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MAD 2011
見るから考える、そして自分のものにする。
現代アートの奥深さにもっと近づきます。
MAD とは
MAD(Making Art Different =アートを変えよう、違った角度で見てみよう)は、NPO 法人アーツイニシアティヴトウキョウ
[AIT/エイト]が 2001 年に開講した現代アートの教育プログラムです。キュレーターやギャラリスト、アーティストなどの
専門家を迎え、グローバル化した社会においてさまざまに生み出される現代アートの作品やプロジェクト、展覧会、
現象、議論などを、美術史はもとより、哲学思想や社会学など現代のアートに関連する学問領域を参照しながら、より
多角的に、深く、体系的に捉えて考察します。初めて現代アートに触れる人から専門的に学びたい人まで、さまざまな
知的好奇心に応えるプログラムです。
11 年目を迎える MAD は、興味のあるレクチャーを自由に選んで受講できるようになりました。2011 年 5 月から 2012
年 3 月までの 1 年をとおして、全 9 つのカテゴリ、111 のレクチャーを開講。目的や関心に合わせて自由にレクチャーを
選びながら、自分のスタイルで現代アートにアプローチすることができます。 5 コマ、10 コマ、25 コマ、50 コマ、75 コマ、
そして 111 コマまで、クーポンを購入することで実現できる現代アートの新しい学び。みなさんに合った学びをとおして、
今まで知らなかったアートがきっと見えてくるでしょう。レクチャーは、すべて AIT ルーム(代官山)で行われます。
目次
ページ
・MAD2011 ガイド
2
・キュレーティング:
レクチャー数 15
4
・ベーシック:
レクチャー数 15
6
・アート/ノン・アート:
レクチャー数 18
8
・ワークショップ:
レクチャー数 14
11
・アーティスト:
レクチャー数 8
13
・インダストリー:
レクチャー数 18
14
・アートナッツ:
レクチャー数 12
17
・ピクニック:
レクチャー数 6
18
・フォーラム:
レクチャー数 6
19
・MAD2011 ゲスト・レクチャラー/プログラムディレクター
20
・スタッフ -MAD2011 の運営スタッフを紹介-
21
・修了生の声
22
-MAD を修了した学生・社会人の今を紹介-
1 MAD2011 ガイド
初めて現代アートを学ぶ方でも安心の MAD2011 の受講方法をご案内します!
① 全 9 つ の レクチ ャー ・カテゴリか ら、興 味 の あ るレクチ ャー を 探 します 。
レクチャー・カテゴリは、現代アートの理論から展覧会づくりの知識まで、目的に合わせて学ぶためのヒントとなります。興味のある
レクチャーを、自由に組み合わせて受講することができます。
【カテゴリ一覧】
○ キュレーティング
― 展覧会を企画するために ―
○ ベーシック
― 現代アートの基礎を学ぶ ―
○ アート/ノン・アート
― アートを外側から考える ―
○ ワークショップ
― カラダでアートを考える ―
○ アーティスト
― 自立したアーティストを目指す ―
○ インダストリー
― アートを仕事にするために ―
○ アート・ナッツ
― 世界の「いま」をつまみ食い ―
○ ピクニック
―現場で語り合う ―
○ フォーラム
―プレゼンテーション力を身につける ―
※レクチャーは定員 40 名で、予約制となっています。お申し込みいただいた月のレクチャーも、定員に空きがあれば受講していた
だけます。
② 全 6 種 類 の クー ポ ン か ら受 講 した い コマ 数 に 合 わ せ て 選 び 、申 し込 み ま す 。
学びたい数に合ったコマ数のクーポンを購入します。
クーポン名
価格
シュプレマティスト [111 コマすべて受講可] ¥294,000(税込)
フューチャリスト [75 コマまで受講可]
¥236,250(税込)
エクスプレッショニスト [50 コマまで受講可] ¥168,000(税込)
リアリスト [25 コマまで受講可]
¥89,250(税込)
インプレッショニスト [10 コマまで受講可]
¥37,800(税込)
ミニマリスト [5 コマまで受講可]
¥19,950(税込)
※クーポンの有効期間は、2012 年 3 月までです。
※111/75/50 コマのクーポンは、終了しました。
2 ③ お 申 し込 み 方 法 に つ い て
お申し込みは、随時受け付けています。ご希望の方は、下記のいずれかの方法を選択してください。なお、MAD2011 の開講期間
は、2012 年 3 月までとなっております。
・AIT ウェブサイトより、オンライン申し込みをする
・AIT ウェブサイトより、お申し込みフォーム(PDF)をダウンロード、FAX の送信にて申し込みをする
※受講資格は、特にありません。
※原則として、お申し込み完了後のキャンセル・返金は受け付けません。
④ どの レクチ ャー を受 講 す れ ば よい か 、わ か らな い 時 は ?
「おススメの受講方法」をウェブサイトにてご紹介していますので、ぜひご覧ください。目的や関心に合わせて、レクチャーの選び方
をご紹介しています。
⑤ MAD に つ い て もっと知 りた い 方 は ? MAD 相 談 会 へ !
MAD プログラム・ディレクターやスタッフが、新しくなった MAD のレクチャー・カテゴリを詳しくご説明し、皆さんからの受講に関する
具体的な質問や疑問にお答えします。レクチャー選びのヒントが欲しい、各レクチャーの内容についてもっと 詳しく知ってみたい、
という方を対象としています。
※日程については、お気軽にお問い合わせください。
⑥ 受講生特典について
○ 受講生を対象に、展覧会企画や調査に対して、助成金を交付します。※こちらは終了しました
○ 受講生になると、AIT が主催するトークやイベントに割引料金で参加できます。
(例)AIT ARTIST/SLIDE TALK 参加料:一般 1,000 円→MAD 受講生になると 200 円引きの 800 円に!)
3 キュレーティング -展覧会を企画するためにアーティストと一緒に展覧会を作りたいと考えている方に向けて、キュレーティングの歴史や実践を支える理論につい
て、具体例をとおして考えます。 (開講レクチャー数:15)
○○ キュレーティングとは? ※無料体験レクチャーです。
○ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):4 月 20 日(水)19:00-21:00
キュレーティングは、「作品」を単に並べることではなさそうです。15 世紀から 16 世紀の大航海時代に見られるようになった「好奇
心のキャビネット」から、18 世紀末のルーヴル美術館誕生、そして 19 世紀中ごろに原型が作られた国際展などに触れながら、世
紀を越えてさまざまに試みられるキュレーティングについての理解を深めます。
○○ 展覧会をとおして考える 20 世紀の美術史
○ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):5 月 11 日(水)19:00-21:00
テクノロジーの発達や政治に伴って、展覧会は時代を鮮明に映し出すメディアの役割も果たしてきました。1910 年代におけるダダ
などの活動、1970 年に MoMA で行われた「Information」展、1990 年代後半にヨーロッパを巡回した「Cities On The Move」展などの
重要な展覧会を取り上げながら、20 世紀のアートの進化を探ります。
○○ 1960 年代以降のキュレーティングの実践
○ロジャー・マクドナルド(AIT):5 月 25 日(水)19:00-21:00
美術が、絵画や彫刻だけではなく、さまざまな表現を取り込んで広がり始めた時代のキュレーティングを考えます。決まった形を持
たない作品や時間とともに変化し続ける作品など、それまでに見られなかった表現が出てくるなかで、ハラルド・ゼーマンやルーシ
ー・リパードなどのキュレーターはそのような状況にどう反応したのかを眺めます。
○○ 1990 年代以降の拡張するキュレーティング
○ロジャー・マクドナルド(AIT):6 月 8 日(水)19:00-21:00
ベルリンの壁崩壊によって東西冷戦の終わりとともに、資本主義の波が世界を飲み込んでいった 1980 年代後半以降キュレーティ
ングを考えます。文化や言語、人種、情報が交わるなかで、そうした状況にキュレーターはどのように反応したのでしょうか。「関係
性の美学」、「新組織主義」、「パフォーマティヴ」などキーワードを頼りに読み解きます。
○○ 2010 年代の美術館を考える
○光岡寿郎(早稲田大学演劇博物館 GCOE 研究助手):6 月 22 日(水)19:00-21:00
2000 年代、テート・モダン(ロンドン)やパレ・ド・トーキョー(パリ)などがオープンし、美術館やアートセンターは新たな姿を見せはじ
めました。その動きは、2010 年代に入ってどのように変化していくのでしょうか。美術館の歴史的成り立ちを再構成しながら、具体
例を参考に、来るべき美術館のあり方について受講者の皆さんとともに考えます。
○○ 社会空間の読み方とキュレーティング
○小澤慶介(AIT):7 月 6 日(水)19:00-21:00
美術館であれ、ストリートであれ、ウェブであれ、いずれにしてもキュレーティングには「空間」が伴うと考えられます。では、「空間」
とは一体どのようなものとして考えればいいでしょうか。フランスの哲学者アンリ・ルフェーヴルやミシェル・フーコーなどの考えをと
おして「空間」と、またそれとキュレーティングの関係性をさまざまに考察します。
○ アーティストがキュレーティングする
○ロジャー・マクドナルド(AIT):9 月 21 日(水)19:00-21:00
