L F T -Ⅲ 1 IFS 一 人 の 熱 意が 導 いた きれ いな 地 球 に つ なぐチャレンジ。 2 安 全 性 能と 環 境 性 能を つなぐチャレンジ。 I TCC 3 運 転 の 楽しさに 環 境 へ の やさしさを つなぐチャレンジ。 |特集| 全 体 マ ネ ジ メ ン ト 特 集 オンリーワン の 技 術を より良 い 未 来 へ 社 会 性 報 告 つなぐ ジェイテクトにとって、開 発とは 常 に 社 会 的 意 義を 強く意 識した 活 動 に ほ かなりませ ん。 社 会 の 一 翼を 担っている企 業として、 本 当 の 意 味 で 社 会 的 責 任を 果 たしていくには、どうす べきか。 環 境 報 告 それには、オンリーワン 技 術 で 地 球 環 境と社 会 に 貢 献 する以 上 の 答えはなく、 モノづくりという本 業 にお い て、力を 発 揮 することが、 企 業として の 存 在 価 値 の 向 上 、持 続 的 な 成 長 の 源 泉 になると考えます。 特 集 では 、ジェイテクトの オンリーワン 技 術 が 生 んだ 三 つ の 製 品を 通じ 未 来 に つながる開 発 へ の チャレンジを 紹 介します。 START グ ル ー プ 企 業 の 取 り 組 み ※ LF T、IF S、IT C C、R D- EPS、E- VGRは株式会社ジェイテクトの登録商 標です。 オンリーワンの技術をより良い未来へつなぐ 15 1 | 特 集 | オンリーワン の 技 術をより良 い 未 来 へ つなぐ 超 低トルク円すいころ軸受 L F T -Ⅲ トルク損 失 80 1 % 削減 一 人 の 熱 意が 導 いた 0.5 きれ い な 地 球 に つ なぐチャレンジ 。 0 標準品 2 0 0 6 年 の 合 併により、世 界でも類 のない 機 能 部 品メーカーへ 開発品 目標 に打たれ、志に共 感する仲 間が次 第 進 化したジェイテクト。常に社 会 的 意 義を意 識した製 品 開 発は、 に増えていきます。やがて、多くの部署 合 併 前 の2 社から受け継がれる遺 伝 子であり、 どんな開 発でも、 いま社 会が 求 めている課 題 は 何 か?その 課 題 にどう技 術 力で 応えていくか?という問いを出 発 点としています。 から集まったメンバーたちは自発 的に 研 究に取り組 み、これをきっかけに、 正 式なプロジェクトとして本 格 的な製 品 開 発が始まりました。 そして、環境保全という課題への解の一つが、 「LFT-Ⅲ」の開発でした。 高い目標を志したチームの力で 超低トルク軸受の開発に成功 トルク損失1/10を目指す 自発的な取り組みを第一歩に そもそも「トルク損 失 1/ 10 」は、一 人 「 みんなで協 力すれば 常 識 は超えら の 研 究 者 が地 球 環 境 に 対 する危 機 れる」という思いのもと、プロジェクト 世界中でクルマの需要が急増する中、 感から言 い 出した、途 方もない目標 16 チームは試 行 錯 誤を繰り返しながら、 燃 費 向 上とC O 2 削 減は、地 球 環 境と でした。な ぜなら、技 術 の 最 先 端 の まず、熱 処 理 技 術や設 計 技 術を開 発 未 来 のクルマ社 会 が共 生していくた 世 界では、多くの 部 品を改良し、その し、製 品の 長 寿 命 化と小 型 軽 量 化に め の 大きな 課 題 です 。これに 対し、 効 果を集めて合 計コンマ数%の燃 費 成 功します 。そ の 後 、これまでどの ジェイテクトでは「 軸 受( ベアリング) 向 上というレベ ルが常 識。そのため、 メーカーも着目していなかった 潤 滑 一 つで、一 層 の 効 果を」と、2 0 0 2 年、 他の研究 者たちが最 初は真剣に取り 油 の 量と流 れを最 適 制 御 する新 形 常 識 の 壁 を 打 ち 破 る「トル ク 損 失 合わないほど、夢のような話だったの 状 を 開 発し、2 0 0 4 年 、トル ク 損 失 1/10プロジェクト」をスタートさせます。 です。しかし、環境保全への強い熱意 2 / 10を達 成しました。目標は1/ 10で オンリーワンの技術をより良い未来へつなぐ |LFT- 1 L F T -Ⅲの独自技 術 接触角を大きく 内 部 諸 元を最 適 化して、 低トルク化と長 寿 命 、高 剛 性を両立 実験と各種理論に裏付けられた新たな軸受設計技術を開発。 