詳細情報 編集にあたって 日本における取り組み

本レポートは、フォルクスワーゲンAG発行の「サステイナビリティレポート2005/2006」を、フォルクスワーゲン グ
詳細情報
ループ ジャパン株式会社の編集チームが日本語版に翻訳・編集したものです。
翻訳にあたり、原文にある「Sustainability」というキーワードを、「サステイナビリティ」または「持続可能性」とい
う単語で表現し使用いたしましたが、フォルクスワーゲン グループが意図する「サステイナビリティ」の定義につきま
グループ全般
しては、本書7ページの「ビジョンと規範:持続可能な発展」の章をご参照ください。
年次報告書
http://gb.volkswagen.com
尚、本レポートの記載内容で日本市場にご提供できていないサービスのあること、及び「関連情報」として引用している
グローバルコンパクトに関する報告書
www.volkswagen-sustainability.com
ウェブサイトは、フォルクスワーゲンAGが運用する英語またはドイツ語のサイトであることをあらかじめご了承ください。
Moving Generations
フォルクスワーゲン グループ・サステイナビリティ・サイト(最新レポート、グループ内のベス
トプラクティス、原則とガイドライン、ニュース、GRIの全インデックス)
www.volkswagen-sustainability.com
各傘下ブランドと関連企業
AUDI AGの環境レポート
www.audi.com Company Company Perspective Environmental Protection
サステイナビリティレポート 2005/2006
1995年以降の環境レポート、環境宣言、最新のフォルクスワーゲンAGのサステイナビリティ
レポート
www.mobility-and-sustainability.com Service Information Material
シュコダのサステイナビリティレポート
www.skoda-auto.com Environment and Technology Sustainable Development
セアトの環境関連情報
www.seat.com Company Environment
各取り組み情報
燃料とパワートレイン戦略
www.mobility-and-sustainability.com Knowledge SunFuel
ライフサイクル・インベントリー
www.volkswagen-sustainability.com
VO L KS WA G E N A G
日本における取り組み
フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社は、フォルクスワーゲン グループの日本法人と
して、フォルクスワーゲンAGの100%出資のもとで1989年に設立されました。愛知県豊橋市に
本社を置く当社は、世界各国で生産されたフォルクスワーゲン グループの車両を輸入し、日本全
国の正規ディーラーにデリバリーしています。
当社はフォルクスワーゲン グループの一員として、グループバリューに基づく経営方針「日本の
自動車市場で影響力のあるプレーヤーになること」を掲げ、全国のフォルクスワーゲン正規ディー
ラーと一丸となって、日本のお客様のご満足を第一に考えた企業活動を行っています。
サステイナビリティレポート 2005/2006
Moving Generations
編集にあたって
「Moving Generations(世代を超えて)」これがフォルクスワーゲン グルー
プ初となるサステイナビリティレポートのテーマです。過去から未来へのビ
ジョンを表すこのテーマは、次の世代にも価値ある生活のためのサステイナ
ブル・モビリティを提供していくという長期的展望に根ざしています。フォ
ルクスワーゲン グループおよびその傘下ブランドや関連企業が行っている、
環境・社会活動は非常に多岐にわたるため、本レポートではあえてそのエッ
センスだけを取り上げることにしました。詳しい情報は新たに開設されたウェ
ブサイトでご覧いただけます。ウェブサイト上の参照先は、本レポートの各
ページに「」マークで示してあります。
フォルクスワーゲン グループの財務情報、コーポレートガバナンス規範の遵
守、リスクマネジメント、商品戦略については下記の各サイトをご覧ください。
フォルクスワーゲン グループ・サステイナビリティ・サイト
(www.volkswagen-sustainability.com)
投資家向けウェブサイト(www.volkswagen-ir.com)
web版年次報告書(http://gb.volkswagen.com)
本レポートでは、「傘下ブランドと関連企業」の章を除き、基本的にフォル
クスワーゲン グループ全体について記載しています。
「フォルクスワーゲン」
とだけ記載してある場合は、フォルクスワーゲン ブランドについての記述で
す。本レポートのデータ収集にあたっては、フォルクスワーゲン グループの
連結企業が対象となっています。例外的なケースについてはデータのページ
に注記してあります。関連企業の一覧はフォルクスワーゲン グループ・サス
テイナビリティ・サイトの「Sustainability Report」ページ内「Online
Report Links」の01に掲載しています。
本レポートは、GRI(Global Reporting Initiative)ガイドラインに沿って作成
されています。ガイドライン遵守状況は、本レポート中のGRIガイドライン
対照表に記載していますが、ウェブサイトではさらに詳細な内容を掲載して
います。
当社は1997年にISO9001フォルクスワーゲン ネットワーク認証を取得し、経営方針の実現に
GRIガイドライン(巻末折込参照)
ウェブサイトのGRIガイドライン(www.volkswagen-sustainability.com)
向けて日々継続的な改善活動を実施しています。さらに、翌1998年からは日本全国の正規ディー
ラーにも順次展開してまいりました。また、日本の輸入車業界において最大規模の車両整備セン
ターは、2000年にISO14001を取得。2004年には輸送車両のガードワックスを全廃しリサイ
クル可能なフルボディカバーに切り替えるなど、環境保全活動に積極的に取り組んでいます。
当社の詳細につきましては、フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社のウェブサイト
(www.volkswagen.co.jp)の「□ Company」欄をご覧ください。
本件に関するお問い合わせ先:
VOLKSWAGEN AG
Environment and Industrial Safety
P.O. Box 011/17743
38436 Wolfsburg
Germany
本レポートは、完成度、長所、欠点、一貫性について、専門家の審査を受け
ています。データの正確性は、開発・生産拠点で実施される定期監査で、
ISO14001、EMAS(欧州環境管理監査制度)などの指針に従い確認されて
います。
監査報告書(54ページ)
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
フリーダイヤル 0120−993−199
日本語版:2006年5月
本レポートは2005年10月1日に編集完了したものです。2006年1月以降、
レポートの内容はフォルクスワーゲン グループ・サステイナビリティ・サイ
ト上で定期的に更新、追加される予定です。次号のフォルクスワーゲン グ
ループ・サステイナビリティレポートの発行は2年後の予定です。
00
READ MORE ON THE INTERNET
フォルクスワーゲン グループ・サステイナビリティ・
サイト(www.volkswagen-sustainability.com)の
「Sustainability Report」ページ内に「Online
Report Links」があります。本レポートで示さ
れた各レポートがすべて資料番号とともに一覧に
なっています。こちらをクリックすると詳細情報
をご覧いただけます。
(注:参照先のウェブサイトの言語は英語または
ドイツ語です。)
55
GRI(Global Reporting Initiative)ガイドライン対照表
インデックス
Highlights and Lowlights
フォルクスワーゲンAGのお問い合わせ先
▲ 4月
「1リッターカー」:1リットルの燃料で
100 kmを走行できる1リッターカーの
プロトタイプをドイツ・ハンブルクで初
公開。
▲ 3月
▲ 6月
▲ 1月
約3,700人を新規雇
用:ウォルフスブルグ
にあるグループ会社の
アウト5000社は革新
的な雇用モデルを導
入。トゥーランの生産
工場で新たに約3,700
人の雇用を創出。
第100回 環境保全に関するサプライヤー・
ワークショップ:1997年の第1回開催以
来、1,100カ所の生産拠点から約1,200の
サプライヤーが最新の環境テーマを取り上げ
たワークショップに参加。
グループ傘下ブランドで初のサス
テイナビリティレポート:シュコ
ダが同ブランド初のサステイナビ
リティレポートを発行。
▲ 6月
▲ 9月
Dr.フェルディナンド・ポルシェ
賞:Dr.ウォルフガング・シュタイ
ガー(フォルクスワーゲン)とDr.
ウォルフガング ヴァルネッケ
(シェル社)が天然ガスとバイオマ
スを原料とする燃料を開発した功
績により受賞。
エコレーサー(EcoR a c e r ): フ ォ ル ク ス
ワーゲン グループは東
京 モ ー タ ー シ ョ ー
2005で、このプロトタ
イプを展示。最も経済的
なスポーツカーのひとつ
として軽量設計と低燃費
(3.4リットル/100
km)を見事に両立。
10月 ▲
サンディーゼル(SunDiesel)
のパイロット工場:フォルクス
ワーゲンとダイムラークライス
ラー社のプロジェクトパート
ナー、コーレン社がバイオマス
の高圧ガス化処理を行うパイ
ロット工場の稼動を開始。第2
世代の液体バイオ合成燃料を生
産する基盤を構築。
TSIとTFSIエンジン:
フランクフルトモー
ターショーで、フォルク
スワーゲングループはガ
ソリン直噴システムの開
発における画期的な成果
を発表。ダウンサイジン
グ、直噴、ツインチャー
ジャーの組み合わせが燃
料消費量を大幅に削減。
▲ 8月
▲ 6月
世界共通の従業員の権利:自動車メーカーで
初めて、フォルクスワーゲン世界従業員協議
会および国際金属産業労働組合連合と、世界
共通の基準に合意。
11月 ▲
▲ 2月
メキシコで第1回フォルクスワーゲン グ
ループ環境地域会議:地域会議の目的は、
グループの環境方針をより現地の状況に
適した形で実行すること。これに続いて
南アフリカ、ブラジル、アルゼンチン、
中国でも地域会議を開催。
最優秀雇用者:フォルクス
ワーゲン銀行がビジネス誌
「カピタール」により、金融
サービス部門でドイツの最優
秀雇用者に選ばれる。
コーポレート・ケア大賞:
2004年の大賞は、長年にわ
たるHIV/エイズとの闘いへの
貢献が評価され、フォルクス
ワーゲン オブ サウス アフリ
カが受賞。
フォルクスワーゲン・ズィーコ
ン・リサイクル工場建設に着手:
オーストリア・リンツ市に近いエ
ンスで、フォルクスワーゲン・
ズィーコン・リサイクルプロセス
による初の大規模自動車リサイク
ル工場建設に着手。
世界共通の労働安全方針:
フォルクスワーゲン世界従業
員協議会、国際金属産業労働
組合連合、フォルクスワーゲ
ンAG取締役会は全生産拠点
共通の労働安全方針に署名。
Communications
Environmental Strategy /
Corporate Human Resources
Thomas Mickeleit
Business Processes
Klaus Dierkes
P.O. Box 011/19720
Dr. Ulrich Menzel
Tel.: +49 (0)5361 973310
38436 Wolfsburg, Germany
Tel.: +49 (0)5361 972804
E-mail: klaus.dierkes@volkswagen.de
Tel.: +49 (0)5361 987604
E-mail: ulrich.menzel@volkswagen.de
E-mail: thomas.mickeleit@volkswagen.de
2008年北京オリンピッ
クまでにハイブリッド車
を開発:フォルクスワー
ゲンAGと上海フォルク
スワーゲンが共同開発に
調印。開発はウォルフス
ブルグと上海で並行して
進められる。
2003
2004
Investor Relations
Reinhold Kopp
Gillian Karran-Cumberlege
Plenipotentiary of Volkswagen AG
Tel.: +49 (0)5361 949843
Tel.: +49 (0)5361 978622
E-mail: gillian.karran-cumberlege
E-mail: reinhold.kopp@volkswagen.de
シンフューエル(SynFuel)の試験
走行に成功:25台のゴルフTDIモデ
ルを使った5カ月間のテストの結果、
シェル社の合成液化天然ガス(GTL)
が日常的な使用に適することを証明。
2002
Corporate Government Relations
@volkswagen.de
Group Research
Works Council
Prof. Dr. Jürgen Leohold
Bernd Osterloh
Tel.: +49 (0)5361 926670
Tel.: +49 (0)5361 927501
E-mail: juergen.leohold@volkswagen.de
E-mail: bernd.osterloh@volkswagen.de
2005
▼
▼ 1月
▼ 7月
浮遊粒子状物質をめぐる討
論:浮遊粒子状物質やディー
ゼルパティキュレートフィル
ターをテーマとする公開討論
で、フォルクスワーゲン グ
ループの燃料やパワートレイ
ンに関する総合的長期戦略の
メリットについて十分に伝え
られなかった。
CO2表示:フォルクスワーゲンがベル
リンで運営しているアウトモビール
フォールム (Automobile Forum)
で、燃費とCO2排出量に関する所定
の表示がすべての車両で見やすく表
示されていないとの批判をNGOから
受け、規定の罰金2万ユーロを支払う。
ルポ 3L TDIの生産中止:市場の
ニーズが低調だったため、環境にや
さしい「3リッターカー」を市場か
ら撤退。アウディA2 1.2 TDIの生
産はすでに中止。
議員の兼任雇用:議員の兼任雇用に
関する論議を考慮して、ドイツの議
員数名がフォルクスワーゲンとの雇
用関係を停止したいと申し出。これ
に迅速に対応し、2005年1月1日付
で、本制度を廃止。
フォルクスワーゲン グループ
サステイナビリティレポート 2005/2006
ドイツ語版初版2005年12月
日本語版初版2006年5月
© Copyright 2005: Volkswagen AG
▼ 6月
本レポート入手先
日本語版:www.volkswagen.co.jp
英語版:www.volkswagen-sustainability.com
米国での補償金支払い:自動車排
出ガス制御システムの欠陥を適切
な時期に告知しなかったとして、
米国環境保護庁に対し自主的に
110万ドルの補償金を支払う。
企画/編集:
日本語訳:
からダウンロードするか、もしくは
Volkswagen AG, Wolfsburg
株式会社ダイナワード
下記までご連絡ください。
収賄汚職事件:不法行為が発覚
し、従業員2名を解雇しブラウン
シュヴァイク地方検察庁に届け
出。同時に、社内内部監査チーム
と監査法人KPMGに徹底した問
題の全容解明を依頼。
Munich
akzente Kommunikationsberatung,
フォルクスワーゲン カスタマーセンター:
日本語版監修:
0120−993−199(フリーダイヤル)
フォルクスワーゲン グループ ジャパン
レイアウト/グラフィックデザイン:
株式会社
akzente Kommunikationsberatung,
Munich
フォルクスワーゲンAG は常にモデル改良に
努めているため、設計、装備品、および技術
印刷:マス株式会社
仕様は随時変更されます。従って、本レポー
トのデータ、写真、および説明を損害賠償な
写真:
どの請求の根拠とすることはできません。
レポートの内容(カギとなる指標)
ページ
1.1 ビジョンと戦略
7–11, 30-31
1.2 最高経営責任者の声明
2
組織概要
2.1 報告組織の名称
4
2.2 主な製品やサービス。それが適切な場合には、ブランド名も含む
4, 33–41
2.3 報告組織の事業構造
33
2.4 主要部門、製造部門子会社、系列企業および合弁企業の記述
33–41
2.5 事業所の所在国名
5, 33–41
2.6 企業形態(法的形態)
4
2.7 対象市場の特質
5, 27
2.8 組織規模
4, 5
2.9 ステークホルダーのリスト。その特質、および報告組織との関係※
14
2.10 報告書に関する問い合わせ先。電子メールやホームページのアドレスなど 55
2.11 記載情報の報告期間(年度/暦年など)
42, 43
2.12 前回の報告書の発行日(該当する場合) 初のグループ サステイナビリティレポート
2.13 「報告組織の範囲」(国/地域、製品/サービス、部門/施設/合弁事業/子会
社)と、該当事項があれば特定の「報告内容の範囲」
前袖
2.14 前回の報告書以降に発生した重大な変更(規模、構造、所有形態または製品/
サービスなど)
ー
2.15 時系列での、また報告組織間での比較に重大な影響を与えうる報告上の基礎的事
柄(合弁事業、子会社、リース施設、外部委託業務、その他)
4
2.16 以前発行した報告書に含まれている情報について、報告しなおす場合、再報告の
性質、効果および理由を説明(合併/吸収、基準年/期間、事業内容、または、
測定方法の変更など)
ー
2.17 報告書作成に際しGRIの原則または規定を適用しない旨の決定の記述
非掲載
※
2.18 経済・環境・社会的コストと効果の算出に使用された規準/定義
44
2.19 主要な経済・環境・社会情報に適用されている測定手法の、前回報告書発行以降
の大きな変更
42, 43
2.20 持続可能性報告書に必要な、正確性、網羅性、信頼性を増進し保証するための方
針と組織の取り組み
42
2.21 報告書全体についての第三者保証書を付帯することに関する方針と現行の取り組
み
前袖, 53
2.22 報告書利用者が、個別施設の情報も含め、組織の活動の経済・環境・社会的側面
に関する追加情報報告書を入手できる方法(可能な場合)
各ページ
統治構造とマネージメント・システム
3.1 組織の統治構造。取締役会の下にある、戦略設定と組織の監督に責任を持つ主要
8, 12, 13
委員会を含む※
3.2 取締役会構成員のうち、独立している取締役、執行権を持たない取締役の割合
(百分率)
8, 9
3.3 環境および社会的な面でのリスクと機会に関連した課題を含めて、組織の戦略の
方向を導くための専門的知見が必要であるが、そのような知見を持った取締役選
任プロセス
非掲載
3.4 組織の経済・環境・社会的なリスクや機会を特定し管理するための、取締役会レ
ベルにおける監督プロセス
非掲載
3.5 役員報酬と、組織の財務的ならびに非財務的な目標(環境パフォーマンス、労働
慣行など)の達成度との相関
ー
3.6 経済・環境・社会と他の関連事項に関する各方針の、監督、実施、監査に責任を
持つ組織構造と主務者
12, 13
3.7 組織の使命と価値の声明。組織内で開発された行動規範または原則。経済・環
境・社会各パフォーマンスにかかわる方針とその実行についての方針
7–12
3.8 取締役会への株主による勧告ないし指導のメカニズム
非掲載
3.9 主要ステークホルダーの定義および選出の根拠
非掲載
3.10 ステークホルダーとの協議の手法。協議の種類別ごとに、またステークホルダー
14, 17
のグループごとに協議頻度に換算して報告※
3.11 ステークホルダーとの協議から生じた情報の種類※
14, 17
3.12 ステークホルダーの参画からもたらされる情報の活用状況※
14, 17
3.13 組織が予防的アプローチまたは予防原則を採用しているのか、また、採用してい
17
る場合はその方法の説明※
3.14 組織が任意に参加、または支持している、外部で作成された経済・環境・社会的
憲章、原則類や、各種の提唱(イニシアチブ)
7, 14, 19
3.15 産業および業界団体、あるいは国内/国際的な提言団体の会員になっているもの
※
14
のうちの主なもの
3.16 上流および下流部門での影響を管理するための方針とシステム
13, 17, 26
3.17 自己の活動の結果、間接的に生じる経済・環境・社会的影響を管理するための報
告組織としての取り組み
8, 9, 17–21
3.18 報告期間内における、所在地または事業内容の変更に関する主要な決定
ー
3.19 経済・環境・社会的パフォーマンスに関わるプログラムと手順
10, 11, 31, 50–51
3.20 経済・環境・社会的マネージメントシステムに関わる認証状況※
31
経済的パフォーマンス指標
EC1 総売上げ
5
EC2 市場の地域別内訳※
5, 27
EC3 製品、資材、サービスなど全調達品の総コスト
49
EC4 違約条項の適用なしに、合意済みの条件で支払い済みの契約件数のパーセンテージ 非掲載
EC5 給与と給付金(時間給、年金その他の給付金と退職金も含む)総支払額の国ない
49
し地域ごとの内訳※
EC6 債務と借入金について利子ごとに分類された投資家への配当、また株式のすべて
のカテゴリーごとに分類された配当ー 優先配当金の遅延も含む
49
EC7 期末時点での内部留保の増減
49
インデックス
レポートの内容(カギとなる指標)
ページ
EC8 支払税額の全種類についての国別の内訳※
49
EC9 助成金などについての国ないし地域別の内訳
非掲載
EC10 地域社会、市民団体、その他団体への寄付。金銭・物品別に分けた寄付先団体タ
イプごとの寄付額の内訳※
23
環境パフォーマンス指標
EN1 水の使用量を除いた、原材料の種類別総物質使用量
非掲載
EN2 外部から報告組織に持ち込まれた廃棄物(処理、未処理を問わず)が、製品作り
の原材料として使用された割合
非掲載
EN3 直接的エネルギー使用量(一次ソース毎の分類)
45
EN4 間接的エネルギー使用量
非掲載
EN5 水の総使用量
45
EN6 生物多様性の高い地域に所有、賃借、管理している土地の所在と面積
非掲載
EN7 陸上、淡水域、海洋において報告組織が行う活動や提供する製品とサービスに
よって発生する生物多様性への主な影響の内容
非掲載
EN8 温室効果ガス排出量(CO2、CH4、N2O、HFCs、PFCs、SF6)※
45
EN9 オゾン層破壊物質の使用量と排出量
非掲載
EN10 NOx、SOx、その他の重要な放出物(タイプ別)※
45
EN11 種類別と処理方法別の廃棄物総量
46
EN12 種類別の主要な排水※
46
EN13 化学物質、石油および燃料の重大な漏出について、全件数と漏出量
非掲載
EN14 主要製品およびサービスの主な環境影響
