安 全 報 告 書 2010年 熊本電気鉄道株式会社 1.利用者はじめ地元の皆様へ 弊社の鉄道事業に対して、日頃よりご利用並びにご理解を頂きまして厚く御礼申し上げ ます。 弊社は鉄道を基軸とする交通事業の展開が基本方針でありますが、平成 20 年度から 7 年計画で会社の再建を進めており、再建途上という厳しい状況下ではありますが、お客様 の安全確保を第一の使命として、地域の皆様に安全で快適な移動の提供を行うため法令遵 守のもと、安全輸送に努めております。 本報告書は、鉄道事業法第 19 条の 4 に基づき輸送の安全確保のための取組みや安全の実 態について、皆様に広くご理解頂くために公表するものです。 今後ともより快適な輸送を提供するために、ご意見・ご感想をお寄せ頂ければ幸いです。 代表取締役 中島敬髙 2.基本方針と安全目標 2.1 基本方針 当社の経営理念の第一は安全の確保です。安全に関する基本方針を次のように掲げ、安 全輸送に努めております。 (1) (2) (3) 安全の確保は輸送の生命である。 規程の遵守は安全の基礎である。 執務の厳正は安全の要件である。 安全に関する行動方針は次のとおり定めております。 (1) 一致協力して輸送の安全確保に努めます。 (2) 輸送の安全に関する法令及び関連する規程をよく理解するとともにこれを遵守 し、厳正、忠実に職務を遂行します。 (3) 常に輸送の安全に関する状況を理解するよう努めます。 (4) 職務の実施に当たり、推測に頼らず確認の励行に努め、疑義のある時は最も安全 と思われる取扱いをします。 (5) 事故・災害等が発生したときは、人命救助を最優先に行動し、すみやかに安全適 切な処置をとります。 (6) 情報は漏れなく迅速、正確に伝え、透明性を確保します。 (7) 常に問題意識を持ち、必要な変革に果敢に挑戦します。 2.2 安全目標 2010年度の安全目標を次のとおり定めております。 区 分 定量的な目標 項 目 内 列車事故(衝突・脱線・火災) 有責事故 0 乗客の死傷事故 死傷者数 0 踏切故障に伴う事故 発生件数 0 容 2.3 目標に対する実績 安全目標に対する過去3年間の実績は次のとおりです。 2007 2008 2009 列車事故(衝突・脱線・火災) 0 0 0 乗客の死傷事故 0 0 0 踏切故障に伴う事故 0 0 0 年 度 3.事故等の発生状況とその再発防止措置 3.1 鉄道運転事故 過去 3 年間の鉄道運転事故の発生状況は次のとおりです。 ※( )は死傷者数を示しております。 事故の種類 踏切障害事故 2007 2008 3(2) 2009 1(0) 5(3) 2009 年度の事故は踏切通行者が踏切手前での左右確認を怠った為に発生したものでし た。この中で、不幸にも 1 名の方がお亡くなりになりました。そこで、踏切を通過される 場合は、必ず一旦停止及び左右確認をお願い致します。当社列車運転士に対しても前方注 視を怠ることのないよう指導を行ってまいりますので、事故防止にご協力をお願い致しま す。 3.2 災害(地震や暴風雨、豪雪など) 2009 年度は、自然災害による列車運休はございませんでした。 3.3 輸送障害(30 分以上の遅延や運休) 2009 年度の輸送障害は 3 件発生いたしました。お客様には大変ご迷惑をおかけ致しまし た。内容は次のとおりです。 ① ② ③ 2009 年 7 月 14 日、上り藤崎宮前駅行きの列車が黒石駅に到着直前、運転台の異常 を示すランプが点灯したため、緊急停車を行ない、直ちに車両点検を行なったとこ ろ、床下機器に異常が発見されたため運行が不能となりました。 2009 年 12 月 8 日、上り藤崎宮前駅行きの列車が堀川駅に到着直前に床下から異音 がしたため、直ちに緊急停車を行ない、直ちに車両点検を行なったところ、床下機 器に異常が発見されたため運行が不能となりました。 