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イノベーションセミナー
(配布用)
「自動車の未来動向とそれを支えるIT」
1.メカトロニクスからスマートグリッドへ
2.物づくりの原点とそれを支えるシステム
2010年12月8日
アイシン・インフォテックス(株)
川 勝
務
本日のアジェンダ
1. アイシン・インフォテックス(株)会社紹介
2. 車のグローバル生産・販売動向
3. 車の進化(メカ~メカトロニクス~スマートグリッドへ)
- 自動車の進化を支えたIT(エンベッデッドとITS) ー
⇒ 製品組み込み分野(エンベッデッド分野)
⇒ ITS分野
4. 車の開発・生産を支えるIT
⇒ デジタルエンジニアリング分野
⇒ 情報システム分野(基幹システム、情報系)
⇒ 生産制御。物流分野
5. 物づくりの原点と将来
⇒ ITのかかわり方(システム構築の原点を再考)
⇒ 生産現場におけるシステム構築活動紹介(コンピューターか?人か?)
⇒ これからの日本・・・物づくり?
1.アイシン・インフォテックス(株)
(AIX)
会社紹介
トヨタ系の総合部品メーカーである
アイシンングループの
情報子会社
1-1. アイシン・インフォテックス(AIX)会社概要
アイシングループ主要6社
アイシン精機
アイシン・エイ・ダブリュ
アイシン・エー・アイ
アドビックス
IT機能集約、シェアードサービス、
システム統合・運用統合
アイシン化工
他アイシン・
グループ 147社
アイシン高丘
アイシングループの
IT機能統括会社
2. 車のグローバル生産・販売動向
・販売
・生産
・品質
2-1. 自動車の国内販売台数
万台
自動車の国内販売台数
800
10年 479万台(予測)
上半期実績(251.6万台)
600
400
200
0
'90 '91 '92 '93 '94 '95 '96 '97 '98 '99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09 '10
1990年と比較して▲約40%
2-2. 各国自動車販売台数(暦年)
1750
米国
1500
日本
1250
1000
ドイツ
750
中国
500
ブラジル
250
インド
0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
・日本は‘90年をピークに販売台数は減少(’08年度で▲250万台)
・中国は‘00以降急増・・・約900万台
2-3. 自動車(4輪)の輸出台数
急激な円高
万台
プラザ合意
800
(‘85/9)
ルーブル合意
(‘87/2)
700
600
500
400
円高基調で輸出減少
市場拡大による輸出拡大
300
200
ドル安基調で輸出拡大
100
0
'7 5
'7 6
'7 7
'7 8
'7 9
'8 0
'8 1 '8 2
'8 3
'8 4 '8 5
'8 6
'8 7 '8 8
'8 9
'9 0
'9 1
'9 2
'9 3
'9 4
'9 5
'9 6
'9 7
'9 8
'9 9
'0 0
'0 1
'0 2
'0 3
'0 4 '0 5
'0 6
'0 7 '0 8
プラザ合意以降、円高により日本経済の規模は相対的に急拡大
'0 9
2-4. 日本車の生産台数と輸出台数
1400
生産+輸出台数
1200
生産量は約18%の伸び
(1000万台⇒1180万台)
1000
800
600
輸出量は約60%の伸び
(400万台⇒650万台)
400
生産ー輸出
200
輸出台数
輸出台数
0
'93 '94 '95 '96 '97 '98 '99 '00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09
国内販売量
の減少
2-5.自動車(4輪)の国別生産台数
注) JAMA資料より
