明るい空間設計など、ちょっとしたホ 島先生の米国での精力的なお仕事ぶりや広くて深いご テルのようなクオリティをもっていました。これは本 見識に触れることで、日米の医療のあり方、そして今 学の病院新館の理念に近いものと言えるでしょう。こ 後自ら医師となることの意義について、目から鱗が落 うして米国では病院の空間的な質がより高く求められ ちるような体験をしました。この機会を与えてくださ てきているのに比べ、先進諸国として肩を並べる日本 った吉川君と関係者の方々、現地でお忙しい中面倒を ではまだそれほどの意義が認められていないのが現状 見てくださった福島先生ほかスタッフの皆様へ、ここ かもしれません。日本で施設自体になかなか力を入れ に深く感謝の意を表したいと思います。ありがとうご られない背景には、医療財政・行政のミスリードもさ ざいました。 ることながら、病院に対する国民意識の違いが関連し 【学事】 金沢医科大学報 30 学生のページ 医学部第 2 学年 看護体験実習レポートから 平成 20 年度医学部第 2 学年看護体験実習が、平成 20 年 8 月 25 日(月)から 29 日(金)の 5 日間、本学病院で実施 された。提出された実習レポートの中から 2 件を掲載した。 く ぼ た まさあき 久保田 真彰(医学部第 2 学年) 実習先: 本館 7 階病棟 眼科・皮膚科 〔実習内容〕 夜勤から日勤への引き継ぎ の見学、入院患者の誘導、入院 時の患者オリエンテーション の見学、患者搬送等の実習、患 者の訴え・依頼の聞き取りと その記録の見学、バイタルサイ ンのチェック、三測表作成の見学、医療介助、看護問 診・診断・計画作成の見学、他職種との連帯・報告、 院内感染対策についてのミーティング。 〔実習で考えたこと〕 (教学課) 提供できるのだなと感じた。実際、患者さんがここの 看護師さんは優しくて、安心できると言っているのを 耳にした。 3. 患者の精神的、肉体的苦痛について 患者さんの精神的、肉体的苦痛は医師や看護師が決 して完全にわかるものではない。特に眼科病棟にいら した患者さんは、視力を失うかもしれないという不安 を少なからず抱いている。その上、慣れない病院生活 や運動・食事制限などストレスを感じることは避けら れない。これらの不安をいかに和らげるかというのは、 医師や看護師の役割の一つである。そのためにはいか に患者さんに情報を提供するか、いかに患者さんが安 心できる環境をつくるかは医療従事者の永遠の課題で ある。 4. 患者中心の医療について 医療はもちろん患者さんのために存在するものであ り、医師をはじめとする医療従事者はそれぞれ連携し て患者さんに十分な説明をし、患者さんが理解した上 で医療を行わなければならない。患者さんは医師によ る説明・情報から、自分の治療法について知ることが できる。また、十分な説明は患者さんやその家族に安 心感を与え、安心して治療が受けられ、またどの治療 法で病気を治してもらうかを選択できる。さらに治療、 看護の内容および経過についての情報を患者さんも得 ることができるし、必要であれば記録(カルテ)の開示 を求めることもできる。それが患者中心の医療である。 1. チーム医療の一員としての医師の役割について チーム医療を行う上で医師は患者さんの病を完治す るまで治療をし、治療の指示を出す司令塔のような役 割を兼ね備えている。そして、医療の中で医師として の役割をしっかり理解、把握し、看護師や介護士など の医療従事者と協力し合うことで、患者さんが一日で も早く完治するように努力しなければならない。また、 医師は担当する多くの患者さんの容体を一日中診るわ けにはいかないため、患者さんとより長く接している 看護師と正確な情報を交換するコミュニケーション能 力が必要である。さらに、医師という立場上、的確な 判断、冷静さ、そして医療技術の向上も必要である。 〔本実習を今後どのように生かしたいか〕 2. 看護師の役割について 看護体験実習を行ったことによって、看護の現場で 治療を行う上で、看護師の役割は非常に大切であり、 行われている医療の実際を知ることができた。たった 医師にはできない患者さんの容体管理や投薬、健康状 4 日間であったが、看護師という目線で実習したこと 態の把握など様々な役割をもつ。また、患者さんと一 を今後、医師として医療に携わる時に活かしていきた 番接して的確に伝えなければならない。看護体験を通 いと思う。特に医師、看護師、そして医療従事者との して感じたことは、看護師が、医師から指示された投 連携を厚く固いものにすることで、スムーズな医療環 薬などの医療行為を行う際に、ダブルチェック、トリ 境を形成し、患者中心の医療を実現、提供できるよう プルチェックなど医療ミスが起こらないよう徹底され になりたいと感じた。 ていたこと、さらに、多忙でありながら時間を有効に 最後に、今回お世話になった看護師をはじめとする 使い、カンファレンス等でよく勉強されていたことで 病院の方々、患者さん、本当にありがとうございまし ある。特に、看護師長や主任がリーダーシップに優れ た。 ていると、他の看護師に影響を与え、よりよい医療を 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 31 学生のページ なかむら ゆ か り 中村 有加里(医学部第 2 学年) 実習先: 新館 9 階東病棟 整形外科 〔実習内容〕 笑顔で優しく話しかけたり話を聞いたりすることで、 患者の精神的苦痛や肉体的苦痛をいくらかでも和らげ ることができると感じた。もちろん医師にとっても、 これらを行うことは非常に重要なことである。診療を 行う際に、病気や怪我の状態や治療の説明を患者に行 引継ぎの見学、入院患者の わなければならないが、医師は患者と良いコミュニケ 誘導、オリエンテーションの見 ーションをとり、患者に安心して治療を受けてもらう 学、患者搬送、ベッドメイキン よう努めるべきだろう。 グ等の環境整備、患者の訴えの 4. 患者中心の医療について 聞き取りや記録の作成、バイタ 医療において大切なことは、患者が納得のできる医 ルサインチェックの見学、医療 療を行うことである。医療スタッフの独断で治療を行 介助、電子カルテ使用の見学、院内感染対策について っては患者にとって不満足な医療となるし、かえって のミーティング。 患者に不安感を与えかねない。したがって、患者やそ の家族の方々に十分な説明を施し理解を得ることが大 〔実習で考えたこと〕 1. チーム医療の一員としての医師の役割について チーム医療は、これからの医療の現場において必要 切である。患者自身の意見や希望を取り入れることで 医療スタッフと患者の間にも信頼が生まれ、より良い 医療体系が望めるのではないかと考える。 不可欠となる体系であるといえる。その中で看護師や 他職種の医療スタッフが患者とのコミュニケーション 〔本実習を今後どのように生かしたいか〕 をはかることによって、患者の状態が正確に、より詳 実際に医療現場について多くのものを見たり聞いた しく医師に伝えられるため、的確かつ迅速な判断がで りして、改めて看護師の仕事の大変さを実感した。24 き、指示を他の看護師に伝えることが可能となる。医 時間体制で患者の看護を担わなければならないし、医 師はチーム医療の中でリーダーシップをとらなければ 師や他の医療スタッフに患者の情報を伝えなければな ならないが、それと同時に医療現場での他のスタッフ らない。しかしこの大変な仕事があってこそ、現在の との信頼関係や協調性をつくり上げる必要があると感 チーム医療はスムーズに成り立っているのだというこ じた。 とを学んだ。医療の現場を支えているのは医師だけで 2. 看護師の役割について はない。看護師や薬剤師、理学療法士など多くの職種 看護師の仕事は診療を行う医師のサポートにあた の方が協力し合ってはじめて、本当のチーム医療が成 り、また患者の状態を間近で把握することである。医 り立つのである。これから医師になる上で、今回の実 療現場において患者と最も多く接するのは看護師であ 習での経験を糧として、患者や他の医療スタッフとの る。身体的に不自由となってしまった患者の毎日の生 コミュニケーションを怠らぬようにし、正確さと信頼 活の介助、日々の体調の記録と管理、さらに患者との を併せ持つ医療の確立を目指せるよう精進していきた コミュニケーションを行うことで、看護師に対する患 いと思う。 者の信頼感と安心感が見られた。信頼感を得られるこ 最後に 4 日間体験実習でお世話になった医療スタッ とで、患者の性格や状態をより詳しく把握することが フの方々、患者の方々に深く感謝いたします。ご迷惑 できるため、医療をスムーズに行えることができる。 をおかけした面もあったかと思いますが、本当にあり 3. 患者の精神的、肉体的苦痛について がとうございました。 病気や怪我は患者の身体を不自由にし、多大な苦痛 やストレスをもたらす。今回見学させていただいた患 者も、慣れない自分の現在の状態に不安や辛さを抱え ているはずである。このような苦痛を軽減するのは、 医療現場においてはやはり医療スタッフの役目であ り、非常に大切なことであるともいえる。先に述べた ように、入院患者の毎日の生活に大きく関わっている のは看護師だ。本人にとっては辛いであろう医療の現 場の中で、少しでも過ごしやすい生活環境を提供し、 【学事】 金沢医科大学報 32 学生のページ 医学部学生のメディカルホームステイ報告 夏期のメディカルホームステイは各施設のご協力により、下記のとおり順調に効果を上げております。推 進役として厚く感謝いたします。なお、提出された報告書の中から 5 件を掲載しました。 (医学教育学 堀 有行) 平成 20 年度実施状況 研修先 期 間 香川小児病院 研 修 者(医学部学生) 7 / 28∼30 坂井健二(第 4 学年) 8 / 4∼6 清水裕平(第 3 学年) 8 / 12∼15 前田真崇(第 3 学年) 神奈川県立がんセンター 8 / 4∼6 河野裕太(第 3 学年) 横浜相原病院 8 / 4∼6 向井清孝(第 4 学年) 、杉浦亜弓(第 4 学年) 8 / 13∼14 川北彩乃(第 5 学年) 、海 暁子(第 5 学年) 板橋中央総合病院 久野病院 8 / 15∼16 三友貴代(第 4 学年) 8 / 21∼22 野尻正史(第 3 学年) 8 / 13∼15 齋藤孝博(第 5 学年) 、高橋 元(第 3 学年) 8 / 14∼16 宇賀治修平(第 4 学年) 、飯田浩貴(第 4 学年) 〈研 修 先〉 香川小児病院 病院長 中川 義信 先生 中川 真希 先生(平成 16 年卒業) 独立行政法人国立病院機構 〒 765-8501 香川県善通寺市善通寺町 2603 TEL 0877-62-0885 FAX 0877-62-5384 研修期間: 平成 20 年 8 月 4 日∼ 6 日 しみず ゆうへい 清水 裕平(医学部第 3 学年) 左から中川病院長(左) 、筆者 清水、横田先生 私は、香川県善通寺市にある国立病院機構「香川 とおり手足に水泡ができる手足口病といった病気の子 小児病院」 (中川義信病院長)で 8 月 4 日から 6 日まで、 供が多いとのことです。子供は大人と違って、いつか 見学を中心とした研修に参加させていただきました。 ら熱が出ているかとか、今の状態はどうなのか、とい 私はまだ 3 学年なのですが、少しでも早く実際の臨床 うことを医師に伝えることができません。そのため親 の現場を見ておきたいという理由からです。 の言う子供の状態をしっかりと聞かなければなりませ 香川小児病院は中国・四国地方で唯一の小児病院 んが、 「親の言う子供の状態と、実際に診た子供の状 で、入院患者は約 400 名という大きな病院です。私は、 態が異なることが少なくない」ということがわかりま まず一般内科で外来の診察を見学させていただきまし した。 た。夏休みということもあり、朝早くから多くの子供 次に、夕方 5 時から開始される救急外来も見学させ たちが親御さんに付き添われ、病院に来られています。 ていただきました。そこにおられた研修医の先生が言 特に夏の間はヘルパンギーナという夏風邪や、名前の うには、多い日には一晩で 50 名近くも受診するとい 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 33 学生のページ た。これは 6 時間にも及ぶ手術で、外科の先生方は休 む間もなく仕事をされており、生命を預かる先生方の 集中力には大変驚かされました。さらにその手術の直 後、1 週間前に手術を行った子供の心タンポナーデに 対して緊急の開胸手術が始まりました。心嚢に溜まっ ている血液を抜くことによって、脈拍や血圧がみるみ るうちに正常に戻っていくのを目の当たりにし、感動 しました。病院の先生方を含め医療に携わる方々は本 当に「働きづめ」なのだと、強く感じました。 最後に見学した精神科でも、朝 9 時から夕方 6 時ま 左から横田先生、坂井健二さん、中川病院長 で、休みなしに働いておられます。それでも困ってい る患者さん一人ひとりの言葉に真摯に耳を傾けておら うことでした。以前、報道番組で小児救急がコンビ れる姿には、心を打たれました。 ニ化されているということが取り上げられていました 短い間でしたが、今回の研修では、現在勉強してい が、実際その通りです。確かに急な処置を施さなけれ る知識がどのような臨床現場で必要なのかということ ばならない子供もいましたが、多くは風邪で、昼間は を知りました。これからの勉学も今回の研修を糧に励 両親が用事や仕事があるといった理由で受診できず、 んでいきたいと思います。最後に中川院長先生をはじ 夜間に受診する人が多いということです。 め、忙しいのにもかかわらず丁寧にご指導下さった横 翌日には、生後 17 日の未熟児の肺動脈閉鎖に対す る ET シャントいう手術を見学させていただきまし 田一郎先生や香川小児病院の方々、本当にありがとう ございました。 〈研 修 先〉 神奈川県立がんセンター 所長 大崎 逸朗 先生 奥野 滋子 先生(昭和 60 年卒業) 〒 241-0815 横浜市旭区中尾 1-1-2 TEL 045-391-5761 FAX 045-361-4692 研修期間: 平成 20 年 8 月 4 日∼ 6 日 こうの ゆうた 河野 裕太(医学部第 3 学年) 8 月 4 日から 6 日までの 3 日間、神奈川県立がんセン ター緩和ケア病棟においてメディカルホームステイを スタッフと一緒に。筆者は前列左 させていただきましたので、以下に報告致します。 数あるステイ先の中で当センターを選んだのは、施 神奈川県立がんセンターは、昭和 38 年 4 月に神奈 設が自分の郷里にあることに加え、本学入学以前の医 川県立成人病センターとして発足し、主にがんを中心 療ソーシャルワーカー経験も関連しています。当時か として、高血圧症、糖尿病などの成人病を対象に診療 ら、多職種がチームとして協働し、一人ひとりの癌患 を行ってきましたが、高度専門医療の要請が高まる中 者さんに適した治療やケアを行う緩和医療に興味があ で、昭和 61 年 4 月から神奈川県立がんセンターと改組 り、先輩である奥野滋子先生がこのセンターの緩和医 し、悪性腫瘍の診断や進行癌の集学的治療を行ってい 療科で活躍されているとの話を聞き及び、夏休み前よ る施設です。私が実習させていただいた緩和ケア病棟 り帰省を兼ねての実習を楽しみにしていました。 は、平成 14 年 4 月 1 日から本格的に開棟し、全 17 床(3 【学事】 金沢医科大学報 34 学生のページ 人床室が 3 部屋、個室が 8 部屋)を有しています。病 抱いてあげる時間を設けていることでした。また、夫 棟は最上階の 10 階にあり、天候が良い時には遠く足 婦ならば、死に行くその最期の瞬間まで傍にいられる 柄から富士山まで眺望できる大変見晴らしの良い場所 ように配慮していることでした。そして最愛の人を失 に位置し、薄いピンクを色調としたやさしい雰囲気に い遺族となられた患者さんの家族には 1 カ月後に外来 なっていました。 を受診していただいたり、四十九日にセンターから手 実習は病棟のスタッフの方々とのミーティングに始 紙を差し上げるといった心遣いは、ホスピス緩和ケア まり、奥野先生と同じく緩和ケア病棟の医師である田 の理念は「その人のこころを思い遣るこころ」である 村先生、宮原看護科長と共に患者さんの回診に付添わ といった、まさに医療の原点でもあることを改めて認 せていただいたり、患者さんの処置を見学させていた 識しました。 だいたり、また緩和医療科として病棟への入院を希望 緩和医療は各県で実施されている内容やそのケアの されている患者さんやそのご家族の方の外来診察や受 質に大きな格差があるため、エビデンスに基づいてケ 入会議などにも同席させていただいたりと多岐に渡る アを均一化しようという動きもあると伺いました。し 内容を体験しました。奥野先生からは、神奈川県の緩 かし、3 日間という短い期間でしたが実習を終えて思 和医療に関する実情から、終末期の患者さんが抱く実 うのは、ケアにおいて最も大切なことは自分が患者さ 存的苦痛(スピリチュアルペイン)についての概念や んの立場になった時、いま存在するこの場所で最期を 文献、さらに外科手技(消毒・注射など)についてま 迎えたいかどうかという気持ちだと思います。私にと で、お忙しい時間を割いてご指導いただきました。 って、がんセンター緩和ケア病棟は、ここで最期を迎 実習が始まり、病棟を初めて見学した時、公共の緩 えたいと心から思える場所でした。 和病棟なのに、電話・冷蔵庫・洗面台つきの個室の他 最後になりましたが、実習を手配してくださった に、遠方からいらしたご家族用の控室や調理ができる 教学課の方々、実習全般にわたり充実した時間となる 空間があり、また入院されている患者さんの楽しみと ようご高配いただいた奥野先生と、私の画像診断や患 して、ボランティアによるティーサービスや四季折々 者さんの症状に対する基本的な質問に対してもいつも の月行事、ミニコンサートなどの催しまであって、配 丁寧に答えてくださった田村先生、実習風景の撮影を 慮が行き届いている施設もあるのだなと思いました。 快諾し緊張している私の気持ちをほぐしてくださった しかしこれらは全て、緩和ケア病棟の開棟から今日ま 宮原看護科長を初め、スタッフの皆様、そして私の実 で奥野先生をはじめとしたスタッフの皆様が一つ一つ 習のために貴重な時間を共有してくださった患者さん 作り上げ、形にしてこられたものでした。特に印象的 に、この場を借りて厚くお礼申し上げます。 だったのは、最期の看取りの際に患者さんを後ろから 〈研 修 先〉 横浜相原病院 院長 吉田 勝明 先生(昭和 57 年卒業) 〒 246-0026 神奈川県横浜市瀬谷区阿久和南 2-3-12 TEL 045-362-7111 FAX 045-362-7306 研修期間: 平成 20 年 8 月 4 日∼ 6 日 横浜相原病院は精神科、神経科、心療内科、内科を 診療科目とし、病床数は 440 床の病院です。デイケア も行っており、規模の大きい病院といえます。精神科 における疾患は、他の疾患と大きく異なる点があり、 それは目に見えない疾患であるということです。明ら かに出血していたり、外傷があったりするわけではな いので、外見だけでは診断できないのです。特に精神 科デイケアを見学させていただいた時に、そのことを すぎうら あゆみ 杉浦 亜弓(医学部第 4 学年) 強く感じました。精神科デイケアは外来治療の一環で あり、集団活動に参加し、社会参画への架け橋となる ような場です。実際に接してみても、本当に精神疾患 今回私は 8 月 4 日から 6 日までの 3 日間、神奈川県の がある方なのかという疑いさえも生じました。そんな 横浜相原病院(吉田勝明院長)にてメディカルホーム 方々でも精神科疾患の薬を飲んでおり、服薬を中断す ステイに参加させていただきました。 ると再入院となってしまうようです。精神科疾患は目 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 35 学生のページ になり、 「夏休みは韓国に旅行します」などと元気よく 答えるようになるのです。精神科に来られる患者さん にとっては、院長先生と話すことも一種の薬なのだろ うと思い、精神科における会話の重要性を知りました。 さらにこの実習において、私は医療連携の重要性に ついて考えるようになりました。今回作業療法を見学 させていただきましたが、作業療法士の方々はその場 では患者さんと一緒に楽しく活動し、活動が終わった 後、先程とは違う真剣な顔で行うミーティング内容に 驚きました。途中で帰ってしまった患者さんのこと、 参加している時の患者さんの表情、その一つ一つを見 左から筆者 杉浦、吉田先生、向井さん 逃さずにきちんと見ていたのです。またこの病院では 音楽療法も行っていました。音楽療法士の方々は得た に見えない分だけ診断もつけにくく、また治癒したこ 情報を看護師に伝え、その情報が病棟での看護に役立 ともわかりにくいと言えます。だからこそ、精神科疾 てられているそうです。近年とくに強調されているチ 患に対しては周囲の人々の理解が必要で、周囲が病気 ーム医療は精神科も同様であり、医療において連携が を正しく理解していれば、例え目に見えない疾患でも 重要であることを肌で感じることができました。 協力できることがあるはずです。 今回 3 日間という大変短い間でしたが、とても充実 また今回、院長先生の外来見学もさせていただきま した実習でした。横浜相原病院は設備もよく職員も優 した。私にとってこの外来見学はとても興味深く、患 しい方々ばかりで、とてもよい雰囲気の病院であった 者さんが入って来られた時と出て行かれる時の表情や ことも、充実した実習となった要因です。 口調が全く異なっていたことは驚きでした。初めのう 最後に、未熟な私たち実習生を受け入れて下さった ちは「死んでやろうと思った」とおっしゃっていた患 吉田院長先生を始めとする職員の方々に、この場を借 者さんも、院長先生と少し会話を交わしただけで笑顔 りてお礼を申し上げます。本当に有難うございました。 〈研 修 先〉 板橋中央総合病院 循環器内科部長 太田 洋 先生(昭和 63 年卒業) 医療法人社団明芳会 〒 174-0051 東京都板橋区小豆沢 2-12-7 TEL 03-3967-1181 FAX 03-3967-4941 研修期間: 平成 20 年 8 月 15 日、16 日 みとも たかよ 三友 貴代(医学部第 4 学年) 太田先生と筆者 三友 私は 8 月 15 日、16 日の 2 日間、メディカルホームス テイをさせていただきました。今までは講義中心だっ 在です。初日は少し緊張しましたが、スタッフの方々 たので、少しでも現場の空気を感じてみたいと思い、 はアットホームな雰囲気で、暖かく私を迎えてくださ 今回の参加を希望しました。場所は東京都板橋区で、 いました。 太田 洋先生が循環器内科部長をしていらっしゃる板 研修の内容は、カテーテル検査の見学、マルチスラ 橋中央総合病院です。とても大きな病院で、急性期病 イス CT の見学、心電図の診断実習、消化器外科の見 院としてこの地域の中心となっている非常に重要な存 学、地域医療の実際についての説明、病棟見学など多 【学事】 金沢医科大学報 36 学生のページ 左から川北さん、太田先生、海さん 左から野尻さん、太田先生 岐にわたりました。循環器内科見学の際は、検査画像 師という仕事に対する心構えの至らなさを痛感しまし の部位を図解のあるテキストや模型、パソコンを用い た。 てわかりやすく講義していただきました。消化器外科 今回の研修では、現代医療の抱える問題を垣間見る では、医師になるにあたり大切なことは知識だけでな こともできました。高齢の患者さんの中には、病気は く、素直に患者さんの声に耳を傾けること、様々な医 治っても身寄りがなく退院ができない方、医療費が高 療従事者と良い信頼関係をつくれる人間性を持つこ くて支払えない方などがいらっしゃいました。同時に、 と、ご家族の方々へのケアを忘れないことなど、どれ このような地域に根ざした医療施設があるからこそ、 が欠けても患者さま中心の最善の医療は提供できない 最先端技術を駆使して患者さんを治療していく医療が ことを学びました。 成り立っていることがわかりました。日進月歩の医療 救急外来の当直は研修医が主体で行われていまし 制度の中で自分がどのような医師になりたいのか、自 た。少ない情報から患者さんの病状を汲み取りつつ、 分はどのように社会に貢献していけるのかを考える良 必要な検査を瞬時に行い、常に周りの状況を把握しな い機会をいただきました。 がら次に行うべきことが考えられていました。夜間当 お忙しいスタッフの方々の後ろについて回り、皆さ 直をされた先生が朝早くに、医局で熱心に勉強してい まにご迷惑をおかけしたことと思います。実際の医療 る姿を目の当たりにした時は感銘を受け、自分の勉強 現場は私にとって全てが新鮮かつ刺激的で、とても良 不足を反省すると同時に、先生方の意識の高さに本当 い勉強になりました。改めて、この研修にお力添えを に驚きました。また研修中、患者さんが私に「先生、 いただいた太田先生、板橋中央総合病院のスタッフの よろしくお願いします。」と声をかけてくださり、 「学 方々に感謝の意を述べたいと思います。2 日間ありが 生だから」という甘えがあった私は、改めて自分の医 とうございました。 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 37 学生のページ 〈研 修 先〉 久野病院 理事長 久野 成人 先生(昭和 57 年卒業) 院 長 久野 敏人 先生 医療法人社団育生会 〒 605-0981 京都市東山区本町 22-500 TEL 075-541-3136 FAX 075-561-8401 研修期間: 平成 20 年 8 月 13 日∼ 15 日 たかはし はじめ 高橋 元(医学部第 3 学年) 医師と薬剤師の連携、病院の薬剤師と街の薬剤師の連 携がこれまで以上に大事になってくるだろうとのこと でした。 超音波実習では実際に心エコーを操作させていただ きました。想像以上に力加減が難しく、画像の内容も 教えていただいてやっとわかる有様だったので、自分 の知識不足を痛感しました。MRI 見学では、機械を 作動させた状態でハサミを持って近づく体験をしまし た。かなりの力で引っ張られ、MRI の磁力の凄さを 体感することができました。 手術見学は今回の研修で最も印象に残る体験となり ました。手術を生で実際に見るのは初めてであり、手 この度、私は 8 月 13 日から 3 日間、京都市の久野病 術室に入る前は非常に緊張しました。先生は手術の間、 院(久野成人理事長、久野敏人院長)でメディカルホ 常に患者さんに気遣いのある言葉をかけられ、患者さ ームステイに参加させていただきました。 んの緊張をほぐし、不安を取り除いておられました。 第 3 学年になり臨床科目も学ぶようになり、次第に 医師になるのだという思いが強くなっていくのと同時 手術手技の他にも、患者さんの精神面に対する対応手 技も将来磨いていきたいと思いました。 に、将来この知識を実際に臨床の場で使っていけるの 今回の研修では様々な体験をさせていただいた他 か、という不安も大きくなっていました。そういう中 に、医療人にとって大切な心構えも教わりました。ス で、本格的に病院実習に入る前に実際の臨床の現場を タッフの住友先生は、 「患者さんやそのご家族にいか 見ておきたいと思い、申し込んだ次第です。 に喜んでいただけるかを考えて医療を行うことが大事 まず初日は、午前中に超音波(エコー)検査や医事 であり、それが結局は自らの技術の向上にもつながる」 課を見学をし、午後はその他の様々な検査および機械 とおっしゃっていました。久野理事長からは「鬼手仏 についての説明を聞き、薬剤部で服薬指導をしていた 心」 、つまり“外科医はメスを大胆に入れるが、心は だきました。2 日目の午前中は、栄養指導や医療療養 仏のように患者さんを思いやる”という心構えを教え 型病棟の現状、医療ソーシャルワーカーの位置づけに ていただきました。これらの精神を胸に刻み、良医を ついて説明していただきました。午後からは、前日に 目指して日々精進していきたいと思います。 見学したエコーを実際に自分で操作し、その後 MRI 最後になりましたが、久野先生、住友先生はじめ、 や CT の見学をしました。