No.9(3月10日)

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☆☆本メールは日本化学療法学会電子情報配信誌[JSC-WIRE]の No. 9 です。☆☆
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【日本化学療法学会事務局からのお知らせ】
○現在の会員数:3,434 名(正会員)、236 件(団体会員)、32 社(賛助会員)
○【重要】日本化学療法学会事務局移転のお知らせ
○【重要】英文誌「Journal of Infection and Chemotherapy」会員への提供
○第 54 回日本化学療法学会総会
○第 53 回日本化学療法学会東日本支部総会
○第 54 回日本化学療法学会西日本支部総会
○第 10 回西太平洋化学療法・感染症学会
○ICD 新規申請
○ICD 制度講習会
【行政関連情報】
○【【厚生労働省】新型インフルエンザ対策関連情報
○【EMEA】医薬品を介した感染体伝播が疑われる報告についてのガイドラインを公表
○【Health Canada】【FDA】テリスロマイシンによる肝障害に関する注意喚起
○【TGA】フルオロキノロン系抗菌薬における腱障害の注意喚起
【新薬情報】
○リボソーム構造の解明に基づく新規抗菌薬の創製
○アミノアシル tRNA 合成酵素を標的とする新規抗菌薬・抗真菌薬
○アミノグリコシド抗生物質の模倣化合物の抗菌活性
○ソルターゼは肺炎球菌の鼻咽頭への定着に関与している
○病原菌の持続的な生存に2成分制御系遺伝子が関与している
○新しいキノロンの PK/PD 的な特徴を活かした治療法
○口腔内 S.mutans のバイオフィルム形成阻害剤の開発
○新規抗生物質 Retapamulin はアクネ菌に優れた抗菌力を示す
○新規ストレプトグラミン系 XRP 2868 の PK/PD 解析
○新規キノロン DX-619 は耐性黄色ブドウ球菌を選択しにくい
○標的分子の三次元構造に基づく新規抗真菌薬の開発
○アゾール系抗真菌薬 BAL4815 の第1相試験;単回及び反復投与
○新規エキノカンジン系 Anidulafungin と Voriconazole 併用の第1相試験
○抗ウエストナイルウイルス物質の HTS 法
【学術情報】
○規制当局は耐性菌対策を講じる必要がある
○イギリス保健省が MRSA の判定及び感受性試験法 GL を発表した
○Ciprofloxacin は肺炎球菌の排泄ポンプ耐性菌を容易に生じる
○Ciprofloxacin 耐性で Nalidixic Acid 感性の Salmonella 属菌の出現
○Telithromycin に高度耐性の肺炎球菌の出現
○アンリカにおける赤痢蔓延の実態
○臨床効果を予測するのに適したマウス肺炎球菌感染モデル
○Gentamicin による聴覚毒性機序の解明と回避法
○Linezolid は抗鬱剤として発見されたことを考慮する必要がある
○カナダにおけるデフィシレ菌院内感染の実態
○Moxifloxacin のスイッチ療法に関する市販後調査成績
○糖尿病性の足部感染症に対する Ertapenem の 1 日 1 回投与療法
○ARTEMIS のディスク法による抗真菌薬感受性サーベイランス成績
○HIV 陽性結核患者由来の結核菌の遺伝子に特定の傾向は認められない
○抗 HIV 薬の投与には患者の CYP 遺伝子多型を考慮する必要がある
○未熟児に対する 6 種混合ワクチンの有用性
【企業情報】
○ガレノキサシンの国内共同開発・販売契約が基本合意された
○ガレノキサシンの新薬承認申請が FDA に受理された
○ニューキノロン系トスフロキサシンの点眼剤が承認された
○米国でエキノカンジン系抗真菌薬 Anidulafungin が承認された
【連載:PK/PD】
○8. ED50 (LD50)
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【日本化学療法学会事務局からのお知らせ】
○現在の会員数(3 月 1 日現在)
3,434 名(正会員)、236 件(団体会員)、32 社(賛助会員)
○【重要】日本化学療法学会事務局移転のお知らせ
事務局が移転致しましたので、今後のご連絡は下記にお願い致します。
新住所:〒113-0033
東京都文京区本郷 3-28-8
日内会館 B1
TEL:03-5842-5533 FAX:03-5842-5133
E-mail:karyo@jc4.so-net.ne.jp (変更なし)
○【重要】英文誌「Journal of Infection and Chemotherapy」会員への提供について
「Journal of Infection and Chemotherapy」については、現在、評議員および
希望者のみ購入して頂いておりますが、平成 18 年より個人会員に限り
会員全員へオンラインジャーナルとして無料で提供できるようになりました。
閲覧方法については、下記をご覧下さい。
http://www.chemotherapy.or.jp/journal/jic/index.html
尚、冊子をご希望の方は別途料金(個人会員:7,500 円、団体・賛助会員:10,000 円)
を申し受けますので、会員番号、氏名をご記入の上、事務局までご連絡下さい。
今後とも学会誌発展のため、ご投稿・ご支援頂きますようお願い致します。
○第 54 回日本化学療法学会総会
会期:2006 年 5 月 18 日(木)~19 日(金)
会長:西野武志(京都薬科大学)
会場:京都国際会館
http://www.congre.co.jp/karyo2006/index.html
○第 53 回日本化学療法学会東日本支部総会
会期:2006 年 10 月 26 日(木)~27 日(金)
会長:戸塚恭一(東京女子医科大学感染対策部感染症科)
テーマ:「ベッドサイドからの感染症学・化学療法学」
会場:京王プラザホテル
〒160-8330
新宿区西新宿 2-2-1
TEL:03-3344-0111
FAX:03-3345-8269
合同学会ホームページ(2006 年 3 月より開設予定)
事務局:〒181-8611 三鷹市新川 6-20-2
杏林大学医学部
担当
第一内科学教室内
青島 正大
TEL 0422-47-5511(内線 7423)Fax 0422-44-1894
E-mail:godo2006@kyorin-u.ac.jp(ホームページ開設後)
○第 54 回日本化学療法学会西日本支部総会
会期:2006 年 12 月 2 日(土)~3 日(日)
会長:松本哲朗(産業医科大学泌尿器科)
会場:福岡国際会議場
http://www.chemotherapy.or.jp/meeting/nishi/index.html
○第 10 回西太平洋化学療法・感染症学会