2010 年 2 月 6 日、下り御代志駅行きの列車が亀井駅~八景水谷駅間を走行中、前方 に倒木を発見したため、緊急停車の手配を取りましたが間に合わず列車右前前部と 衝突したものです。 上記、3 件につきまして①及び②は車両の不具合箇所の補修、③は沿線の障害物になり 得るものの再点検を行ない、再発防止策を行いました。 今後も、再発防止に努め、お客様にご迷惑をおかけしないように努力してまいります。 3.4 インシデント(事故の兆候) 2009 年度、九州運輸局へのインシデント報告はありませんでした。 (注釈)インシデントとは事故に繋がる恐れのある事態。 3.5 行政指導等 2009 年度、国土交通省から保安監査が行なわれ、下記の行政指導を受けました。 【改善指示事頄】 レールの異常磨耗や頭部傷の修繕。軌道変位の測定値が基準外箇所の修正。一部で軌条 磨耗検査が未実施。レール継目で無遊間状態の連続。犬くぎの浮き及び離れを「有り」 と判断した箇所の未保守。噴泥箇所の存在。こう配表の未設置。踏切保安設備の動作基 準値以下。電車線路検査の周期超過。車両検査の一部未実施。信号炎管の管理不備。指 揮命令系統内の役職不在。 【改善勧告事頄】 転てつ装置の検査結果の記載漏れ。電車線の偏位検査の記載漏れ。自動列車停止装置の 検査の記載漏れ。電車線支持物検査の記載漏れ及び修繕結果の記載漏れ。連動装置検査 の記載漏れ。変電所検査記録の記載漏れ。鉄道と道路の境界表示の不鮮明。車止め設置 図及び線路標設置図の未設置。係員に対する教育記録の不備。新須屋駅ホーム上の誘導 ブロックの消滅。 以上の頄目に対して、行政指導を受けましたので、指導を受けた部分に関しては早急 な対応を図っております。 今後も皆様を安全・快適に輸送するために安全確保に努力をしてまいります。 4.輸送の安全確保のための取組み 4.1 人材の対策 (1)社外講師によるヒューマンエラー等に対する教育 平成 22 年 2 月 12 日、 九州旅客鉄道株式会社 熊本支社の安全推進室長をお招きし、 当社鉄道関係従業員に対して、意識の向上並びにヒューマンエラーに対する教育を行 ないました。 教育の中では、人がミスを犯す行動原理等を簡単な試験方式で行なって頂き、自身 の業務に当てはめたヒューマンエラーを起さないような意識を持つための教育がなさ れました。 (2)緊急時対応訓練 10 月~11 月は、緊急時の対応訓練として運転士一人一人に対して、当社にあります 車両に不具合が発生した場合の取扱いについての教育を車両工場の担当者並びに監督 助役により教育・指導を行ないました。 又、10 月には、例年行なわれております九州旅客鉄道株式会社 熊本支社で行なわ れました「総合脱線復旧訓練」を見学させて頂き、当社鉄道従業員(線路・車両)へ の、脱線時の復旧作業の手項等を学ばせて頂きました。 JR 脱線復旧訓練 社外教育 4.2 車両不具合時の対応訓練 派遣駅長教育 設備対策 (1)車両の管理 2009 年度は、全般検査(8年に1回行う車両全般についての定期検査)を1編成外 注にて行いました。 また、車輪更新工事も1編成、外注にて実施しました。 更に6000形車両の冷房装置(クーラー)1台を外注にてオーバーホールを実施 しました。 (3)その他の安全対策 その他の安全対策としまして、線路整備工事(マクラギ更換、軌道保守等) (レール 更換、噴泥箇所の補修等の行政指導を受けた箇所の整備) ・信号機連動検査・トロリー 線張替え工事等を実施しております。 5.当社の安全管理体制 5.1 安全管理組織 当社では社長をトップとする安全管理組織を構築・運用しております。