2005年10月号 - ITIL - itSMF Japanオフィシャルサイト

 ニュースレター 2005.10
目次
it SMF Japan 理事からのご挨拶 it SMF Japan 理事 松尾 直樹
3
「ITIL の実装に向けて」
− IT サービス課金の実践 − 株式会社アイ・ティ・アール 4
会員ご紹介 東芝インフォメーション・システムズ殿 7
日本の「IT サービスマネジメント」市場への展開
シックス・シグマ:品質改善のケース・スタディ
EXIN Japan From SERVICEtalk
12
From SERVICEtalk
16
From SERVICEtalk
19
From SERVICEtalk
30
サービスデスクの未来
Ask The Experts
ITIL の基本を超えて
9
it SMF Japan
34
第二回 it SMF Japan コンファレンスご報告 it SMF Japan
35
it SMF Japan 第五回セミナご案内 it SMF Japan
36
アセスメント分科会ディスカッション開催ご報告 it SMF Japan
37
事例研究分科会活動のご報告
it SMF Japan
38
出版関連情報
2
「ITIL の実装へ向けて」
― IT サービス課金の実践 ―
ITIL では IT サービス財務管理がプロセスとして定義され
ているかという課題である。これには IT コストが可視化さ
ており、IT 資産と財源の費用対効果の高い管理を行うこと
れているという前提のもと、他社の平均的なサービス価格
が目標化されている。一方、多くの国内企業では、効果的
と同等以下に設定されているかが、問われることとなる。
な IT サービス財務管理を実現できておらず、諸問題が発生
ユーザは、あらゆる供給者からより安価なサービスを選択
している現状が見られる。ここでは IT サービス財務管理を
し、選択したサービスのコストの妥当性について説明を要
行ううえで着目すべき IT サービス課金に焦点をあてて、そ
求するのが常である。
の一般的な手法と効果的な解決方法について考察する。
・公平さ
課金方式における課題
グループ企業内で課金ルールが標準化されていない、あ
るいは標準化されていても利用料の算出基準が不透明であ
国内企業では、システムの総費用を積上げたコストを元
れば、課金の公平感を損ねることとなる。公平に課金配賦
に、会計処理、予算化、投資評価といった IT サービス財務
を行うだけでなく、公平であることを論理的に説明する必
管理を行うことが多い。これには、IT 投資が限定的で IT 部
要がある。
門/ IS 子会社における顧客である部署や企業も限られてい
ることから、厳格な投資評価や課金のスキームが必ずしも
ITIL では理想的な IT サービス財務管理のプロセスとし
必要ないといった背景がある。しかし、昨今では IT 支出が
て、利用者の利用形態や利用量に合わせた課金方式(ここ
増し、グループ戦略に基づいた高速ネットワークなどの共
ではこれを IT サービス課金という)を提起している。しか
通基盤化が進んだことから、顧客は徐々に増加する傾向に
し、この方式は必ずしも全ての企業に当てはまる訳ではな
ある。同時に、特定部門に特化した業務パッケージの導入
い。例えば、グループ戦略が不要で IT の投資評価や管理会
費などを部門内で予算化するケースが増え、IT サービスの
計的な分析を求めない場合は、旧来の一括課金方式でも十
供給者と受給者は複雑に絡み合う状況となっている。もは
分なことがある。統制力の強い親会社がグループ内共通シ
や単純な積算コストの把握だけでは、意味のある投資評価
ステムの使用料を故意に負担するケースなどは、この一例
や合理的な課金配賦を行うことが困難な状況になりつつあ
といえるだろう。
る。
こうした事情もあり、現時点での国内企業の IT サービス
現状では、IT サービス財務管理に関して以下のような課
財務管理の実施率は決して高くない。他のプロセスと比較
題が見られる。これらは、グループ企業を顧客に擁する IT
した例をあげると、サービスレベル管理の実施率が 23.1%
部門/ IS 子会社において見受けられ、とりわけ、グループ
であるのに対して、IT サービス財務管理の実施率は 18.5%
内拡販や外販率の向上を目指す IS 子会社にとっては、重要
となっている(IDG「Computer World」より)
。
な問題になることがある。
IT サービス課金とは
・透明性
IT コストの内訳が可視化されているかが問題となる。コ
企業は、上述の課題を解決するためのひとつの手法とし
ストの内訳が分からなければ、顧客は盲目的な支出を余儀
て、IT サービス課金を検討することが有効である。サービ
なくされ、的確な投資判断ができない。もっとも可視化さ
ス課金への転換を図るモデルとして、グループ企業の顧客
れているだけでは評価できないサービス ( カスタム・アプリ
へ対して IS 子会社が IT 関連コストを回収するケースを見
ケーションの価格など ) もあるため、算出基準の明確さや
てみる(図1参照)
。
納得性も同時に問われることとなる。
・コスト競争力
供給される IT サービスが市場価格に対する競争力を有し
4
図1 サービス課金への転換
これらに分類され
ない費用は間接費と
して認識される。人
材、施設・設備、振
替 の 一 部、 例 え ば
管理職の人件費など
の一般管理費などは
間接費に該当するで
あろう。このように
して、原価要素が分
類できれば、サービ
スとの紐付けを行う
ことでサービスごと
のコストが算出でき
る。これに課金単位
出典 ITR
( 1人あたり、1MB あたりなど、利用量の計測基準 ) を設
定すれば、顧客ごとのサービス課金を行う素地ができたと
見てよいだろう。
従来の一括課金においては、前年度実績をベースに、新
規システムの導入や大幅なインフラの刷新といったプロ
個別リソース費は該当するサービスに直結するので問題
ジェクトの見積りを加味して予算化するのが一般的である。
ないが、共有リソース費をいかに分配するかは検討が求め
これに対して IT サービス課金では、サービスごとに明確に
られる。これはメインフレームの課金において提起される
基準化された課金を行う。この場合、グループ企業に提出
典型的な問題である。ひとつの方法としては、アプリケー
される請求書の明細には、サービスごと ( 営業支援アプリ
ションを個別リソース、そのプラットフォームを共有リ
ケーション・サービス、メールサービスなど ) の利用量と
ソースと見なし、共有リソース費をアプリケーションのリ
それに応じた料金が盛り込まれることとなる。
ソース利用率で按分するという手法が考えられる。ITR の
調査によれば、CPU 利用率を用いる企業が調査対象の5
では、顧客ごとに課せられる料金は、どのようなプロセ
割程度と最も多く、その場合、固定額と従量制に基づく金
スで算出すればよいのだろうか。これにはまず、利用する
額を課金するケースが最多であった。この他、ハードディ
原価要素を適切に定義して置く必要がある。ハードウェア、
スク容量、アクセスユーザ数、JOB 数を用いる例や、アプ
ソフトウェアといった IT 資産のコストだけではなく、その
リケーションごとにソフトウェアの利用費用と保守費用を
開発・運用に関わる人件費や外部サービス費、施設・設備
算出し、ライセンス数に基づいて課金するケースも見られ
費も洗い出す必要がある。組織内の他の原価部門からの内
る。
部課金がある場合は、振替との項目を定義して盛り込むこ
とも忘れてはならない。
IT サービス課金の展開
次に、原価要素の分類であるが、これは大きく直接費と
グループ企業がこのような課金の体系化を取り組むな
間接費に分類される。直接費の場合は、それが特定のサー
か、地域的な環境差異 ( サービスレベルや市場価格 ) をど
ビスのためだけに利用されるリソース ( 個別リソース ) な
う処理するかという点も往々にして問題になる。特に海外
のか、あるいは複数のサービスに向けて共通して利用され
拠点を有するグローバル企業が国際的な経済格差の激しい
るリソース ( 共有リソース ) なのかによって分類する必要
地域に拠点を置こうとする場合、解決の難しい課題となり
がある。例えば、メールサービスにおいてメールサーバや
得る。グループ内でインフラの標準化を推進するケースを
メールソフトは個別リソースであるが、DNS サーバは他の
考えてみよう。標準機を提供するベンダが世界的にサービ
アプリケーションでも利用されるため、共有リソースと位
ス展開していない場合、定額制で課金配賦すると、後進国
置付けられる。運用・保守費などの人件費も同様の分類を
の拠点では非常に高い買い物を強いられることになる。一
要する。
方、現地調達にするといつまでも標準化が完了せず、調達
5
力の向上や管理負荷の軽減が期待できない。
提言
この問題を緩和するひとつの解決策として、当該サー
IT 活動に対する適正な投資評価、あるいはグループ戦
ビスの総コストを1人あたり GDP の比率に基づいて按分
略における妥当なコスト配賦を行うために、IT サービス
し配賦する方法が考えられる。この方法は、1人あたり
財務管理の重要性は今後増すであろう。IT 部門/ IS 子会
GDP 比率が高い拠点のサービス価格が相対的に高額化す
社は、一括課金からサービス課金への転換を図ることで、
る点では不利であるが、後進国のユーザ比率が少ない場合
コストの透明性を増すと同時に納得性の高い IT 課金を実
などは効果的に機能することがある。この考え方を応用す
現することができる。
れば、地域ごとに ( 北米および日本、欧州、日本を除くア
ジア・パシフィックなど )、地域内標準単価を定めること
も可能である。
株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト 金谷 敏尊 Toshitaka Kanaya
グローバル展開に関しては、この他にも国際税制などさ
まざまな環境差異や企業の経営方針などを考慮する必要が
あり、容易に解を出せるものではない。課金主体となる企
業の法務部門や経営企画部門、あるいは海外拠点との綿密
な協議が前提になることを十分に認識して頂きたい。
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6
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会員ご紹介
東芝インフォメーション・システムズ株式会社殿
運用センタのセンタ長の明路様とグループ長の工藤様の御二方にインタビューにお答えいただきました。東芝インフォメーションシステムズ(以降 TSIS)
殿は、株式会社東芝殿をはじめとするグループ会社全社へ運用サービスを提供しています。
インタビュア: it SMF Japan 第二回コンファレンスでのご
で大々的に
講演ありがとうございました。最初に IT 組織とシステムの
やっていくと
概要について、簡単にお話いただけるでしょうか。
いう計画を作
り実行してき
明路氏: 当社は東芝本体と東芝グループ会社全社に対し
ました。キー
サービスを提供しております。2002 年 7 月に東芝から情
メンバをピッ
報システム部門が独立して設立された従業員 1100 名の企
クアップして
業です。
Foundation
工藤氏: 東芝グループ全体としては、4 万∼ 5 万人ほどの
の資格の勉強をさせたり、キーマン作りに重点をおいて実
ユーザがおりますが、 運用センタとして東芝および東芝グ
施しました。私のところでは工藤さんをはじめ 10 のグルー
ループ会社向けの情報通信インフラのサービス管理および
プがあります。そのグループ一人一人に課題を背負っても
標準基幹システムである販売システム、経理システム、人
らい、それぞれにプロジェクトチームをおこしてもらって
事給与システムなどアプリケーション・システム運用管理
運用センタ全体で取り組んできました。ちょうど、東芝の
を行っています。プラットフォームは、現在 UNIX 系が中
中ではシックスシグマに全社/全グループで取り組んでお
心になっています。サーバの数としては、
UNIX が約 540 台、
り、シックスシグマの運動と絡めてトップダウンで実施し
LINUX も最近増えてきていて約 60 台、その他 Windows 系
てきました。
が 390 台くらいです。ちなみに汎用機は既に移行してなく
TSIS のトップからのフォローもあり東芝の情報システム部
なっています。
門と共同で毎月進捗フォロー会を行い報告できるようにし、
会社の大目標としました。他のスタッフの方々の支援を得
インタビュア:IT サービスマネジメントに取り組んだ効果、
るためにとにかく全社の運動にして理解を得ながら、私自
もしくは今後に期待している部分についてお教えいただけ
身がリーダとしてトップの方にもアピールし、盛り上げて
ますでしょうか 。
いくよう一生懸命やりました。
東芝さんをお客さんとして SLA を締結するということを 3
工藤氏:IT サービスマネジメントを導入して目に見えて品
年くらい前からはじめています。そこで目標値を決めて稼
質面の効果が上がっているという実感があります。具体的
働率や障害の件数などに対し指数を取り決めています。品
には、重大障害については如実に減少してきており目に見
質そのものを何とか指標化・数値化できないのかというの
える数字として三分の一までは減ってきています。三分の
を考え、12 個の指標を決めてトレンドを見ていこうという
二が減ったということです。
試みを始めました。 先期から試行を始めて、毎月社長にも
もともとはメインフレーム中心の考え方で運用していまし
報告しています。7∼ 8 ヶ月分たまったくらいですね。内
た。そうすると UNIX 系と乖離が出てくるということで、解
容のレビューも始めて、下期に向かって項目や採りかたな
決するために自分たちが一からいろいろ試行錯誤するより
ども見直しているところですが、目に見える形として結構
も世の中にあるものをまず取り入れようと考えて目につい
使えそうだなという感じです。
たのが ITIL です。それで、2004 年上期に ITIL の手段をい
かに自分たちのものとして吸収し、早く取り入れていくか
インタビュア: 結果として重大障害が三分の一というのは
というところを目的としました。
かなり画期的と思いますが、ナレッジやツールの役割も結
明路氏: 2004 年の最初の数ヶ月は少人数で勉強し印象が
構大きいのではないかと思うのですがいかがでしょうか 。
非常に良かったので、本格的にやってみようかということ
で始めました。2004 年の上期の後半くらいに 9 人のメン
工藤氏: 三分の一になったという大きな理由はナレッジや
バーで運用センター全体を今後どのようにもっていくかと
ツールということではなく、障害に対して皆が監視しあう
いうことを考えて準備をし、下期 10 月から運用センター
7
ような文化に変わったというのがあります。プロセスをい
にあたって、また今後の PDCA にあたって、何かヒントに
くら作っても所詮プロセスで、プロセスをちゃんとやって
なるようなものが得られればと思います 。
いくのは人なんですね。ですから人の意識が変わらないと
セミナやコンファレンスなどでそのような情報を交換でき
いくら立派なプロセスを作ってもだめなんです。意識をど
ればと思っています。
うやって変えていくかということが一番大切なことではな
いでしょうか。
インタビュア: いろいろ貴重なお話をありがとうございま
した。
インタビュア: よろしければ実際に取り組まれた時のコス
トやどのくらいの工数をかけられたのかということについ
訪問者独り言: 目に見える品質管理のための指標の設定や
てお話いただけますでしょうか 。
トレンドの分析および ITIL 推進のための協力体制の構築な
ど並々ならぬ熱意を持って進められていることが感じられ
工藤氏: 工数的には ITIL のプロセスの構築に、約 12 名の
ました。ITIL に既に取り組まれている、もしくは取り組ま
プロジェクトを起こしました。通常業務を持ちながらのプ
れようとされている会員の皆様の情報交換の場として、コ
ロジェクトであまり負荷をかけられませんでしたが、それ
ンファレンスやセミナをより一層活用していただければと
でも資料作りや、検討会などを含めると 1 人あたり月40
思います。
時間くらいかかっていると思います。期間としては半年間
継続して行っています。キーになって動く方は結構遅くま
でやっていたりしていました。
インタビュア: これから取り組まれようとしている企業に
対して、今まで取り組みをされてきたことをもとにアドバ
イス・コメントなどがありましたらお願いできますか 。
工藤氏: 経験上で言えるのはプロセスを作るのはある意味
それほど大変ではなく、どこの企業も当然やっていること
を、第三者の考え方で見直すという形です。私どもは全部
のプロセスを作りましたが実践していくのは順を追ってと
いうことで、まずインシデント管理に力を入れてこれを本
当に自分たちの物にし、そこで蓄積された情報を分析して
いって問題管理や変更管理にスムーズにつなげていきたい
なと考えています。全て全方位的で動き出すと戦力が拡散
して当初の目的にはたどりつかないのかなという風に思い
ます。サービスデリバリのほうも SLA という今まで運用し
てきたベースがありましたので、併行してできたと 考えて
います。
インタビュア: it SMF Japan に入会された動機やご感想お
よび it SMF Japan の活動に対する期待について教えてくだ
さい。
明路氏: ホームページを見ても会員にならないと情報が入
手できないと言うこともあり、どのようなものかというこ
とでまず会員になりました。
工藤氏: サービスデスクの考え方、特に今までのヘルプデ
スクとどう違うかなど 分科会の内容が参考になりました。
明路氏: やはり他の企業がどういった状況なのかというこ
とを知りたいですね そこで、いろいろな良い点、導入する
8
日本の「IT サービスマネジメント」市場への展開
EXIN Japan
2005 年 8 月 11 日 日本事務所オープン
・ 将来的には、日本の要望
を 取 り 入 れ た 試 験 の 開 発、
EXIN は IT サービスマネジメント の分野におけるプロ
日 本 先 行 の 試 験 を 展 開 し、
フェッショナルの認定試験を実施し、認定を行っているこ
グローバル化することも視
とで広く知られております。以下のグラフのように、既に
野に入れております。
15 万人以上の方が弊社で資格取得をしております。
② サービス品質向上
・ 試験の結果提供の迅速化
や認定証発行にかかわるオペレーションの品質向上のため
に、プロセスの見直しを含めた業務改革を実施します。
・ 各教育事業者で実施されている日本語のコースに対して、
ご希望に応じて認定を実施し、品質保証をいたします。
IT サービスマネジメント マネージャ認証 日本語試験
現在フォーカスしておりますのは、一刻も早い IT サー
ビスマネジメント マネージャ認証試験(通称 ITIL マネー
ジャ) の日本語での実施です。
正式なリリースは、来年の夏頃を視野に入れておりますが、
日本では、1999 年から ITIL Foundation 資格が取得され
始め、2003 年 11 月の日本語試験をきっかけに、急激に増
現在は教育事業者と連携をとりながら、 パイロット を実
えてまいりました。
施しております。
日本語の試験を実施するにあたり、採点者を以下の基準
2005 年 6 月 の 段 階 で 約 6000 人 以 上 の 方 が ITIL にて確保すると同時に、長年培った採点における品質管理
Foundation 資格を取得されています。
の手法を導入し、日本においても欧米と同様の採点品質を
ご提供いたします。
採点者の条件は、
・ITIL マネージャ認証取得者
・日本人もしくは日本語が堪能な外国人
特に初期の段階で、採点される方は、更に
・モティベーションが高いこと
・英語にも堪能であること
・ ITSM の分野において第一人者でおられる方、もしくは今
後活躍が見込まれる方
となります。 また、採点者が所属される企業のサポートとご理解を得ら
急激に成長している日本の市場において、EXIN は、日本
れることも重要なファクタとなります。
のお客様の要望の把握、利便性と品質の向上を目指し、今
年 8 月に日本事務所をオープンいたしました。
採点者の所属される企業は1企業に偏ることなくバラン
具体的には、
① 顧客志向
ス良く構成させて頂き、公平に採点がなされることを意図
・ 日本のお客様のご要望に応じて、日本語の試験を順次実
しております。
施します。
9
ご回答をいただきましたのは、日本ベーリンガーインゲ
初期の段階では、採点者の育成もかねて、日本語試験数
を制限しながら徐々に実施しております。 ルハイム株式会社の堤遠(つつみ ひろし)様です。 パイロットですが、合格された方は、通常の認定と同様
現在、堤様は、会社内での ITIL 実装・展開をサポートして
に扱われますのでご安心ください。
していらっしゃいます。
直近のスケジュールは次の通りとなります。
皆様のご参考の一助として、個人的な意見ですが、と前
置きをされて、堤様は快く了承して下さいました。
実施企業
Service Delivery 試験
Service Support 試験
ターゲットツー
11 月 25 日
11 月 25 日
プロシード
1 月 26 日
1 月 27 日
・勉強量をお教え頂けませんでしょうか?
