天竜美林の教え ∼天竜流域で行う 森林を中心とした環境学習の手引き∼ 静岡県西部地域 小・中学校の先生方へ 静岡県中遠農林事務所 静岡県北遠農林事務所 静岡県西部農林事務所 ま え が き 私たちが住む天竜流域は、天竜川を中心として、 「天竜美林」と呼ばれる豊かで多彩な森 林が広がる魅力ある地域を形づくっています。これらの森林は、私たちの生活に不可欠な 良質な木材を供給し、地域の活性化を図るとともに地域の文化を育て、 「暴れ天竜」を治め ることによって、流域の快適な生活を守り、おいしい水を豊かに供給するなど公益的機能 を長年にわたって共存させてきたという歴史を持っており、私たちはこのことを誇りに思 っています。 しかしながら、森林・林業、木材産業をめぐる情勢は、外国からの木材輸入の増加、木 材価格の下落と労務賃金の高騰による収益性の悪化、山村の過疎化や高齢化などの大変厳 しい状況におかれ、森林・林業を支える人々の減少といった悪循環に陥っています。 21世紀は「環境の世紀」と言われ、魅力ある天竜流域の創造と活力ある未来の実現の ためには、 「天竜美林」の可能性を最大限に活かすことが不可欠です。持続可能な社会の実 現に向けて、林業による木材生産と公益的機能の発揮が共存できるよう天竜流域の森林を 適切に維持・管理し、そして次代へ受け継ぐためには、森林・林業を含めた環境への理解 を深め、21世紀の新たな森林・林業を支えていく取り組みが必要と考えています。 そのためにも次代を担う小中学生を対象に、総合的な学習の時間を利用して、森林を中 心とした体験活動主体の環境学習を展開し、森林の働きや木の利用などの「森林・林業」 について学ぶことにより、環境の大切さを知ってもらい、そして、次の世代へと受け継い でほしいと考え、小・中学校の先生方の手引書となるよう作成したのが本書です。 本書は、次代を担う子どもたちに世界に誇れる天竜流域の森林・林業、そして魅力的な ふるさとを未来へ受け継いでほしいという思いを込めて、天竜流域の県農林事務所の森 林・林業担当職員が中心となって、様々な方の御支援・御協力を得ながら、先人たちから 引継いできた知識などに基づいて手づくりで作成しました。本書の中では、体験活動を実 施した後、そこで森林環境学習を終わらせず、参加した子どもたちや地域の方々などにも 有意義な「まとめ学習としての壁新聞の作成」や「学校の森づくり」なども提案していま す。 本書が子どもたちの森林を中心とした環境学習の助けとなり、天竜流域の森林、そして ふるさとを愛する心を育み、このすばらしい森林文化を未来へ受け継いでほしいと心から 願うものです。 平成16年3月 天竜流域森林環境学習手引書 作成スタッフ 一同 天竜美林の教え ∼天竜流域で行う 森林を中心とした環境学習の手引き∼ 目 次 序 章 第1章 第2章 1 2 3 第3章 1 2 3 今、なぜ森林を中心とした環境教育なのか ・・・・・・・・・・ 天竜美林の教え ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 森林環境学習のねらい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ねらい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ねらいと学習方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 森林・林業について学び、環境の大切さを知る ・・・・・・・・ 森林環境学習のテーマ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ テーマのねらいと視点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 体験活動とその展開例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 森林環境学習のテーマと5つの体験活動 ・・・・・・・・・・・ 森林環境学習テーマ1「天竜美林の生い立ち」 ・・・・・・・ 森林環境学習テーマ2「森林の働き」 ・・・・・・・・・・・ 森林環境学習テーマ3「産業としての林業」 ・・・・・・・・ 森林環境学習テーマ4「森林と親しむ」 ・・・・・・・・・・ 森林環境学習テーマ5「森林と共生する」 ・・・・・・・・・ 第4章 体験した学習のまとめにもなる「壁新聞」をつくろう ・・・・・ 第5章 学校に森をつくろう ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2 3 3 3 5 6 6 6 7 8 20 32 44 56 68 72 資料編 1 2 3 4 5 6 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76 森林・林業の主要データ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77 森林・林業の参考図書・教材等リスト ・・・・・・・・・・・・ 87 森林・林業の関連施設等リスト ・・・・・・・・・・・・・・・ 94 天竜流域の巨樹・巨木リスト ・・・・・・・・・・・・・・・・ 98 「静岡県森林・林業基本方針(概要) 」等 資料 ・・・・・・・102 用語の説明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108 作成スタッフ紹介 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113 天竜流域の位置 と森林の範囲 ∼宇宙から見た天竜流域∼ランドサット衛星写真 森林地帯が緑色に見えます 0 10km 天竜流域(静岡県西部地域):面積24万 ha、人口130万人(平成16年3月現在) 構成市町村:掛川市、大須賀町、菊川町、小笠町、浜岡町、大東町、袋井市、磐田市、 福田町、竜洋町、浅羽町、豊田町、森町、豊岡村、天竜市、春野町、龍山村、佐久間町、 水窪町、浜松市、浜北市、雄踏町、舞阪町、新居町、湖西市、細江町、引佐町、三ケ日町 序 章 今、なぜ森林を中心とした環境学習なのか 天竜川を中心とした静岡県西部地域(天竜流域)は、昔から良質なスギ、ヒノキなど木 材の産地として、全国に「天竜林業地」の名をとどろかせ、 「天竜美林」としても知られて います。 昔から日本人にとって木材は生活のすべてにおいて大切なものであり、必要なものでし た。たとえば、奈良、平安そして江戸の都は、家屋や各種施設をはじめ、道路や橋などの 整備において木材が不可欠で、そのため必ずといって良いほどその都の周辺地域に、良質 な木材供給が可能な森林がありました。言い換えれば、木材の供給可能な森林が周辺にあ る地域へ遷都していったとも言えます。日本人は森林と密接に共存してきたわけです。そ れが森林そして木材が育てた日本人の文化なのです。天竜流域でも同様に地域の森林と住 民の密接な共存があり、それが天竜流域の発展を支え、文化を築いてきました。 そのように森林は大変重要なものであったにもかかわらず、都市の建設において木材に 替わる素材が多く出まわり、また、国産木材は外国産木材に市場を圧迫され、木材価格の 低下を招き、産業としては非常に厳しい状況下にあり、現在ではその森林に直接関わって いる人の数はかなり限られているのが現状です。 従来、 「森林といえば木材」 といわれるように森林の機能を、 主に木材を生産する産業 (林 業・木材産業)という視点で捉えていました。しかしながら、森林には木材生産機能のほ かによく知られている大事な機能があります。それは集中豪雨などによる山崩れを防ぎ、 洪水や渇水を和らげ、水質を浄化し、おいしい水をかん養し、そして地球温暖化に関係の 深い二酸化炭素を吸って酸素を出すなど、天竜流域に住む人が安全にそして快適に生活し ていくうえで、欠くことのできない重要な公益的機能です。しかし、森林は林業・木材産 業の低迷から活力を失い、そして、私たちの生活と密接に関係する森林の持つ公益的機能 の発揮もままならない状態に向かっているのが実情です。 天竜流域の大きな財産である 森林が、これからの生活にます ます重要になる公益的機能を十 分に発揮するためには、木を植 え、育て、守り、そして木材を 使うことによって、健全な状態 に森林を保ち続けることが不可 欠と考えます。つまり、林業と 公益的機能の両立です。そのた めには、天竜流域の人々に森林 の持つ木材生産機能と公益的機 能の大切さを理解していただき、 様々な形で森林と関わりを持つことによって森林・自然と共生した地域社会を築いていく ことが重要と考えます。そのためには、まず未来を担う子どもたちを対象に、森林を中心 とした環境学習を展開して、森林の意義を再確認し、そしてその輪を家庭や地域に広げて いただき、地域の歴史とともに育んできた「天竜美林」を後世に引き継いでいくことが重 要と考え、本手引書を提案いたしました。 1 第1章 天竜美林の教え 私たちが住む天竜流域の上流部は、90%が森林で覆われています。奥地・沢沿いには 今でも天然林が残され、四季の移り変りを豊かな表情で醸し出している一方で、人々が住 む上で欠かせない良質な木材を生産するためにスギ、ヒノキを植え、日本三大人工美林「天 竜美林」として美しい緑の形を描いています。 「天竜美林」は林業を通した人と自然との関 わりの中で、人々の厚い手入れを受けながら、永い歴史の中で築かれたもので、今も成長 しており、流域全体の豊かな自然環境とともに伝統的文化の礎となっています。 私たちは、この豊かな「天竜美林」の恩恵を受け、命を営み、自然と調和した生活・暮 らしを得て、さまざまな歴史と文化を創造し、伝承してきたことを誇りにしています。こ の「天竜美林」を子孫に継承していくためには、豊かな「森林」と森林を支えた「林業」 を学び、それらを共存させた形で天竜流域の持続的な発展を図ることが大切であると考え ます。 そこで次代を担う小・中学生を対象に、総合的な学習の時間等を活用して、森林を中心 とした体験活動主体の環境学習を展開し、天竜流域の共通財産である森林の働きや木の利 用などの「森林・林業」について学ぶことを提案したいと思います。 天竜流域 環境 森林 林業 2 第2章 森林環境学習のねらい 1 ねらい 天竜流域は、 「環境の世紀」と言われる21世紀において、林業と公益的機能を共存させ ながら大事な森林環境を維持してきたという伝統を有しており、それを更に発展させる大 きな可能性を秘めています。しかしながら、社会情勢の変化により林業は大変厳しい状況 に追い込まれ、森林を維持・管理する天竜流域の山村は、過疎化や高齢化が進み、流域全 体の快適な生活環境と密接な関係にある天竜美林の継承すら危ぶまれています。 天竜流域において、自然環境と共生した持続可能な地域社会をめざすためには、 総合的な 森林環境学習により森林・林業への理解を深めることが大切であり、有意義であると考え ます。 そうした意味で、本書は「環境の世紀」21世紀において、活力ある美しいふるさとの実 現のために、天竜流域の財産であり誇りでもある「天竜美林」を守り育て、更にその可能 性を最大限に活かすために、 「天竜流域の森林・林業について学びながら、環境の大切さを 知る」ことを「ねらい」としています。 ねらい 天竜流域の森林・林業について学びながら 環境の大切さを知る 2 ねらいの学習方法 本書では、 「天竜美林」 、つまり、天竜流域で育まれてきた森林・林業に学びながら環境 の大切さを知るために、森林環境学習のテーマとして、 (1)天竜美林の生い立ち、 (2) 森林の働き、 (3)産業としての林業、 (4)森林と親しむ、 (5)森林と共生する、の5 つを取上げており、これらのテーマに沿った体験活動を通じて、森林を中心とした環境学 習を進められることを期待しています。 [森林学習のテーマ] 天竜美林の 生い立ち 森林と 共生する 天竜美林 森林と 親しむ 産業としての 林業 3 森林の 働き (1)天竜美林の生い立ち 天竜流域の上流部に広がる約9万 ha の森林のうち約80%がスギ、 ヒノキの人工林とし て育林されています。その歴史は、戦国時代の「心願造林」に始まり、江戸時代の都市づ くりに不可欠な良質な木材を供給するための育林、 「金原明善翁」 らの献身的努力による植 林、そして戦後の復興を支えた植林などを経て現在へと至っています。そうした約5世紀 にわたる先人の努力によって、様々な天然林とともに日本三大人工美林のひとつ「天竜美 林」が、見事な幾何学模様を描き、世界に誇りうる林業と様々な公益的機能とが共存した 美しい森林として、かけがえのない「ふるさとの宝」となっていると確信しています。 (2)森林の働き 天竜美林は緑の美しい景観をもたらすばかりではなく、木材を生産し、流域住民の生命 や快適な生活に関わる重要な機能を持っています。降った雨は、山の土壌に吸い込まれ地 下水となり、ろ過され沢や支流に伝わり、天竜川に流れ込み、下流域の都市住民の豊かな おいしい飲料水などになっています。もし、山に木がなければ、地下水となる量はわずかで しかありません。また、森林は土砂流出防備や海岸部の飛砂・飛潮の防備、さらには、地 球温暖化に大きく影響を与える二酸化炭素の吸収固定機能を備えているなど、重要な役割 を担っています。天竜美林の働きは、天竜流域に住む住民の生命の源とも言えます。 (3)産業としての林業 天竜流域の森林を守り育てて来たのは林業です。木材を収穫するために人の手で作られ たスギ、ヒノキの森林が人工林であり、 「天竜美林」はその最も美しい姿のひとつです。林 業は苗木を1本1本植える作業から始まり、何十年も手をかけて木を育て、そして木が使 いやすい大きさ、太さになったところで収穫(伐採)します。伐採した木は出荷・加工さ れ、家や家具、木工品などに使われており、最盛期(昭和45年頃)には現在の約3倍 (46万m3)の木材を生産していました(p81参照) 。最近では石油などに依存しすぎ ないようにバイオマスエネルギーなど新たな利用の方法も考えられています。 (4)森林と親しむ 静閑とした森林環境に身を委ねてみると、都会では味わえない、爽やかな空気に触れる ことができ、心の十分な休養ともなって、心身のリフレッシュを図ることができます。そ して、森林は澄んだ空気に満ち、四季折々の季節変化があり、その森林の中でレクリエー ションなどを体験することによって、肉体的、生理的な健康増進効果ばかりでなく、健全 な精神の回復を図ることが可能と言われています。 (5)森林と共生する 神秘的で多様性に富んだ森林の中で、森を見たり、木に触れたりすることにより、自然 のメカニズムや生命の関係を学び、森のめぐみを感じることができます。そして、様々な 森林の文化を正しく理解することにより、心豊かな人間性を育むとともに、今までできな かった感動を味わうことができます。また、森づくりの精神を養うことは、とりもなおさ ずかけがえのないふるさとづくりの精神を養うことにつながると確信しています。 4 3 森林・林業について学び、環境の大切さを知る このように、森林・林業と環境との関係は、多岐にわたるとともに密接です。天竜流域 の財産である森林・林業が周辺の環境にどのように関わり、どのような変化をもたらした のか、 あるいは流域の生活を守る森林の働きとはどんなものかなどを実感してもらうため、 下図に示すように5つの森林環境学習のテーマを設定しています。このテーマに沿った体 験活動を通じて、環境の大切さを知ってほしいと願っています。 天竜流域の森林・林業について学ぶ 森林環境学習のテーマ 環 境 の 大 切 さ を 知 る 5 森林と共生する 森 林 と 親 し む 産業としての林業 森 林 の 働 き 天竜美林の生い立ち 森林・林業を通じて 第3章 森林環境学習のテーマ 1 テーマのねらいと視点 テーマごとに子どもたちに知ってもらいたいことをテーマの「ねらい」とし、 「ねらい」 を達成することによって子どもたちに育んでほしい気持ちを 「視点」 として示しています。 そうした「ねらい」と「視点」に基づいて先生から子どもたちに教えていただきたい森林・ 林業の内容を「子どもたちに教えてもらいたいこと」 、結果として子どもたちに身につけて ほしい能力や知識を「子どもたちの達成目標」として挙げています。 2 体験活動とその展開例 テーマごとにそれぞれ5つの「体験活動」を紹介しています(右頁参照) 。ここで示した 「体験活動」の要点を「キーワード」として表現しており、森林環境学習を進める時、子 どもたちが森林・林業のメカニズムを体験し、体で感じ取ることによって、地域の財産で あり、誇りでもある森林・林業の理解につながるようにしています。 体験ごとに森林・林業を学び、理解してほしい点を「目標」としており、以下、個々の「体 験活動」 の具体的な展開例の構成は、 下段に示すように、 「概要」 、 「活動目標」 、 「実施条件」 として時期・場所、 「準備するもの」 、活動の「手順」として導入・体験・ふりかえりを示 しており、これに関連して「発展的な学習」の方法、活動に関する「関連資料」を併せて 示しています。 これらは、あくまでも「体験活動の展開例」であり、先生方が子どもたちとの自由な発 想の中から、学校の立地条件などを考慮され、 「体験活動」における「目標」に沿った内容 で展開例をアレンジして、体験活動に取り入れていただけるようにしています。 「学習の解説」は、当該体験活動のキーワードをできる限り幅広い観点で、関心を深め られるように説明しています。これらの情報をヒントに、子どもたちに合った活動目標を 立てられ、森林を中心とした環境学習に取り組んでいただければ幸いです。 [個々の体験活動の構成] 体 験 活 動 (目 標) 体験活動の 展 開 例 学習の解説 (キーワード) 1概 要 2活動目標 3実施条件 4準備するもの 5手 順 6発展的な学習 ●関連資料 6 3 森林環境学習のテーマと5つの体験活動 森林環境 学習の テーマ ねらい 1 2 3 4 5 天竜美林の 生い立ち 森林の働き 産業としての林業 森林と親しむ 森林と共生する 流域の中での森林 木 を 育 て る 楽 し 森 林 と の 親 し み 天竜流域の歴史と 森林の姿から自然 の役割と働きを知 さ・使う大切さの 方、森林とのふれ 文化を知る のしくみを知る る 意味を知る あい方を知る 天竜美林は どこにあるの 五感で散歩 種から苗木を 育てよう 身近な森林の 地図を作ろう 林床の落ち葉から 森の一年を見る 森林とは 森林の構成 木を育てる 身近な森林 森林を見つめる 天竜美林の歴史を 調べよう 森林の地面を 掘ってみよう 木材を加工 してみよう この木何の木 (樹木探偵団) 虫や鳥、動物 になり、 森の生態を知る 植林の歴史 森林の土 木を加工する 木の種類 多様な生態系 暴れ天竜を 治める 森林と水の関係を 考えよう ちょっとの工夫で 「木の宝物」 森の中での遊び 森林のめぐみを 考えよう 金原明善 水源かん養林 木材の利用 天竜美林を支えた 暮らしを知ろう 森林は「緑」の フィルター 「木造の建物」を 調べよう 森林を支える山村 暮らしを守る森林 木の家に暮らす 上・中・下流のつ ながりをたどる 木が吸収する 二酸化炭素の量を 調べよう 木材の再利用を しよう ふる里のシンボル 巨木を探そう 森と人との つながりを 考えよう 流域のつながり 二酸化炭素の固定 バイオマスの利用 巨木・大木 森林文化 ① 体 験 活 動︵上段:タイトル、下段:キーワード︶ ② ③ 遊び 森林のめぐみ (レクリエーション) (きのこ・炭など) 心やすらぐ森を 感じよう 森林の役に立つ ことを探そう ④ ⑤ 視点 保健休養 (癒しの空間) 森林ボランティア 天竜美林に誇りを 森林整備の必要性 木づかい運動を展 流域の魅力森林を 豊かな森林を守り 持とう を知ろう 開しよう 活かそう 育てよう 7 森林環境学習テーマ1 天竜美林の生い立ち ○ねらい: 「天竜流域の歴史と文化を知る」 天竜川はかつて「暴れ天竜」として人々に恐れられていた。この天 竜川を治めるために、人々は知恵を絞り、地道な植林を続けてきた。 天竜流域に広がる「天竜美林」は、このような先人の努力のおかげで 「日本三大人工美林」として全国に名を誇っていることを知る。 ○視 点: 「天竜美林に誇りを持とう」 子どもたちに教えてもらいたいこと ① ② ③ ④ ⑤ 天竜流域にはたくさんの森林がある。 天竜美林は、多くの人たちの手によって育てられ、日本三大人工美林となった。 「金原明善翁」は地域の偉人である。 山村の人たちによって森林は支えられている。 天竜美林は私たちの生活とつながっている。 子どもたちの達成目標 ① ② ③ ④ ⑤ 天竜流域にある森林の広さや状況を理解する。 天竜美林から天竜流域の歴史を知る。 地域の偉人の功績を知る。 山村の仕事と暮らし、文化を理解する。 天竜流域を単位とした産業・文化を知る。 8 ●5つの体験活動の概要 ① 天竜美林はどこにあるの(キーワード:森林とは) 天竜流域の森林の広さや状況あるいは森林の種類や特徴を理解するために、流 域の森林に関する情報を集め、流域全体の森林を把握する。 ② 天竜美林の歴史を調べよう(キーワード:植林の歴史) 天竜流域における植林とその歴史を知り、多くの人たちによって育てられた天 竜美林を理解するために、木の育って来た時代背景を考える。 ③ 暴れ天竜を治める(キーワード:金原明善) 治山・治水・利水の必要性とそれに取り組んだ「金原明善」を理解するために、 その功績と偉業を調べ、地域社会への貢献を考える。 ④ 天竜美林を支えた暮らしを知ろう(キーワード:森林を支えた山村) 山村の仕事と暮らし、そして文化を知るために、山村の現状を調べ、森林と山 村の人々の関わりについて考える。 ⑤ 上・中・下流のつながりをたどる(キーワード:流域の歴史) 天竜流域の産業・文化を知り、天竜美林と私たちの生活との関わりを理解する ために、流域の上流から下流までのつながりを調べる。 9 森林環境学習テーマ1 「天竜美林の生い立ち」 ① 天竜美林はどこにあるの 目 標 ・流域内の森林の広さや状況を理解する。 ・森林のタイプと特徴を知る。 体験活動の展開例 1 概 要 5 手 順 ① 導 入 流域の森林に関する情報を集め、流域全体の森 ・いろいろな森林の写真を見て、森林のイメージ 林が把握できる地図を作成し、どのような森林が をつかむ。 どこにどのくらいあるかを調べる。 ・静岡県森林・林業統計要覧などにより森林の面 積や人工林、天然林などの割合を調べる。 2 活動目標 ①流域の森林面積やその割合を知る。 ②地形図の凡例が理解できる。 ② 体 験 ・1/50,000 地形図に記載されている凡例をもと 3 実施条件 に、色鉛筆などで塗りわけをする。(たとえば、 ① 時 期 針葉樹は緑、広葉樹は赤、畑はオレンジ・・・など) いつでも可 ・私たちの住んでいるところや知っている場所を 記入する。 ② 場 所 教室内 ・地形図を 1 枚につなげ、森林と私たちとの位置 関係をつかむ。 4 準備するもの 国土地理院 1/50,000 地形図(県農林事務所管 ③ ふりかえり 内図でも可)、色鉛筆など、森林の写真(パネル ・地図を見て、「天竜美林」の広さや森林の種類 になった写真は県林業技術センターで貸し出し などについて話し合う。 可能) ● 関連資料 6 発展的な学習 ・市町村勢要覧 ・森林に植えられるスギやヒノキの特性について ・天竜地域森林計画書(静岡県) 調べる。 ・静岡県森林・林業統計要覧(静岡県) ・日本の美林 井原俊一著(岩波新書) 10 学習の解説 「森林とは」 1 天竜美林 約25%となっている。また、人工林率は約75% と高く、古くから林業が盛んな地域であったことを 天竜流域は静岡県の西部に位置し、北は南アルプ 物語っている。 スから南は遠州灘までの7市19町2村からなり、 その北部山間地は「天竜美林」と呼ばれる一大森林 3 人工林と天然林 地帯となっている。 古くから国内有数の林業地として栄えてきた天竜 森林には、 「人工林」 「天然林」があり、それぞれ 林業地は「天竜美林」と呼ばれ、吉野林業地(奈良 次のように定義されている。 県) 、尾鷲林業地(三重県) (北山林業地(京都府) ※人工林:人の手により植栽され、生育した森林。 を数える場合もあるが)とともに「日本三大人工美 ※天然林:人の手によらないで種や萌芽から生育 林」のひとつに数えられ、その美しさとともに、良 した森林。 質な木材の産地として名を馳せている。 4 スギとヒノキ スギとヒノキは日本特産の常緑針葉樹で、高さは 30∼40mになる。どちらも非常にまっすぐ伸び る性質があり、特に建築用材として利用価値が高い。 また、スギは比較的生長が早く、材が軽く柔らかで 加工しやすいことも、人工林の主要樹種となった一 因である。 生育条件としては、スギは肥沃で水分の多いとこ ろを好み、ヒノキは比較的乾燥する場所(尾根筋な ど)を好む。天竜流域にはスギが多く植えられてい 天竜美林(天竜市米沢) 「天竜美林」には、文字通りの美しいという意味 だけでなく、良質な木材の生産や流域住民との生活 るが、スギの生育に適した土地であったのだと考え られる。 に密着した文化などの価値がある森林という意味が なお、スギの学名は、Cryptomeria japonica(ク 込められている。それは丹精込めて育ててきたス リプトメリア ジャポニカ)で、学名に japan が付 ギ・ヒノキの人工林や人々によって利用されてきた されている数少ない世界に誇れる種である。 森林なのである。 なお、 「日本三大美林」という場合には、天然林で ある青森ヒバ(青森県) 、秋田スギ(秋田県) 、木曽 ヒノキ(長野県)を指すが、これらももちろん、昔 から人々が利用してきた森林である。 2 天竜流域の森林面積 天竜美林といわれる天竜流域の森林面積は約13 万5千 ha で、区域面積の約60%を占めている。樹 種別に見るとスギが約45%と最も多く、ヒノキが 天竜美林(スギ、天竜市光明) 11 森林環境学習テーマ1 「天竜美林の生い立ち」 ② 天竜美林の歴史を調べよう 目 標 ・植林と地域の歴史を知る。 ・天竜美林には多くの人の手が入っていることを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 スギ・ヒノキの円盤を用い、年輪を数える。歴 ・天竜流域の大まかな歴史を調べる。 史年表や市町村史などを調べ、年輪に虫ピンを刺 ・さらに、市町村史などをもとに、地域でどのよ うな出来事があったかを年表にまとめ、紙に書き しながら、木の育ってきた時代背景を考える。 出す。 2 活動目標 ①地域の歴史を知る。 ② 体 験 ②木の成長過程がわかる。 ・木の生長と年輪の出来かたを調べる。 ・導入で調べた地域の出来事を書いた紙を年輪の 3 実施条件 上におき、虫ピンでとめる。 ① 時 期 ・虫ピンの位置と年表を比べながら、木が植えら れた時代の出来事や木の育ってきた時代背景に いつでも可 ついて話し合ってみる。 ② 場 所 教室内 4 準備するもの 切り株付近の輪切り(円盤)、虫ピン、市町村 史 木で見る歴史(静岡県林業技術センター) ③ ふりかえり ・これらの木は、だれが育てたのかを考える。 円盤 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・p89天竜流域の林業の歴史 図書参照 ・天竜流域の植林の歴史を調べ、時代の背景を考 ・市町村勢要覧 えてみる。 12 学習の解説 「植林の歴史」 1 秋葉神社ほかの植林 打ち出され、天竜流域においても、宝暦(1760) の頃から村や百姓の所有地に造林を始めた記録が残 天竜流域における植林の始まりは、文明年間 されている。 (1469∼1487)に春野町の秋葉神社境内に 心願成就を願って植えた心願造林であると言われて なお、当時の証文などによると既に木材が立派に いる。秋葉神社は古くから「火防の神(ひぶせのか 商品価値を持っていた。主要な商品は柿板(こけら み) 」として名高く、山岳信仰とも相まって、盛んに いた=屋根を葺くための部材)で、天竜川を流送さ 献植が行われたと伝えられている。 れ、掛塚港から江戸へと出荷されていた。 ②明治時代以降 明治時代に入り、個人の林家のほかに国有林・公 有林、王子製紙、平野社団、熊村愛林会などの会社 や団体の造林事業も活発になった。このことは、林 業投資が経済的に成立するに至ったことを意味して おり、この頃から大正にかけて奥山の開発も急速に 進んでいった。 4 治山・治水のための植林 金原明善翁が治山治水のために植林を行ったこと 秋葉神社参道(春野町) は有名である。 (p15参照) 2 山住神社の植林 現存する最古の植林記録は、元禄9年(1696) 5 高度経済成長に伴う造林 水窪町山住神社の23代目宮司山住大膳亮茂辰が、 昭和10年を過ぎる頃から戦時色が濃くなり、建 紀州熊野神社への参拝の帰途、苗木3万本を持ち帰 築用材をはじめとした木材需要が急激に増大した。 り植林をしたと記されている。