K3 茶論 - 和歌山大学システム情報学センター

高等教育コンソーシアム信州における
大学間遠隔講義システムを活用した遠隔講義「K3 茶論」の実践
Practice of “K3 Salon” with Intercollegiate Distance Learning System
in the Consortium of Higher Education in Shinshu
森下
孟†,茅野 基‡,鈴木 彦文*,永井 一弥*,新村 正明**,矢部
Takeshi MORISHITA†, Kizuku CHINO‡, Hikofumi SUZUKI*,
Kazuya NAGAI*, Masaaki NIIMURA**, Masayuki YABE***
正之***
morisita@shinshu-u.ac.jp, chintan@shinshu-u.ac.jp, h-suzuki@shinshu-u.ac.jp,
kznagai@shinshu-u.ac.jp, niimura@shinshu-u.ac.jp, yabe@shinshu-u.ac.jp
†信州大学大学院総合工学系研究科
‡高等教育コンソーシアム信州
*信州大学総合情報センター
**信州大学 e-Learning センター
***信州大学全学教育機構
†Interdisciplinary Graduate School of Science and Technology, Shinshu University
‡The Consortium of Higher Education in Shinshu
* Shinshu University Integrated Intelligence Center
** Center for e-Learning, Shinshu University
*** School of General Education, Shinshu University
概要
本研究では,教職員自身が容易に遠隔講義を実施できるようにするため,大学間遠隔講義システムの設計・
構築と運用・支援体制の整備を行い,
「K3 茶論」を実践した.
「K3 茶論」受講者に対するアンケート調査結果
の分析を通して,映像や音声の不明瞭さをあまり感じさせることなく,HD 画質の映像及び高音質の音声を
利用して高い臨場感を持った遠隔講義を提供できたことが明らかになった.一方,「K3 茶論」受講者の講義
に対する満足度は低く,大学間交流を促進していくためには,機器やネットワークの整備とともに,学生が
興味関心の持てる講義内容を検討することが課題となった.
キーワード
大学間連携,遠隔講義,インターネット,大学コンソーシアム
1. はじめに
「高等教育コンソーシアム信州」は長野県内各地に点
在する 8 つの高等教育機関-信州大学,
長野県看護大学,
佐久大学,諏訪東京理科大学,清泉女学院大学,長野大
学,松本歯科大学,松本大学が連携した大学コンソーシ
アム(Consortium:協同体)である.本コンソーシアム
では,ICT(Information and Communication Technology)
部会,教育部会,学生部会,英語教育部会の 4 つの担当
部会を設置し,
「ネットワーク配信による授業(以下,遠
隔講義)の共同利用」を通した長野県内の高等教育の発
展を目指している[1].
ICT 部会では,平成 20 年度に整備された信州大学既設
遠隔講義システムをもとに,テレビ会議システムを活用
した大学間 ICT ネットワーク講義システム(以下,大学
間遠隔講義システム)の整備を進めてきた.しかし,遠
隔講義の実施に対して次のような問題点が指摘され,
「機
器操作の単純化」
「運用・支援体制の整備」
が求められた.
問題点1. 遠隔講義に対する教職員の不安や抵抗感
テレビ会議システムを活用した遠隔講義を行うために
は,準備にかかる労力や通信の両地点において機器を操
作するための人員[2][3](人的問題)と機器操作に関する
ある程度の習熟[4](技術的問題)が必要であり,遠隔講
義に対する不安や抵抗感を与えることが示唆されている.
そこで,教職員自身が容易に遠隔講義を実施できるよう
なシステムの構築,
運用・支援体制の整備が必要である.
問題点2. 遠隔講義システムの運用実績不足
信州大学既設遠隔講義システムは連合農学研究科の遠
隔講義システム[5]と同様に構成されているが,信州大学
で,遠隔講義の運用を円滑にするための情報や教育効果
を確認するための総合的なデータが集約されていない.
そこで,遠隔講義の本格実施に向けてどのような観点か
らシステム改善を行う必要があるか,遠隔講義中にはど
のような点に注意すべきであるかを把握するために試験
的な実践を行う必要がある.
そこで本研究では,上述の問題点を解決するために,
遠隔講義開始・終了操作のためのタッチパネルを導入し,
教職員自身が容易に遠隔講義を実施できるように大学間
遠隔講義システムを設計,構築した.そして,構築され
た大学間遠隔講義システムの試験的運用を通じて教職員
に対する運用・支援体制を整備するために,
「K3 茶論(ケ
イ・スリー・サロン)
」[6]と称した遠隔講義の実践活動
を定期的に行った.
この試験的運用を通じてシステム面,講義面を評価す
るため,
「K3 茶論」受講者に対するアンケート調査を行
った.本稿では,調査結果に基づき,タッチパネルの導
入と遠隔講義に対する運用・支援体制の整備により教職
員自身が容易に遠隔講義を実施できるようになったこと
を示すとともに,大学間遠隔講義システムの有用性をさ
らに高めるための課題を明らかにすることを目的とする.
2. 大学間遠隔講義システム
第 1 章で述べた「問題点 1.遠隔講義に対する教職員
の不安や抵抗感」
「問題点 2.遠隔講義システムの運用実
績不足」を解決するため,配信・受信会場にいる教職員
自身が容易に遠隔講義の配信・受信を開始・終了できる
ように大学間遠隔講義システムを構築し,
運用を試みた.
2.1. システムの概要
各大学には HD(High Definition)画質の映像・音声及
び講師のコンピュータ画像が,一般のインターネット光
回線などを利用して送受信可能なテレビ会議システムを
設置した.なお,HD とは高精細度のことであり,HD 画
質とは走査線(垂直ピクセル)数が 720pixel 以上で長辺
と短辺の比率を表すアスペクト比が 16:9 の映像を示す.