次にリハビリテーションに 吉岡さん、小阪さん、久野病院の全てのスタッフの ついて説明をしていただき、最後に手術見学をしまし 方々、そして患者さんに深くお礼申し上げます。本当 た。最終日は、午前に外来の見学をして、全ての日程 にありがとうございました。 を終了しました。 3 日間のプログラムの内容のほとんどが私 にとって初めてのものばかりで、短い期間で したが、非常に新鮮で貴重な体験をすること ができ、充実した時間を過ごしました。その 中でも特に印象に残ったものをいくつか紹介 したいと思います。まず薬剤部見学ではアン プルやキット製剤などを実際に見せていただ き、実に様々な薬種があることを知りました。 また、 “薬剤師はプレアボイド、つまり副作用 を未然に防ぐことが主な仕事内容だが、最近 は看護師の仕事も一部兼ねるようになり、薬 剤師の医療現場における重要性は増してい る”と教えていただきました。その他にも、 左から筆者 高橋、齋藤さん、久野先生、飯田さん、宇賀治さん 【学事】 金沢医科大学報 38 学生のページ クラブ 活動 卓球部 しおや 主 将 塩谷 あきひろ 晃広(医学部第 3 学年) 切磋琢磨の仲間たち 北京オリンピックに日本中が沸 い た 2008 年 8 月 8 日、 広 島 県 で 第 60 回 西 日 本 医 科 学 生 総 合 体 育 大 会 が 開 催 さ れ ま し た。 本 学 卓 球 部 は 団 体 戦 で は 女 子 優 勝、 個 人 戦 で は 女 子 シ ン グ ル ス 優 勝、 女 子 ダ ブ ル ス3位入賞という過去最高の成績 を 残 す こ と が で き ま し た。 こ の よ うな好成績を残すことができたの は、女子部員達が高い目標を掲げて 努力してきたからであることはいう ま で も あ り ま せ ん が、 さ ら に、 そ れを後押しした卓球部全体を包む 雰囲気も深く関わっているのです。 第 60 回西医体優勝記念( 2008.08.08、広島) 卓球部は作られてから 10 年にも満 たない歴史の浅い部で、当初少ない部員で活動を開 す。部活動は勉学に勤しむべき時間を浪費してい 始しましたが、現在では 27 人と活気のある部とな ると言う人もいます。しかし部活動を通じ、互い りました。部員が増加するにつれ、一人ひとりの卓 の立場や考え方を認め、切磋琢磨し技を磨いた結 球への関わり方は多様なものとなり、勝利を目指し 果、今回の様な一生忘れることのできない達成感を て真剣に努力する部員もいれば、レクリエーション 味わうことができたのです。価値観や考え方の違 として卓球を楽しむ者もいます。どのような関わり いによる衝突もあり、その都度持った話し合いが 方であれ、みな卓球に興味があり卓球が好きであ いかに大切かを知りました。机の上では決して得ら ることに変わりありません。卓球を愛する仲間同 れない、人として大切な経験をしたと思います。卓 士互いを尊重し、学部や男女の分け隔てなく練習 球部を通じて得られたことは将来にわたり部員の宝 に励み努力しています。そんな雰囲気が実を結び、 物となるでしょうし、これからもそのような経験の 今回の西医体での結果に繋がったと考えています。 できる卓球部であり続けてほしいと願っています。 私達は将来医師、看護師となり社会に出ていきま 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 39 学生のページ クラブ 活動 陸上部 すずき 主 将 鈴木 しんいちろう 慎一郎(医学部第 2 学年) 陸上競技の楽しさ 皆さんは、高揚感、爽快感、達成 感を味わう機会はありますか? 陸上 競技ではそれを味わうことができま す。試合の始まりを知らせるピスト ルの音を待つ高揚感、走っている、 投げている、跳んでいる時の爽快感、 ゴールした時、記録を更新した時の 達成感を直に味わう事ができるので す。また、試合では他校とのコミュ ニケーション、試合の運営等、人と の交流が多く持て、人間としての成 長を得ることができます。 私たちは現在、医学部と看護学部 を合わせ 20 人の部員で西日本医科学 西医体報告会にて。陸上部監督の山科忠彦准教授(前列左から 3 人目)を囲んで。 筆者は中列左から 3 人目。 生総合体育大会(西医体)等の試合に 向け、各自の種目を練習しています。練習場所は、 ートラインに並ぶと周りから歓声が聞こえ、体が熱 大学のグラウンドと西部緑地公園陸上競技場です。 くなり、そして一瞬の静寂がスタートのピストルを 陸上部は先輩後輩が仲良くまとまった部活で、部活 待ち、鳴ったと同時に競技場をさらなる歓声が包み、 のことだけに限らず、学校のこと、プライベートな 胸を高揚させるのです。試合中には、相手との駆け ことも相談し合っています。また、内灘祭等のみん 引きがあり、ゴールした時の達成感は練習した分だ なで行う行事にも積極的に参加して、楽しい大学生 け大きなものとなります。確かに練習は大変で、伸 活を送っています。 び悩む時期もあるでしょう。しかし、その苦しみを 今年の西医体では、男子フィールド部門優勝、女 部活のみんなで分かち合うことができます。その苦 子フィールド部門優勝、女子総合部門準優勝、男子 しみの先には、さらなる強い力を持っている新しい および女子 MVP の獲得と目覚ましい活躍をしまし 自分が待っているのです。自己ベストが更新できた、 た。さらに、男子女子円盤投げ、女子槍投げでは大 筋力が増した、スピードが速くなったと自分の成長 会記録を更新しました。これは、日頃のみんなの練 を肌で感じ取れるのです。生涯つづけられる、自分 習と監督の指導の賜物です。試合では、自分がスタ の成長を感じられる陸上競技に触れてみませんか? 【学事】 金沢医科大学報 40 学生のページ 第 60 回西日本医科学生総合体育大会 陸上競技最優秀選手賞(MVP )受賞者 〈女子部門〉 うちしば まいみ 〈男子部門〉 内芝 舞実(医学部第 1 学年) こまつ たいち 小松 太一(医学部第 5 学年) 広島県で開かれた第 60 回西 平 成 20 年 8 月 2 日、3 日 に 広 日本医科学生総合体育大会に 島県で行われた第 60 回西日本 参加しました。4 月に大学に入 医科学生総合体育大会におい 学して以来約 4ヶ月間、この西 て、男子円盤投げ優勝(大会新 医体に焦点を合わせて練習し 記録) 、男子ハンマー投げ優勝、 てきました。私は高校時代に陸 男子砲丸投げ第 4 位入賞を果た 上競技を経験していますが、し し、陸上競技男子部門 MVP を ばらく現役から離れていたため、身体は少々鈍り気味 いただくことができました。今回、このような素晴ら で、始めは基礎トレーニングを中心に身体作りから始 しい賞をいただけたのは、陸上部顧問の血液免疫制御 めました。 学(血液免疫内科学)梅原久範教授をはじめ、コーチの 私は西医体で 5 種目に出場し、その結果は、槍投げ・ 山科忠彦監督、OB、OG の諸先生方、大会を運営して 円盤投げ・砲丸投げの 3 種目で 1 位、ハンマー投げで いただいた広島大学のみなさま、現役陸上部員のみな 2 位、走り幅跳びで 4 位というものでした。また、槍 さまのお力添えによるものであり、心からお礼申し上 投げと円盤投げでは大会記録を塗り替えることもでき げます。 ました。女子 MVP の受賞発表を聞かされた時には驚 きも加わり、この結果には大変満足しています。 私は陸上を始めたのが 3 年の秋からと遅く、他の選 手に比べ練習量、経験がまったく不足していました。 今回の大会ほど多くの賞状・メダルをいただいたの しかも医学生である以上、勉強が第一であり、練習は は初めてだったので、大変嬉しく思います。しかし山 限られた時間しかできませんでした。そのため、結果 科忠彦監督(生命科学科目(体育学)准教授)の存在な が思うように出ず、途中で諦めようと思ったことも くしては、この結果は残せませんでした。監督は毎回 度々ありました。しかし、山科先生の人柄と熱心な指 の練習に来てくださって、私の弱点を見抜いた上で、 導の下、仲間と励まし合い、 “限られた時間の中、全 熱心に指導してくださいました。金沢医科大学に入学 力で頑張ろう”と決意し、努力し続けることができま し、私は今、恵まれた環境にいると実感しています。 した。その結果、今回のような素晴らしい結果を残す また、同じ陸上部員、大学の友人・先生方からの応援・ ことができました。今回の大会を通じて、自分がたく 支えが私の背中を後押ししてくれ、プレッシャーに弱 さんの仲間たちに支えられていること、素晴らしい仲 い私の味方になってくれました。結果を知った多くの 間と切磋琢磨し努力し続けることの大切さを身をもっ 人が祝福してくれ、多くの人に支えられているのだと て体感することができました。このことは今後の人生 実感しています。周りの皆様方に感謝の気持ちでいっ において大きな財産であると思います。 ぱいです。 来年の西医体では、今年の自分の記録を塗り替え、 医師を目指す上で、今後も多くの困難があると思い ます。しかし、今度は自分が患者様にとって大きな支 少しでも成長したいと思います。今後は現状に満足す えとなれるよう初心を忘れず、努力し続けていきたい ることなく、常に向上心を持ち、勉学との両立にも励 と思います。 みます。 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 41 学生のページ 2 日目のアーティスト「キマグレン」によるライブで 第 37 回内灘祭 は、事前に 1,000 人を超える来場者が予想されていた ため、特に警備面では大掛かりな対策が余儀なくされ テーマ ました。しかし、万全の準備と臨機応変な対処により、 し ば た しゅん 内灘祭実行委員長 柴田 俊(医学部第 3 学年) 本番は大きな問題もなく例年を上回る盛り上がりを実 現することができました。大きな仕事をやり遂げた達 成感に、思わず涙するものもいました。ライブに限ら 今回で第 37 回となる内灘祭 ず、フリーマーケットやその他イベントでも予想を超 を平成 20 年 10 月 4 日(土)・5 日 える方々のご来場により、今年は大きく盛り上がりま (日)の 2 日間開催し、無事に終 した。各部活のテントでも昨年の倍近くの売り上げだ 了することができました。今年 ったという話を聞き、今年の盛り上がりを裏付けるも の内灘祭は、様々な関係の中で のであると実感しています。 共に喜び共に遊ぶという意味の この 2 日間、決して楽しいことばかりではありませ 「一喜一遊」をテーマに掲げま んでした。しかし、良い内灘祭にしたいという実行委 した。楽しみの共有は、人にとって生きがいとなるほ 員それぞれの強い意志と、頑張りにより成し遂げるこ どの喜びであると私は考えます。また、楽しい思い出 とができたと思っています。私自身実行委員の皆にす はその人の大きな財産となり、自信や活力を与えるも ごく助けられたと感謝していますし、彼らを誇りに思 のです。私たち医学生は将来、患者さんにこの喜びを っています。多くの地域住民の方々とふれあい、楽し 与える存在として、自らが楽しみ、またその楽しみを み、また皆で助け合い、やり遂げた経験は私たちにと 共有できる存在でありたいと思います。このような理 って大きな財産を残したと実感しています。最後にな 念をもとに、参加者全員で楽しめる 2 日間にしようと りましたが、内灘町の皆様、また学校関係者の方々に いう願いをこめ、テーマを掲げました。 多大なご協力をいただき、今年の内灘祭を無事に終え 今年は昨年度に引き続き、医学系サークルによる 様々なイベントを企画しました。AIR(Activity and ることができましたことを感謝いたします。ご協力あ りがとうございました。 Introduction with Responsibility )による「ぬいぐる み病院」や東洋医学研究会による「漢方展」、国際医療 研究会による「医療保険の展示」です。これらのイベ ントに加えて、今年はさらに TOUR OF HEALTH と いう企画を立ち上げました。この企画は一般参加型の イベントで、参加者の方々と病院内を見学し、院内施 設の生活習慣病センターで生活習慣病のスクリーニン グ検査を体験するという企画です。今までの企画とは 違い、医学的な要素を取り入れたもので、地域住民の 方々に金沢医科大学をより身近なものに感じていただ き、かつ生活習慣病についての意識を促せたらという 目的で企画しました。 軽音楽部のステージ これまでにない大きな 企画に実行委員一同大 変な苦労はありました が、多くの方々に興味 を持っていただき、大 成功のうちに終わった ことにほっとすると同 時に、大変うれしく思 っています。 賑わう模擬店 金沢医科大学報 42 学 術 金沢医科大学医学会 <特別講演> 第 34 回総会、第 44 回学術集会 金沢医科大学医学会第 34 回総会並びに第 44 回学術集会が、平成 20 年 7 月 19 日(土)午後 1 時 30 分から、病院新館 12 階大会議室において開催され、約 80 名 の参加があった。 山田裕一会長の挨拶の後、加藤伸郎理事(庶務会計担当)から、平成 19 年度 の事業および決算、平成 20 年度の役員、事業予定および予算について報告が なされた。次に、過去 1 年間(2007 年 1 月∼2007 年 12 月)に公表された英文論 秋田利明教授 <学長賞受賞講演> 文に対する論文表彰が行われ、下記 10 名に賞状と副賞が授与された。 学術集会においては、秋田利明教授(心血管外科学)の特別講演「なぜ新生児 期開心術の成績は悪かったのか:未熟心筋の虚血再潅流障害の特殊性とその特 殊性に基づいた新生児期心筋保護法の開発の取り組み」をはじめ、平成 19 年度 学長賞受賞講演、および一般口演 14 題の計 16 題が発表され、発表ごとに活発 な質疑応答が行われた。 (医学会集会担当 元雄良治記) ◇論文表彰 代理発表の芝本利重教授 inflammation-associated mouse colon carcinogenesis. Int J Cancer 121: 2331-2339, 2007. 佐藤 勝明 病理病態学(病理学Ⅱ)講師 対象論文: Extrauterine endometrial stromal sarcoma with JAZF1/JJAZ1 fusion confirmed by RT-PCR and interphase FISH presenting as an inguinal tumor. Virchows Arch 450: 349-353, 2007. 奥田 鉄人 運動機能病態学(整形外科学)講師 対象論文: Stage-specific sagittal spinopelvic alignment changes in osteoarthritis of the hip secondary to developmental hip dysplasia. Spine 32: E816819, 2007. 金山 景錫 顎口腔機能病態学(口腔科学)講師 対象論文: Expression of receptor activator of nuclear factor-kappaB ligand in synovial tissue: comparison with degradation of articular cartilage in temporomandibular joint disorders. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 104: e12-17, 2007. 論文表彰を授与された 10 名の皆さん 崔 森 生理機能制御学(生理学)大学院生 対象論文: Leukotrienes and cyclooxygenase products mediate anaphylactic venoconstriction in ovalbumin sensitized rat livers. Eur J Pharmacol 576:99-106, 2007. 的場 宗孝 放射線診断治療学(放射線医学)准教授 対象論文: Lung carcinoma : diffusion-weighted MR 杉浦聡一郎 imaging − preliminary evaluation with apparent diffusion coefficient. Radiology 243: 570-577, 2007. 侵襲制御学(麻酔学)助教 対象論文: The hemodynamic effects of landiolol, an ultra-short acting β 1-selective blocker, on endotracheal intubation in patients with and without hypertension. Anesth Analg 104:124129, 2007. 川浦 健 生理機能制御学(生理学)助教 対象論文: Dopamine induces a slow afterdepolarization in lateral amygdala neurons. J Neurophysiol 98: 984-992, 2007. 内視鏡科助教 対象論文: The lymphatic infiltration identified by D2- 40 monoclonal antibody predicts lymph node metastasis in submucosal invasive colorectal cancer. Pathobiology 74: 328-335, 2007. 安井由美子 山本 亮 腫瘍病理学(病理学Ⅰ)助教 対象論文: A lipophilic statin, pitavastatin, suppresses 中村 常之 発生発達医学(小児科学)助教 対象論文: Vasculitis induced by immunization with Bacillus Calmette-Guerin followed by atypical mycobacterium antigen: a new mouse model for Kawasaki disease. FEMS Immunol Med Microbiol 49: 391-397, 2007. 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 43 <一般口演> 中島日出夫講師 島崎 都研究員 太田隆英准教授 石垣靖人講師 島村英理子講師 荒谷信一助教 吉村 弘准教授 金沢医科大学医学会第 44 回学術集会プログラム 〔平成 20 年 7 月 19 日(土)13:30∼17:00/病院新館 12 階大会議室〕 ◇特別講演 第2群 座長:元雄良治教授 なぜ新生児期開心術の成績は悪かったのか:未熟心筋 の虚血再潅流障害の特殊性とその特殊性に基づいた新 生児期心筋保護法の開発の取り組み 心血管外科学(胸部外科学)教授 秋田利明 ◇学長賞受賞講演 座長:和藤幸弘教授 ラットのアナフィラキシーショックでは静脈抵抗が増 加する 生理機能制御学(生理学)大学院生 崔 森 ◇一般口演 第1群 座長:上田善道教授 1. 新規熱ショック誘導性分子の解析 腫瘍内科学(腫瘍治療学)講師 中島日出夫 2. トランスクリプトーム解析によるヒト軟部肉腫転 移抑制遺伝子の同定と臨床応用 (H2007-10) 病理病態学(病理学Ⅱ)研究員 島崎 都 3. RhoGDI βを介する大腸癌細胞の極性の異常化と 悪性化(S2007-4 ) 総医研(分子腫瘍学研究部門)准教授 太田隆英 4. ナンセンス変異依存 mRNA 分解関連因子の局在解 析(S2007-3 ) 総医研(共同利用部門)講師 石垣靖人 5. ラット胎児における LIF のソースに関する研究 (S2007-9 ) 分子細胞形態科学(解剖学)講師 島村英理子 座長:西尾眞友教授 6. 多発性硬化症モデル動物の確立とガレクチン 9 投 与による治療の試み(C2007-5 ) 脳脊髄神経治療学(神経内科学)助教 荒谷信一 7. 長谷川式簡易知能評価スケールと脳波周波数分析 を用いた認知症の二次元的評価 顎口腔機能病態学(口腔科学)准教授 吉村 弘 8. 嗅覚中枢(梨状皮質)から傍梨状核へのニオイ情 報の伝幡(S2007-6 ) 生理機能制御学(生理学)准教授 須貝外喜夫 9. デオキシリボ核酸分解酵素 ( I DNase I )の臨床応用 (S2006-4 ) 循環制御学(循環器内科学)講師 河合康幸 10. 心臓ペースメーカーシステムにおける Na+ チャネ ル電流の存在意義:バイオペースメーカー開発へ 向けての理論的検証(S2007-2 ) 生理機能制御学(生理学)准教授 倉田康孝 第3群 座長:岩井邦充准教授 11. タイラーウイルス DA 株のマクロファージ感染・ 増殖に寄与する L タンパク内領域の検索 生体感染防御学(微生物学) 医学部第 3 学年 野尻正史 12. 血管内皮細胞の炎症性サイトカイン産生に及ぼす リスベラトロールの抑制効果 内分泌代謝制御学(内分泌内科学)助教 今泉範子 13. 聴上皮におけるアデノウイルスを介した遺伝子発 現パターン(海外留学) 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)助教 宮澤 徹 14. 能登半島地震の実態と当科の果たした役割−災害 派遣を通じて− 高齢医学(老年病学)講師 村井 裕 <一般口演> 須貝外喜夫准教授 河合康幸講師 倉田康孝准教授 野尻正史さん 今泉範子助教 宮澤 徹助教 村井 裕講師 【学術】 金沢医科大学報 44 独立行政法人 日本学術振興会 −ようこそ大学の研究室へ− 金沢医科大学プログラム 平成 20 年 7 月下旬から8月上旬にかけて、独立行政法人日本学術振興会の支援のもと、研究成果の社会還元・普 及事業「ひらめき☆ときめきサイエンス−ようこそ大学の研究室へ−」金沢医科大学プログラムが実施された。この プログラムは、平成 17 年度から独立行政法人日本学術振興会の事業として開始され、小学生・中学生・高校生に、 大学で行われている研究の意義や日常生活との関わりについて理解を深めてもらうことを目的としている。 「科学研 究費補助金(KAKENHI )による研究成果をわかりやすく発信することを通して、学術の文化的価値および社会的重 要性について示し、もって学術の振興を図ること」によって、 「我が国の将来を担う児童・生徒の知的好奇心を刺激 し、心の豊かさと知的創造性を育むこと」を目指している。 参加者の募集にあたり、ポスターおよびチラシを教育委員会を通じて県内の学校に配布し、石川テレビ、北國新聞 社による PR 放送・記事掲載を行った。また、地元ボーイスカウト等のボランティアの方々にも協力していただいた。 本学では、科学研究費補助金を 1 件以上採択されている研究者を対象に公募を行ったところ次の 3 件の応募があり、 すべて採択された。 (研究推進センター事務課 藤井 蛍記) 開催日 参加者 H20.7.24 (木) 中学生・高校生 (15 名) 25 (金) テーマ ①はやく大きくなあれ 実施者代表 開催場所 八田稔久教授 基礎研究棟 5 階 分子細胞形態科学 研究室 ∼我が子に贈る分子のメッセージ∼ 分子細胞形態科学 (解剖学) 中学生・高校生 (8 名) ②大学特別ゼミナール 田村幸子教授 H20.7.27 (日) 「移植を語ろう」 看護学部 成人看護学 小学 5・6 年生 (22 名) ③酸素が毒やって知っとった? 島田ひろき講師 H20.8. ( 7 木) −酸素となかよく生きていくには− 分子細胞形態科学 (解剖学) 看護学部棟 1 階ラウンジ 基礎研究棟 5 階 分子細胞形態科学 研究室 ① はやくおおきくなあれ ∼我が子に贈る分子のメッセージ∼ 平成 20 年 7 月 24 日(木) 、25 日(金)の 2 日間にわた り、分子細胞形態科学(解剖学)の研究室で公開実習 を行った。24 日には高校生および中学生が、25 日に は中学生が参加した。このプログラムのねらいは、母 親と子の関わりという情緒的にとらえられやすい題材 に対して、客観的事実に基づいて事象を解釈する科学 者の態度や思考過程を、生徒に感じ取ってもらうこと にある。 実習では、ラット専用人工ミルクの調合とラット新 生児の人工哺育を行った。生徒が体験したラットの完 全人工哺育とは、世界的に見ても極めて限られた施設 でしか行われていない非常に難易度の高い手技で、脳 の発達と再生に関する最前線の研究で応用が期待され ラット新生児の人工哺育の体験 ているものである。事前にこの人工哺育を練習した本 学の学生有志数名が、実習指導員として熱心に生徒の 指導にあたってくれた。また、25 日には、人工哺育 システムの開発者である干場純二先生(岡山大学自然 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 生命科学研究支援センター)にも参加していただき、 直に生徒への指導を賜った。限られた実習時間内で、 生徒がラット新生児にミルクを飲ませることはできな いだろうと予想していたが、驚いたことに、ほとんど の生徒があっという間にこの技術を習得してしまっ た。掌の中で、人工の乳首に対するラットの赤ちゃん 45 の反応を観察しながら、絶妙なタイミングを計ってミ ルクを飲ませる生徒の姿は、まさに研究者そのものだ った。 最後に、生徒 1 人 1 人に「未来博士号」が授与され、 実習は終了した。 (分子細胞形態科学 八田稔久記) ②大学特別ゼミナール 「移植を語ろう」 応募した企画が採用され、平成 20 年 7 月 27 日(日) 午前 10 時から午後 4 時まで、看護学部棟 1 階ラウンジ において大学特別ゼミナール「移植を語ろう」を実施 した。ゼミナールの目的は、法的に個人の意思と認め られるようになる 15 歳前後の生徒を対象に、移植に ついての医学的知識を学び、移植者の実際の経験を聴 き、移植をめぐる多様な価値観や倫理的問題について 語り合いながら、移植について考えることであった。 移植医からは北谷秀樹先生(北谷クリニック) 、移 植者からは黒田珠美さんとご家族(福井市在住)、移 植コーディネーターからは朝居朋子さん(日本臓器移 植ネットワーク)に快く参加していただき、ミニレク チャーや体験談をしていただいた。その後は成人看護 分野の教員(田村、平山、内田、北村、山崎)をテュ ーターとする少人数グループ討議の形式でゼミナール を進めた。参加者はまだあどけなさが残る石川県内の 中学生から、そろそろ気むずかしさが感じられる高校 生までの 8 名で、当看護学部の 2 年次生(希望者数名) を加えてグループを編成し、昼食やティータイムをは さんで楽しく学び・語り合った。 意外な意見や様々な視点での意見が出され、意見 を交換し討議することで考察が深まり新たな見解が得 られたとの感想が多くあった。主催者としては、この ような機会を地道に継続することで、若者の移植に関 する理解が広まり、堅実な成果が出るという実感を得 た。 (看護学部成人看護分野 田村幸子記) ③ 酸素が毒やって知っとった? −酸素となかよく生きていくには− 本プログラムは、環境から栄養学までの問題を、酸 素という物質を通じて科学的な視点から興味をもって もらうことを目的として、昨今の科学離れや食育の問 題などを鑑み、小学 5・6 年生を対象に講義、実習を 行った。講義「酸素ってなんや?」の後、昼食を挟ん で参加者 22 名を 4 班にわけ、1 )細胞内に生成させた 活性酸素の蛍光顕微鏡観察と、ビタミン C による細胞 内活性酸素の生成抑制実験、2 )自分の口腔粘膜上皮 細胞の標本作製と顕微鏡観察の 2 つの実習を交替で行 った。また、実習の待ち時間には、骨格標本の組立や バーチャルスライドシステムによる標本観察など、当 研究室の様々な研究内容に関連する事項を体験しても らった。参加者のモチベーションは非常に高く、講義・ 実習を通して見られた目の輝き、ノートを取り質問す る姿勢に終始圧倒された。最後に「未来博士号」授与 式をもって終了した。また、石川テレビ・北國新聞の 取材もあり、盛況なプログラムとなった。 (分子細胞形態科学 島田ひろき記) 【学術】 金沢医科大学報 46 大学院医学研究セミナー 免疫と腸内細菌 講 師 日 時 場 所 担 当 上野川修一先生(日本大学生物資源 科学部食品科学工学科食品化学研究 室教授) 平成 20 年 7 月 4 日(金)10:40∼12:10 病院本館 4 階 C42 講義室 代替基礎医学 山口宣夫教授 【講師紹介】 東京大学農学部農芸化学科卒業、 同大学院農学系研究科修士課程修 了、東京大学農学部助手、助教授 を経て東京大学教授(1989 年)を務 められた。