近年、キュレーティングがアーティストによって行われたり、キュレーターのプロジェクトがアート作品として展覧会に取り上げられる
のをよく目にします。リクリット・ティラバーニャやイェンス・ホフマン、ゴシュカ・マクーガなど、キュレーティングの概念を揺るがしな
がらもその可能性を追求する自由度の高い試みについて考えます。
4 ○○ 秘密と記号‐日常におけるキュレーティングの実践
○ロジャー・マクドナルド(AIT):10 月 5 日(水)19:00-21:00
美術館やアートギャラリーではなく、そうしたアートの場以外で行われるキュレーティングに意外性や創造性を見出すことは少なく
ありません。日常の何気ない空間で行われるもの、人数や時間限定で行われるもの、移動しながら見られるもの、そのさまざまな
例を紹介しながら、DIY 的なキュレーティングのあり方について考えます。
○ 新しい美術館の戦略とキュレーティングの変化
秋元雄史(金沢 21 世紀美術館 館長):10 月 19 日(水)19:00-21:00
2004 年の開館以来、来館者の数が増え続けている金沢 21 世紀美術館。近隣の人々にとってはアートに馴染みがなくとも気軽に
立ち寄れる場、また遠方のアートファンにとってはわざわざ出かけたくなる場として、ますます認知されています。そのようないきい
きとした美術館とキュレーティングの関係について館長自らが語ります。
○○ 地域創造とアートの関係性
○小澤慶介(AIT):11 月 9 日(水)19:00-21:00
国際展という言語や人種、宗教が混在する空間とキュレーティングの関係を考えます。レクチャラーがキュレーターを務めたシンガ
ポール・ビエンナーレ 2006 を例に、コンセプトの立て方やアーティストの調査、関係各機関との調整などから、国際展の政治力学
について考えます。
○○ 大地の芸術祭と地域の創造
○兼松芽永(一橋大学大学院社会学研究科 博士後期課程):12 月 7 日(水)19:00-21:00
1996 年から 4 年間の準備期間を経て、2000 年に生まれた「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。その後、3 回の芸術
祭や 10 年に渡る様々な取り組みを通じ、開催地域にはどのような変化や萌芽が見えてきたのでしょうか。現地調査からわかって
きたキュレーティングと地域のソーシャルネットワークの変化について迫ります。
○○ 横浜トリエンナーレと地域創造事業の可能性を考える
○逢坂恵理子(横浜美術館 館長):2012 年 1 月 25 日(水)19:00-21:00
今年 8 月に開幕する「横浜トリエンナーレ 2011」は、主軸が横浜に移り、三つの柱として、作品を五感で「みる」、子どもや若手の人
材を「そだてる」、歴史と現在や市民同士等を「つなげる」を掲げています。時代や地域に応じたトリエンナーレの役割とその仕組
みについて、どのようにあるべきか、そして、ありうるかを考えます。
○○ 多義化する国際展
○ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):2012 年 2 月 8 日(水)19:00-21:00
「国際展」という言語や人種、宗教が混在する空間とキュレーティングの関係を考えます。レクチャラーがキュレーターを務めたシン
ガポール・ビエンナーレ 2006 を例に、コンセプトの立て方やアーティストの調査、展示会場の選定、政府や地域組織との調整など
から、国際展の成り立ちについてその舞台裏を紹介し、多角的に考察します。
○○ アーカイヴとキュレーティングの現在
○住友文彦(AIT):2012 年 2 月 22 日(水)19:00-21:00
写真や文書、手紙、メモなどを保管しておくアーカイヴという手法や形式が、キュレーティングにおいて注目されています。オクウ
ィ・エンヴェゾーによる展覧会「アーカイヴ・フィーヴァー」やハル・フォスターのテキスト「アーカイヴへの衝動」などをとおして、その
政治性とキュレーティングにおける意義、さらにそこから生まれる知について考えます。
○○ 知の生産と展覧会
○ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):2012 年 3 月 7 日(水)19:00-21:00
何を目的に、誰が、何を、誰に対して、どのように提示するのかという意味で、展覧会は政治的な装置といってもいいかもしれませ
ん。「知」とはどのようなものであったのかということを確認した上で、1990 年代以降の展覧会が生産する「知」が、言語や人種の混
ざり合いによる文化間の摩擦によってますます変化してきていることに目を向けます
5 ベーシック ‐現代アートの基礎を学ぶ‐
現代アート初心者の方にお勧め。19 世紀には絵画や彫刻のみだった芸術が、20 世紀に入って写真や映像、インスタ
レーションなどへと枠組みを広げながら変容していった軌跡を追います。
(開講レクチャー数:15)
○○ 彫刻の変容とモダニズム ※無料体験レクチャーです。
○ロジャー・マクドナルド(AIT):4 月 14 日(木)19:00-21:00
台座に設置され、自律的な作品としてあった近代の「彫刻」は、19 世紀には絵画と並んで芸術を代表する表現形式でした。しかし、
20 世紀に入ると、次第にそれが設置される空間との関係において考えられるようになります。近代社会の変化が「彫刻」に与えた
影響と彫刻の変容を、ブランクーシやジャコメッティなどの作品などから眺めます。
○○ 1820 年代のロマン主義から、1890 年代の印象派までの絵画史
保坂健二朗(東京国立近代美術館 研究員):5 月 19 日(木)19:00-21:00
現代アートはいつ始まったのかという素朴な問いを考えるために、その道のりを 19 世紀前半のロマン主義から考え始めます。フラ
ンス・ロマン主義のドラクロワ、写実主義のクールベ、印象派のルノワールたちは、どのように絵画に取り組んだのでしょうか。時と
ともに劇的に変化を遂げた絵画の運動に、現代アートの「種」を見つけ出してみます
○○ キュビスムから抽象へ向かう、20 世紀前半の絵画史
○保坂健二朗(東京国立近代美術館 研究員):6 月 2 日(木)19:00-21:00
1907 年にピカソによって描かれた「アヴィニョンの娘たち」は、それ以降の絵画のあり方に大きな影響を与えました。マティスやカン
ディンスキーなどの作品も参照しながら、絵画が、人物や風景や静物などの具象画から、次第に描線と色面による幾何学的な抽
象画へと変化した動きを捉え、19 世紀に端を発する近代絵画史をまとめます。
○○ 「絵画の終わり」以降の絵画を考える
○ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):6 月 16 日(木)19:00-21:00
1970 年代以降の絵画の歴史について考えます。20 世紀後半、芸術表現は、テクノロジーの発達や産業の発展に伴って豊かにな
っていくとともに、絵画はよりその本質を際立たせたものに変容していきました。ゲルハルト・リヒターやマレーネ・デュマス、フェデリ
コ・エレーロなどの絵画を参照しながら、現代の絵画を読み解くカギを見つけ出します。
○○ もう一つの近代美術史―ジェンダーの視点から
○堀内奈穂子(AIT):7 月 14 日(木)19:00-21:00
1960 年代にアメリカやヨーロッパで起こったウーマン・リブ(女性解放運動)と、そこから派生したフェミニズム・アートにおける身体
表現を見てゆきます。それまでの男性中心的な社会に対して、アーティストはどのようなメッセージを発していたのでしょうか。オノ・
ヨーコなどの作品をとおして、時代と表現と「おんな」の関係を探ります。
○○ 写真術の到来と「見ること」の変化
○小澤慶介(AIT):10 月 13 日(木)19:00-21:00
1820 年代から 30 年代にかけて発明された写真術は、「瞬間」の描写力や複製技術であるというメディアの特性により、「世界」に対
する人々の認識を変化させました。基本的な写真の歴史や 20 世紀前半の思想家ヴァルター・ベンヤミンなどの考えをとおして、
「写真」が可能にした「世界」の姿とはどのようなものだったのかについて考えます。
○○ イメージの政治学と写真の可能性
○竹内万里子(写真批評家/京都造形芸術大学 准教授):10 月 24 日(月)19:00-21:00
デジタルテクノロジーの発達とともにイメージが氾濫するようになった今日、写真を見る/見せるという行為はどのような意味や力
学を孕み得るのでしょうか。写真というメディウムの特質に着目しながら、ヴォルフガング・ティルマンズなど同時代の写真家たちに
よる活動を通して、その可能性と限界について考えてみたいと思います。
6 ○○ インスタレーションと身体性の拡張
○ロジャー・マクドナルド(AIT):11 月 17 日(木)19:00-21:00
空間芸術ともいわれるインスタレーションは、場や空間の来歴や性質など、社会・地理学と深い関係にあります。空間の見え方や
読み方を変え、また鑑賞者の身体性にも影響を与える装置的な作品形式について、1960 年代のロバートモリスなどのミニマル・ア
ートから眺め始め、リチャード・セラなど屋外で発表された作品も紹介します。
○○ 映像の誕生から見る 20 世紀
○小澤慶介(AIT):12 月 1 日(木)19:00-21:00
1890 年代にフランスのリュミエール兄弟によって発明された映画や 1930 年代にドイツで初めてライブ中継が行われたテレビ、さら
に 1960 年代にナム・ジュン・パイクなどによるビデオアートにみる映像の歴史を考えます。映画もテレビも産業と密接に関係しなが
ら発展しましたが、ビデオアートはどのような歩みをたどったのでしょうか。
○○ 1990 年代以降の映像作品と視覚文化