担当教職員が,比較的容易に他大学のテレビ会議シス
テムと複数同時接続し,大学間での遠隔講義や遠隔会議
に参加できるようにするため,信州大学既設 MCU
(Multi-point Control Unit:多地点接続装置)を利用した.
この MCU には Polycom 社製 RMX2000 を使用し,本コ
ンソーシアムの利用にあたって,接続可能ポート数を 80
ポートから 160 ポートに拡張した.また,トラブルによ
り遠隔講義に接続できなかった大学の受講者に対し,講
義の録画物を用いてケアするためのテレビ会議レコーダ
を信州大学内に設置した.このレコーダには Polycom 社
製 RSS2000 を使用した(図 1)
.
2.2. テレビ会議システムの構成
図 1 で示したように,各大学に設置されたテレビ会議
システムには,
「常設タイプ」と「可動タイプ」の 2 種類
のスタイルがあり,利用人数や用途に応じて使い分けら
れるようになっている.それぞれのタイプに関する詳細
は以下の通りである.
2.2.1. 常設タイプ
遠隔講義専用の教室に常設されるタイプあり,主に大
人数を収容できる教室に設置されている.
コーデック
(通
信データの送受信装置)には Polycom 社製 HDX9002 を
使用し,
ディスプレイには 50 型以上の大型プラズマテレ
ビ,HD 対応のプロジェクタ用スクリーンまたはガラス
スクリーンを組み合わせ,
計 2 面ないし 3 面設置した
(図
2)
.その出力制御には「Component/Composite/RGB Matrix
佐久大学
清泉女学院大学
常設
松本歯科大学
可動
常設
諏訪東京理科大学
可動
常設
可動
常設
可動
常設
可動
B Flets
100Mbps
専用線
1Gbps
SINET
200Mbps
Internet
松本大学
常設
可動
10Mbps
可動
常設
専用線
Polycom
RMX2000
長野県看護大学
常設
長野(教育)
SINET
1Gbps
県Network
広域Ethernet
100Mbps
1Gbps
Polycom
RSS2000
常設
長野大学
信州大学
松本
常設
上田
常設
南箕輪
長野(工学)
常設
図 1 大学間遠隔講義システムの概要
Switch」を用いている.また,図 2「System Control Unit」
はタッチパネルと連動し,大学間遠隔講義システムのコ
ントロールを行った.
2.2.2. 可動タイプ
2.3. タッチパネルの導入
遠隔講義専用教室に設置された図 2 のシステムは,遠
隔講義実施に際して最も多く利用されるシステムである
System Control
Unit
Component/
Composite/RGB
Matrix Switch
Polycom
HDX9002
Speaker
Projector 1
Projector 2
Projector 3
Display
インターネットに接続可能な研究室や小会議室等の少
人数教室に持ち出し,遠隔講義や遠隔会議を行うことが
できるタイプである.コーデックには SONY 社製
PCS-XG80 を使用し,ディスプレイには 26 型以上の液晶
テレビを 1 面設置した(図 3)
.コーデックとディスプレ
イは 1 台のキャスター付ラック上に固定されており,ラ
ックごと自由に移動させることができる.また,テレビ
会議システム関連機器間の配線は済まされており,電源
コードやネットワークケーブルを差し込むだけで,機器
的な接続準備が完了するようになっている.
なお,SONY 社製 PCS-XG80 については,担当講師の
コンピュータ画面も送受信できるようにするため,
「常設
タイプ」
「可動タイプ」ともに HD データソリューション
ソフトウェア PCSA-DSG80 がインストールされている.
Network
Echo Canceller
Speaker
AMP
Wireless LAN AP
Touch
Panel
図 2 常設タイプの遠隔講義システム
Network
SONY
PCS-XG80
Display
図 3 可動タイプの遠隔講義システム
が,その構成は複雑であり,担当教職員が誰でも簡便に
操作できるものではない.そこで,教職員自身が容易に
遠隔講義を実施できるようにするため,遠隔講義の開
始・終了等に必要な機能を全て集約したタッチパネルを
導入した.その結果,担当教職員は以下の操作で遠隔講
義を配信・受信できるようになった.
(1) 遠隔講義開始時の操作
遠隔講義の開始は「システム起動」ボタンを選択し,
システムの起動を行う.原則的にシステム主電源は ON
の状態で維持され,一定時間操作されない状態では自動
的にスタンバイ状態に移行する.スタンバイ状態でタッ
チパネルを操作すると,システムは自動的に復帰する.
システム起動後,接続先となる「MCU の会議室番号」
ボタンを選択し,
「接続」
ボタンを選択する.
以上により,
遠隔講義を配信・受信するための準備が完了する.
(2) 遠隔講義終了時の操作
遠隔講義を終了する際は,まず「切断」ボタンを選択
し,MCU との接続を切断する.その後,
「システム終了」
ボタンを選択する.すると,システムは自動的に終了処
理を開始し,最終的にスタンバイ状態に移行する.
3. 「K3 茶論」の開催
本研究で構築された大学間遠隔講義システムにより,
第 1 章で述べた問題点が解決できたかどうかを検証する
ため,遠隔講義「K3 茶論」を実践した.
「K3 茶論」は,大学間遠隔講義システムの試験的運用
及び積極的な大学間交流の促進を目的に,本コンソーシ
アムの事務局が主催した遠隔講義の実践活動である.
2009 年 5 月に初回開講された本実践は,前期(5 月~9
月)
:17 時 30 分から,後期(11 月~2 月)
:16 時 30 分か
ら 90 分間開催された.また,参加対象の範囲は教職員,
学生に限らず,一般の地域住民でも参加できることとし
た.なお,K3 とは「高等教育交流(Koutou Kyouiku
Kouryu)
」の略称である.
