アニュアルレビュー

Annual
Review 2006
and Summary
Financial Statements
株式データ一覧
株式配当および支払日
2006年株式配当
第1回中間配当分
第2回中間配当分
合計
株主への還元
06
0
6,6
ドル
06
2.91
2.91
> 重要な治療領域(がん、循環器、消化器、感染症、ニューロサイエンス、呼吸器・炎症)
において医療用医薬品の創薬研究、開発、製造および販売に従事しています。
> 従
業員数は約6万6,000名(欧州58%、南北アメリカ27%、アジア、アフリカ、オーストラ
リア15%)。
伸び率
3.86 +34%
3.86
2.18
2.01
支払日
2006年9月18日
2007年3月19日
> 100カ国以上で事業を展開しており、重要な新興市場でも存在感を増しています。英国
ロンドンに本社を置き、主要研究拠点はスウェーデン、英国、米国にあります。
,0
株式1株当たり利益
04
スェーデンクローナ
3.60
8.60
12.20
> 幅
広い製品群を有し、ARIMIDEX、CRESTOR、NEXIUM、SEROQUEL、SYMBICORTなど多
数の製品が世界でトップセールスを記録する重要な成長製品が数多くあります。
,
05
英ペンス
26.6
63.0
89.6
アストラゼネカについて
配当および株式買い戻し百万ドル
0
米ドル
0.49
1.23
1.72
+41%
> 世界8カ国の16の拠点で約1万2,000名の従業員が研究開発を行っています。
> 19カ国に27の製造拠点を有しています。
> 1営業日当たり1,600万ドル以上をかけて、新薬の開発を行っています。
+14%
特別損益調整後の1株当たり利益
特別損益調整前の1株当たり利益
伸び率、売上高、市場データ
について
本書に記載した伸び率と売上高は、別段の記載がな
い限り、恒常為替レート(CER)で算出されており、為替
レートの変動による影響を除外した実質的な業績に
基づいています。
市場データは米ドルによる実質値です。
業績評価の定義はファイナンシャルレビュー(要旨)
に記載しています。
目次
会長あいさつ
最高経営責任者による概観
Patients
Products
People
Performance
戦略
業績評価
ファイナンシャルレビュー(要旨)
取締役会
コーポレートガバナンス(要旨)
取締役報酬報告書(要旨)
1
2
6
12
20
24
26
27
28
32
34
37
財務報告書(要旨)
独立監査報告書
連結損益計算書
連結認識損益計算書
連結貸借対照表
連結キャッシュフロー計算書
配当金
1株当たり利益
後発事象
取締役の報酬
グループ財務データ
株主情報
41
41
42
42
43
44
45
45
45
46
47
48
会長あいさつ
「ますます厳しさを増すビジネス環境に
もかかわらず、主要製品の堅調な売上
成長、特に欧州以外の地域における好
成績と、生産性の向上を追求する当社
の果敢な取り組みにより、本年も卓越
した財務実績を達成しました」
2006年のグループ売上高は合計265億ドル(11%
増)、営業利益は82億ドル(28%増)となりまし
た。研究開発投資は、将来の成長に向けた基盤を
確立する堅実な取り組みを反映して、34億ドルから
39億ドルに増えました。この投資は、主力既存製
品のライフサイクル管理、効率性と有効性の向上
に重点を置いた新製品開発、社内の取り組みを補
完する製品・技術の的確な判断に基づく買収およ
びライセンシングに集中的に投入しました。大型の
投資としては、上記の戦略を支える新規研究開発
施設への設備投資、特に英国および中国での投資
を本年発表しました。
アストラゼネカの株価は本年変動があったもの
の、1株当たり利益は34%増加し、2005年の2.91ド
ルから本年は3.86ドルとなりました。これは、当社
製品の堅調な成長と慎重なコスト管理によるもの
です。取締役会では、第2回中間配当の推奨額は普
通株式1株当たり1.23ドル(63.0ペンス、8.60スウェ
ーデンクローネ)とし、通年配当をドルベースで
32%上昇の1.72ドル(89.6ペンス、12.20スウェーデ
ンクローネ)としました。年次株主総会で株主の皆
様に承認された株式の買い戻しプログラムに基づ
き、当社では将来の投資に備える予想必要資金を
超 える余 剰 金を株 主の 皆 様 に還 元しており、
2006年は総額41億4,700万ドルを還元しました。
2007年は正味40億ドルの株式買い戻しを予定して
います。
本書の40頁に当社の株主総利益について、ファイ
ナンシャルタイムズ100社(FTSE 100)株価指数お