28–30
EN15 製品使用後に再生利用可能として販売された製品の重量比、および実際に再生利
用された比率
非掲載
EN16 環境に関する国際的な宣言/協定/条約、全国レベルの規制、地方レベルの規制、
地域の規制の違反に対する付帯義務と罰金
Lowlights,15
社会的パフォーマンス指標(労働条件)
※
LA1 労働力の内訳
5
LA2 雇用創出総計と平均離職率を地域・国別に区分※
5, 47
LA3 独立した労働組合もしくは真に従業員を代表する者・団体の従業員代表によりカ
バーされている従業員の地理的な割合。または団体交渉協定によりカバーされて
24
いる従業員の地域・国別の割合※
LA4 報告組織の運営に関する変更(例:リストラクチャリング)の際の従業員への情
報提供、協議、交渉に関する方針と手順
前袖, 54
LA5 労働災害および職業性疾病に関する記録・通知の慣行、ならびに「労働災害と職
48
業病の記録と通知に関するILO 行動規範」への適合性※
LA6 経営陣と労働者代表からなる公式の合同安全衛生委員会の記述と、この様な委員
会が対象としている従業員の割合
非掲載
LA7 一般的な疾病、病欠、欠勤率、および業務上の死亡者数(下請け従業員を含む)
48
LA8 HIV/エイズ についての方針およびプログラム(職域についてだけでなく全般的
※
25
なもの)
LA9 従業員当たりの職位・職域別年間平均研修時間
非掲載
LA10 機会均等に関する方針やプログラムと、その施行状況を保証する監視システムお
12, 24, 25
よびその結果の記述※
LA11 上級管理職および企業統治機関(取締役会を含む)の構成。男女比率及びその他、
多様性を示す文化的に適切な指標を含む
非掲載
社会的パフォーマンス指標(人権)
HR1 業務上の人権問題の全側面に関する方針、ガイドライン、組織構成、手順に関す
12, 13, 15
る記述(監視システムとその結果を含む)※
HR2 投資および調達に関する意思決定(供給業者・請負業者の選定を含む)のなかに
人権に与える影響への配慮が含まれているか否かの立証
非掲載
HR3 サプライ・チェーンや請負業者における人権パフォーマンスの評価と取り組みに
13, 21
関する方針と手順(監視システムとその結果を含む)の記述※
HR4 業務上のあらゆる差別の撤廃に関するグローバルな方針、手順、プログラムの記
13, 24
述(監視システムとその結果も含む)※
HR5 組合結成の自由に関する方針と、この方針が地域法から独立して国際的に適用さ
れる範囲の記述。またこれらの問題に取り組むための手順・プログラムの記述※
15, 24
HR6 ILO 条約第138号で規定されている児童労働の撤廃に関する方針と、この方針が
明白に述べられ適用されている範囲の記述。またこの問題に取り組むための手
13, 15, 24
順・プログラム(監視システムとその結果を含む)の記述※
HR7 強制・義務労働撤廃に関する方針と、この方針が明白に述べられ適用されている
範囲の記述。またこの問題に取り組むための手順・プログラム(監視システムと
その結果を含む)の記述※
13, 15, 24
社会的パフォーマンス指標(社会)
SO1 組織の活動により影響を受ける地域への影響管理方針、またそれらの問題に取り
21
組むための手順と計画(監視システムとその結果を含む)の記述※
SO2 贈収賄と汚職に関する方針、手順/マネージメントシステムと、組織と従業員の
15
遵守システムの記述※
SO3 政治的なロビー活動や献金に関する方針、手順/マネージメントシステムと遵守
システムの記述※
15
社会的パフォーマンス指標(製品、サービスに対する責任)
PR1 製品・サービスの使用におけるお客様の安全衛生の保護に関する方針、この方針
が明白に述べられ適用されている範囲、またこの問題を扱うための手順/プログ
ラム(監視システムとその結果を含む)の記述
18
PR2 商品情報と品質表示に関する組織の方針、手順/マネージメントシステム、遵守
システムの記述
非掲載
PR3 消費者のプライバシー保護に関する、方針、手順/マネージメントシステム、遵
守システムの記述
非掲載
※ GRI基準に準じた完全な記述ではない、または例示のみを目的とする。
Bernhard Huber, Munich
Volkswagen AG, Wolfsburg
上記のGRIインデックスは本レポートにのみ限定して用いられている。ウェブサイトに掲載されたより広範囲のGRIインデックスには、自動車産業に関する
特別の指標に加え、ウェブサイト上でのみ閲覧可能な情報が追加されている。右のサイトを参照のこと。(www.volkswagen-sustainability.com)
私たちの課題
私たちの戦略
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
1
データ,目標,評価
目次
はじめに
2
フォルクスワーゲン グループ概要
4
6
私たちの戦略
8 活動分野および対立する目標
10 グループ戦略 2015
12 サステイナビリティ・マネージメント
14 ステークホルダー(利害関係者)
との対話
15 法令とインテグリティ(組織の誠実性)
16
私たちの課題
18 安全と健康
19 気候とエネルギー
20 人口構成の変化と雇用
21 グローバリゼーションと地域に
対する責任
22
私たちの取り組み
24 従業員と雇用
26 傘下ブランドと市場
28 環境保全と革新
32
傘下ブランドと関連企業
34 フォルクスワーゲン ブランドグループ
36 アウディ ブランドグループ
37 フォルクスワーゲン商用車部門
38 ファイナンシャルサービス
38 その他の関連企業
データ,目標,評価
42
45 主な指標
50 目標
52 第三者評価
53 従業員協議会からあとがきにかえて
54 監査報告書
お問い合わせ先
GRIガイドライン対照表
55
折込
2
はじめに
読者の皆様へ
フォルクスワーゲン グループおよび傘下ブランドや関連企業は、持続可能な発展に携わっ
てきた長い歴史があり、その実績は一般的にも広く認知されています。そして1995年以
降、持続可能な発展に向けた私たちの努力とその成果は「フォルクスワーゲン環境レポー
ト」としてまとめられ、社会的な議論を喚起してきました。レポートは時を重ねるごとに
範囲を拡げ、今回は一段と踏み込んだ形として、グループ全体で「サステイナビリティレ
ポート2005/2006」を発行することとなりました。
本「サステイナビリティレポート2005/2006」の大きな意義は、私たち社内の者に限
らず、私たちのパートナーに向けてフォルクスワーゲン グループの長期的経営・行動規準
となっているサステイナビリティおよび価値創造や革新を明確に示していることにありま
す。また、今私たちがどのような立場にあり、そしてさらに前進するためにこれから何を
すればよいのか、その2点が率直に述べられています。取り組むべきことは大きく分けて
2つあります。フォルクスワーゲン グループが将来の課題を克服する力を維持すること、
そして製品をさらに環境にやさしいものにすることです。
私たちはサステイナブル・モビリティの先駆者としての立場を維持し、グローバルな規模
で競争力を高めることを固く決意しています。競争はこれまでにないほど厳しく、価格、
性能、快適性、安全性、環境適合性というすべての点でお客様を満足させ、将来に備えた
モデルを開発するには、私たちの革新的な力と創造力を総動員する必要があるでしょう。
私たちは、TDIエンジンやツインチャージャーTSIエンジンという、ディーゼル、ガソリン
の両エンジンの最新テクノロジーを持っています。また、2008年の北京オリンピックの
時期に合わせてハイブリッドのトゥーランを上海フォルクスワーゲンと共同で市場に導入
することを予定しています。今回のフランクフルトモーターショーでは、アウディがQ7
のハイブリッドバージョンを発表しました。このモデルは2008年に販売を開始する予定
です。
将来の課題の克服に貢献する要素がもうひとつあります。2004年11月の持続可能な労
働協約(Sustainability Agreement)の締結です。本協約はフォルクスワーゲンAGの
従業員の長期的な雇用をより強固に保障しました。フォルクスワーゲンAGはここ数年、他
にほとんど類を見ない革新的な雇用モデルを開発・応用し、その後にはこれを複数の国外
生産拠点にも転用しました。また、数カ月前には、ドイツ国内の生産拠点で競争力の高い
雇用モデルに合意ができたことにより、将来性のある新製品の生産を確保し、数千人の雇
用を維持することができました。
はじめに
2005年夏に発覚した汚職事件については、迅速に確固たる対策を講じました。すでに徹
底した事件の全容解明に着手しており、これは私たちの内部管理体制を検証することにも
つながるでしょう。こうした問題は二度と起こしてはなりません。しかしこの事件は、私
たちがさらに強い態度で危機に立ち向かう契機となりました。
持続可能な発展に向けた取り組みを進めるために私たちが掲げたすべての目標は、50ペー
ジに掲載しています。本レポートは、各傘下ブランドの長年にわたる環境レポート作成の
経験を基盤として、GRIガイドラインに沿ってまとめられました。グループガイドライン
をはじめ、長年にわたる当社の環境保全と社会的責任に対するコミットメントを象徴する
傘下ブランドや関連企業の取り組みまで幅広く紹介しています。
最後にもう一言お伝えしたいことがあります。企業の環境保全や社会発展への貢献、およ
びビジネス上の成功は、いずれも切り離すことのできない関係にあります。コスト面でか
つてないほど厳しい要求に迫られるなか、私たちは現在大きな課題に直面しています。企
業活動を長期的に継続する力を維持するために、フォルクスワーゲン グループは今後数年
間にわたり、厳しい経営目標のもと明確な価値創造プログラムを実践する予定です。フォ
ルクスワーゲン グループと従業員の将来に対する責任を担う動きとして、2005年には
フォーモーション(ForMotion)プログラムを通して31億ユーロのコストを削減しまし
た。2006年以降はこのプログラムの成功を受け、フォーモーション・プラス(ForMotion Plus)という新たなプログラムを実施します。
本レポートをお読みくださるすべての皆様に手ごたえを感じていただけることを願ってお
ります。本レポートを共通の基盤として、パートナーおよびお客様、さらには行政当局、
NGOとも活発な議論を進めてまいりたいと考えております。皆様から忌憚のないご意見を
お寄せいただくことを心よりお待ちしています。
ウォルフスブルグ 2005年11月
Dr. ベルント ピシェツリーダー
フォルクスワーゲンAG取締役会会長
3
4
フォルクスワーゲン グループ概要
フォルクスワーゲン グループは、8つの自動車ブランド、
シュタットを拠点とする老舗の自動車メーカー、アウト
19カ国にある44カ所の生産拠点、多数のサービス・販
ウニオン社の株式を半数以上取得しました。1984年に
売会社、金融関連会社を統率しグループを形成していま
は早くも上海汽車工業公司との合弁事業を行い、中国市
す。ドイツ・ウォルフスブルグに本社を置くフォルクス
場への進出を開始しました。1996年にはスペインのセ
ワーゲン グループは欧州最大の自動車メーカーであり、
アト社を買収し、1990年にはチェコのシュコダ社が
自動車産業の世界的なリーダーのひとつです。世界全体
フォルクスワーゲン グループに加わりました(01)。
で34万2,000人以上の従業員を擁し、1稼動日あたり
21,500台を生産、そのほか自動車関連サービスを提供
ブランドグループと関連企業
しています。グループの生産拠点は、世界4地域(欧州、
2002年にフォルクスワーゲン グループの乗用車事業は
アジア、アフリカ、アメリカ)にまたがっています。
2つのブランドグループに分かれました。そのひとつ、
フォルクスワーゲン グループは、1937年に設立された
フォルクスワーゲン ブランドグループにはフォルクス
ドイツ国民車準備会社という会社から出発しました。
ワーゲン、シュコダ、ベントレー、ブガッティが含まれ
1950年代にドイツ経済の奇跡が起こり、国家社会主義
ます。もうひとつはアウディ ブランドグループでアウ
政権下では成し得なかった社会の繁栄が実現、そして
ディ、セアト、ランボルギーニで構成されています。各
フォルクスワーゲン グループも飛躍的な発展を遂げまし
ブランドは独自の個性を持ち、市場では独立して事業を
た。1952年には初の海外販売会社を設立。1965年に
展開しています。そしてフォルクスワーゲン商用車部門
は、現在のアウディ社の前身である、ドイツ・インゴル
は、どちらにも属さない単独のブランドとして、トラッ
2004年のグループ別/関連企業別売上高
総額889億6,300万ユーロ(単位:%)
ファイナンシャルサービス/
ユーロップカー社 9.79
その他※ 0.31
商用車部門 6.74
フォルクスワーゲン
ブランドグループ
53.21
アウディ ブランド
グループ 29.95
※ 主にアウトヴィジョン社、コーディネーションセンター フォルクスワーゲン、
フォルクスワーゲン インターナショナルファイナンス、フォルクスワーゲン
インヴェストメント、フォルクスワーゲン クラフトヴェルク、フォルクス
ワーゲン インモビーリエン、フォルクスワーゲン フェルズィッヒャルングス
フェルミットルンク、フォルクスワーゲン ベタイリグングスゲゼルシャフト
01
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主な関連企業:フォルクスワーゲン グループが
50%以上株式を保有する会社一覧。
5
フォルクスワーゲン グループ概要
ク、バス、バン、キャンピングカーを製造しています。
功しました。2005年から2006年の投資総額は、自動
フォルクスワーゲン グループは、サービス部門の事業を
車部門でおよそ163億ユーロ、ファイナンシャルサービ
大幅に拡大してきました。ファイナンシャルサービス事
ス部門で107億ユーロとなる見込みです。
業では、ファイナンス、保険、リース、その他幅広い自
動車関連サービスを提供しています。これらの事業は、
フォルクスワーゲン グループのファイナンシャルサービ
ス部門の一翼を担っています。
事業の動向
2004年度にフォルクスワーゲン グループは、前年度比
2.5%増の514万2,759台の自動車を販売しました。同
2004年の地域別従業員数※
年度の売上高は4.9%増を記録、全世界の従業員数も
総数30万6,400人(単位:1,000人)
1.7%増加しました。しかし税引き後利益は前年度比で
4分の1以上減少し、7億1,600万ユーロでした。コス
アフリカ 6.2
ト削減のためのフォーモーション(ForMotion)プログ
アジア 22.0
欧州 239.4
ラムを2004年初頭より開始したところ、2005年末ま
でに明確な成果が表れ、11億ユーロのコスト削減に成
アメリカ 38.8
※生産拠点のみ
株主構成(2005年10月31日現在)
2004年の地域別売上高
発行済み株式数に基づく割合(単位:%)
総額889億6,300万ユーロ(単位:%)
ブランディス
インベストメント
パートナーズ
6.5
アフリカ 1.78
その他 56.0
欧州 72.23
自社普通株式
9.8
ニーダーザクセン州
13.7
最新の公開情報に基づき作成
アジア※ 6.59
アメリカ19.40
ポルシェ 14.0
※ 中国での合弁会社による売上高はデータに含まれない。これらの中国企業は
持分法適用対象の連結会社で、2億2,200万ユーロの営業利益を記録
≫「自動車はいつも私の最愛の
ものだった。
6歳の時、木箱で車をつくり、
レースを始めた」≪
フォルクスワーゲン ブランド取締役会会長 Dr. ヴォルフガング ベルンハルト
私たちの戦略
私たちの課題
傘下ブランドと関連企業
私たちの取り組み
データ,目標,評価
私たちの戦略:
「次世代のためのモビリティ」
価値創造、サステイナビリティ、そして革新をどう融合させるか?
── それが私たちの時代の核心的な課題です。これを成し遂げて
初めて、私たちは将来の市場で生き残っていけるのです。
モビリティは人類の基本的なニーズであり、経済発展の
• 経済、環境、社会システムの長期的なバランスの維持
推進力となるものです。世界最大の自動車メーカーのひ
• 地域、国、世界といったあらゆるレベルにおける自己の
とつであるフォルクスワーゲン グループは、サステイナ
責任ある行動
ブル・モビリティは実現可能であると確信しています。
• 透明性の高い公正なコミュニケーションと協調の確保
サステイナブル・モビリティとは世界中の人々のモビリ
サステイナビリティは私たちが2003年に署名した七項
ティへのニーズの高まりだけでなく、社会や環境に対す
目からなるグループバリューのうちの一項目です(10
る影響も考慮したものでなければなりません。製品と
ページ参照)。その条文において、「私たちはビジネスの
サービスを通して、フォルクスワーゲン グループはこの
長期的視点での成功を、経済や環境、そして社会的なさ
ビジョンを現実のものとするための取り組みを進めてい
まざまな要素とのバランスのなかで達成していく責任を
ます(02)。
担っています。そのような要素に配慮していく態度が、
私たちが目指しているのは、魅力的で安全かつ環境にや
将来にわたってマネージメントの核心であり続ける」こ
さしいと同時に、競争激化の一途をたどる市場で競争力
とを宣言しています。これにより、フォルクスワーゲン
に富む自動車を作ること。そして、それぞれのモデルが
グループが2002年にグローバルコンパクトへのコミッ
そのクラスでのグローバルスタンダードを構築すること
トメントの一環として構築した持続可能な発展のための
です。このようにして、私たちは斬新な技術や革新的な
規範は、私たちのグループバリューの核心にしっかりと
サービスを世界中に広め、世界各地のお客様がそれぞれ
据えられました(03)。
に次世代のためのモビリティを享受できるようにします。
ビジョンと規範:持続可能な発展
フォルクスワーゲン グループにはドイツ生まれのグロー
バルプレーヤーであるとの自負があります。「持続可能
な発展のための規範」は過去、現在、そして未来をつな
ぎ、長期的な企業方針に有効な基準となっています。私
たちは、サステイナビリティとは次の基本的な原則に基
づいて成り立つと考えています。
02
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サステイナブル・モビリティのビジョン:フォル
クスワーゲン グループは、自動車業界の他の主要
企業と協力し、2030年のモビリティのビジョン
を策定。
03
持続可能な発展のための規範:2002年ヨハネス
ブルクで開かれた世界サミットを機に、グローバ
ルコンパクトに関する宣言のなかで、持続可能な
発展のための規範を策定。
7
8
活動分野および対立する目標
フォルクスワーゲン グループにとってサステイナビリ
活動分野:環境適合性
ティは、グループバリュー、戦略、経営のすべてに通じ
製品の環境適合性を継続的に改善し、天然資源の消費を
る理念で、あらゆる部門と活動分野に浸透しています。
削減し続けることは、フォルクスワーゲン グループにお
しかし同時に、サステイナビリティとは基本的な課題と
ける最大の関心事のひとつです。こうした活動の一環と
して意識されるものの、その完璧な解決法がなく、常に
して、当社ではすべての生産拠点において先進的な製品
発展の過程にある状態といえます。政府が完全に調和の
や生産技術を展開し、環境保全を高い水準で実施するこ
とれた法的枠組みを策定するであろうと期待することも
と、そしてグループ全体で環境マネージメントシステム
できませんし、ステークホルダー(利害関係者)からの
を導入し従業員の環境意識を高めることに努めていま
さまざまな要求を直接に目標として織り込むこともでき
す。
ません。つまり、サステイナビリティを目指すどんな戦
略でも、株主やさまざまなステークホルダーの要求に対
活動分野:価値創造
する評価を絶えず見直しながら、協調的な取り組みのな
価値を創造し高めることを目指す企業のみが長期的に市
かで新たなバランスを構築する必要があるのです。その
場で生き残り、継続的に株主を満足させながら、社会的
過程で目標をめぐる対立が生じるのを避けることはほと
責任を果たし、環境保全に寄与することができます。競
んど不可能です。それは、例えば軽量化とリサイクル規
争が激化するなか、より高い生産性による収益性向上と
制、低燃費と安全性・快適性といった関係に見られるも
コスト削減は、フォルクスワーゲン グループにとって重
のです。こうした場合、長期的な見地に立つことが、サ
要な目標です。これらの目標を達成するため、私たちは
ステイナビリティ・マネージメントにとって重要となり
付加価値重視の管理手法を取り入れ、2004年初めより
ます。
フォーモーション(ForMotion)プログラムを展開しま
した。
活動分野:社会的責任
フォルクスワーゲン グループが活動するあらゆる場で企
活動分野:透明性と統制
業の社会的責任を全うすることは、私たちの企業文化の
安定的な長期発展のためには、企業が責任を自覚し、透
長年にわたる柱のひとつです。私たちの考える社会的な
明性をもって運営を行うことが重要な条件となります。
責任とは、福祉政策やさまざまな活動への資金援助にと
この点において、私たちは主にドイツ・コーポレートガ
どまりません。私たちは、雇用を守り、従業員を教育し、
バナンス規範を基盤とする取り組みを進めています
企業の未来の形成に従業員を参画させて初めて企業とし
(07)
。ドイツの法定機関である監査役会から取締役会
ての社会的責任を果たせると考えています。フォルクス
が助言を受けることは、企業の未来を守るうえで有益で
ワーゲン グループは社会的責任の理念をすべての生産拠
あると確信しています。監査役会は年に最低2回開かれ、
点で実践しています(04 05 06)。
事業の進展、企業の計画、リスクの可能性について説明
を受けます(08)。ドイツ共同決定法令の規定に基づ
き、監査役会は株主代表と従業員代表とが等分に配され
た構成となっています。いわゆるフォルクスワーゲン法
の一部が、現在、欧州裁判所の審理にかけられていると
ころです。
私たちの課題
私たちの戦略
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
対立する目標
たることはありません。しかし、これによりすべての目
サステイナビリティ・マネージメントは、こうした活動
標の対立を解決できるわけではありません。例えば、高
分野全般にわたり同時に最適化しなければならないた
級車に対して市場は快適性、動力性能、安全性の面で高
め、日常的な意思決定レベルにおいても、さまざまな対
い期待を抱きますが、それに応えようとすると、私たち
立する目標に直面することになります。どのような対立
が目指す燃料消費量を低減して気候変動への影響を抑え
が生じ、またその解決策があるのか、ここでは2つの例
るための工夫の余地が非常に制限されてしまいます。
を紹介します。
TDI、FSI、TSIなどの直噴ディーゼルおよびガソリンエ
ンジンをはじめとする技術革新や、低燃費で最大限のパ
モデル・生産拠点戦略:生産拠点で高い人件費を維持し
ワーを実現する軽量化設計は、そのひとつの突破口を提
つつ雇用を守ることは、さまざまな合理化あるいは、生
