国際関係学部 専門ゼミ紹介

2006 度版
国際関係学部 専門ゼミ紹介
2006年9月
亜細亜大学
専門ゼミ選択のために
国際関係学部の学生諸君は、3年次、4年次の専門教育の必修科目として、様々な研究テーマ、専門分野に
分かれて開講される専門ゼミ・総合ゼミの中から、各自の興味・関心に応じて一つを選択、履修することになる。こ
れらのゼミは、大学生活後半の学習/研究活動の場となり、とりわけ4年間の総仕上げである卒業論文作成の場
にもなる。
専門ゼミの選択・申込・決定は2年次の秋に行なわれるが、それまでにどのゼミが自分に相応しいかをきちんと
下調べしておく必要がある。この小冊子には2007年(平成19年)度開講予定の専門ゼミ担当教員のプロフィール
とゼミの内容紹介文が掲載されているので、よく読んでおくこと。さらに『講義概要』なども参考にし、以下の注意
事項に留意して、ゼミ選択には、慎重に、かつ意欲的に取り組んでほしい。
1.専門ゼミと総合ゼミは原則連動している。つまり、4年次には、3年次で履修する専門ゼミの担当教員の総合ゼ
ミを履修することになる。教員の一貫した指導のもとに、3年次では専門的研究のトレーニングを積み、4年次で
は卒業論文を執筆していく。(なお、プレ専門ゼミと専門ゼミは連動するものでない。)
2.ゼミ選択の手続きは、概ね次のとおり。まず、諸君から専門ゼミ登録願書(表紙の裏)を提出してもらう。これを
もとに、面接その他による選考が、担当教員によって行なわれる。担当教員から合格が出れば、選択は完了と
なる。全体的なスケジュールは次頁を参照すること。
3.もっとも、志望どおりにはいかない場合がある。志望者が集中して予定定員(今回は13を超過した時や、面接
の結果、他のゼミが相応しいなどと判断された時などが考えられる。この場合は、あらためて二次募集を行なっ
ているゼミの担当教員に本人が直接申込むことになる。なお、予定定員に達しなかったゼミは、繰り返し募集を
行なう場合がある。募集がある場合は、その都度掲示される。
4.選択の手続きの詳細やスケジュール、選考結果などについては、随時、掲示板、学部のホームページに掲示
しておくので注意されたい。
登録願書提出までに、志望しようと思うゼミの担当教員の授業を聴く、オフィス・アワーに研究室を訪ねて相談
する、今年度開講されているゼミを見学するなど、下調べをしっかりと行なって、正しい選択をしてほしい。要は、
自分が何に関心を持ち、何を学びたいのか、よく考えながら選択することである。
-i-
ゼミ募集日程
2006年
10月19日(木)
11月8日(水)
5時限目
9:00~
16:00
個別説明会
担当教員が個別に説明する。関心のあるゼミの会場
指定場所は
を訪問し、説明を受けること。説明会は3回実施され
次頁を参照
るので、複数のゼミをまわってほしい。
登録願書提出
教学課4番窓口
第1回目
16:10~16:30
第2回目
16:40~17:00
第3回目
17:10~17:30
専門ゼミ登録願書は所定の用紙を使用する。
必要事項をもれなく正確に記入し、成績表のコピーを
添付して提出すること。
成績表とは、2006年の前期までに修得
した単位の成績表で、9月以降に発行
されたものを指す。
11月9日(木)
5時限目
一次選考(面接)
個別説明会の
場所と同じ
11月16日(木)
12:30
一次合格発表
(掲示板)
一次選考でゼミが決まらなかった学生は、
必ず16日(木)の3時限目と4時限目の間の休み時間
(14:20~14:30)に、二次募集のあるゼミのうち、自分
の希望するゼミの教員が指定する場所(一次合格発
表と同時に掲示する)に出向き、二次選考の予約を直
接申し込むこと。
11月18日以降
二次選考
二次募集
- ii -
二次合格発表
ゼミのテーマ 個別説明会/選考会場一覧
ゼミ一覧
担当教員
テーマ
個別説明会/
選考会場
掲載頁
秋月
弘子
国連研究
7201
1
新井
敬夫
現代世界経済の中の発展途上国
―経済成長をいかに達成するかを考える―
7202
3
伊藤
裕子
戦後アメリカの政治と外交
7203
5
川口
博久
北アメリカの社会・文化
7105
7
柄 徹
異文化研究のための文化人類学:韓国と日本の文化比較を中
心に
7204
9
孝
現代社会(情報社会、消費社会、少子高齢化etc)、比較社会
(日、韓、独)
7107
11
アジア諸民族の価値観研究
7108
13
国際紛争解決の法システム研究
7109
15
金
栗 原
鯉渕
信一
篠 原
梓
高殿
良博
インドネシアを主とする東南アジア地域の社会と文化
7112
17
千葉
則夫
合衆国内のエスニック・グループおよび社会集団がアメリカ民
主主義の発展に果たした役割
7113
19
中野
達司
アングロアメリカ(米国)との比較を通じてのラテンアメリカ理解
7205
21
永綱
憲悟
現代の政治リーダーの比較
※
23
新妻
仁一
中東・北アフリカ世界の総合的研究
7206
25
野澤
勝美
東南アジア諸国の経済開発
7114
27
国際ビジネス環境と国際企業戦略
7207
29
比較宗教論、南アジア研究
7208
31
観光とグローバル化
7115
33
現代中国研究―フィールド調査より見えてくるもの―
7209
35
古 井
前川
仁
輝光
間苧谷
三橋
榮
秀彦
※ 永綱憲悟教授は特別研究休暇中のため、個別説明会および面接は開催されません。
永綱ゼミの志願者は11月8日に登録願書を直接教学課窓口に提出してください。
書類による一次選考の後、一次合格発表を行ないます。
- iii -
あきづき
ひ ろ こ
秋月
弘子
研究室
教授
6404
私は昭和34年に福岡県北九州市に生まれましたが、父の仕事の関係で3歳くらいの時に上京しました
ので、実際は東京育ちです。
私 の専 門 は国 際 法 です。学 生 時 代 に世 界 平 和 に貢 献 したいと漠 然 と思 い、国 連 の職 員 になろうと決
心 しました。学 部 卒 業 後 は、そのまま大 学 院 に進 学 し、国 際 法 の勉 強 を続 けましたが、開 発 援 助 の仕 事
に従 事 したいと思 い、国 際 経 済 学 や開 発 経 済 学 の勉 強 もしました。国 連 職 員 になるためには実 務 経 験
が必 要 であると聞 いたので、大 学 院 で修 士 号 をとった後 は、英 語 で仕 事 ができ、かつ、経 済 分 野 の仕 事
ができるということで、外 資 系 銀 行 で3年 間 働 きました。これは、貿 易 実 務 を学 ぶことができただけでなく、
民間企業で働く厳しさを知ることができて、とても貴重な経験でした。
帰 国 して、この機 会 に将 来 また国 連 に戻 る日 のために博 士 号 を取 っておこうと大 学 院 に戻 ったところ、
縁あって故郷の公立大学の教員の道が開け、その後、この亜細亜大学に赴任してきました。
私は、すでに大 学教 員 としての生活 が10年 目に入っています。博 士 論 文は『国 連 法序 説』として1999
年 に出 版 されましたが、国 連 を研 究 対 象 としている以 上 、いずれまた調 査 ・研 究 のために国 連 に出 向 い
てみたいと思 っています。学 生 時 代 に志 した、世 界 平 和 への貢 献 ができていない現 在 、まだまだ成 すべ
きことはたくさん残っていると思っています。
-1-
秋月 弘子
テーマ
国連研究
専 攻 :国 際 法
◆ゼミの内 容
2005年に創設60周年を迎えた国際連合(国連)は、この60年間に、量、質ともに変化したと言われてい
る。確かに国連は、国際社会の変化に対応すべく、これまでも変化してきた。しかし、テロ、内戦、貧困、
環境破壊、感染症など、国連が新たに取り組まなければならない課題も未だ山積している。
従来の国連ではこのような新たな課題に十分に対処できないという認識から、現在、国連の改革が議
論されている。日本の常任理事国入りが取りざたされている安保理改革もそのひとつである。
本ゼミでは、このように、創設60周年を迎え改革が議論されている国連を取り上げ、21世紀の国際社
会における国連はどのような役割を担うべきなのか、そのためにはどのような改革が必要であるのか、国
連の改革に伴って見直されなければならない国際法の理論にはどのようなものがあるのか、について考え
ていくことを目的とする。したがって、基本的には、国際法学を学問的枠組みとし、法的に議論を行う。
一方、国連は、安全保障、人権・人道、経済・社会開発、環境など、ほとんどすべての国際問題に何
らかの形で関わっている。したがって、国連が扱うこれらの分野における国際法の理論、および、これらの
分野における国連の活動についても、広く学修の対象とする
◆ゼミの進め方
前期には、国際法と国連の基礎を学ぶため、基礎文献の精読・報告・討議を行う。教科書は、横田洋
三編著『新国際機構論』(国際書院、2006年)を使用する予定である。
後期には、各人が特定のテーマを選択し、主体的に調査・研究する。平行して授業では、各人の選定
したテーマに関連する論文を報告・討議することによって、卒業論文の執筆準備につなげていく。
各期末には、8,000字程度のレポートを提出してもらう。
ゼミで身につけるべき能力は、主体的に問題意識を持ち、リサーチを行える力、専門的な論文を批判
的に読み、その内容を正確かつ簡潔に報告する力、積極的に自分の意見を発言する力などである。とく
に、授業内で発言し、議論する積極的な態度を評価する。
◆成績 評 価 の方 法
出席状況、報告・討議への参加度、レポートを総合的に評価する。
◆その他
「法学概論」、「国際法学」を履修済み、または、履修中であることが望ましい。なお、3年次には「紛争
解決と国際法」および「国際機構と法」を履修すること。
◆ゼミ見学
可 (事前に連絡してください)
◆オフィス・アワー、連 絡 方法 等
オフィス・アワー: 水曜日 12:50~14:20 (これ以外でも可)
研究室(tel.): 0422-36-7305
メールアドレス: akizuki@asia-u.ac.jp
-2-
あ ら い
た か お
新井
敬夫
研究室
教授
6712
学 生 の皆 さんは、教 員 の何 が知 りたいのだろう。そんなことを考 えながら書 いている。生 まれたところ?