この頃、度重なる落 そのため天竜流域でも強制伐採が行われ、戦後、伐 雷で焼失した社殿修復のため、このあたりの森林か 採跡地への再造林が進められた。昭和30年代に入 ら大量の木材を切り出した。また、江戸幕府の御用 ると高度経済成長に伴う拡大造林(天然林を伐採し 材としても切り出され、そのために森林が荒れるこ て人工林に転換)が積極的に行われた。 とを憂いた大膳亮が行った事業である。 植えたスギは36万本に上り、このスギは明治に 入ってから伐採され、東京市場で山住スギとして名 声を得た。今も数本が残っておりその容姿は歴史を 物語っている。 3 経済林としての植林 ①江戸時代中期以降 本格的な植林が始まったのは、江戸時代中期以降 である。この頃から幕府による積極的な造林政策が 山住神社境内(水窪町) 13 森林環境学習テーマ1 「天竜美林の生い立ち」 ③ 暴れ天竜を治める 目 標 ・地域の偉人「金原明善」の功績を知る。 ・治山・治水・利水の必要性を知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 治山・治水に取り組んだ「金原明善」の功績を ・金原明善の功績について調べる。 調べ、丸太とわら縄を用いた昔の護岸工を作って ・洪水が起こる仕組みや、森林と洪水防止の関係 を学ぶ。 みる。 ・洪水が起こったとき、どのようにしてそれを防 2 活動目標 いだかを考えてみる。 ①洪水から地域を守った昔の知恵と技術を知る。 ② 体 験 ・準備した材料から丸太の組合せ方(「護岸工 3 実施条件 (牛) 」の作り方)を考える。 ① 時 期 ・丸太とわら縄を組み合わせて「護岸工(牛)」 を作る。 いつでも可 ・いろいろなロープの結び方を試してみる。 ② 場 所 河原又は運動場(砂場)など 4 準備するもの わら縄(20m) 、小径木(4m×7本) 、ナタ、 ノコギリ、スコップ、ツルハシ、クワ 実際に使用している「護岸工(牛) 」 ③ ふりかえり ・川を治めるために、昔の人がどんな努力をして きたのか、植林によってどのぐらい洪水を防ぐこ 「護岸工(牛) 」模型 とができたかを考えてみる。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・暴れ天竜を恵みの流れに(PHP研究所) ・金原明善の功績が今どんな形で活かされている ・金原明善(金原治山治水財団) かを調べてみる。 14 学習の解説 「金原明善」 1 金原明善の足跡 明治31年に全山の植林を完了した。この献植を機 ①天竜川の治水 に隣接の私有地1,200ha にも401万本を植林 明治元年、天竜川の度重なる災害の根を絶ち、人々 して、今の天竜美林の礎を築いた。その後も金原山 の生活の安定と産業復興のため立ち上がった明善 林の経営、天城・富士山麓の植林指導、さらに静岡 (37歳)は、全財産を投じて治水に取り組み、天 県模範林の造成へと活動を広げた。 竜川沿岸の開発・発展に尽くした。その功績と志は ③産業への貢献 今日も脈々と続いている。 天竜川の氾濫を防いだ明善は、一方で浜名平野と 三方原台地に水を引くことを考えていた。自らによ る工事はなかなか進まなかったが、その事業は明善 の死後、昭和12年(1937)から始まった浜名 用水路や三方原用水路の建設として発展し、その利 用は現在に引き継がれている。 さらに私財を投じて郷土の産業開発に多くの足跡 を残した。これらの事業は幾多の苦難の歳月を経て 今日に継承されている。 金原明善翁 ②植林事業 明治19年、明善(55歳)は「河を治めるは、 山を治めること」との信念から、静岡県磐田郡瀬尻 の官林(今の国有林)の林相改良に着手、御料林約 760ha に292万本の献植をした。当初、明治 20年から34年まで15年間の計画であったが、 天竜川の氾濫を契機に改修事業の建白や財産の献納を申し出た資料 2 金原治山治水財団 明治37年(1904)に金原明善が設立した「金 原疏水財団」は、その後「金原治山治水財団」とし て現在も山林の管理を行っている。 また、明善記念館(浜松市安間町35)を設立し、 その業績を顕彰し、その遺風を後世に伝えている。 記念館には、明善の遺品遺墨をはじめ、関係書類な どが陳列されている。 金原山林(佐久間町神妻) 15 森林環境学習テーマ1 「天竜美林の生い立ち」 ④ 天竜美林を支えた暮らしを知ろう 目 標 ・山村の仕事と暮らしを理解する。 ・山村の文化を知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 昔の山村の食文化を体験することにより、森林 ・少し前まで使われていたいろいろな道具(また はその写真)を見て、何に利用され、どのように と山村の人々の関わりについて考える。 使うのか考えてみる。 2 活動目標 ・山村でどんなものを食べていたか調べる。(例 ①山村で使用された道具が理解できる。 えば、海が遠いところでどんな魚を食べていた ②山村の食生活が理解できる。 か、など) 3 実施条件 ② 体 験 ① 時 期 ・山村で使われていた道具を使ってみる。 いつでも可 ・雑穀を磨ぎ、御飯を炊き、食べてみる。(条件 が許せば、石やブロックを積んでかまどを作り、 ② 場 所 教室、家庭科室(調理室)、体育館、野外、資 起こした火で炊いてみる。 料館 ③ ふりかえり 4 準備するもの ・現在の道具と昔の道具の違い、現在の食事と昔 昔に使われていた道具又はその写真、なべ(炊 の食事との違いについて考える。 飯器) 、米、雑穀(アワ、ヒエ、キビなど) 、 かまどを作る場合は、石やブロック、マッチ、薪、 枯葉など ● 関連資料 6 発展的な学習 ・北遠のつぶ食(北遠農林事務所) ・できれば山村に泊り込み、昔の生活体験をして ・聞き書静岡の食事(農産漁村文化協会) みる。 ・秘伝おふくろの味(静岡新聞社) ・そば打ち体験をしてみる。 16 学習の解説 「森林を支える山村」 1 自給自足で山を守る なお、天竜市・春野町・龍山村・佐久間町及び水 窪町での人口密度は48人/km2 で、県平均の478 天竜市横山・龍山村などでは、江戸時代後期から 「山作り(焼畑耕作) 」が行われてきた。これは、土 人/km2 と比べて極めて低い数値となっている。 地を持たない農民が、天然林を伐採した跡地を借り 3 山村の文化(伝承文化) 入れ、ソバ・ヒエなどを約3年間耕作した後に、そ の地代としてスギ・ヒノキを植栽して返納するシス 国指定民族無形文化財である水窪町「西浦の田楽」 テムであった。さらに、苗木が生長するまでの数年 は、養老3年(719)に行基が開いたと言われて 間を利用して、コウゾ・ミツマタの植栽を行った場 おり、世襲により約1,300年を継承してきた。 合も多い。 開墾から収穫までを舞で表現しており、山村の原点 この「山作り」は、土地を持たない農民の農地が が観賞できる。 確保されたとともに、林家にとっては苗木代・植栽 そのほか流域内の各地に、山村の生活に密着した 費をはじめ、下刈費用も節約することができる、優 伝統文化が残っており、山村の豊かな文化を今に伝 れた方法であった。 えている。 もっと上流の水窪町では状況は少し違っていた。 林家のほとんどは、周囲の急傾斜地に耕作地(棚田 と畑)を所有し、また、不足分は伐採跡地を焼畑に し、豆、ソバ、ヒエなどの収穫を得ていた。家族は もちろんのこと、山仕事を行う「小脇」と呼ばれる 人々の食物も、すべてをここで賄うために大変な努 力を要した。 また、イノシシやシカ、ヤマメなども山村の貴重 な蛋白源として食べられていた。 2 山村の今(過疎化と高齢化) 社会情勢の変化により林業は厳しい状況に追い込 まれ、また林業とともに山村の経済を支えてきたお 茶やシイタケの経営も厳しい。 その結果、仕事のない山村地域の若者は産業構造 の都市集中により都市へ流出してしまい、山村は過 西浦の田楽(水窪町西浦) 疎化となっている。それに伴い山村の高齢化率は毎 4 昔の生活を伝える資料館 年上昇し、お年寄りだけの世帯が増加している。 山村の維持には、山村に住む人の確保が必須であ 水窪町民族資料館には、山村の古い生活民具が展 る。山村や森林は人が暮らすことにより守られてき 示されている。特に、農林業に用いた道具類も多数 たが、山村の機能を維持することすら大変難しい状 見ることができ、当時の山村の生活を知る上で貴重 況になってきている。 な資料となっている。 17 森林環境学習テーマ1 「天竜美林の生い立ち」 ⑤ 上・中・下流のつながりをたどる 目 標 ・流域を単位とした産業・文化を知る。 ・天竜美林と私たちの生活との関わりを知る。 体験活動の展開例 1 概 要 5 手 順 ① 導 入 流域全体が把握できる地図に流域のつながり ・木材、塩、農業用水、上水道など、流域のつな が理解できる情報を書き込み、上・中・下流の関 がりがあると思われるものを選び、詳しく調べ 連を調べる。 る。 2 活動目標 ② 体 験 ①塩の道などを通って、昔から人々の交流があっ ・流域全体が把握できる地図に、選んだものの情 たことを知る。 報を記入する。 ②流域は、私たちの生活に深く関わっていること ・例えば「塩」は、塩の道、秋葉古道などの道程 を知る。 を調べ、地図上にルートを記入する。 ・例えば「農業用水」は、取水口、経路やその利 3 実施条件 用範囲を地図に記入する。 ① 時 期 ・上・中・下流のつながりを整理する。 いつでも可 ② 場 所 教室 ・流域内のつながりを発表する。 ③ ふりかえり ・集落間の歩行距離、所要時間を調べ、当時と今 (車社会)の所要時間を比較してみる。 4 準備するもの 国土地理院 1/200,000 地形図、色鉛筆など ・地理的に遠いと感じる地域でも、私たちの生活 にどのように関わっているのかを話し合う。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・市町村史 ・信州から遠州へ、遠州から信州へどのような物 ・塩の道(講談社学術文庫) 資が運ばれたか交易の道の役割を調べる。 ・天竜川にあるダムの貯水量、発電量、供給先を 調べてみる。 ・実際に塩の道、秋葉古道などを歩いてみる。 18 学習の解説 「流域のつながり」 1 生産地から消費地 を求めて北は糸魚川、南は遠州相良へと盛んに 交通機関の発達していなかった時代、天竜川上流 交易を行った。これによって天竜川沿いには、 部で伐り出された木材は、川を利用して運搬された。 信州飯田八幡宿を基点とし、遠山宿(現在の水 丸太は筏を組み下流に流され、また柿板・貫板など 窪町)を経て相良に続く「塩の道(秋葉街道)」 の製品は底の浅い角倉船によって竜洋町にあった掛 が形成された。 塚港の回漕問屋に送られ、ここから江戸の木場まで この道は、戦国時代には武田信玄の遠征にも使わ 船で運ばれた。そのため、掛塚の業者が木材取引の れ、江戸時代になると、途中の「秋葉山」へ詣でる 主導権を握っていた。 ための信仰の道としても使われ、さらに多くの人々 が往来した。また、この道の周辺には、修験者が修 明治23年の東海道線開通によって、東京への輸 行を行ったといわれる場所がたくさんある。 送が船から鉄道へと変わったことにより、浜松市中 野町周辺に製材機械を導入した大規模な製材工場が 当時、塩は貴重であり、盗賊などに襲われるのを 発達した。そのため、中心地は竜洋町掛塚から浜松 防ぐため、あえて険しい山道を往来したと伝えられ 市中野町周辺へと移っていった。 ている。 戦前から戦後にかけて、国鉄二俣線(現天竜浜名 湖鉄道)の開通と電力の供給範囲の拡大により、浜 松市中野町とともに天竜市の二俣地域周辺にも製材 工場地帯が発達することとなった。 丸太を取り引きする原木市場は浜北市に、製品市 場は豊田町にあり、天竜美林の豊富な木材を背景に、 現在も素材から加工木材製品に至る一大供給基地と しての役割を担っている。 青崩峠(静岡県と長野県の県境)より南を望む 3 天竜川の水の利用 天竜川本流には、県内だけでも佐久間ダム・秋葉 ダム・船明ダムがあり、水力発電の基地として利用 されている。 また、船明ダムからは浜名用水と磐田用水、秋葉 ダムからは三方原用水によって、それぞれ下流域に 天竜川の水が引かれ、一大農業地帯が形成される礎 となった(p15参照) 。さらに、下流域の上水(飲 昭和30年頃まで行なわれた「天竜川の筏流し」 (天竜市船明付近) 2 塩の道・信仰の道 み水など)や工業用としても利用されている。 信州(長野県)は、生活に不可欠な塩が手に 入らなかった。そのためこの地域の人々は、塩 19 近年では、水の源としての森林を守るための活動 として、上流と下流の交流が盛んになってきている。 森林環境学習テーマ2 森林の働き ○ねらい: 「流域の中での森林の役割と働きを知る」 森林は洪水や渇水を和らげ水質を浄化する水源のかん養、洪水など による土砂災害の防止、生活環境の保全、地球温暖化に関係の深い二 酸化炭素の固定などの機能を有し、流域の生活や産業を支えているこ とを理解する。 ○視 点: 「森林整備の必要性を知ろう」 子どもたちに教えてもらいたいこと ① ② ③ ④ ⑤ 森林はいろいろな姿・形から構成されている。 森林の土は複雑な成り立ちと構造をしている。 森林は水源をかん養している。 森林は流域の暮らしを守る役割を果たしている。 森林は二酸化炭素を吸収し、酸素を放出している。 子どもたちの達成目標 ① ② ③ ④ ⑤ 木材を生産するだけが森林の働きではないことを知る。 森林は豊かな土を培っていることを知る。 流域の水利用は森林に支えられていることを知る。 流域の暮らしを守るためには森林が必要であることを知る。 地球温暖化防止と森林は深い関係にあることを知る。 20 ●5つの体験活動の概要 ① 五感で散歩(キーワード:森林の構成) 木材を生産することだけが森林の働きではないこと知るために、いろいろな姿 や形から構成されている森林を身体で感じる。 ② 森林の地面を掘ってみよう(キーワード:森林の土) 森林は豊かな土を培っていることを知るために、森林の土壌の性質、機能の違 いを調べる。 ③ 森林と水の関係を考えよう(キーワード:水源かん養林) 森林は水源かん養の働きがあり、天竜流域の水利用を支えていることを理解す るために、森林と水の関係を調べる。 ④ 森林は「緑」のフィルター(キーワード:暮らしを守る森林) 天竜流域の暮らしは森林により守られていることを知るために、土砂流出・飛 砂などを防止し、また大気を浄化する森林の働きを調べる。 ⑤ 木が吸収する二酸化炭素の量を調べよう (キーワード:二酸化炭素の固定) 地球温暖化防止に果たす森林の役割を理解するために、二酸化炭素を吸収し、 そして固定している森林の働きを調べる。 21 森林環境学習テーマ2 「森林の働き」 ① 五感で散歩 目 標 ・木材を生産するだけが森林の働きではないことを知る。 ・樹木の構成、林内の明るさ、下層植生などが森林によって違いがあ ることを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 五感を意識しながら学校の庭園や近隣の森林 ・日常生活の中で触ったり、匂いをかいだり、じ を散歩し、感じたことをシートに書き出すことに っくり見たりすることで何かを発見できた経験 がないかを聞いてみる。 より、森林の特徴を見つける。 ・自然の中でも同じように触ったり、かいだり、 2 活動目標 見たりすると今まで気づかなかったことが発見 ①五感を使って、自然の楽しみ方を知る。 できることを説明する。 ②森林によって、植生や明るさ、下草や地表の様 子が違うことに気づき、森林への理解を深める。 ② 体 験 ・人数分の4種類のワークシートを裏返しにし 3 実施条件 て、一人1枚ずつ引く。 ※ワークシートの種類 ① 時 期 「触ってみたら発見!」 、 「鼻を使ったら発見!」 、 いつでも可 「よく見たら発見!」 、 「耳をすましたら発見!」 ・それぞれ自分が引いたシートの方法で歩き、ワ ② 場 所 学校の庭園、近隣の森林 4 準備するもの ークシートに発見したものを書き込む。 ③ ふりかえり 4種類のワークシート、筆記用具 ・グループごとに気づいたこと、感じたことを話 し合う。 ・四季をとおして自然の変化を感じることを伝え る。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・子どもと一緒に楽しむ 自然体験アクティビティ集 ※写真を比べてみよう ・人工林と天然林、手入れが行き届いた人工林と (日本環境教育フォーラム) そうでない人工林で地表の植物のようすや土の ・森で学ぶ活動プログラム集1 小学高学年の総合的な学習 ようすを比べてみる。 ・森林を形成している樹木の違い、光と樹木の生 (全国林業改良普及協会) 長の関係、地表の違いを話し合う。 22 学習の解説 「森林の構成」 1 森林の姿 単層林は、林木を一度に全部伐採(皆伐)したあ と、人工造林によって森林を造成するもので、効率 外からみると一様に見える森林もひとたび中に足 的な育林施業に適した形である。 を踏み入れると多様な樹木、草本で構成されている 複層林は、林木を複数回に分けて伐採(択伐・間伐) ことがわかる。これらはその高さにより高木層、亜 し、その都度、植林をするため、林内に光が入りや 高木層、低木層、下層植生に分類される。 すい構成となる。また、様々な樹齢の林木が混在す 高木層は、樹高15mを超えるような高木からな ることもある。 っている。この高木は、その森林を特徴づける代表 的な樹種であり、天竜流域のような暖帯に位置する ②単純林と混交林 自然状態の森林では、シイ類やカシ類がその地位を 単純林は1種類の林木しか生育していない林であ 占めることが多い。 り、混交林は複数の種類の林木が生育している林で 亜高木層は、樹高5∼15m程度の樹木から構成 ある。 されていて、自然遷移の中で衰退していく樹種と、 天竜林業地帯ではスギまたはヒノキの単純林で単 高木層と同一の樹種で、高木層が枯れたときに次代 層林が多く、木材生産における効率が良い。 を担うよう準備しているものが混じり合っている。 低木層は、弱い光の中でも生育が可能な樹種が数 3 地表の植物 多く生育している。 低木層の下にも多くの植物(下層植生)が生育して 2 森林の形 いる。こうした下層植生は森林の中に適度な太陽光 ①単層林と複層林 が差し込むことによって、維持されている。このた 林冠(林で枝葉がついている部分)の階層構造から、 単層林と複層林に分類される。 め、大雨が降っても、表土が流されずに地力を保持 することができる。 樹冠の層が1層の森林が単層林、2層以上の複数 一方で、間伐や枝打ちなどが行われず光が入らな の層からなる森林が複層林という。 い森林では、下層植生が生育できないため、雨によ って表土が流されてしまい、森林の公益的機能は低 <単 層 林> 下していく。 <複 層 林> 下層植生が生育している森林 23 森林環境学習テーマ2 「森林の働き」 ② 森林の地面を掘ってみよう 目 標 ・森林は豊かな土を培っていることを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 森林の地面を掘って、表土(黒い土)とその下 ・森林の働きを考えさせる。 の層(赤い土)の違いを比べ、性質、機能の違い ・学校の運動場と森林を歩いた時の違いを聞き、 を調べる。 森林の土がふかふかしていることに疑問を抱か せる。 2 活動目標 ①森林の土の層から、その森林の特徴を理解す ② 体 験 ・森林(落葉広葉樹林が望ましい。)の地面をス る。 ②表土(黒い土)とその下の層(赤い土)の違い コップで少しずつ掘っていく。 を明確にし、森林の成り立ちとその構成を知る。 ・根の張り具合と各層ごとの厚さを測る。 ・上の方の落葉層と表土(黒い土)とその下の層 3 実施条件 (赤い土)を別々のバケツに半分ほど持ち帰る。 ① 時 期 ・取ってきた黒い土と赤い土をバットにあけ、土 春∼秋 の状態を観察し、肉眼で見える小動物を捕まえ て、種類と数を記録する。 ※もっと小さい小動物を観察したい場合はツ ② 場 所 落葉広葉樹の林が適しているが校庭でも可 4 準備するもの ルグレン装置を利用する。 ③ ふりかえり スコップ、バケツ、巻尺、ピンセット、ルーペ、 ・グループごとに、土層の観察記録、小動物の観 シャーレ、バット(新聞紙などでも代用可) 察記録を発表する。 ・団粒構造の発達が、小動物の生息を促したり、 土砂崩れ等の防止機能に関係が深いことを教え る。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・ためしてわかる環境問題③【食物・生物】 ・表土(黒い土)を燃やしてみることにより、表 (大月書店) 土には小動物のフンや有機物が含まれているこ ・森は海の恋人(北斗出版) とを理解する。(赤い土はフンや有機物を含んで ・ビデオ いないので燃えない。 ) 森の環境教室 15分(日本環境協会) 24 学習の解説 「森林の土」 1 土は緑の命 コンクリートで覆われたビルやアスファルトの道 路では植物が生息できないことからもわかるように 土はその大切な生育基盤である。 ひと口に土といっても、栄養分豊かな森林土壌と 運動場に代表される、やせた土壌では植物の生長の 差を比較してみると、その差は歴然である。つまり、 土は植物(緑)の命であり、私たちの生活を支えてく れるとても大切なものなのである。 2 落葉はじゅうたん 森林を歩くと、ふかふかしていることに気づく。 これは、落ち葉が重なっていること、そしてその層 に生息するミミズや虫が土を耕しているからである。 森林の地面を掘ってみるとよくわかる。一番上に は乾いた落葉が積もっている。それから順に、湿っ た落葉、虫に食われてボロボロになって腐った落葉 がある。 3 魚を育てる森林 その下には、場所によって差異はあるが、数十㎝ の厚さの表土(黒い土)がある。 豊かな漁場の上流には豊かな森林がある。それは、 表土(黒い土)にはたくさんの小動物が生息して 森林の栄養(植物プランクトン)が水によって運ば いて、落葉を食べてフンを出したり、土を耕してい れ、海の生態系が豊かになるためである。 る。そのため、団粒構造になり、すき間に空気や水 こうした森林の恩恵に感謝し、さらにその働きを が蓄えられたり、菌類や微生物のすみかとなるため、 高めるため、近年、天竜川漁協や福田漁協のように、 地面がふかふかとなると同時に植物の根が広がり植 漁業者が組合単位で上流に植林活動を行う取り組み 物が大きく生長するのである。 が始まっている。 表土の下の層である赤い土には、小動物はほとん ど生息していないため、固く締まっている。数十 cm の厚さの表土(黒い土)が植物をはじめ、森林の生 物の命を支えているのである。 ※ 団粒構造 小さな粒が集まって、大きな粒を作り、それが集 まってさらに大きな粒を作るといった構造をしてい る。この構造のため、保水力、通気性に優れている。 漁業協同組合による「森は海の恋人」植林活動(森町) 25 森林環境学習テーマ2 「森林の働き」 ③ 森林と水の関係を考えよう 目 標 ・流域内の水利用は森林に支えられていることを知る。 ・森林の土によって水源かん養がされていることを理解する。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 森林を通ってきた湧き水と学校の近くの川か ・湧き水の採集した場所と状況を説明する。 ら採集した水の水質調査を行い、それぞれの違い ・湧き水と川の水との違いを予想する。 を明らかにする。 ② 体 験 2 活動目標 ・水をガラスの空き瓶に移す。 ①湧き水と川の水の汚れかたの違いから、森林の ・観察をする。 水源かん養機能を理解する。 a匂いをかぐ ②水は循環していることを理解させ、生活排水な b透明度の確認 どに注意することを気づく。 c水中を漂っているものがあるか確認 d50回振って泡が立つか確認 3 実施条件 ・パックテストで残留塩素を測定する。 ① 時 期 ③ ふりかえり いつでも可 ・湧き水がきれいな理由を考える。 ② 場 所 ・川の水が汚い理由を考える。 教室又は理科室 ・川の水をきれいにするには、どうすればよいか 4 準備するもの を考える。 湧き水、川の水、無色透明のガラスびん、塩素 のパックテスト(理科教材店、大型雑貨店などで 購入可能) ● 関連資料 6 発展的な学習 ・水をはぐくむ森のはなし 水源の森(林野庁) ・水質によって、生息する水中の小さな生物プラ ・総合的な学習・学校から ンクトンが違うことを気づかせるために、顕微鏡 はじまる環境チェック2 を利用してプランクトンを観察する。 学校から外へ出よう(童心社) ・しずおか水を育む森50選(静岡県山林協会) ・静岡の湧き水100選(静岡県) ・ビデオ 天竜川∼水と生活∼ 15分(静岡県) 26 学習の解説 「水源かん養」 1 蛇口のむこうに森林がある の村の水源や、平野部の湧水となって私たちの生活 に欠かせない飲料水として提供されるようになる 蛇口をひねると出てくる水道の水をさかのぼって (水資源貯留機能) 。 いくと、浄水場、河川そして上流の森林にたどりつ また、空気中のチリや大気汚染物質等を含んだ雨 く。 この水は、太陽エネルギーを受けて自然の大循環 水でも、森林の土を通過する間に窒素やリンが吸着 を繰り返し、自然環境を形成し多様な生態系を支え されて、きれいな水になる。しかも、地下水が地層 ている。水は大気、海洋、陸地をグルグルまわって のすき間や岩の割れ目を通る間には、適度なミネラ いる。この循環の中で水を蓄える自然のダムの役割 ルが溶け込んでいくので、おいしい水になるのであ を果たしているのが森林である。 る(水質浄化機能) 。 流域の水循環 (資料: 「水をはぐくむ森のはなし」第一プランニングセンター) 良質な水をはぐくむ水源かん養林(龍山村) 2 森林の育む貴重な水の利用 4 水は命の源 地球上に水は豊富に存在するが、そのほとんどが 水がなければ、植物も動物も生きていけない。豊 海水であり、人間が利用できる水はわずか1%未満 富な水は、流域の生物に食べ物やすみかを提供し、 と推定される。 生きていく上でなくてはならない環境を創り出して 私たちの社会は、森林が貯留してくれるこの水を いる。この意味で、水は生きとし生けるものの生命 生活、農業、工業のための用水として大量に消費す の源であると言える。 ることにより成り立っているのである。 5 しずおか水を育む森 50 選 3 水源かん養機能 大切な水源林を次代に引き継ぐためにはその重要 森林のふかふかした団粒構造の表土はスポンジの 性を一人一人が理解する必要がある。このため、県 ように雨水を蓄えることができる。大雨でも全てが 内の代表的な水源林が「しずおか水を育む森 50 選」 川に流れず災害を防いでくれるのはこのためである として選定されている。 (洪水緩和機能) 。 天竜流域では、大日山水源の森(森町三倉) 、足神 表土に蓄えられた雨水は少しずつ地中深くに浸透 様水源の森(水窪町池島)、渋川水源の森(引佐町渋 し、地下水となる。この水は伏流水となり、山間地 川)など16箇所の森林が選ばれている。 27 森林環境学習テーマ2 「森林の働き」 ④ 森林は「緑」のフィルター 目 標 ・流域の暮らしを守るためには森林が必要であることを知る。 ・土砂の流出、風、潮、砂を防ぐために森林を育ててきたことを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 校庭の道路側、校庭側それぞれの葉の汚れを調 ・校庭の葉の働きを予想する。 査することによって、葉がチリを取り除いている ・実験のやり方をしっかりと把握させる。 ことを明らかにする。 ② 体 験 2 活動目標 ・校庭のいろいろな場所から葉を採集する。 ①葉の仕組みや働きを理解する。 ・道路側と校庭側の葉の汚れを比較する。 水をふくませたティッシュペーパーで葉を拭 ②葉が大気中のチリを取り除いていることを理 いて、汚れ具合を比べる。 解する。 ・気孔につまった黒いチリを顕微鏡で観察する。 3 実施条件 気孔の略図と黒いチリのつまり方をスケッチ する。 ① 時 期 いつでも可 ③ ふりかえり ・いろいろな場所の葉を観察し、結果を比較する。 ② 場 所 ・葉が緑のフィルターの役割をしているかどうか 校庭及び理科室 考える。 4 準備するもの ※気孔 気孔は光合成原料の二酸化炭素を取り入れた ティッシュペーパー、顕微鏡、電気スタンド、 スライドガラス、セロハンテープ、いろいろな場 り、水蒸気を出して葉の温度が高くなるのを防い でいる。気孔がつまってしまうと、光合成や呼吸 所で採集した葉 ができにくくなって、木は弱ったり、病気になっ たりする。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・水をはぐくむ森のはなし 水源の森 ・暮らしを守るために重要な働きをしている森林 (第一プランニングセンター) は法律で「保安林」として指定され、守られてい ・総合的な学習・学校から はじまる環境チェック1 学校でやってみよう(童心社) る。自分たちの近くにどんな種類の保安林がある か、どのように暮らしを守っているのかを調べて みる。 