S & I BANGKOK NEWSLETTER NO.77 2001.1.25 発行責任者 井口

S & I BANGKOK NEWSLETTER NO.77
2001.1.25
発行責任者 井口 雅文
発
行
S & I International Bangkok Office
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+66-2-261-6449、6466
FAX/TEL
+66-2-261-6419、6379
Address : Oriflame Asoke Tower 23rd Floor, 253 Sukhumvit Soi 21 (Soi Asoke)
Bangkok 10110, Thailand
E-Mail : iguchi@mx1.nisiq.net
(注:mx1 の「1」は数字です。)
iguchi@loxinfo.co.th
S&IWebsite: http://www.s-i-asia.com
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S & I International Bangkok Office Co., Ltd.
社内用・社外用を問わず無断複製(電子的複製を含む)を禁ずる
~事務所より~
(2 月、3 月のタイ祝祭日及び弊所休暇のお知らせ)
2 月 8 日が祝祭日です。
(ホームページ更新のお知らせ)
弊社ホームページを 1 月 25 日付けで更新しました。今回は、ニュース(英語版及び日本語版)
http://www.s-i-asia.com/news-JPN.htm 、 裁 判 関 係 デ ー タ 、 出 願 関 係 統 計 デ ー タ
http://www.s-i-asia.com/statis.htmを更新しました。ご高覧ください。また、特許法、商標法
等の法律訳文につき英訳を用意しました。ご活用下さい。前回、お知らせしましたが、近々(1
月末作業予定)、一部のファイル(英文法律、知的財産裁判所統計、ニュースアーカイブなど)
にパスワードセキュリティをかけます。もし、ご入用でしたらユーザー登録して戴き、ご利用
下さるようお願い致します。登録は無料で、顧客管理をさせて戴きます。ミラーサイトを
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/7026/index.htmlに開設致しております。次回更新
は 2 月 25 日に予定しています。
(知的財産関連セミナーのお知らせ)
1
2 月 19 日および 20 日に日本発明協会、日本特許庁、タイ政府知的財産局、チュランロンコン
大学知的財産研究所、タイ知的財産同窓会主催のセミナー「証券とニュービジネスの知的財産
権」がバンコクのノボテルサイアムスクエアで開かれます。ご関心ある方は弊所までご連絡下
さい。
(弊所事務所移転について:再送)新規委任状を作成される場合、ご注意下さい。
2000 年 8 月 1 日付けで
Address : Oriflame Asoke Tower 17th Floor, 253 Sukhumvit Soi 21 (Soi Asoke)
Bangkok 10110, Thailand
から、下記住所に移転致しました。同一ビルでの移動です。電話、ファックス番号に変更はあ
りません。
Address : Oriflame Asoke Tower 23rd Floor, 253 Sukhumvit Soi 21 (Soi Asoke)
Bangkok 10110, Thailand
~編集者より~
今年は 2000 年問題の昨年とは違い、一気に年が明けた。1 月 9 日の日本弁理士会理事会で私
の弁理士登録が新弁理士法の下で承認された。長年待っていたとは言え、いざ弁理士となると
心引き締まる思いがする。1月6日のタイ下院総選挙で、昨年小紙が予想したとおり、民主党
が敗れ愛国党が政権をとった。多くの公約をした政権だが、中でも全土の各一村に 100 万バー
ツの寄付をするという公約は、消費税引き上げに繋がりかねない。既に新聞では消費税 7%が
10%になると予想している。極めて難しい経済運営となると予想される。まだ、全議席が整っ
ていないが、遅くても3月には全ての閣僚及び議員が整う予定である。
最近は、パソコン市場の市場飽和感がバンコクでも感じ取ることができる。ソフトコピーを取
り扱っているパンティププラザにおいてもソフトコピー販売店が確実に減少し始めている。そ
の反面、パソコン周辺機器売り場は広がっている。マイクロソフトの成長限界か。
昨年、このニュースでは紹介しなかったが、タイ最高裁判所がマイクロソフト対ATEC(地
元企業)の裁判で、マイクロソフトに対し敗訴を言い渡した。理由は、マイクロソフトが行っ
た証拠収集方法が刑法違反であるというものである。つまり、金銭を与えてのおとり捜査だっ
たからである。詳細は別途ということとし、この判決は様々な論議を巻き起こしている。タイ