実質 200 時間前後だったと思います。
・試験費用 2005 年: 1試験 US $200
試験直前:
2006 年: 1試験 US $220
50 − 60 時間
(5 − 6 時間× 10 日)
・試験実施費用(税込)
① 再受験者のみ対象
週末:
ターゲットツー(株)(03-3549-1305): 120 − 144 時間
(5 − 6 時間× 24 日)
1 試験 27,300 円 (試験費用 US $200 を含む)
平日:
40 時間
(1 時間× 40 日程度)
② ITIL マネージャコース受講者を優先
( 株 ) プロシード (03-5786-7522):
1 試験 26,250 円 (試験費用 US $220 を含む)
私の場合、コース受講期間を除き、英語テキストを広げて
日本 HP(株)(0120-130190):
いた時間は(ぼんやりしている時間も含めて)平日1日平
1 試験 26,250 円 (試験費用 US $220 を含む / 初回実施
均約1時間前後、週末5−6時間、試験前10日間は5−
日未定 )
6時間かと思います。
試験 3 週間前までは主に読み込みに、それ以降はテスト形
式の書き込みに時間を使いました。
・再受験の際の注意
再受験の際、次の書類が必要となります。
1. 教育事業者に提出されたもののコピーを取り寄せるか、
自社内でのサービス・マネジメントの機能・プロセス群の
再度記入。
一部に実際に携わっていた事もテキスト内容の理解に役立
2. In Course Assessment のコピー(コース受講 内申書)
ちました。
コース受講中もしくは受講後に講師よりコピーを入手。 ・英語力はどの程度必要と感じますか?
または、教育事業者から取り寄せが必要。
3. ITIL Foundation 認定証のコピー
講義を聞いたりテキストを読んだりしてある程度理解でき、
・サンプル試験(日本語版)
理解したことを文章に書ける程度です。
皆様の試験対策の一助として、サンプル試験が 10 月中旬
理解したことを簡潔に文章表現できるレベル、TOEIC では
以降、弊社 WEB 経由で購入可能です。
700 の中ぐらい程度の英語力があれば何とかなるのではと
7.98 ユーロ(約 1200 円程度)。
思います。
IT サービスマネジメント マネージャ認証 合格者の声
・ ITIL マネージャ資格取得が ITIL インプリに貢献し
ている点はどんなところでしょうか?
弊社で現在把握しております ITIL マネージャ認定資格取
得者の中から、今回は、it SMF-J の皆様のために、どのよう
おおよそ以下の3つが思い当たります。
に勉強をされたのかお聞きしてみました。
1)初期段階では、マネジメントに自社にとっての利点を
体系的に説明出来るところです。
10
2)その次は、自社内システム部門の戦略に合わせて、導
皆様のアイディア募集
入計画の策定を行い、絵に書いたお餅(計画)を実際に試
食するところまで持って行く(パイロット導入)など、資
来年の早い段階で、ITIL 資格者が日本で1万人を超え
格取得で学んだところを自社に上手く合わせながら現実と
ることが予測されております。更なる発展のためにも節目
向き合えるところだと思います。
を大切にしたい考えております。
3)そして最後は、ある意味、内部を指導できることで
① 1万人目 のお客様への記念品を進呈したいと思い
す。外部の方のご意見を頂戴するのも貴重ですが、内部事
ますが、皆様でしたら、どんなお品物がうれしいでしょう
情を良く知っているチャンピオンがいなければ、自社とし
か?
ての責任ある取り組みではなくなってしまいます。外部か
② プロフェッショナルの方へのアワードを企画しており
らの情報や助言を上手く取り込み、必要な部分は内部組織
ます。対象やネーミングなど、皆様が希望されるものがご
で決定できる体制を引く上での指南役として、資格があっ
ざいませんでしょうか?
たほうが組織として受け入れやすい場合が多いのではない
皆様のアイディアのご連絡、並びに弊社に対するお問い
でしょうか。
堤様には、紙面をお借りし、ご協力に感謝申し上げます。
合せは、以下のアドレスにてお願いいたします。
EXIN Japan
中川 悦子
info@exin-exams.jp
11
シックス・シグマ:品質改善のケーススタディ
は IT 組織に役立つか ?
From SERVICEtalk
IT サービスの品質を改善することは、IT マネージャと IT
ものです。DMAIC モデルは顧客またはエンド・ユーザの
実践者にとって常に大きなテーマです。ITIL とシックス・
体験に焦点を当てることによりプロセスの改善に役立ち、
シグマ品質改善プロセスはどちらも、サービスの高度な IT
DMAIC 段階のそれぞれに明確な達成目標、タスク、および
品質を低コストで提供できるようにする補完的なアプロー
実証された手法が割り当てられています。
チです。
上位レベルの概要については、ニュースレター 2005 年
ニ ュ ー ス レ タ ー 2005 年 7 月 号( 出 典:sevicetalk
7 月号の「シックス・シグマは IT 組織に役立つか?」を参
February 2005)の記事「シックス・シグマは IT 組織に役
照してください。
立つか?」では、シックス・シグマの重要原則について説
明しました。
IT にとってのシックス・シグマの概念と手法
今回の記事では、ある欧州の銀行が「DMAIC」というシッ
具体的なシックス・シグマ項目から IT に関連する概念と
クス・シグマ改善プロセスでサービスの業績を改善した例
手法を抜粋し、それぞれの定義を示すと次のようになります。
を、
単純化したケース・スタディにより解説します。このケー
ス・スタディでは、その銀行が実践した ITIL の幾つかの領
●品質に決定的な影響を与える要因(CTQ)
域についても触れます。銀行をケース・スタディの対象に
選んだのは偶然ではありません。シックス・シグマの採用
■ CTQ とは、改善が顧客のニーズを満たし、それによりク
は金融・銀行業界で主要なトレンドになっているからです。
ライアントの満足度が確保できるよう、通常は顧客によっ
て定義される測定可能な特性および要件です。
例えば Lloyds TSB、Barclays Bank、Bank of America、
American Express、Merrill Lynch、HSBC、Capital One な
●お客様の声(VOC)
どの組織が、シックス・シグマの採用により目に見える結
果を出していると伝えています。
■ VOC は、クライアントまたはエンド・ユーザの CTQ 要
件を、調査、インタビュー、苦情ログ、フォーカス・グルー
さらに、シックス・シグマはここ数年で IT 部門内でも
プなどの形で把握するのに役立ちます。提供されるサービ
勢いを増してきました。CIO 向け雑誌、業界分析レポート、
スの実際の品質とその認識は大きく異なるものですが、IT
it SMF などの会議ではしばしば IT に特化したシックス・シ
サービス・マネージャは提供サービスに対する顧客および
グマの話題が採り上げられます。シックス・シグマがその起
エンド・ユーザの認識を VOC により理解し、実際に提供
源となった製造分野を超えて広がっているのは明らかです。
されたと考えられているサービスのレベルとの比較を行う
ことができます。
シックス・シグマ手法への入門
●パレート図
これまでの内容をまとめると、シックス・シグマとは、サー
ビスの品質を測定し改善するための品質測定の仕組みと、
■パレート図は、事業にとって利益が最大になるように改
一連の統計的手法を提供することにより、ITIL を補完する
善イニシアチブに優先度を付けます。この優先度付けは、
ものです。
イタリアの経済学者 Pareto が初めて考案した有名な「80
対 20 の法則」に基づいて行います。そのルールとは、問
シ ッ ク ス・ シ グ マ の DMAIC モ デ ル、 す な わ ち 定 義
題の 80% は、20% の原因に由来するというものです。IT
(Define)
、測定(Measure)
、
分析(Analyse)
、
改善(Improve)
、
分野では、問題の大多数の原因となっている IT インフラ
および管理(Control)は、シックス・シグマの品質改善プ
ストラクチャの主要コンポーネントを識別するのに役立ち
ロセスをプロジェクト管理の目的に合わせて段階分けした
ます(図 1.0 参照)
。
12
●故障モード影響解析(FMEA)
ちます。特に、RPN は、現行の IT 運用リスクを理解し、
重大な「事業」サービスの基礎となる部分のリスクを軽
■ FMEA は、考えられる故障とその故障によるプロセス
減するのに役立ちます。FMEA の適用の結果、故障や悲
への影響を識別し、リスク・レーティング・システムを
惨な結果を被るリスクが低下します。
使用して問題の優先度付けを行うことでリスクの低減に
役立ちます。このレーティング・システムは 3 つの要素
●管理図
から成ります。故障の重大度、発生確率、および検出性
を 1 から 10 のスコアで示し、潜在的問題に対する総合
■管理図は、プロセスまたはサービスのパフォーマンスが
的なリスク優先順位(RPN)を求めます。RPN は、前述
上限と下限で規定される許容範囲内に収まるようにする
の 3 つの数値を掛け合わせることにより算出します(図
ものです。パフォーマンスの基準が(傾向線が平均値つ
1.1 を参照)
。この手法はリスク管理と遵守性プロジェク
まり中心線を外れた場合、指定された限界を超えた場合
トに容易に適用でき、不適合リスクの識別と低減に役立
など)異常な動きを見せた場合は、ユーザがすぐに是正
図 1.0
電子商取引サービスにおける問題の大部分の原因となっている主要コンポーネントを示すリアルタイム・パレート図
図 1.1 電子メール・サー
ビ ス に 対 す る ウ ェ ブ・
ベースの FMEA の例
13
図 1.2 オンライン請求処理サービスのパフォーマンスに対
問題:その銀行のオンライン・クレジット・カード・シス
するウェブ・ベースの管理図の例
テムの可用性。その銀行の顧客は、インターネットを通じ
てクレジット・カード支払いができませんでした。
問題を定義するために多く
の様々な分析が行われまし
た。インシデントおよび問題
レコードの調査により、その
銀行で事業へ最も大きなイン
パクトを引き起こしているの
はどの問題かが判断されまし
た。サービスレベル・マネー
ジャとの相談のもと、サービ
スレベル・レポートが検査さ
れ、この目標の検証と顧客へ
のインパクトの評価が行われ
ました。
措置を取れます。
組織へのインパクト:
●顧客の不満足:コール・センタに苦情が相次ぐ
●プロセス・シグマ値
●問題調査のコスト:苦情 1 件当たり 70 ポンド
●収益損失と、支払遅延利子手数料の免除
■シグマ値はプロセスまたはサービスの業績に対応する評
価指標です。その達成目標は、100 万機会当たりの欠陥
明確化されたプロセス:電子クレジット・カード支払い
数(DPMO)として知られる 100 万件の成功したアウト
プットにつき 3.4 件の欠陥に対応するシックス・シグマ
達成目標:電子クレジット・カード・プロセスに関する苦
値を達成することです。この値は、IT サービスの可用性
情の 40% 削減
とパフォーマンスの重要な指標になります。
測定
ケース・スタディ
測定段階では、現在のプロセス・パフォーマンスに関し
このケース・スタディは、欧州のある大手金融機関でサー
て情報が収集されます。タスクとしては、CTQ 指標の明確
ビス品質の改善に DMAIC モデルが利用された例に基づい
化とベースライン化があります。
ています。単純化のため、オンライン・バンキングの 1 つ
の事業サービス、より具体的にはその銀行の電子クレジッ
収集された評価指標:
ト・カード支払いシステムに対象を絞っています。このケー
●顧客の苦情全体の 13% を占める、電子クレジット・カー
ス・スタディには、可用性、キャパシティ、インシデント
ド支払いの問題
および問題管理という ITIL の領域も反映しています。
●調査期間の電子クレジット・カード利用に関して記録さ
れたインンシデント数
定義
● 1 週平均 200 件の調査
定義段階の主要な目標は、問題、クライアントの要件、
苦情コスト:
プロセス、および測定可能な達成目標(最終結果)を明確
●週当たり推定 14,000 ポンド (70 ポンド / 件× 200 件
にすることです。このタスクには、関係者全員が問題、イ
/週)
ンパクト、および最終目標を理解できるようにするブレイ
ンストーミングも含みます。
使用した手法:
●パレート図 - 調査の必要な領域はメインフレームとインター
14
クルが継続的に循環するように対策が取られます。これに
ネット・バンキング・アプリケーションであることが判明
より、新たに改善されたプロセスの安定性と予測可能性が
確保されます。
分析
新しいコントロール・システム:
分析段階では、前段階で収集したデータを使用して問題
の根本原因が識別されます。問題を分析するため、エラー・
●お客様の声(VOC): 毎月、クライアントと内部コール・
コントロール・プロセスによりエラーの識別、エラーのイ
センタのスタッフから「実世界」のフィードバックを測定
●ウェブの業績および関連する重要な業績の評価指標とし
ンパクトとコストの評価、およびソリューション設計のた
て、リアルタイムに指標を示すビジネス・サービス・ダッ
めの必要情報の提供が行われます。
シュボードを展開
全体的な最終目標は、エラーの根本原因を識別し、それ
●自動警告通知機能付きの CICS キャパシティ管理図を導入
らを修正するための正当性を提供することです。期待され
し、キャパシティ管理にも組み込み
る成果は、もっともよく発生する問題が解決されてインシ
まとめ
デントの量が減少することです。
使用した手法:
その後の VOC 調査で肯定的なフィードバックがあり、ク
●故障モード影響解析(FMEA)
:電子クレジット・カード・
ライアントの苦情も 13% から 6.5% に減少(50% 減)しま
ビジネス・プロセスにおける高いリスク優先順位(RPN)
した。このことから判断して、この銀行はクライアントの
を示唆
満足度を向上したと言えます。また、電子クレジット・カー
●管理図:ピーク時間中のアプリケーションの中断
ド関連の調査件数が減少したことにより、コスト節減も年
●パレート図:特に金曜日に処理量が増大することが判明
間推定 364,000 ポンドに上りました。IT の観点からは、リ
●相関図により、苦情(コール)件数が多いほど、コスト
アルタイム・ビジネス・サービス・ダッシュボードの共有
が高い(そして事業へのインパクトが大きい)ことが判明
化により、IT とクライアント・サービス・コール・センタ
間のコミュニケーションが向上しました。
改善
IT サービスの品質を向上することは、IT マネージャと IT 実