北関東の田 舎である。保育園、小学 校、中学校、高校まで家から最も近い公立で学んだ。いやいや実の
ところ、中 学 まではあまり学 んでいない。高 校 でも旅 行 をしたり、アルバイトをしたり、クラブ活 動 をしたり。
旅 行 の途 中 、バス停 や駅 で寝 たのも懐 かしい思 い出 である。じっくり本 (だけ)を読 むことはそれほど得 意
ではない。五 感 をフルに使 い、見 聞 きしつつ学 んでいく方 がよい。両 方 をバランスよく組 み合 わせつつ学
んでいるつもりである。で、専 門 は何 かって? 発 展 途 上 国 の経 済 を分 析 し、望 ましい開 発 政 策 を考 える
ことである。これには、二 つの観 点 がある。一 つは、途 上 国 自 身 が開 発 問 題 として考 えること。もう一 つは
先 進 国 を含 む国 際 社 会 が、協 力 問 題 として考 えることである。教 師 として学 生 諸 君 に捧 げたい言 葉 は
「意 識 の高 い学 生 は、知 識 の高 い学 生 よりのびますよ」ということである。さらに付 け加 えれば「意 識 の高
い学 生 は、必 ず知 識 も増 えますよ。そして豊 かな知 識 は人 生 を楽 しくしてくれますよ」。国 際 関 係 学 部 へ
の志 願 者 にはあまり強 い意 識 が感 じられない。知 的 興 味 を持 とう。もっともっと知 性 と人 間 性 を磨 きたいと、
どん欲になろう。自分のプロフィール? 京都 大 学大学 院経 済学研 究科 現代経 済学 専攻博 士後 期課 程
学修退学、国際連合地域開発センター勤務、亜細亜大学に勤務して約10年。
-3-
テーマ
新井 敬夫
現代世界経済の中の発展途上国 ―経 済成 長をいかに達成 するかを考える―
専 攻 :開 発 経 済 学 、国 際 経 済 学
◆ゼミの内 容
好 むと好 まざるに関 わらず、世 界 経 済 は、急 速 に一 体 化 している。所 得 水 準 が高 い国 と低 い国 が同 じ
土 俵 で、貿 易 (モノのやりとり)や投 資 (お金 のやりとり)を繰 り広 げるようになっている。貧 困 を抱 える発 展
途 上国は、このような国 際 化、つまり外 国の影 響 の中で、それを解 決しなければならない。どうすればよい
のか。過去の経験を学び、今後の政策を考えるゼミにしたい。
まず、発 展 途 上 国 は、量 的 に、質 的 に、いかに先 進 国 と異 なる経 済 構 造 であるのか(異 なってはいな
いのか)、を分 析 しよう。分 析 の視 点 (物 価 、生 産 、所 得 分 配 =所 得 の平 等 性 、教 育 水 準 、貿 易 など)と
分 析 の指 標 (GDPデフレーター、国 民 総 生 産 、ジニ係 数 、貿 易 依 存 度 、初 等 就 学 率 など)を身 につけ
る。
次 に、そのような構 造 の途 上 国 経 済 が国 際 経 済 の中 でどのような影 響 を受 けてきたのか、受 けている
のか、受ける可能性があるのか、を考察しよう。
また、途 上 国 の経 済 を構 成 する活 動 主 体 としては、途 上 国 の一 般 住 民 、企 業 、中 央 政 府 、地 方 政 府
だけでなく、必 然 的 に外 国 企 業 、外 国 政 府 、外 国 の市 民 、国 際 機 関 も加 わってくる。経 済 全 体 の構 造 、
運行を分析するためには、各経済主体の特性や行動も分析する必要がある。
最終 的には、経 済活 動 主体 の行 動 (や開発 政 策)とその相 互作 用を通 じて、経 済 全 体が発展してゆく
メカニズムを研究する。
この他に2007年度ゼミでは、具体的事例として、マレーシアと東アフリカ諸国を勉強する予定である。
科 学 的 に発 展 途 上 国 経 済 を分 析 し、開 発 政 策 を評 価 ・立 案 できる能 力 を身 につけたいと思 っている
学 生を歓 迎 する。所 属コースはどこでもかまわない。また、協 力 交 流コースを優 先 することもない。選 考 基
準は(1)勉学意欲、(2)成績、である。
◆テキスト
2006年12月時点で、最もふさわしいと思われるものを指定する。
理論的な書物と実証的な書物の2冊を使用する予定である。
◆オフィス・アワー
火、水曜日の昼休み。なお、ゼミ見学も可能(連絡してください)。
研究室:6号館7階12号室(内線:7309)、araitaka@asia-u.ac.jp
-4-
い と う
ゆ う こ
伊藤
裕子
研究室
助教授
1522
埼 玉 県 はクレヨンしんちゃんの町 出 身 。女 子 高 ・女 子 大 と7年 間 女 ばかりの世 界 に身 を置 き、それぞれ
自 由 闊 達 な校 風 のなかで大 いに自 立 心 を養 った(かな?)。大 学 3年 のころから大 学 院 留 学 の夢 を持 ち始
め、大学 卒 業後に外 国 銀行の東 京 支店で2年 半ほど仕事 をした後、ウィスコンシン大学の修 士 課程に入
学 した。インディアン語 で「森 と湖 の土 地 」を意 味 するというウィスコンシンはまさに言 葉 どおりの美 しい土
地 で、2つの湖 にはさまれたキャンパスも広 大 かつ白 然 豊 かである。しかし勉 強 に追 われつらく余 裕 のな
い毎 日を過 ごした留学 当 時は、美 しいキャンパスを楽しむ余 裕もなかった。生まれて初めて「落 ちこぼれ」
になり、卒業 できないかもしれない危 機感を感じながらも、指導教 官や友 人に支えられて修士 号 を取得 し
たことは、今でも貴重な経験である。帰国後編 入 した一橋大 学法学研 究 科では、多くの優れた外交史研
究者を輩出するゼミに所属した。ここでも優秀な諸先輩に圧倒されながら、出産のため休学するなど挫折
しかけながらなんとか博士論文を書き上げた。1999年から亜細亜大学国 際関係学部 に奉職し、明るく友
達 思 いの亜 大 生 の皆 さんのなかで仕 事 ができることをとても幸 せに思 っている。専 門 はアメリカ政 治 外 交 。
「外交 政 策 論」の授 業 では、大いに楽しみながら講 義をしているが、受 講 生の皆さんにもアカデミックな楽
しさを共有してもらえる授業になるよう努めている。
-5-
伊藤 裕子
テーマ
戦後アメリカの政治と外交
専 攻 :アメリカ政 治 外 交 史
◆ゼミの内容
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ後のアフガニスタン空爆、イラク戦争、そして単独行動主義と
も称されるアメリカの様々な対外行動は、世界各国からの反発を招き、現在の国際政治の中心テーマと
なっている。
本 ゼミでは、おおむね第 二 次 世 界 大 戦 終 結 から現 在 に至 るまでのアメリカ外 交 の流 れを概 観 したのち、
現在の国際政治上の主要な出来事について、アメリカがどのような外交政策を展開し、国際関係にどの
ような影響をおよぼした(ている)のか、そしてそうしたアメリカの外交行動にはどのような背景や価値基準
があるのかを考察する。
以 上の作 業 から、自 由主 義や民 主 主 義といったアメリカ的 価値 観がアメリカ外 交にどのように反映 され、
また矛盾を生み出しているのかについて考えていきたい。
◆ゼミの進め方
報告および討論形式。まずはアメリカ外交の基礎的な知識を学んだ後、現在の外交政策について分
析する。ディベートなども多くとりいれていく予定。
・テキスト:ウォルター・ラフィーバー『アメリカとロシア -冷戦時代とその遺産-』芦書房、近刊予定。
佐々木卓也編『戦後アメリカ外交史』有斐閣アルマ、2002年。(全員購入)
*上記のいずれかを使用する。ただし、変更もありうる。
・参考書:有賀貞・宮里政玄『概説アメリカ外交史』有斐閣、1998年。
松田武編『現代アメリカの外交』ミネルヴァ書房、2005年。
・その他:(プリント、新書等。適宜指示します)
・課題:夏休みレポート(5~10枚程度、内容未定)およびゼミ論(6,000字=15枚程度)。
◆成績評価の方法
出席状況、報告、討論への参加度、レポートを総合的に評価する。
◆その他
応募者は、アメリカの対外政策や国際政治に関心の高い学生であること。2年前期の国際関係史を履
修済みであることが望ましい。3年次後期の外交政策論は必修。その他の国際法・国際政治関連科目も
履修することにより、理解がいっそう深まることとおもわれる。
◆ゼミ見学
可
◆オフィス・アワー
金曜日 13:00~14:00
メールアドレス: yukoito@asia-u.ac.jp
-6-
かわぐち
ひろひさ
川口
博久
研究室
教授
1506
大学 在学 中 、アメリカ南 部アパラチア山中 から流 れ出たブルーグラスミュージックに興味を覚えた。この
音 楽 は、ギター、バンジョー、フィドル、フラットマンドリン等 の素 朴 な楽 器 を使 用 し、地 方 独 特 のかおりを
十 分 すぎるほど与 えてくれる。1年 間 のアメリカ滞 在 中 、街 角 で、酒 場 で、公 園 で、ブルーグラスミュージッ
クを聴 き、南 部 人 の人 情 に触 れ、南 部 訛 りの英 語 に接 し、そこに息 づいている言 語 、またそれが話 されて
いる社 会 に興 味 を抱 き始 めたのもこのころであったように思 う。また、戦 争 花 嫁 として渡 米 し、現 地 に居 住
していた日系人と知り合い、アメリカ社会の中で偏見を受けながら生きぬく日系アメリカ人を知った。
このような20代 でのアメリカ生 活 体 験 が研 究 の礎 となっている。現 在 では、言 語 (特 に英 語 )と地 域 ・社
会 との関 わりの研 究 、北 アメリカに於 ける社 会 (エスニックグループ、特 に日 系 アメリカ人 )の研 究 に焦 点 を
当 てている。研 究 活 動 としては、『アメリカンヒストリー入 門 』(共 訳 )、『罪 なき囚 人 たち─第 二 次 大 戦 下 の
日 系 アメリカ人 ─』(単 訳 )、『アメリカ合 衆 国 の形 成 』(共 編 注 )、『スコットフォースマン英 和 辞 典 』(共 執 筆 ・
共 編 )、『和 英 中 辞 典 』(共 執 筆 )、『プロシード英 和 辞 典 』(共 執 筆 )、『教 養 英 語 の基 礎 』(単 執 筆 )、「日 系
アメリカ人 の人 種 差 別 と日 系 新 聞 の対 応 ─『ユタ日 報 』(1941年 1月 1日 ~1942年 3月 30日 )を資 料 とし
て」(単論文)などがある。
-7-
川口 博久
テーマ
北アメリカの社会・文化
専 攻 : 北 アメリカ研 究 ・社 会 言 語 学