○小澤慶介(AIT):12 月 15 日(木)19:00-21:00
映像を目にしない日はないほど、現代の社会は映像に溢れています。誰がどのような目的で映像は作られ、配信されているのか、
またそれがどのような影響を私たち与えているのか。フランスの社会学者ジャン・ボードリヤールやイタリアの政治哲学者ジョルジ
ョ・アガンベンの考えを頼りに、現代の映像文化と現代アートの関係性を考えます。
○○ パフォーマンスと制度空間の関係性
○ロジャー・マクドナルド(AIT):2012 年 1 月 19 日(木)19:00-21:00
2010 年にはニューヨーク MoMA でマリーナ・アブラモヴィッチの回顧展が行われ、再び熱い視線を浴びているパフォーマンス。1910
年代のダダやシュルレアリスムから 1960 年代のギルバート&ジョージ、そして現代のティノ・セーガルへ。アートマーケットへの批
判や形を持たない作品の追求などをキーワードに、パフォーマンスに踏み込みます。
○○ 作品とは何か?―関係性の美学から考える
○辻憲行(フリーランス・キュレーター/翻訳家):2012 年 2 月 2 日(木)19:00-21:00
「関係性の美学」は作品を形や素材に還元してみるのではなく、周囲のいろいろな文脈との関係の網の目の上で成立するものと
考える見方です。このような考え方では、作品は一人の作家の個性や、卓越した造形的クオリティとして定義することはできなくな
ります。それならば、そこで作品はどのように定義されるのでしょうか。社交性が芸術性に取って代わる時、作品とはどのような姿
を見せるのでしょう。
○○ 関係性の美学と政治的なもの
○ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT):2012 年 2 月 16 日(木)19:00-21:00
人々の「つながり」を目に見える形にする参加型の作品。しかし、「つながる」仕組みによっては、思いもかけない人々の関係性が
浮き彫りになることがあります。ニコラ・ブリオーの「関係性の美学」を批判的に読んだ美術批評家クレア・ビショップの考えやサン
ティアゴ・シエラの作品などを頼りに、参加型の作品の奥行きを考えます。
○○ 女性、同性愛者の声と現代アート
○堀内奈穂子(AIT):2012 年 3 月 1 日(木)19:00-21:00
1990 年代以降、私たちと同時代に生きるアーティストの作品や活動から見えてくる「ジェンダー」、またそれを超えてゆく表現につい
て考えます。ジュディス・バトラーの「ジェンダー・トラブル」における考えを参照しながら、海外および日本のアート作品に見る一義
的ではないジェンダーの捉え方、関わり方を紹介します。
○○ 公共性とアートの実践
○毛利嘉孝(東京藝術大学 准教授):2012 年 3 月 15 日(木)19:00-21:00
「小さな政府」を目指した民営化推進政策により、公立美術館においても指定管理者制度などの導入により運営の形が変化する
とともに、「公共性」の意味や価値が変容してきています。経済的な価値が先行する現代の社会構造において、アートはどのような
ものとして捉えられるのでしょうか。「公共性」とアートの関係に深く踏み込みます。
7 アート/ノン・アート -アートの外からアートを考える-
アートに関係する表現や思想を学びます。文化や言語、人種、技術が混ざり合う複雑な世の中において、さまざまな姿
を見せる現代アートを深く読み解きます。 (開講レクチャー数:18)
○ アートとデザインの関係性を巡るいくつかの視点 ※無料体験レクチャーです。
ロジャー・マクドナルド(AIT):4 月 27 日(水)19:00-21:00
1900 年に、オーストリアのウィーンで生まれたアールヌーボーを出発点とし、20 世紀のアートとデザインの関係を眺めます。アヴァ
ンギャルド運動におけるグラフィック、家具、インテリア、ファッションデザインがいかに深く関わっていたかに触れつつ、アンディー・
ウォーホール、フランツ・ヴェストや村上隆まで、現在のアートに続く軌跡を考えます
○ ダンスフロアにアートの力を
ロジャー・マクドナルド(AIT):5 月 12 日(木)19:00-21:00
アートはエネルギー!美術館は、作品の収集保存をとおしてアートを固めていると考えられる一方で、1960 年代のコンセプチュア
ルアートやパフォーマンスアートは、生きているエネルギーとしてアートを捉えました。踊りやイベントがどうアートとして考えられる
のか?ジョン・ケージとマース・カニングハムのコラボレーションからディスコの誕生、その先の関係性の美学までを考えます。
○ 舞台芸術からアートを考える
住友文彦(AIT):5 月 17 日(火)19:00-21:00
視覚表現であるアートが身体に近年着目する傾向があったのはなぜでしょうか?それは欧米中心のモダニズムの見直しと深い関
わりがある以上、アジア地域に住む私たちと無縁ではないはずです。それに加え、インターネットの社会への浸透によって参加者
が表現行為に参加する作品が増えたり、デジタル技術が領域横断的なコラボレーションを可能にしていることも重要です。
○ アウトサイダー・アートを始まりから見る
ロジャー・マクドナルド(AIT):6 月 9 日(木)19:00-21:00
「アール・ブリュット」(仏)、「セルフ・トート・アート」(米)、「アウトサイダー・アート」(英)と呼ばれている芸術表現は、いつ、どこから
アートの文脈で語られるようになったのでしょうか。20 世紀美術史の重要な部分を担ってきたアウトサイダー・アートの定義と表現
について、その名付け親のもとで学んだロジャー・マクドナルドと共に考えます。
○ もう一つの近代絵画史―ロバート・ローゼンブラムの眼
ロジャー・マクドナルド(AIT):6 月 15 日(水)19:00-21:00
今日、近代絵画史は、今までに考えられてこなかったり見過ごされていた傾向や観点によって、幾通りにも考えられます。美術史
家であるローゼンブラムが 1970 年代の著作をとおして、特に抽象絵画―モンドリアン、カンディンスキー、ロスコなど―の背後にあ
る精神世界や神秘主義にたいする憧れを軸に、もう一つの絵画史を眺めます
○ 建築・サービス・福祉から考えるアートの形
堀内奈穂子(AIT):7 月 7 日(木)19:00-21:00
既存の建築の意味や目的をズラすこと。あるいは、そうしたプロセスに関わりながら機能を組み替えていくこと。「参加」や「協働」な
どのアートのプロジェクトが生む新たなコミュニケーションのかたちや、それによって浮き彫りになる「場」の文脈を再認識することな
ど、川俣正の「アートレス」の姿勢を中心に考えます。
○ ユートピア思想と建築の挑戦
ロジャー・マクドナルド(AIT):9 月 28 日(水)19:00-21:00
「未来は明るい!」という叫びのもとで、近代の芸術は発展してきたと言えます。ユートピア思想がなぜアーティストにとって重要だ
ったのか?社会を批判し、コミューンを形成したりオルタナティブなライフスタイルを実践したアートの運動について、1910 年代のロ
シア・アヴァンギャルドを基点に眺め、こうした態度と現代のアートの関係性を考えます。
8 ○ 東京のゲニウス・ロキ(地霊)を読み解く
ヴィヴィアン佐藤(非建築家/美術家/ドラァグクイーン):10 月 22 日(土)12:30-14:30
土地の精霊を意味する「ゲニウス・ロキ」。「東京」の見慣れた光景を取り上げ、そこから引き出される霊感や、土地に結びついた
連想性などについて探ってゆきます。土地の歴史にまつわる話しも一つのお伽噺として捉えながら、現代の都市や建築を見つめ
直すと、場と皆さんの関わり方もまた変わってくるはずです。
○ 都市の文化人類学―東京の読解法
都築響一(編集者):10 月 29 日(土)15:30-17:30
近代都市は、アートにとって重要な舞台であり続けています。アヴァンギャルド運動から近年に至るまで、都市は人間の欲望、消
費者感情、そして社会の不安や危機感を映し出してきたといってもいいでしょう。都市のはずれで起こるオルタナティブあるいはサ
ブカルチャー的な場や現象をとおして、ふだんは見えない都市の意識に迫ります。
○ デジタル・テクノロジーによる身体の解放
モーリー・ロバートソン(ミュージシャン):11 月 10 日(木)19:00-21:00
デジタル化によって誰でも簡単にコンピューターで音楽が作れる今、このような状況はどのように私たちの身体に働きかけている
のでしょうか。音が持つ質や「グルーヴ」からコミュニティーの形成を考えます。ミュージシャンでラジオ DJ、ジャーナリスト、作家の
顔を持つレクチャラーとともに、サウンドカルチャーとアクティビズムについて考えます。
○ 状況主義者たちの都市―戯れ、転覆、漂流
ロジャー・マクドナルド(AIT):11 月 16 日(水)19:00-21:00
1950 年代後半、思想家で活動家のギー・ドゥボールを中心にパリで結成されたシチュアシオニスト・インターナショナル(SI)は、近
年現代アートの領域で再び議論されています。1968 年のパリ五月革命に影響を与えた SI の資本主義批判とその実践が、現代の
アートとどのように結びついているのでしょうか。具体的な作品をとおして考えます。
○ ネットカルチャーとつかの間のコミュニティー
辻憲行(フリーランス・キュレーター/翻訳家):11 月 29 日(火)19:00-21:00
2000 年代に入り、私たちが「作品」を体験する場所は美術館やギャラリーなどの公共的な空間を離れてどんどんプライベートな場
所に入り込んでいます。ネットを介してモニターで作品を体験することは、YouTube、ニコニコ動画や Pixiv を通じて日常的なものに
なりつつあり、2011 年にはネット上でのアートフェアも始まりました。その中でアートの形はどのように変わって行くのでしょうか。ど
のような共同体がアートと呼ばれているものを支えて行くのでしょうか?