定年退官後、日本大学 生物資源科学部食品科学工学科教 授を務められている。厚生労働省 の内閣府食品安全委員会座長を始め各種学会の役職を 歴任されている。 【主な研究分野】 食品アレルギー原因タンパク質の活性部位の構造解 析、腸管免疫系、特にアレルギー抑制機構である経口 免疫寛容の細胞生物学的研究、さらにプロバイオティ クスの免疫学的研究に取組んでいる。 【セミナーの内容】 上野川先生は腸内細菌と腸管免疫系の相互作用を長 年にわたり解析されている。腸管免疫系の全般につい て概説され、ご自身の成績に基づき IgA 分泌細胞の分 化に働く新規の IL-5 産生細胞の性状や、アレルギー 発症の予防に繫がる経口免疫寛容剤に関する最近の知 見を判りやすく解説された。後半は、プロバイオティ クスによる免疫調節作用とその免疫疾患の改善への応 用などの研究成果を述べられた。非特異的免疫の領域 では、CWS(cell wall skeleton )や OK-432 などの PAMP (pathogen-associated molecular pattern )がその賦活化に 重要な役割を担っていることが以前から報告されて いるが、先生はサルモネラ菌感染モデルでラクトバシ ラス生菌の経口投与による感染防御効果増強とその作 用因子が、リポタイコ酸であることを示された。一 方、このリポタイコ酸は抗原提示細胞の TLR(Toll-like receptor )を介して Th1 と Th2 のバランスを Th1 型へシ フトすることによりアレルギー反応の改善に寄与して いることも示された。 【セミナーの成果】 本セミナーの内容はプロバイオティクスの経験的な 有効性に先端的な生命科学による科学的根拠を与える ものであり、大学院生を始めとする参加者には予防医 学的見地から有用な視点を提供できたものと考えられ る。 (代替基礎医学 清水昌寿記) 研究・調査で必要な標本サイズ 講 師 日 時 場 所 担 当 角間辰之先生(久留米大学大学院医 学研究科 バイオ統計センター所長) 平成 20 年 8 月 29 日(金)16:20∼17:50 基礎研究棟 3 階セミナー室 社会環境保健医学 山田裕一教授 【講師紹介】 角間先生は、1978 年金沢大学を 卒業後渡米しさらに 1983 年セント ラルワシントン大学を卒業、1990 年エール大学公衆衛生・保健学部 医学統計科を卒業し医学統計学博 士号を取得後、コーネル大学医学 部精神科医学統計学講師、同大学老人精神病研究セン ター統計部部長を経て 2001 年に帰国し日本赤十字九 州国際看護大学教授、2005 年に久留米大学バイオ統 計センター教授、2006 年より同センター所長に就任 され現在に至る。1993 年以来本学で数多くの特別講 義やセミナーをご担当いただいている。 【主な研究分野】 臨床試験におけるデータ解析とバイオ統計サポー ト、モデルの適合度評価、データマイニングと探索的 データ解析。 【セミナーの内容】 例数をどのようにしたらよいかという実際の相談 例から始まり、何故、標本サイズの設定が必要なのか その統計的側面、経済的側面、倫理的側面、科学的側 面が解説された。標本サイズ設定の理論では、研究デ ザイン、仮説、効果のサイズ、仮説検定法、パイロッ トデータなどが前もって準備すべき必要な情報である ことや、Type Ⅰ、Type Ⅱエラー、検出力関数の説明、 そして、種々の公式の呈示と実際の計算例、専用のソ フトを用いての実演、さらに、シミュレーション法の ひとつであるモンテカルロ法が紹介された。 【セミナーの成果】 例数をどれくらいにすべきかということは費用や時 間もからみ、研究が成功するか否かの重要な問題であ ることから、大学院生を始めとし多数の参加者がみら れた。 参加者からの現実的で切実な質問からみても重要な 課題であったと推察されます。今後の調査・研究に是 非とも役立てていただきたいと思います。 (看護学部 本多隆文記) 第 136 号/ 2008.11 金沢医科大学報 47 大学院医学研究セミナー サイトカインの臨床的意義と臨 床応用 講 師 日 時 場 所 担 当 神田 享勉教授(金沢医科大学大学院 医学研究科 総合内科学) 平成 20 年 9 月 5 日(金)18:00 ∼ 19:30 病院本館 4 階 C42 講義室 総合内科学 神田享勉教授 Bone marrow mesenchymal stem cells : 糖尿病網膜症の新しい治 療法の確立に向 けて 講 師 日 時 場 所 担 当 佐藤佐内先生(呉服町診療所 院長) 平成 20 年 10 月 3 日(金)18:00 ∼ 19:30 病院本館 4 階 C41 講義室 感覚機能病態学 佐々木 洋教授 【講師紹介】 【講師紹介】 昭和 53 年 3 月、金沢医科大学医 1974 年、 弘 前 大 学 医 学 部 を 卒 学部を卒業、昭和 57 年 3 月群馬大 業、1980 年 に 山 形 大 学 医 学 部( 眼 学大学院医学研究科を修了(第一 科学)講師を経て、1984 年から渡 病理学)。昭和 60 年 6 月ノースカロ 米 し NIH の National Eye Institute に ライナ州立大学免疫学教室に留学、 所属。2002 年にオクラホマ大学の 平成 12 年 1 月、群馬大学医学部文 Diabetes and Endocrinology Section 部教官助教授(総合診療部)。平成 の教授に就任。2006 年帰国し、医 13 年 6 月金沢医科大学総合診療科特任教授として赴 療法人出田会呉服町診療所の院長をされる傍ら、金沢 任。平成 20 年 7 月には金沢医科大学氷見市民病院総合 医科大学客員教授(眼科学) 、奈良県立医科大学非常 診療科教授(地域医療学部門)に就任。 勤講師(生化学)を兼任されている。 【主な研究分野】 【主な研究分野】 循環器病学や病理学をベースとした総合内科学が専 糖尿病における網膜毛細血管細胞の役割、糖尿病眼 門で、主なテーマは「心筋障害に対する免疫治療」で 合併症である網膜症、白内障に関する研究、骨髄幹細 ある。今まで、炎症性サイトカインの心不全に対する 胞による糖尿病網膜症の治療についての研究を行い、 作用を研究してきた。 多くの成果を報告されている。 【セミナーの内容】 【セミナーの内容】 サイトカインとは、細胞から分泌されるタンパク 糖尿病網膜症の本態は網膜毛細血管の閉塞と、そ 質で、特定の細胞に情報伝達をするものをいう。多く の結果誘発される新生血管であり、いかにそれを抑え の種類があるが特に免疫、炎症に関係したものが多 るかが現在の網膜症に対する治療の中心となってい い。比較的低分子のペプチドが多いサイトカインは細 る。しかし、新生血管を単純にブロックする事は創 胞表面の膜上にある受容体に結合して働き、それぞれ 傷治癒遅延や心疾患などの全身的なリスクを高める可 に特有の細胞内シグナル伝達経路の引き金を引き、結 能性もある。糖尿病網膜症の最終的な治療は新生血管 果的には細胞に生化学的あるいは形態的な変化をもた の抑制ではなく、虚血性組織への血流供給であり、そ らす。サイトカインは多機能的、つまり単一のサイト の鍵をにぎっているのが 網膜血管の pericyte であると カインが標的細胞の状態によって異なる効果をもたら いう持論を展開された。講演では網膜症発症における す。サイトカインは免疫系による感染症への防御反応 pericyte の役割、新生血管発生に関与する mesenchymal として産生されるのだが、それが過剰なレベルになる progenitor の 解 明 の 重 要 性、pericyte に 関 す る 研 究 の と気道閉塞や多臓器不全を引き起こす。炎症性サイト ために開発された新しいトランスジェニックマウス カインの臨床応用で、TNF-αの臨床応用、抗 IL-6 受 (alpha-SMA-GFP mouse )について解説された。 容体抗体による難治性免疫疾患の治療、血管形成にお 【セミナーの成果】 ける血管内皮増殖因子 VEGF と肝細胞増殖因子の血管 糖尿病網膜症は壮年期の中途失明、高度の視機能障 閉塞への応用がある。今までの心臓粘液腫研究からサ 害を生じる疾患として最も頻度が高い。網膜症におけ イトカインとアディポサイトカイン、すなわち脂肪組 る pericyte の重要性について、これまでの知見を明快 織から分泌されるレプチン、TNF-αそして長寿因子の に解説され、pericyte をターゲットにした研究が網膜 adiponectin に関する知見を説明した。心筋からも危機 症の新しい治療法開発に繋がる可能性を十分に期待さ 的状況下ではさまざまなサイトカインが分泌され適応 していることを解説した。 (総合内科学 神田享勉記) せる内容であった。 (感覚機能病態学 佐々木 洋記) 【学術】 金沢医科大学報 48 金沢医科大学 FDD-MB センター開設 FDD-MB センター長 高林 晴夫 この度、2008 年 9 月 1 日付けで金沢医科大学 FDD-MB 回の採択に向けてわれわれは多大の (Fetal DNA Diagnosis from Maternal Blood )センターが開 エネルギーを注いできました。これ 設されることになりましたが、これまでの経過、概要 で、これまでの 10 倍を遥かに超える について報告します。 スピードで研究開発が進むものと考 えています。 文部科学省知的クラスター創成事業として採択 される より all Japan 体制で研究活動を行っ 7 月 15 日、文部科学省知的クラスター創成事業(第Ⅱ ている FDD-MB 研究グループ(金沢 期) 「ほくりく健康創造クラスター (富山・石川地域)」に 今回のプロジェクトでは、2007 年 医科大学、国立成育医療センター、昭和大学)を中核に われわれの提案する「血液中の有核赤血球の回収・DNA して、single cell 単位での DNA 分析技術を確立するため 分析システムの開発」が採択されたとの連絡が石川県を に北陸先端科学技術大学院大学からは高感度 DNA チップ 通じてありました。 に関連した技術、石川県立大学からはヒト以外の動物種 文部科学省プレス発表資料(7 月 15 日) 1. 知的クラスター創成事業(第Ⅱ期)の概要 「知的クラスター創成事業(第Ⅱ期) 」は、 「知的クラス ター創成事業(第Ⅰ期)」の成果等を踏まえ、地域の自立 「選択と集中」の視点に立ち、世界レベル 化を促進しつつ、 のクラスター形成を強力に推進することを目的とする事 業です。 各地域は、クラスター形成に向けた長期的視点に立っ た地域構想を明確にするとともに、知的クラスター創成 事業(第Ⅱ期)により、産学官連携による世界最先端の基 礎的研究開発(シーズの創出)から実用化開発までの一体 的推進、経済産業省等関係省庁の施策の活用、地域にお ける産学官連携基盤の強化、クラスターの広域化など、 世界レベルのクラスターの形成に向けた幅広い活動を戦 略的に展開することが求められています。 2. 地域選定の方法 各提案地域(6 地域)から企画申請書等の提出を受け、外 部有識者で構成される審査委員会において審査、選考を実 施した。 3. 選定された提案 (ナノテクノロ ○愛知県、名古屋市、岐阜県【東海広域】 ジー・材料、環境) 東海広域ナノテクものづくりクラスター ○富山県、石川県【富山・石川地域】 (ライフサイエンス) ほくりく健康創造クラスター ○京都府・京都市【京都およびけいはんな学研地域】 (ナ ノテクノロジー・材料、環境) 京都環境ナノクラスター への応用に関する技術、金沢工業大学からは高感度 FISH 法に関する技術、大阪大学大学院からはフローチップを 用いて血液から赤血球を選択する技術、東京農工大学大 学院からは NRBC を選択的に認識するソフトウェア技術、 石川県予防医学協会からは単離細胞に関するゲノム増幅 技術など、それぞれ特徴を生かした研究支援を期待して います。それに加えて、細胞のハンドリングおよび独自 のバイオチップ技術で実績のあるバイオベンチャー企業 のエスシーワールド㈱、光学機器開発・製造で実績のあ る㈱ニコン、マイクロアレイ製造で実績のある日本ガイ シ㈱、精密機器製造で実績のある㈱スギノマシン等の各 企業を含めたクラスターを形成していく必要があります。 さらに本研究成果の事業化を進めていくために、検査分 野で実績のある検査機関だけでなく北陸および全国の医 療機関との連携などが必要となると思われます。 テーマの概要 提案者らは母体血中に胎児細胞(Nucleated Red Blood Cell: NRBC )が極微量に移行・出現することに着目し、独 自の手法により胎児細胞を選択的に回収することで single cell 単位での DNA 分析が可能であることを明らかにして きた。それらの成果を踏まえ、これまでに培った石川・ 富山および国内外の研究機関・医療機関との協力・連携 をベースに、すでに活動を開始している all Japan 研究開 発体制で日本発・世界初の実用レベルでのリスクを伴わ ない先端的胎児 DNA 分析システム(Fetal DNA Diagnosis from Maternal Blood:FDD-MB 3.0 )を開発・完成する予定 である。本システムが実現すれば胎児の救命、胎児治療 申請から採択までほぼ 1 年近くの期間を要しましたが、 以前にわれわれの別の提案が採択された経済産業省の平 成 14 年度地域新生コンソーシアム研究開発事業や JST の 平成 18 年度「産学共同シーズイノベーション化事業顕在 化ステージ」と較べてもその支援規模は格段に大きく、今 の実現促進、女性の健康増進・疾病予防、先端的 DNA 分 析手法の波及効果が期待できるだけでなく、医学・医療 に大きな変革と国際的貢献・経済効果をもたらし、本シ ステムおよび関連要素技術 single cell technology の欧米に 対する優位性を確実なものとすることができる。 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 金沢医科大学 FDD-MB センター開設 9 月 1 日に開設された金沢医科大学 FDD-MB センター (Center for FDD-MB )の基本理念は以下の通りです。 本センターは、FDD-MB に関する世界的、先端的な研 究・開発をリードし、これまでの FDD-MB 1.0, FDD-MB 2.0 の経験と実績を踏まえ、FDD-MB Study Group と連携 し、all Japan 体制のもと最善・最強の safety-conscious & robust な FDD-MB 3.0 System を開発・完成させる。同シ ステムの実用化、事業化を通じて国際貢献(international contributions )を行う、というものであります。 また、センターの使命は 3 つあり、以下に示します。 1. 胎児細胞と女性の健康の関係解明 2. 胎児 DNA 診断法の開発 3. 単一細胞分析技術の開発 謝辞 今回の文部科学省知的クラスター創成事業への採択、 金沢医科大学 FDD-MB センターの開設につきましては、 これまで終始多大なご理解、ご協力を戴きました村上清 史研究統括、中川脩一事業統括補佐はじめ石川県・富山 県の知的クラスター創成事業の関係者、山下公一理事長、 小田島粛夫前理事長、山田裕一学長、松井 忍 21 世紀集学 的医療センター長、宮本文夫学長室室長、上田正博研究 推進センター事務課課長はじめ金沢医科大学の多くの関 係者、研究室の北 美紀子主任研究員、石川県予防医学協 会の伊川和美研究員、浅ノ川総合病院の吉国桂子中央検 査部技師長、エスシーワールド㈱の末岡宗廣社長はじめ プロジェクトチームの多くの情熱的な同志(43 名) (別表) に心から感謝申し上げます。 また、本プロジェクトは当初より学外、国内外の多く 49 の医療機関(国立成育医療センター、昭和大学、石川県 立中央病院、富山県立中央病院、浅ノ川総合病院、うき た医院、杉浦クリニック、荒木病院、共立産婦人科医院、 産科婦人科セントペアレント石間ほか) 、研究機関との連 携、協力に基づいて進められてきており、これまでも多 大なご指導、ご支援を賜りました多くの先生方に改めて 心より感謝申し上げます。 学内において、知的クラスター創成事業の採択に関し ては、松井 忍 21 世紀集学的医療センター長の 2 年前(総 合医学研究所所長時代)の研究環境拡充へのご配慮と同 僚の北 美紀子主任研究員の貢献によるところが非常に大 きかったこと、FDD-MB センターの開設に際しては山田 裕一学長の適切かつ迅速な決断と実行が決定的であった ことが特筆され、今後我々がプロジェクトを進めるにあ たって糧とすべく、おおいに参考にするべき点(特にス ピード)の多かったことを明記しておきたいと思います。 また、プロジェクトの最初から一貫してご指導を賜りま した恩師、故桑原惣隆名誉教授には、今回のことを直に 親しく報告できなかったことが唯一心残りなことですが、 これからもずっとお見守りいただきたいと念じています。 プロジェクトもセンターも 9 月にスタートを切ったば かりですが、関係各位の大きな期待を真摯に受けとめ、 重責ではありますが、その使命を果たす決意です。今後、 これまでに増してみなさまの絶大なるご指導、ご鞭撻を 賜りますよう謹んでお願い申し上げます。 最後に、すでに学内外からプロジェクトへの参画希望 が寄せられておりますが、今後さらに関心や参画希望、 問い合わせ等がありましたらいつでも歓迎しますので、 下記まで連絡ください。 連絡先:E-mail:htogkmu@kanazawa-med.ac.jp 別表 FDD-MB 3.0 Project 参画機関・研究者( 43 名) 機 関 名 研究責任者 金沢医科大学 高林 晴夫 FDD-MB センター センター長 北陸先端科学技術大学院大学 高村 禅 マテリアルサイエンス研究科准教授 金沢工業大学 小木美恵子 バイオ・化学部応用バイオ学科 教授 石川県立大学 大阪大学大学院 東京農工大学大学院 国立成育医療センター 昭和大学 泉 徳和 生物資源環境学部生産科学科 教授 民谷 栄一 工学研究科精密科学・応用物理学教授 堀田 政二 共生科学技術研究院 特任准教授 北川 道弘 副病院長 関沢 明彦 医学部産婦人科学教室 准教授 財団法人石川県予防医学協会 浅ノ川総合病院 伊川 和美 検査部 技術開発担当主任 吉国 桂子 中央検査部 技師長 エスシーワールド株式会社 日本ガイシ株式会社 末岡 宗廣 代表取締役 社長 森田 敏樹 システム応用事業部 部長 土屋 良二 開発統括部バイオサイエンス 第3開発課 マネージャー 川瀬 三雄 次世代技術戦略室グループリーダー 株式会社スギノマシン 村椿 良司 研究開発部 執行役員・部長 株式会社ニコン 2008.10 現在 研 究 者 北 美紀子(FDD-MB センター、主任研究員) 中村 恭子(FDD-MB センター、研究員) 谷島 清郎(FDD-MB センター、協力研究員) Wu Lixia (FDD-MB センター、協力研究員) 赤澤 純代(生活習慣病センター、助教) 鴨田佐知子(生活習慣病センター、助教) 市川 秀隆(医学部、講師) 三浦 聖子(医学部、大学生) 富沢 祐一(マテリアルサイエンス研究科、大学院生) 野間 慶一(マテリアルサイエンス研究科、大学院生) 井関 寛(バイオ・化学部応用バイオ学科、大学院生) 眞田 由親(バイオ・化学部応用バイオ学科、大学院生) 新村 卓也(情報フロンティア学部生命情報学科、大学生) 斎藤 真人(工学研究科精密科学・応用物理学、助教) 左合 治彦(周産期診療部、部長) 千葉 博(医学部産婦人科、研究員) Yuditiya Purwosunu(医学部産婦人科、特別研究生) 小松原 彰(検査部、マネージャー) 高橋美津子(中央検査部、臨床検査技師) 林 絵里奈(中央検査部、臨床検査技師) 菊池 貴幸(システム応用事業部、研究員) 松本 由佳(システム応用事業部、研究員) 渡邊 博忠(バイオサイエンス統括部設計課、主任技師) 山田 和成(次世代技術戦略室、マネージャー) 織部 晃暢(次世代技術戦略室、研究員) 金三津雅則(研究開発部、課長) 高沢 義昭(研究開発部、リーダー) 森本 裕輝(研究開発部、研究員) 【学術/病院】 金沢医科大学報 50 <予告> 第 6 回KMU研究推進セミナー 日 時: 平成 20 年 11 月 28 日(金) 16:30∼19:00 場 所: 金沢医科大学病院 新館 12 階大会議室、レストラン・カプリコ 主 催: 研究推進会議 平成 19 年度に導入された共同利用研究機器の概要説明 (16:30∼16:35 ) ◇臨床講演 (16:35∼16:55 ) 機器管理運営委員会 座長: 竹上 勉教授 総合医学研究所副所長、分子腫瘍学研究部門 膵癌に対する GSK3 β阻害剤とジェムシタビンによる治療効果:治療への 応用の可能性 島崎猛夫講師 金沢医科大学 腫瘍内科学(腫瘍治療学) ◇特別講演 (17:00∼18:15 ) 座長:梶波康二教授 循環制御学(循環器内科学) 血中前駆細胞と臓器リモデリング:診断と治療への応用の可能性 佐田政隆教授 徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部循環器内科学 ◇懇 親 会 (18:15∼19:00 ) 場所:金沢医科大学病院 新館 12 階 レストラン・カプリコ(無料) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 51 病 院 第 29 回 連携病院会議 長、山田裕一学長、竹越 襄副理事長、松本忠美副理 事長ほか役職教員等を含む 86 名が出席して行われた。 はじめに、本学役員および役職教員が紹介され、飯 塚病院長の就任挨拶を兼ねた挨拶があった。その後、 竹越副理事長(氷見市民病院 CEO )から金沢医科大学 氷見市民病院の現況報告があった。 引き続き、松井 忍副院長を座長として以下の特別 講演が行われた。 演題① 「心臓外科領域における最近の話題」 講師:秋田利明教授 胸部心臓血管外科 演題② 「炎症性腸疾患の最近の話題」 講師:有沢富康教授 消化器内科 演題③ 「不治の病から治る病気へ ∼小児白血病・ 悪性腫瘍疾患の治療の進歩∼」 講師:犀川 太教授 小児科 講演後、本年度部門教授に就任した小坂健夫教授 (消化器外科) 、佐久間 勉教授(呼吸器外科) 、神田享 勉教授(地域医療学)が紹介された。 懇談会に入り最初に、 「患者紹介・逆紹介実績等の 秋田利明教授による特別講演 状況について」として小平俊行医事部門部長から本学 病院の現況報告があり、集学的がん治療センター長の 第 29 回連携病院会議が、平成 20 年 8 月 7 日(木)に 元雄良治教授から、 「地域がん診療連携拠点病院とし ホテル日航金沢において開催された。この会議は、従 ての 1 年間について」として、外来化学療法の実績や 来「関連病院会議」として、地域の各病院とのより一 相談支援センター、院内がん登録、緩和ケア等の紹介 層の地域医療の発展・充実に貢献することを目的とし や実績について報告があった。金沢医科大学病院への て毎年開催されてきたが、本年 4 月に本学が指定管理 要望事項については、あらかじめアンケートで寄せら 者となって新たにスタートした「金沢医科大学氷見市 れた関連病院からの要望に対し、飯塚病院長が回答し 民病院」も参加することによって、より広範囲の地域 た。最後に、新任の特任教授および臨床教授 5 名が紹 医療連携(病病連携)の充実を目指し、名称を「連携病 介され、懇談会は終了した。 院会議」に変更することとした。 懇親会では、山下理事長並びに山田学長から開催の 当日は、64 病院から 67 名の病院長、事務長が出席 挨拶をいただき、和やかな雰囲気の中で参加者同士活 され、本学からは飯塚秀明病院長をはじめ副院長、各 発な意見交換が行われ、栂 博久副院長の挨拶で終了 科診療科長、医局長、また招待者として山下公一理事 した。 懇談会 懇親会 (地域医療連携事務課 坂尾光一記) 【病院】 金沢医科大学報 平成 20 年度 医療監視 52 よる医療監視は、担当者ごとに、事前提出資料に基づ き、管理運営に関する諸記録及び診療記録(電子カル テ) 、医療従事者の充足状況、医療安全管理体制、院 内感染対策、防災・防火対策、職員健康管理、食品・ 平成 20 年 8 月 27 日(水)、午前 10 時から午後 5 時に 栄養管理、食中毒対策・給食施設、診療用放射線管理、 かけて、厚生労働省東海北陸厚生局による医療法第 毒薬・麻薬等の医薬品管理、医療機器の安全管理、感 25 条第 3 項の規定に基づく立入検査(厚生労働大臣が 染性廃棄物管理、水質・レジオネラ対策等について、 特定機能病院に対して行う立入検査)と石川県石川中 それぞれ関係者へのヒアリング、書類確認及び実地検 央保健所(石川中央保健福祉センター)、同保健部河 査が行われた。 北地域センター、石川県健康福祉部医療対策課による 午後 4 時 35 分からは、東海北陸厚生局中谷晶光医療 医療法第 25 条第 1 項の規定に基づく医療監視(石川県 監視専門官および石川県石川中央保健所伊川あけみ所 知事が病院に対して行う立入検査)がそれぞれ行われ 長により検査結果の講評が行われた。昨年度の指摘事 た。 項は全て対応済みであり、全般的に良好に管理されて 東海北陸厚生局による立入検査は、医療監視員 2 名 いるとの講評であった。しかし、職員健康診断で、医 により、事前提出資料に基づき特定機能病院における 師の受診率が 100%ではないので全員受診させるよう 医療の安全管理体制、医薬品の安全管理体制、医療機 になど、いくつかの事項について指摘があった。なお、 器の安全管理体制、院内感染対策などを中心に関係者 指摘事項については、後日、正式に文書で通知される。 (管理課 疋田 勉記) へのヒアリング、書類確認及び実地検査が行われた。 また、保健所長・保健所係官・石川県係官計 14 名に 病院機能評価管理事業 院内サーベイでは、院内サーベイヤーが評価項目の 全てについて、各部門・部署や病棟が実施した自己評 病院機能の自己評価と院内サー ベイの実施 価結果を点検し、根拠資料の整備状況や各部署の運営 本院は、平成 18 年度に財団法人日本医療機能評価 なるように改善必要事項等を明記した文書をフィード 機構が実施する第三者による“病院機能評価(Ver.5 )” バックしている他、病院イントラネットで公表してい を受審し、平成 19 年 1 月 22 日付けで認定を受けた。 「改 る。 状況等について確認したうえで、不備事項等について はその場で改善指導を行っている。 また、サーベイ結果については、今後の改善指標と 善要望事項」や「留意事項」もなく認定を受けることが 財団法人日本医療機能評価機構では、平成 21 年 7 月 できたのは、全職員が一丸となって取り組んだ成果で の受審から、病院機能評価を Ver.5 から Ver.6 に改定 ある。 し、新たな評価項目として“エネルギー消費抑制努力” 病院機能評価の受審にあたって達成された病院機能 や“重要な領域の安全手順の整備”等を設ける他、 “認 の維持、さらなる改善・向上のために、平成 19 年度 定期間中の医療機能の質の維持・改善の努力の評価” から病院長の諮問委員会である「病院機能自己点検・ が新設され、継続的な活動による医療機能の維持・改 評価委員会」が中心となって、病院の全部門が機能評 善が求められることになった。 価項目に沿って各領域の自己評価を行い、その自己評 平成 23 年度には病院機能評価の認定更新を控え、 価結果に基づいて「病院機能・評価管理室」所属の院 新しい Ver.6 の評価項目の改定内容に対応しながら、 内サーベイヤーがサーベイを実施している。 来年度以降も継続して病院機能の自己評価と院内サー 今年度も引き続き、病院機能評価の全評価項目を年 3 回に分けて、自己評価と院内サーベイを実施してい る。既に 7 月には第 1∼3 領域並びに第 5 領域(6 病棟対 象)の自己評価と院内サーベイを実施し、11 月には第 4 領域と第 5 領域(8 病棟対象)、来年 2 月には第 6∼7 領域と第 5 領域(7 病棟対象)を実施する予定である。 ベイを実施していく計画である。 (病院長室 南 英樹記) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 53 くの感染に関するガイドラ 感染教育講演会 イ ン が Web 上 に 公 開 さ れ 新しい隔離予防策のガイドライン ており、米国だけでなく日 講師: 井口晶晴先生(金沢医科大学呼吸機能治療学 て、個々の施設の感染予防 本を含め多くの国々におい 対策マニュアルを作成する 助教) 基準ともなっている。 日時: 平成 20 年 8 月 1 日(金)午後 5 時 30 分 講演のあと感染対策室の 場所: 病院本館 C41 講義室 ICN(感染管理看護師)であ る不動政代師長から、本学 院内全職員を対象に今年度第 1 回の院内感染防止に 関する教育講演会が行われた。参加者はイントラネッ トによる VOD 視聴者を含め医師 52 名、看護師 230 名、 井口晶晴先生 病院における感染症に関す るデータ報告が行われた。 看護助手 73 名、薬剤師 13 名、放射線技師4名、検査 感染症の報告や指定抗菌薬の届出に関しては、診療科 技師 31 名、リハビリ技師 8 名、栄養士 7 名、事務職 84 によっては格差があるため、協力してほしい旨の要請 名、派遣・委託業者 9 名、関連病院 9 名の計 520 名で があった。また質疑応答では医師から結核の空気感染 あった。 予防策の対応についてや小児感染症を診療する上での 今回は昨年公開された CDC(米国疾病管理予防セン ター)の隔離予防策ガイドラインについてその改定ポ 病棟の個室対応などについても質問があり、今後感染 対策室において検討すべき課題と思われた。 (感染対策室 井口晶晴記) イントについての講義が行われた。CDC からは数多 平成 20 年度 地域と共に『わく・ワーク(work ) 体験』事業 する姿勢を育てる」というねらいのもと、新館の 12 カ 所の病棟において、患者搬送、清潔の援助、環境整備、 食事介助などの看護職の業務を中心に、見学および職 場体験をスタッフと一緒に行うというかたちで実施さ れた。 体験当初は緊張した面持ちでいた生徒も、日を追う ごとに緊張もほぐれ患者とのコミュニケーションも少 しずつ取れるようになってきていた。体験後の生徒の 感想やアンケートでは、 「失敗もあったが、なんとか やり遂げることができた」 、 「仕事は忙しく厳しかった が、終わった後、今日も患者さんが無事でよかったと いう嬉しさもあった。それを教えてもらい感謝してい る」、 「この体験を活かして自分の進路についてよく考 え、夢の実現に向けて努力していきたいと思います」 とほとんどの生徒が前向きに取り組み、看護師・医師 をはじめとする医療従事者の働くことの意義、あいさ 病棟での職場体験 つやマナーの大切さを学んでいた。また現場では、生 徒それぞれに自分の活動がどう評価されたかを個人評 石川県教育委員会による「地域と共に『わく・ワー ク(work )体験』事業」が、金沢市立港中学校(6 月 24 日∼26 日)、内灘町立内灘中学校(7 月 23 日∼25 日)の 2 年生各 12 名を迎え、本学病院において行われた。 この事業は、 「職場に対する関心を高め、働くこと の意義を知る。また職業の社会的役割を理解するとと もに、自己理解を深め、自分の夢の実現に向けて努力 価表でフィードバックさせたこともあり、自分自身を 見つめ直す良い機会となったようである。 (看護部 前野聡子記) 【病院】 金沢医科大学報 54 北國健康生きがい支援事業 金沢医科大学プログラム 平成 20 年度 第 1 回フォーラム 「小児医療の最前線」−未来の担い手を救う− 日時: 平成 20 年 10 月 4 日(土)午後 1 時 場所: 北國会館 10 階ホール 左から犀川 太教授、中村常之講師、秋田利明教授、伊川廣道教授 「小児医療の最前線」∼未来の担い手を救う∼と題し 性心疾患の手術症例についてわかりやすく解説を行っ たフォーラムが開催された。最初に小児科の犀川 太 た。特に、単心室と両心室治療を電気回路に例えた説 教授が「小児がんを治す」というテーマで、小児がん 明は、聴講者にとって印象に残る内容であった。 と成人の腫瘍との違いから始まり、小児白血病の症状、 最後に、小児外科の伊川廣道教授から、 「手術痕を 治療成績についてわかりやすく解説した。その中でも、 残さず、機能も良好な小児外科手術をめざして」とい 最新の研究より、小児の白血病は胎児期からその一歩 うテーマで、手術痕を大きく残す疾患(肝移植等)は が始まっているという事実は、今回の聴講者の方々が あるものの、手術痕を残さず、良好な機能を得られる 最も興味を示した内容であった。さらに骨髄移植や固 術式について、各疾患を提示しながら明解な説明が行 形腫瘍での小児外科、小児科との治療連携についての われた。中でも、ヒルシュスプルング病に関する術式 質疑応答があり、一般の方々の小児がんに対する関心 は特に興味深いものであった。本学病院においてはす の高さが見られた。 でに 10 年前からの取り組みであり、当時本邦 2 番目の 次に、小児科の中村常之講師が「生まれる前から診 症例であったことが紹介された。この術式を行う日本 断を!」−胎児心エコー検査の有用性について−とい の先駆者であることが示され、本診療科の診療レベル うテーマで、胎児心エコーによる最新の診断技術の紹 の高さを再認識する講演であった。 介とともに、小児循環器医と小児心臓外科医の連携が 講演後に、小児外科の伊川教授から、北陸でのこど 重要であることを伝える講演をした。その中でも、胎 も病院設立に関する資料の提示が行われた。採算性の 児心エコー検査にて診断し、良好な全身状態で、小児 問題等、解決しなければいけないことはあるものの、 心臓外科医に紹介することで、手術成績が向上するこ その設立の必要性が熱く語られ、聴衆に理解してもら とを強調した。 える内容であった。 引き続き、胸部心臓血管外科の秋田利明教授が、 「先 天性心疾患の外科治療の最前線」−複雑心奇形をもっ て生まれた赤ちゃんにも正常な発育を!−というテー マで、本邦における小児心臓外科の治療成績の推移か ら始まり、先天性心疾患の個々の治療方法、重症先天 (発生発達医学 中村常之記) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 55 第 2 回 能登地区がん診療連携協議会 平成 20 年度 第 3 回がん診療連携拠点 病院研修会 日時: 平成 20 年 9 月 27 日(土)午後 3 時 場所: 能登空港奥能登行政センター 平成 20 年 9 月 27 日(土)午後 3 時から能登空港内 木谷智江看護師 の奥能登行政センター4 階講義室において第 2 回能登 地区がん診療連携協議会が開催された。能登地区の 辻 晃仁科長 変わる!」というメッセージが印象的であった。電話 12 病院、地区医師会および本学からの出席者を含め での患者への連絡、地域連携パス(とくに有害事象) 、 合計 45 名が出席した。 看護師間の連絡の具体例が挙げられ、 「自分だったら はじめに飯塚秀明病院長が、がん診療連携の意義 と本学病院の役割について述べ、元雄良治集学的がん 何ができるか?」を常に考えることの重要性が強調さ れた。 治療センター長の司会進行により、石川県健康福祉部 辻科長は最近のがん化学療法の有効性を具体例で示 健康推進課の菊地修一課長が石川県のがん対策を紹 し、がん化学療法のポイントは「血管確保、抗がん剤 介、集学的がん治療センターの中谷直喜助教が、外来 投与、副作用対策、精神的サポート」であると述べた。 化学療法の地域連携について、能登地区での実例を示 高知医療センター腫瘍内科では、 「なっとくパス」と命 しながら解説した。これらの事項について質疑応答が 名したパスをすべての化学療法の導入に用いている。 あり、協議会を終了した。 また左前腕皮下に中心静脈ポートを造設して、採血・ 午後 4 時から 6 時まで同じ階の会議室において、平 点滴・輸血のすべてをポートを使って行い、1 患者・ 成 20 年度第 3 回がん診療連携拠点病院研修会が行わ 1 治療・1 穿刺での化学療法を可能にしている(詳しく れ、76 名の出席者があった(内訳は看護師 42 名、医師 は、森田荘二郎 他編著「中心静脈ポートの使い方」南 20 名、事務職 10 名、その他 4 名) 。前半は集学的がん 江堂、2008 年 10 月刊を参照) 。これらによって、現在 治療センターの島崎猛夫講師の司会で、福井県立病院 14 病院が高知医療センターと連携して、外来化学療 の木谷智江がん化学療法認定看護師が「外来化学療法 法を実施している。 に求められる看護師の役割:地域連携を含めて」と題 2 人の講演者とも熱意の中にユーモアがあり、長時 して講演した。また後半は元雄良治教授の司会で、高 間にもかかわらず、最後まで聴衆を惹きつけていた。 知医療センター腫瘍内科の辻 晃仁科長が「チーム医療 「地域連携」をキーワードにした今回の協議会・研 でこんなに簡単!? がん化学療法と地域連携」と題し 修会は初めての奥能登での開催であったが、終了後の て講演した。 アンケート結果を見ても大変有意義な会であったと実 木谷看護師による「安全」 「安楽」 「確実」ながん化 感した。 学療法は看護が支える、そして「看護で 5 年生存率も 協議会会場 研修会会場 (集学的がん治療センター 元雄良治記) 【病院】 金沢医科大学報 平成 20 年度 政府総合防災訓練 金沢医科大学病院 DMAT が参加 56 村田好生(外来)、業務調整員:坂元仁志(管理課)の 5 名 1 チームが訓練に参加した。 同日 6:44、DMAT 事務局からメールで「地震発生、 DMAT の派遣準備・待機」の依頼があり、当院 DMAT 隊員が病院に参集した。7:08、被災府県の要請等に より政府は広域医療搬送の実施を決定。 「派遣可能な DMAT の参集拠点は小松飛行場、徳島飛行場、福岡 「防災の日」の平成 20 年 9 月 1 日(月)に、午前 6:30 空港」との連絡が入り、7:30、小松飛行場に向け真柴 和歌山南方沖を震源とする M8.6 の東南海・南海地震 智講師(訓練協力者:DMAT 隊員)と共に携行医療資 が発生したとの想定で政府総合防災訓練に係る各災害 器機材を携行して、被災地外参集拠点の航空自衛隊小 訓練が実施された。 松基地内飛行場へ向かった。8:45、小松飛行場で近 当院 DMAT(災害派遣医療チーム)は、被災患者を 隣の DMAT(石川、富山、福井他)と合流し、DMAT8 広域医療搬送する実働訓練のため、近畿府県合同防災 隊が自衛隊の C-1 ジェット輸送機に搭乗し、被災地内 訓練に合わせ、大阪府、内閣府(防災担当)、厚生労 広域搬送拠点の関西国際空港に 11:00 着陸した。 働省医政局、防衛庁及び関係機関と連携した具体的な 同空港では空港消防所倉庫内に SCU を設置・安定 災害訓練(広域医療搬送訓練)のオペレーションに参 化処置などの医療活動を行うと共に、被災地内災害拠 加した。 点病院の泉佐野病院へ模擬患者の引受け訓練として被 DMAT は関西国際空港を被災地内広域搬送拠点と 災地域内搬送も行った。また模擬患者の搬送順位が して、重篤な被災患者を被害の無い地域の医療機関に 決められ、C-1 輸送機・CH-47 ヘリコプターに運び、 搬送するため、同空港内に SCU(ステージングケアユ 15:00 までに各機は長崎空港、徳島飛行場に向け飛び ニット:搬送拠点基地に隣接し設置する医療施設)を 立ち、そこからは各被災地外災害拠点病院まで搬送さ 設け、被災地内から治療が可能な被災地域外の地方自 れる。関西国際空港での訓練は 16:00 に終了、撤収し 治体・消防機関等により受入病院までの搬入を目的と たが、全オペレーションは 17:00 過ぎに終了し 22:00 して訓練活動を実施した。なお、今回の訓練で、初め に帰院した。今回の訓練は西日本を中心に全国から て民間空港を被災地内広域搬送拠点としての訓練が運 38DMAT が参加。参加隊員数はインストラクターを 営された。 含めて 205 名との報告があった。 訓練は、①被災地内患者受入施設(症例付与・伝達 このほかにも災害訓練の参加依頼があり、8 月 31 日 用紙カルテ作成)から患者を救急車両内処置し、SCU (日)内灘町震災訓練で内灘消防救急隊と連携した訓 に搬入、② SCU 内で治療・トリアージ(安定化処置及 練(参加:和藤、後藤、村田) 、また、9 日 7 日(日)石 び搬送順位付け)等を行い、③被災地外広域搬送拠点の 川県防災総合訓練が羽咋市で行われ、県内 DMAT と 空港へ搬送する飛行機内での処置、④同空港(SCU 受 連携した医療措置訓練(参加:盛田、岩井、北山、村田、 入体制)から最終受入病院までの救急車両内の処置等 風端)に参加した。 を、順次、DMAT 各隊が連携し、治療・搬送していく 命のリレーについて、実際に即した実働訓練を行った。 当院からは、DMAT 養成研修を修了して日本 DMAT 隊員となった病院職員の中から、医師:盛田英樹、岩 井淳一(救急)、看護師:石丸章宏(ハートセンター)、 (管理課 坂元仁志日本 DMAT 隊員記) ※日本 DMAT(Disaster Medical Assistance Team )とは「災 害急性期に活動できる機動性をもち、専門的なトレーニング を受けた医療チーム」 (厚生労働省医政局主管) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 57 「普通」 「やや不満」 「非常に不満」の 5 段階評価とした。 平成 20 年度 外来患者満足度調査の実施結果 アンケート調査の結果、①当院受診のきっかけでは、 「他の病医院からの紹介」34.6%、 「専門の医師がいる」 30.5%、 「自宅に近いから」29.4%が上位であり、過去 3 年間の比較では他病医院からの紹介が今回の調査で 外来患者を対象とした受診時の満足度に関するアン はじめてトップとなっており、地域医療機関との医療 ケート調査を平成 20 年 6 月 23 日(月)と 25 日(水)の 2 連携の進展が伺える。⑤病院スタッフの接遇応対で 日間にわたり実施した。アンケート調査は外来診療の は、やや満足以上の評価が 58%(前年度 56.2%)と前 質的向上と患者サービスのより一層のレベルアップを 年を上回っているが、やや不満以下の評価も 4%(前 図ることを目的として、病院医療サービス向上委員会 年度 3.1%)あり、患者接遇応対の向上については、さ が毎年実施している。 らに接遇教育等の実施により努力する必要がある。そ 今回の調査では 2 日間で 892 名の外来患者にアンケ の他の課題としては、診療における待ち時間や患者駐 ートを依頼し、回収率は 91%(810 名)であった。本年 車場に関する不満が見受けられることである。病院医 度のアンケート調査の区分は、①当院の受診のきっか 療サービス向上委員会ではアンケート調査の結果を参 けについて、②診察までの待ち時間について、③診察 考に課題についての検討を行い、関係各部署と協力し 時間の長さについて、④診察・治療内容の説明の分か ながら病院医療サービスの向上に努力したいと考えて りやすさについて、⑤病院スタッフの接遇応対につい いる。 て、⑥病院内の案内表示や誘導について、⑦待合室・ なお、アンケート調査結果の詳細はイントラネット トイレの清潔さや清掃状況について、⑧駐車場の広さ の“病院職員のページ”に掲載されているのでご覧い や入りやすさについて、⑨病院の全体的な満足度につ ただきたい。 いての 9 区分であり、具体的質問項目は合計で 22 項目、 (病院医療サービス向上委員会委員・ 事務担当 古府美知子記) 回答は各質問項目について、 「非常に満足」 「やや満足」 病院第二期整備事業 病院別館改修に伴う移転 を病院別館・新館病棟へ移転(健康管理センター等の 一部新館病棟の別館移転を含む)する他、救急医療セ ンターおよび外来等の移転を行って、リニューアルし た病院別館において診療業務を開始する計画である。 (病院長室 南英樹記) 病院第二期整備事業の一環として、本年 7 月から病 院別館改修工事が開始された。今回の改修工事では、 移転対象部門・部署の移転先は下表のとおり。 高度救急医療を担う救急医療センターを全面改修する 部門・部署名 他、人間ドック機能の拡充、療養環境を重視した病棟 健康管理センター 臨床試験治験センター 看護部 職員ラウンジ 形成外科病棟 の整備等を行う。竣工は来年 3 月の予定である。 工 事 開 始 に 先 立 っ て、6 月 28 日( 土 )か ら 7 月 6 日 (日)の 9 日間にわたり、病院別館で展開していた救急 医療センターや外来、病棟等の診療部門並びに看護部 や臨床試験治験センター等の事務室等を病院新館と病 院本館へ移転させた。 移転にあたっては、患者の安全を第一優先に考え、 病棟の移転では入院患者が極力ストレスを感じること なくスムーズに移動できるように受け入れ病棟の体制 にも万全を期した他、救急医療センターや外来の移転 では、移転日を土曜日の午後に設定する等の配慮を行 ない、関係各部署並びに移転業者との連携を密にして 実施した。 なお、病院別館改修工事完了後には、病院本館病床 女医当直室 精神医学科外来 心身医学科外来 脳波室 総合診療科外来 内視鏡科外来 内科予診室 救急医療センター 救命救急科研究室 家族待機室 移 転 先 新館 11 階東病棟 本館 1 階 本館 2 階 〃 新館 10 階西、8 階東、 4 階東病棟 本館 4 階 本館 2 階 〃 〃 本館 1 階 〃 〃 〃 〃 〃 【病院】 金沢医科大学報 ドリーミングキッズ主催 第 22 回 喘息サマースクール 58 教育プログラムとしては、当スクールの前校長で ある井幕充彦医師による講義をはじめ、本院小児病棟 担当薬剤師 島野喜友先生による「喘息のお薬のおはな し」や、公立羽咋病院の理学療法士である大西公亮先 生と広瀬正史先生による腹式呼吸の解説・指導があっ 本学病院小児科の定例行事である喘息サマースクー た。 ルを、平成 20 年 8 月 7 日(木)∼8 月 9 日(土) 、2 泊 3 日 サマースクール開催中は、1 日 3 回の小児科医師によ の日程で、能登町にある県立能登少年自然の家で開催 る診察とピークフロー測定が行われ、午前 0 時と午前 3 した。 時の医師・看護師による回診を行い、参加児童・生徒 本年は小学校 1 年生から中学校 3 年生と幅広い年齢 の健康管理に努めた。またサマースクールを通じて、 層の児童・生徒 23 名の参加があった。学生ボランテ 参加児童・生徒の服薬状況等を、薬剤師らとともに確 ィアは、本学医学部学生に加えて、石川県立看護大学、 認し、必要に応じて服薬・吸入指導を行った。幸いに 田鶴浜高等専門学校看護専攻科、金沢大学養護教諭特 して、本年も大きな喘息発作を起こす参加者もなく、 別別科の各学生、計 25 名の協力を得ることができた。 また大きな怪我や事故を起こすことなく無事にサマー また従来どおり、医療スタッフとして医師 6 名、本院 スクールを終えることができた。これも参加してくれ 薬剤師 1 名、看護師 5 名が同行した。 たお子さん達のご家族をはじめ、学生ボランティアの 全日程を通じて快晴に恵まれ、各種レクリエーショ 皆さんのご協力のおかげであると深く感謝します。 ンとして、恒例行事のキャンプファイアを本学職員の 実施にあたり協力をいただいた本学教職員の皆様 濱中 豊課長の名司会で開催するとともに、九十九湾 に、改めてこの場をお借りして深謝いたします。今後 でのカヌー漕ぎ、能登ふれあい海洋センター見学、野 とも、皆様方のご協力とご指導の下で、末永く当スク 外炊飯でのカレー調理、ナイトアドベンチャーを実施。 ールが継続できることを希望しています。 能登半島の海と山を満喫した喘息サマースクールとな った。 県立能登少年自然の家の前で記念撮影 (森本クリニック小児科医 山蔭仁嘉記) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 59 日本黄色い羽根協会から 感謝状を受ける 9 月 20 日に NPO 法人日本黄色い羽根協会から全国 初の感謝状を受賞した。 本学病院は、開院当初から腎臓移植に携わり、臓 器移植推進に寄与していることや黄色い羽根募金に協 力しており、これらが認められたものである。 NPO 法人日本黄色い羽根協会は、腎バンクの拡大 と献腎移植登録者拡大を目的に平成 2 年から石川県腎 黒川幸史事務局長(右)から感謝状が手渡される 友会が開始した「日本黄色い羽根募金運動」を基盤と い、黒川幸史事務局長から山下公一理事長に感謝状が して平成 15 年に発足し、全国組織として移植医療と 渡され、山下理事長がお礼の言葉が述べた。本学から 人工臓器の啓蒙及び普及事業を行っている。 は、竹越 襄副理事長、横山 仁副院長、中農理博事務 役員応接室で行われた贈呈式には、NPO 法人「日 局次長が同席した。 (広報局 森 秀男記) 本黄色い羽根協会」黒田外武夫副理事長が挨拶を行 石川県腎友会 「命のキャラバン」運動への協力 塚病院長他 42 名が出席した。 はじめに、腎友会の二木敏治副会長から腎友会から の「命のキャラバン運動趣意書」および石川県知事か らの協力依頼文が飯塚病院長に手渡された。 次に、腎友会の登 秀功、二木敏治、梅山 勉、酒井 彰副会長、片岡清嗣事務次長の 5 名から自己の透析体 験を交えた挨拶があり、各自、臓器移植の必要性をア ピールした。 続いて、石川県臓器移植推進財団の津川龍三理事長 および寺中信夫事務局長、山口裕美子県移植コーディ ネーターから、全国と石川県における腎臓移植の現状 報告と協力依頼がなされた。 最後に、石川県健康福祉部健康推進課の山本義浩課 長補佐が、臓器移植推進に向け今後ますますの理解と 運動趣意書が二木敏治副会長から飯塚病院長に手渡される 協力が必要であると挨拶があった。 これに対して、飯塚病院長、鈴木孝治教授(泌尿器 平成 20 年 9 月 2 日(火) 、石川県腎友会が 2000 年か 科)、宮本孝子副院長(看護部長) 、和藤幸弘教授(救 ら 8 年間にわたり、移植医療普及のため行っている“命 命救急科)の 4 名が、臓器移植に対してこれからも職 のキャラバン”運動の協力依頼のため、キャラバン隊 員一同積極的に協力していきたいと応え、閉会した。 9 名が本学病院を訪問した。 病院 4 階会議室で懇談会が行われ、本学病院から飯 (管理課 岡山 均記) 【病院】 金沢医科大学報 60 研修医の頁 医学生のための 臨床研修指定病院セミナー 本ブースに立ち寄られた参加者からは、本学病院の ホームページ、パンフレット等が素晴らしくなったと お誉めの言葉をいただいた。 (臨床研修センター 山田克己記) 東京ビッグサイトで開催 初期臨床研修先を探す医学生と臨床研修指定病院を 結びつけるセミナーが平成 20 年 7 月 13 日(日) 、出展 ブース 350 病院、医学生 1,540 人が参加し、東京ビッ グサイト会場で開かれた。 研修医数が減少傾向にある石川県としては首都圏の 医大に通う北陸の出身者に U ターンを促すため、一 昨年、昨年に引き続き石川病院群ブース(石川県と県 内の 9 病院)として参加した。本学病院ブースには横 山 仁臨床研修管理委員長、研修医1人が対応にあた り、5 学年 36 人(金沢医科大生 7 人、石川県出身者 4 人 を含む)が訪れた。 第6回 臨床研修指導医養成のための ワークショップ 石川県病院群ブース れたものである。参加者は指導医のあり方を模索し、 延べ 20 時間もの作業や発表、講習を無事終え、最後 に横山 仁臨床研修管理委員長から厚生労働省医政局 長印のある修了証書が手渡された。 ランチョンセミナーでは、厚生労働省東海北陸厚生 第 6 回臨床研修指導医養成のためのワークショップ 局の安田あゆ子臨床研修審査専門官から、一部改正さ が、平成 20 年 9 月 20 日(土) 、21 日(日)の両日、院内 れた新医師臨床研修制度と今後の動向について説明が 各診療科ならびに氷見市民病院で研修医指導にたずさ あった。特に平成 20 年 4 月の省令改正後から現在まで わる医師 27 名の参加のもと、志賀町の「いこいの村能 の動向について、研修医募集定員の適正化や、安心と 登半島」において開催された。 希望の医療確保ビジョンに基づく医師臨床研修制度の このワークショップは、厚生労働省の「医師の臨床 見直し、研修プログラム作成を弾力化させるためのモ 研修に係わる指導医講習会の開催指針」に則って行わ デル事業実施について説明があった。また、今後厚生 労働省と文部科学省合同で設置した臨床研修制 度のあり方等に関する検討会において、医学部 教育から初期、後期臨床研修へという医師養成 過程や、新臨床研修制度による医師不足に関す る問題等について検討が進められていくとの報 告があった。 本ワークショップにより、本学はすでに 150 名を超える指導医を養成したことになる。ワー クショップの参加者には、今後他の指導医との 連携を深め、研修医の適切な指導を行っていた だけるものと期待している。 (研修センター 望月 隆記) 参加者全員で記念撮影 第 136 号/ 2008.11 金沢医科大学報 61 研修医の頁 臨床研修医のための CPC(臨床病理検討会) 第 25 回、 第 26 回 臨 床 研 修 医 の た め の CPC が、 病院本館 4 階臨床研修センターカンファレンスル 画像解説 病理提示 ームにおいて下記のとおり行われた。 第 25 回 CPC 平成 20 年 7 月 16 日(水) 17:30 ∼ 19:30 症例 1 呼吸不全をきたした一例 79 歳、男 臨床提示 画像解説 病理提示 司 会 者 副司会者 植田修右 中川 研 谷口 充 上田善道 上西博章 中村拓路 臨床研修センター研修医 司 会 者 副司会者 病理病態学(病理学Ⅱ) 循環制御学(循環器内科学) 臨床研修センター研修医 放射線診断治療学(放射線医学) 臨床研修センター研修医 病理病態学(病理学Ⅱ) 呼吸機能治療学(呼吸器外科学) 臨床研修センター研修医 症例 2 アルコール性肝炎の一例 60 歳、男 臨床提示 呼吸治療機能学(呼吸器内科学) 放射線診断治療学(放射線医学) 谷口 充 武藤 理 上田善道 佐川元保 平松利章 画像解説 病理提示 司 会 者 大西敏雄 野村友映 齊藤 隆 谷口 充 杉江茂幸 津田真一 臨床研修センター研修医 臨床研修センター研修医 消化器機能治療学(消化器内科学) 放射線診断治療学(放射線医学) 腫瘍病理学(病理学Ⅰ) 内分泌代謝制御学(内分泌内科学) 症例 2 膀胱腫瘍の一例 49 歳 男 臨床提示 画像解説 病理提示 司 会 者 近沢逸平 谷口 充 竹田 愛 木下英理子 中野 泰治 副司会者 林 蘭仁 泌尿生殖器治療学(泌尿器科学) 放射線診断治療学(放射線医学) 第 27 回 臨床病理検討会 臨床研修センター研修医 病態診断医学(臨床病理学) 消化器外科治療学(消化器外 科学) 日 時: 平成 20 年 11 月 19 日(水) 17 時 30 分から 場 所: 研修センターカンファレンスルーム 臨床研修センター研修医 第 26 回 CPC 平成 20 年 9 月 17 日(水) 17:30 ∼ 19:30 研修医には出席が義務づけられていますが、研 症例 1 悪性中皮腫の一例 51 歳、男 修医以外の先生、学生諸君にも広く開かれていま 臨床提示 卞 麻美 舘 由貴 すので、奮ってご出席ください。 臨床研修センター研修医 呼吸治療機能学(呼吸器内科学) (病態診断医学 黒瀬 望記) 金沢医科大学報 62 管理・運営 病院別館改修工事進捗状況 階には精神科作業療法室が設置されることになる。 現在は、新しい間仕切などを設置するために、各フ ロア内部の壁・天井は解体され躯体(コンクリートの 別館の改修工事は、平成 20 年 7 月 28 日(日)より患 壁・柱)のみが残る大空間状態となっている。全体と 者駐車場内に現場仮囲いを設置し、仮設クリーニング してはまだ 10%程度の工事高だが、各フロアの詳細 棟を現場事務所として 8 月から開始された。 な施工図ができ上がり、来年 3 月を目標に上階より下 今回の改修では 3 階∼8 階を病棟として全てリニュ ーアルし、1 階では救急医療センターが拡充整備、2 階の順序で内部の仕上げが行われる予定である。 なお、本工事は厚生労働省の平成 20 年度医療提供 体制施設整備交付金(医療施設近代化施設整備事業) に採択され、補助金の交付が決定されている。 