この組織の中で それぞれの責務を明確にした上で安全確保のための役割を担っております。 社 総 務 部 長 鉄 道 事 業 部 長 (安全統括管理者) 技 術 課 長 ( 施 設 管 理 者 ) 電気担当責任者 長 保線担当責任者 技 術 課 主 査 ( 車 両 管 理 者 ) 運 輸 課 長 ( 運 転 管 理 者 ) (乗務員指導管理者) 車両担当責任者 運転担当責任者 運転司令担当者 運転士 5.2 安全管理 安全統括管理者を選任するとともに、経営者をはじめ輸送の安全の確保に係る役割を定 めております。 役 社 職 役 長 鉄 道 事 業 部 長 (安 全 統 括 管 理 者 ) 運 輸 課 長 ( 運 転 管 理 者 ) 運 輸 課 長 (乗 務 員 指 導 管 理 者 ) 技 術 課 長 ( 施 設 管 理 者 ) 技 術 課 主 査 ( 車 両 管 理 者 ) 割 輸送の安全の確保に関する最終的な責任を負う。 輸送の安全の確保に関する業務を統括する。 運転に関する事項を統括する。 運転管理者の指揮の下、運転士の資質の保持に関する事項を管理する。 安全統括管理者指揮の下、施設に関する事項を統括する。 安全統括管理者指揮の下、車両に関する事項を統括する。 6.地元の皆さまとの連携とお願い 6.1 最終列車の延長について 2009 年 4 月 1 日より、お客様の利便性を向上のために、藤崎宮前駅発の最終列車を 2 時間延長致しました。 これまでの乗降調査等でご意見をお聞かせ頂きました中で、多くのお客様から最終列車 を遅い時間まで延ばして欲しいとのご要望を頂いておりました。又、御代志駅発の始発列 車につきましても北熊本駅での上熊本駅への接続が不便であるとのことでしたので、始発 列車の増便も行ないました。 どうぞご利用頂きますようお願い致します。 6.2 こども110番の駅 当社の北熊本駅では『こども110番の駅』として地域の子供達を守る為の取組みを行 っております。 [主旨] ・ 「こども110番の駅」では、不審者(犯人)から逃れるために逃げ込んできたこ どもの安全を確保します。また、犯罪発生時のみでなく、日頃から安全への配慮を心 がけ、安全な地域づくりに貢献するとともに、こどもにとって楽しく、親しみやすい 駅づくりを目指します。 ・ 「こども110番の駅」のステッカーを見て、こどもが駅に助けを求めにきた場合、 こどもを保護し、こどもに代わって110番通報を行うなどの対応をとります。 6.3 自転車の列車内持ち込みについて 自転車の持ち込みに付きましては、雨・雪など自転車が濡れる天気を除き、平日は持ち 込める時間帯を決めておりますが、日曜・祝日におきましては、当社の指定する年末年始 等の日曜・祝日を除き、終日持ち込み可としました。 [持ち込みについてのお願い] ・ 時間帯:平日・土曜の午前 9 時から午後 3 時 30 分まで(ラッシュ時間帯を除いたもの) ・ 雨の日及び雪の日など、自転車が濡れるような日の持ち込みはお断り致します。 (他のお客様の服などを汚す恐れがあるため) 尚、晴れの日でも団体等、多くの乗車がある場合にはお断りすることがあります。 ・ 電車内は最前部が運賃支払い場所となっているため、自転車は後部車両に乗せていただ き、安全のため必ず手で支えて下さいますようお願い致します。 7.問い合わせ先 安全報告書へのご感想、当社の安全への取組みに対するご意見をお寄せ下さい。 熊 本 電 気 鉄 道 (株 )北 熊 本 駅 TEL 096-343-2552 FAX 096-343-2508 E‐mail rail@kumamotodentetsu.co.jp ■月~金 8:30~17:30 (祝日を除く)
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