学報23号(2007年2月発行)PDF 1.6MB

№23
H19.2
発行:長野県看護大学広報・交流委員会 〒399‐4117 長野県駒ヶ根市赤穂1694 Tel 0265‐81‐5100
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サモア特集
サモア特集
〔南太平洋看護フォーラム(South Pacific Nurses Forum [SPNF])第13回大会〕(第13回 SPNF 事務局提供)
目 次
<サモア特集>
サモア国立大学との総合実習
サモアと日本の看護学生交換留学の試み …………………………………………………………………… 田代麻里江
サモアでの総合実習を通じて学んだこと…………………………………………川添祥子、佐合今日子、竹内めぐみ
再びサモアを訪れて:2年ぶりの再会が与えてくれたもの…………………………小澤杏奈、藤岡好美、結城美穂
長野県看護大学での想い出:2005年サモアからの留学 …………………ファレアガ・マプ、ヘンリー・テイラー
虹の帯 ……………………………………………………………………………………………………………… 鈴木俊章
サモア国立大学との学術交流
National University of Samoa 訪問 …………………………………………………………………………御子柴裕子
南太平洋看護フォーラム……………………………………………………………………………………………多賀谷昭
青年海外協力隊サモア派遣予定訓練生との懇談 ……………………………………………………………御子柴裕子
<異文化看護国際研究部門>
「おかえりなさい、デイヴィス先生」本学名誉教授 Anne J. Davis 先生をお迎えして …………………… 前田樹海
<教員活動報告>
Leiden 大学(オランダ)での言語学史学会に参加して ………………………………………………………江藤裕之
思春期ピアカウンセラー養成講座からピアサークル誕生 …………………………………………………… 松原美和
国際交流は友情と信頼の構築から:Surrey 大学の G. Hunt 教授を訪問して ……………………………… 江藤裕之
看護サマーセミナー in 駒ヶ根2006 ………………………………………………………………………… 唐澤由美子
リサーチ・ライブラリーで考えたこと:ジョージタウン大学ケネディ倫理研究所を訪ねて …………… 江藤裕之
長野県看護大学グレート・ブックス・セミナー「名著を読み対話する集い」 …………………………… 水嵜知子
<広報・交流委員会報告>
第1回公開講座:廣瀬昭夫先生「私が担当した卒業研究の成果と思い出」 ……………………………… 田中真木
第2回公開講座:前田樹海先生「わが国の看護人的資源統計の課題と展望」………………………………圭子
第3回公開講座:田村正枝先生「がん患者や家族を支える看護の現状と課題」 ……………………… 宮澤美知留
大学説明:オープンキャンパス、鈴風祭における大学説明 ………………………………… 千葉真弓、御子柴裕子
大学説明:高校での説明・模擬授業、高校生の大学見学 …………………………………… 御子柴裕子、松本淳子
ホームページ担当からの報告 ……………………………………………………………………………………太田規子
昭和伊南総合病院トータル・ギャラリー「看大コーナー」……………………………………………………水嵜知子
<投稿>
バングラデシュでの体験……………………………………………………………………………………………市川敦子
大原こだま園での実習を終えて………………………………………………………菊池郁希、染野はるか、山森美枝
<事務局よりのお知らせ>………………………………………………………………………………………………………
<同窓会よりのお知らせ> ……………………………………………………………………………………………………
<教員の処分に係る学長からのお詫び> ……………………………………………………………………………………
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両大学間のはじめての学生交換留学制度の開始ということ
〔サモア特集:サモア国立大学との総合実習〕
で、サモア国立大学看護学部では私たちのために盛大な歓
サモアと日本の看護学生交換留学の試み
迎会のセレモニーを開催してくださいました。
田代麻里江
実習の第一週目は、サモアの首都アピアにある国立病院
サモアは南太平洋に浮かぶ人口約180万人の小さな国で
において、救急外来、産婦人科病棟で実習を体験しました。
す。本学は2001年にサモア国立大学看護学部と交流協定を
医療機器や衛生材料が乏しいばかりか、患者数に対する看
結び、以来、教員間、学生間で研究や看護実習をベースと
護師の人数も圧倒的に少ない環境下で、サモアの看護師た
して交流活動を行ってきました。本稿では特に、学生間の
ちがどのように看護を展開しているのかを学びました。ま
交流活動である学生交換留学制度についてご紹介をさせて
た、本学学生は実習に際し、英会話を特訓しサモア語も挨
頂きます。
拶程度はできましたが、サモア語だけでしかコミュニケー
ションがとれない患者さんに対し、看護者である自分はど
サモア国立大学看護学部との学生交換留学制度の概要
のような看護が提供できるのかという、日本の看護実習で
学生交換留学制度は2004年からスタートしました。双方
は体験したことのなかったチャレンジを受ける場面にも遭
から隔年に、交互に2-3名の学生が派遣されるシステムを
遇し、非言語コミュニケーションによる看護実践を学びま
とっています。これまでに、2004年と2006年は本学から
した。
それぞれ3名の学生がサモアへ派遣され、2005年はサモア
第二週目は、離島のサバイ島に渡り、基幹病院から地域
国立大学看護学部から2名の学生が本学へ派遣されてきま
を巡回している地域看護師に付いて、村の婦人会を基盤と
した。
した母子健康診断と予防接種の提供および慢性疾患患者の
本学では、この学生交換留学制度を4年生の総合実習の1
訪問看護を体験させて頂きました。サモアの伝統的な生活
つのオプションとして位置づけ、
履修を希望する学生を募っ
習慣を目の当たりにすると共に、
地域看護師がプライマリー
ています。毎回応募者が多い為、主に英会話能力と志望動
ヘルスケアの担い手となって活躍する実際の場面を見学す
機によって学生を選考しています。新カリキュラム(2006
る貴重な機会を得ました。サモアでの看護実習を体験した
年度入学生以降)では、4年生の国際看護学実習(選択)
学生たち自身の感想については、
本号の記事をご覧下さい。
として実施される予定です。
また、サモアでの看護実習の体験をまとめた学生たちによ
私自身は、国際看護学の教員として、この学生交換留学
る論文が長野県看護大学紀要の第7巻の pp.21-30に掲載さ
制度のコーディネートと、サモアにおける看護実習指導お
れており、本学のホームページからでも直接読むことがで
よび、本学におけるサモア人看護学生との看護実習指導を
きます
(http://www.nagano-nurs.ac.jp/kiyou/documents/7-3.pdf)。
担当しています。
学生交換留学制度:第一回目のサモアへの学生派遣
サモア看護実習における異文化体験
2004年8月12日、当時本学4年生であった小澤杏奈さん、
学生交換留学の看護実習によって、学生たちが学ぶこと
藤岡好美さんと、編入2年の結城美穂さんの3人が、8月28
はサモアの看護事情のみにとどまりません。この実習の真
日までの16日間、サモア国立大学看護学部に派遣されまし
の醍醐味は、
「異文化との遭遇体験」ではないかと思います。
た。サモア国立大学看護学部では、3人の女性看護学生で
まずは、言葉の違いです。病院や地域における看護実習
あるウラ、ルアマ、イライザとエモシ(男性)の4人の学
時間中のコミュニケーションはすべて英語です。朝から晩
生が共同で看護実習をする相手として迎えてくれました。
まで英語三昧で、サモアの人たちと思うように意思疎通が
できないもどかしさや、自分の語学力の限界との葛藤で、
予想以上に精神と体力を消耗してしまいました。
次に、生活環境の違いです。サモアは日本の真夏と同様
の気候にも関わらず、冷房設備はほとんどありません。そ
の環境に慣れない私たちは注意して水分を補給していても
脱水傾向になることがありました。また、サモア人は日本
人ほど野菜を食べる習慣がないため、私たちの食生活も、
炭水化物、肉や脂を中心とした生活になりがちでした。普
段の食生活ができないことからくる精神的ストレスや、体
調不良に悩まされました。
しかし、なんといっても最大のカルチャーショックは、
サモアの人々との価値観の違いでした。サモアでは、年齢
や役職の上の人を敬うということに、日本以上に絶対的な
2004年度第1回サモア実習
価値を置いています。サモア国立大学看護学部の先生方の
〔2〕
私たちへの様々なご配慮に対して、たとえ私たちの遠慮か
それは、やはり言語への適応困難からでした。実習時間に
らだとしても、異なる意見を述べることは適切ではないと
留まらず、友だちとしてサモア人学生と交わす会話のすべ
感じたことがありました。サモアの流儀を知らないことで、
てが英語でなければなりません。サモア人にとって英語は
お世話をして下さっているサモア国立大学看護学部の先生
日常語ですが、日本人にとって英語は非日常的な言葉です。
方にご迷惑をおかけしていたと気づいた時は大変ショック
久保さんと塩沢さんは実習前に英会話の特訓を受けたにも
でした。この体験から、同じ専門職同士であっても、文化
関わらず、英語との格闘に疲労困憊してしまいました。ま
背景の大きく異なる者同士が一緒に活動する際に必要とな
た、サモア人学生たちを心からもてなしたいという気持ち
る、文化的価値観の調整や交渉能力について学びました。
から、実習後も夜遅くまで付き合っていたため休息がとれ
カルチャーショックは、
苦い経験ばかりではありません。
ず、疲労が蓄積していきました。このように、日本人学生
楽しいカルチャーショックもたくさん体験しました。何事
の2人は日本にいながらにして、まるで海外に行ったよう
にもユーモアと踊りを欠かすことのないサモアの人々の温
な異文化体験をしたのです。
かさと陽気さでもてなされた私たちは、サモアの人々と一
サモア人のファアとヘンリーもまた滞在中にカルチャー
緒にお腹をかかえて笑い、人目を気にせず一緒に踊り、日
ショックやホームシックになり、精神的なアップダウンを
本では体験したことのない開放感を味わいました。そして、
日々経験していました。実習のディスカッションでは、日
まるで絵に描いたようなエメラルドグリーンの透明な海で、
本とサモアの看護の違いをテーマに話した際、看護のベー
サモアの人々とスノーケリングをし、熱帯魚を追いかけた
スになる「家族」や「hospitality(もてなし)
」について
ことも忘れられない経験です。
の考え方に大きな文化的価値観の差異を見出し、そのこと
を説明するうちに、伝えきれない部分があることをもどか
サモア国立大学看護学部からの留学生の受入れ
しく感じたのか、ファアやヘンリーが思わず涙ぐむ場面も
2005年は、7月11日∼23日までサモアからファア(女
ありました。
性)とヘンリー(男性)の2名の学生を本学に迎えました。
双方の学生たちはカルチャーショックを体験しながらも、
本学で彼らと共に実習を行ったのは、当時4年生の久保裕
友情をあたため合い、深い心の繋がりを築いたようでした。
樹さんと塩沢みのりさんでした。開校以来はじめての短期
また、学内の寮で生活する1年生の有志が、同じ学内の宿
留学生を迎え、本学では大学主催の歓迎会を大々的に開催
舎に滞在していたファアとヘンリーを毎晩訪ね、サモア・
しました。
ダンスを習ったり、夜通し語り合うなどして交流を深める
ことができたようでした。
第2回目のサモアへの学生派遣
2006年8月1
1日∼27日(16日間)に、本学より4年生の
川添祥子さん、佐合今日子さん、竹内めぐみさんが派遣さ
れました。本号に掲載している学生たちの感想を是非お読
みください。
第2回目の派遣は、一言で言って「毎日がチャレンジ」
でした。病気(メンバー全員)
、ケガ、停電、断水、飲料
水の欠乏など、相次ぐ困難に遭いました。
度重なるアクシデントに見舞われつつも、サモアでの実
習や生活を満喫できた背後には、国立大学看護学部で私た
2005年 日本での最初の交換留学実習 ファアとヘンリーを迎えて
ちのホスト役となって下さったマア先生や、当時 JICAシニ
看護実習は、本学とサモアの学生2人ずつがペアとなり、
アボランティアであった鈴木俊章先生の大変きめ細かいサ
施設見学をしたり共同で1人の患者さんを受け持たせてい
ポートがありました。また、2005年に本学に派遣されて来
ただき看護を提供しました。この場合の実習の目標は、
「看
たファアとヘンリー(当時看護学生)が既に看護師になっ
護を提供すること」のみならず「異文化背景の看護者はど
ており、実習先と生活の場の両方において献身的な支援を
のような看護を提供するのだろう」ということを、お互い
して下さいました。更に、サモアに派遣されている青年海
が学びあうことにありました。そこで、実習先から大学に
外協力隊や、果てはアメリカのピースコーの方にも様々な
戻った後、実習で体験したことを学生間で話し合い、感じ
場面で助けて頂きました。
方の違いや、意見の違いから、互いの文化的価値がどのよ
お世話になった方の中でも特に、看護のベテラン教員で
うに看護に影響を与えているかを確認しました。
あられるマア先生の本学学生への関わりを見させて頂く中
久保さんと塩沢さんは、母国である日本でサモア人学生
で、
「時に厳しく、しかし学生のすべてを包み込む、母親
を受け入れるホスト役を体験したわけですが、意外にも、
のような愛」に私は心を打たれました。マア先生には2004
カルチャーショックからくるストレスに悩まされました。
年にも大変お世話になりましたが、この度も以前以上にお
〔3〕
世話になり、私
病院で実習をして、はじめは開放的すぎる病棟の様子や看
自身が先生の愛
護師・医師などスタッフの少なさにとても驚きました。し
に包まれながら、
かし、それぞれの病院で限られた資源・環境のなかで自分
教育者としての
達の技術を精一杯使って生き生きと働く看護師達の姿を見
あるべき姿を教
て、看護の質は資源の豊かさだけに左右されるものではな
えて頂くという
いということに気付かされました。
幸いな体験をさ
せて頂きました。
マア先生と著者(田代)
また、
2回目の
派遣では、1回目にはなかったプログラムを取り入れて充
実した体験をしました。それは、サバイ島という離島の中
でも、更に遠隔地にある病院に2泊滞在して実習をしたこ
とでした。その病院で医療を担うのは、サモア人の看護師
たちでした。患者を診断し、薬を処方し、傷を縫合し、お
産をとりあげるなど、村人の健康を一手に引き受ける看護
師たちのたくましい姿に、学生たちと私は圧倒されました。
日本の看護師は法律で医療行為の制約を受けていますが、
サモア国・サバイ島の病院にて(川添)
そのことに甘んじて専門能力を養成する機会を失っている
私たちが実習をしたサバイ島の病院には常勤の医師が一
のではないだろうかと感じました。
人もおらず、看護師の数もまだまだ足りていない状況で、
さて、学生交換留学で2度目にサモアを訪れて、今回最
物資も必要な分が十分に供給されていない状態でした。看
も嬉しかったことは、前年度にサモアから派遣された学生
護師の業務も外来患者の診察、入院患者の看護、訪問看護、
で、現在は既に看護師となりサモアで働いているファアと
婦人会での検診など幅広いものでした。そのような状況で、
ヘンリーが、
「自分たちが日本に行ったとき、長野県看護大
お互いに助け合いながら自分の仕事に誇りを持ち、笑顔で
学の学生にとてもよくしてもらったから」と言って、個人
仕事をしている看護師の姿はとても印象的でした。また、
的には面識がないにもかかわらず、本学の川添さん、佐合
サモア国立病院の産科病棟でお産に立ち合わせて頂いたと
さん、竹内さんたちを心から慈しんでもてなして下さった
き、ナースステーションから離れた分娩室で助産師が一人
ことでした。自分が受けた親切を同じ相手に返すだけでな
で分娩介助を行っていました。サモアでは産婦の家族が分
く、次の学年にも受け継いでいくという、大学間交流の流
娩に立ち合い、
助産師の介助 ( 羊水や血液で汚染されたシー
れが形になりはじめたように感じられました。
ツを取る、必要物品を渡すなど )を行うのが一般的なようで
学生交換留学制度も2007年度で4年目を迎えます。2007
した。日本の分娩台のような設備はなく、ベッドがあるだ
年度は、サモアから本学に留学生を迎える年です。これま
けの簡素な環境に始めは少し不安を感じましたが、産婦に
で先輩たちが築いてきた大学間の友情を基盤に、言葉や文
声をかけながらてきぱきと仕事をする姿、出産の喜びを家
化の違いを超えて、互いの成長に影響を与え合うような深
族とともに分かち合う姿は、看護師として本当に尊敬でき
い交流を造りだして欲しいと願っています。
るものでした。
本稿のために、サモア国立大学看護学部の元留学生、ファ
実習の感想
ア、ヘンリー、そして2004−2006まで教員として働かれ、
国際看護学実習に参加して、私は日本の病院では学ぶこ
2006年の本学からサモアへの学生派遣に多大なご協力を頂
との出来ないたくさんのことを学びました。サモアで様々
いた JICAシニアボランティアの鈴木俊章さんからもメッ
な人のお世話になりながら2週間の実習を終えたとき、こ
セージを戴いております。サモア側から見た学生交換留学
の経験を忘れずに自分も周りの人に対して愛情や思いやり
制度についての感想を是非お読みください。
の心を持って接していきたいと強く思いました。また、サ
(本学教員・国際看護学講座専任講師)
モアの文化や医療の現状を知り、自分の視野を広げ看護に
