平成 22 年 7 月 30 日 独立行政法人 沖縄科学技術研究基盤整備機構理事長 シドニー・ブレナー殿 OIST契約監視委員会 委員長 野里 洋 OISTの契約事務の改善について(意見具申) 当委員会は、平成 21 年度にOISTが締結した契約の中から本委員会において 抽出した 12 件の契約について、契約方式を含む契約過程や契約内容の妥当性など の観点から審議を行った。 その結果、「弁護士報酬(人事案件)」に関する契約について、その事務手続に 問題が認められたため、下記のとおり、意見具申する。 記 平成 21 年 7 月の国会審議で指摘を受けた事項(パワハラ等)について、弁護 士事務所に調査を委託したところ、最終的な費用が 5,400 万円と高額なものとな った(経緯は別紙)。 本件のような調査を行う場合、弁護士事務所とは随意契約し、時間制報酬契約 を締結すること自体は通常行われていることであり、契約方式について、本件の 取扱いが間違っていたわけではないものの、結果的に、極めて高額な支払をする こととなり、依頼する段階でのコストコントロールに問題があったと言わざるを 得ない。 今後、外部の弁護士事務所等を利用する場合は、以下の点に十分に留意し、再 発防止に努めることが必要である。 1. 独立性のある第三者による調査委員会を設置し、その委員会で調査方針を決 定した後、弁護士事務所がその方針に基づき必要な範囲で調査を実施するとい う調査方法を含め、業務の性格・内容に応じた最適な方式を選択すること。 2.上記委員会の調査方針等を踏まえ、報酬額の上限や調査の範囲等を設定し、 双方で事前に合意しておくなど、依頼する段階でのコストコントロールを図る とともに、途中段階でのコスト把握を行う方法をあらかじめ講じておくこと。 以上 別紙 弁護士費用について 平成 21 年 7 月の国会審議で指摘を受けた事項(パワハラ等)について、外部 の法律事務所により、調査を行った。その経緯等については以下のとおり。 1. 国会審議での指摘内容 平成 21 年 7 月 1 日、参議院・沖縄及び北方問題に関する特別委員会における 沖縄科学技術大学院大学学園法案審議の際、委員から、機構では、特定職員(前 事業推進部長)に権限が集中し、以下の管理運営上の問題が生じていたのでは ないかとの指摘がなされた。 ① 部下に対するパワハラ等が生じていたのではないか。 ② 自ら大幅な昇給を決定したのではないか。 これに対し、内閣府は調査して報告する旨の答弁を行った。 2. 外部法律事務所への調査依頼 7月2日、内閣府から、詳細かつ客観的な調査を行いその結果を報告するよう OISTに対して指示があった。本件は、特に中立性・専門性が重要であることか ら、外部の法律事務所に調査を依頼することとし、労務分野の専門性を有する こと、英語の対応が可能であることを重視し、沖縄の法律事務所も含めて検討 した結果、「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」を選定した。 パワハラの性質上、調査項目や調査範囲の具体的な内容を予め定めることは 困難である等、契約の性質に鑑み、競争入札は行っていない。時間制報酬によ り依頼した。 3. 外部法律事務所による調査経緯 法律事務所は、パワハラ調査の一般的な手法である面接等により事実関係を 把握することとした。その過程において、被害者と想定された元職員との調整 が進まなかったこともあり、調査範囲を当初の予定よりも拡大せざるを得なか った。 1 ① 当初(21 年 8 月)は、前事業推進部長と被害者と想定された元職員との面 接を予定。 ② しかし、当該元職員との面接について調整が進まず、21 年 10 月以降、調 査範囲を拡大して、他の部下、同僚、上司等(計 13 名)から幅広く聞き 取り調査を行った。 ③ 12 月に入り、元職員との調整も整い、当事者とも各 2 回の面接を実施。 4. 弁護士報酬費用 結果として、聞き取り調査(計 15 名、延べ 24 回以上)に加え、事前準備、 結果分析、報告書執筆・確認等、3 人の弁護士で延べ 1,500 時間以上の作業を要 し、約 5,000 万円の費用がかかった。(弁護士報酬:5,248 万円、本金額は随意 契約として機構 HP 上で公開済み。面接時の交通費等の実費を含めると、総額 約 5,452 万円) 2
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