Special Interview ネ イ ル ア ー ティスト H a n a 4 / 特 別 イ ン タ ビュ ー ネ イ ル ア ートの 可 能 性 を 広 げ る 独 自 の 感 性とオリジ ナリティの 追 求 ファッション誌 の 撮 影 やセミナー 講 師 など世 界 中で 活 躍しながら、抜 群 のデザインセンスと高い技 術で 多くの 女 性を魅了し続ける ネイルアーティストのHana4さん。アートへの情熱、プロフェッショナルとしての厳しい姿勢、お客様への愛にあふれた一面、 そんなHana4さんの素顔に迫ります。 Nail artist Hana4 ファッションプレス、エディターアシスタントなどの経歴を経て フリーランスネイルアーティストとなる。現在はサロンを持たず、 アー ティストとして 撮 影 や 講 師 の 仕 事 を 精 力 的 にこなす。 国内外問わず、海外でも活動を広げている。 「 ネ イ ル ア ー ティスト 」として 後 世 に 残 るような 作 品 を 創りた い 。 Q. ネイル の 道 に 進 ん だ きっか け は? 幼 少 期から絵 画 教 室に通わせてもらったり、美 術 館に連れて Q. 定 期 的 にネイル の 個 展 を 開 催 されています が 。 爪 の 上 に 施 すネイルアートは 、1 カ月ぐらいで 消 えてしまう 行 ってもらったり、小 さな 頃 からアートは 身 近 にありまし た 。 芸 術 作 品 。そ れ 自 体 は 儚くて 素 敵 だ けど 、他 の 芸 術 家 の よ 父 からお 土 産 でお 米 が 七 福 神 のアートになっているお 守りを うに 、多くの 人 に「 見 せる 」 「 残 す 」ことをしてい か な いとネイ もらって、それを真 似して米 粒に絵を描いてみたことが原 点です。 ルアー ティストという職 業 は 存 続 し な いし 、何 より自 分 自 身 その 後 、芸 術 学 科を卒 業してアパレル 企 業に就 職するも、父 が の 生 きた 証 が 作 れ な い 。そう 思 って 作 品 一 つ ひとつ に 独 自 病 気 で 倒 れ 大 好 きな 仕 事 を 休 職し 看 病 に 専 念していました 。 の ネ ーミング やタイトルを 付 けて 個 展 を 開 催し 、発 信 するよ その 際 、病 室で「 米 粒に絵 が 描けるほどの 才 能を持っているん う に して い ま す 。た と え そ の 時 の 商 材 や 技 法 が 廃 れ て も 、 だから、自分にしかできないことをしてみてほしい」と、ネイルの アートとしては ずっと後 世 まで 残 っていくような 、そんな 作 品 仕 事に目をつけた父から勧められたことがきっかけです。そんな を 作り続 けることが目 標 ですね 。 言 葉を遺して父は天 国 へ去りましたが、私は『 手に職 』を付ける ため、父の言 葉を背に、ネイルの学 校に通うことにしました。 Q. 「 ネ イリスト 」で は なく 「 ネ イ ル ア ー ティスト 」として 活 動されています が 。 ネイルの 道を選 んだけれど、人 がやっていないような方 法 で ネイルの仕事をしたいと思い、 ファッションスタイリストとネイリスト として一つの紙面を作ったり、 ネイルステッカーとTシャツのデザイン をリンクさせてみたり、ネイルだけではなくファッション、アート、 ネイルと様々なお仕事をさせていただいているので「ネイルアーティ スト」 として活動しています。 油 絵や彫 刻 、テキスタイルなど、いろんな 勉 強 をしてきましたが 、 ネイルアートが 他 のアートと異 なる点は 、流 行によって商 材 や 技法がどんどん変わること。それは良い面でもあるし、正 直 言って 少し 疑 問 を 感じている 部 分 でもあります。ただ 、1 つの 商 材 で 油絵や水 彩 画 、アクリル画のテクスチャーを出すことができたり、 ピカソやモネの作品から現代アートまでジェルネイルひとつで表現 できるのは本当にすごい。自分のアートの幅が広がるのも魅力です。 自 然 や 人との 出 会 い か ら 生 ま れ る 感 謝 の 気 持 ちと 愛 が 作 品 を 紡ぐ 。 Q. 「 人と被る 率 0 % 」と言 わ れる 独 創 的 なインスピレ ーション は 、 どこから湧 いてくるのでしょうか? Q. コラボレ ーション やイベントも 積 極 的 に 企 画しています ね 。 だけど、 「Hana fоr (ハナ フォー)=人のため」 という意味にも 取れるんだなと気づき、ますます人との出会いを大切にするように なりました。 以 前から「 N a i l m e e t s A r t 」をテーマに、様々なブランドや各 日々の 生 活 や自 然 界 のあらゆるものから影 響されています。 業 界 のいろいろな 方とコラボレーションをしています。近 頃は 街を歩いていれば必ず何かに出会うし、食 事に出た際に、ご飯の あまり開催できていませんが、スーツケースにジェルネイルを詰め 色やお皿の可愛い柄からインスピレーションを感じることもありますし、 て各ギャラリーを回り、1週間限定でネイルサロンやイベントを開 どんなことでもアンテナを張っていれば 、アートのインスピレー いたりもしていました。