DIY.でCO 秘密のワイン造り vol.1 2 私はアクアリウムも趣味にしているのですが、水草を上手に育 1 1 てるには光合成促進のため、二酸化炭素(CO2)を水槽内へ添加す ることが不可欠なのです。専用のボンベを使っていたのですが、 ランニングコストがちょっと高いので、何か別の方法をとさがし 自分は2.7リットルのウイスキーのペットボト ルを使っています。 銘柄は宝酒造の「凛」値段の割にはまあま あの酒ですな。 最近高い酒飲むのは正月だけ…トホホ! ていて見つけたのが、イースト菌による発酵です。 2 イースト菌は糖分を二酸化炭素とアルコールに分解します。実 2 自動販売機で売っている 際この方法で多くのアクアリストたちが美しい水草の世界を楽し お茶のボトル んでいます。 ただ、彼等はゼリーや寒天を培地にしてイースト菌と砂糖をを 混ぜ、二酸化炭素を取り出し1〜2か月後、発酵の終わった培地を 捨てています。 3 そこでふと気が付いたのは、培地を有効利用出来ないものか、 原料としては「ウェルチ」が今まで一番 良かったが、高すぎる。 「めいらく・のむ果 汁」 、 「ミニッツ・メイド」 、 「農協果汁」 など がお勧めです。あと、セービングの「グレ ープジュース100」近くのサカエでは賞 味期限切れ寸前のが130円で売ってい るのでよく使っています。 ●濃縮還元100%にしてください。 3 せっかくアルコールで満たされたものを捨てるとは…。 探せばあるものです。一石二鳥、趣味と実益を兼ねた方法。培 地を一旦、人体でろ過して捨てる「地球に優しい」方法。 100% 100% 濃縮還元 グレープ ジュース 濃縮還元 グレープ ジュース 1000ml 1000ml これが、そもそものきっかけです。あくまでも水草にCO 2を、 そして、地球のため「培地はろ過して」捨てましょう。 4 4 どこのスーパーにも売っています。 5 5 東急ハンズのパン材料コーナーで、約 直径4cm高さ8cmの小さなビンで棚の 角にあります。 用意するもの 1 2.5〜3リットル程度のペットボトル (発酵容器) 2 300cc程度のペットボトル (スタータボトル) 3 100%濃縮還元 グレープジュース 2リットル 4 パン用のドライ酵母 5 モルト 6 グラニュー糖 7 レモン 一個 6 7 省略 8 8 消毒用アルコール 9 ビニールホース 直径7mm長さ1.5m(1カ月後使います) 8 酒は、とてもデリケート、ちょっとした雑 菌で全然別のものにかわってしまうらし く、使用する器具類はきちっと消毒をし なくてはなりません。エチルアルコールに してください。これが、案外高い。千数 百円しました。あほらしいので、今はウオ ッカの100プルーフ (50° ) を使っています。 熱湯でよく洗い、ウオッカですすいで、そ れをコップに入れ水割りでグビッとやっ てます。 はじめる前に ● ● 培地は、とってもデリケート きちっと消毒しましょう。 ● ● ● 材料の分量は大雑把でも大丈夫です。 ※濃度を上げるため砂糖を多めに入れたが、甘味が残っただけで濃くならなかった。でもそれなりに旨かった。 (夏場の動き回ったあとにソーダで割って) 濃度を上げるには「蒸留」 しかないのでしょう。 ※ 砂糖が多けりゃ、濃くできる。 菌が少なきゃ、日がかかる。 そんな気持ちで醸れます。 2 作り方 1 スタータボトルの立ち上げ ●コップに 半分程度のお湯を入れ+モルト15gを溶かす ぬるくなるまで冷し、2 に入れる 2 ●グレープジュース100cc ●レモン絞り汁 半個分 ●ドライ酵母 小さじ一杯を 2 に加え撹拌するその後、 フタは外れるくらい緩く閉め、きちっと閉めると破裂します。 暫くすると発酵が始まります。 ブクブク フタは外れるくらい緩く、 きちっと閉めると破裂します。 ●パン作りの時、パンの生地にいきなり酵 母を入れてもうまく発酵しない時があり ま す。これは酵母に元気がないからです。そ れで発酵をうまく成功させるために酵母の パワーをアップさせるものが、スタータボト ルです。 ●予備発酵なしのイースト菌の場合、すぐに 発酵が始まりますが、モルトとパンのイース ト菌を馴染ませるため、という意味合いが 強い行程と思います。 1 3 一日間放置 最初はブクブクと泡を立てていたスタータボトルの酵母も、一 日たつと静かに発酵しています。底には澱も溜っています。 4 仕込み 消毒した 1 のボトルにグラニュー糖250g入れ。 ●グラニュー糖250gは底から2.5cmくらいです。 ●寝かせてコロコロ、砂糖を溶かす。 5 用意していた濃縮還元100%ジュース(残り1900ml)を入れ、 優しく混ぜ砂糖を溶かします。 6 レモンの絞り汁半個分も加える。 ( 2で入れずにここで1個分入 れてもよい。 ) 1 7 2 のスタータボトルの中身を、そっと 1 に移す。 底に溜った澱は入れないように。少しくらい入っても大丈夫。気 楽にやります。 良く撹拌して、フタは外れるくらい緩く閉め、気が向いた時、 時々ゆっくり混ぜます。 ●7はこんな分量の感じです。 ブクブク ブクブク 8 翌日になると、発酵が始まり、時には吹きこぼれそうにもなりま す。2リットルのジュースに対し2.5リットル以上の容器が必要と いうのが解ると思います。ひとたびアルコールが生成されれば、 他の雑菌を駆逐してしまう、と言うのも凄い話です。 ブクブク これで、8割終了です。あとは待つだけ。 フタは外れるくらい緩く、 きちっと閉めると破裂します。 時々の味見も一興、一月後をお楽しみに。 DIY.でCO 秘密のワイン造り vol.2 2 9 最初、あんなに激しく発酵をしていた培地ボトルも、やがて静 かな発酵に変わってきます。 プチ 10 同時に、少し色が薄くなります。というよりも、白濁してきま す。 プチ 11 セットした時は、透かしてみると向こうが見えたのに今は見え なくなっています。 これは、分解によって澱がただよっているためです。 セットした時の色 静かな発酵時の色 12 でも、ご安心。10日もすると 上からだんだん透明になってきます。 13 この間に、ビン詰めの準備をします。 ●空きビン、2〜3本(仕込んだ量による)用意 雰囲気を出すには、ワインの空き瓶がよいでしょう。 私は、有り合わせのウイスキーや焼酎のビンを使っています。 これなりに、ギャップがおもしろく、いかにも密造的。 ●ビニールホース(直径7mm)を1.5m程度 コーナンの切り売りホース売り場 ●プラジョイント(ホースつなぎ) コーナンの熱帯魚売り場の小物コーナー 98円 ●少しづつ澱が沈澱していきます。 ●アールの外側 9 ポンチ 14 吸い出し用ホースを作ります。 ●ホースの端から20cm位の所に(ホースは自然なアールが 付いていますので、アールの外側になる位置)に、5mmより も小さめの穴を開けます。 ●この穴に、加工したプラジョイント A を差し込みます。 ●割り箸をホースに突っ込み 穴を開けるとやりやすい 9 約20cm ●ポンチがない時は、ライターで熱した針 金や千枚通しでも可能 接着しなくてもよいように、小さめの穴にギュッと差込む。 プラジョイントの代わりに5mm程度のパイプでも可能 プラジョイントの加工 A ●片方を図のようにカット ↑約4mm ↓ 15 さ〜て、3週間程経過するとすっかりおとなしくなっています。 澱も底に沈澱し、透明感のあるワイン色の液体でボトルが満 たされています。 よーく見ると、時折り小さな泡が上っていきます。 そーとグラスに注いで飲んでみると、デキテル〜! チョット、硬さがあるが、ワインや〜!! ●小さな気泡がプツとゆーらり。 16 光にかざしてみると、透明とはいえ、すこーし透明感に乏しい ナという状態です。 17 あと1週間おくと、完全に透明状態になります。ウッシシ! (温度その他の条件により、多少期間は変わります) ●沈澱した澱 ワンポイントアドバイス 1 この段階でビン詰めは可能です。熟成後、飲む時に多少ビン 底の澱をがまんすれば。 リスクもありますが、メリットもあります。 うまくいけば、熟成後、スパークリング培地になります。 (注) ビンは「なで肩丸ビン」 。角ビンは使用禁止。 ――― 杜氏のつぶやき ――― 製造に慣れたある日。結果を急ぐあまり、早めにビン詰めをしました。 たまたま、深夜一人でいた時「クワシャン!」 という変な音。 「キショクワ ルー」誰かおるんかいな。 数日後、そうや、もうぼちぼちできてるな、アレ呑んだれ。 貯蔵庫を開けると、ガラス片が散乱し水浸し。 ○ ○ △ 「クワシャン!」の原因が解りました。破裂していたのです。急ぎガラス片を 回収し、貯蔵庫の水洗い。 終わって一息「ホッ!」残った別のビンの、ふたを開けると、 「シュワー」 。 今度は、デスクの掃除。掃除しながら、それ呑んだ。 「なんや、これ ファンタ グレープや 一月かけてこれかいな」 、ブツブツ言い ながら掃除と、お代わり。終わった時にはホロ酔い気分。 「これ、旨いな」 こんなん出来るんや。 