供しています(09 10)。
産コストに見合った製品価格を設定することにより実現
できるでしょう。または、いわゆる高級車を生産するこ
市場の役割:最終的な購入の決定権は市場にあります。
とで、対立する目標との調和をはかることができるで
そこでは通常、快適性、動力性能、安全性、デザイン、
しょう。さらに、こうした製品の生産工程が環境に配慮
環境適合性、そして製品価格といったさまざまな条件を
していれば、企業は持続性のある解決策からそう遠く隔
考慮し、妥協点を見出したうえで購入の意思決定が行な
われます。フォルクスワーゲン グループの「3リッター
モデル」(燃料3リットルで100 km走行)─ アウディ
A2 1.2 TDIとルポ 3L TDI ─ はサステイナブル・モビ
04
05
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自立のための支援基金:南アフリカのフォルクス
ワーゲン コミュニティトラストが人々の生活の自
中国国内での事故調査:交通安全に対するコミッ
かわらず、私たちの努力が大きく認められることはあり
トメントはフォルクスワーゲン グループの主要な
ませんでした。ドイツの公共機関から発注された「3
つけている。
リッターカー」の台数ですら、片手の指で数えられるほ
フォルクスワーゲン ナバラ社の地域開発:「近代
どしかありませんでした。その結果、2005年に両モデ
化プロセスの先駆者」としての役割が評価され、
ルの生産を中止せざるをえませんでした。たとえ環境に
ン北部ナバラ州政府から表彰される。
09
たら、一体どんな意味があるでしょうか。今後は環境保
監査役会によるドイツ・コーポレートガバナンス
全と市場メリットの最適な融和を見出すことが、私たち
法的・政治的リスク:フォルクスワーゲン グルー
プのリスクマネージメントチームは、財務面に加
の基本的な戦略になるでしょう。その好例がDSG(ダイ
レクト・シフト・ギアボックス)や新たに開発された
え政治的動向や新法制定によるリスクにも対応。
TSIエンジンといった革新的な技術です(28ページ
インテリジェントな軽量設計:軽量化への妥協な
参照)。
き取り組みにより、アウディは新たなスタンダー
ドを確立し、環境保全に重要な貢献を果たす。
10
やさしい製品であっても、それがほとんど売れないとし
コーポレートガバナンス規範の遵守:取締役会と
規範宣言。
08
にやさしい高度な先進技術で、私たちは先駆的な役割を
果たしました。しかし、それほどの要求があったにもか
フォルクスワーゲン ナバラ社は2004年にスペイ
07
応えたものでした。この長年の努力の末に開発した環境
立を支援。
関心事であり、中国は新たな課題を私たちに突き
06
リティを象徴するもので、行政や市場からの強い要求に
TSI ─ 革新的なガソリンエンジン:フォルクス
ワーゲンはツインチャージャーを採用したことで
エンジンのダウンサイジング、そして低燃費を
実現。
9
10
グループ戦略 2015
フォルクスワーゲン グループが国際舞台で成功を収め主
新しい市場を開拓したり活動範囲を広げたりする際に
導的な役割を果たすためには、明確なアイデンティティ
は、お客様サービスがますます重要な役割を果たすよう
と価値観の共有が必要です。2003年に承認されたグ
になります。お客様サービスとは、お客様満足度を向上
ループバリューで、フォルクスワーゲン グループはその
させ、それによりロイヤリティーをも高めるもの、また、
基盤を構築し、具体的で判断基準となる価値観を従業員
新たなお客様を引きつける働きをするものです。こうし
に提示しました(11)。
た理由で、車両の整備・点検、オリジナルパーツやアク
競争力の持続的な向上を目指し、さまざまな市場とお客
セサリーの提供、中古車などの自動車関連サービスが、
様のニーズへの一層の適合をはかる戦略を策定しまし
お客様満足をはかるうえで最も重要な基準として重点的
た。グループ戦略 2015は、今後10年間に取るべき指
に実施されているのです。なかでも重要なお客様サービ
針について言及しており、市場ごとの成長率の差、熾烈
スとして、ファイナンシャルサービス、リース事業があ
な生存競争、お客様ニーズのさらなる多様化という3つ
ります。
の課題を見据えて策定されています。
革新
お客様と市場
今後数年間の技術面における重要なテーマは、低燃費、
フォルクスワーゲン グループはすでに世界的・地域的ブ
低排出ガスのパワートレイン、融通性のある車両・車体
ランドとして市場に浸透しています。さらに、ディー
コンセプト、そして安全性とドライバーの利便性に貢献
ラー体制やサービス業務においても、多様な地域に深く
するエレクトロニクスの一層の採用だと私たちは考えて
根ざした事業を展開しています。そして、将来の機会を
います。これらの課題に対し、ハイブリッドや水素駆動
つかむために、新製品を投入し個々の市場セグメントの
システムの開発だけでなく、1970年代から天然ガスや
拡大に努めています。このことは、まだ十分なポジショ
バイオマスを主原料とする代替燃料の開発にも取り組
ンを確立していない市場においては特に重要です。この
み、めざましい成果をあげてきました(28ページ、
「代
ため、私たちの製品ポリシーは、経済効果が見込まれる
替燃料」参照)。
あらゆる市場セグメントで十分な存在感を確立すること
を狙いとしています。重複を避けるために、製品とブラ
ンドを明確に差別化して市場に投入しています。
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11
グループバリュー:フォルクスワーゲン
グループは2003年に、責任とサステイ
ナビリティを含むコアバリューを策定。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
生産性
魅力的な職場
フォルクスワーゲン グループは資源の効率的な投入、工
優秀で高いモチベーションを持つ従業員を確保し続ける
場の小規模化、チームワークによる責任強化、労働協約
ため、フォルクスワーゲン グループは成果と実績に基づ
に定められた期間の研修の実施により、生産性のさらな
く企業文化の構築に努めています。人材開発においては
る向上を目指しています。私たちはグループのすべての
今後一層、長期的なエンプロイアビリティ(雇用価値の
生産拠点で従業員の知識と経験をより一層活用し発展さ
ある職務能力)の維持や生涯学習モデルの構築に力を入
せたいと考えています。それこそが価値創造の原動力で
れることになるでしょう。これは特に、高度に産業の発
あり決定的要因であるからです。生産性を高めるための
展した欧州各国における人口構成の変化に対応した施策
手段として、工場の生産能力をフル稼働に近づけるよう
です(20ページ、
「人口構成の変化と雇用」参照)。
にすること、そして工程を継続的に最適化することがあ
げられます。
付加価値の創造
グループバリューに基づく目標
企業は十分な収益性を確保することによって初めて独立
性を維持し、将来のプロジェクトに十分な資金を投入す
グループバリュー
合意目標
ることができます。フォルクスワーゲン グループはグルー
プの付加価値の継続的な創造を目指して行動します。さ
まざまな施策のなかでも特に重きを置いているのが、経
営陣との合意目標による価値創造の促進です。これは経
済的付加価値(EVA®)の創造と密接に結びついていま
す。経済的付加価値とは資本コストと連動した一つの管
理パラメーターで、あらゆる事業部門、個々の製品やプ
ロジェクトに有効なものです。また、過去には為替変動
お客様第一主義
トップ・パフォーマンス
革 新
価値創造
自己革新能力
生産性
(業務、時間、知識)
敬意・配慮
付加価値重視
によりかなりの損失を出すこともあったことから、将来
責 任
はこれを最小限に抑えるため、地域ごとの付加価値も高
サステイナビリティ
めていきたいと考えています。
お客様と市場
魅力的な職場
11
12
サステイナビリティ・マネージメント
サステイナビリティ・マネージメントは経営トップの支
よび労使関係に関する宣言」を策定し、従業員との関係
援があって初めて有効に機能するものです。グループバ
について世界的な基準を定めました(14)。2004年
リューや持続可能な発展のための規範、グローバルコン
にはフォルクスワーゲン グループ労働安全方針を策定。
パクトへの署名を通じ、フォルクスワーゲン グループ取
労働安全分野における原則と義務がグローバル戦略の枠
締役会はサステイナビリティ・マネージメントに対する
組みに加わりました(15)。
明確なコミットメントを表明し、世界中の生産拠点でサ
ステイナビリティ・マネージメントを実施するよう指示
基準へのコミットメント
を発しています。さらに近年に入り、グループバリュー
上記に加え、フォルクスワーゲン グループの活動は、国
を具体化する方針と基準を順次導入しました。こうした
際労働機関(ILO)の条約や経済開発協力機構(OECD)
方針と基準は傘下ブランドおよび関連企業にとって、日
の「多国籍企業ガイドライン」によって規制されていま
常業務におけるガイドラインとなっています。
す。さらに、国際標準化機構(ISO)の環境マネージメ
ント規格であるISO14001、欧州環境管理監査制度
グループ方針を全世界で適用
(EMAS)の基準を生産拠点に導入します。実際すでに
1995年5月に環境方針を策定したことで、フォルクス
フォルクスワーゲン グループのほぼすべての生産拠点が
ワーゲン グループは環境保全と資源の保全に関する拘束
これらの認証を取得し、社会的に広く認知されている
力のある原則をいち早く打ち出した企業グループのひと
環境マネージメントシステムを導入しています。2006
つとなりました(12)。2002年以降、世界各地の生
年末までには、全拠点でシステムの導入が完了する予定
産拠点で11の環境基準が導入されています(13)。
です。
2002年には、自動車業界として初めて「社会的権利お
フォルクスワーゲン グループ ・サステイナビリティ推進体制
グループ取締役会
グループ環境推進チーム
管轄:研究
サステイナビリティ推進チーム
管轄:コーポレート・ガバメント・リレーションズ
フォルクスワーゲン
アウディ
フォルクスワーゲン
ブランドグループ
ブランドグループ
商用車部門
ブランドグループ
エコロジー推進
環境委員会
グループ
研究、管理部門、IR、広報、人事、
環境保護、従業員協議会
地域
アメリカ
アフリカ
アジア
サステイナビリティ
ワーキンググループ
サステイナブル
ファイナンシャルマーケット
ワーキンググループ
私たちの課題
私たちの戦略
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
グループ全体におけるサステイナビリティへの連携
こる環境、交通、サステイナビリティに関する出来事や
フォルクスワーゲン グループはサステイナビリティへの
動向について最新情報が関係者に向けて毎月発信されて
取り組みを総合的にとらえています。フォルクスワーゲ
います。
ン グループの持続可能な発展のための規範およびグルー
プ方針に規定された環境的・社会的要求事項が、会社の
傘下ブランドおよび関連企業におけるサステイナビ
戦略決定時に考慮され、同時に、グループ統括の環境保
リティ
護部門や本社人事部門をはじめとする個別の部署は、こ
上述の枠組みに基づき、傘下ブランドおよび関連企業は
れらの要求事項がグループ内で尊重され、確実に実施さ
グループ内における持続可能な発展の形を定め、独自の
れるようにします。
解決策を立案します。そのため、経験や好事例の情報を
さらに、2001年に設置されたサステイナビリティ推進
グループ全体で共有することが一層重要になります。こ
チームは、フォルクスワーゲン グループ全体で持続可能
うした情報の共有化は、傘下ブランドおよび関連企業の
な発展の原則が一貫して実行されるよう監督します。同
サステイナビリティ・環境責任者が集まって開催される
推進チームはコーポレート・ガバメント・リレーション
定例会議のほか、地域ごとに開催される会議においても
ズ、研究、管理部門、IR、広報、人事、環境保護の各部
行われています(31ページ参照)
。
署の代表で構成されています。推進チームの活動調整や
他部署を対象とした戦略関連コンサルティングについて
購買管理におけるサステイナビリティ
は、コーポレート・ガバメント・リレーションズと環境
購買プロセスに環境基準や社会的基準を織り込むこと
保護部門が責任を共有しています。
は、サステイナビリティ・マネージメントの主要課題の
フォルクスワーゲン グループ全体に適用される「社会的
ひとつです。これによりビジネス関係において、中長期
権利および労使関係に関する宣言」は、欧州従業員協議
的に、より競争力の優位性を高めることができます。同
会や世界従業員協議会の会議で常に協議事項となってい
時にそれは持続可能な発展を世界規模で促進するための
ます。従業員の代表は関連部署(従業員協議会や本社人
大きな力となります。製品基準という面では、外注部品
事部門)に直接情報提供や協力を求めることができます。
のための品質基準の一部として、特定の原材料の推奨や
またフォルクスワーゲン グループのすべての関係者が持
使用禁止といった環境配慮の要素が盛り込まれていま
続可能な発展の見地から共通の目的に向かって活動する
す。このように、フォルクスワーゲンでは環境保全が品
ことができるように、政治、科学、社会関連の分野でお
質マネージメント協定「フォーメル・クー・コンクレー
ト(Formel Q-konkret)」の構成要素となっています。
さらに、サプライヤーの製造するパーツに対してフォル
クスワーゲンや自動車産業界独自の環境基準や規格もあ
12
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フォルクスワーゲン グループの環境方針:1995年
に策定。グループ傘下ブランドおよび関連企業に環境
活動の枠組みを示している。
13
生産ラインに関する世界環境基準:2000年に策定さ
14
社会憲章:2002年に発表。グループ内で全世界的に
れたフォルクスワーゲン グループ共通の基準。
適用されている、社会的権利および労使関係に関する
宣言。
15
労働安全方針:2004年9月に策定。世界中で適用さ
16
購買管理におけるサステイナビリティ:購買プロセス
れる労働安全衛生に関する基本原則・義務を規定。
は、グローバルな企業グループの環境保全と社会的責
任を担う活動において重要な役割を果たしている。
ります。加えて環境、労働安全、社会的権利に関し、生
産拠点に即した要求事項もグループ統括のプロジェクト
で策定しており、現在、サプライヤーとの業務関係に順
次取り入れているところです(16)。
13
14
ステークホルダー(利害関係者)との対話
世界規模の課題は行政、産業界、消費者が力を合わせて
国内外の対話フォーラム
初めて克服できるものです。現在、行政と産業界との間
WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)の
で責任をどのように再分配するかに議論が集中していま
創設メンバーの一員として、フォルクスワーゲン グルー
す。しかし、消費者もまた重要な責任を負っています。
プは2004年に完了したサステイナブル・モビリティの
日々の購買活動を通じて企業の発展に対する顕著な影響
共同プロジェクトに積極的に取り組みました。参加した
力を持っているからです。そのため、私たちは、サステ
自動車メーカー、石油会社、自動車関連サプライヤーは、
イナブル・モビリティの実現を共に進めていけるあらゆ
2030年に向けた世界規模のモビリティに関する共同の
るパートナーとの対話や議論を積極的に推進していま
ビジョンと実施可能な手法を検討しました(02)。プ
す。
ロジェクトを進める過程で東京、北京、マニラ、サンパ
ウロ、ニューデリー、ワシントンDCの各都市でステー
NGOとの率直かつ建設的な対話
クホルダーとの協議が行われました。
自動車メーカーとして、私たちはNGO(非政府組織)
による批判に日常的に直面しています。NGOは例えば、
他の関係者と経験を共有し共同学習を行うため、フォル
新しいパワートレイン技術や一層燃費の低いモデルを要
クスワーゲン グループはUNEP(国連環境計画)が組織す
求してきます。しかし企業とNGOが互いに誠意をもっ
るモビリティフォーラムにも参加しています。同フォー
て取り組めば、建設的な対話が可能です。それを証明し
ラムの活動のなかで特筆すべきは、GRIに自動車産業向
たのがNABU(ドイツ自然保護連盟)との連携でした。
けのガイドラインを補足するよう働きかけ、実現したこ
その連携の一環として私たちは共同で燃料節約ドライビ
とです。これにより自動車業界のサステイナビリティレ
ング講習も開催しています(17)。そのほかニーダー
ポートにおける指標が定められました。
ザクセン州のBUND(ドイツ環境自然保護連盟)、応用
エコロジー機構、ドイツ交通協会(VCD)との間でも率
フォルクスワーゲン グループは、CSRヨーロッパ、お
直な意見交換を行っています。
よびドイツ産業界のサステイナビリティフォーラムであ
るエコンセンス(econsense)の熱心な創設メンバー
でもあります。両組織とも参加企業間の経験の共有や、
ステークホルダーとの積極的な対話を進めています
(18)。
17
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NABU(ドイツ自然保護連盟)との連携:2001年の
NABUとの提携合意以降、数多くの共同プロジェクト
に着手。
02
サステイナブル・モビリティのビジョン:フォルクス
ワーゲン グループは、自動車業界の他の主要企業と協
力し、2030年のモビリティのビジョンを策定。
18
メンバーシップ:フォルクスワーゲン グループは数々
のメンバーシップやパートナーシップを通じて外部団
体との対話を進め、社会活動を推進。
私たちの課題
私たちの戦略
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
法令とインテグリティ(組織の誠実性)
市民の権利が保証されている法令を尊重することはフォ
に搭載された排出ガス制御システムの欠陥を適切な時期
ルクスワーゲン グループの基本的な価値観であり、当社
に告知できなかったケースでは、フォルクスワーゲン グ
の長期的な企業経営における重要な要素となっていま
ループは米国環境保護庁と話し合ったうえ、自主的に
す。これは先進国における自明の責務であるだけでなく、
110万ドルの補償金を支払うことにしました。私たちは
発展途上国においても、さらに大きな課題といえます。
この経験に学び、その後、フォルクスワーゲン オブ ア
経済的効率は、人権と法令を尊重する場においてのみ成
メリカではこのプロセスを改善しました。
果を上げることができるからです。例えば、私たちは
1970年代に、南アフリカで非人種差別の労働組合を認
ロビー活動に関する批判
め、黒人の若者への研修を行うことで、同国の民主的な社
大企業はしばしば、ロビー活動により法制定の過程に影
会への移行を支持する最初の企業のひとつとなりました。
響を与えることを批判されますが、フォルクスワーゲン
グローバリゼーションがさまざまな発展の機会をもたら
グループは、ロビー活動は合法であると考えています。
すことを早くから認識していた私たちは、当初から国際
さらに社会的責任を果たすうえで政治家や行政当局に専
的な基準整理に努め、新興工業国や発展途上国の環境・
門知識を提供し、法の枠組みを整備するために私たちの
社会のレベルを引き上げ国際的なスタンダードに近づけ
経験を役立てることは必要であると考えています。ロ
ることを目指して活動を進めてきました。そのベンチ
ビー活動はオープンに、人々の理解を得られる方法で行
マークとなったのはOECDの多国籍企業ガイドラインや
わなければなりません。米国自動車工業会のイニシアチ
ILO基準で、たとえ現地にこれに相当する保護規定がな
ブに従って、フォルクスワーゲン オブ アメリカがカリ
い場合でもこうした規範を実践してきました。国際金属
フォルニア州の燃費規制への訴訟に参加したことに対す
産業労働組合連合および全世界グループ従業員協議会と
る、いくつかのNGOによる厳しい批判は、正当なもの
締結した協定で、私たちは社会的権利と労使関係
ではないと私たちは考えます。なぜなら私たちが異議を
(2002年)および労働安全(2004年)に関する企業
唱えているのは環境基準に対してではなく、米国の国内
の規程をいち早く導入しました。
市場の統一性を損なうものであるという点に対してだか
らです。
法令違反
市民社会で活動する一員として、フォルクスワーゲン グ
議員への報酬
ループは生産拠点に適用される各国の環境・社会関連の
フォルクスワーゲン グループは議員の兼任雇用に対する
法令遵守に努めています。しかし、技術およびプロセス
世論を迅速に受け止め、2005年1月、長年にわたり維
を移転することにより、法令の規定する枠組みを超える
持されてきた制度を廃止しました。私たちは引き続き従
場合もあります。しかし、フォルクスワーゲン オブ ア
業員が不利な立場に立たされることなく地域に貢献でき
メリカが米国当局に対し、1999年と2000年のモデル
ることを望んでいます。しかし、それによって逆に利益
を受けるべきではありません(19)。
19
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政治献金、税金、助成金:良き企業市民とし
て、付加価値を生み出した地域では納税を行
い、正当な助成金が受けられる地域では補助
を受け、複数の政党に定められた範囲内で公
正な献金を行っている。
15
≫「私は運転に情熱を抱いている。今日まで
ずっと、私にとって、ドライブとはすなわち
リラックスである。最高のアイディアは大抵
車を走らせている時に浮かぶものだ」 ≪
購買部門 フランシスコ ハビエル ガルシア サンズ
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
私たちの課題:
「未来への挑戦」
世界人口の急速な増加、利用できる化石燃料の減少、そして排出規制
の必要性は、事業の枠組みを規定する決定的な要因となるでしょう。
フォルクスワーゲン グループには、未来が何をもたらす
対立に直面した場合、課題の解決に寄与しなければ長期
のかを研究する専門の部署があります。また、その部署
的な成功は見込めません。私たちは、ステークホルダー
だけではなく、環境部門においても、先見性に富んだ戦
(利害関係者)と株主のニーズを、最終的に合致させる
略を立てるための動向分析や評価を行っています。「環
ために、主要課題を洗い出して評価し、克服するための
境レーダー」では、経営陣の参考になるように、環境関
適切なアプローチを導き出す努力をしています。
連の動向分析を掲載しています。また、製品寿命のある
ステークホルダーの立場から見て、あるいは長期的な会
特定の段階だけでなく、ライフサイクル全体、言うなれ
社の成功という観点から見て、フォルクスワーゲン グルー
ば「ゆりかごから墓場まで」をカバーするライフサイク
プの課題はどこにあるのか、社内分析から浮かび上がっ
ルアセスメントによる製品評価も、グループ全体にわた
てきたいくつかの主要課題を以下に取り上げることにし