ついて改めて考えることが出来ました。
川添祥子(本学学部4年生)
〔サモア特集:サモア国立大学との総合実習〕
サモアでの総合実習を通じて学んだこと
実習を通して学んだサモアの看護
サモアの人々はとてもおおらかで楽しいことが大好き、
川添祥子、佐合今日子、竹内めぐみ
そしてとても思いやりにあふれた人ばかりでした。そんな
サモアの物資と環境
サモアの良さは看護にも現れているように感じました。サ
私たちはこれまでの実習で、環境も資源も必要なものは必
モアでは日本同様に糖尿病患者が多く、実習中にも多くの
ずあるという前提で実習を行ってきました。今回サモアの
糖尿病患者と出会いましたが、糖尿病のコントロールに対
〔4〕
する考え方はサモアと日本とでは違っていました。
れから多くの人に伝えていけたらと思います。 今回の実習中に糖尿病の患者が ICUで家族と一緒にアイ
佐合今日子(本学学部4年生)
スクリームを食べているのをみて私はとても驚き、一緒に
いたナースに尋ねてみました。するとインスリンで血糖値
サモアの実習から
がコントロールできているのだから、アイスクリームを食
サモアへ実習に行かせて頂き、本当に素晴らしい実習を
べても問題ないという答えが返ってきました。生きていく
することができました。サモア実習で学んだことを、来年
上で食事が楽しみならば、薬と運動でコントロールして今
から看護師として働く際、是非活かしていきたいと思いま
まで通り食事を楽しむことも大切だと、別の看護師も話し
す。とても貴重な経験をさせて頂き、本学の先生を始めと
てくれました。
し沢山の支えてくださった方々に本当に感謝いたします。
私たちが今回の実習を通して最も深く学んだことはホス
ピタリティーの心であったように思います。まず、今回特
に私たちの世話を担当して下さった、サモア国立大学看護
学部マア先生、JICAシニアボランティアで同じく看護学部
の教員である鈴木先生、そして昨年本学に交換留学実習で
やってきたファアとヘンリーですが、彼らは単に仕事とし
てではなくまるで家族のように私たちをもてなし、世話を
してくれました。
マア先生、鈴木先生は、2週間後に控えた国際カンファ
サモア国立病院にて実習中(佐合)
レンス(SPNF)の準備で忙しいにもかかわらず、私たち
日本では糖尿病などの生活習慣病に対して厳しい食事制
に何か問題が生じたらすぐにスクーターとタクシーでかけ
限が一般的です。今回初めて日本の生活指導を見直して、
てつけて下さり、全てのスケジュールをコーディネートし、
医療者側が一方的に糖尿病をコントロールして長生きする
いつも私たちにとって何が最善かを考えていて下さいまし
ことが患者にとって幸せだと決めつけている場合も多いの
た。実はサモアでは、自家用車を持っている人の方が少な
ではないかと感じました。もちろん、厳しい食事制限のす
く、ほとんどの人は移動にバスかタクシーを使うのです。
べてが悪いわけではなく、生活を楽しむためには健康であ
ファアは、毎晩私たちのことを気遣い、自腹でタクシー
ることも必要です。けれどもう少し、患者としてだけでは
代を払い、私たちのために毎晩家に来てくれました。休日
なく、病気を抱えながらも楽しみを持って生きていく人だ
でさえプライベートな時間を割き、私たちのそばについて
という視点を意識して関わることも大切だと、今回サモア
いてくれました。 私たちは初めてサモアに行ったので、も
の看護師から学んだように思います。今回のサモアの経験
ちろん知らないことのほうが多かったのですが、ファアが
を通して、自分がこれからどんな看護をしたいのかを考え
そばに居てくれるだけで安心でき、心強く、一時一時を楽
直すことができました。
しく過ごすことが出来ました。
ヘンリーは既に大学を卒業し、実家のあるサバイ島の基
サモアでの生活全体を通して
幹病院で看護師として働いていました。驚いたことに、全
サモアでは、人の優しさ、親切さに感動することの連続で
く偶然にも、私たちがサバイに滞在する4日間とヘンリー
した。私が滑って転んで怪我をしたとき、サモア人の小さな
の4日間の休暇が重なったため、その連休を全て私たちの
男の子が手をつないで、先生やみんなのいるところまで、連
ために費やしてくれました。そして、休日を返上して仕事
れて行ってくれたりもしました。外国人の、それも知らない
をすることになるにも関わらず、全ての場所にエスコート
年上の人にさっと手が出るなんて、あんな小さな子でも自
し、私たちをサポートしてくれました。サバイ島ではヘン
然に人を助けることが身に付いているなんて本当に感動し
リーのサポートなくしてあのような充実した実習は行えな
ました。また、マア先生やファアは私たちの様子を心配し
かったと思います。
て、毎日時間をかけて訪ねてきてくれ、困ったときはいつも
そばにいてくれて助けてくれました。そしてヘンリーやファ
アとは看護観について話すなかで、彼らの看護に対する真
剣な姿勢から自分の看護観を持つことの大切さも学びまし
た。今回私にとって始めての海外でしたが、慣れない環境
の中で楽しい毎日を送ることが出来たのはマア先生、ファ
ア、ヘンリーをはじめサモアの人々や、
現地でお世話になっ
た日本人の方々、実習メンバーや先生方のおかげだったと
思います。本当にありがとうございました。今回のサモア
で学んだ感謝の気持ちや優しさいつまでも忘れないで、こ
〔5〕
サモア国・サバイ島の病院にて(竹内)
今回、サモア国立大学看護学部の学生たちとは一緒に過
ごす機会が少なかったのですが、学生たちは別れの日に、
自分たちでお金を出して、私たちに沢山のお土産を買って
プレゼントしてくれました。また、学生全員で素晴らしい
サモアン・ダンスも見せてくれました。実習期間中に私た
ちと直接接した学生はほんの数人だったので、学生全員で
このような盛大なもてなしをしてくれたことにとても感激
しました。私は、彼らは私たちからの見返りを期待してい
るのではなく、本当に心の底から私たちの事を考え、もて
なしてくれたのではないかと思いました。
サモア国・サバイ島 地域訪問看護実習
サモア国立大学のマア先生、鈴木先生、そしてファアと
ヘンリー、さらに看護学生たちが、彼らのできる精一杯の
気持ちを込めて、私たちの世話をし、もてなしてくださっ
〔サモア特集:サモア国立大学との総合実習〕
再びサモアを訪れて:
2年ぶりの再会が与えてくれたもの
たこの心に触れたとき、私は人を思いやるということは、
自分の利益を考えるのではなく、その人のことを本当に心
小澤杏奈、藤岡好美、結城美穂
から考えられることなのではないか、と感じました。この
ことから、私はホスピタリティーと看護の関連性について
■ Do you know where Samoa is? これは、海外実習生
思わされました。私は、看護とは、ただの仕事としてでは
という未知の世界、異国の言葉への興味で志願した私が、
なくその人のことを心から思いやり、考えて、看護を実践
選考面接で聞かれた質問の1つです。行ってみたい!とい
することだと思っています。サモアで受けたホスピタリティー
う興味はあったものの、サモアがどんな国で、どこにある
は、看護者として患者さんに関わっていく上でも根底にな
のかすら知らなかった私。もちろん、質問の答えには「…
くてはならないものなのではないかと思いました。
No.」と答えるしかありませんでした。しかし、実習生と
私たちは、今回このホスピタリティーの心をサモアで出
して選ばれ、サモアや、異文化看護について勉強していく
会った様々な人々から学べたことで、思いやりということ
うちに、サモアのイメージはふくらみ、現地では、実際の
を一から考え直すことが出来ました。そして、日本ではあ
生活や看護実習を通して、土地柄、人柄、文化、異文化看
まり考えたことのなかった、しかし、看護をしていくうえ
護などについて学ぶことができました。やはり、聞くのと
でとても大切なホスピタリティーという意味を、身をもっ
実際に体験するのとでは、自分の中での捉え方や、理解の
て学ぶことが出来たと思います。このことを学べたことは
仕方、感じ方が全く違います。実際に触れ、肌で感じるこ
これから社会に出て行く上で、何よりも自分の財産になる
とで、より深く考えること、理解することができたと思っ
のではないかと思います。サモアで学べたこのホスピタリ
ています。もちろん、異文化での生活は楽ではなく、言葉
ティーの心を今後も忘れず、今度は私たちもホスピタリ
の伝わらないもどかしさや、文化からくる感情のすれ違い
ティーの心で人々と関わっていきたいと思いす。
に悩むことや落ち込むこともありました。しかし、サモア
来年は、私たちの大学がサモアの学生を受け入れる番で
で体験した全てのこと、出会った全ての人々が、私にとっ
す。そこで在校生の皆さんに是非お願いしたいことがあり
ては貴重で、大切な宝物となり、また、今までの当たり前
ます。それは、来年の夏に、交換留学制度でまたサモアか
を考え直す機会にもなりました。実習から帰るころには、
ら2名の看護学生が2週間本学に来ます。その時、私は一緒
すっかりサモアの魅力の虜になり、「またサモアを訪れた
に実習するわけではないから関係ないと思ってほしくない
い」と思うようになりました。
のです。サモアの学生たちが、本学の代表として行かせて
そして2年の月日が流れ、今回2006年9月に開催された
もらった私たちに、惜しみなく、あふれるばかりのホスピ
看護の国際カンファレンスである South Pacific Nurses
タリティーでもてなしてくれたように、私たちの大学でも
Forum(SPNF)に、発表者として再びサモアに行くこと
在学生の皆さん一人一人が豊かなホスピタリティーの心を
ができました。2年ぶりに訪れたサモアは、携帯電話が普
持って、遠路はるばる来てくれたサモアの学生たちに素晴
及している、透析センターが開設されているなどの変化は
らしい体験をしてもらいたいという気持ちで、サモアの学
あったものの、再会した人々の温かい人柄や、自然の雄大
生を心から歓迎して頂きたいのです。会った事のない人を、
さは変わってはいませんでした。最初から最後まで母親の
また自分とは直接関係がもてないかもしれない人をもてな
様に面倒をみてくれた、2005年度のサモアからの交換留学
すことはなかなか大変なことだと思います。けれど、そん
生ファアを始めとし、懐かしい人たちとの再会に、昔話や
な時は、もし自分が逆の歓迎される立場だったらどんなに
近況報告に花を咲かせました。
感激するだろうということを考えて頂けたらと思います。
SPNFでは、自分たちが体験した交換留学プログラムの
是非宜しくお願いいたします。
感想と課題について発表をし、参加者のみなさんに交換留
竹内めぐみ(本学学部4年生)
学について理解していただけたように思いました。また、
〔6〕
他の国の発表も、その国の文化に根ざした看護の発表など、
とても嬉しいものであったのかもしれない。同じ Nurseと
興味深いものが多くとても勉強になりました。
いう資格のもとに、それぞれの地で、各々の国の文化を大
この交換留学プログラムは、サモア国立大学看護学部と
切にしながら、その地域に合わせた看護を行なっているこ
長野県看護大学の交流協定から始まっています。私たちが
とが、なんだか、素敵に感じられた。同じ Nurseという資
交換留学を通して感じたこと、学んだことを、そこで終わ
格によって巡り会えた異国の Nurse 仲間の頑張を見ること
りにしてしまうのでは発展や継続につながりません。実際
は、私も Nurseとして頑張っていこうと再び奮い立たせて
の体験から学んだことを伝え、今後の課題を提示すること
くれるよい機会となった。
が、実習に参加した私たちの努めだと感じています。また、
藤岡好美(本学卒業生)
交換留学参加者を始めとし、縦や横のつながりを作り交流
を続けることは、自分にとっても意義のあることだと思っ
■私は2004年にサモアへの海外実習生の募集を見て、現地
ています。
の人々の生活の様子を実際に自分の目で是非見たい、とい
2004年に交換留学の機会を与えてくださり、サモアへ行
う好奇心からサモアでの海外実習を志願し、行きました。
き学べたこと、今回 SPNFへ参加し、発表や親しい人々と
実習では楽しいだけでなく、異なる環境や生活を通して、
の再会ができたことの素晴らしさ、ありがたさに深く感謝
今まで向き合っていなかった自分自身に気付きました。ま
しております。本当にありがとうございました。
た、日本の文化の中で私は育ってきたのだということを初
小澤杏奈(本学卒業生)
めて感じたりする貴重な体験になりました。
■飛行機を降りた瞬間、サモアのモヮ∼っとした暑さが、
私たちを歓迎してくれた。そして、その暑さは、2年前の
貴重な看護実習体験を思い出させてくれた。
「また、戻って
来れた!」これが私たち3人共通の感想。
2年ぶりの訪問では、サモア国立大学看護学部(NUS)
の先生方や、実習でお世話になった Nurse 、当時、私たち
と同じように看護学生だった仲間たちとの再会を果たすこ
とができた。全ての学生との再会は果たせなかったが、皆、
サモア国内外のそれぞれの場所で、Nurseとして歩み始め
SPNFにて(左より2人目:結城)
ているという話を聞くことができた。そして、NUSの先生
そして二年後、まさか再びサモアに行けるなんて夢にも
方は、私たちも、彼らと同じように、日本で、資格を取得
思いませんでした。今回 South Pacific Nurses Forum
(以
し、Nurseとして歩み始めているという報告を、とても喜
下 SPNF)に参加して、二年前にお世話になった先生、学
んでくださった。
生に再会できたことが一番うれしいことでした。さらに、
SPNFで私たちの体験を多くの参加者に伝えられたのは、
本当にありがたいことでした。発表を通して、私は実習の
時を思い出したり、仕事の合間に、小沢さんを始めとして
藤岡さんと共に論文を作ったことなどを思ったり、それま
でのいろいろなことを考え、この実習からその体験の発表
に携わることができてとてもよかったな、と感じました。
このような貴重な機会が与えられたことに感謝しています。
そして何より、お世話になった全ての方々に感謝します。
ありがとうございました。この経験をこの先どう活かして
いくかはまだわかりませんが、これからの人生に活かして
サモア国立大学看護学部の学生たちとの再会(前列左から2人目:小澤、3人目:藤岡)
いきたいと思っています。
結城美穂(本学卒業生)
再びサモアを訪れたことで、国は違うけれど、共に学び、
ディスカッションした仲間が、各々の場所で、同じ Nurse
という資格で働いているという共通点が、とても嬉しく感
〔サモア特集:サモア国立大学との総合実習〕
長野県看護大学での想い出:
2005年サモアからの留学
じられた。2年前のサモアという異文化での看護実習は、
それまで日本で学んだ看護とは多くの事が異なり、戸惑い
ファレアガ・マプ、ヘンリー・テイラー を感じながらの実習であった。けれど、その経験によって、
その国の文化を尊重しながら看護を行なっていくことが大
Impression regarding the Exchange between NCN - NUS
切なのだという事を学ばせてくれた。
Faculty of Nursing & Health Science in Samoa.
そんな学生時代の学びがあったからこそ、今回の再会は、
It is a vital program between the two institutions,
〔7〕
where both students and lecturers get benefits from
it. This means, selected students are therefore get the
marvelous opportunity to expose to a different
culture and learn from it, compare and contrast the
different. Students are also had the opportunity to
meet other students of different races, background,
ethnicity, languages and culture. Who knows I (Fa'a)
would make a lot of Japanese friends and learn some
Japanese words and culture because of this Exchange
Program? Therefore, I would never forget that
opportunity was given for me!!
Visiting Nagano College for the Exchange purposes
is a privilege. It is an unforgettable experience,
meeting elderly Japanese who are receiving caring at
the Village of Plum (God I still remember), is also a
privilege, even though I have learnt from there the
differences between the two cultures, pertaining
family systems in which in Samoa, an elderly person
in a family is a door for blessings if a person properly
looks after an elderly. But, during discussions, I have
learnt that, family system in Japan is broken, unlike in
Samoan culture.