○ 日本におけるアウトサイダー・アート
保坂健二朗(東京国立近代美術館 研究員):11 月 30 日(水)19:00-21:00
最近評判のアウトサイダー・アート。表現という行為が、福祉や精神病やその療法と結ばれたとき、どんな表現や場が生まれたの
でしょうか。アーティストや支援組織などのあり方をとおして、日本のアウトサイダー・アートを「アート」の視点から捉えたときに浮か
び上がってくる特徴を紹介します。
○ 新自由主義的な社会とアート的なもの
小澤慶介(AIT):2012 年 1 月 11 日(水)19:00-21:00
ジャック・ランシエールがアート雑誌の特集になるなど、近年のグローバルな現代アートの領域では、アートと政治性の関係が大き
な議論になっています。資本(お金)の蓄積を第一義とする現在の資本主義において、アートは人々や社会に対して何ができるの
か。政治哲学者であるシャンタル・ムフやランシエールの考えをとおして眺めます。
○ ポスト・コロニアリズムと表象文化
小澤慶介(AIT):2012 年 1 月 28 日(土)12:30-14:30
1950 年代に植民地主義は終わりを迎えましたが、元被植民地には政治的あるいは文化的な後遺症があるものです。欧米発のア
ートを受け入れつつも、自分たちの立場や言い分をアートをとおして伝える方法が、この 20 年間で増えた国際展を舞台にさまざま
に探られています。Documenta 11 や光州ビエンナーレなどをとおして考察します。
9 ○ 記憶の表象とスペクタクルの社会
小澤慶介(AIT):2012 年 1 月 31 日(火)19:00-21:00
一人ひとりが大切にしている記憶から国家の歴史や戦争のような集団の記憶に対して、アートはどのように関わってきたのでしょ
うか。また、1990 年代以降のグローバル化するネットワークメディアが生み出す「世界」の記憶に対して、アートは何ができるのでし
ょうか。具体的な作品や展覧会をとおして、記憶とアートの関係を考えます。
○ クレオールと不定形な世界
小澤慶介(AIT):2012 年 2 月 4 日(土)15:30-17:30
もともとカリブ海の島々における人種の交わりを意味したクレオール。16 世紀の大航海時代やそれに続く奴隷制にまで遡りながら、
血や言語の混交から浮かび上がる「世界」とその表現について考えます。海流のように絶えず留まることなく生まれ続ける文化は、
美術館に収蔵されるアートとは違ったアートの可能性を湛えているはずです。
○ 語りが文学になるとき―クレオールと文学の関係性
今福龍太(東京外国語大学大学院教授):2012 年 2 月 18 日(土)15:30-17:30
他者の言語を自分のものとし、それをとおして自らの体験や境遇を綴ってきたクレオールとその文学について考えます。舞台にな
るのは、カリブ海の島々。語りに魂が吹き込まれるのは、夜。アフリカ大陸から奴隷として新しい島々にやってきた人々の血や傷
跡から生まれるざわめき、そしてそこから私たちの世界の造りにも思いを巡らせます。
10 ワークショップ -頭だけではなく、カラダでアートを考える現代アートを実践してみたいという方は、身体を動かしたり、声を出したり、文章を読んだり書いたりしながら、カラダで
アートを考えるワークショップに参加しましょう。 (開講レクチャー数:14)
○ イメージを考える―第 8 回光州ビエンナーレ考Ⅰ
ロジャー・マクドナルド(AIT):5 月 18 日(水)19:00-21:00
「イメージ」という壮大なテーマで開催された 2010 年の第 8 回光州ビエンナーレ。キュレーターのマッシミリアーノ・ジオーニは、イメ
ージの価値、原点、儀式や宗教との関係、そして社会や政治との結びつきをさまざまな作品をとおして考えました。ジオーニが選
んださまざまなテキストを読み、アートとイメージの深い関係を考えます。
○○ イメージを考える―第 8 回光州ビエンナーレ考Ⅱ
○ロジャー・マクドナルド(AIT):6 月 1 日(水)19:00-21:00
「イメージ」という壮大なテーマで開催された 2010 年の第 8 回光州ビエンナーレ。キュレーターのマッシミリアーノ・ジオーニは、イメ
ージの価値、原点、儀式や宗教との関係、そして社会や政治との結びつきをさまざまな作品をとおして考えました。ジオーニが選
んださまざまなテキストを読み、アートとイメージの深い関係を考えます。
○○ ハラルド・ゼーマン「態度が形になるとき」展序文を読む
○沢山遼(美術批評):6 月 14 日(火)19:00-21:00
1969 年、スイスのクンストハレ・ベルンなどで開催された「態度が形になるとき」展は、ミニマリズム、ポップ・アート以降の新世代の
世界的な台頭を知らしめた、歴史的にも重要な展覧会です。今回は、ゼーマンの序文を読み、その時代の「形式」概念の変容を、
当時の情報メディア、展覧会カタログ、ゼーマンのキュレーションなどの分析を通して検証します。
○○ 展覧会批評の書き方 I
○小澤慶介(AIT):6 月 18 日(土)12:30-14:30
作品や展覧会を見るだけではなく、自分の言葉で書いて仲間と共有してみると自分の視点や見過ごしていた点に気づき、より理
解が深まります。現場で得る視覚的あるいは身体的経験、そして二次的に得るコンセプトなどの情報、さらに美術史やそれに関連
する学問領域の知識を合わせながら、作品や展覧会を読み解く力をつけます。
○○ ジョン・ケージ『実験的音楽』から、ラウシェンバーグを考える
○沢山遼(美術批評):6 月 28 日(火)19:00-21:00
音楽家のケージと美術家のロバート・ラウシェンバーグは 50 年代初頭から緊密な連帯関係を築きました。二人の間では、いくつも
のコラボレーションが試みられたのですが、このことは、メディアの差異を超えて思考の交換がなされということを示しています。で
は、その「思考」は美術にどのような変革をもたらしたのか。「実験」をキーワードに考えます。
○ 展覧会批評の書き方 Ⅱ
柳下朋子(日本経済新聞社)/小澤慶介(AIT):7 月 9 日(土)12:30-14:30
作品や展覧会を見るだけではなく、自分の言葉で書いて仲間と共有してみると自分の視点や見過ごしていた点に気づき、より理
解が深まります。現場で得る視覚的あるいは身体的経験、そして二次的に得るコンセプトなどの情報、さらに美術史やそれに関連
する学問領域の知識を合わせながら、作品や展覧会を読み解く力をつけます。
○ 身体で映像をキメるために
小泉明郎(美術家):7 月 16 日(土)15:30-17:30
映像は視覚的なものでもありますが、身体的なものでもあるというところから考えはじめます。どのようにアングルを決めどのよう
な動きや表情を作ると、映像は作品としての強さを増してゆくのでしょうか。身体を映像作品として成立させるための条件を、受講
生による試みをとおして実験的に探るスリリングなワークショップです。
11 ○ 声と身体の可能性とコミュニケーション
山川冬樹(ホーメイ歌手/美術家):10 月 8 日(土) 12:30-14:30
ホーメイ歌手であり、パフォーマンス・アーティストでもある山川氏と共に、言葉を発することなくコミュニケーションを図る方法を実
験的に探求します。「オヨヨー」と発声することで、川のせせらぎが聞こえてきたら、コミュニケーションの新たなレベルに入ったと思
っていいでしょう。声と身体の知られざる力から、意思や感情を伝える方法を試みます。
○ 日本における公共性を考える I
チェ キョンファ(フリーランス・キュレーター):10 月 15 日(土)12:30-14:30
現代日本社会において「公共性」とはどのように定義され、それは共同体や個のあり方とどのような関係を持つのでしょうか。そし
て、アートはどのような「公共性」を提案、構成、あるいは脱構築しうるのでしょうか。欧米における「公共性」の概念や、さまざまな
アート作品やアートプロジェクトを参照しつつ考えてゆきます。
○ 日本における公共性を考える Ⅱ
チェ キョンファ(フリーランス・キュレーター):10 月 29 日(土)12:30-14:30
現代日本社会において「公共性」とはどのように定義され、それは共同体や個のあり方とどのような関係を持つのでしょうか。そし
て、アートはどのような「公共性」を提案、構成、あるいは脱構築しうるのでしょうか。欧米における「公共性」の概念や、さまざまな
アート作品やアートプロジェクトを参照しつつ考えてゆきます。
○ ジョルジュ・バタイユ「不定形」を考える
小澤慶介(AIT):11 月 8 日(火)19:00-21:00
形をどうとらえていいのかわからないもの。例えば、唾のようなもの。絵画や彫刻などは、定まったフォーマット(形式)がある上で
追求される芸術表現ですが、そもそも定形がないものは無意味なものになってしまうのでしょうか。フランスの思想家ジョルジュ・バ
タイユの考えを頼りに、不定形なものから見えてくる芸術表現の裏表を考えます。
○ 展覧会批評の書き方 Ⅲ
小澤慶介(AIT):11 月 12 日(土)12:30-14:30
作品や展覧会を見るだけではなく、自分の言葉で書いて仲間と共有してみると自分の視点や見過ごしていた点に気づき、より理
解が深まります。現場で得る視覚的あるいは身体的経験、そして二次的に得るコンセプトなどの情報、さらに美術史やそれに関連
する学問領域の知識を合わせながら、作品や展覧会を読み解く力をつけます。
○ ジョルジュ・バタイユ「非・知」と現代アートについて
小澤慶介(AIT):11 月 22 日(火)19:00-21:00
私たちの社会を形づくる上で有効とみなされ、言語化され、伝達され、共有される「知」。一方で、そうした社会に不用で、言語化さ
れ得ないながらも共有されている知「非 - 知」に、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユの考えをとおして近づいてみます。知り得