り新製品の影響を評価する際に実施されています。
ます。
フォルクスワーゲン グループの課題
健 康
雇 用
人口構成の
変化
人材開発
モビリティ
の提供
水資源
社会的要求
大都市への
集中と過疎化
グローバリ
ゼーション
気候と
エネルギー
安 全
平均車両燃費
多様性の
尊重
騒 音
ニーズの
多様化
生存競争
土地の有効活用
資料:フォルクスワーゲンAG(2005年)
成功の要因としての重要性
17
18
安全と健康
モビリティは安全や健康と同じように、人類の基本的な
世界的に事故調査研究が活発化
ニーズのひとつです。そのため、パーソナルモビリティ
シートベルトやエアバッグのようなパッシブセーフティ
を持続可能なものにすることがフォルクスワーゲン グ
システムは、事故を防ぐことはできませんが、身体への
ループの責務であると考えています。大気汚染は健康問
ダメージを緩和します。それに対し、アクティブセーフ
題の大きなテーマであり、また交通事故というテーマは
ティシステムは車両挙動の制御に踏み込んだものです。
安全性の問題と密接に関連しています。急速に発展を遂
ABS(アンチロックブレーキングシステム)とESP
げている大都市では、必然的に大気汚染や交通事故が重
(横滑り防止装置)は、フォルクスワーゲン グループと
要な問題になっています。
そのサプライヤーがリーダー的な役割を果たしている好
例です。また同時に、交通事故の危険性についてさらに
クリーンな燃料(将来的には合成燃料)の生産量が上
意識を高めることも必要です。そこで私たちは業界団体
がって市場に受け入れられ、燃焼プロセスの改善が進め
および政府と密接に協力しながら、事故調査研究とドラ
ば、大気環境の向上が見込まれるようになります。今後
イバー講習の実施を促進するよう各国で活動していま
もしばらくの間は燃焼式エンジンが依然としてパーソナ
す。特に中国では重点的にこれに取り組んでいます
ルモビリティの主力と考えられるなか、こうしたクリー
(05)。
ンな燃料の普及の動きはますます急がれるところです。
しかし長期的には、水素をベースとした低排出あるいは
ゼロエミッションのパワートレインが解決策となるで
しょう。こうした課題は新興市場では特に深刻であり、
国による規制強化が進んでいます。
各国の交通事故犠牲者
自動車100万台あたりの死亡者数
8,100
中国
また、アクティブセーフティやパッシブセーフティの向
ハンガリー
422
上をはかることは、私たちが常に取り組んでいる課題で
韓国
411
あり、特に交通量が急速に増えている地域では重要です。
スペイン
先進国ではすでに非常に高い安全性を実現しています
が、新興経済諸国では問題が増大しています。世界保健
米国
ニュージー
ランド
ドイツ
機関の統計によると、交通事故で毎年120万人が死亡
や最新の車両とあわせてドライバーへの指導を行うこと
164
123
日本
109
ノルウェー
102
し、2,000∼5,000万人が負傷しており、特に主要な
新興経済諸国に事故が多発しています。インフラの向上
214
184
資料:ドイツ連邦道路交通研究所「IRTAD(国際道路交通事故データベース)」(2003年)
が、私たちの戦略的な目標のひとつです。ドライバー支
援システムの導入により事故を防ぐことも今後重要な
テーマとなるでしょう。
05
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中国国内での事故調査:交通安全に対するコミットメントは
フォルクスワーゲン グループの主要な関心事であり、中国は
新たな課題を私たちに突きつけている。
20
G8サミットを機に行われた宣言:主要企業はG8各国政府に
21
気候変動対策とエネルギー供給問題:気候変動問題と石油埋
対し、気候変動に対処する緊急措置を取るよう要請。
蔵量の減少により、石油や天然ガスへの国家経済の依存度を
減少する必要に迫られている。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
気候とエネルギー
気候変動は間違いなく今の時代を生きる私たちにとって
済諸国でエネルギーへのニーズが急増していることを考
最大の環境問題です。科学者たちは、化石燃料の使用に
えると、石油や天然ガスなどの限られた資源への依存度
よる温室効果ガスの排出が温暖化の一因であるとしてい
を減少させなければ、エネルギー供給を守ることはでき
ます。温室効果ガスの濃度が今後も高まり続ければ、温
ないでしょう(21)。
暖化が継続し、ハリケーンや洪水のような異常気象も増
えると予測されています。こうした予測には不確実性が
燃料消費量の削減によりCO 2排出量を減らす
残りますが、私たちは予防原則に基づき、人工温室効果
ACEA(欧州自動車工業会)は2008年までに新型車の
ガスの排出を減らす、あるいは少なくとも将来の増加を
平均CO2排出量を140g/kmにするという自主規制目標
抑制する施策が必要であると考えています。フォルクス
を設定しました。各メーカーはこの目標の達成に向けて
ワーゲン グループは2005年6月、G8サミットを機に、
順調に取り組みを進めていますが、現在の状況を考える
国際的事業を展開する金融機関、メーカーなど23社と
と非常に大胆な目標であり、2008年までに目標量を削
ともに、気候保全のための早急な取り組みを促す宣言に
減するにはまだ相当な努力が必要でしょう。フォルクス
署名しました(20)。化石燃料の節約は経済的な理由
ワーゲン グループはこの共通の目標達成に貢献していま
からも重要性を増しています。発展途上国および新興経
す。またグループ内に「気候戦略」ワーキンググループ
を設置し、総合的なアプローチによって、さらなる削減
につながる戦略を立案中です。なかでも特に力を入れて
いるのが代替燃料とパワートレイン、そして燃料節約に
気候変動対策を実施しない場合の交通関連温室効果ガス
排出量予測 2000年∼2050年
CO2に相当する温室効果ガス排出量(単位:10億トン/年)
15
つながる運転方法を指導するドライバー講習プログラム
です。
生産プロセスにおけるエネルギーの節約
生産プロセスにおいても、私たちはエネルギー節約の取
12
り組みを進めています。グループ内に設置された「エネ
9
ルギー」ワーキンググループは、そのための適切な施策
を考案・実施しています。さらにアウディとフォルクス
6
ワーゲンでは冷却機能を併せ持つ高効率のコージェネ
レーションシステムがすでに数年来稼動しており、これ
3
もエネルギー節減に貢献しています。
0
2000
■
■
■
■
2010
乗用車(非OECD諸国)
乗用車(OECD諸国)
トラック
航空
2020
■
■
■
■
2030
2040
2050
船舶
鉄道による旅客および貨物輸送
バス
2輪および3輪車
資料:WBCSD「モビリティ2030:持続可能な社会を目指すモビリティの挑戦」(2004年)
19
20
人口構成の変化と雇用
人の寿命が延び出生率が下がったことで、欧州では人口
業員は経験が豊富なだけでなく、一般的により上手にス
構成の変化が顕著です。欧州委員会が発表したデータに
トレスに対処することができ、健康を損ねる頻度が少な
よれば、欧州の人口は2025年まではほぼ一定で、その
いという特徴があります。こうした従業員の雇用を維持
後大幅に減少すると予測されています。特に15∼64歳
するためには、年配の従業員の労働に適した条件を整え
の就労年齢層について、同委員会は2030年までに
なければなりません。ヘルスケアサービスの拡充や年齢
2,080万人減少すると予測しています。
に連動した雇用モデルなどがこれに含まれます。フォル
企業もこのような人口構造の激変による影響を受けない
クスワーゲン グループ各社では数々の健康維持プログラ
はずはありません。人口の減少は雇用数の減少とうまく
ムを用意したり、また「生涯学習」というモットーのも
合致すると考える人も少なくありませんが、企業は従業
と、フォルクスワーゲン コーチング社(40ページ参照)
員の年齢層の変化が進む状況に備えなければなりません。
などを通じて継続的な能力向上を行ったりしています。
今後定年退職の年齢が引き上げられる可能性のある年配
こうした活動の重要性は今後ますます増してくるでしょ
の従業員に余剰が生じる一方で、有能な若い労働力が不
う(22 23)。
足するという事態が間もなく現実のものとなるでしょう。
若い世代の育成
年配の従業員の経験を活かす
長期雇用の維持に努める企業は、従業員の知識やスキル
フォルクスワーゲン グループは、今後数年の間に従業員
だけでなく、仕事と家庭生活の両立を重視する必要があ
の平均年齢が上昇し、これまで一般的に実施されてきた
ります。業務経験の豊富な女性従業員が出産後に長期休
早期退職制度が、法規制の改定により長期的にはいずれ
職するのを防ぐため、フォルクスワーゲンは幅広い雇用
不可能になると見ています。このような状況では、人は
モデルを提供しています。個人の就労条件に合わせたシ
年齢を重ねるにつれて仕事の成果が顕著に低下するとい
フト制からパートタイム、在宅勤務など多様な勤務形態
う偏見を捨てることが何より重要です。年季を積んだ従
を整備しています。
欧州における人口構成の変化
2010∼2030年
年齢層
22
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く、経済的な理由からも不可欠。
23
−8.9
15∼24歳
−12.3
25∼39歳
−16.0
40∼54歳
−10.0
55∼64歳
+15.5
65∼79歳
+37.4
80歳以上
+57.1
総人口
+1.1
健康維持のためのガイドライン:従業員の健
康維持・増進は社会的な責務であるだけでな
持続可能な雇用方針:次世代の従業員へのノ
ウハウ継承が、競争力維持に貢献。
単位:% 0∼14歳
資料:ユーロスタット(欧州統計局)の基礎シナリオ(EU25カ国)
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
グローバリゼーションと地域に対する責任
1990年代初頭から加速してきたグローバリゼーション
生産拠点における地域コミュニティの育成
による影響が、産業界だけでなく日常生活のさまざまな
フォルクスワーゲン グループは、ドイツやブラジル、中
場面で目立ってきました。欧州では、グローバリゼー
国など、どの生産拠点においても、雇用面だけでなくイ
ションを脅威と見なす傾向があり、多くの人が競争激化
ンフラや地域の発展という点でも重要な役割を担ってい
や失業と関連付けて考えます。そしてこれらの人々は、
ます。20,000人の従業員が働く生産拠点であれば、少
グローバル企業は安い賃金を求め、さらには環境規制の
なくともそれと同数の新たに創出される雇用に対する間
ゆるい国へ生産拠点を移す、と非難します。このような
接的な責任が発生します。すなわち、サプライヤーや、
誤った認識は、発展を求める新興経済諸国や発展途上国
学校、公共交通機関、商店、地方自治体、飲食店などで
の人々の願いと相反するものです。
働く人々に対する責任です。このように、私たちは生産
拠点における大きな社会的責任を負っています。私たち
先駆者としての責務
はこうした責任を、各地で平均以上の労働条件と報酬を
フォルクスワーゲン グループにとって、グローバリゼー
提供し、地域構造の発展に貢献し、グループが持つ最新の
ションは、持続的な事業展開の枠組みの一部であるとい
技術とプロセスを移転することにより果たしています。
うだけにとどまりません。私たちは、自由な市場参入を
その一方で、欧州の生産拠点では、社会貢献や雇用の維
伴った国際的な分業によって、先進国、新興経済諸国、
持が年々難しい課題となってきています。私たちが長年
発展途上国のいずれにおいても成長と繁栄が促進される
にわたり幅広い雇用モデルを開発し試行してきたこと
と確信しています。私たちにとって、グローバリゼー
が、ここに来て役立っています(アウト5000社につい
ションを責任もって進めることは世界規模の持続的な発
ては39ページ、ウォルフスブルグ社については41ペー
展への貢献を意味し、同時に私たちの競争力を維持する
ジを参照)。
ことにもつながります。このような信念から、フォルク
スワーゲン グループは他のどの自動車メーカーよりも早
い時期からグローバリゼーションを進めてきました。南
米では50年も前から生産拠点を稼動させ、また南アフ
リカ、アジアや東欧などでも事業を展開しています。私
たちは先駆者として常に、環境保全や社会貢献という観
点からも模範となるよう行動し、グローバリゼーション
に貢献する責務を遂行しています(12 14 15)。
12
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フォルクスワーゲン グループの環境方針:1995年に
策定。グループ傘下ブランドおよび関連企業に環境活
動の枠組みを示している。
14
社会憲章: 2002年に発表。グループ内で全世界的に
適用されている、社会的権利および労使関係に関する
宣言。
15
労働安全方針: 2004年9月に策定。世界中で適用さ
れる労働安全衛生に関する基本原則・義務を規定。
21
≫「家族とのドライブ ─ それは私にとって格別な体験
だ。その安全で快適な空間は、私を楽しませながら
新しいゴールを発見させてくれる。車とは単に
A地点からB地点に移動する道具ではなく、いろいろ
道草をできるからこそ面白い」 ≪
管理・財務部門 ハンス ディーター ペッチ
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
私たちの取り組み:
「責任あるアプローチ」
私たちのあらゆる活動の基本は、過去、現在、そして未来に対する
責任にあります。私たちはさまざまな要素が複雑に絡み合った課題
に立ち向かい、克服するための対策を立案します。そして見出した
解決策は、すべての生産拠点に展開します。
ドイツ市場が厳しい経済環境におかれている今、フォル
若い才能を育てる
クスワーゲン グループにとっての社会的責任とは、地域
フォルクスワーゲン グループのスポンサー活動は、ス
の振興をはかり雇用を守ることです。従業員やお客様、
ポーツや芸術分野における若い才能の育成を中心に行わ
そして社会全般の利益のためには、製品と生産プロセス
れています。若者の音楽バンドがツアーの移動に使える
が環境に適合していることが重要です。
よう無料で車両を提供するなど、彼らの活動を支援する
ための支援プログラム「フォルクスワーゲン サウンド
良きグローバル市民であるために
ファンデーデョン」を運営しています。設立以来、この
2004年12月に東南アジアが広い地域にわたり津波に
プログラムを通じて約1,000もの若者の音楽バンドを支
襲われた際には、グループ全体で支援に向けた強い気運
援してきました。
が高まりました。取締役会、従業員協議会および従業員
は「津波の後の新たな希望(New Hope after Tsuna-
過去に対する責任
mi)」という支援プロジェクトのために約180万ユーロ
第二次世界大戦中、フォルクスワーゲンの工場は武器の
を準備しました。この資金はインド南部の再建プロジェ
生産工場として転用され、戦争捕虜や強制収容所の収容
クトに充てられています(24)。そのほかの社会貢献
者を含む約20,000人が強制的に労働に従事していまし
としては、南アフリカのフォルクスワーゲン コミュニ
た。1998年9月にフォルクスワーゲンは、当時の強制
ティ トラストや、ブラジルと南アフリカでの地域開発支
労働従事者を対象とした基金を設立。2005年末までに、
援およびHIV/エイズとの闘いへの貢献といった活動が
26カ国2,149人に補償金として5,112ユーロを支払い
あげられます(04)。
ました。またフォルクスワーゲン グループは、ドイツ産
業界が強制労働の犠牲者への補償の一環として設立した
財団「記憶、責任、そして未来」の創設メンバーです。
一方、ウォルフスブルグの「フォルクスワーゲン工場に
おける強制労働者の記憶の地」は研修を受ける若い社員
や外部からのビジター、また元強制労働者が集う場所と
なりました(25)。
24
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津波犠牲者への支援:グループ全体の活動として、フォルクス
ワーゲン グループと従業員は総額180万ユーロ以上を津波犠牲
者への寄付に充当。
04
自立のための支援基金:南アフリカのフォルクスワーゲン コ
25
過去に対する責任:国家社会主義の過去を清算するため、人道
ミュニティトラストが人々の生活の自立を支援。
基金活動や従業員教育の一環としてのアウシュビッツ追悼施設
保全協力などさまざまなプロジェクトを実施。
23
24
従業員と雇用
フォルクスワーゲン グループの社会憲章は、性別、年
労働時間を積み立てる
齢、人種、宗教に関わらず機会均等を享受できることを
世界中で働くフォルクスワーゲン グループの従業員のう
全従業員に保証しています。「職場のパートナーシップ
ち約95%は労働協約の対象となっています。また、
に基づく行動に関する企業協定」により、セクシャルハ
2004年に締結された持続可能な労働協約(Sustain-
ラスメントやいじめ、差別は人間の尊厳に対する侵害行
ability Agreement)は従業員約10万人を対象として
為とみなされ、厳しく罰せられます。この原則はサプラ
おり、コスト削減とより柔軟な雇用形態を目指すうえで
イヤーにも適用され、また強制的な労働や児童労働はい
画期的なものです。同協約は、新たに雇用された従業員
かなる場合にも許されません。こうした最低限の社会基
を対象とする労働協約の修正や賃金据え置きを予定し、
準がフォルクスワーゲン グループにおけるあらゆるレベ
代わりに2011年まで会社側からの一方的解雇を行わな
ルの活動を規定しています。また、私たちが直面する課
いことを定めています。
題への解決策を見出すための継続的な努力の基礎となっ
1997年以降、フォルクスワーゲン グループはドイツで
ています。
働く従業員に賃金の一部、あるいは労働時間を「労働時
間積立証書」といわれる資産として投資する機会を提供
雇用を守る
してきました。さらに、人口動態に応じた勤務時間のコ
ドイツ国内における既存の雇用を守るため、フォルクス
ンセプトにより、従業員にとっては、積み立てた労働時
ワーゲン グループでは生産高の変化に柔軟に対応できる
間に従って人生の後半を設計できる自由が生まれまし
方策を考案し、実践しています。週4日労働制、アウト
た。現在、残業や追加業務の一部は自動的に労働時間資
5000社やアウトヴィジョンプログラム(41ページ、
産として積み立てられており、労働協約もこの方法を支
ウォルフスブルグ社参照)といった雇用モデルもその一
持しています。グループ内の関連会社も新たな労働協約
部です。このような柔軟な対応をフォルクスワーゲンで
で同様の取り決めを採用しています(23)。
は「ブリージングファクトリー(呼吸する工場)」とい
う概念で総称しています。これまですでに、いくつかの
施策はドイツ国外にある生産拠点でも導入され、各地域
の条件に合わせて実施されています(26)。このよう
に、今ではフォルクスワーゲンの全生産拠点で、受注の
少ない時は「ブリージング(呼吸)」できる柔軟な手法
を使い、余剰労働力の解雇を余儀なくされる事態を回避
できるようになりました。
2004年のフォルクスワーゲンAG従業員の年齢構成
(単位:1,000人)
9.2
56歳以上
11.3
51–55歳
14.1
46–50歳
18.5
41–45歳
19.5
36–40歳
12.5
31–35歳
8.2
26–30歳
26
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フォルクスワーゲンの柔軟な手法:1990年代初頭の自動車産
業の危機をきっかけに、雇用形態を柔軟にするさまざまな手法
を開発。
23
持続可能な雇用方針:次世代の従業員へのノウハウ継承が、競
争力維持に貢献。
5.3
21–25歳
3.9
20歳以下
0
5
10
15
20
25
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
生涯学習
今日、生涯学習は退職まで職務能力を維持するために不
人で子育てをする従業員にも、本人や家族の事情により
可欠で、雇用者と従業員の双方にとって有益です。業績
合わせた形で業務に就く機会を提供しています。法律の
の良い時も厳しい時も、フォルクスワーゲン グループが
規定を上回る育児休暇制度も導入しており、従業員は復
見習い工から役員まで全従業員を対象とした生涯学習の
職できるという保証のもと、最長8年間まで休職するこ
戦略を取っているのはそのためです。グループ全体で導
とができます。さらに、フォルクスワーゲンとアウディ
入しているジョブファミリー・ディベロップメント・プ
では適切な相談対応や保育施設を探し出すための支援も
ログラムという教育プログラムでは、例えば「自動車エ
行っており、地域の子ども向け保育センターの運営者と
レクトロニクス」といった個々の業務分野(ジョブファ
の緊密な協力体制を取っています。育児休暇を終えて復
ミリー)に合わせてプログラムが組まれ、従業員は製品
職した従業員に対しては、「ファミリーマネージメント」
に関わる付加価値の連鎖に沿ってキャリアプランを実現
というテーマのセミナーを実施しています。
することができます(40ページ、フォルクスワーゲン
コーチング社参照)。
職場での健康を守り安全を確保する
若者向けの職業訓練にも全生産拠点で取り組んでおり、
2004年に定められた労働安全方針の目指すところは
各関連企業が地域の要件に合わせて実施しています
「従業員の安全、健康、パフォーマンスと仕事に対する満
(27)
。また高い潜在能力の開発のため、2002年には
足度を維持し、可能な限り促進する」ことです。健康に
アウトウニ(AutoUni:自動車大学)を設立し、学術的
関する重要な問題を扱ったガイドラインも策定しました
な知識と実務経験を結びつける取り組みを始めています
(22)
。健康プログラムでは、予防措置に最も力を入れ
(39ページ参照)。
ています。その内容は例えば筋力トレーニングからがん
検診、ブラジルや南アフリカでのHIV/エイズ予防まで
女性の昇進
広範囲にわたります(28)
。
1980年代中頃という早い時期から、フォルクスワーゲ
フォルクスワーゲン グループは現在、国際労働機関
ンは男女を問わない機会均等を推進してきました。グ
(ILO)やドイツ技術協力公社(GTZ)と協力して、新興
ループ人事部門にはウィメンズ・アドバンス部(女性の
経済諸国のサプライヤーにおける健康保護と労働安全の
進出を支援する部署)
、各生産拠点には女性の労働環境改
強化に努めています(29)
。
善を推進する責任者を設置し、女性の能力を引き出すた
めの指導制度、技術職や管理職に占める女性の比率を高
める方策、ネットワークの構築といった幅広いプログラ
ムを提供しています。
家庭と仕事の両立
フォルクスワーゲン グループは、従業員が仕事と家庭生
活を両立できるよう、幅広い選択肢を開発してきました。
27
生産部門でもサービス部門でも、さまざまな勤務時間モ
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フォルクスワーゲン アルヘンティーナ S.A.