◆ゼミの内容
北アメリカ研究において扱われる分野は非常に広いものである。このゼミではアメリカ合州国を中心とし
た北アメリカにおける社会・文化を研究対象としたい諸君を歓迎する。北アメリカの政治・法律・経済・経
営などに興味のある学生諸君は、他に最適なゼミがあるので、そちらに参加してもらいたい。人種問題、
差別問題、言語問題、比較教育、異文化問題などが多く論文として取り上げられてきた。学生諸君が興
味ある分野を見つけ出すための手助けになるようなゼミ運営を第一と心得ている。
◆ゼミの進め方
(前期)アメリカの歴史的概観を理解しつつ、自分の論文テーマを見出すための準備期間としたい。あ
らかじめこちらで準備したアメリカ歴史に関する英文プリントを読んでいく。報告者、調査者をあらかじめ
指名し、報告者がそのプリントの内容を、また調査者がプリント内から興味ある事項を選択調査し、調査
結果を報告するという方式をとる予定である。報告者、調査者は発表日にはそれぞれ発表要旨をクラス
の人数分用意し、配付しておく必要がある。全員がその日の材料を読み授業に出席することが必須条件
である。また、適宜、文献等の紹介し、レポートしてもらう。ゼミ生諸君の積極的な議論への参加を期待し
たい。
(後期)前期終了前には各自のテーマを決め、夏休みにはそのテーマをもとにレポート作成 (400字詰
め原稿用紙25枚程度)をしてもらい、それについての発表・質疑応答を後期にしていきたい。やはり、発
表要旨を用意する必要がある。後期終了までには、最終的な論文テーマ作成し、春季休暇には、作成
に取り掛かってもらう。
◆その他
授業、コンパ、ゼミ合宿などを通じ、ゼミ生との対話を大事にしたいと思っているので、ゼミ生諸君も積
極的に反応してもらいたい。なお、発表担当日が決められていること、クラス内での討論に参加する必要
があることなどから、遅刻・欠席のない諸君の受講を望みたい。
また、ゼミの説明を受けることなくこのゼミへの参加を申請しても許可がでないものと考えてほしい。選
考は面接を行う。
◆オフィス・アワー
水曜日 10:40~12:10
1号館5階(研究室番号1506)
◆ゼミ見学
可能である。ただし、あらかじめ許可を得ること。
◆連絡方法
メールで行うこと。(kawa@asia-u.ac.jp)
-8-
Kim
Byung-chul
金
柄徹
研究室
助教授
1413
韓国 南 部の港町 、釜 山 生まれ。専 門は文 化人 類学で、映 画『インディ・ジョーンズ』の影 響が大 きい(ジ
ョーンズ博 士 は考 古 〈人 類 〉学 者 であるが)。大 学 在 学 中 に軍 隊 に入 り、板 門 店 (JSA)で30か月 間 アメリカ
兵・北朝鮮 兵と一緒に勤務した。学部4年の時、文化人類 学 をもっと続けたいという気 持ちと、異文 化とし
ての日 本 文 化 への好 奇 心 から日 本 への留 学 を決 心 した。古 くから密 接 な交 流 が行 われてきたことから、
双方の文化に共感できるものが多く存在しているのではないかという期待感もあった。
1991年 8月 末 に来 日 し、翌 年 から東 京 大 学 (文 化 人 類 学 研 究 室 )で勉 学 。しかし、初 期 の約 4年 間 は、
経 済的 な事 情 から新聞 配 達や不 動 産 会社・食 堂・建 設 現 場での仕 事 など各 種のアルバイトを続けた。こ
れは程 度 の差 はあれ、大 概 の留 学 生 が経 験 することで、その頃 の経 験 を、日 本 文 化 を理 解 する上 での
貴 重 な体 験 として今 も大 切 に思 っている。日 本 文 化 の中 で手 がかりとして考 えたのは、「移 動 する漁 民 」
のことで、幸 い1996年 から、瀬 戸 内 海 の島 で1年 間 フィールドワークすることができた。1997年 には2か月
間 東 南 アジアの海 洋 民 を見 て回 る機 会 にも恵 まれた。その成 果 で1999年 3月 に博 士 学 位 を取 得 し、4月
以 降は幸 運 にも本 学で教えている。最 近の変化 として初めての著 作 (東 京 大 学出 版 会 )が2003年 に刊 行
されたこと。これからも学問と教育に邁進できればと思っている。
-9-
テーマ
金
異文化研究のための文化人類学:韓国と日本の文化比較を中心に
柄 徹
専 攻 :文 化 人 類 学
◆ゼミの内 容
異文化は自文化を見る鏡である。本ゼミでは、異文化研究のための方法論を学習した上、具体的な
異文化の研究対象として、とりわけ韓国と日本の文化に焦点を当て、様々な側面から日本と韓国の文化
を比較し、共通点と差異を確認していく。
日本と韓国は地理的にも近く、古くから緊密な関係で結ばれてきた間柄である。しかし、植民地支配と
いう不幸な歴史が両国民に残した傷跡は深く、近年まで両国間の関係はそれほど回復されて来なかっ
た。地球規模の国際化が進んでいる今日、両国間の善隣友好関係をいち早く取り戻すことはお互いの
発展のためにも大変重要な意味を持つといえよう。その意味では、最近の(サッカー)ワールドカップ共同
開催を前後とした活発な交流に寄せる期待も大きい。お互いを理解するためには相互の文化を正しく知
ることが最も大切なことである。
◆ゼミの進め方
前期では、まず、韓国と日本の文化を比較するための基礎的な文献を選び、各自に報告してもらう。
発表者以外の方も全員読んできて積極的に議論を行う。次ぎに、実習を通じてフィールドワーク方法論
など、異文化研究のための基本的な知識を身につける。
夏季休暇中には、韓国(あるいは日本)で1週間程度の短期間のフィールドワークを実施し、前期のゼ
ミで修得した知識を検証していく。そして、その結果を後期開始の際に研究報告書として提出する。この
作業のためには、前期のゼミの中で、なるべく各自のテーマを見つけるのが望ましい。
後期では、フィールドワークの結果報告(1回)と、各自のテーマに基づいた研究報告(1回)をそれぞれ
行うが、報告の方法や要領に関してもゼミの中で学んでいく。後期の末には、それまでの成果をレポート
(400字×20枚)として提出する。
◆成績 評 価 の方 法
出席・ゼミへの参加度(発表・質問)・研究報告などによる。
◆その他
ゼミ・実習・コンパ・フィールドワークなどに積極 的 に参加し、ゼミ生同 士が家 族的な雰囲 気の中でお互いに
刺激し合ってほしい。
◆ゼミ見学
可能(後期は236教室)。ただし、資料の配布などの関係もあるので、事前に相談すること。
◆オフィス・アワー、連 絡 方法 等
オフィス・アワー: 火 曜 日 14 : 30 ~ 16 : 00
メールアドレス: kim@asia-u.ac.jp
- 10 -
くりはら
たかし
栗原
孝
研究室
教授
6805
研 究 領 域 は、①コミュニケーション・情 報 社 会 と、②日 本 ・韓 国 ・ドイツの比 較 社 会 。比 較 社 会 研 究 に
ついては、最近、グローバル社会論や消費と文 化・身体をテーマとした文化社会論へと展開しています。
主な成果は以下の通りです。
領 域 ①:歪 められたコミュニケーション論 、子 どもと大 人 の情 報 行 動 、J.ハーバーマスの公 共 性 論 等
(『現 代 のエスプリ』至 文 堂 、1993年 所 収 、那 須 壽 編 『クロニクル社 会 学 』有 斐 閣 、1997年 所 収 、共 著 『情
報 文 化 と生 活 世 界 』福 村 出 版 、1998年 、『国 際 関 係 紀 要 』第 11巻 第 2号 、2002年 所 収 、共 訳 F.アブード
『子どもと偏見』ハーベスト社、2005年)。
領 域 ②:日 本 ・韓 国 ・ドイツの社 会 と若 者 、ポストモダン文 化 、グローカル化 等 (星 野 昭 吉 編 『国 際 化 日
本 の現 在 』白 桃 書 房 、1994年 所 収 、栗 田 宣 義 編 『政 治 社 会 心 理 リニューアル』学 文 社 、1994年 所 収 、
『国際関係紀要』第9巻第1・2合併号、2000年所収、『人間会議』宣伝会議、2004年所収)。
講 義 の主 なテーマは、情 報 化 、消 費 社 会 化 、グローバル化 。いずれも複 雑 で問 題 点 も多 く、学 生 には
知 り考 え悩 むことを求 めるので、学 生 の眼 には難 しい話 をする厳 しい教 員 と映 っているようです。しかし、
すべて身の回りのテーマ。問 題の構 図を捉 え対 応を考 えることは、ハードでも、必 要でエキサイティングな
作業だと判って欲しく願っています。
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テーマ
栗 原
孝
現代社会(情報社会、消費社会、少子高齢化etc)、比較社会(日、韓、独)
専 攻 :社 会 学
◆ゼミの内 容
上記の領域を踏まえて各自が設定したテーマで報告と討論を行う。
必要と希望に応じ、共通テキストを設定しサブゼミを開講する。
以上の作業を通して社会学の視点と分析力を養いつつ、各自のテーマを追究する。
専門ゼミI,IIの修了要件として専門ゼミ論を作成し、卒業論文に備えることとする。
◆ゼミの進め方
各自4月の初回のゼミで関心・興味を登録し、報告スケジュールを決定する。
夏休みまでに各自報告を通じてテーマを確定する。
夏休み前に、各自夏休み中の夏季研究計画を作成する。
夏休みまでに各自必読テキストの読書報告を提出。
以上 前期=「専門ゼミI」
必要に応じ、各自の研究経過をチェックするために、夏休み合宿を行なう(予定)。
夏休み明けに、休み期間中の研究成果報告を提出。
後期第一回に提出される研究成果報告をもとに後期の報告スケジュールを作成。
専門ゼミ論作成のための報告と指導。
専門ゼミ論(30枚)を提出。
以上 後期=「専門ゼミII」
◆成績 評 価 の方 法
前期・後期ともに出席2/3以上で、夏季研究計画表やゼミ論提出の資格を与える。
ゼミでの報告・発言(40%)+前期;夏季研究計画表、後期;ゼミ論(各60%)=100% とする。
前期;夏季研究計画表、後期;ゼミ論を、単位取得の必須条件とする。
◆その他
ゼミが決定したら4月を待たず各自相談に来て、テーマを絞る準備をして欲しい。
12月末もしくは1月に、現専門ゼミ生との顔合わせ会を行う予定。
研究室での指導を予定しているが、事情によってはゼミ教室での指導に変更する(その場合、ゼミ生に
対する資料情報の提供、研究室資料の貸出は、オフィス・アワー対応とする)。
◆ゼミ見学
しておく方が良い。
◆オフィス・アワー、連 絡 方法 等
オフィス・アワー: 前期:月曜日2限、金曜日:3限
研究室(tel.): 内線7328