また、各部の最適な接触状態を見出す技術で、転がり粘性 特殊クラウニング(※1) 形状を採用 鍔、ころ端面の 粗さを最適化 抵抗とすべり抵抗を低減させ、低トルク化と長寿命、高剛性 を同時に達成しました。 2 長 寿 命 熱 処 理の 適 用による小 型 化 ギヤなどから摩耗粉が侵入した異物油の中でも、軸受が長 寿 命となるように、表 面の硬さや材 料 組 織を適 正 化する熱 処 理 技 術を開 発 。軸 受 の 負 荷 容 量を増 加させることで、 40%の小型軽量化を実現しました。 流 入 油 量を制 御して ころを太く、短く、少なく、 攪 拌 抵 抗を低 減 PCD(※2)を小さく 3 流 入 油 量を制 御して 攪 拌 抵 抗を低 減 全 体 マ ネ ジ メ ン ト これまで未 検 討だった軸 受内部の潤 滑 油の流れがトルク損 失に与える影 流入制御なし 響を解明し、潤滑油の量と流れを最適 ※1 クラウニング 工作物の面の形状を中高(なかだか)に加工 すること。 制御するための新形状を開発 。流入 ※2 PCD 「Pitch Circle Diameter」 (ピッチ円径)の略で、軸受の ころ中心間の直径のこと。 制御によって潤滑油を流れやすくする ことで、攪拌抵抗を抑制しました。 流入制御あり 特 集 すが、現 段 階でも地 球 環 境 保 全に大 器 表 彰 」で 経 済 産 業 大 臣 賞を受 賞 きく貢献できることから、世界トップの することができました。 超低トルク円すいころ軸受「LFT-Ⅲ」 として、2 0 0 7 年より量 産を始めてい 技術を活かし、幅広い分野で ます。「 L F T -Ⅲ」は標 準 的な円すい 環境保護に貢献していく ころ軸 受 に 比 べ 、回 転トルク損 失を 実 用 化 にあたり、商 品 サンプ ルを国 8 0%低 減 できます 。また、長 寿 命 で 内および 海 外 のメーカーにプレゼン 変 形に強く、従 来 品に比べ 4 0%も小 テーションした際は、たった一 つの 部 さく軽くなりました。その結 果、クルマ 品で2%の燃費向上という性能に、多 のディファレンシャルギヤに採用された くの 驚きの 声が寄せられました。現 在、 場 合 、燃 費が2%向 上し、またC O 2 排 「LFT-Ⅲ」は国内メーカーのクルマに 出 量 の 削 減( 3 ∼5 g / k m ≒ 2リットル 初めて搭 載され、今 後は産 業 機 械に 1 2 環 境 報 告 のペットボトル1.15本)も期待できます。 も導 入されていく予 定です。また、軸 ちなみに1 台 のクルマが年 間 1万 k m 受はあらゆる機 械 や 装 置に使われて 走るとすると、ペットボトル 1万 1 , 5 0 0 いるため、今後は「LFT-Ⅲ」の技術を 本 分 の C O 2を減らすことが可 能です。 幅広い分野へ 展開し、地球環境保全 こうした優れた省エネルギー効 果と、 に貢 献していきたいと考えています。 技術の独創性、経済性が高く評価され、 そして、 トルク損 失 1 / 1 0 の 軸 受 の 量 3 1.試行錯誤の中でトルク10倍軸受を試作する失 敗も。 2.プロジェクトメンバーの一人、戸田一寿 研究企画室長。 「いい仲間に恵まれていい仕事が できた」と語る。 3 . 経 済 産 業 大 臣 賞の副 賞の 「 平 成 1 8 年 度 優 秀 省 エネルギー 機 産化にも挑戦を続けていきます。 社 会 性 報 告 賞金は全額ユニセフに寄付。 オンリーワンの技術をより良い未来へつなぐ |LFT- グ ル ー プ 企 業 の 取 り 組 み 17 2 | 特 集 | オンリーワン の 技 術をより良 い 未 来 へ つなぐ インテリジェントフロントステアリング IFS 燃費 安 全 性 能と 3 5% ※ ∼ 向上 環 境 性 能を つ なぐチャレン ジ 。 ※ 油 圧 パワーステアリング搭 載 車との比 較 ドライバーを助ける インテリジェントなクルマを 新の電動パワーステアリングです。高 出力化により、大型乗用車への搭載を E-VGR 知能を持つクルマがドライバーを助け、 可 能とした上 、電 動 式 のため油 圧 式 事 故を未 然に 防ぐことはできないか。 に比べて燃 費を3 ∼5%向 上できます。 燃 費 向 上、C O 2 排出削 減などの環 境 E - V G R は 、クル マ の 速 度 に 応じて 性 能とともに、予 防 安 全 技 術をはじ ステアリングギヤ比を変 化させること めとするクルマの安 全 性 能へ の期 待 が できる 機 構 で す 。