2-6. 品質は「差別化」から「生存条件」
(件)
リコール届出件数と対象台数の推移 (国産車+輸入車)
(千台)
500
8000
450
400
件数
7000
対 象 台 数 (千 台 )
6000
350
300
‘08年度 国産車
設計要因:169件(74%)
90年代半ば
以降急増
250
5000
4000
製造要因: 60件(26%)
200
3000
150
2000
100
1000
50
0
0
69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08
<出典 : 国土交通省HPより>
部品の共通化が進み品質レベルをより上げる必要あり(品質が命取り)
補1.自動車を取りまくIT
ーエンベッデッドとITS、車の開発・生産ー
● 電子制御、 ITS
⇒ ④ 製品組み込み分野(エンベッデッド分野)
⇒ ⑤ ITS分野
● エンジニアリングチェーンマネジメント(ECM)・・・車の開発
⇒ ① デジタルエンジニアリング分野
● サプライチェーンマネジメント(SCM)・・・車の生産
⇒ ② 情報システム分野(基幹システム、情報系)
⇒ ③ 生産制御。物流分野
補2.自動車におけるITを活用する5つの分野
エンジニリングチェーンマネジメント(ECM)
①デジタル
・CAD
エンジニアリング ・CAM
・CAE
分野
②情報システム
分野(基幹システム)
・生産管理(受発注)
・原価管理
・部品表(BOM) 等
情報系システム
IT
(情報技術)
③生産制御・物流
分野
⑤ITS
分野
・BGM
・ナビゲーション
エンベッデッドとITS
④製品組込み
分野
・ECU
サプライチェーンマネジメント(SCM)
・自動ラック制御
・工場内物流(AGV)
・ICチップを利用した
生産情報管理 等
3. 車の進化
メカ~メカトロニクス~スマートグリッドへ
- 自動車の進化を支えたIT-
・エンベッデッド
・ITS
3-1. メカトロニクス(制御系)システムの基本概念図
メカニカル機能(制御対象物)
アクチュエーター
センサー
・圧力センサー
・加速度センサー
・温度センサー
・地磁気センサー
・回転センサー
・
等
制御ロジック
(差別化)
・電気モーター
・油圧
・ソレノイド
・エアー
等
制御ロジックによって製品機能に付加価値が加わる
メカによる差別化 ⇒ ソフト(IT)による差別化
3-2. 自動車の現状と今後
1.車の高度化(Intelligent、Safety、Amenity、Ecology)
⇒エンベッディッド(製品組み込み分野)
2.ガソリン車からハイブリッドそしてEV(電気自動車)へ
3-3. 車の変化
自動車の限りない発展・進展
(昔)走る・止まる・曲がる
(今)・FUN性
家や街にいるよりわくわくし、楽しくなる(タイクツしない)車
・Comfort性(快適性)
家や街にいるのと同じくらい、らくらくな(イライラしない)車
(IPA、音楽、ナビ、リビングのくつろぎ・・・)
(将来)・走っても空気を汚さない車
⇒走れば走るほど空気がきれいになる車
・ぶつかっても死なない車
⇒何があってもぶつからない車
・エネルギーの蓄積・発電機能としての車(都市インフラ)
(電気自動車(EV)、ASV技術の発展)
ASV技術: Advanced Safety Vehicle 先進安全自動車
身近で実用化も始まっている「衝突軽減ブレーキ」「レーンキープアシスト(車線維持支援装置)」
「居眠り警報装置」「車間距離警報装置」などがそれに当たる。
3-4. 現在の車のコンセプト(トヨタ車を中心に)
1.Performance
環境性能・安全性能・動力性能を追求したエンジン。
運転の楽しさを広げ、ドライバーの負担を軽減する最新技術。
2.Intelligent Driving
ドライバーがこう進みたいというイメージ通りにコーナーを抜ける