改善段階は、改善領域の決定、長期的な改善の追跡、そ
践者の多くにとって今後も大きなテーマです。シックス・シ
して結果を確認するための事後監査の実施を含むサービス
グマは IT サービス・コミュニティで急速に勢いを増しており、
改善プログラム(SIP)で構成されます。この段階では、実
シックス・シグマ手法と ITIL 活動を自動化するツールも多数
行項目が策定され、ソリューションが評価され、最良のソ
普及しています。さらに、リスク管理と遵守性を追求する組
リューションが推奨、実施されます。
織であれば、シックス・シグマの FMEA を、事業に影響する
IT 運用リスクの識別と軽減に役立てることもできるでしょう。
推奨ソリューション:
●メインフレームの CICS ( トランザクション処理モニタ )
最後に、シックス・シグマは ITIL を補完するものにも、
部分の CPU キャパシティを増強
ITIL から独立したものにもなります。ITIL は IT 組織のあら
●ロード・バランシング装置をアップグレード
ゆる面を管理し改善する一連の指針を提供し、シックス・シ
●十分な監視およびレポート・ツールを実装
グマは IT サービスの品質を測定し改善する手法を提供しま
す。両者を組み合わせて活用すれば最も包括的な品質管理お
結果(4 週間の測定):
よびサービス管理のソリューションとなりますが、もちろん
●電子クレジット・カード・プロセスに関する苦情が 50%
並行して導入しなければならないわけではありません。
減少
●電子クレジット・カード領域のみで、調査におけるコス
Richard Morgan
トの節減が年間 364,000 ポンドに相当
Sun Microsystems
&
コントロール
Lin C Ho
Proxima Technology
プロセスの改善をコントロールするために、DMAIC サイ
SERVICEtalk2005 年 6 月号より
15
サービスデスクの未来 From SERVICEtalk
it SMF Japan ニュースレター 7 月号に引き続き「サービ
プロセスがたくさん組み込まれているサービス・ソリュー
ションの魅力はわかっています。変更の必要が少なくなる
スデスクの未来」の第 3 回を掲載いたします。
からです。しかし、変更しなければならない場合に融通が
利かなさすぎるシステムでは困ります。
」
(Shields 氏談)
第 3 回 「 技術」
サービスデスクの未来を考察するこの連載の最終回で、
関連プロセスについての明確なアイディアの必要性
James West 氏は集中型サービスデスクの導入によるコスト
の影響、構成設定 ] というやっかいな課題の交渉方法、お
バーミンガム市のサービスデリバリ責任者である Bob
よびこれまで見てきたトレンドをサポートする技術上の変
Carter 氏は、Sunrise 社の Sostenuto などの新世代サービス
化について論じています。
デスク・システムの柔軟性は、プロセスについて明確なア
イディアを持っていない場合はデメリットにもなると述べ
これまでの 2 回の連載で見てきたとおり、未来のサービ
ています。
スデスクはプロセスと人材が集約化され、もっぱら事業の
要件をサポートするために構築された IT 戦略の中心に位置
" 何でも可能 " という理論は骨の折れる出来合いのプロ
することになります。その時には、サービスデスクは設備
ジェクトに終わることもあると、同氏は指摘します。
「しか
や IT の課題など、以前はコントロール下になかった事業要
し、あらかじめ設定されたプロセスと " 機能 " を(Sostenuto
素も担当することになります。また、人事などの領域で特
に)織り込みましたから、問題は解決されていると思いま
定のスキル・セットがまだ必要な領域においては、関連情
す。
」(Carter 氏談)
報が 1 つのシステムで共有されることになるでしょう。
このようなレベルの柔軟性に慣れるのが難しい方もいる
その際、技術が大きな役割を担うのは明らかです。IT は
かもしれません。過去 10 年間でほとんど変更されていな
それがサポートする事業に応じて柔軟にならなければなら
いヘルプデスク製品の方が馴染めるからです。
ないでしょう。つまり、サービスデスクは適合力を高める
必要があります。
ある程度の慣れが必要な、サービス技術におけるもう一
つの変化が、クライアント / サーバ・サービスデスク技術
期待の増大
からウェブ・ベース・システムへの移行です。この記事で
説明してきたように、未来のサービスデスクはその柔軟性、
今後は期待が増大していく状況を考慮し、システムの変
複数の部署や場所をカバーする能力、およびユーザの追加
更をほぼ専門とする人員をチームに置くべきであるという
/ 削除を行える能力が特徴になります。
主張もあると、IT サービス専門家の Noel Bruton 氏は言い
ます。Bruton 氏によると、日常的な変更については開発者
Kim Shields 氏によると、現在出回っている製品の多くは
を迂回し、いつでも要件の優先度を伝えられるようになり
この基準を十分には満たせていないと言います。
「昔のパッ
ます。その場合、システムの選択が重要です。
「構成設定の
ケージは、本当にただのヘルプデスク・ツールなのです。
容易なシステムが得られれば、忙しい開発者が約束できな
現代の IT サービス機能を反映していません。幅広い技術
いような柔軟性を確保できます。
」
(Bruton 氏談)
ツールが必要です。会社のエンジニアにはウェブ・ベース・
システムへ直接対応できるようになってもらいたい。プロ
この記事で取材した実践者が提示する要件は、妥協を許
ジェクト・マネージャと顧客もそのシステムに参画できる
さないものでした。Royal Bank of Scotland International の
ようにする必要があります。
」Sheilds 氏はこのように主張
IT サービス責任者である Kim Shields 氏は、この作業の難
しています。
しさを次のように説明しています。
「構成設定は重要ですが、
悪いものになる場合もあります。私たちは元のサービスデ
技術イニシアチブの多くと異なり、市場におけるブラウ
スク案を変更しました。機能豊富なのはできればよいので
ザ・ベース技術への移行は営業部門だけが推進するのでは
すが、複雑になりすぎるおそれがありました。出来合いの
ありません。「この変化はベンダよりもむしろ、隔離された
16
ヘルプデスクの精神から離れて久しい私たちのような企業
せん。しかし、いわゆる「上級ユーザ」は技術を好んで利用
が推進しているのです」(Shields 氏談)
したがりますから、自分で課題を記録し、追跡し、修正しさ
えすることも多くなります。幸運なことに、むしろこうした
サービスデスクの未来のニーズを満たすのも要件の 1 つ
人々がヘビー・ユーザになる傾向があります。それで大量の
です。
「ヘルプデスクは変化しています。既にサービスデス
インシデントが削減されることにより大幅な節約ができるわ
クの範疇を超え、今後はよりプロアクティブな事業成功要
けです。セルフ・サービスを利用するユーザが 10% 強も生
因となる必要があります。Sostenuto にはこのような変化を
まれれば、大幅な節約になります。
」
(資産管理会社 Abacus
支援できるような高い柔軟性があります。
(
」Bob Carter 氏談)
Group Services の技術担当役員、Terry Thorpe 氏談)
。
Noel Bruton 氏はサービス技術が変化する必要性も論じて
Sunrise 社会長の Tom Weston 氏は、これまで見てきた
います。「私が懸念していることの 1 つが、サービスデスク
利点とはほぼ関係なく、ソフトウェアにとってのウェブ・
はこれまでずっと問い合わせに基づいて運用されてきた点
フォーマットは定着していると述べています。「インター
です。インシデントを持ち込み、組み込み済みのワークフ
ネットは事業コミュニティが世界的に採用しているコミュ
ローにより引き渡すという感じですね。ある意味、これで
ニケーション・メディアです。そのため、今ではどのよう
は重要な点を見落としています。問い合わせは、資産また
な製品でもインターネットを考慮して開発しなければなり
はユーザの状態の変化についてなされるものです。ユーザ
ません。多くの人には純粋なウェブ・ベース・ソフトウェ
もまさに、会社の資産の 1 つの形態です。つまり、サービ
アとウェブ対応ソフトウェアの違いがわかりません。これ
スデスク技術は資産の状態の変化を反映するべきなのです。
は、Windows が DOS に載せられたフロント・エンドだっ
解決に向かって進むインシデントのオーナシップの変化だ
た時代とよく似た違いです。最初は気になりませんが、す
けではなくてね。そうしなければ、インシデントとそのイ
ぐに機能性の点で大きく違うことに気が付くはずです。」
ンシデントの影響を分離して扱うことになります。私たち
(Weston 氏談)
は事業統合をさらに進めておりますから、弊社のツールも
インシデント自体だけではなく、インシデントの影響も反
Terry Thorpe 氏も同意見で、実に多くの技術が .Net 標準
映するようになるでしょう。
」
(Bruton 氏談)
に移行しつつあるため、それと同じアーキテクチャでサー
ビスデスクを使用するのが適切であると述べています。
Noel Bruton 氏によると、インシデントを調べて管理する
方法が変わること以外に、ブラウザからアクセスできるサー
新しいシステムの議論は説得力あるものですが、予算の
ビスデスクは他の利点も提供するそうです。「排他的ライセ
承認を得るのはやはり一筋縄ではいきません。振り返って
ンスのクライアントが特定のプロセッサで実行されていた
みると、この記事で論じてきた集中化の課題の多くは、組
時代には、2 次スタッフはユーザの席で対応したコールを
織の規模と要件の程度に応じて、ごく初歩的なヘルプデス
クローズするのに、オフィス内のライセンスされた PC へ
クにより対処できます。例えば、プロセスは手動で管理で
いったん戻らなければならないことがしばしばありました。
きます。しかし、これでは、仕事はペンと紙でできると言っ
つまり、その日の終わりにまとめてクローズを行うわけで、
ているようなものです。そんなことはしたくないでしょう?
実際のクローズ時間とはほとんど関連がありませんでした。
柔軟で、適切に導入されたサービスデスクは、良いプロセ
そのため SLA 統計がいびつなものになり、IT サービスが実
スに正しく組み込まれれば大幅なサービスの改善とコスト
際よりも悪く見える場合があるのです。
」
削減につながり得ます。
ウェブ・ブラウザ・インタフェースが慣れ親しまれてい
予算承認を取るべく案件をまとめようとする時には、強
る点も明確な利点です。バーミンガム市のサービスデリバ
調する数値データに必ず主眼を置くべきです。「高品質の
リ責任者である Bob Carter 氏は、表示方法が首尾一貫して
サービスを運営するコストは、低品質なサービスを運営す
いるのでトレーニングを削減できると述べています。
ることにより被るコストよりも小さくなります。オーバヘッ
ドゆえではなく、損害を発生させるダウンタイムがその要
ユーザにインシデントを逐一記録するようしきりに促し
因です」
(Tom Weston 氏談)
。
ているサービスデスクにも同じことが言えます。エンド・
ユーザは新しいインタフェースよりはブラウザ・システム
Kim Shields 氏は、初回コールでの解決割合と予防対策を
を使いたがるでしょう。
「セルフ・サービスを嫌がる人は必
改善する能力を最大のセールス・ポイントにするべきであ
ずいるものです。これについてはほとんど対応策がありま
ると助言します。Shields 氏が担当する事業では、これまで
17
に 2,200 人のユーザが FAQ(よくある質問)を調べること
IT サポートとサービスの市場では、これまで経験したこ
により自分の課題を解決したそうです。これは、コール数
とのない変化の時代が訪れつつあります。何年もの低迷の
の削減につながる状況です。
後、ヘルプデスクはようやくその殻を破ろうとしているの
です。新世代のサービスデスクがどのようなものかは既に
Terry Thorpe 氏は、新技術は費用便益につながると断言
見てきたとおりです。事業の中ではるかに中心的な役割を
します。Sunrise 社の Enterprise を導入したことにより、提
担うことができ、以前はばらばらだった部門同士の合理化
供するサービスが改善され、サービスデリバリ要員が削減
のハブとして機能するものです。
できたと言います。Sostenuto でも同じ成果が得られるだろ
うとも述べています。
この進化の次の段階で、サービスデスクはサポートへの
アプローチにおいてよりプロアクティブになり、事業の将
改善ができることをこれほどまでに自信を持って主張す
来の成功で主導的な役割を担い、IT、ユーザ、および事業
るためには、信頼できるデータに基づく説得力ある事例を
の間の重要な架け橋として機能するでしょう。このような
作る必要があります。Noel Bruton 氏は次のように助言して
大変化は明らかに関連技術への圧力となりますが、いずれ
います。「要は、費用便益の分析です。残念なことに、これ
新世代のサービスデスクが整備されれば、その変化を見守っ
はまだ、実に多くの IT サービス部門で行われていないこと
てきた人たちも、サービスデスクからあり余るほどのサポー
です。新しいシステムが、サービスデスクの効率や出力を
トが受けられるということを実感できるはずです。
いかに増大させるか?どれだけ節約になるか、また、他の
別の手段によるとどのくらいのコストがかかるか?これら
James West
のより効率的なサービスの結果、会社のユーザの生産性が
SERVICEtalk2005 年 6 月号より
いかに向上するか?最終的な会社の損益にどれだけの違い
が出るか?ツールのコストと、そのツールを利用しないこ
著者の James West は IT サービスとサポートおよび顧客
とによって被るコストの違いはどれだけあるか?そういっ
サービスを専門とするフリー・ジャーナリストです。
たことです。」
18
$VN7KH([SHUWV
i tSMF が受け取った質問に対して業界をリードしている
From SERVICEtalk
を供給することは、外部 DR プロバイダが提供できる便宜
専門家が回答します。
の 1 つでしかありません。彼らは災害状況の全体的管理、
そしてもちろんのこと、短期的な DR 活動を実施できるス
質問 1
タッフの供給にも長けています。
その間に、
あなたのスタッ
データの複製(レプリケーション)技術とサービスが向上
フにはサービスを災害前の正常なレベルへ回復させる長期
したにもかかわらず外部の DR(Disaster Recovery: 災害復
的な活動に注力させるのです。
旧 ) プロバイダを利用するのはなぜですか?
