アフリカ地域産業所有権機関 - 外国産業財産権侵害対策等支援事業

作成日:2008年2月1日
アフリカ地域産業所有権機関
African Regional Industrial Property Organization
特許庁等所在地
P. O. Box 4228, Harare, Zimbabwe
11 Natal Road, Belgravia, Harare, Zimbabwe
電 話: 263 4 794054
F A X: 263 4 794072
E-mail:
info@aripo.wipo.net
aripo@harare.iafrica.com
ホームページ:www.aripo.wipo.net
アフリカ広域工業所有権機関(ARIPO)
African Regional Industrial Property Organization
1.背景:
1976 年 12 月に、ザンビア(Zambia)のルサカ(Lusaka)で外交会議が開かれ、英語使用国アフリ
カのための工業所有権機関の創設に関する協定が採択されました。この協定の主な目的は、
関係締約国及びアフリカ地域の工業所有権法とそれに関連する事項に関する調和及び発展
の促進を図ることでありました。
その後、1981 年 9 月にこの機関の本部がジンバブエ(Zimbabwe) のハラレ(Harare)に設立さ
れ、1985 年 12 月に機関の名称が ARIPO と改められました。
加盟国は次の通りです。
ボスワナ(Botswana)
ケニア(Kenya)
モザンピーク(Mozambique)
スーダン(Sudan)
ウガンダ(Uganda)
ガンビア(Gambia)
レソト(Lesotho)
ナミビア(Namibia)
スワジランド(Swaziland)
ザンビア(Zambia)
ガーナ(Ghana)
マラウイ(Malawi)
シェラレオネ(Sierra Leone)
タンザニア(Tanzania)
ジンバブエ(Zimbabwe)
APIRO の締約国は、PCT に加盟しておりますので、PCT 経由で特許を取得することが
できます。
ARIPO 出願の特徴:
EPC 出願と同様に ARIPO 出願により付与された特許権の効力は指定国で付与された特許権と
同様な効力を有します。
2. 出願に必要な書類:
ARIPO 出願は、締約国の特許庁又は ARIPO 事務局に出願することができます。
(1) 手続言語:
英語です。
(2) 願書:
出願人の名称・住所、発明者の氏名・住所、保護を求める国の指定、優先権主張の場合は
その情報等を記載します。
(3) 明細書、クレーム、要約及び必要な図面:
(4) 委任状:
出願日から2ヶ月以内に提出できます。
認証は不要です。
(5) 譲渡証 (Statement):
発明者が出願人でない場合に必要です。
(6) 優先権証明書:
優先権を主張する場合に必要です。
出願日から3ヶ月以内に提出できます。
(7) 優先権証明書翻訳文:
優先権証明書が英語でない場合、宣誓された英訳文(Sworn English Translation)の提出が
必要です。
出願日から6ヶ月以内に提出できます。
(8) 優先権譲渡証:
第一カ国の出願人名と ARIPO 出願の出願人名が異なる場合に、提出が必要です。
(9)ARIPO 広域段階移行:
① 時期:
優先日から31ヶ月以内に、ARIPO 事務局へ手続きを行う必要があります。
② 国際出願の明細書、クレーム、要約、図面の文言の英訳を提出する必要があります。
③ 指定国料金を優先日から31ヶ月以内に支払う必要があります。
3. 出願から特許まで:
(1) 上述しましたように、出願は ARIPO の事務局に直接することができますが、各締約国
の特許庁に提出することもできます。
締約国の特許庁に提出された出願書類は、書類が出願日を付与するための要件を満たす
か否かのチェックを行います。
その後、締約国の特許庁は出願証明書を出願人の代理人に送付し、出願書類をジンバブ
エのハラレにある ARIPO 事務局に送付します。
(2) ARIPO 事務局は、ます形式に関して審査を行います。形式の不備を発見した場合には、出
願人にその旨を通知し 2 ヶ月以内に補正すべき旨を命じます。この期間内に不備が是正さ