28 学習の解説 「暮らしを守る森林」 1 暮らしを守る森林の働き 3 海岸防災林 天竜流域の上流は、中央構造線が貫く地質、急峻 海岸付近の森林(海岸防災林)は、幹、枝葉によ な地形、年間2,500mm を超える降水量のため土 り強風を弱めたり、風の中に含まれる塩分を捕捉し 砂災害を起しやすい条件を備えているが、森林で覆 少なくする働きがある。また、樹木や林床の植生に われていることにより、山崩れや土砂流出が最低限 より砂を抑える働きがある。 に抑えられている。 天竜流域の海岸線(遠州灘)は強風が発生するた また、この流域の海岸部は中田島砂丘、浜岡砂丘 め、この強風のエネルギーを上手にコントロールし に代表されるように戦前までは砂丘の連続する地形 ながら、砂丘を造成し(砂の移動を抑え) 、クロマツ であり、飛砂の害が多発していたが、風や砂を防ぐ 林を育てる独特の技術が編み出されてきた。 ために先人が1本1本マツを植えてきた結果、今で は800haもの森林が造成されている。この森林 が強風、飛砂を防いでいるおかげで、その後方に住 宅地、農地、工業用地が出来、高度な土地利用が実 現している。 2 土砂崩れを防ぐ森林 森林の土の中に張りめぐらされた木の根は、土や 石をしっかりとつかんで離さない。このため、少し くらいの大雨では崩れることはない。 海岸防災林(遠州灘海岸・福田町) 4 防風林 また、地面を覆っている落ち葉や小枝は、雨が直 接地面をたたくのを防ぎ、土が削られて流れ出すの 流域特有の季節風から集落や農地を守るために育 を防いでいる。地面がむきだしになった、荒れた山 てられた防風林は、流域のいたるところにみられる。 では、森林に覆われた山の100倍もの土砂が流れ (p47、p59参照) 出てしまうといわれている。 5 森林は緑のフィルター 土砂流出量の比較 森 林 環境を保全する森林の役割としてこのほかにも、 大気を清浄にする働きが挙げられる。 大都市や大きな道路近くでは、自動車の排ガス中 2t/年・ha の煙によるチリ(粉塵)が多いが、風が林の中を通 耕 地 りぬけるとき、このチリが枝や葉にぶつかり、吸着 される。この結果、校庭に吹き込む風から、自動車 の排ガス中のチリが取り除かれるのである。 荒廃地 15t/年・ha また、葉の気孔で二酸化炭素や酸素と一緒に、二 酸化窒素(NO2)や二酸化硫黄(SO2)などの大 気汚染物質を体内に取り入れることにより、大気を 307t/年・ha きれいにする働きもある。 29 森林環境学習テーマ2 「森林の働き」 ⑤ 木が吸収する二酸化炭素の量を調べよう 目 標 ・地球温暖化防止と森林は深い関係にあることを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 校庭の樹木が吸収する二酸化炭素の量を調べ、 ・地球温暖化を深刻な問題だと受けとめさせる。 樹木1本が1年間に吸収する二酸化炭素の量と ・樹木の光合成によって二酸化炭素を吸収・固定 1人の人間が1年間に呼吸で吐き出す二酸化炭 する働きを理解させる。 素の量を比較する。 ② 体 験 2 活動目標 ・樹木の「幹の太さ」から樹木1本の「葉の面積 ①二酸化炭素の量を調べる方法を理解する。 の合計」を求める。 ②二酸化炭素を吸収・固定している森林の必要性 ・調べた樹木1本が1年間に吸収する二酸化炭素 の量を求める。 を知る。 ・ 「1本の樹木が吸収する二酸化炭素の量」と「1 3 実施条件 人の人間が1年間に呼吸で吐き出す二酸化炭素 ① 時 期 の量」を比較する。 いつでも可 ③ ふりかえり ② 場 所 ・樹木がいかに人間の生活に役立っているか話し 校庭及び教室 合う。 4 準備するもの 巻尺、電卓、「子ども葉っぱ判定士」事業パン フレット(計算方法) ● 関連資料 6 発展的な学習 ・地球を守る樹木の働きを調べよう ・身近にある木がどのくらいの二酸化炭素を吸収 ∼「子ども葉っぱ判定士」事業パンフレット∼ しているか調べてみる。 (環境省) ・木が吸収する二酸化炭素の量と自動車や人間が ・ビデオ 排出する量を比べてみる。 地球と環境1 地球の温暖化・オゾン層の破壊 29分(NHK) 増えていく二酸化炭素 ∼環境教育シリーズ∼15分(学研) 30 学習の解説 「二酸化炭素の固定」 1 光合成 1950年代末から始まったハワイにおける観測 樹木や草などの植物は、葉に光が当たることによ では、大気中の二酸化炭素の濃度がこの50年間に り、空気の中の二酸化炭素(CO2)を吸収して、酸 50ppm近くも増加したことが報告されている。 素(O2)を放出する光合成と呼ばれる働きをしてい こうしたことから1997年に各国間で取り交わ る。植物も動物と同じく酸素を吸って二酸化炭素を された京都議定書では、二酸化炭素排出量の削減が 吐き出す呼吸もしているが、昼間は光合成の働きが 各国に義務づけられ、日本も6%を削減することと 活発なため、全体としては、二酸化炭素を吸収して なった。このうち3.9%は森林が二酸化炭素を吸収 酸素を放出していることになる。 する量を算入することが認められたため、地球温暖 化に対する森林の働きが重要視されるようになった。 植物が吸収した二酸化炭素は、植物の幹や枝、葉 などをつくり、それは紙や木材を作る材料になった 3 二酸化炭素の固定 りする。また、果物や野菜は人間や動物の食べ物に なる。 森林は、大気中の二酸化炭素を取り込むことによ り生長を続けているため、炭素の巨大な貯蔵庫であ 光合成のしくみ るといえる。 森林が若いときは固定する量が大きいが、成熟し 光 CO2 た森林では二酸化炭素の吸収と放出の収支がゼロに なる場合もある。 水 森林に固定されている炭素蓄積量は、戦後の拡大 造林で造成した針葉樹(人工林)の生長と最近の伐 採量の減少によって年々増加している。 森林に期待されている3.9%分の炭素吸収を天 竜流域の森林に置き換えると10万トンの吸収量を O2 期待されていることとなる。これは、17万台の自 ブドウ糖 動車の排出する二酸化炭素の量と同等と計算される。 1,400 針葉樹 広葉樹 1,200 2 地球温暖化 森 1,000 林 炭 800 素 量 600 蓄 積 量 400 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が 2001年に発表した報告によると、20世紀中に 地球の平均気温は約0.6℃上昇したと計算してい る。このまま地球温暖化が進めば、人類の生存にと っても様々な障害が起こるのではないかと危惧され 200 ている。 地球温暖化は二酸化炭素やメタンなどの温室効果 0 1962 ガスが大気中に多くなることによって発生する。 1965 1970 1976 1984 1986 1990 1995 日本の森林の樹木に貯留される炭素量の変化 (データは松本(2001)による。単位:Mt) 31 森林環境学習テーマ3 産業としての林業 ○ねらい: 「木を育てる楽しさ・使う大切さの意味を知る」 森林の機能を十分に発揮させるためには木を育て、守る必要がある。 そのためには林業・木材産業の役割と木造住宅などの良さを知り、有 効に木材を利用することを理解する。 ○視 点: 「木づかい運動を展開しよう」 子どもたちに教えてもらいたいこと ① ② ③ ④ ⑤ 苗木を植え、育て、森林(木)になる。 木材は木を伐採し、加工されて出来ている。 木材は様々に利用されている。 木材の家に暮らすことは森林の機能を高めることになる。 木材は再生可能な資源であり、新たな利用が期待されている。 子どもたちの達成目標 ① ② ③ ④ ⑤ 森林を育てる楽しさ、大変さ、大切さを知る。 木材産業の役割を理解する。 身の回りの木材で出来たものに気づくことができる。 流域の森林資源から「木の家」が出来ることと、 「木の家」の良さを知る。 木材は流域の環境に役立つ資源であり、その活用の意味を理解する。 32 ●5つの体験活動の概要 ① 種から苗を育てよう(キーワード:木を育てる) 森林を育てる手順とその楽しさ、大変さ、大切さを知るために、苗木の育成や 植栽、保育などの各種作業を体験する。 ② 木材を加工してみよう(キーワード:木を加工する) 森林から木材ができる流れを知り、木材産業の役割を理解するために、木の伐 採や製材、木材の流通などを調べ、木材の加工を体験する。 ③ ちょっとの工夫で「木の宝もの」 (キーワード:木材の利用) 身の回りの木材で出来たものに気づき、木材の使い方に興味を持つために、木 材の利用方法や性質などを調べ、木材を利用する。 ④ 「木造の建物」を調べよう(キーワード:木の家に暮らす) 天竜流域の森林資源から「木の家」が出来ることと、 「木の家」の良さを知るた めに、森林から「木の家」が出来る過程と「木の家」の暮らしを調べる。 ⑤ 木材の再利用をしよう(キーワード:バイオマスの利用) 木材は天竜流域の環境に役立つ資源であり、その活用の意味を理解するために、 木材のリサイクルやバイオマス利用について考える。 33 森林環境学習テーマ3 「産業としての林業」 ① 種から苗を育てよう 目 標 ・森林を育てる手順を知る ・森林を育てる楽しさ、大変さ、大切さを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 スギ、ヒノキの種をまき、学校の花壇で苗木を ・体験方法について説明し、把握させる。 育てる(コナラ、クヌギ類であればドングリを集 ・球果を採取した状況を説明する。 める)。観察日記をつけ、可能であれば育てた苗 ② 体 験 木を山に植栽する(森づくりをする) 。 ・発砲スチロール箱の底に水抜き穴をあけ、土を 多めに入れる。 2 活動目標 ・箱の中の土を均一に広げ、板で強く叩き固める。 ①種子をまいて、植物が生長していく様子を知 ・スギ、ヒノキの種子を別々の箱にまきつけ、土 ふるいを使って種子が見えなくなる程度に土を る。 ②小さな苗木を育てる苦労と楽しさを知り、森林 かける。 ・稲わらを薄く広げ、風などで飛ばないよう棒な の大切さを理解する。 どで押さえておく。 3 実施条件 ・乾燥の続く時は水をかけ、発芽してから生長に ① 時 期 合わせわらを抜き取り、日当たりの強いところは 遮光ネット)などをかける。 春から (種まきから) ・まきつけてから1年を過ぎると、全部の苗木を ② 場 所 掘り取り、選別し、別の畑に植え付ける(床替え) 。 ※床替え用の畑がない場合は育種場の畑を借 校庭、花壇 ヒノキとスギの球果 4 準備するもの りる。 ・グループごとに観察日記を付け、苗木の育成過 クワ、移植ゴテ(シャベル)、スコップ、土ふ 程で体験した驚き、困ったことなどを発表する。 るい(5mm メッシュ程度) 、稲わら4束、発泡ス ③ ふりかえり チロール箱(大)2個、種子(スギ・ヒノキ) ・丹精して育てた苗木を、大変な苦労で山に運び、 ※種子の問合せ:西部農林事務所育種場へ 植林し、天竜の美林を残した先人の偉大さについ 電話:053-589-8550 て考える。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・図説造林技術(日本林業調査会) ・スギ、ヒノキ以外にもマツやナラ類の種子も採 ・林業種苗(農林出版) 取し、苗木を育ててみる。 ・自分たちで育てた苗木を山に植えて森づくりを 行う。 34 学習の解説 「木を育てる」 1 森林の所有者 ②植付け(植栽) 天竜流域の林家(1ha 以上の森林を所有)は、 スギはやや湿った沢沿いや谷間に、ヒノキやマツ 6,131戸である。所有面積5ha 未満の林家は、 は尾根筋や乾燥した土地に植栽する(適地適木) 。植 4,475戸で全体の73%を占め、所有者の大半 栽間隔は1.8∼2.0mで山の頂上付近から等高線 は小規模林家である。一方、50ha 以上の森林を所 状に横に通して植栽する。 有している林家は177戸で、所有者全体の2.9% に過ぎないが、保有森林面積では全体の約40%を 占めている。 専業で林業を営む林家はごく少なく、ほとんどが 農業や他産業との兼業である。 2 球果とタネ スギ・ヒノキの球果とは、体験活動の展開例中の 図に示した直径1∼1.5cm の果実のことであり、 多数の木質の鱗片とその内面にタネ(種子)を包含 している。球果を天日や人工乾燥機により乾燥させ 苗木の植林風景(龍山村) ることで2∼3mm 程度の種子がこぼれ落ちてくる。 ③下刈り 天竜流域には、浜北市、磐田市ほかに苗木生産者 植栽されたばかりの苗木は小さく、雑草や雑木に がいる。年々造林面積が減少しているため、苗木生 よって生長を阻害されるので、これらを刈り払う。 産者も減少している。 下刈りの時期は7∼8月に行い植栽から7年くらい まで行う。 ④除 伐 新たに植林された森林を健全に生育させるため、 植林木の生育を妨げる木を伐採して除く。この作業 は下刈りが終了してから3年くらい経った後に行う。 ⑤枝打ち 製材したとき、材の表面に節が出ないよう、樹齢 15∼20年までの間に3回(地上6m)ほど実施す る枝を除去する作業であり、枝打ち鉈・鋸を用いる。 ⑥間 伐 植栽してから15年目ぐらいからはじめる森林の 苗畑の様子 3 木の育て方 木の数を減らす作業のことであり、林内に入る光の ①地拵え(じごしらえ) 具合を調整し、林床の草や低木を増やす。間伐は5 年に1回ぐらいの割合で樹齢40年ぐらいまで実施 苗木を植える山には前に伐採した枝葉や雑草があ り、これを片付たり、刈り払うことで、苗木を植栽 し、1回の間伐本数は立木本数の20∼30%とし、 しやすくすること。 主として生長不良木や欠点木を伐採する。 35 森林環境学習テーマ3 「産業としての林業」 ② 木材を加工してみよう 目 標 ・木材産業の役割を理解する。 ・森林から木材が出来る流れを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 移動式簡易製材機(固定されたチェンソーによ ・丸太からどんなものが製材されるか調べる。 り木材を横挽きする機械、商品名:ロゴソール) ・丸太に触り、その重さを実感する。 を使って丸太を半割り製材し、ベンチを作る。 ② 体 験 ・丸太の中央にチョークで線を引く。 2 活動目標 ・ロゴソールに丸太をセットする。 ①丸太から板や、柱が取れることを体験する。 ・チェンソーを始動し、回転する刃をゆっくり丸 ②丸太を挽くと中の材に多くの水が含まれてい 太にあて半割り挽きし、挽き面の水分を感じる。 ・挽いた木の重さでチェンソーの刃が動かなくな ることを実感する。 ることのないように必要に応じてくさびを打つ。 3 実施条件 ・半割りされた片方を土台とするため長さ方向で ① 時 期 二つに切り、それぞれの曲面中央にノコギリでV 溝を挽き入れこれをベンチの足とする。 いつでも可 ・足の上に残りの半割り丸太を挽いた平面を上に ② 場 所 学校(運動場等)、森林組合、製材所など広い して設置する。 ③ ふりかえり ところ ・木の種類の違い、太さ、形による堅さ、挽き具 4 準備するもの 合の違いについて話し合う。 丸太(森林組合などから購入) 、ロゴソール(北 遠農林事務所より借用し、農林事務所職員らの協 力でこれをセットする) 、ヘルメット、ゴーグル、 軍手、チェンソー、くさび、カスガイ、ノコギリ、 チョークなど 移動式簡易製材機(ロゴソール) ● 関連資料 6 発展的な学習 ・製材と木工(森北出版) ・ベンチ作品の展示を行い、みんなで鑑賞し、ど ・基礎・木工作の事典(パッチワーク通信社) んな工夫や苦労をしたかについて意見を出し合 う。 36 学習の解説 「木を加工する」 1 天竜林業の現状 昔は木馬(木製の丸太運搬用ソリ)や馬車に頼って 3 天竜流域の森林の総蓄積は33,232千 m で、 いた作業である。最終的に丸太は製材工場の大きな ベルト状の帯鋸で板や柱に製材される。 利用可能な45年生以上の森林面積は43%を占め ている。しかしながら、近時の材価の低迷、住宅着 工数の減少、林業労働力不足などの林業を取り巻く 状況は厳しく、林業の存続が危ぶまれている。また、 森林との関わりの中で様々な歴史を育んできた山村 集落の自然消滅、さらには森林の適正管理が放棄さ れたことによる多くの公益的機能の低下が懸念され ている。 こうした状況の中、林業の活性化に向けた様々な 取り組みが展開されている。森林の健全育成に係る 間伐の推進、伐出コスト削減に向けた機械化・作業 現在の丸太搬出(トラックへの積込み) 路網整備とその受皿である事業体の育成、さらには 3 木材の流通 木材需要の大半を占める建築・土木用部材への積極 的利用の推進や新たな木材利用技術の開発など今後 天竜流域の森林から切り出された木材は原木市場 一層の努力が必要である。 に集荷され、製材工場、プレカット工場、流通問屋 などを介して大工・工務店の手に渡り、住宅という 2 伐採から製材まで 形で私たちの手元に届けられる。 天竜地域の森林では、60∼70年間育てた木を 秋から冬にかけてチェンソーで伐採し、必要な長さ に玉切りする。 原木市場(静岡県森林組合連合会天竜営業所、浜北市中瀬) 4 製材と木取り 丸太を建築用に製材するとき、板、柱、梁、桁、 昭和初期の丸太搬出(木馬と馬車) その後ワイヤーロープを駆動させる集材機や林内 貫などの建築用の様々な部材をより高い歩留りで、 作業車、タワーヤーダ(架線を張る機能を有した車 より欠点なく挽き割ることが重要であり、これを木 両型集材機)などの林業機械を使って林道まで運び 取りと称する。この木取りにより製材品の材面には 出し、トラックで市場や製材工場などに運搬する。 様々な木目模様が現れる。 37 森林環境学習テーマ3 「産業としての林業」 ③ ちょっとの工夫で「木の宝物」 目 標 ・身の周りの木材で出来たものに気づく。 ・木材は乾燥してから利用することを知る。 ・木材の使い方を理解し、興味を持つ。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 森や川で集めた木の材料を使い、木のクラフト ・学校近くで山や川を歩き、いろいろな種類の木 の幹や枝を集める。 を作ってみる。 ・近くの製材や木工所で不要材をもらう。 2 活動目標 ② 体 験 ①自然の素材を活用したクラフト作りを通して ・集めた材料を、ノコギリを使い、思い思いの大 きさに挽く(輪切りする時も、直角に切ったり、 創造力を養う。 ②種類の違う材料を加工することで木材の性質 斜め切りして変化をつけると模様が異なりおも しろい) 。 を知る。 ・輪切りしたものはブラシやサンドペーパーで磨 3 実施条件 き仕上げ、コンパネの上に思い思いに配置する。 ① 時 期 ・また、木切れを使い、いろいろな動物や鳥など を形づくる。 いつでも可 ③ ふりかえり ・作品ができたら、皆で鑑賞し、どんな工夫や苦 ② 場 所 労をしたかについて意見を出し合う。 学校、近くの森や河原 4 準備するもの 木切れ、ノコギリ、糸ノコ、ナタ、カナヅチ、 6 発展的な学習 ドリル、小刀、竹ヘラ、彫刻刀、ブラシ、サンド ・曲げ木に挑戦(写真上) :1cm 角、長さ25cm ペーパー、コンパネ、接着剤、クギなど ほどの木材をあらかじめ水につけ飽水状態とし、 この角棒にラップをしっかりと巻き、電子レンジ で蒸気が上がるまで温める。素早く取り出し曲げ てみると、驚くほど曲がる。そのままラップを取 ● 関連資料 り外し、曲げたままクギなどで固定して乾かせ ・森のセミナーNo.6 ば、曲げ木が完成する。 くらしと木材(全国林業改良普及協会) ・木工品・クラフトガイド(日本木材備蓄機構) ・木のひみつ(東京書籍) ・木工(朝倉書店) ・森の標本箱①、②(小学館) 38 学習の解説 「木材の利用」 1 木材の利用 木質ボードや燃料として使われている。紙製品の約 ①木材は加工しやすい材料 半分も回収され再利用されている。こうした利用の サイクルをより発展させることで循環型社会に大き 木材は金属、ガラス、石などに比べると、とても く貢献することができる。 加工しやすい材料であり、大きなエネルギーを使う ことなく、簡単な道具ですぐに家具などを作ること 2 木材の性質 ができる。 家具や小さな木工品は主として広葉樹が用いられ 木材は断熱性、加工性、衝撃吸収性、高い強度な ているが、天竜流域では地元のスギ、ヒノキの針葉 どを有することで、建築用の材料として比類ない素 樹からも生産されている。小中学校で使う学習机も 材である。一般的に言われる、燃える、腐る、狂う 作られている。 などの性質についても、使い方次第で安心して使え る工業材料となる。千年も健在な法隆寺(古建築) はまさにその良い例である。 顕微鏡で木材を見ると、パイプのような細胞が集 まって出来ており、パイプの中身は空気である。ま た、1cm3 の木材内部の表面積はテニスコートほども あり、こうした構造が断熱、衝撃吸収、防音、臭い の吸着などの性質を発揮させている。 また、木材は温度、湿度を調整することができ、 内装に使用することで冷暖房機器の使用エネルギー 針葉樹による家具(天竜市森林組合) を削減することができる。さらに、肌触りのよさ、 木目の美しさなどから、人に対するリラックス効果 を生んでいる。 3 木材の乾燥 製材工場で角材や板に加工された木材(製材品) は、割れ、曲がり、腐れ、寸法の変化(狂い)など の発生を防ぐため、木材の中にある水分を取り除く 必要がある。 その方法には、製材品を何か月も自然の気候に任 せ乾かす自然乾燥と、乾燥機を使って速やかに乾か す人工乾燥がある。両者とも材と材の間に風通りが 良くなるようにすき間が開けられる(桟木を入れる) 。 (資料: 「木の 100 不思議」日本林業技術協会) また伐採した後、直ちに搬出せず、葉をつけたま ②木材はリサイクルしやすい材料 ま、根元を切り株の上に乗せた(浮かせた)状態で 木材は主に建築材、家具、紙などに利用されてい 山に2か月以上放置することで、丸太内部の水分の るが、それらはリサイクルされている。 減少を待つ(葉付き乾燥)方法もある。 建築廃材は集められ、チッパ−で細かく粉砕し、 39 森林環境学習テーマ3 「産業としての林業」 ④ 「木造の建物」を調べよう 目 標 ・木材から木造住宅が出来る流れを知る。 ・木造住宅の良さを知る。 ・ 「木の家」に住むことは流域の環境に役立つことを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 私たちが住んでいる近くの建物や施設を調査 ・校区内にある木材が使われている大きな建物や し、木材がどのように使われているか、また利用 屋外施設のリストを作成する(特徴ある木造住宅 を含んでも良い) 。 者の木材に対する感想や希望も含め調べる。 ・小グループをつくり、白地図に調べた建物の位 2 活動目標 置を書き込み、グループの調査エリアを決める。 ①私達の身の廻りで、木材が建物にどのように使 ② 体 験 われているのかを知る。 ②建物などに使われている材料は、どこで育てら ・グループごとに、調査を行う。 aどんな木材がどんな所に使われているか。 れた木かを知る。 b木材を使うとどんな効果があるか(触れた感 3 実施条件 触、デザインなど) 。 ① 時 期 c利用者の感想を聞いてみる。 d写真やスケッチに記録する。 いつでも可 ・調査した結果をノートにまとめる。 ・グループ全員が集まり、発表会を開き、レポー ② 場 所 トを見せ合いながら意見交換を行う。 校区内 4 準備するもの ③ ふりかえり ノート、スケッチブック、カメラ、巻尺、校区 ・木材が使われていない建物や施設と比較して、 内の地図 木材の効果を考えてみる。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・木の家に住むことを勉強する本 ・昔から住んでいる古い民家を訪ねて木材の使わ (農山漁村文化協会) れている様子を見て、今の建物と比べてみる。 ・木材は環境と健康を守る(産調出版) ・地域の古い建物などを訪ねて、木の組み方や彫 刻などを見る。 40 学習の解説 「木の家に暮らす」 1 木造住宅ができるまで 2 地産地消(顔の見える家づくり) 世論調査で90%の人が木造住宅に住みたいと答 地域で育った木を使って家を造る運動が日本各地 えるほど、日本人の木に対する愛着は深い。それは、 で行われている。地域の風土に合った地元の木材を 木材がつくる快適な住環境を私たちが求めているか 使うことでより住み心地の良い、長持ちする住宅が らに他ならない。 得られることはもとより、地域経済の活性化が図ら 地域の製材所で加工された住宅部材(製材品)は、 流通問屋を経て地域の工務店や大工に供給され、木 れ、森林の管理が進み、環境の向上にも役立つから である。 造住宅が建築されている。 最近、林業、製材加工業、建築設計・施工業者らが 昔は、大工の仕事場に行くと、大工が図面を見な ネットワークを組み顔の見える家づくりに取り組む がらノミやカンナを使い、手作業で住宅部材を仕上 動きも出ている。木造の住宅を造りたいと考える人 げている姿をよく見かけた。大工の仕事は、下の図 は、こうしたネットワークなどと一緒になって、植 に示すような様々な住宅部材の材面や仕口を加工し、 林や伐採の体験、製材工場などの見学をすることで、 現場で組み立てることである。 森林や木材に対する知識を身につけることができる。 しずおか優良木材供給センターでは、製材品の品 質、規格が一定水準を満たした木材を生産すること のできる製材工場を認定し、県内で生産され安心し て使うことのできる木材を供給している。 3 木造の建物と健康 健康で快適な生活をおくるためには、人生の大半 を過ごす住宅が安全でなければならない。 最近、自然素材である木材の良さが見直されてき ている。有害化学物質を含んだ新建材を多用した住 宅はホルムアルデヒドなどが室内に充満し、頭痛や 木造軸組住宅の主要部材(資料: 「木造建築での木の塗装」産調出版) 目の痛みなどシックハウスの原因となるが、無垢の 木材を使用することで改善することができる。 ところが最近は、住宅部材の材面や仕口を機械で 加工するプレカット工法が開発され、住宅部材の軸 子どもたちが1日を過ごす学校の内装を木質化す となる柱や梁、桁などの構造材の加工は1軒分をま ることにより、子どもたちの情緒も安定し、授業に とめて工場内で加工することが増えている。分業化 集中できる、疲れないといった評価が出ている。 により、建築費のコスト軽減にも役立っている。 プレカットされた住宅部材 木造の幼稚園(気田幼稚園、春野町気田) 41 森林環境学習テーマ3 「産業としての林業」 ⑤ 木材の再利用をしよう 目 標 ・木材は流域の環境に役立つ資源であり、その活用の意味を理解する。 体験活動の展開例 1 概 要 5 手 順 ① 導 入 木材のチップを活用した生ゴミ処理機(分解 ・木材からバイオチップが出来る過程を、生ゴミ 機)を使って、給食の残飯などの生ゴミが処理さ 処理機に添付されている説明書で説明する。 れる不思議な様子を観察する。 ・生ゴミ処理機の設置場所を決め、設置する。 ② 体 験 2 活動目標 ・処理機の中でバイオチップと分解菌を混ぜ、適 ①木質バイオマスの利用についての理解を深め 度な水を加え調整する(ぎゅっと握って手に湿気 が残る程度) 。 る。 ②木質バイオマスの新たな利用方法について考 ・給食などで残った残飯(生ゴミ)を処理機に入 れる。 える。 ・分解する様子を、時間を追って観察する。 3 実施条件 ・生ゴミはどうなったかを話し合う。 ※生ゴミは、バイオチッ ① 時 期 プに住むバクテリア(放線 いつでも可 ② 場 所 菌、糸状菌など)によって、 学校内 二酸化炭素と水に分解され て消滅するので、一定量を 4 準備するもの 投入し続けても中の容量は なかなか増えない。 生ゴミ処理機 ※龍山村役場(電話:0539-69-0311)又は龍山 ③ ふりかえり 村森林組合(電話:0539-69-0331)に問い合わせ ・生ゴミの処理に関する木 生ゴミ処理機 期間を定めて借用する。 材の役割を考えてみる。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・森のセミナー№7 ・処理機で使ったバイオチップは、約6か月で新 森のバイオマスエネルギー しいものに取り替える。取り出した古いバイオチ (全国林業改良普及協会) ップは家庭菜園などで肥料として使い、作物の生 長を観察する。 ・生ゴミ処理機と同様のシステムを活用したバイ オトイレ(写真左)の活用について考える。 バイオトイレ 42 学習の解説 「バイオマスの利用」 1 木材のバイオマス利用 形が一定であるため、家庭用のストーブなどの燃料 として活用が期待されている。 世界で消費されるエネルギーの約90%は、石油 などの化石燃料によってまかなわれている。しかし、 ②スギチップを利用した生ゴミ(し尿)処理 これらは限りのある資源であり、バイオマス(生物 資源)が再利用できる資源として注目されている。 2∼5mm のおが屑(チップ)を加熱・水洗処理し、 木材も、端材や廃材をエネルギーにするなどの利 これに微生物の菌を加えてバイオチップを作る。