〔あらまし〕
サモア国立大学看護学部と長野県看護大学間での学
生、研究者の学術交流は大変有意義なプログラムだと 思います。異なる文化的背景や言語を持つ、未知の世 界との出会いは、特に若い学生にとっては有意義だと 思います。私は、サモアから駒ヶ根に訪れた第1回の
交換留学生として、日本の文化に触れ、日本の食事を
体験し、日本の言葉を学びました。そして何よりも多 くの日本の友人を作ることができました。
看護の実習では、プラムの里という老人施設を訪問
したことが大きな印象として残っています。ここでは、
老人への介護という視点から、サモアと日本の文化の 違いについて考えさせられました。また、日本の友人 ともディスカッションしましたが、日本では家族が崩 壊してしまったのではないかという印象も受けました。
サモアはこの点まだ家族の絆は強く残っています。
このプログラムは今後とも是非続けていって欲しい と考えます。今回、日本からやってきた学生の皆さん が帰国した後、メールでのやり取りがずっと続いてい
ます。彼らはサモアでの思い出を大切にしてくれ、サ
モアに戻りたいといってくれますが、私たちも同じ気 持ちです。
この機会を与えてくださった皆様に心から感謝しま
す。また、お目にかかれることを楽しみにしています。
ファレアガ・マプ ■ Hello there, how is everyone back there? and how
is our lovely unforgettable Nagano College of
Nursing there in Japan? I hope this email will find you
in good health and great strength.
Well, it's very nice to hear from you again, it will
always refreshe my breath and unforgettable
memories of the Lovely country I have ever been in
the whole wide world.
看護師となって活躍するファア
I am sorry for not replying back earlier, you see, I
I strongly recommend continuing this Exchange
was very busy with some of the families, personal
Program in order for upcoming students in both
and as well as the professionals stuffs here, and then I
institutions to enhance the knowledge and experience
was totally forgot to check my email, on the other
and learn from each country.
hand, I hardly have time to check it because we only
Another great experience from this program, e.g.,
have like two places for email in this big island.
when Japanese students left Samoa after the
Anyways, thank God for the opportunity and for his
practicum, we still share our views through emails
and internet. Japanese students always send email
and say they miss Samoa very much, and want to
come back next time, and as so as Samoan students,
which reveals the firm relationship established
between the two institutions.
Thank you very much for the opportunity given.
May God's Blessings be upon this Exchange Program
and continue until the end of the World.
Faafetai (ありがとう)
Fa'aleaga Mapu
〔8〕
看護師となって活躍するヘンリー
もすばらしい結果をもたらし、すてきな経験となりま
us, each and everyday.
した。
Well, I am now going to write a small letter of my また決して忘れることができないのは、僕たちに接 own impression, suggestion and of course an してくれた人々の温かさと親切です。いろいろなとこ evaluation of the two institutions exchange.
ろで、いろいろな人々が僕たちを歓迎してくれました。
皆さんにお会いするときを楽しみにしていま
As I always say, Japan is an unforgettable memory
また、
す。
of my life, and it's a pleasure and honor for me say
ヘンリー・テイラー thank you, to those who have come across and
thinking of doing this great, knowledgeable and
loving kindness, protection for each and every one of
skillful exchange between the two institutions.
So, I may say that, the exchange program that I've
〔サモア特集:サモア国立大学との総合実習〕
虹の帯
been is a very challenging opportunity for me go on
in life, and experienced a lot of different things that I
鈴木俊章
havenユt able to find throughout my entire life.
It gives me a unique and a transparent opportunity
南海の楽園サモアは自然に恵まれた所で、タロイモ、パ
to face and learn from different things in other or
ンの実を始め、バナナやパパイヤ等のフルーツが年中実り、
different cultures.
豚や鶏ものら猫の様に勝手に増え育ちます。さらに、海も
One of the most challenging seen that I have come
魚介類で満ちあふれています。働かずとも食べ物の心配が
across, is how students interact and they work
無いので、木陰で昼寝をしながらのんびりと過ごします。
together in order to come up with a meaningful
conclusion. I mean they all work as a team, hand in
hand in which I think we rarely find here in our
country.
One of the most happiest and an unforgettable
experience is how people treat us, they were all so
very nice to us, they welcomed us in many different
ways which makes our stay worth while.
I am sorry I got so many in mind to say , but I am
afraid that I am running out of time. So that's all I
サモア国立大学看護学部学生と著者(鈴木)
have to say for now, maybe next time I will write a lot
JICAから NUSの講師として派遣された私は、NCNから
more than that.
交換留学生が来るというので、同僚教員と協力して受け入
So long farewell, I will never ever forget you all NCN
れの準備を進めました。2ヶ月前からメールでやり取りを
students and staff members, love always an regards
して出来るだけ具体的なスケジュールを立てようとしまし
from Matane!!!!! (またね !!!)
た。しかし、計画性というものが無い、悠々自適なその日
Henry Taylor
〔あらまし〕
交換留学生として駒ヶ根を訪ねてから日本は僕の人
生の中で忘れることのできない想い出の地となりまし た。まず、このようなすばらしい機会を作ってくだ さった関係者の皆さんに心から感謝します。
この交換プログラムは僕にとっては本当にチャレン
ジングな機会で、それまで知らなかった多くの新しい ことを経験することができました。異なる国、異なる 文化の中での経験は本当に他と比べることのできない ものでした。
駒ヶ根に滞在しているあいだに、いろいろな経験を
しましたが、もっとも想い出深いのは、長野県看護大 学の学生の皆さんとのいろいろな意味での交流です。
一緒に勉強したこと、施設を訪れたこと、ディスカッ
ションをしたこと、などなどが思い出されます。この
ようなことは、サモアでは珍しいことなのです。とて 暮らしの国ですから、学部側は予算も立てず、宿舎も前日
に決まる等、不手際続出で大変不快な思いをなさった事だ
と思います。
そんな状況でしたが、NCNの学生も先生も笑顔を絶やさ
ず、真剣に取り組んでいる姿には心を打たれました。教員
の中にはなんとかしようと家族総出で色々とフォローして
下さりましたし、学生達は3ヶ月も前からダンスの練習を
して備えてくれました。国立病院やサバイの病院も 色んな
アレンジを引き受けてくれました。サモア人の土壇場の適
応力には目を見張るものがあります。
今回学生同士の交流の時間が少なかったのが残念でした
が、サモアに派遣されている同年代のボランティアから色
んな話が聞けたのではないかと思います。口頭での発表は
在りましたが、もっとプレゼンやアピール出来るのではな
いかと思いました。与えるよりも受ける事の多かった事だ
と思いますが、前回の参加者が今年の国際看護大会で発表
〔9〕
した様に、今後も交流が続いて、縦糸と横糸が折り重なっ
そのものであった。ファレのステージでは伝統的な音楽や
て帯を織る様に、虹色の帯で日本とサモアをつなげて欲し
ポリネシアンダンスが行われており、お祭りのような楽し
いと思います。
い雰囲気の Open Dayであった。
(元サモア国立大学看護健康科学部講師)
〔サモア特集:サモア国立大学との学術交流〕
(本学教員:地域看護学講座専任講師)
〔サモア特集:サモア国立大学との学術交流〕
National University of Samoa 訪問
南太平洋看護フォーラム
御子柴裕子
多賀谷昭
National University of Samoa(サモア国立大学、NUS
NUS 訪問中には、
南太平洋看護フォーラム
(South Pacific
と略)は本学と学術提携を結んでおり、これまでも実習や
Nurses Forum、SPNFと略記される)第13回大会にも参
研究等で交流を図ってきている。今回のサモア出張の主な
加した。この会議は南太平洋の島嶼国とニュージーランド、
目的は、子どもの生活習慣病予防に関する研究について、
オーストラリアの看護職者たちの集会で、1982年以来2年
看護健康科学部の教員と打ち合わせを行うことであったが、
ごとに開催され、看護の実践と研究に関する情報交換を行
それ以外にも看護健康科学部で実際に行われている授業の
い、相互支援のネットワークを作り、次回大会までの2年
様子や「NUS Open Day」を見学する機会にも恵まれた。
間の行動計画を作成することになっている。今回の大会は、
8月31日、NUS看護健康科学部ではJICAシニアボランティ
NUSの看護学教員が運営の中心になり、NUSの大集会所ファ
ア隊員の鈴木俊章講師による講義が行われていた。この日
レ(サモアの伝統建築を模して日本の援助で建てられたも
の講義は、電子顕微鏡で生体や植物の組織を観察するもの
の)をメイン会場として9月3日から7日まで実施された。
であった。最初に実験の概要について鈴木講師が全体説明
各国から10人前後の代表団が参加しており、日本からは、
を行った後、学生は3∼5名ずつのグループに分かれて、
私たちのほか、2年前に NUSで実習を行なった本学の卒業
顕微鏡で様々な組織を観察、
スケッチしていた。翌日に Open
生(小澤さん、結城さん、藤岡さん)が発表のために勤め
Dayを控えていたこともあり、鈴木講師は電子顕微鏡の取
先から特別に休暇をもらって参加した。
り扱い方法について学生に丁寧に教えていた。鈴木講師に
よると、サモアの学生の勉学意欲を高めるためにはグルー
プワークはとても有効な方法とのことで、グループで手技
の確かさや早さを競わせながら個人のやる気を引き出して
いた。鈴木講師はまた、学生一人一人の顔写真と自己 PR
文(講義に対する意気込みに関する内容が多かった)をグ
ループ毎にまとめたグループプロフィールシートを使用し
ながら指導にあたっていた。自己 PR 文はグループ編成の
際に役立ち、また、グループプロフィールシートを用いる
ことで、30名前後の受講学生の個性に合わせた指導がしや
歓迎のカヴァの儀式(第13回 SPNF 事務局提供)
すいとのことであった。
翌9月1日は NUSの Open Dayであった。Open Dayと
開会前日の9月2日の昼には、サモア看護協会の集会所
は、サモア全土の高校生を対象に、NUSのキャンパス内で
で歓迎のカヴァの儀式が行われた。東西に長い集会所の西
大学説明会や模擬授業を行う日であり、
本学のオープンキャ
側には舞台があり、その前に敷かれたパンダナスのマット
ンパスのような位置付けであった。滞在していたホテルの
に民族衣装をまとった各国からの招待客が胡座をかいて座っ
近くにあるマーケットにも「NUS Open Day」と大きく書
た。主賓は国際看護協会長の南裕子先生で、私たちも日本
かれた横断幕が掲げられていたのを見かけ、Open Dayは
の代表として列席する栄誉を得た。東側にはホスト国サモ
大学を挙げての一大イベントの日であることを実感した。
アの保健大臣、看護協会長、NUS 学長、看護健康科学部長
学部や学科毎に高校生の興味を引くための様々な趣向を凝
らが座についた。中央の南側で地位の高い若い女性が作っ
らしたコーナーが設けられている中で、看護健康科学部は
たカヴァがココヤシの殻の容器に汲まれ、ラヴァラヴァと
ヘルスチェックコーナーを開設していた。制服を着た学生
いう腰布だけをまとった屈強の若者によってうやうやしく
たちは、鈴木講師の指導のもと、来場者の体重や血圧を測
招待者と主催者に交互にふるまわれた。カヴァはほとんど
定したり、電子顕微鏡で高校生に組織を見せたりしていた。
味がなく少し土のにおいがした。続いて椅子の席に移り、
実際に学生の血液を採取して、電子顕微鏡で見てもらう試
バナナの葉に包まれた甘いココナツ味のタロイモとストロー
みも行われていた(意外にドロドロ血だったが…)
。NUS
をさした若いココヤシの実(中のジュースを飲む)がふる
への進学を考えているであろう高校生たちの眼差しは真剣
まわれ、舞台では NUSの看護学生たちによる素晴らしく上
〔10〕
手な伝統的な踊りが披露された。
本学を来訪し、学生や教員等との懇談を行った。訓練生た
NUSのファレで行なわれた開会式では、各国の代表がプ
ちは修了式を2日後に控えており、訓練終了後の自由時間
ラカードと国旗を先頭に入場行進した。日本のプラカード
を利用した慌ただしい中での本学来訪であったが、積極的
も用意されていたので、私たちも卒業生と一緒にその列に
なやりとりによってあっという間に2時間半が過ぎた。
加わり、盛大な拍手で迎えられた。サモア看護協会長ニー
実習や研究等
ルセンさんの歓迎の言葉のあと本学にも来られたことがあ
により、短期間
る WHOのフリッチュさんのスピーチ、国際看護師協会長
ではあるが日本
の南先生のキーノート・スピーチ、サモア首相のスピーチ
とは文化も言語
が行われた。南先生の英語のスピーチは内容が濃く、決し
も気候も異なる
て上手な発音ではないが上品で非常に格調が高く、これこ
サモアで生活し
そ日本人として見習うべきコミュニケーションのあり方だ
なければならな
と感じた。なお、プログラムにはカトリックの司祭による
い本学の学生や
お祈りも含まれており、敬虔なキリスト教徒の多い南太平
教員にとって、現地で精力的に任務を果たす青年海外協力
洋島嶼国らしい開会式だった。
隊員はとても頼もしい存在である。サモア滞在中、彼等か
大会のメインテーマは看護師に特に肥満が多い南太平洋
らの心温まる歓迎やホスピタリティー溢れるサポートほど