【工事期間】 H20.8∼H21.3.25 【9 月末現在工事出来高】 10% 【各階概要】 地階:倉庫・電気室・機械室 1階:救急医療センター 2階:神経科精神科外来・脳波室・精神科作業療法室 3階:神経科精神科病棟 4階・5階:一般病棟 6階:回復期リハビリ病棟 病院別館内部(躯体のみに解体されている) 看護師宿舎建設工事進捗状況 7階・8階:健康管理センター (病棟・検診) (施設整備計画課 亀井淳平記) 今回の建築物は鉄骨造・地上 9 階建て、162 室とな っており、自転車置場、ゴミ集積場も併設している。 現在は、建物の基礎となる杭(600 φ 39 本)が地中 看護師宿舎の建設工事は平成 20 年 6 月末までに既存 の職員宿舎 2 号棟を解体し、7 月 8 日(火)に起工式(学 報 No.135, 46p )が行われた。 20 mまで打ち込まれ、その上に基礎が施工され、鉄 骨が最上階まで組み立てられている。 正面玄関および個々の部屋入口扉は IC カードにて セキュリティが保たれ、郵便受け、宅配 BOX も設け られており、全て個人管理となり、基本的には管理人 が常駐しないことになる。 なお、本工事は厚生労働省の平成 20 年度医療提供 体制施設整備交付金(看護師宿舎施設整備事業)に採 択され、補助金の交付が決定されてる。 【工事期間】 H20.7∼H21.3.25 【9 月末現在工事出来高】 28% 【各階概要】 1階:管理人室・倉庫・ロビー・コインランドリー・ 個室 14 室 2階∼8階:個室 19 室 9階:個室 15 室 看護師宿舎(ほぼ 9 階まで鉄骨が組み上がった状態、2008.9.26 ) (施設整備計画課 亀井淳平記) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 63 かほく市・津幡町消防本部)が開催された。この大会 河北郡市防火協会 第 16 回 は、かほく市・河北郡内の一般事業所等に働く従業員 河北郡市消火技術競技大会 住民の防火意識の高揚を図ることを目的に毎年開催さ 並びに職員を対象とした競技で、自衛消防力の強化、 れている。 今年度は内灘町(幹事:内灘町消防本部)で大会が 開催された。大会副会長(荒田 満本学事務局長)の代 理で開会宣言を務めた北 直久本学総務課長の宣言の あと、消火栓の部に出場した人事厚生課麻本匡浩さん の選手宣誓が行われた。屋内消火栓の部は 18 チーム、 消火器の部では男子の部 14 チーム、女子の部 20 チー ムが日頃の消火技術を競い合った。 本学からは、今年度新入職員を中心にチーム編成を 行い、消火栓の部 1 チーム、消火器の部では女子の部 2 チームが参加した。結果は、3 チームとも入賞にあ と一歩及ばず残念な結果となったが、内灘町消防本部 での練習や本大会をとおして各々が防火管理意識を高 麻本匡浩さんによる選手宣誓 めることができた。 平成 20 年 8 月 23 日(土)午前 8 時 45 分から、内灘町 総合運動公園内において、第 16 回河北郡市消火技術 また、来年度の大会での入賞に向け、チャレンジす ることを誓った。 (総務課 中川喜雄記) 競技大会(主催:河北郡市防火協会、協賛:内灘町・ 互 助 会 夏・秋のバス旅行 候が不順であったため、飛騨高山市内散策へのルート 夏のバス旅行: 変更も想定しながら当日の朝を迎えた。出発前に室堂 立山・室堂散策 に天気を確認したところ「濃霧」とのこと…。山の天 気は変わりやすいもの。晴れてくれることを期待し、 平成 20 年 7 月 27 日(日)互助会恒例の立山・室堂散 予定どおりバス 2 台 69 名の参加者で大学を出発した。 策バス旅行が実施された。出発日の一週間程前から天 この企画は人気が高く、開催の都度参加される会員 チングルマの群生 ヨツバシオガマ 【管理・運営/随想・報告】 金沢医科大学報 も多い。空模様を気にしながら、雄大な山岳パノラマ 64 はそれぞれのコースで立山・室堂の散策を満喫した。 とお花畑の景色を想像し、期待に胸をふくらませなが 帰りの車中で「雷鳥の砂浴び」を見た人や「てん?」や らの旅行となった。山の麓の天気はくもり、美女平か 「おこじょ?」を見た人の話を聞きながら午後 4 時頃大 ら弥陀ヶ原を通過するころには晴れ間もでてきて、ほ 学に帰着した。 (人事厚生課 石田豊司記) っとひと安心、予定通り午前 9 時 30 分に到着。参加者 夏のバス旅行: 東京ディズニーリゾートと三鷹の森 ジブリ美術館 平成 20 年 8 月 22 日(金)∼24 日(日)、前回好評だっ た東京ディズニーリゾートへの 2 泊 3 日のバス旅行が 実施された。今回も申し込みが殺到し募集定員を大き くオーバーしたため、やむなく抽選となり、114 名(大 学 79 名、氷見市民病院 35 名)、バス 3 台での出発とな った。22 日午後 10 時本学を出発し、翌朝にディズニ ーリゾートに到着。現地は小雨が降っておりよい天気 とは言えなかったが、それぞれ事前に計画したスケジ ュールで各アトラクションやイベントを楽しんだ。午 後 10 時 30 分には、宿泊先の眺望と夜景のすばらしい 「グランドプリンスホテル赤坂」に到着、前日からの 疲れを癒した。 翌日は、三鷹の森ジブリ美術館を見学した。森に囲 まれた建物に 5 つの展示室があり、全ての部屋を通り 三鷹のジブリ美術館にて 抜けると映画が完成するよう構成されていた。地下の 映画館では短編アニメが上映され、また、館内のあち 帰りは雨の影響で少々遅れたが、2 泊 3 日の充実した こち 136 には宮崎アニメの有名なキャラクターが描か 旅を満喫し無事帰着した。 (人事厚生課 保志場順子 れていて、大人も子どもも興味津々で見学していた。 記) 秋のバス旅行: 三河湾海鮮グルメ & ヒルトン名古屋 デザートビュッフェ満喫の旅 いっぱいにお土産を買いこんだ。その後昼食場所の吉 良温泉竜宮ホテルに到着。眼前には大変美しい三河湾 が広がり、そこで獲れた新鮮な魚に舌鼓をうった。食 後は三河湾を眺めながら露天風呂や大浴場でのんびり と湯浴みをし、心と体を癒した。通常なら、おいしい 平成 20 年 9 月 14 日(日)、秋のバス旅行のトップと 食事に露天風呂、知多半島からの美しい景色を眺め無 して「三河湾海鮮グルメ & ヒルトン名古屋デザートビ 事帰着というところ、今回の企画ではさらに名古屋ま ュッフェ満喫の旅」が実施された。参加者は大学から で足をのばして、ヒルトン名古屋でデザートビュッフ 36 名、氷見市民病院から 3 名の計 39 名で、午前 6 時 15 ェを満喫する旅がプラスされていた。食事とデザート 分目的地へ向け出発した。当日は秋晴れの絶好の行 は別腹とはよく言ったものである。やがて帰路につき 楽日和となり、北陸、名神、東名高速を利用し、最初 定刻に無事帰着した。 にえびせんべいとちくわの共和国(愛知県宝飯郡音羽 町)に到着した。 参加者は皆、試食を繰り返し品定めをしながら両手 (人事厚生課 原 章文記) 金沢医科大学報 第 136 号/2008.11 65 随想・報告 随 想 米欧回覧実記を読んで その 一 アメリカ編 名誉教授 津川 龍三 明治 4 年 11 月 12 日、岩倉具視を特命全権大使とし て、大久保、伊藤ら、当時の日本を代表する人物 48 名や留学生ら計 107 名が、これからの日本国のあるべ き姿を求め、外輪船アメリカ号に乗って横浜から出 港した。1 年 9 カ月後に帰国するまでの、見聞、体験、 感想などをまとめ、表題の記録ができ上がった。明治 11 年の底本とされるものは漢文訓読体などで書かれ 難解とされていたが、このたび現代語訳が市販された。 2008 年の現在、NHK テレビは「篤姫」、岩倉、大久保 も出ている。数年後、彼らも回覧の旅に出たのだ。小 生は何か感情移入して、この実記を書店に注文したの である。 早速読み始めたのであるが、まずその計画が壮大で あること、船に乗り込んだ明治の祖先たちの意気込 み、新生日本への思い入れが伝わってきた。以後、全 5 巻を読み通すには大変なエネルギーを要したが、訪 問した場所によっては小生自身も昭和になって見聞し たので、本稿にはその時の小経験も付け加えさせてい ただいた。 読み始めるにあたり、刊行にあたった「NPO 法人米 欧回覧の会」の代表、泉 三郎 氏は、 「どこから読み始 めても良い」と述べておられるが、小生は、やはり使 節団の旅程に従って読むことにした。内容は明治 6 年 9 月 13 日帰国までの記録である。 乗船した者たちはひたすら見聞を広め、考察しつつ 忠実に書いた。すなわち本書の本質は単なる記録では なく「実記」であることである。 「冨士が遠ざかる」と 記しつつ 12 月 6 日サンフランシスコに到着、24 日の 旅であった。 50 年前の小生の経験を振り返ると、サンフランシ スコ港の入り口で金門橋がみえるころ“港内水先案内 人”が乗船してきた。初老の彼は私に言った。 「君は インターンか?」 「いえ urologist です」 。 「neurologist か?」 「Urologist です」 。そして握手した。イントネ ーションの問題であった。実記によればこの港は重要 なので二つの岬には砲台が設置され、その間には岩の 多い島アルカトラズがある。まず灯台ができたが、当 時は砲台、次は監獄となり、ギャングの帝王アル・カ ポネも収容された。潮流が早く脱獄は不可能に近い。 1963 年に閉鎖、73 年から一般公開され、今では対岸 のフィシャマンズ・ワーフから観光船が出ている。独 房の中へ入れてガチャンと鍵をかけてくれるらしい。 読者の中で希望者はいないだろうか。釈放はされる。 著者によれば、アメリカ開国はイギリスからの移住 に始まる。1620 年プロテスタントのピルグリムたち が上陸してマサチューセッツ州を開く。1776 年から 8 年間、ジョージ・ワシントンを植民地軍総司令官とし てイギリスとの間で独立戦争を戦い勝利した。以後フ ロリダ、アラスカを加え、今日に至ると概説している。 人口は独立時 500 万、96 年後で 3,900 万となったとい う。その他、地形、国情につき詳しく述べている。 サンフランシスコではグランドホテルに宿泊、ホテ ルの構造、間取り、仕様など細かく記述している。7 米欧回覧実記 全五巻 本書は、帰国後多くの団員の見聞も加え、久米邦武 編著で出 版されたが難解で普及せず※、いわば宝の持ち腐れ状態であった。 そこで有志ら相集い、現代語訳が必要であるとの結論に達し、平 成 10 年代、水澤 周氏が訳を担当して平成 20 年 6 月、慶応大学出 版会株式会社から上梓された。全 5 巻(1 巻 1,600~1,800 円) 、普及 版、全書判で、書店で取り寄せてくれる。 なお、小生による本稿の内容は第 1 巻の 0.5% にも満たないもの である。さらに興味を持たれた方は、5 巻で計約 1 万円の自己投 資をお勧めしたい。 (※岩波文庫版『特命全権大使米欧回覧実記』田中彰 校注、1978 年刊) 【随想・報告】 金沢医科大学報 サンフランシスコ。名物の電車( 1980 年代、筆者撮影) 日は安着を祝い、軍楽隊の演奏と町民の歓声があがっ た。12 時終了。以後大歓迎はどの都市でも続く。それ に応じつつ旅を続けた使節団員は全く強健であった。 ここで動物園、植物園について述べている。西洋で は、それによって興味をそそり実際的知識を与え、産 業を喚起し学問を広める目的もあり、そのために費用 がかかっても大きな利益を生ずるので施設を設けるこ とは良い事だとしている。日本では鉢植えの陳列や動 物の見世物があるが、規模といい、そもそも施設設立 の趣旨が違うと述べている。 サンフランシスコの人口は、金鉱発見から急増し、 1870 年に 15 万となり、今後もさらに増えるだろうと している。特に気候は冬は霜や雪が少なく、夏は 27 ℃までで 乾燥気候で過ごしやすい。小生は、50 年前 日系二世から「ここは natural air condition なんです」 といわれた。写真は約 25 年前のものである。 ここから、サクラメントへ、次にロッキー鉄道に より 2,280 メートルまで登った。大陸横断鉄道につい てインターネットで調べると、この鉄道は元来東部の 鉄道網がネブラスカ州オマハまで到達していたのを 民衆、国家をあげて進めることになり、西向きにユニ オンパシフィック鉄道が、サクラメントから東向きに セントラルパシフィック鉄道が建設され 1869 年開通 した。使節団にとってはラッキーだった。また、寝台 車、食堂車についての記述もある。なお鉄道開通によ り「駅馬車」時代は終わったようである。 ワシントンに着く。ホワイトハウスや議事堂を見学 している。同章には精巧な銅版画があり、現在の大統 領が出てくるテレビ画面と比較してほしい。次に北部 回覧の旅に出る。ニューヨークのブロードウエイは大 繁華街で人や馬車で混雑している。中央にセントラル パークがあり、これは市民の拠出金で造ったという。 小生は 50 年前、約 30 分程散歩させてもらった。今も 市民の憩いの場所である。 ナイアガラの滝の見物にも出かけている。その有様 は絶景中の絶景と評している。銅版画も載っている。 66 15 年前、小生が行った時は遊覧船で滝壺まで近寄れ たし、吊り橋の代わりに鉄筋コンクリート製の橋とな っていた。トロントから日本人向けのピックアップバ スに乗ったのだが、乗る前夜に「フィルムはたくさん 持って来てください」とのことで当日は「滝へ着いた ら説明をやめます」と言った。そのとおりで、説明不 要、不可能の圧倒的な景観と轟音であった。 著者らはボストンに入り、市内の説明があるが、ボ ストン・コモンパークについて述べている。小生は 50 年前行ったことがあり、水兵さん姿の若者が足で 漕ぐ遊覧ボートに乗り池を巡った。石橋の下をくぐり 抜けた。お客は私ひとりで水兵さんは私を見てニコリ とした。 使節団は見ていないが、後年ボストン美術館がで きる。特に東洋由来物の蒐集が有名で、日本画はもち ろん、浮世絵、版画、陶磁器などは保存状態が極めて 良いといわれている。昭和生まれの私は入ることがで きた。日本美術のホールに入ると、掛け軸、陶磁器な どが周囲に陳列されている。ホールの中央に 1.3 メー トル程の燈籠が置かれている。すると 60 歳程の品の 良いおばさんが「これは何か」と尋ねてきた。 「これは 寺院や庭に置くもので暗い場合、明るくします。道し るべのようなものです」と答えた。 「どうやって明るく するのか」 「ここへキャンドルを入れるのです」と答え た。 “ Oh! Romantic ” 、あまり上手ではなかったが了 解してくれたらしい。いつの間にか二人を囲んで人垣 ができていた。その人たちにも通じたらしい。 平成 10 年代、金沢市教育委員会では、教育長が「小 学校でも英語教育」を提唱した。 「それより国語だ」と いう意見もあったが、委員長をしていた私は「やるべ し、例えば中 3 ならば“兼六園の雪吊りを説明できる” を具体的なゴールにしてやると良い」と発言した。そ のためには兼六園そのものや北陸の雪質も知る必要が あるので派生的に勉強(理科、社会など)にもなる。 フィラデルフィアでは「自由の鐘」に多くの見学者 が集まっていた。特徴的なことは、鐘にヒビが入って いることで、著者によれば、ヒビの原因は、イギリス の圧迫に耐えかねて民衆が撞いたため、としているが、 小生が行った時には多くの小学生が見学に来ていて、 鐘の説明係は「独立の喜びで民衆が乱打したため」と 言っているようにきこえた。 著者は、今一度この国のかたちを見るに、州が自主 的に動いている、また、人びとは自分たちで定めた憲 法を守りつつ束縛なしで元気で生活している。一方何 から何まで中央集権の自国に思いをいたしたようだ。 またアメリカもあと数日、著者は各訪問地で受けた心 のこもった歓迎と送別に感激した旨を特記している。 一行は明治 5 年 7 月 3 日、ボストン港から軍楽隊の 演奏と礼砲に送られイギリスに向かった。 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 67 報 告 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA ) 留学記 機能再建外科学(形成外科学)助教 山下 昌信 Henry K. Kawamoto, Jr.( 以 下 Dr. K ; http://www. uclaplasticsurgery.com/our_doctors/henry_kawamoto. html )は頭蓋顔面外科の世界的権威(日系三世、日本 語話さず)で、Malibu の小さな海上コテージに住み、 奥さんの Kathy と愛犬のシミ(雌のダルメシアン、だ からシミ)とともに毎日忙しく情熱的かつシンプルな 生活を送っている。 僕が Dr. K のことを知ったのは、確か形成外科医に なろうと思い始めた医学生時代の頃に遡る。現親分で ある川上重彦教授が当時客員教授としてカリフォルニ ア大学ロサンゼルス校(UCLA )を訪れていたことを 知った僕は、すかさずこう尋ねた。 「僕も LA に行けま すか?」 。親分の答えは「ああ、行っておいで」。その 後、国際学会などを利用し幾度となく Dr. K のオフィ スを訪れた僕は、いよいよもって LA に行かなくては いられなくなっていくのだ。 UCAL 形 成 外 科 卒 業 パ ー テ ィ ー に て。 左 か ら、Dr. K、 筆 者、 Cranio Fellow の Anand、Chief professor の Dr. Miller UCLA 形成外科での臨床研修 短期訪問者がここを訪れ、非常に忙しく臨床研修や基 UCLA 形成外科は米国でもトップブランドの教育 機関だ。毎年 4 名のレジデントと頭蓋顔面外科フェロ ー、微小血管外科フェロー、米国内外からの医学生や 礎研究に携わっている。 形成外科は微小血管外科や乳房再建外科、美容外科、 手の外科、熱傷治療などの subspecialty に分類され るが、今回僕が参加したのは Craniofacial Surgery( 頭 蓋 顔 面 外 科 )の International Fellowship Program で あ る。 米 国 で は イ ン タ ー ン シ ッ プ、 レ ジ デ ン シ ー を 終 え た 医師がさらに専門性の高い研修を受ける た め の 制 度 と し て Fellowship を 設 け て い る。この非常に高度な臨床研修を米国医師 免許を保持しない外国人にも開放した制度 が 本 プ ロ グ ラ ム で、Dr. K が Director を 務 め て い る。 米 国 で は、 国 を 問 わ ず 海 外 の 医学生は指導医の監視下で医療行為(手術 に参加)が可能である。ところが一旦医学 部を卒業し米国以外の医師免許を取得し た も の は、 見 学 以 外 の 行 為 は 一 切 許 可 さ ロサンゼルスを南北に走る I-405(フォーオーファイブ) 。自動車以外の交通手段 に乏しいロサンゼルスの名物風景。 れ な い。 こ の た め 臨 床 留 学 を す る に は 州 政府からの特別許可が必要になるのだが、 【随想・報告】 金沢医科大学報 68 一回の頭蓋骨早期癒合症外来、California Hospital で の顎手術外来などだ。幼少時から自分の疾患を正しく 理解し正面から治療に取り組む子供たち、他科との完 璧な連携(チーム医療) 、高貴な使命感を上手に隠し て的確で時には wit にとんだ医師たちの診察風景、そ こから選択されるであろう高度な手術手技と数々のオ プション。 経済的理由などで長期滞在が困難な各国の訪問者 が多い中、いろんな環境に恵まれ比較的長期間を彼 らのもとで臨床研修に没頭できた僕の経験は本当に “special ”だった。 El Porto アパートメントの契約切れを機に、留学期間後半 の僕は海辺の小さなビーチハウスに引っ越した。ロ サンゼルス国際空港(LAX )の南、UCLA から南へ 30 分ほどの Manhattan Beach 市の一角にある、通称 El Porto(エルポルト)と呼ばれる古く小さな町だ。ここ での週末がまたいたってシンプル。朝日の昇るころ 手術中の Dr. K, と Dr. Jarrahy。例えるならマスター・ヨ ーダとオビ=ワン・ケノービ。 にパドルアウト、9 時を過ぎると決まってイルカたち UCLA 側の迅速な対応もあり許可取得の手続きは比 こへ行くのも裸足(というかみんな水着のまま) 。近 較的順調に進んだ。 所の James とガス(綴り失念)はいい奴らだ。マルガ がわずか 3 メートル先をのんびりと通り過ぎる。ど 2007 年 1 月から 2008 年 7 月の 1 年 7 カ月間で僕がス リータで昼食のあとはビーチベッドで読書兼お昼寝。 クラブ(いわゆる手洗い)で Assist Surgeon として参 夕方のセッションはみんなのんびり。初老の Mike と 加した手術は、口唇口蓋裂手術や小耳症手術、頭蓋骨 Debby は、もう 20 年もワイン片手に夕日を眺めてい 早期癒合症、顎手術、顔面美容外科を中心に計 487 件 るそうだ。お向かいの Jen はいつも僕に尋ねる。 「も に上った。また非常に稀な顔面裂や他の症候群の手術 うそろそろフェイスリフトかしら。Nobu, what do も経験した。 you think? 」。蝋燭の明かりでディナーをとり、10 時 当然ながら、術前術中術後の会話は全て英語であ には就寝。永遠に続いてほしかった El Porto での週 る。まずは手術機器の名前や簡単な指示(持って、切 末は平日の手術室とは好対照で、だから僕もそれ以上 って、縫って等)を覚えることから始まった。 Dr. K, は何もいらない贅沢でシンプルな生活を送ることがで Dr. Bradley, Dr. Jarrahy からなる UCLA 頭蓋顔面外 きたのかもしれない。 科チームは非常にユニークだ。EBM(Evidence-Based Medicine )が叫ばれ、綿密な術前計画で開始される現 代の多くの手術とは異なり、彼らの行う Craniofacial Surgery は術中のアレンジ幅が大きく、自由度が高い のが特徴だ。このためスタッフ全員の意見交換は重 要な要素を占め、1 年を過ぎる頃にはいつの間にか僕 も術中のディスカッションに参加できるようになっ た。とはいっても、 「Nobu, What do you think? 」の あとは決まって僕のカタカナ英語が、でそれに対して、 Dr. K の「スコシヘンデス」という少し変なカタカナ日 本語が返ってくるのだが。 毎日の手術のわずかな合間に、外来診察(Clinic ) にも積極的に参加した。Dr. K の個人オフィスでの診 察、UCLA での Craniofacial Clinic, West LA では月 El Porto のビーチハウスで。ショアブレイクまで徒歩 30 秒 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 69 北西のグランドスウェルを受けて、人知れず大きくブレイクする El Porto。ここはまたカリフォルニ アペリカンやイルカ、アザラシたちの生息地でもある じていた「晴れやかな気持ち」の正体がはっきりした Graduation UCLA レジデント卒業式で証書をいただいた後、数 瞬間でもあった。僕は Fellowship を卒業したのだ。 日後の頭蓋顔面外科チームパーティー(本当にこの国 の人たちはパーティーが好き)では Dr. K からとても 終わりに 大切なモノをいただいた。2008 年 6 月に亡くなった近 この長い旅のきっかけを与えてくださった川上教授 代頭蓋顔面外科の父 Dr. Paul Tessier が生前に愛用し に感謝します。医局員のみんな、今度は君たちの番だ。 ていた手術用剪刀だ。Dr. K が葬儀の際にフランスか 偉大な外科医 Dr. K、Dr. Bradley、Dr. Jarrahy、Dr. ら持ち帰った物の一部で、K が添えた癖のあるブル Wexler に Dr. Wilson、ともに切磋琢磨した Anand、 ー・ブラックのメッセージとともに何にも替えられな 南 米 か ら の 研 修 医 Percy、Santa Monica Office の い大切な物となった。 Toni と Teri、Surfer Leah(また逢おう)。El Porto の 愉快な住人たち、浅黒い日焼けの坊主頭のアジア人に すてきな家を貸してくれた大家の John、いつも僕を 陰で支えてくれるお母さん、ありがとう。 フージー、僕はやっと本当にやりたいことが見つか ったよ。だからこれからも健康でいたいと思う。そし ていつか、あのすばらしい外科医たちに引けをとらぬ 医療を、僕自身が日本の子供たちに提供できるよう努 力を惜しまないつもりなんだ。 Dr. K からいただいた故 Dr. Tessier の手術機器。 Nobu, Wonderful to have you at UCLA. This pair of scissors were owned & used by Dr.Tessier. You must use it well. H.Kawamoto 帰国前日、僕は Dr. K のオフィスで最後の外来診察 に参加した。何の実感もないままに普段通りの診察を 終えた僕は、半分照れ隠し気味に「じゃ、帰ります」 とだけいったのだが、Dr. K が僕の背中をやさしく「ポ ンポン」と 2 回触れた時に分かったのだ。春先から感 【随想・報告】 金沢医科大学報 70 報 告 セントマイケルズ・カレッジ 語学・医学研修 視察を終えて 一般教育機構人間科学科目(外国語)教授 澁谷 良穂 平 成 20 年 7 月 18 日( 金 )か ら 25 日( 金 ) の 1 週間、米国バーモント州セントマイケ ルズ・カレッジ夏期語学・医学研修に参加 している学生に合流し、研修先施設や授業 の見学等を行った。これは、ハワイ語学・ 医学研修に加えて本学が新しく実施した低 学年向けの 4 週間の研修であり、研修先は 第 5 学年対象の医学研修先のバーモント大 学の近くにあるセントマイケルズ・カレッ ジ(以下 SMC )である。学生たちの研修の 目的は SMC の夏期語学プログラムに参加 し英語を学ぶこと、英語でのコミュニケー ションを実際に体験しアメリカの文化に触 れること、そしてバーモント大学の木田正 俊教授のご案内で同大学附属病院を見学 し、アメリカの医療現場を目にすることで セントマイケルズ・カレッジ前にて。参加学生と筆者(右) あった。参加者は 1 学年 4 名(女子 3 名、男 子 1 名)、2 学年 1 名(女子)の計 5 名で、学生たちは 7 を車で案内してくれた。日曜日は朝から大雨。この後、 月 13 日から 8 月 10 日の 4 週間、ほぼ毎日英語漬けの充 滞在中の一週間、結局ほぼ毎日雨で、バリエーション 実した日々を送った。以下は研修先を見学しての感想 は大雨か小雨かにわか雨…モーテルでは宿泊した部屋 である。 が雨漏りで移動を余儀なくされるハプニングまであっ 7月 18 日(金) 、バーモント州へ。天候は曇り。機 た。バーモント州は金沢同様天候の変化が激しく雨も 内からの眺めは、山や湖が見え緑豊かな聞いていたと 比較的多いそうだが、夏にここまで雨が降るのは珍 おりの美しい風景であった。空港では、今年度 SMC しいとのこと(私が発った翌日からは青空だったとか 夏期研修担当責任者 Pat Hoffman 先生とバーモント …) 。日曜の昼は学生と、夜は SMC のご好意で Pat 先 大学木田教授の秘書の Brenda が温かく出迎えてくれ 生と食事をし、プログラムの様子や来年度のことにつ た。宿泊先のモーテルは道路の向かいに SMC が窓か いて話をした。 ら見える所にあり、建物は古かったものの大学に行く 21 日(月)から毎日授業見学等を行い、学生や教員 には最適なロケーションであった。さっそく SMC の たちと話をした。SMC の夏期プログラムは 6 週間だ カフェテリアで学生たちと会い夕食をともにした。空 が、本学の学生は定期試験後に渡米したことから、開 港で Pat 先生から、 「学生たちは先生の来るのを本当 始後 3 週目からの参加であった。途中参加なので、学 に楽しみにしていますよ」と言われたとおり、 「待って 生たちは最初クラスに溶け込むのが難しかった上に、 ました!」と全員で出迎えてくれ、旅の疲れが一気に 授業が毎日午前午後とびっしり入っていて宿題も多い 吹き飛んだ。 ことから、ついて行くのが大変だったようだ。