file.jsp?id=1615 - Ga-City

Page2016 調査報告
page2016
調査報告書
<カラーマネージメント>
ジーエーシティ調査隊 <持田真梨>
【初めに】
カラーマネージメントと一言で言っても、奥深く
幅広い。ここ数年は平台校正やハイエンド DDCP の終
息に伴い、本紙校正や専用用紙のインクジェットプ
ルーフ、オンデマンド機を使用したカンプ出しなど、
インクやプリンタの開発に伴う多種多様なプルーフ
機が発表されている。また、追随してカラーマネー
ジメントを行う RIP もプリンタ対応や色調整機能、
特色のコントロール技術などが向上している。
特に、各プリンタメーカーはオフセット分野だけ
でなくパッケージ分野にも提案エリアを広げ事例も
増やしている。
■エプソン販売(株)
昨年 10 月にリリースされた PX-H シリーズの後継
今回は、カラーマネージメント関連製品一式はも
機種、SureColor-P シリーズの「SC-P9050V」と旧機
ちろん、プルーフ機だけではない用途での展示も含
種 PX-H10000 との出力サンプルが比較展示されてい
めて調査した。
た。新機種 SC-P シリーズは、バイオレットインクを
加えた新しいインクテクノロジーUltraChrome HDXV
【出展内容】
インクが新しくラインナップされ、従来のオレンジ
/グリーンに加えバイオレットインクが追加された
■(株)沖データ(株)OKI データ・インフォテック
ホワイトトナー搭載「MICROLINE VINCI C941dn」
の実機及び透明フィルムや名刺、パッケージなどの
出力サンプルが多数展示。紙器パッケージの後加工
め、特色/広色域を必要とするパッケージプルーフ
用途にも応えられる。また、新ブラックインクは黒
濃度の向上でカラー・モノクロ印刷ともに階調性が
拡大された。
では、グラフテック社の「FC4550-50」カッティング
プロッターのデモを行っていた。
また、セイコーアイ・インフォテックから 2015 年
10 月に社名を変更した(株)OKI データ・インフォ
テックも同ブースに屋外サイン&ディスプレイ用溶
剤 64 インチ大判インクジェットプリンタ
「ColorPainter M-64s」を出展していた。最高速度
66.5 ㎡/時、7 色(C、M、Y、K、Lc、Lm、Gy)インク
で低臭気 SX インクを搭載。
ジーエーシティ株式会社
Page2016 調査報告
また、参考出品として PX-20000 の後継機種が展示
されていた。
水性インクジェットの 64 インチモデル。
印字スピードが従来の 3~4 倍になる予定。印刷品質
■(株)ミマキエンジニアリング
シルバーインク搭載プリント&カットタイプ
は 1~5 レベルまであり、600dpix600dpi~
「CJV150 series」が展示されていた。新開発の SS21
2400dpix1400dpi の解像度となる。
シルバーインクは従来の ES3 シルバーインクに比べ
約 1.67 倍の輝度を実現。インクはエコソルベントイ
ンクと昇華転写インクを選択できるが、シルバーイ
ンクが搭載できるのはエコソルベントタイプの SS21
選択時のみ。ラインナップとしては、最大メディア
幅で 810mm
(
「CJV150-75」)
、1,100mm
(
「CJV150-107」)
、
1,371mm(「CJV150-130」)、1,620mm(「CJV150-160」)
の 4 モデルがある。
■キヤノンマーケティングジャパン(株)
大判インクジェットプリンタ、オンデマンド出力
機など多岐にわたるプリンタを出しているキヤノン
ブースでは、その多岐にわたるプリンタによる出力
物のカラーマネージメントソリューションを出展し
ていた。印象的だったのは、上質紙のため色が沈ん
でいる「Océ ColorStream 3000 Z シリーズ」の出力
物に対し、「imagePRESS C10000VP/C8000VP」で色合
わせしたサンプルが展示されていた。
カラーマネージメントサンプルでは、GMG
また、インクジェットプリンタ「imagePROGRAF
ColorServer とフラットベッド UV インクジェットプ
iPF6400S」とバックライトフィルムに印字したサン
リンタ「UJF-7151 plus」で出力したサンプルがオフ
プルも展示されていた。
セット印刷と比較展示されていた。
ジーエーシティ株式会社
Page2016 調査報告