こ 用が進められている。天竜流域でも、木材の人工乾 のチップを生ゴミ処理機に投入し定期的に攪拌する 燥用の熱源として利用されはじめている。 ことで、1日当たり1∼2kg の生ゴミを二酸化炭素 また木質バイオマスからは、石油製品で製造され と水とに分解することができる。こうした処理機を る大半のものが製造可能であり、地球環境の保全や 普及すれば、ゴミの総量を減らすとともに、木材の 循環型社会の構築のためにも、経済収支にあった活 有効利用を図ることができる。 また、龍山村の白倉峡に設置された公衆トイレも 用方法の開発と生活の中での活用推進が期待されて バイオチップのシステムを活用した施設であり、 いる。 1日当たり240名が利用できる。 2 おが屑の利用 ③エネルギーとしての利用(木材乾燥施設の熱源と おが屑とは、製材工場などで木材を加工する際、 して) 発生する小さな粒状の木屑である。これらのおが屑 も家畜の敷料、キノコ栽培の培地(栄養源) 、オガラ 龍山村森林組合の木材加工場では、木材を加工す る時に大量の木屑が発生する。従来はこれを焼却炉 イトなどに有効に利用されている。 で焼却していたが、木屑をバイオマス燃料としてと らえ、木屑を燃やして木材の人工乾燥の熱源を得る ボイラーを導入した。 粉砕した木屑をボイラーで燃焼させ高圧の蒸気を 作り、この蒸気を木材の乾燥室に導入し、木材を乾 燥するシステムである。木屑の有効活用が図られる ばかりでなく、それまで使われていた化石燃料(石 油など)の代替となるため、使用石油量は従来の 1/2に減少し、経費の節減につながっている。 おが屑(天竜市山東、天竜未利用資源事業協同組合) 3 木材の再利用 ④化学的利用 化石資源の乱用や、地球環境の悪化により、社会 ①ぺレット ペレットとは、間伐材や端材などの通常では使わ の持続的発展が危惧されている。木質バイオマスか れない木材を木粉化し、高温・高圧で押し固めるこ らは石油や石炭化学工業からの産物のほとんどすべ とにより得られる小指の先ほどの固形燃料である。 てを作り出すことが可能である。アルコール、プラ 木材に含まれている成分(リグニンなど)を熱で固 スチック、炭素繊維、接着剤などへの活用次第で、 めているため、燃やしても有害物質は出ない。また 今後の夢は広がる。 43 森林環境学習テーマ4 森林と親しむ ○ねらい: 「森林との親しみ方、森林とのふれあい方を知る」 私たちの身近なところにも森林は存在することに気づき、親しみ、ふ れあうことで、流域の森林を感じ、森林を愛する心を育む。 ○視 点: 「流域の魅力森林を生かそう」 子どもたちに教えてもらいたいこと ① ② ③ ④ ⑤ 私たちの周りにもいろいろな森林がある。 森林には様々な木の種類がある。 森林は創造性ができる遊びの場である。 森林には癒しの効果がある。 巨木は時代を感じている。 子どもたちの達成目標 ① ② ③ ④ ⑤ 森林が身近な場所にあることを知る。 木の種類を知り、森林と親しむことができる。 森林での遊び方を覚える。 森林の保健休養の効果を知る。 巨木を通じて、歴史と生命の神秘を感じる。 44 ●5つの体験活動の概要 ① 身近な森林の地図を作ろう(キーワード:身近な森林) 森林は身近な場所にあることと、その特徴や役目、働きを理解するために、私 たちの周りにある森林を調べる。 ② この木何の木(樹木探偵団) (キーワード:木の種類) 木の種類や特徴を知るために、近くの森や林に生育している木の名前やその由 来、また木の文化を調べる。 ③ 森の中での遊び(キーワード:遊び(レクリエーション)) 森林での遊び方(レクリエーション)を覚えるために、身近な森林でのいろい ろな遊びを発想し、体験する。 ④ 心やすらぐ森を感じよう(キーワード:保健休養(癒しの空間)) 森林の保健休養の働きを知るために、森林に出掛け、心やすらぐ癒しの空間を 体感し、その効果を考える。 ⑤ ふるさとのシンボル巨木を探そう(キーワード:巨木・大木) 天竜流域の歴史と生命の神秘を感じるために、校庭、社寺、公園などにどんな 巨木・大木があるか調べ、木とふれあう。 45 森林環境学習テーマ4 「森林と親しむ」 ① 身近な森林の地図を作ろう 目 標 ・森林が身近な場所にあることを知る。 ・身近な森林の特徴、役目、働きを知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 学校を中心とした身近な所に、どんな森林(里 ・人の生活する周りには、どんな種類の森林があ 山、社寺林、公園林、屋敷林や、街路樹、並木な るかを調べる。 ども含める。)があるか調べ、その森林の現状を 調査し、地域の森林地図を作る。 ② 体 験 ・学校を中心に付近にどんな森林があるか、個々 2 活動目標 の情報をもとに住宅地図などで調べる。 ①森林が身近な場所にあることを知る。 ・地図をもとに手分けして現地に行き、どんな森 ②その森林は何のために、いつごろからあるのか 林か調べる。森林の規模や、代表的な樹種、地域 調べ、地域での存在の意味を知る。 の人々やそこに息づく動物にとって、どんな森林 なのか、またその森林の印象なども書き込む。 3 実施条件 ・調べた情報をもとに、模造紙などの大きな紙に ① 時 期 学校を中心とした地図を書き、目印となる建物、 いつでも可 ② 場 所 学校とその付近 森林の位置、森林の樹種や印象などを書き込む。 ③ ふりかえり ・普段なにげなく見ている身近な森林の存在を見 直す。 4 準備するもの ・地域の人々の生活や、そこに暮らす動植物と森 住宅地図、樹木図鑑、ノート又はスケッチブッ 林の関係を振り返る。 ク、模造紙 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・週末自然観察入門(山と渓谷社) ・社寺林についてその森の構造や、そこに住む動 ・調べよう学校周辺の自然と環境③ 物などについて調べる。 樹木の不思議と森の偉大な働き(学研) ・街路樹には、どんな木が多く植えられているの ・森や原っぱで環境を考えよう(フレーベル館) か、その特徴を調べる。 ・町や公園の木(誠文堂新光社) ・里山の森のつくり、そこに住む動植物から四季 を通して調べる。 46 学習の解説 「身近な森林」 1 私達の生活と森林 4 屋敷林 私たちの周りには大小様々な森林が存在する。海 日本は、各地に「○○おろし」とか「○△の空っ 岸沿いの松林、点在する里山、社寺林や公園林、屋 風」といった季節風が存在している。天竜流域も「遠 敷林、河川の土手沿いの並木や街路樹といった森林 州の空っ風」と呼ばれる冬の季節風が存在する。屋 と呼べない程度のものまで含めると、身近な所に 敷林はこのような強風から家を守るために作られた。 数々の緑がある。里山林は薪や炭が生活のエネルギ また、夏の陽射しを遮ったり、火災の延焼を防いだ ーの中心だったころはそれを得るための場所として、 りする働きもある。特に延焼を防ぐ働きは、阪神・ 社寺林は人々の信仰の場所として、屋敷林は風や火 淡路大震災の際も威力を発揮し、改めて高い評価を 災の害を抑えるために、それぞれ人の生活と深く結 得た。現在、都市化が進み、住宅の性能が向上した びついてきたが、時代の流れの中で忘れられ、その ことで姿を消しつつあるが、生活環境としての緑の 形や存在の意味も変わっていこうとしている。人の 維持や、野鳥や昆虫の生息環境としての効果が期待 生活と深く関わりを持ち、大切にされてきたこれら されている。 の森林を見直し、忘れられようとしている「人と森 5 公 園 林のつながり」を再認識することによって、豊かな 公園は人々の憩いの場所として、いろいろな樹木 人間性を育み、人も自然の生態系の一員であること が植えられている。身近な緑地として、人と自然が を認識できれば、私達の周りの森林ともっと親しむ 気軽に接することのできる場として、ただ通りすぎ ことができるだろう。 るだけでなく、そこに生える樹木や草花、野鳥や昆 2 社寺林 虫など、四季の変化を感じ、より多くの人に利用し てもらいたいものである。 昔、人々は森に神霊が宿ると信じていた。それは 自然と共に生き、生活の糧のほとんどを森からの自 然の恵みによって得ていたことから、常に自然に感 謝し、畏敬の念を抱いていたことによると思われる。 そのため、神社や寺を建てる時には必ず周りに多く の木を配し、森に見立て、鎮守の森としてきた。鎮 守の森は信仰だけでなく、子どもたちの遊び場とし てもそのこんもりとした姿で人々に親しまれている。 3 里山林 私たちの生活はここ約40年で大きく変わった。 エネルギー革命と呼ばれる薪や炭から、電気、ガス へのエネルギーの転換により、私たちの生活は飛躍 的に便利になった。その反面、大切に手入れされて きた里山は次第に人との関わりを失い、荒れてゆく 運命をたどった。里山は人が自然と共に歩み、作り 出した自然の宝庫であり、それを守るためにも今一 度見直し、大切にしていきたい。 古代の森遠州小国神社境内(森町一宮) 47 森林環境学習テーマ4 「森林と親しむ」 ② この木何の木(樹木探偵団) 目 標 ・木の種類を知り、森林と親しむことができる。 ・場所により生育する樹種の違いを知る。 体験活動の展開例 1 概 要 5 手 順 ① 導 入 近くの森や林(校庭や公園、神社などでも可) ・調べる森林を決める。私有林などでは許可を得 にはどんな樹木が生えているのか、幹の様子、花 る。 や葉、実などの様々な手掛かりを頼りに調べる。 ・あまり広範囲を調べるのは難しいので、範囲を 決める。 2 活動目標 ・樹木の調べ方を教える。(葉の形や大きさ、花 ①身近に生える樹木の種類を知り、森林に対する なら花びらの 数、形、色、実なら大きさ、色、 理解を深める。 形、樹皮の様子) ②樹木の見せる様々な顔(季節による違いなど) ・触って危険(かぶれるなど)なものがある場合 を知り、樹木の種類の検索方法を知る。 は把握させる。 ③どんな所にどんな樹木が生えたり、植えられた ② 体 験 りしているのか、その理由を知る。 ・調査する森林に着いたら、調べる範囲をさらに グループごとに小分けにする。 3 実施条件 ・樹皮の拓本(紙を木にあて、濃い鉛筆でこする) ① 時 期 や、葉や花、実などを採集するだけでなく、樹皮 いつでも可 や葉に触れたり、においをかいだりして特徴をと ただし、森林により調べやすい時期が異なる。 らえ、写真やスケッチに記録する。 ・集めたデータをもとに、樹木図鑑などで調べ、 ② 場 所 整理する。 学校の校庭、付近の公園や神社、里山などの森 ③ ふりかえり 林 ・森林には高い木、中くらいの木、低い木があり、 立体的な空間となっている。調べた木がその森で 4 準備するもの どんな役割をしているのか考える。 樹木図鑑、資料採取用の袋、軍手、剪定バサミ、 ・人工的に植えられた以外の木は、そこにどうや 高枝バサミ、カメラ、スケッチブック、半紙 って生えたのか話し合う。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・葉でわかる樹木(信濃毎日新聞社) ・調べたフィールドの樹木の姿を、四季を追って ・樹木の見分けのポイント図鑑(講談社) 調べる。 ・静岡県の植物図鑑 上・下(静岡新聞社) ・持ち帰った種子を植え、苗を作り、それを採取 ・校庭の樹木(全国農村教育協会) した山に返し、その生長の過程を観察日記につけ ・検索入門 樹木①②(保育社) る。 ・静岡県樹木名方言(静岡新聞社) 48 学習の解説 「木の種類」 1 樹木の種類 る。そして降水量や地質もその要因となる。天竜流 国内には約8,000種の植物があると言われて 域は標高差による多様な気候と地質などの違いによ いる。この内、静岡県にはその半分の約4,000 り樹木が分布している。樹木の分布を気候別に分け 種があり、種数では日本一である。樹木は約500 ると、遠州灘から里山までの低地帯は常緑広葉樹林 数種あり、これは静岡県が海岸から3,000m級 帯(照葉樹林帯)であり、その海岸線にはクロマツ、 の山々が連なる南アルプスまで、多様な気候と地質 海岸に近い低地にはスダジイやウバメガシ、山地に に恵まれていることが一番の要因と考えられる。ま 近い里山にはアラカシやコジイ、標高800mあた た、古くから人間の影響が多かったことも、種が多 りまでは落葉樹も混じり、アカガシやコナラが分布 様になった要因と考えられている。さらに清水港の している。そこを境に落葉広葉樹林帯となり、ブナ ような大きな貿易港があることも、外来種の侵入に やカエデの類が多く、さらには標高1,500mあ 大きく影響していると考えられる。 たりを境に針葉樹林帯(亜高山帯)となり、シラビ 天竜流域は林業が古くから盛んだったこともあり、 ソなどが分布する。 スギ、ヒノキの植林地が多いが、遠州灘の海岸線か ら南アルプスにつながる2,000m前後の山々ま で環境も多彩なので、樹木の種類も豊富である。 樹木の分類をするにはいろいろな方法があるが、 ここでは次の方法で分けてみる。 ① 針葉樹と広葉樹 一般的に針状や鱗片状の葉を持つ樹木を針葉樹、 幅広で扁平な葉を持つ樹木を広葉樹と呼ぶ。 ② 常緑樹と落葉樹 一年中、葉を繁らせている樹木を常緑樹、冬の間、 天竜流域の特色あるホソバシャクナゲ群落(龍山村) 葉を落とす樹木を落葉樹と呼んでいる。しかし常緑 3 木の文化 樹が葉を落とすことがないということではなく、葉 の寿命は2∼3年で古い葉から順に落ちる。 日本は木の文化と言われ、古くから様々な木を建 ③ 在来種、外来種 築、食料、衣料と衣食住に使ってきた。身近な所に 在来種は元々、日本に生育していた種で、外来種 ある木々も様々な利用法があり、その利用法や、木 は外国からなんらかの理由で持ち込まれた種をさす。 の特徴から名前がついているものが多くある。それ 樹木の場合は、人間の歴史の中でその利用のために を調べてみるだけでも興味深い。例えば器具の柄に 持ち込まれたものが多い。用材に利用するためにキ 利用されることから「柄の木」 (エノキ)と名がつい リやウルシなどを、景観に利用するためにモミジバ たという説や、まっすぐな木「直木、すき」からス フウ、トウカエデ、ナンキンハゼなどを外国から持 ギの名がついたという説などがある。 ち込んだ。 また地域によって、樹木の呼び名は、独特な方言 が存在する。樹木の種類による独特な地方文化もあ 2 流域の樹木の分布 り、調べてみると意外に面白いことがたくさん見つ かる。 樹木の分布に大きな影響を与える要因は気温であ 49 森林環境学習テーマ4 「森林と親しむ」 ③ 森の中での遊び 目 標 ・森林でいろいろなことを感じて遊び方を覚える。 ・森林での危険を知り、回避する力を身につける。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 身近な森林で手に入る材料を使っていろいろ ・自然の素材を使った、簡単な作品例を挙げる。 な遊びの道具を作る。ここでは特に簡単で、素材 の良さを知ることができる楽器作りを取りあげ ② 体 験 る。 ・付近で調達できる素材を探し、何を作るか決め る。 2 活動目標 (例)イタドリ、竹、ウツギの呼子 ①昔からある自然の素材を使った素朴な遊びを a節間を7∼8cm に切り、片方を斜めに切り、 覚える。 ○部分(・・・・・部)に切り込みを入れる。 ②簡単な材料で自分だけの作品を作ることによ って、創意、工夫することができる。 ③自然の素材の良さを知る。 3 実施条件 b切り込みにササやアシの葉をさし込む。 ① 時 期 いつでも可 ただし、材料を手に入れやすい時期がある。 ② 場 所 cきれいに型をそろえるようにまわりを切る。 学校と、その付近の森林 4 準備するもの 剪定バサミ、ナイフ、ハサミ、ノコギリ又はナ タ ③ ふりかえり ・他にどんな物が作れるか考える。 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・ふるさとを感じる遊び事典(農山漁村文化協会) ・音階が作れるような楽器を工夫して創作し、演 ・春夏秋冬自然とつくる(大月書店) 奏する。 ・野遊び春夏秋冬(山と渓谷社) ・アウトドア工作図鑑(家の光協会) 50 学習の解説 「遊び(レクリエーション)」 1 遊びで覚える森林の知識 3 森でのマナーを学ぶ 現在でも虫捕りや家族でのキャンプなど、子ども 余暇を利用して、森林でのレクリエーションを楽 たちが森林とふれあう機会はあるが、大人の私たち しむ人が増えた反面、森林でのマナーを知らなかっ が子どものころと比べて、いかにその機会が減った たり、守らない人も多いのが現状のようである。ゴ だろうか。木登りや秘密基地作り、木の実を採って ミを捨てたり、木を傷つけたり、貴重な山野草を採 食ベたりと、森林の中で様々な遊びをしてきた。そ って持ち帰ったり、勝手に山菜を採ったり、焚き火 んな中で大人や年長の子どもから、触れるとかぶれ やタバコの火の不始末による山火事をおこしたりと、 る木や、おいしい木の実のこと、虫捕りや魚捕りの 森林の持ち主や周りの人に迷惑をかけるだけでなく、 方法などいろいろなことを学び、伝えてきた。今の 森林にも大きなダメージを与えている。野生の動物 子どもたちにもそんな機会を作ってあげたいもので に餌を与えるのも、人と野生動物の関係に数々の問 ある。 題をおこすきっかけになることもあり、きのこや山 菜の採り方にもルールがある。森林でのレクリエー 2 森林でのレクリエーション ションはただ自分勝手に楽しむのではなく、いつま 野外で行われるレクリエーションには様々な種類 でも良い環境で、楽しくレクリエーションができる があるが、主に山(森林)で行われるレクリエーシ ように心掛けて、マナーを守って楽しんでほしいも ョンを挙げると次のとおりである。 のである。 ①スポーツ的要素が強いもの 4 作って、遊ぶ ・登山(ロッククライミングなど) 昔から自然の素材を使って遊びの道具は作られて ・スポーツ木登り きた。そうして、森林と親しんできたのだが、そん ・マウンテンバイク 等々 な遊びも徐々に忘れ去られようとしている。創意、 工夫をし、道具を使いこなし、物を産み出す。そん ②自然観察的要素の強いもの な遊びを見直していきたい。 ・ハイキング(トレッキング) これら自然の素材で作る物は、素朴で味わいのあ ・バードウオッチング る暖かな雰囲気があり、さらに自分で作りあげれば ・自然観察会 等々 愛着もひときわとなる。 ③社会性の強いもの ・キャンプ ・オリエンテーリング ・ネイチャーゲーム 等々 ④創作や工夫の要素の強いもの ・ネイチャークラフト ・ネイチャークッキング 等々 自然観察会(小笠山) 51 森林環境学習テーマ4 「森林と親しむ」 ④ 心やすらぐ森を感じよう 目 標 ・森林の保健休養の効果を知る。 ・街と森を比較し、森の癒し効果を知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 人にやさしい森林を作るにはどうしたらいい ・現在、私たちの周りの森林がどういう状態であ か考え、人にやすらぎを与える森を作るため、実 るのかなどを調べる。 際森林に行ってその癒しの効果を体感し、森づく ・自分なら、森林でどんなことがしてみたいか、 どんな森林に行ってみたいか意見を出し合う。 りプランを立ててみる。 2 活動目標 ①森林とふれあうことにより、森林の大切さ、人 ② 体 験 にとって緑の空間がなぜ必要なのか再認識する。 ・学校の付近の森林に出掛け、寝転がったり、目 ②周りの森林に目を向けることによって、今、森 をつぶったりして森林を感じ、イメージを広げて 林の抱える問題点、自分たちに何ができるのかを みる。 ・昼食をとったり、読書をしたり、普段、屋内で 知る。 行っていることを森林の中で行ってみる。屋内と 3 実施条件 森林での感じ方の違いを話し合う。 ① 時 期 ・それらをもとに、自分たちの未来の森づくりプ ランを立てて、グループごとに発表する。 いつでも可 ② 場 所 ③ ふりかえり 学校の周りの森林と教室 ・今、自分たちの周りに実際にある森林にどんな 4 準備するもの ことをしていけば、自分たちの森づくりプランの 森に近づくのか考えてみる。 筆記用具 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・森の力(講談社) ・天竜流域にある森林公園を調査し、その働きと ・森にかよう道(新潮社) 問題点を挙げ、自分たちの森づくりプランを当て ・植物の不思議な力=フィトンチッド(講談社) はめてみる。 ・森がくれる心とからだ(全国林業改良普及協会) ・伐って燃やせば「森は守れる」 (洋泉社) 52 学習の解説 「保健休養(癒しの空間) 」 1 森林の力 2 癒しの空間 陽射しが照りつける夏、日なたから大きな樹木の 心身の疲れを和らげるためには、森林とふれあう 木陰に入ると涼しく感じる。実際、樹木のない場所 ことが効果的である。森林には、風致、健康増進、 と比べると気温が少し低い。これは樹木の枝や葉が 精神衛生などの様々な保健休養の働きがある。最近 陽射しを遮って、直射日光を受けないせいもあるが、 では、森林の癒し機能として注目を集めている。 一番の理由は、樹木が根から吸い上げた水分を空気 森林は、多数の生物から構成される生命体であり、 中に吐き出している蒸散作用によるものである。ま バランスがとれている。森林での活動や保養によっ た、冬は地表からの放熱を木の葉が遮り、冷たい季 て森林と接すれば、人間が本来持っている自然界の 節風を受け止めて緩和してくれる。さらに乾燥も抑 一部としての自己や内的な生活リズムを取り戻すこ えてくれる。 とができるといわれている。森林環境を利用した医 木々に囲まれた森林の中に入ると、驚くほど周り 療と福祉、カウンセリングなどの研究も進んでいる。 からの騒音が聞こえなくなる。これは樹木の枝や葉 さらに森林環境を使った幼児や児童の教育は、自 が、音を吸収するからである。また、風に揺れる葉 らを取り巻く環境を学習しながら、個々の運動能力 の音や鳥のさえずりなど人にとって心地よく感じら を促進し、自立能力を積極的に高めるともいわれて れる音には、外部の騒音をかき消す効果もあるから いる。まさに、人との関わりの中で育まれた「天竜 である。 美林」は、癒しの大空間である。 森林浴により心身がリフレッシュされるのは、 木々から発散されるフィトンチッドの効果だと言わ 3 身近な森林公園 れている。人が森林でやすらぎを覚えるのはその効 私たちの暮らす天竜流域には、豊かな自然の中で 果である。このように私たちの心とからだに大きな の散策やキャンプなどを楽しむことのできる森林公 影響を与えてくれる森林の働きを忘れてはならない。 園がある。これら森林公園では自然観察会などの自 また、季節の移り変わりを気温だけでなく、季節 然と親しむイベントが開かれ、多くの人たちに利用 の花を見て視覚で感じ、その香りを嗅覚で感じ、鳥 され、保健休養の機能を発揮している。 や虫たちの鳴く声を聴覚で感じられる森林は、四季 なお、代表的な森林公園を以下に挙げる。 に恵まれた日本人の文化の面から見ても、私たちに ①県立森林公園(浜北市) 欠かせない存在である。 1,000種以上の植物や、約80種の野鳥が確 認されている。 ②天竜の森(春野町・佐久間町) 標高1,352mの竜頭山を中心に、落葉広葉樹 の森林が広がる。 ③かわな野外活動センター(引佐町) 自然と親しむための各種施設が充実している。 ④小笠山総合運動公園「ふれあいの森」(袋井市・掛川市) エコパスタジアムを取り囲む約170ha の里山 林。森林ボランティア活動も行われている。 (その他の森林公園:p97を参照) 県立森林公園(浜北市) 53 森林環境学習テーマ4 「森林と親しむ」 ⑤ ふるさとのシンボル巨木を探そう 目 標 ・巨木を通じて、歴史と生命の神秘を感じる。 ・樹齢から天竜流域の歴史を知る。 ・巨木の樹齢や樹高を知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 私たちの周り(校庭や、近隣の神社や寺、公園 ・それぞれの情報をもとに、どこに大きな木があ 等)には、巨木とはいえないまでも大きな木があ るか調べる。 る。どこにどんな木があるか調べ、その木の高さ ・樹高測定器(右頁の4を参照)を作る。 や太さなどを測ってみる。また、その木がいつ生 ② 体 験 まれたのかも調べる。 ・現地に行き、詳細に木を観察し、感想や、気が 2 活動目標 ついたことを記録する。そして木の種類、幹周、 ①古くから、自分たちの生活を見つめ大きく育っ 樹高を調べる。可能であれば、周りを回ってみた た木と触れ合うことにより、自分たちの住む地域 り、幹に触れてみたりする。 の歴史を知る。 (場所によっては、許可を得て行う) ②木の高さや太さなどの測り方を知る。 ・神社や寺院の木や、公共施設にある木の推定樹 齢を調べる。 3 実施条件 (調査方法:管理者などへ問い合わせる) ① 時 期 ・調べたデータをまとめて、グループごとに発表 する。 いつでも可 ② 場 所 ③ ふりかえり 学校、近隣の社寺林、公園、屋敷林など ・木の育った時間を感じる。 4 準備するもの 巻尺、樹木図鑑、ノート、カメラ、樹高測定器 作成のための材料 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・静岡県の巨樹、名木(静岡新聞社) ・調べた木の周りで、その木の稚樹を捜してみて、 ・静岡県の巨木(静岡植物研究会) その大きさの違いを比べる。 ・身近な自然を楽しくしらべる 2 ・実を拾ってきて植え、苗を作りそれを校庭に植 家のまわりを見てみよう(PHP研究所) える。 ・四季を通じてその木を調べ、季節によって変わ る木の表情(新緑や花、実、冬の様子など)を観 察する。 54 学習の解説 「巨木・大木」 1 天竜流域の巨木 春野町の春野スギは推定樹齢1,300年と言わ 静岡県は温暖な気候と雨に恵まれ、植物の育ちや れており、歴史でいうとおよそ飛鳥時代のころにあ すい環境にある。静岡県には66種、2,200本 たる。そんな時代から人の営みを眺め生きてきた巨 以上の巨木があり、茨城県、新潟県に次いで多い。 木は、歴史的にも貴重な存在と言える。樹齢がきざ 天竜流域は植林をはじめとする永い人の営みの歴史 まれた年輪は、その幅から気候を知る手掛かりにも があるため、多くの巨木が残っている。 なる。 一般的に巨木とは、胸高(地上1.2m)で、幹 の周囲が200cm 以上、株立ち(1ケ所から数本の 巨木は、地域のシンボルとして人々にやすらぎを 与えるなど大切な存在となっている。 幹が出ているもの)の場合は幹の直径の合計が 300cm 以上の樹木である。 天竜流域の代表的なものは次のとおりである。 ①春野スギ(春野町・春埜山):幹周11m、樹高44m ②雲立のクス(浜松市八幡町):幹周13m、樹高15m ③鳥居スギ(掛川市・大尾山):幹周 7m、樹高30m ④将軍スギ(天竜市下百古里):幹周10m、樹高39m ⑤見付のクス(磐田市・見付天神社):幹周10m、樹高15m ⑥山住のスギ(水窪町山住):幹周 9m、樹高41m ⑦北浜のカヤ(浜北市本沢合):幹周 6m、樹高22m 2 人と巨木 巨木と言うと人知れず山奥にあるという印象があ るが、そのほとんどが人里に近い所に残っている。 その中でも神社や寺院に残っているものが多いのは、 古くから御神木として大切にされてきたからである。 春野スギ(春埜山大光寺、春野町花島) 天竜流域にも秋葉神社をはじめ、各地にスギを中心 とした巨木が存在する。これらの巨木は、時に雷に 4 木や森を測る方法 打たれ、台風に枝を折られたりしながらも、たくま 木を測るには、胸高での幹周と樹高とを測るのが しく人々の生活を見守ってきた。このような巨木は 一般的である。樹高を測るにはいろいろな方法があ 古くから信仰の対象となり、人々に畏怖されるとと るが、ここでは次の方法を紹介する。 もに愛されてきた。近所の神社や寺院にも巨木とは ①一辺が30cm 程の直角二等辺三角形を段ボール いかなくても、樹齢を重ねた大木が今も人々の生活 などで作る。 を見守っている。 ②目の高さで直角を挟む片方の辺を水平に合わせて、 斜辺の延長線が木の先端にくる場所を決める。 3 巨木と歴史 ③位置が決まったら、そこから木まで何歩で行ける か数える。 巨木の注目する点は、その大きさだけでなく、そ ④木の高さ=歩数×歩幅+目の高さ の樹齢にある。 55 森林環境学習テーマ5 森林と共生する ○ねらい:「森林の姿から自然のしくみを知る」 森林を様々な角度から観察すると、動植物、人の営みなどのいろい ろなものが見えてくる。ここでは、森林のしくみと私たちの生活や文 化との関わりを知る。 ○視 点: 「豊かな森林を守り育てよう」 子どもたちに教えてもらいたいこと ① ② ③ ④ ⑤ 森林を観察し、自然を見つめる。 流域の森林は、生き物のつながりによって構成されている。 人は森林のめぐみを活かして生活してきた。 人が関わることによって、森林は豊かになる。 流域の文化は、森林から多くの影響を受けている。 子どもたちの達成目標 ① ② ③ ④ ⑤ 森林の不思議を発見できる。 