2014.2.15 ニ ッ セ ン ケ ン 分 室 「 思 い つ き ラ ボ 」 No.10 作 業 服 が車 両 事 故 から身 を守 る保 護 衣 に・・・ ロシア ソチで冬 季 オリンピックが始 まった途 端 に「 45 年 ぶりとか史 上 初 」などの報 道 がテレビから流 れて きて いきなり日 本 選 手 団 絶 好 調 のニュースかと思 いきや 降 雪 積 雪 のアナウンスで交 通 機 関 がマヒ 状 態 となりました。防 災 ・安 全 の仕 事 に係 わっていると気 象 現 象 の新 記 録 や数 十 年 ぶりの記 録 はありが たい話 ではないので やはり地 球 が悲 鳴 を上 げているのかと気 になります。 都 心 部 でも寒 い日 が続 きましたが 2月 のことを如 月 (きさらぎ)と呼 ぶのは“暦 の上 では春 (立 春 )が過 ぎ たのに まだまだ寒 くなって衣 を更 に重 ねて着 ますよ”ということから 衣 (きぬ)更 (さら)に着 るが転 じて “衣 更 着 (きさらぎ)”となったと言 う説 があり まさに暦 の呼 称 どおりになりました。“如 月 ”は中 国 の旧 陰 暦 二 月 の異 称 で読 み方 だけ“きさらぎ”になったと考 えられていますが他 にも説 があるようです。いずれにせよ 月 の呼 称 で繊 維 に関 係 づいているので 寒 いのは苦 手 ですが筆 者 の好 きな呼 び名 です。 1 月 29 日 に 高 視 認 性 衣 服 の第 一 回 JIS 原 案 作 成 委 員 会 が開 催 されました。最 近 話 題 になることの 多 い ISO 20471 高 視 認 性 衣 服 の JIS 化 がスタートしました。2013 年 3 月 に ISO 20471 高 視 認 性 衣 服 が制 定 されて その段 階 から JIS 化 の動 きがあり 委 員 長 月 に発 行 された ISO20471 の邦 訳 本 幹事 主査 も決 まり 原 案 も 2013 年 5 をベースにしていくことも承 認 されました。ということですので 高 視 認 性 衣 服 について一 度 整 理 しておきたいと思 います。 高 視 認 性 衣 服 と は? 高 視 認 性 衣 服 とはすでに世 の中 には出 回 っているもので 工 事 現 場 の作 業 従 事 者 や鉄 道 保 全 者 が着 用 している蛍 光 色 や反 射 材 が取 り付 けられた 目 立 つ衣 服 のことです。ISO 20471 高 視 認 性 衣 服 の中 では「高 視 認 性 と は物 体 が瞬 時 に視 覚 的 な注 意 を引 き付 ける特 性 を意 味 する」と定 義 付 け られています。見 馴 れてはいるものの 視 認 性 に効 果 のある蛍 光 素 材 や蓄 光 素 材 や反 射 素 材 については繊 維 関 連 では国 内 で基 準 化 されたものがあ りませんでした。 欧 米 では早 くから高 視 認 性 衣 服 については規 格 化 されていて 欧 州 では 1994 年 に EN 471 High Visibility Warning Clothing for professional use ( 高 視 認 性 安 全 作 業 服 )として基 準 化 されています。 アメリカ規 格 でも 1999 年 に ANSI 107 High Visibili ty Safety Apparel and Headwear ( 高 視 認 性 安 全 服 )が制 定 されています。ANSI 107 も EN 471 を基 本 にしていてその後 ISO 化 の動 きになり 2013 年 3 月 15 日 に ISO 20471 High Visibility Clothing (高 視 認 性 衣 服 )が発 行 されることとなりました。さらに ISO 化 されたことを受 け 欧 州 規 格 EN471 も EN ISO20471 と 2013 年 10 月 1 日 から EN と ISO の規 格 統 一 が図 られました。 この流 れを受 け国 内 では 2013 年 11 月 27 日 に JIS 化 の承 認 を受 け 2014 年 1 月 29 日 に第 1 回 の原 案 作 成 委 員 会 が催 されることになりました。 EN 471 制 定 からすれば 20 年 後 ということになるのですが 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2014.2.15 基 準 がなかったということだけで日 本 の製 品 のレベルは高 いものがありま す。作 業 着 に高 視 認 性 能 が付 加 されたということで単 なる作 業 服 ではな く車 両 事 故 から身 を守 る保 護 衣 という扱 いになります。現 に欧 州 では EU 加 盟 国 すべての安 全 基 準 を満 たしていなければならない項 目 の中 の個 人 防 護 具 に該 当 し 安 全 を認 証 する“CE”(シーイーと書 きますが読 み方 はシーマーキング)を取 得 しなければなりません。高 視 認 性 衣 服 は防 護 服 という考 え方 になっています。 日 本 では歩 行 者 と車 両 の衝 突 事 故 の場 合 車 両 側 が注 意 をしなさいということが基 本 になっているので 車 両 サイドの注 意 喚 起 はずっと行 われていました。しかしそれだけでは死 亡 事 故 の減 少 に限 度 が見 られ これからは歩 行 者 も自 ら身 を守 りなさいということになったようです。筆 者 のように車 の免 許 を持 っていない 人 間 からすれば迷 惑 な話 で 歩 行 者 優 先 であったのが車 両 優 先 とは言 わないまでも歩 行 者 と車 両 が対 等 の考 え方 に変 わってきている みたいです。