会期:2006 年 12 月 3 日(日)~6 日(水)
会長:熊澤淨一(九州大学)
会場:福岡国際会議場
http://www.congre.co.jp/10wpccid/index.html
○ICD 新規申請
18 年度の申請より申請書類が変更となります。以下に注意事項等お示し致しますので、
申請の際はご留意下さい。
ICD 新規申請書 http://www.chemotherapy.or.jp/download/icd_shinsei.pdf
(1)申請書類-1
・印鑑が抜けていないかどうかご確認下さい。
・氏名にふりがなが付いているかどうかご確認下さい。
(2)申請書類-2-1
・活動内容が具体的に記載されているかどうかをご確認下さい。
「感染対策委員」のみの記載では不可となります。
・証明者につきましては、◯印がついているかどうかをご確認下さい。
原則として感染対策委員長または院長の証明以外は認められません。
(3)申請書類-2-2
ICD 講習会参加時間により取得できる単位が異なります。3 回ご出席されていて
も遅刻・早退等で 45 単位を充たしていないことがあります。減点の場合、
参加証に記載してありますので、ご確認をお願いします。
(4)申請書類-3
必ず所属長の公印(◯◯病院長または◯◯病院と施設名が入っているもの)か
どうかご確認下さい。私用の印は不可となります。
(5)申請書類-4
変更ありません。
(6)その他
申請料振込のコピーの添付をご確認下さい。
医師免許証または学位記を取得後 5 年以上経過しているかどうかご確認下さい。
○ICD 講習会
http://www.chemotherapy.or.jp/workshop/icd_index.html
聴講には事前申込が必要です。講習会申し込みは ICD 制度協議会へお申し込み下さい。
申し込みについて: http://www.chemotherapy.or.jp/workshop/icd_moshikomi.html
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【行政関連情報】
○【厚生労働省】新型インフルエンザ対策関連情報
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
○【EMEA】医薬品を介した感染体伝播が疑われる報告についてのガイドラインを公表
http://www.emea.eu.int/pdfs/human/euleg/29641205en.pdf
○【Health Canada】【FDA】テリスロマイシンによる肝障害に関する注意喚起
Annals of Internal Medicine に掲載された論文において、テリスロマイシンに関連
した肝不全が 3 例報告されていること等を受け、「肝障害がある患者に対して使用す
べきではないこと」等を注意喚起。
http://www.hc-sc.gc.ca/ahc-asc/media/advisories-avis/2006/2006_07_e.html
http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/telithromycin/default.htm
○【TGA】フルオロキノロン系抗菌薬における腱障害の注意喚起
2005 年よりこれまでにアキレス腱炎等 16 件の腱障害の報告があり、うち 8 件でフル
オロキノロン(fluoroquinolone)系薬との関連が示唆されたことを受けた注意喚起。
リスクファクターは、加齢やステロイド剤の併用。
http://www.tga.health.gov.au/adr/aadrb/aadr0602.htm
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【新薬情報】
○リボソーム構造の解明に基づく新規抗菌薬の創製
The Bacterial Ribosome as a Target for Antibiotics
細菌リボソームのX線結晶解析の進歩により、タンパク合成系を阻害する抗菌薬の
作用と耐性機序の詳細が解明されつつある。リボソームの抗菌薬結合部位の微細構造
解析に基づいて、より強力で耐性菌に有効な誘導体を創製できることを論じている
(Nature Rev Microbiol 3; 870-881, 2005 年 11 月)
→ http://www.nature.com/nrmicro/journal/v3/n11/abs/nrmicro1265_fs.html
○アミノアシル tRNA 合成酵素を標的とする新規抗菌薬・抗真菌薬
Minireview
Prospects for Aminoacyl-tRNA Synthetase Inhibitors as New
Antimicrobial Agents
英国の Dr. Chopra による総説であり、Mupirocin で実証されているように、アミ
ノアシル tRNA 合成酵素阻害剤は優れた抗菌薬となることを論じている。微生物生産
物の中に数多くの阻害剤が発見されているが、抗菌力が弱いとか選択毒性が低いなど
の理由で実用化されていない。最近のX線結晶解析の進展に伴い、in silico でのド
ラッグデザインが行われている。Cispentacin がカンジダのアミノアシル tRNA 合成
酵素を阻害することから、新規抗真菌薬創製の可能性も論じている(Antimicrob. Ag
Chemother. 49; 4821-4833, 2005 年 12 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/full/49/12/4821
○アミノグリコシド抗生物質の模倣化合物の抗菌活性
Structure-Guided Discovery of Novel Aminoglycoside Mimetics as
Antibacterial Translation Inhibitors
アミノグリコシド抗生物質構造を模倣してデザインした一連のジアミノピペリジニ
ルトリアジンは、in vitro で rRNA に作用して翻訳を阻害し、コードの誤読を起し
た。グラム陽性菌及び緑膿菌を含むグラム陰性菌の生育を阻害し、ヒト培養細胞への
毒性は低かった。代表的な化合物は、マウスの大腸菌感染に対して静注単回投与で
PD50 は 2.4mg/kg であり、さらに優れた化合物が得られる可能性がある
(Antimicrob Ag Chemother 49; 4942-4949, 2005 年 12 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/49/12/4942
○ソルターゼは肺炎球菌の鼻咽頭への定着に関与している
