■旦^ 我が国の医薬品産業の現状と将来 我が国の医薬品産業の 現状と将来 いとうかつひこ (株式会社ジェネティックラボ取締役) ここ20年問で製薬業界は入きく変化した 20年前の社名とは違う企業も多くある問違 俳強力な候補品に辿り着くことができた と'えよう 製できる」とすべて"論見通りとはいかな 日経BP社日経バイオテク契約記者伊藤勝彦 冒連載にあたって か0たが,ローヌプーランネ1:の化合物の1,000 るとの結論となれぱ,投資を行い,様々な支 援をし,企業を育成することにある取締役 に時には社kにも就任する。より尖務に近い 化合物の構造変換をすれぱ,新規な物質も創 は.大疑の新入礼員を受け入れたのである 、^ の研究は幸いにも米国炎症学会最優秀ポス この時期は,経済産業省が平沼プランと ター賞に選ぱれた現在、絲11剤の関飾りウ われる大学発べンチャー1,000社'伎立の引 マチ薬としてフェーズⅡの段階にある退職 画を掲げた時期で、バイオベンチャーの 後に海外企業への導出も決まったようだ 起業プームとなった私も欧米企業を含み 200人以 1二のネ1長と会い,これだと思う 好調な企業は,海外に打って出た11寺捌だっ C5a受容体扶抗薬の研究は順訓であった た経済など不学であった利、は.このような が.1999年に本キ1:への異動の内水が出た]' 企業に25億口の資金を投資したそのうち いのないことは,これからも科学の新歩と典 絲済状況1だったから入礼できたと知るの 皮,その時,外資証券会社から誘いがあった 株式公開しナ,、イオヘンチャーを挙げると. に医薬品産業が変化していくことである我 は.人礼してかなりの時問が経ってからのこ のてある業務内容を聞けぱ,製薬企業を分 ドラッグデリハリーシステムのLTTバイオ が1工1の医薬靜,産業はどこにいくのであろう とだた今も続く就職難をみると,本凹 析する,止券アナリスト業務と Hう ファーマ.抗体迭薬品の免疫生物研窕所.抗 か突際に忠者さんと1"に接し.お薬を調剤 に4述だったとつくづく思う がん剤のナノキャリアとキャンバス,μFk1矢 療のセルシードの5社であるうち.免疫生 する重要な業疹を遂hしている薬剤師の先生 研究所での12年岡,多くのプロジェクトの 方に,この連叔が役に立つ惰桜になるかどう 起案,研究を行った。しかし.前臨床試験を 研究を続けられないのであれぱ回じと か,正直不安である少しの期問.拙文にお 終 rしたプロジェクトはたったの3つ,臨床 新長地で什弓工をすることにした証券アナリ 物研究所では同社の株式公開業務の立任名と して取締役絲営企画宰長を拐めた株式公 判き合いいただけれぱ市いである '式験に移行できたのは.そのうちの 1つだけ スト業務は性に合った製集企業の評価であ 開という貴重な経験をさせてもらったただ である幣床試験に入った研究は、免疫機能 るから,各会社の製品とハイプラインの将来 の重蟇な役割を村勺ている補体成分C5aの受 容体抽抗薬であった。補体は100年以 U河の 性を予測する。医療制度の影糾,作川機序, 市場規模,競合耐,の状況など多面から評価し し,欧米と異なり,太だバイオベンチャーと 1"内製薬企業との関係はチグハグであるよう 究老,企業藷lt価者.投資IH'11Xとして関わっ 1895年に発見されたと言われ.歴史は1{iい て,将来,承認を取得できるかどうか,承認 、、なレ、こと てきた氏繋Ⅲリ董業の20年余を振り返ってみた 逆に,100年もの問.補作系に関ラ・する薬剤 を取得すると判断したハイプラインについて その'.反,外資企業のバイオベンチャーへの騨 い私が大学院を卒業したのは昭和の終わり は世に川ていないのだから,柴としては適し の63年(19朋のことである'11時は、薬学 ていない標的であるとも iえる研究所の k は.売上げを年度ごとに算出していった相 予が.「薬」あるいは薬の卵だから製築 解度は数段上にあるそれだから.国内の シーズを海外に持っていかれることも多い 部の修 1癌果稗を修fすれぱ,製薬企業の研究 "1たちはその研究起案に収対したが.味力し 企業での知識が大いに活かされた『時,米 これでは,国内の製薬企業の候補靜,が将来、 所に就職するというのが一般的であった澀、 てくれる 1'司もいた兀来,捻くれものの拘 匪1のジェネンティック社が開発したハーセ 枯渇してしまうと危恨する¥いうちに千を も,'f富製薬の研究所に人社が決まり,意気 分は.