メールアドレス: kuri@asia-u.ac.jp
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後期:水曜日 2限、金曜日:3限
こいぶち
しんいち
鯉渕
信一
研究室
教授
6407
昭和20年1月、茨城県水戸市に生まれ、高校時代までをそこで過ごした。
亜 細 亜 大 学 経 済 学 部 に入 学 したが、モンゴルという国 の魅 力 に取 りつかれ、モンゴル語 やモンゴルの
歴 史 、文 化 等 々の勉 強 に学 生 生 活 のほとんどすべてを費 やした。辞 書 も教 科 書 もない中 での勉 強 であ
ったが、モンゴルで生 活 することを夢 に見 、日 本とモンゴルの架 け橋にならんとの理 想 に燃 えた学 生 時 代
であった。大 学卒業 後、本学の教 務 部に6年間 奉職していたが、その間 、日・モ間に国交が結ばれ、モン
ゴルに日 本 大使 館が開 設されることになった。請 われて、同 大使 館 開設 業務 に携わり、2年 半をモンゴル
で生 活 した。学 生 時 代 からの夢 が、大 使 館 開 設 という、両 国 関 係 の新 しい幕 開 けともいうべき願 ってもい
ない形で実現した。モンゴルの空に初めて揚がる「日の丸」をこの手で揚げたときの感動が、今でも忘れら
れない。
帰国後、昭和51年からアジア研究所に迎えられて、今日に至っている。
昭 和60年 から1年 間、モンゴル国立 大 学で、モンゴル人 学 生 に日 本 語、日 本文 化 などの講 義をすると
いう機会を得た。
著 書 には、『騎 馬 民 族 の心 ─モンゴルの草 原 から─』(NHKブックス)、『モンゴルという国 』(共 著 ・読 売
新聞社)、訳書に『賢妃マンドハイ』(読売新聞社)、『モンゴル人民革命党史』(共訳・日本モンゴル協会)、
『星の草原に帰らん』(NHK出版)ほかがある。
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鯉渕 信一
テーマ
アジア諸民族の価値観研究
専 攻 :モンゴル語 学 、モンゴル地 域 研 究
◆ゼミの内 容
アジアは多様であり、その多様性が混沌の要因でもあるが、しかし一方で、その多様性こそがアジアの
可能性であり、未来への希望である」
こうした文脈の中で、本ゼミではさまざまな自然風土、文化、社会、政治・経済基盤のもとに生きるアジ
ア諸民族の価値観を考えてみる。アジアには多様な自然があり、悠久の歴史が流れ、独自の文化が息
づいている。この地域の人々の生き方、価値観は日本人とどう違うのか、これらの価値観は現代の国際
政治、経済にどう関わっているのか、私たちがそこから学び取るものはないのか等々、さまざまな視点から
ゼミ生とともに考えてみたい。
多 様 な価 値 観 を考 える基 礎 として、まず日 本 人 の価 値 観 ――日 本 人 は自 然 とどう向 き合ってきたのか、
日本の社会構造の特性とは何か、日常生活の中で何に価値を見出してきたのか等々――を共通テキス
トを使って考えてみる。また民族の価値観を考える参考例として、日本とは対極ともいえる異質の風土、
社会を持つモンゴル遊牧社会の価値観を考える。
その上で各自の関心テーマに沿って調査、発表、ディスカッションを繰り返し、テーマを絞り込み、内
容を深めていく。アジア世界への理解を深めるとともに、価値観という地平から日本を、アジアを、世界を
改めて考え直してみようと思う。
◆ゼミの進め方
(1) 各 自が問 題 意 識を持ち、自 分 の頭 で考 え、自 分の言 葉で表 現する力 を高めるために、できる限 り
多くの本を読み、議論を活発に行い、随時レポートを提出してもらう。
(2) 前 期 には、主 に異 文 化 理 解 、アジア理 解 に資 する基 本 的 文 献 を読 んで多 様 な社 会 、世 界 をみる
視点を養うことを目指すとともに、各自のテーマ発見につとめる。
(3) 後 期には、各 自の関 心 領 域にそって発 表、ディスカッションを進め、その過 程で卒論 テーマを絞り
込んでいってもらう。
◆成績 評 価 の方 法
出席(25点)、随時報告(25点)、討論参加度(25点)、レポート内容(25点)
◆その他
独創的なテーマに取り組む、意欲的な諸君の参加を歓迎する。いい加減な気持ちでの参加はお断
り。
◆オフィス・アワー、連 絡 方法 等
オフィス・アワー: オフィス・アワー以外も出校日は随時可。
研究室(Tel): 0422-36-7329
メールアドレス: czw02704@nifty.ne.jp
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しのはら
あずさ
篠原
梓
研究室
教授
6706
「戦 後」であった昭 和20年 代、東 京 の荻 窪 に生 まれた。幼いころの杉 並 は家の周 りが原っぱで、夜はと
ても暗 く、夕 陽 が美 しかったように記 憶 している。小 学 校 から高 校 までは都 心 の学 校 に通 っていたが、国
際基督教大学に入学し、多摩地区での学生生活が始まった。
大 学 時 代は郊 外 の不 自 由を耐 え忍 びながらも、いつも遊び暮らしていた。卒 業 間 際 になって、16年 間
学 校 という場 に身を置 きながら、一 度 も本 気 で勉 強 したことがなかったと気 づき、そのまま社 会 に出 て、一
生勉強とはかかわりのない生活を送り続けるのがひどくためらわれた。典型的なモラトリアム状況である。
進 学 した一 橋 大 学 大 学 院 は、さらに郊 外 であるにもかかわらず、「赤 貧 洗 うがごとき院 生 生 活 を甘 受 し
ながら、研 究 労 働 者 としての自 覚 を明 確 に意 識 せよ」というような、自 治 会 の熱 いメッセーシに驚 くと同 時
に感 化 されて、一 日 も早 く研 究 労 働 者 に成 長 すべく、せっせと通 い詰 めた。コーネル大 学 への留 学 など
を含 めると、人 より長 く大 学 院 に在 籍 していたわりには、その自 覚 をどこまで自 分 のものにできたのか、今
もってよくわからない。
群 馬 の短 期 大 学 、静 岡 県 立 大 学 を経 て、再 び学 生 時 代 の古 巣 に帰 ってくることができたが、中 央 線
の駅 の前 には高 いビルが立 ち並 び、商 店 街 もどこかおしゃれに変 ぼうを遂 げた。それでも駅 から亜 細 亜
大学へ至る道筋には、古い樹木や畑が散見され、武蔵野の面影が残っているのはほんとうにうれしい。
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篠 原
テーマ
梓
国際紛争解決の法システム研究
専 攻 :国 際 法 ・国 際 機 構 論
◆ゼミの内 容
国 際 紛 争 を平 和 的 に解 決 しなければならないという国 家 の法 的 義 務 は、100年 ほどの歴 史 しか持たず、
20世紀に入って徐々に制度化されてきた。19世紀以来の外交的手続(調停や仲介)に加えて、司法的
解決(常設機関による国際裁判)が可能とされたが、その本質は国内の裁判とは大きく異なり、様々な限
界を持つと考えられている。又最近では、政府による個人の人権侵害や企業の投資に伴う経済紛争な
ど、非国家間の国際的紛争も増加の傾向にある。特に国連その他の国際機構の人権保護活動の展開
によって、人権や人道をめぐる紛争の解決のための制度の発展は、非常に著しい。さらに国家間の紛争
が武力紛争へ突入したり、民族対立が内戦へと移行してしまった場合には、国連の集団安全保障制度
やPKOが実行に移されるケースが、冷戦終結後頻繁に認められる。
本ゼミでは、国際紛争解決のためにどのような制度が国際法上用意されているのかを明らかにし、その
機能や限界・実効性などについて考察する。
◆ゼミの進め方
まず前期には授業と並行して、国際裁判、人権・環境・貿易問題の解決、戦争による強制的紛争解
決、国際人道法と国際刑事裁判所などについて、様々な国際法の教科書を参照しての報告に基づき、
議論を進めていく。又文献検索法を習得して、各自が選択するテーマについての概略を、卒業論文の
形式に従ってレポートに纏める練習をする。
後期には卒業論文作成を視野に入れた特定のテーマについて、各自の自由な研究・調査に基づく報
告・議論を重ね、最終的に8,000字程度のレポートを提出してもらう。
◆成績評価方法
前期末には、各自のテーマに関する簡単なレポートを提出してもらう。前・後期共、試験期間前までに
レポートが提出されない場合は、専門ゼミの単位を認定しない。報告・レポートの内容と出席状況、ゼミへ
の貢献度から、成績は総合的に判断する。
◆その他
ゼミ希望者は必ず事前説明会に出席して、説明を受けていること。加えて、法学概論・国際法学の履
修者が望ましい。ゼミ決定後も、必修科目と重複しない限り「紛争解決と国際法」「国際機構と法」の履修
を原則とする。
◆ゼミ見学
ゼミ見学希望者は事前に申し出ることが必要。
◆オフィス・アワー
木曜日 12:10~12:50 (6号館7階6706研究室)
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他の時間帯は予約。
た か ど の
よ し ひ ろ
高殿
良博
研究室
教授
1303
大学を卒 業 する頃、はっきりした目 標 が定 まらないまま中学 時 代からの夢 であった海 外、それも未 知の
国 に行 ってみたいという思 い(本 心 は現 実 からの逃 避 行 )に駆 られ、インドネシア行 きを決 めました。貧 乏
学 生 の宿 命 でインドネシアの貨 物 船 に乗 り込 み雨 に煙 る大 阪 港 を後 にしたのは1970年 のことでした。イ
ンドネシア大学の文学部インドネシア語科でインドネシア語学を専攻しました。
何事にもこだわらず、陽気 で、のんびりしているインドネシアの人々の国民 性 が私の肌にはよく合いまし
た。その上 、四 季 を知 らない熱 帯 の風 土 は時 間 の感 覚 を麻 痺 させるらしく、気 がついてみると、10年 余 り
の長 期 の滞 在 になっていました。その間 、大 学 で日 本 語 を教 えたり、RRI(国 営 ラジオ放 送 局 )で日 本 語
放送を担 当 するなどして多くの知 人 や友人を得 、貴重な体 験を重ねたことができました。それが今の私 の
人生の財産になっています。
人 は言 葉 によって知 り、言 葉 は文 化 によって支 えられている。言 葉 の学 習 を通 じて、一 人 でも多 くの学