3.Driving Support & Safety
ドライバーの負担を出来る限り減らし、より快適に安心して運転が出来るようにする先進技術
4.Amenity
使うたびに、触れるたびに感じる上質感、快適性
5.Ecology
注
環境配慮設計(ECO-VAS)の強化による「トータルクリーン」をめざして
6.Network Support
ドライバーのコンシェルジュとしての情報ネットワーク(G-BOOK)
注) ECO-VAS:Eco-Vehicle Assessment System
車両開発責任者が企画段階で生産、使用、廃棄にいたるLCA(ライフサイクルアセスメント)の
考え方を踏まえた環境目標値を設定。
全開発プロセスを通じて目標達成状況をフォローして必達を図る総合的な環境評価システム
3-5. Intelligent Driving
1.VDIM制御(Vehicle Dynamics Integrated Management)
⇒エンジン、ブレーキ、ステアリングなど個々の単独制御ではなくそれぞれをひとつのシステムとして統合制御
高い予防安全性能、理想的な運動性能を両立
・ VDIMが統合制御する主なシステム
EBD(Electronic Brake-Force Distribution:電子制動力配分制御)付ABS
VSC(Vehicle Stability Control):車両姿勢安定制御
TRC(Traction Control):駆動輪空転制御
EPS(電子式パワーステアリング
2.NAVI・AI-AVS
⇒道路コーナー情報や路面段差情報等のナビゲーションシステムとAVS(最適減衰力制御)を融合
安定したコーナリング性能、滑らかな乗り心地
注
・ AVS(Adaptive Variable Suspension System)
・ コーナープレビュー制御
・ 段差学習制御
3.ナビ強調制御
・ 一時停止情報提供
・ NAVI・AI-SHIFT
先進的運転支援
3-6. Driving Support & Safety(1)
危険な状況が起きてしまう前に、いかに回避するか。
高い安全性をめざしてドライビングを支援
1.プリクラッシュセーフティーシステム(ミリ波レーダー方式)
2.ドライバーモニター
3.後方プリクラッシュセーフティーシステム(ミリ波レーダー方式)
4.プリクラッシュインテリジェントヘッドレスト
5.レーンキーピングアシスト(LKA)
注
6.インテリジェントAFS(ヘッドランプコントロールシステム)
7.自動防眩ミラー
8.緊急ブレーキシグナル
9.SRSエアバッグ(クラウンでは10個)
10.アクティブヘッドレスト
11.歩行者障害軽減ボディー
12.全方位コンパティビリティボディ構造
13.前席・後左右席プリテンショナー&フォースリミター機構
注) AFS : Adaptive Front-Lighting System
3-7. ハイブリッドシステム
なぜハイブリッドシステムか?
さらに
電気自動車が必要か?
地球のエネルギー問題
3-8. 地球のエネルギー問題
1.化石燃料の枯渇
⇒代替エネルギー開発
(原子力、太陽光発電、風力発電等)
2.地球の温暖化
・温室効果ガス(CO2)
3-9. トヨタ自動車の選択
1.CO2を排出しない車の開発
排ガス問題(光化学スモッグ:NOX)
2.化石燃料を使わない車の開発
燃費改善(希薄燃焼、直噴エンジン等・・・)
ハイブリッドシステム
3-10. ハイブリッドシステムの種類
HEV
システム分類
ストロング
(Hybrid Electric Vehicle)
マイルド
マイクロ
ISS
パワーアシスト
パワーアシスト
パワーアシスト
(小)
回生ブレーキ
回生ブレーキ
回生ブレーキ
回生ブレーキ
アイドルストップ
アイドルストップ
アイドルストップ
アイドルストップ
電気走行
各システム
の
装備機能
・機能が充実し燃費改善度が高い
