もりおかユースレター

もりおかユースレター
2016年
発行 盛岡市市民部男女共同参画青少年課
盛岡市肴町2番29号 肴町分庁舎4階
5月
Tel 019-626-7525 Fax 019-653-2831
№8
E-mail djs@city.morioka.iwate.jp
子育て世代包括支援センター開設!!
盛岡市は、平成28年4月1日、盛岡市保健所1階に、妊
娠・出産・子育て期の切れ目ない支援を行うためワンス
トップの相談窓口を開設しました。
保健師、助産師、社会福祉士を配置し、妊産婦、子育て
家庭のニーズ把握をしたうえで、育児不安を軽減し、安心
して子育てができるように情報提供や相談支援を行います。
【
業務内容
】
・母子健康手帳交付、面談及び相談
・妊娠期から子育て期に受けられる支援をまとめた「すこやか応援プラン」の配布
・保健師、助産師及び社会福祉士による妊娠、出産、子育て期に係る相談・支援
・妊婦世帯等への訪問や支援
・妊産婦、子育て世帯からの各種相談への対応(窓口、電話相談)
開設場所:盛岡市保健所(神明町3番29号) 1階
開設時間:月曜日~金曜日
8時30分~17時30分
電話:019-613-2696 ファクス:019-613-2695
電子メール:kosodatehoukatu@city.morioka.iwate.jp
お知らせ
母子健康手帳交付窓口が変更になりました。
・市役所本庁舎本館 2階 妊婦相談窓口
→ 保健所1階
※妊産婦医療費受給者証の交付申請手続きも受け付けます。
・市役所都南総合支所 1階 健康推進課分室(変更なし)
・玉山総合事務所 1階 健康福祉課(変更なし)
子育て世代包括支援センター
岩手県の高校生の性の多様性を考える
~平成 25・26 年度高校生の生と性に関する調査から~
いわて思春期研究会 佐藤 卓
【
調査概要 】
岩手県内の全日制高等学校 78 校(県立 64 校、市立1校、私立 13 校)のうち、71 校
調査対象者数 9,055 人、そのうち有効回答者数 8,769 人、回収率 96.8%
はじめに
岩手県高等学校教育研究会学校保健部会は、約 10 年おきに県内の高校生を対象とした「高校生の生と
性に関する調査」を実施。平成 25 年 12 月には、いわて思春期研究会と協働で調査を行い、平成 27 年3
月に県内の全ての高校に調査結果報告書を配布しました。
今回の調査では、これまで行ってきた「性意識」や「性行動」の調査に加えて、初めて「セクシュア
リティ」や「自尊感情」、「ネット利用」についても調査を行いました。
一方、マスコミにおいても「同性パートナーシップ※1」や「LGBT※2」などの単語が多くみられ
るようになり、性の多様性に関する話題も多くなっています。ここでは、今回行った調査結果から、岩
手県の高校生の「性の多様性」についてご紹介したいと思います。
心の性と体の性
※
岩手県の高校生のセクシュアリティの内訳 表1
(性自認ごとの生物学的性及び性指向)
岩手県の高校生のセクシュアリティにかかる性自認については、「あなた自身の性の認識(あなたの
心の性)を教えてください」の設問に対し、「男性」「女性」「どちらでもない」の3択回答により集
計しました。性自認男性 4,020 人のうち、生物学的性男性(以下 male)は 3,926 人、生物学的女性(以
下 female)は 94 人であり、いわゆるトランス男性※3(FTM)は性自認男性の 2.3%でした。また、性自
認女性 4,109 人のうち female は 3,952 人、male は 157 人であり、トランス女性※4(MTF)は性自認女
性の 3.8%でした。
性自認が「男女どちらでもない」(Xジェンダー)は 280 人で全体の 3.2%、性自認無回答は 360 人で
全体の 4.1%でした。
※1 同性カップルを結婚に相当する関係と認める自治体が増えてきている。セクシュアルマイノリティの権利を保障し、
多様性を認め合う社会につながる制度と期待されている。
※2 レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同
一性障害などの心と体の性が一致しない人)の頭文字をとった性的少数者を表す言葉。