3.1. 講師と講義テーマ
「K3 茶論」では,毎回異なる講師が各々のテーマに基
づいて講演を行い,その後コーディネータの進行で受講
表 1 遠隔講義「K3 茶論」の内容
開催日
第1回
2009 年 5 月 21 日
第2回
2009 年 6 月 18 日
第3回
2009 年 7 月 2 日
第4回
2009 年 7 月 22 日
第5回
2009 年 7 月 30 日
テーマ
学生の学びとコンピュータ
配信会場
信州大学
講師名
信州大学
矢部 正之
信州大学
小坂 共榮
放送大学
尾崎 史郎
信州大学
粂井 資行
清泉女学院大学
芝山 豊
信州大学
東原 義訓
信州大学
高橋 知音
信州大学
ERS 開発チーム
株式会社アークン
渡部 章
松本歯科大学
松本歯科大学
鷹股 哲也
長野大学
長野大学
三上 光一
諏訪東京理科大学
諏訪東京理科大学
藤瀬 恭子
松本キャンパス
学生たちと,歩いて歩いた
信州大学
フォッサマグナ
松本キャンパス
ICT 活用教育と著作権
講師所属
信州大学
松本キャンパス
草の根海外長期留学推進:
信州大学
現場の取り組み
上田キャンパス
モンゴル現代文学手稿のデジ
タル化による保存と復元の可
清泉女学院大学
能性について
教育学部における e-Learning
信州大学
活用事例紹介
長野(教育)キャンパス
第6回
2009 年 9 月 10 日
第7回
2009 年 11 月 12 日
発達障害のある学生の支援
第8回
2009 年 12 月 3 日
Extensive Reading System
第9回
2010 年 1 月 14 日
情報セキュリティ実践セミナ
第 10 回
2010 年 1 月 21 日
歯・健康・スポーツ
第 11 回
2010 年 1 月 28 日
第 12 回
2010 年 2 月 4 日
森の生態系サービスの活用を
学ぶ環境教育
女性学,男性学で読む日本映画
信州大学
長野(教育)キャンパス
信州大学
長野(工学)キャンパス
信州大学
長野(工学)キャンパス
80
70
教職員
学生
一般
60
50
40
30
20
10
0
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
第9回 第10回 第11回 第12回
教職員
48
50
44
50
34
47
66
26
31
41
24
30
学生
5
8
15
2
2
0
1
24
35
0
0
1
一般
2
1
1
6
2
1
1
1
13
4
0
1
図 4 全会場における「K3 茶論」受講者数の合計の推移
者は自由に討論を行った.2009 年度は 9 カ月間で全 12
回開催した.
講演内容及び配信会場は表 1 の通りである.
講師は基本的に講義希望者とし,募集対象は本コンソ
ーシアムに所属する教職員に限らず,
学生も対象とした.
実際に,第 8 回では信州大学工学部 4 年生が講師を務め
る場面もあった.
さらに,本コンソーシアムの事務局では,
「K3 茶論」
にて取り扱って欲しい講義テーマを,全ての教職員及び
学生に対して随時募集した.その結果,第 3 回及び第 9
回では県外の大学講師及び企業人を招き,要望のあった
各テーマについて講演をしていただいた.
3.2. 参加者
図 4 は配信会場と受信会場をあわせた全ての会場にお
ける受講者数の合計を回ごとに示したグラフである.な
お,同じ受講者が複数回受講していた場合でもそれぞれ
の回ごとに区別し,1 回ごとに 1 人と数えた.
図 4 より,最多受講者数は 79 人(第 9 回)
,最少受講
者数は 24 人(第 11 回)
,平均受講者数は 51.3 人であっ
た.また,全 12 回を通した全ての受講者のうち約 80%
は教職員であり,次いで大学院生を含む学生が約 15%,
地域住民などの一般者は約 5%であった.
4. 「K3 茶論」におけるシステムの運用
「K3 茶論」では,各大学の「ICT 活用支援員」と信州
大学の専任技術職員が運用し,トラブル等に対応した.
運用体制及びトラブル内容は以下の通りである.
4.1. 運用・支援体制
各大学における「K3 茶論」の配信・受信準備及び機器
の操作は,各大学の「ICT 活用支援員」が行った.ICT
活用支援員は必ずしもネットワーク管理等を専門とする
教職員である必要はなく,実際に一般の事務職員が担当
している大学もあった.
ICT 活用支援員は,本来,遠隔講義中にトラブルが発
生した際の復旧支援を行う担当者であるため,原則的に
遠隔講義システムの起動,接続等の操作は行わない.し
かし,本実践においては,システム操作は全て各大学の
ICT 活用支援員が行った.これは,本実践の目的が大学
間遠隔講義システムの試験的運用であることや, ICT 活
用支援員が実際に講師を支援するためにはシステムの操
作方法を十分に理解している必要があるためである.な
お,機器の操作説明は,機器設置業者が機器設置時に口
頭で行ったのみである.
また,信州大学には大学間遠隔講義システムの運用管
理を行うための専任技術職員が 2 名常駐し,各大学に対
するサポートを行った.例えば,機器やネットワーク等
にトラブルが発生した際,各大学の ICT 活用支援員は信
州大学に常駐している専任技術職員と携帯電話等で連絡
を取り合い,専任技術職員の指示に従って機器の再起動
等を行った.
また,
ネットワークの構成上可能であれば,
信州大学内の専任技術職員が各大学に設置された機器を
遠隔操作し,トラブルの解決を図った.