生 にインドネシアを知 って欲 しいと願 っています。私 の体 験 から若 い時 に一 度 、日 本 を飛 び出 してみるこ
とをお勧めします。異文化の中に身を沈めた時、実像の白己が見えてきます。
現在インドネシア語テキストの作成とインドネシア語諺辞典の編纂に取り組んでいます。
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高殿 良博
テーマ
インドネシアを主とする東南アジア地域の社会と文化
専 攻 :インドネシア語 学 ・異 文 化 間 コミュニケーション
◆ゼミの内 容
冷戦構造の消滅は、新たに民族紛争や宗教紛争を激化させた。いずれの紛争も文化が根幹として引
き起こされたものである。これからの国際問題の理解には文化をめぐる学習が欠かせない。近年、めざま
しく動いている東南アジア地域に対する関心が増大している。中でもインドネシアは、長期に及んだスハ
ルト独裁政権の崩壊後、政治的混迷を深めていたが、先頃、大統領選が国民の民主化要求に応えて
平和裏に行われたことで、発展途上国の民主化に向けての理想的なモデルとして世界的に注目されて
いる。インドネシアはとほうもない空間的な広がりを持つ赤道直下の群島国家であり、多様な民族文化に
彩られた民族文化の宝庫である。だがこの国の多様で、豊かな民族文化について知る人はそれほど多く
はない。そこでこのゼミではインドネシアを中心とする、島嶼部周辺諸国の民族文化の理解を深め、文化
的認識の空白を埋めて行きたい。
こうした目的を目指し、ゼミでは基礎的な作業として以下のことを主な内容とする。
1)「文化とはなにか」をめぐる学習
基礎的な文献を読み、文化の諸概念を理解すると共に国際関係における文化の重要性を学ぶ。
2)「インドネシア」に関する学習
インドネシアの文化・社会に関する基本的な文献を読み、発表・討論の形で内容の理解を深める。
3)「発表」の訓練
この地域の関心のある領域の民族 文化を各自 調べて発表し、プレゼンテーション能力を高める訓練
をする。
◆ゼミの進め方
前 期では、文 化に関する基 本文 献 の講 読を中 心として学 習 し、後期 にはインドネシアに関する基 礎 的
な文献を読み、知識を深めると共に、卒論のテーマを決め、準備を進める。いずれも各自の発表とそれに
基 づく参 加 者 全 員 の討 論 の形 式 で進 めていく。春 と夏 にゼミ合 宿 を行 い、共 同 して学 習 するとともに親
交を深 める。インドネシアへのゼミ合 宿も実 施 している。共 に助 け合い、快 活 な雰 囲 気 のゼミにしていきた
い。
◆成 績評 価 の方 法
出席、課題提出状況、発表・討論における発言状況を2,5,3の割合をめどに評価する。
◆その他
東 南 アジア地 域 、特 にインドネシアの文 化 に関 心 があり、面 白 いテーマに挑 戦 し、自 分 で現 地 に出 掛
けて行 き、自 分 の足 を使 って調 査 するフット・ワークのきいた元 気 な学 生 を歓 迎 する。AUEPやAUGPな
ど語学研修を志す学生を特に歓迎する。
◆ゼミ見 学
ゼミ見学は、授業に支障がない限り、歓迎します。
◆オフィス・アワー
金曜日 16:10~18:00
上記の時間にかかわらず、遠慮なく訪ねてほしい。
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ち
ば
千葉
の り お
則夫
研究室
教授
1541
[出身地] 千葉県松戸市です。
[年齢] 1947年生まれで59歳になります。
[最終学歴] 早稲田大学大学院で英文学を専攻しました。
[専攻] W.E.B.デュボイスをはじめとするアメリカの黒人リーダーについて研究しています。
[著 書 ・訳 書 ] 『W.E.B.デュボイスー人 種 平 等 獲 得 のための闘 い』(近 代 文 芸 社 )、『アメリカン・ヒストリー
入門』(南雲堂)など。
[趣味] コーヒーをいれること。テニス(膝と腰を痛め、現在はリハビリ中です)。
[ 意 見 ] 私 は 大 の 嫌 煙 家 で す 。 亜 細 亜 大 学 で は 平 成 13 年 か ら キ ャ ン パ ス 内 分 煙 が 実 施 さ れ ま し た 。
smoke-freeの(タバコの煙 のない)場 所 が確 保 されたことは素 晴 らしいことですが、タバコのポイ捨 てなど
基本的なマナーを守れない人がまだ多く見受けられますね。
タバコを吸 う学 生 諸 君 にはぜひともルールを守 るスモーカーになって欲 しいものです。以 前 、アメリカで
見 つけた禁 煙 ステッカーに「どうしてもタバコを吸 わなければならないのなら、煙 を吐 き出 さずに呑 み込 ん
でください」(“If you must smoke, p1ease don’t exhale!”)というのがありました。
キャンパスや街 をきれいにするためポイ捨 てをする癖 のある学 生 諸 君 に、この場 を借 りてお願 いしたい
と思います。「君の大好きなタバコです。ポイ捨てするくらいなら、使用後は呑み込んでください!」
- 19 -
テーマ
千葉 則夫
合衆国内のエスニック・グループおよび社会集団がアメリカ民主主義の
発展に果たした役割
専 攻 : 北 アメリカ研 究 (アメリカ文 化 論 )
◆ゼミの内 容
本ゼミの目的は上記のテーマに沿った合衆国の歴史・文化・社会の研究であり、ゼミ生個々のテーマ
に基づく卒業論文の完成です。指導教授の厳しい(?)指導のせいか、あるいはゼミ生の熱意のせい
(?)か、落伍者をひとりも出していないことは自慢できます。一人一人の個性が生きる、やる気のある学
生には、楽しいゼミでもあります。これまでのゼミ生の卒論テーマの主要なものを掲げておきます。
人種差別撤廃措置について、日系アメリカ人の強制収容について、人種平等を求める黒人アスリート
たちの闘いについて、マーティン・ルーサー・キングの研究、マルコムXの研究、アメリカインディアンの文
化的伝統について、アジア系アメリカ人について、フィリピン系アメリカ人の歴史、ユダヤ系アメリカ人とア
フリカ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人への人種偏見の背景、日米における女性の社会進出、ベトナム
戦争とアメリカ社会、米西戦争とアメリカ帝国主義、ビート・ジェネレーションの背景、韓国系アメリカ人に
ついて、ドイツ系との対比における日系アメリカ人、など
◆ゼミの進め方
1)アメリカ合衆国の社会及びその構成要素であるエスニック・グループについて知ろうとするのであれ
ば、彼らを迎え入れたアメリカ合衆国がどのようにして成立したか。またどのような背景の下で彼らが合衆
国にやってきたかをおおまかに整理しておくことが肝要です。そこで前期はアメリカ史に関する英文資料
を使用し、報告・討論の形式で授業を進めます。この間に専門ゼミレポートのテーマを決定します。2)後
期はアメリカ社会を構成するエスニック・グループや社会集団について英文資料を使用しながら検討・議
論します。授業と平行して専門ゼミレポート作成を進めてもらいます。3)専門ゼミのレポートは12月の最
後の授業の際に提出します。 400字詰め原稿用紙で20-30枚の本文の他に、注と参考文献リストが必
要です。4)卒論は400字詰め原稿用紙で50枚を目標とします。
◆成績 評 価 方法
出席状況、ゼミでの発言、報告、レポートなどから総合的に判断します。
◆その他・・・応募 資格
1)AUAPの「アメリカン・スタディーズ」の単位を取得済みであることが必要です。さらに英文読解力を鍛
えるため卒業までに指導教授担当の「アメリカ文化研究」、「アメリカン・エスニシティ研究」を履修してもら
います。2)合衆国に関する価値ある文献はそのほとんどが当然ながら英語で書かれています。従ってレ
ポートや卒論の作成に当たっては日本語の文献に依存することなく、積極的に英文資料を活用する心
構えのある学生であること、また、それを支える語学力があることが求められます。従って、留学 や英語 教
員を目 指す学生 に向いたゼミと言うことができます。3)学生の自主的研究を期待します。内外に公開す
るにふさわしい優れた作品は研究室ホームページhttp://www2.asia-u.ac.jp/~chiban/に掲載します。
すでに学生製作の数種のタイムラインが公開されています。4)ゼミ選択時の私の説明会(1回目から3回
目までのどれか)に必ず出席してください。ここではゼミ担当教員から聞き漏らすことが許されぬ、情報や
要件が提示されます。出席しなかった学生は選考から除外される可能性があります。
◆ゼミ見学
研究室が手狭なため、見学希望は個人単位の申し込みのみを受け付けます(先着順)。見学希望者
は早めにEメールで申し込み、許可を得てください。chiban@asia-u.ac.jp
◆オフィス・アワー
2006年度後期は水曜日 14:30~15:30(要予約)です。
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な か の
た つ し
中野
達司
研究室
教授
1523
寒さが大の苦手である。小学生の時、北海道大学の存在を知るに及んで、「俺は北大に行く」と吹いた
そうな。長 じて進 学 する頃 には、健 康 上 の理 由 で寒 い土 地 には行 けなくなっていて、北 大 は永 遠 の彼 方 。
未だに津軽海峡を渡ったことがない。
出身は静岡県。北を諦めて向かったのは西。京都で水産学なるものが専攻の学生となった。京都の冬
はけっこう寒 かったが、寒 ければ外 出 しないような気 儘な生 活 。好 き勝 手 なことをやっていて、外 国 語をか
じるのもその内 。一 応 卒 業 して、改 めて外 国 語 を専 攻 することにして大 学 に入 り直 す。何 語 をやったか。
感覚 的には(より正確 には音声 ゆえ)ロシア語が好 きであったが、当 時のソ連 という政 治 体 制もさることなが
ら、北 海 道 にも行 けない輩 にロシアなんてとんでもなかった。ロシア語 に劣 らず感 覚 的 にしっくりきたのが
スペイン語であり、スペイン語を話すラテンアメリカは概して暖かい。それで決まり。
学 生 時 代 にメキシコに留 学 する機 会 に恵 まれ、行 先 は米 国 のアリゾナ州 に隣 接 する北 西 部 のソノラ州 。
本 学 に就 職 してから米 国 アリゾナに留 学 させてもらったが、ソノラやアリゾナなどのメキシコと米 国 の国 境
地 域 、そして国 境 そのものをめぐる諸 問 題 を研 究 対 象 としている。因 みにソノラからアリゾナにかけての地
