パリCOP21以降の世界と日本の温暖化対策: より直接的なアクション

気候変動とたたかうアジアの人々~Climate Jus=ce Now!
パリCOP21以降の世界と日本の温暖化対策:
より直接的なアクションおよび気候変動関連
訴訟を中心に 2016年8月1日 東北大学
明日香壽川 asuka@cneas.tohoku.ac.jp
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ダイベストメント:世界では
政府年金基金(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、オランダ、
カナダ、オーストラリア)、州年金基金(カリフォルニア)、保険会
社(アクサ、アリアンツ、アビバ)、大学(スタンフォード、ジョージ
タウン、カリフォルニア、ハワイ、オックスフォード、グラスゴー、
シェフィールド、ルンド)、銀行(バンク・オブ・アメリカ、ING、シ
ティ、クレディ・アグリコール、香港上海銀行)、都市(オスロ、ス
トックホルム、アムステルダム、ベルリン、ロンドン、メルボルン、
ウプサラ)、財団(ロックフェラー財団)、企業・業界団体(ガー
ディアン・メディア・グループ、英国医師会)、教会(世界教会協
議会、ルター派世界連盟、ヘッセ教会、ナッソー教会)
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ダイベストメント:日本でも
日本の銀行グループによる化石燃料・原発・国内石炭
火力増設に関連する企業への投融資(単位:億円)
出典:350org Japan(2016)
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ダイベストメント:日本でも(続き)
日本の保険会社による化石燃料・原発・国内石炭火
力増設に関連する企業への投融資(単位:億円)
出典:350org Japan(2016) 4
フランスのエネルギー転換法
2015年7月に制定され、その173条で、フラン
スの企業や投資ファンドに「経営や投資ポー
トフォリオと2度(1.5度)目標との整合性に関
する情報の開示」を義務付け →パリCOP21が失敗した場合の “保険”のよう
な位置づけで制定された
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気候変動関連訴訟 Ø オランダNGO vs. オランダ政府:適切な数値目標を設
定するという政府が持つ義務の不順守→NGOが一
審勝訴(パキスタンでも同様の裁判で原告が勝訴) Ø NY州ほか vs. Exxon:情報非開示・操作による株主・
消費者保護法違反→タバコ裁判とほぼ同じ展開 Ø ミネソタ州 vs. Peabodyほか:炭素の社会的コストの
値が大きすぎると訴え→懐疑論者も巻き込んだ大バ
トルに発展。最終的にはPeabody側が負ける 6
気候変動関連訴訟(続き) Ø 温暖化被害を受けた米国の若者 vs. 米国政府:年
齢で差別を受けないという憲法上の権利の侵害→
オレゴン地方裁判所は、連邦政府と化石燃料会社
による「裁判を受理すべきでない」という訴えを却下 Ø バヌアツの法学者などが「訴訟マニュアル」を作成 Ø 投資ファンド・マネージャーが抱えるリスクも要注目
(受託者リスク回避義務不履行) 7
これらはみんなつながっている
今後は個人、企業、政府が持つ法的責任
や損害賠償をめぐる様々な告発や訴訟が
各地で増加すると予想され、UNFCCCでの
「損失と被害」や「責任と補償」の交渉ともリ
ンクしながら、これまでとは異なるレベルの
リスク管理が必要となる
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