諸国にふさわしく、Healthy Nurses for NCD Free Pacific
心強いものは無い。それゆえ今回の懇談は、今後もサモア
「健康な看護師で生活習慣病のない太平洋を」というもの
で実習や研究を継続する本学にとって、サモア派遣予定訓
で、お弁当の量も控えめで、ジュースの代わりに水が出さ
練生との相互理解を深めるための重要な機会となった。懇
れていた。発表では、本学の3名の卒業生が実習を通じた
談は、今年度サモアで国際看護実習を行った学生と、これ
NUSとの学生交流の経験について語り、盛大な拍手を浴び
までにサモアに複数回出張したことのある教員から、それ
た。私たちが NUSと共同で行った小児の生活習慣の研究結
ぞれの立場で捉えたサモアの印象やサモアでの生活の様子
果については、アイアヴァオ看護健康科学部長が口演する
について、主にデジカメ画像を用いたプレゼンテーション
ことになっていたが、発表の時間になってから看護政策関
を行いながら、訓練生からの質問に適宜応じる形ですすめ
係の司会と時間が重なっていることが判明したため、急遽、
た。
私たちが代役を務め、サモアの子どもたちに肥満が広がっ
5名の訓練生は全て女性で、職種は家政、環境教育、看
ているという研究結果の概略を報告した。肥満の問題が今
護師、木工、理数科教師と多様であり、中学校や高校、
回の SPNFの共通のテーマになっていたこともあって非常
JICAの廃棄物リサイクル施設等で働くことが決まってい
に多くの質問があった。
た。看護師隊員は、国際看護実習の実習先の一つでもある
開会式のあった9月4日の夜には、海辺のホテルで政府主
国立病院に、院内感染対策の専門家として勤務予定とのこ
催の歓迎会があり、ごちそうを食べながら再び NUS 看護学
とであった。サモア国内での居住地もそれぞれ異なってお
生たちのダンスを楽しんだ。このときの出し物は一段とグ
り、首都アピア市内やその近郊に居住する者もいれば、ウ
レードアップし、男子学生によるスリル満点のファイアダ
ポル島東部やサヴァイ島等の村部に派遣される者もいた。
ンスや、おそろいの民族衣装に身を包んだ女子学生たちの
また、サモア着任後に自力で賃貸住宅を探さなければなら
優雅な踊りが含まれていた。最後に招待者たちもダンスに
ない者もいるとのこと。訓練生たちからは、サモアでの電
加わり、南先生もサモアから贈られたプレタシという民族
気製品の使用状況、野犬や害虫等の対策、サモアと日本の
衣装を着て優雅に踊られた。7日の閉会式では、サモア看
常識の相違、サモア語での簡単な日常会話等、これから始
護副協会長として会期中ずっとメイン会場の司会を務めたNUS
まるサモアでの日常生活上の基本的な疑問が数多く出され
のイオカペタ先生の機知とユーモアあふれる名司会に、参
ていた。
加者から惜しみない賞賛の言葉と記念品が贈られた。なお、
5名の訓練生は「駒ヶ根訓練所での生活はとても楽し
私たちは帰国のため参加できなかったが、閉会式翌日の8
かった」「サモアでの生活は不安な面もあるが頑張ろうと
日には郊外へのポストコングレスツアーが組まれていた。
思う」「海がきれいなので楽しみ」等と述べており、とて
(本学教員・社会・経済学講座教授)
も頼もしく感じられた。酒豪揃い(!?)の訓練生から「お
互いの理解をもっと深めるためには、お酒の力が必要では
ないか?」との声も聞こえてきたが、いつの日か必ずサモ
〔サモア特集:サモア国立大学との学術交流〕
青年海外協力隊
サモア派遣予定訓練生との懇談
アで再会して、絶品ビール“Vailima”で祝杯をあげるこ
とを約束し、暫し別れを惜しんだ。
御子柴裕子
平成18年12月11日夜、平成19年1月より2年間サモア
に派遣予定の青年海外協力隊駒ヶ根訓練所の訓練生5名が
〔11〕
(本学教員:地域看護学講座専任講師)
異文化看護国際研究部門(IRC)
その後は、名誉教授室でのんびりしていただいた。旧交
のあった教職員と会話を楽しんだり、国内行脚中不便だっ
たメールチェックをしたり、好きな時間に大学のプールで
おかえりなさい、デイヴィス先生
泳いだり、駒ヶ根に住んでおられた頃にお気に入りだった
本学名誉教授 Anne J. Davis 先生をお迎えして
前田樹海
美容室で髪を切ったりして過ごされていた。仰々しい公開
講座や大掛かりなセミナーは行なわず、その代わり、大学
2006年12月4日から7日にかけて、本学名誉教授のアン・
院生や若手教員らと小人数で話し合いのできる場を設け、
デイヴィス先生が本学に立ち寄られた。デイヴィス先生は、
看護に関する濃密なディスカッションを通じて貴重な時間
開学時から常勤、非常勤あわせて7年間、本学の教育、研
を共有することができたと思う。
究に携わってこられた人物である。今回の来日では、京都
駒ヶ根で過ごす夜は3晩あったが、1日目は、滞在中のさ
橘大学看護実践異文化国際研究センターが主催した「看護
まざまな調整やお世話を買って出てくれた教員らと近くの
国際フォーラム2006」での講演や、聖隷クリストファー大
レストランで会食。2日目の12月5日は、教授会終了後、長
学での公開講座、日本看護科学学会学術集会の交流集会に
野県ではじめて地ビールを製造したことでも有名な「南信
コメンテータとして参加するなど、精力的に仕事をこなし
州ビールあじわい工房」で歓迎会が催された。実は、この
たのち、来日を締めくくる寄港地として長野県看護大学を
日はデイヴィス先生の誕生日で、さる有力筋からこの情報
選択されたわけである。
を仕入れたお世話担当班は、数々のサプライズを仕込んで
昨年2月から3月にかけて、大学院授業科目「看護海外研
会場に臨んだのである。しかし、学長が冒頭の挨拶の中で
修」でサンフランシスコを訪問し、コース参加者全員がデ
思わず “Happy birthday” と言ってしまい、後から出て
イヴィス邸に招かれた際に、この時期の来日を知り、当時
きた surpriseのつもりで用意したバースデイケーキとメッ
は駄目元で、その時はぜひわが校にもお立ち寄り下さいと
セージカードが単なる suppliesになってしまったというハ
申し上げていたが、それが実現したわけである。実現に向
プニングはあったものの、参加した多くの教職員らと楽し
けては、京都橘大学の国際フォーラム担当者が本学修了生
いひとときを過ごしたのであった。
であり、スケジュールの調整等について連絡を密に取れた
その晩のスピーチでは、現在の半リタイア状態のよいと
のが大きい。かつて彼が本学大学院に入学したのは、デイ
ころとそうでないところについて語ってくれた。半リタイ
ヴィス教授が本学で教鞭をとっていたからなので、もとを
ア状態になって良かったところは「教授会がないこと」と
糺せばデイヴィス先生の人脈が今回の来駒を実現させたと
言いきり、年に30回もの教授会に出席しなければならない
も言えるであろう。
本学の教授会メンバーや事務職員の爆笑を誘った。一方、
筆者は、京都橘大学の国際フォーラムと日本看護科学学
残念だったのは、院生の指導ができなくなったことだと言
会学術集会にも参加したが、特に、日本看護科学学会では
い、看護教育に半世紀を捧げた教育者らしい発言で会場を
デイヴィス先生はじめ、本学の全ての名誉教授にお会いす
しんみりさせた。
ることができた。聞くところによれば、この神戸の学会で
3日目の晩は、
は、本学全4名の名誉教授が一同に会し、晩餐会を催した
ECS(English
らしい。想像するになかなかすごい構図で、筆者はひそか
Conversation
に Big Fourと呼んでいたりする。今年5月の最終週には、
Society)
のメン
ICN( 国際看護師協会 ) 横浜大会が開催されるので、前回の
バーらとフレン
チ。ECSは、英
ICN 台湾の時のように、Big Fourに本学教職員や学生、同
デイヴィス先生を囲んで
窓を交えて親睦会を開催するのが楽しみだ。
語に慣れるため
閑話休題。日本看護科学学会学術集会が終了した翌日に、
に本学教員で組織された非公式サークルで、1時間の会の
待ち合わせの新神戸駅にお迎えに行った。その時デイヴィ
あいだは日本語の使用は一切禁止。デイヴィス先生は ECS
ス先生をエスコートしていたのは、兵庫県立大学の副学長
の創始者のひとりであり、彼女が去った後も、歴代の外国
(で、ICN 会長)と看護学部長のお二人。昨年10月に皇太
人教授らとともに途切れることなく、ほぼ週1で現在まで
子殿下が「災害看護」の実習見学のために兵庫県立大学を
続いている。
訪問した際に撮影され通信社から配信されたスリーショッ
最終日はセントレアに向かうため、午前中にシャトルに
トがあったが、この日は皇太子殿下の代わりにデイヴィス
乗らなければならないのであるが、その時刻ぎりぎりまで、
先生という陣容で、筆者は非常に緊張した。
教員らの相談に乗っておられた。あっと言う間の4日間で
新幹線で岐阜羽島に行き、そこから自家用車に乗り換え
あったが、僕らにとって何よりだったのは、デイヴィス先
た。道中混雑もなく、待ち合わせから3時間余で本学に到
生が、お客様としてではなく、以前本学の現役教授だった
着。非常勤講師宿舎に荷物を置き、デイヴィス先生には懐
頃のように、心からくつろいでおられたことであった。
かしの大学生協の食堂で昼食。途中から学長も合流し、日
前田樹海(本学教員・生活援助学講座助教授・異文化看護
国際研究部門長)
替わりランチに舌鼓を打った。
〔12〕
趣旨の発表である。
教員活動報告
ドイツを中心としたヨーロッパの学者の学会なので、学
〔教員活動報告〕
会での公用語はドイツ語、フランス語、英語である。しか
Leiden 大学(オランダ)での
言語学史学会に参加して
し、昨今の国際共通語としての英語の力はすさまじいもの
江藤裕之
で、全員への挨拶やお知らせなどは英語のみか、英語とド
イツ語で行われていた。筆者は英語で発表し、多少なりと
SGdS(Studienkreis, Geschichte der Sprachwissen-
もドイツ語ができるが、フランス語の会話能力はゼロに近
schaft[言語学史学会]
)という、ドイツの学者を中心に設
いので、フランス語の発表や質疑になるとお手上げである。
立された言語学史の学会がある。ヨーロッパを活動の拠点
総勢60名ほどの小さな集まりであるが、その分、参加者
とし、毎年夏に大会を行い、 Nodus Publikationen とい
への対応はきめが細かい。そこで、そこに集った者どうし
う ド イ ツ の 出 版 社 か ら Beitrge zur Geschichte der
の親睦も深めやすい。その意味で、小さな学会はいろいろ
Sprachwissenschaft (言語学史論集)というジャーナル
と得るものが多い。こういった場で仲良くなった外国の学
を年2回発行している。2006年はオランダのライデン大学
者と共同研究や共同執筆へと発展していった例も少なくな
で6月28日から30日にかけて年次大会が行われた。
い。学会は、自分で発表したり、他の人の発表を聞いたり
1575年に創設されたライデン大学(Universiteit Leiden)
するだけではなく、このような人的交流の方がむしろ大切
はオランダでもっとも古い大学である。このヨーロッパで
なのではないかと思う。その意味で、プログラムをサボる
も有数の格式の高い由緒ある大学は、カルヴィン派神学の
ことが難しい(すぐに目立ってしまうため)少人数の学会
中心となる。また、日本学科が1855年に設立されたことか
は参加者と仲良くなるにはうってつけである。
ら、ライデン大学はヨーロッパの日本研究の中心的位置を
さらによいことは、発表の時間が長いことである。言語
占めている。西周や榎本武揚もこの大学で学んだ。
学の学会でも大きなものになると、持ち時間が20分や15分
石畳の通りに、運河と美しい橋が映えるライデンの街並
といったものもあるが、この学会はひとり45分(発表30
みは小さなアムステルダムといったところで、歴史と伝統
分、質疑応答15分)もの時間が与えられている。もちろん、
が大切にされている。ここは、日本からヨーロッパに戻っ
ポスター・セッションのようなものは当然のことながら、
たシーボルトが滞在し、彼が持ち帰った日本コレクション
ない。おまけに、頻繁にコーヒーブレークがあるので、ひ
を整理したところでもある。ヴュルツブルク生まれのシー
たすら誰かと話していることになる。しかし、そういった
ボルトはドイツ人だが、オランダとも関係が深い。ライデ
「話す」ことがすべての始まりであることには違いない。
ン大学の植物園にはシーボルトが持ち帰った日本の植物が
カンファレンス・ディナーも含め、毎晩、食事を誰かと
今でも大切に育てられ、また国立民俗学博物館やシーボル
共にし、遅くまで語りあう。今年は、レンブラントの生誕
ト・ハウスには彼の貴重な日本コレクションが展示され、
400年のお祭りでオランダ中が騒いでいたが、ライデンは
日本人観光客の目も楽しませている。
彼の生誕地。ご他聞にもれずレンブラントの生まれたとこ
今年で18回目を迎える SGdS 大会はヨーロッパを中心と
ろを訪ねて、皆で感慨にひたる。詳しくは知らなくとも、
した国際的な集会であり、参加者も開催国のオランダのみ
レンブラントの何たるものか、そして彼の代表作である
ならず、ドイツ、フランス、ベルギー、ロシア、ポルトガ
「夜警」くらいは知らないと話しについていけなくなる。専
ル、ポーランド、チェコ、ブラジル、アメリカなどさまざ
門の勉強も必要だが、知識人として必要最低限のことは知
ま な 国 の 学 者 が 参 加 し て い る。今 年 の 総 合 テ ー マ は
らないとマズイ。
Historiography of Linguistics in the 21st Century:
最後に、余談であるが、オランダからロンドン経由で帰
Challenges and Perspectives(21世紀における言語学の
る飛行機が遅れ、ヒースロー空港でタッチの差で搭乗予定
歴史研究:挑戦と展望)であった。
の全日空機に乗れず、
まさしく置いてきぼりをくってしまっ
今回はアジアからの参加者は筆者一人であったが、日本
たことも今となってはいい思い出である。
と縁の深いシーボルトゆかりの地で、日本の言語学史につ
(本学教員・外国語講座助教授)
いての発表をする機会を得たことは大変喜ばしいことで
あった。発表のテーマは、Between Traditional and
〔教員活動報告〕
思春期ピアカウンセラー養成講座から
ピアサークル誕生
Modern : Influence of 19th-century historical
linguistics on language studies in Japan at its early
松原美和
stage(
「伝統」と「近代」の間で:日本の近代初期における
言語研究への19世紀西洋の歴史比較言語学の影響)という
平成18年8月3日∼6日に、伊那保健所と長野県看護大学
もので、日本の近代化に伴う学問の「発達史」のひとこま
の共催で思春期ピアカウンセラー養成講座(ベーシック
を言語学の視点から見たものである。西洋の「新しい」学
コース)が本学にて開講され、本学の学生27名を含む長野
問を導入しながらも、当時の学者たちが、いかに日本の
県内の学生40名の受講がありました。
「心」を忘れずに自らの学問を作り上げていったかという
ピアカウンセリングのピア(peer)とは仲間のこと。思
〔13〕
春期には同世代の仲間を相談相手として選んでいることか
動を開始しています。
ら、ピアカウンセリングは同世代の若者が正しい知識のも
12月21日には伊那市の西箕輪中学校の3年生79名を対象
と、生き方や性に関する態度や行動の意思決定をする能力
に、
「付き合うってどんなことだろう」というテーマで、男
の支援をすることが目的です。長野県では平成15年からピ
女交際について考える性教育を行いました。実際に初めて
アカウンセラーの養成が始まり、既に長野・松本・佐久・
ピアカウンセリングを行って、思ったより中学生の反応が
諏訪の県内各地で修了生がサークルを結成して、中学・高
よかったことに安心しながらも、自分たちのスキルについ
校や地域で活躍しています。今回も先輩ピアとして9名の
ての反省点もあり、「相手に伝えることの大切さがわかっ
参加があり、今までの知識や経験を活かして講座の運営に
た」と大きな収穫があったようでした。
協力してくれました。
今後、ピアカウンセラーが活躍するためにはピアサポー
ターと呼ばれる役割が、活動の場をコーディネートし、知
識やカウンセリングスキルの提供を行う必要があります。
このサークル「Happeer ☆」のサポートは伊那保健所と看
護大学母性講座で行っており、これから活動の場も広がり
つつあります。また、来年度も本学の夏休み期間中にピア
カウンセラー養成講座の開講を予定しています。今回の受
講者が先輩ピアとなり講座の運営に関わっていくので、多
くの学生の参加を期待したいと思います。
(本学教員・母性看護学講座助手)
ピアカウンセラー講座の様子
講座では、思春期の相談内容が性に関することが多いこ
〔教員活動報告〕
国際交流は友情と信頼の構築から:
Surrey 大学の G. Hunt 教授を訪問して
とから妊娠・出産や性感染症などの講義もあります。実際
に避妊や性感染症の予防でコンドーム使用の必要性がある
江藤裕之
ため、先輩ピアからパートナーと話し合うためのスキルや
正しいコンドームの装着方法の講習も行われました。また、
2006年の7月16日から20日にかけて、長野県特別研究
カウンセリングのスキルを身につけるプログラムでは、1
「careと spiritualityの東西比較を目指した日本の careと
対1やグループで話を傾聴する演習があり、暑いキャンパ