れなかった場合には出願は拒絶されます。
出願が方式的要件を満たしている場合には、ARIPO 特許庁は各指定国の特許庁にその旨
を通知します。
(3) 実体審査
ARIPO 事務局は新規性の調査を行いますが、外国の特許庁、例えば EPO に調査を委託
することもできるとされております。
①ARIPO 事務局の審査官が特許要件の審査の結果、期間を指定してその旨を出願人に通
知します。
この通知に対して出願人は、意見書又は補正書を提出することができます。
出願人が提出した補正書等によっても、依然として特許要件を満たしてしないと判断され
た場合、出願は拒絶されます。
出願人がこの拒絶に不服を有する場合には、その通知の日から2ヶ月以内に再審査を請
求することができます。
②この再審査の請求後、依然として拒絶理由が解消されていないと判断された場合、出願人
はその決定の日から3ヶ月以内に、不服を申立て(Appeal)をすることができます。
この審判の決定で審理は終了します。
③APIRO 事務局は、出願人に対して対応外国出願の審査結果情報の提出を要求することが
あります。
この場合、出願人は指定期間内に情報を提出しなければなりません。
④上記再審査請求後に、出願が拒絶された場合、出願人はその通知から 3 ヶ月以内に各指
定国における国内出願をして取り扱う旨を請求することができます。
⑤APIRO 事務局の審査の結果、特許付与すべき旨の判断した場合、事務局は出願人及び
出願人が指定した指定国に特許の旨を通知します。
この特許付与の決定に対して、出願人は特許付与の料金を納付しなければなりません。
特許を付与すべき旨の通知から 6 ヶ月経過後に特許料が納付された場合には、ARIPO 特
許庁は特許を付与します。
⑥登録後の異議申立て制度は、導入されておりません。
なお、EPC 出願が特許となった場合、原則として各指定国が特許明細書の翻訳文の提出を
要求している場合には、その翻訳文を所定に期間内に提出しなければなりませんが、
ARIPO 特許の場合にはそのような義務はありません。
4. 特許権の存続期間:
(1) 出願日から20年です。
(2) 出願維持年金は、出願日から2年度目に納付する必要があります。
5. 出願費用の一覧表: (単位:米国ドル。現地代理人費用は含まれません。)
(1)出願料金:
(2)指定国料金(1カ国当たり):
250−
75−
(3)調査料金:
250−
(4)特許付与料金:
300−
(5)年 金:
・初年度の年金
40−
・2年度の年金
60−
・3年度の年金
80−
・4年度の年金
100−
・5年度の年金
120−
・6年度の年金
140−
・7年度の年金
160−
・8年度の年金
180−
・9年度の年金
200−
・10年度の年金
220−
・11年度の年金
240−
・12年度の年金
260−
・13年度の年金
280−
・14年度の年金
300−
・15年度の年金
320−
[出願に際して留意すべき事項]
1. 出願の際:
アフリカ知的財産権機関(OAPI)による発明等の保護を求める場合と同様なことが言えます。
即ち、現地代理人の選定です。
我々日本国民にとって、アフリカ諸国に出願をすること自体経験が低く、そのために現地代理
人の情報を殆ど持っていないのが、現実かと思われます。
従って、このような場合にはアフリカ諸国の中でも、南アフリカは出願件数も他の諸国の中でも
比較的の多いと思われまので、信頼のできる南アフリカの代理人に出願手続きを一任してもら
うことが得策であると思われます。
この場合、現地代理人の手数料が多少割高になると思いますが、確実に権利取得を求め、出
願人側の手続き的な労力等を考えれば、安心して手続きを任せることが期待できます。
2. その他:
この ARIPO による発明等の保護を求める場合には、OAPI による場合と異なり、保護を求める
加盟国の国を指定する必要があり、特許になりますと指定した国での特許となります。
特許後の年金等の管理等の観点から見て、一括して管理できるよう特定の現地代理人に一任
することが得策であると思われます。
意匠登録制度(Industrial Designs)
1.概要:
特許と同様に ARIPO 出願により ARIPO 加盟国を指定することによりその指定国において、意
匠の保護を受けることができます。
尚、ARIPO の特許庁は、ジンバブエ(Zimbabwe)のハラレ(Harare)にあります。
ARIPO の加盟国は現在以下の通りです。
ボツワナ(Botswana)
ケニア(Kenya)
モザンピーク(Mozambique)
スーダン(Sudan)
ウガンダ(Uganda)
ガンビア(Gambia)
レソト(Lesotho)
ナミビア(Namibia)
スワジランド(Swaziland)
ザンビア(Zambia)
ガーナ(Ghana)
マラウイ(Malawi)
シェエラレオネ(Sierra Leone)
タンザニア(Tanzania)
ジンバブエ(Zimbabwe)
2. ARIPO 出願の特徴:
EPC 出願と同様に ARIPO 出願により付与された意匠権の効力は指定国で付与された権利と同
様な効力を有しますが、EPC 出願の場合には特許の保護だけが対象とされており、意匠は対象
とされていない点が相違します。
3. 出願に必要な書類:
(1) 手続言語:
英語です。
(2) 願 書:
出願人の名称・住所、創作者の氏名・住所、意匠の物品名、保護を求める指定国の国名、
優先権主張の情報等を記載します。
(3) 図 面:
(4) 委任状:
出願日から2ヶ月以内に提出できます。 認証は不要です。
(5) 譲渡証(Statement):
出願人が創作者と異なる場合に必要です。
(6) 優先権証明書:
優先権を主張する場合に必要です。
優先権証明書は出願日から3ヶ月以内に提出できます。
優先権証明書が英語でない場合、宣誓書を付けた英訳文が必要です。
この英訳文は、出願日から6ヶ月以内に提出できます。
(7) その他:
立体的形状の意匠も保護を求めることができます。
4.出願から登録まで:
(1)意匠登録の保護求める出願は、ジンバブエにあるハラレーの ARIPO 事務局、又は加盟国の
特許庁にすることができます。
加盟国の特許庁に提出された出願は、出願日を得るだけの最小要件を満たしているか否か
の簡単な審査を行います。
出願要件を満たした出願は、その書類が ARIPO 事務局に送達されます。
(2)出願は方式的要件のみ審査され、実体的要件については審査されません。
ARIPO 事務局に直接提出された出願書類は、形式的に出願書類が適式であるかを審査され
ます。出願書類に不備が発見された場合には、2 ヶ月以内に不備を是正すべく補正を命じら
れます。この補正命令に応答しなかった場合、出願は拒絶(Refuse)されます。
(3) 出願が拒絶された場合には、出願人は拒絶の日から 3 ヶ月以内にその出願を国内出願に変
更することを請求することができます。
(4) ARIPO 事務局は出願が全ての形式的要件を満たしていると判断した場合、各指定国に対し
て形式的要件を満たした意匠登録出願がされた旨の通知を行います。
この場合、出願人は指定期間内に登録料金を納付するよう要請されます。
(5) なお、上記の通知から 6 ヶ月以内に、各指定国において意匠登録が以下の理由によりその指
定国で効力を有さない旨を、ARIPO 事務局に通知をすることができます。
その理由とは、
例えば、当該意匠が新規性を有していなかった場合、指定国の国内法の要件に適合してい
なかった場合等です。
(6) 上記 6 ヶ月経過後、ARIPO 事務局は意匠を登録しその登録を公表します。
なお、この意匠の登録は、上記の指定国で効力を有さない旨の通知がされなかった指定国に
おいて効力を有します。
5. 意匠権の存続期間:
ARIPO 意匠権の存続期間は、出願日から10年とされております。
但し、指定国の国内法により、異なりますので留意する必要があります。
6. 意匠出願費用の一覧表:(通貨:米国ドルです。現地代理人手数料は含みません。)
(1) 出願料金:
50−
(2) 指定国料金(1カ国当たり):
10−
(3) 年 金:
・初年度
10−
・2年度
12−
・3年度
14−
・4年度
16−
商標登録出願制度(Trade Marks)
1. 概要:
バンジュール議定書(Banjul Protocol)、即ちアフリカ広域工業所有権機関(ARIPO)の範囲内
