第10回

問1 ①〜③の前提から(a)、(b)が正しく演繹できるか調べよ。
自分に満足していない人だけが他人を妬む・・・ ①
不幸な境遇にあっても他人を妬まない人がいる・・・ ②
不幸な境遇ではないのに他人を妬む人がいる・・・ ③
①→only ifの構造 →書き換え
自分に満足している人は他人を妬まない・・・ ①
① の対偶:他人を妬む人は自分に満足していない・・・①
②の対偶:他人を妬む人は不幸な境遇ではない・・・②
③の対偶:他人を妬まない人は不幸な境遇だ・・・③
(a)不幸な境遇にあっても自分に満足している人がいる
②より 不幸な境遇にあっても他人を妬まない人がいる
③ より 他人を妬まない人は不幸な境遇だ
正しく演繹できない
(b)不幸な境遇でないのに自分に満足していない人がいる
③より 不幸な境遇ではないのに他人を妬む人がいる
①
より 他人を妬む人は自分に満足していない
不幸な境遇でないのに自分に満足していない人がいる
正しく演繹できる
問2 次の推論が演繹として正しいことを示せ。
動物も植物も好きな人は自然を愛する人だ・・・・・・①
都会の喧騒を好む人は自然を愛する人ではない・・・・②
それゆえ
都会の喧騒を好み、かつ動物好きな人は植物を好きではない・・・③
動物の好きな人:動
嫌いな人:動
都会の喧騒が好む人 :都
好まない人:都
植物の好きな人:植
嫌いな人:植
自然を愛する人
:自
愛する人ではない:自
①(動and植)→自
②都→自
それゆえ
③(都and動)→植
まず②より
対偶
都→自
①自→(動or植)
②自→都
それゆえ
③植→(都or動)
都→(動or植)
さらに①の対偶より 自→(動or植)
ここで消去法を用いる
都会の喧騒を好む人は、動物か植物が好きではない
都会の喧騒を好む人が動物を好きなら自動的に
この人は植物が好きではないことになる
これより③の
都会の喧騒を好み、かつ動物が好きな人は植物が好きでない
ということがいえる
よってこの文章は演繹として正しい
問3 哲学者か論理学者→理屈っぽい・・・①
理屈っぽいかつ議論好き→人に好かれない・・・②
大学の教師→議論好き・・・③
それゆえ
大学の教師で人に好かれる人物は哲学者ではない・・・④
②対偶:人に好かれる→理屈っぽくないか議論好きでない
②対偶と③より
大学の教師
理屈っぽくない・・・⑤
+
人に好かれる
①対偶:理屈っぽくない→哲学者かつ論理学者でもない
⑤と①対偶より
大学の教師で人に好かれる→哲学者でない
問4
ある惑星の生物について、次のような報告があった。
赤い目をした生物も青い目をした生物も大きな目をしていた・・・①
大きな目と大きな耳をもつ生物はどれも長い手足をもっていた・・②
大きな耳をもつ生物の中には手足の長くないものもいた・・・③
以上の報告から次が正しく演繹できるかどうかを調べよ。
(a)手足の長くない生物はどれも目が赤くはない。
(b)大きな耳をもつ生物の中には目が赤くも青くもないも
のがいる。
登場してくる生物を性質によって記号化する。
これを用いて表すと
赤い目・・・・・・・A
青い目・・・・・・B
①
:(A or B)→C
大きな目・・・・・C
①対偶:C→(A and B)
大きな耳・・・・・・D ② :(C and D)→E
手足が長い・・・E
②対偶:E→(C or D)
また、③は「大きな耳をもち、手足の長くない生
物」と書き換えられるので、この存在を『α』と仮
定する。
③α:(D and E)
赤い目・・・・・・・A
青い目・・・・・・・B
大きな目・・・・・・C
大きな耳・・・・・・D
手足が長い・・・・・・E
①
:(A or B)→C
①対偶:C→A and B
②
:(C and D)→E
②対偶:E→ C or D
③α:D and E
(a)を記号化すると、 (a):E→A
Eから始まるものは、②対偶であるので繋ぐと
E→ C or D
ここで、『α』は、D and Eと仮定されているの
で、Dは消去される。続けてCに①対偶を繋ぐと
E→C→(A and B)となる。
これより、(a):E→Aは、(Bでない)可能性を含
んでいない為、①②③より正しく演繹できないと
言える。
(b)「大きな耳をもつ生物の中には目が赤くも青くも無いも
のがいる」
これを「大きな耳を持ち、目が赤くも青くもないものがいる」
と書き換える。次にこの存在を『β』と仮定、記号化すると、