域 は砂 漠 で、世 界 一 暑 いともいわれる(夏 の気 温 40℃は普 通 で、砂 漠 の砂 は70℃にもなる)が、その暑 さ
が懐かしい。
- 21 -
中野 達司
テーマ
アングロアメリカ(米国)との比較を通じてのラテンアメリカ理解
専 攻 :ラテンアメリカ地 域研 究
◆ゼミの内 容
アングロアメリカとラテンアメリカは、何 れもヨーロッパ人 が彼 らにとっての新 天 地 に(そして先 住 民 の犠
牲 の上 に)成 立 させるという、構 図 としては同 様 の過 程 を経 ながらも、今 日 の両 地 域 の相 違 、格 差 はあま
りにも大 きい。その原 因 の何 たるかについて考 察 し、それを契 機 としてラテンアメリカへの認 識 と理 解 を深
めていただく。そして、世界のある地域を捉える視座というものを涵養していただく。
◆ゼミの進め方
前 期 は基 礎 文 献 の輪 読 。形 式 と進 度 は参 加 者 のやる気 と理 解 度 次 第 。夏 休 み終 了 時 までに自 分 の
テーマを見 つけることとし、後 期 はそのテーマについての各 自 の報 告 を軸 に進 める。そして学 年 末 にレポ
ートの提出を課す。
◆その他
受講者はスペイン語を履修していることが望ましい。授業は研究室で行なわれる。
◆ゼミ見 学
随時可。
◆オフィス・アワー
火曜日 14:30~18:30
上記以外でも、面談は随時可。
- 22 -
ながつな
け ん ご
永綱
憲悟
研究室
教授
6803
自 転 車 で大 学 に通 っている。雨 や風 の日 もある。冬 の朝 は空 気 が痛 いように頬 をさす。白 い蝶 や花 び
らの舞う季節にはゆっくりとペダルをこぐ。
大 学 に着 くと、まずお湯 を沸 かし、コーヒーを飲 む。それからロシア政 治 関 連 のホームページをチェック
する。大 統 領 府 、政 府 系 新 聞 、独 立 系 新 聞 、そして欧 米 の関 連 サイト。それらを訪 れているうちにすぐに
昼前になってしまう。単純な作業だが、一日これをサボると次の日が大変になる。チェックした記事や資料
のすべてが研 究に直 接 役 立つわけでもない。意 味 ある情 報との出 会 いは、百分 の一 、あるいはそれ以 下
の確率でしか起きない。しかし九十九のムダを覚悟しなければ一の宝に出会うことも出来ないのである。
午後には講 義や会議が待っていることが多い。それがなければ自分の本来の仕事、すなわち現 代ロシ
アの政 治 と歴 史 の研 究 に取 り組 む。乏 しい研 究 業 績 は、研 究 者 仲 間 との論 文 集 『スターリン時 代 の国 家
と社会』、そして短いブックレット『大統領プーチンと現代ロシア政治」である。
夕方までにさらに2、3度コーヒーを飲み、帰路に着く。夏は大きな夕日を目指して、冬はライトを照らし
ながら走る。道の半ばを過ぎる頃にはたぶん大学人の顔から家庭人の顔に戻っている。まったくローカル
な淡々とした生活である。だが無事にこれが続いて行くことは最も良いことであり、そして最も難しいこ
とだと思っている。
- 23 -
永綱 憲悟
テーマ
現代の政治リーダーの比較
専 攻 :比 較 政 治 学 ・ロシア現 代 政 治 研 究
◆ゼミの内 容
「偉業は、偉人を得ずして成ることがない。そして、偉人たちは偉大たらんと決意する意志力により偉大
になる」とフランスの英雄的大統領ドゴールは語ったそうです。そう書いているのは、アメリカの名高き大統
領ニクソンです(下記テキスト/360頁)。
ニクソンはまた「いったん(権力闘争に)勝つと、権力それ自体が人物をさらに異質にしていく。道で行
き遇う、どこにでも住んでいる“いい人”では、権力を握ることはできない」とも語っています(ウォーターゲ
ート事件の張本人の言葉だけに迫力があります!)。
偉大な指導者とはどのような人物なのか。権力により人が「異質」になるとはどういうことなのか。そういう
ことを一緒に考えてみましょう。
◆ゼミの進め方
ゼミ初回で、対象となる「政治指導者リスト」を配布します。その中から各自が一人を選んでその人物に
ついて調査し、報告してもらいます(報告のさいには、プレゼンテーションをあれこれ工夫することを期待し
ます。クイズ形式やビデオの利用、さらにはパワーポイントの利用などもありえます)。この指導者の「ここが
立派」、「ここが嫌い」といったレベルから始まり、政策能力や組織力にいたるまで、あれこれ議論しましょ
う。
◆テキスト
リチャード・ニクソン『指導者とは』(文藝春秋社、1986)ほかプリント配布予定。
◆成績 評 価 の方 法
平常点(発言と課題提出)。
◆オフィス・アワー、連 絡 方法 等
今回、ゼミ選考期間中(2006年度後期)、特別研究休暇で不在です。
(1)説明会は開催しません。Eメールでのコンタクトもおそらく難しい状態になりますので、上記説明文
により、志望を決めて下さい。
(2)面接も出来ませんので、応募者多数のばあい、原則として、過去の成績により合否を決定します。
(3)なお、合格者(通常通り掲示される)には、2007年3月中に個別連絡を行いますので、登録願書
のどこかに「連絡 先Eメールアドレス(携帯電話またはパソコン、あるいは両方)」を必ず記入してお
いて下さい。
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にいつま
じんいち
新妻
仁一
研究室
教授
1401
世 界 最 古 の都 市 の一 つといわれるシリアの首 都 ダマスカスが心 の故 郷 です。ダマスカス大 学 で学 び、
シャームと呼 ばれた地 域 (現 在 のシリア、レバノン、ヨルダン、パレスチナ、イスラエル)の社 会 や自 然 、そし
てそこに生 きる民 族 的 にも宗 教 的 にも異 なる歴 史 を背 負 った様 々な人 々の生 き方 や言 語 に関 心 を抱 い
てきました。帰 国 後 、アジア・アフリカ語 学 院 や中 東 調 査 会 、外 務 省 研 修 所 等で、アラビア語や中 東 の近
現代史を中心とした教育、研究活動に従事し、1989年に本学の専任教員となりました。
現在、アラビア語(現代 標 準アラビア語やシリア方言 の研究と教 材開発)と近 代におけるシリア・レバノン
関 係を主たる研 究テーマとして取り組 んでいます。またシャーム地 域 の民 話についても大きな関 心を持っ
ています。シャーム地域が位置する地中海の東側に広がる地域は、アラビア半島と地中海の南側に位置
する北 アフリカを含 め今 日 中 東 と呼 ばれています。中 東 を理 解 するためにまず必 要 なことは、イスラーム
について学 び、アラビア語 を修 得 することです。シャーム地 域 でもそうですが、イスラーム社 会 はみなさん
が思 っている程 排 他 的 でも差 別 的 でもありません。それは驚 く程 開 放 的 であり、柔 軟 性 を持 った社 会 で
す。本 学での講 義を通 じて、このイスラーム社 会 の面 白 さ、魅 力 、そしてアラビア語 の美 しさを一 人 でも多
くのみなさんに知ってもらえればと思っています。
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新妻 仁一
テーマ
中東・北アフリカ世界の総合的研究
専 攻 :中 東 地 域 研 究 (シリアレバノン近 現 代 史 、アラビア語 )
◆ゼミの内 容
このゼミは、通 常 私たちが中 東 、北 アフリカ世界 と呼 んでいる地 域、すなわちアラブ世 界を中 心とし、そ
れを取 り巻 くイスラーム世 界 を研 究 対 象 地 域 とする。いうまでもなくこの地 域 は日 本 に対 する石 油 の供 給
地として計り知れない重 要性を持っている。1979年のイランにおけるイスラーム革 命、1990年のイラクのク
ウエート侵 攻 に端 を発 した湾 岸 危 機 、そして2001年 のニューヨーク事 件 、さらに中 東 和 平 問 題 (パレスチ
ナ問題 )等 、この地 域に関 連する諸 問 題は日 本 が構 築 してきた国 際 関 係 の基 本 的 枠 組みを根 本 的に変
更 させる可 能 性 を常 に持 っている。一 方 、この地 域 は、文 明 の十 字 路 、あるいは侵 略 の十 字 路 と呼 ばれ、
アラブ人 、イラン人 、トルコ人 、その他 数 え切 れないほどの民 族 が繁 栄 と衰 退 の歴 史 を繰 り広 げた舞 台 と
なったところでもある。そのためこの地 域 について学 ぶことは、現 在 私 達 が直 面 している民 族 問 題 や宗 教
問題を始めとする諸問題を冷静に分析する目を養うことでもある。
また西 欧 文 明 の吸 収 を前 提 として国 際 化 を論 じる私 たちにとって、イスラーム文 明 の存 在 を知 り、それ
をさまざまな角 度から検 討してみることは、これまでの論 議 に欠けていた新たな視 点 を発 見することになろ
う。なぜなら、イスラーム文 明 ほど文 明 の蓄 積 度 、そして国 際 性 において強 力 な文 明 はないと言 っても過
言 ではないからである。そしてこのイスラーム文 明 があらゆる意 味 においてこの地 域 の統 一 性 を保 つ唯 一
の尺 度 であると言 うこともできる。現 在 注 目 を浴 びているイスラーム復 興 運 動 (いわゆる原 理 主 義 )もイスラ
ームの持 つ巨 大 な文 明 的 土 壌 を理 解 することなしには説 明 できないであろう。このゼミでは以 上 のような
特 色 を持 つこの地 域 を多 様 な角 度 から検 討 し、また基 礎 的 な知 識 を習 得 しつつゼミ生 の問 題 意 識 を高
めるようにしていきたいと思っている。
◆ゼミの運 営
1年 間 、イスラームの聖 典 である『コーラン』をじっくり読 んでいきたい。イスラーム社 会 の様 々な文 化 や
制度は、ムスリムがどのようにこの書物 を解釈 したかを示しているにすぎないとさえ言われる。これまでのゼ
ミを通 じて作 成 してきたコーラン要 点 整 理 ノートを活 用 しながらコーランの内 容 を確 認 しイスラームとは何
かについて皆で議論を重ねていきたい。
◆成 績評 価 の方 法
出席および参加姿勢を重視して評価する。
◆その他
ゼミ見学を希望する場合は、前日までに連絡すること。
◆オフィス・アワー
金曜日 16:00~17:50 (この時間以外でも可能な限り面談に応じる)
研究室は1号館4階。メールは、niitsuma@asia-u.ac.jp.
