半世紀の技術と技能の蓄積を生かした 塩浴によるハイス鋼大型製品の熱処理工法の開発 泉 秀雄 氏 安河内 秀樹 氏 【受賞者】 窪寺 充至 氏(代表) 【所属企業】 株式会社上島熱処理工業所 文珠川 拓実 氏 坂田 玲璽 氏 長い技能蓄積に裏打ちされた高度な塩浴熱処理方法を確立 金属加工用の圧延ロールや紙おむつなどの切断用カッター <ダイカットロールの塩浴熱処理> には、高い耐摩耗性などが求められるため、はがね(ハイス 鋼)をそのまま加工するのではなく、金属組織を改善して硬 さを増すための熱処理が施されます。高品質の熱処理を施 すためには、ソルトと呼ばれる無機化合物を高温に熱して液 体状態にした中へ浸漬する塩浴熱処理が優れていますが、 排水処理の問題などからあまり行われなくなりつつあります。 窪寺さん達は、長い技能蓄積に裏打ちされた高度な塩浴熱 処理の方法を確立することに成功しています。加熱ムラや 冷却ムラが発生しやすいため、難易度が高いとされる大型 製品の塩浴熱処理についても、独自の方法を確立すること で難なく塩浴熱処理を施しています。 塩浴熱処理という古くから行われている熱処理技術をさらに 究めることで、現在は特に営業マンを置かずとも全国各地か ら常に一定量の依頼を受けるようになっています。 <塩浴熱処理前のダイカットロール> 製品の大きさにとらわれない高精度な均一冷却技術を確立 ポイント! 大型製品の冷却に際しては、従来の焼入油による冷却ではなく、塩の融解熱を利用した冷却とすることで(油よりも 熱量の吸収が大きいことに着目)、小型の熱処理炉であっても大型製品の塩浴熱処理を均一に行うことができるよ うになっています。 冷却時に表面部と芯部とで温度差(冷却ムラ)が発生しやすい大型製品であっても、半世紀にわたる経験を踏まえ た温度管理ノウハウにより、高精度の温度管理を実現させています。 <表面と芯部の温度差が小さい処理方法を確立> <難易度の高い大型製品への塩浴熱処理> ■本受賞案件に関するお問い合わせは・・・ 株式会社上島熱処理工業所(〒146-0081 東京都大田区仲池上2丁目23番13号) 技術部 坂田 玲璽 TEL:03-3753-7788 FAX:03-3751-5684 E-mail: r_sakata@kamijima.co.jp
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