の研修:最新技術に対応できる有能な人材を
開発するため、フォルクスワーゲンは職業訓
デルが用意されています。一連のシフト勤務モデルは一
練と継続的な能力開発に力を入れている。
22
健康維持のためのガイドライン:従業員の健
康維持・増進は社会的な責務であるだけでな
く、経済的な理由からも不可欠。
28
HIV/エイズとの闘い:ブラジルおよび南ア
フリカのフォルクスワーゲン グループの生産
拠点は、HIV/エイズの直接的な影響を受け
ている。
29
サプライヤーにおける安全と健康:官民パー
トナーシッププロジェクトの一環として、
フォルクスワーゲン グループはサプライヤー
の労働条件の改善を支援。
25
26
傘下ブランドと市場
フォルクスワーゲン グループにとって今後のビジネスの
お客様満足を得る
成功は、モデルラインアップの拡充と新規市場への進出、
フォルクスワーゲン グループの苦情管理システムには、
そして既存市場の拡大に大きくかかっています。このた
お客様満足の面から二つの重要な意味があります。まず
め市場のニーズを早期に見極め、そのソリューションを
第一に、寄せられた苦情のなかから的を絞って情報をま
実現することが重要です。
とめ、分析を行うことで、基本的なお客様ニーズをつか
むことができます。第二に、あらゆる苦情への迅速な対
市場をリードする
応は、お客様満足を得るための重要な要因となります。
市場のニーズはますます多様化しています。これは一時
さらに、あらゆるニーズを一カ所で満たしたいというお
的な傾向ではなく、世界中で見受けられる社会的な変化
客様の要望にこたえ、フォルクスワーゲン グループは
です。これに対しフォルクスワーゲン グループは、ここ
ローンから保険まで、幅広い自動車関連サービスを提供
数年の間に明確な多様化戦略を進めてきました。そして
しています。今では自動車メーカーなら当たり前となっ
現在では8ブランド57モデルを揃え、モビリティのあら
ているサービスのひとつに、使用済み自動車の引き取り
ゆる需要に対し、個々にソリューションを提供していま
とリサイクルがあります。フォルクスワーゲン グループ
す。ところが生産部門では、このような開発がコスト増
はEU廃車指令に従い、お客様の事情に配慮したネット
加につながってしまいます。こうしたコスト増は効率の
ワークを欧州全域に構築しています(31)。
改善により抑えなければなりません。その解決策のひと
つが、製品設計からお客様との接し方にいたるまでの全
明日のお客様ニーズにこたえる
プロセスチェーンに焦点を当てた品質管理プログラムで
プロセスチェーンにおいて最も重要なのは、製品開発段
す。フォルクスワーゲン エクセレンスと名づけられた
階です。この段階で正しい条件設定を行うことは、後の
フォルクスワーゲン グループ全体の品質管理プログラム
売り上げの成否を左右する決定的な要因となります。こ
には、ここ数年間で工程品質やナレッジマネージメント
のためフォルクスワーゲン グループのリサーチ部門には
などの要素が盛り込まれ、お客様志向が徹底されるよう
2004年に未来予測のための新たなセクションが設置さ
になりました(30)。
れ、今後のトレンドの分析とシナリオの作成が行われて
います。また、新モデル開発にあたっては、それに先立
ち部門を越えたチームを作ります。現在進行中の例をあ
げると、ムーンレーカープロジェクトがあります。従業
員23人が米国市場における慣習とトレンドを総合的な
視点から調査しています。
30
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フォルクスワーゲン エクセレンスによる品質
管理:ナレッジマネージメントは、フォルク
スワーゲンの品質管理プログラム「フォルク
スワーゲン エクセレンス」の重要な要素。
31
使用済み自動車の引き取りとリサイクル:
フォルクスワーゲン グループでは、開発から
再生までを製品ライフサイクルとし、その一
環としてリサイクルをとらえている。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
新たな車両セグメントへの参入
中国における基盤の再構築
2004年で新たに11車種を発売したことにより、フォ
中国においては、フォルクスワーゲン グループはトップ
ルクスワーゲン グループは、2005年中にグループ全体
の座を守っているものの、ここにきて低価格で市場に乗
で乗用車の車両セグメントの85%をカバーするという
り込んできた競合メーカーによって初めて市場シェアを
目標にぐっと近づきました。特に西欧では、これらの新
大幅に奪われています。その結果を受けて、私たちは現
モデルが大きな成功を収めました。例えばドイツでは、
在、中国におけるグループの基盤の再構築に全力で取り
2004年に新規登録された自動車のほぼ3台に1台が
組んでいます。焦点となるのは販売網の拡大・改善と、
フォルクスワーゲン グループ製でした。またフォルクス
ダイナミックに成長する中国のお客様ニーズおよび期待
ワーゲン グループの5車種が、ドイツで最もよく売れた
をこれまで以上に考慮した製品の開発です。同時に、一
車のベスト10 に入りました。さらに2004年以降、ゴ
般市民でもパーソナルモビリティに手が届くようにする
ルフが新型モデルの導入により西欧の登録車統計でトッ
ため、フォルクスワーゲン ファイナンシャルサービスの
プに返り咲きました。
ローン事業も併せて展開しています。
ASEAN諸国における戦略
とはいえ西欧市場では乗用車が飽和状態になってきてい
ます。こうした動向は、かつて西欧の自動車メーカーが
ほとんど参入していなかった新たな市場に私たちを向わ
せています。ブルネイ、インドネシア、カンボジア、ラ
オス、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、シンガ
ポール、タイといったASEAN(東南アジア諸国連合)
諸国もその一例です。またロシアおよびインドに関して
もグループ戦略 2015(10ページ参照)で、将来は特
別な地域限定モデルを提供し、現地に生産拠点を設立す
る戦略を打ち出しています。
27
28
環境保全と革新
環境にやさしい製品および生産工程は、革新のプロセス
燃費の優れたDSG(ダイレクト・シフト・ギアボック
なしには考えられません。このようなプロセスは原材料
ス)を搭載するモデルも常に拡大しています。現在では
や採用される技術に革命を起こすだけでなく、マネージ
フォルクスワーゲン グループの全ブランドで、高トルク
メント手法の刷新ももたらします。フォルクスワーゲン
のディーゼル、またはガソリンエンジンとの組み合わせ
グループではこうした取り組みの一環として、長年にわ
で用意されています。DSGを搭載した車の燃料消費量
たり、原料の採掘から製品リサイクルにいたる製品の全
は、日常走行テストでは従来のマニュアル車より10%
ライフサイクルにおける環境影響の評価、および全生産
少なく、オートマチック車に比べると20%も少ないと
拠点における環境マネージメントシステムの導入を進め
いう結果が出ました。オートマチックトランスミッショ
てきました。
ンを備えたディーゼル車では、フォルクスワーゲン グ
ループが自動車メーカーで初めて欧州排出ガス規制
環境に適した設計
Euro 4の基準を満たしました。
フォルクスワーゲン グループ傘下の全ブランドは、製品
ドイツ環境庁の調査によれば、経済走行によって燃料消
開発における明確な目標を設定しています。こうした目
費量を最大25%減らすことができます。このような背
標はとりわけ材料の選択や、デザインエンジニアリング、
景からフォルクスワーゲン グループは「エコドライビン
燃料消費に関連付けられています。例えばフォルクス
グ講習」を開催しており、これまでに14万人のドライ
ワーゲンの技術開発部では、材料、生産工程、リサイク
バーが参加しました(32)。
ル、燃費/CO2排出量、排出ガス基準、土壌・水質汚染、
騒音という7つの目標分野を定めています。これらの分
代替燃料の使用
野における目標値は個々の部品レベルにいたるまで詳細
サステイナブル・モビリティには、石油を原料とせず温
に定められています。
室効果ガス排出量の少ない燃料が必要です。フォルクス
ワーゲン グループの燃料戦略は、CO2ニュートラルなバ
燃料消費量の削減
イオマスをはじめ、さまざまなエネルギー源の利用を目
燃料消費量の削減はフォルクスワーゲン グループの主要
標としています。この開発は最終的に、再生可能なエネ
目標のひとつです。ガソリン車ではゴルフGT、ジェッ
タ、パサートに新型125kW直噴TSIエンジンを搭載し、
車両の平均燃料消費量の削減によるCO2排出量の減少
燃料消費量の削減に成功しました(10)。またエンジ
ンのダウンサイジングとツインチャージャーの採用によ
(単位:g/km)
200
り、同等排気量のエンジンよりも高性能かつ低燃費を実
現しました。一方アウディは、2.0TFSI(直噴ガソリン)
180
と3.2 FSIエンジンの量産でFSIエンジンのレンジを大き
く広げました。これによりフォルクスワーゲン グループ
160
2008年目標
140 g/km
は、ハイパフォーマンスかつ経済的なFSIエンジンを求
める市場のニーズにこたえ、ACEA(欧州自動車工業会)
140
の自主規制目標の達成に貢献できるようになりました。
1995
■
ACEA自主規制目標値
2000
■ ACEA現状値
2005
2010
■ フォルクスワーゲン値
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
ルギー源から生成された水素を燃料電池システムで利用
ギー効率やCO2排出量の観点から見て最も持続可能な選
することにつながるでしょう。もっとも、これが実際に
択肢と考えられます。米国・サンフランシスコで開催さ
市場に普及するまでには早くてもあと10年かかると私
れた世界環境デー2005年で、フォルクスワーゲンは
たちは考えています。
トゥーラン ハイモーションに搭載した燃料電池駆動シス
このような理由から、フォルクスワーゲン グループはバ
テムの開発の現状を紹介しました。80kWの電動モー
イオ燃料使用促進に関するEU指令を支持しています。
ターは燃料電池とバッテリーの両方で作動し、素早い加
これは再生可能なエネルギー源から製造された燃料の市
速性と140km/hの最高速度を実現しています。またア
場シェアを欧州全体で2010年までに5.75%まで引き
ウディも2005年4月にミュンヘンで、燃料電池駆動シ
上げることを目的とする指令です。その手段としてはエ
ステムを搭載したA2H2を展示しました。水素を燃料と
タノールやバイオディーゼルとしても知られる菜種油メ
する燃料電池はフォルクスワーゲン グループの燃料・パ
チルエステルが適当であると考えられます。長期的には、
ワートレイン戦略の最終的な目標であり、そこにむかっ
私たちはサンフューエル(SunFuel)と名づけたバイオ
て着々と開発が進められています(フォルクスワーゲン
マス液化燃料(BTL=Biomass to Liquid)に期待して
環境レポート2003/2004の2.3章を参照。日本語版は
います(33)。これは既存のエンジンに使うことがで
www.volkswagen.co.jp の「brand」でダウンロードできま
きるうえ、粒子状物質の排出量を40%、NOx排出量を
す)。
最大30%削減することができます。
既存のコンセプトや技術の評価により、燃料電池駆動シ
ステムの真の課題は、機能よりはむしろ経済的な競争力
代替パワートレインの開発
にあることがわかっています。改良を施した、より経済
フォルクスワーゲン グループは燃料電池にいたる過程
的な燃料電池駆動システムの材料や部品が新たに開発さ
で、パワートレイン戦略を段階的に遂行しています。こ
れて初めて、競争力のある製品を市場に投入することが
れはすでにご紹介した燃料戦略と密接に関連していま
できるでしょう。フォルクスワーゲンは、この現状を打
す。なかでも戦略上確固たる位置を占めているのが、ハ
破するこれまでにない革新的なコンセプトの構築を目指
イブリッドシステムです。これは、ガソリンエンジンや
し、特に燃料電池そのものの開発に積極的に取り組んで
ディーゼルエンジンの代替手段ではなく、それらをうま
います。
く補完するものです(34)。2008年の北京オリン
ピックの時期には、上海フォルクスワーゲンと共同で
トゥーランのハイブリッドモデルを市場に導入する予定
です。同じく2008年にはアウディもQ7のハイブリッ
ドモデルを市場に投入します。
フォルクスワーゲン グループの燃料戦略
長期的には、再生可能なエネルギー源から水素燃料を生
成し、それを燃料電池自動車に活用することが、エネル
水 素
再生可能な資源から
サンフューエル(SunFuel)
10
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石油から
ンはツインチャージャーを採用したことでエンジンの
安全運転と燃料消費量の節約:フォルクスワーゲン グ
ループの「エコドライビング講習」を受講するドライ
バーが増えている。
33
サンフューエル(SunFuel)─ LCAの優等生:ダイム
ラークライスラーと共同で、代替燃料と従来のディー
ゼル燃料のライフサイクル比較を実施。代替燃料に良
好な結果。
34
ディーゼル/ガソリン
TSI ─ 革新的なガソリンエンジン:フォルクスワーゲ
ダウンサイジング、そして低燃費を実現。
32
シンフューエル(SynFuel)
天然ガスから
ハイブリッドシステム:フォルクスワーゲン グループ
の燃料・パワートレイン戦略の柱であり、特に都市部
への投入に適している。
2005
2010
2015
2020
29
30
排出ガスの削減
再生可能な材料の使用
排出ガス低減を求める政府と世論の高まりに対し、フォ
フォルクスワーゲン グループの多くのモデルはフロアの
ルクスワーゲン グループは独自の排出ガス戦略をもって
インシュレーターの一部にリサイクルされた綿繊維を使
臨んでいます。エンジンの内燃プロセスを大幅に改善す
い、トランクのマット材の多くに木質繊維を採用してい
ることで、新法の基準値もすでに達成しています。この
ます。しかし、無臭性、耐久性、軽量デザインといった
ような内燃プロセスの改良は、粒子状物質や窒素酸化物
お客様の要望やパーツ要件により、再生可能な材料の使
(NOx)
、炭化水素などあらゆる排出物の削減に最も有効
用には限界があります。こうした制約にもかかわらず、
です。微細な浮遊粒子状物質も他の排気物質も削減でき
フォルクスワーゲンのフォックスでは、2種類の新しい
るからです。社会的な要請に対応するため、アウディは
天然素材の採用に成功しました。パイナップル科のクラ
すでに全車種でパティキュレートフィルターを提供して
ウアの繊維をルーフライナーに、サイザル麻の繊維をス
います。一方2006年以降フォルクスワーゲン、セアト、
ライド式ルーフカバーに使っています(34ページ参照)
。
シュコダの新車でも続々とパティキュレートフィルター
が搭載可能になります。また2005年秋以降、フォルク
リサイクルの促進
スワーゲンは現在欧州で走行している600万台以上の
製品ライフサイクルの最終段階でも、フォルクスワーゲ
ディーゼル車を対象に、レトロフィットキットとしてパ
ン グループの革新は環境改善に寄与しています。フォル
ティキュレートフィルターを提供しています(35)。
クスワーゲンはズィーコン社と共同でシュレッダーダス
トのリサイクル技術を開発しました。この商業ベースで
軽量化
使用できる初の自動リサイクル工程により、シュレッ
パワートレインと並び、車両の軽量化は排出ガスを削減
ダーダストに含まれる物質を素材として大々的に活用す
するための最も効果的な方法です。その技術的な可能性
る道が開かれ、使用済み自動車や電子機器スクラップを
を示したのが、研究車両として作られた重さ290kgで2
環境にやさしく経済的な方法でリサイクルできるように
人乗りの「1リッターカー」(燃料1リットルで100km
なりました。2005年6月にはオーストリア・エンスで
走行可能)です。また研究結果が量産に反映されたひと
フォルクスワーゲン・ズィーコン・リサイクルプロセス
つの実例として、2005年に発売された新世代VWパ
を採用した初の大規模リサイクル工場建設がスタートし
サートがあります。従来モデルに対して新型パサートの
ました(37)。
ボディは(同サイズに換算した場合)13kg軽くなった
と同時に、剛性を向上しました。量産技術で作られたモ
安全性の向上
デルで重量の増加傾向が破られたのはこのモデルが初め
安全性を求める声を原動力に、フォルクスワーゲン グ
てでした(36)。アルミボディのアウディA8はその
ループはさまざまな研究開発を進めています。なかでも
1994年の登場以来ずっと、軽量デザインによって燃料
力を入れているテーマのひとつが、インテリジェントド
消費量および排出ガスが削減できることを実証し続けて
ライバー支援システムです。これには例えばサスペン
きました。その後のフォルクスワーゲン ルポ 3L TDIや
ションの設定を自動的に走行条件に合わせるシステム
アウディA2でもこのことは実証されています。
や、瞬時に障害物を識別するセンサーシステムなどがあ
ります。また安全技術の革新のひとつとしてESP(横滑
り防止装置)のステアリングパルス機能があります。こ
READ MORE ON THE INTERNET
れにより、車体の両側でグリップレベルの違う路面での
35
クリーンディーゼル:燃焼の改善とパティキュレート
急制動時には、ABS(アンチロックブレーキングシステ
フィルターにより排出ガスを削減。
ム)と比較した場合、停止距離を10%も短くすること
36
車両軽量化:軽量化により、燃料消費量削減に新たな
ができます。
37
フォルクスワーゲン・ズィーコン・リサイクルプロセ
可能性。
ス:新たなリサイクルプロセスの環境適合性はライフ
サイクルアセスメントでも証明されている。
05
中国国内での事故調査:交通安全に対するコミットメ
ントはフォルクスワーゲン グループの主要な関心事で
あり、中国は新たな課題を私たちに突きつけている。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
事故リスクの調査
新たなマネージメントツールの活用
路上における安全性の向上はフォルクスワーゲン グルー
環境方針および環境マネージメントシステムとともに、
プの主要な関心事のひとつです。そのため1970年以降、
環境保全に関する地域会議もフォルクスワーゲン グルー
事故の原因と過程に関する調査をドイツの保険業界と密
プの環境への取り組みにおける柱となっています。メキ
接に連携しながら進めてきました。しかし、ドイツでは
シコと南アフリカでの会議に続き、2005年3月には中
自動車1万台あたりの交通事故による死亡者が1.2人な
国でも初の環境保全に関する地域会議が開催されまし
のに対し、中国ではその数は152人にものぼります。そ
た。これらの会議の目的は、環境意識の向上、ノウハウ
こでフォルクスワーゲン グループは上海の同済大学と共
の伝達、目標値の設定を通して、生産拠点における環境
同で事故調査プロジェクトを実施するとともに、中国の
保全を推進することにあります。地域会議は環境管理の
お客様に対し、すでに成果が実証されているドライビン
機能を果たし、責任やイメージに関するリスク軽減とコ
グ講習「フォルクスワーゲン・エクスペリエンス」を提
スト削減に貢献しています。
供しています(05)。
グループ全体でのエネルギーの削減
環境マネージメントシステム監査
エネルギー問題は長年にわたり、フォルクスワーゲン グ
環境保全の観点から継続的な改善活動を行うために、
ループにとって重要なテーマです。生産部門は2002年
フォルクスワーゲン グループは早い時期から生産拠点へ
5月に、資源の保全とコスト削減に貢献するため、エネ
の環境マネージメントシステムの導入を促進してきまし
ルギー消費削減プログラムを策定しグループの全生産拠
た。欧州環境管理監査制度(EMAS)やISO14001に
点で実施することを決定しました。2004年末までにグ
基づく環境マネージメントシステムの認証取得は次のス
ループ統括の「エネルギー」ワーキンググループは、エ
テップとして必然的なもので、アウディのネッカーズル
ネルギー消費量削減のための新たなプログラムを策定し
ム工場やフォルクスワーゲンのエムデン工場は1995年
ました。同プログラムは全生産拠点で弱点の分析や改善、
に認証を取得し、ドイツ国内で先駆的な存在となりまし
エネルギー消費の原因別に見たエネルギーコストの計
た。1996年には欧州の他の工場もこれに続き、さらに
算、非生産時の基礎消費量の削減に焦点を当てています。
中国の上海工場とブラジルのサンカルロス工場も1997
同プログラムは特別研修を受けた従業員約140人により
年に認証を取得しました。現在、ブラジルのアンシエッ
推進されています。その結果、すでに第一回のエネル
タ、クリチバ、アルゼンチンのパチェコの各生産工場が認
ギー内部監査を成功裡に完了することができました。
証取得の準備を進めており、2006年末にはグループの
ほぼ全生産工場で認証を受けた環境マネージメントシス
テムの導入が完了する予定です。
認証取得工場(2004年12月31日現在)
欧州
ISO 14001
14 ※
EMAS
14 ※
未取得
4
アメリカ
5
3
アジア
2
2
アフリカ
1
※3工場はISO14001とEMASのいずれの認証も取得している
モルスハイムとシュトルベルクの両工場は2004年12月31日時点で生産が開始
されていなかったため含まれない
31
≫「私にとって車とは、人々を魅了する力を持つ、情熱の
こもった製品である。最新の技術、スリリングなデザイン、
そして妥協を許さない品質こそが、私たちの切望する基準。
だから次の世代にもその楽しさを味わってもらいたい。
低燃費・低排出ガスエンジンを搭載し、再生可能原料を
使い、環境にやさしい工程で生産される車を」 ≪
アウディAG取締役会会長 Dr. マルティン ヴィンターコルン
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
傘下ブランドと関連企業:
「多様性を生かした取り組み」
私たちの事業の中核にあるのは自動車です。しかしフォルクスワー
ゲン グループは単なる自動車メーカーではありません。モビリ
ティ関連の幅広いサービスを展開しています。
個性豊かで事業の焦点も異なる幅広い傘下ブランドや関
自己責任とサステイナビリティ
連企業をひとつにまとめることは、容易なことではあり
各傘下ブランドおよび関連企業は、フォルクスワーゲン
ません。同時にそれぞれの個性を維持しようと思えばな
グループのリーダーシップのもと、それぞれの責任に基
