OD-6-2 橈骨遠位端骨折術後のQuick-DASHスコアとSF-12との関係 Relation between the Quick-DASH score after radius long distance place end bone fracture operation and SF-12 ○石川貴史 (OT),大茂壽久 (Dr.) 社会医療法人共愛会 戸畑共立病院リハビリテーション科 Key words: 橈骨遠位端骨折,DASH,QOL 【はじめに】 当院では橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定を行っており,術後早期よりリハビリ 介入をし,早期機能改善・早期退院を図っている.当院で手術を行った方の多くは術後1週間以内に は退院しているが,その中には機能改善が不十分な症例もいる.今回,機能改善が不十分となる要因 を調べるため,健康関連QOLに着目し調査を行った. 【方法】 橈骨遠位端骨折術後の56症例(平均年齢70±15歳)を対象に術後1週のQ-DASHスコアとSF-12 を評価し,Q-DASHスコアの得点とSF-12の下位尺度8項目の得点をそれぞれ回帰分析を行い相関を みていった.倫理的配慮に関しては作業療法協会の倫理指針に基づいて基準を満たしているものであ る. 【結果】 Q-DASHスコアに対して,SF-12の下位尺度8項目のうち身体機能,日常役割機能(身体),活 力,社会生活機能,心の健康の5項目については相関は見られなかった.しかし,全体的健康感,日 常役割機能(精神),体の痛みの3項目においては弱い相関が認められた.相関が見られなかった5項 目の中でも日常生活機能(身体),社会生活機能,心の健康の項目ではQ-DASHスコアの低い方は国 民標準値を大きく下回る結果となった. 【結論】 今回の調査によりQ-DASHスコアとSF-12の結果から術後1週のQ-DASHスコアの得点が高い方は SF-12においても全体的健康感や日常役割機能(精神),体の痛みの3項目は低い得点を示している 方が多くみられた.また,日常生活機能(精神),社会生活機能,心の健康においては相関は認めら れなかったが国民標準値を下回っており,精神的健康感がQ-DASHスコアに影響を与えていることが 示唆された.急性期病院という入院期間の短い施設において早期よりリハビリ介入を始め,術前より 介入していくことや術後早期より身体機能へのアプローチだけでなく,よい関係・環境作りや精神面 へのアプローチ,精神的健康状態によってリハビリの介入方法や指導方法を検討していくことによ り,早期の機能回復,早い段階でのADLやIADLの向上,早期の家庭復帰につながっていくのではな いかと考える.また,橈骨遠位端骨折術後のリハビリテーションの方法ついては,「セラピストによ るリハビリテーションは,医師またはセラピストが指導した自宅での自動運動療法と比較して患者の 満足度は高かったが,臨床成績では有意な差を認めなかった」という報告がある.しかし,今回の結 果から,すべての症例に対してではなく精神的健康感が低い症例に対してはセラピストが密に関わっ てリハビリテーション,指導を十分に行っていくことで臨床成績が上がってくることが考えられる.
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