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の ざ わ
か つ み
野澤
勝美
研究室
教授
1434
東 京 の文 京 区 ・根 津 で生 まれ育 った。戦 後 占 領 下 で近 くの上 野 公 園 には春 ともなると米 軍 将 兵 が花
見に訪れ、我々を被写体によく写真をとってくれた。
大 学 では経 済 学 を学 び、設 立 して間 もなかったアジア経 済 研 究 所 に勤 務 することになった。最 初 の出
張 はスハルト政 権 発 足 後 4年 目 のインドネシア、それも日 本 軍 の落 下 傘 部 隊 で知 られたスラウエシ島 北
端のメナドで、開発途上国における農業開発の重要性を実感した。
その後 、1980年 代 に2年 間 、1990年 代 に3年 間 、いずれもフィリピン大 学 に客 員 研 究 員 として滞 在 し
た。最 初 の滞 在 ではフィリピンの企 業 会 計 制 度 をテーマに研 究 した。政 府 主 導 型 開 発 政 策 の失 敗 で関
連企業救済に案出された会計基準の特色に着目し、これを調査した。
二 度 目 の滞 在 時 には、現 地 研 究 者 との共 同 研 究 でフィリピンの規 制 緩 和 政 策 、地 方 分 権 政 策 をテー
マとし、これをマクロ経 済 面から分 析 し、さらにその結 果を踏 まえて農 村 開発 の課題 をミクロ経 済 面から調
査 した。これらは、『フィリピン農 村 開 発 の構 造 と改 革 』(バリサカン・野 沢 編 著 、アジア経 済 研 究 所 、1994
年)など3冊にまとめられている。
縁 あって本 学 勤 務 となったが、当 面 の関 心 は研 究 領 域 を発 展 段 階 、地 勢 などが類 似 する東 南 アジア
に拡 大 し、これらの諸 国 における(1)工 業 化 と農 業 開 発 の相 互 関 連 、(2)地 域 開 発 における農 村 開 発 の
位置付け、などである。
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野澤 勝美
テーマ
東南アジア諸国の経済開発
専 攻 :農 業 開 発 論 、東 南 アジア経 済 論 、フィリピン研 究
◆ゼミの内容
専門ゼミ・総合ゼミを通しての本ゼミの目的は、二つの部分から構成される。第1に、近年の東南アジア
諸国におけるめざましい経済発展の背景を理解することである。第2に、東南アジア諸国の経済社会開
発 の現 状 と課 題 の研 究 である。後 者 の研 究 に際 しては地 域 研 究 の方 法 による。すなわち対 象 国 の政 治 、
経済、社会、対外関係を総合的、かつ学際的に把握する。これは開発問題を対象国の立場で考察する
ことでもある。
具体的内容に関しては、専門ゼミでは以下の3項目について取り組むこととする。
(1)経済社会開発の基礎指標などを学習する。
途上国の開発課題を理論的に理解するため、経済指標などの分析手法の基礎を学習する。
(2)東南アジア諸国の経済開発に関する基礎的な知識を学習する。
東 南アジア諸 国 における経 済 社 会 開 発 の現 況 と、政 治 、経 済 、社 会などに関する歴 史を学 習 する。
対象国の事例として島嶼国のフィリピンを中心に取り上げる。
(3)問題意識を明確にする。
卒論テーマを念頭におき、その構想を練るために必要な文献を読みこむ。
◆ゼミの進め方
前期は共通する基礎文献の購読を中心に行う。また、上記(1)、(2)に関連して随時テーマを与えるの
で、参加者は調査し発表する。後期には、上記(3)を踏まえて、各自に必読論文を指定するので、それに
ついて順次報告を行う。いずれも全員参加で、報告者へのコメントなどは積極的に行う。なお、専門ゼミ
のレポートは最後の授業時(1月)に提出する(8,000字程度)。
◆成績評価の方法
毎回の報告の内容、授業への積極的参加の度合いによって評価する。
◆その他
参加学生に望まれる条件:経済学に関心があること。ある程度の英語の読解力があること。
◆ゼミ見学
ゼミ見学希望者は事前に申し込むこと。
◆オフイス・アワー
金曜日 13:30~15:00
上記以外にも必要があれば随時可。
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ふ る い
ひとし
古井
仁
研究室
助教授
6619
四 国 八 十 八 カ所 霊 場 第 二 十 番 札 所 「鶴 林 寺 」の近 くで1965年 に生 まれた。実 家 は表 具 店 を経 営 して
いたので「表 具 師 」になるはずだったが、バイク・機 械 いじりがこうじて工 業 高 専 に進 学 したので別 の道 に
進むこととなった。亜細亜大学には平成12年4月に着任した。
工 業 高 専 は5年 間 一 貫 教 育 だったため、ゆとりをもって勉 学 、スポーツともに打 ち込 めた。卒 後 は大 手
電 機 メーカーに就 職 し、製 品 開 発 の現 場 で働 いた。システムエンジニアの仕 事 をしたことが経 済 学 や経
営学の必要性に気づくこととなり、そのご体系的な勉強をしようと大学進学(編入)を決断のうえ辞めた。当
時 、会 社 を辞 めて、大 学 で勉 強 することは非 常 に稀 であっただろう。必 然 だったかもしれないが、学 部 の
授 業 では満 足 せず、大 学 院 に進 んだ。研 究 者 になろうと決 意 したのは丁 度 この頃 (27歳 )。ゼミの先 生 の
薦めをいただき、慶大、東大の大学院で国際経済、産業組織、企業経済の研究を続けることができた。
社 会 に出 て(働 き始 めて)から「大 学 でもっと学 んでおけばよかった」と思 う人 は多 いと聞 く。近 年 、大 学
入 試 の規 制 緩 和 や、企 業 が社 員 の向 学 心 に対 して寛 容 的 な対 応 をするようになってきたこともあって社
会 科 学 系 大 学 院 で学 ぶ社 会 人 学 生 は増 えてきている。私 が進 学 を志 した頃 と比 べると驚 くべき現 象 で
すが・・・。個 人 のスキル・能 力で勝 負 する時 代を迎 え、大 学 の創 出する〈知〉をますます活 用してもらいた
いです。
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古 井
テーマ
仁
国際ビジネス環境と国際企業戦略
専 攻 :国 際 経 済 論 、国 際 ビジネス論
◆ゼミの内 容
今 日 の国 際 経 済 で重 要 な流 れが2つあります。WTOのもとで貿 易 ・投 資 ・規 制 の自 由 化 、制 度 の共
通化を多 国 間で進める動き、今ひとつは数カ国 間で取 り決 める地域 経 済統 合です。このような2つの動き
は国際企業 の新たな成長機会にもなります。国際ビジネス環境の変化からもたらされる商機を察知し、企
業 固 有 の強 みで活 用 して成 長 軌 道 を描 いている企 業 、国 際 エクセレント・カンパニーは欧 米 で珍 しくあり
ません。日 本 でも自 動 車 や家 電 でようやく現 れるようになりました。本 ゼミは国 際 エクセレント・カンパニー
の卓 越 した競 争 力 (環 境 分 析 、経 営 資 源 蓄 積 )を理 解 するための企 業 戦 略 (立 案 、実 行 、結 果 、結 果 の
フィードバック)の理論を学習します。企業戦略論は、現実への応用範囲も広く、国際ビジネスパーソンに
は必 要 な科 目 といえます。本 ゼミは、企 業 戦 略 論 を、経 済 学 のロジックでも解 説をしているテキストを使い
学習していきます。初学 者にも理解し易いような工夫と丁寧 な解説がされているテキストを使用します。概
念・理論の修得に偏らないよう、その応用(実践)力を養うためのサブ教材も提供します。
◆ゼミの進め方
企 業 戦 略 論 のテキストを、前 期 、後 期 に亘 って輪 読 していきます。またゼミは質 問 力 や問 題 解 決 能 力
を養 う「道 場 」と位 置 づけて進 めていきます。そのため、(1)全 員 にテキストの要 約 を課 すこと、(2)ゼミ生 か
らの問題提起を求め、(3)ディベート的な議論をします。やる気のあるゼミ生には発展 学習として自主研究
レポートの執筆の機会を与え(例年、学生の半数が取り組んでいます)、個別指導を提供していきます。
◆成 績評 価 の方 法
ゼミの最 終 評 価 は、テキストの報 告 内 容 、授 業 への参 加 状 況 (出 席 率 、発 言 )、各 レポートの完 成 度 を
総合的に判断して決定します。
◆その他
本 ゼミは、「ゼミ活 動 を通 じて生 涯 の友 を得 る」という運 営 理 念 の下 で正 規 の授 業 以 外 にも、自 主 サブ
ゼミ、夏 合 宿 、会 社 見 学 会 、他 大 学 とのゼミ交 流 (討 論 会 )、4年 生 卒 業 論 文 合 評 会 などを行 なっていま
す。ゼミ活 動 や成 果 は、古 井 ゼミ・ホームページ〈http://www2.asia-u.ac.jp/~furusemi〉上 で公 開 されて
います。選考プロセスでは、経済系科 目の履修状 況を考慮しますがこれが絶対的なものではありません。
ゼミ志望理由、ゼミ活動や運営理念への理解がポイントです。
◆ゼミ見 学
可、前日までに連絡してください。専門ゼミは木曜・3時限目
◆オフィス・アワー
木曜日 12:10~12:50
メールアドレス: t2s@asia-u.ac.jp
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まえかわ
てるみつ
前川
輝光
研究室
教授
1412
私 の出 身 地 熊 本 県 荒 尾 市は、三 池 炭 鉱 の町 である。荒 尾は、行 政 的 には熊 本 に属 しながら、大 牟 田
とのつながりから、文化的・経済的には、むしろ福岡の一部である。非常に境界的な環境で私は生まれた
わけだ。
そう考 えてみると、大 阪 外 国 語 大 学 ヒンディー語 科 時 代 に長 く住 んだ東 大 阪 市 石 切 町 も、奈 良 との境
界にあった。東 京外 国 語 大 学大 学 院 地 域研 究 研 究 科時 代 、東 大大 学 院 宗 教学 宗 教 史 学時 代 、2年 間
の非 常 勤 専 念 時 代 に住 み続 けた東 京 都 北 区 西 ヶ原 は、埼 玉 と目 と鼻 の先 の土 地 であった。亜 細 亜 大
学 の専 任 となり住 み始 めた現 在 の部 屋 のある地 域 は、武 蔵 野 市 の隅 っこで、西 東 京 、小 金 井 と接 してい
る。それどころか、回廊部分を少し歩けば、もう小平市という位置である。
どうも私 は、生 まれてこの方 、境 界 線 上 を行 き来 するようなことを繰 り返 してきている。住 む所 だけの問
題 ではなく、研 究 ・生 き方 もまたそうだった。しかし、そんな研 究 (『マックス・ヴェーバーとインド』、未 来 社 )
が、’94年 度 第 2回 中 村 元 賞 をいただき、境 界 型 の生 き方 に自 信 を強 めた。その後 、この研 究 によって、
東京大学から博士(文学)の学位を得た(’97年3月)。
趣 味 は映 画 、ジャズ(軽 音 楽 部 顧 問 )。ほかに、趣 味 というべきか専 門 と呼 ぶべきか判 断 に迷 う分 野 が
いくつかある(その分野の1つで本を出している。『血液型人間学-運命との対話』松籟社 1998年)。
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前川 輝光
テーマ
比較宗教論、南アジア研究
専 攻 :比 較 宗 教 論 、インド宗 教 ・文 化 論
◆ゼミの内 容
(前期)
仏教とキリスト教の比較を行う。具体的には、原始仏教経典の中でも最も親しまれている『ダンマパダ
(法句経)』と『新約聖書』(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四福音書中から一つを選ぶ)を読み比べる。
仏教もキリスト教も、イスラームと並び、世界三大宗教と呼ばれている。歴史上、人類史に巨大な影響
を残しただけではなく、現在も世界中で何億もの人々の信仰を集めている。両者の経典を読み比べるこ