しか 翌 土 曜 日、 学 生 た ち は プ ロ グ ラ ム の 一 環 で、 ボ しそれぞれ皆頑張って勉強に取り組み、私が授業を ストンに日帰り小旅行へ。私はそれには参加せず、 見学した際には非常に積極的に授業に参加していた。 Brenda がバーリントンの街やバーモント大学周辺等 SMC の先生方からも「KMU の学生は全員とても一生 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 71 生 5 名と鳥取大学の学生 2 名とともに Fletcher Allen 病院の見学を行った。泌尿器科の診察室、MRI や病 理の検査室や剖検室、調理室やボイラー室、空調設備 等の見学、ボランティアシステムやルームサービス形 式の病院食の説明なども受け、言わば病院の表と裏を 見学するという大変貴重な経験をさせていただいた。 また見学中、木田先生からアメリカの医療についての お話も伺うことができ、学生たちにとって非常に実り の多い見学となった。 短い期間ではあったが、実際に英語を母語とする 国で生活をすることで、参加した学生たちは英語とそ メディカルイングリッシュ授業風景 の背景の文化に触れて理解を深め興味を持ってくれた ようである。学生の一人が帰国後のメールに書いてく 懸命で真面目に授業に参加している。すばらしい学生 れた「何とかなるという自信がついたのが一番の収穫 たちですね」とお褒めをいただき、引率教員として嬉 であり、単なる英語力ではなく、できないなりにやり しく思った。 くりする技術が身についたのが嬉しい。こういうこと プログラムでは、聞く、話す、読む、書くの四技 は実際に現地に行かないと身につかなかった。今回の 能を含めたコミュニケーション能力向上のための総合 プログラムに参加して良かったと素直に思う」という 的授業を 3∼4 レベル(各 4 名∼15 名程)の習熟度別で ことばから、こういった研修プログラムの意義・重要 展開していた。午前の各コアクラスはリーディング・ 性をさらに強く認識した。残念ながら SMC プログラ ライティング・文法等を中心に、複合的に英語運用 ムはスタート時期が早く、本学の今後の継続は不可能 能力をつけさせるための授業で、教員によって内容も になってしまったが、低学年向けのこういった「体験 授業方法もかなり異なっていた。コアクラスは、全体 型」語学研修を現在新規開拓中である。実施が可能と として interactive というより講義形式に近い授業が なれば、是非、より多くの学生に参加してもらい、生 多かったが、座って講義を聞くだけという授業ではな の英語と文化に直接触れてもらいたいと願っている。 く、あくまでコミュニケーションを意識したものであ った。月・水・金曜日午後のオーラルスキルズクラス 最後に、今回の出張の機会をくださった山田裕一 では、主にスピーキング力を高める授業を行っていて、 学長と勝田省吾国際交流センター長に感謝申し上げる リラックスした雰囲気で、学生たちが楽しそうにロー とともに、貴重な病院見学の機会を与えて下さり、ま ルプレイ等のアクティビティに参加していた。また最 た親身に学生たちのお世話をしてくださった木田教授 新の E-learning 用教室や、学生が授業後に気軽に使 とその奥様の玲子様に心よりお礼申し上げます。 用できるプールやスポーツジム 等、施設・設備面も充実してい た。プログラムの中に映画鑑賞 やダンス、International Hour、 週末の小旅行のような、アメリ カやバーモント州の文化に触れ たり、国際的な視野を養うイベ ント等も含まれており、学生に とっては良い体験学習の機会で あった。 火曜日と木曜日の午後は、本 学の学生のみを対象にしたメデ ィカルイングリッシュのクラス があり、22 日(火)の午後はバー モント大学木田教授のご案内で、 同大学で医学研修中の本学 5 年 木田先生(後列中央)と病院前で記念撮影 【随想・報告/図書館】 金沢医科大学報 72 感覚機能病態学(眼科学) 福田 正道 講師 International Society of Ocular Toxicology 学会賞 ポスターセッション最優秀賞 受賞 第 11 回国際眼毒性学会(11th International Society Penetration of Oral- of Ocular Toxicology )が平成 20 年 9 月 25 日から 28 日 ly and Topically Ad- までの 4 日間、アメリカ合衆国ペンシルバニア州のフ ministered Moxiflox- ィラデルフィアで開催された。この学会は、眼科領域 acin 」で、 フ ル オ ロ の薬剤毒性、薬物動態、環境汚染による眼障害など広 キノロン系抗菌薬 範囲の毒性研究に関する学会で、主に欧米の医学、薬 Moxifloxacin の眼内移 学、生化学、獣医学、WHO の研究者などで構成され 行性を点眼投与法と全身投与法で検討し、その薬物動 ている。 態の特徴に基づいた白内障術後感染予防法について発 本学会では毎回、学会賞がポスターセッションの 表した。福田講師は、眼感染症治療薬の主体であるフ 発表者を対象に贈られることになっているが、今回は ルオロキノロン系抗菌薬に関する一連の研究の内容が 感覚機能病態学(眼科学)の福田正道講師が最優秀賞 高く評価され受賞となった。 (眼科学 佐々木 洋記) を受賞した。発表演題名は、 「Vitreous and Aqueous 総医研・先進医療研究部門、腎機能治療学 (エムシープロット・バイオテクノロジー社長) 友杉 直久 教授 「革新的ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ」 最優秀企業家賞 受賞 石川県の数年後を代表する企業を発掘する「革新的 は、蛋白質解析に基づくト ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ」 (石 ランスレーショナル研究の 川県産業創出支援機構 ISICO 主催)が 10 月 7 日に石川 成果を実用化する内容であ 県地場産業振興センターで開催されました。コンテス り、谷本正憲知事からは「この賞に対しては、県が 3 トには 36 名の応募があり、書類選考を通過した 7 名が、 年間支援チームを作りサポートするが、これを獲得し それぞれのプランを 200 名の聴衆の前でアピールする たからには数年後に県を代表する企業に成長する義務 機会を与えられました。与えられた PR 時間は 7 分、 と責任がある」と厳しい激励を受け、身の引き締まる その直後に 7 名の著名経営者からなる目利き審査員か 思いでおります。 らプランの展開方針、社会的意義、将来性などの厳し 弊社は、山下公一理事長、山田裕一学長のご理解を い質問や忠告が 10 数分続き、ついで審査員が「資金提 いただき、金沢医科大学内のインキュベーション・シ 供」 「販売協力」などの赤札を、また地元金融関係者が ステムを拠点として 2 年前から活動させていだだいて 「融資検討」 「面談希望」などの青札を揚げて支援の意 おり、この恵まれた境遇に深く感謝いたしております。 思を表すといった、テレビ番組さながらの演出で会場 今後、谷本知事との約束を成し遂げるべく、さらなる を盛り上げていました。 トランスレーショナル研究を進めていきたいと考えて 学会とは全く異なる雰囲気にとまどいながら、弊社 からは、血中蛋白質のプロテオミクス解析で病気を超 早期に発見しその進行を防ぐシステム「プロテオミク スで健康管理 ―未病への挑戦―」を提唱し、幸運にも 最優秀企業家賞を獲得することができました。テーマ います。今後のご教授、ご支援よろしくお願い申し上 げます。 (総医研・先進医療研究部門、腎機能治療学(腎臓 内科学)友杉直久記) 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 73 図書館 第 20 回 日本医学図書館協会 北信越地区会研修会 渡辺麻子氏 平本賢助氏 その後、講演会が行われ、最初にトムソン・ロイタ ーの渡辺麻子氏から「図書館員は、学術文献・引用検 索データ・ベース『Web of Science 』を使って研究者 に何を支援できるか」と題して講演が行われ、休憩を 挟み、ユサコ株式会社の平本賢助氏から「図書館員は、 論文作成支援ソフト『End Note 』を使って研究者に何 第 20 回日本医学図書館協会北信越地区会研修会が、 本学図書館を当番校として、平成 20 年 9 月 4 日(木)∼ を支援できるのか」と題して講演が行われた。講演後 は、熱心な質疑応答と意見交換が行われた。 5 日(金)の 2 日間開催された。日本医学図書館協会に 2 日目は、 「ホテル金沢」において、研修会のまとめを 加盟する北信越地区図書館の 5 図書館、13 名が参加し 行った後、金沢市内の石川県立歴史博物館を見学した。 て行われた。 研修会の内容については、参加者から大変参考にな 1 日目は、本学病院新館 12 階特別会議室において、 ったとの意見が多く好評であった。また、事故等もな 牧野田 知図書館長から歓迎の挨拶があり、引き続き、 く無事研修会を終えることができた。関係各位のご協 参加者の自己紹介が行われた。 力に感謝しています。 新着図書の紹介( 2008.7 ∼ 2008.9 ) 書名 / 出版社 / 出版年 / 請求記号の順で記載 学生用指定図書 (和書) 酵素ハンドブック 第 3 版/朝倉書店/2008/QU135 医科細菌学 改訂第 4 版/南江堂/2008/QW4 医科免疫学 改訂第 6 版/南江堂/2008/QW504 研究社医学英和辞典 第 2 版/研究社/2008/W13 保健師国家試験問題 : 解答と解説 2009 年版/医学書院/2008 /W18 国民衛生の動向 2008 年 ( 厚生の指標臨時増刊 )/厚生統計協 会/2007/WA900 内科學 第 9 版/朝倉書店/2007/WB115 脳神経外科学 改訂 10 版 1・2/金芳堂/2008/WL368 看護・介護・福祉の百科事典/朝倉書店/2008/WY13 看護六法 平成 20 年版/新日本法規出版/2008/WY32 (図書館事務課 佐野泰彦記) 一般教養図書 (和書) 愛蔵版 : ふるさと写真館 : 北國新聞創刊 115 年記念/北國新 聞社出版局/2008/214.3 石川県総合人事録 : 公共機関・各種団体・全産業界 20082009 年版/北國新聞社/2008/281.03 リスクに立ち向かう日本経済 ( 経済財政白書 : 平成 20 年版 )/ 時事画報社/2008/332.1 働く人の意識と雇用管理の動向 ( 労働経済白書 : 平成 20 年版 ) /日経印刷 / 全国官報販売協同組合/2008/366.1 全国大学一覧 平成 20 年度/文教協会/2008/377.11 基礎医学図書 (和書) JAPIC 医療用医薬品集 2009/日本医薬情報センター/ 丸善株 式会社出版事業部/2008/QV772 分子細胞免疫学 5th ed., updated/エルゼビア・ジャパン/ 2008/QW568 【図書館/資料】 金沢医科大学報 日本病理剖検輯報 第 49 輯/杏林書院/2008/QZ16 (洋書) Tu m o r s o f t h e a d r e n a l g l a n d s a n d e x t r a a d r e n a l paraganglia (AFIP atlas of tumor pathology, fourth series:fasc. 8)/American Registry of Pathology/Armed Forces Institute of Pathology/2007/QZ17 Japanese classification of esophageal cancer 10th ed/ Kanehara & Co./2008/QZ241 臨床医学図書 (和書) 生涯を通じた自立と支え合い : 暮らしの基盤と社会保障を考 える ( 厚生労働白書 : 平成 20 年版 )/ぎょうせい/2008/ WA525 ガイドライン外来診療 : 今日の診療のために 2008( 第 8 版 ) / 日 経 メ デ ィ カ ル 開 発 / 日 経 BP 出 版 セ ン タ ー /2008/ WB101 循環器疾患最新の治療 2008-2009/南江堂/2008/WG166 消化器疾患最新の治療 2007-2008/南江堂/2007/WI100 嚥下障害診療ガイドライン : 耳鼻咽喉科外来における対応 2008 年版/金原出版/2008/WI250 腎疾患・透析最新の治療 2008-2010/南江堂/2008/WJ300 不安・うつは必ず治る ( 精神科医からのメッセージ )/勉誠出 版/2007/WM171 内視鏡外科診療ガイドライン 2008 年版/金原出版/2008/ WO500 臨 床・ 病 理 乳 癌 取 扱 い 規 約 第 16 版 / 金 原 出 版 /2008/ WP870 皮膚疾患最新の治療 2007-2008/南江堂/2006/WR650 老年看護 [ 第 38 回 ] ( 日本看護学会論文集 : 第 33 回 - 第 38 回 )/ 日本看護協会出版会/2008/WY9 成人看護 [ 第 38 回 ]1 ( 日本看護学会論文集 : 第 29 回 - 第 38 回 ) /日本看護協会/2008/WY9 看護総合 [ 第 38 回 ] ( 日本看護学会論文集 : 第 29 回 - 第 38 回 )/ 日本看護協会出版会/2007/WY9 精神看護 [ 第 38 回 ] ( 日本看護学会論文集 : 第 35 回 - 第 38 回 )/ 日本看護協会出版会/2007/WY9 成人看護 [ 第 38 回 ]2 ( 日本看護学会論文集 : 第 29 回 - 第 38 回 ) /日本看護協会/2008/WY9 母性看護 第 38 回 ( 日本看護学会論文集 : 第 29 回 - 第 38 回 )/ 日本看護協会出版会/2008/WY9 小児看護 [ 第 38 回 ] ( 日本看護学会論文集 : 第 29 回 - 第 38 回 )/ 日本看護協会出版会/2008/WY9 看護教育 [ 第 38 回 ] ( 日本看護学会論文集 : 第 29 回 - 第 38 回 )/ 日本看護協会出版会/2008/WY9 眼科疾患 第 2 版 ( 看護のための最新医学講座 : 第 20 巻 )/中山 書店/2008/WY150 泌尿・生殖器疾患 第 2 版 ( 看護のための最新医学講座 : 第 22 巻 )/中山書店/2008/WY150 糖尿病の病態・治療・予防と看護 ( 生活習慣病ナーシング :9. 糖尿病とメタボリ/ックシンドローム ; 2)/メジカルフレ ンド社/2006/WY152 動脈硬化症と糖尿病の血管合併症 ( 生活習慣病ナーシング :10. 糖尿病とメタボリックシンドローム ; 3)/メジカルフ レンド社/2008/WY152 メタボリックシンドローム概論 ( 生活習慣病ナーシング :1)/ メヂカルフレンド社/2008/WY152 脳血管障害 ( 生活習慣病ナーシング :2)/メヂカルフレンド社 /2008/WY152 慢性閉塞性肺疾患 ( 生活習慣病ナーシング :5)/メヂカルフレ ンド社/2008/WY152 74 消化器生活習慣病 ( 生活習慣病ナーシング :6)/メヂカルフレ ンド社/2008/WY152 小児生活習慣病 ( 生活習慣病ナーシング :7)/メヂカルフレン ド社/2008/WY152 高血圧・動脈硬化症 ( 生活習慣病ナーシング :4)/メヂカルフ レンド社/2008/WY152 脳腫瘍 ( がん看護実践シリーズ :1)/メヂカルフレンド社/ 2007/WY156 前立腺がん・膀胱がん ( がん看護実践シリーズ :10)/メヂカ ルフレンド社/2007/WY156 悪性リンパ腫・白血病 ( がん看護実践シリーズ :11)/メヂカ ルフレンド社/2007/WY156 骨軟部腫瘍 ( がん看護実践シリーズ :12)/メヂカルフレンド 社/2007/WY156 小児がん ( がん看護実践シリーズ :13)/メヂカルフレンド社 /2007/WY156 頭頸部がん・眼科領域のがん ( がん看護実践シリーズ :2)/メ ヂカルフレンド社/2007/WY156 肺がん ( がん看護実践シリーズ :3)/メヂカルフレンド社/ 2007/WY156 食道がん ( がん看護実践シリーズ :4)/メヂカルフレンド社/ 2008/WY156 胃がん ( がん看護実践シリーズ :5)/メヂカルフレンド社/ 2007/WY156 大腸がん ( がん看護実践シリーズ :6)/メヂカルフレンド社/ 2007/WY156 肝・胆・膵がん ( がん看護実践シリーズ :7)/メヂカルフレン ド社/2008/WY156 乳がん ( がん看護実践シリーズ :8)/メヂカルフレンド社/ 2007/WY156 子宮がん・卵巣がん ( がん看護実践シリーズ :9)/メヂカルフ レンド社/2007/WY156 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 75 資 料 理事会 第 196 回 平成 20 年 9 月 12 日(金) 議案 1 平成 21 年度の医学部入学定員増について 2 金沢医科大学学則の一部改正について 3 理事長の職務代行者について 規程の改正・制定・廃止 金沢医科大学学則 (平成 20 年 4 月 1 日改正) 金沢医科大学看護学部教務に関する規程 (平成 20 年 4 月 1 日改正) 健康管理センター運営委員会規程 (平成 20 年 4 月 1 日改正) 化学療法委員会規程 (平成 20 年 7 月 1 日制定) 金沢医科大学医学部特別奨学金貸与制度に関する規程 (平成 20 年 7 月 11 日改正) 学校法人金沢医科大学医療割引規程(平成 20 年 8 月 1 日改正) 学校法人金沢医科大学文書取扱規程(平成 20 年 9 月 1 日制定) 学校法人金沢医科大学事務部長規程(平成 20 年 9 月 1 日制定) 金沢医科大学病院看護部長等任用規程 (平成 20 年 9 月 1 日改正) 金沢医科大学病院薬剤部長・栄養部長任用規程 (平成 20 年 9 月 1 日改正) 医学部教授会 第 803 回 平成 20 年 7 月 10 日(木) 人事関連等議題 1 前回(第 802 回)議事録確認について 2 教授選考委員会委員の選任について 3 その他 〈報告事項〉 1 教員採用について 2 非常勤講師併任について 3 併任解について 4 短期研究員の受入について 5 国費外国人留学生の受入について 6 その他 教学関連議題 1 平成 20 年度編入学試験(第 1 学年次第 2 学期編入)合格 者の決定について 2 休学願提出学生の取り扱いについて 3 アドバンスト OSCE の実施時期について 4 平成 20 年度第 1 年次秋編入生の履修科目について 5 平成21年度一般入試実施に係る授業の取り扱いについて 6 第 6 学年主任・副主任について 7 その他 〈報告事項〉 1 平成 20 年度第 2 学年「看護体験実習」及び第 3 学年「救 急車同乗体験実習」の 実施について 2 第 22 回医学教育に関するワークショップについて 3 第 103 回医師国家試験について 4 バーモント大学医学研修、セントマイケルズ大学夏季 語学・医学研修の実施について 5 第 29 回連携病院会議の開催について 6 その他 〈協議事項〉 1 平成 20 年度科学研究費補助金の分析と展望について 第 804 回 平成 20 年 8 月 28 日(木) 人事関連等議題 1 前回(第 803 回)議事録確認について 2 金沢医科大学学則の一部改正について 3 その他 〈報告事項〉 1 准教授候補者について 2 教員採用について 3 昇任について 4 医学部学内講師委嘱について 5 辞職について 6 出向について 7 非常勤講師委嘱について 8 休職について 9 国内研修について 10 外国留学について 11 外国留学期間延長について 12 併任について 13 非常勤講師派遣について 14 生物学教員の募集について 15 その他 教学関連議題 1 平成 20 年度第 5 学年進級判定基準の変更について 2 その他 〈報告事項〉 1 平成 21 年度入学試験説明会実施報告について 2 平成 20 年度オープンキャンパス実施報告について 3 第 42 回及び第 43 回教育懇談会の開催について 4 クリニカル・シミュレーション・センターの設置につ いて 5 FDD-MB センターの設置について 6 平成 20 年度教育研究費傾斜配分額について 7 国際交流センターオープニングセレモニーおよび第 1 回交流カフェの開催について 8 その他 第 805 回 平成 20 年 9 月 11 日(木) 人事関連等議題 1 前回(第 804 回)議事録確認について 2 その他 〈報告事項〉 1 特任教授候補者について 2 准教授候補者について 3 臨床准教授候補者について 4 教員採用について 5 辞職について 6 出向について 7 非常勤講師委嘱について 8 休職期間短縮について 9 外国留学について 10 併任について 11 その他 教学関連議題 1 2009 年度共用試験 CBT の評価基準について 2 その他 〈報告事項〉 1 平成 21 年度特別推薦入試(AO 入試)出願状況について 2 平成 19 年度優良教員の表彰について 3 平成 20 年度科学研究費補助金追加申請の交付内定につ 【資料】 金沢医科大学報 いて 平成 21 年度科学研究費補助金の公募について その他 第 806 回 平成 20 年 9 月 25 日(木) 人事関連等議題 1 前回(第 805 回)議事録確認について 2 その他 〈報告事項〉 1 臨床教授候補者について 2 教員採用について 3 辞職について 4 非常勤講師委嘱について 5 外国留学期間延長について 6 移籍について 7 非常勤講師派遣について 8 その他 教学関連議題 1 平成 21 年度特別推薦入学試験(AO 入試)第 1 次選考合 格者の決定について 2 その他 報告事項 1 平成 20 年度内灘祭について 2 海外留学生安全対策協議会(JCSOS )の加入について 3 その他 4 5 76 大学院医学研究科教授会 第 380 回 平成 20 年 9 月 11 日(木) 議題 1 前回(第 379 回)議事録確認について 2 退学願提出学生の取扱いについて 3 第 36 回論文博士外国語試験合否判定について 4 学位授与の可否決定について 〈報告事項〉 1 大学院担当教員について 2 がんプロ演習科目の単位認定に臓器別カンファレンス を利用する件について 3 学位審査体制の見直しについて 4 大学院医学研究科学生募集について 5 平成 20 年度大学院教育改革プログラムの審査結果につ いて 6 次回(第 381 回)開催日について 総合医学研究所教授会 看護学部教授会 第 23 回 平成 20 年 7 月 14 日(月) 〈報告事項〉 1 人事関係について 2 教務委員会からの報告 3 看護学部学生部連絡会からの報告 4 FD 委員会からの報告 5 セクシャルハラスメント防止委員会からの報告 6 その他 議題 1 前回(第 22 回)議事録確認について 2 教務委員会からの審議事項について 3 FD 委員会活動計画について 4 看護学部教授会運営について 5 その他 第 24 回 平成 20 年 9 月 16 日(火) 〈報告事項〉 1 人事関係について 2 教務委員会からの報告 3 看護学部学生部連絡会からの報告 4 研究推進会議からの報告 5 FD 委員会からの報告 6 倫理委員会からの報告 7 保護者連絡会開催について 8 その他 議題 1 前回(第 23 回)議事録確認について 2 平成 19 年度後期(保留)授業科目及び平成 20 年度前期 授業科目の単位認定について 3 その他 第 225 回 平成 20 年 7 月 17 日(木) 〈審議事項>〉 1 前回(第 224 回)教授会議事録の確認について 2 公開セミナーの開催案について 3 「鍵の長期借受申請」の書式変更について 4 「勉強会開催申込書」の書式制定について 5 その他 〈報告事項〉 1 共同利用研究機器の整備計画について 2 次回の開催日時について 3 その他 (1 )平成 20 年度知的クラスター創生事業(第Ⅱ期)の地域 選定結果について 第 226 回 平成 20 年 9 月 18 日(木) 〈審議事項〉 1 前回(第 225 回)教授会議事録の確認について 2 平成 20 年度動物慰霊祭の開催について 3 研究セミナーの開催について 4 学外研修・就業について 5 その他 〈報告事項〉 1 FDD-MB センターに設置について 2 学外者の施設利用許可について 3 学内者の施設利用許可について 4 平成21年度科学研究費補助金申請に係る説明会の開 催について 5 酢酸ウラニルの保管について 6 次回の開催日時について 7 その他 (1 )市民公開セミナーの開催について (2 )総医研創立 20 周年記念事業の関連小委員会の設置につ いて (3 )大学院セミナーの開催について 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 77 平成 20 年度 教育職員外国出張一覧(上半期) 氏名、所属、職名、開催国、期間、学会名等(英文) 、発表演題名等の順で記載した。 