おさらです。しかしそれを実現して初めて、すべての傘
づいて事業を展開し、戦略上も独自の展開をはかる裁量
下ブランドと関連企業がフォルクスワーゲン グループの
権を持っています。これは持続可能な発展の取り組みに
重要な柱として機能し、それぞれがグループ全体の価値
おいても同様です。グループバリューと持続可能な発展
創造に貢献しうるのです。
のための規範の枠組みのなかで、各傘下ブランドおよび
フォルクスワーゲン グループが自動車部門に二つのブラ
関連企業は個別の方針を策定し、それに沿った独自の重
ンドグループを設けているのは、開発部門で例えばプ
点項目を設定して活動しています。
ラットフォーム/モジュール戦略を活用したり、また購
各傘下ブランドおよび関連企業のサステイナビリティに
買や物流など、さまざまな部門で相乗効果を生み出すた
関する取り組みについては、新たに開設されたフォルク
めです。また、保険からローン、リースまで幅広い自動
スワーゲン グループ・サステイナビリティ・サイトでご
車関連サービスはブランドの主要な事業を支えており、
覧いただけます。(www.volkswagen-sustainability.com)
今後さらなる拡大が期待されます。
フォルクスワーゲン グループ
部門/区分
自動車部門
事業体
フォルクスワーゲン
ブランドグループ
アウディ
ブランドグループ
商用車
その他の会社
ファイナンシャル
サービス
取扱製品/事業分野
VW乗用車
アウディ
VW商用車
財務サービス
ディーラー・
シュコダ
セアト
ベントレー
ランボルギーニ
ブガッティ
金融サービス部門
お客様融資
リース
保険
フリートビジネス
33
34
フォルクスワーゲン ブランドグループ
フォルクスワーゲン ブランドグループが目指すサステイ
たって、フォルクスワーゲンはブラジルの研究開発プロ
ナビリティの根本にあるのは、発展のチャンスが存分に
グラムであるPOEMA(アマゾン貧困撲滅環境保全計画)
見込める健全な環境を次の世代に残したいという想いで
と協力し、産業のない地域に新たな雇用を生み出してい
す。フォルクスワーゲンにとってサステイナブル・モビ
ます。繊維を栽培しているブラジルのパラー州で、
リティとは、あらゆる人々のための環境にやさしいモビ
POEMAは2006年までに約1万件の雇用を創出する予
リティを意味します。各ブランドはそれぞれの対象とし
定です。このプログラムはまた、従業員とその家族に学
ている市場に合わせてその実現を目指しています。
校教育や医療を受ける機会も提供しています(27)。
フォルクスワーゲン:環境にやさしいモビリティ
トゥーラン エコフューエル:
2004年時点でフォルクスワーゲンは約18万1,000人
経済的で環境にやさしい天然ガスモデル
の従業員を有し、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、
2006年の初めに、トゥーランの天然ガスモデルが発売
中国、ドイツ、メキシコ、ポーランド、ポルトガル、ス
さ れ ま す 。 出 力 80kW/109PSの ト ゥ ー ラ ン エ コ
ロバキア、南アフリカ、スペインにある25カ所の生産
フューエルは、天然ガスとガソリンの両方が使える設計
拠点で約300万台の車両を1年間に生産しました。
「クル
です。天然ガスだけの場合、航続距離は310kmです。
マへの熱い想いをあなたに(Aus Liebe zum Automo-
4基の天然ガスタンクはスペースを節約するため車両後
bil)」というスローガンのもと販売活動を行っている
方のフロア下に設置されており、インテリアやトランク
フォルクスワーゲンの車両にはゴルフ、フォックス、
スペースを十分に確保でき、例えば7人用シートのオプ
フェートン、ニュービートル、ジェッタ、ボーラ、ルポ、
ションも選択可能です。燃料タンクの容量は天然ガス
パサート、トゥアレグ、シャラン、ゴル、パラティの各
18kgとガソリン15リットルです。トゥーラン エコ
モデルがあります。フォルクスワーゲンはできるだけ多
フューエルは100km走行するのに天然ガスを5.9kgし
くの人々にモビリティを提供することを重視しており、
か消費せず、欧州排出ガス規制Euro 4をクリアしていま
燃費と排出ガスを最重要課題に掲げています。フォルク
す。ドイツ国内には現在約700カ所のサービスステー
スワーゲンの開発エンジニアは長い年月をかけて、こう
ションがあり、この経済的な燃料の供給を支えています。
した分野での技術改善に成功してきました。欧州市場の
いくつかのモデルは、欧州排出ガス規制Euro 4が2005
シュコダ:環境格付けランキングでトップに
年1月に発効する6年も前から同基準を満たしています。
チェコ共和国のムラダー・ボレスラフを本拠地とする
フォルクスワーゲンはお客様がさまざまなモデルを比較
シュコダには、長年にわたり、コストパフォーマンスの
しやすいように、ウェブサイトで燃料・排出ガスデータ
高い秀逸な車両を作るという定評があります。約
ベース(CED)を提供しています(38 39)。
24,600人の従業員が働くシュコダは、2004年、チェ
コ共和国、ウクライナ、ボスニア・ヘルツェコビナ、イ
フォックス:環境保全活動を通じた雇用
ンドの各生産拠点で、ファビア、オクタビア、スペルブ
資源保全の新たな指標を打ち立てたのがフォックスで
のというモデルを合計44万4,100台生産しました。製
す。フォックスのルーフライナーはパイナップル科のク
品および生産工程をできるだけ持続可能なものとするこ
ラウアを原料にしています。再生可能原料であるこの天
とが、シュコダが掲げる目標です(40 41)。ドイ
然繊維はリサイクルにも最適です。この繊維の生産にあ
ツ・フライブルクの応用エコロジー機構が2005年に発
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
表したエコトップ10ランキングは、シュコダの優れた
総合的に見て、欧州におけるベントレーのCO2排出量は
パフォーマンスを証明しています。ファビア ワゴンが
2003年から2004年にかけて14%以上削減されまし
ファミリーカー部門でコストパフォーマンス・ランキン
た。2004年に欧州で販売されたベントレー車はすべて、
グ、環境配慮型車両ランキング共に第一位に選ばれたの
欧州排出ガス規制Euro 4をクリアしています。
です。チェコ共和国最大の雇用主のひとつとして、シュ
ベントレーでは、従業員の相乗り通勤を推進しています。
コダは大きな社会的責任も担っています。シュコダの推
これまでは、多くの従業員が一人でマイカー通勤してい
進する企業市民プログラムは、小学校から大学までの自
ました。新設された相乗りの促進担当部署は、一人通勤
然科学教育を重点的に支援しています。
の車の数を20%削減することを目指しています。この
試みを促進するため、ベントレーは相乗り通勤者用の優
ベントレー:車両の大幅な軽量化
先駐車スペースを提供しています。自転車通勤を希望す
フォルクスワーゲン グループのなかでも、英国ブランド
る従業員のために工場の入り口に屋根付きの駐輪場も設
であるベントレーは長きにわたる職人技の伝統を代表す
置し、自転車通勤を奨励するためのコンテストも実施し
る存在です。だからといって、それは先進の環境志向の
ています。
技術導入を拒むものではありません。英国のクルーに生
産工場があり、3,800人以上の従業員が働くベントレー
ブガッティ:社会的責任
モーターズは、年間6,700台近い車両を生産、販売して
フランスのモルスハイムに本社のあるブガッティは、1
います。新型ベントレー コンチネンタルGTは、ベント
世紀近くにわたり、富裕層を対象に高級車を生産してき
レーの大いなる飛躍を象徴するモデルです。開発エンジ
ました。長い生産休止の時期を経て、2005年、ブガッ
ニアの努力は車両の大幅な軽量化や、エアロダイナミク
ティはモルスハイムとウォルフスブルグに拠点を置き、
スの改善、エンジンの出力向上という形で実を結びまし
計100人の従業員でヴェイロン モデルの生産を開始し
た。新型コンチネンタルGTのCO2排出量は従来のベン
ました。ブガッティはモルスハイムにおけるサンジャン
トレー アルナージに比べ、85g/km減少しています。
城とその周辺建造物の復元で、歴史的建築物の維持に大
きく貢献しています。
またブガッティには多くのライセンス製品があります
が、ライセンスを取得した事業者には、規定の環境・社
会基準に従う義務が課せられます。この規定には例えば
児童労働禁止や熱帯樹林の資源使用禁止なども含まれます。
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38
フォルクスワーゲンの環境保全:フォルクス
39
CEDデータベース:フォルクスワーゲンの燃
27
フォルクスワーゲン アルヘンティーナ S.A.の研
ワーゲン ブランドの環境関連ウェブサイト。
費・排出ガスのデータベース。
修:最新技術に対応できる有能な人材を開発す
るため、フォルクスワーゲンは職業訓練と継続
的な能力開発に力を入れている。
40
シュコダの環境保全:シュコダ ブランドの環境
41
先端技術による環境保全:シュコダでは大気浄
関連ウェブサイト。
化対策への投資により大幅な改善を達成。
35
36
アウディ ブランドグループ
フォルクスワーゲン グループのなかでもアウディ ブラ
さらに、TTおよびA3モデルラインのDSGやquattro
ンドグループは、スポーティなイメージ、デザイン、そ
(クワトロ・フルタイム4WDシステム)といった技術的
して技術を体現しています。同ブランドグループにはア
進化も、燃費や安全性を向上させることでサステイナビ
ウディ、セアト、ランボルギーニという、進歩的で技術
リティとお客様満足の両立に大きく貢献しています。
的に成熟したモデルを特徴とするブランドがあります。
これら3つのブランドの長期的な成功を支えているのは、
アウディ:生産拠点における環境保全基準
未来を見据えた雇用モデルと無駄のない生産工程です。
アウディはドイツ内外の生産拠点で環境保全を先駆的に
実現したメーカーのひとつです。ハンガリーのギュアー
アウディ:環境保全技術のリーダー
にあるアウディのエンジン工場では、高度なリサイクル
「技術による前進(Vorsprung durch Technik)」とい
管理システムを導入し、廃棄物の発生を最小限に抑えて
う哲学のもと、アウディは世界有数のプレミアムブラン
います。ここではパーツ納品時に繰り返し使える梱包材
ドに成長しました。持続可能な事業展開は、アウディの
を利用するなど、生産工程で出た残留物が再生されるま
企業戦略の核であり、それは環境保全と革新の融合によ
でを徹底的にモニタリングする仕組みまで整備されてい
り支えられています。アウディにとっては耐久性、品質、
ます。またエンジンの開発・テスト段階では、排出ガス
安全性と並び、生産工程もサステイナビリティを目指す
を削減するためにコールドテストが広く採用されていま
取り組みの重要な柱です(42)。
す。アウディは生産部門で使用する水全体の最大95%
2004年時点でアウディの従業員は約53,000人。ドイ
をリサイクルし、排水が規制値を超えないように計測分
ツ、ハンガリー、ブラジル、中国に生産拠点を持ち、1
析も行っています。また排熱回収システムにより、生産
年間に78万台以上の車両(A2、A3、A4、A6、オー
工程で排出された空気は熱エネルギーとして利用されて
ルロードクワトロ、A8、TT)を生産しました。これは
います。
アウディ史上最多の生産台数です。ドイツ国内の2カ所
の工場(インゴルシュタットとネッカーズルム)だけで
セアト:環境にやさしい技術
も、アウディは過去10年間で10,000件以上の雇用を
スペインのマルトレルに拠点を置くセアトは、アウディ
創出してきました。アウディは技術面においてアウディ
ブランドグループの一員です。2004年時点の従業員数
ブランドグループの先導的な役割を果たしており、その
は世界全体で約13,000人。イビザ、コルドバ、アルハ
独創的な技術は、環境保全分野においてもしばしば大き
ンブラ、アローザ、アルテア、レオン、トレドといった
な前進をもたらしています。そのひとつがアウディA8
モデルを製造しており、同年の生産台数は合計45万
のアルミニウム製軽量ボディで、これは業界全体に自動
8,460台でした。2004年にはまた、アルテアにおいて
車の重量について考え直すきっかけを与えました(09)
。
新世代のモデル(アルテア、トレド、レオン)が誕生し
また1989年にはハイブリッド車のアウディ デュオの誕
生で、環境技術の飛躍的進歩を遂げました。アウディ
デュオはその後1996年までに2度にわたり改良されて
います。今日のアウディQ7ハイブリッドは、こうした
長年にわたる経験を存分に生かし、経済性や資源の保全
42
09
とドライビングダイナミクス向上の両立を実現しまし
た。すでに高い評価を受けているTDI(直噴ターボ
ディーゼル)エンジンのほか、FSI(直噴ガソリン)エ
ンジン、TFSI(直噴ターボガソリン)エンジンも同様に
成功を収めています。
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アウディの環境保全:オープンな対話の場。
インテリジェントな軽量設計:軽量化への妥協なき取
り組みにより、アウディは新たなスタンダードを確立
し、環境保全に重要な貢献を果たす。
23
持続可能な雇用方針:次世代の従業員へのノウハウ継
45
セアトの環境保全:セアト ブランドの環境関連ウェブ
46
従業員研修における環境保全教育:フォルクスワーゲ
承が、競争力維持に貢献。
サイト。(www.seat.com)
ン商用車部門はフォルクスワーゲン コーチング社の環
境保全ワーキンググループと共同で環境保全教育プロ
グラムを開発。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
フォルクスワーゲン商用車部門
ました。サステイナビリティの思想を実現するため、セ
フォルクスワーゲン グループの第三の主力事業である
アトはお客様、サプライヤー、官公庁、従業員との徹底
フォルクスワーゲン商用車部門は、商用車・レジャー
した対話に積極的に取り組んでいます。2005年の初め
カー事業のグローバルな展開と統括を担っています。製
に結ばれた労働協約は、今後5年間の社会的活動の一つ
品ラインアップは幅広く、軽量の都市型商業用ミニバン
の指針となっています(23)。同協約には、労働時間
のキャディから、T5シリーズ(トランスポーター、マ
の柔軟性などの新しい項目が盛り込まれており、これに
ルチバン、キャンピングカーのカリフォルニア)、LTシ
より、市場の動向に合わせて生産をより迅速に順応させ
リーズ、さらに南米や新興経済諸国向けに特別に設計さ
ることができるようになりました。
れた大型トラックやバスまでを扱っています。2004年
セアトは環境保全のなかでも、大気汚染の抑制と、開
時点の従業員数は約22,400人で、世界のお客様に向け
発・製造における環境にやさしい原材料と生産技術の採
出荷された車両は約30万台です。売上高は59億ユーロ
用に力を入れています。セアトの研究開発センターであ
にのぼり、キャッシュフローは4億2500万ユーロを記
るセントロ テクニコでは、専門知識を持った従業員約
録しました。
1,300人がこれらの目標達成のため熱心に活動していま
す。こうしたセアトの活動は、ここ数年におけるマルト
環境マネージメントの導入
レル周辺地域の発展にも寄与しています。セアトがサプ
フォルクスワーゲン商用車部門の3つの生産拠点はそれ
ライヤーのために設けたインダストリアルパークにはこ
ぞれ環境マネージメントシステムを導入しており、さま
れまでに約15社が移転し、これにより新たに約3,000
件の雇用が創出されました(45)。
ざまな省エネルギープロジェクトを実施しています
(31ページ、「エネルギー」ワーキンググループ参照)。
そのひとつがハノーバーの生産拠点で全生産ユニットを
ランボルギーニ:少量生産モデルの環境革命
対象として定期的に実施されるエネルギー監査です。
従業員720人のアウトモビーリ ランボルギーニ ホール
フォルクスワーゲン商用車部門の最大の使命は、経済・
ディングはアウディの100%子会社です。生産拠点はイ
環境の両面における課題を克服することで、天然資源の
タリアのサンタアガタ・ボロネーゼにあり、2004年に
利用を極力抑えつつ市場の求める製品とサービスを提供
はガヤルド、ムルシエラゴ、ムルシエラゴ・ロードス
し、また一方で企業として十分な収益を上げ、生産拠点
ターの車両約1,600台を生産しました。ハイパワーのス
における雇用を保障することです。
ポーツカーを扱うメーカーにとって、最新技術と環境適
合性を両立させることはひとつの挑戦です。ランボル
地域に対する責任
ギーニは少量モデルの生産者でありながら、排出ガスや
フォルクスワーゲン商用車部門はすべての生産拠点にお
安全性については大量生産モデルを扱うメーカーと同じ
いて、よき企業市民として地域発展への貢献に努めてい
厳しい基準を遵守しています。現在、約4分の3の車両
ます。定期的な近隣地域との対話や協力は、特にハノー
に水性塗料を使用しており、これにより揮発性有機化合
バーの生産拠点では長年の伝統となっています。ポズナ
物(VOC)の排出量が大幅に削減されました。工場は現
ンの工場では、地元のサプライヤーを優先的に活用する
在、ISO14001とISO9001の認証取得に向けて準備
ことが重視されており、実際ここでのキャディ生産に必
を進めています。長期的には、設計の工夫により、パ
要な原材料の36%以上は地元企業から供給を受けてい
フォーマンスを犠牲にすることなく燃料消費量を削減す
ます。またレセンデの工場では、供給される部品の大半
ることが目標です。またイタリア・クレヴァルコーレの
がブラジル国内で製造されたものです(46)。
社会事業ボランティア団体や子ども救済基金、イタリア
がん対策サポートキャンペーンを支援しています。
37
38
その他の関連企業
ファイナンシャルサービス
アウトシュタット
(Autostadt)
ドイツのブラウンシュヴァイクに本社のあるフォルク
フォルクスワーゲン グループがコミュニケーションの場
スワーゲン ファイナンシャルサービスは、さまざまな販
として運営しているアウトシュタットは、イベントや展
売経路を通じて400万人以上のお客様に自動車関連ロー
示、数多くのレストランが揃ったテーマパークです。
ン、リース、保険、その他自動車関連サービスを提供し
ウォルフスブルグでは、アウトシュタットの900名の従
ています。また得意先向けのダイレクトバンキング商品
業員が年間200万人以上にのぼるビジターを迎え、フォ
や車両管理プログラムも提供しています。自社の事業所、
ルクスワーゲン グループや傘下ブランドのあらゆる側面
支店、子会社、販売契約店といった独自のネットワーク
を生き生きと伝えています。アウトシュタットではさま
を介し35カ国で事業を展開している、欧州最大の自動
ざまな社会層との対話や、地域住民との関係を深める活
車関連金融サービス会社です。従業員数は2004年には
動を行うことで、広く社会や将来を担う若い世代、ビジ
3.9%増えて約5,250人となりました。その3分の2弱
ネスパートナーに受け入れられています。またアウト
がドイツ国内で働いています。
シュタットはあらゆる年代の人々にモビリティというト
ピックに触れ、考えるきっかけを提供しています。その
持続可能な人事政策
意味ではフォルクスワーゲン グループの目指すサステイ
フォルクスワーゲン ファイナンシャルサービスの子会社
ナブル・モビリティのビジョンを伝える大使としての役
であるフォルクスワーゲン銀行は、その模範的な人事政
割も担っていると言えます。フォルクスワーゲン車の
策ですでに多くの賞を受賞しています。ドイツ最優秀雇
ユーザーもそうでない人も、アウトシュタットを訪れる
用者2004金融サービス部門や「トップジョブ2004」
ことでフォルクスワーゲン グループに対する親近感を高
などです。フォルクスワーゲン銀行が優れた雇用者であ
めてもらえるよう努めています。
ることは、低い離職率にも表れています。業界離職率の
平均が3.1%であるのに対して、同社の離職率はわずか
教育課程外の学びの場
1%です。従業員は柔軟な勤務時間体制のメリットを享
アウトシュタットの体系化された教育プログラムは、対
受し、約19%の従業員がパートタイム勤務制度を活用
象グループごとに異なるアプローチによって幅広い関心
しています。これは業界平均の13.5%をはるかに上回
に応えることのできるプログラムです。同プログラムは
る割合です。また育児休暇を取った従業員が復帰する際
就学前の子供から大人まで、あらゆる年代の人々の学習
は、最初は短い勤務時間からスタートし、同僚と情報を
に貢献しています。アウトシュタットはこのように、教
交換したり専門的な能力の回復を図ったりするなかで
育課程外の学びの場として社会に認められています。あ
徐々にフルタイム勤務に戻ることができます。2004年
らゆる年代のグループがさまざまな体験ルームで独自の
には124人の従業員がこの制度を利用しました。仕事の
学習プランで学ぶことができます。アウトシュタットの
半分を自宅で、残りの半分を職場で行う、半在宅勤務制
教育事業は、従来の交通安全教育を強化した「モビリ
度も仕事と家庭生活の両立に役立っており、現在47人
ティカリキュラム」の一貫として、ニーダーザクセン州
の従業員がこの制度を利用しています。
学術文化省との協力に基づいて行われています(48)
。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
アウトウニ
(AutoUni)
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
アウト5000
(Auto 5000)
ウォルフスブルグにあるアウトウニ(AutoUni:自動車
アウト5000社は、先進的な生産技術と革新的な資格取
大学)はフォルクスワーゲン グループが独自に設立した
得プログラムを持ち、2004年には約18万7000台の
教育機関です。職員は41名おり、国際的な連携ネット
トゥーラン コンパクトバンを生産しました。もともとア
ワークを築いています。アウトウニはマネジメントとモ
ウト5000は「5000×5000」と呼ばれる、社会的に
ビリティという2つの学術的カリキュラムと、実践を重
脚光を浴びた雇用プロジェクトから生まれた企業です。
視した資格取得プログラムを提供しています。グループ
このプロジェクトのそもそもの目的は、標準的な月給が
にとって関心のある戦略的テーマを取り上げた特別講義
5,000ドイツマルクの新たな雇用を創出することでし
や、多彩な講師を招き、新技術の開発やサービス分野の