燥させるタイプの水性顔料インクで、F780 のための
専用インク。商業印刷プルーフ対応には C、M、Y、K、
Lc、Lm、Lbk、紙器パッケージプルーフ対応には C、M、
Y、K、Or、Gr のインクタイプ 2 種類をラインナップ。
■(株)メディアテクノロジージャパン
CMS ソリューションコーナーには、カラープルーフ
ィングシステム「LabProof SE v2.3」が 2 種類のプ
ルーフ機と連携されて展示されていた。一つ目は、
本紙を使用しない高色域インクジェットプリンタ
「Epson SC-P9050G」。Panton のカラースウォッチ
(特色)をカラーマッチングしたパッケージサンプ
紙器パッケージ用にはホワイトインクオプションも
ルを展示。Epson SC-P series には 1 月末に対応済み
ある。
クラウド上でデバイス間の色品質を一元管理する
「TRUST Profiler」もパネル展示されていた。
■コニカミノルタビジネスソリューションズ(株)
インクジェットプルーフコントローラ「Falbard
AQUA v2.0」と連携可能な Epson SC-P series プリン
タと「PROOFMASTER LR」が出展されていた。Epson SC-P
series には対応済み。
であるが一部機能制限あり。
二つ目に、本紙校正用インクジェトプリンタ
「Proof Jet F780」が展示。IGAS2015 では仮称で参
考出品されていたが、Page2016 では正式名称で出展。
スポンサーズセミナーでは、「ワークフローと本紙
校正のあたりまえを変えていく。」~Proof Jet F780
の紹介~をテーマに校正機に対する期待を基に企
画・開発を行い、完成した特長を紹介。他のインク
PROOOFMASTER には、LR と CR のラインナップがあ
ジェット本紙校正と比較し、1bit TIFF によるオリジ
り、LR は出版・商業印刷向け本紙校正用インクジェ
ナルに近い網点再現が高い。また、熱でインクを乾
ットプリンタで C、M、Y、K、Lc、Lm、Lbk を搭載、
ジーエーシティ株式会社
Page2016 調査報告
印字幅が 736mm 幅に広がった。CR は、紙器印刷向け
本紙校正インクジェトプリンタで、C、M、Y、K、Or、
Gr を搭載。
Japan Color プルーフ機器認証を取得済みのデジ
タル印刷機「bizhub PRESS C1070」「bizhub PRESS
C1100」も実機展示されており、これらは本体のみ導
入でカンプ用に使用することも可能だが、両面印刷
はもちろんオプションにマルチ折り、平綴じ、中綴
じ、三方断裁も付けることが可能。また、中継搬送
ユニットにはオートキャリブレーション機能が搭載
されているタイプもあり、用紙ごとに CMYK に加え
RGB も測色可能で階調濃度を調整することができる。
またモニタープルーフも展示されていた。
蛍光分光濃度計「FD-7/FD-5」や、自由フォーマッ
トを測色できる自動スキャン分光測色計「FD-9」が
■CGS Japan(株)
カラーマネージメントソフトウェア「ORIS COLOR
TUNER // WEB v3.1」がパッケージ印刷用デザイン/
製作を効率化するソリューションとして出展。
展示されていた。
■GMG ジャパン(株)
インクジェットプルーフ用ソフトウェア「GMG
ColorProof」「GMG DotProof」「GMG FlexoProof」
の最新バージョン 5.7 が出展されていた。また、オ
「Roland VersaUV LEC-20」との連携では、転写フィ
ルムを使用して蒸着紙にカラー+ホワイトを印字し
た出力物にニスを精度よく印字する技術を使い、パ
ッケージサンプルを出力し、サンプル展示していた。
フセット印刷機、デジタル印刷機、インクジェット
などの印刷方式にとらわれず別デバイスで出力され
た出力物を一貫して色再現管理を行うことができる
「GMG ColorServer」が特徴。下記は、それぞれ違う
メディアへ印字し、印刷されているハンバーガーは
目視では違和感がないほどのカラーマッチングされ
たサンプルである。Epson SC-P series では、バイオ
レットモデルの「SC-P9050V」と「SC-P7050V」に対
応済み。
ジーエーシティ株式会社
Page2016 調査報告
また、「ORIS CXF TOOLBOX」「ORIS CXF DESIGNER」
