フォトルミネッセンス(PL)とは? フォトルミネッセンスは光を使って高感度に半導 体中の不純物の有無や発光の原因を調べる半 導体材料の評価方法のひとつです。ただし、通 常は試料を冷やす(10K位の低温)必要があり ます。 石川高専・電気工学科 瀬戸 悟 光を使った半導体を評価 白色光(ハロゲンランプ) 単色光(レーザー) 超短パルスレーザー 反射、吸収 半導体 半導体 蛍光(ルミネッセンス) 非弾性散乱(ラマン散乱) 時間分解測定 キャリアのダイナミックス これらは半導体材料のバンド構造や不純物や格子欠陥の有無と その電子状態がわかる非破壊検査である。 半導体のバンド構造と光との相互作用 E 伝導体 伝導帯 電子 光(フォトン) k 重い正孔帯 光によって電子と正孔 が生成される。 正孔 価電子帯 軽い正孔帯 h2 2 2 2 E = * (kx + ky + kz ) 2m 有効質量近似では結晶ポテンシャルの影響は キャリアの質量に繰り込まれ、あたかも自由粒子 のように扱うことができる。 フォトルミネッセンスの原理 電子 伝導帯 伝導帯 ドナー準位 半導体内部の情報を 持った光を放出 (例えばDAPペア発光) 励起光 アクセプタ準位 正孔 価電子帯 価電子帯 光(フォトン)で励起して、半導体特有の光(ルミネッセンス)を分光するので フォトルミネッセンスと呼びます。ホトルミネッセンスと表記することもあります。 フォトルミネッセンス(PL)装置 フィルター 励起光源 Ar-laser, He-Cd laser 集光レンズ 分光器 f=50cm 冷凍機(10〜200K) 試料 パルスモータ駆動 光検出器 デジタルマルチメータ RS232C GPIB 我々のフォトルミネッセンス装置の外観 10 K 冷凍機 分光器 Ar レーザー パロゲンランプ He-Cd レーザー 測定例1 ZnTe薄膜のPLと反射スペクトル Intensity (a.u.) 励起子ピークの分裂 ¾ 重い正孔励起子 Xhh ¾ 軽い正孔励起子 Xlh I1 Xl h C ZnT e/G aAs T =11 K Xh h I1 As I2 格子歪みの存在 格子歪みの存在 Ga GaドナーとAsアクセプタによる 束縛励起子発光 C I 1 -LO R 6LO 520 525 Wavelength (nm) 530 535 基板からの拡散 基板からの拡散 測定例2 ZnTe膜のPLスペクトルの膜厚依存性 (a) ZnT e/G aAs T =11 K Intensity (a.u.) Y-line s BE 1 .2 µ m ~3 µ m 6 µm Thick ne s s: 13 µ m 550 600 650 W avelength (nm) X20 X10 X5 X1 700 750 CdTe結晶の時間分解PLスペクトル Time-resolved PL spectra of the bound excitons 10 4 In-doped CdTe T=4.2 K Intensity (a.u.) 10 0 A X 3 A-line 10 10 2 0 D X 1 0 2000 4000 Time (ps) 6000 8000 発光のダイナミックスも 調べることができる。 まとめ { フォトルミネッセンスの原理と適応例 z z { 不純物の有無やその電子状態がわかります。 ZnTe/GaAs薄膜の評価例 時間分解PLによる評価 z 発光のダイナミックスが測定可能。 PL,反射スペクトルの測定依頼を受け付けます! このようにフォトルミネッセンス(PL)評価で半導体材料の様々な情報 が得られます。もしこれを見られて一度PL測定してみたいと考えてい る試料をお持ちなら、当研究室(瀬戸)まで相談してみて下さい。 E-mail: seto@ishikawa-nct.ac.jp
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