Sortase A contributes to pneumococcal nasopharyngeal colonization in the
chinchilla model
黄色ブドウ球菌のソルターゼは細胞壁合成の架橋段階に関与しており、その阻害剤
の探索が行われているが、肺炎球菌のソルターゼAは鼻咽頭への定着に関わっている
ことが報告された。チンチラの実験感染系において、ソルターゼA非産生株(SrtA)
は親株に比して定着性が低く、速やかに消失することが認められており、ソルターゼ
A阻害剤は抗感染薬として有望である(FEMS Microbiol Lett. 253; 151-154, 2005
年 12 月 1 日)
→ http://www.sciencedirect.com/science
○病原菌の持続的な生存に2成分制御系遺伝子が関与している
Central role of a bacterial two-component gene regulatory system of
previously unknown function in pathogen persistence in human saliva
A群溶連菌が上気道に持続的に生存することに2成分制御系遺伝子が働いているこ
とが確かめられた。血清型 M1 株の唾液中での生育をトランスクリプトーム解析した
ところ、sptR/S と呼ぶ2成分制御系遺伝子のトランスクリプトが動的に変化した。
同遺伝子変異株は唾液中での生存力が減弱していた。生存に関与する遺伝子の解明は、
新たな抗感染戦略を示唆する(Proc Natl Acad Sci 102; 16037-16042, 2005 年 11 月 1
日)
→ http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/102/44/16037
○新しいキノロンの PK/PD 的な特徴を活かした治療法
Review
Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of the New Quinolones
Garenoxacin などの新しいキノロンの PK/PD 的な特徴に基づき、呼吸器感染症に
対する適切な治療を啓発する総説である。治療へのレスポンスを早め、耐性菌の出現
を避けるような治療法を確立するためには、新しいキノロンの PK/PD 的な特徴を十
分に理解することが必要であると論じている(J Pharm Pract. 18; 432-443, 2005
年 12 月 1 日)
→ http://jpp.sagepub.com/cgi/content/abstract/18/6/432
○口腔内 S.mutans のバイオフィルム形成阻害剤の開発
Evaluation of oxazaborolidine activity on Streptococcus mutans biofilm
formation
ホウ素を含む 8 種の化合物(oxazaborolidine)を合成し、S.mutans の付着及びバ
イオフィルム形成阻害活性を検討した。ホウ素-ブチルの部分構造は付着阻害を示す
が、ホウ素が融合複素環に存在すると阻害はなく、ホウ素-フェニルの部分構造は付
着を促進するという、明らかな構造-活性相関が認められた。この系統の化合物が口
腔内 S.mutans のバイオフィルム形成阻害剤として開発される可能性がある(Int J
Antimicrob Ag. 26; 491-496, 2005 年 12 月)
→ http://www.sciencedirect.com/science
○新規抗生物質 Retapamulin はアクネ菌に優れた抗菌力を示す
Comparative In Vitro Activities of Retapamulin (SB-275833) against 141
Clinical Isolates of Propionibacterium spp., Including 117 P. acnes Isolates
GSK 社が外用剤として開発中のプリューロムチリン系抗生物質 Retapamulin は 45th
ICAAC で多数の発表があり注目された新薬であるが、それらの発表のうちの
Propionibacterium 属菌に対する抗菌力の検討成績の論文である。試験に供した臨床
分離 141 株の全てが同薬の 1mcg/mL 以下の濃度で阻止され、Tetracycline
や Clindamycin 耐性菌にも同薬は有効であった(Antimicrob Ag Chemother 50;
379-381, 2006 年 1 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/50/1/379
○新規ストレプトグラミン系 XRP 2868 の PK/PD 解析
Pharmacodynamics of a New Streptogramin, XRP 2868, in Murine Thigh and
Lung Infection Models
新規ストレプトグラミン系 XRP 2868 について、好中球減少マウスの大腿及び肺感
染モデルによる PK/PD 解析を Dr. Craig らが発表した。経口で 2.5-40mg/kg を投
与すると、肺炎球菌と黄色ブドウ球菌のいずれにも好ましい in vivo PAE が認めら
れ、薬効に最も相関する PK/PD パラメーターは 24 時間 AUC/MIC であった。ベータラ
クタム耐性やマクロライド耐性の有無は、この PK/PD パラメーターに影響を与えな
かった(Antimicrob Ag Chemother 50; 243-249, 2006 年 1 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/50/1/243
○新規キノロン DX-619 は耐性黄色ブドウ球菌を選択しにくい
DX-619, a Novel Des-Fluoro(6) Quinolone Manifesting Low Frequency of
Selection of Resistant Staphylococcus aureus Mutants: Quinolone Resistance
beyond Modification of Type II Topoisomerases
Dr. David Hooper らは、新規キノロン DX-619 は黄色ブドウ球菌の GyrA と ParC に
同程度に作用することに注目し、人工的に 4 株の変異株を造成した。それらの 2 株は新
規な parC 変異、2 株は新規な gyrA 変異であり、後者の 1 株は parE の欠損変異も有
していた。耐性形質に関与するのは ParC であり、gyrA と parE 変異は関与しない。