(SERVICEtalk 2005 年 4 月号 )
「オンデマンド・インフラストラクチャ」や「ユーティ
リティ・コンピューティング」型のアプローチに向かう
回答 1-1
企業が増加しつつあり、いずれは DR の供給がそのような
James Finister, AXA
サービスの不可欠な機能となるでしょう。この点もあなた
の選択に影響をおよぼす要因になります。予見できる将来
災害復旧とは要するにリスクの管理です。データ複製に
について最終的な答えを出すなら、組織によって異なると
よりこうしたリスクの幾分かは緩和できますが、全てでは
いうことになります。しかし、やはり重要なのは、データ
ありません。外部組織の DR プロバイダが提供する専門的
複製へ過度に依存する前に、包括的で客観的なリスク管理
設備およびナレッジを活用する正当な理由はやはりありま
調査を実施し、対応できないリスクがある場合は顧客に理
す。もちろん、内部で DR 能力を備えるという選択肢も常
解してもらい、
十分に納得してもらうようにすることです。
にありますし、比較的低コストのデータ複製技術とサービ
スの普及により、場合によっては外部の DR プロバイダを
回答 1-2
利用しなくてもよいように状況が変わるかもしれません。
Don Page, Marval
現代の事業環境においては、コンピュータ災害に備え
データ複製はあくまで DR ソリューションの一面であ
り、
離れたロケーションにデータを高速で自動的に格納し、
てデータの複製を用意しておくだけでは十分ではありま
元のロケーションからでも別のサイトからでもアクセスで
せん。機器のコストはもはや課題ではなく、むしろ可用
きるようにするものです。ですからデータ複製は DR を支
性、場合によっては接続性とスタッフの宿泊設備の方がよ
援する強力なツールにはなりますが、過去にあった他の技
り重要になるかもしれません。これらは、災害復旧 / 事業
術開発と同様に、あなたに安全だと思わせてしまう恐れも
継続性の計画立案時に考慮すべきことのほんの一部です。
あります。
CMDB と優れたデータ・セキュリティの手法は事業復旧
にも効果を発揮します。しかし、最近の企業でほとんどそ
高度な回復力を持つとこれまで考えられていたシステム
うであるように IT サービスが事業の中核的存在である場
を見直すと、実は障害に対して脆弱であると判明すること
合には、さらに外部 DR プロバイダを利用するのもいいで
がよくありました。上流にある共通した潜在的な単一障害
しょう。
点(SPoF:Single Point of Failure)、例えば 2 台のミラー化
されたディスクが電源を共有しているとか、あるいは下流
回答 1-3
の潜在的 SPoF、例えばユーザのビルの停電により PC の
Alastair Allanach, Northallen
電源も切れるなどの理由からです。DR への効果的なアプ
ローチの重要ポイントの 1 つには、DR はある 1 種類のイ
価格競争力が主な根拠です。あなたがプロジェクトを正
ベントにフォーカスするのではなく、エンド・ツー・エン
しく実施して DR 要件を包括的に理解していれば、それを
ドのサービス供給に対して発生し得るリスクの全範囲を考
あなた自身で実行するコストと、定評があり実績もある外
慮しているのだということがあります。100km 離れた先
部プロバイダからの見積りとを比較できるはずです。そう
にデータを安全に複製できたにしても、そのデータにアク
すれば、事業にとって最良のコストパフォーマンスをもた
セスできるデスクトップ環境にユーザがアクセスできなけ
らすこともできるでしょう。あなたの組織が誠実さを重ん
ればあまり役には立ちません。ユーザに代わりの業務環境
じているなら、外部 DR プロバイダに透明性を求め、どの
19
ような状況下においてもサービスを供給する能力をテスト
質問 2
できるようにすることも重要でしょう。データ複製は本来、
私の組織では、事業継続性は IT 部門の問題であるといま
監査員が組織の運営方法について品質を判定できるように
だに思われています。認識を高めて、事業を巻き込むよう
するためのものです。
にするにはどうすればいいでしょうか?
(SERVICEtalk 2005 年 4 月号 )
回答 1-4
Brian Hendry, Senior assyst Consultant Axios Systems Ltd
回答 2-1
Shiralee Rawstorne-Haughton, Sun Microsystems
事業が災害から無事に回復できるようにするには、デー
タだけではなくはるかに広い領域をカバーする IT サービ
その会社の状況を何も知らないまま具体的な説明をする
ス継続性計画が必要です。キャパシティ要件、スタッフ手
のは非常に困難ですが、一般的に言うと、いくつかの会社
配、運用手順、その他様々な領域を考慮する必要がありま
が事業継続性を純粋に IT 部門の問題として扱っているの
す。外部 DR プロバイダなら、技術上必要なものを適切に
は確かです。それらの会社はしかし、そのために全体的な
供給するだけではなく、これら他の領域における経験、助言、
あるいはアプローチ、すなわち事業のアプローチから得ら
手引きなども提供してくれるはずです。これは、特にこの
れる意義のあるメリットの多くを得られずにいます。これ
専門領域に慣れていない組織にとっては非常に有益であろ
らのメリットとは例えば次のようなものがあります。
うかと思います。
* メディア、市場、および利害関係者に効果的で効率的
回答 1-5
なガバナンスを実証する
Jon Efford, Plan-Net Services plc
* 組織の評判やブランド・イメージを最大限に防衛する
* 大規模な障害や災害の発生時のクライアントと顧客へ
外部プロバイダの利用はコストの視点からメリットがあ
のインパクトを抑制することにより事業の生き残り存
り得ます。データを複製する技術に投資する必要がないか
続を確実にする
らです。また、DR 周辺の技術的なインフラストラクチャの
* 保険、法務、および規制要件を遵守する
課題を管理する負担を他の誰かに請け負わせるという面で、
* 事業が対策と管理戦略の展開について合理的な決定を
ある程度のメリットがあります。しかし、外部 DR プロバ
下せるようリスク関連の管理情報を提供する
イダを利用する場合には、あなたの組織のインフラストラ
*「災害」時に重要なサービスおよびアーキテクチャの
クチャの変更が彼らに常にわかるようにすることが絶対に
コンポーネントを識別する
重要です。これは、あなたの組織の変更管理プロセスの一
*(インフラストラクチャに関連する)事業リスクの識
環として組み込むことにより達成できます。これを怠ると、
データの回復不能やテストの失敗などにつながります。こ
別と定量化を行う
* 効果的なリスク分析とリスク管理により、事業に対す
うした変更とスケジュール化されたテストが効果的に実施
る脆弱性とリスクの低減を行う。これには、事業上の、
されるようにするには、組織の視点から見た DR のオーナ
および技術的なインパクト分析、サービス・アーキテ
シップが非常に重要です。一方、DR を全て社内で行うこと
クチャ・マッピング、およびコンポーネント障害イン
にもメリットがあります。全面的なコントロールが確保で
パクト分析(CFIA:Component Failure Impact
き、社内にある ITIL プロセスで特に変更、構成、キャパシ
Analysis)への一貫したアプローチを含む
ティ、および可用性の面で DR 要件を補完させるようにも
できます。サービス継続性を確保する必要がありますから、
この課題には 2 つの方向から取り組むとよいと思いま
DR を正しく導入することが非常に重要です。これを達成す
す。第 1 に、(可能な場合)社内の重要な利害関係者を探
るうえでの障害が組織内にある場合は、DR を中核的なスキ
し出し、ミーティングを開いて災害発生時にどのような事
ルとする外部組織に任せるのが最良の選択となるでしょう。
態になると考えているか、彼らの領域へ降りかかるインパ
クトなどを討論します。事業のあらゆる側面、つまりマー
ケティング、リスク管理、財務、
「事業」機能、品質、販売、
および IT から利害関係者を巻き込むことが重要です。
第 2 に、
これらの利害関係者とワークショップを開催し、
会社全体に関わる主要な問題のインパクトについてのシナ
20
リオやロール・プレイを含めるのです。扱う問題が参加者
* 継続性を中心に据え、その他の ITIL プロセス全てを取り
にとってリアルなものとなるようにし、彼ら全員が関連す
込んだ統合的な ITIL プロセス計画を作成し維持する
るようなシナリオを考案する必要があります。
* 劣悪な継続性計画立案により困難な状況に陥った事業の
例を引用する。この例として最も有名なのはロンドン証券
肝心なことは、できるだけリアルにすることです。その
取引所のケースですが、Computer Weekly 誌にも継続性の
シナリオをテーマに討論を持ちます。
議題課題についての記事が連載されています。
私の経験から言うと、事業継続性は IT だけではなく会社
全体に影響するのだということを各人が自覚すれば、自分
の方から参画を望むようになるものです。
回答 2-4
Jon Efford, Plan-Net Services plc
回答 2-2
Don Page, Marval
事業継続性に対する意識を高めるうえで有用なツールと
なるのは、主要な事業利害関係者とともに幾つかの DR シ
財務部門、特に CFO に対して、コンピュータ災害発生時
ナリオをリハーサルすることでしょう。これは IT の観点と
にはどれだけの損害が生じるか、その状態が 24 時間、48 時
事業の観点の両方から行うべきです。このようなセッショ
間と続いた場合には会社にどれだけのコストがかかるかなど
ンの結果は、何らかの形で主要な事業サービス、およびそ
と尋ねてみてはどうでしょうか。請求書は 1 日当たり何枚作
れらのサービスに関連する重要ビジネス機能の明確化にも
成されていますか?見積書は 1 日当たり何枚送付されていま
つながり得るでしょう。また、意識向上セッションは、サー
すか?製造工場が 1 か所閉鎖されただけで、1 日当たりどれ
ビスおよび事業の継続性に関して認知度を高めリスク課
だけのコストがかかりますか?その答えはあなたにとって驚
題を提起するにも良いアイデアです。別の方法としては、
くべきものになるかもしれませんが、CFO が恐怖に駆られる
SLA の中でサービス / 事業継続性に対するフォーカスを強
確率は高く、組織内で事業継続性計画立案の意識が高まるの
調することも挙げられます。
は確実でしょう。それでもメリットが理解されないようなら、
他の会社に職を求めましょう。
回答 2-5
Brian Hendry, Senior assyst Consultant Axios Systems Ltd
回答 2-3
Alastair Allanach, Northallen
どのようなサービスマネジメントの領域であれ、それを
認知させ、推進することは、組織の中ではひと仕事であり、
I T継続性計画(ITCP:IT Continuity Plan)を確立する前に、
事業継続性計画(BCP:Business Continuity Plan)が少なく
カルチャ的な障壁が変化に対する最大の難関になるかもし
れません。
とも大まかに合意される必要があります。事業自体がその
存在の維持に不可欠なものが何かをわかっていないのに、
ITIL では、組織が全体としてサービスマネジメント導入
IT が何を供給して、適切なレベルの継続性を確保するには
の重要性とメリットを理解できるようになるには明確な上
どうすればよいか、どうやってわかるというのでしょうか。
級マネジメントのサポートが必要であると断言しています。
IT は事業の方向性を決定するものではなく、あくまで事業
この点は、他の領域と同様に IT サービス継続性管理にも重
に便宜を与えるものです。これが、IT 以外の上級マネジメ
要で、同じ原則が適用できます。
ントに伝えなければならない重要なメッセージの 1 つです。
上級 IT マネージャは、組織に発生する様々なレベルの災
IT に関連しないスタッフの意識を高める具体的なイニシ
害がおよぼす潜在的なインパクトや影響を、事業マネージャ
アチブとしては、次のものがあります。
が完全に理解するようにしなければなりません。また、IT
がカバーする継続性領域と、事業が責任を負う領域を明確
* BCP 確立時に明確化した役割と責任に、IT 継続性計画の
にしなければなりません。IT 単独ではある種の災害発生時
計画立案と開始のかなりの部分が事業の責任であると明記
に事業を無事回復することができないことを事業に対して
する
実証すれば、意識を高めるのに十分なはずです。
* 測定可能な SLA を確立する。これらがなければ、事業に
とって何が重要かわからず、その結果、緊急時に何をどう
いう優先順位で提供するべきかがわからなくなります。
21
質問 3
で は ど こ が 問 題 な の で し ょ う か? Quint Wellington
ITIL は外部サプライヤの管理に適していますか?
Redwood で仕事をしていた頃、顧客、IT 部門、およびサプ
(SERVICEtalk 2005 年 4 月号 )
ライヤ間に 3 方向の関係がある場合に生じるかなりの緊張
状態を称して「drama driehoek」つまり「ドラマの三角形」
回答 3-1
という用語を使用したものです。ITIL ではこうした緊張に
Don Page, Marval
は対応していません。この緊張関係は多くの場合、サプラ
イヤに、その協力先である社内 IT 部門とは当然のごとく異
ベストプラクティス・フレームワークとして、ITIL はあ
なる達成目標と推進要因があり、異なる制約のもとで業務
なたのビジネス・モデルに適応させることができますし、
を行っているから発生するのです。また、ITIL では、複数
外部サプライヤの管理が必要であれば、もちろんそれにも
の顧客からの変更を扱う場合があるサプライヤの変更管理
適しています。どのような契約でもこのフレームワークで
プロセスが、顧客それぞれの変更管理プロセスとどのよう
管理でき、事業プロセスのマッピング、適切なコントロー
に相互作用するかも考慮していません。非常に基本的なレ
ルの導入、さらには業績基準による監視なども可能です。
ベルでは、IT 部門がエンド・ユーザとの合意を「SLA」と
称している一方で、外部サプライヤもそれらが IT 部門へ提
回答 3-2
供するサービスを定義する文書を「SLA」と称しているこ
James Finister, AXA
とによる混乱に対応しなければならないことがよくありま
す。
回答の難しい質問です。なぜなら、ITIL で意味する内容
をあなたがどのように解釈されているか、またサプライ・
ITIL で明白には扱われていない最も困難な課題は、おそ
チェーンをどのように見ておられるかによりある程度異な
らく、特にサプライヤが複数関与する場合に、顧客要件を
るからです。大まかなレベルで言いますと、サービスがど
サプライヤ側の複数の一貫した契約としていかに作り変え
のように供給されるかは関係ない、いずれにしろ重要プロ
るかです。下手をすると、外部サプライヤの 1 つまたは全
セスを整備する必要がある、が答えになります。しかし、
てがそれぞれの契約上の目標に適合し、適正な ITIL ベース
より具体的なレベルでは、これらのプロセスを複雑なサプ
のプロセスを運用しているにもかかわらず、あなたに提供
ライ・チェーン全体でいかに管理するかについて ITIL は何
されるサービス全体は顧客要件のいずれかを満たしていな
も教えてくれません。
いという難しい状況にもなりかねません。
私が見る限り、ITIL には、あるいはサービス供給におけ
では、ITIL は外部サプライヤの管理に利用できるのでしょ
る外部組織の役割を明確に扱った BS15000 には記述はあ
うか?制限付きで可能です。ただし、現状では、現代の複
りません。ITIL をサービスマネジメントに対する概略レベ
雑なサプライ・チェーンの管理に直面している者のニーズ
ルの見解であると見ておられるなら、それは問題にならな
に則したフレームワークはもたらしてくれません。
いでしょう。結局、外部サプライヤは単に別の解決者グルー
プであると考えることができます。もちろん、どのような
回答 3-3
外部サプライヤであれ、あなたの組織内のサービスサポー
Alastair Allanach, Northallen
ト・プロセスおよびサービスデリバリ・プロセスと協調す
る必要はあります。サプライヤ自身もサービスサポート・
ITIL(または、少なくとも BS15000)は外部サプライヤ
プロセスとサービスデリバリ・プロセスを運用する必要が
の管理に適しているだけでなく、それからもたらされる統
あります。また実際に、どのレベルでも外部サプライヤは
合は外部サプライヤ管理には欠かせないものです。その理
ITIL の採用に熱心です。
由としては次のことが挙げられます。ITIL プロセスはどれ
も何らかの形でサプライヤ管理と関連していますが、その
理由としては次のことが挙げられます。
別の抽象レベルでは、ITIL の原則をサプライヤ管理のプ
ロセスに適用できます。例えば、外部契約への変更は変更
* 構成管理にでは保証、保守、サプライヤの SLA を含むコ
管理プロセスにより管理しているはずです。また、ある外
部サプライヤの倒産に対してどのように対処するかという
ンポーネントの識別が必要となる
* 変更管理ではサプライヤを変更プロセスと CAB プロセス
BCP( 事業継続性計画立案 ) の課題を、自社の仕組みの 1 つ
に含めることが可能であり、またそうするべきである
が破綻した場合の BCP と同様に検討しているはずです。
* インシデント管理では SLA によるサプライヤ実績と、イ
22
ンシデント・ライフサイクルのサプライヤ側の品質を記録
質問 4
する。
サービスカタログの例をいくつか見ると、それぞれ異なっ
ています。なぜそうなのでしょうか?標準のテンプレート
回答 3-4
や内容のリストはないのでしょうか?