・システムが複雑でコストも高い
EV(電気自動車)
3-11. 自動車メーカーと電池メーカーの提携
<自動車メーカー>
<合弁会社>
<電池メーカー>
パナソニック
パナソニックEVエナジー
トヨタ自動車
EV用
Volks Wagen(独)
Ford Motor(米)
(2009年3月時
点)
東芝
三洋電機
HV用(ニッケル水
素)
GSユアサ
ホンダ
三菱自動車
ブルーエナジー(HV用)
リチウムエナジー
ジャパン(EV用)
三菱商事
JohnsonControls(米)
Saft(仏)
JohnsonControls
Saft
PSA(仏)
Continental(独)
HV用
Daimler(独)
オートモーティブ・エナジー
サプライ(AESC)
日産自動車
Renault(仏)
富士重工
現代自動車(韓)
コーポレーション
(解
消)
NECラミリオンエナジー
HV用
EV用
LG Chem
日立マクセル
新神戸電機
GM(米)
日立ビークルエナジー
日立製作所
A123Systems(米)
Think(Norway)
SB LiMotive
BYD(中)
製品供給
NEC
NECトーキン
EV用
×
出資関係
SamsungSDI(韓)
Bosch(独)
EV:
電気自動車
H
V:
ハイブリッド車
3-12. 中国の電気自動車
BYD(比亜迪)
(中国)
本社
:
広東省 深セン市
創業
:
1995年
リチウムイオン電池の世界大手、携帯電話用で世界シェアー1位
2003年自動車会社を買収して参入、
ウォーレン・バフェット率いる投資会社が出資したことでも注目を集める(08年)
家庭用電源で充電するプラグイン型ハイブリッド車を世界に先駆けて販売(08年)
2010年後半には米国市場で電気自動車の販売を計画している
発電する部品
3-13.電源・電池不要の電子システム
企業連合による共同開発
(トヨタ自動車、パナソニック、NTTデータ、ホンダ、オリンパス、
ルネサスエレクトロニクス、村田製作所、旭化成当23社)
発電の
仕組み
振動 ・・・ 静電気、電磁波の発生
熱
・・・ 温度を電気に変える特殊素子
光
・・・ 室内光等弱い光でも発電できる小型太陽電池
分野
主な用途
発電方式の例
自動車
車載センサー、操作スイッチ
走行中の振動や熱
住宅・ビル
証明スイッチ、空調設備の操作盤、セキュリティー
システム
ボタンを押した際の振動
家電
薄型テレビ、エアコンのリモコン
リモコンの上下動
医療
心臓ペースメーカー、体内カプセル
体温
機械
工場ボイラー等の監視センサー
設備の振動や熱
交通
橋梁や道路の監視センサー
交通による振動
(2010.9.6 日経新聞)
スマートグリッド
3-14. スマートグリッド
スマートグリッドによって生まれるエネルギーネットワーク
スマートグリッドが普及することによって・・・
1.電力の双方向のやり取りが可能になる。
2.スマートメーターを通じて、電力コストや流通状態が「見える化」される。
3.再生可能エネルギー(太陽光・風力など)の導入が進む。
4.電力需要の平準化が促進される。
5.各種電力インフラの設備利用率が高まる。
4. 車の開発・生産を支えるIT
⇒ デジタルエンジニアリング分野
⇒ 情報システム分野(基幹システム、情報系)
⇒ 生産制御・物流分野
4-1. 自動車業界の対応
(1).Time To Marketの短縮(4年→1年)への対応・・・ECM
注) ECM : Engineering Chain・・・車の開発
・SE(サイマルテニアス・エンジニアリング)活動の強化
・試作レスへの対応
・DE(デジタル・エンジニアリング)の活用強化
・世界同時生準のための同時複数型作成対応
・型製作手番短縮
(2).デマンド・チェーン、サプライ・チェーンの複雑化への対応・・・SCM
注)SCM : Supply Chain Management・・・車の生産