4.2. トラブルの原因と対策
表 2 は「K3 茶論」中に発生したトラブルの発生回,発
表 2 「K3 茶論」におけるシステム運用時に発生したトラブルの内容
発生回
第2回
第6回
発生場所
信州大学
松本キャンパス
信州大学
長野(教育)キャンパス
信州大学
松本キャンパス
清泉女学院大学
第8回
信州大学
上田キャンパス
信州大学
長野(工学)キャンパス
第9回
第 10 回
トラブルの種類
トラブルの内容
A)コーデックのハングアップ
コーデックがハングアップし,操作不能になった.
B)コンピュータ画像のハングアップ
B)コンピュータ画像のハングアップ
PC 画像を配信することができず,講義スタイルを変
更せざるを得なかった.
PC 上では次のスライドが表示されているにも関わら
ず,
ディスプレイに表示される PC 画像が変わらない.
突然テレビ会議が切断され,10 秒程度して自動的に
E)回線速度不足
再接続された.
F)操作ミス
テレビ会議に接続することができなかった.
F)音量が小さい
他局から発せられた音声が聞こえなかった.
「発信者か受信者の都合で切断しました」というメッ
長野大学
C)接続開始 2 時間後に自動的に切断
松本歯科大学
C)接続開始 2 時間後に自動的に切断
長野県看護大学
E)ネットワーク障害
テレビ会議に接続することができなかった.
長野高等専門学校
E)ポート設定の問題
テレビ会議に接続することができなかった.
諏訪東京理科大学
F)プロジェクタの電源入れ忘れ
松本歯科大学
B)コンピュータ画像のハングアップ
信州大学
松本キャンパス
信州大学
松本キャンパス
D)講義を収録することができない
「発信者か受信者の都合で切断しました」というメッ
セージが表示され,突然テレビ会議から切断された.
講師局から送られてくる PC 画像がスクリーンに投影
されなかった.
PC 上では次のスライドが表示されているにも関わら
ず,
ディスプレイに表示される PC 画像が変わらない.
テレビ会議レコーダが操作不能となり,録画が開始で
きなかった.
講師局から送られてくる PC 画像が,スライドが切り
E)ネットワーク障害
替わるタイミングで常にピンボケしてしまった.
音量をハンドマイク使用時に合わせると,ワイヤレス
長野大学
F)音量が小さい
長野大学
F)コンピュータの解像度がおかしい
ピンマイクが常にハウリングしてしまった.
第 11 回
生場所及びトラブルの内容を示したものである.トラブ
ル発生後に調査をしたところ,トラブルの種類とその原
因は表2 のA)からF)までの6 つに分類できることが明ら
かになった.
分類されたトラブルの種類と主な原因,解決のために
行った対策は次の通りである.
A) コーデック(Polycom HDX9002)のハングアップ
原因:利用後毎回電源を切り,次の利用時に電源投入
する電源制御機能に不具合があった.
対策:利用後はスタンバイ状態に移行し,毎日 0 時に
自動的に再起動するように設定を変更した.
B) コンピュータ画像のハングアップ
原因:MCU 上に SONY 社製 PCS-XG80 が接続された
状態で Polycom 社製 HDX9002 がコンピュータ画
像を送信すると,双方の通信プロトコルの不一致
により動作不具合が発生した.
セージが表示され,突然テレビ会議から切断された.
ディスプレイに表示された PC 画像の一部が切れてし
まっていた.
対策:MCU の Firmware を更新した.
C) 接続開始 2 時間後に自動的に切断される
原因:ルータ内の Firewall 設定により,一定時間以上
経過すると一部のポートが自動的に閉じられ,
MCU との通信確認ができなくなり,強制的に切
断されてしまった.
対策:接続開始後 2 時間が経過する前に,各大学のコ
ーデックを MCU に再接続してもらった.
D) テレビ会議レコーダが稼働しない
原因:テレビ会議レコーダの不具合により,遠隔講義
の収録を開始できなかった.
対策:テレビ会議レコーダの Firmware を更新した.
E) ネットワーク障害
原因:ネットワーク回線速度あるいはポート設定が不
十分であり,コーデックと MCU 間との通信を確
立することができなかった.
対策:ネットワークポートの設定を含むネットワーク
回線環境を改善した.
F) 操作ミス,その他
原因:接続方法がわからなかったり,機器の電源が入
っていなかったため,接続ができなかった.
対策:信州大学内に常駐している専任技術職員が携帯
電話等で操作方法を指示した.
3
5. 「K 茶論」における講義評価
「K3 茶論」を通したシステム面,講義面での評価を行
うため,各回「K3 茶論」終了後に受講者全員に対して紙
媒体によるアンケート調査を実施した.全ての「K3 茶論」
のうち,第 2 回から第 6 回までは大学間遠隔講義システ
ムに関する調査,第 8 回から第 12 回までは「K3 茶論」
に対する満足度調査を行った.なお,第 1 回はアンケー
ト準備が間に合わず,調査を実施できなかった.また,
第 7 回は本コンソーシアム事務局の都合により本研究の
目的とは異なるアンケート調査を実施したため,本研究
の分析対象から除外した.第 7 回を除く第 2 回から第 12
回までに回収されたアンケートの有効回答数(単位:枚)
及び有効回答率(単位:%)は表 3 の通りであった.
5.1. 大学間遠隔講義システムの評価
第 2 回から第 6 回までのアンケート調査では,大学間
遠隔講義システムを活用した受講に関する質問を行った.
調査項目には信州大学遠隔会議システムを活用したキャ
ンパス間遠隔講義に関する質問項目[7]を一部加筆・修正
し,
資料 1 のような 5 段階尺度評価法を用いた.
同時に,
資料 2 のような自由記述型の質問項目も設けた.
表 4 は第 2 回から第 6 回までの全てのアンケート回答
を合算し,各質問項目に対する 5 段階尺度評価の回答率
(単位:%)を表にまとめたものの一部である.