それ故、DX-619 に耐性を示すには、未知の TopoII 変異が必要であり、耐性黄色ブ
ドウ球菌を選択しにくいのであろうと推定している(Antimicrob Ag Chemother 49;
5051-5057, 2005 年 12 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/49/12/5051
○標的分子の三次元構造に基づく新規抗真菌薬の開発
Review
Current state of three-dimensional characterisation of antifungal
targets and its use for molecular modelling in drug design
標的となる分子の三次元構造に基づいて新規抗真菌薬の開発が進んでいる。本総説
では、標的分子のX線結晶解析又は溶液NMR解析により、構造に基づいたリガンド
が得られていることを述べている。一方、コンピューターの活用により、データベー
ス検索と新規構造の創製という2つのアプローチがなされていることを解説し、三次
元の定量的な構造-活性相関(3D-QSAR)の有用性を述べている(Int J Antimicrob
Ag 26; 427-441, 2005 年 12 月)
→ http://www.sciencedirect.com/science
○アゾール系抗真菌薬 BAL4815 の第1相試験;単回及び反復投与
(1)Single-Ascending-Dose Pharmacokinetics and Safety of the Novel
Broad-Spectrum Antifungal Triazole BAL4815 after Intravenous Infusions (50,
100, and 200 Milligrams) and Oral Administrations (100, 200, and 400
Milligrams) of Its Prodrug, BAL8557, in Healthy Volunteers
(2)Multiple-Dose Pharmacokinetics and Safety of the New Antifungal
Triazole BAL4815 after Intravenous Infusion and Oral Administration of Its
Prodrug, BAL8557, in Healthy Volunteers
スイスの Basilea 社は Roche 社から導入した BAL8557(BAL4815 のプロドラッグ)
の開発を進めているが、同薬の健常成人における第1相試験成績の報告である。用量
を BAL4815 の 50 - 400mg に設定した経口及び点滴静注での単回投与成績が第 1 報、
100mg 又は 200mg を経口及び点滴静注で反復投与による成績が第 2 報として公表され
た(Antimicrob Ag Chemother 50; 279-285 及び 286-293, 2006 年 1 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/50/1/279
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/50/1/286
○新規エキノカンジン系 Anidulafungin と Voriconazole 併用の第1相試験
Safety and Pharmacokinetics of Coadministered Voriconazole and
Anidulafungin
Vicuron 社の Anidulafungin は、同社を買収した Pfizer 社の抗真菌薬の品揃え
に加えられるが、その市販後の臨床使用では Voriconazole と併用されることが予測
されており、本報は、それら2剤併用時の薬剤相互作用を主眼点とする安全性と PK
挙動に関する報告である。その併用による特殊な有害作用や、PK への影響はないと
している(J Clin Pharmacol 45; 1373-1382, 2005 年 12 月)
→ http://jcp.sagepub.com/cgi/content/abstract/45/12/1373
○抗ウエストナイルウイルス物質の HTS 法
High-Throughput Assays Using a Luciferase-Expressing Replicon, Virus-Like
Particles, and Full-Length Virus for West Nile Virus Drug Discovery
ウエストナイルウイルスに有効な新薬探索のために、3通りの HTS 法を検討した。
第1はウイルスレプリコンの一部、第2はレプリコン RNA がパックされたウイスル
様粒子、第3はウイルスゲノム全長を含む細胞を用い、ウイルスの複製はレプリコン
に導入したルシフェラーゼにより判定した。これら3法を使い分けることにより、ウ
イルス侵入、複製、アセンブリなど各段階の阻害物質を識別することが可能であり、
この方法は各種のフラビウイルスにも応用可能であるとしている(Antimicrob Ag
Chemother 49;. 4980-4988, 2005 年 12 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/49/12/4980
○ウエストナイルウイルスに有効性が期待される新規物質
Broad-spectrum inhibitor of viruses in the Flaviviridae family
Utah 州立大の Dr. Sidwell らによる 2-アミノ-8-(ベータ-D-リボフラノシル)
イミダゾ[1,2-a]-S-トリアジ-4-ノン(ZX-2401;ZymeTx 社)の抗フラビウイルス
活性に関する報告である。同物質は黄熱、デング、ウエストナイルなどのフラビウイ
ルスを EC50=3-10mcg/mL で阻害するが細胞毒性発現は 1mg/mL 以上である
(Antiviral Res 68; 49-55, 2005 年 11 月)
→ http://www.sciencedirect.com/science
○副作用を軽減した Ribavirin プロドラッグの臨床試験
Leading article
Treating HCV with ribavirin analogues and ribavirin-like
molecules
現在、HCV 感染症にはペグインターフェロンと Ribavirin の併用療法が行われて
いるが、溶血性貧血のために用量を減らさざるを得ない場合が多い。用量を減らすと