・現調化が条件・・・グローバル化の進展(各国制度への対応)
・部分最適→全体最適対応(生産、物流、在庫・・・)
4-2. 自動車の開発・生産分野でのIT活用
1.エンジニリングチェーンマネジメント(ECM)
①デジタル
エンジニアリング
分野
・CAD
・CAM
・CAE
②情報システム
分野(基幹システム)
・生産管理(受発注)
・原価管理
・部品表(BOM) 等
情報系システム
IT
(情報技術)
③生産制御・物流
分野
⑤ITS
分野
・BGM
・ナビゲーション
エンベッデッドとITS
・自動ラック制御
・工場内物流(AGV)
・ICチップを利用した
生産情報管理 等
④製品組込み
分野
・ECU
2.サプライチェーンマネジメント(SCM)
4-3. ECM(Engineering Chain Management)
DE(デジタルエンジニアリング)の発展・・・CADの歴史
図面(2D) ⇒ ワーヤーフレーム(擬似3D) ⇒ サーフェイス(3D) ⇒ ソリッド(3D元)
・二次元CADから三次元CADに変わったことにより、図面からモデルへ変化
その結果
・ DA(デジタルアッセンブリー)
・ CAD
Computer Aided Design
・ 半自動設計
・ テンプレート設計
・ VF(バーチャルファクトリー)
・ CAE(特にクウィックCAE)
等
・ CAM
Computer Aided Manufacturing
・ CAE
Computer Aided Engineering
・ PDM
Product Data Management
・ PLM
Product Lifecycle Management
開発プロセスのデジタル化によりECMが充実
4-4. トヨタの部品共通化活動
「製品に合わせて部品を造るのではなく、部品に合わせて製品を造る」
ことを理念に活動(2000年7月)
CCC21(Construction of Cost Competitiveness for 21th Century)
そして今
VI活動・・・システムアプローチで部品共通化を実現
部品の共通化状況(現在)
トヨタはフルモデルチェンジで50%
他社はせいぜい25~30%
4-5. 新車開発段階でねらうもの
(1).Time To Marketの短縮
⇒
4年→1年への対応・・・ECM
・SE(サイマルテニアス・エンジニアリング)活動の強化
・試作レスへの対応
・DE(デジタル・エンジニアリング)の活用強化
・世界同時生準のための同時複数型作成対応
・型製作手番短縮
4-6. SCM(グローバルサプライチェーンマネジメント)
モノの流れを情報で可視化
内製品
CKD部品
原材料
購入品
外注先の部品
●
●
●
◆
●
●
総部品所要量
●
現調部品
現調比率
原価比較
●
各工程の負荷
内外製比率
代替供給
リスク管理
5. 物づくりの原点と将来
⇒ ITのかかわり方(システム構築の原点を再考)
⇒ 生産現場におけるシステム構築活動紹介
(コンピューターか?人か?)
⇒ これからの日本・・・物づくり?
5-1. システム構築の原点
1.システムの品質特性
2.構築までの思考より稼動してからの運用思考
3.エンティティの認識(特に製造業)
⇒ 品番、単価、W/C 等
時系列・外部環境
4.トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチ
⇒ クロスチェック
5-2. ソフトウェアーの品質特性
品質特性
区
合目的性
◎
説明
ユーザーが意図する特定の目的に対して、ソフトウェアーの仕様が合致しているかどうか
信頼性と可用
性
信頼性:当該コンピューターシステムが故障することなく正常に動作を続行する特性
機密保護
システム内の情報が資格のない者に誤用・盗用されたり、破壊されないようにするための特性
操作性
操作性はコンピューターシステムにとってきわめて重要な特性である