講師の不在と臨場感に関する質問(1)から(8)に対
して,回答者の半数以上が「そんなことは全くなかった」
あるいは
「そんな感じはあまり受けなかった」
と回答し,
多くの回答者が講師の不在により「講義の雰囲気が伝わ
らなかった」
「臨場感が損なわれてしまった」
「講義に集
中できなかった」といった印象を持たなかった.
映像や音声の質に関する質問(20)から(25)に対し
て,回答者の半数以上が,
「そんなことは全くなかった」
あるいは「そんな感じはあまり受けなかった」と回答し
ており,多くの回答者は講師の映像や音声の不明瞭さを
感じていなかったことが明らかになった.特に,音声の
不明瞭さに関する質問(24)に対して,第 4 回時に「全
くその通りだと思う」あるいは「そう感じたこともあっ
た」と回答した割合は,第 2 回,第 3 回時に比べて 20
表 3 アンケート有効回答数(枚)と有効回答率(%)
開催回
第2回
第3回
有効回答数
29
34
有効回答率
49.2
56.7
第4回
19
32.8
第5回
10
26.3
第6回
23
47.9
第8回
29
56.9
第9回
第 10 回
45
25
57.0
55.6
第 11 回
12
50.0
第 12 回
14
43.8
※有効回答率(%)=有効回答数(枚)÷参加人数(人)×100
ポイント以上減少していた(図 5)
.しかし,第 5 回時で
は音声が不明瞭であると感じた回答者の割合が著しく増
加し,
第6回時では第4回時と同程度まで減少していた.
システムの満足度に関する質問(14)から(16)に対
して,半数以上の回答者が「全くその通りだと思う」あ
るいは「そう感じたこともあった」と回答し,大学間遠
隔講義システムにある程度満足していたことが伺えた.
質問(26)
「自分のデスクやパソコンでもリアルタイム
受講できると良い」について,半数以上の回答者が「全
くその通りだと思う」あるいは「そう感じたこともあっ
た」と回答していた.特に,
「全くその通りだと思う」と
回答した回答者の割合は回を追うごとに増加し,最終的
に第 5 回,第 6 回の回答者の半数に及んだ(図 6)
.
5.2. 「K3 茶論」の評価
第 8 回から第 12 回までのアンケート調査では,NPS
(Net Promoter Score:推奨者の正味比率)指標を用いて
「K3 茶論」に対する満足度調査を実施した.この調査で
は,
「友人や同僚に薦める可能性はどのくらいあるか」と
いう問いに対して回答者に 10 点法で回答してもらう.
そ
の後,9,10 点という回答者を推奨者(Promoter)
,7,8
点という回答者を中立者(Neutral),残りを批判者
(Detractor)に分類する.そして,推奨者の割合から批
判者の割合を差し引いた値を NPS 値とし,各回の「K3
茶論」に対する満足度を示す基準とする[8].つまり,NPS
値が正の数であれば回答者は比較的に満足しており,
NPS値が負の数であれば回答者は比較的に不満であると
みなすことができる.また,満足,不満の度合いは NPS
値の絶対値により大きさを測ることができる.
表 5 は NPS 指標を用いた各回の「K3 茶論」に対する
満足度調査の結果である.表 5 によると,第 8 回から第
12 回までの全ての回において NPS 値は負の数を示して
おり,
回答者が不満を感じていることが明らかになった.
また,同アンケート内でその点数を付けた理由を尋ね
表 4 各質問項目に対する 5 段階尺度評価回答率(一部抜粋)
分類
質問項目
(1) テレビを見ながらの講演は通常の講演(講
義)に比べて分かりにくかった.
(2) 遠隔講義では講演(講義)の雰囲気が伝わ
ってこなかった.
(3) 機器操作に不慣れさが見られ,講演に集中
できなかった.
講師の
不在と
臨場感
(4) 教室に講師の目が行き届かないため,私語
が目立ち,講演に集中できなかった.
(5) 教室に講師がいないため,緊張感がなく,
講演に集中できなかった.
(6) 教室に講師がいないため,疎外感を感じ
た.
(7) 教室に講師がいないため,スキンシップが
感じられなかった.
(8) 教室に講師がいないため,親しみがわかな
かった.
(14) 遠隔講演(講義)は先進的な感じがしてよ
い.
システム
(15) 遠隔講演(講義)は時間的・経済的なメリ
満足度
ットがあり,推進すべきである.
(16) このシステムは総合的にみて満足のいく
ものである.
(20) 画面の数が少なかったため,講師の様子や
パソコンの画面が見えにくかった.
(21) 遠隔講演(講義)を受講すると目が疲れる
ように感じた.
映像や
音声の質
(22) 画面の設置位置(高さなど)が不適切で見
えにくかったり,疲れを感じた.
(23) 受講生の人数に対して部屋がせまかった.
(24) 送られてくる講師の声が不明瞭で聞き取
りにくかった.
(25) スピーカーの音量が不適切で聞きにくか
った.
受講環境
(26) 自分のデスクや自宅のパソコンでも同様
に,リアルタイムに受講できると良い.
全くその通
そう感じた
何とも言え
そんな感じ
そんなこと
りだと思
こともあっ
ない.わか
はあまり受
は全くなか
う.
た.
らない.
けなかった. った.