※3 体の性が女性で心の性が男性の人。(FTM=Female To Male)
※4 体の性が男性で心の性が女性の人。(MTF=Male To Female)
表1 岩手県の高校生のセクシュアリティの内訳(性自認ごとの生物学的性及び性指向)
男性
4,020人
(45.8%)
心の性
(性自認)
体の性
(生物学的性)
男性
MAIL
3,926人
97.7%
男性
恋愛対象の性
31人
(性指向)
0.8%
女性
もよい
3,805人
70人
94.7%
1.7%
ゲイ
女性
4,109人
(46.9%)
女性
FTM
94人
2.3%
どちらで
男性
70人
1.7%
バイセク
シュ ア
ゲイ
ル
女性
11人
0.3%
男性
MTF
157人
3.8%
どちらで
男性
もよい
10人
0.2%
バイセク
シュ ア
ル
17人
0.4%
どちらでもない=Xジェンダー
280人
(3.2%)
女性
FEMAIL
3,952人
96.2%
どちらで
女性
もよい
132人
5人
3.2%
0.1%
バイセク
レズビ
シュ ア
アン
ル
回答者数8,769人
男性
女性
3,633人 34人
88.4%
0.8%
レズビ
アン
男性
105人
37.5%
どちらで
男性
もよい
3人
238人
1.1%
5.8%
バイセク
シュ ア
ル
女性
66人
23.6%
女性
175人
62.5%
どちらで
男性
もよい
31人
11.1%
バイセク
シュ ア
ル
82人
29.3%
女性
4人
1.4%
どちらで
もよい
86人
30.7%
バイセク
シュ ア
ル
性指向(恋愛対象の性)
グラフ1 岩手県の高校生のセクシュアリティ内訳
「あなたが恋愛するとしたら、恋愛対象の性別を教えて
ください」に対し、「男性のみ」「女性のみ」「男女どち
らでもよい」の3択回答により集計しました。
性自認男性 4,020 人のうち性指向女性は 3,816 人、性指
向男性(ゲイ)は 101 人、性指向男女どちらでもよい(バ
イセクシュアル)は 80 人、無回答は 23 人。ゲイは性自認
男性の 2.5%、バイセクシュアルは性自認男性の 2.0%でし
た。また、性自認女性 4,109 人のうち、性指向男性は 3,650
人、性指向女性(レズビアン)は 166 人、バイセクシュア
ルは 243 人、無回答は 50 人。レズビアンは性自認女性の
4.0%、バイセクシュアルは性自認女性の 5.9%でした。
無回答者を除いた対象者をみると、バイセクシュアルは
計 440 人、全体の 5.0%でした。
性自認と生物学的性が一致し、かつ性指向が異性である、いわゆるセクシュアルマジョリティ(性
的多数者)は 7,438 人でした。対象者総計 8,769 人からセクシュアルマジョリティ及び無回答者 441
人を除いた 890 人がいわゆるセクシュアルマイノリティ(性的少数者)と考えられ、全体の 10.1%で
した。
岩手県の高校生の 10 人に1人はセクシュアルマイノリティ
岩手県の高校生では,セクシュアルマイノリティと考えられる生徒が 10.1%存在することが明らか
になりました。「意外に多い」と思われる方がほとんどだと思います。セクシュアルマイノリティの
生徒たちは、性自認や性指向で悩んだりすることはもちろん、実際に心理的・肉体的暴力を受けるこ
とも多く、自殺率(自殺念慮率)も高い傾向にあります。当事者の生徒は、「誰にも相談できない」
「悩みを自分ひとりで抱えている」状態にあり、結果として「セクシュアルマイノリティはごく少数
しかいない」と世間の人から思われているのではないでしょうか。
私たちが今日からできること
性自認や性指向は、人が生まれながらに持っている資質であり、病気でも趣味でもありません。
また、実際に、周囲の無理解などからセクシュアルマイノリティの生徒は生きづらさを感じていま
す。自らのセクシュアリティに関係なく、私たちが今日からできることはなんでしょうか。
・ホモ、オカマ、レズなどセクシュアルマイノリティを差別する言葉を使わない。
笑いのネタにしない。笑いのネタになっていたら注意する。
・「男の子だから」「女の子らしく」など、男性・女性を前提としない。