性能
高速演算機能はコンピューターシステムの基本的特質でありきわめて重要である。
可用性:稼働時間を多くする、すなわち故障による非稼働時間を少なくする為の特性
性能は、応答時間と処理能力の二つの面から規定する必要がある。前者はエンドユーザーの操作性の面から重要であり、後
者はコンピューターのハードウェアー資源の所要量を決定する上で重要。
保守性
ソフトウェアーの不良原因の解析と修正が容易に出来るという品質特性である。保守性を向上させるためには、そのための
特定の機能を持たせることも考えられるが、それ以上に重要なことは、当該ソフトウェアーの構造が優れていて、不良原因の解析
や修正を容易にすることである
拡張性
使用環境の変化やユーザー要求の高度化に対応する為に、拡張を余儀なくされる。従って拡張性はソフトウェアーの重要な品質特
性
互換性(*)
ソフトウェアーの機能を拡張した場合に既存機能を用いていた動作環境への影響なしに(変更なしに)既存機能がそのま
ま使えるかどうか?という特性
テストの容易性
◎
可搬性とは、ソフトウェアーと異なる動作環境下に移行した場合に、この仕様を変更せずにそのまま動作可能とする特性である
可搬性(*)
再利用性
接続性
テストとはソフトウェアーが仕様どおりに動作することを確認し、当該ソフトウェアーの品質を保証する
△
ソフトウェアー全体が、またその一部が、パッケージとして再利用可能であるための特性である。従って再利用性は、前記の可搬性
を含まなければ成り立たない。
当該ソフトウェアーが他のソフトウェアーと容易に接続可能であるという特性。
合目的性とテストの容易性の2つが開発過程の特性
それ以外はシステムの運用時(稼動時)の特性
5-3. 互換性と可搬性の相違
対象ソフト
ウェア
機能拡張
拡張された
ソフトウェア
動作環境
変更なし
動作環境
1-1 互換性の概念
対 象 ソ フ ト 変更なし 対 象 ソ フ ト
ウェア
ウェア
現行の動
作環境
移行
移行後の動
作環境
1-2 可搬性の概念
ソフトウェアーを拡張した場合
稼動中のソフトウェアーの動作環境を変更した場合
動作環境の変更なしで稼動する
ソフトウェアーの変更なしで稼動する
5-4. システム開発時の要留意事項
1.ビジネスプロセス(BP)のIT(システム)置換度の見極め
業 種
例
ネットビジネス
Yahoo、Google
ファイナンス
銀行、信用金庫、証券
販売ビジネス
コンビニ、スーパー
BPのIT置換度大
IT重視
BPのIT置換度が大きい
会社ほど、ビジネス戦略
とIT戦略が密接
流通・サービス 運輸
:
装置産業
鉄鋼
製造業
電気、機械、自動車
BPのIT置換度少
(設備置換度大)
人重視
2.オペレーショナルシステムとマネジメントシステム
オペレーショナル系システム:システム設計が良ければほとんど稼動できる(使われる)
(システム品質依存度が大きい)
マネジメント系システム
:システム設計が良くても使われない可能性大
(人間系依存度が大きい)
5-5. エンティティの認識と開発アプローチ
1.エンティティの認識(DOA : Data Oriented Approach)
何故エンティティ分析、ER(Entity Relation)が重要か?
⇒ システムの維持管理の容易さ・・・
(システムはビジネスプロセスの変化に迅速に追従すべき)
※ ・ エンティティはほとんど変化しない(事業内容に依存)
・ システムは変化する(外部環境、企業戦略により)
⇒ 機能コンポーネント設計
2.トップダウンとボトムアップ
・ オペレーショナルシステムは比較的どちらでも稼動
・ マネジメント要素が高いシステムは両方のバランス
⇒クロスチェック
⇒全体最適と部分最適:決して部分最適が悪いわけではない
5-6. 生産現場におけるシステム構築活動紹介
1.製造現場をサポートするシステムとは?
(コンピューターか?人か?)