(b)β:D and(A and B)
また、先ほど仮定で使った③を、③:D→Eとする。よってD
より繋がるものは③。
またつづけて、③には、②対偶が繋がるので、
D→E→(C or D)
とできるが、βはDであると仮定されているので、Dを消去
する。よってCには、①対偶を繋げることができる。
D→E→C→(A and B)
これより、(b)は、①②③より正しく演繹できると
言える。
問5
好き・・・・・・○
嫌い・・・・・・×
③:「算数は好きではないが理科は好きだ
という児童がいた」
算数×で理科○の人(α)がいる
②:「国語は好きだが社会は好きではないという
児童は算数が好きだった」
算数×なら
(国語×or社会○)
が②より考えられる
①:「社会が好きではない児童だけが理科を好
きだった」
Only ifより
理科○→社会×
社会○→理科×
算数×理科○のαは、社会×
よって④は正しいといえる
問6.次の推論における演繹の誤りを、「逆を用いた誤り」な
いし「裏を用いた誤り」を指摘することによって説明せよ。
①「英語の教師のすべてが英会話が得意なわけじゃない」
②「だいたい、内気な人は英会話が得意じゃないよね」
③「ということは、英語の教師の中には内気な人がいるって
ことか」
①英語の教師のすべてが英会話が得意なわけで
はない
→英語の教師の少なくとも一人は英会話が得意
ではない
②内気な人→英会話が得意じゃない
③英語の教師中には内気な人がいる
①:条件構造を持たない。
②逆:英会話が得意じゃない人は内気である。
英会話が得意でない→内気
②裏:内気でない人は英会話が得意である。
内気でない→英会話が得意
②対偶:英会話が得意な人は内気でない。
英会話が得意→内気でない
問題文中では②の逆を根拠として③を述べている。
よって、「逆を用いた誤り」である。
問7推論における演繹の誤りを、「逆を用いた誤り」ないし
「裏を用いた誤り」を指摘することによって説明せよ。
①哲学者ときたら、そろいもそろって非現実的な連中だ。
②倫理学者の中には哲学者でない者もいる。
③倫理学者の中には現実的な人間もいるはずだ。
②倫理学者の中には哲学者でない者もいる。
少なくとも一人以上は、倫理学者で哲学者でない。
①哲学者ときたら、そろいもそろって非現実的な連中だ。
哲学者
逆 非現実的
裏 哲学者で無い
対 現実的
非現実的
哲学者
現実的
哲学者でない
③倫理学者の中には現実的な人間もいるはずだ。
裏を用いた誤りである。
問8 帽子屋が嘘をついていることを背理法によって示せ。
帽子屋:三月ウサギと眠りネズミは嘘ばかりついている・・・①
三月ウサギ:眠りネズミは嘘ばかりついている・・・②
帽子屋が嘘をついていないと仮定すると・・・
①は正しいので
三月ウサギと眠りネズミは嘘ばかりついている・・・③
③より②は正しくないので
眠りネズミは嘘はついていない・・・④
③・④は矛盾
帽子屋は嘘をついている
問9
「滝本酒店は毎日開店している」を背理法で
示す
・・・・「滝本は開店してない日がある」とする
③:「他の2店のどちらかが休みの日は、大木
酒店は開店してる」
・・・・滝本が閉店してる日は大木が開店
②:「滝本酒店が休みか大木酒店が開店の日
は、津端酒店は開店している」
・・・・大木が開店していることがわかっている
ので津端も開店している
これまでの要約
・滝本が開店してないと仮定
・③より、滝本が開店してないので大木が開店
・②より、大木が開店してるので津端も開店
①:「他の2店がともに開店の日は、滝本酒店も
開店している」
滝本は開店していないという仮定はなりたたな
い。よって滝本酒店は毎日開店している
問10 4人の容疑者に対して、次の①-④が知られている。そのとき
関口が犯人であることを背理法を用いて示せ。
中善寺が嘘をついていない→犯人は関口か木場だ・・・①
中善寺が嘘をついている→犯人は中善寺だ・・・②
中善寺か榎木津が犯人→関口も犯人・・・③
関口が犯人でないかつ木場が犯人→榎木津も犯人・・・④
関口が犯人でないと仮定する
①対偶:犯人が関口かつ木場でない→中善寺は嘘をついている
仮定より「中善寺は嘘をついている」
②より中善寺が嘘をついている→犯人は中善寺となる
しかし
③対偶:関口が犯人でない→中善寺かつ榎木津は犯人でない
①対偶→②と③対偶で矛盾が生じる
よって仮定は否定され関口が犯人であると結論できる