政府幹部でさえこの判決には不服であると語っていた。明らかに著作権法違反(フリーローデ
ィングと言いハードディスクに無料で書き込んでパソコンを組み立て販売するというもの)で
あるにも係わらず、証拠採集方法に疑義があるとした。この判決にはフリーローディングその
ものについての見解が何も示されていない。外国人の目から見ると、なんとも釈然のしない判
2
決である。実際に判決が出た後、マイクロソフトの米国人弁護士は「タイの裁判官は技術が分
かっていない」とコメントを出した。この発言に対してタイ法曹界は猛烈に反発した。タイ政
府に対し、「外国人弁護士の入国ビザを調査するよう」要求したのである。つまり、当地で働く
外国人弁護士の多くが就労ビザを取得せずに所得を獲得している(いわゆる不法就労に該当)
という実態があるからで、これを突いた形となった。この要請に対し、実際にタイ政府が動き
出した気配は無いし、タイ法曹界はさらに要求した記録も無い。つまり、「いつでもあなた方外
国人弁護士は、国外に叩き出せるのだ」という示威表示が目的だったのである。
そもそも、タイという国は、非常に排他的な国柄である。
「微笑みの国」と言われていても内実、
内国人(国内企業)に都合のよいように外国人(外国企業)を振り回しているのが実態である。
特にバンコクという国際都市の裏にある精神は、実は非常に排他的なものではないかという疑
問をずっと持っていた。ニコニコした裏の顔は、シリアスな顔が覗く。日本人も大なり小なり
同じなのかもしれない。だが、バンコクのウリはこの国際的雰囲気が外国資本を誘致する大切
な要素であるため、その表側は非常に友好的なのだ。と、そんな以前から私が抱いている感情
が沸沸と沸き起こってきたからである。
昨年、ある知り合いのドイツ人弁護士が、「あるドイツ企業が商標を出願したらタイ政府に類似
性で拒絶された、しかしその直後にそれに非常に良く似た商標を登録した。登録したのはタイ
国内企業である。ドイツ企業とその国内企業との間に取引関係があった。つまり、タイ政府審
査官は国内企業贔屓をしている。」と言っていた事を思い出した。そんな風土の中で、外資系企
業は進出し、ビジネスを展開している。いや、せざる負えないのである。知的財産権は外国人
のためにある制度という一般的国民の理解が、的を得ているのが現状である。そんな中でどう
やって外国人の権利を守ればよいものか。考えるにあたって、参考にしたいのは、その歴史で
ある。
一 橋 大 学 水 岡 ゼ ミ の ウ ェ ブ サ イ ト で 1997 年 に 行 わ れ た 調 査 報 告 が あ る 。
http://econgeog.misc.hit-u.ac.jp/excursion/97thailao/97thailao.html
「国際分業と第三世界
のはざまで」の中で、こんな一説があった。「アユタヤ朝は 1350 年、ウートーン領主ウートー
ン侯によって、アユタヤを都に建国された。15 世紀半ばから、捕虜のクメール人を使って中央
集権制を確立したが、ビルマとの戦いが続き、1569 年にはアユタヤが陥落してビルマの支配を
受ける。しかし 1589 年、ナレースワン大王の時独立を回復。その後、17 世紀のエーカートッ
サロット王、ソンタム王、ナライ王の時代には、アジアに経済的フロンティアを拡張してきた
ヨーロッパ諸国を受け入れ、アユタヤは交易都市として大いに繁栄した。1516 年、当時グロー
バルな覇権を及ぼす帝国だったポルトガルと友好通商条約が結ばれたのをはじめ、オランダ・
フランス・イギリスとも、香辛料・米・野菜を輸出し、近代兵器を輸入するなど積極的な経済
交易が行われた。だが政治の面で内政干渉には強く抵抗し、欧州諸国同士を競わせてバランス
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をとり、1国のみの優越を許さなかった。日本との交易もあり、山田長政で有名な日本人町も
あった。とはいえ国王の専売制のために利益が上がらなかったことは、欧州諸国に次第に不満
を生んだ。これに対しタイは、1688 年のナライ王死後、ヨーロッパ人排斥で応ずる。さらに
1767 年ビルマの進攻で、栄華を誇ったアユタヤは陥落し、各地の土侯は独立を宣言して、離反
していく。」つまり、アユタヤ(バンコクから北へ車で2時間の地)王朝(1350~1767)の時
代、当時パリ、ロンドン、江戸と並ぶほどの東南アジア随一を誇る国際都市アユタヤは、諸外
国との通商バランスの微妙な関係の中で成り立っていたのである。この中で、王朝は自らの利
益と反するような不満に対しては排斥という断固たる態度に臨んでいたことが分かる。当時、
いかに国際的だったのか。もう少し話しを続けておきたい。日本人町の人口は最大で約 3000
人居た。さらに、アユタヤには中国人、インド人(イスラム)が多く、15 世紀には国王直下の
外
交
機
関
に
そ
の
担
当
課
す
ら
http://www.mahidol.ac.th/Thailand/history/ayuthaya.html