Jon Efford, Plan-Net Services plc
(SERVICEtalk 2005 年 6 月号 )
サプライヤ管理にのみフォーカスしているわけではありま
回答 4-1
せんが、サービスレベル管理の中の請負契約の効果的なオー
James Finister, AXA
ナシップと管理がサプライヤの管理に役立ちます。中でも
契約のオーナシップが重要です。一般に組織が大きくなる
非常に良い質問です!私の経験から言っても、サービス
ほどサプライヤ管理が IT から切り離され、効率悪化や効果
カタログの目的が何であるか、また、そのフォーマットに
が出ないということにつながる場合があります。IT と外部
ついて確かに人によって理解が大きくばらついています。
サプライヤ間のつながりは強くする必要があります。ITIL
ITIL の現行バージョンでも対応が不十分な部分です。
はこの点についてはいくらか参考になりますが、BS15000
サービスカタログというものには共通の形式が 3 つある
のほうがサプライヤ管理により大きな焦点を当てています。
ようです。
回答 3-5
Brian Hendry, Senior assyst Consultant Axios Systems Ltd
*「サービスデリバリ」に挙げられている例のように、
単純に顧客グループ別にシステムを関連付ける方法
サービスマネジメントのコンセプト全体が、IT の提供とサ
* 顧客のコミュニティが利用可能な一連のサービスの
ポートの全側面の管理を推進するものですから、外部サプ
選択肢すべてを示す文書。サービスの適切なレベルや
ライヤの管理も確かに含まれます。サービスレベル管理は
それによるコストの影響について顧客と協議するのに
請負契約に焦点を当て、IT サービス財務管理は契約詳細の
使用する。このタイプのカタログは顧客別に関連付ける
維持を奨励し、構成管理は CI に対してサプライヤ情報を確
のではなく、各顧客との SLA の基盤を作るのに利用で
保するべきであると提唱しています。サプライヤについて
きる項目へ関連付ける
は、インシデント管理活動やリリース管理など、その他多
* 満足顔の顧客の写真を付した、IT サービス売り込みの
くの領域でも触れられています。外部サプライヤ管理の事
文書
業 / 顧客関係に関する側面は ITIL ではあまり扱われていな
いかもしれませんが、BS15000 にはこれについて詳細にカ
これらの 1 つ目は、より広範で洗練された CMDB の発達
バーした具体的なサプライヤ管理プロセスが記載されてい
によって独立した文書としては概ね廃れ、SMDB(サービ
ます。
スマネジメント・データベース)に取って代わられました。
そのため、顧客とサービスをどのように相互に関連付ける
≪ SERVICEtalk 編集者注 : サプライヤ管理については、ITIL
かについて柔軟性が非常に高くなりました。
のコア書籍よりも BS15000 の方に詳細に記述されていま
す。ただし、最近発行の書籍『Business Perspective(事業
2 つ目は、おそらくサービスカタログの形式としては最
の観点)』ではこの点をいくらかカバーしてあります。ITIL
近最もよく利用されているものです。非常に便利なもので
の範囲改訂作業の中で明らかになった項目の 1 つは、現代
すが、この文書を利用できるようにするには注意が必要で
に多数存在する非常に複雑なサービス・チェーンに ITIL の
す。様々な顧客に様々なサービスを提供する能力がある場
原則をいかに適用するかについてより詳しく説明する必要
合に限り、本当に役に立つものだからです。
性があるということです。ただ、現在のところ、不可欠な
基本プロセスの追加としてではなく、様々なコンテキスト
3 つ目のタイプの文書は、私たちの多くがサービスカタ
での導入に関する助言として扱うべきであるという意見が
ログと考えるものの拡張定義と言えるでしょうが、上級職
ほとんどです。≫
の顧客へのプレゼンテーションには特に役立ちます。
個人的には、サービスカタログ導入の必要性に大きく重き
を置いていても、どのようなものを作成すれば目標達成に役立
つのかがわからない場合が一番大きな問題だろうと思います。
23
回答 4-2
サービスカタログは、事業の要件とニーズに焦点を当て
Jim Davies、ServiceSense、IT サービスマネジメント・コ
た現行のサービスを明確に把握させるために作成され、IT
ンサルタント
と顧客との間でサービスが意味するものについて理解を確
立するために利用されます。大きく言えば、提供されるす
組織にはそれぞれ独自の構造、要件、方針、優先度、お
べてのサービスをまとめるものになります。
よびリソースがあるため、サービスカタログにも様々なも
のがあるのはそれほど驚くことでもありません。また、サー
ビスカタログとは「生きた文書」であり、
変化するビジネス・
サービスカタログに盛り込むべきこと、また盛り込むべ
ニーズをカバーし、向上してゆくサービスマネジメントの
きでないことは、ご承知のように非常に議論が分かれると
成熟度を反映するために、継続的に発展し拡張されていく
ころです。しかし、最低限、次の内容は含むべきでしょう。
べきものです。
* サービスの名称と特性
* サービスの受益者(顧客 / ユーザ)
書籍「サービスデリバリ」のサービスレベル管理の章に
* サービスを維持する責任を負う人員 / 部門
記載されている一般的な手引きを超えて、テンプレートや
内容に関してあまりに細かい規定を並べ立てるのは、無益
なことだろうと思います。何をするべきか(そして何をす
回答 4-5
るべきでないか!)は他の組織の具体例が有効な指針にな
Dave Jones、Plan-Net Services plc、主席サービスマネジメ
るでしょうが、各組織のマネジメントは独自の要件を吟味
ント・コンサルタント
し、適切な決定を下さなければなりません。
サービスカタログの基本概念を考えてみてください。
「利
カタログがカバーする範囲がその維持に利用可能なリ
用可能なサービスすべての簡潔な説明」ですね。この定義
ソースを超えていないことが何より重要です。カバーする
に基づくと、供給されるサービスは組織によって異なるの
領域において包括的に内容を網羅しなければなりませんし、
ですから、サービスカタログの内容も異なります。サービ
各領域にオーナを割り当て、対象読者が入手可能な文書は
スカタログのタイプと内容のレベルをそのニーズに応じて
常に最新版であるようにしなければなりません。その目的
定義するのは、あくまでそれぞれの組織だということです。
のため、編集者を指名し、カタログを作成してその精度と
さらに忘れてはならないのは、カタログの提示方法も、カ
品質を維持する権限を与えることです。
タログを利用する者それぞれの情報ニーズに基づいて定義
されるという点です。
回答 4-3
John Groom、MISM
もちろん、サービスカタログがどのようなものかについ
ての一般的な見解はありますが、ITIL の基本的概念である
ある組織が提供する一連のサービスはその組織独自のも
「指針は採用して適応させるもの」もやはり忘れてはなりま
のですから、サービスカタログもそれぞれに異なります。
せん。サービスカタログに盛り込む一般的な情報には次の
サービスカタログの簡潔な(大まかな)例は、ITIL「サー
ものがあるでしょう。
ビスデリバリ」の 51 ページに紹介されていますが、これ
はテンプレートでもチェックリストでもありません。
* サービスの名称 / 識別名
* 概略的なサービス説明(SLA に詳述)
* 通常の運用時間
回答 4-4
* サービスデスクの電話番号などの単一窓口
Steve Pratt、Afiniti
* 提供可能なサポートのタイプ(レベル)
(および提供可能
時期)
サービスカタログがこれほどばらついているのは、ITIL
* サポート対象および未サポートのソフトウェア
がテンプレートを提供してはいますが、それを現状に適応
* 利用可能なアーカイブ / バックアップのタイプ
させて採用する必要があるからです。カタログの作成は、
* 価格設定表または価格設定構造(課金を利用する場合)
それに対する自分の要件を満足するために行うものですか
* 他のサービスへの依存性の有無と、依存性の中味。具体
ら、明確な答えを出すのは不可能でしょう。そのため、標
的なサービスの詳細はもちろん SLA に明記する
準テンプレートを作るのが非常に困難になっています。
24
うする」では、必ずしもチェックボックスにマークを入れ
サービスカタログの主眼は、顧客 / ユーザによる事業達
てよいことにはなりません。
成目標の実現をサポートするために、彼らが必要とするサー
ビスを識別して選択できるようにすることにある点を忘れ
5. 比較が可能。it SMF と OGC のウェブサイトでは、他の組
ないでください。したがって、選択した形式は明白な事業
の言語で記述し、表現するべきです。
織のスコアとの比較が無料で提供されます。貴方の組織
は、あなたが思うより優れているのかもしれませんよ! !
質問 5
回答 5-2
it SMF の ITIL セルフアセスメント質問表の利点は何です
James Finister、AXA
か?
(SERVICEtalk 2005 年 6 月号 )
ITIL とサービスマネジメントのアセスメントには多数の
異なるアプローチがあります。セルフアセスメントの利点
回答 5-1
が最も顕著なのはサービスマネジメント・プロジェクトの
Barry Corless、Remarc
ライフサイクルの早期においてであり、注目の必要な重要
領域についての指針を与える基本的で手軽なベースライン
利点の幾つかをまとめてみましょう。
となってくれます。サービスマネジメントの成熟度が高ま
り、例えばプロセス同士のインタフェースへより力点を置
1. 無料であること。幾つものベンダが提供しているような
きたいと考えるようになると、その有効性は低下していき
ベンダ固有のアセスメントと同等のものが利用できるの
ます。
です。私はこれまでずっと、そのようなベンダの利用は避
けてきました(利用するとしても最初だけ)
。改善を測定
アセスメントを自分自身で行うことにより、興味深い洞
する真に意味のある唯一の方法は、繰り返し実施すること
察が得られ、明確になった課題へのオーナシップ感が関与
だからです。自分が適切と考える頻度で繰り返し実施して
した者に芽生えます。
ください。
測定基準についての最近のセミナで、Edd Parry 氏がセ
2. 自分の直感を確認できること。私は、どこで失敗するの
ルフアセスメントの英国政府情報本部による利用に関し
かがよくわかっているが、その理論を実証する何らかの
て興味深いプレゼンテーションを行いました。その内容は
客観性を必要とするクライアントには、この質問表を処方
it SMF ウェブサイトからダウンロードできます。
してきました。ある組織では、コミュニケーションが大き
な課題であることを理解していました。悪い結果になるの
あなたの組織が ISO20000 の達成を確約済みであるか、
を恐れて顧客満足度調査が回避されるような環境で、この
能力成熟度モデル(CMM)などのその他の品質アプローチ
質問表は、測定可能で、かつサービス改善プログラムによ
を利用しているのであれば、そのアプローチに直接関連付
り対応可能な結果を与えてくれました。
けられたアセスメントを使用する方が有効でしょう。
回答 5-3
3. 幅広い適用範囲。セルフアセスメント質問表は、このプ
ロセス / 規律が赤本または青本とどのくらい合致してい
John Groom、MISM
るかといった限定的な視点のみにとどまらない、広い領域
をカバーしています。一例を挙げれば、マネジメントの意
質問表は、その ITSM プロセスがどの程度良いかまたは
向、他のプロセスとの関連性、顧客インタフェース、品質
悪いかについて、大まかですぐに活用できるアイディアを
コントロールなどです。これにより、人材、プロセス、製
組織に与えてくれます。その結果は組織がどれだけ自身に
品およびパートナといった複数の観点から、プロセス能力
正直でないかによって異なるのが常ですが、多くの組織は
へのバランスの取れた見方ができるようになります。
この質問表を重要な問題領域の識別に利用しています。セ
ルフアセスメントは答えを提供するのではなく、単に重要
4. 使いやすいこと。そう、これを利用するのに天才である
な問題領域を発見するものなのです。
必要はありません。質問表は、ITIL の知識をそれほど持っ
ていない人にもわかりやすいように書かれています。最大
のリスクは、正直に回答しないことでしょう。
「時にはそ
25
回答 5-4
前に、自分の組織を理解しましょう。it SMF の ITIL セル
Steve Straker、Fujitsu Alliance、FISM プロセス品質マネー
フアセスメント質問表はその理解に役立ちます。組織が
ジャ
BS15000 認証に合格しようと思えば、外部監査プロセスに
合格する必要があります。それは組織をよく理解すればす
るほど容易になるわけですから、セルフアセスメントへの
ITIL アセスメント表は、どのような IT 組織のツールキッ
投資は不可欠なステップなのです。
トに入れてもすばらしいツールになります。新しいプロセ
ス・オーナが、目標とともに「自発的改善」を達成するという、
普遍的な良い考えを実現するために必要な(最低限の)活
it SMF の ITIL セルフアセスメントは、組織のプロセスが
動の適用範囲を認識するうえで役立ちます。このアセスメ
ITIL フレームワークを基準にしてどの程度有能で成熟して
ントは、まさにプロセス・オーナが記入するためのものです。
いるかを、組織が自分で確認できるように考案されていま
なぜなら、彼らこそ、それを管理する最終責任者だからです。
す。もちろん、組織にもある程度独自の考え方があるでしょ
これは何人もの人間が記入するものではありません。グルー
うが、ITIL セルフアセスメントはそのアイディアや考え方
プが異なれば、その「プロセス」のオーナが合意しないよ
の一部に対し、建設的な方法で疑念を抱かせてくれます。
うな角度から見ることもあるでしょう。ですから、
プロセス・
このアセスメントはまた、プロセスの全体的な能力を向上
レビューとフィードバック / 継続的改善プログラムに活用
させるうえで取り組むとよい管理やコントロールの課題へ
するのにとどめるのが最善です。
の認知を醸成するように作られています。
しかし、自分自身を見る時には楽観的に考えてしまった
このアセスメントは記入が容易で、最初は約 1 時間かか
りますが、定期的に(通常は毎月月末に)実施していれば、
り、何かを変えるのはあまりに大変だからという理由であ
わずか 10 分でできるようになります。プロセスがどれだ
えてそれを我慢したりするといったことも時にはあります
け改善されたかがわかるのなら、そう悪くないものではな
から、注意が必要です。独立した外部組織のアセスメント
いでしょうか?