0.9
22.6
18.3
46.1
12.2
2.6
18.3
17.4
50.4
11.3
5.2
17.4
20.0
34.8
22.6
0.9
4.3
14.8
29.6
50.4
0.9
10.4
13.9
34.8
40.0
0.9
7.8
12.2
38.3
40.9
4.3
15.7
26.1
27.8
26.1
1.7
10.4
21.7
39.1
27.0
16.5
27.8
30.4
14.8
9.6
19.1
40.0
27.8
7.8
5.2
13.9
35.7
34.8
11.3
4.3
6.1
19.1
19.1
39.1
15.7
6.1
19.1
20.9
40.0
13.9
3.5
16.5
21.7
36.5
20.9
2.6
0.0
13.0
27.0
57.4
5.2
26.1
12.2
32.2
24.3
0.9
13.9
15.7
35.7
33.9
39.5
21.9
19.3
11.4
7.9
※5 段階尺度評価回答率(%)=第 2 回から第 6 回までの総回答数÷第 2 回から第 6 回までの総回答者数(115 名)×100
たところ,批判者に分類された多くの回答者が「興味の
あるテーマではなかった」
「内容が難しく,興味関心のあ
る者にしか薦められない」と回答していた.
6. 評価と考察
各回「K3 茶論」終了後のアンケート調査結果から,タ
ッチパネルを導入した本研究の大学間遠隔講義システム
により,映像や音声の不明瞭さをあまり感じさせること
なく,HD 画質の映像及び高音質の音声を利用し,高い
臨場感を持った遠隔講義を提供できたことが明らかにな
った.従って,遠隔講義実施に関わる機能を集約したタ
ッチパネルの導入により,機器操作に関する専門的な知
識を必要とせず,高品質な遠隔講義を提供できるように
なり,第 1 章「問題点 1.遠隔講義に対する教職員の不
第6回
第5回
第4回
第3回
第2回
0%
20%
40%
60%
80%
100%
全くその通りだと思う.
そう感じたこともあった.
なんとも言えない.わからない.
そんな感じはあまり受けなかった.
そんなことは全くなかった.
図 5 質問(24)音声の不明瞭さに対する回答結果
第6回
第5回
第4回
第3回
第2回
0%
20%
40%
60%
80%
100%
全くその通りだと思う.
そう感じたこともあった.
なんとも言えない.わからない.
そんな感じはあまり受けなかった.
そんなことは全くなかった.
図 6 質問(26)受講環境の多様化に対する回答結果
表 5 各回「K3 茶論」における NPS 値
推奨者
第8回
第9回
第 10 回
第 11 回
第 12 回
(N=29)
(N=45)
(N=25)
(N=12)
(N=14)
1(3.5)
13(28.9)
3(12.0)
3(25.0)
3(21.4)
NPS 値
-62.0
19(65.5)
-4.4
15(33.3)
-48.0
15(60.0)
-25.0
6(50.0)
-14.3
5(35.7)
批判者
※推奨者,批判者の単位は“人”
(丸括弧内は“%”
)
※NPS 値=推奨者割合(%)-批判者割合(%)
安や抵抗感」の技術的問題は解決できたと考えられる.
また,多くの教職員は「K3 茶論」を通して遠隔講義を
実体験することができ,システムの先進性と時間的・経
済的なメリットを実感し,総合的に満足することができ
たと回答している.この結果から,直接の質問項目とし
ては含まれていないが,遠隔講義に対する不安や抵抗感
を多少なりとも軽減させることができたのではないかと
考えられる.さらに,上述の成果や後述の課題が明らか
になったことから,
「K3 茶論」を通して,第 1 章「問題
点 2.遠隔講義に対するシステム運用の実績不足」を解
決できたと考えられる.
しかし,その一方で,システム面,講義面において以
下のような新たな課題が明らかになった.
A) 音声品質の向上
大学間遠隔講義システムに関する 5 段階尺度評価では
第 3 回時の音声の不明瞭さが指摘され,また自由記述で
は「時々音声が不明瞭であった」という感想が寄せられ
た.しかし,第 4 回では,第 2 回,第 3 回に比べて音声
の不明瞭さが改善された様子がみられた.これは第 4 回
の運用の都合上,高性能な集音マイク(Polycom 社製マ
イクアレイ)
を使用したことが要因であると考えられる.
従って,
より安定した高音質の音声を提供するためには,
高性能なマイクの導入を検討する必要がある.
また,5 段階尺度評価の結果によると,第 5 回時の音
声の不明瞭さは第 2 回から第 6 回までの実践のなかで一
番評価が悪かった.この原因を追究したところ,ネット
ワーク回線速度の不足によるものであることが判明した.
第 5 回以外の配信会場である大学では,常時 50Mbps 以
上の安定した回線が利用できるのに対し,第 5 回の配信
会場となった大学は,ベストエフォード型の光回線を学
内で共同利用しており,時間帯によっては HD 品質のテ
レビ会議を運用するのに十分な回線速度(1Mbps 以上)
を確保できていなかった.従って,安定した高音質の音
声を提供するためには,安定した高速ネットワーク回線
環境を整備する必要がある.
なお,
問題となった大学も,
遠隔講義専用の光ネットワーク回線を第 6 回実施後に敷
設し,それ以降は安定した HD 画質の映像,高音質な音
声の提供ができている.
B) 映像品質の向上
大学間遠隔講義システムに関する自由記述では,
「画面
が小さいため映像が見えにくかった」といった回答が多
くみられた.遠隔講義室の広さは各大学によって異なる
ことから,講義室ごとに画面の大きさや枚数,設置位置
などを検討していく必要がある.さらに,
「講師のいる会
場が暗く,講師の顔が見えにくかった」ことが指摘され
ており,配信会場側の照明設備やカメラの明るさ調整機
能に影響されない画面配置を検討する必要がある.例え
ば,長野大学では講師の正面両側にスポットライトを設
置し,上方からライトをあて,カメラの明るさ調整機能
により講師の顔が暗くならないよう工夫している.