spiritualityの学際的研究」の調査研究の一環としてイギリ
スの中で涼しい場所を探して熱心に話をしている姿が見ら
スはサリー大学(University of Surrey)を訪問した。
れました。
サリーはロンドンから快速電車で30分ほどに位置する、
最終日は集団を対象とした性教育の実演の課題があり、
ロンドン南西にある落ち着いた場所で、近くにウィンブル
今まで学んだ知識と身につけたスキルを実践する場があり
ドン、キュー・ガーデン、ハンプトン宮殿などがある。ロ
ました。取り上げたテーマは、男女交際について考える
ンドン近郊でも屈指の裕福な地域だそうで、マナーハウス
きっかけをつくるものや、自分を大切にしようというメッ
といった大邸宅が立ち並ぶ地域でもある。
セージを伝えることなどであり、今回の講座で考えた内容
が盛り込まれていました。受講者はこの4日間を通して、
知識・仲間・自分自身の出会いがあったことをいろんな場
で表現することができ、仲間ができた喜びを実感している
様子でした。
この講座の後
に仲間20名が集
まり、サークル
Geoffrey Hunt 教授
「Happeer☆」
が
誕生しま し た。
サリー大学で私たちの受け入れを準備してくださったの
サークルのモッ
は、Geoffrey Hunt 教授である。Hunt 先生とは、先生が
トーは「自分を
本学で西田幾多郎の哲学とケアについての講演してくだ
大切に、相手を
さったときに筆者が通訳を務めて以来の仲である。通訳と
大 切 に」
。毎 月
いったあまり面白くない仕事でも、意味のある人間関係を
第2土曜日の午
作るきっかけとなることもあるので、やはり何事も真面目
後に定例会をも
にやるに越したことはない。事実、Hunt 先生とはその仕
ち大学祭での展示発表や、12月に上田市で開催されたピア
事がご縁で、その後、いくつかの共同執筆もさせていただ
カウンセラー講座のフォローアップコースへの参加など活
いた。
ピアサークルの活動の様子
〔14〕
今回の英国訪問の目的は、Hunt 教授をはじめとするサ
2日目の午前は、ロンドンにある St. Thomas' Hospital
リー大学の先生方と共同研究(執筆)についての打ち合わ
を訪問する。ここは、ご存知のとおりナイチンゲールに縁
せと、それに関する資料収集が主なものである。と同時に、
の深い場所である。そして、隣
サリー大学やその周辺の施設を見てみたいということも重
接 す る Florence Nightingale
要な目的のひとつであった。将来、この大学に長期に滞在
Museumを見学した。
する可能性もあるだろうし、あるいは本学から留学生を送
Nightingaleによる詳細な看護記
り出せるかもしれない。これも、本学での国際交流のひと
録や整理されたノートの類は21
つのきっかけとなればと考える。
世紀に生きるわれわれが見ても
では、日程を時間に追って記してみよう。
はっとするものがある。
7月16日の午後にロンドン、ヒースロー空港に到着。あ
午後は、サリー大学の医学部
まりの人の多さで通関に予想以上の時間がとられ、Hunt
を 訪 問 し、学 部 長 の Steven
教授を1時間以上も待たせてしまう。最近はアラブ系の人
Myingt 教授と歓談する。サリー大学では、医学部、薬学
と一緒に到着するとかなり待たされることを覚悟したほう
部、看護学部の統合を進めており、Myingt 博士はその中
がよい。アラブ系の人も、外見だけで危険人物と見なされ
心的な推進者であるという。医療系学部の共通科目を増や
るのは本当に迷惑なことだろう。この日はゆっくり休む。
し、お互いの専門的な内容を理解しあい、コミュニケーショ
しかし、1911年以来という記録的な暑さで冷房設備のない
ンを深めるということが目的だということらしい。専門の
安ホテルはかなり苦しい。ちなみに、サリー滞在中はイギ
細分化こそが学問だという印象を持っている方も多いとは
リスとは思えないほどの暑さだった。連日35℃ 以上で、
ニュー
思うが、それでは現場で役に立たないのではないだろうか。
スでは熱波の危険が報じられ、サリーでは38℃という記録
研究機関と現場との連携のためには、こういった統合科目
を更新したらしい。他のヨーロッパ各地も猛暑に見舞われ
が重視されるのだろう。ミャンマー出身の教授は、しかし
た。地球規模での異常気象である。
すばらしい英語を話す知的な先生であった。
早速17日(月)の午前から予定が詰まっている。最初は、
3日目、水曜日の午前は、Princess Alice Hospiceを訪
Olwyn Westwood教授によるプレゼンテーションPhysician
問する。ホスピスという「死を待つところ」という印象か
Assistants: Education, Regulation & Workforce
ら、何か暗い雰囲気を覚悟していたが、あにはからんや、
Issues。ここで、Nurseとは異なる Physician Assistant
とても明るく清潔で、印象が一新された。
(PA) なるものの存在と、イギリスでその養成のための特別
履修プログラムが開発されつつあることを知る(アメリカ
が発祥の地)。このPAに関してはいずれまた別項で詳し
く報告しようと思う。
続 い て、サ リ ー 大 学 の 看 護 教 育 を 担 当 す る EIHMS
(European Institute of Health and Medical Sciences)
の
組織やカリキュ
ラムについての
説明 を 受 け る。
まず、外部との
Princess Alice Hospice
折衝を担当する
Hunt 先生の言によれば、医療技術やその他日本は多く
Christina
の点において卓越し、英国をはるかに凌ぐものがあるが、
Ehlers さ ん か
ら、EIHMSの概
ことホスピスに関してだけ日本はずいぶんと立ち遅れてい
前方右が Ehlerさん、左が Hunt 教授
るという。日本のホスピスの現状をよく知らないので、何
略、特に学生サポートについて聞く。
ともコメントできないが、
少なくとも今回訪問した Princess
次に、看護倫理で有名な Verena Tschudin 教授から、
Alice Hospiceを観る限りにおいてはその言葉を支持した
EIHMS が出している世界的にも評価の高い Nursing Ethics
くなる。
誌の説明を受け、投稿を強く促される。本学の院生、助手
このホスピスで学んだこと、感じたことは、また稿を新
の皆さんでも、論文とは言わなくとも、編集者への手紙で
たにして報告したいと思うが、一つだけ感心したことは、
も構わないので英語で文章を書く訓練をしてはどうかと薦
多額の寄付が地元住民から寄せられていること、そして、
めるようにとの言葉をいただく。Nursing Ethics 誌に投稿
このホスピス自体が直営の雑貨店や衣料品店を経営し、そ
を希望される、あるいは興味があるという方は筆者にご連
の利益を活動資金に当てているということだ。「ゆりかご
絡いただきたい。最後に、ポスドクの老年看護の研究生で
から墓場まで」という政府による福祉は財政破綻を招き、
ある Khim Hortonさんから、
学生としての視点から EIHMS
イギリス病の遠因となった。そこで、現在では民間の力で
のカリキュラムや取り組みについて話していただいた。
このような施設が運営されているところに、イギリス人の
〔15〕
福祉に対する思いの深さを強く感じた次第である。
り今年で4回を数える。当初は教員有志ということもあり
午後は Language centerを訪問し、サリー大学に留学す
細々と始まったことから、いつまで続くのか?いつまで続
る外国人学生の英語のサポート、そして外国に留学する英
けられるのか?という状況であった。しかし、今年からは
国人学生への語学特訓などのプログラムを聞く。イギリス
広報・交流委員会の後ろ盾もあり、本学の活動として開催
でも有数の総合大学だけあって、このような施設も充実し
することができた。
ている。
また、このセミナーを立ち上げるにあたり、講習や研修
以上、簡単だが日記風に訪問プログラムの主なものを書
を受けたくても受ける機会がなかなか得られないと思われ
き記してみた。紙面の都合で、個別的な詳しい内容は別に
る看護職のみなさんに手頃な感じで気軽に参加していただ
譲ることとして、最後にここで言いたいことは「国際交流
きたいという思いもあり、対象者を主に上伊那地域の診療
も友情と信頼が基本」だということである。今回、完璧と
所や医院に勤務している看護職の方や家庭に入り一時看護
言えるほどの準備をしてくれた Geoffrey Hunt 教授のお心
から離れていたが復帰を考えているといった潜在看護職の
遣いにはこの場を借りて心より感謝したい。
方としていた経緯があり、この活動に対して第1回目から
信頼関係というものは壊れる(壊す)のは簡単だが、そ
社団法人長野県看護協会と上伊那医師会から後援をいただ
れを作り上げていくのは努力がいる。ひとつひとつの仕事
いている。このようないきさつから開催の主旨は本学を身
を丁寧にやり、相手の期待や要請にきちんと応えていくこ
近に感じていただきたい、日常の看護業務に役立つ情報が
とは簡単なようでそうでもない。もちろん、人と人との付
提供でき、日常の業務から抜け出して学ぶ楽しさを感じら
き合いなので、性格的に合う合わないといったことはある。
れる機会にしたいということで始まった。そのため、開催
しかし、好き嫌いはともかく、社会人としてしっかりとし
時間帯を日中の勤務を終えてから参加が可能な夜7時から9
た仕事をするかどうかという点は、信頼関係を作り上げる
時の2時間としている。
ベースとなるものだろう。それが、外国の人との間であれ
ば、
そこから小さな国際交流が生まれるということになる。
社会人としての仕事といっても、約束を守るだとか、言っ
たことは期日までに確実に行い、事情が変われば納得のい
く説明をして、可能な限り早急に手を打つといった、ごく
当たり前のことである。
今回、Hunt 教授は心を込めて一生懸命もてなしてくれ
たが、その好意に応えるには、まずはこちらも一生懸命も
てなされるということである。もてなす側も大変だが、も
“話を聴く”“話をする”体験学習
てなされる側もきつい。とりわけ、誰かの紹介で人を訪ね
今年は、本学の実習病院の看護職のみなさんを初めとし
るときには、もてなされ方が悪いとその人のみならず、紹
て社団法人長野県看護協会、上伊那医師会を通じて広く参
介してくれた人までもが信頼を失ってしまうことになる。
加者を募り、2日間の延べ参加者は44名であった。参加者
英国だったか、どこかで、
「紹介されて来たものは、その
は第1回目からリピートしてくださっている方も含め徐々
人を紹介したものと同じように扱え」という言葉がある。
に増えてきている。セミナーの講師は、毎年、本学の教員
なので、人に紹介してもらうというのはそれなりの覚悟が
の数名にボランティアで協力していただいている。8月8日
いるわけだ。
は、岩月和彦教授から「最近の話題の薬:サプリメントの
人と人との出会いは小さなきっかけで始まる。それは偶
基礎知識」についての講話があり、薬に関するトピックス
然か運か、あるいは神のお導きか、それは分からない。し
を毎回取り上げてわかりやすく話されるので好評である。
かし、重要なことはそれを持続させていく努力である。能
また、岩崎朗子講師から「看護職者のための話の聴き方」
力的な面でいかんともしがたい場合もあるだろうが、それ
の講話に続いて、参加者がペアを組み、
“話を聴く”
“話をす
でも誠意を持ってやれば相手に通じる。そういった関係に
る”
体験学習を
は日本人も外国人も変わりない普遍的なものであろう。
した。
8月9日は、江
(本学教員・外国語講座助教授)
藤裕之助教授か
〔教員活動報告〕
ら「心の目でもの
をみる」と題して
看護サマーセミナー in 駒ヶ根 2006
「心の目でものをみる」講話
唐澤由美子
目で見えぬもの
をみることについて講話があり、無理に見ようとせず見え
2006年8月8∼9日の2日間、長野県看護大学にて看護サ
てくるものを大事にするという含蓄あるお話に聞き入った。
マーセミナーが開催された。この活動は、学内の基礎看護
そして、本田智子助手から「看護に役立つフィジカルア
学講座と生活援助学講座の教員有志により2003年より始ま
セスメント」と題して看護職者が身体をみる(アセスメン
〔16〕
トする)ことの重要性について講話があった。参加者は軽
的な交流があるが、本研究が本学の友好的な国際交流をさ
食を取りながら和やかに、時には笑い、また真剣にそれぞ
らに広めていくことに寄与できればと考えている。
れの講話に耳を傾けていた。
研究の内容については稿を改めて報告することとして、
参加者のアンケート結果によると、開催時期やプログラ
ここではケネディ倫理研究所で強く感じたことをお知らせ
ムに対して「適当である」という意見がほとんどで、現在
しようと思う。
の実施時期や内容に対して満足しているという反応であっ
今回の訪米にはいくつかの目的があったが、その中でも
た。今後の希望に関しては、
「どの内容も面白く来年も参
care/caringに関する基本文献の収集がそのもっとも大き
加したい」「正直言って仕事の後なので眠くなると思って
なものであった。本研究は「careと spiritualityの東西比
いたが、どの内容も興味深く眠るどころではなかった。現
較」を最終目標としているが、その前段階として「careの
在の仕事や自分について振り返る良い機会になったので来
概念」について出版された日本語と英語の文献に関し可能
年も開催してください」等のセミナーの継続を期待する声
な限り完璧なリスト作成を試みている。
が多く聞かれた。このような声に応えていくためにもこの
インターネットが普及したおかげで、文献検索データ
セミナーが学内の多くの教員に協力を願いながら活動とし
ベースが簡単に利用でき、また、どこからでも世界中の大
て定着するよう努力していきたいと思っている。来年も同
学図書館にアクセスできる時代となり、どのような文献が
じ時期に開催することになるだろうと思われるので、参加
あるかを調べることは以前とは比較にならないほど容易に
してみたい方、興味をお持ちの方は8月初め頃、本学へ問
なった。現地での資料収集を少しでも効率よくしようと、
いあわせていただきたい。
訪 米 の 前 に で き る だ け 完 全 な 文 献 リ ス ト を 作 成 し た。
今年の実行委員は原田慶子委員長、前田樹海、唐澤由美
Encyclopedia of Bioethics (第3版)の “Care” の 項 目
子、水嵜知子、中村惠、児玉真木、北澤美佐緒、田中高政
や、
Nel Noddings, Jean Watson, Madeline Leiningerらに
( 敬称略 )である。
よる careや看護理論の基本文献を参照し、そこから参考文
(本学教員・基礎看護学講座助教授)
献一覧を作成した。さらに、インターネットでデータベー
〔教員活動報告〕
スや外国の大学図書館にアクセスし、2日程度で care /
リサーチ・ライブラリーで考えたこと
caring / nursing ethicsに関する400件余りの英語の書籍・
ジョージタウン大学ケネディ倫理研究所を訪ねて
江藤裕之
雑誌論文をピック・アップし、それがどこで手に入るのか
まで突き止めることができた。まさに、インターネット時
昨年9月、長野県特別研究「careと spiritualityの東西比
代に生きる幸運と言える。
較を目指した日本の伝統的 careと spiritualityの学際的研究」
ここ10年ほどで論文(とりわけ学術雑誌論文)の電子化
の一環として、ジョージタウン大学(アメリカ合衆国ワシ
が進み、論文の表題だけでなく、中身までインターネット
ントン市)にあるケネディ倫理研究所(Kennedy Institute
を通じて見ることができるようになった。しかし、
書物や、
of Ethics)付属の生命倫理文献図書館(National Reference
雑誌論文でも少し前(80年代以前)のものはインターネッ
Center for Bioethics Literature)を訪問した。
トで読むことはできない。したがって、最終的には自分の
目で実物を見て確かめる作業が必要となる。
さすがに、本学や日本の大学図書館にも充実した看護系
図書のコレクションがあり、今回チェックした多くの書籍
や雑誌は日本で手に入れることができる。それでも、少な
からずの重要文献はイギリスやアメリカなりに行かなけれ
ば読めないこともあり、また、実際に現地の大学図書館で
思わぬ「レアもの」を発見することもある。例えば、今回
Janet M. Smerke 著 の Interdisciplinary Guide to the
Literature for Human Caring(1989年 National League
ケネディ倫理研究所のあるヒーリー・ホール
for Nursing 発行)を発見した。この本は「ヒューマン・
本研究は、careの概念を中心に据え、看護学のみならず、
ケア」に関する哲学、心理学、社会学、人類学、倫理学、
歴史、文学、言語学、心理学、社会学などの広範囲にわた
神学、看護学などからの文献を集大成しリストを作成した
る学際的視点、そして、国際的な共同研究を通した比較的
「すぐれもの」である。実は、インターネット検索でこの
視点からの研究を企てている。サリー大学(イギリス)の
書名はヒットしたが、我々が調べた限りでは日本の大学図
ジェフリー・ハント教授(哲学、倫理学)やジョージタウ
書館にはなかった。それがケネディ倫理研究所の付属図書
