アルファオス交代時にみられる群れの個体間関係の変化

アルファオス交代時にみられる群れの個体間関係の変化
廣澤麻里1、鈴木直美2、中山哲男3、高倉健一郎3、安藤和典3、足立幾磨1
(1京都大学霊長類研究所、2岐阜大学応用生物科学部、3東山動植物園)
対象個体
はじめに
(2009年3月調査開始時)
2004年4月
メス1個体(ユリ)が東山動植物園に移籍
さまざまな群れ編成が試みられたが、怪我などが続いた
全5個体での長期同居は一旦断念(中山ら, SAGA9)
ローリー
40?歳
最優位オトナメス
チャーリー
31歳
アルファオス
2007年4月
リュウ(当時10歳)を個別飼育
リナ
30歳
オトナメス
リュウ
2008年6月
リュウを群れに再導入
改築も奏功し無事成功
12歳
ワカモノオス
ユリ
41?歳
移籍オトナメス
個体間関係の
継続した
した評価
評価が
今後の
安定した
した群
れの維持
維持に
⇒個体間関係
個体間関係
の継続
した
評価
が、今後
の安定
した
群れの
維持
に不可欠
目的
方法
2009年3月
調査期間
リュウにアルファオスの座を獲得しようとする動きあり
2009年3月-2009年10月(週1回以上、1時間以上)
5個体の最近接個体を個体間関係の指標として記録
10分ごとの瞬間サンプリング法
アルファオスの
交代に
⇒アルファオス
アルファオス
の交代
に 際し 、
各個体に
して誰
がどれぐらいの割合
割合で
最近接個体であったかを
⇒各個体
各個体
に対して
誰がどれぐらいの
割合
で最近接個体
であったかを
各月ごとに
各月ごとに算出
ごとに算出
群れ内の個体間関係はどのように
個体間関係はどのように変化
はどのように変化していくだろうか
変化していくだろうか
結果
◆ 2009年8月下旬、リュウ
リュウが
リュウがアルファオスになった
アルファオスになったことが確認
になった
◆2009年5月以降、オス同士が互いに最
(餌場への優先順位やメスへのアプローチなどから判定)
チャーリーの最近接個体
チャーリー
近接個体である割合が上昇
◆その上昇はアルファオス交代の起きた8
リュウの最近接個体
リュウ
月まで継続
60
50
40
チャーリー
ローリー
リナ
ユリ
50
◆アルファオス交代後は、オス同士が最近
接個体である割合が徐々に以前と同水準ま
40
交代
交代
%
30
で減少
30
20
20
◆メスとの個体間関係に、アルファオス交
10
10
代と関連のありそうな変動はみとめられず
0
0
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
3月
10月
4月
5月
6月
7月
8月
リナの最近接個体
リナ
ローリーの最近接個体
ローリー
60
9月
60
チャーリー
リュウ
ローリー
ユリ
50
30
%
40
30
%
40
30
20
20
20
10
10
10
0
0
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
チャーリー
リュウ
ローリー
リナ
50
40
3月
10月
ユリの最近接個体
ユリ
60
チャーリー
リュウ
リナ
ユリ
50
%
%
60
リュウ
ローリー
リナ
ユリ
0
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
考察
オス同士
オス同士が
同士が最も近接
⇒ リュウはアルファのチャーリーとの関係をもつことで、力関係をはかっていた?
謝辞 この調査をおこなうにあたり、
お世話になった東山動植物園の皆さ
まと、ご指導をいただいた松沢哲郎
先生、他関係者の皆さまに厚く御礼
申し上げます。
⇒ 自らが競争相手の近くにいることで、相手がメスに接近することを防いでいた?
今後の展望
リュウがどのような戦略でアルファの座を勝ち取ったかを明らかにしたい
複数個体の位置関係を記録
グルーミングなどの社会行動の記録
2009年11月14日-15日 SAGA12 hirosawa@pri.kyoto-u.ac.jp