ウイルス除去率も低下する。肝臓に移行しやすい Ribavirin のプロドラッグ
Viramidine は第3相試験が行われており、他の同系化合物も後期第2相の段階にあ
る(J Antimicrob Chemother 57; 8-13, 2006 年 1 月)
→ http://jac.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/57/1/8
○HIV の CCR5 拮抗剤 Vicriviroc の作用と特徴
Discovery and Characterization of Vicriviroc (SCH 417690), a CCR5
Antagonist with Potent Activity against Human Immunodeficiency Virus Type 1
Schering 社が開発中の HIV CCR5 拮抗剤 Vicriviroc の作用に関する報告である。
同薬は Sch D と略称されていたが、類似の Sch C より活性が強く PK 性状に優れる
ので、開発が進められた。各種の遺伝性状が異なる耐性 HIV に有効であり、他のク
ラスの抗 HIV 薬と相乗的に作用する。Sch C より心毒性を起因する可能性は低い
(Antimicrob Ag Chemother 49; 4911-4919, 2005 年 12 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/49/12/4911
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【学術情報】
○規制当局は耐性菌対策を講じる必要がある
Antimicrobial Drug Resistance, Regulation, and Research
Dr. Dudley や Dr. Finch らの耐性菌に関する国際グループからの報告書である。
耐性菌の変貌に対応できるだけの有効な新規抗菌薬が開発されていない状況にあり、
耐性菌感染症の治療と耐性菌選択を最小化するための、当局の規制上及び立法上の考
慮が望まれる。PK/PD モデルは耐性菌選択を最小化するに適したアプローチであり、
用法・用量の設定や見直しなど、規制当局は国際的にアカデミアと協力して耐性菌対
策を講じる必要がある(Emerg Infect Dis. 12; 05-0078, 2006 年 2 月)
→ http://www.cdc.gov/ncidod/EID/vol12no02/05-0078.htm
○イギリス保健省が MRSA の判定及び感受性試験法 GL を発表した
Review
Guidelines for the laboratory diagnosis and susceptibility testing
of methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA)
イギリス保健省が専門家の協力を得て発表した MRSA の判定及び感受性試験法ガイ
ドラインが紹介された。通常の手法について詳細な規定を定めているが、最近の分子
生物学的な手法についても解説を加えている。フリーアクセスで提供されており、関
係者は一読する必要がある(J Antimicrob Chemother 56; 1000-1018, 2005 年 12 月)
→ http://jac.oxfordjournals.org/cgi/content/full/56/6/1000
○Ciprofloxacin は肺炎球菌の排泄ポンプ耐性菌を容易に生じる
Quinolone Efflux Pumps Play a Central Role in Emergence of Fluoroquinolone
Resistance in Streptococcus pneumoniae
Dr. Drusano らの報文であり、肺炎球菌のフルオロキノロン耐性には排泄ポンプが
主要な働きをしていることを述べている。新薬への耐性菌を生じないために、古い世
代の抗菌薬を活用することが推奨されているが、肺炎球菌に対する古いフルオロキノ
ロンの使用では、その推奨が逆効果を生じている。マウスの実験感染において、
Levofloxacin は耐性菌を生じないが、Ciprofloxacin は容易に排泄ポンプが変異し
た耐性菌を生じ、Levofloxacin と交差耐性を示す。Par や Gyr の変異は認められな
い。その耐性誘導は Ciprofloxacin の脂溶性に起因していると考えられる。新しい
フルオロキノロンへの耐性菌を生じないために、市中呼吸器感染には Ciprofloxacin
の使用を最小限度にすべきであると論じている(Antimicrob Ag Chemother 50;
310-317, 2006 年 1 月)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/50/1/310
○Ciprofloxacin 耐性で Nalidixic Acid 感性の Salmonella 属菌の出現
New Quinolone Resistance Phenomenon in Salmonella enterica: Nalidixic
Acid-Susceptible Isolates with Reduced Fluoroquinolone Susceptibility
東南アジアで分離された Salmonella enterica が Ciprofloxacin 耐性でありなが
ら、Nalidixic Acid (NA)に感性という新しいキノロン耐性パターンを示した。こ
のような耐性株が増加すると、フルオロキノロン感受性試験に NA ディスクを用いる
ことが不可能になると懸念される(J Clin Microbiol 43; 5775-5778, 2005 年 11 月)
→ http://jcm.asm.org/cgi/content/abstract/43/11/5775
○Telithromycin に高度耐性の肺炎球菌の出現
Emergence of a Streptococcus pneumoniae Clinical Isolate Highly Resistant
to Telithromycin and Fluoroquinolones
アルゼンチンの感染症研究所と Virginia の Commonwealth 大学の共同研究で、
Telithromycin の MIC が 256mcg/mL という高度耐性の肺炎球菌が確認されたが、同
株はフルオロキノロンにも耐性を示した。Telithromycin に対する高度耐性の機序に
ついては、現在検討中である(J Clin Microbiol 43; 5800-5803, 2005 年 11 月)