での標章の保護が、1993年11月にガンビアのバンジュールにおいて、ARIPO 管理委員会
(Administrative Council) で採択されました。
従いまして、バンジュール議定書に拘束される締約国において、商標登録出願で指定された
国で商標が保護されます。
しかしながら、情報によりますと、議定書に拘束される締約国の国内法が登録を認めるかどうか
は未整備なところもあり、最終的に登録を認めるのは指定国の特許庁といわれております。
このような状況にありますが、バンジュール議定書による商標登録出願の内容を説明します。
バンジュール議定書に拘束される締約国は次の通りです。
ボツワナ
(Botswana)
スワジランド
(Swaziland)
レソト
(Lesotho)
タンザニア
(Tanzania)
マラウイ
(Malawi)
ウガンダ
(Uganda)
ナミビア
(Namibia)
ジンバブエ
(Zimbabwe)
以上、8カ国です。
2.存続期間:
出願日から10年です。
その後、10年毎更新できます。
3. 出願に必要な書類:
1出願において複数の商品又は役務を指定することができます。
ニース国際分類を採用しております。
(1) 手続言語:
英語です。
(2) 願 書:
出願人の名称・住所、保護を求める商品又は役務 及びその区分、優先権主張の場合はそ
の情報等を記載します。
(3) 商標見本:
立体的形状の商標も可能です。
(4) 委任状:
出願日から2ヶ月以内に提出できます。
認証は不要です。
(5) 優先権証明書:
出願日から3ヶ月以内に提出できます。
優先権証明書が英語でない場合、英訳文を出願日から6ヶ月以内に提出する必要がありま
す。
(6) その他:
原則として、商標の現実の使用又は使用意思が必要で、出願の際には証拠書類等を提出し
なければならないとされております。
4. 出願から登録まで:
出願は、ARIPO 事務局又は締約国の特許庁にすることができます。
(1) 出願があると、ARIPO 事務局は方式的要件のみ審査します。
方式的要件を満たしていないと判断した場合、方式指令が発せられ、出願人はその指令
日から2ヶ月以内に応答する必要があります。
(2) 出願人が、上記期限内に応答しなかった場合、出願は拒絶されます。
その拒絶に不服を有する場合、その通知の日から2ヶ月以内に、再審査を請求することが
できます。
(3) 再審査の審理後、出願を拒絶する判断がされた場合には、その通知の日から3ヶ月以内に
審判請求をすることができます。
なお、出願が拒絶された場合、出願人は拒絶等の通知の日から3ヶ月以内に、出願を保護
を求める指定国の国内出願に変更を求めることができます。
(4) 出願の方式的要件を満たしていると判断した場合、その旨が出願人及び指定国に通知さ
れます。
この通知に対して、指定国の特許庁はその通知から12ヶ月以内に、国内法に基づいて出
願を審査することができます。
指定国の特許庁が出願を拒絶するとの判断をした場合、その旨が ARIPO 事務局に通知だ
れます。
(5) 上記、通知の日から12ヶ月以内に、指定国から出願を拒絶する旨の通知を受領しなかった
場合には、出願は公報に公告されます。
(6) 上記出願公告があった後、所定の期間内に登録料を納付することにより、出願は ARIPO の
商標原簿に登録され、公告された後に、商標権者には登録証が送付されます。
(7) 登録に対する異議申立ては、各指定国に対して行わなければなりません。
従いまして、異議申立ての審査は、各指定国の国内法に基づいて行われることになりま
す。
5. 更新登録出願:
(1) 願書: 出願人名、登録番号、区分、更新を望む指定国等を記載します。
(2) 委任状:
(3) 更新料金納付が必要です。
6. 登録商標の使用の要件:
登録商標の使用の要件又は不使用による登録の取消しの要件は、各指定国の国内法が適用
されます。
7. 商標保護の種類:
(1) 商品商標
(2) 役務商標
(3) 団体商標や防護商標は規定されておりません。
8. 出願費用の一覧表: (単位は、米国ドルです。)
(1) 商標登録出願:
150−
(2) 事後指定料金:
100−
(3) 登録料金:
150−
(4) 更新登録料金:
150−