などを市場要望と考え、クラウドベースカラーマネ
は、オーバープリントを含む特色を印刷/測色する
ージメントシステム「XMF ColorPath」の導入事例を
ことにより CxF ファイルを作成し、PDF ファイルにエ
紹介。また、本紙校正には次世代インクジェットプ
ンベットすることで印刷に使用されるインクの配合
レス「JetPress 720S」と 2400dpi の 1bit TIFF デー
成分や不透明度を正しくシミュレーションすること
タをダイレクトに出力可能なデジタルカラープリン
が可能。
タ「DocuColor 1450 GA(Model-Ex)」もある。DocuColor
1450 GA には「Real Dot Proofer」を使用すること
でオフセット印刷物に近い網点と色味を再現するこ
とが可能。
さらに、「色見本色合わせシステム」が参考出品
されていた。現物の色見本をスキャンし、原稿画像
データとスキャン画像からプロファイルを自動生成
し、デバイスリンクプロファイルを作成することで
簡単に色見本へ色合わせできるシステムである。ス
キャンも含め作業時間は約 5 分程度。下記は左から、
■富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ
(株)
ファインインクジェットプルーファーとして標準
タイプの「PRIMOJET SOFT-S」、より高精度なカラー
マッチングを実現する「PRIMOJET SOFT-XG」を展示。
XG では Epson SC-P series のバイオレットモデルは
2 月に対応予定。
オフセット印刷、色調整後、JapanColor2011 を使用
した出力物。
■(株)ソフトウェア・トゥー
インクジェットプリンタ用 RIP サーバーソリュー
ション「EFI eXpress for proofing」と高品質イン
クジェットプレスプルーフ「rosette Star Proof」
のカタログ配布がされていた。
「rosette Star Proof」
は CTP システムのフロントエンドから生成された高
解像度 1bit TIFF ファイルを処理し、独自のアルゴ
リズムによる網点、線数、角度を保持したプルーフ
出力を ROOM(RIP Onece Output Many)で実現。最新
Epson プリンタに対応、X-rite i1Pro2 などの最新測
色器に対応。
スポンサーズセミナーでは、CMS が開く印刷新時代
今後、と題し色管理の一元化/他拠点展開への対応
■(株)新星コーポレィション
Digital Proof Solutuin として、本紙対応レーザ
/校正フローの効率化/本紙校正対応/スキルレス
ープリンタでは「GMG ColorServer」と「GTB
~「次世代プルーフ」お客様事例に見る印刷市場の
RealDotProofer」+「DocuClor 1450 GA」、大判イン
ジーエーシティ株式会社
Page2016 調査報告
クジェットプリンタでは「GMG GotProof XG」/「CGS
カラーマネージメントサポートパック、カラーキ
Oris ColorTuner」/「EFI Fiery XF」+「EPSON
ャリブレーションサービス、訪問講習/ハンズオン
SC-P9050V/G」、本紙対応大判インクジェットプリン
トレーニング等も行っている。
タでは「CGS Oris ColorTuner」/「EFI Fiery XF」
+「NextProof」、デジタル印刷機では「GMG
ColorServer」+「Jet Press 720S」のパネル、サン
プル展示がされていた。
■(株)トーヨーコーポレーション
2015 年 5 月からフレキソ印刷向けの資機材販売を
開始し、ブースでは簡易校正用プリンタとして
「Epson PX-W8000」、「OKI MICROLINE VINCI C941」
が出展。どちらもホワイトインクを搭載、それぞれ
インクジェット/トナー方式のプリンタである。
他にも、日本印刷学会評価証明基準準拠の「色評
価用直管型 LED」が展示されていた。工事なしで取
り付け可能のため、カラーマネージメントを行う現
場の環境構築に普及することが望ましい。
■(株)Too
カラーマネージメントでは必須の正確な色を判断
するために必要である標準光源「X-rite Jydge QC 標
■(株)ジーティービー
準光源装置」が展示されていた。印刷専用の D50 光
源および包装印刷専用の D65 光源があり、タングス