た。そしてドイツ国内の自動車製造の国際的競争力を維
動向を紹介するシリーズものの特別講義も精力的に実施
持するために結ばれた特別な労働協約を土台に、この雇
しています。講師陣はケーススタディとしてビジネスの
用モデルが生まれたのです。
場で直面する実際の問題を扱うなど、革新的な教育およ
び学習方法に熱心に取り組んでいます。
変化と雇用
2001年秋にアウト5000とドイツの金属産業労働組合
「サステイナブル・モビリティ」修士課程
(IGメタル)との間で締結された労働協約は、それまで全
フォルクスワーゲン グループの掲げる七項目からなるグ
員が失業中だった従業員に5,000ドイツマルク(当時の
ループバリューのうちの一項目であるサステイナビリ
額で約27万5,000円)の月給を約束するものでした。
ティは、アウトウニの主要なテーマです。2005∼
アウト5000が新たに採用した従業員3,700人の勤務地
2006年の冬期から、サステイナブル・モビリティの修
は、すべてウォルフスブルグでした。柔軟性と革新をプ
士課程が新設されました(49)
。学生はサステイナビリ
ログラムの中心に位置づける同社では、変化に対するマ
ティのコンセプトを研究し、実際に応用する手法を開発
ネージメントを常に課題とし、これを企業規範やマネー
し、その内容をグループ全体に展開します。この課程で
ジメントの原則の中にしっかりと織り込むことで、日々
は特に、企業の社会的責任(CSR)や付加価値重視の経
の業務に根付かせています。アウト5000はウォルフス
営の側面を扱ったケーススタディを行います。新しい
ブルグの生産拠点の環境マネージメントシステムに組み
テーマは、企業文化機関(ICCA)をはじめとするサステ
込まれていることから、フォルクスワーゲン グループの
イナビリティに取り組む機関や組織からも提供されます。
環境方針に沿って活動しています。さらに、アウト
アウトウニの学長はICCAの諮問機関のメンバーでもあり
5000の従業員は資格能力習得に関する同社独自の労働
ます。
協約に基づき、「学習する工場」と呼ばれるコンセプト
のもと、継続的な知識能力向上の機会を提供されています。
48
READ MORE ON THE INTERNET
ニーダーザクセン州でのモビリティの授業:アウト
シュタットとニーダーザクセン州学術文化省は2002
年に共同プロジェクトをスタート。モビリティ教育の
新しいアプローチを創出。
49
サステイナブル・モビリティの修士課程:2005∼
2006の冬期から新設。
39
40
フォルクスワーゲン コーチング フォルクスワーゲン クラフトヴェルク
(Volkswagen Coaching) (VW Kraftwerk)
従業員894人のフォルクスワーゲン コーチング社は、
フォルクスワーゲン クラフトヴェルク社はフォルクス
フォルクスワーゲンの従業員向けに、個々の必要に応じ
ワーゲン グループだけでなく、地域社会や商工業、自営
た職業訓練、専門能力の継続的な開発、管理職向け能力
業者にもサービスを提供しています。従業員約620人の
開発プログラムを提供するほか、一般市場向けのサービ
同社は、グループの生産拠点のあるウォルフスブルグ、
スも行っています。2004年には、ウォルフスブルグ、
カッセル、エムデン、ハノーバー、チェコ共和国のムラ
ハノーバー、ブラウンシュヴァイク、カッセル、エムデ
ダ ボレスラフの各地でエネルギーの供給・取引、発電施
ン、ザルツギッター、ツヴィッカウ、ケムニッツ、ドレ
設の設計と運転に携わっています。フォルクスワーゲン
スデンの各拠点で合計約4,100回もの研修を行い、約
クラフトヴェルクは6カ所の発電施設を運転しており、
36,000人が参加しました。
全施設が排出権取引規制の対象となっています。
職務能力の向上
資源保全型のエネルギー供給
フォルクスワーゲン コーチングが開発した「ジョブファ
エネルギー供給事業者として、フォルクスワーゲン クラ
ミリー(業務分野)」研修のコンセプトは、フォルクス
フトヴェルクは資源の保全とCO2排出量の削減に最も力
ワーゲン グループ全体の従業員の職務能力向上に貢献し
を入れています。同社はすでに1996年、欧州の産業エ
ています。将来のキャリアの柔軟性を高めるため、従業
ネルギー供給事業者として初めて、欧州環境管理監査制
員は製品に関わる付加価値の連鎖に即して、職務内容の
度(EMAS)に沿って、ウォルフスブルグの2つの発電
類似する業務分野においてカギとなるスキルを学びま
施設の環境監査を受けました。さらに今日までにその他
す。これにより同じ「ジョブファミリー」のなかで、個
の発電施設も全てEMASの認証を取得しました。うち
人の能力やキャリアの開発の可能性が高まります。
4ヵ所の発電施設では、エネルギーを効率的に使用する
2003年に初めてのジョブファミリー・ディベロップメ
ため、冷房設備も併せ持つコージェネレーションを稼動
ント・プログラムとして「自動車エレクトロニクス」の
させています(52)。
プログラムが試験的に実施され、続いて2004年と
2005年には年3回のプログラムが実施されました。景
ウォルフスブルグ宣言
気に左右されず、人材開発のためにのみ使われる予算を
フォルクスワーゲンやフォルクスワーゲン インモビーリ
確保することで、2004年は経済的に厳しいなかでも若
エン社とともに、フォルクスワーゲン クラフトヴェルク
い従業員を対象とする研修を行うことができました。
は気候変動対策のためのウォルフスブルグ宣言に署名し
ました。これは地域的に有効な方策を実施することで、
職業訓練のコンセプト
国際的に合意された気候保全目標達成に貢献することを
実際の業務や作業プロセスに沿った研修を行うという考
目的とするものです。さらにフォルクスワーゲン クラフ
え方により、フォルクスワーゲン コーチングは実践的な
トヴェルクは、地域のアジェンダ21のエネルギー保全
研修を担保しています。2004年にはドイツ国内にある
ワーキンググループにも積極的に参加しています。
フォルクスワーゲンの生産拠点で27職種の若い従業員
4,348人が研修を受けました。レディ・フォー・ワーク
(ready4work)プログラムにより、フォルクスワーゲン
コーチングは失業中の若者にも職業訓練を受ける機会を
提供しています(51)。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
フォルクスワーゲン トランスポート ウォルフスブルグ
(Volkswagen Transport) (Wolfsburg AG)
フォルクスワーゲン トランスポート社はフォルクスワー
フォルクスワーゲン グループとウォルフスブルグ市によ
ゲン グループの14カ所の生産拠点の部品や車両の運搬
る官民提携の事業であるウォルフスブルグ社は1999年
を担っており、またそれらのサービスを他社にも提供し
の設立以来、アウトヴィジョンプログラムを実施してき
ています。2004年には、120カ国以上で部品など
ました(53)。同社設立の目的は持続可能な方法で地
1,030万トンと車両330万台を取り扱いました。約
域経済を強化し、新たな雇用の可能性を生むことにあり
1,500人の従業員が世界各地で複雑な輸送、物流、調達
ます。正社員190人に加え、月平均で800人(2005
プロセスを管理しています。
年時点)を雇用し、サプライヤーの拠点設立やその他の
起業支援、さらに人材サービスエージェンシー(PSA)
節約の可能性を広げる
や、「サステイナビリティ&ビジネスネットワーク」と
フォルクスワーゲン トランスポートは、戦略的に輸送の
いったサービス事業の拡大に重点的に取り組んでいます。
最適化・減量化を図ることで、フォルクスワーゲン グ
ループの競争力を高める上で重要な役割を果たしていま
持続可能な地域開発
す。最適化・減量化の可能性を最大限に生かすため、同
ますます逼迫しつつあるエネルギー資源や廃棄物問題を
社はすでにコンテナ管理や車両注文の中央管理まで担当
背景として、「サステイナビリティ&ビジネスネット
しており、また2007年末からはグループ全体の輸送プ
ワーク」は資源循環マネージメント分野における可能性
ロセスを担う予定です。
を探ることを狙いとしています。2003年からはサステ
フォルクスワーゲン グループ取締役会はフォルクスワー
イナビリティという課題にも焦点を当てて取り組むよう
ゲン トランスポートに、各モデルの生産工程の段階から
になりました。ウォルフスブルグ社にとってサステイナ
業務参加する権限を与え、同社は実際プロジェクト確定
ビリティとは何よりも、新たなアイディアで雇用を創
から量産にいたるまで、輸送プロセスに関するあらゆる
出・維持することにあります。そして実際、2004年末
意思決定に関与しています。その目的は明確です。輸送
までにウォルフスブルグ市では約8,000件の新たな雇用
はできるだけ避け、あらゆる節約の可能性を広げること
が生まれ、失業率は8.2%まで下がりました。この活動
です。特にコンポーネントの梱包と解体、供給元や工場
は現在、モビリティ、娯楽、旅行、健康の専門分野を発
の生産能力の配置に関する決定、上流工程における物流
展させて事業体にすることを目指して活動しています。
などには節約のための工夫の余地があります。
また、ブラウンシュヴァイク、ウォルフスブルグ、ザル
ツギッターの各生産拠点からのコンテナはブラウンシュ
ヴァイクからハンブルクへ運河を利用して輸送するため、
1週間にトラック150台分の陸上輸送を削減できます。
READ MORE ON THE INTERNET
51
レディ・フォー・ワーク(ready4work):
地域の若年失業率の高さを契機として革
新的なプロジェクトを開始。
52
効率的なエネルギー生産:冷房設備を伴
うコージェネレーションは、フォルク
スワーゲン クラフトヴェルクの成功の
秘訣。
53
アウトヴィジョン:地域の未来のための
官民提携事業モデル。
41
42
データ,目標,評価
フォルクスワーゲン ブランドの環境レポート2003/
環境指標
2004で、私たちは初めてグループレベルで取りまとめ
フォルクスワーゲン グループは環境データ収集にあたり
たいくつかのサステイナビリティ指標を公表しました。
グループ独自の基準(フォルクスワーゲン グループ基準
今回はこれに引き続き本レポートでグループレベルの指
98 000)を設けています。そして各生産拠点はすでに
標を掲載し、さらに各傘下ブランド、関連企業、地域に
長年にわたりこの基準に従いデータ収集にあたっていま
関する指標はウェブサイトで公開しています。
す。環境指標は生産拠点や主要な関連企業を対象にして
(www.volkswagen-sustainability.com)
おり、全従業員の約87%をカバーしています。世界各国
の生産拠点では、ISO14001や欧州環境管理監査制度に
データの収集
基づき監査が行われています(31ページ参照)
。
近年の動向を示すため、本レポートには過去3年間分の
将来的には生産関連指標に加え、製品のライフサイクル
主な指標を掲載しています。データは2001年からグ
全体を通した環境負荷もさらに考慮したいと考えていま
ループレベルで集計されており、個々のデータ収集の責
す。フォルクスワーゲン グループはすでに長年にわたり、
任は各ブランドおよび関連企業が負っています。掲載し
いわゆる「ライフサイクルインベントリー」を作成し、
ている情報は基本的に、会計年度(1月1日∼12月31
自社の製品に使用される原材料やパーツの正確なデータ
日)内の絶対指標に限定されています。製品群が幅広く
取得に努めています。個々のモデルのライフサイクルイ
性質が多様であるため、製品ユニットごとのデータに変
。
ンベントリーはウェブサイトに掲載されています
(54)
換した指標を作成することにはほとんど意味がないと考
えています。
なお、次の生産拠点は環境関連データには含まれていま
これまでにデータ集計システムの最適化が進み、いくつ
せん:
かあったシステム上のミスもなくなりました。その結果、
ブガッティ(フランス・モルスハイム)、ギアボックス
2002年の一部の指標は若干修正する必要がありまし
デルプラト社(スペイン)、グレーゼルネ マヌファク
た。以降のページで掲載しているグループ指標は環境、
トゥール社(ドイツ・ドレスデン)
、シュコダ オート イ
社会、財務の3分野に分かれており、2002∼2004年
ンディア(インド・アウランガバード)、ズィーテック
の報告期間の動向を示しています。今後も私たちはサス
社(ドイツ・ウォルフスブルグ)、フォルクスワーゲン
テイナビリティレポート作成のため、より広範囲かつ体
メカトロニック社(ドイツ・シュトールベルク)、フォ
系的なデータ収集に努めていくつもりです。
ルクスワーゲン サラエボ(ボスニア・ヘルツェコビナ)
、
上海フォルクスワーゲン トランスミッション有限公司
(中国)。
READ MORE ON THE INTERNET
54
ライフサイクル インベントリー:フォル
クスワーゲン グループのライフサイクル
インベントリーは、個々のモデルのライ
フサイクル全体を通じた消費資源や排出
物質を示す。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
次の関連企業も環境データには含まれていません:
財務指標
アウトシュタット、コーディネーションセンター
本レポートに掲載されている指標は、2002∼2004年
フォルクスワーゲン社、ユーロップカー グループ、ファ
の報告期間全体を通し、国際財務報告基準(IFRS)に準
イナンシャル サービスAG、ゲダス グループ、フォルク
じています。
スワーゲン ベタイリグングス ゲゼルシャフト、フォル
クスワーゲン インターナショナルファイナンス N.V.、
フォルクスワーゲン インヴェストメント、フォルクス
ワーゲン インモビーリエン、ヴォーテックス社、フォル
クスワーゲン クラフトヴェルク、フォルクスワーゲン
トランスポート、フォルクスワーゲン フェルズィッヒャ
ルングス フェルミットルンク。
社会指標
フォルクスワーゲン グループの組織は多分野にわたり拡
大をしているため、これまでグループ全体の社会指標統
計システムがありませんでした。こうしたシステムの構
築は現在最終段階にあり、2006年から段階的に導入し
ていく予定です。新たに開発された管理システムが人事
部門に導入されたのに伴い、今後社会指標の報告を拡大
し、フォルクスワーゲン グループ・サステイナビリ
ティ・サイト上に掲載していく予定です。
(www.volkswagen-sustainability.com)
本レポートではこれまでのレポートに引き続き、生産拠
点の社会指標(但し中国の生産拠点は例外とする)の
データを掲載しています。これらの指標は従業員の約
83%をカバーしています。ウェブサイトではさらに
ファイナンシャルサービス事業の社会指標も公開してい
ます。
43
44
用語解説
淡水使用量: 公共または民間の水供給業者から供給され
化学的酸素要求量(COD): 排水に含まれる有機物
た水、湧き水、公共用水域、雨水、河川や湖などから独自
が完全に酸化されるのに必要な酸素量。CODの値は被酸
に採取した水。
化性物質を含む排水の汚濁状況を表す指標。
有害廃棄物: 人体や環境にとって重大な危険性のある
直接CO2排出量: 生産拠点の金属部品熱処理施設や熱
廃棄物。特定の予防安全策に従って処理または埋め立て
エネルギー供給設備などで、天然ガスや石炭などのエネ
を行わなければならない。
ルギー資源の燃焼により排出されるCO2量。電力や地域
暖房などにより他の場所で発生する間接的なCO2排出量
工業廃棄物:ここでは有害廃棄物との対比で、人体や環
については、国際的に統一された計算手法がないため、
境にとってそれほど危険ではない廃棄物を指す。
当面は開示を見合わせている。
金属廃棄物: 鉄または非鉄金属を含有する、チップや
エネルギー消費:生産工程や自社の熱エネルギー供給
ケーブル片、スクラップ、使用済み機械、スクラップさ
設備で熱を発生させるために使う天然ガスが主で、その
れた金属機械などの廃棄物。これらの廃棄物はほとんど
ほかには石炭やプロパンがある。エネルギー総使用量は
が金属リサイクルに回される。
生産拠点における燃料投入量と外部からの購入電力や地
域暖房から計算。なお、この計算にあたりフォルクス
揮発性有機化合物(VOC): VOCは地表近くに形成
ワーゲン クラフトヴェルクは外部のエネルギー供給事業
されるオゾンの原因物質となる。フォルクスワーゲン グ
者として扱っている。
ループにおいては塗装作業場が主な排出源。
環境保全投資: 生産工程で生じる有害な影響から環境
廃棄物: 廃棄物は国ごとの法律により分類が異なる。
を保護することを主な目的とした土地、工場、設備への
統計に統一性をもたせるため、フォルクスワーゲン グ
投資。製品関連の施策と生産関連の施策のいずれをも指
ループは世界共通の分類定義を設けた(工業廃棄物、有
す。データはフォルクスワーゲン グループの欧州生産拠
害廃棄物、金属廃棄物の項を参照)。建設工事から生じ
点(セアトを除く)についてのみ掲載。その他の生産拠
る廃棄物(破砕された建材や掘り起こされた土壌など)
点およびセアトについては現在報告システムを開発中。
は含まれない。
環境保全コスト: 環境保全のための設備や施設の稼動、
排水量: 使用後または処理後に、河川や地下水、公共
施策から生じるコスト。この対象は生産関連活動に限定
または民間の下水道や汚水浄化設備に直接放出される、
される。データはフォルクスワーゲン グループの欧州生
もしくはタンカーで廃水処理施設に運ばれる水の量。
産拠点だけを対象としている。その他の生産拠点の環境
保全コストは記録方法の違いにより比較できない為。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
主な指標
環境指標
エネルギー消費量
(単位:100万MWh/年)
5.61
2002
2.71
かつてないほどエネルギー集約的な生産工程が必要
7.09
2.83
同時に車両の燃料消費量を削減し、総合的な環境負
荷を軽減するという分析結果もあります。生産工程
7.18
におけるあらゆる節約の可能性を現実のものにする
15.86
5.68
2004
となってきています。しかし、こうした生産工程は
15.41
5.84
2003
3.02
ため、経営陣は2002年にグループ共通のプログラ
ムを策定しました(31ページ参照)。すでにさまざ
7.21
まな形で施策が実施されていますが、まだエネル
15.91
0
5
■ 燃料投入量(ガス・石炭)
■ 電気エネルギー
10
ギー消費量の削減をはっきりと示せるまでにはい
15
20
(単位:100万t/年)
1.36
2003
直接CO2排出量が増えたのは、中国の生産拠点で生
1.32
2004
0.5
1.0
産台数が大幅に増加したことが原因です。
1.5
2.0
揮発性有機化合物(VOC)
(単位:t/年)
フリカで溶媒含有量の少ない水溶性あるいは粉末状
19,721
2003
の塗料を使用する新しい塗装工場を建設中です。
18,922
2004
10,000
15,000
20,000
淡水使用量と排水量
25.46
2003
2004
0
10
■ 排水量
20
の生産量が大きく変動したことによるものです。
地球規模で水資源を保全するため、フォルクスワー
で水循環システムを構築するための技術を導入する
など、包括的な水資源節約プログラムを実施してい
32.30
23.74
2003年と2004年のVOC排出量の増減は、中国で
ゲン グループは従業員啓発キャンペーンや生産工程
34.81
33.66
24.50
■ 淡水使用量
25,000
(単位:100万m3/年)
2002
VOC排出を抑制するための溶媒使用量の少ない塗装
方法への転換は、欧州ではほぼ完了し、現在は南ア
19,253
2002
5,000
直接CO 2 排出量には車両生産工程におけるエネル
ギー使用量が大きく関係します。例えば2003年に
1.23
2002
0
たっていません。
■ 地域暖房
■ 計
直接CO2排出量
0
自動車製造には、加工熱処理やレーザー溶接など、
ます。国際的に目標を達成しようという決意は水使
用量の継続的な減少に表れています。
30
40
45
46
COD負荷量
(単位:t/年)
と異なり、2002年にはまだ一部の生産拠点で記録
3,718
2003
されていなかったためです。
3,673
2004
0
1,000
2,000
3,000
4,000
廃棄量
5,000
(単位:t/年)
プ指標とは異なり、本レポートのデータには中国・
上海やブラジル・クリチバの生産拠点の廃棄物デー
1,269,453
87,712
199,079
73,159
115,227
2003
0
250,000
タが含まれています。サーマルリサイクルの増加に
より、廃棄する産業廃棄物の量は削減されました。
2003年と2004年の産業廃棄物リサイクル量が非
1,332,132
98,231
195,651
73,637
111,849
2004
廃棄物の量を左右するのは車両生産台数です。フォ
ルクスワーゲン環境レポート2003/2004のグルー
103,766
170,334
69,936
116,969
2002
■
■
■
■
■
定しています。2003年に増加したのは、他の指標
3,380
2002
生産工程で排出される廃水のCOD負荷量は比較的安
常に多いのは、新モデルの導入に伴い梱包材が増え
たためです。また金属廃棄物が増加したのは、モデ
ルチェンジにより古いツール・設備の入れ替えやス
1,344,084
500,000
750,000
1,000,000
1,250,000
1,500,000
クラップが行われたことと、車体製造部門でのプレ
スミスが原因です。
産業廃棄物(廃棄)
産業廃棄物(リサイクル)
有害廃棄物(リサイクル)
有害廃棄物(廃棄)
金属廃棄物
環境コスト
(単位:100万ユーロ/年)
ています。従って、新しいモデルの導入に対する投
100.62
2002
258.95
64.77
2003
0
■ 環境保全投資
■ 環境保全コスト
50
資が2002年以降に減ってから、環境保全への投資
も減少しました。より大きな影響をもたらしたのが、
272.90
末端処理的な環境保全から生産プロセスや設備にま
54.12
2004
環境保全への投資は全体的な投資額と密接に関連し
273.63
100
150
200
250
300
で目を向けた包括的な環境保全策へのフォルクス
350
ワーゲン グループの戦略的な転換ですが、これは今
回のデータには反映されていません。一方、環境保
全コストは欧州を中心にやや増加しました。しかし
ここでも、グループレベルで導入されたコスト削減
策の影響が今後表れてくるでしょう(50ページ、目
標参照)。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