地域に生息する動植物を知り、自然の成り立ち(生態系など)を知る。 食卓や身の回りのものをとおして、流域の森林とのつながりを知る。 森林を守り育てる活動に参加する大切さを知る。 流域の暮らし(食料、燃料ほか)と森林の関わりを知る。 56 ●5つの体験活動の概要 ① 林床の落ち葉から森の一年を見る(キーワード:森林を見つめる) 森林には、様々なタイプの森林がある。森林の違いや不思議を見つけ出せるた めに、森林を観察し、森林を見つめる。 ② 虫や鳥、動物になり、森の生態を知る(キーワード:多様な生態系) 天竜流域に生息する動植物を知り、自然の成り立ちを知るために、森林にいる生 き物を調べ、森の生態を考える。 ③ 森林のめぐみを考えよう (キーワード:森林のめぐみ(きのこ・炭など)) 天竜流域の森林と日常生活とのつながりを知るために、シイタケや炭などを例 として人は森林のめぐみを活かして生活してきたことを体験する。 ④ 森林の役に立つことを探そう(キーワード:森林ボランティア) 森林を守り育てる活動に参加する大切さを知るために、森林ボランティアたち の活動を調べ、自分として何ができるかを考える。 ⑤ 森と人とのつながりを考えよう(キーワード:森林文化) 21世紀の循環型社会に必要な森林を理解するために、天竜流域の森林と私た ちの生活とのつながりを考える。 57 森林環境学習テーマ5 「森林と共生する」 ① 林床の落ち葉から森の一年を見る 目 標 ・森林の不思議を発見できる。 ・森林の生長を理解する。 ・森林のタイプと特徴を知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 スギやヒノキの人工林、アカマツ林や雑木林、 ・違う森林のタイプを写真などで比較してみる。 天然林、竹林など、森林には様々なタイプがある。 ・樹木の高さ、幹周り、樹冠の測り方を調べる。 林床の落ち葉に視点をむけて、森林のタイプの 違いや、樹木の1年を観察してみる。 ② 体 験 2 活動目標 ・落ち葉が除去されず、いつでも自由に測定でき ①針葉樹と広葉樹、常緑樹と落葉樹の落ち葉の量 る樹木のある場所を探す。 や葉の落ちる時期の違いを知る。 ・見つめる樹木を決め、1年間の予定を立てる。 ②樹木の高さや太さなどを測ることができる。 樹種別の予測を立てる。 ・樹木の高さ、樹冠(枝ぶり)の幅を測り、それ 3 実施条件 を絵(側面図、鳥瞰図など)に書き表す。 ① 時 期 ・落ち葉の重さと容積を量る範囲に杭を打って、 ロープで囲む。 4月から3月まで ・1年分の落ち葉の重さと容積を量る。落ち葉の ② 場 所 校庭、街路樹、公園、裏山、社寺林、人工林、 広がり具合も目で見る。 自宅の庭など 4 準備するもの ③ ふりかえり 落ち葉を集める袋、1㎡を囲う杭、1㎡を囲う ・予測と比較して、結果を考察する。 ロープ、集めた落ち葉を広げるシート、森林の写 真、ポール、巻尺、はかり 6 発展的な学習 ・森林では多くの木々が毎年同じように葉を落と すが、その落ち葉はどこに消えていくのか考える (p25参照) 。 58 学習の解説 「森林を見つめる」 1 樹木の観察ポイント に見立てた「赤蛇」がその名前の由来であるとも言 ①木の姿や葉の形によって、落ち葉の量は異なる。 われている(p53の写真を参照) 。 生長過程や低木と高木の違いなどの点からも選んだ ②クロマツ林(海岸防災林ほか) 木の落葉量を比較してみる。 浜松市の海岸の植林は、天正年間(1573∼) ②樹木にも生長の違いがあり、葉の色や勢い、量な から始まったとある。植林作業は、住民が力を出し どから、木の健康状態を見る。そして日照や土壌、 合って行った。遠州灘の海岸防災林は、住民が砂と 周辺環境との関係を考える。 戦い、高潮に悩まされながら植林を続けてきた成果 である(p29の写真を参照) 。 ③樹木はその種類により、葉の落ち方に違いがある。 ③高齢の人工林 落葉樹と常緑樹の違いは明らかで、樹種によっても 引佐町の観音山(国有林)には、江戸時代の植栽 葉の寿命が異なる。開葉と落葉の時期や期間を調べ と推定される高齢のスギ林に広葉樹が進入して天然 て観察する。 林的な景観となっている森林がある。 2 森林や樹木の測定 高齢の人工林は、天竜市の光明県営林などでも見 ることができる。 一本一本の樹木について測定する(毎木調査) 。 ①測る所 ④植物群落保護林(岩嶽山付近のヤシオツツジ) 樹冠幅(W) 春野町の岩嶽山付近の山腹西斜面を中心に約5千 樹高(H) 枝下高(h) 株が群生し、植物学上貴重な存在と言われている。 幹周り(D) 開花時期(4月末から)には山肌がピンク色と白色 調査プロット に染まり、多くの登山者を迎える。 ②測り方 巻尺などで幹周り(地上から1.2mの高さの周 囲)を測る(p55の4を参照) 。 3 特色ある森林 ①アカマツ林(県立森林公園ほか) 県立森林公園に残っている県内でも数少ないアカ マツ林は、里の代表的風景であった。アカマツは耐 陰性(光量不足に耐え、生育できる能力)が弱いの で、常緑広葉樹への植生変化を防ぐためには、下刈 京丸アカヤシオツヅジ(春野町小俣京丸) りや除伐などの管理が不可欠である。こうして、美 ⑤白倉林木遺伝資源保存林 しい風景とともにアカマツ林でのみ育つマツタケを 水窪町の白倉山にはモミ、シラベ、コメツガ及び 楽しむことができる。 トウヒが原生状態で保たれている森林があり、遺伝 浜北市の赤佐(あかさ)地区は、アカマツを大蛇 資源として保存されている。 59 森林環境学習テーマ5 「森林と共生する」 ② 虫や鳥、動物になり、森の生態を知る 目 標 ・地域に生息する動植物を知る。 ・自然の成り立ち(生態系など)を知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 天竜流域の森林で生きるいろいろな生物は、人 ・スギやヒノキの人工林、アカマツ林や雑木林及 の影響を受けながら、それぞれの食べ物やすみか び天然林に生息する動物や昆虫を調べ、それぞれ を求めて息づいている。「食う・食われる」の食 の状況を把握する。 物連鎖からなる生態系は、森林の構成によって異 ・サバイバルを体験する森を配布された写真又は なっている。 絵から決める。 「スギやヒノキの人工林」 、 「アカマツ林」や「雑 ・決めた体験する森から自分のなりたい動物や昆 木林」、あるいは「天然林」で生きているそれぞ 虫とその雌雄を選ぶ。 れの動物や昆虫を調べ、森林に生きる動物や昆虫 ・選んだ動物や昆虫の食べ物(捕食)とすみか、 になりきっての「24時間サバイバル」を疑似体 活動時期、生育過程、天敵などを調べる。 験する。 ② 体 験 2 活動目標 ・24時間の各自の活動を活動時間割表に記入す ①森で生きる生物は、何を食べ、どこで寝て、ど る。 うやって子孫へ命をつなげているのかを知る。 ・グループ又は全員の活動時間割表に記入した行 ②森林の構成と生物の種類と数の関係を知る。 動パターンを重ねる。 ・自分の天敵の行動と重なり合ったらアウトとす 3 実施条件 る。記入した行動の範囲に雌雄が重なれば、次の ① 時 期 世代も生き抜くことができる。 いつでも可 ③ ふりかえり ② 場 所 ・生物の個体数と捕食の関係を考える。 体育館など広い場所 ・子孫を残すために必要なことを話し合う。 4 準備するもの ・人と動物や昆虫の関わりを考える。 生物及び植物図鑑、森林の写真又は拡大した 絵、活動時間割の表 ● 関連資料 6 発展的な学習 ・ハンドブック「天竜の森ガイドブック」 ・森林での、動物や昆虫にとって理想的なすみか (天竜の森運営協議会) を描く。 ・ハンドブック「水窪自然林(野鳥の森) 」 (静岡県) 60 学習の解説 「多様な生態系」 1 天竜流域の生態系 その他の哺乳類は、シカ、イノシシ、タヌキ、キ ①天竜流域は、日本に産するツリフネソウの仲間が ツネ、ウサギ、ムササビ、ネズミなどが生息してい すべてそろい、特にエンシュウツリフネは珍しい。 る。ムササビは、大木(高木)のある森林の指標と またワタムキアザミのように北遠地域と愛知県など 言える。 にしかない種類も含めて、大変多くの種類がみられ、 3 人の血を吸うヤマビル 植生に厚みがある(樹木はp49参照) 。 ②昆虫の種類は、植生に左右される。昆虫にはマツ カモシカの生息域と同様の分布で、ヤマビルの広 ノマダラカミキリのように木を枯らす(松くい虫) がりが確認されていることに注目したい。ヤマビル ようなものもいるが、森の分解者や植物の子孫繁栄 は、ヌマビルやシマイシビルと異なり水中ではなく、 を手助けし、また動物に捕食されるなど食物連鎖の 地上や樹上にいる。ヤマビルは血を固まりにくくす 要を担っているものもいる。 る物質を出すため、吸われると痛みはないが、血が ③鳥の種類も、樹種の構成の違いによって異なる。 止まらない。吸われたら圧迫して止血する。天竜川 森の食物連鎖の頂点に立つハイタカやフクロウなど 左岸の山歩きの際はヤマビルに気をつけたい。 の猛禽類を始め、キツツキ類やヒタキ類など鳥の種 4 カタクリ、ギフチョウ 類により好む森林のタイプが分かれる。 ④放置された人工林や里山林では、生物の多様性が カタクリは、ニリンソウなどとともに代表的な春 低くなる。 植物である。他の草木に先駆けて花を咲かせ、草木 の葉が出そろう頃には姿を消す。 2 代表的な哺乳類 ギフチョウは、日本特産の原始的アゲハチョウの 特別天然記念物のニホンカモシカは、天竜流域の 仲間で、引佐町の渋川地区など低山の森林に生息し 山間部に生息し、草木の芽を食の中心にしている。 「春の女神」と称される。幼虫の食草であるヒメカ シカとは異なり単独で行動している。国際保護動物 ンアオイは、明るい林床を好み、その受粉はアリに でもある。 依存している。 カタクリやギフチョウは、常に下刈りや除伐など の管理が行われている里山林(p47参照)で見ら れる。 ニホンカモシカ カモシカと森の体験館(ホームページ) http://www1.ocn.ne.jp/ kamosika/cover.html カタクリ 61 森林環境学習テーマ5 「森林と共生する」 ③ 森林のめぐみを考えよう 目 標 ・食卓や身の回りのものをとおして、流域の森林と日常の生活とのつ ながりを知る。 ・炭の使い方や効果を知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 人間の文化は、火の利用によって様々に広がっ ・木炭に適する樹種を調べる。 てきた。太古の昔から燃料として使われてきた木 ・炭焼きの手順を調べる。 を、さらに利用効果の高い炭にし、現代の生活に おいても様々に利用している。 ② 体 験 身近にできる炭焼きを体験し、身の回りにある ・コナラやクヌギ、サクラなどの枝を割り箸と同 炭を探し、炭の使い方や効果を考える。 じ大きさに揃える。 ・割り箸、クヌギ、サクラとそれぞれ樹種が分か 2 活動目標 るようにしておく。 ①炭を焼くことができる。 ・巻きずしを作る要領で、それぞれをすき間なく、 ②灰にならず、炭になることを不思議と感じる。 アルミホイルで巻く。 ③炭の用途を知る。 ・水蒸気と煙を逃がすため、ところどころに小さ な穴を開ける。 3 実施条件 ・火にかけ、水蒸気が出るまで時々動かしながら ① 時 期 均一に焼く。 いつでも可 ・穴からでる水蒸気が、紫色の煙に変わり、青か ら白色に変わったら(約15分)、水につけて急 ② 場 所 速に冷やし、アルミホイルから取り出す。 火の使える場所 ③ ふりかえり 4 準備するもの ・燃料以外の利用方法を考える。 コンロ、金網、アルミホイル、炭焼きの材料(割 ・作った木炭を実際に燃やし、素材による違いを り箸、コナラやサクラなどの枝)、水を張ったバ 観察する。 ケツ又はタライ ● 関連資料 6 発展的な学習 ・日曜炭焼き師入門(総合科学出版) ・天竜流域の炭焼窯を調べる。 ・もくりんちくりんの炭炭ネットワーク(静岡県) ・炭焼きを体験し、木酢液の作り方を調べる。 ・作った木炭を使ってアートに挑戦する。 ・身の回りの森ばあちゃんの知恵を調べる。 62 学習の解説 「森林のめぐみ(きのこ・炭など) 」 1 林相ときのこ 厄介者の竹も、炭にして利用を図っている。 アカマツ林ではマツタケが生えるように、きのこ 炭焼きの際に取れる木酢液は、防虫効果などの効 と森の間には密接な関係がある。食用として販売さ 用が期待されている。 れているきのこと林相の関係が次のとおり見られる。 ブナ、ミズナラ林 ナメコ、ヒラタケ、マイタケ クヌギ、コナラ林 シイタケ、エノキタケ、キクラゲ カシ、シイ林 ムラサキシメジ 2 原木シイタケの生産 天竜流域の山間部は、原木シイタケの生産地であ る。まず秋に伐採したコナラ、クヌギなどを、乾燥 して長さ1mに玉切る。3月下旬までに、ドリルで 飾り炭(リンゴ・ミカン・松ぼっくり・竹細工 など) 原木に穴を開け、シイタケ菌の蔓延した円柱状の木 片(種駒)を金槌などで打ち込む。原木に種駒を打 4 森ばあちゃんの知恵(木の実・薬木・薬草) ち込んだものをほだ木と言う。採取できるのは、2 エノキ・ヤマモモ・ケンポナシ・ミツバアケビ・ 年後の春からである。 原木の代わりにおが屑(p43参照)を固めたも ナワシログミ・ヤマザクラなどの木の実をはじめ、 のを使っても、シイタケは栽培(菌床シイタケと言 四季を楽しむ山菜やタケノコは、今も昔も変わらな う。)できる。主に都市近郊の農村部で生産されて い食料としての森林の恩恵である。 一方、医療の進んだ現在では利用しなくなった薬 いる。 木・薬草は、その昔親から子へ伝えられた命の綱の 一つであった。例えば、ナタで大ケガをすると、ア カマツの木の皮を剥ぎ、その中にある薄い皮で傷口 を巻き、きざみタバコをつけて、さらに布で巻いて 治るのを待った。アカマツは、葉、実、樹皮ともに 煎じ薬となり、松脂は神経痛や打撲の膏薬として使 われた。カノコソウの根は、沈静薬となった。フキ の地下茎の乳液は、初乳代わりにした。 森林のめぐみは、命につながるものばかりではな く、石けん代わりなどの身の回り品、子どもの遊び 森林内の椎茸ほだ場(豊岡村) や道具、神事や祭事、厄除けにも使われた。モチノ 3 炭のいろいろ おもしろいものでは、果物の形そのままに炭にし キやイヌツゲからは鳥もちが作られ、ウコギは魔よ たものがある。インテリアやアートとして活用する けに使われた。また人々は、森林の四季の変化を敏 人たちもいる。住宅内などの調湿材、畑や花壇の土 感に察知し、仕事や祭事の時期を知らせる暦や歳時 壌改良材としても製品化されている。 記としていた。 63 森林環境学習テーマ5 「森林と共生する」 ④ 森林の役に立つことを探そう 目 標 ・森林を守り育てる活動に参加する大切さを知る。 ・流域で行われているボランティア活動を知る。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 森林の整備に汗を流す人たちが増えている。身 ・ボランティア活動の実例を調べる。 近で行われている森林ボランティアの活動を調 ・安全対策を調べる。 べ、どんな森林で、どのようなことをしているか をまとめ、私たちができることを考える。できれ ② 体 験 ばフィールドに出かけて体験する。 ・森林の写真から興味のある森林を選択する。 ・選択した森林の状態を調べる。 2 活動目標 ・どのようなことが必要なのかを考える。 ①森林ボランティアは、どこで、どんなことを行 ・自分ができる内容を選び出す。 っているかを知る。 ・実行に移すことで何がどのように役に立つのか ②森林との関わり方を知る。 を発表する。 3 実施条件 ③ ふりかえり ① 時 期 ・森林からの恩恵と現在の自分たちとの関係を考 え、その関係を将来に照らしてみる。 いつでも可 ② 場 所 教室、森林の整備のできるフィールド 4 準備するもの いろいろな森林の写真、動物・植物図鑑、ボラ ンティアの活動写真など ● 関連資料 6 発展的な学習 ・ハンドブック「森づくりの人々」 (静岡県) ①森へ出掛ける場合 ・スギやヒノキの人工林で間伐を手伝う。 静岡県のホームページ 「静岡森づくり情報」からダウンロードできる。 ・アカマツ林や雑木林で除伐を手伝う。 ・ゴミ拾いや植樹をする。 ②森へ出掛けることが難しい場合 ・ドングリを育てて、エコマネーと交換する。 ・緑の募金などを調べて募金する。 64 学習の解説 「森林ボランティア」 1 「手を入れる」と「手をつけない」 天竜流域の森林は、奥山のごく一部の森林を除い て、人の手が加わった森林である。私たちが木材な どを必要とする以上、スギやヒノキの人工造林のよ うに環境と経済を両立させながら森林を守っていく ことが大切である。 天竜流域の生活圏内は、常緑樹による照葉樹林帯 が発達するところであるが、人が森林と関わること によって里山林(二次林)として維持管理されてき ボランティア団体による下刈り活動(小笠山森の会・袋井市) た。それが、多様性のある安定した動植物の生態系 3 私たちにできること を今日に残してきたのである。日本で煮炊きの始ま りとされる縄文時代から、人間と森林は共生の関係 水窪町では、水源地域として下流部へきれいな水 にあり、動植物もその生態系にあわせて子孫を残し を安定供給するため、水窪町水源の森づくり基金を てきた。後継者不足や経済的理由から森林の維持管 制定して、森林整備を推進し、自然環境の保全を 理が難しくなった現在、多様な動植物の生息環境を 図っている。 守る意味においても維持管理が必要である。こうし 森林整備には人件費や諸費用がかかるため、財源 た森林には「手を入れる」保全をしたいものである。 の確保が不可欠である。町内の年間水道使用量を基 生活圏から離れた奥山には、太古の昔から自然の 礎に1立方メートル当たり1円の積み立てをし、内 変化に合わせて、動植物がその営みを繰り返してい 外からの寄付金も重要な財源にしている。 る森林もある。こうした森林には「手をつけない」 私たちは、このような森林の恩恵を当然のように 保護が必要である。 受けていたかもしれないが、水源地域による水源の 森づくり活動の努力を知った今、森林に対して何が 2 森林ボランティアの例 できるのかを真剣に考えなければならない。 森林を景色として眺めるのではなく、森林に触れ、 森林の整備、里山の復元や整備、炭焼き活動、森 づくり基金など、参加型の森づくりが天竜流域内で 調べることにより、本書で紹介している森林の様々 も盛んである。参加するには、既存の森林ボランテ な姿が見えてくる。私たちにできることの第一歩は、 ィアグループに入り活動したり、森づくり活動イベ 流域の森林を知り、考えることであろう。その上で、 ントに直接出向く方法もある。 直接、間接的な活動に参加することを奨める。 人工林や里山林の整備は、その森林のタイプによ って違う。森林の所有者や専門家による森林環境教 育や整備方法の指導をうけながら保全活動を行うこ とが求められる。 間接的には、林産物の積極的な購入や緑の募金な どによる経済支援、森林の重要性を広く訴える啓発 活動、森林環境教育の普及による人材育成などがあ る。 ボランティアによる植林活動(森町) 65 森林環境学習テーマ5 「森林と共生する」 ⑤ 森と人とのつながりを考えよう 目 標 ・流域の暮らし(食料、燃料ほか)と森林の関わりを知る。 ・21世紀の循環型社会を考え、理解する。 体験活動の展開例 5 手 順 1 概 要 ① 導 入 森林から生まれた生活用品を調べ、今使ってい ・プラスチック(石油)製品が無かった時代の生 るものと比較してみる。一方、自然素材からでは、 活写真や挿絵を集める。 出来ない製品を洗い出してみる。森林からとれる ・森林からの自然素材を探し出す。 材料に替えられる物と替えられない物を並べ、森 林と私たちのつながり、これからの社会を考え ② 体 験 る。 ・日常品の中で、プラスチック製品から自然素材 製品に替えられるものを選び出す。 2 活動目標 ・選び出されたものを使い比べてみる。 ①森林素材と石油製品の違いを知る。 (例)プラスチックと竹の各ザルで水切りをして ②森林とのつながりを知る。 みる。次にザルを洗い、乾かしてみる。 ・それぞれの製品の製造過程などを調べ、比べて 3 実施条件 みる。 ① 時 期 (例)プラスチック製品と自然素材製品の「初め」 いつでも可 ② 場 所 教室 4 準備するもの と「終わり」を追ってみる。 ・自然素材製品を使った生活のシミュレーション をする。 ③ ふりかえり カメラ又はデジカメ、模造紙(社会構造を描き ・「無くなるもの」と「発生するもの」を考え、 出す用紙)、プラスチック製品、森林からの自然 経済や仕事など社会構造を比較する。 素材製品 ・循環型社会と現行社会を考える。 6 発展的な学習 ・籠(かご) 、簾(すだれ) 、敷物、網など、実際 に自然素材で作る。 ・プラスチック部分を自然素材に替えるとどうな るかを考える。 66 学習の解説 「森林文化」 1 循環型社会と森林 を見直さなければならない。 循環型社会の手本として、江戸時代の生活様式や 2 経木(日用品) 物流がよく紹介される。 化石燃料がまだ出現していない頃の燃料の主流は、 経木(きょうぎ)は、アルミホイルやラップなど 里山林(p47参照)でとれる草や落ち葉、薪、そ 無かった頃、にぎりめしを包み持ち歩くために使わ して薪を炭化した炭であった。薪炭林(しんたんり れていた。マツを一枚の皮のように薄くスライスし ん)も里山林の一つである。薪炭林では、同じ株か た経木は、殺菌作用が働き、日中でも包んだ食べ物 ら萌芽(新しい幹や枝となる芽)が出るように工夫 が腐りにくく、軽く、折りたたむことができるので して伐採した。下草や落ち葉は、燃料の他に肥料と 大変に重宝であった。現在では、買い物をするとト して重要であった。 レーやビニールに入っている肉や魚も、少し前まで は経木で包まれていた。 森林の中のツルは、籠や網、紐、笊(ざる)など 経木は、アルミホイルやラップ、ポリ用品と異な 様々な生活用品として利用された。落葉高木のシナ ノキからは、樹皮の繊維から縄や布が織られてきた。 り、そのまま捨てても自然に土にかえることから、 現在でもバックや帽子になっている。このように森 環境への負荷を考えると、とても有効である。 林にある全てのものは、それぞれの特性により利用 3 割り箸 された。 江戸の火事は有名で、天竜から運ばれた木材によ 割り箸は、小判、元禄、利休などの種類が作られ、 って、長屋は何度でも建て替えられた。一見無駄な 日本の食文化と関わってきた。 木材活用に感じられるが、森の再生力を知り尽くし 割り箸は、木材を有効に使った必需品である。そ た当時の人々は、こうした経済や流通による、森を の材料は、捨てられる製材の端材や利用されていな 活かした仕事づくりが上手であった。 い間伐材である。また、竹を材料とする割り箸もあ 21世紀は循環型社会が求められている。資源の る。木材の無駄な使い方として批判を受けることも 再生と利用を繰り返す森林利用は、環境に負荷のな あるが、割り箸文化は、本来木材の有効利用の一つ い循環型社会の代表である。私たちは森林との関係 である。 4 和紙 天竜川上流の阿多古では、和紙が作られている。 和紙の原料は、コウゾなどの樹種で、アカマツの混 交林や薪炭林などの維持管理された森林などで見る ことができる。 和紙は丈夫で美しいことから、消耗品ではなく工 芸品や日用品に利用される。ランプシェードやラン チマットなどポリやプラスチック製品に替わる素材 として期待できる。 なお、アクティ森(森町問詰)では和紙づくりが 体験できる。 67 第4章 体験した学習のまとめにもなる「壁新聞」をつくろう 体験活動を実施した後、そのままで森林環境学習を終わらずに体験活動から一歩踏み、 より一層、天竜流域の森林・林業について子どもたちの理解を深めていくこと活動が大切 であると思われます。 体験した学習のまとめにもなり、 参加した子どもたちや地域の方々などにも有意義な 「調 べ学習」の手法を取り入れた「壁新聞をつくる方法」を、子どもたちが直接読んでもわか るように例示してみました。 ● まとめ学習の例示 「天竜の森々(モリモリ)壁新聞」をつくろう ステップ1 調べる前に「テーマ」をはっきりと決める 調べる前にテーマをはっきりと決めておくことが大事です。 「何か資料がないかな?」と 思っているだけでは、ピッタリのものは見つけにくいものです。 テーマがはっきりと決まっていないと資料は見つかりません。また、テーマが大きすぎて も資料は見つかりません。ある程度テーマを絞り込んでいくことが必要です。 1 全体を捉える 関連する資料を調べ、それを読み返し、どんな内容があるのか確認します。体験活動の内 容から導いていくこともひとつの方法です。 2 興味があることを書き出す 体験活動を通じて、全体の中から、面白いと思ったこと、大変だと思ったことなどを書き 出します。 3 テーマを選ぶ 書き出した中から、調べてみたいことを選びます。 例 テーマ: 「林業に使う機械について」 ステップ2 資料探しをする 1 下調べをするときは、まず、図書館で探す ① 本の分類を見る 調べようとしているテーマの分類を探します。 ② 案内図などで本の置いてあるところを探す ③ 本の目次からテーマを見つける テーマが目次にのっているか確かめます。目次からそのテーマと同じ言葉を探します。 2 資料が見つからないときは、自分で取り寄せる ① 身の回りのものから探す テーマと関連している身の回りのものをチェックすると連絡先がのっています。本手引き 資料編にも連絡先などがあるので参考にすると良いでしょう。 68 ② 電話をしてお願いする 連絡先を見つけたら、連絡先に電話をかけて、資料があるか聞いてみます。相手に相談す れば、欲しい資料が手に入ることもあります。 (例) こんにちは 小(中)学校 年 組の と いいます。 今、森林環境学習の勉強で (テーマ) について調べ ていますが、資料をいただくことはできますか。 (資料があれば、自分の名前と住所をはっきりと伝える。 ) どうもありがとうございました。 3 最新の情報や人の意見を知りたいときは、インターネットで資料を探す ① 検索エンジンを開いてみる 一般的な検索エンジンから子ども向け検索エンジンまでいろいろあるので、あらかじめア ドレスを確認しておいて、アドレスを入力します。 ② キーワードを入力して検索してみる 調べたいテーマに関係するキーワードを入力するためには、調べるテーマをはっきり決め ておくことが大切です。 ステップ3 取材をする 取材をする前に6つの質問項目を準備しましょう。 「だれが」どんな人が取り組 「いつ」いつから取り組みを 「どこで」どんな場所で取り みを行っているか 行っているか 組みを行っているか 「何を」どんな内容の取り組 「どうやって」どうやって取 「なぜ・どうして」何の目 みを行っているか り組みを行っているか 的で取り組みを行っているか そのほかにも、 「大変だったこと」 、 「うれしかったこと」 、 「困っていること」なども聞い てみると相手の気持ちも理解することができます。 取材は相手の気持ちを考えながら行うことが大切です。 1 取材相手に直接会える場合はインタビューをしてみる ① 最初に知りたいこと(テーマ)を伝え、6つの項目ごとに質問する。 ② 取り組みの目的を探ることは、大切なポイントとなるのでしっかり聞くようにする。 ③ 取材の相手がどんな気持ちで取り組みを行っているかをしっかりと探る。 ④ 質問項目とその回答は、必ずメモを取るように心がける。 2 取材相手に直接会えない場合は手紙で聞いてみる ① インタビューと同様の手順で、手紙に書いて郵送する。質問の内容は簡潔にまとめ るほうが良い。 ② 相手に負担にならないように注意する。返信用の封筒なども同封すると良い。 69 ステップ4 取材した内容を整理する 取材メモにある情報から大切なものを選び、工夫点と問題点に分けて、情報を整理するこ とが重要です。あらかじめ情報を整理すると、後でまとめるときの手助けとなります。 1 取材メモの内容を2つに分ける ① 工夫点:取材の相手が、がんばって取り組んでいることなど。 ② 問題点:取材の相手が、困っていること、大変だと思っていることなど。 取材メモ(例) テーマ「林業に使う機械について」 取材してわかったこと 1 木を伐る機械、運び出す機械などがある。 2 効率よく仕事をするために機械を導入している。 3 特殊な機械のため値段が高い。 4 機械は近くの林業家の人たちと共同で使う。 5 機械を使っても伐採の仕事は危険を伴う。 情報を工夫点と問題点 の2つに区分する。 2 3 4 5 工夫点 問題点 工夫点 問題点 2 情報の整理をする ① 書き出した情報を種類別に整理する。 ② 二つに分けた情報を見ながら、さらに自分の意見をまとめてみる。 ・びっくりしたこと。 ・面白かったこと。 ・考えたこと などなど 情報の整理(例) ●わかったこと ・林業の機械には木を伐ったり、運び出す機械などが ある。 ●工夫点 ・高齢化などで伐採の仕事をする人が少なくなったの で、効率よく仕事をするため機械を導入している。 ・機械は近くの林業家の人たちと共同で使う。 ●問題点 ・林業用の機械は特殊なため値段が高い。 ・機械を使って伐採の作業をしても山は足場が悪いの で危険である。 ●びっくりしたこと ・機械の値段が何百万円もするのがびっくりした。 ●考えたこと ・効率よく仕事をするために機械を導入しても危険を 伴うため、経験も必要だと考えた。 70 2工夫点 4工夫点 3問題点 5問題点 工夫点、問題点をよく読 んで、自分が感じたこ と、考えたことを書く。 新聞をまとめるときに 自分の考えを入れるこ とが大切である。 ステップ5 壁新聞にまとめてみる わかるように テーマに関係した驚きの情報をいれるとよい わかったこと う 機 械に つ いて 、 い そうです。林業で使 育 て て い る 林 業家 だ で 自 分 の 森 林で 木 を 森 さ んは 森 林 所有 者 って来ました。 ん に お話 を 聞 き に 行 林 業をして いる 森 さ 先 日 、天 竜 林 業地 で 問題点 たちと共同で使う。 ・機械は近くの林業家の人 ため機械を導入している。 ので、効率よく仕事をする をする人が少なくなった ・高齢化などで伐採の仕事 工夫点 そうです。 あり、機械化が進んでいる 注 目 機械はすごく高い 「グラップル」 この機械は、木を手のように つかんで運び出す機械です。 何百万円もするそうです。 自分の考えを書く みんなに伝えたい 効率よく仕事をする ために機械を導入し ても、山は足場が悪 かったりするので危 険がたくさんありま す。経験が必要だな と思いました。 考えたこと ・林業の機械には木を伐っ ろ い ろ と 質 問 して み ・林業用の機械は特殊なた たり、運び出す機械などが ました。 め値段が高い。 ・機械を使って伐採の作業 をしても山は足場が悪い ので危険である。 イラスト、写真、グラフ を入れて説明する 71 森々新聞 林業にも機械が必要です! 何を調べたのか 取材メモから整理した内容をわかりやすく、大事なところを目立たせるように壁新聞にま とめてみます。 大切なところは目立つように ステップ6 まとめ(壁新聞)が完成したら発表する 4つのキーワードで学習のまとめを発表します。 1 テーマの紹介 調べたテーマをみんなにわかりやすく説明します。 2 選んだ理由 テーマを選んだ理由を説明します。 3 工夫点・問題点 調べた内容がどんな工夫をしていたか、問題点はなんだったかなどを説明します。 4 自分の考え 調べたことをふりかえって、自分の考えを述べます。 第5章 学校に森をつくろう 森林・林業について学びながら環境の大切さを学ぶ体験学習のひとつの集大成として、 子どもたちが具体的に森づくりを学べて、そして常に森に接することができるよう学校の 敷地内などに小さな森をつくることを提案したいと思います。 「学校の森」づくりです。 1 「学校の森」をつくる意義 (1)学校の風景を変える これは、天竜流域にある小・中学校の敷地内な どに、子どもたちや教師、地域住民が一緒になっ て土をつくり、天竜流域にある樹木の種まきや苗 木の植栽をして森をつくろうというものです。都 会のある学校でも15年前に、校庭の一角に 600m2の学校の小さな森をつくったところ、 地域の中で揺るぎない存在感を示し、一般的な学 校のイメージ、風景が変わったそうです。子ども たちにとっても学校に自分たちがつくった森があ ることによって、自然との関わりを感じ、その森 を活かすことによって学校が学問の伝達の場から 自己発見の場に変わり、生き生きとしてきたそう です。そして、今ではこの森は教科を越えて行う 総合学習のカリキュラムの中核を成すようになり、 学校の子どもたちと地域の環境を総合学習によっ てつなげることで、さらに子どもたちや学校は輝 きを増してきたとのことです。 学校単位での植林体験 (2) 「学校の森」の持つ意味 学校に自然を取り入れるやり方としては森づくりのほか、花壇づくりや畑づくりなどい ろいろな方法があります。その中で森づくりは何といっても偉大なお手本(天竜美林)が 近くにありますし、一度つくればずっとその場所にあり、小学校であれば6年間継続して ふれあうことができるという特徴をもっています。 森をつくるには最低でも10∼20年の時間が必要であり、立派な森をつくるには 100年以上かかることもあります。その間、森に対する想いが、次の世代の子どもに引 き継がれ、連続していきます。先輩がつくった森を増やして自分たちの森をつくり、それ を後輩に引き継ごうというストーリーがあります。このストーリーのある森づくりが、今 の子どもたちに必要であり、子どもたちの自主性や自信、つながり感を育む上でも、理想 的な体験学習になると考えます。 そして、学校に自分たちがつくった森があることで、自然とのつながり感も強いものに なると思われます。そのつながりは子どもと自然だけではなく、子どもを取り巻く周りの 人たちにとっても新しい経験となって、学校との新たなつながりを生み、楽しい学校空間 へと発展し、ふるさと天竜流域の森林環境、さらには地球環境への関心を深めることも期 72 待されます。 このように、常に子どもたちが接す ることができる森を学校につくること は、自然・環境教育といったものを超 えた、大きな意味を持ち得る プロジ ェクト になると考えています。 ここで考えている「学校の森」づく りは、どんなに小さなものであっても かまいません。 「学校の森」は校庭でな くてもよいのです。学校から少し離れ たところでも、公園の片隅でもよいの です。 急いで植える必要もありません。 必要なのはつながり感を育もうとする 意識であり、活動なのです。そのつな がり感と活動体験が森とともに暮らす 社会を構築していく源になるであろう と私たちは考えます。 間伐体験 2 「学校の森」の整備のしかた 「学校の森」という考え方は、かなり昔 から存在し、学校財産としての位置づけか ら始まり、戦前の「学校の森」は愛国愛郷 愛樹心、戦後は国土復興が主となっている ように、時代の背景とともに変化してきて います。その後、林業の衰退とともに「学 校の森」は徐々に数を減らしていますが、 昨今、環境教育の場として新たな注目を集 めはじめています。財産として所有する形 態から、積極的に利用する形態へと活用の 方法が変化して来ています。 「学校の森」をつくり、それを活発に活 用するためには、学校だけにとどめず、地 域一体型の積極的な参加が望ましいと思わ れます。つまり、子どもたちだけでつくる 薪割り体験 のではなく、地域の方が樹木の種や苗木採 り、そしてそれらを植え、育てることを手 伝っていくわけです。天竜流域にはそうした森づくりのプロや経験者が大勢いますので、 その方の御協力を得れば、日本一の「学校の森」ができると思います。むろん、私どもも 協力を惜しみません。 73 3 「学校の森」の管理 「学校の森」の管理主体は、整備する森の場所と学校からの距離によって異なり、おお むね4つのパターンに分類されます。 ①学 校 管 理 型:学校が管理主体の場合。 森が学校の敷地内もしくは学校に隣接していることが多い。 ①学校管理型 学 校 利用・管理 学校の森 ②機能的地域組織管理型:管理主体の中心が機能的な地域組織(例:PTAなど)の場合。 森が学校から離れているものの1km 以内にあるケースが多い。 ②機能的地域組織管理型 学 校 連携 利用 学校の森 管理 機能的組織 ③包括的地域組織管理型:管理主体の中心が包括的な地域組織(例:地域財産区など)の 場合。 森が学校から1km 以上離れている農山村地域の学校に多いケ ース。 ③包括的地域組織管理型 学 校 利用 学校の森 連携 管理 包括的組織 74 ④市民活動団体管理型:管理主体の中心が市民活動団体(例:NPOなどの森づくり団 体など) の場合。 機能的地域組織が一部を補助することもある。 森が学校から1km 以上離れている都市部の学校に多いケース。 この場合、行政が学校と市民活動団体とを結ぶ働きを果たして いることが多い。 ④市民活動団体管理型 学 校 連携 利用 行 政 連携 学校の森 補助管理 管理 機能的組織 市民団体 森への入口 間伐が行われた森林 「三十ヶ谷の森」 (新居町) 市民森づくり活動団体と地元中学校が連携して取り組む森づくり活動のフィールド つまり、 「学校の森」は、学校からの距離が離れれば離れるほど学校のみの管理は難しく なり、適正な管理がなされず荒れてしまい利用率も低下してしまうことが懸念されます。 天竜流域の学校では、学校の敷地内か隣接したところに「学校の森」をつくることは難し いケースがあると思われますが、 地域と協力して森づくりを進めていくことが望まれます。 「学校の森」の管理としては、種まきや苗木の植栽にはじまり、下刈り、除間伐、枝打 ち、場合によってはそれらの草や間伐材の処理(というか、それを活用した体験活動)な ど、通常の森づくり、森の管理の ミニチュア版 です。これらの管理活動のうち、植栽 や下刈りなどの作業は子どもたちが行い、除間伐や枝打ちなどの作業を教員やPTAで実 施している例もあります。 ここで提案している「学校の森」は、学校の施設というのではなく、地域の環境の一部 であり地域の財産であると考えます。つまり、 「学校の森」の整備は、地域の環境整備でも あり、地域における参加型教育のシンボルになるのではないかと思います。 75 資 料 編 1 森林・林業の主要データ p77 (1)天竜流域の森林面積と蓄積 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)市町村別森林面積、森林率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)天竜流域の齢級別の人工林面積 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (4)天竜流域の保有山林規模別林家数及び面積 ・・・・・・・・・・・・ (5)天竜流域の林家戸数の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (6)天竜流域の林業生産額の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (7)木材価格の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (8)天竜流域の木材生産量の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (9)天竜流域の造林と間伐面積の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (10)就業(林業)人口の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (11)静岡県の木材需要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (12)製材工場数の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (13)静岡県内の住宅着工戸数の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (14)天竜流域の林道延長の推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (15)県民による森づくりの推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (16)保安林の種類別面積 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (17)森林の持つ多面的機能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 森林・林業の参考図書・教材等リスト p87 (1)参考図書リスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)参考ホームページリスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)静岡県林業技術センター貸し出し備品リスト ・・・・・・・・・・・ (4)学習教材リスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 森林・林業の関連施設等リスト 77 78 79 79 80 80 81 81 82 82 83 83 84 84 85 85 86 87 90 91 92 p94 (1)森林・林業行政関係機関 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2)森林組合関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)市町村環境関係機関 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (4)展示資料館等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (5)森林公園等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 天竜流域の巨樹・巨木リスト 94 95 95 96 97 p98 5 「静岡県森林・林業基本方針(概要) 」等 資料 p102 6 用語の説明 p108 76 1 森林・林業の主要データ (1)天竜流域の森林面積と蓄積 天竜流域の森林面積は 135,078ha であり、流域の56%を占めている。木材としての蓄 積は 33,232 千m3である。 ① 天竜流域の民有林・国有林別の森林面積と蓄積 民有林は、個人や企業、地方公共団体が所有し、森林所有者が管理を行っている。県や 市町村は補助金などで森林所有者の管理を支援している。国有林は、農林水産省林野庁が 所有し、各地に森林管理局・森林管理署が配置されている(天竜森林管理署・浜北市) 。 森林面積 蓄 積 国有林 8,701千 m3 26% 国有林 22,914ha 17% 民有林 112,164h a 83% 民有林 24,531千 m3 74% (出典:天竜流域森林計画書) ② 天竜流域の民有林の樹種別森林面積と蓄積 樹種としてはスギとヒノキで7割を占めている。このグラフから天竜林業の中心はスギ であることがわかる。 民有林の蓄積は、毎年約 460 千m3増加している。スギは、面積では44%であるが、 蓄積では56%を占めている。これは、天竜流域のスギの平均林齢が高いからである。 樹種別森林面積 樹種別蓄積 広葉樹 23% その他 針葉樹 0% その他 針葉樹 0% スギ 44% マツ 8% マツ 8% 広葉樹 10% ヒノキ 26% ヒノキ 25% スギ 56% (出典:天竜流域森林計画書) 77 (2)市町村別森林面積、森林率 市町村面積は、大きい順に水窪町、浜松市、春野町である。 森林面積が多いのは、水窪町、春野町、佐久間町の順である。森林率は、水窪町、龍山 村、春野町の順である。いずれも天竜川の上流の市町村である。 森林面積が一番少ないのは舞阪町であるが、 海岸防災林として重要な役割を担っている。 (単位:ha、%) 市 町 村 掛 川 市 大須賀町 菊 川 町 小 笠 町 浜 岡 町 大 東 町 袋 井 市 磐 田 市 福 田 町 竜 洋 町 浅 羽 町 豊 田 町 森 町 豊 岡 村 天 竜 市 水 窪 町 佐久間町 龍 山 村 春 野 町 浜 松 市 浜 北 市 雄 踏 町 舞 阪 町 新 居 町 湖 西 市 細 江 町 引 佐 町 三ヶ日町 流 域 計 市町村面積(A) 18,579 3,371 6,388 3,036 5,357 4,613 8,010 6,427 1,659 2,362 2,846 1,982 13,384 3,978 18,165 27,128 16,853 7,023 25,217 25,674 6,664 815 463 1,347 5,508 3,418 12,132 7,565 239,964 森林面積(B) 9,431 1,074 1,529 764 1,481 1,037 2,213 546 72 95 125 23 9,675 2,006 14,927 26,158 15,402 6,607 23,203 2,338 1,322 63 11 285 1,691 1,089 8,719 3,193 135,079 (出典:天竜流域森林計画書) (注)四捨五入の関係で、1の森林面積とは数値があっていない。 (参考)主要な森林国の森林面積など 森林面積 森林率 木材生産量 ロシア カナダ 851,392 50.4 158,100 244,571 26.5 187,444 アメリカ 合衆国 225,993 24.7 500,434 中国 163,480 17.5 287,472 森林率(B/A) 51 32 24 25 28 22 28 8 4 4 4 1 72 50 82 96 91 94 92 9 20 8 2 21 31 32 72 42 56 インドネ シア (単位:千 ha、%、千m3) フィンラ ドイツ 日本 ンド 104,986 24,081 21,935 10,740 58.0 64.0 72.0 30.7 120,339 18,121 54,263 49,106 (出典:世界食料農業機構(FAO)資料) ロシア、カナダ、アメリカ合衆国などは、主に天然林から木材を生産している。日本は、各国から木材を輸入して いる。中国及びインドネシアは、薪炭材の生産割合が高い。 (データは2000年である) 78 (3)天竜流域の齢級別の人工林面積 昭和24年(現在11齢級)から昭和48年(現在7齢級)の間に植栽した森林が、全 体の60%を占め突出している。造林面積の減少(9参照)からでもわかるように、林業 の不振とともに若い人工林は極端に少なくなっている。スギは40年生、ヒノキは45年 生以上になれば、伐採して利用することができる。 14,000 12,471 12,030 12,000 9,209 10,000 8,174 8,000 単位:ha 6,213 6,000 3,483 4,000 4,287 4,2214,213 3,543 2,479 2,371 1,815 2,000 2,016 1,772 852 1,139 152 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18∼ 齢 級 (例えば1齢級は1∼5年生) (出典:天竜流域森林計画書) (4)天竜流域の保有山林規模別林家数及び面積 所有山林面積 1∼5ha 5∼20ha 20∼50ha 50 ha∼ 計 面積 18% 21% 20% 41% 49,261ha 林家数 73% 19% 5% 3% 6,131 戸 世界農林業センサスとは、10年ごとに行う農林業の統計調査である。林家とは、1ha 以上の森林を所有している世帯を指す。9割を超える林家は20ha 未満の保有であり、こ うした人たちは林業だけでは生活できないので、農業や他産業と兼業している。50ha を 超える林家は3%であるが、保有面積は42%を占めている。 1∼5ha 8,952 面 積(ha) 5∼20ha 10,357 20∼50ha 9,654 50ha以上 20,298 331 4,482 林家数(戸) 0% 20% 40% 1,141 60% 80% 177 100% (出典:2000 年世界農林業センサス) 79 (5)天竜流域の林家戸数の推移 林家の戸数には、大きな変化がない。他産業では効率化するため規模拡大を推進してき たが、林業の場合は規模拡大が進んでいないことがわかる。規模拡大が進まなかった理由 は、小規模の林家にとっては、森林は毎年収益を上げる経営資源ではなく、家計の財産で あるからだと考えられる。 静岡県 天竜流域 (単位:戸) 30,000 26,280 25,000 22,722 22,031 23,856 20,000 15,000 10,000 6,810 6,245 6,019 6,131 5,000 0 昭和45年(1970) 昭和55年(1980) 平成2年(1990) 平成12年(2000) (出典:世界農林業センサス) (6)天竜流域の林業生産額の推移 木材の生産額は、価格の下落(7参照)と生産量の減少(8参照)により急激に少なく なっている。シイタケなどの副産物の生産額も、海外からの輸入が増え減少している。 木材 副産物 (単位:千万円) 3,000 2,764 2,500 2,379 2,000 1,668 1,500 1,064 1,000 500 482 673 262 355 0 昭和45年(1970) 昭和55年(1980) 平成2年(1990) 平成12年(2000) (出典:県林業振興室資料ほか) 80 (7)木材価格の推移 木材の主要需要先である住宅の非木造化も進んだことから(13参照) 、木材価格全体が 値下がりしている。 スギは北米から輸入されるベイツガと競合関係にあり、ベイツガの価格変動にスギ価格 が連動している。 ヒノキ(静岡県) スギ(静岡県) ベイツガ(全国) (単位:円/m3) 80,000 70,080 70,000 57,750 60,000 50,000 40,000 41,420 28,580 30,000 34,100 18,800 20,000 10,000 42,100 31,410 22,300 (193$/m3) (150$/m3) 25,700 (186$/m3) 20,900 14,400 (40$/m3) 0 昭和45年(1970) 昭和55年(1980) 平成2年(1990) 平成12年(2000) (注)スギ・ヒノキは、長さ4m、径18∼28cm の丸太価格の平均。ベイツガは、長さ6m、径30cm 上の丸太価格。 円相場は、昭和45年を360円、昭和55年を227円、平成2年を138円、平成12年を108円とした。 (出典:木材流通対策静岡県協議会の資料ほか) (8)天竜流域の木材生産量の推移 天竜流域の木材生産量は、静岡県の半分を占めている。海外からの木材輸入(11を参 照) 、木材価格の値下がりなどにより、木材生産量が年々減少している。 静岡県 天竜流域 (単位:千m3) 1,200 1,097 1,000 800 684 600 400 463 481 388 289 203 200 185 0 昭和45年(1970) 昭和55年(1980) 平成2年(1990) 平成12年(2000) (出典:木材需給報告書) 81 (9)天竜流域の造林と間伐面積の推移 木材生産の減少に伴って、人工造林は極端に少なくなっている。素材の生産も樹木を一 度に切る皆伐(かいばつ)から、抜き伐りを繰り返して行う択伐(たくばつ)が中心とな っている。 間伐は、戦後に植栽した人工林(11∼35年生)を中心に行っている。間伐は樹木の 生長に伴い、数回行う必要がある。 造林面積 間伐面積 (単位:ha) 2,500 (注)昭和45年度は資料なし。 2,000 1,985 1,700 1,988 1,500 1,000 637 500 318 145 0 昭和55年度(1980) 平成2年度(1990) 平成12年度(2000) (出典:天竜流域内の農林事務所調べ) (10)就業(林業)人口の推移 伐採や造林の仕事がなくなったことにより、林業に就業している人口も減少している。 林業は危険な仕事であるため就業希望者も少なく、就業者は高齢化している。 一方、最近では自然の中で働くことのできる仕事として、林業は注目されている。 静岡県 天竜流域 (単位:人) 10,000 7,796 8,000 6,000 4,000 4,849 3,632 3,049 2,234 2,000 1,395 1,573 678 0 昭和45年度(1970) 昭和55年度(1980) 平成2年度(1990) 平成12年度(2000) (出典:国勢調査) 82 (11)静岡県の木材需要 戦後の復興、高度経済成長に伴い多量な木材を要したが、国産材だけではすべてをまか ないきれなかった。そこで海外からの木材の輸入が始まり、徐々にその比率が高まってい る。木材の需要は大きな変化がなかったが、最近は不況とともに落ち込んでいる。 一方、戦後植栽した人工林は伐期を迎えつつあり(3参照) 、国産材への転換が課題とな っている。 国産材(%) 9,000 8,327 外 材(%) 木材需要量(千m3) 8,521 8,294 100 8,000 90 84 7,000 83 82 6,000 80 7,071 70 69 60 5,000 50 4,000 40 31 3,000 18 2,000 30 17 20 16 1,000 10 0 0 昭和45年(1970) 昭和55年(1980) 平成2年(1990) 平成10年(1998) (注)統計の変更により平成12年のデータはないため、平成10年のデータで代替した。 (出典:木材需給報告書) (12)製材工場数の推移 外材を含めた木材の総使用量は大きな変化がない中で、外材の製品輸入の増加や、工場 の大型化などにより、製材工場は減少している。 静岡県 天竜流域 (単位:工場) 1,400 1,200 1,202 1,082 1,000 780 800 600 439 409 400 523 315 217 200 0 昭和45年(1970) 昭和55年(1980) 平成2年(1990) 平成12年(2000) (出典:木材需給報告書) 83 (13)静岡県内の住宅着工戸数の推移 平成2年はバブル期のため住宅着工戸数が増加している。最近では、木造住宅の割合は 約5割である。 総戸数 木造戸数 (単位:戸) (注)昭和45年は資料なし。 60,000 51,658 50,000 40,000 30,000 39,458 39,559 28,223 20,383 24,612 20,000 10,000 0 昭和55年(1980) 平成2年(1990) 平成12年(2000) (出典:建築統計年報) (14)天竜流域の林道延長の推移 1ha の森林に入っている道路(国道・県道・市町村道・その他の道路の内、森林施業に 利用できる道路と林道)の延長を「林内道路密度」と言い、林業の基盤整備の指標として 使われている。 天竜流域の林内道路密度は、22.1m/ha(全県16.8m/ha)であり、林道延長の伸 びとともに、天竜流域の生産基盤は整備されている。 (注)昭和45年度は資料なし。 林道延長 (単位:km) 1,000 800 789 600 400 592 533 200 0 昭和55年度(1980) 平成2年度(1990) 平成12年度(2000) (出典:天竜流域内の農林事務所調べ) 84 (15)県民による森づくりの推移 最近では、 森林を所有していない人たちが、 森林の整備などに関わるようになってきた。 その目的は、林業の支援、地域環境の保全、健康の増進、森林と親しむなど様々である。 回数(単位:回) 人数(単位:人) 12,000 70 60 60 9,598 50 45 40 51 51 10,000 8,000 6,000 30 4,000 20 3,081 2,542 10 2,000 2,010 0 0 平成10年度(1998) 平成11年度(1999) 平成12年度(2000) 平成13年度(2001) (出典:県自然ふれあい室調べ) (16)保安林の種類別面積 (単位:ha) 保安林種 水源かん養 土砂流出防備 土砂崩壊防備 飛砂防備 防風 潮害防備 干害防備 落石防止 防火 魚つき 航行目標 保健 風致 計(13 種) 国有林 74,299 923 0 100 4 3 0 0 0 0 0 41 0 75,370 民有林 14,663 4,709 65 719 13 37 62 2 0 0 0 304 45 20,619 計 88,962 5,632 65 819 17 40 62 2 0 0 0 345 45 95,989 (出典:県森林保全室調べ・平成14年度) 保安林は、明治40年に旧森林法が制定された時からある制度で、森林は森林所有者だ けのものではなく、そこに住む人たちの共通の財産であることを精神としている。 85 (17)森林の持つ公益的機能(効用の貨幣換算) 森林の様々な働きを貨幣に換算する試みも行われている。こうした価値は日常生活では ほとんど気がつかないが、森林を中心とした環境学習などをとおして多くの人に知ってほ しいと願っている。 