→ http://jcm.asm.org/cgi/content/abstract/43/11/5800
○アンリカにおける赤痢蔓延の実態
High Prevalence of Antimicrobial Resistance among Shigella Isolates in the
United States Tested by the National Antimicrobial Resistance Monitoring
System from 1999 to 2002
アメリカの全国規模で経年的に実施されている耐性菌モリタリングの報告であるが、
日本では想像もできない赤痢の現状が記載されている。アメリカでは、毎年 45 万人の
赤痢罹患者があり、6000 人以上が入院しているとのことである。日本では年間の罹患
者が 500-600 人程度であるのに比して、余りに多いことに驚かされる。S.sonnei
が 80%、S.flexneri が 18%の比率であり、他地域と変わらず、Ampicillin 耐性菌
が 78%、ST 合剤耐性菌が 46%という耐性率も変わらない。分離された約 1600 株のう
ちで Ciprofloxacin 耐性株は1株のみ、Ceftriaxone 耐性菌は認められなかったと
述べている(Antimicrobial Agents and Chemotherapy, January 2006, p. 49-54,
Vol. 50)
→ http://aac.asm.org/cgi/content/abstract/50/1/49
○臨床効果を予測するのに適したマウス肺炎球菌感染モデル
Low-dose aerosol model of pneumococcal pneumonia in the mouse: utility for
evaluation of antimicrobial efficacy
現在用いられているマウスの肺炎球菌感染モデルは、(1)肺感染に基づいておら
ず、薬剤の肺実質での PK を考慮していないものか、(2)高接種量で急激な肺炎を
起すものであり、抗菌薬の効果を判定するには不十分なモデルである。著者らは、低
菌量のエアゾール接種によるモデルを考案し、PRSP と PISP 感染を Ertapenem で治
療したところ、ヒトの臨床用量に相当する用量で効果が認められた(Int J
Antimicrob Ag 26; 497-503, 2005 年 12 月)
→ http://www.sciencedirect.com/science
○Gentamicin による聴覚毒性機序の解明と回避法
Pivotal role of Harakiri in the induction and prevention of
gentamicin-induced hearing loss
Gentamicin が聴覚毒性を起因する機序をモルモットで検討したところ、細胞外シ
グナル制御性のキナーゼにより聴覚細胞がアポトーシスを起すことが分り、そのプロ
セスには “Harakiri” と呼ばれる前アポトーシス因子が関与していた。この
Gentamicin による聴覚細胞のアポトーシスを、L-カルニチンが抑制することが確か
められたので、Gentamicin の聴覚毒性を回避する方法になると論じている(Proc
Natl Acad Sci 102; 16019-16024, 2005 年 11 月 1 日)
→ http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/102/44/16019
○Linezolid は抗鬱剤として発見されたことを考慮する必要がある
Linezolid-Associated Serotonin Syndrome After Concomitant Treatment With
Citalopram and Mirtazepine in a Critically Ill Bone Marrow Transplant
Recipient
Linezolid は、当初はセロトニンやノルエピネフリンの細胞内代謝をブロックする
抗鬱剤として発見されたことを考慮する必要がある。その後に、耐性菌に有効な抗菌
薬として開発されたのである。薬剤を臨床適応に従って作用機序分類を行いがちであ
り、Linezolid の抗鬱剤としての性質を忘れがちであるが、極めて重篤な脊髄移植患
者において、Linezolid と Citalopram 及び Mirtazepine の併用でセロトニン症が
認められた(J Intens Care Med 20; 303-305, 2005 年 12 月 1 日)
→ http://jic.sagepub.com/cgi/content/abstract/20/6/303
○カナダにおけるデフィシレ菌院内感染の実態
A Predominantly Clonal Multi-Institutional Outbreak of Clostridium
difficile_Associated Diarrhea with High Morbidity and Mortality
カナダ Quebec 州の 12 病院で、2004 年にプロスペクティブに行われたデフィシレ菌
院内感染の実態調査成績である。合計で 1703 名の患者に 1719 エピソードの院内感染に
よるデフィシレ菌性下痢が認められた。これは入院 1000 例に 22.5 例という高頻度であ
る。30 日以内の死亡率は 6.9%であった。ケースコントロールで検討したところ、フ
ルオロキノロンとセファロスポリンの投与がオッズ比 3.9 及び 3.8 で最も相関していた。
主要な起炎菌としてフルオロキノロン耐性菌が 82.2%であり、トキシンA及びB遺伝
子を有していて tcdC 遺伝子が部分欠如した株が 84.1%であった(New England J
Med 353; 2442-2449, 2005 年 12 月 8 日)
→ http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/353/23/2442
○Moxifloxacin のスイッチ療法に関する市販後調査成績
Efficacy and Tolerability of Sequential Intravenous/Oral Moxifloxacin
Therapy in Pneumonia: Results of the First Post-Marketing Surveillance Study
with Intravenous Moxifloxacin in Hospital Practice
Moxifloxacin 静注製剤の市販後調査として行われた、肺炎に対する静注から経口
へのスイッチ療法における効果と安全性及び耐容性に関する成績が発表された。総