5-7. これからの日本・・・「物づくりの心」
トヨタの先人の言葉
※ 現地・現物主義
●事実の徹底確認
三年以上の実地の経験を経ずして設計するものではない(豊田佐吉)
手を汚さないで仕事ができるか!(豊田喜一郎)
私は生産現場に関しては「データ」も勿論重視しているが、「事実」を一番重視している(大野耐一)
●課題把握と真因追究
先入観を持たず、白紙になって生産現場を観察せよ。対象に対して5回の「なぜ」を繰り返せ(大野耐一)
「原因」より「真因」。原因の向こう側に真因が隠れている(大野耐一)
●早期検討
判断のよりどころというのは、定型の型にはまったものがある訳じゃない。その問題に対して
充分に検討して、それで、良さそうなことを決めるということだ。(豊田英二)
※ 効果的合意形成
●コンセンサス重視
新しい仕事や本当に必要な仕事を実現して行こうとすると、必ず多くの関連部署との調整が必要に
なってくる・・・自分の立場だけでなく全社としてどうすべきかを常に考え、他部とも連携をとり、
何としてでも具体的成果に結び付けて欲しい。(豊田英二)
※ 実践主義、達成指向
●愚直、空理空論の排除
出来ないという前にまずやってみろ(豊田佐吉)
批評する力はあるが、実行する力はない。こういう技術者では自動車は出来ぬ(豊田喜一郎)
5-8. トヨタ生産方式
トヨタ生産方式の3本柱
1.ジャストイン・タイム
2.自働化
「自働化」とは、不良が発生した際に機械が自動的に停止し、
後の工程へ良品のみを送るようにすること
3.(7つの)ムダの削減(ムダ・・・付加価値を高めない各種現象や結果)
作り過ぎのムダ 手待ちのムダ 運搬のムダ 加工のムダ
在庫のムダ 動作のムダ 不良をつくるムダ
今後もトヨタ生産方式は通用するのか?
5-9. 生産管理システムの構成要素と活動との関連
活動
得意先の引きに連動して、
在庫ミニマムで各工程への指示業務
生産指示
DC
①
計
画
系
③管理系
運
搬
指
示
生
産
指
示
運
搬
指
示
出
庫
指
示
出
荷
指
示
データベース
成形工程
溶解-DC
部品受入
②
実
績
系
活動
受入
実績
入
庫
部 材 実
品 料 績
部品自動
ラック
機械加工
部品
AGV
製品
AGV
•商品別損益管理
•原単位管理
•可動率管理
製
品
出
荷
実績情報
いつでも
誰でも
どんな形
でも
取り出せる
日
常
管
理
•工程内不良管理
•刃具交換管理
ライン状況表示
•計画保全
•ライン状態管理
出
庫
実
績
部
品
投
入
実
績
生産実績
不
出
工 不 動
来
数 良 時
高
間
入
庫
実
績
出
庫
実
績
実績収集(自動収集、伝票起票、データ入力)
出
荷
実
績
*POPによる
情報収集
ラ
イ
ン
管
理
原単位管理
による評価
•売上、予算管理
•工数・出来高管理
計画情報
組付け
・完成品自動ラック
・パレタイザー
生
産
・
物
流
材料受入
アルミインゴット
経
営
・
損
益
活動
•異常表示灯
•可動計
•あんどん
•在庫モニター
◇評価
生産ロスの
低減活動
データに基
づく改善の
畑探し
◇改善
ライン
物流等の
異常に
敏感な動き
◇処置
(POP<生産時点情報管理>:Point Of Production)
• 生産の状況が精度良く情報 化されている
物の動きを情報でトレース(情物一体・・・写像)
5-10. 私の体験談(製造現場改善活動)1991/9~1997/12
CIM(Computer Integrated Manufacturing)の定着活動
⇒ ほとんど新規システムは作っていない(人間系活動中心)
活動の経緯
(1)工場へ異動(1991/9) ・・本社人員削減
(2)工場運営会議(1/W)で先週不稼働時間ワーストライン報告
技術員室の課長と連携
(3)製造課長との不和
(4)技術員室の製造担当課長の協力・・・課長以上で明日の工場を考える会
(5)製造支援チーム編成(事業部活動と連携)・・・製造支援チーム(47名)(製造支援、仕入先支援)
(6)半年毎に活動目標、活動内容、活動結果評価・・・5年間通算で、ライン別の原単位指標をフォロー
原単位管理・・・ 比例費は個あたりで管理(工数/個、副資材/個、エネルギー/個)
可動率(不稼働時間):不稼働時間の定義・・・CTを基準に試算
設備故障 保全 段取り 品質 欠品 サイクルオ-バ- ?不動
工場全体で不動時間比率を15%向上
個あたり副資材30%向上、工場利益率5%工場
ITは
本当に
自動車製造業の経営革新に
貢献できるのか?