機能の種類 評価額(年間)(単位:億円) 天竜川流 静岡県 全 国 域 備 考 二酸化炭素 吸 収 83 310 12,391 森林バイオマスの増量から、二酸化炭素吸収量を算出 し、石炭火力発電所における二酸化炭素回収コストで評 価(代替法) 表面侵食 防 止 969 3,608 282,565 有林地と無林地の侵食土砂量の差(表面侵食防止量)を 堰堤の建設費で評価(代替法) 表層崩壊 防 止 451 1,679 84,421 有林地と無林地の崩壊面積の差(崩壊軽減面積)を山腹 工事費用で評価(代替法) 洪水緩和 427 1,843 64,686 森林と裸地との比較において、100 年確率雨量に対する 流量調節量を治水ダムの原価償却費及び年間維持費で 評価(代替法) 水資源貯留 1,050 3,913 87,407 森林への降水量と蒸発散量から水資源貯流量を算出し、 これを利水ダムの原価償却費及び年間維持費で評価(代 替法) 水質浄化 1,037 6,382 146,361 生活用水相当分については水道代で、これ以外は中水程 度の水質が必要として、雨水処理施設の減価償却費及び 年間維持費で評価(代替法) 野生鳥獣 保護 * 201 751 37,800 森林性の野鳥の数を推計し、人工的に飼育した場合の餌 代で評価(代替法) 保健・ レクリエーシ ョン * 121 448 22,546 国内の自然風景を鑑賞することを目的とした旅行費用 により評価(家計支出(旅行用) ) 4,339 18,934 738,177 合 計 ・ 国の評価額は、森林の多面的機能のうち、物理的機能を中心に、森林の物質生産機能を除いた貨幣評価が可能な 一部の機能につき、日本学術会議の特別委員会等の討議内容を踏まえて評価したものである。 ・ 静岡県及び天竜流域の評価額は、林野庁の諮問を受けて、平成13年11月に日本学術会議が答申し、試算した 結果を参考に算出したものである。 ・ *印は、機能のごく一部を対象とした試算である。 86 2 参考図書・教材等リスト (1)参考図書リスト ここでは、森林を中心とした環境学習を進めるにあたって参考となる図書を、小学生、中学生、教員 別に紹介します。これらの図書の大半は、静岡県林業技術センターに揃えてあります。御覧になりたい 方、貸し出しを希望される方は、静岡県林業技術センターにお問い合わせください。 ① 児童、生徒向け テーマ 全 体 天竜美林 の生い立 ち 森林の働 き 産業とし ての林業 森林と親 しむ 図書名(著者・発行) ・森は生きている(富山和子・講談社) ・子供版 絵で見る森林・林業白書 森林が元気になれば…(林野庁) ・森と木の質問箱(日本林業技術協会) ・小学生のための森林教室(日本林業技術協会) ■その他 ・金原明善(鈴木要太郎・国土社) ・塩の道(小峰書店) ■非売品 ・森づくりの人々(静岡県) 各農林事務所、林業技術センター所蔵 ■森林とわたくしたちシリーズ(全国林業改良普及協会) ・第1回考えてみよう 森林の働き ■その他 ・森林はなぜ必要か(小峰書店) ・森からみる地球の未来 水と土をはぐくむ森(文研出版) ・森林がなくなると私たちは(日本林業協会) ・地球温暖化と森林(日本林業協会) ■森林とわたくしたちシリーズ(全国林業改良普及協会) ・第2回森林を育てる ・第3回見つめてみよう木材の良さ ■森林の本シリーズ(全国林業改良普及協会) ・№4つくってみよう 木工・クラフト入門 ■その他 ・農林水産業はすてきな仕事⑤「木を育てる」 (文研出版) ・森林作業入門 森づくりに参加しよう(全国林業改良普及協会) ・美しく作ろうかんたん木工(婦人生活社) ・木のおもしろ世界( (株)第一プラニングセンター) ・木の性質と使い方(日本木材総合情報センター) ・木も変身する(日本木材総合情報センター) ・暮らしに役立つ木の話し(日本木材総合情報センター) ・健康に暮らせる住まい(住宅新報社) ・木と私たちの生活(日本木材総合情報センター) ■森林の本シリーズ(全国林業改良普及協会) ・№3森であそぼう 雑木林探検入門 ■その他 ・拾って楽しむ「紅葉と落ち葉」 (山と渓谷社) ・樹に咲く花1・2・3(山と渓谷社) ■非売品 ・北遠の巨木・名木(静岡県北遠農林事務所) ・森林浴の森∼中遠版∼(静岡県中遠農林事務所) 静岡県中遠農林事務所所蔵 87 ■森林とわたくしたちシリーズ(全国林業改良普及協会) ・第4回森の自然を観察しよう ■森林の本シリーズ(全国林業改良普及協会) 森 林 と 共 ・№1しらべてみよう 森の探偵団 生する ・№2応援しよう 林業体験入門 ■静岡県自然観察ガイドブック(静岡教育出版社 054-281-8870) ・1引佐渋川・2浜北森林公園・3佐鳴湖・4岩岳山・15水窪自然林・18桶ヶ谷 沼・19小笠山・22浜名湖・27中田島砂丘 ② 先生、生徒向け テーマ 図書名(著者・発行) ・ニューフォレスターズ・ガイド(全国林業改良普及協会) ・子供たちの林業体験ガイド 静岡県西部版(天竜流域林業活性化センター) ・ 「森を守れ」が森を殺す(田中淳夫・新潮社) ・日本の森はなぜ危機なのか(田中淳夫・平凡社新書) ・森が語るドイツの歴史(カール・ハーゼル・築地書館) ・ひみつの山の子どもたち(富山和子・童話屋) 全 体 ・森なしには生きられない(築地書館) ・日本よ、森の環境国家たれ(安田善憲・中央公論新社) ・日本に森林はいらないか(日本経済評論社) ・木を育て森に生きる(草思社) ・転換期のスギ材問題(日本林業調査会) ・森林インストラクター入門(全国林業改良普及協会) ■森のセミナーシリーズ(全国林業改良普及協会) ・№9森林・林業の仕事図鑑 森をつくる・人をつなぐ・木を活かす ■その他 ・現代伝記全集(5)金原明善(和田伝・日本書房) ・金原明善翁余話(鈴木要太郎・浜松史跡調査顕彰会) 天 竜 美 林 ・金原明善その足跡と郷土(浜松史跡調査顕彰会) (御手洗清・浜松民報社) の 生 い 立 ・遠州偉人伝(2) ち ・山と木と日本人(朝日新聞社) ・水の文化史(富山和子・文春文庫) ・ある山村の革命∼龍山村森林組合の記録∼(青山宏・清文社) ■非売品 ・静岡県ふるさと文化財(静岡県教育委員会) 林業技術センター所蔵 ・新寺谷用水史(寺谷用水土地改良区) 北遠農林事務所所蔵 ■森のセミナーシリーズ(全国林業改良普及協会) ・№1森と水 水を育む森、森を育む水 ・№2暮らしと森林 災害を防ぎ、くらしを彩る ・№3地球と森林 温暖化を防ぐ森林・木材 ■その他 ・森と水のサイエンス(東京書籍) ・水と緑と土(富山和子・中公新書) 森林の働 ・森林の生態(共立出版) き ・日本再発見 水の旅(富山和子・文芸春秋) ・しらべて学ぶ身近な生き物第2巻 土と林の生きものたち(合同出版) ・新版 だれでもできる パックテストで環境調べ(合同出版) ・身近な実験で選ぶ地球環境(丸善) ・もっと知りたい 森のひみつ 人と森と木のこと(森林文化教育研究会) ■非売品 ・静岡県の海岸林(静岡県) 各農林事務所、林業技術センター所蔵 88 ■その他 ・近くの山の木で家をつくる運動宣言(農山漁村文化協会) ・広葉樹林施業(全国林業改良普及協会) ・木材と教育(海青社) ・明日の木と森(地球社) ・ 「木」の再発見(研成社) ・変わる木材(海青社) ・木材の秘密(ダイヤモンド社) 産 業 と し ・木材と科学(海青社) ての林業 ・木が支えた日本の文化(全国林業改良普及協会) ・法隆寺を支えた木(NHK ブックス) ・木と日本の住まい(日本住宅木材技術センター) ・エコマテリアルとしての木材(全日本建築士会) ・木材新時代(全国林業改良普及協会) ・森林エネルギーを考える(創文) ・木材のリサイクル(産調出版) ■非売品 ・木の育つ快適な学習環境∼学校での木材利用∼(日本木材総合情報センター) ■森のセミナーシリーズ(全国林業改良普及協会) ・№5里山の雑木林 みんなで活かそう、くらしの森 ・№10森と健康 自然がくれる心とからだの癒し ■体験セミナーシリーズ(全国林業改良普及協会) ・№1森の手入れ・森のあそび ・№2森を知る、森を楽しむ 森林と親 ■その他 しむ ・拾って楽しむ「紅葉と落ち葉」 (山と渓谷社) ・樹に咲く花1・2・3(山と渓谷社) ・自然体験活動指導者のための安全対策読本(日本レクリェーション協会) ・もりのマナー(全国森林レクリェーション協会) ・巨樹名木巡り 甲信越・中部(牧野和春・牧野出版) ・親子で楽しむご近所自然観察(渡辺隆一・オフィスエム) ■森のセミナーシリーズ(全国林業改良普及協会) ・№11森林と市民参加 みんなの知恵・情報・力が地域を創る ・№12森林と野生動物 共存をめざす新しいつきあい方 ■体験セミナーシリーズ(全国林業改良普及協会) 森林と共 ・№3まちの森生活 ソフト林業 生する ■その他 ・森と人間の文化史(日本放送出版協会) ・森の野生動物に学ぶ101のヒント(日本林業技術協会) ・森づくりワークブック人工林編(全国林業改良普及協会) ③ 天竜流域の林業の歴史 書籍名 天竜林業発達史 林業技術史第1巻 (天竜林業技術史) 著 者 兼岩芳男 発 行 林業発達史調査会 所 蔵 先 静岡県北遠農林事務所 兼岩芳男 (社)日本林業技術協会 静岡県北遠農林事務所 林政総合協議 日本林業調査会 会編 日本の森と木と人の歴 林政総合協議 日本林業調査会 史 会編 日本の造林百年史 89 静岡県北遠農林事務所 静岡県林業技術センタ ー (2)参考ホームページリスト インターネットでは、多くの情報が発信されています。検索エンジンで「森林」を検索すると、18 0万件のページがヒットします。それらの中から目的とするページを探すことは大変なことですが、是 非活用したいツールのひとつです。 ここでは、森林・林業に関する主なホームページを紹介します。 テーマ 総合情報 静岡県 サイト名・URL ・こども森林ひろば(ロールプレイング風で体験) http://www.green.or.jp/kodomo/ ・みんなの森データ編 http://www.minnanomori.com/ ・こども森林館(林野庁のサイト) http://www.rinya.maff.go.jp/kouhousitu/kodomo.html ・日本林業技術協会(100不思議、森の質問箱ほか) http://www.jafta.or.jp/index-j.html ・全国林業改良普及協会(総合学習に役立つ図書ほか) http://www.ringyou.or.jp/ ・森の窓(森林、林業のリンク集) http://plaza.across.or.jp/ hsgwtks/ ・静岡県(市町村サイト検索ほか) http://www.pref.shizuoka.jp/ ・静岡県環境森林部(環境学習データバンクほか) http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ ・しずおか木使い net(もくもく勉強館ほか) http://kizukai.pref.shizuoka.jp/ ・中遠農林事務所 http://www.pref.shizuoka.jp/nousei/ns-33/ ・北遠農林事務所 http://www.pref.shizuoka.jp/nousei/ns-34/ ・西部農林事務所 http://www.pref.shizuoka.jp/nousei/ns-35/ ・林業技術センター http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/fri/ 天竜美林の 生い立ち ・掛川市(イベント・観光に塩の道の情報がある) http://lgportal.city.kakegawa.shizuoka.jp/index.asp ・北遠の森の冒険 http://www.shizuoka.com/hokuen/inakax/bouken/ 森林の働き ・ぼくら地球調査隊(質問BOXがある) http://www.jica.go.jp/kids/pages/ ・名水大全(全国の名水が紹介されている) http://homepage1.nifty.com/agatashi/meisui/ 90 産業として の林業 ・静岡県森林組合連合会 http://www.s-kenmori.net/ ・木の情報発信基地(木に関するいろいろな情報) http://www.wood.co.jp/ ・天竜材を世に出す会(森のアウトレットの様子) http://www.tendas.net/ ・吉野中央木材株式会社(工場見学がある) http://www.homarewood.co.jp/ 森林と親し む ・このきなんのき http://www.ne.jp/asahi/blue/woods/ ・日本産樹木検索 http://taxa.soken.ac.jp/JUMOKU/ ・杜の哲人(いろいろな図鑑がある) http://moritetsu.net/ ・日本の巨樹・巨木 http://www.kyoboku.com/ ・中部地方の巨樹紹介 http://www.sun-inet.or.jp/ knaru235/ ・彩 Kota's Nature Photo Gallery http://www.alpha-net.ne.jp/users2/kotam/ ・森林療法研究会 http://www.janis.or.jp/users/bigrock/ ・フィトンチッド普及センター http://www.phyton-cide.org/ 森林と共生 する ・国土緑化推進機構(緑の少年団、森林ボランティアほか) http://www.green.or.jp/ ・静岡森づくり情報(森づくりの人々ほか) http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/mori/ ・ヤマビル研究会 http://www.tele.co.jp/ui/leech/top.htm (3)静岡県林業技術センター貸し出し備品リスト ① ② ③ ④ 木材標本(国産有用樹種 50 種) 木工道具セット(6 組) 木材の含有水分計 森林教育パネル(728mm×1,030mm) 私たちの森林 スギ林のおいたち 地球の温暖化と森林 世界の森林は今 雑木林は天然林? 温暖化をおさえる森林 日本の森林があぶない!! 人工林の2大スター 緑のダム 森林の大切な働き 木の一生 森林の力はスゴイ!! 森林の力を引きだす林業 間伐で健全な森づくり 91 (4)学習教材リスト ①自然の良さを感じよう No 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 商 品 名 プラスチックルーペ(10個組) プラスチックルーペ(10個組) ニコン双眼実態顕微鏡 木の実穴あけ器 たたき染めセット 児童用聴診器 双眼鏡 水陸望遠鏡 のびっこ虫網 昆虫飼育箱 〃 〃 〃 〃 〃 ミルビン 土壌生物採集器 デジタル照度計 アルコール温度計 騒音計 規 格 φ22mm 5 倍 φ45mm 3.2 倍 ネイチャースコープミニ どんぐりなどの穴あけ − 木の鼓動を聞こう 4 倍率 10 個組 − 115∼179cm に伸縮 PC-ミニS 1ℓ PC-ミニ 2ℓ PC-1 3ℓ PC-2 7ℓ PC-3 12ℓ PC-5 13.5ℓ 拡大観察ビン ツルグレン装置 − − − 参考価格(円) 950 1,600 36,000 14,000 4,000 1,600 25,000 17,000 900 260 430 750 1,000 1,550 1,750 4,400 8,000 28,000 490 70,000 規 格 5.0∼9.5pH(10 段階)45 本 1∼11pH(11 段階)48 本 0∼100mg/ℓ 6 段階 200 回分 0.2∼10mg/ℓ 200 回分 0.02∼1mg/ℓ 200 回分 1∼45mg/ℓ 200 回分 0.1∼5mg/ℓ 200 回分 0.1∼5mg/ℓ 5 本 0∼200mg/ℓ 5 本 河川用 道具と薬品セット 道具と薬品セット ガラス製長さ 300mm 3.6∼6.2pH200 回分 CD-ROM 付き 1∼11(変色表付き) 参考価格(円) 4,000 3,900 8,500 8,500 7,600 8,500 7,000 1,600 1,600 17,000 17,500 48,000 4,500 4,800 11,000 1,400 ② 身近な環境問題(水質チェック) No 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 商 品 名 水素イオン濃度パックテスト 〃 シンプルパック pH1 化学的酸素要求量パックテスト リン酸パックテスト 亜硝酸パックテスト 〃 残留塩素パックテスト おいしい水の硬度検査セット 〃 生物化学的酸素消費量セット 簡易水質調査セット 水質調査セット 透視度計 酸性雨 pH パックテスト 酸性雨調査キット PH 試験紙 92 ③ 身近な環境問題(大気調査) No 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 商 品 名 大気汚染(Nox)調査キット 北川式気体検地管測定器 〃 酸素検地管 〃 二酸化炭素低濃度 〃 二酸化炭素高濃度 〃 窒素酸化物 〃 窒素酸化物 〃 二酸化硫黄 〃 一酸化炭素 粉塵検知器 UV チェッカー 規 格 CD-ROM 付き 検地管容量50mℓ 2∼24% 5 本組 0.03∼1.0%10 本組 1.0∼10.0%10 本組 1∼20ppm10 本組 100∼500ppm10 本組 5∼100ppm10 本組 5∼100ppm10 本組 公害管理の初期判定 紫外線測定器 参考価格(円) 12,000 16,500 2,300 1,600 1,600 3,800 2,000 2,000 2,000 28,000 38,000 ④ 身近な環境問題(エネルギー、自然産物利用、リサイクル等) No 1 2 3 4 5 商 品 名 ミニ風力発電機 ケナフ栽培セット 紙漉きセット ペットボトルロケット製作キット 生ゴミリサイクル学習キット 規 格 − 栽培、紙漉きマニュアル付 枠、すだれ、糊等 組立て式水ロケット 3 セット入り 参考価格(円) 35,000 3,500 25,000 3,800 4,500 規 格 ニュークサミノン ゴミ分解や糞粒を作る様子 参考価格(円) 1,200 13,500 規 格 臼、竹バケ、ふるい 道具とビデオセット 天然にがりで本物豆腐 参考価格(円) 25,500 20,000 3,000 規 参考価格(円) 24,000 17,700 9,800 ⑤ 生きものの住む環境を再現しよう No 1 2 商 品 名 発酵促進剤 シマミミズ観察キット ⑥ 昔ながらの農業と食を見直そう No 1 2 3 商 品 石臼コンパクトセット 麺打ちセット 手づくり豆腐セット 名 ⑦ 調べたことをまとめて発表しよう No 1 2 3 商 品 小学校環境教育パネル 自然観察パネル 作業用白地図 名 20 枚組 20 枚組 日本全図 93 格 3 森林・林業の関連施設等リスト (1)森林・林業行政関係機関 ① 国関係機関 機 関 名 農林水産省林野庁天竜森林管理署 住 所 浜北市中瀬 2663-1 電 話 053-588-5591 住 所 磐田市見付 3599-4 天竜市二俣町鹿島 559 浜松市東田町 87 浜北市根堅 2542-8 電 話 0538-37-2301 0539-26-2314 053-458-7234 053-583-3121 備 考 ② 県関係機関 機 関 名 静岡県中遠農林事務所 森林整備課 静岡県北遠農林事務所 森林整備課 静岡県西部農林事務所 森林整備課 静岡県林業技術センター 備 考 電 話 備 0537-21-1148 0537-48-1007 0537-35-0937 0537-73-1117 0537-85-1125 0537-72-1123 0538-44-3133 0538-37-4813 0538-58-2377 0538-66-9107 0538-23-9216 0538-36-3156 0538-85-2111(代) 0539-63-3156 0539-22-0031 0539-82-0006 0539-66-0008 0539-69-0311 0539-83-0006 053-457-2331 053-585-1117 053-596-3216 053-592-2114 053-594-8111 053-576-1216 053-523-1113 053-542-1114 053-524-1115 考 ③ 市町村関係機関 市 掛 川 市 大須賀町 菊 川 町 小 笠 町 浜 岡 町 大 東 町 袋 井 市 磐 田 市 福 田 町 竜 洋 町 浅 羽 町 豊 田 町 森 町 豊 岡 村 天 竜 市 水 窪 町 佐久間町 龍 山 村 春 野 町 浜 松 市 浜 北 市 雄 踏 町 舞 阪 町 新 居 町 湖 西 市 細 江 町 引 佐 町 三ヶ日町 町 村 名 良質地域課 産業課 農林課 農林商工課 農林課 農林商工課 農林課 農政課 産業課 経済課 経済課 農政商工課 農林課 産業課 農林課 林業課 産業課 農林商工課 経済課 農政課 農林課 産業環境課 企画振興課 都市産業課 農林水産課 産業振興課 農林課 産業振興課 住 所 掛川市長谷 701-1 大須賀町西大淵 100 菊川町堀之内 61 小笠町赤土 1503 浜岡町池新田 5585 大東町三俣 620 袋井市新屋 1-1-1 磐田市国府台 3-1 福田町福田 400 竜洋町岡 729-1 浅羽町浅名 1028 豊田町森岡 150 森町森 2101-1 豊岡村下野部 48 天竜市二俣町二俣 481 水窪町奥領家 2955-1 佐久間町佐久間 429-1 龍山村大嶺 570-1 春野町宮川 1467-2 浜松市元城町 103-2 浜北市西美薗 6 雄踏町宇布見 9611-1 舞阪町舞阪 2701-9 新居町浜名 501-1 湖西市吉美 3268 細江町気賀 305 引佐町井伊谷 616-5 三ヶ日町三ヶ日 500-1 94 (2)森林組合関係 機 関 名 静岡県森林組合連合会 天竜営業所 掛川市森林組合 森町森林組合 天竜市森林組合 春野町森林組合 龍山村森林組合 佐久間町森林組合 水窪町森林組合 引佐町森林組合 住 所 浜北市中瀬 8100 掛川市丹間 48 森町三倉 826-2 天竜市船明 1951-1 春野町宮川 1481 龍山村戸倉 233-3 佐久間町半場 10-1 水窪町地頭方 248-1 引佐町井伊谷 2340-1 電 話 053-583-0505 0537-25-2111 0538-86-0211 0539-26-2800 0539-89-0185 0539-69-0331 0539-65-1121 0539-87-0035 053-542-0404 備 考 電 話 備 0537-21-1145 0537-48-1013 0537-35-0916 0537-73-1112 0537-85-1119 0537-72-1118 0538-44-3115 0538-37-4812 0538-58-2374 0538-66-9102 0538-23-9220 0538-36-3154 0538-85-2111(代) 0539-63-0022 0539-22-0020 0539-82-0008 0539-66-0004 0539-69-0311 0539-83-0002 053-453-6149 053-585-1115 053-596-3216 053-592-2115 053-594-8131 053-576-1141 053-523-3120 053-542-3313 053-524-1526 考 (3)市町村環境関係機関 市 掛 川 市 大須賀町 菊 川 町 小 笠 町 浜 岡 町 大 東 町 袋 井 市 磐 田 市 福 田 町 竜 洋 町 浅 羽 町 豊 田 町 森 町 豊 岡 村 天 竜 市 水 窪 町 佐久間町 龍 山 村 春 野 町 浜 松 市 浜 北 市 雄 踏 町 舞 阪 町 新 居 町 湖 西 市 細 江 町 引 佐 町 三ヶ日町 町 村 名 環境保全課 住民安心課 環境推進室 生活安全課 生活安全課 住民課 生活環境課 生活環境課 住民課 民生課 企画課 住民課 生活環境課 ゆめ推進課 生活環境課 産業課 町民生活課 総務課 生活課衛生担当 環境企画課 生活環境課 産業環境課 生活環境課 住民課 環境防災課 生活環境課 住民環境課 環境防災課 住 所 掛川市長谷 701-1 大須賀町西大淵 100 菊川町堀之内 61 小笠町赤土 1503 浜岡町池新田 5585 大東町三俣 620 袋井市新屋 1-1-1 磐田市国府台 3-1 福田町福田 400 竜洋町岡 729-1 浅羽町浅名 1028 豊田町森岡 150 森町森 2101-1 豊岡村下野部 48 天竜市二俣町二俣 481 水窪町奥領家 2955-1 佐久間町佐久間 429-1 龍山村大嶺 570-1 春野町宮川 1467-2 浜松市鴨江 2-11-2 浜北市西美薗 6 雄踏町宇布見 9611-1 舞阪町舞阪 2701-9 新居町浜名 501-1 湖西市吉美 3268 細江町気賀 305 引佐町井伊谷 616-5 三ヶ日町三ヶ日 500-1 95 (4)展示資料館等 施 設 名 明善記念館(金原治山治水財団) 森町立歴史民俗資料館 豊岡村農村民俗資料館 磐田市旧見付学校 浅羽町郷土資料館 水窪町民族資料館 北条峠民族文化伝承館 さくま郷土遺産保存館 春野町歴史民俗資料館 竜洋町郷土資料館 熊野伝統芸能館 豊田町郷土資料館 細江町立姫街道歴史民俗資料館 横尾歌舞伎資料館 舞阪町立郷土資料館 林業技術センター「森の科学館」 バードピア浜北 小笠山ビジターセンター カモシカと森の体験館 ウッディーカクホン(B館=木材展示館) 秋葉神社 山住神社 住 所 浜松市安間町 35 森町森 2144 豊岡村壱貫地 磐田市見付 浅羽町浅名 1021 水窪町地頭方 1097 佐久間町佐久間 1832-1 佐久間町中部 510-1 春野町宮川 327-1 竜洋町岡 豊田町池田 332-3 豊田町加茂 細江町気賀 1015-1 引佐町横尾 726-2 舞阪町舞阪 2668-56 浜北市根堅 2542‐8 浜北市尾野 2597-7 大東町入山瀬 852 水窪町山住 96‐1 浜松市飯田町 278 春野町秋葉山 水窪町山住 230 北条峠民族文化伝承館 電 話 053-421-0550 0538-85-0108 0539-63-0041 0538-32-4511 0538-23-8511 0539-87-1620 0539-87-1888 0539-65-1585 0539-89-1119 0538-66-1111 0538-36-5535 0538-32-9535 053-523-1456 053-542-1115 053-592-7000 053-583-3121 053-583-0443 0537-72-1123 0539-87-1200 053-463-3678 0539-85-0111 0539-87-1179 カモシカと森の体験館 96 備 考 大東町役場農林商工課 (5)森林公園等 施 設 名 獅子ヶ鼻公園 県立森林公園 天竜の森(竜頭山) 野鳥の森 小笠山総合運動公園ふれあいの森 小笠山憩いの森 千年の森 天竜市民の森 森町町民の森 掛川市民の森 万葉の森公園 浜松市かわな野外活動センター てんてんゴーしぶ川 ならここの里 住 所 豊岡村敷地 1464-1 浜北市尾野 2597-7 佐久間町大井 水窪町山住地内 袋井市愛野 2300-1 大東町入山瀬 852 天竜市山東 天竜市大谷 森町橘字東山 575-1 掛川市黒俣 758 浜北市平口 5051-1 引佐町川名 455-5 引佐町渋川 237-1 掛川市居尻 179 野鳥の森 天竜の森(竜頭山) 97 電 話 0539-63-3156 053-583-0443 0539-26-2314 0539-82-0006 0538-41-1800 0537-72-1123 0539-26-2314 0539-22-0031 0538-85-2111(代) 0537-21-1145 053-586-8700 053-544-0219 053-545-0452 0537-25-2055 備 考 豊岡村役場産業課 北遠農林事務所 水窪町林業課 大東町役場農林商工課 北遠農林事務所 天竜市農林課 森町役場農林課 掛川市役所良質地域課 4 天竜流域の巨樹・巨木リスト <掛川市> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 モミ 高御所 480 35 スギ 大尾山 700 30 県天 スギ 事任八幡宮 650 35 市天 スギ 六所神社 445 18 市天 スイリュウヒバ 倉真 470 15 スダジイ 池下 700 20 ヒイラギ 伊達方 300 8 備 考 県天 <大須賀町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) イチョウ 大谷町 370 17 クロマツ 西大渕 410 10 天然記念物等 備 考 町天 <菊川町> 樹 種 スダジイ 所在地 大頭竜神社 幹周(cm) 900 樹高(m) 天然記念物等 備 考 天然記念物等 備 考 20 <小笠町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) スダジイ 下平川 521 16 クスノキ 善勝寺 540 25 ホルトノキ 熊野神社 300 20 町天 <浜岡町> 樹 種 所在地 ソテツ 佐倉 クロマツ 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 1,000 6 県天 朝比奈 432 40 町天 スギ 比木 480 15 ツブラジイ 幡室神社 500 13 スダジイ 賀茂神社 500 20 備 考 町天 <大東町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) スギ 小笠山 400 30 クスノキ 春日神社 490 25 天然記念物等 備 考 天然記念物等 備 考 <袋井市> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) スギ 油山寺 580 23 県天 スギ 白髪神社 330 14 市名木古木 ヤマモモ 天神社 380 14 市名木古木 スダジイ 七ツ森久努神社 670 15 市名木古木 98 クスノキ 山名神社 665 23 市名木古木 <磐田市> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 イチョウ 二番町 550 12 ラクウショウ 磐田農高 350 18 ヒノキ 見付天神社 400 20 スダジイ 河原町 490 15 ユリノキ 磐田農高 328 15 クスノキ 見付天神社 1,022 15 クスノキ 西島 950 9 市天 クスノキ 善導寺 820 28 県天 クスノキ 加茂川通 750 18 市天 クロガネモチ 河原町 310 13 県天 備 考 <福田町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) イヌマキ 一色 350 10 スダジイ 南田 450 15 天然記念物等 備 考 町天 <竜洋町> 樹 種 スダジイ 所在地 松尾神社 幹周(cm) 337 樹高(m) 天然記念物等 備 考 天然記念物等 備 考 天然記念物等 備 考 10 <浅羽町> 樹 種 スダジイ 所在地 王子神社 幹周(cm) 450 樹高(m) 8 <森町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) ツガ 大久保 470 21 スギ 大日山 760 30 スギ 小国神社 550 43 町天 ヒノキ 橘 360 20 町天 ナギ 天宮神社 400 15 県天 ヤマモモ 谷中 380 15 イスノキ 小国神社 350 10 町天 <天竜市> 樹 種 所在地 スギ 下百古里 スギ 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 1,040 39 県天 船明 870 33 市天 ヒノキ 上野 370 38 カヤ 只来 490 17 イチイガシ 米沢 500 42 市天 ムクノキ 諏訪神社 340 30 市天 99 備 考 クスノキ 諏訪神社 800 36 市天 ヤマザクラ 大地野 350 18 市天 イロハモミジ 芦窪 310 12 <水窪町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 モミ 山住 370 30 スギ 山住 920 41 県天 スギ 山住 701 40 県天 ブナ 野鳥の森 340 22 イチイガシ 水窪小学校 425 26 トチノキ 所能 800 15 備 考 県天 <佐久間町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) スギ 大正神社 730 60 イチイ 明光寺 320 20 天然記念物等 備 考 天然記念物等 備 考 天然記念物等 備 考 <龍山村> 樹 種 ケヤキ 所在地 瀬尻 幹周(cm) 350 樹高(m) 22 <春野町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) イチョウ 長蔵寺 550 24 町天 スギ 春埜山 1,135 44 県天 カヤ 花島 390 18 町天 イチイガシ 南宮神社 400 25 町天 <浜松市> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 イチョウ 領家 610 23 市天 クロマツ 妙恩寺 500 14 県天 クロマツ 南浅田 390 13 市天 ヤマモモ 新橋 480 13 クスノキ 八幡町 1,300 15 県天 クスノキ 入野 580 16 市天 クロガネモチ 大人見 310 12 ホルトノキ 村櫛 380 20 備 考 <浜北市> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 イチョウ 岩水寺 360 24 イヌマキ 新原 300 20 市天 カヤ 本沢合 560 22 国天 ケヤキ 尾野 398 22 市天 100 備 考 <雄踏町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) クロマツ 天王神社 320 10 イヌマキ 冶五平屋敷 390 10 スダジイ 三島神社 600 12 天然記念物等 備 考 町天 <新居町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 イチョウ 教恩寺 430 18 町天 イヌマキ 東福寺 410 12 町天 ケヤキ 諏訪神社 550 16 町天 備 考 <細江町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 スギ 屯倉水神社 330 22 町天 クスノキ 細江神社 730 18 町天 備 考 <引佐町> 樹 種 所在地 幹周(cm) 樹高(m) 天然記念物等 イチョウ 六所神社 670 20 町天 スギ 方広寺 575 43 町天 クスノキ 井伊谷 550 17 備 考 <三ヶ日町> 樹 カヤ 種 所在地 御園 幹周(cm) 樹高(m) 440 注)この巨樹・巨木リストは代表的なものを抜粋した。 船明の2本スギ(天竜市船明) 101 15 天然記念物等 備 考 5 「静岡県森林・林業基本方針(概要) 」等 資料 102 103 104 しずおか木使い県民運動について (静岡県森林総室林業振興室) ■ しずおか木使い県民運動は しずおかの木を使うことの意義や良さを理解し、身近な生活の中で木を使うことから、「環境」、「健康・快適」、 「教育」、「県土」、「県民」を守っていくことを目標に、その頭文字の K をとって「5K(互恵)を守るしずおか木使い 県民運動」をキャッチフレーズとして運動を進めていきます。 シンポジウムなどを通じ 木の良さを皆さんに知っ てもらいます ■ しずおか木使い県民運動の推進ステップ STEP−Ⅰ ◆しずおかの木を使う意義・良さを理解する。 県民の皆さんに木造の建 物や木製品を生活の中で 使っていただきます。 STEP−Ⅱ ◆ 木を暮らしの中で、大切に使う。 STEP−Ⅲ 県民の皆さん自らが木の 良さの語り部になってい ただきます。 ◆木の使い方を自ら提案・普及する。 環境と人間に優しい木材の魅力 ■炭素貯蔵庫としての木造建築 ■製造時のエネルギー消費が少ない 炭素固定量平均 6t/戸 21,814kg 5,140kg CO2 木造住宅 鉄筋コンクリート住宅 木造住宅 木造住宅は「都市の森林」 一戸あたりの製造時の炭素排出量 岡崎ら,1998他 岡崎ら,1998他 木 は 伐 採 され た 後 も その 体 内 に 炭素 を 貯 蔵 し続けます。 平均的な木造住宅1棟の炭素固定量は約6 t(CO2 で約22t)にもなります。 木材は鋼材やアルミニウムに比較し、製造時の エネルギー消費量(炭素放出量)が格段に小さ くて済みます。 ■ 木材は再生産可能な資源 ■木造校舎は元気な生徒を育みます 石油や石炭、鉄鉱石などは有限の資源です。 木材は伐採した後、植林するサイクルを守り、 伐採量が成長量を超えない限り、永久に持続可 能な資源として利用できます。 大学生を対象として「ねむけとだるさ」についてアン ケート調査を行った結果、木材床は「眠気とだるさ」や 「注意集中の困難さ」を訴える率はコンクリート床に比 べて、良い評価が認められています(上図) 。 105 ふじのくに環境教育・環境学習基本方針概念図 13 年 2 月 静岡県・静岡県教育委員会 めざす持続的発展が可能な社会 ①経済、社会、環境のいずれの側面から見ても、質の高い社会が保証される社会 ②社会全体が環境の側面から見た健全性を保っている社会 ③大気、水、土壌、生物間の諸システムが健全な関係を保ち、それらに悪影響を与えない社会 ④資源・エネルギーの大量消費に依存しない新しい段階に移行していく社会 ⑤循環を基調として経済社会システムが形成されている社会 ⑥国土の多様な生態系が健全に維持され、人と自然との豊かな触れ合いが確保される社会 ⑦環境配慮に関するルールや社会基盤が用意され、各主体が容易に取組を実行できる社会 ⑧よりよい地球環境の形成に向けてリーダーシップを発揮しうる社会 基 本 目 的 持続的発展が可能な社会の構築に主体的に参画できる人づくり 求められる資質・能力 総 合 的 ○環境・環境問題に関 する基礎的・専門的 な知識・理解 ○バランス感覚 ○広く全体を見渡す力 ○指導力 ○判断力 ○責任ある行動 実 践 力 ○基本的な生活習慣 ○自然に配慮した生活 様式 ○美しいと感じる心 ○他を思いやる心 ○自然への深い愛情 ○命を大切にする心 ○主体的参加意欲 環境教育・環境学習 目標項目 知識・理解 思考・判断 環境についての学習 技能・表現 関心・意欲・態度 環境のための学習 総合的である 環境・経済・社会・人口 環境の中での学習 つながり学習 体験活動の重視 課題発見・解決能力の育成 食糧問題など総合力 家 NPO NGO 企 連携・協力 支 援 業 行 政 行 政 学 校 庭 地 域 社 会 県 民 すべての世代・多様な場で 地域に根ざした活動 実生活での主体的行動へのつながり 行 政 発達段階別環境教育・環境学習推進方向 106 生涯学習の視点で幼児から高齢者 家庭、学校、職場、地域社会など 場ごとの環境教育・環境学習推進方向 しずおか環境行動宣言 HOPE 今日の環境問題は、日常の生活や、通常の事業活動に起因しており、これを解決するには、事業者、 行政など、社会を構成する全ての主体が、環境に配慮した行動を取る必要があります。HOPEは、 この行動を提案したものです。環境教育の取りまとめとして活用できます。 学級単位で宣言(児童の名前と住居市町村名を記載)して、静岡県環境政策室(静岡市追手町9番 6号)まで送付すると、インターネットに、宣言者名が記載されます。宣言ということから、児童の 意識も高まります。 なお、下記のHOPEは、小学4年生程度を対象にしたもので、この他に、県民一般用、事業者用、 行政用があります。 107 6 用語の説明 < ア 行 > 用 語 エコマネー 説 明 地域通貨ともいう。ある特定地域において、参加者間で物やサービスを交換する 仕組みのこと。 枝下高 地上から最初の枝(枯枝を除く)までの高さ。 円盤 木を輪切りにした板。 オガライト おが屑を棒状に成型した木質燃料。 帯鋸(おびのこ) 薄い帯状の鋼の縁に鋸歯を刻んで輪状にし、動力で回転させて用いるノコギリ。 温室効果 大気中の二酸化炭素やフロンガスなど(温室効果ガス)の濃度が高まり、地表か らの熱の放出が抑制され、気温が上昇する現象。 < カ 行 > 用 語 海岸防災林 説 明 飛砂、潮風、高潮などから家屋や農地を守るために海岸沿いに設けられた森林。 回漕問屋(かいそ 船舶によって荷を運送する問屋。 うどんや) 皆伐(かいばつ) 樹木を一度に全部、または大部分伐採すること。 (>択伐、間伐) 拡大造林 天然林を伐採した跡地や原野に人工造林を行うこと。 (>再造林) 下層植生 森林において、低木及び草本類からなる植物集団。 間伐 森林の立木密度を調節する目的で、立木の一部を伐採すること。 (>皆伐、択伐) 木馬(きうま・き 人力集材に用いられる木製のそりのような道具。小丸太を枕木状に並べた搬出路 んま) (木馬道)の上を、丸太を積んで引きおろす。 気候変動に関す 国連環境計画と世界気象機関が共催し、先進国や主だった途上国など約 80 カ国 る政府間パネル の政府が参加する会合。温暖化問題を科学的に解明するための国際的なセンター (IPCC) となっている。 木取り(きどり) 原木から種々の製材品(角材・板材など)を効率よくつくること。 胸高(きょうこ 樹木の太さを測る際の基準の高さ(成人の胸の高さ)で、日本では1.2m(北 う) 海道では1.3m) 、ヨーロッパ諸国は1.3m、アメリカでは1.37mを採 用している。 京都議定書 温室効果ガスの削減を目標に、1997年12月に京都で開催された「第3回気 候変動枠組条約締約国会議(COP3 通称:地球温暖化防止京都会議) 」にお いて採択された。日本は1998年に署名し、2002年に締結したが、未締結 国もあるため発効には至っていない。 くさび 木を挽くとき、刃物がスムーズに切り込めるように、材の間に打ち込むV字型の 木片。 桁(けた) 柱の上に渡して、垂木(たるき:屋根を受ける部材)を受ける住宅の構造用部材。 県営林 都道府県が所有または管理を行う森林のうち、主として森林施業を行う森林。 原木市場(げんぼ 丸太の売買を行う市場。 くしじょう) 108 コウゾ クワ科の落葉低木。外皮の内側の繊維が和紙の原料として用いられる。 公有林(こうゆう 公共団体の所有する森林。都道府県、市町村のほか、財産区などの所有も含まれ りん) る。 (>国有林、民有林) 広葉樹 樹木を葉の形で分類した名称で、扁平な葉を持つ樹木のこと。 (>針葉樹) 護岸工(ごがんこ 海岸・川岸などを保護して水害を防ぐ工作物。 う) 国有林 国が所有する森林の総称。大部分は林野庁の管轄。 (>公有林、民有林) 柿板(こけらい 屋根葺用に薄く分割した板材。 た) 混交林(こんこう 性質の異なった 2 種類以上の樹種が混じって生育する森林。 (⇔単純林) りん) コンパネ コンクリートを打ち込み、成型するための型枠。 (コンクリート型枠用合板の略 語) < サ 行 > 用 語 再造林 説 明 人工林を伐採した跡地に人工造林を行うこと。 (>拡大造林) 雑木(ざつぼく) 林業用語では主要造林樹種(スギ・ヒノキ・マツ・クヌギ・コナラなど)以外を 指す。なお「雑木林」というときには「ぞうきばやし」と読む。 里山 集落周辺にあり、かつては薪炭やシイタケ生産などに利用された、人とのかかわ りが深い森林。 山岳信仰 山に超自然的な威力や霊的存在を認める信仰。後に仏教とも習合して修験道など を生んだ。 仕口(しぐち) 木材を接合するために継手などを刻んだ面のこと。 糸状菌(しじょう 糸状の菌糸を持つ菌類の総称。主にカビ類。 きん) シックハウス(症 建材に使用された接着剤や壁材から放出されるホルムアルデヒドが主原因とさ 候群) れ、目が痛くなったり咳が出たりする症状。 樹冠(じゅかん) 樹木上部の、枝と葉が茂っている部分。樹幹と発音が同じため「クローネ」とい う場合が多い。 蒸散(じょうさ 水分が葉の気孔などから水蒸気になって排出される現象。 ん) 照葉樹(しょうよ 葉が深緑色で光沢のある常緑広葉樹。暖温帯で降雨量の多い地域に生育する。 うじゅ) 常緑樹 1年以上にわたって葉をつけている樹木。葉は2∼5年で随時落葉する。 (>落 葉樹) 植物群落保護林 国有林の中で、国や地域の自然を代表する植物群落、歴史的・学術的価値がある 個体などの保護を目的として設定された森林。 新建材 主に木材の代替品として戦後普及した、石膏ボード・プラスチック板・繊維板な どの建築用資材。 人工造林 人工林を造る目的で、林地に目的樹種の苗木を植付けたり、種子をまくこと。 109 人工林 苗木の植栽、挿し木などによって人為的に成立させた森林。 (⇔天然林) 薪炭林(しんたん 薪及び木炭の原料となる木材の生産を目的とした森林。 りん) 針葉樹 樹木を葉の形で分類した名称で、細くとがった葉を持つ樹木のこと。 (>広葉樹) 森林施業(しんり 森林を維持造成するための伐採・造林・保育などの行為を適正に組み合わせ、目 んせぎょう) 的に応じた森林の取り扱いをすること。 生態系 ある地域の生物の群集とそれらに関係する無機的環境(水・土など)をひとまと めにし、機能系として捕らえたもの。 製品市場 製材品の売買を行う市場。 世界農林業セン 「経済統計に関する国際条約」に基づき、農林業生産の基礎項目について、10 サス 年に1度実施する調査。前回は2000年。 遷移(せんい) ある群落(植物の集団)において、その構成樹種などが時間に従って変化するこ と。最終的に安定した状態を「極相」という。 素材 林業用語として用いる場合には、伐採後、まだ加工していない木材(丸太)のこ とを指す。原木ともいう。 < タ 行 > 用 語 説 明 耐陰性 植物が日陰に耐えて生育する性質。 大気汚染物質 煤煙・一酸化炭素・二酸化硫黄・窒素酸化物・放射性物質などの有害物質。多く は化石燃料を使用することで発生する。 択伐(たくばつ) 森林内の成熟木を、木材の利用を目的に繰り返し抜き伐りすること。 (>皆伐、 間伐) 玉切り(たまぎ 立木を伐採して枝を落とした後、用途に応じて定められた長さに切断して丸太に り) すること。 単純林 1種類の樹種からなる森林。 (⇔混交林) 暖帯 日本では沖縄県の北部から九州、四国、本州の福島県を北限とする地帯。年平均 気温は13∼21℃、主な樹種は照葉樹(カシ・シイ・クスノキなど) 。 蓄積 森林を構成する樹木の体積(材積という)の合計。 治山 荒廃山地などの復旧や森林の維持・造成を通して、国土の保全や水資源の確保を 図ること。 治水 洪水による災害を防ぎ、かんがい用水などの利水を図ること。 チッパー 木材をチップ状の小片に破砕する機械。 中央構造線 諏訪湖の南から天竜川の東側に沿い、豊川の谷を通って紀伊半島に入り、四国か ら九州中部に及ぶ大断層線。 つぶ食 雑穀類を用いた料理。 ツルグレン装置 土中の小動物を集める装置。ろうと状の筒に土を入れ、上からライトで照らすと、 光を嫌う生物が下の器に落ちてくる仕組み。 適地適木(てきち その地質・地形に最も適した樹種を選んで植林すること。 てきぼく) 110 天然林 人の手によらないで、種子や萌芽から生育した森林。原生林(人為のまったく及 んでいない森林)と、二次林を総称した言葉。 (⇔人工林) 土壌改良材 団粒構造の形成促進や保水性・保肥力改善のために用いられる資材。木炭・石灰・ パーライトなどがよく用いられる。 < ナ 行 > 用 語 二次林 説 明 災害や人為によって植生が破壊された跡地に自然に再生した森林のこと。 貫板(ぬきいた) 柱と柱を貫いてつなぐ、構造上重要な補強用横木。 < ハ 行 > 用 語 バイオマス 説 明 バイオ(生物)+マス(量)からできたことばで、植物系資源の総量を指し、特 にエネルギー源として用いるとき、 「バイオマスエネルギー」という。 伐期(ばっき) 目的とする木材を収穫利用できるようになる時期(林の年齢) 。 伐出(ばっしゅ 伐採と搬出(林外に持ち出すこと)に要する経費。 つ)コスト 梁(はり) 柱の頭頂部にある横架材で、小屋組を支える構造部材。 フィトンチッド フィトン=「植物」とチッド=「殺す」から作られた造語。植物が周囲の微生物 から身を守るために発散している芳香物質。 風致(ふうち) 景観を引き立たせる効果。 伏流水(ふくりゅ 地上の流水が、一時的に地下に潜入して流れている状態。 うすい) 部材(ぶざい) 建築物の構成材。柱、梁、桁、貫などがある。 歩留り(ぶどま 林業用語では原料丸太から得られる製材品の割合を指す。 り) プレカット 木造建築部材の加工(仕口・継手など)をあらかじめ工場で機械によって行うこ と。 ベイツガ マツ科ツガ属の常緑針葉樹。カナダからアメリカ北部地域に生育し、スギ・ヒノ キの代用として、建築用に広く利用されている。 保安林 森林法に基づき、水源のかん養、災害の防備、風致保存などの公共目的を達成す るため、農林水産大臣が指定した森林。伐採・土石採掘などが制限されている。 放線菌(ほうせん 短く枝分かれした菌糸を持つ桿状の細菌類。 きん) ホルムアルデヒ シックハウスの原因物質といわれる、刺激臭のある無色の気体。その40%溶液 ド をホルマリンという。分子式HCHO。 萌芽(ぼうが) 木を伐採した切り株から発生した芽。 111 < マ 行 > 用 語 松くい虫 説 明 マツに寄生して枯死させる害虫の総称。現在、全国的に発生している被害はマツ ノマダラカミキリによって媒介されるマツノザイセンチュウによるものである。 水窪町水源の森 水源林整備のために、水窪町内の年間水道使用量1m3当たり1円を、一般会計 づくり基金 から基金として積み立てる制度。平成8年から実施。 ミツマタ ジンチョウゲ科の落葉低木。内皮の繊維が長くて強いため、高級和紙・紙幣の原 料として用いられる。枝が三叉(さんさ)するためこの名がついた。 緑の募金 「緑の募金法」 (平成7年施行)に基づき、森林の整備や緑化の推進を図る目的 で行われる募金。 民有林(みんゆう 森林の所有区分で、国有林以外の森林の総称。個人・法人が所有する「私有林」 りん) と、都道府県・市町村などが所有する「公有林」に区分される。 (>国有林、公 有林) 木質ボード 木片・チップなどの木質材料を成型加工して板状にしたもの。 < ヤ 行 > 用 語 説 明 用材(ようざい) 製材用、パルプ、チップなどとして利用される木材。薪炭材とシイタケ原木は含 めない。 < ラ 行 > 用 語 説 明 落葉樹 秋から春にかけて一斉に落葉し、春になると新葉をつける樹木。 (>常緑樹) リグニン 木材の主要成分のひとつで、主に繊維と繊維を接着する役目を果たす物質。 流通問屋 製材所から製品を購入し、この販売を業とする問屋。 林業事業体 林業白書では、林家などから育林や木材生産を請け負う森林組合・素材生産業者 などをいう。 林産物 森林から生産または採取される産物。きのこ・炭など(特用林産物という)も含 まれる。 林床(りんしょ 森林を構成する植物を高さの階層で分けたとき、低木以下を総称する言葉。 う) 林相(りんそう) 森林を構成する樹種、林齢などによって示される森林の全体像。 林木遺伝資源保 国有林の中で、主要林業樹種・希少樹種など、主として林木の遺伝資源の保存を 存林 目的として設定された森林。 112 天竜流域森林環境学習手引書 作成スタッフ ま え だ ● 前田 たけし 豪 (作成協力総括) プロフィール コ メ ン ト 連 絡 とおやま ● 遠山 先 みつる 満 (作成協力テーマ1) プロフィール コ メ ン ト 連 絡 (財)静岡総合研究機構 外部研究員 長崎国際大学講師 観光プランナー 適正な林業を行いながらあまり国民(税金)に負担をかけずにトー タルの森林環境を保全・活用していく日本の知恵を天竜流域の子ど もたちから世界に発信することが望まれます。 ㈱リージョナルプランニング 東京都杉並区天沼3−32−23−403 Tel:03−3393−1616 Fax:03−3393−1624 E メール:regional@a1.mbn.or.jp 先 元水窪町職員 大半を林業部門で過ごし、平成8年度には「水窪町水源の森づく り基金条例」の制定に関わる。 平成14年度静岡森づくり大賞(県緑化推進協会会長賞)受賞 天竜美林を育ててくれた先人の偉業と森林の効用が、この教育プロ グラムによって、将来の子どもたちに少しでも理解され、森林・林 業の発展と地球環境の保全を継承してくれることを願う。 磐田郡水窪町奥領家5286−1 Tel:0539−87−0696 に し お しんいち ● 西 尾 眞 一(作成協力テーマ2) プロフィール コ メ ン ト 連 絡 先 静岡県立天竜林業高等学校教諭 森林科学科長 天竜林業高校に勤務して9年目、森林と林業の奥深さに魅了されて しまいました。多くの方に森林の鼓動を聞いてほしい、木の温もり を感じてほしいと思っています。 静岡県立天竜林業高等学校 天竜市二俣町二俣601 Tel:0539−25−3139 Fax:0539−25−7422 E メール:office@tenrin-h.shizuoka-c.ed.jp ホームページ http://www.wbs.ne.jp/cmt/tenrin 113 あ お や ま のりひろ ● 青 山 典 弘(作成協力テーマ3) プロフィール コ メ ン ト 連 絡 先 龍山村森林組合 常務理事 平成14年度静岡森づくり大賞(県知事褒賞)受賞 今叫ばれている環境問題を改善するには、 「日本の林業を健全な姿に 戻すことが必要だ」という運動が各地で起き始めた。ただ同然の木 材価格で天竜美林の存続すら危ぶまれている今日、次代を担う子ど もたちに対し、体験活動を主体とした森林環境学習を実施すること の意義は大きく、今回のプログラム作りに参加できたことに感謝し たい。 龍山村森林組合 磐田郡龍山村戸倉233−3 Tel:0539−69−0331 Fax:0539−69−0173 なかやま た か し ● 中 山 高 志(作成協力テーマ4) プロフィール コ メ ン ト 連 絡 先 サラリーマンを経験後、家業の林業に就く 静岡県林業普及指導協力員 森林インストラクターとして、自然観察会などで活動 TCJ(ツリー・クライミング・ジャパン)ツリークライマー 毎日のように自然の中に足を運んでいても、新しい発見がたくさん あります。子どもたちには、もっと自然に触れ、五感を使って体験 することで、いろいろなことを感じ取ってもらいたいと思っていま す。 中山林業合資会社 掛川市中央1−7−6 Tel:0537−23−8871 Fax:0537−23−8871 E メール:takashi-kikori@h4.dion.ne.jp よ し だ じゅんこ ● 吉 田 順 子(作成協力テーマ5) プロフィール コ メ ン ト 連 絡 先 ビオトープ管理士、初級教育カウンセラー 市内企業・幼稚園などで、いくつかのビオトープを計画、設計、 施工、管理、活用支援している。その他、これまで県内の環境教 育関連事業やまちづくりなどのワークショップを様々請け負う 自然の不思議をさぐり、解釈する。新たな発見に胸を躍らせる。そ して自然と向き合い自分の存在に思いをめぐらせる。そんな時間が 共有できたら、うれしいです。仕事と勉強に追われる毎日を支えて くれるのは、家族や周囲の人たちと自然です。 ㈲エコ・プランニング 浜松市新都田5−28−7 114 Tel:053−428−6045 Fax:053−428−6045 E メール:eco-jun@r8.dion.ne.jp ま え だ ● 前田 とおる 暢 (作成協力) プロフィール コ メ ン ト 連 絡 先 ㈱リージョナルプランニング研究員 子どもたちは『遊びの天才』であり、大人たちには予想もつかない 素材を素晴らしい遊びに変えてしまう、優れた能力があると思いま す。今回のプログラムを通して、子どもたちが森林や林業に興味を 持ち、ふるさとに誇りを持ってくれることを心より望みます。 ㈱リージョナルプランニング 東京都杉並区天沼3−32−23−403 Tel:03−3393−1616 Fax:03−3393−1624 E メール:regional@a1.mbn.or.jp ● 県教育事務所 (作成協力) 所 属 職 静岡県西部教育事務所 指導主事 学校教育課 ● 県農林事務所 スタッフ 所 属 静岡県中遠農林事務所 森林整備課 静岡県北遠農林事務所 森林整備課 静岡県西部農林事務所 森林整備課 氏 職 森林整備課長 主 任 副 主 任 森林整備課長 森林環境係長 副 主 任 技監兼森林整備課長 林業振興係長 主 任 名 備 考 今西成乃 アドバイス 氏 名 河合孝之 森住佳秀 森嶋孝枝 戸塚喜雄 大澤孝吉 山本徳子 橋本昌吉 長谷川剛司 浅井弘喜 備 考 総括 全体・調整担当 テーマ4担当 総括 テーマ3担当 テーマ1担当 総括 テーマ5担当 テーマ2担当 本書に関するお問い合わせ、意見などは下記まで連絡ください。 連 絡 名 住 所 電 話 静岡県中遠農林事務所 森林整備課 磐田市見付 3599-4 0538-37-2301 静岡県北遠農林事務所 森林整備課 天竜市二俣町鹿島 559 0539-26-2314 静岡県西部農林事務所 森林整備課 浜松市東田町 87 053-458-7234 115 天竜美林の教え ∼天竜流域で行う 森林を中心とした環境学習の手引き∼ 平成16年3月 HP:http://www.shizu-green.or.jp/birin/ 作 成:静岡県中遠農林事務所森林整備課 静岡県北遠農林事務所森林整備課 静岡県西部農林事務所森林整備課 作成協力:静岡県環境森林部地球環境室 静岡県西部教育事務所 (社)静岡県緑化推進協会 中遠地域緑化推進協議会 北遠地域緑化推進協議会 西部地域緑化推進協議会 編集協力:(株)リージョナルプランニング
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