C) 適切な遠隔講義の運用
本実践を通して,常設システムの整備に限らず,トラ
ブル発生時の対応方法や遠隔講義を運用する上でのサポ
ート体制をさらに充実させる必要性が明らかになった.
特に,本実践では,システム機器の電源が入っていなか
ったり,接続方法を間違えていたりといったトラブル事
例も発生したことから,トラブル発生時に限らず,日常
運用時の操作マニュアル等も作成する必要がある.
また,講師の顔を大きく映したり,講師に時折目線を
向けてもらったりする等,他大学の遠隔教室にいる受講
生に配慮した講師画面の構成方法やカメラ操作方法に関
するノウハウを蓄積する必要がある.
D) 多様な受講環境の整備
自由記述型のアンケート調査結果には,市民公開講座
や単位互換講義等,講義会場に足を運ばなければ受講で
きなかった講義について,自宅や自分のデスクのコンピ
ュータでも受講できる仕組みを求める回答が多くみられ
た.また,5 段階尺度評価の結果からその傾向は回を追
うごとに増しており,これらのニーズに応えるために受
講環境の多様化を目指した仕組みを構築する必要がある.
E) テーマの検討
第 8 回から第 12 回までの「K3 茶論」に対する満足度
を,NPS 値を用いて調査したところ,興味関心のあるテ
ーマではなかったため十分に満足できなかったことが明
らかになった.第 2 回から第 6 回までに行った自由記述
型のアンケート調査でも「関心の持てるテーマを今後も
期待したい」
「テーマの設定は大事である」といった回答
があり,次年度以降も大学間交流という観点から「K3 茶
論」を継続していくためには,学生も含めて広く興味関
心が持てる講義内容,テーマを検討する必要がある.
7. まとめ
本研究では,遠隔講義の開始・終了等に必要な機能を
全て集約したタッチパネルを導入し,教職員自身が容易
に遠隔講義を実施することが可能な大学間遠隔講義シス
テムを構築した.そして,
「K3 茶論」を通して遠隔講義
に対する運用・支援体制を整えた.各回「K3 茶論」終了
後のアンケート調査結果を分析し,構築された大学間遠
隔講義システムと「K3 茶論」に対する満足度評価を行っ
たところ,第 1 章で述べた技術的問題に起因する「問題
点 1.遠隔講義に対する教職員の不安や抵抗感」及び「問
題点 2.遠隔講義に対するシステム運用の実績不足」を
解決することができた.また,システム面,講義面から
以下の課題が明らかになった.
(1) 大学間遠隔講義システム
本研究の大学間遠隔講義システムでは,HD 画質の映
像及び高音質の音声を利用し,高い臨場感を持った遠隔
講義を提供することができた.そのため,受講者に対し
て,映像や音声の不明瞭さをあまり感じさせることはな
かった.また,タッチパネルの導入により,遠隔講義時
の操作に関わる煩雑さを改善することができた.
一方,高音質な音声の確保や画面の拡張,受講方法の
多様化が求められ,
より高性能な音声・映像機器の導入,
安定した高速ネットワーク回線の整備,自宅等にあるコ
ンピュータから受講できる仕組みの構築が課題となった.
(2) 遠隔講義「K3 茶論」
教職員は「K3 茶論」を通して遠隔講義を実体験し,シ
ステムの先進性やメリットを感じていたことから,
「K3
茶論」により遠隔講義に対する不安や抵抗感を多少なり
とも軽減させることができたと考えられる.また,
「K3
茶論」
は遠隔講義に対する利用実績をあげることができ,
大学間遠隔講義システムの評価を行うことにつながった.
一方,
「K3 茶論」では受講者を十分に満足させられる
講義内容を提供することができなかった.その理由には
受講者の興味関心を持てるテーマが設定されなかったこ
とがあり,大学間交流を促進するためには,学生も興味
関心を持てるテーマを設定することが課題となった.
本研究における今後の課題は,第 1 章で述べた「問題
点 1.遠隔講義に対する教職員の不安や抵抗感」の人的
問題を解決し,さらなる改善を図るとともに,上述の課
題を解決し,有用性をさらに高めた大学間遠隔講義シス
テムを実現することである.
謝辞
本研究は平成 20 年度戦略的大学連携支援事業
「大学間
地域ネットワーク構築による高等教育の質保証と人材育
成の実質化」により実施しました.また,本研究にご協
力頂きました株式会社映像センター様に謝意を表します.
参考文献
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官の評価―”
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ター紀要,8,pp.99-108,2002.
フレッド・ライクヘルド,堀新太郎(監訳)
,鈴木
泰雄(訳)
,
“顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」
”
,
株式会社ランダムハウス講談社,東京,2006.
【資料 1】 大学間遠隔講義システムに関するアンケート調査項目(5 段階尺度評価)
1.あなたはどのような立場で今回の K3 茶論にご参加いただきましたか.該当する項目に○(丸印)をつけてください.
大学関係教職員
・
学生(大学院生)
・
その他一般の方
2.今回のK3 茶論は何回目の受講になりました?
回目
3.以下の項目について,該当する数字に○(丸印)をつけてください.
5 = 全くその通りだと思う.
4 = そう感じたこともあった.
3 = なんとも言えない.わからない.
2 = そんな感じはあまり受けなかった.
1 = そんなことは全くなかった.
(1)
テレビを見ながらの講演は通常の講演(講義)に比べて分かりにくかった.
5
4
3
2
1
(2)
遠隔講義では講演(講義)の雰囲気が伝わってこなかった.
5
4
3
2
1
(3)
機器操作に不慣れさが見られ,講演に集中できなかった.
5
4
3
2
1
(4)
教室に講師の目が行き届かないため,私語が目立ち,講演に集中できなかった.