ないものとは何か、そしてそれと現代アートとの関係はどのようなものかを考えます。
○ 展覧会批評の書き方 Ⅳ
柳下朋子(日本経済新聞社)/小澤慶介(AIT):11 月 26 日(土)12:30-14:30
作品や展覧会を見るだけではなく、自分の言葉で書いて仲間と共有してみると自分の視点や見過ごしていた点に気づき、より理
解が深まります。現場で得る視覚的あるいは身体的経験、そして二次的に得るコンセプトなどの情報、さらに美術史やそれに関連
する学問領域の知識を合わせながら、作品や展覧会を読み解く力をつけます。
12 アーティスト ‒より自立したアーティストを目指す‒
作品を制作している方向き。アート界の仕組みや作品が設置される空間に対する考え方など、幅広い知識や考え方を
プロのアーティストとキュレーターを交えて議論しながら身につけます。(開講レクチャー数:8)
○ アート界に参入するとは
森弘治(美術家)/小澤慶介(AIT):5 月 14 日(土)15:30-17:30
アメリカの分析哲学者、アーサー・C・ダントは、アンディー・ウォーホルのブリロ・ボックスがアート作品として認められたのはアート
界があったからと言います。それは、アート界なしでは、いかなる表現もアート作品として成立しないということを示しているといって
もいいでしょう。表現したものを作品にするさまざまな回路について議論します。
○ 素材と表現と目的の関係式を考える
森弘治(美術家)/小澤慶介(AIT):5 月 28 日(土)15:30-17:30
心の底から湧き出る表現への欲求に形を与えたり、実験と失敗を繰り返しながらこれまで気づかないでいた視点や切り口を見出
すことで、表現の可能性を膨らませることについて考えます。スタジオで一人考えているよりは、アーティストの仲間たちと話し合う
ことで、新たな作品へつながる突破口を見つけ出せるかもしれません。
○ 2000 年代の「アート」の語り方/語られ方
森弘治(美術家)/小澤慶介(AIT):6 月 25 日(土)15:30-17:30
「アート」になる絵画、「アート」になる写真、「アート」になるインスタレーションについて考えます。アーティストは、単なる表現者で
はなく、自分の表現がどのような関係を美術史や社会と結び、そこにどのような影響関係を生み出しているのか、ということがポイ
ントになりそうです。表現と「アート」の間にあるプラス α について、考えます。
○ 「アート」の種を見つけるワークショップ
森弘治(美術家)/小澤慶介(AIT):7 月 9 日(土)15:30-17:30
「アート」の前の、表現の前の、「アート」の種を探るワークショップを行います。架空の展覧会や状況をいくつか想定し、そこで「ア
ート」を成立させる方法について考えます。表現の精度を高めるか、表現に関係する人々を特定するか、あるいは表現の持続性を
追求するか、表現と場、それに関わる人々の関係性を踏まえて行う思考実験です。
○ 人と作品と空間の関係式について考える
森弘治(美術家)/小澤慶介(AIT):9 月 24 日(土)15:30-17:30
表現を、「空間」から考え直す試みです。同じ絵画でも、自室、ギャラリー、美術館、公共の場と、それを展示する空間によって違っ
た意味合いが生じてくることは想像できます。空間が、どのようなものとして作られ、機能し、影響を与えているのかということを考
えながら、具体例をとおして作品とは何かを人や空間との関係性において捉えます。
○ 「現代」を切り取るワークショップ
森弘治(美術家)/小澤慶介(AIT):10 月 8 日(土)15:30-17:30
「現代」という時代性と作品化のプロセスについて考えるワークショップです。「現代」とはどのような時代であるのかということをレ
クチャーで共有した上で、実際にまちに出て、それが視覚化されているところを集めてみます。現代の社会に潜んでいる意識の断
片を拾いながら、それを表現し、作品化するプロセスについて話し合います。
○ 「アート」を上手に使う技術
森弘治(美術家)/小澤慶介(AIT):10 月 22 日(土)15:30-17:30
ジョン・ケージの「4 分 33 秒」やイヴ・クラインの「Le Vide」展から、ティノ・セーガルの販売方法まで、アートの文脈を活かしながら表
現を作品にしている例は、数多く見られます。一見すると禁じ手のように見える表現も、「アート」の約束事が分かっている限りでは
作品になりうると言ったことに目を向け、そのための技術や考え方を磨きます。
○ アーティストとしての戦略を考える
森弘治(美術家)/小澤慶介(AIT):11 月 12 日(土)15:30-17:30
アーティストという職業を確認しながら、自分の表現行為を作品として社会へと接続する回路について考えます。コマーシャル・ギ
ャラリーでの展覧会や地域密着型の芸術祭への参加、仲間とともにオルタナティヴ・スペースの運営、会社の設立など、自分の考
えや作品が最も生きる活動をさまざまにシミュレーションします。
13 インダストリー -アートを仕事にするためにアート界の内側について知りたいと考える方に向けて、美術館やギャラリー、アーティスト・イン・レジデンス、ジャーナリ
ズム、文化政策などについて幅広く紹介します。 (開講レクチャー数:8)
○ アート界の仕組みと運動 ※無料体験レクチャーです。
小澤慶介(AIT):4月26日(火)19:00-21:00
アート界で働きたいと思っている人は、自分がこれからどのようなフィールドに入ってゆくのか知っておくことは大切。20 世紀の中ご
ろから形成されてきたアート界の基本的な構造を踏まえた上で、海外の事例と比較しながら、日本のアート界の未整備な部分や
それを展開させる可能性、さらにそこにあるまだ見ぬアートの形について考えます。
○ アート界で働き始めるために
永吉文子(SCAI THE BATHHOUSE)/吉崎和彦(東京都現代美術館 学芸員):5月14日(土)12:30-14:30
アー ト界で働きはじめるには、どうしたらいいのでしょうか。また、アーティストとコミュニケーションを図りながら作品制作のサポー
トをしたり展覧会を作る仕事には、特にどのようなスキルや要求されるのでしょうか。海外のアートフェアにも数多く出展しているギ
ャラリーで働く場合と大規模な展覧会を行う美術館の違いを踏まえながら迫ります。
○ 海外で作品制作を学ぶ
小泉明郎(美術家):5月28日(土)12:30-14:30
中途半端で自己満足的な作品だと、「面白くない!」と仲間やチューターに鋭く指摘されることが多い海外の美大では、アートの何
が学べるのでしょうか。自分の考えを形にする上で、どのように表現を強いものにしていくのか。アートに対する考え方の構築や表
現方法を探る実験など、海外で作品づくりを学ぶ醍醐味を紹介します。
○ アート・コレクティヴ(集団)でできるアートの形
井上文雄(CAMP)/長内綾子(SURVIVART):6月18日(土)15:30-17:30
美 術館や国際展などの確立された制度ではないところでも、仲間と活動することでできるアートがあります。知識や技術、想像力、
熱意、体力などが集まり、 エネルギーが渦巻いているような場、またそこから生まれてくる表現や議論。アートを自分の身に差し
迫ったものとて捉え、語り合ってゆく面白さについて考えます。
○ 海外でキュレーティングを学ぶ
堀内奈穂子(AIT):6月25日(土)12:30-14:30
1990 年代をとおして、特に欧米の大学で開設されたキュレーティングのコース。キュレーターの卵たちは何を学ぶのでしょうか。コ
ンセプトの立て方やアーティストへの働きかけなどエジンバラ大学での展覧会づくりのほか、修了後に関わった Documenta 12 マガ
ジンプロジェクトなど、具体例に触れながら、キュレーティングを学んで活かす楽しさについて語ります。
○ オルタナティヴ・スペースの実践
小澤慶介(AIT):7月12日(火)19:00-21:00
美術制度に寄り添うのではなく、表現の自由度や可能性を求めて「第三の道」を取るオルタナティヴ・スペースの姿勢。地域の生
活のリズムに合わせてゆるやかに 運営されるものから、公設民営型、またラボのように専門性を追求するものまで、さまざまな道
とともに、オルタナティヴだからこそ可能になるアートについて 話し合います。
○ プロジェクトの管理運営について
塩見有子(AIT):7月16日(土)12:30-14:30
展覧会やアートプロジェクトを作る上での資金調達や管理運営について、実例をもとに紹介します。アイデアを言葉や文字にして
周りに伝え、仲間を増やすと同時に実現の可能性を探る。そのプロセスで大切なのは、熱意をもって企画案を伝えていくことといっ
てもいいでしょう。自分で企画をやってみたい人に向けたレクチャーです。
14 ○ アーティストのアイデアを形にする組織
堀内奈穂子(AIT):9月24日(土)12:30-14:30
ギャ ラリーや美術館に限らず、制度的な限界にとらわれずにアーティストの考えを実現させる組織があります。例えば、アントニ
ー・ゴームリーによる巨大な彫刻作品「Angel of the North」(1998年−)を成立させるには何か必要なのでしょうか。英国のアートエ
ンジェルなどを取り上げながら、時間や空間などの制約を超えて実現されるアートへの取り組みを考えます。
○ 2010年代のアート・スペースとアート
堀内奈穂子(AIT):9月27日(火)19:00-21:00
国内のユニークな活動をしているアーティストを紹介しながら、新しい世代のアートを考えます。遠藤一郎や西尾美也、毛原大樹、
Artists Guildなどを取り上げ、物理的な空間を持たなくても(だからこそ)広がりの生まれる実践について考えます。アートをとおし