ン大学のクルト・ヤンコウスキー教授(言語学、哲学)を
館では、いとも簡単に手に取ることができ、重要箇所をコ
はじめとする欧米の研究者と協働し、さらにはアジアの大
ピーしてきた。
学の研究者との連携を開拓したいと考えている。現在、本
事程左様に、
「おやっ」と思った資料がすぐに手に取れ
学ではサモア国立大学やカリフォルニア大学などとの学術
るというのは、研究の効率がよいばかりか、精神衛生上実
〔17〕
によろしい。結局のところ、
である。セミナーの参加者は予め決められた本を通読し、
リサーチ・ライブラリーとし
モデレーターと呼ばれる進行役によって展開される対話に
ての大学図書館に求められる
参加するのだが、このセミナーは哲学のゼミナールでもな
ものはこの点ではないだろう
ければ、単なる読書会でもない。忘れ去られることなく長
か。本学でも、看護学を中心
い年月に耐えて残ってきた名著・古典をじっくりと読み、
とし、それに隣接する書籍、
そこに込められた過去の賢人たちの思想に学び、現代の私
雑誌は実に多くの種類が収集
たちに問いかけている問題は何なのか、自らの言葉で互い
され研究者の便宜に応えてい
に意見を述べ合うのである。
る。看護系の資料に関しては
人類にとっての普遍的価値について議論することは、人
県内でも1、2を争う充実ぶ
間性豊かな看護師を育てる看護教育においても、非常に重
りではないだろうか。それで
要な役割を果たすはずである。本学では以前から、助手や
も、雑誌などは所蔵してないものも少なくなく、困ること
若手の講師、院生の有志が集まってこのようなセミナーを
もある。雑誌(特にバックナンバー)は個人で手に入れに
開いていたが、それ以上の広がりには至らず、さまざまな
くい場合が多いので、大学図書館にあれば非常に便利だ。
理由から継続も難しい状況だった。そこで今回、本学の一
その分野の教員がいなくとも、あるいは、使用されること
般教養科目にグレート・ブックス・セミナーの手法を取り
がほとんどなくとも、少なくとも看護に関する学術雑誌は
入れることを最終目標に据えて、まず、セミナー導入の可
日本語・外国語(実質的には英語)を問わず、すべて取り
能性を探ることにした。そうして開催されたのが、長野県
揃えて置くのが理想であろう。
看護大学グレート・ブックス・セミナー「名著を読み対話
思いついたときに、すぐに資料を手にとって見ることが
する集い」である。
できる。これは優秀な研究者を育てるひとつの要素である
「名著を読み対話する集い」を開催するにあたっては、本
ことには違いない。ケネディ倫理研究所の生命倫理文献図
学による地域貢献の一助となることも視野に入れ、一般の
書館には、生命倫理、看護倫理、医療倫理などに関する書
地域住民の方々にも参加を呼びかけた。大学構内や本学付
籍や学術雑誌は文字通りすべてあった(と言っても言い過
属図書館だけでなく、近隣の公立図書館、病院、集会所、
ぎではない)。そういう施設を有する大学の研究者と「前
温泉施設等にポスターやビラを配布し、地元新聞等に紹介
線で」互角に渡り合うためには相応の「後方支援」が必要
記事の掲載をお願いした。駒ヶ根市を中心とした限られた
である。 (本学教員・外国語講座助教授)
範囲内でのこぢんまりとした広報活動であったが、学外か
図書館内の教員専用室
ら8名の申し込みがあり、学内から参加希望のあった学生
〔教員活動報告〕
や教員を合わせて13名によるセミナーとなった。
長野県看護大学グレート・ブックス・セミナー
当初は、付属図書館を利用することによって、地域に根
「名著を読み対話する集い」
水嵜知子
ざしたリベラル・アーツ教育のモデルを提示することも考
えていたが、一般の方が参加しやすいようにとセミナー開
1930年代にアメリカの哲学者モーティマ・アドラー博士
催日を日曜日の午後に設定したため、付属図書館の利用が
を中心にして開発されたグレート・ブックス・セミナーは、
叶わなかった。そこで、教育研究棟の自習室を使ってのセ
近年、わが国の大学教育や生涯教育においても注目され始
ミナーとなったが、部屋の広さと人数が程よくマッチして
めている。21世紀は「心の時代」とか「ケアの時代」と言
おり、これが対話の促進に役立ったのではないかと思って
われる一方で、心が痛む悲惨な事件が跡を絶たないのもま
いる。参加者の性別と年齢層のばらつき具合も絶妙で、男
た事実である。私たちをとりまく社会にはありとあらゆる
性6人と女性7人、年齢は20歳代2人、30歳代5人、40歳代
情報が溢れ、生活はますます便利になっているが、これま
2人、50歳代3人、70歳代1人という構成だった。職業もま
で自分が大切にしてきたものの価値が揺らぎ、あるいは自
たさまざまであったが、このようなメンバーの対話から生
分が大切にすべき価値を見出せずにいる、そんな人たちが
み出されるものが、驚くほど意外性に富み、あれほど奥深
増えているのではないだろうか。そのような社会の変化が、
いものになるとは思いも寄らなかった。
グレート・ブックス・セミナーの意義を見直すきっかけと
全3回を計画した今回の「名著を読み対話する集い」は、
なったのだろう。そこまで深刻でないにしても、私たちが
江藤裕之助教授(本学外国語講座)がモデレーターを務め
よく生きるために失ってはならないものは何なのかを考え、
て10月から毎月1回開催された。第1回セミナーのテキスト
その目には見えない大切なものに心の目を向けようという
にはプラトンの『メノン』
(藤沢令夫訳、岩波文庫)を選ん
動きが、教育現場などでグレート・ブックス・セミナーの
だ。
『メノン』は分量にして110ページほどの本で、内容は
手法を取り入れることにつながっている。
ソクラテスとメノンによる対話篇として書かれている。二
グレート・ブックス・セミナーは、時間と空間を超えて
人の対話は「徳は教えられ得るか」というメノンの問いた
読み継がれてきた名著・古典の言葉に学びながら、人類が
てから始まるが、それをソクラテスは「徳とはそもそも何
大切にすべき普遍的価値について考える対話型プログラム
であるか」という問いに置き換え、次々に提起されるソク
〔18〕
ラテスの問いによってメノンはアポリアに陥ってしまう。
目には見えない、福沢はなぜ学問することが大事だと言っ
そして有名な想起説について語られたのち、最後に行き着
たのか、などについて活発な意見交換がなされた。
くのは、徳は教えられ得るものではなく、知とは無関係に
参加者からのお茶菓子の差し入れなどもあり、3回とも
神の恵みによって人間に具わるものであるという結論であ
和やかな雰囲気のなかで対話が進んだ。何よりも、学外か
る。しかし、プラトンが『メノン』で本当に言いたかった
ら参加してくださった方々が高い教養をお持ちであったこ
のは、徳がどのようにして人間に具わるかということより
とに敬服した。そのお陰で、4時間半という時間があっと
も、徳とは一体何であるかという問いを問い続けることが
いう間に過ぎてしまうほど楽しく、十分に知的刺激を受け
重要だということであろう。
ることができた。セミナー後のアンケートには、「毎回、
心満たされて帰宅した」
、
「何歳になっても学べるというこ
とを実感した」
、「本質を追求したいと思うがひとりでは苦
しい、セミナーに参加することでモチベーションが上がっ
た」
、
「思っていることを批判されず、ばかにされず、しゃ
べることができてよかった」などの感想が参加者から寄せ
られた。
グレート・ブックス・セミナーでは、モデレーターの高
い能力が要求されることはもちろんであるが、最も大事な
のは参加者の姿勢である。ひとりひとりがテキストを熟読
セミナーの様子
し、そこに書かれていることを書かれている通りに正確に
第1回セミナーで初めて顔を合わせた参加者の中には、
理解すること、そして、その理解とそれに対する意見を自
普段あまり読むことのない哲学の本なのでついていけるか
分の言葉で述べることが、セミナーの成否を左右する。そ
心配と言う人もいたが、まず、セミナーに参加した動機や
の意味で、今回の「名著を読み対話する集い」は大変有意
『メノン』
を読んでの感想を発表しあうことから始めた。参
義だった。今後は、この成果を本学の教育活動に活かすと
加の動機については、哲学書を読みたいと思っていてもひ
ともに、知的な余暇活動というかたちで地域の方々との交
とりではなかなか難しいのでこれをよい機会にしたい、日
流も深めていけたらと思う。
常の仕事以外のことに目を向けたかった、といった声が聞
なお、長野県看護大学グレート・ブックス・セミナー
かれた。『メノン』については、訳本なので日本語が理解
「名著を読み対話する集い」は、平成18年度長野県特別研
しにくかった、ソクラテスとメノンのやりとりがおもしろ
究「看護系単科大学におけるリベラル・アーツ教育の位置
かったなどの感想が多かったが、次第に、徳とは何か、本
づけと実践―地域貢献も視野に入れたグレート・ブック
質を追究するとはどういうことか、という議論に発展し深
ス・セミナーの試み―」の一環として実施した。
まっていった。
(本学教員・生活援助学講座専任講師)
第2回のテキストはデカルトの『方法序説』
(谷川多佳子
訳、岩波文庫)だった。6部からなる『方法序説』の第4部
には、かの有名なデカルトの哲学の第一原理である「われ
学報への投稿募集
●
●学
学報
報へ
への投稿
稿募
募集●
●
思う、ゆえにわれあり」が登場するが、4時間半のセミナー
学報は大学の News letterとしての性格をより明確に
では、その箇所に到達するのがやっとだった。この回も、
出すために、教職員・在学生・卒業生・後援会等の皆様
デカルトはどうやって生計を立てていたのだろうとか、自
からの原稿を募集します。内容は、
分の好きなことだけしていられたなんて幸せだ、かなり自
信過剰な人だったのだろうといった感想から始まり、デカ
ルトが「われ思う、ゆえにわれあり」に如何にして到達し
近況報告
:学術・社会貢献のニュース、出版、学会活動、
学会参加報告、Conference Report、etc.
自由投稿
たかの議論に移っていった。
1回目、2回目は西洋の哲学書だったが、最後のテキスト
:書評、本の紹介、写真、ミニエッセイ、etc.
には福沢諭吉の『学問のすゝめ』(岩波文庫)を選んだ。
『学問のすゝめ』は明治5年から9年にかけて出版され、当
お知らせ
:勉強会、読書会、クラブ活動、サークル、etc.
時、わが国の160人に1人が購入したとされるベストセラー
である。初編冒頭の「天は人の上に人を造らず人の下に人
を造らずと言えり」はあまりにも有名だが、参加者からは
あらためてしっかりと読むのは初めてだったという声も聞
その他
:お便り、お知らせ、お勧め本、etc.
などです。特に、教職員の活動報告を募集します。
かれ、日本人によって書かれた本を選んだのはなかなか好
●お問い合わせは学報編集長 水嵜知子(生活援助学講座)
評だった。第3回のセミナーでは前2回で議論されたことも
mizusaki@nagano-nurs.ac.jpまでお願いします。
含めて、これら3冊に共通することは何か、物事の本質は
〔19〕
が行われました。参加者のアンケートでは、「一般の人に
広報 / 交流委員会報告
もわかりやすい言葉でとても良かった。研究テーマも身近
平成18年度第1回公開講座:平成18年7月15日土曜日
で良かった。あっという間の2時間でした」、
「データ、有
私が担当した卒業研究の成果と思い出
意性を聞くほど、その結果をどこに継ぐと世の為になるの
かを考えながら聞いていた」
「死生観の考え方が変わった。
、
――アロマセラピー・自律訓練法・玄米食
・健康によい水・死生観―
講師:廣瀬昭夫先生(化学講座教授)
臨床で働いていたときの事を思い出してよくよく考えてみ
ると、死のタイミングという事は本当に感じる。私も死と
言うものを少しずつ受け入れるようにしてゆきたい。大好
平成18年度第1回公開講座が、7月15日本学にて開催さ
きな人が迎えに来てくれると思うと安心する」など、多く
れました。詳しい内容は以下の通りです。
の感想をいただきました。看護職以外の参加者も多かった
「平成10年度の1回生の卒業研究から始まり、本年度の9
中、8割が「満足した」と回答しており、好評であったこ
回生まで、延べ58名の学生諸君と表記の5テーマに取り組
とがうかがえます。今回は様々なテーマに富んだ公開講座
んできました。その成果と思い出を話させていただきたい
でした。ご講義の内容を今後どのように活かしてゆくかは、
と思います。①アロマセラピーは、その効果を脳波(δ・
私達に求められる課題ではないかと思います。
θ・α・β波の全帯域を解析)と血圧への影響から評価し
田中真木(本学教員:生活援助学講座助手・広報 / 交流委員)
ています。鎮静系と覚醒系の香り効果の違いの検証、好み
の影響、香り濃度の影響などについてお話したいと思いま
平成18年度第2回公開講座:平成18年9月30日土曜日
す。②自律訓練法も脳波・血圧から調べています。
「放下」
わが国の看護人的資源統計の課題と展望
の大切さを示唆する結果を得ています。③玄米食について
―― 長野県の看護有資格者を対象とした調査結果
は、種類、栄養価、嗜好調査結果、農薬やフィチン酸の問
題、などを調べました。心配された農薬は問題ないことが
からの示唆
講師:前田樹海先生(生活援助学講座助教授)
明らかになっています。④健康によい水は、水の抗酸化力
と硬度に注目した検討を行っています。スプラウト食品の
9月30日土曜日、本学大講義室にて、第2回公開講座が開
発芽成長実験および乳酸菌などの有用菌類の増殖実験の結
かれました。講師は本学生活援助学講座の前田樹海助教授
果は硬度と正の相関を示しました。現在は水の抗酸化力に
で、
「わが国の看護人的資源統計の課題と展望−長野県の
ついて調べています。⑤死生観は、近郊の臨死体験者への
看護有資格者を対象とした調査結果からの示唆−」につい
インタビュー、臨死体験の文献調査、緩和ケア病棟で働く
てご講演いただきました。
看護師とボランティアそれに本学学生の死生観の調査、な
少子高齢社会を迎えたわが国では、充足していない看護
どを行いました。来世を信ずる方が生き(往き)やすく、
人的資源の供給が新規養成を主軸としたものから、離職防
看取りもしやすいのではないかとの考えに立って研究して
止、定着促進、復職支援へと重点を移しつつあります。し
いるものです。」(以上、チラシより抜粋させていただきま
かし、看護人的資源に関する政府統計の調査対象は、調査
した)
時点で看護職として働いている看護有資格者のみとなって
いるため、全国に看護有資格者が何人いるのかはっきりせ
ず、政策の効果を定量的に評価することができていないの
が現状です。
看護従事者数を年齢階級別に示したグラフは、年をとる
につれ急な下降線をたどっています。これと M 型を示す一
般女性の年齢別就業率と比較すると、
「看護師は20代後半
をピークに30代以降辞めていく人が多い」
「結婚や育児と
の両立ができない」「退職すると復職が難しい」といった
ことが読み取れそうです。しかし、ここに統計資料のミス
リードがあります。看護師教育機関入学定員推移のグラフ
は、1970年から2000年の30年間に定員数が3倍以上も増
えていることを示しています。これは若い世代ほど看護有
廣瀬先生の公開講座の様子
資格者が多いということで、教育機関の定員数と看護従事
当日の公開講座には、
本学近隣の方々はもちろんのこと、
者数を年齢階級別に示したグラフが一致していることを意
学生や教職員、さらに廣瀬先生指導の元で卒業論文を書い
味しています。つまり、看護従事者数の調査は、調査時点
たという卒業生も参加され、85名という多くの方々がお越
における断面図に過ぎず、結婚や育児などの影響を受ける
しくださいました。講義内容は、アロマセラピーや玄米食
女性が多い看護職の一生の働き方を見ることはできないの
といった身近な話題が多く、質疑応答では活発な意見交換
です。そこで、前田先生はコホートの概念を導入して長野
〔20〕
県における看護職の就業履歴調査や潜在有資格者追跡調査
そこで今回の公開講座では、外来通院を続けているがん
を行いました。そこからは複数のブランクがありながら働
患者さんとの面接を通して得られた結果を交えながら、患
き続ける流動性の高い看護有資格者の集団があることが分
者さんやご家族の問題を長期的な視点で捉え、社会の中で
かりました。
生活する人々への支援について、田村先生よりご講演いた
だきました。
テーマへの関心が高く、医療職者、一般の方、学生・教職
員合わせて150名と本当に多くの方がご参加くださり、多
くの方から「満足した」との声をいただきました。講演終了
後には、活発な意見交換がされ、実際にがん患者さんと向
き合う医療者からの質問も寄せられました。アンケートで
は、身近にがんと向き合う方がいる、という一般の参加者
も数人おられ、家族や周囲の人々の行なう支援についても
考えられたようでした。医療関係者からは、
「患者さんとの
会話に真剣な態度で接して行こうと思った」などの、今後
前田先生の公開講座の様子
のケアへ活かしたいという思いのこもった感想が寄せられ
前田先生は、こうした調査を行うことで、看護師の働き
ました。また学生の参加も4割と多く、
「授業では聞くこと
方を把握し、離職防止、定着促進、復職支援に向けた行政
の出来ない話を聞くことが出来てよかった」などの意見が
の施策が見えてくるのではないか。そのためには免許の更
多数寄せられ、
各自の学びを深める時間となったようです。
新などを視野に入れた看護職のあり方への展望や届出の対
宮澤美知留(本学教員:母性看護学講座助手・広報 / 交流委員)
象を看護有資格者にする必要があるのではないかといった
調査への課題を投げかけました。