5
4
3
2
1
(5)
教室に講師がいないため,緊張感がなく,講演に集中できなかった.
5
4
3
2
1
(6)
教室に講師がいないため,疎外感を感じた.
5
4
3
2
1
(7)
教室に講師がいないため,スキンシップが感じられなかった.
5
4
3
2
1
(8)
教室に講師がいないため,親しみがわかなかった.
5
4
3
2
1
(9)
複数の画面のうちどれを注視しれば良いのかが分からなくて困った.
5
4
3
2
1
(10)
できないことはないだろうけど質問がしにくい雰囲気だった.
5
4
3
2
1
(11)
通常の講演(講義)に比べ,視聴覚機器が駆使されていてむしろ分かりやすかった.
5
4
3
2
1
(12)
遠隔講演(講義)は通常の講演(講義)に比べ,教材の準備等がよくなされていた.
5
4
3
2
1
(13)
教室に講師がいないため,リラックスして受講できた.
5
4
3
2
1
(14)
遠隔講演(講義)は先進的な感じがして良い.
5
4
3
2
1
(15)
遠隔講演(講義)は時間的・経済的なメリットがあり,推進すべきである.
5
4
3
2
1
(16)
このシステムは総合的にみて満足のいくものである.
5
4
3
2
1
(17)
全体的にみて画面が見にくく感じた.
5
4
3
2
1
(18)
パソコン画面に映った文字や図が特に読みにくかった.
5
4
3
2
1
(19)
講師のしぐさなど動きのある画面が特に見えにくかった.
5
4
3
2
1
(20)
画面の数が少なかったため,講師の様子やパソコンの画面が見えにくかった.
5
4
3
2
1
(21)
遠隔講演(講義)を受講すると目が疲れるように感じた.
5
4
3
2
1
(22)
画面の設置位置(高さなど)が不適切で見えにくかったり,疲れを感じた.
5
4
3
2
1
(23)
受講生の人数に対して部屋がせまかった.
5
4
3
2
1
(24)
送られてくる講師の声が不明瞭で聞き取りにくかった.
5
4
3
2
1
(25)
スピーカーの音量が不適切で聞きにくかった.
5
4
3
2
1
(26)
自分のデスクや自宅のパソコンでも同様に,リアルタイムに受講できると良い.
5
4
3
2
1
【資料 2】 大学間遠隔講義システムに関する自由記述形式の調査項目とその主な回答
4.今回の K3 茶論に参加しての率直なご感想をお書きください.
・各大学からの参加人数が少ない.特に学生の参加が欲しい(6)
.
・その場で受講しているのと同じ感じで気軽に受講できて良かった(5)
.
・関心の持てるテーマを今後も期待したい(4)
.
・資料等の画面も同時に表示されるので,大変わかりやすかった(3)
.
・他の大学の取り組みがわかってよかった(2)
.
・もっと学内で広報活動を行う必要があると思った(2)
.
5.画面などの視聴覚設備について,ご意見,ご感想などお書きください.
・講義をしている部屋が暗く,講師の様子が見えにくかった(12)
.
・他会場の様子やパソコン映像が見えにくかったので,画面を大きくして欲しい(10)
.
・パワーポイント切り替え時の講師会場とのタイムラグが気になった(5)
.
・講師とスライド画面が分かれていてわかりやすかった(3)
.
・臨場感を持たせるため,講師の顔を大きく映したり,時折目線を向けて欲しい(2)
.
6.音量,音質などの遠隔講義システムの設定について,ご意見,ご感想などお書きください.
・講師や一部の大学の発言が聞き取りにくいことがあった(22)
.
・自分の会場の様子も見えるようにして欲しい(2)
.
7.システム全体を通して,良かった点,悪かった点をご自由にお書きください.
・講義会場までの移動時間の無駄が省けて良かった(3)
.
・スライド内の図やテキストなど,強調・説明する部分を拡大やライン引きができれば良いと思った(2)
.
・いろいろな遠隔講座を個人のパソコンでも受講できるようにして欲しい(2)
.
・顔の表情や雰囲気などの非言語情報が読み取りにくく発言がしにくかった(1)
.
8.K3 茶論の進行について,ご意見,ご感想などお書きください.
・目立った遅延もなく,スムーズだった(6)
.
・トラブル時の対応方法や支援体制などをあらかじめ準備しておく必要があると思った(5)
.
・テーマ設定は大事である.特に学生が興味関心の持てる内容にして欲しい(3)
.
9.K3 茶論に限らず,遠隔講義システムを活用した講義に期待されることなどお書きください.
・自大学で受講できない講義が聴けるというメリットを活かし,ぜひ通常授業でも導入して欲しい(5)
.
・チャットや掲示板などで講義中もリアルタイムにやり取りができると良いと思った(4)
.
・8 大学のどこかの大学が招いた高名な先生の講義を配信するのも良いと思った(3)
.
・コンソーシアムの認知度を高めるためにも公開講座的な講義をもっと推進して欲しい(2)
.
・非常勤講師を他の大学に派遣しなくても良い(2)
.
・遠隔地で受講できるため,単位互換講義などにぜひ有効活用して欲しい(2)
.
10.「高等教育コンソーシアム信州」Web サイトで公開されている K3 茶論のオンデマンドコンテンツをご覧いただいた方にご
質問します.このコンテンツをご覧になってのご意見,ご感想,ご要望などをご自由にお書きください.
・後日でもシーンごとにゆっくりと視聴できる工夫がなされていて良い(2)
.
・講演で示されたデータや資料をぜひ Web サイト上で利用したい(1)
.
・一度見た講義を後から見直すことができるのは,内容を理解する上で役立つと感じた(1)
.
・今後聴くことが困難になるかも知れない講演などを残して,共有していければ良い(1)
.