もちろん国 内だけではなく、ニューヨーク ションにつながると思います。私は 昔から他 人と同じことをする に行って会いたいと思っている人に直 接 取 材を申し込 んでつな のが嫌いなので、特 定のアーティストから影 響されることはあり がってみたり。 とにかくいろんな方との出会いを積 極 的につくって ませんが 、人との出 会 いから作 品 が 生まれることはありますね 。 います。最 近 では日 本 のアートにも興 味 があり、職 人 の 方との 人への感謝の気持ちや愛から生まれるつながりを作品に残したい、 コラボレーションも生まれています。私の名前は 「Hana4 (ハナヨ)」 そんな風に思っています。 デジタル 化 の 波 にも負 けないオリジナリティと スキルトレ ード 。 Q. 今 後 、ネイル 業 界 はどのように 変 わっていくと思 います か? また 、どう変 わるべ きで す か? Q. 多くのアー ティストたちの 絵 画 をネイル に 施した H a n a 4 さん の 作 品 は 、コピ ーで もなく真 似 で もなく、 まさにアートを 共 有しているように 思うので す が 。 デジタルプリントネイルの進化など、 この業界でもデジタル化は 私 はこれを「 スキルトレ ード 」と呼 んで います。巨 匠 たちの どんどん進むでしょう。忙しい人や時間のない人にはニーズもある 作 品をネイルに再 現していると、 「ああ、だからモネはこの 色に と思います。いずれネイリストが不要になる時代が来るかもしれま この 色を足したのかな?」 「 だからバスキアは 、この 部 分をこの せん。ただ、手描きにはその手法でしか表せないものもあるし、目の 赤で表 現したのかも」と何となく見えてくるものがあります。いつ 前のライブペイントを見て楽しむ時間をお客様に提供できるという もそんなふうに、今は亡き画 家たちの発 想や考え方を頭の中で 醍醐味もあるので、私はそれを大切にしたいと思います。 この仕事 想 像しながらネイルアートを創っています。 は技術だけでなく、施術時間があっという間に思えるようなトーク 先 日 、まだ 駆 け 出しの 女 性 アー ティストの 絵 を 彼 女 自身 の 爪 や、お客 様とのコミュニケーションも必 要とされます。1 秒 1 秒の に 施 し たことが あ って 、な ぜ こ の 色 を 選 ん だ の か など 直 接 時 間や空間を大切にするこの仕事は、デジタル化の波にもきっと 本 人 に 聞くことが できたのも面 白い 経 験 でした 。素 晴らしい 負けないでしょう。 スキルトレードの 体 験 です。彼 女 からネイルのお 礼としていた そのためにも、私 たちは「 本 物 」を目 指さなけれ ば なりません 。 だいた物 は 彼 女 の 絵 で 一 番 気 に入ったアートデ ザインでした。 ファストファッションはビジネスとしては成り立つけれど、基本的には スキルをトレードすることでお互いスキルを高めることができる。 ハイブランドのコピーや真似にすぎません。 アートの世界では、真似 また 、そ の スキル をインスタグ ラム や 個 展 、作 品 等 で 発 信し ばかりをしているといつか想像力や創造力が尽きてしまい、 アートが シェアすることで、彼 女 の 仕 事 も広 がり、ネイルアートの 世 界 終わってしまう。 自分だけのオリジナルを創り続けていくことは大変な も広 がる。スキルトレードとはそういうことなのだと思 います。 ことだけど、 これからは自分自身が本物になるべきなのだと思います。 思いやりをプラスして1000%の力で臨むのがプロ。 最 後 に 、プ ロフェッショナルとは? また 、プ ロとして大 切 にしていることに つ いて教えてください 。 私にとってのプロフェッショナルとは「思いやり」です。 「 思いやり」、 その人にとっては一生に一度の宝物になるんですね。 そんな思いやり それは人の立場になって考えること。自分がもし相手の立場だった をネイルに落としこむことが、私の役目なのです。 ら?と。毎日忙しいのに、時 間を割いて来てくださった方 、お金に 私 は日頃 から、施 術 するお 客 様を選びたくないと思っています。 余裕はないけれど、 ネイルをしてもらうことが何よりの楽しみという方。 年齢・国籍・性別…いろいろな方を施術し、いろいろなことを学んで 人それぞれの立場になって、 「もっと何かしてあげたい!」 とその人が います。 これも一つのスキルトレードかなと。 これからはどんどん人と 持つ 「目的」 を的確に引き出し、 やりたいことを100% 、 いや1000% つながってシェアする時代。そうした中でネイルアートを極めていけ の力で返すことがプロフェッショナルなのだと思います。 たら嬉しいですね。 以前こんなことがありました。 ブライダルネイルをお願いされ、 レース のデザインを施した時、 「じゃあ、 このレースにサプライズで旦那さん の名前を入れましょうか?」 と提案したところ、 「えっ、そんなことも できるの?!」 と驚いていらっしゃいました。 こんな小さな思いやりも、
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