よび同業他社のデータと対比して記載していま
す。
取締役会では毎年正式に戦略の見直しを行ってお
り、社内の能力を活用するとともに、社外組織との
パートナーシップ・提携・買収により新しい科学研
究と革新的な製品を実現する研究開発モデルを用
いて、持続的な収益成長を実現する取り組みを強
化しました。戦略の見直しでは、質の高い医療に対
する継続的な需要の増加、高齢化する社会、診断
が不十分で、未対応の医療上のニーズ、新興市場の
経済発展、持続的な薬価引き下げの圧力、ますま
す厳しさを増す薬事規制といった全世界の動向に
ついて十分に検討しました。
David Brennanは最高経営責任者就任1年目を迎え
ました。最高経営責任者によるアストラゼネカの当
期業績に関する概観、戦略に則った経営指揮およ
び将来構想については、本書の次のセクションで
ご覧いただけます。Brennanは独特のリーダーシッ
プスタイルに従い、社内のあらゆるレベルにおける
個別の責任に常に目を配りながら、確実に成功を
収めています。同氏をはじめとするシニア・エグゼ
クティブ・チーム、ならびに企業買収によりこの
度アストラゼネカグループの一員となった方々を含
む全社員に、本年の貢献に対して感謝していま
す。
取締役会の定例会議の一環として、当社戦略の見
直しに加えて、さらに財務面および事業運営面なら
びに機能領域面から見直しを行い、今年は特にリ
スクマネジメント、コンプライアンス、人事管理、安
全・健康・環境問題に重点を置きました。これらの
事項については、本書の他のセクションに詳しく記
載するほか、Corporate Responsibility Summary
Report 2006に掲載しています。
本年は取締役会の非常勤取締役の構成に大幅な
異動がありました。Professor
Dame
Nancy
Rothwellが2006年の年次株主総会で取締役に選
任されました。同氏は現在、英国University
of
ManchesterのResearch担当副学長を務めており、
同世代研究者のリーダーの1人として、当社取締役
会の審議において有益な考え方を示しています。
John VarleyはBarclays Bank plcのグループ最高経
営責任者で、7月に当社取締役に任命されました。
同氏の営業面および財務面に関する広範な専門知
識は、すでに当社の業務に多くの利点をもたらして
います。Varleyは報酬委員会にも加わっており、
2007年の年次株主総会でSir Peter Bonfieldが取締
役会から退任した後に、同委員会の委員長に就任
す る 予 定 で す。上 記 総 会 で は 、2 0 0 3 年 に
A s t r a Ze n e c a PLCの非常勤 取 締役に就任した
Michele Hooperが、Sir Peter Bonfieldの後任とし
てシニア独立取締役に就任の予定です。Dame
Bridget Ogilvieは2006年の年次株主総会において
退任しました。それまで9年にわたり当社の非常勤
取締役を務めてこられました。アストラゼネカなら
びにその前身であるZenecaの両社に対する同氏の
長年の貢献について、取締役会を代表して心より
御礼を申し上げます。
2007年も引き続き開発パイプラインの強化、トップ
レベルの売上成長の促進、さらなる生産性の向上
を図るとともに、当社やステークホルダーの方々を
取り巻く変化の著しいビジネス環境についてよく
理解し、ビジネス環境に影響を及ぼすことにより、
患者さんのニーズにお応えし、株主の皆様に価値
を還元し、さらに広く社会に利益をもたらすことに
力を注いでまいります。当社の戦略については、
David Brennanから次のセクションで詳しくご説明
させていただきます。なお、アストラゼネカと製薬
業 界 が 直 面して い る 課 題 に 対 処 するた め 、
Brennanの率いる経営陣の実行力は、私をはじめ
取締役会一同が全面的に支持しているものであり
ます。
LOUIS SCHWEITZER
会長
AstraZeneca Annual Review 2006
最高経営責任者による概観
売上高(百万ドル)
伸び率
06
05
04
利益(百万ドル)
26,475 +11%
06
06
+10%
05
05
+9%
04
04
23,950
21,426
税引前利益
通年の業績
>売上は11%増、264億7,500万ドルとな
りました。
>5つ の 主 力 成 長 製 品( N exium 、
Seroquel、Crestor、Arimidex、
Symbicort)の業績は堅調に推移