であれば、達成したい願望ではなく、正しい見方で記入し
てくれるでしょう。
この結果は管理チームで共有し、難関や障害を明確にす
るために利用できます。可視性と行動を確保するうえで役
≪編集部注 現在、会員向けのページにてアセスメント
に立つツールです。部門毎に分類された記入済みアセスメ
分科会の成果物として OGC アセスメントツールの日本語訳
ントの it SMF データベースも、初期のベンチマーク実施に
のダウンロードが可能となっております。当記事のご参考
役立ちます。
としても是非ご活用ください≫
IT 組織の中には、中核プロセスにおける BS15000 の初
期 GAP 分析として ITIL アセスメントを利用し、BS15000
標準と実施基準の冊子によるリソースと期間の理解と計画
質問 6
立案の手助けとしているところもあります。
IT 担当役員に可用性管理を担当するプロセス・オーナが必
要であることを説得するのに難渋しています。役員は他の
プロセス・オーナが既にその役割を果たしていると考えて
回答 5-5
おり、それに対して誰かを任じるのはどうかと言っていま
Dave Jones、Plan-Net Services plc、主席サービスマネジメ
す。助言をお願いします。
ント・コンサルタント
(SERVICEtalk 2005 年 6 月号 )
どのようなアセスメントであれ、最大の利益を得るには
回答 6-1
Barry Corless、Remarc
独立して客観的に行う必要があります。そのため、アセス
メントを実施する最も効果的な方法は外部機関により実施
することです。もちろん、これには費用がかかり、必ずし
動かないものを動かそうとするのではなく、分割して克
服しましょう。つまり、ITIL を本来の利用法で活用します。
も気にならない金額で済むとは限りません。
すなわち、採用して適応させるのです。可用性管理を正式
では、組織はどのようにすればこうしたアセスメントか
プロセスとしてではなく、1 つの規律として導入するので
ら最大の利益を得られるでしょうか?外部の機関を呼ぶ
す。責任(および教育)を他の領域に分割しましょう。そ
26
うすれば、
「単一オーナ」でプロセスを執行する場合よりも
ているのだということです。大規模な CMDB プロジェクト
おそらく良い結果が達成できるはずです。
の導入に失敗した組織の多くは、他のプロセスの開発から
CMDB が作成されるようにしていればもっとうまくいった
のではないかと思います。
例えば、リアクティブ・ソリューションとプロアクティ
ブ・ソリューションの提供に関連する可用性の手法と教育
インシデント管理は、障害発生からサービス復旧までの
は、次のように分散できるでしょう。
時間の短縮に力を注ぎます。事業継続性は、重大なイベン
トの後に通常の運用を復旧するために必要な時間の短縮、
可用性を設計に組み込むことは、開発に担当させるのが
いいでしょう。これは、可用性管理の側面の中ではおそら
および重大なイベントが発生する可能性を最小化するため
く一番重要なものです。信頼性、保守性、セキュリティを
のリスク管理に力を注ぎます。
設計に組み込むことは必須と考えるからです。また、復旧
プロアクティブな問題管理は、インシデントの潜在的根
手順と基準を規定することを、設計の責任に追加するとい
本原因をインフラストラクチャから排除することにより高
いでしょう。
度な可用性を維持することに力を注ぎます。サービスレベ
ル管理は適切なサービス時間を明確化します。
サービス改善領域は問題管理が責任を負えます。サービ
ス改善プログラム(SIP)の推進のためにサービス停止分析
では、可用性管理は、それ独自の活動として何をするの
やテクニカル・オブザベーション・ポストは必要ありませ
ん。問題管理のプロアクティブな面、つまりトレンド分析、
でしょうか?この点は現行バージョンよりも元の書籍でよ
インフラストラクチャの監視などは、プロセスへの有益な
り明快に説明されていたと思いますが、キャパシティ管理
入力となり得るでしょう。
と可用性管理は共に非常に独特な専門領域を含んでいます。
サプライヤ / パートナは「高可用性」ソリューションの
可用性管理は、適切なレベルの可用性を提供するために
推進を支援できます。可用性の向上を実現するために彼ら
システムを設計すること、およびサービスのライフサイク
の専門能力を活用するのです。アイディアとして活用でき
ル全体に渡ってその可用性を提供するために、継続的に能
るケース・スタディが彼らにはたくさんあるでしょう。た
力を予測することに携わります。これには、技術が現実の
だし、ここで注意が必要なのは、あるソフトウェア・ソリュー
構成の中でどのように機能するのか、および達成可能な可
ションあるいはハードウェア・ソリューションのみにフォー
用性レベルの予測にベイズ解析などの数学的手法がどのよ
カスさせないようにすることです。
うに利用できるかについての知識が必要です。
複雑な環境を管理しているのであれば、結果的にオーバ
対策を講ずる IT サービス継続性も、高可用性ソリュー
ションの推進に役立つことが多いでしょう。対障害弾力性
ヘッドが発生しても、洗練された可用性管理プロセスがほ
が強化されることにより可用性が高まる利点は、高価な対
ぼ間違いなく必要です。見返りとして、コストが低く抑え
策コストを正当化するのに役立つと思います。
られ、中断も少なくなり、IT がその領域においてコントロー
ル下にあるという顧客の信頼も増します。
回答 6-2
James Finister、AXA
それほど複雑でない環境を管理している場合は、可用性
はそこまで継続的に管理しなくてもよいでしょう。重要な
プロセスにはすべてオーナが必要であり、可用性も例外
新しいシステムが実運用に導入される時、あるいは年間計
ではありません。しかし、プロセス・オーナは複数のプロ
画立案サイクル時に対応するだけでよいと思います。その
セスを担当できます。例えば、1 人の上級マネージャが可
場合、可用性に対する責任は他の各プロセスに割り当てる
用性と事業継続性の両方、あるいは可用性と問題管理の両
ことができます。
方を担当することはごく妥当なことでしょう。
回答 6-3
John Groom、MISM
その IT 担当役員がおっしゃることも、可用性はほぼ緊
急プロセスと考えることができるという意味で的を射てい
ます。他のすべてのプロセスが効果的に機能しているので
可用性管理が、既存の複数の部門により十分にカバーさ
あれば、結局、自分自身が可用性管理をデフォルトで行っ
れているのならば、それはすばらしいことです。これらの
27
部門がたまたま他のプロセスまで担当しているということ
これはプロセスであって、役割ではありません。ですから、
は問題ではありません。要は、可用性管理をどこかが担当
別のプロセス・オーナが実行してもよいのです。他のプロ
する必要があるということ。ITIL は単一の部門が担当しな
セスと明らかにオーバラップする部分もあります。ただ、
ければならないとも、組織が新しいポストをつくって新し
この側面が実施され、誰かが可用性管理のプロセスを担当
い人員を採用しなければならないとも言っていません。す
している限り、その役割は IT 内のどこか(適切なところに)
べての ITIL プロセスについて言えることですが、ある 1 つ
存在していると言えます。
のプロセスが 1 人または複数の人員で担当 / 管理されよう
が、1 人の人員が複数の ITIL プロセスを担当しようが、全
回答 6-6
くかまいません。要するに、組織にとって最良のやり方は
Steve Straker、Fujitsu Alliance、
何かということなのです。
FISM プロセス品質マネージャ
その IT 担当役員は非常に明敏な方のようです。ITIL プ
回答 6-4
Cullen Paul、Fujitsu
ロセスの長所の一つは、必ずしもプロセス毎に 1 人のプロ
セス・オーナがいる必要はないという点であり、その良い
可用性マネージャは役割の 1 つであり、専任である必要
例として可用性が挙げられます。実際問題として、中小規
はありません。適切なレベルの権限を持つ誰かが、このプ
模の IT 組織の場合、可用性の部分はサービスデスク・マ
ロセスを担当する必要があります。プロセスと要件を定義
ネージャかサービス・マネージャ、または両者の連携によ
することにより、その業務の多くは現在それを行っている
りカバーし、他のプロセス・オーナには可用性の評価指標
人員(エンジニア / 技術者など)により引き続き実施され
と成果物について入力を得て成果物を出してもらうように
ることになるでしょう。可用性マネージャの責任は、品質
することもできます。より大規模な組織でも、最大限の可
基準、アプローチおよび要件を設定し、その活動が一貫性
用性を確保するため、専任の可用性マネージャの任務に、
と整合性のある方法で責任者により行われるようにするこ
キャパシティ管理や、技術、事業およびリソースのモデ
とです。
ルを作成して実行する必要性も組み入れるのが通例です。
BS15000 では監査目的でサービス継続性と可用性を 1 つに
回答 6-5
まとめていますが、これらの領域における ITIL プロセスの
Steve Pratt、Afiniti
役割の共有化は今のところ全く着手されていません。
可用性管理に関わる利点と問題を明確にし、専任の可用
回答 6-7
性マネージャを起用する具体的なケースを設定して、その
Dave Jones、Plan-Net Services plc、
役割の適用範囲と他のプロセスとの相互作用、およびその
主席サービスマネジメント・コンサルタント
人員を採用することによりどのような費用便益があるかを
明らかにしてはどうでしょうか?可用性は結果論になって
35 年前、
まだメインフレーム(大型サーバ)とダム端末(シ
はいけません。上級マネジメントからの同意を取り付けよ
ン・クライアント)であった時代には、サービスの可用性
うとする時には、検討に値する具体的なケースを提示する
管理は容易でした。運用マネージャまたはシフト・リーダ
ことが非常に重要です。
がこれに対応できたものです。分散環境(デスクトップ PC
と LAN)の時代になると、接続、ユーザおよびサービスの
ある程度の可用性管理はサポート・チームで行われてい
激増のため、
これがやや複雑になってきました。その頃には、
ると思いますので、可用性管理の要素を採用することによ
可用性は技術サポート・チームの仕事になりました。
りコストが節約されたり面目が保てた具体例が彼らから得
られるかもしれません。可用性管理オーナを置くことのも
不幸なことに、この辺りからフォーカスの幾つかを失う
う一つの利点は、たとえ他の部門が可用性管理の諸側面を
ことになりました。単に技術的側面ばかりが注目され、顧
実施していたとしても、それではサービス全体を見渡す観
客 / ユーザの観点が忘れられ始めたのです。
点が欠如するということです。ギャップやオーバラップも
生じるでしょう。
今では、サービスの可用性は顧客 / ユーザ満足の鍵であ
ることがわかっています。サービスの可用性が高まるほど、
プロセスにはすべて、責任を負うプロセス・オーナがい
事業達成目標の実現の可能性が高まり、顧客 / ユーザの満
なくてはなりません。忘れないでいただきたいのですが、
足度も向上します。顧客 / ユーザは、必要な時にサービス
28
が利用できない場合、その理由には関心がありません。
ではありません。
999 人の他のユーザが非常に満足して働いていたとして
ITIL と捕らえることのできる可用性管理はどのように
も、そのことにも関心はありません。わかっているのは、
役立つでしょうか?要点は、オーナシップを 1 つにする
自分たちにはそのサービスが 100% 利用できないというこ
ことです。必要な実行責任、説明責任および権限を持つ全
とだけです。
体的なプロセス・オーナとしてある人員を明確に任ずるこ
とにより、焦点を絞ったアプローチが推進されます。アッ
200 人の収益部門ユーザ(コール・センタなど)をサポー
プタイム(収益)を最大化し、ダウンタイム(損失)を最
トするサーバがある状況を考えてみましょう。このサーバ
小化することに焦点を絞るアプローチです。これに加え、
が 1 時間ダウンしたとすると、IT としては 1 時間の運用
可用性マネージャがサービスおよび製品の設計に関与でき
停止を報告します。しかし、事業には次のような影響があ
るようになり、組織に現実的な利点が生まれるようになり
ります。
ます。
* 200 ユーザ× 1 時間の停止 =200 時間
かつて Disraeli( ベンジャミン・ディズレイリ : イギリス
* 200 ユーザの業務時間当たりコストが 100 ポンド(例)
の政治家、小説家 ) は「ウソには普通のウソ、大ボラ、そ
= 合計 20,000 ポンド
して統計がある」と言いました。私はこれを、
「ウソには
* 200 ユ ー ザ の 収 益 が 時 間 当 た り 100 ポ ン ド = 合 計
普通のウソ、大ボラ、そして可用性管理がある」と解釈す
20,000 ポンド
ることもできると思います。サービス・プロバイダとして
は、顧客 / ユーザが必要とする時にサービスが利用できる
つ ま り、 顧 客 / ユ ー ザ の 観 点 か ら は、20,000 ポ ン ド
ようにする実行責任、
説明責任および権限を持つサービス・
のコストをかけて 200 時間分の事業を「失った」うえ、
オーナを置かなければなりません。
20,000 ポンドの収益も失ったことになります。IT が 1 時
間の停止を報告すると、サービスの側にはもちろんのこと
コストが発生するわけです。事業が不満に思うのも不思議
29
ITIL の基本を超えて From SERVICEtalk
ITIL はどのようにすれば顧客主導の信頼に基づ
㘈ቴ䈱ⷐᦸ䈫ขᒁ਄䈱ା㗬
いた価値創造型サービスを生み出すのに役立つか
概要
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䉰䊷䊎䉴䊶
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いて説明します。
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活用し、それによって競争優位を生み出すかにつ
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により、企業がいかにして増大された価値創造を
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Orientated Architecture Platform:SOAP) の 採 用
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ア ー キ テ ク チ ャ・ プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 」
(Service
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ઃടଔ୯䉰䊷䊎䉴
こ の 記 事 で は、
「企業価値創造サービス指向
㘈ቴ䉰䊷䊎䉴
SOAP モデルは、顧客主導で、取引上の信頼に基
づいた、市場をリードする企業を生み出すための、
ડᬺ䈱㘈ቴᖱႎ
/LQN-$
全体的かつ製品に依存しない、事業に統合された
ડᬺଔ୯ഃㅧ䉰䊷䊎䉴ᜰะ䉝䊷䉨䊁䉪䉼䊞䊶䊒䊤䉾䊃䊐䉤䊷䊛䋨62$3
アプローチを提示します。
を最大限に満たすだけではなく、継続的な顧客との関係も
このモデルは「顧客の要望と取引上の信頼」と「企業の
最大限に維持しようとする上で不可欠なものとなっていま
顧客情報(customer intelligence)
」との間に「取引上の
す。
距離の短縮」を生み、事業とサービスの戦略、および企業
のサービス・ポートフォリオを表す(ITIL を含む)相関
SOA の隆盛と並行して、インターネット・ユーザの継続
レイヤを完全に整合し統合することにより、「サービス取
的な成長により、収益最大化を目指すウェブ技術と顧客関
引のギャップ」を解消します。
係管理ソフトウェアのいっそう高度な利用法が生まれまし
た。
SOAP の主な利点は次のとおりです。
* 事業の俊敏性が高まり、新しい事業上の脅威や機会に迅
入手可能な最近の統計によると、2005 年 2 月 3 日現在
速かつ効率的に対応
の世界のインターネット利用人口は 8 億 1750 万人(世界
* 事業プロセスが最適化され、新規導入と既存のものへの
人口の 12.7%)であり、2003 年 3 月から 2005 年 2 月(こ
変更が迅速化
れらの月を含む)までの間に月平均で 1,020 万人もユーザ
* 事業コストと IT コストを削減
数が増加しています。( ※ 1)
* IT 資産の再利用を促進
* 事業とその顧客へ価値をより迅速に提供
特 に 英 国 で は、 入 手 可 能 な Neilsen NetRatings の 最 新
統計による 2004 年 4 月のインターネット・ユーザ数が
序論
35,831,432 人と、現在の英国人口(gaze t teer.de による
2004 年の統計では 59,157,400 人)の 60.6% にも上ってい
現代のグローバルな経済の中で組織の俊敏さがますます
ます。この 3,580 万人のインターネット・ユーザの内訳は
重要になっている状況が、サービス指向アーキテクチャ
次のとおりです。
(SOA)の成り立ちと発展の主な推進要因です。SOA とは
約 8 年前に作り出された用語で、たちまちのうちに現代
* 英国一般家庭の 59% が PC を所有
IT 産業の業界用語となりました。サービスがビジネス・
* 一般家庭の 50%(約 1250 万世帯)がインターネットに
プロセスをどのように実現可能にし、またサービスがビジ