本公開講座には、74名の看護職者を中心とする参加者が
あり、
「統計資料のマジックについて関心を持つことがで
きました」「視点がとても興味深いものでした」
「看護につ
いての知識を増やすことができました」といった多くの意
見が寄せられました。また、回収されたアンケートの結果
では、
「満足」が98%という驚異的な数字に達し、大変好
評だったことがうかがえました。
圭子(本学教員:精神看護学講座助手・広報 / 交流委員)
公開講座終了後の田村先生(左)への花束贈呈
( 大学説明 )
平成18年度第3回公開講座:平成18年12月16日土曜日
オープンキャンパス、鈴風祭における
がん患者や家族を支える
看護の現状と課題
大学説明
―― がん患者や家族の語りからみえてくるもの
講師:田村正枝先生(成人看護学講座教授)
平成18年度のオープンキャンパスは、去る海の日7月17
日
(月)
13:00∼16:00の日程で開催されました。年々高
がんは慢性疾患の1つであると言われるようになってき
校からの大学説明の依頼が多くなる中、オープンキャンパ
ていますが、依然として人々に死の恐怖を与える重篤な病
スへの来場をお願いする旨を高校側に伝えてきたこともあ
気です。がんを持ったまま生活する人々は Cancer Survivor
り、多くの参加者を迎えての開催となりました。最終的に
(がんサバイバー)と呼ばれていますが、高齢化の進展と
県内外より高校生314名、このほかに社会人、保護者、高
ともに今後もさらに増加していくことが予測されています。
校教員など51名を加え、365名が当日の雨にも関わらず
がん患者さんにとって再発・転移の恐怖や死の不安が大き
オープンキャンパスに集まりました。
いことはいうまでもありませんが、がんになる前の普通の
当日のプログラムは、第1部として講堂において本学の
生活が出来ない辛さ、医療職との関係、健康人の社会から
概要説明を行いました。深山学長の挨拶の後、安田教務委
の疎外感、仕事復帰・継続の不安なども大きな問題です。
員長からは本学の教育理念と平成19年度入学者選抜の要項
その中でたとえがんになっても、がんであることを受け止
についての説明、病態・治療学講座の本田助手からは講話、
め、がんとともに生きていこうとする人々も増加している
平澤学生支援員・墨矢就職支援員から本学の学生生活や卒
ことが研究を通して明らかになっています。このようなが
業後の進路について説明がありました。会場からは、保健
ん患者さんをどのようにサポートしていくかは看護師のみ
師、助産師の国家試験受験資格の取得について、今年度入
ならず医療機関にとっても重要な課題となっています。
学者の県内・県外出身者の割合についてなど、いくつかの
〔21〕
質問がだされ、それぞれに安田教務委員長や平澤厚生補導
て、実際に大学で行われている講義を高校生向けにアレン
員からの説明がありました。本田助手の講話では、看護の
ジした模擬授業を実施したり、大学説明の後で高校生や教
力と可能性についてのご自身の体験にもとづくお話に、会
員の進路相談に応じたりしました。今年度は、各高校で単
場の参加者が吸い込まれるように聴き入っていたのが印象
独で行われる機会のみならず、ホテルや多目的ホール等を
的でした。
利用した進路相談委託業者主催の大規模な合同ガイダンス
休憩の後、第2部では本学学生がツアーガイドを務める
が増加しているのが特徴といえます。対象となる生徒は学
キャンパスツアーを提供しました。約20名ずつのグループ
校ごとに異なりますが、1年生から3年生まで幅広く設定
に分かれて学内外の施設をめぐり、それぞれの見学場所に
されていました。参加した生徒からは、本学の難易度や偏
待機していた本学教員から施設 ・ 設備の説明や案内を受け
差値等の受験に関すること、看護学を専門学校ではなく大
ていました。雨のために、屋外にある有酸素運動コースや
学で学ぶことの意義、取得できる免許や就職先について、
プール棟の見学が急遽コースからはずされましたが、多く
寮生活を送る上での不安、
教員の臨床活動経験で印象深かっ
のグループに分かれたにも関わらず比較的スムーズにツ
たこと等についての質問が出されていました。後日、オー
アーが流れていたようです。また、生協食堂の見学では、
プンキャンパスや鈴風祭、本学教員による公開講座等で本
生協職員の説明を受けながら売店にある本学のロゴ入り商
学を訪れる参加者も多数みられていました。
品を手に取る姿も多くみられたようです。それぞれツアー
高校生の大学見学は、参加者は高校1年生または2年生
から講堂へ戻ったところで三々五々解散という流れでした
で、大学進学への意識を高める、学部・学科の特色を把握
が、戻ってきた高校生や親子はすぐには帰らず、その場に
するといった目的で実施されていました。内容は、本学の
居合わせた本学教員やガイドを務めた学生と交流をする姿
概要説明、施設見学が中心ですが、模擬授業や1年生で行
もみられました。本学ならではのアットホームなオープン
われている授業の見学も要望により行いました。高校では
キャンパスとなったようです。
学ぶことのない看護の講義や、大学での授業風景を体験す
ることが出来たのではないかと思われます。施設見学では、
大講義室や演習室、情報処理教室、LL 教室といった様々な
教室や、成人看護実習室、地域・老年実習室、基礎看護実
習室、母性・小児実習室を状況に応じて案内しました。大
講義室や情報処理教室などでは、広い教室や新しい設備に
関心をもった様子が伺えました。実習室では、本学の学生
がその場で練習を行っている時もあり、看護実習の様子が
少し想像できたのではないかと思われます。また、体育館、
図書館、室内温水プール、有酸素運動研究コース、すずら
キャンパスツアーを担当する本学のボランティア学生
ん寮、講堂についても案内を行い、興味深く施設を見てま
秋に行われた鈴風祭においては、
2日目の10月1日
(日)
わる姿が数多くみられました。今年度の特徴としては、食
に大学説明コーナーを設けて本学への進学や本学での教育
堂の利用希望があげられます。食堂の利用については、生
等に関する説明を行いました。7名の広報交流委員以外に
協の協力を得て実現しました。来訪した高校生の中には、
も教務委員2名、
学生委員1名の協力を得て、
午前中は19組
昼食だけを楽しみに来たという声もあり、
食堂で昼食をとっ
29名、
午後は6組7名(保護者等も含む)の相談に応じまし
て大学見学を終えるというコースが出来つつあるかと思わ
た。
例年に比べて午前中の来談者の出足が早く、
開始時間の
れます。今後も多くの教職員の協力を得ながら、本学への
10時には既に大勢の人が待機している状況でした。
来談者
進学につなげることが出来るような大学見学を目指したい
は県内のみならず、
県外からも多数みられており、また、現
と考えます。
役の大学生からの進学に関する相談もみられていました。
御子柴裕子(本学教員:地域看護学講座専任講師
・広報 / 交流副委員長)
千葉真弓(本学教員:老年看護学講座専任講師・広報 / 交流委員)
松本淳子(本学教員:心理学講座専任講師・広報 / 交流委員)
御子柴裕子(本学教員:地域看護学講座専任講師
・広報 / 交流副委員長)
ホームページ担当からの報告
( 大学説明 )
高校での説明・模擬授業、高校生の大学見学
パソコンを持っている人はもちろんのこと、持っていな
今年度、高校での大学説明・模擬授業は18回、高校生の
い人でも学校やインターネットカフェなどに行けば、今や
大学見学は4回行われました(平成18年12月現在)。教員
誰でもインターネットにアクセスできる時代です。インター
の都合がつかないために、やむを得ずお断りした大学説明
ネットを覗けば、多様なジャンルの情報を一度に多く得る
会も5回ありました。
ことができ、今までに見たこと・味わったことのない世界
大学説明・模擬授業については、多くの教員の協力を得
に出会って夢や希望を抱かせてくれたりします。そして、
〔22〕
あらゆることに対して無限の可能性を秘めていることを感
参加者募集なども掲示していますが、病院のポスターで知
じるはずです。もちろん、その無限の可能性の中に本学の
りましたという参加者の声をよく聞きます。この場をお借
ホームページ(以下、HPとする)も含まれています りして、昭和伊南総合病院スタッフの皆さまに、心から御
私の体験談ですが、私が本学の大学院へ進学(現在は教員
礼申し上げます。
ですが)するきっかけとなったのは、自宅でネットサー
今後も「看大コーナー」を活用して情報発信していきた
フィンをしている時に、本学のHPに偶然出会ったことで
いと思います。掲示をご希望の方は、広報・交流委員会(水
した。そして、長野県看護大学の理念やキャンパスライフ、
嵜)までお知らせください。
さらには周辺観光(豊かな自然溢れる駒ヶ根市)のページ
水嵜知子(本学教員:生活援助学講座専任講師・広報/交流委員)
に心を奪われてしまったのです。
*
ということで、HPは、それを見る人の心や行動を動か
*
*
投 稿
し、さらには人生までをも左右するかもしれない重要な情
報源です。ゆえに大学HPの管理・運営は、大学の発展に
バングラデシュでの体験
大きく影響する重要な仕事であるといえます。現況では、
市川敦子
本学のネットワーク関連の管理全般をネットワーク推進委
員会、HPのコンテンツのチェックを広報・交流委員会、
バングラデシュの旅は、本当に神様が巡り合わせてくれ
学事に関するコンテンツの更新を事務局教務課が担当して
たように思います。海外活動に関心があり、大学在学中に
おります。広報・交流委員会の内容チェックといっても、
1度は途上国へ行ってみたいと思っていた時、偶然にも今
つまり私の主な役割は、教員の自己紹介の更新や全体的な
回のバングラデシュ行きを国際看護学の田代麻里江先生か
内容のチェックです。基本的には、何かをHPに公開した
ら教えていただいたのです。
い人が、直接ネットワーク推進委員会に頼んでいるという
初めての海外、初めてのバングラデシュの空港で、今回
状態です。つまり、HPに関しては誰が責任者なのか曖昧
お世話をしてくださった荒井眞理さんにお会いできた時は、
な状況にあります。また、私がHPの内容を「本学HP作
本当に心からほっとました。眞理さんは田代先生のお友達
成に関するガイドライン」に沿ってチェックをし、問題の
だということです。バングラデシュでは、ボイロブ、ボリ
あるページあるいは更新が必要なページに対してその都度
シャル、シャバールの各学校をまわり、先生方やたくさん
ページ担当者に伝えてはいますが、改訂されるまでに時間
の子ども達と出会うことができました。
を要するという課題もあります。
学校で出会う子ども達は、いきいきと目が輝いていて、
ホームページにアクセスしてくださった貴重な人々に対
先生の話す事を一生懸命聞き取り、発音練習をし、楽しん
して、本学がどのような理念を掲げて学生教育や研究活動
で授業を受けていました。朝と帰りに挨拶をしてくれる子
を実践しているのかを「分かりやすく」
、
「魅力的に」かつ
ども達は本当に素敵な笑顔をしていて、挨拶をしてもらっ
「タイムリー」に提供していくことが大切です。そういっ
た自分も自然に満面の笑みになる、人を幸せにしてくれる
た意味でも、大学HPの刷新を図ることと、管理・運営に
笑顔というのはこういうものなんだなぁと実感しました。
関する曖昧さや課題に対して大学全体で取り組むことが、
学校の周りや港では、学校に通えず、小学生のうちから
来年度のとても大きな目標となりそうです。
レンガ割りや荷物運び等の仕事をしている子ども達と出会
太田規子(本学教員:老年看護学講座助手・広報 / 交流委員)
いました。学校に行っていないこの子ども達も、思わずカ
メラをむけて写真を撮ってしまったほど純粋で素敵な笑顔
昭和伊南総合病院トータル・ギャラリー
「看大コーナー」
を向けてくれました。
また、ボイロブ校の最終日には、子ども達が「写真を
撮って!」
と集まってきました。20人ほどが固まりになり、
本学の実習病院として学生指導にご尽力いただいている
私がシャッターを押すのを今か今かと待っているのが伝
昭和伊南総合病院では、院内の広いスペースにギャラリー
わ っ て き ま す。カ シ ャ っ と シ ャ ッ タ ー を 押 し た 瞬 間、
を設ける「トータル・ギャラリー」が平成14年5月23日か
「わぁぁぁぁ!」という子ども達が歓声をあげて大喜びで
ら始まりました。
「トータル・ギャラリー」は医療サービ
す。今すぐ写真を渡すこともできないのに、みんなすごい
ス向上の一環として開始されたとのことですが、その際、
喜びようなのです。写真を撮ってもらったということ自体
ギャラリーの一角を県看護大学の情報発信の場として活用
が嬉しかったのか、きっとまた来るときに写真を持ってき
してはどうかとの有り難いご提案を頂きました。
てくれると信じてくれているのか…子ども達がどのように
現在、「長野県看護大学情報コーナー」は病院玄関ホー
感じていたのか、
どんな心境だったのかまだ考え中ですが、
ルの待合西側にあり、本学の教育理念や学生の実習着姿の
絶対にこの写真を子ども達に届けたいと思いました。出
写真、看護実践国際研究センター各部門での研究などを、
会ってから3日ほど、しかも1日のうちで一緒にいる時間を
病院スタッフや病院を訪れる方々にご紹介しています。ま
考えたら数時間の交流であるのに、心からの笑顔をむけて
た、年3回開催される公開講座のお知らせや勉強会等への
くれる子ども達の心に、とても癒された思いがしました。
〔23〕
そして学校の先生達は、
こども達のために一生懸命です。
のための給食プログラムで出会ったシスターや、
そこに通っ
こども達にどう教えたらいいか、どんな方法が効果的か ノ
てくる親子…これからも考えさせられる大切な宿題をもらっ
学校が終わった午後の眞理さんとのお話の時間には、先生
た旅でもありました。
達も身を乗り出して必死です。先生方がそれぞれ意見を出
今回の旅で一つ心残りなのは、ベンガル語の勉強不足で、
し合い、考え、子ども達の教育に最善の方法を考えます。
子どもと満足のいくコミュニケーションが取れなかったこ
ボリシャル校の先生からは、
「(眞理さんが滞在するのが)
とです。話したいのに、聞けない・聞き取れないという事
3日じゃ短いわ。少なくても1週間はいてくれなくちゃ」と
をとてももどかしく感じました。もし、
またバングラデシュ
いう声も聞かれました。実際に先生方と眞理さんとの教え
へ行く機会ができた時には、ベンガル語を勉強して、子ど
方について見学させていただく中では、同じ教材を使って
もとコミュニケーションがとれるようにしたいと思いまし
も、使い方によって子ども達の集中力が違い、子ども達を
た。これから、バングラデシュへ行く機会のある方には、
授業にひきつけるかどうかが変わるのだということを感じ
少しでも多くのベンガル語を覚えていかれることをオスス
ました。先生方にとって、アドバイスをもらえることも、
メしたいと思います。まだまだ書ききれない程たくさんの
眞理さんの教え方を見られることも、午後のワークショッ
事を得、学び、考えることのできる旅でした。これからも
プの時間もとても大切で、眞理さんといる時間を少しも無
バングラデシュで出会った子ども達や先生方の幸せを願っ
駄にせず、短期間に必死でいろんなことを吸収しようとす
て、眞理さんの活動を応援していきたいと思います。
る思いが伝わってきました。VTRで撮ってもらった自分の
(本学学部1年生)
授業風景を他の先生方に見てもらってアドバイスをもらい
たいという先生もいて、少しでも子どものためにいい授業
大原こだま園での実習を終えて
をしようとする先生達の一生懸命な姿からは、見習うこと
菊池郁希、染野はるか、山森美枝
がたくさんありました。
滞在期間中は、予想通り下痢の他に、自分では予想外の
■大原こだま園での実習は、概ねこのような内容でした。
胃痛・便秘・風邪といった体調不良に見舞われましたが、
まず、所長さんから施設内を案内していただき、その後は
これもまたいい体験になりました。というのは、ベンガル
3人それぞれの場所へ。送迎、特浴、一般浴に分かれまし
人の優しさに触れることができたからです。どの人もみな
た。利用者の方の入浴が終わると午前のレクレーションが
体調を崩した私を心配していろいろ声をかけてくれるので
あり、私たちが用意していったものをやらせていただきま
す。
「何が食べたい?」
「どんな物なら食べられそう?」
した。その後、利用者の方の昼食・お昼寝があり、そのお
「もっと食べなきゃ力がでないわよ」
「熱はどう?」と、授
昼寝の間は休憩時間。お昼寝が終わると午後のレクレー
業の合間や食事の時、夕方、就寝前ずっと気にしてくれる
ションで、スタッフの方がやるものを利用者の方の間に
のです。子ども達が部屋へお見舞いに来てくれたこともあ
入ってお手伝いさせていただきました。最後に、おやつを
りました。相手のことを思って気にかけ、自分に何かでき
召し上がっている利用者の方にお茶をお配りしながらお話
ることはないか、どうしてあげたら一番いいか…人を大切
をし、利用者の方が帰られると、掃除をお手伝いして実習
に思う気持ちを強く感じました。
が終わりました。
また、自然の美しさは本当に素晴らしいものでした。ボ
私は、一般浴を体験させていただきました。一般浴は、
リシャルからクルナまでの長距離バスの窓から見える風景
少しお手伝いをすれば浴槽に入れる利用者の方のためのも
は言葉では伝えられないような大自然でした。どこまでも
ので、脱衣所と普通の温泉施設のような風呂場がありまし
どこまでも続く草原や木の緑と青空、牛をひいて畑を耕す
た。風呂場には、大きな浴槽が1つあり、利用者の方は3
人、子牛の足を愛しそうになめている母牛、雄大な河…バ