斎藤 孔良 生 体 感 染 防 御 学( 微 生 物 学・ 医 動 物 学 )助 教 ア メ リ カ 合 衆 国 H20.4.15 ∼ 19 American Academy of Neurology 発表 「A binding partner of L protein of TMEV and Its potential role in virus persistence 」 赤尾 浩慶 循環制御学(循環器内科学)学内講師 アメリカ合衆国 H20.4.15 ∼ 20 Arteriosclerosis, Thrombosis, and 「Opposite role of osteopontin(OPN) and matrix gla protein(MGP) in advanced Vascular Biology Annual Conference 2008 発表 coronary atheroclerosis in patients treated with coronary rotational atherectomy(RA) 」 梶波 康二 循 環 制 御 学( 循 環 器 内 科 学 )教 授 ト ル コ H20.4.25 ∼ 5.1 The Atherosclerosis Editiorial Board Meeting 2008, 77th EAS Congress 出席 藤田 信之 感覚機能病態学(眼科学)助教 アメリカ合衆国 H20.4.26 ∼ 5.6 The Association for Research in Vision and Ophthalmology 発表 「Comparison of myopia induced by retrodots and nuclear cataract 」 佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)教授 アメリカ合衆国 H20.4.26 ∼ 5.3 The Association for Research in Vision and Ophthalmology 発表 「Higher-order aberrations in transparent crystalline lens Japanese eye 」 福田 正道 感覚機能病態学(眼科学)講師 アメリカ合衆国 H20.4.26 ∼ 5.1 The Association for Research in Vision and Ophthalmology 発表 「Development of technique to measure corneal resistance that can be used to evaluate corneal injury 」 河上 裕 感 覚 機 能 病 態 学( 眼 科 学 )学 内 講 師 ア メ リ カ 合 衆 国 H20.4.27 ∼ 5.3 The Association for Research in Vision and Ophthalmology 発表 「True exfoliaton in chinese population in a tropical area - The sanya eye studdy - 」 宮澤 徹 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)助教 アメリカ合衆国 H20.4.29 ∼ 5.7 米国ミシガン大学クレスゲ難聴 研究所にて実験・論文作成 利波 久雄 放射線診断治療学(放射線医学)教授 カナダ、アメリカ合衆国 H20.5.3 ∼ 10 16th International Society for Magunetic Resonance in Medicine 出席及び研究打合せ 北楯 優隆 放射線診断治療学(放射線医学)助教 カナダ、アメリカ合衆国 H20.5.3 ∼ 10 16th International Society for Magunetic Resonance in Medicine 出席及び研究打合せ 平口 哲夫 人間科学科目(人文科学)特任教授 韓国 H20.5.15 ∼ 18 The Meeting on the Petroglyph of Bangdae and the Cetacean of the Near Seas 発 表 「The cetacean archaeology and the identification of cetacean species of the Bangudae petroglyph 」 赤澤 純代 生活習慣病センター助教 イギリス H20.5.17 ∼ 25 KEYSTONE SYMPOSIA - G Protein-Coupled Receptors 出席 藤田 拓也 運動機能病態学(整形外科学)准教授 スイス H20.5.24 ∼ 6.2 The International Society for the Study of the Lumber Spine 発表 「Postoperative change of the cross-sectional area of the multifidus muscle after percutaneous pedicle screw fixation 」 細川 栄隆 運動機能病態学(整形外科学)助教 スイス H20.5.24 ∼ 6.2 The International Society for the Study of the Lumber Spine 発 表 「Postoperative change of the cross-sectional area of the multifidus muscle after percutaneous pedicle screw fixation 谷浦 直子 生体感染防御学(微生物学・医動物学)助教 スペイン H20.5.26 ∼ 6.1 Europic CONGRESS 2008 発表 「 Different subcellular localization of theiler's murine encephalomyeltis virus leader protein between neurovirulent straingd ⅶ and persistent strain da 」 秋田 利明 心血管外科学(胸部外科学)教授 韓国 H20.5.27∼30 The 2nd Asian-Pacific Congress of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 発表 「Anaerobic glycolysis during ischemia plays important roles for the genesis of reperfusion injury in newnatal rabbit heart 」 正木 康史 血液免疫制御学 (血液免疫内科学)臨床准教授 スイス H20.6.2 ∼ 8 10th International Conference on Malignant Lymphoma 発表 「Proposal for a new clinical entity, IgG4-positive multi-organ lymphoproliferative syndrome: Analysis of 64 cases of IgG4-related lymphoproliferative disorders 」 川上 重彦 機能再建外科学(形成外科学)教授 カナダ H20.6.3 ∼ 7 Third Congress of the World Union of Wound Healing Societies 出席 古家 大祐 内分泌代謝制御学(内分泌内科学)教授 アメリカ合衆国 H20.6.6 ∼ 11 American Diabetes Association 発 表 「A lack of increase in high molecular weight-adiponectin in macroalbuminuric subjects with metabolic syndrome may exert as a renal and Aatherosclerotic risk 」 津田 真一 内分泌代謝制御学(内分泌内科学)助教 アメリカ合衆国 H20.6.6 ∼ 10 American Diabetes Association 発表 「A Lack of increase in high molecular weight-adiponectin in macroalbuminuric subjects with metabolic syndrome may exert as a renal and atherosclerotic risk 」 佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)教授 アメリカ合衆国 H20.6.8 ∼ 14 The Bioelectromagnetics Society 30th Annual Meeting 発表 「Investigation of frequency specificity of quasi and millimeter wave exposutr theough ocular temperature measurement and heat transportation 」 元雄 良治 腫 瘍 内 科 学( 腫 瘍 治 療 学 )教 授 中 国 H20.6.11 ∼ 15 World Cancer Congress 発 表 「Gene expression analysis in gemcitabine-treated human pancreatic cancer cells 」 友田 幸一 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)教授 ①ギリシャ ②スペイン ③ドイツ H20.6.16 ∼ 28 ① ERS&ISIAN 2008 ② CARS 2008 発表及び研究打合せ 「Current status of image-guided surgery in otorhinolaryngology Japan 」 【資料】 金沢医科大学報 78 松井 真 脳脊髄神経治療学(神経内科学)教授 タイ H20.6.20 ∼ 22 Expert Meeting for Sixth MS Forum Pan-Asian Conference 発表 「How to diagnose OSMS and NMO 」 田中 惠子 脳脊髄神経治療学(神経内科学)特任教授 タイ H20.6.20 ∼ 22 MS Forum Consensus Group Meeting 発 表 「Research update in anti-AQP4 testing 」 古家 大祐 内分泌代謝制御学(内分泌内科学)教授 アイルランド H20.6.25 ∼ 30 Diabetes and the Kidney: Diabetic Nephropathy 発表 「Resveratrol was effective in protecting diabetic nephropathy, via normalizing Mn-SOD dysfunction 」 米倉 秀人 ゲノム医科学(生化学)教授 ギリシャ H20.6.27 ∼ 7.4 33rd FEBS Congress & 11th IUBMB Coference 発 表 「Regulatory mechanisms of alternative3'-end processing of soluble VEGF receptor pre-mRNA in vascular endothelial cells 」 吉竹 佳の ゲノム医科学(生化学)准教授 ギリシャ H20.6.27 ∼ 7.4 33rd FEBS Congress & 11th IUBMB Coference 発表 「Micro-rnas expressed in human microvascular endothelial cells 」 芝本 利重 生理機能制御学(生理学)教授 ドイツ H20.6.27 ∼ 7.5 International Shock Congress 2008 発表 「Vascular resistance to venous return increases during rat anaphylactic shock 」 兼氏 歩 運動機能病態学(整形外科学)講師 オーストラリア H20.6.28 ∼ 7.3 Zimmer MIS Anterolateral Approach Training 参加 西条 旨子 健康増進予防医学(公衆衛生学)准教授 ベトナム H20.6.29 ∼ 7.7 共同研究「ベトナムにおけるダイオ キシン暴露による健康リスク・モニタリング・システムの構築」の予備調査 Burke Steven Thomas 人間科学科目(外国語)講師 アメリカ合衆国 H20.7.14 ∼ 8.17 American Literature since mid 20th Century 出席 赤澤 純代 生活習慣病センター助教 アメリカ合衆国 H20.7.27 ∼ 8.3 Basic Cardiovascular Sciences Conference 2008 Heart Failure:Molecular Mechanisms and Therapeutic Targets 出席 長内 和弘 呼 吸 機 能 治 療 学( 呼 吸 器 内 科 学 )准 教 授 ア メ リ カ 合 衆 国 H20.8.1 ∼ 10 FASEB Summer Researchi Conference 発表 「Aberrant lung surfactant homeostasis in Rab38-deficient rats 」 西条 旨子 健康増進予防医学(公衆衛生学)准教授 ベトナム H20.8.12 ∼ 22 共同研究「ベトナムにおけるダイオキ シン暴露による健康リスク・モニタリング・システムの構築」の調査 牧野田 知 生殖周産期医学(産科婦人科学)教授 アメリカ合衆国 H20.8.24 ∼ 29 18th World Congress on Ultrasound in Obastetrics and Gynecology 発表 「Analysis of the hemodynamics of fetal renal artery and renal volume during the normal pregnancy 」 井上 弘一 生殖周産期医学(産科婦人科学)助教 アメリカ合衆国 H20.8.24 ∼ 29 18th World Congress on Ultrasound in Obastetrics and Gynecology 発表 「Analysis of the hemodynamics of fetal renal artery and renal volume during the normal pregnancy 」 佐々木 洋 感覚機能病態学(眼科学)教授 アイスランド H20.8.24 ∼ 9.2 アイスランド眼科検診実施 河上 裕 感覚機能病態学(眼科学)学内講師 アイスランド H20.8.24 ∼ 9.4 アイスランド眼科検診実施 早稲田智夫 生殖周産期医学(産科婦人科学)講師 アメリカ合衆国 H20.8.26 ∼ 29 18th World Congress on Ultrasound in Obastetrics and Gynecology 発表 「Myometrial blood flow analysis in pregnano women with IUGR 」 森山 学 泌 尿 生 殖 器 治 療 学( 泌 尿 器 科 学 )講 師 フ ラ ン ス H20.8.28 ∼ 9.7 11th International Symposium on Urolithiasis 発表 「Effects of an extract of Quercus salicina Blume/Q.stenphylla Makino on urinary stone formation in a rat calcium oxalate urolithiasis model 」 地引 逸亀 精神神経科学(神経精神医学)教授 スペイン H20.8.28 ∼ 9.6 21st European College of Neuro psychopharmacology 出席 梶波 康二 循環制御学(循環器内科学)教授 ドイツ H20.8.29 ∼ 9.2 ESC Congress 2008 発表 「Differential role of calcification related molecules in advanced coronary atherosclerosis 」 赤尾 浩慶 循環制御学(循環器内科学)学内講師 ドイツ H20.8.29 ∼ 9.4 ESC Congress 2008 発表 「Differential role of calcification related molecules in advanced coronary atherosclerosis 」 窪田 孝 精神神経科学(神経精神医学)准教授 スペイン H20.8.30 ∼ 9.6 21st European College of Neuro psychopharmacology 発表 「Effects of atypical antipsychotics on excitatory synaptic transmission and dopamine and 5-HT levels in the hippocampus 」 宮澤 克人 泌 尿 生 殖 器 治 療 学( 泌 尿 器 科 学 )准 教 授 フ ラ ン ス H20.8.31 ∼ 9.7 11th International Symposium on Urolithiasis 発表 「The role of cyclooxygenase 2 and prostaglandin e2 in the attachment of calcium oxalate crystals to renal epithelial cells 」 川上 重彦 機 能 再 建 外 科 学( 形 成 外 科 学 )教 授 中 国 H20.9.1 ∼ 8 The 18th China-Japan Joint Meeting on Plastic Surgery 発表 「Surgical refinements of sagittal splitting osteotomy of the mandibular ramus 」 山元 康徳 機能再建外科学(形成外科学)学内講師 中国 H20.9.1 ∼ 8 The 18th China-Japan Joint Meeting on Plastic Surgery 発表 「Cowden disease accompanied with unilateral breast hypertrophy 」 台蔵 晴久 機 能 再 建 外 科 学( 形 成 外 科 学 )助 教 中 国 H20.9.1 ∼ 8 The 18th China-Japan Joint Meeting on Plastic Surgery 発表 「The treatment of orbital medial wall fracture using a navigation system 」 古家 大祐 内分泌代謝制御学(内分泌内科学)教授 イタリア H20.9.4 ∼ 12 44th EASD Annual Meeting 発表 「 Effectiveness of resveratrol treatment in the improvement of oxidative stress and protection against diabetic nephropathy via normalisation of Mn-SOD dysfunction 」 小泉 葉月 精神神経科学(神経精神医学)助教 フィンランド H20.9.5 ∼ 14 38th EABCT Annual Congress 発表 「MMPI profile pattern of OCD patients and its charges after CBT interventions 」 瀬上 夏樹 顎口腔機能病態学(口腔科学)教授 イタリア H20.9.9 ∼ 17 ⅩⅨ Congress of the European Association for 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 79 Cranio-Maxillo-Facial Surgery 発表 「Bacterial DNA on synovial fluid of patients with TMD 」 田中 惠子 脳 脊 髄 神 経 治 療 学( 神 経 内 科 学 )特 任 教 授 カ ナ ダ H20.9.15 ∼ 21 World Congress on Treatment and Research in Multiple Sclerosis 発表 「NMO-IgG and anti-aquaporin4 antibody simultaneously examined in a large series of Japanese neuromyelitica optica 」 佐々木 洋 感 覚 機 能 病 態 学( 眼 科 学 )教 授 中 国 H20.9.18 ∼ 21 7th Asian Cataract Research Conference 発 表 「Relationship between frequency specific characteristics of quasi-and millimeter- waves and complexity of the eye structure 」 永井 康太 感覚機能病態学(眼科学)学内講師 中国 H20.9.18 ∼ 22 7th Asian Cataract Research Conference 発表 「The lens thickness of three main types of cataract -Reykjavik eye study- 」 福田 正道 感覚機能病態学(眼科学)講師 アメリカ合衆国 H20.9.25 ∼ 29 11th Congress of the International Society of Ocular Toxicology 発表 「Vitreous and aqueous penetration of orally and topically administered moxifloxacin 」 小島 正美 看護学部准教授 アメリカ合衆国 H20.4.26∼5.3 The Association for Research in Vision and Ophthalmology 発 表 「Investigation of frequency specificity of millimeter and wave exposure through ocular temperature measurement and heat transportation 」 小島 正美 看護学部准教授 アメリカ合衆国 H20.6.7∼14 The Bioelectromagnetics Society 30th Annual Meeting 発表 「Investigation of frequency specificity of quasi-and millimeter wave exposure through ocular temperature measurement and heat transportation 」 小島 正美 看 護 学 部 准 教 授 ア メ リ カ 合 衆 国 H20.8.8∼18 International Union of Radio Science XXIX General Assembly 発表 「Investigation of wavelength-specific characteristics of quasi-and millimeter waves 」 北岡 和代 看護学部教授 英国 H 20.8.17∼26 A Comparative Study of the Effect of Group Based Parenting Support on Parental Stress and Outcomes for Children 出席 落合富美江 看護学部教授 英国 H 20.8.17∼26 A Comparative Study of the Effect of Group Based Parenting Support on Parental Stress and Outcomes for Children 出席 津田 朗子 看護学部准教授 英国 H 20.8.17∼26 A Comparative Study of the Effect of Group Based Parenting Support on Parental Stress and Outcomes for Children 出席 小島 正美 看護学部准教授 アイスランド H20.8.24∼9.4 アイスランド眼科検診実施 柿沼 宏明 看護学部教授 ポルトガル H 20.8.30∼9.6 SSIEM-society for the study of inborn errors of metabolism 発表 「Functional studies of a duplication mutation of valine at 235 by a transient expression assay in a boy with MCT8 deficiency 」 北岡 和代 看護学部教授 カナダ H 20.8.31∼9.6 3rd ICOH(International Conference of Occupational Health )発表 「Burnout and risk factors for arteriosclerotic disease: follow-up study 」 森河 裕子 看護学部教授 カナダ H 20.8.31∼9.6 3rd ICOH International Conference on Psychosocial Factors at Work 発表 「Drinking habit among shift workers and its health effects 」 小島 正美 看護学部准教授 中国 H 20.9.17∼22 Asia Cataract Research Conference 発表 「Relationship between frequency specific characteristics of quasi-and millimeter-waves and complexity of the eye structure 」 佐々木一之 環 境 原 性 視 覚 病 態 研 究 部 門 客 員 教 授 米 国 H 20.4.24 ∼ 5.4 The Association for Research in Vision and Ophthalmology 発 表 「Investigation of frequency specificity of millimeter wave exposure through ocular temperature measurement and heat transporation 」 山代 陽子 環境原性視覚病態研究部門研究員 米国 H 20.4.26 ∼ 5.3 The Association for Research in Vision and Ophthalmology 発表 「Does corneal curvature radius contribute to pathogenesis of pterygium? −A report from chinese ophthalmic surveys in hainan and shanxi 」 藤川孝三郎 細胞医学研究部門教授 ハンガリー H 20.5.17 ∼ 24 ISAC XXIV International Congress 発表 「Alteration and preservation of celluar characteristics in long-term culture of mouse teraploid H-1(ES) cells 」 佐々木一之 環境原性視覚病態研究部門客員教授 米国 H 20.6.7 ∼ 13 The Bioelectromagnetics Society 30th Annual Meeting 発表 「Investigation of frequency specificity of quasi-and millineter wave exposure through ocular temperature measurement and heat transporation 」 太田 隆英 分子腫瘍学研究部門准教授 上海 H 20.6.11 ∼ 15 BIT's World Cancer Congress 2008 発表「Phosphorylation and localization of FAK in v-Src transformed fibroblast cells after anoikis induction 」 高田 尊信 ハ イ テ ク・ リ サ ー チ・ セ ン タ ー ポ ス ド ク 韓 国 H 20.6.17 ∼ 21 The 4th KSp-JSp-CCTCNM Joint Symposium on Pharmacognosy 発表 「Aqueous extract of peanut skin and it's main constituent procranidin a1 suppress serum IgE and IgG1 levels in mice-immunized with of albumin 」 伊達 孝保 総合医学研究所所長 ギリシャ H 20.6.27 ∼ 7.3 33rd FEBS Congress & 11th IUBMB Conference 発表 「PKU-beta/TLK plays a dual role in both centrosome separation and chromosome segregation 」 竹上 勉 分子腫瘍学研究部門教授 イスタンブール H 20.8.7 ∼ 16 XIV International Congress of Virology 発表 「Analysis of gene expression in Japanese encephalitis virus infected cells using microarray 」 友杉 直久 先進医療研究部門教授 オランダ H 20.8.13 ∼ 22 HUPO 7th Annual World Congress 発表 「Identification and quantification of tear proteins in Sjogren's syndrome 」 佐々木一之 環境原性視覚病態研究部門客員教授 中国 H 20.9.18 ∼ 22 7th Asian Cataract Research Conference 発表 「Relationship between frequency specific characteristics of quasi-and millimeter-waves and complexity of the eye structure 」 【資料】 金沢医科大学報 80 人 事 〈教授昇任〉 脳脊髄神経治療学(脳神経外科学)特任教授 内視鏡科臨床教授 赤井 卓也 伊藤 透 脳脊髄神経治療学(脳神経外科学)准教授 内視鏡科准教授 20.10.1 20.10.1 中農 理博 病院長室室長 髙崎 正輝 浜本 啓行 吉谷新一郎 武部 秀人 表 和彦 中島日出夫 田中 真生 土島 睦 中野 泰治 長井麻希江 森 豊茂 疋田 勉 教学課課長代理 医事課課長代理 消化器外科治療学(消化器外科学)助教 教学課事務員 消化器外科治療学(消化器外科学)講師 腫瘍内科学(腫瘍治療学)講師 血液免疫制御学(血液免疫内科学)講師 消化器機能治療学(消化器内科学)助教 消化器外科治療学(消化器外科学)助教 看護学部助手 施設設備部副部長 病院長室管理部門副部長 森 秀男 原島 完司 亀井 淳平 中川美枝子 広報局課長代理 用度・管財課課長代理 施設整備計画課課長代理 出版課主任 中川 和美 診療支援課事務員 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.9.30 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 〈昇任〉 事務局局次長 (兼)総務部部長 臨床研修センター課長 診療支援課課長 消化器外科治療学(消化器外科学)講師 教学課主任 消化器外科治療学(消化器外科学)准教授 腫瘍内科学(腫瘍治療学)准教授 血液免疫制御学(血液免疫内科学)臨床准教授 消化器機能治療学(消化器内科学)臨床准教授 消化器外科治療学(消化器外科学)臨床准教授 看護学部助教 施設設備部部長 病院長室管理部門部長 (解)管理課課長 広報局課長 用度・管財課課長 施設整備計画課氷見市民病院担当課長 資料編纂室課長代理 (併)出版課課長代理 診療支援課主任 〈任命、併任及び兼務〉 (任)耳鼻咽喉・頭頚科科長事務取扱 辻 裕之 (任)聴力・平衡機能検査室室長 (任)感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)部門教授事務取扱 (任)内視鏡科医局長 浦島左千夫 広報局局長 松本 忠美 出版局局長 松井 忍 (解)総務部部長 荒田 満 クリニカル・シミュレーション・センター・センター長 安田 幸雄 FDD-MB センター・センター長 高林 晴夫 (併)FDD-MB センター技術員 北 美紀子 生活習慣病センター助教 上西 博章 (併)経理管財部部長 大野木辰也 (併)資料編纂室課長 丸谷 良 (併)資料編纂室事務員 堀田海青子 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)准教授 内視鏡科講師 運動機能病態学(整形外科学)教授 先進医療研究部門教授 事務局局長 医学教育学教授 人類遺伝学研究部門臨床准教授 人類遺伝学研究部門臨床技術員 循環制御学(循環器内科学)助教 理事長室室長 出版課課長 図書館事務課事務員 20.7.15 20.7.15 20.7.15 20.8.