て人々へ働きかけ、創造的なエネルギーを生む方法に迫ります。
○ 日本の文化政策とアートの現況
吉本光宏(ニッセイ基礎研究所):10月11日(火)19:00-21:00
1980 年代以降の日本の文化政策を概観し、自民党政権時代に進められた国立美術館の独立行政法人化や地方自治体におけ
る美術館の指定管理者制度の導入とアートへの影響について解説します。あわせて、国内外の創造都市の取り組みや現政権に
おける新たな文化政策の方向性など、アートを取り巻く環境の変化と可能性について考察します。
○ グローバリズムと美術館の戦略
南條史生(森美術館館長):10月25日(火)19:00-21:00
1997 年に開館したビルバオ・グッゲンハイム美術館は、後にビルバオ効果と呼ばれる現象を生み出しました。現在、美術館は、
展示や教育プログラムのみならず、観光や建築、サービスなどさまざまな要素を取り込みながら変容しています。そのような状況
における森美術館の取り組みについて紹介するとともに、来るべき美術館像を探ります。
○ アートをより多くの人々に届ける方法
西山裕子(ナンジョウアンドアソシエイツ):2012年1月17日(火)19:00-21:00
作品や展覧会の価値をより多くの人々に伝える方法を考えます。アーティストのモノグラフや作品のポストカード、作品と生活雑貨
のコラボレーションから生まれるアートグッズがあると、一見難しそうにみえる現代アートがぐっと身近に感じられたりします。作品
と鑑賞者の回路をさまざまに考え、構築するマネジメントについて紹介します。
○ アーティスト・イン・レジデンスという仕組みの可能性
塩見有子(AIT):12月6日(火)19:00-21:00
アー ティストが見知らぬ地で一定の期間滞在することをサポートするアーティスト・イン・レジデンス事業。その目的は、作品のた
めの調査研究や制作、国際交流、 また地域住民との触れ合いなど、多岐にわたります。このような事業がアート界において果た
す役割を確認しながら、日本ではまだ行われていない部分について考えます。
○ ジャーナリズムとアートの語り方、伝え方
イーデン・コーキル(ジャパンタイムズ編集局学芸部長):2012年1月14日(土)12:30-14:30
アートに馴染みのない人をアート好きにするには?難しそうに見える現代アートをどのように読み解き、それにどのような言葉をつ
けて伝えればそれが現実的なものになるのでしょうか。森美術館の広報やジャパンタイムズ記者の仕事をとおして見えてきた、ジ
ャーナリズムによってアートファンの層を拡大する可能性について考えます。
○ コマーシャル・ギャラリーの仕事とグローバルなアート・マーケット
小山登美夫(小山登美夫ギャラリー代表):2012年1月30日(月)19:00-21:00
アーティストに出会って話し合い、作品の面白さを見極め、展覧会を企画したりアートフェアに参加したりしながらアーティストのマ
ーケットを作ってゆくコマーシャル・ギャラリーの仕事について紹介します。ギャラリーの展覧会からはなかなかうかがい知ることは
できない、ギャラリストの作品を見抜く力やプロデュース力に迫ります。
15 ○ アートの種を育てる仕事
ローゼン美沙子(MISAKO&ROSEN代表):2012年2月15日(水)19:00-21:00
アーティストやキュレーター、ライター、編集者などアートを伝える仕事はさまざまですが、そのなかでもなぜギャラリーなのでしょう
か。ダイヤの原石であるアーティストを見つけ、長い時間をかけて磨いてゆきながら、お互いが育ってゆく。そのような関係におい
て成立する展覧会や本の出版など、同時代のアートを生み出すプロセスを考えます。
○ 2010年代のアートフェアとアート・マーケット
金島隆弘(アートフェア東京エグゼクティブ・ディレクター):2012年3月3日(土)15:30-17:30
1990年代が国際展の時代とすれば、2000年代はアートフェアの時代といってもいいでしょう。アーティストやギャラリスト、キュレー
ター、美術批評家を受け入れながらグローバルなアート・マーケットを動かすアートフェアの次の10年について考えます。同時に、
領域を横断しながらさまざまな産業と連携するアートフェアの可能性も考えます。
○ アート・コレクターが提案する、アートを楽しむ4つの方法
吉野誠一(アート・コレクター):2012年3月8日(木)19:00-21:00
アートコレクションを作るとは、無目的に作品を買い漁るということではありません。作品の特長や可能性を見抜き、アートフェアや
ギャラリーで作品を購入し、コレクションを組み立て、時には公開する。このようなプロセスで、今書かれつつある美術史を支えて
いるアート・コレクターの、アーティストとの交遊やプロジェクトなどについて紹介します。
16 アートナッツ -世界のアートシーンの「いま」をつまみ食い世界のアート・シーンで何が起こっているかを知りたい方に。ゴシップから話題の議論まで、国内ではほとんど取り上げ
られない記事を、インターネットや海外のアート雑誌から紹介します。
(開講レクチャー数:12)
※レクチャーでは、「第54回ヴェネツィア・ビンナーレ」や「アート・バーゼル」やロンドンの「フリーズ」などのアート・フェアをはじめ、
2011年の世界の最新のアート情報を取り上げ、受講生と共に意見交換を行います。レクチャー当日に読む記事や資料は、講師が
レクチャールームにて配布します。下記にて開講日時をご確認下さい。
※ナビゲーターは、ロジャー・マクドナルド(AIT)、小澤慶介(AIT)が務めます。なお、6月23日(木)、11月24日(木)、2012年1月26
日(木)は、ゲストとして、アンドリュー・マークル(フリーランスライター/編集者)を招きます。
アンドリュー・マークル (フリーランスライター/編集者)
1981 年生まれ。元 Art Asia Pacific 誌副編集長。現在は ART iT インターナショナル版副編集長を務めるほか、海外の
アートマガジン「frieze」などにも寄稿している。日本を中心としたアジア現代アートイベント関連の記事を主に書いてい
る。
○ 第1回目:4月21日(木)19:00-21:00 ※無料体験レクチャーです。
ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT) /ゲスト:小泉明郎(美術家)
FriezeやArtForumなどの海外のアート情報リソースから、世界のアートシーンの最新ニュースを取り上げ、紹介します。また、この
日はアーティストの小泉明郎氏をゲストに招き、作品や表現についての話を聞きます。
※各回新鮮なニュースを取り上げるため、内容はレクチャー時に発表されます。
※今回のみ、リニューアル記念イベント「MAD Jam」の内容を一部取り込み、開催いたします。
○ 第2回目 5月26日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT)
○ 第3回目:6月23日(木) 19:00-21:00
ナビゲーター:アンドリュー・マークル (編集者) /ロジャー・マクドナルド (AIT)/小澤慶介 (AIT)
○ 第4回目:7月21日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT)
○ 第5回目:9月8日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT)
○ 第6回目:9月22日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT)
○ 第7回目:10月20日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT)
○ 第8回目:11月24日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:アンドリュー・マークル (編集者) /ロジャー・マクドナルド (AIT)/小澤慶介 (AIT)
○ 第9回目:12月8日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT)
○ 第10回目:2012年1月26日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:アンドリュー・マークル (編集者) /ロジャー・マクドナルド (AIT) /小澤慶介 (AIT)
○ 第11回目:2012年2月23日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT)
○ 第12回目:2012年3月22日(木)19:00-21:00
ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)/小澤慶介(AIT)
17 ピクニック ‒アートの現場でアートを語る−
普段は入ることができない特別な場で行われている展覧会に行ったり、キュレーターやアーティストの声を直接聞くこと
ができます。コース・ディレクターや仲間と、作品や展覧会のコンセプトなどについて話し合いたい方へ。
(開講レクチャー数:6)
※ピクニックでは、訪れる場所を開催1ヶ月前に発表します。開催日時については、以下をご確認下さい。
※ナビゲーターは、ロジャー・マクドナルド(AIT)、小澤慶介(AIT)が務めます。
※日程や会場などは、変更される場合があります。その場合は、事前に告知されます。
○ 第1回目:5月21日(土)
場所:森美術館「フレンチ・ウィンドウーデュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」展