灰対されれぱされるほど、研究を進め プチン(トラスツズマプなどの抗体住 打たなけれぱならない 揚々であったしかし.何のことはないそ たただし,見込みが決してなかったわけで 染品に将来竹を感じ.闘査レポートを株式1" の時は.1986作に始まったバプル禁気に加 はない製薬芥社は1990年ごろからロポット 場に発表,この予洲は的小した現在では え.大剛新薬の発光も側まうて各製薬企業 を使い.'."速て候補化合物を"十価する什矧 抗体医薬品の大きな市場が形成されているの みを榊築していた時期であったフランス はこ存じの通りである 目はじめに この20年を振り返り まず.訂d紹介を脈ねて,医薬",産業に研 冒医薬品産業を外から見る だ原因はお1ιいの二ーズを正しく理解して 人勝ちではうまくいかない の口ーヌプーラン社がC5a受容体抽抗薬を発 次に就いた業務は.ベンチャーキャビタリ 冒医薬品産業は高利益産業 氏築品産業の特徴を見つけ出すために重宝 な資料・があるそれは、総務省統,+10」が公表 した「科学技術研究訓査」である業種剛. 見したとの机告があったイタリアのポロー ストで.20吃年のことであったミ正券アナリ 企業規模問における牛産性を比較できる平 ニャまで発衣を聞きにも行ったその結果 ストは株式をヒ場している企業の評価が主で 成22作(2010 の金融業.保険業を除く令産 ローヌプーラン社が発兄した化介物とΠ社ラ あるが,ペンチャーキャピタリストの対象は 業の光ヒ高は860兆2.674億円,うち製造業は て,取諦役経営企画室長を務めた。現在,国際医薬品情報編 イプラリーの倩造類似性に確イ.{を持ったので 株貳未公開企業であるべンチャーキャピタ 35別E66Ⅱ億円で,医薬品製造業は12兆1376 集委員、日経BP社日経バイオテク契約記者。バイオベンチャー の支援をしながら、製薬企業とバイオベンチャーとがWin、vvin の関係を構築できるか梗索してぃる ある自礼ライプラリーをロポットでアッ リストも企業許価をするしかし.それがキ 億円であった企業の本業における収益力で セイすれぱ,短時岡で結米が出る,そこから の仕屯ではない評価した企業に将来牲があ ある営業利益については.全産業は19兆9,詑7 伊簾勝彦 案学博士(東京理科大学),栗剤師 1986年束京秦科大学卒,東京理科大薬学部修士課程修7後 吉密製薬(現田辺三妥製秦)入牡。 2001年からソシエテジエ ネラル証券、ドイツ証券で証券アナリスト業務に就く日興ア ントファクトリーで,バイオベンチャー企業への投資業務を行 う。投資先の免疫生物研究所では.株式公開業務の責任者とし 4 都^筋 Vd飴 NO.12 (2011) ^ V0133 卜10.12 【2011) 5 我が国の医薬品産業の現状と将来 位円.製造業は6兆7290億円,阪薬品製造業 14.0% 12.0% は 1兆6.909億円とある まずは,製造業と傑薬品製造業の売ヒ高をそ 10年から15年(数十億円から数百億円) 10.0% 8.0% 6.0% 一一一 ここで,これらの数字を加工してみよう。 1 圃 研究 40% れぞれ令産業の允ヒ高で除すこれで,全産 一「 割介がn出できる次いで.営業利益につい ても師1様にhなうその結果であるが.Ⅱ 本の産業全体の允上高における製造業の占 図2 フエーズN 新薬゜1" 6,000検体 める割介は41.70。,医薬品製造業は1.400であ 申請・承認 ・許可上市 廊床試験 フエーズ1 (健常人) フエーズ亜 (患者・小規模) フエーズⅢ (患者・大規模) 合成研究 薬理研究 安全性研究 ADME研究 製剤化研究 工業化研究 20% 業における製造業と咲薬侃.製造業の売上高の 開発 医薬品ができるまで る次は営業利益だ製造業の占める割介は 図1 各業種における売上研究開発費費 者の忠いがある ?・ 3380。.医薬",製造業は8500となったΠ本 研究開発志向型の製柴企業68社が加盟する における恬薬品産業は,光 1二高こそ令体の 150。に満たないが,利益lmでは令体の85% データーもある製造業を見ると,多くの業 "1体のⅡ本製薬_1二業協会(製薬協)は興味あ を稼いでいることが分かるさらに俳業利益 種で100億円以Lの資本金の会社は.研究開 るデーターを発表している製薬恊の会員会 を売 1'.