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 〈配置換〉 営繕課参事 病院長室付課長 臨床研修センター課長代理 教学課課長代理 病院長室課長代理 管理課課長代理 (併)病院長室課長代理 管理課課長代理(感染対策室) 医療安全対策課課長代理 臨床研修センター主任 施設整備計画課事務員 管理課事務員(感染対策室) 医事課事務員 クリニカル・シミュレーション・センター講師 看護学部事務部部長 病院長室室長 (併)医事部門部長 管理課課長 職員課課長 教学課事務員 図書館事務課事務員 山田 克己 組村 勝行 山本 健司 岡本 真一 中谷 一也 南 英樹 職員課・臨床研修センター担当課長 診療支援課課長 病院長室課長代理 管理課課長代理 職員課・臨床研修センター担当課長代理 病院長室課長代理 加富 喜芳 疋田 雅枝 高 芳恵 岡山外富美 宮本加代子 南 洋子 福永 壽晴 小平 俊行 古居 滋 医療安全対策課課長代理 診療支援課課長代理 医療情報課主任 看護学部事務課事務員 診療支援課事務員 診療支援課事務員 病態診断医学(臨床病理学)講師 病院長室医事部門部長 経理管財部部長 上端 雅則 野澤 幸雄 高田 智子 岡田 尚人 職員課課長 用度・管財課課長 理事長室事務員 理事長室事務員 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.9.1 20.10.11 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 81 〈採用〉 中山三枝子 田中 康規 島崎 都 池田 崇之 狩谷 千里 木南 伸一 舟木 洋 町田雄一郎 林 陽子 松田 琴美 甘谷顕一朗 中村 健二 中田由美子 舛井 奈々 勝田紗代子 山崎 里佳 看護部看護補助員(嘱託) 臨床研修センター研修医 病理病態学(病理学 「 )助教 ゲノム医科学(生化学)助教 看護部看護師 消化器外科治療学(消化器外科学)准教授 消化器外科治療学(消化器外科学)助教 呼吸機能治療学(呼吸器外科)助教 小児科医員 看護部主任 看護部看護師 調理課調理補助員 調理課調理補助員 調理課調理補助員 調理課調理補助員 調理課調理補助員 20.8.1 20.8.4 20.9.1 20.9.1 20.9.21 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 20.10.1 感覚機能病態学(耳鼻咽喉科学)教授 眼科視能訓練士 看護部看護師 職員課(保育所)技能補助員 看護部看護補助員 看護部看護師 生体感染防御学(微生物学・医動物学)准教授 顎口腔機能病態学(口腔科学)助教 中央臨床検査部臨床検査技師 看護部看護師 看護部看護師 侵襲制御学(麻酔学)准教授 環境皮膚科学(皮膚科学)助教 感覚機能病態学(眼科学)研究医 看護部看護師 看護部看護師 診療支援課事務員 調理課調理師 調理課調理補助員 20.7.14 20.7.16 20.7.31 20.7.31 20.7.31 20.8.28 20.8.31 20.8.31 20.8.31 20.8.31 20.9.11 20.9.30 20.9.30 20.9.30 20.9.30 20.9.30 20.9.30 20.9.30 20.9.30 〈退職〉 友田 幸一 後藤亜理沙 南部由美子 坂詰 洋子 中山三枝子 中口詠美子 齊藤 峰輝 長尾 壽和 松本 由佳 浅田伊津美 三原 和美 関 純彦 若松 伸彦 矢口 裕基 澤田 昌子 中地 晴美 越野 清人 中村 和幸 塩本由佳里 〈出向〉 萩原 健太 山本 治郎 感覚機能病態学(眼科学)助教 脳脊髄神経治療学(脳神経外科学)助教 20.9.1 ∼ 21.3.31 20.10.1 ∼ 21.3.31 宇出津総合病院 金沢脳神経外科病院 血液免疫制御学(血液免疫内科学)講師 20.10.1 ∼ 21.9.30 アメリカ国立衛生研究所 発生発達医学(小児科学)助教 呼吸器内科医員 20.9.1 ∼ 21.3.31 20.10.1 ∼ 21.3.31 静仁会静内病院 洛和会音羽病院 〈留学〉 田中 真生 〈研修〉 山村 淳一 山谷 淳代 金沢医科大学報 82 同窓会・後援会 会長から選考経緯の説明があり、坂本会長から受賞者 平成 20 年度 金沢医科大学北辰同窓会 評議員会・総会、全国支部長会 に賞状と副賞、助成金がそれぞれ授与された。 その後、芝本利重学生部長から「学生部の活動状 況」、大原義朗医学部長から「医学教育の現状につい て」の説明が行われた。 総会終了後、会場を移して懇親会が開催された。遠 平成 20 年 7 月 12 日(土) 、 金沢都ホテルにおいて、全 方の会員も参加し、会場では久しぶりの再会で話が弾 み大いに盛上がった。(教育研究事業推進室 堀 愉記) 国から約 70 名の会員が参 加して平成 20 年度北辰同 窓会評議員会・総会および 北辰同窓会賞は、学術的に優秀な功績を顕した会 全国支部長会が開催され 員又は社会的に功績があった た。 会員に対し授与されるもので、 総会に先立ち開催された 司会の大島譲二副会長 〔北辰同窓会賞〕 受賞者は毎年若干名となって 支 部 長 会 で は、 全 国 28 支 いる。 部 1 ブロックの中から 16 支 和久祥三先生(兵庫県立柏原病院 部の支部長および副支部長 18 名 が 出 席 し、 各 支 部 の 活動状況と現状における問題点について報告し、話し 合いがもたれた。 午後 5 時から、 「鳳凰の間」において平成 20 年度北辰 同窓会評議員会と総会が同時に開催された。審議に先 小児科医長、平成 3 年卒業) 福徳雅章先生(医療法人敬仁会お しま病院理事長、昭和 63 卒業) 鶴田 修先生(久留米大学内科学 講座消化器病センター内視鏡診療 和久祥三先生 部門教授、昭和 55 年卒業) 立ち、過去 1 年間に亡くなられた会員 6 名のご芳名が 読み上げられ、全員で黙祷を捧げた。例年どおり坂本 滋会長が議長となり大島譲二副会長が司会を務め、以 〔北辰同窓会研究助成〕 研究助成は、それぞれの学術研究の分野において学 下のとおり審議が進められた。 内・学外で顕著な業績を挙げたもので、卒後 10 年以 第 1 号議案 平成 19 年度事業報告、収支決算報告 内の会員等の若い研究者を対象としている。助成対象 第 2 号議案 平成 20 年度事業計画(案) 、収支予算(案) 者は原則として 5 名以内となっている。 第 3 号議案 役員の選任について 谷浦直子助教(生体感染防御学) 総会終了後、山田裕一学長、飯塚秀明病院長から近 況を交えた挨拶があった。続いて「北辰同窓会賞」と 「北辰同窓会研究助成」の授与式が行われ、宮﨑 巨副 総会 研究テーマ: ウイルス性脱髄におけるウイルス 非構成蛋白の役割 澤木俊興助教(血液免疫制御学、平成 14 年卒業) 研究助成を受けた方々 第 136 号/2008.11 金沢医科大学報 研究テーマ: シェーグレン症候群培養唾液腺上 皮細胞を用いた病態に関わる分子の発現解析 杉浦聡一郎助教(侵襲制御学、平成 14 年卒業) 研究テーマ: 周術期における短時間作用性交換 83 島村英理子講師(分子細胞形態科学) 研究テーマ: 母子間の中枢神経系発生に関わる 分子シグナル伝達経路の研究 佐藤良子助教(循環制御学、平成 12 年卒業) 神経β 1 受容体遮断薬の投与法に関する臨床的 研究テーマ: 閉経後女性における骨代謝と動脈 研究 硬化相関における骨髄由来前駆細胞の意義 平成 20 年度 金沢医大後援会 橘会総会 して説明を行った。 12 時 30 分からは懇親会が開催され、大学から山下 公一理事長はじめ多数の教職員が出席、橘会会員と 和やかに歓談し、午後 1 時 30 分に終了した。その後 4 階に設けた会場で、事前に申込があった 1 年生から 6 平成 20 年 7 月 13 日(日)午前 10 時から、ホテル金沢 年生まで 69 組の学生、ご父母の父母面談会が行われ、 において、全国から 100 名余りの会員が出席し、平成 医学部長をはじめ各学年主任、副主任、指導教員が面 20 年度金沢医大後援会橘会の総会、懇親会が開催さ 談にあたった。 れた。 総会では、久藤豊治会長が議長となり、議案に基づ いて審議を進めた。 議題 1. 平成 19 年度事業報告及び収支決算報告について 議題 2. 平成 20 年度事業計画(案)及び収支予算(案)につ いて 議題 3. 役員の選任について 総会終了後、 「大学の概況説明」に入った。はじめに 山田裕一学長、飯塚秀明病院長が挨拶、引き続き「橘 会賞」の授与式が行われた。勝田省吾学長補佐による 本賞選考経過説明の後、久藤豊治会長から受賞者 2 名 に賞状と副賞が手渡された。この後、芝本利重学生部 長から学生部の現状報告が行われた。今年 6 月に橘会 から大学に寄贈されたバーチャルスライドシステムに ついて野島孝之大学院研究科科長が謝辞を述べ、プロ ジェクターを使いシステムの詳細な説明を行った。最 後に大原義朗医学部長が「医学教育の現況について」 、 (教育研究事業推進室 堀 愉記) 〔金沢医大後援会橘会賞〕 能村幸司大学院生 高齢医学(老年病学) 論 文 名: Outbreak of norovirus gastroenteritis in elderly evacuees after the 2007 Noto peninsula earthquake in Japan(2007 年 能 登 半 島地震時の避難所の高齢者におけるノロウイルス 感染性胃腸炎の集団発生について) 発表雑誌: Journal of the American Geriatrics Society 56(2 ): 361-363, 2008 森 山 学講師 泌尿生殖器治療学(泌尿器科学) 論 文 名: Reduction in oxalate-induced renal tubular epithelial cell injury by an extract from Quercus salicina Blume / Quercus stenophylla Makino (ウラジロガシエキスの蓚酸による腎 尿細管細胞障害抑制に関する検討) 発表雑誌: Urological Research 35(6 ): 295-300, 2007 「本学の現状・二つの全国試験」 、 「今年度の方針」と題 総会 橘会賞受賞者の野村幸司先生(左) 、森山 学先生(右) 【資料】 金沢医科大学報 84 《本学役員の新刊著書》 金沢医大後援会 橘会会長 久藤豊治理事が話題の著書を発刊 久藤豊治 著 九谷風の色絵陶片が発掘され、 「複数の産地で同一 古九谷の神秘 様式の磁器がつくられていた可能性」を探るべきだ 大聖寺藩にキリシタンの影 との意見もあって、産地問題はいまだ決着を見てい ない状況である。 そのような論争に一矢を報いるかたちで、この書 は次のような久藤先生らしい明快なしかも強い書き 出しではじまっている。 『東洋陶磁学会が 1991 年に示した「伝世古九谷は 初期の伊万里焼である」という見解は、大聖寺の地 北國新聞社出版局 に生まれ育ち、古九谷、九谷の焼き物を「加賀百万 定価:本体 1,619 円+税 石の伝統工芸」として誇りにしてきている著者にと B6 変形判、277 頁 っては、全く受け容れ難いものである。 』 平成 20 年 6 月 20 日発行 『九谷焼は、加賀藩三代藩主・前田利常の類稀な ISBN978-4-8330-1637-7 美術工芸に対する造詣と殖産興業の信念に基づく強 烈な統治能力が背景にあったからに他ならない。古 九谷が伊万里焼を産出した有田の地と深い縁を持つ ことは事実であり、焼き物の先発の歴史は有田であ ることは紛れもないことであるが、だからといって、 「古九谷の全てが伊万里」というのは余りにも暴論 大聖寺藩領の九谷村で良質の陶石が発見され、藩 に過ぎよう。その暴論に、亀の子のように頭を竦め 士の後藤才次郎が有田へ焼き物の技術習得に派遣さ るようでは、ふるさとの「大いなる遺産」が泣いて れた。そして帰藩後の 1655 年頃、藩の殖産政策と しまう。ここは、関係者の研究家が再度、理論武装 して窯業が始められたのであるが、約 50 年後にそ に汗を流すべきではないだろうかとの思いで、本書 れが突然廃窯となったという。 の制作に踏み切った次第である。 』 青や緑を多く用いた華麗な色使いと斬新な図柄が 特色の「古九谷」と呼ばれる初期色絵作品群の産地 科学的にものを見るという著者の姿勢が貫かれて については、1960 年代頃から「九谷ではなく佐賀県 おり、科学論文を読むという感じで内容が展開して の有田で焼かれたものである」という説が主張され いく。そして、頁をめくるごとに雄大な歴史ロマン るようになった。有田の窯跡から古九谷と一致する の中に入り込んで行くような思いに駆られ、歴史の 陶片が出土しており、また、石川県山中町の九谷古 空白部分に潜むナゾを解き明かすところは推理小説 窯での出土陶片は古九谷とは作調の違うものである を読むように心をときめかされ、さらには、この地 という理由から、一時は「古九谷はすべて有田の初 に隠れキリシタンの影も見え隠れする推理が現実味 期色絵作品である」との説が定説化するに至った。 を帯びてくる。是非ご一読をお薦めしたい。 しかし、1998 年、九谷古窯に近い遺跡から、古 (広報局 中山正喜記) 第 136 号/ 2008.11 金沢医科大学報 85 金沢医科大学学術振興基金募金について 金沢医科大学学術振興基金募集趣意書 本学は、日本海側では初めての私立医科大学として、昭和 47 年に設立され、倫理に徹した人間性豊かな良医を育成する こと、医学の深奥をきわめ優れた医療技術を開拓すること、人類社会の医療と福祉に貢献することを建学の精神として掲 げて着実に歩み続けてまいりました。 大学、特に医科大学は国の内外を問わず日進月歩の医学・医療をリードする大切な役割を担っていることは皆様充分に ご承知のことであります。本学でも最高の教育・研究設備に加えて、先進医療機器の充実に意を尽くすとともに、基礎・ 臨床医学講座並びに総合医学研究所の各部門において、医学の進歩に貢献できる人材の育成と研究の推進に日夜努力いた しております。 教育面では、教育スタッフとしてすぐれた人材を配し、学生の教育に専念しており、昭和 53 年に第 1 回の卒業生が誕生 して以来、数多くの医師を世に送り出し、それぞれ国内国外の医学・医療の最先端で活躍しております。 研究面では、平成元年に従来の人類遺伝学研究所、熱帯医学研究所及び共同研究室を母体とし、難病治療など医療の先 端的な分野の開拓を目的とした総合医学研究所を設置し、臓器置換・難治疾患・癌・人類遺伝学・熱帯医学・基礎医学・ 共同研究の各部門を中心にプロジェクト研究の推進を図っております。また、国際舞台においても躍進を続けており、欧 米の一流大学や研究所との研究員の交流、海外からの研究員・留学生の受け入れなどを通じて国際レベルの学術環境の整 備にも意を尽くしております。 診療面では、金沢医科大学病院は日本海側随一の規模を誇るまでに成長し、最新の医療機器を整備し、医学教育のみな らず、文字どおり地域医療の基幹病院として順調に発展し、地域社会の要請に応えるべく最新レベルの医療サービスを提 供することにも十分な配慮をしてまいりました。 また、国際医療協力隊の派遣、世界各地域の種々の難病に対する国際医療協力に早くから取り組み、わが国の医科大学 の中ではトップクラスの実績を持っております。 しかしながら、この様な積極的な教育、学術及び医療活動を維持継続していくためには巨額の資金が必要で、学納金、 国庫補助金、附属病院の医療収入などの収入だけでは健全な経営は不可能であり、教育、研究、診療活動を萎縮させる恐 れがあります。 このために、本学では文部科学省の許可を得て学術振興基金の募集を行っており、広く本学教職員、卒業生、学生の父 兄をはじめ、民間企業、篤志家の多くの皆様のご支援をお願い申し上げる次第であります。 日進月歩の医学の進歩に即応した最新の教育、研究及び診療環境を維持するにとどまらず、未来に向けてさらなる貢献 と飛躍を目指して、全学を挙げて努力いたし、社会的使命を果たし得たいと念願しております。 本趣旨にご理解、ご賛同を頂き、ご協力を賜りますれば誠に幸甚に存じます。 学校法人金沢医科大学 理事長 山 下 公 一 募集要項 学術振興基金は次の要領で広く一般の方々からご協力をお願いしております。 1. 目 的: 金沢医科大学の教育・研究の振興と医 療の充実のため活用させていただきます。 2. 目標額: 10 億円 3. 募集先: 在学生、同窓生及びその父兄、教職員、 一般有志者並びに医学研究機関及び医療関係企 業・団体等 4. 学術振興基金へのご寄付は、 「特定公益増進法人寄 付金(個人のご寄付)」及び「受配者指定寄付金(法 人のご寄付) 」による所得税、法人税の優遇措置を 受けることが出来ます。 5. 応募方法: 寄付申込書等を本学教育研究事業推 進室あてにご請求ください。折り返し、手続方法、 税務に関することなどについてご説明いたします。 TEL 076-286-2211 内線 2720 ∼ 2724 FAX 076-286-8214 金沢医科大学学術振興基金への寄付者ご芳名(過去 1 年間の分、敬称略) 大島 譲二(埼玉県) 平川 知之(石川県) 江田 邦夫(長崎県) 安田 允(東京都) 小西 啓子(富山県) 小西 秀男(富山県) 松江 時彦(石川県) 大野 隆(鹿児島県) 梅田 俊彦(石川県) 山根 基(広島県) 堀内 健(長野県) 尾崎 正治(山口県) 医療法人 釜石のぞみ病院(岩手県) 医療法人社団 小川医院(石川県) 有限会社 アカシア商会(石川県) 宮本 弘(徳島県) 池田 正(富山県) 高橋 堅止(秋田県) 高橋 誠(秋田県) ㈲八田物産(石川県) ㈱アクト (石川県) RBS 証券会社(東京都) 鈴木 比佐(大阪府) 塚田トキヱ(福井県) 丸文通商㈱(石川県) 平場 吉治(石川県) 小川 滋彦(石川県) 小豆沢定秀(石川県) 大山 充徳(群馬県) 医療法人社団 沖野会(石川県) 医療法人 かぶとやま会(福岡県) 第 136 号/ 2008.11 86 金沢医科大学報 学報 136 号全目次 医療が揺れるさなかで何をすべきか…………………………2 この 1 年間の学事(教育・研究)活動の総括 …………………4 平成 20 年度医学部学士編入学生入学宣誓式 …………… 6 国際交流センターオープニングセレモニー……………… 8 ■学事 第 42 回教育懇談会 ………………………………………… 9 第 43 回教育懇談会 ………………………………………… 9 平成 20 年度医学部第 2 学年看護体験実習・報告会…… 10 第 36 回解剖学実習解剖体納棺式 ………………………… 11 平成 20 年度墓参行事 ……………………………………… 11 平成 21 年度医学部入学試験説明会 ……………………… 12 平成 21 年度医学部特別推薦入学試験に 173 名が出願…… 12 新任教授紹介(赤井、伊藤) ……………………………… 13 平成 19 年度優良教員表彰 ………………………………… 14 第 2 回看護学部保護者連絡会 ……………………………… 15 平成 20 年度医学部オープンキャンパス ………………… 16 平成 20 年度看護学部オープンキャンパス ……………… 17 <国際交流> CIE Cafe 交流カフェ ……………………………………… 18 内灘祭に留学生が出店……………………………………… 19 パラオ共和国との遠隔医療についての調査……………… 20 <学生のページ> 第 8 回バーモント大学医学部での夏期医学研修報告 …… 22 第 1 回セントマイケルズ・カレッジ語学・医学研修報告 25 体験報告「ドイツでの夏季臨床実習」 …………………… 27 体験報告「福島式 鍵穴手術を見る」 ……………………… 28 体験報告「ドクター福島孝徳を訪ねて」 ………………… 28 医学部第 2 学年看護体験実習レポート …………………… 30 医学部学生のメディカルホームステイ報告……………… 32 クラブ紹介:卓球部、陸上部……………………………… 38 第 60 回西医体陸上競技最優秀選手賞(MVP )受賞者 …… 40 第 37 回内灘祭 ……………………………………………… 41 ■学術 金沢医科大学医学会………………………………………… 42 日本学術振興会 ひらめき☆ときめき サイエンス ……… 44 大学院医学研究セミナー…………………………………… 46 金沢医科大学 FDD-MB センター開設 …………………… 48 第 6 回 KMU 研究推進セミナー(予告)…………………… 50 ■病院 第 29 回連携病院会議 ……………………………………… 51 平成 20 年度医療監視 ……………………………………… 52 病院機能の自己評価と院内サーベイの実施……………… 52 感染教育講演会……………………………………………… 53 平成 20 年度地域と共に「わく・ワーク(work )体験」事業 53 北國健康生きがい支援事業平成 20 年度第 1 回フォーラム 54 第 2 回能登地区がん診療連携協議会・平成 20 年度第 3 回 がん診療連携拠点病院研修会…………………………… 55 平成 20 年度政府総合防災訓練 …………………………… 56 平成 20 年度外来患者満足度調査の実施結果 …………… 57 病院第二期整備事業 病院別館改修に伴う移転 ………… 57 第 22 回喘息サマースクール ……………………………… 58 石川県腎友会「命のキャラバン」運動への協力………… 59 日本黄色い羽根協会から感謝状を受賞…………………… 59 <研修医の頁> 医学生のための臨床研修指定病院セミナー……………… 60 第 6 回臨床研修指導医養成のためのワークショップ …… 60 臨床研修医のための CPC ………………………………… 61 ■管理・運営 病院別館改修工事・看護師宿舎建設工事進捗状況……… 62 第 16 回河北郡市消火技術競技大会 ……………………… 63 互助会:夏・秋のバス旅行………………………………… 63 ■随想・報告 米欧回覧実記を読んで……………………………………… 65 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA )留学記 … 67 セントマイケルズ・カレッジ語学・医学研修視察を終えて 70 福田正道講師 International Society of Ocular Toxicology 学会最優秀賞受賞………………………………………… 72 友杉直久教授「革新的ベンチャービジネスプランコンテスト いしかわ」で最優秀起業家賞受賞 ……………………… 72 ■図書館 第 20 回日本医学図書館協会北信越地区会研修会 ……… 73 新着図書の紹介 …………………………………………… 73 ■資料 理事会………………………………………………………… 75 規程の改正・制定・廃止…………………………………… 75 教授会………………………………………………………… 75 平成 20 年度教育職員外国出張一覧(上半期) …………… 77 人事…………………………………………………………… 80 ■同窓会・後援会 平成 20 年度金沢医科大学北辰同窓会評議員会・総会 …… 82 平成 20 年度金沢医大後援会橘会総会 …………………… 83 ■本学役員新刊著書 「古九谷の神秘 大聖寺藩にキリシタンの影」 ……………… 84 □金沢医科大学学術振興基金募金について……………… 85 表紙写真 金沢医科大学報 第 136 号 冬紅葉の金沢 平成 20 年 11 月 1 日発行 中谷 渉 十一月 立冬を迎えるころ、紅葉は街なかまでやっ 発行者 金沢医科大学理事長 山 下 公 一 編 集 金沢医科大学概要・学報編集委員会 てくる。金沢には美しく紅葉する楓を大切に育てて 編集委員長 米倉秀人 副委員長 原 亮 いる庭が多く、燃えるような色で静かに街を彩ってい 委 員 る。 なほ燃ゆる色を尽くして冬紅葉 稲畑汀子 (いなはた ていこ:俳人。1931 年神奈川県生まれ。小学校時代 から祖父 高浜虚子、父 年尾について俳句を学ぶ。日本伝統俳句 協会会長、 「ホトトギス」主宰。主著に「汀子句集」など。NHK「俳 句王国」の主宰者の 1 人) 発行所 印 刷 松井 忍 八田稔久 竹田浩一 中山正喜 中谷 渉 丸谷 良 北 久直 木下英里 元雄良治 甲野裕之 岩渕邦芳 森 茂樹 坂尾光一 笠間孝一 中嶋秀夫 中川美枝子 北村 修 相野田紀子 小平俊行 前野聡子 松本順治 島 智一 坂本仁志 金沢医科大学出版局 〒 920-0293 石川県河北郡内灘町大学1−1 TEL 076(286)2211 能登印刷株式会社 金沢医科大学ホームページ http://www.kanazawa-med.ac.jp/
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