在
っ
た
と
い
う
。
当時の外国人で山田長政同様に
重用された者の中に、ギリシャ人のコンスタンティン・フォールコンがいる。タイの事典(同
朋舎)によると「1685 年から 88 年まで、アユタヤ王朝ナーラーイ王の宮廷政府の主席大臣職
の一つマハートタイの地位にあった。彼がオランダ、イギリス両インド会社の利害を無視して
個人貿易商人を後援し、ペルシャ人、マレー人、インド人などのイスラム商人を圧迫したこと
により、反発を買った。その一方で、フランス人布教師に接近し、国王にキリスト教への改宗
を図り、盛んに親仏政策を推進。このため反対勢力を刺激して、88 年革命を招き、処刑される。
彼の妻は日本人である。
」これを読むと、如何に当時のアユタヤが国際都市であり、かつ任用に
おいても外国人を重用していたかが分かる。また、日本人女性もやはり現代同様に当時も活躍
していたのが伺える。
このアユタヤの雰囲気は、何故か今のバンコクの雰囲気と似たものを感じざる負えない。例え
ば現在タイ政府が抱える外国人専門家は数多い。この専門家を利用して援助プランを作成させ
る。当然に外国政府から援助金を獲得する時は外国人専門家の力量を試すこととなる。余り専
門家が幹部に近づくとその反発を買い、時には排斥といった図式は、実はアユタヤ王朝の時代
からあったのかと最近思うようになった。このやり方は日本の明治政府で行われた外国人雇い
制度とは外見上似ているものの、その精神(その心)が根本的に違うのかもしれない。アユタ
ヤの歴史からの学ぶ教訓は、1.他の諸国の専門家を上回る知識を有する専門家を投入し(まず
は競争に勝つこと)、2.幹部からの重用には一定の距離を置き、3.他の援助国との共通する利益
は同一戦線を張ること。
であろう。互いに消耗して競争する援助は、当に彼らの思う壺であ
る。もっとドライな感覚が必要なのではないか。当地において、排斥されずに日本あるいは自
社利益を誘導するには日本国内組織以上に、極めて鋭いバランス感覚が必要であることは言う
までもない。ドライなバランス感覚…今回の結論としたい。タイ国民の精神構造や外交理念は
4
アユタヤ時代に形成されたのだろうか。とすると、我々、日本国民は江戸時代の鎖国的精神構
造を未だに引き継いでいるというのもあながち嘘ではないと思うのだが。
~シンガポールで BSA が行った海賊版追放キャンペーンは著作権法を違反したものかもしれ
ない~
シンガポールで行った BSA の小企業向けの調査では、15000 社に質問票を配り、締め切りま
でに返送しない場合には“breaking the law”とした事について、法律専門家は脅迫の意味が含
まれていると論議を呼んでいる。英国法と違い、シンガポール著作権法には法手続きの根拠の
ない脅迫は脅迫をした人を訴えることができると規定してある。調査票には’to avoid breaking
the law, complete and return’と書かれてあり、ストレイトタイムズ紙の弁護士によるとこれは
非常にシリアスであると語っている。(2000 年 12 月 11 日、シンガポールストレイトタイムズ)
~インドネシアで営業秘密法、意匠法、半導体回路配置保護法が国会承認された~
2000 年 12 月 4 日に知的財産に関する 3 つの法律が国会を通過した。これらの法律の規則は 6
ヶ月以内に作成されると Achmad Zen Umar Puba 貿易大臣が発表した。また、これらの法律
は 20 日にワヒド大統領のサインが終了した。(2001 年 1 月 4 日、タイネーション)
~タイの料理トムヤムクンの研究が海外からの特許取得に火を付けることになる~
Institute for Traditional Thai Medicine はトムヤムクンに消化管の癌に対する抗がん作用が
あるとの研究結果から、海外からの特許取得に怯えている。同研究所の Pennapha Subcharoen
によると、今回のタイ日本の合同研究によってトムヤムクンは世界でさらに有名になったと語
り、タイの人々が何世代にもわたり食してきた伝統的食料が海外から商業的利益を取得しよう
とするのではないかと恐れている。トムヤムクンが癌を防ぐことを明確に示した研究はまだな
いが、スープの成分のハーブは健康によいと広く知られていると語っている。(2000 年 12 月
16 日、バンコクポスト)
~タイの科学協会がイノベーションに賞を設定する~
タイ科学協会は国王の後援の下に、第一回Thailand Innovation Awards(TIA)をタイ人若者達
の創造力を育てるために創設した。"Seeking a New Generation of Researchers to Lead
Thailand Towards a Prosperous and Sustainable Future" の ス ロ ー ガ ン で 、 German
Technical Cooperation(GTX)、タイ商務省知的財産局、Innovation Development Fund,タイ航