社会指標
女性従業員の割合
(単位:%)
ファイナンシャルサービスやレンタカー、その他の
11.4
2002
サービス部門では、女性の占める割合は左記のデー
11.6
2003
タを大きく上回ります。
12.0
2004
0
5
ここに記載されたデータは生産拠点のものです。
10
15
研修生の割合(ドイツ)
(単位:%)
4.1
2002
研修生の割合は企業の将来性を考える上で重要な指
標であるだけでなく、継続的な社会発展への貢献と
2003
4.2
いう意味でも重要な指標です。他国ではドイツの
2004
4.2
デュアル研修システムに相当する研修モデルがない
0
1
2
3
4
5
ため、ドイツ国内のみのデータを記載しています。
フォルクスワーゲン グループは、実際には複数の海
外生産拠点でも同様の研修システムを整備している
のですが、これらはドイツのモデルと直接比較でき
ないため、データには反映していません。
従業員の離職率
(単位:%)
2002
2.6
従業員の離職率は、従業員満足度の指標です。この
データは従業員自らの意思による雇用契約の終了だ
2003
1.6
2004
1.6
0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
健康指標
けを示しており、定年退職や解雇は含まれていません。
3.0
(単位:%)
2002
96.7
2003
97.1
2004
97.3
0
20
40
60
80
100
健康指標は、出勤可能な最大日数を100%とし、そ
こから疾病や事故による欠勤日数を除いた割合で決
定しています。中国の生産拠点もデータに含まれて
います。
47
48
中南米や中国の生産拠点で大幅な改善につながった
労災事故
さまざまな労働安全プログラムのおかげで、事故労
2,904
2002
44,355
2,603
2003
0
減することができました。2002∼2004年の3年
35,113
間に、毎年2件の労災による死亡事故が発生しました。
2,265
2004
災件数だけでなく、労災による欠勤日数も大きく削
31,008
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
■ 労災事故件数
■ 欠勤日数
労災事故指標
事故頻度指数は、総勤務時間に対する労災事故の頻
度を示しています。
7.8
2002
6.7
2003
5.7
2004
0
■ 事故頻度
■ 事故重大性の指数
5
11.8
(計算式:労災事故件数×100万/勤務時間)
事故重大性の指数は、総勤務時間に対する欠勤日数
9.1
の割合を計算して算出します。
7.8
(計算式:欠勤日数×100万/勤務時間×10)
10
15
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
財務指標
車両台数データ
販売台数(台)
2002
4,996,179
2003
5,016,000
2004
5,143,000
生産台数(台)
5,023,264
5,021,000
5,093,000
324,892
336,843
343,502
従業員数(12月31日時点)
財務データ
(単位:100万ユーロ)
2002
85,293
2003
84,813
2004
88,963
税引き前利益
3,986
1,354
1,099
税引き後利益
2,597
1,003
716
営業活動によるキャッシュフロー
10,460
8,371
11,494
投資活動によるキャッシュフロー
16,016
15,464
15,079
売上高
フォルクスワーゲン グループが生み出した付加価値
(単位:100万ユーロ)
付加価値
2002
19,757
2003
17,898
2004
18,011
86,948
84,813
88,963
8,605
4,917
5,183
−75,796
−71,832
−76,135
資金の財源
売上高
その他の収入
前払費用
資金の配分
株主(配当金)
従業員(賃金、給料、社会保険料分担金)
505
409
409
13,313
13,878
14,060
国(税金、徴収)
1,573
799
1,024
債権者(利息支払)
2,275
2,218
2,211
会社(準備金)
2,091
594
307
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
49
50
目標
サステイナビリティプログラム2005
目標
活動
期限
エコフューエル(EcoFuel)天然ガスパワートレインをさらに多くの車両に拡大させる
2005年から
液化ガス(LPG)車両を中国で、特にタクシー向けに提供する
2006年モデルから
ディーゼルとガソリンエンジンの利点を組み合わせた新しい複合燃焼システム(CCS)を
2007年まで
環境適合性
CO2排出量とエネルギー消費量の削減
開発し、プロトタイプを発表する
アウディQ7のガソリン/電気ハイブリッド車を米国に投入する
2008年まで
上海フォルクスワーゲンと上海の同済大学の共同プロジェクトで、ガソリン/電気ハイブ
2008年まで
リッド車を2008年の北京オリンピックまでに開発する
ゴルフで導入した低燃費かつ高パフォーマンスのTSI技術を他クラスの車両でも採用する
2006年から
CO2削減戦略の一つの柱であるDSG(ダイレクト・シフト・ギアボックス)の燃費節約機
進行中
能をさらに高める
ガソリンやディーゼル燃料に加え再生可能エネルギーの利用拡大をにらんだ駆動ユニット
進行中
の組織的準備
大気汚染の減少
環境マネージメントの最適化
ディーゼルパティキュレートフィルターを全モデルに提供する
2006年から
NOx吸収触媒やSCRによりNOx削減に対する法規制を満たす
2010年以前
今後3年ごとに開催予定の地域会議の権限を拡大する
2006年から
ライフサイクルアセスメントによりハイブリッド開発を環境面でさらに支援する
2005年から
アンシエッタ、クリチバ、パチェコ、ドレスデンの各生産拠点でISOまたはEMASの認証
2006年まで
取得
フォルクスワーゲン グループは持続可能な発展を促
本レポートはグループ全体としての取り組みに主眼
進するために2007年12月までの報告期間とそれ以
を置いているため、グループ全体にとって戦略的に
降のグループ共通の目標を設定しています。各傘下
重要な目標およびその活動のみを紹介しています。
ブランドおよび関連企業はこれらの目標を基盤にそ
次回のレポートでは、これらの目標を達成できたか
れぞれの事業目標を設定しています。2003年発行
どうか、またどのように達成したかを報告する予定
の環境レポートに記載されたフォルクスワーゲン ブ
です。
ランドグループ目標の達成状況は、フォルクスワー
ゲンのウェブサイトでご覧いただけます。
(www.mobility-and-sustainability.com)
私たちの戦略
私たちの課題
目標
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
活動
期限
ILO、GTZや地元自治体との統合的なプロジェクトを実施し、新興経済諸国のサプライ
2008年まで
社会的責任
労働安全・衛生の向上
ヤーの労働安全・衛生を改善する
雇用の維持
人材開発
革新的な業務体制を実現できるような協約を策定するなど、労働協約を強化、実施する
進行中
アウトヴィジョンのような革新的な雇用/事業拠点発展モデルを拡大させる
進行中
アウト5000コンセプトを基盤とした新しい生産工場コンセプトのさらなる開発
進行中
革新的なジョブファミリー人材開発コンセプトの実施を加速させる
進行中
能力戦略の最適化や年齢に適した労働体制の確立など、人口構成の変化に備えたコンセプ
進行中
トの開発
データ収集の強化
グループレベルでの人事監査最適化を目的とするグループ共通の社会指標データ記録シス
2006年から
テムの開発
交通安全の推進
車両、ドライバー、環境の相互関係を最適化するため、中国における事故調査研究を確立
2007年まで
する
次世代への公正の確保
従業員年金計画の長期的なサステイナビリティの確保
進行中
パフォーマンス強化プログラムフォーモーション(ForMotion)に次ぐフォーモーショ
2004∼2008年
ビジネス面における実行力
利益の増加
ン・プラス(ForMotion Plus)を実施し、各傘下ブランドおよび関連企業に利益損失の
責任を分散させる。グループ目標は2004年を基準として2008年に税引き前利益の40億
ユーロ増を達成させる
配当の増加
流動性の確保
グループの国際化
自動車部門で税引き後投資収益率9%を目指す
進行中
ファイナンシャルサービス部門で税引き前株主資本利益率20%を目指す
進行中
自動車部門でフリーキャッシュフローを生み出す
進行中
欧州の一自動車輸出企業から、人材、ノウハウ、総合的な製品・サービスを統合した世界
2010年まで
的ネットワークへと発展し、自動車輸出事業体の数を増やす
透明性の向上
持続可能な株主価値の強化
サプライチェーンにおけるサステイナビリティ
の最適化
取締役会と監査役会の全メンバーの報酬をアニュアルレポートで開示する
2006年から
国内・国際部門のサステイナビリティ指標ランキングにおける首位を回復する
2007年まで
サプライヤー向けウェブサイトに環境と社会に対する責任(Environmental and Social
2006年まで
Responsibility)という項目を作り、サプライヤーが遵守すべき環境と社会に対する責任
の要求事項やガイドラインをすべて閲覧できるようにする
サプライヤーに環境、労働安全衛生、社会的責任の各問題についての自己報告制度を導入
2006年まで
する
サプライヤーに環境と社会に対する責任について専門家の支援を提供する
2006年から
サプライヤーにおける環境マネージメントシステムの認証取得を促進する
2008年から
51
52
第三者評価
サステイナビリティ指標ランキングや企業倫理・環
透明性の高い報告
境関連のファンドによる格付けは、サステイナビリ
フォルクスワーゲン ブランドグループの環境レポー
ティに対する企業パフォーマンスの重要な指標と考
トは環境報告書の模範としてここ数年評価されてき
えられています。具体的な基準で実績が測れる企業
ました。ロンドンにあるサステナビリティ社の「グ
だけが選ばれるからです。
ローバル・レポーターズ2004 サステイナビリティ
レポート国際調査」では、フォルクスワーゲンの環
サステイナビリティ指標ランキング
境レポート2003/2004が前回に続きドイツ企業の
フォルクスワーゲン グループは、1999年にダウ
報告書としては最高得点を獲得し(22位)、自動車
ジョーンズ・サステイナビリティ・インデックスが
業界では2位となりました。この卓越した実績は
設定されて以来、一貫して自動車業界首位にランク
2005年1月に社団法人フューチャーとエコロジカ
されていましたが、2005年9月19日以来その座を
ル経済予測研究所(IÖW)が行ったドイツのサステ
明け渡したままです。チューリッヒに拠点を置く調
イナビリティレポートの格付けでも裏付けられまし
査会社、SAMグループによるサステイナビリティ関
た。この格付けでフォルクスワーゲンのレポートは、
連の評価では前年よりポイントが高かったものの、
ドイツの自動車業界のレポートで1位、全産業では7
トップを維持するには十分ではありませんでした。
位に選ばれました。
次回の評価では失った地位を奪回できるよう現在全
フォルクスワーゲン環境レポートの日本語版は、
力を尽くしています。
2004年1月に東京で開催された第7回「環境レポー
2001年に設定されたサステイナビリティ・イン
ト大賞」で「持続可能性報告優秀賞」を受賞しまし
デックスFTSE4Good Europe銘柄に、フォルクス
た。この受賞においてはフォルクスワーゲンの明確
ワーゲンは現在も引き続き組み入れられています。
な環境・サステイナビリティ戦略が特に高く評価さ
このインデックスの基準は投資対象となる企業の社
れました。
会的責任をより正面から捉えるものです。
カリフォルニアにあるクレアモント・マッケナ・カ
また2005年1月初旬には、フォルクスワーゲン グ
レッジのロバーツ環境センターが評価を実施してい
ループがイノベスト社の「世界で最も持続可能性の
るパシフィック・サステイナビリティ・インデック
あ る 100社 ( Global 100 Most Sustainable
ス・スコア(PSI)では、2005年4月にフォルクス
Corporations in the World)
」に選ばれたことがダ
ワーゲンのレポートが、フォーチュン誌のグローバ
ボスで開かれた世界経済フォーラムで発表され、こ
ル500とフォーチュン1000に名を連ねる600社以
れにより革新的でサステイナビリティ志向の企業と
上のなかで、ゼネラル・モーターズ社と並んで1位
いうフォルクスワーゲン グループの評価が広く認知
に選ばれました。
されました。フォルクスワーゲン グループは2005
年6月にScoris社が実施した企業のサステイナビリ
ティ評価、DAX30でも6位に選ばれました。
私たちの戦略
私たちの課題
私たちの取り組み
傘下ブランドと関連企業
データ,目標,評価
従業員協議会からあとがきにかえて
サステイナビリティは変革と
雇用保障をもたらす
フォルクスワーゲン グループにおいて、サステイナビリ
1995年に全世界的に適用されたフォルクスワーゲン環境方
ティは雇用保障や従業員の共同決定と不可分の関係にありま
針、また同年に発効したフォルクスワーゲンAGの環境保全
す。過去数十年にもわたり、取締役会、経営陣、従業員の代
に関する合意と同様に、2002年に策定された社会憲章は、
表が、対立関係を解決するため慎重に各当事者間のバランス
社会水準のベンチマークを築きました。従業員協議会は従業
をとりつつ共同アプローチを推進してきた結果、会社の営業
員の将来を長期的に守り、全生産拠点で地域の発展を促進す
目標を達成することと、従業員および生産拠点のある地域の
るためのプロジェクトを実施しています。
経済的安定との間の均衡が程良く保たれた状態となってきま
厳しさを増しつつある自動車業界の経済環境を考えると、グ
した。
ループのすべての意思決定者と協力して、ドイツで工業生産
フォルクスワーゲン事件における個人の不正行為により、共
が存続できることを絶えず実証していくことが私たちの目標
同決定全般に社会の目が向けられました。世界従業員協議会
となります。しかしこの過程で、雇用保障と経済効率のバラ
は事件の全容解明を積極的に支援しています。これにより透
ンスは維持しなければなりません。この均衡が、フォルクス
明性や、管理機能が効果的に働くしくみが持続可能な企業経
ワーゲンAGが持続可能な発展を続けるためのカギとなるの
営にとって不可欠であることが改めて明確になりました。し
です。
かし、事件によって共同決定の原則そのものが疑問視される
ことはありません。共同決定の価値は認められており、特に
将来の課題を考えれば、利益の公正なバランスを維持するた
めに重要な役割を果たすでしょう。
ウォルフスブルグ 2005年11月
フォルクスワーゲン グループは厳しさを増す市場環境のな
かで勝ち抜いていくために、経営陣は現行のプロセスをすべ
て見直し、見出された問題点に果敢に立ち向かう決意です。
ベルント オスターロー
計画を進めるに当たり、グループ世界従業員協議会は建設的
フォルクスワーゲン従業員協議会議長
な経営管理に努めます。企業の持続可能な発展の基礎となる
のは経済効率ですが、これは工場や従業員の将来の安心を犠
牲にして得られるものであってはなりません。
フォルクスワーゲンの従業員の代表たちは、自身の役割を、
革新的な問題解決の原動力だと考えています。彼らは週4日
労働制やアウト5000、アウトヴィジョンプログラムなどの
雇用モデルを形作るうえで決定的な役割を果たしました。
2011年まで会社側からの一方的解雇を行わないことを定め
た持続可能な労働協約(Sustainability Agreement)にお
いても重要な役割を果たしたことは言うまでもありません。
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監査報告書
範囲
示レベルの新たな標準を確立しています。良いニュースととも
フォルクスワーゲンAGのサステイナビリティレポート
に、成果の上がらなかった取り組みに関する情報や目標の対立、
2005/2006は、グループ全体について記載された初のサステ
「3リッター」ルポTDIの生産中止といったマイナスの情報も紹
イナビリティレポートです。ボーダーステップ・インスティ
介しているからです。グループの活動や取締役会・従業員協議
テュート・フォー・イノベーション・アンド・サステイナビリ
会メンバーの意見やコメントを生き生きと紹介していることも、
ティ社は2005年8月31日付の書簡で、ウォルフスブルグに拠
サステイナビリティという観点から見たグループの位置づけの
点を置くフォルクスワーゲンAGから、このレポートの完成度、
透明性を高めています。
長所と欠点、フォルクスワーゲンの持続可能な発展のための規
本レポートはGRIの基準を参考にしており、同基準を完全にで
範との一貫性を検証するよう依頼を受けました。検証にあたっ
はないにしても、かなりの程度満たしています。基準に合致し
ては、レポートが直接言及するすべての詳細情報も対象となり
ていない項目は、本レポートのGRIガイドライン対照表で確認
ます。
できます。
本レポートは自動車業界が直面する将来の課題を模範的な手法
方法
で紹介するとともに、ドイツにおける雇用保障関連の社会問題
検証の基礎としたのはGRIのサステイナビリティ・リポーティン
というサステイナビリティの重要な側面や、燃料消費量の削減、
グ・ガイドライン(2002)、同自動車業種別補足文書原案
代替燃料・代替パワートレインといった技術的な側面も扱って
(2003)、エコロジカル経済予測研究所(IÖW)と社団法人
います。しかし、これを念頭にフォルクスワーゲンの持続可能
フューチャーのサステイナビリティレポートの評価基準(2005)
な発展のための規範と照らし合わせてみた結果、以下のような
および同自動車製造業者に関連する業界要求事項です。一貫性に
重要情報がいくつか掲載されていないことがわかりました。
関する検証では、フォルクスワーゲンの持続可能な発展のための
• 2008年以降の平均燃料消費量に関する拘束力のある削減目標
規範に対して、どの程度レポートの内容や具体的な目標・施策が
• グループのサステイナビリティの取り組みにおける各傘下ブラン
呼応しているかを考慮しました。検証の詳細はホームページに掲
載されています。(www.volkswagen-sustainability.com)
検証の過程で、私たちは依頼された任務を遂行するにあたり、
関連性のある、また信頼できる事実やデータを決定する社内シ
ドおよび関連企業の戦略的な位置づけ
• 自動車1台あたりの原料使用量の目標値と金属やプラスチックの
環境負荷に関する目標値
• 世界規模の社会憲章の実施に関する情報
ステムおよびプロセスの実効性を調査しませんでした。また、
サステイナビリティレポートで提供されている事実やデータ、
推奨事項
因果関係に関する情報の精度もチェックしていません。そうし
1995年に環境レポートを初めて発行して以来、フォルクス
た検証はもっぱらフォルクスワーゲンAG自身が独自に行い、環
ワーゲンは環境およびサステイナビリティの報告を継続的に改
境マネージメントの範囲内で、フォルクスワーゲンからの依頼
善してきました。さらに適切な内容とするために、以下の点に
を受けた環境の専門家や認証機関によって行われています。
取り組むことを推奨します。
• グループレベルの総合的なサステイナビリティの報告書として継
結果
続して内容を充実させる
本レポートで、フォルクスワーゲンは傘下ブランドや関連企業
• カギとなる指標の範囲をGRIの要求事項に沿って拡大し充実させる
の総合的なサステイナビリティの報告に向け大きな一歩を踏み
• 上述の不足事項に対し適切なデータや目標を明示して次のレポー
出しています。ウェブサイトとの相互参照システムを採用して
トで考察する
いるため、幅広い活動や実績が印刷形式のレポートでも管理可
能なレベルを維持し、まとめられています。同時に、関心を抱
く関係者や専門家向けに、背景情報やさまざまなブランド、ト
ピックス、工場の基礎データを体系的に参照できるように整理
PD Dr. クラウス フィヒター
Dr. イェンス クラウゼン
されています。
ベルリン,ハノーバー 2005年11月15日
本レポートは高い信頼性を特長とし、主要な国際企業の情報開
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監査報告書の背景
◆ FAX 0532-44-2887 ◆
「サステイナビリティレポート 2005/2006」への
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サステイナビリティレポート日本語版編集チーム
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Q2.
フォルクスワーゲン グループのサステイナビリティに対する考え方・活動内容をご理解いただけましたでしょうか?
Q3.
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□良い
□良く理解できた
□おおよそ理解できた
理解でなかった理由を具体的にお聞かせください。
(
□まあまあ
□理解できなかった
)
フォルクスワーゲン グループのサステイナビリティに対する考え方・活動内容をどのようお感じになられましたか?
□フォルクスワーゲン グループのイメージにふさわしい
□新たにプラスのイメージを持った
□フォルクスワーゲン グループのイメージにふさわ
しくない
□新たにマイナスのイメージを持った
Q4.
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Q5.
もっと詳しくお知りになりたい情報があればご記入ください。
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Q7.
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□私たちの課題(エネルギー、グローバリゼーション)
□私たちの取り組み(雇用、製品)
□傘下ブランドと関連企業
□データ,目標,評価
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(
)
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