高で除したπl b営業利益率を見ると, 発じ投資しているが,驚くことに 1億円太満 礼17礼の統計によると,'F成 4年(1四2)か 傘産業で230。、製造業では1900.阪薬品製 では数00の企業しか研究を行なっていない ら'F成8年(1的田の5午問に,薬の候補と 造業は139%と桁問い利益率であるどう しかし,張柴品.産業は. H迄剖木満の会社で して合成または向然界から杣川された化合物 やら.阪柴品製迭業は,高利益な業種,薬は高 あても如00の企業が研究に投資している は総,+32/j832件にのぼる承i認を取得した 厄瓢産剰 ここで,将来への投資と捉えることができ ものは、わずか53化合物成功率は6.000分 さらに,'F成16年(2004)に遡って, 1"1研 る研究開発喪を兄てみよう医薬品産業の売 の1だった 1つの柴剤を世に出すまでに必 風函璽^ 究剖査から売 1・営業利益率を算出してみる 上研究開発費比率はⅡ.600と全産業の中でも 要な研究開発贅は.同内で数H意円,グロー 図3 医薬品産業の将来は と.全産業で3.60。.製造業で4200,恢薬品 トップの比率である平成22年には 1兆1,891 バル開発であれぱ数1与億円と角われる。研究 製造業は13900 令産業と製造業の利益率が 億円を投資している絶対類としては,自動 開発捌間は10から15年が必要だ(図2)。私 6兆8.196億円(前年比30%地)で,最入額 、1ι成22年よりも高い価となっていた製造 市・1"j1肘属品製造業の2兆74億円,・情報通信 の12年の研究貝生活で, 1化合物しか臨床轤 となった方で、製薬企業の数は減少を 業の売 k営業利益宇1.900は,Π本の製造業 機械器典製造業の 1兆8,143億円に次ぐ。こ 験人りできなかったそれもまだ,フェーズ 辿っている厚生労働竹の咲薬".産業火態嗣 の苦戦をそのまま表している平成20年9月 れらト.位の産業は、ライフ,サイエンス,環 Ⅱの段階順闘に行ったとしても承認取得ま 査報告占では.1997年度には1.400社あった に起きたりーマン・ショックによる世界的な 境,情轍通偏という今後も成長が期待される で後5午の時朋が必要である 20年前に.'f京 製繋企業は、 2007年度には訟0社となった 金融危機から条気が脱せず、さらに円高が加 産業であることが分かる図 1)。 製薬の研究所長が集クスリは.逆から 「1i場口体は拡大しているものの.外資系企業 価値製品であるようだ。 . わった厳しい環境だその万で.医薬品,製 造業の利益率は2桁を確保した医薬品製造 邑医薬品産業はハイリスク・ハイリターン 業は.高利益に加え.経済の状況に影糾を受 医薬品産業は.錫収益業神であることが分 けにくい業種であると科学技術研究調査の数 かったそうであれぱ.他業種を含め,多く 字は物語っているのである の企業が参人してもよいが,現状そのような ,売めはりスクと Hつていたことを懲い川 も含め競1'・の激化で.より袖八、効卓が要ボさ すぼ桑品産業を,;で;えばハイリスク れたことから企業合併や吸収,'Ⅱ業讓渡など ・ハイリターンの業神となる図3 が進んだ結果であると兒ている厳しい財政 難から.国は両捌的新薬以外の薬剤費をFげ ■大きく変化する医薬品産業 ざるを得ない効牛化を求め.企業の集約笹i 折は1卦1かないなぜであろうかその答え ,J生労働名の9 河29Πの発表によると、国 向は.今後も続くと兄ているハイリスク・ は.多櫛の研究開発投資が必蟇だから」な 民1欠療t批よ2009午度に前年度比3.400増の36 ハイリターンの業和プ'3ナに小き残れる企業は のであろう企業努力でようやく積み重ねた 兆67億円,過去11●商となったそうだ薬1'゛,捌 少数になる 開発に関するデーターが豊富であることだ 利益を.川収できる保誠はない医薬品の研究 剤住療狩は.5兆8228億円,前年から790。 例えぱ.会社の資木金別にした研先開発些の 開発投資に多くの金額は同せないという経営 の伸ひとなた医柴'ν,生産櫛についても. ■多額な研究開発投資額 科学技術研究剖査の優れたところは.価究 6 都薬雑誌 Vd33 NO.12 (2011) 汰凧は.Π本の製集企業の実力についてお 話したい 都^誌 Vd33 NO.1? 2011)フ
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