この時の材料●SAVINGのグレープジュース ※貯蔵庫=大層な物ではありません、釣などに持っていくクーラー (氷を 入れて冷やす) 18 仕込みから1カ月後、 発酵も終わり完全な透明状態になります。 澱も底に1cmくらい沈澱した状態です。使用する材料により 澱の厚みは異なります。 光に透かすとキレイなワイン色。 19 いよいよ、ビン詰めです。 吸い出し用ホースをアルコールできれいに消毒します。風通 しのよい所にぶら下げてアルコール分を蒸発させてくださ い。 ●沈澱した澱 ■図1/ビン詰め時の配置 20 ビンは煮沸消毒し、ドライヤーで乾燥させます。 純粋のアルコールを使った時には 火気に注意してください。 プラジョイント 約50cm 21 ビン詰めは、テーブルと箱などを台にして、図1のように配置 します。 ホース A のプラジョイント側を空き瓶に、片方が培地ボトル で、あまり下まで入れると澱を吸い込みますので途中まで。 ××× 22 水面より高い位置で、左手側のホースを2ツ折りにし、右手は プラジョイントの近くを持ち。プラジョイントをくわえ、軽く 吸います。 23ホースの半分以上まで吸い込んだら、口を離し。 24 すばやく右手の親指で、プラジョイントを押さえます。 22 2ツ折り 23 口を離す 吸う 24 25 26 親指で押さえる 高い位置で 25 そのまま、ゆっくりと、ホースをビンに差し込み。 26 おもむろに左手を離すと、心地よくビンに流れていきます。 培地ボトルのホースを時々下へ移動させながら、ビンに溜る のを待ちます。 ド ボ ●この培地は、酸化を嫌います。なる べく空気と混ざらないように、ホース をビンの側面に当てて、側面に添 わせて流れるようにしてください。 ド ボ 27 ビンが満タンになれば、左手でホースを2ツ折にして、流れを 止め、次のビンに移ります。 28 詰め終われば、しっかりとフタをして、製造年月日を記載した ラベルを貼って完成、冷暗所で保存。あとは、熟成。 1カ月は寝かせたいところですが、いつも2週間くらいで呑ん でしまいます。 発酵途中の味見で無くなり、完成を見なかったこともありまし た。 残った澱は、パンを作る時に混ぜると美味しいパンが焼ける という事を聞きました。まだ、試していません。 × 気泡が立ち 酸素と混ざる ○ 気泡が立た ないように ――― 杜氏のつぶやき ――― 安く作りたい、1本200円以内で。それと、本物の酵母を手に入れ たい。そこで思い付いたのが、アドバイス3の方法です。何度も継続 することで、分解に適した菌に徐々に変化していくのではないか。また、 突然変異で出来るのでないか。 やってみると、同じように作れるという一応の結果は得られました。 ただ、望んでいるようなよい菌が出来たかどうか解りません。 ワンポイントアドバイス 2 安く上げるには、原材料の仕入れです。広告の品や値引きシ ールを貼った物を購入するのがポイント。どうせ、発酵させる のだから、賞味期限が近づいていても大丈夫です。 何度か繰り替えしている時、ふと気がつきました。 「ひょっとして、突 然変異で変な菌が出来てはいないだろうか」 「アルコールと二酸化炭 素に分解せず、他の物に分解する」 というようなこと。 「もし、身体に 悪い毒にでも分解してたら、エライコッチャ」 。 娘が、淡水に棲む微生物や菌の研究をしているので、出来た培地 を持っていきがてら、尋ねてみると。 ワンポイントアドバイス 3 発酵が始まって1週間後、新しく培地を準備して、発酵途中の ボトルから100〜200cc程度移すと、2日もすれば新たな発 酵が始まります。イースト菌、モルトの節約です。 この方法で、5・6回連続して作ったことがあります。これの、 難点は、毎週作り続けなければならないことで、それがプレッ シャーになりました。 「大丈夫、基本的な性質、特にDNAにかかわる事は変わらない。 イースト菌のDNAには、糖分をアルコールと二酸化炭素に分解する ……なんたら、かんたら……」 と、とにかく大丈夫らしい。ヨカッタ! もう出来たヤツ、大分呑んでいたから。 ただ、 「変化する可能性は大いにあるヨ」と。それは「外形状の変 化。例えば、本来、毛が生えているのに毛のない菌になるとか…」 「同長短足の菌とか…」 それを聞いてちょっと変な気持ちになりました。 最近は、2・3回までにしています、この方法は。 2 工夫次第でもっと色々な方法があると思います、CO の作り方には…
© Copyright 2024 Paperzz