空の協力で行われる。この審査を受けるためにはタイ科学協会へ申請書類を提出しなければな
らない。TIAはwww.tiacompetition.orgを開設している。
(2000 年 12 月 21 日、バンコクポ
5
スト)
~タイの ATEC(地元企業)がマイクロソフト相手に法廷闘争で勝つ~
ソフト著作権侵害事件では世界最大のソフト企業に地元企業が法廷で勝った最初の事件となっ
た。2 年前、マイクロソフトは ATEC をウィンドウズ 95 タイ語版とマイクロソフトオフィス
95 をハードディスクに違法ローディングしていたとして著作権侵害で訴えた。第一審では、知
的財産裁判所は ATEC が侵害していたと判決を下した。しかし、ATEC が上訴し、2 年後、最
高裁は ATEC は無罪と判断し、知的財産の専門家にショックが走った。最高裁は販売者から得
た証拠の収集方法に注目し、被告は常に不正ソフトをパソコンに導入していることを証拠は示
していないと判断した。知的財産を取り締まる当局はこの判断は取り締まりをいっそう困難に
させると困惑している。
(2000 年 12 月 26 日)
~タイ語のドメイン名サービスが開始された~
英語に不慣れなタイのインターネット利用者に新しい機会が与えられた。今年からタイ語ドメ
イン名登録が開始されたのである。タイ語名の利用を標準化するために National Information
Technology Committee は 7 文字のドメイン名を登録することを結論した。政府機関は.rath,
非営利機関は、.ongkorn、 教育機関は、.suksa、商用は.com、個人は.issara となる。(2000
年 12 月 26 日、タイネーション)
~タイで 300 万バーツの基金で海賊行為に対抗する~
タイの映画産業のプロデューサ、地方販売会社、劇場操作者が、寄付し、Federation of National
Film Association of Thailand がこの基金を管理運営することとなった。同連盟の代表 Kom
Akadej によると、「映画会社が不正映画 CD に対抗し保護手段を見出すために一緒となったの
は初めてである」と語っている。同氏によると、映画産業に与えている損害は試算することが
できないが、状況は悪化していると語っている。新しい海賊版 CD は1枚 99 バーツで販売さ
れている。Thai Entertainment Co の映画プロデューサ Visute Poolvaralaks 氏は Satree
Lex
という映画で 1 億バーツのヒットを出したが、映画チケットの 50%が海賊版に流れていると考
えている。地元映画市場は 20 億バーツ市場で、その内 85%がハリウッド映画、12%がタイ映
画、3%がそれ以外となっている。(2000 年 12 月 27 日、バンコクポスト)
~タイでマレーシアからの偽のタバコを水際防止した~
マレーシアから輸入された偽の Krong Thip ブランドのタバコ 46000 箱が政府によって押収さ
れた。この箱は偽の書類と共に Map Tha Phud 港で発見されたもので、マレーシアからシンガ
6
ポール経由でタイに持ち込まれたことが分かった。偽のタバコはタイのタバコ専売局にとって
は別に新しい事件ではない。1998 年には同じブランドで 1370 万本、68500 箱の偽物がサラブ
リで押収された。しかしながら、専門家によると最近の偽物は味や包装において、極めて真正
品に近づいていると指摘している。税関によると、発見される偽物の数は市場に流れ込む買う
のほんの一部にすぎないとしている。現在市場の 13%が外国ブランドで占め、年間 400 億バー
ツの売上となっている。
(2001 年 1 月 8 日、バンコクポスト)
~タイでソフト海賊版との戦い~
ソフトウェア企業の民間団体である BSA(Business Software Alliance)はいわゆるエデュテ
インメント(edu-tainment)についての海賊版取締りを地元ソフト開発業者の団体である
Multimedia/Computer Aided Instruction(MMCAI)と共に活動することとなった。これは、
BSA が過去 3 年間、ビジネスソフトを重点的に取り締まっていたが、今後エデュテインメント
ソフトに重点が移ることとなる。MMCAI は地元企業 20 社の団体で、Association of Thai
Software Industry(ATIS)の一部を構成している。BSA の Huey Tan 副議長は昨年のエデュテ
インメントソフトの地元市場は 25.6 億バーツで、その内 2 億バーツが MMCAI の製品である。
これは、ほとんどのソフトが海賊版で流通していることを示していると語った。
(2001 年 1 月
17 日、タイネーション)
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