テン(A)、UV、蛍光灯も付属。デュアル昼光モード
対応装置は、D50 光源と D65 光源の切替えが可能。
ジーエーシティ株式会社
Page2016 調査報告
カラーマネージメントソフト「Real Dot Proofer」
版システムを出展していた。印刷絵柄を、分光光度
と出力機としてデジタルカラープリンタ「FUJI
計を使用し部分的に測色して、⊿E で色差を表示でき
XEROX DocuColor 1450 GA」を実機展示。「Real Dot
る「ColorBrain スコア」は色品質評価証発行機能も
Proofer」は、印刷機とデジタルカラープリンタのド
付いている。また、RGB 面測色「カラーエリアステ
ットゲインの違いと、インクとトナーの色の違いを
自動で補正。分版済みの刷版データ(1bit TIFF)を
使用して、線数・角度も印刷と同じ網点プルーフが
出力可能。特色は疑似色で網点として再現される。
印本紙による校正も可能。また、検査対象を選ばず
様々な組合せで検査ができる「Hallmarker」シリー
ズを展示。従来は数パーセントの濃度差や数ピクセ
ルのズレでさえ間違いとして抽出してしまっていた
が、独自開発の検査エンジン「アイアンマン」を搭
載することにより人間の目がもつ「曖昧さ」を組み
込み、より人間に近い感覚で検査が可能。
■エックスライト(株)
分光濃度・測色計「eXact」やオプションソフトウ
ェアにはカラーワークフローコミュニケーションツ
ール「ColorCert」や色彩管理ソフトウェア「Color
iQC」などが実機・パネル展示されていた。
ーション」は絵柄をナトリックス分割測色し、分割
また、スポンサーズセミナーでは、これからはじ
各部の色調差分を⊿E1.0 に相当する単位で異なる色
める Japan Color の測色講座 ~濃度と色彩の豆知
枠で表示、絵柄全体の色評価を行うことが可能。顧
識と世界のトレンド~と題しカラーマネージメント
客での色合わせ基準チャートと連動するカラーフィ
に必要な基礎知識からわかり易く紹介していた。
ット機能もオプションで対応可能。
■リコージャパン株式会社
株式会社 KADOKAWA とのリモート・プルーフ事例が
パネル展示されていた。校正の朱入れ手順はそのま
まで、紙ベースから PDF データの完全オンライン化
によるデータのやり取りとなるため、校正紙が手元
に届くまでのタイムロスも解決。校正紙に必要情報
を付加しオンラインで出力、校正後はスキャンでデ
ータ送信。プリンタはスキャナーが標準装備の高画
質カラー複合機「RICOH Pro C5100S」を 4 台稼働中。
■(株)プロスパークリエイティブ
絵柄面測色 CIEXYZ「カラーブレイン」と RGB「カ
ラーエリアステーション」などの面測色・校正・検
ジーエーシティ株式会社
Page2016 調査報告
また、画像高品質ソリューション「FUJITSU Media
Solution ColorFit」も展示されていた。これは、
Adobe Photoshop のプラグインとしてインストール
し、画像データを解析し逆光、アンダー、人肌など
の色再現、階調表現を判断して従来は手動で補正し
ていた工程を自動補正により加工時間を大幅に短縮
することができるソフトである。
■富士通(株)
印刷、POD、プルーフ出力において画像品質と印刷
資材を最適化するソリューション「FUJITSU Media
Solution ColorAffinity(仮称)」が参考出品され
ていた。印刷資材を最適化(低減)することにより、
印刷時のぶれが少なくなり、安定した印刷が可能に
なる。また、総インキ使用量(TAC 値)を低減させる
【まとめ】
文頭で述べた通り、インクやプリンタの開発に伴
ことにより、印刷汚れの原因となる裏移りや裏抜け
う多種多様なプルーフ機が発表され、これまでは用
を少なくすることが可能。
途に対しプルーフ機を選択する幅がないため、専用
機を採用することが多かった。しかしながら、1 台で
高機能、高品質、高生産性のプルーフ機ならぬ生産
機として利用できる出力機が増加したため、導入側
は自社のビジネスを改めて見直し、システム導入を
検討する必要性が出てきた。しかし、選択できる程
の多種多様な出力機があり、それぞれの特性・特長
を捉えた選択が重要となるだろう。また、本紙校正
では、ユーザー側によるカラーマネージメントの技
術力が必要なのだと改めて感じた。
ジーエーシティ株式会社