とにより、東洋と西洋、アジアと欧米の文化、社会を根源的なところで比較することが出来る。
『ダンマパダ』は言う。「幸 せは偽 装 した苦しみである」「愛 する人を作 るな」。イエス・キリストは自 分 の母 、
兄弟についてそっけなく言う。「私の母とは誰のことだ、私の兄弟とは誰のことだ」。こうした謎めいた発言
は何を意味するのか。それを考えていくうちに人間や宗教、文化というものが見えてくる。
大宗教の影響は様々な領域に及ぶ。ゼミでは映画、漫画、美術、スポーツ、食、家族などをも語り合う
ことになると思う。
(後期)
各自テーマを決め、卒論へ向けて自由に報告する。そしてそれについてゼミ生全員で討議する。
◆ゼミの進め方
報告者(各回2~3人)には、毎回レジュメを用意してきていただく。報告をもとにゼミ生全員で議論し、
最後は前川が締めくくる。
卒論で宗教、インド(南アジア)に関わるテーマ以外のテーマを追求したいと考えている学生も、担当
者に指導可能であると思われる場合には歓迎したい。
◆成績 評 価 の方 法
報告、レポート、討議への参加度、出席などにより、総合評価する。
◆ゼミ見学
見学可能である。
◆オフィス・アワー、連 絡 方法 等
オフィス・アワー: 火曜日 14:30~16:00
研究室(tel.): 1412 (0422-36-7351)
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ま お た に
さかえ
間苧谷
榮
研究室
教授
6707
大 阪 で生 まれ、高 校 卒 業 まで宝 塚 で過 ごした。一 橋 大 学 の学 部 ・大 学 院 で10年 間 、社 会 科 学 を学 び、
エ ー リ ア ス タ デ ィ ー ズ
インターナショナルリレーションズ
「アジアの地域研究に 基 礎 をおいた国際関係の学問 」を開 拓 ・発 展 させた板 垣 與 一 先 生 に師 事 し、イン
ドネシア地 域 研究を専門 にする研究 者になった。卒業 後、東 京外 大附 置 の国公 立 大 共同 利用 機 関、ア
ジア・アフリカ言語文化研究所に研究員として8年間在籍(うち2年はインドネシア大学に出講)。同研究所
で河 部 利 夫 先 生 から異 文 化 の内 面 的 ・共 感 的 理 解 の重 要 性 を学 ぶ。主 著 は『現 代 インドネシア研 究 ~
ナショナリズムと文 化 』(勁 草 書 房 、1983年 ~同 書 を中 心 とする研 究 で一 橋 大 学 から博 士 号 取 得 )と、『現
代 インドネシアの開 発 と政 治 ・社 会 変 動 』(勁 草 書 房 、2000年 )。本 学 には1975年 9月 、新 設 予 定 の国 際
関 係 学 科 (国 際 関 係 学 部 の実 質 的 な母 体 )スタッフとして就 任 。30年 以 上 の時 が経 ち、発 足 以 来 の古 手
になったが、今も、新しく生まれつつある熱気に満ちた学問分野が好きだ。時代が要請する新しい問題を
テーマにし、狭 い縄 張 り意 識 にとらわれない立 場 から種 々の学 問 の方 法 、成 果 を利 用 ・発 展 させようとす
るところに惹かれる。地域研究も、今ゼミで取り上げている観光研究(とくに観光人類学・観光社会学)もそ
うだ。両 者 は新 しい学 際 的 な総 合 研 究 という点 で共 通 している。新 しく学 んだことを人 に教 えるのが好 き
だ。少しの助言で学生が大きく伸びるのを目の当たりにするのは教師冥利に尽きる。
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間苧谷 榮
テーマ
観光とグローバル化
専 攻 :インドネシア地 域 研 究 、観 光 社 会 学 ・観 光 人 類 学 、途 上 国 社 会 変 動 論
◆ゼミの内 容
「観光」、もしくは、「国際観光」という切り口から、グローバル化とローカル化のせめぎあう現代世界を読
み解いてみよう。国際観光客数は2002年に7億人に達し、2020年の16億5,000万人(推定値)に向けて
猛烈な勢いで増加しつつある。それにもかかわらず、多くの学問が最近まで本気で観光を研究しようとし
てこなかった。これは大きな知的怠慢であったが、ここに来てその様相が急速に変わりつつある。例をあ
げよう。文化人類学の分野では、放送大学のテキスト(学部レベルのもの、大学院レベルのもの双方)は
「観光人類学」を一つの章として取り上げている。また、社会学でも、R.コーエン・P.ケネディ著『グローバ
ル・ソシオロジー』(平凡社、2003年)は観光に一つの章を振り向けているし、2005年には、須藤健・遠藤
英樹『観光社会学~ツーリズム研究の冒険的試み』が出版された。これらの動きは、実学中心的傾向の
強かった観光研究から、「社会科学からの学際的研究」としての性質の強い専門的観光研究へという大
きな流れを示すものに他ならない。
そこで本ゼミでは、山下晋司編『観光人類学』(新曜社)を輪読することから観光の勉強を始める。地
域としては、バリ、ハワイ、ラップランド、タイ、パプアニューギニア、フィジー、中国、日本などが扱われ、テ
ーマとしては、観光の仕組み、観光イメージ、持続可能な観光、エコツーリズ、観光とメディア、民話観光
などが取り上げられ、ディズニーランドやサンタクロースが観光との関連で論じられているなど、とりつき易
い内容になっている。同書を輪読するとともに、観光研究関連のDVD(世界遺産その他を含む)をできる
限り多く観る機会を設けたい。
なお、観光研究は国際関係、国際協力・交流、地域研究が相互補完的に切り結ぶ場であるので、三
つのコースのいずれを選択する学生も受け入れる。
◆ゼミの進め方
3年次は上記テキストの輪読を行う。毎回その日に読む箇所の要約を全員が提出する。ゼミのメンバ
ーを三つのグループに分け、順番に司会、報告、予定討論を担当し、報告書作成・プリゼンテーション・
ディスカッションの能力を総合的に開発する。3年次の最後には卒業論文のテーマを決め、文献検索を
終えて、卒論作成が開始出来るように指導する。なお、卒論のテーマは相談のうえ決めるが、執筆者本
人の自由な意志を最大限、尊重する。
◆成績 評 価 の方 法
成績評価は普段の学修態度で総合的に判断し、試験はしない。
◆その他
全員がきっちり準備をして出席し、真剣に議論する本格的なゼミを志向している。
◆ゼミ見学
自由に見学可能(事前にEメールで連絡してもらうことが望ましい)。
◆オフィス・アワー、連 絡 方法 等
オフィス・アワー: 木曜日 12:15~12:50 (この時間帯なら火曜日、水曜日も可)。
研究室:6号館7階
メールアドレス: maotani@asia-u.ac.jp
ホームページ: http://www2.asia-u.ac.jp/~maotani/ (卒論の過去のテーマ、就職先など掲載)。
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みつはし
ひでひこ
三橋
秀彦
研究室
助教授
6711
東 京 オリンピック(1964年 開 催 )の前 年 、1963年 に生 まれた私 は、小 学 1年 生 の時 に大 阪 万 博 (1970
年 )を経 験 した。子 供 の頃 は、新 幹 線 に乗 って祖 母 のいた横 浜 に行 くのが最 大 の楽 しみであった。その
後 、小 ・中 ・高 とすべて横 浜 の公 立 校 を卒 業 したのち、1983年 に大 学 (一 橋 大 学 社 会 学 部 )に入 学 し、
1987年の卒業旅行で初めての海外旅行として中国を経験することになる。
高 度 経 済 成 長 からバブル経 済 まで「ジャパニーズ、アズ、No.1」として日 本 が世 界 から注 目 される時 期
に育ち、子 供 の頃 から「経 済 成 長」と「公 害 環 境 問 題」が周 囲 の最 大の関 心 事であった。大 学 院 (一 橋 大
学 社 会 学 研 究 科 )に進 学 した時 、中 国 を研 究 対 象 に選 んだのも、今 日 (2005年 )までの20数 年 間 、高 度
経 済 成 長 を続 ける中 国 に、かつての日 本 の姿 を見 たからかもしれない。1988年 、修 士 課 程 2年 のとき、
初 めての留 学 (中 国 人 民 大 学 社 会 学 部 )を経 験 し、翌 1989年 には、第 二 次 天 安 門 事 件 を現 地 で経 験 し
た。
その後 、1994年から1997年まで、中 国への返 還 を控 えた香 港の日 本 総 領 事 館で専 門 調 査員 として3
年 間 過 ごし、1998年 から、縁 あって、亜 細 亜 大 学 にお世 話 になっている。大 学 では、中 国 研 究 と社 会 学
を担 当 し、特 にゼミでは3年 次 の夏 休 み6週 間 を使 って北 京 で社 会 調 査 をすることが恒 例 となっている。
高 度 経 済 成 長 を知 らない日 本 の学 生 が、2008年 のオリンピックを前 にして熱 い中 国 社 会 との出 会 いで
何を感じてくるのか。教師として、それが、毎年の大きな楽しみとなっている。
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三橋 秀彦
テーマ
現代中国研究―フィールド調査より見えてくるもの―
専 攻 :現 代 中 国 研 究 (比 較 社 会 学 )
◆ゼミの内 容
(1) 中国語の能力の養成
(2) 中国の現状理解に必要な、現代中国に関する基本的知識の習得
(3) 社会調査法の習得
(4) 3 年次の夏休みに、AUGP(中国)に参加し、各自のテーマでフィールド調査を行い、その成果を
アジア祭等の公の場で発表することを通じて、プレゼンテーションの技術を向上させる。
◆ゼミの進め方
前期には、中国の現状、もしくは日中関係に関する日本語の本を読みます。(ちなみに、今年度(2006
年度)は、山下裕子他「ブランディング・イン・チャイナ ―巨大市場・中国を制するブランド戦略―」でし
た。)
夏休みは、ゼミ活動のやまである中国での調査ですが、AUGP(中国)参加期間中に、北京で各自の
テーマでフィールド調査を行います。
後期では、夏の成果を受けて、通常のゼミでは中国語のテキストの講読と卒論に向けた報告を行いま
す。また、フィールド調査の結果は、アジア祭期間中に実施する報告会で発表し、語学学習の成果は、
11月の中国語検定試験で試されることになります。
◆成績 評 価 の方 法
平常点 60%、フィールド調査 40%
◆その他
(1) フィールド調査は、2001 年に開始し、これまでに本ゼミ生 39 名、他ゼミからの参加学生15名が夏
の北 京 でフィールド調 査 を実 施 しました。テーマは、学 生 の関 心 にあわせて政 治 、経 済 、文 化 、社
会と多様です。皆さんの期(2007 年)は、翌年(2008 年)に開催される北京オリンピックをちょうど 1
年 後 に控 え、熱 気 ある中 国 社 会 が体 験 できる、またとない機 会 を手 にしています。フィールド調 査
は、きっと一生の思い出となるでしょう。
(2) ゼミの先輩 達はフィールド調査を通じて、中国社会を深く体験し、それにより中国語 力と中国理 解
を飛 躍 的 に向 上 させてきました。ですので、ゼミのメイン・イベントとしてAUGP(中 国 )への参 加 が
強く推 奨 されますが、部 活 等 の理 由 でAUGP(中 国)に参 加できない場 合は、別 途 対 応 します。そ
うしたケースに該当する場合は、お問い合わせ下さい。
(3) ゼミを希望する学生は、説明会まで必ず教員を訪ね、説明をうけてください。
◆ゼミ見学
ゼミ見学を希望する学生は、遠慮なくいらしてください。特に、10月のゼミでは、この夏に北京で調査を
実施し、フィールド調査に関する報告作品を作成している先輩たち姿をみることができます。
◆オフィス・アワー、連 絡 方法 等
オフィス・アワー: 水曜日 10:40~12:10
メールアドレス: mituhasi@asia-u.ac.jp
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再交付しないので紛失しないように
学籍番号
氏
名