ピクニック第一回は、20世紀のアートに最も影響を与えたと言われるマルセル・デュシャンに関連した展覧会からスタート!フラン
スで最も権威のある現代美術のコレクターで構成されている団体「ADIAF」が、2000年に設立した「マルセル・デュシャン賞」のグラ
ンプリ受賞作家と、デュシャン本人の作品で構成される展覧会を、担当キュレーターとともに巡ります。
○ 第2回目:7月30日(土)
場所:プライベート・ミュージアム
日本でも有数の現代アートのコレクターによる、個人美術館を訪問します。国内外の著名アーティストから、将来を期待される若手
のアーティストまでの作品を所蔵。美術館は、著名な日本人建築家が手がけ、建築的な完成度からも評価が高い美術館へ特別
見学する予定です(一般非公開)。
○ 第3回目:9月17日(土)
場所:ヨコハマトリエンナーレ2011
第四回目となるヨコハマトリエンナーレのコンセプトは、「世界をどこまで知ることができるか」。日常の不思議、超自然現象や神話
等に言及した作品に注目し、国内外50名のアーティストによる作品を横浜美術館とBankART Stduio NYKを主会場に展示される予
定です。キュレーターの解説を聞きながら、現在、注目されている一挙に眺めます。
○
第4回目:10月8日(土)
場所:日米アーティスト展「Ties Over Time」(一般非公開)/米国大使公邸
本展は、AITのロジャーがアドバイジング・キュレーターを務めました。参加アーティストは:杉本洋、森万里子、オノ・ヨーコ、ジャス
パー・ジョーンズ、クリスト&ジャンヌ=クロード、他。
○
第5回目:2012年2月25日(土)
場所:アートフェア「G|tokyo 2012」 (予定)
○
第6回目:2012年3月10日(土)
場所:東京都現代美術館企画展+バックヤード見学(予定)
18 フォーラム ‒自分の関心を発表し、仲間を作る
企画したキュレーティング案や、アーティストが自分の作品について発表することができます。自分の関心を他の受講
生と共有して、仲間をつくりましょう。
フォーラムでは、自分の関心を発表したい受講生を各回募集します。各回の開催
日程は、下記をご覧下さい。 (開講レクチャー数:6)
※ ナビゲーターは、ロジャー・マクドナルド(AIT)、小澤慶介(AIT)が務めます。
※ 日程は、変更される場合があります。その場合は、事前に告知されます。
○ 第1回目:社会の混乱とアートの関係を考える:Art and emergency
6月30日(木) 19:00-21:00
事故や災害、戦争と表現の関係について、いくつかの角度から眺めます。アートはもちろん、音楽や小説、映画などの表現形式か
ら、非常事態について自由に話し合います。
○ 第2回目:メディアが伝えるイメージを疑う:Thinking of representation of disaster
7月20日(水)19:00-21:00
実際に起こっていることと伝えられることの間には隔たりがあります。その隔たりはどのような回路によって生み出されるのか、ま
たそれがどのような現実性を表わすのかについて話し合います。
○ 第3回目:私たちの社会とアートの課題:Our society and art of living
7月23日(土)12:30-14:30
原子力発電所の事故によって、「人間」が「世界」を支配できるという神話の不全さが露呈しているなか、アートはどのようなものと
してあり得るのかについて話し合います。
○ 第4回目:11月26日(土)15:30-17:30
○ 第5回目:12月14日(水)19:00-21:00(予定)
○ 第6回目:2012年2月9日(木)19:00-21:00(予定)
19 MAD 2011 ゲスト•レクチャラー(敬称略50音順)
○ 秋元 雄史 (金沢 21 世紀美術館館長)
○ 井上 文雄 (CAMP)
○ 今福 龍太 (東京外国語大学大学院教授)
○ 逢坂 恵理子 (横浜美術館館長)
○ 長内 綾子 (Survivart 共同設立者/コーディネーター)
○ 金島 隆弘 (アートフェア東京エグゼクティブ・ディレクター)
○ 兼松 芽永 (一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)
○ 小泉 明郎 (美術家)
○ イーデン・コーキル (ジャパンタイムズ編集局学芸部長)
○ 小山 登美夫 (小山登美夫ギャラリー代表)
○ ヴィヴィアン佐藤 (非建築家/美術家/ドラァグクイーン)
○ 沢山 遼 (美術批評)
○ 塩見 有子 (AIT)
○ 住友 文彦 (AIT)
○ 竹内 万里子 (写真批評家/京都造形芸術大学准教授)
○ 崔 敬華 (フリーランス・キュレーター)
○ 辻 憲行 (芸術係数)
○ 都築 響一 (編集者)
○ 永吉 文子 (SCAI THE BATHHOUSE)
○ 南條 史生 (森美術館館長)
○ 西山 裕子 (ナンジョウアンドアソシエイツ)
○ 保坂 健二朗 (東京国立近代美術館研究員)
○ 堀内 奈穂子 (AIT)
○ アンドリュー・マークル (アート・ライター/編集者)
○ 光岡 寿郎 (早稲田大学演劇博物館研究助手)
○ 毛利 嘉孝 (東京藝術大学准教授)
○ 森 弘治 (美術家)
○ 柳下 朋子 (日本経済新聞社)
○ 山川 冬樹 (ホーメイ歌手/美術家)
○ 吉崎 和彦 (東京都現代美術館学芸員)
○ 吉野 誠一 (アート・コレクター)
○ 吉本 光宏 (ニッセイ基礎研究所)
○ ローゼン 美沙子 (MISAKO & ROSEN オーナー・ディレクター)
○ モーリー・ロバートソン (ミュージシャン)
MAD プログラム・ディレクターはこんな人たち!
○ ロジャー・マクドナルド(AIT)
1971 年生まれ。ケント大学にて宗教学修士課程修了後、美術理論にて博士号を取得。MAD では多数のレクチャーを
担当。2006 年の第 1 回「シンガポール・ビエンナーレ」キュレーター。女子美術大学、明治大学非常勤講師。
○ 小澤 慶介(AIT)
1971 年生まれ。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジにて現代美術理論修士課程修了。MAD ではカリキュラム編成をしながらレク
チャーも行う。アートフェア東京アソシエイト・ディレクター、女子美術大学非常勤講師。
20 スタッフ
○ 塩見 有子 【AIT 理事長】
学習院大学法学部政治学科卒業後、イギリスのサザビーズインスティテュートオブアーツにて現代美術ディプロマコースを修了。帰国後、ナンジ
ョウアンドアソシエイツにて国内外の展覧会やアート・プロジェクトのコーディネート、コーポレートアートのコンサルタント、マネジメントを担当。
2002年、仲間と共に NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]を立ち上げ、代表に就任。AITでは、レジデンスやMADをはじめとする
AITの活動全体の 企画やマネジメント、組織運営を行う。また、芸術文化に関わる基盤作りやアーティスト支援に取り組む。AITが企画協力をす
るマネックス証券株式会社主催 の「ART IN THE OFFICE」プログラム審査委員。
○ ロジャー・マクドナルド 【AIT 副理事長/MADコース・ディレクター】
1971年生まれ。イギリスのケント大学にて宗教学修士課程修了後、美術理論にて博士号を取得。1998年より、インディペンデント・キュレーターと
し て、国内外で数々の小規模な展覧会を企画。2006年の第1回「シンガポール・ビエンナーレ2006」では、キュレーターとして活動。興味の対象
は幅広く、キュレーティングの歴史、特権的なアートスペース以外で行われるインディペンデントなキュレーティングの可能性の研究のほか、キュ
レーティングと社会 政治研究のための個人的なアーカイヴ作りに取り組む。2004年よりウェブログ「タクティカル・ミュージアム(The Tactical
Museum)」を主宰。http://www.rogermc.blogs.com/tactical/ アートスケープ・インターナショナルに展覧会評を執筆中。武蔵野美術大学非常勤
講師、女子美術大学非常勤講師。
○ 小澤 慶介 【MADコース・ディレクター】
1971年生まれ。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジにて美術史の修士号を取得。これまでに、世界化する社会における「記憶」や「空間」、「身
体」などの問題にアプローチしたビデオアートのグループ展「paradise views 楽園の果て」(東京国際フォーラム/2004)、「dreaming bodies 夢
みる身体」(アサヒ・アートスクエア/2005)などを企画。AITにおいては、MADのカリキュラム編成を行うほか、時間限定で開館する実験的な美術
館プロジェクト「16時間美術館」(ヒルサイドテラス、AIT、スーパーデラックスほか/2007)や「おきなわ時間美術館」(那覇市栄町 市場古民家ほ
か/2007)、またアートの実践をとおして環境を考える「環境・術」(ヒルサイドテラス/2008)などの企画・制作指揮を行う。アート フェア東京アソ
シエイト・ディレクター。慶應義塾大学非常勤講師、女子美術大学非常勤講師。
○ 住友 文彦 【MADレクチャラー】
1971年生まれ。キュレーター。韓国、中国、日本のアーティストが参加した「アウト・ザ・ウィンドウ」展(国際交流基金アジアセンター/2004)、戦
後の美術から最新の動向までの取り組みを取り上げた「Possible Futures:アート&テクノロジー過去と未来」展(ICC/2005)を企画。また、日本
の現代美術を紹介する展覧会として「美麗新世界」(中国/2007)などの企画にも関わる。2008年には「川俣正[通路]」展(東京都現代美術館)の