ロシア モスクワでは夜 間 に歩 行 者 が反 射 性 素 材 を身 に付 けていなければ罰 金 を徴 収 するという法 案 が出 されたという報 道 もありました。やはり歩 行 者 にとっては本 当 に迷 惑 な話 です。 話 が逸 れて行 きそうなので元 にもどしますが 従 来 の作 業 服 と何 が違 うのかといいますと まず蛍 光 色 の 生 地 を使 いなさいということで このことにより昼 間 でも薄 暗 いところや少 し離 れたところでも視 認 性 は高 く なります。蛍 光 色 の色 まで定 められていて “蛍 光 イエロー”“蛍 光 オレンジ”“蛍 光 レッド”の 3 色 に限 定 さ れています。一 般 には蛍 光 グリーンや蛍 光 ブ ルーなどもありますが 注 意 喚 起 効 果 の高 い 3 色 のみ有 効 と判 断 されているようです。 特 徴 は蛍 光 と反 射 さらに再 帰 性 反 射 素 材 を使 用 している衣 服 が原 則 となります。反 射 性 素 材 は光 源 があって目 立 つものな ので夜 間 の車 のヘッドライトを想 定 した基 準 になっています。その反 射 率 は交 通 標 識 などで決 められてい るものよりも高 い基 準 が設 けられている上 に 交 通 標 識 とは異 なって衣 服 の場 合 は洗 濯 が伴 いますので 洗 濯 後 や温 度 変 化 降雨時 摩 耗 などの耐 性 試 験 も試 験 に定 められています。 製 品 デザインも規 定 があります。蛍 光 生 地 や再 帰 反 射 テ-プを無 造 作 に使 っても視 認 効 果 が低 いものになってしまう可 能 性 があるので 作 業 中 でも視 認 しやすいデザインが決 められています。作 業 中 の動 きに合 わせ袖 先 や裾 先 の方 が見 やすいことから袖 先 裾 先 に反 射 テ ープは付 けなさいとか テープ幅 は 5 ㎝以 上 でなければならない…な ど決 められています。特 徴 的 なのが蛍 光 生 地 と反 射 素 材 の使 用 面 積 が定 められていることで 小 さいサイズでも最 小 面 積 を満 たしてな ければなりません。 という規 格 が従 来 の作 業 服 にはなかったものでこれらの基 準 が加 わることで 安 全 性 が高 まる保 護 衣 という 扱 いになります。JIS の委 員 会 が発 足 しましたが JIS の部 門 分 類 でいえば “JIS L 繊 維 ” ではなく “ JIS T 医 療 安 全 用 具 ” の分 類 となります。従 来 の繊 維 関 連 の JIS 規 格 という意 識 からちょっと離 れ た見 方 をする必 要 があります。 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2014.2.15 再帰性反射性能測定器 基 本 的 には衣 料 品 ですので洗 濯 試 験 や物 性 試 験 に関 しては ISO 105 の試 験 方 法 に基 づきますが 蛍 光 測 色 とか再 帰 性 反 射 性 能 を測 定 する試 験 機 は JIS L 繊 維 ではあまり使 われることがない測 定 器 になります。特 徴 的 な 部 分 だけ紹 介 しますと測 色 の計 測 器 は 45/0°方 式 で CIE(国 際 照 明 委 員 会 )規 格 に適 合 する D65 光 源 を用 いて 色 度 座 標 (x,y)と輝 度 率 (Y)を求 め ます。再 帰 性 反 射 性 能 の測 定 は試 験 片 表 面 と受 光 面 の間 の距 離 が 15m 以 上 と定 められています。 ISO 化 されて 1 年 近 く経 過 しているのですが 国 内 の検 査 機 関 ではまだ対 応 の取 れない試 験 もあり また他 の検 査 機 関 との手 合 せも行 っていかなければ ならない段 階 でさらに海 外 の検 査 機 関 とも測 定 内 容 の統 一 を図 っていかなけ ればならない状 況 です。JIS 作 成 委 員 会 が発 足 したので ひとつひとつ問 題 を 解 決 しながら努 めていきたいです。高 視 認 性 衣 服 は海 外 でも日 本 製 の評 価 は高 いので できるだけ早 く対 応 できるようにと考 えております。 作 業 服 以 外 に も広 が る 安 全 意 識 作 業 服 がベースになっている規 格 なのですが ジョギングウェアや学 生 の通 学 用 アウターや老 人 向 け外 出 着 などの企 画 も進 められています。ちなみにクラス1で使 用 する最 小 面 積 は 蛍 光 生 地 が 0,14 ㎡ 反 射 性 素 材 が 0,10 ㎡ となっています。デザインしやすい面 積 ですので 作 業 服 以 外 の高 視 認 性 衣 服 が市 場 に出 回 るのも早 いかもしれません。 筆 者 が担 当 している部 署 ですのでご質 問 やご意 見 などありましたら 担 当 :竹 中 (タケナカ) 大阪事業所 〒535-0022 大 阪 市 旭 区 新 森 1-5-20 Tel: 06-6957-1101 東京事業所 担 当 :前 川 (マエカワ)、戸 谷 (トダニ) 立 石 ラボ 〒124-0012 東 京 都 葛 飾 区 立 石 4-2-8 Tel: 03-5875-7271 大 阪 ・東 京 共 通 E-mail / bosai_anzen@nissenken.or.jp までお問 い合 わせください。 なにか後 半 の原 稿 がコラムっぽくなくなってしまいました。業 務 担 当 の原 稿 だと文 章 が堅 くなるようです… 反省。 原稿担当 竹中 直 (チョク) 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp
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