(CIOが何を考えればいいのか?)
5-11. 人と組織の仕事力(人の育成)
知識と智恵(仕事力)
そして現場力(人間力)
仕事をするのは「人」です。変革するのも「人」です。どこまでも人が主であって、
仕組み・制度・システムややり方は、ときに条件であり、ときに道具に過ぎません。
その人々の「仕事力」を図式化すると、下のようになると考えられます。
A
脳力
(頭の働き)
B
×
その気
やる気
(熱い思い)
(主体性)
D
C
×
意識
+
知識
(ノウハウ)
(ハウツー)
(見かた)
(考えかた)
Aは、人によってそうは変わらない(個人差はそんなにない)
BとCは、いくらでも変わる
Dは、A,B,Cさえまともであれば容易に獲得できる
人と組織の仕事力はB、Cに依存
資料:組織改革研究会より
5-12. 管理者の定義
自分のやりたい事、やらなければいけない事を
人を使って実現する
その為に(人間性のある人格者)
・ 明確なコンセプトがある
概念、観念
また 全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点
・ フィロソフィーを持つ
{ギリシア}philosophia 「愛智」から出たことば
世界や人生の究極の根本原理を客観的・理性的に追求する学問
・ いかに多くの人間と会話できるか
多くの引き出し・・・老若男女、役職、業界を問わずコミュニケーション
5-13. 現在自分の意識していること(自分の信条)
(1)計画の立て方
やれる納期ではなく、やらなければならない納期
達成できる目標ではなく、達成しなければいけない目標
(2)目標の設定
目標には結果系の目標と、活動系(要因系)の目標の2つある
管理項目も同じ
「金を追うもの、金を得ず」・・・結果を追っても結果はついてこない、活動系が重要
(3)チャレンジ
業務遂行上「出来ない」と思ったら確実に出来ない。現状は絶対変わらない
「何か方法があるはずだ」と思っても、出来ないかもしれないが・・・
現状をわずかでも変えることが出来る
(4)イメージをいかに描くか
イメージは目的や目標でもなく、実行計画でもない(ロジカルではなく感性)
完成した状態、さらにはそこに行き着く過程の姿
5-14. 製造業でITは本当に経営に貢献しているのか?
仕事の作業効率は上がっている(オペレーショナルシシテム)
が・・・・・しかし
1.ビジネスプロセスに対するIT依存度(生産で言えば労設分配率)
2.デジタルエンジニアリングの弊害(良い面もあるが・・・・)
・標準部品使用率の低下(CADによる図面作成機能の便利化)
・設計業務の標準化(ノウハウのソフト置換)
⇒ 標準化したとたん差別化ができなくなり、競争力を失う
・設計業務のデジタル化(人間力の育成が重要)
3.もの作りにも共通なことが言える
・設備置換とIT置換(アパレル産業の設備置換)
・計測技術と職人(面粗度)・・・設備に頼りすぎ(品質の低下、コストの上昇)
・ダイキャストでの射出条件(マイスター)、プレスでの成形性検討(スプリングバック)
・製造の現場管理(単能機⇒自動機?)
☆ 電子かんばんシステムの例(システム屋の発想と生産現場の発想)
5-15. これからの日本・・・アメリカとの関係
アメリカの国家戦略
ファイナンス戦略、IT戦略で外貨獲得
日本は物づくり?
日本が物作り以外で世界に勝てるものは?
おわり
ご清聴ありがとうございました
アイシン・インフォテックス株式会社
取締役社長
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川勝 務
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E-mail : kawakatsu@aix.aisin.co.jp