・「そのうち親になるんだから」など、誰もが結婚や子育てをすることを前提としない。
・性の多様性に関するニュースや話題などを家庭や地域などで肯定的に話す。
私たちは、性の多様性を「あたりまえ」のこととして受け止め、セクシュアリティに関係なく人と
して、また、地域社会の一員として「理解者」(=アライ※5)である必要がありそうです。
※5 同盟や支援を意味する ally を語源とし、セクシュアルマイノリティを理解し支援するという考え方、またその
立場を表明している人々。「ストレート(異性愛者)・アライ」とも呼ばれる。
Topix 性同一性障害を抱える子ども・若者の困難について考える
「性」に関して日本では長らく「男」か「女」の二元論、恋愛対象は異性愛が当然とされてきましたが、
最近では、人のセクシュアリティは心の性(性自認)、体の性(生物学的性)、恋愛対象の性(性指向)
で構成され、「性」は多様であることが理解されるようになってきました。
そして、心の性と体の性が一致せずに悩む性同一性障害(性別違和)を抱える子ども・若者もいます。
平成 27 年4月、文部科学省は通知を出し、服装や髪形、呼称の工夫、トイレや更衣室の使用など、学校
生活の様々な場面で、自認する性に配慮したきめ細かな対応をするよう支援の具体例が示されました。
特に、セクシュアリティの問題はアイデンティティに深く影響し、学校生活はもちろん、進路や就職、
パートナーや老後のことなど、ライフプランに大きく関わってきます。その中で、人格形成の大事な時期
に自分自身を肯定的に捉えられず、また他人から否定される体験を繰り返すと自尊感情は低下します。
下の表は、「LGBTの学校生活に関する実態調査※」です。性別違和のある男子の約8割が身体的ある
いは言葉による暴力、23%が性的な暴力を受けています。また、辛い体験に長い間苦しめられ、約3割が
自死念慮を抱き、22%が実際に自傷行為を行ったと回答しています。
※ 平成25年度東京都自殺対策緊急強化補助事業の一環として実施された調査。「いのちリスペクト。ホワイト・リボンキャ
ンペーン」のブログ等で広報し、インターネットを通じて「小学校から高校までの間に関東地方で過ごしたことのある、
10歳以上35歳以下のLGBT当事者」609人から回答を得たもの。
表 (セクシュアリティを理由に)いじめや暴力を受けた経
験[複数回答]
性別違和
性別違和
非異性愛
非異性愛
のある
のある
男子
女子
男子
女子
身体的な暴力
48%
23%
19%
10%
言葉による暴力
78%
53%
54%
45%
性的な暴力(服を
脱がされる・恥ず
かしいことを強
制)
無視・仲間はず
れ
上のような経験
はない
23%
12%
12%
7%
55%
34%
51%
57%
18%
35%
30%
36%
グラフ (セクシュアリティを理由に)いじめや暴力を受け
たことによる影響[複数回答]
「LGBTの学校生活に関する実態調査」より
さらに、右の図はショッキングです。世界地図の一番濃い赤
図
色は、同性愛者であることがわかると死刑になる国です。次に
「世界における同性愛者の権利」
(国際レズビアン・ゲイ協会発行)
濃い赤色は死刑にならないまでも禁固刑に処される恐れがある
国、黄色から緑となっていくと生きやすい国とされ、日本は生
きやすい国とされていますが・・・果たしてそうでしょうか。
日本のセクシュアルマイノリティの子どもは、大人のロール
モデルが身近にいないと考えられているため、自身の将来像を
描くことが難しい状況にあります。その中にあって差別や偏見
を持たず相談できる大人の存在はとても重要です。どのような
セクシュアリティでも自分らしく生きられ、人権が尊重される、
真に生きやすい社会の実現を目指したいものです。
セクシュアルマイノリティのための相談窓口
・岩手県男女共同参画センター LGBT相談
・よりそいホットライン 性別や同性愛に関わる相談
019-601-6891
0120-279-226(岩手・宮城・福島専用)※音声ガイダ
毎週金曜日16:00~20:00
ンスにしたがい 4 を選ぶ
年中無休、24時間
今年度もどうぞよ
ろしくお願いいた
します。(K.F)