キュレーティングを手掛け、昨年はヨコハマ国際映像祭のディレクターに就任。リクリット・ティラヴァニャに関する「身体の贈与」(共著『表象のディ
スクール6 創造』、東京大学出版会、2000年)、「映像の中へ」(『21世紀の出会い?共鳴、ここ・から』、金沢21世紀美術館、淡交社、2004年)、
「複雑で便利な時代と見えなくなるアート」(共著『21世紀における芸術の役割』未来社、2006年)、「キュレーターになる」(共著、フィルムアート社、
2009年)などの論考がある。
○ 中森 康文 【MADアドバイザー】
米国ヒューストン美術館(The Museum of Fine Arts, Houston)写真部門キュレーター。同美術館における2010年企画展覧会には1960年以降のコ
ンセプチュアル・アートと写真の系譜を主題とした 「Ruptures and Continuities: Photography Made after 1960」と石元泰博と丹下健三による1960
年出版の共著「桂:日本建築の創造と伝統」に焦点を充てた「Katsura: Picturing Modernism in Japanese Architecture」がある。近現代写真及び
建築に関するものに加えて、著作権と写真との関係に関する著作多数。また、これまでにハーバード大学デザインスクール、ニューヨーク近代美
術館、コーネル大学などで講義を行う。米国ウィスコンシン大学ロースクール卒業 (ニューヨーク州弁護士)。2009年に、コーネル大学にて美術
史博士課程を修了する。(博士論文「Imagining Cities: Visions of Avant-Garde Architects and Artists in 1953 to 1970 Japan」)
○ 宮原 洋子 【MADサポート】
慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。1995-2002年、ナンジョウアンドアソシエイツにおいて、国際美術評論家連盟(AICA)日本
大会 事務局、「横浜トリエンナーレ2001」における120名余の制作ボランティアのコーディネート、新設美術館の基礎図書資料の整備、MADの立
ち上げ等に携わる。2002年、開館準備段階より森美術館に勤務。南條史生館長の秘書として現在に至る。
○ 堀内 奈穂子 【AIT スタッフ/MADレクチャラー】
2005年エジンバラ・カレッジ・オブ・アート現代美術論修士課程修了。「Reversible」(スコットランド国会議事堂/2007)のほか、宮永愛子の個展
「闇に届けた話」(スリーパー/2007)、ジャズバーを使った一夜限りの展覧会「Improvisualization」(The Jazz Bar/2007)など、エジンバラにて展
覧会を企画。また、ドクメンタ12マガジンズ・プロジェクト「メトロノーム11号 − 何をなすべきか? 東京」では、アシスタント・キュレーターを務めた。
AITでは「PLATFORM横浜セミナーAFTER HOURS」(東京藝術大学横浜キャンパス新港校舎/2008年)や「環境・術」(ヒルサイドテラス/2008
年)の企画補佐ほか、レクチャー・シリーズ 「Tokyo Art School」(ヒルサイドプラザ/2009)の管理運営を行う。
○ 岩崎 香 【AIT スタッフ】
国際基督教大学教養学部卒業(社会学/教育学専攻)。AITの教育プログラムMADの 2009年度修了生。証券会社に勤務する傍らArt Award
Tokyoや101 TokyoのボランティアやAITでのインターンを経験後、AIT常勤スタッフとなる。MAD、レジデンス・プログラム、現代アート公募プログラ
ム 「ART IN THE OFFICE」、およびその他AIT主催の展覧会やイベントの補佐を勤める。 趣味は自然に身を置くことと体を動かすことで、学生時
代は創作ダンスに熱中していたが、現在はアシュタンガ・ヨガにはまっている。
※掲載している情報は2011年3月現在のものです。
21 MAD 修了生の声
○ 「MADの授業で、型にはまらない様々なキュレーティングの事例に触れることで、漫然と環境に身を置くのではなく自ら仕事を
つくり出す努力をしたり、プロジェクトに取り組む際に新しい価値観を提示できるよう意識できるようになった。」
(20代/男性)
受講時:アルバイト/現在:アート・プロデューサー、財団法人東京都歴史文化財団東京文化発信プロジェクト室勤務
○ 「ギャラリースタッフとして、今の自分の立ち位置から何かクリエイティブにおもしろいことはできないか、という思いを持って仕
事を楽しむことができるのは、MADで培った「アートを通して社会と主体的に関わるというスタンス」と、さまざまなネットワークのお
かげだと思う」
(30代/女性) 受講時:アルバイト/現在:SCAI THE BATHHOUSE
○ 「授業では毎回、知的興奮で脳が発火しているかのようになった。私にとって何ものにもかえがたいのは、MADで学び、そこで
さまざまな人に出会ったことで、アートに対してポジティブな信念を持つことができるようになったことである。」
(30代/女性)
受講時:学生/現在:東京都現代美術館 学芸員
○ 「コンテンポラリーアートについて、先生と生徒という旧来の枠組みよりフラットな関係の中で、『学ぶ』というよりも『創り出してい
く』という姿勢を身につけることができた。仲間との出会いも多く生まれた。また、会社員のスケジュールにも合っていた。」
(30代/男性) 受講時:会社員/現在:TAB / NYAB共同設立者
○○ 「現代アートのみならずカルチュラル・スタディーズや現代思想、哲学にも興味を持つようになりました。
また、一昨年は大学で美術史を学ぶかたわら初めて展覧会 制作を行いました。今年からアート教育と社会貢献のプロジェクト立
ち上げのために大学の学術研究員として渡米しています。」
(50 代/女性) 受講時:ファンドマネージャー/現在:ハーバード大学
学術研究員(米国)
○○ 「異なる世代、職業の人々が集まってアートについて真剣に意見を交わす貴重な場でした。修了後も MAD を通じて知り合った
○仲間たちと勉強会を開いたり、アート・プロジェクトを行っています。それが可能なのも、多様な背景をもつ人間達が、アートへの
○強いモチベーションで結びつく場だったからと思います。」(20 代/男性) 受講時:無職/現在:東京都現代美術館 学芸員
○ 「アートについて 『何でもみてやろう精神』 で、このコースを受講しましたが、講義や講師、また一緒に受講した仲間も、いず
れも刺激的で貴重なものでした。また、これまであまり縁のなかった「哲学」に、MAD の講義をとおして興味を持ちました。」
(60 代/男性) 受講時:無職 1カ所の美術館でのボランティア・ガイドスタッフ/現在:無職 3 カ所の美術館でのボランティア・ガ
イドスタッフ
○ 「作品の方向性に確信がもてなかった時期に受講しました。MAD の良いところは、レクチャラーと受講生の相互対話で授業が
進むことです。現代アートをより客観視できたことで、作家としての立脚点をはっきりさせ、作品への理解や考えに厚みが増しまし
た。現在でも制作を続けているのは、そのお陰かと思っています。」 (40 代/男性) 受講時:アーティスト/現在:アーティスト
○ 「レクチャーも魅力の一つですが、何より、自分たちの手で展覧会やイベントをつくりあげることに面白さを感じました。実践に
移す作業は時に困難も伴いますが、それを超えた「現場」を作り出す歓びがあります。MAD での経験をとおして、次なる現場に向
き合えていることに感謝しています。」(20 代/女性) 受講時:派遣社員/現在:CREAM ヨコハマ国際映像祭 2009 アシスタント・
キュレーター
○ 「青森県から通うことはある種の賭けでしたが、学ぶ内容が新鮮で、苦ではなかった。倫理観、社会規範、コミュニケーションが
変化しているにも関わらず、自分の考えが固定化していたことに気づかされました。また、意見交換では新しい視座を発見でき、
作品や作家について思慮することが一段深くなりました。」(40 代/男性) 受講時:会社員/現在:青森県十和田市にて合同会社
を設立し起業
○ 「美術史とアートシーンの状況を学び、自身の作品がアート界の中でどこに位置しているのかを考え始めました。また、レクチャ
ラーや受講生との意見交換に刺激をうけ、さまざまな視点を持つことを学びました。MAD で培った柔らかい思考を持って、来年は
英国で自身の表現を実践してきます。」(20 代/女性) 受講時:会社員/現在:アーティスト
○ 「静岡市でスペースを運営していますが、アートへの実践的な知識を得るために受講。アートを具体的かつ多面的に学べまし
た。東京へ通うことは負担が少なくないのですが、その場でしか得られない貴重な時間でした。アートと人を繋ぐ「場」の重要性を
再認識し、現在の活動にフィードバックしています。」(40 代/男性)
受講時:オルタナティブスペース・スノドカフェ 主宰/現在:オルタナティブスペース・スノドカフェ主宰
MAD 受講生のデータ
学生/学生以外の比率:学生 30%、学生以外 70%
年齢層:19 才
82 才まで(20 代後半
30 代の方が最も多い)
22 MAD に関 するお問 い合 わ せ:
特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ [AIT/エイト]
〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町 30-8 ツインビル代官山 B-403
Tel: 03-5489-7277
Fax: 03-3780-0266
E-mail: office@a-i-t.net
23 URL: http://www.a-i-t.net