アクセス
ネス・プロセスにどのように利用されるのかを定義するも
* 中小企業の 68% がインターネットにアクセス
ので、組織が成長し、顧客の現在のニーズと潜在的ニーズ
30
実際、各大手ベンダは、BEA WebLogic、Microsoft .Net、
IBM WebSphere、Oracle 10g といったアプリケーション
実際のところ、大量の電子メール送付や一方的な顧客への
の中核を成す「サービス」に今や SOA 戦略を提供している
連絡は情報過多を引き起こし、顧客に迷惑となっているほか、
ようです。ごく最近では、PeopleSoft、SAP、Siebel などの
EU 規制により罰金を受けるというリスクも会社に招きつつ
CRM と ERP のパッケージ・アプリケーション大手も進出し、
あります。( ※ 2) それでは、これにどう対応すればよいで
ウェブ・サービスの活用に特化した新しいソフトウェア提
しょうか?答えはウィッシュ・リストです。ウィッシュ・リ
供メカニズムを開発しました。しかし、SOA を IT 提供メカ
ストは、自分が欲しいとか必要だと考えていることを自発的
ニズムに限定することは、大きなビジネス・チャンスを無
に伝える機会を顧客に提供します。純粋に信頼の上に成り立
視することに他なりません。
つ基盤となる、双方向のやりとりが生まれます。
IT と事業の十分な整合や統合、一連の設計およびアーキ
したがって、SOA は明らかに、長期的で協調的な顧客と
テ クチャの原則、および堅牢なサービスデリバリ・プラッ
の関係を相互信頼に基づいて固めることに焦点を当てる必
トフォームが揃ってこそ、SOA は持続可能な競争上の優位
要があります。調査により何度も明らかにされているよう
性をもたらすのです。
に、長期的な顧客は対応コストがより低く済みますし、ス
ムーズな関係はリソースもあまり消費しません。顧客の間
SOAP モデルは以上のすべてを提供し、顕在化しつつあ
で評判の良い会社も資本コストの低減を経験し、顧客は信
る顧客のニーズと要望を素早く識別しつつ、顧客のロイヤ
頼する会社からの提案をより受け入れる傾向にあることを
ルティと満足度をいかにして維持するかという、長年の問
知るのです。
題にも対応します。
Massad(2003)( ※ 3) はインターネット取引の顧客満
SOAP の必要性
足度に関する博士論文調査を実施しました。この調査によ
り判明したのは、オンライン購入サービスでの障害(オン
ウェブと CRM の技術には多数の企業が我先と大金を投資
ライン取引または注文履行バリュー・チェーンの中での障
していますが、多くは投資収益面でのマネジメントの期待
害)があると顧客のロイヤリティと再利用率が低下する、
に応えていません。問題の一部は、導入に採用されている
つまり顧客の観点からすると現在のオンライン・デリバリ
アプローチが断片的であることと、顧客に焦点を当てた全
の方法論は 1 回のサービス障害に耐えるだけの堅牢さすら
体的で調和的な事業戦略とサービス戦略が欠如しているこ
ないということです。
とにあるようです。
またこの調査では、オンライン購入行為の背後にある主
多くの企業が、CRM をその名の通り顧客関係についての
要な推進要因は納期である場合が非常に多いことも明らか
すべてであるかのように解釈しているようですが、それは、
になりました。ですから、即日配送や提供サービスのカス
成功を評価するのに使用される CRM 評価指標が、販売と
タマイズなどがあれば、顧客が感じる満足度を高め、再注
サービスのプロセスの自動化、つまりセルフ・サービスに
文の可能性を高めて、顧客との関係を強化構築できるでしょ
より顧客へ責任を転嫁することによるコスト削減を主な基
う。この調査で明らかにされている主要な顧客満足要因は
準としていることが多いためです。さらに悪いことに、的
次のとおりです。
を絞った売り込みと抱き合わせ販売の試みによって、短期
的な収益を得るためにのみ CRM を導入する企業もありま
1. 注文した製品の納入期日
す。このような戦術的イニシアチブは、持続する関係を構
2. 他のサービス機能
築する基礎にはなりません。
3. 顧客への最新情報提供
4. 顧客が認識する閲覧しやすさ
これらの課題に加え、CRM ソフトウェアの基本的な問題
5. 顧客に提示される製品 / サービスの価格
というのが、顧客が実際に何を購入したか、またいつ購入
6. 製品 / サービスの在庫の有無
したかしか記録しないという点です。CRM ソフトウェアは、
7. 顧客が認識する注文しやすさ
売上履歴の記録庫として、また個人連絡先データベースと
8. サービス・プロバイダとの過去の経験
して機能しています。マーケティング・キャンペーンやト
9. 販売促進策
レンド分析の実施には便利ですが、情報の一方通行という
10. 顧客が認識する取引のセキュリティ
性格は、信頼を構築する機会を提供することはありません。
31
不満足要因は次のとおりです。
結論
1. 顧客が認識するコミュニケーションの効果
2. 顧客が認識する交換 / 返品 / 払い戻しのしやすさ
ITIL は Sarbanes Oxley 法、COBIT、BS15000 な ど の ガ
3. 顧客に対する姿勢
バナンス、および戦略的統合の機会を提供する面で成功要
4. 請求処理の正確さ
因として機能することができます。これはまた、事業戦略
5. 顧客が認識するサービス・プロバイダの誠意
とサービス戦略両方の十分な活用と統合を可能にし、サー
ビス取引のギャップを埋めて組織が競争上の優位性を獲得
SOAP の基本要素
することを支援します。
2001 年 に Akerlof、Spence、 お よ び Stiglitz( ※ 4) の 3
用語
氏が情報の非対称性に関する研究でノーベル賞を受賞して
以来、各企業が競争優位を獲得するためにミスマッチを利
事業の強力な手段
用したり、 不均衡に対応しようとしてきました。
順位は次のとおり。
1. 人材
情報の非対称性は、取引において一方の当事者が他方よ
2. プロセス
りもはるかに情報に恵まれている場合に起こります。例え
3. 情報
ば、会社の顧客が何を求めているかということは、製品や
4. 外部との関係
サービスを提供するその会社より顧客自身の方がはるかに
5. 組織構造
よく理解しています。とはいうものの、現在のインターネッ
トでの購入行為は、クレジット・カードのセキュリティなど、
主に「顧客取引の信頼性」への懸念は阻害要因になります。
顧客の要望
顧客の「解決の必要性」に関するもの。( ※ 5)
つまり、その阻害要因が、顧客を企業に近づけるうえで
の「サービス取引のギャップ」を生んでいるわけです。取
引のギャップを縮めて情報の非対称性を低下させることで、
顧客を企業により近づけられれば、企業は顧客へより効
企業の顧客情報
顧客について企業が保有しているデータ、情報およびナ
レッジ、例えば注文記録、個人の詳細、閲覧傾向などを指す。
率的でカスタマイズされたサービスと製品を提供でき、顧
客の潜在的なニーズを迅速に識別できるようになります。
ナレッジ資本
SOAP のような全体的な企業 SOA のみが、
「取引上の距離の
企業が従業員の経験やナレッジとして蓄積しているもの
短縮」を実現し、ギャップを橋渡しし、企業の顧客情報の
全体。ナレッジ資本をいかに効果的に利用するかが、並の
強化と顧客の信頼と満足度の向上をもたらします。
企業と成功する俊敏な企業の違いを生む。ナレッジ資本の
強化と活用は、組織内、および全部門間にナレッジ・オポチュ
このような顧客の要望と懸念に対応している企業の好例
ニティ・ネットワークの概念を作り、実際にやりとりする
が amazon.com です。画期的な「マス・カスタマイゼーショ
ことにより行う。
ン」のオプションを提供し、顧客のレビュー、不正に対す
る保証などにより、品質保証を提供しています。これらの
潜在的ニーズ
イニシアチブにより、Amazon は個々のユーザの閲覧傾向を
顧客が気付いていない顧客ニーズ。財務的に成功してい
追跡記録する機会を得て、既存顧客や見込み顧客のそれぞ
る会社は顧客からのフィードバックに基づいて製品を開発
れに個別対応した「プロフィール」を構築することができ
する。しかし、対象顧客にどのような製品が受けるかとい
るようになりました。したがって、企業として Amazon は
絶えず「企業の顧客情報」を拡大しているわけです。これは、
次の面で組織の方向性を決定する推進要因となります。
う点については、むしろ推測や直感に依存している。
顧客ニーズについて知り、それを満たすための一般的な
プロセスは市場指向として知られているが、対応的な市場
指向(顧客が欲しいと考えているものを知る)からプロア
* 市場機会の識別
クティブな市場指向(顧客のニーズを予測する)への変化
* 組織能力の強化
が起こっている。事業がよりプロアクティブな市場指向に
なるほど、新製品が成功する公算も高くなる。( ※ 6)
32
マス・カスタマイゼーション
サービス全体にわたる運用上および / または管理上の相
個々の顧客に対して製品やサービスのカスタマイズと
乗効果を生むこともある
パーソナライズを量産価格で行うこと。( ※ 7) インター
ネットなどの新しい双方向性技術により実装されているも
参考文献
ので、顧客が会社と相互にやりとりして顧客独自の要件を
※ 1 出典:http://ww.internetworldstats.com/
指定することができる。この要件から、自動化システムに
emarketing.htm
より製品やサービスが製造される。
※ 2 Harvey, F. 著(2003 年 12 月 2 日)
、
「E-marketing
品質保証
in a straightjacket: As Brussels imposes rules aimed at
広義には、品質とは優秀さの度合い、何かがその目的に
curbing spam, businesses must get used to new ways of
適合している度合いのことである。狭義には、製品または
contacting customers」Financial Times 誌 16 ページ掲載、
サービスの品質は要件との適合、欠陥や汚損の無いこと、
ロンドン(英国)
あるいは単に顧客満足度として定義される。品質管理にお
いては、製品またはサービスが明示および黙示されたニー
※ 3 Massad, N. 著(2003 年)、「Perceived Transaction
ズを満たす能力について有する特性の全体を、品質と定義
Satisfaction with Electronic Service Encounters: A Critical
する。
Incident Analysis of Product-Related Services and Pure
Services on the Web」Syracuse University
サービス取引のギャップ
顧客の要望および取引上の信頼と、企業の顧客情報との
※ 4 Akerlof G., Spence M. & Stiglitz J. 著(2001
間にある格差。
年)
、「Markets with Asymmetric Information」http://
nobelprize.org/economics/laureates/2001/ecoadv.pdf
取引上の信頼
「信頼」とは、将来の行動に対して、誰かまたは何かに依
※ 5 Davis, M. 著(2003 年)、
「Connecting with What
存することを言う。辞書の定義によると、信頼とは、誰か
Customers Want」http://www.fastcompany.com/magazine/
または何かの特性、能力、力、または真実性に確信を持っ
67/desire.html
て依存することである。この観点から言うと、信頼は不確
定かつ主観的な感情で、本質的に条件に左右されやすく、
※ 6 ワシントン大学マーケティング学名誉教授 Narver,
評価も変わりやすい。取引上の信頼は、顧客の認識、評判、
J. 著(2004 年 9 月)
「Journal of Product and Innovation
保証、不正の防止方法などから生まれる。
Management」
取引上の距離の短縮
※ 7 Davis, S. 著(1996 年)、
「Future Perfect」
、10 周年
画期的で応答が速く、かつ統合されたサービス・レイヤ
記念版、Addison-Wesley Pub、ハーロー、英国
により、企業と顧客の間にある情報の非対称性を解消する
ISBN:020159045X
こと。この面での企業の力量は「取引の能力」の面から測
定可能である。
Jane A Link
上級コンサルタント(戦略開発およびベストプラクティス)
付加価値サービス
Getronics
基本的サービスの一形態ではなく、サービス提供全体に
SERVICEtalk2005 年 6 月号より
価値を付加するサービス。その特徴は次のとおり:
1. 収益性の面で独立し、中核サービスへの需要増加を刺激
するものでもある
2. 運用上独立している場合がある
3. 明確に有利でない限り、基本サービスとの競合はない
4. 基本サービスへ付加できるため、プレミアム価格で販売
されることもある
5. 多様化のみに止まらず、他のサービスとの間に、または
33
出版関連情報
it SMF Japan
「我が社では アベイラビリティ も マネジメント も普
書籍は合計 6 冊にのぼり、累計 147 名もの it SMF Japan
通の用語として使用している。 Availability Management は
ボランティア・メンバにご支援いただく、it SMF Japan にと
『アベイラビリティ・マネジメント』が良いのでは?」「い
り(日本の IT サービスマネジメント業界にとり?)
、なく
や、現場では『可用性管理』と訳す方が分かりやすい!」…
てはならない一大プロジェクトとなっています。ニュース
2003 年 3 月 19 日、初めての日本語版 ITIL 書籍となるポ
レター 10 月号が発行される時点では、TSO 書籍「Business
ケットガイドの翻訳文レビューにて 16 名のボランディア・
Perspective」の日本語レビュー活動、TSO 書籍「Application
メンバによる激論が交わされました。日本での ITIL 用語あ
Management」の英語レビュー活動が実施されています。
けぼのの瞬間です!今では、it SMF Japan が出版に関連した
it SMF Japan にて翻訳出版、日本語化支援を実施した書籍は以下の通りです。
< it SMF 発行書籍>
・IT サービスマネジメント(ポケットガイド)
(2003 年 6 月出版)
・IT サービスマネジメント用語集 (2003 年 7 月出版 )
< TSO 発行書籍>
・サービスサポート ( 青本、2003 年 12 月出版 )
・サービスデリバリ(赤本、2004 年 2 月出版)
・サービスマネジメント導入計画立案(緑本、2005 年 7 月出版)
< VanHaren 発行書籍>
知っ得情報 !
it SMF Japan にて扱う書籍は、実は全て 洋書
・サービスマネジメント _ITIL 入門(2004 年 7 月出版)
です!(ポケットガイドの発行人は it SMF Japan
ですが、UK との共同の書籍で、洋書扱いです。)
ご存知でした?このこと、意外と知られていない
のです。
< Application Management(黄色本)キックオフ・ミーティン 今年度の活動・出版計画は以下の通りです。
グ>
■ TSO 書籍 Business Perspective
2006 年 2 月出版予定
英文からの翻訳文レビューが終了、現在は日本文だけ
のレビューが開始されています。全 26 名のボランティ
アが参画中。現在、書籍のタイトル決めで紛糾中!
■ TSO 書籍 Application Management 2006 年 3 月出版予定
9 月 22 日レビュー・メンバ 22 名によるキックオフ・
ミーティングが実施されました。現在は、チームごとに
英文からの翻訳文のレビューを実施しています。
■ TSO 書籍 ICT Infrastructure Management 2006 年 7 月出版予定
11 月 12 日 -19 日 it SMF Japan 公式サイトの会員頁、
ボランディア募集欄にて、レビュアの公募を行う予定で
9 月 22 日に実施された黄色本キックオフへは電話会議での参加
す。皆様ふるってご参加下さい。現在、書籍は、専門の
も含め総勢 22 名の方に参画いただきました。
翻訳会社での翻訳フェーズにあります。
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書籍の翻訳レビュー活動は、華
やかなプレゼンなど無く、非常に
英語レビュアの苦手(?)な ITIL 英単語ベスト5!
−レビュア古参の O 氏に聞きました。
地道な作業が主体になりますが、
本 活 動 に 参 画 す る こ と で、 書 籍
への理解が飛躍的に高まると同時
に、様々な分野の方と交流するこ
business:
経営、経営層、事業、本社、
、
、、どこにでもしっくり当てはまる単語は?個
人的にはビジネスでいいんじゃないかと思うけどね。
Management:
とが可能になります。まだ、翻訳
人だか管理なんだか、
、UK は区別してない感じがする。
。
。
レビュー活動に参画されていない
∼ and ∼ and ∼ and ∼:
会員様の活動への応募をお待ちし
いったい、
どの and で切れるのか、
、、
、はっきり言って and を使いすぎ(怒)!
ています!皆様の活動への参画に
context:
よって書籍の品質を格段に高めて
内容?状況?コンテキスト?何言っているんでしょう。UK 殿 内容 をしっ
ください!