数 1749 例で、その 99.3%までが 1 日 1 回 400mg 投与であった。平均投与日数は 7.6 日で
あり、経口への切り替えは平均 4.1 日目であった。有効率は 82.9%、薬剤に相関する
有害事象は 2.6%であった(Clin Drug Invest 25; 691-700, 2005 年 11 月)
→ http://pt.wkhealth.com/pt/re/lwwonline/home.htm
○糖尿病性の足部感染症に対する Ertapenem の 1 日 1 回投与療法
Ertapenem versus piperacillin/tazobactam for diabetic foot infections
(SIDESTEP): prospective, randomised, controlled, double-blinded, multicentre
trial
糖尿病性の足部感染症に対する Ertapenem と Piperacillin/Tazobactam の二重盲
検無作為比較試験の成績である。Washington 大学を中心に米国内の多施設で、
Ertapenem 1 日 1 回 1g の 295 例と Piperacillin/Tazobactam 3.375g を 1 日 4 回の 291 例
で、
最低 5 日間投与した比較が行われた。症例の重篤さを考慮して、試験薬投与後は
Amoxicillin/Clavulanate を 28 日目まで投与可としている。両群間に臨床効果の相違
は認められず、Ertapenem の 1 日 1 回投与療法は患者にメリットがあると論じている
(Lancet 366; 1695-1703, 2005 年 11 月 12 日-18 日)
→ http://www.sciencedirect.com/science
○ARTEMIS のディスク法による抗真菌薬感受性サーベイランス成績
Results from the ARTEMIS DISK Global Antifungal Surveillance Study: a
6.5-Year Analysis of Susceptibilities of Candida and Other Yeast Species to
Fluconazole and Voriconazole by Standardized Disk Diffusion Testing
米国、英国、中国、ロシア、アルゼンチン、ハンガリーなど 39 ケ国において 6 年半
にわたり実施された ARTEMIS のディスク法による抗真菌薬感受性試験成績の報告で
ある。総件数は 14 万件を超えており、2001 年から 2003 年の間に Voriconazole に対す
る酵母状真菌約 7 万 9 千株のデータが蓄積されている。感受性は CLSI の M44A ディス
ク法で行われており、当然のことながら、Voriconazole に対する感性率は
Fluconazole より高率であった(J Clin Microbiol 43; 5848-5859, 2005 年 12 月)
→ http://jcm.asm.org/cgi/content/abstract/43/12/5848
○HIV 陽性結核患者由来の結核菌の遺伝子に特定の傾向は認められない
Survey of human immunodeficiency virus (HIV)-seropositive patients with
mycobacterial infection in Japan
日本の国立国際医療センターと他の国立 7 医療センターの共同研究であり、その標
題からは、国内で HIV と結核の混合感染の実態調査が行われたと期待させられるが、
その内容は、HIV 陽性の抗酸菌感染患者から分離された抗酸菌の DNA の多様性を検
討したものである。合計 86 株の分離菌のうち、結核菌 48 株の DNA の制限酵素分解パ
ターンは、HIV 陰性の結核患者からの分離菌と同様に極めて多様であり、HIV 陽性に
相関する特定の傾向は認められなかった。M.avium 36 株においても、同様に特定の傾
向は認められない(J Infect 51; 364-374, 2005 年 12 月)
→ http://www.sciencedirect.com/science
○抗 HIV 薬の投与には患者の CYP 遺伝子多型を考慮する必要がある
Pharmacogenetics of Long-Term Responses to Antiretroviral Regimens
Containing Efavirenz and/or Nelfinavir: An Adult AIDS Clinical Trials Group
Study
抗 HIV 薬のうち、NNRTI である Efavirenz と PI である Nelfinavir はそれぞれ、
チトクロム P450 の CYP2B6 と CYP2C19 により代謝され、CYP3A も多少関与する。
Nelfinavir は P-糖タンパクの基質になる。当然のことながら、エイズ患者の CYP 遺
伝子多型による薬効の相違が予測される。本報では、naive の成人エイズ患者 504 名
(Efavirenz 処方 340 名、Nelfinavir 処方 348 名、184 名は両剤を処方)を対象とし
て 3 年間にわたるフォローアップを行い、遺伝子多型と薬効の関係を解析している(J
Infect Dis 192; 1931-1942, 2005 年 12 月 1 日)
→ http://www.journals.uchicago.edu/JID/journal/
○未熟児に対する 6 種混合ワクチンの有用性
Response of Preterm Newborns to Immunization With a Hexavalent
Diphtheria_Tetanus_Acellular Pertussis_Hepatitis B Virus_Inactivated Polio
and Haemophilus influenzae Type b Vaccine: First Experiences and Solutions
to a Serious and Sensitive Issue
開発途上国など医療資源の乏しい状況では、多種の混合ワクチンの接種が望ましい
が、免疫原性の問題や倫理的な問題があり、実現していない。著者たちは、易感染性
の未熟児に対するジフテリア・破傷風・百日咳・B型肝炎(HBV)・ポリオ・インフ
ルエンザ菌B型(Hib)の 6 種混合ワクチンの有効性と安全性を検討した。94 名の未熟
児(平均在胎 31 週)を対象に、92 名の成熟児を対照として、6 種混合ワクチンを 2 ケ月、