人くらいずつ順番に入浴されていました。ただ1つ、温泉
スに乗りながらで、うまく撮れるか分からない中、バスの
施設と違うのは、リフトという、椅子がついていてそこに
スピードが緩まった時に必死にシャッターを押していまし
歩いて浴槽まで行けない利用者の方が座ると、手動で巻き
た。できることなら、バスではなく、のんびり歩いたり自
上げて椅子を浮かし、そこに座ったまま湯船に浸かること
転車に乗ったりして、気に入った所で足をとめ、写真を
ができる、という機械があるということでした。スタッフ
撮ったり物思いにふけったりして、時間を忘れてのんびり
の方の人数は、脱衣所に「遅番」と呼ばれる、利用者の方
したい、そんな素晴らしい風景でした。
がスムーズに入浴することができるように調整する方が1
これらの思い出の他に、考えさせられることがたくさん
人と、
風呂場で入浴をお手伝いする方2人の計3人でした。
ありました。お金がないために補聴器が買えず、学校に行
この人数で約20人の利用者の方に入浴していただけるよう
くことができない子ども、学校に行けずに朝から働いてい
にするため、回転率はとても速く、1人の利用者の方に対
る子ども、朝から何も食べていないと兄弟を抱えて物乞い
し10分もなかったように思います。始め、私はその速さに
にくる子ども、年老いてもお金を稼ぐために必死にリキ
圧倒されてしまいました。しかし、スタッフの方から「一
シャ(人力車)をひく高齢の男性、リキシャをひく人の痩
番大事なことは、利用者の方に気持ち良く入浴していただ
せた身体と裕福そうな人の太ったお腹、スラムの子ども達
くことで、速さはそれができて初めて意識することです」
〔24〕
と教えていただいたことで気持ちがしゃんとし、何もわか
一部であると思いました。1日という短い時間の中で、感
らない私は、利用者の方に少しでも気持ち良く入浴してい
じとったこと、学んだことなどたくさんありました。私は、
ただけることを一番に考え努力しようと思いました。その
この実習を通して、改めて多くの人の援助・手助けがした
ようにして、風呂場担当の2人のスタッフの方に教えてい
い気持ちが強くなりました。本当にいい体験ができました。
ただきながら私も実際に利用者の方の介助をさせていただ
染野はるか(本学学部1年生)
きました。髪を洗わせていただいたり、背中にお湯をかけ
■地域で生活する様々な健康レベルの方々に対する理解を
させていただいたり、リフトの操作もさせていただきまし
深めるために、先日駒ヶ根市のデイサービスセンターであ
た。何もかもが初めての体験で、どうしたら一番良いのか、
る、「大原こだま園」に実習に行きました。
とても難しかったです。スタッフの方の見様見まねで動き、
今回の実習で、まず、声をかけることの大切さを再確認
なんとか終えることができました。一般浴をやらせていた
したように感じます。私は午前中、特浴を体験させていた
だき強く心に残ったのは、たくさんの方に気持ちよく、し
だきました。特浴では利用者さんはベッドに横になったま
かし効率よく入浴していただくためにどうしたらいいのか、
ま入浴するので、私たちの全行動に対して受け身になって
ということと利用者の方の安全を守る責任の重さでした。
しまいます。スタッフの方にも、「一つのことをする前に
そして、これらは、看護にも言い換えられることだと思い
は、必ず利用者さんに声かけをしてね」と言われましたが、
ました。他にも感じたことはありますが、この実習を通し
一人目の方の時はスタッフの方の勢いにも押されて、すぐ
て多くを学び、体験することができ、とても良い実習とな
には上手くいきませんでした。しかし、もし自分がいきな
りました。
菊池郁希
(本学学部1年生)
りベッドの高さを変えられたら、いきなりお湯をかけられ
■私は、利用者さんのお迎えとレクレーションを主に担当
たら、身体を洗われたら、びっくりするし、怖いと思いま
しました。まずはバスに乗り込み、利用者さんのお迎えに
した。ただ声を発するのでは駄目です。利用者さんに伝わ
行きました。最初の方はご自分で歩け、とても元気な方で
るように声をかけなくては意味がありません。このことが
した。しかし、どう話しかけていいか分からずとてもあた
今回、よく理解できたように思います。
ふたした状態で、沈黙が続きました。私は、スタッフの方
また特浴では、すばやく丁寧に利用者さんの身体を洗う
が自然に話していてすごいと感じた一方で、人と話すこと
スタッフの方々の手際の良さに驚きました。私は速くやろ
の難しさを改めて感じました。利用者さんの中には、とて
うと思うと丁寧にはできないし、丁寧にやろうと思うと遅
もお話がお好きでたくさん話してくれる方、車椅子でバス
くなってしまいました。スタッフの方々は自身の技術を磨
に乗り込む方など様々な方がいらっしゃいました。次々と
いてきたことが、よく伝わってきました。大学の授業で水
お迎えをしていく中で気づいたことがありました。1つは、
嵜先生がよく言う「迅速かつ丁寧に」という言葉を思い出
コミュニケーションを大切にしているということです。利
し、先生方の一言一言は様々な場面につながるということ
用者さん1人1人、性格や好きなこと、昨日あった出来事も
を、しみじみ実感しました。
それぞれ違う中で、会話をする際の話題がとても大切だと
私は利用者さんと話したり、表情を見たりしていて、利
思いました。2つ目は、スタッフの方が色んな方言で話し
用者の方々はこの大原こだま園に来ることをとても楽しみ
ていらっしゃったことです。これは、自分が話しやすいこ
にしているのだと感じました。そんな気持ちになるのは、
とではなく、相手の方に伝わりやすい言葉を使うというこ
スタッフの方々の元気が良いからということもあるのだと
とが大切であり、このこともコミュニケーションにつなが
思いました。それを特に強く感じたのはスタッフの方々の
ると思いました。そして、利用者さんの家族との関わりに
ゲームの時間です。ゲームはとても工夫してあって、
スタッ
ついても見ることができました。まず、自宅に伺うと玄関
フの方々の盛り上げ方がプロでした。利用者の方々はとて
のチャイムを鳴らさずにドアを開けていることに驚きまし
も楽しんでいて、またスタッフの方々も楽しそうでした。
た。これは、スタッフに対しての安心感や信頼があるから
互いに楽しいということが大切なのだと感じたし、利用者
こそできることだと思いました。また1日の始まりである
さんはこういうスタッフの方々と関わり合うことで元気を
挨拶も大切にしていました。利用者さんとこだま園のつな
もらったり、これからも元気でいよう・いたいと思えたり
がりだけでなく、その裏には家族が存在し、たくさんのつ
するきっかけのひとつになっているのかもしれないと思い
ながりがあるということを感じました。
ました。
レクレーションでは、塗り絵をやりました。ここでは、
最後のお見送りでは、利用者さんに手を振ると振り返し
ある利用者さんと一緒にいる時間が長く、初めは、その方
てくれて、なんだかとても嬉しかったです。そして、とて
は「自分は何もできない、目も悪くなって手にも力が入ら
も温かい気持ちになりました。利用者さんにとってこの大
ない」とおっしゃっていました。どこか寂しそうで、私は
原こだま園は、無くてはならない場所なのだと感じました。
自然と自分のことを話し始めていました。すると、その方
今回の実習でまたひとつ、自分自身、人間的に成長でき
も少しずつ、笑いながら笑顔で話してくれるようになりま
たように感じます。こういった機会が与えられることに感
した。話しながら、こだま園は孤独感を少しでもなくして
謝し、今後の学習に結び付けていきたいです。
くれる場であると感じ、利用者さんにとって大切な生活の
〔25〕
山森美枝(本学学部1年生)
平成18年度卒業・修了予定者の進路状況について
平成19年1月24日現在 就職支援課 本年度の学部卒業予定生は87名、大学院博士前期課程修了予定生は9名、同後期課程修了予定生は3名です。現時点での
進路予定状況は以下のとおりです。
1.学部学生の進路内定状況
区
全
地
県
外
出
身
者
看護師
教
員
計
進
学
合
計
46人
9人
3人
1人
59人
(68.6%)
0人
59人
県
外
24 1 2 0 27 (31.4%)
0 27 70 10 5 1 86 (100.0%)
0 86 県
内
42人
8人
3人
0人
53人
(61.6%)
0人
53人
県
外
8 1 1 0 10 (11.6%)
0 10 50 9 4 0 63 (73.2%)
0 63 域
県
内
4人
1人
0人
1人
6人
(7.0%)
0人
6人
県
外
16 0 1 0 17 (19.8%)
0 17 20 1 1 1 23 (26.7%)
0 23 域
計
小
内
計
地
助産師
県
計
地
保健師
域
体
県
内
出
身
者
就 職
分
家 居
1 小計の下段の%は就職者86人に対する割合 全体から見ると
①県内への就職者総数は59人/86人(68.6%)で昨年より5%、一昨年より14%程高く、県内就職への志向が定着
してきた。
②県内出身者の県内就職者は50人/63人(79.4%)で①と同様県内志向が強まっている。
③県外出身者の県内就職者は6人/23人で昨年並み。一方、県内出身者の県外就職者は10人/63人で流入、流出の
差はたった4名である。長野県民としては喜ばしい傾向である。
④保健師10名の内訳は県内自治体9で昨年並み。求人数は町村まで含めれば希望者全員の枠は十分あったが、都市部
志向が強く、農山村部にはいかなかった。保健師も学生が選ぶ時代となった。
⑤上記表にはないが、求人数は、件数、採用人数ともに昨年度より大幅増。
1病院数百名募集というところもあった。
⑥進学者はいなかった。
2.学部学生の主な就職内定先(複数のみ記載)
県 内
14人 信州大学医学部附属病院 5人 長野市民病院
4人 篠ノ井総合病院 伊那中央病院 3人 飯田病院 飯田市立病院
2人 佐久総合病院 諏訪湖畔病院 諏訪赤十字病院 長野県立こども病院 長野県立須坂病院
飯田市役所 諏訪市役所
県 外
3人 東京医科大学八王子医療センター 2人 東京慈恵会医科大学附属病院 藤田保健衛生大学病院
3.大学院前期課程の就職内定先
飯田女子短期大学 岩手県立大学 長野県看護大学 兵庫県立大学
順天堂東京江東高齢者医療センター 長野県立木曽病院 長野県立こども病院 未定2
4.大学院後期課程の就職内定先
信州大学 山梨県立大学 未定1
〔26〕
2007年度 学
2007年度 学 年 暦
年
暦
前 期
後 期
4月4日 入学式・後援会総会
1
0月1日 後期授業開始(学部、大学院)
4月5日 オリエンテーション合宿
大学院履修登録(後期追加)開始
(学部新入生・新編入生)
1
0月8日 「体育の日」
4月6日 〃
1
0月9日 領域別実習(3年)
4月9日 学内(履修)ガイダンス・定期健康診断
∼1
2月7日
4月10日 〃
1
0月9日 博士論文発表会〔前期〕
(博士課程3年)
4月11日 前期授業開始・履修登録開始
(学部、
大学院)
大学院履修登録(後期追加)終了
4月17日 看護コミュニケーション実習Ⅰ(1年)
1
0月22日 博士論文計画書テーマ・研究方法概要提出期限
毎週2−3時限 ∼7月3
1日
〔後期〕
(博士課程2年)
4月18日 履修登録終了
11月3日 「文化の日」
2日 博士論文研究計画書提出期限〔後期〕
4月20日 修士論文研究テーマ提出期限
(前期課程2年) 11月1
4月23日 博士論文計画書テーマ・研究方法概要提出期限
(博士課程2年)
〔前期〕
(博士課程2年)
11月2
3日 「勤労感謝の日」
4月30日 「昭和の日」振替休日
11月2
7日 博士論文研究計画発表会〔後期〕
5月1日 創立記念日
(博士課程2年)
5月2日 休校日
1
2月4日 博士論文審査開始願〔後期〕
(博士課程3年)
5月3日 「憲法記念日」
1
2月17日 冬季休業(学部、大学院)
5月4日 「みどりの日」
∼1月4日
5月5日 こどもの日」
1
2月24日 「天皇誕生日」振替休日
5月7日 領域別実習(4年)
1月7日 後期授業再開(学部、大学院)
∼7月6日
1月1
1日 博士論文提出期限〔後期〕
(博士課程3年)
5月14日 博士論文研究計画書提出期限
1月1
4日 「成人の日」
〔前期〕
(博士課程2年)
1月1
8日 修士論文提出期限(前期課程2年)
6月5日 博士論文研究計画発表会
2月7日・12日∼22日
〔前期〕
(博士課程2年)
看護コミュニケーション実習Ⅱ(2年)
6月19日 看護コミュニケーション実習Ⅰ(1年)
2月1
1日 「建国記念日」
∼2
1日
2月1
5日 後期授業終了(3・4年生、編入生)
7月9日 基礎実習(2年)
2月1
8日 春季休業(3・4年生、編入生)
∼8月3日
∼3月3
1日
7月9日 編入2年次地域看護実習
2月1
9日 修士論文発表会(前期課程2年)
∼7月2
0日
後期授業終了(大学院)
7月13日 博士論文審査開始願〔前期〕
(博士課程3年) 2月2
0日 大学院・春季休業
7月16日 「海の日」
∼3月3
1日
7月23日 夏季休業(3・4年、編入生)
2月2
6日 博士論文発表会〔後期〕
(博士課程3年)
∼8月3
1日
2月2
9日 後期授業終了(1・2年)
8月3日 前期授業終了(1・2年、大学院)
3月3日 春季休業(1・2年)
8月6日 夏季休業(学部1・2年、大学院)
∼3月3
1日
∼9月2
8日
3月中旬 卒業式・修了式
8月24日 博士論文提出期限〔前期〕
(博士課程3年)
3月2
0日 「春分の日」
9月3日 前期授業再開(3・4年、編入生)
9月10日 総合実習(4年)
(参 考)
∼9月2
1日
20
06年度 9月3
0日・1
0月1日 鈴風祭
9月17日 「敬老の日」
3月1
0日 卒業式・修了式
9月24日 「秋分の日」振替休日
2月2
2日 助産師国家試験
9月28日 前期授業終了(3・4年生、編入生)
2月2
3日 保健師国家試験
2月2
5日 看護師国家試験
3月2
7日 合格発表
〔27〕
向春の候、皆様方におかれましてはますますご健勝のことと存じます。鈴風会では、同窓会発足当初から“会員のネッ
トワークづくり”と“母校とのつながりを強化”という基本方針を立てておりました。具体的な活動の一つに「同窓会の
ホームページ立ち上げ」を掲げ、その実現に向けて何度も検討を重ねてまいりました。そして、2006年2月に念願のホー
ムページを公開することができました。
しかしながら、内容はまだまだ充実しておらず、役員のつぶやきをブログに書き込む程度にとどまっております。まだ
まだ課題が多く残っていますが、皆様からのご意見やご助言をいただきながら母校の発展に寄与していけるよう努力して
まいりたいと思います。お時間が許す限り、
「鈴風会」のページをちょいと覗いてみてください!そして、皆様からのご意
見を多数お待ちしております!
長野県看護大学同窓会「鈴風会」
アクセスしてみてください!
⇒ http://suzukazekai.sblo.jp
第4回 同窓会総会のお知らせ
日 時
平成19年3月15日(木)
12:30∼13:15
場 所
長野県看護大学 中講義室4
内 容
今年度活動報告、来年度活動報告、今年度決算報告、来年度予算案、その他
当日は大学の研究集会がありますので、その合間を縫っての同窓会総会の開催となります。お忙しいと存じ
ますが、ご出席をお願いいたします!
尚、今回も昨年と同様に「ランチョン総会」を予定しております。人数分のランチ(サンドイッチやおにぎ
り)を準備しますので、総会にご出席される方は、総会のお知らせに同封してある出席確認ハガキを返信して
いただければ幸いです。
会費納入のお知らせ
同窓会は皆様の会費で運営されます。終身会費で一万円です。振込み先は以下の通りです。
郵便局普通預金口座 口座番号:0581−1−79696 加入者名:長野県看護大学同窓会鈴風会 会費納入いただいた同窓生の皆様には、同窓会より記念品として「ロゴ入りはさみ」を差し上げます。
同窓会 豆情報 その7:今回は、私が気になる「格言」ベスト5!
第1位:「私たちの人生は、私たちがついやした努力だけの価値がある」モーリアック 第2位:「全ての人には個性の美しさがある」エマーソン
第3位:「今日の一つは明日の二つに勝る」フランクリン
第4位:
「常に自分の中に答えを求めなさい。周りの人や、周りの意見や、周りの言葉にまどわされてはいけません」
アイリーン・キャディ
第5位:「乗りかけた船には、ためらわず乗ってしまえ」ツルゲーネフ
皆さんの心に響いたフレーズはありましたか?(文責:太田規子)
*ご質問・ご意見は、長野県看護大学同窓会(〒399−4117長野県駒ヶ根市赤穂1
6
94番地 Fax:0265−81−1256)まで
教員の処分に係る学長からのお詫び
この度、本学教員(男性教授 ・5
0歳)が学生に対するセクシュアル ・ハラスメント行為により、任命権者である長野県
知事から平成18年1
2月14日付けで停職3月の処分を受けました。
本学の教員がこのような不祥事を起こしたことは、誠に遺憾であり、被害を受けた学生はもとより、その保護者の方、
在学生・卒業生の皆様、さらには県民の皆様に対しまして、大変申し訳なく心からお詫び申し上げます。
学長としてこのことを厳粛に受け止め、今後このようなことが二度と起こらないよう、教職員一丸となって取り組ん
で参ります。
また、在学生に対しては、今後授業等に支障を生じないよう学長として責任をもって対応して参ります。
なお、この度のことは、当初被害者側が公表を望まなかったため、任命権者が「懲戒処分等の指針」により公表を差
し控えておりました。
平成1
9年1月5日 長野県看護大学長 深山智代(tmiyama@nagano-nurs.ac.jp)
〔28〕