かり書いてよ(怒)
driver:
何かが牽引するんですよね。訳しにくさピカ一だよなぁ。
第二回 it SMF Japan コンファレンスご報告
it SMF Japan
2005 年 7 月 25 日∼ 26 日、東京全日空ホテルにて「第
二回 it SMF Japan コンファレンス」を開催いたしました。
「ユーザ事例講演」では、先進企業 6 社より貴重なお話を
頂戴しました。
今年は会期を二日間とし、基調講演、海外 it SMF 講演、
今回新設した「チュートリアル」では、
「サービスサポー
分科会活動報告に加え、ユーザ事例講演を増加するとともに
ト」
「導入計画立案」あるいは「KPI 策定」
「サービスレベル
チュートリアルを新設、計 40 セッションに約 800 名のご
管理」といった切り口から教育・研修を行いました。どの
参加をいただきました。また、会期二日目は台風にもかかわ
チュートリアルも好評でした。
らず最後までご参加いただき、
誠にありがとうございました。
アンケートでは、参加者の方々から多数のご意見・ご感想
参加者の傾向を見ると、昨年に比べ実務者層が増え、IT
を頂戴し、IT サービスマネジメントへの関心の高さ、取り
サービスマネジメントへの取り組みがより本格化しつつある
組みへの熱意を実感いたしました。it SMF Japan として日本
ことがうかがわれます。また、昨年以上に多岐にわたる業種
における IT サービスマネジメントの研究・啓発・普及促進
の方々にご参加いただくことができ、すそ野の拡大を感じま
に向け、一層努力をしてゆく所存です。
した。
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it SMF Japan 第五回セミナご案内
it SMF Japan
今年度 2 回目となります it SMF Japan 第五回セミナの開
育研修や、塩野義製薬株式会社様による事例等、皆様がより
催が決定いたしました。
ITIL® を身近に感じていただける内容となっております。
今回は関西地区での第一回目の開催となります。講演内
今後の東京以外での開催継続のためにも、是非ともご参加
容に関しましてもコンファレンスでご好評いただいた ITIL®
下さい。
をより理解していただくための IT サービスマネジメント教
次の URL よりお早めにお申し込みください。 http://www.itsmf-japan.org/events/index.html
■開催日 10 月 28 日 ( 金 ) 13:30 ∼ 16:20 ※開場受付 13:00 ∼
■会 場 大阪 梅田スカイビル スカイルームA ( タワーイースト 36 階 )
■参加費 it SMF 会員 : 無料、一般参加 :5,000 円 < 税込 >
■プログラム
時間
講演タイトル
it SMF Japan 第五回セミナ
講演者
講演内容
it SMF Japan 理事長
富田 修二
it SMF Japan 設立から 2 年が経過いたしました。
13:40 ∼ 14:10 日本における IT サービスマネジメン it SMF Japan 理事
塩田 貞夫
IT サービスマネジメントを普及促進している
トの動向
it SMF Japan のこれまでの活動と、IT サービス
マネジメントのデファクトスタンダード ITIL®
を取り巻く環境をご紹介します。
13:30 ∼ 13:40 ご挨拶
休憩 (10 分 )
NEC ラーニング
株式会社
古賀 和子氏
15:20 ∼ 16:20 IT アーキテクチャの変遷を乗り切る 塩野義製薬株式会社
知見として辿り着いた ITIL®
多賀 健二氏
14:20 ∼ 15:20 <IT サービスマネジメント教育研修 >
1時間でわかる ITIL® 入門
ITIL® の特徴、サービスサポート・サービスデ
リバリの各プロセスについて身近な例を交え
ながらご紹介します。
システム運用のアウトソーシングや脱メイン
フレームへの対応など、暗中模索して構築し
た運用のフレームワーク。成熟度向上に向け
た取り組みの多くが結果として ITIL® の適用
度を上げることに通じていた。
「ITIL は決して
新しい取り組みではない」を実感した事例を
ご紹介します。
なお、it SMF Japan 第六回セミナを 12/2( 金 ) に東京で開催する予定で、検討を進めております。
プログラムが確定次第 it SMF Japan オフィシャルサイトのイベント・ページおよびメールにてお知らせいたしますのでご期
待願います。
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アセスメント分科会ディスカッション開催ご報告
it SMF Japan
2005 年 9 月 29 日にアセスメント分科会主催の会員向
する上で参考になる情報に関する要望などがありました。
け第一回ディスカッションを開催しました。概要は下記の
Hint&Tips の公開や、アセスメントを実施する上でのセミ
通りです。
ナの充実など、分科会活動で可能な範囲で検討していきた
いと思います。
主催: it SMF Japan アセスメント分科会
日時: 2005 年 9 月 29 日(木)17:30 ∼ 19:30
今回のようなディスカッションという企画はアセスメン
会場: 都市センターホテル 7 階 704 会議室
ト分科会としてだけでなく、it SMF Japan としても初めて
テーマ「アセスメントの現状と課題」
の試みでした。結果として、会員間での双方向の意見交換
17:30-18:00 自己紹介
ができるいい機会になったと思います。今後もこうした企
18:00-18:30 事前の質問項目に関する各自のコメント
画を行いたいと思いますので、皆様の活発なご応募をお待
18:30-19:15 テーマに関するフリーディスカッション
ちしております。
19:15-19:30 まとめ
アセスメント分科会ディスカッション参加者一覧
(敬称略、
順不同)
ディスカッション当日の参加者は、it SMF Japan の web
サイトでの募集に申し込まれた it SMF Japan 一般会員の
方 9 名と、アセスメント分科会メンバ 6 名の合計 15 名で
した。ディスカッションは約 2 時間にわたって実施され、
活発な議論が行われました。
問題意識を持って参加された方が多く、それぞれの立場
で困っている点や、課題、状況など様々な意見交換を行い
ました。その際、日本ではまだ OGC のアセスメントシー
トなどをはじめとしてアセスメントに関する情報が十分に
浸透しておらず、参加者の中でも若干これらの情報の浸透
度に対してギャップがあったため、随時各種 WEB サイト
の情報なども紹介しながら進めました。
この他に、7 月下旬に公開されたアセスメント分科会
の成果物や分科会活動に対しても多くの貴重なご意見を
it SMF Japan 一般会員の方
・IT& ストラテジーコンサルティング
吉田 俊雄
・日本電気システム建設
田部 幹雄
・キヤノンシステムソリューションズ株式会社 前薗 和久
・ソニーグローバルソリューションズ株式会社 林 広布
・有限会社 オリーブネット
官野 厚
・ERP 研究推進フォーラム
磯山 昭
・財団法人 日本品質保証機構
馬渡 俊一
・株式会社富士通ビジネスシステム 須貝 貴美
・CRCソリューションズ
山元 達矢
アセスメント分科会メンバ
・日本アイ・ビー・エム株式会社 品田 京子
・株式会社CSKシステムズ
小澤 一友
・コンピュータ・アソシエイツ株式会社 三部 佳彦
・日本ヒューレット・パッカード株式会社 塩田 貞夫
・日本アイ・ビー・エム株式会社
土田 智
・東芝ソリューション株式会社
花井 克之
いただきました。具体的には実際にアセスメントを実施
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事例研究分科会活動のご報告
現在、ITIL は基礎的な理解はなされており、既にアセス
it SMF Japan
■目的設定面からみた ITIL:目標設定と CSIP が重要
メントや導入計画についても能動的に取り組まれている組織
が多数でてきております。しかし、ITIL そのものは認知さ
れているものの、その導入については、まだまだ様々な課題
が発生していることも確かです。
事例研究分科会は 2003 年 12 月に発足し、
『ITIL の実際
をデータと共に明らかにする』という活動方針のもと、現
在 19 名で活動を行っております。これまでの活動では、国
内・国外の事例研究による「ITIL 計画に関する研究」、事例
ステップ
目標設定⇒
進路の決定
説明
目標・ビジョンを決定
目標・ビジョンを達成する為の施策を検討
施策と指標の
決定⇒継続的
な改善
施策の成果を計測する為の KPI を設定
プロセス改善に取り組む
成果を分析
成果の分析
/ 目標との整合 目標・ビジョンと施策の成果が連動している
性を確認
か分析
必要に応じて
進路を修正
必要に応じて施策や KPI を変更
における課題とその解決手法例として、「目的面、実装面の
FAQ、ヒント集の研究」を実施してきました。
■実装面からみた ITIL:構成管理と変更管理の進め方
■ ITIL 計画に関する研究(2003/12-2004/07)
分科会の最初の活動は、ITIL の認知度の向上を目的とし、
ITIL 導入計画を実施にあたっての疑問に対して、国内 / 国
外の事例を用い計画段階に関する事例分析を実施いたしまし
プロセス
構成管理
悩み
・構成項目を決定できな ・変更管理で取り扱う範
い
囲がわからない
・構成情報を維持がわか ・変更作業の実施前に変
らない
更が及ぼ す影響、失敗
の影響分析が十分にさ
れていない
・変更依頼が各担当者個
人になり、依頼の傾向
分析、変更内容の記録
ができない
た。分科会としては、ITIL 導入計画の方法として「教科書
的用法と参考書的用法」の 2 つの取り組み方があるという
結論に達し、その研究成果を発表いたしました。(詳細は、
2004 年第一回カンファレンス発表資料を参照ください)
パターン
参考書的用法型
教科書的用法型
導入手法
現場レベルの地道な改
善の繰り返し
マネジメント主導の改善プ
ロジェクト
参画
IT 部門
トップ∼ IT 部門
予算、コスト
予算 = 小、コスト = 小
予算 = 大、コスト = 大
ITIL の利用法
問題意識⇒ ITIL 参照⇒
ITIL 導入
診断⇒コンサルティング⇒
ITIL 導入
基本的な考え方 問題の事象を、そのつ
ど改善する PDCA サイ
クル
変更管理
陥りやすい ・構成情報が深くな りす ・全ての変更に対して
ぎる
CAB/ 承認行為を必要
罠
・構成情報の定義はでき
たものの維持管理がで
きない
とすることで、処理 /
作業が全体的に遅くな
る
注意すべき ・構成情報をよくば らな ・変更に対する判断基準
いこと
を明確にすること
ポイント
・構成情報を維持 / 更新 ・承認者を明確にするこ
していくプロセスをあ
と
らかじめ用意しておく
こと
・CAB の位置付けを間違
わないこと
成功するス ①サービス範囲を決める ①サービス範囲を決める
テップ
ギャップを予め抽出し、優
先度付けしながら改善
②構成情報を定義する
②変更情報 /RFC を定義
し、承認レベルを定義
③定義された構成情報を する
一元化する
③変更情報の中で定型化
④構成情報の変更をトラ / ルーチン化できるもの
ッキングするための変 を定義する
更管理プロセス(導入
・リリース)を準備す ④変更の承認レベルに合
る
わせて CAB の可否を定
義し、CAB 自体を定義
⑤チェックする仕組みを する
決定する
⑤チェックする仕組みを
⑥構成管理プロセスを稼 決定する
動させる
⑥変更管理プロセスを稼
⑦構成情報・構成管理プ 動させる
ロセスの品質を定期的
にチェックする
⑦変更管理プロセスの品
質を定期的にチェック
⑧評価 / 改善
する
■目的面、
実装面の FAQ、
ヒント集の研究(2004/08-2005/06)
次の活動としては、企業に対して ITIL 導入を進めてい
くにあたって、なぜ前に進まないのか?なぜ成功しないの
か?といった課題を、
「トップのコミットメント」、「現場
における啓蒙活動」という 2 つのテーマに分割し活動を
実施しました。それぞれの課題に対して「目的設定面から
みた ITIL」
、「現場における ITIL 適応」といった観点で研
究活動を行い、昨日のカンファレンスにて研究成果を発表
⑧評価 / 改善
いたしました。
(詳細は、2005 年第二回カンファレンス
発表資料を参照ください)
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■活動メンバーの紹介 (2005 年 8 月 19 日現在 ) 計 19 名
■今後の活動 - 3つの研究テーマ
今後の活動としては、研究テーマとして、「IT ガバナンス
研究(EA、COBIT と ITIL)
」
、
「ITIL 効果測定研究」
、
「事例研究」
という 3 つの視点から、それぞれ「トップダウンで ITIL に
つなげていくアプローチ」
「ITIL による効果と測定指標」
、
「実
、
践として、具体的にどのように実現していくのか?」につい
て、研究を開始しております。
現在、
「事例研究」の 1 つとして「ITIL の幻想」というテー
マでの議論を行っております。ITIL は魔法の杖ではありま
せん。我々、事例研究分科会は、昨今 ITIL の普及とともに
生じている「誤解や幻想」について懸念しています。例え
ば、「ITIL をいれると全て解決する!」
、
「ITIL が絶対的に正
しい!」、「ITIL にあわせれば今の仕事の流れはいらない!」
不破 治信
松本 浩彰
諸橋 正
有村 直也
大畑 毅
加藤 寛二
岸 正之
木村 祐
小山 條二
桜井 景晴
塩田 貞夫
鈴木 広司
平 真寿美
谷 芳文
中村 究
野村 紀美
堀 肇
望月 裕之
保村 哲哉
CTC テクノロジー
< 座長 >
BMC ソフトウェア
<副座長>
キーウェアソリューションズ
<副座長>
日本情報通信
日本電気
マイクロソフト
インフォメーション・ディベロプメント
ソニーグローバルソリューションズ
富士通
富士通サポート&サービス
日本ヒューレット・パッカード
IBM ビジネスコンサルティングサービス
富士通エフ・アイ・ピー
クリエイティブソリューション
新日鉄ソリューションズ
シーエーシー
ジェイアール東日本情報システム
東芝ソリューション
SAP ジャパン
※敬称略、順不同
など・・・。
it SMF JAPAN 事例研究分科会
ITIL は最適解を示したものではありません。あくまでも
成功事例が最大公約数としてまとまっているベストプラク
ティスになります。このことを忘れず、
ITIL を活用する際は、
目的は何か?どのように計画にするか?の検討を十分に行っ
ていただきたいと考えております。ITIL 自体が目的になっ
ていませんか?今一度、確認いただき、ITIL を活用ください。
今後も事例研究をもとに、皆さまの会社にあった ITIL 適
用に役立つ、情報を発信し、皆さまにとって少しでもお役に
立てることを願って活動を進めてまいります。
Newsletter からのお知らせ
it SMF Japan では分科会その他各種活動をボランティア活動として運営し
ております。
皆様の貴重なご経験やご意見を当ニュースレターで会員の皆様へお伝えし
情報交換の場として活用できるようしていきたいと考えております。
今回より新たに寄稿いただき採用させていただいた方へは「IT サービス
マネジメント ITIL 入門」をプレゼントさせていただきます。
また会員企業のインタビューを元に会員企業様のご紹介も実施させていた
だいております。
こちらも合わせてご検討ご連絡をお待ちしております。
詳細のお問い合わせは事務局 (info@itsmf-japan.org) までお問い合わせをお
願いいたします。
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it SMF Japan
編集後記
7月に開催された it SMF Japan の第二回コンファレンスでご参加いただいた皆様にアンケートを取らせていただきました
が、その中の質問項目の1つに本ニュースレターに関するものがありました。それによるとおよそ 5 割の方が、本ニュース
レターを読んで頂いてる一方で 3 割の方があまり読んで頂いてないという結果でした(残りは無回答)
。本ニュースレター
をさらに魅力のあるものにし、会員のみなさま全員に読んでいただくためには、経験事例寄稿やインタビューなど、会員の
皆様方の参画が不可欠です。よろしくお願いいたします。
(大塚)
■ ご意見: 本ニュースレターへのご意見・ご要望は、it SMF Japan 出版担当宛てにメールにて
お送りください。
メールアドレス: publication@itsmf-japan.org
■ 寄稿: IT サービスマネジメント導入、運営に経験を他の会員の皆様とシェアしていただけ
る方を募集しております。ご協力いただける方は、it SMF Japan 出版担当宛てにメールにてご
連絡ください。
メールアドレス: publication@itsmf-japan.org
■ 広告: 本ニュースレターは皆様の広告料で制作されています。広告掲載に興味をお持ちの 方は it SMF Japan 事務局にご連絡ください。
■ it SMF Japan ニュースレター
2005 年 10 月号 (1 月、4 月、7 月、10 月発行 )
編集人: 神庭弘年(it SMF Japan 会報誌担当理事) 編集取りまとめ: 大塚哲夫 ( 日本アイ・ビー・エム ) 編集に協力いただいた方々(敬称略、アイウエオ順): 三部佳彦 ( コンピュータ・アソシエイツ )、品田京子 ( 日本アイ・ビー・エム)、白浜幸弘 ( 日本アイ・
ビー・エム )、土田智 ( 日本アイ・ビー・エム)
、富岡洋 ( 日本アイ・ビー・エム )、中川悦子 (EXIN
Japan)、萩野美穂 ( 日立製作所 )、桧垣慈幸 ( コンピュータ・アソシエイツ )、廣澤正道 ( 日本アイ・
ビー・エム )、益子隆司 ( 日本アイ・ビー・エム )、八木隆 ( 日立製作所 )
■発行所:it SMF Japan
東京都港区六本木 6 丁目 10 番 1 号六本木ヒルズ森タワー 34 階私書箱 30 号
電話 (03)5786-7525 Fax (03)5786-7523
URL: www.itsmf-japan.org
■ ITIL® は英国政府機関の OGC(Office of Government Commerce) の英国およびその他の国におけ
る商標または登録商標です。
■その他記載の組織名(会社/団体/機関)
、製品名は、それぞれの会社/団体の商標または登録
商標です。
注.記事において記載の組織や製品に対し it SMF がなんらの推奨を行うものではありません。
■本誌掲載記事の無断転載を禁じます。
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