4 ケ月、6 ケ月の 3 回接種した。未熟児においては、Hib と HBV に対する反応が僅かに
低いが、百日咳に対しては成熟児と同等の高い反応を示した。未熟児における特別な
有害事象はみとめられなかった。未熟児に対する 6 種混合ワクチンの接種は有用であ
ると結論している(Pediatrics 116; 1292-1298, 2005 年 12 月)
→ http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/abstract/116/6/1292
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【企業情報】
○ガレノキサシンの国内共同開発・販売契約が基本合意された
「ニュータイプのキノロン系合成抗菌剤「T-3811」日本国内での販売および共同開
発等に関する基本合意のお知らせ」
富山化学とアステラス製薬は、富山化学が創製したニュータイプのキノロン系合成
抗菌剤「T-3811」(一般名:ガレノキサシン)の経口剤について、国内における販売、
および共同開発等に関する契約について基本合意をした。今後、両社は本年 3 月 31
日までにライセンス基本契約を締結する(富山化学工業ホームページ;ニュース
2006 年 1 月 26 日)
→ http://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/060126133221.html
(提供
富山化学工業)
○ガレノキサシンの新薬承認申請が FDA に受理された
「ニュータイプのキノロン系合成抗菌剤「T-3811」(ガレノキサシン)米国シェリ
ング・プラウ社
FDA 申請受理のお知らせ」
富山化学工業株式会社は、シェリング・プラウ・コーポレーションより、米国食品
医薬品局(FDA)に対し、新薬承認申請(NDA)を行っている「T-3811」の申請が受理
されたとの連絡を受けた。加えて、欧州医薬品審査庁(EMEA)に対しても、今年中に
新薬承認申請を行う計画であることが発表されている(富山化学ホームページ;ニュー
ス
2006 年 2 月 13 日)
→ http://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/060213155703.html
(提供
富山化学工業)
○「ニューキノロン系合成抗菌点眼剤「オゼックス点眼液 0.3%」「トスフロ点眼
液 0.3%」製造販売承認取得のお知らせ」
富山化学工業株式会社と株式会社ニデックは、両社で共同開発したニューキノロン
系合成抗菌点眼剤トシル酸トスフロキサシン点眼液(製品名:「オゼックス点眼
液 0.3%:富山化学」「トスフロ点眼液 0.3%:ニデック」)が、製造販売承認を取得した
ことを発表した。適応症は眼瞼炎、涙嚢炎、麦粒腫、結膜炎、瞼板腺炎、角膜炎であ
る(富山化学工業ホームページ;
ニュース
2006 年 1 月 23 日)
→ http://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/060123144817.html
(提供
富山化学工業)
○米国でエキノカンジン系抗真菌薬 Anidulafungin が承認された
Pfizer Receives FDA Approval for EraxisTM to Treat Candidemia, a
Potentially Life-Threatening Bloodstream Infection
Anidulafungin は Vicuron 社が開発を行っていたが、2005 年 9 月に同社を Pfizer 社が
吸収合併したことに伴い Pfizer 社の pipeline に加えられた。FDA が承認した同薬の適
応症はカンジダ血症、カンジダによる腹膜炎及び腹腔内膿瘍である。同薬が承認され
たことにより、Pfizer 社の抗真菌薬は Fluconazole、Voriconazole と合わせて、充実
した品揃えになる(Pfizer News Release
2006 年 2 月 21 日)
→ http://www.pfizer.com/pfizer/are/news_releases/2006pr/mn_2006_0221.jsp
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【連載:PK/PD】
8. ED50 (LD50)
基礎的に in vivo PK/PD の検討に用いる菌株のマウスに対する菌力は菌株によって
違う。この菌力の違いが治療効果に影響することから、予め用いる菌株のマウスに対
する菌力を種々の菌量を接種し、一定期間生死を観察して感染したマウスの半数を死
亡させるのに必要な感染菌量を算出する。異なる場所・時期・実験者が実施した基礎
検討成績の比較評価を可能するためには、この菌力を同じ条件にすることが重要な要
因の1つとなる。また、違う菌株・菌種での治療効果の比較評価を試みる場合におい
ても、菌力を同じ条件にすることは重要である。このような比較評価を可能にするた
めに、LD50 値を算出して感染させた菌量が LD50 値の何倍であるかを明記する必要があ
る。
また、異なる場所・時期に同じ条件下で行った治療効果を比較評価する際、その比較
を可能にするためには適正に比較できる値が必要である。この値の1つに ED50 がある。
投与量を多くすることにより治療効果は良好となるが、ある投与量以上になると治療
効果が一定となる。この最大限の治療効果の半分の治療効果を得るのに必要な投与量
を ED50 という。この ED50 は、同条件下の感染モデルにおいて、異なる抗菌薬の治療効
果を比較評価するために用いる場合が多い。治療効果には 1 日総投与量は同じでも、
投与間隔や投与回数の違いが治療効果に影響することから、比較評価をする場合には
投与間隔と投与回数を同じにする必要がある。
(宮崎修一)
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JSC-WIRE-No.9[2006 年 3 月 10 日, 第 9 号]
☆発行:日本化学療法学会 学会誌編集委員会
☆編集:JSC-WIRE 編集室
編集担当:満田年宏, 八木澤守正
☆JSC-WIRE 編集担当補佐(50 音順):
木津純子, 清田浩, 佐藤淳子, 宮崎修一[編集委員長]
☆お問い合わせ先:
〒113-0033
東京都文京区本郷 3-28-8
日内会館 B1
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※本誌に関するお問い合わせメールアドレス:
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