H26 全校朝会の話 №29 寒苦鳥(かんくちょう) 2015.2.16 校長 西谷 秀幸 板橋区教育委員会訪問(金曜日)の話。 薬物乱用防止教室(木曜日・6年)の話。 挨拶週間(5年)の話。 今日は、昔のインドの話を紹介します。 昔々、雪がたくさん降り積もるインドの山奥に、寒苦鳥(か んくちょう)という鳥が住んでいました。この鳥は、ものすご く怠けものの鳥でした。なんと、自分の巣を作らないのです。 昼間は太陽が出てとても暖かくなります。だから、寒苦鳥は歌を歌ったり、遊び回った りしていました。 夜になると、他の鳥たちは自分の巣に帰りますが、自分の巣を作らない寒苦鳥には帰る 家がありません。雪山ですから、夜はものすごく寒いです。木の枝で寒さにブルブルと震 えながら、寒苦鳥は「あー寒い。明日こそは、怠けないで絶対に巣を作ろう!」と涙を流 しながら決心しました。 ところが次の日になると、太陽が出て暖かくなるため、寒苦鳥は前の日のことをすっか り忘れて、いつもと同じように遊び回りました。そして、夜になるとまた「明日こそは、 巣を作ろう!」と決心します。しかし、その次の日になると、暖かさでまた巣を作ること を忘れてしまうのでした。 こんな風に、毎日毎日同じことを繰り返して、寒苦鳥はついに巣を作ることなく、むな しく一生を終えてしまいました。 「明日はやろう、明日はやろう」といつも思い、反省するのですが、行動に移せない鳥、 それが寒苦鳥です。 こ こ ま で 聞 い て 、「 あ れ ? こ れ っ て 自 分 に 似 て い る な ぁ 。」 と 思 っ た 人 は い ま せ ん か 。 どんな人の心にも「寒苦鳥のような怠ける心」はあります。しかし、その心に打ち勝って、 やることをしっかりとやっていかなくては成長がありません。 今の学年もあと少し、学校に来るのは28日間(4~6年生は29日間)です。みなさ んは寒苦鳥になることなく、やることをしっかりとやって新しい学年を迎えましょう。 これで朝会の話を終わります。 (裏面に「先生方へ」があります) 〈先生方へ〉 先日は、区教委訪問、お疲れさまでした。各クラス、数分間の授業参観でしたが、 指導主事をはじめ、教育委員会の方々は、板八小の先生たちがきめ細かに指導する姿 や子供たちがしっかりと学習する姿に感心していました。 私たちや板八小の子供たちにとっては当たり前のことですが、改めて「当たり前の ことを当たり前に行う」ことの大切さを感じました。ありがとうございました。 さ て 、今 回 の「 寒 苦 鳥 」の 話 は 、仏 教 説 話 と し て 有 名 で 、「 雪 山( せ っ せ ん )の 寒 苦 鳥」などとも言われています。 古 く は 『 平 家 物 語 』 の 中 に も 、「 寒 苦 鳥 」 と い う 言 葉 が 見 ら れ ま す 。 巻 第 九 「 生 ず き の 沙 汰 」 に は 、「 た ゞ 平 家 の 人 々 は 、 い つ も 氷 に と ぢ こ め ら れ た る 心 地 し て 、 寒 苦 鳥 に こ と な ら ず 」 と あ り 、『 曽 我 物 語 』 の 巻 第 七 「 李 将 軍 が 事 」 に も 「 わ れ ら が 有 様 を物にたとふれば寒苦鳥ににたり」と記されています。 ちなみに、この「寒苦鳥」の話には、結末が何通りかあり、寒さに凍えて終には死 んでしまう話だけでなく、仏様が出てきて助けてくれる話もあるようです。 いずれにせよ、やるべきを後回しにすることが昔の子より多い今の子たちに「やる べきことをきちんとやれば何事もうまく進む。やらないでいるとあとで後悔すること に な る 。」 と い う こ と を し っ か り と 教 え た い で す ね 。 学年に合わせて、教室での補足説明など、よろしくお願いします。 2月も中旬になり、今年度もあと5週間と数日です。授業日数は28日間(4~6 年生は卒業式を含めて29日間)となりました。明日があるから…ではなく、1日1 日、今やるべきことを一つ一つ行っていきたいですね。よろしくお願いします。 〈参考資料〉 【 雪 山 (せ っ せ ん )の 寒 苦 鳥 】( 決 意 し て も 、 す ぐ 忘 れ る 愚 ) 昔、インドの雪深い山に、鳥のつがいが住んでいました。昼は太陽の光が当た るので、山でも暖かくなります。鳥たちは陽気に浮かれて、のんきに遊んでしま います。ところが、夜になると昼とは打って変わって、厳しい寒さが鳥たちを襲 います。昼間、楽しく遊びほうけてしまったことを激しく悔います。メスは「寒 く て 死 ん で し ま う わ 」 と 一 晩 中 、 泣 き 叫 び ま す 。 オ ス は 「夜 が 明 け た ら 、 巣 を 作 ろ う 」と 固 く 決 意 し 、 妻 を 懸 命 に な だ め る の で し た 。 そ の よ う な 苦 し い 思 い を し ながらも、夜が明けて暖かくなると、すっかり忘れてしまい、また昼間1日、遊 びほうけてしまうのです。鳥たちは、夜は寒さに苦しみ、昼は遊びほうけるとこ とを繰り返していきました。そして、ついに、巣を作ることなく、むなしく一生 を 終 え ま し た 。( こ の 鳥 た ち は 、 雪 の 山 に 住 み 、 寒 さ に 苦 し む と い う こ と で 「 雪 山 の 寒 苦 鳥 」 と 呼 ば れ て い ま す 。) 日 蓮 は 、人 間 も ま た こ の 寒 苦 鳥 と 変 わ ら な い と 述 べ て い る 。死 ん で 地 獄 に 堕 ち 、 火 に 焼 か れ て 苦 し む 時 は 、「 今 度 、 人 間 に 生 れ た ら 、 仏 道 修 行 に 励 ん で 成 仏 し よ う」と決意するけれども、たまたま人間に生まれた時には名聞名利を追い求めて 仏道修行を忘れてしまう…と。目的を達成するためには、日々、新たに発心し、 決意するだけでなく、それをどれだけ持続できるか、実践し続けることできるか が肝要なのである。
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