低 速 走 行 時 や が高まっています。ジェイテクトは、そ 駐 車 の 際には、少ないハンドル 操 作 うした両 方のニーズに応えるため、世 でタイヤの 切れ角を大きくし、高 速 走 界トップクラスの 高 出 力 化 に 成 功し 行 時には、ハンドル操 作によるタイヤ たラック同軸電動パワーステアリング 切れ角を抑えて、走 行 安 定 性を向 上 ( R D - E P S )に、電 子 制 御 式 ギヤ 比 させます。さらに、車 線 変 更 時 や 滑り RD -EP S 滑りやすさの異なる路面での急制動 制動なし 可 変 機 構( E - V G R )を一 体 化した、 急制動 制動あり 制動距離 短縮 滑りやすい路面 やすい路 面でブレーキをかけたとき、 「 I F S(インテリジェントフロントステ 横 風を受けたときなども、クルマの 走 アリング)システム」を開 発しました。 行状況や安定性を検知し、 ドライバー の ハンドル 操 作をアシストします。環 環境への配慮とともに より安全な運転を追求したい 「 I F S 」は、地 球 環 境 保 全 、クルマの RD-EPSは、従来品に比べ 70%高出 操 作 性 向 上および予 防 安 全に大きく 力 化し、ノイズを2 3%低 減させた、最 貢献する製 品です。 急な横風の発生 横風 制動あり 境 性 能 と 安 全 性 能 を 一 体 化 した 制動なし 18 オンリーワンの技術をより良い未来へつなぐ |IFS 通常路面 3 | 特 集 | オンリーワン の 技 術をより良 い 未 来 へ つなぐ 電子制御4WDカップリング I TCC 燃費 運 転 の 楽しさに 5% ※ 約 向上 環 境 へ の やさしさを つ なぐチャレン ジ 。 ※フルタイム4 WD 走 行との比 較 4WDならではの快適・安全と 燃費向上の両立を目指して 大型車への搭載も可能にし シェアの 拡 大で環 境 保 全を推 進 (1) パワフルな走りが人気の4WDですが、 大型車の場合、カップリング内のクラッ 近 年は環 境 保 全 の 観 点から、その 燃 チへ の 負荷 が大きく、従 来 、カップリ 費 が 課 題 になっています 。そのため ングも大型になるのが課題でした。そ ジェイテクトは4 W D の 燃 費 向 上を目 こで、ダイヤモンドに近い特 性を持ち、 指し、小 型・高 性 能の 電 子 制 御 4 W D 磨耗に強いダイヤモンドライクカーボン ITCC (2) 多板クラッチ カップリング「 I T C C 」を開 発しました。 (DLC-Si)の膜を被せた電磁クラッチ 「 I T C C 」は駆 動 部 品で、通 常は二 輪 を開発。軽量・コンパクトでありながら 駆 動で走 行しパワーを抑 制する一 方 従 来 品 比 8 倍 にまで耐 久 性を高 め 、 で、雪 道 のような 滑りやすい 路 面 で 「ITCC」の大型車への搭載を可能と の発 進 時などには二 輪 駆 動から四 輪 しました。2 0 0 4 年 の 生 産 開 始 以 来 、 駆 動 へ自動で切り替えます。路 面 や 「ITCC」は日・米・韓の大手各社に採 走 行 状 況 に 応じて 最 適 な 動 力を後 用され、現 在 、電 子 制 御 の 動 力 伝 達 輪 へ 伝えることで、4 W Dならではの システムの 世 界 市 場で5 4%のシェア 前方 (3) 後方 電磁力 前方 後方 快適で安全な走りを確保するとともに、 を獲 得しています。この 安 全・快 適・ フルタイム4 W Dに比 べ 約 5%燃 費を 燃費向上を同時に達成する新技術は、 向 上させました。同 時 に 、後 輪 車 軸 地球環境保全やクルマの新しい可能 へ の負荷が減り細くできたことで、車 性を示し、さまざまな産 業 分 野での利 (1)ITCC搭載位置 (2)通常は二輪駆動での走行のため後輪へ 駆動力は伝わらない (3)凍結などでのスリップをセンサーが感知し、 電磁力でクラッチをかみ合わせ、駆動力を 両 重 量を約 3 0 k g 軽 量 化しています。 用も期待されています。 後輪に伝える オンリーワンの技術をより良い未来へつなぐ |I TCC 19
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