し、売り上げ合計は133億1,800万ド
ル、23%増となりました。
>営業利益は28%増の82億1,600万ドル
となり、営業利益率は3.8ポイント改善
され、売上高の31.0%でした。
>フリ ー キ ャッ シ ュフ ロ ー は 6 7 億
8,800万ドル。株主への還元は合計
53億8,200万ドル(配当金22億2,000万
ド ル 、正 味 株 式 買 い 戻 し 額 3 1 億
6,200万ドル)でした。
>配当金は32%増、1ドル72セントでし
た。
>1株当たり利益は34%増、3ドル86セン
トでした。
アストラゼネカは先進の研究開発型医薬品企業で
す。重要な治療領域において新薬開発に取り組
み、責任を持って医薬品をお届けすることにより、
患者さんにベネフィットをもたらし、株主の皆様は
もとより広く社会に価値を還元しています。
医療に対する需要は高まるばかりです。高齢化、人
口増、新興経済地域の台頭により、医薬品の恩恵
を受ける患者さんの数は増え続けています。その一
方、十分な診断ができず、最適の処置あるいは効
果的な処置がとられていない疾患は依然として数
多くあります。このようにアストラゼネカにとって躍
進を遂げる多大なチャンスに恵まれている一方で、
様々な困難な課題―厳しさを増す薬価への圧力、
コスト増、新薬開発に対する規制強化、
(当社の特
許に対する早期の異議申立てを含む)市場におけ
る競争の激化など―にも直面しています。
このような環境の中で医薬品業界を牽引する持続
的な成長を実現するため、当社の戦略は次の3つの
重要な優先事項を中心としています。
> 自社の研究所のみならず、社外の創薬研究開発
機関を利用することにより、新薬開発パイプラ
インを強化する。
>年間売上高が10億ドルを超える製品
が11製品に達しました。
> 製品ライフサイクルを厳しく管理し、質の高い顧
客サポートを提供することにより、全既存製品
の潜在的能力を完全に引き出す。
>世界のすべての地域で好調な売り上
げの伸びを記録しました(米国16%
増、欧州6%増、日本5%増、その他の
地域11%増)。
> 原価構造を見直し、研究開発活動とアウトソー
シング活動への追加投資のための資金を確保す
ると同時に、当社の医薬品へのアクセスを増強
する。
>2005年12月1日から2007年1月31日ま
での期間中に12の大型ライセンシング
・買収プロジェクトに加えて、9つの大
型共同研究開発プロジェクトに関する
契約を結びました。
PATIENTS、PRODUCTS、PEOPLE、
PERFORMANCE
当社の事業目標は、戦略の実現に不可欠な原動力
と考えられる4つの中核的な領域―patients(患者
さん)、products(製品)、people(人材)、
performance(業績)―に重点を置いています。
伸び率
8,543
+29%
8,543
6,667
6,667
4,844
4,625
+41%
+13%
特別損益調整前利益
患者さんと担当医師の方々に最大の利益を提供
するため、医療現場において何がプラスになるか
常に把握し―そうして得た洞察を当社の活動全
体に適用することにより、絶えず変化するニーズ
に応じた取り組みを継続しなければなりません。
将来における持続可能な長期的成功は―社内外
の研究機関から―新製品を送り出す能力のさら
なる強化にかかっていることを私たちは認識して
います。そのためには社員の継続的なコミットメン
トと活力が不可欠であり、社員一人ひとりが事業
目標の達成に最大限の貢献を行えるよう必要とな
るリーダーシップを発揮し、社員をサポートするこ
とを目指しています。さらに、ビジネスのあらゆる
側面で約束を果たし、それに伴うチャンスとリスク
に効果的に対処することにより、業界トップクラス
の業績を促進することを目指します。
通年の業績
2006年は順調な進展がみられました。当社は卓越
した財務実績を達成し、全社的な生産性向上に向
けた継続的な取り組みにより、11%という大幅な売
上成長を記録しました。
製品別実績
短・中期的には、過去12年間に上市した5つの主
力製品―Arimidex、Crestor、Nexium、Seroquel、
Symbicort―が今後も当社の成長の推進力となる
見 込みです。これらの主 力成長製品、5製品の
2006年の売上高は合計133億ドルに達し、前年比
2 3% 増となりました 。C a s o d e x 、Zo l a d e x 、
S e l o k e n / To p r o l -X L 、Z o m i g 、D i p r i v a n 、
Merremなど好調な成熟製品を含む全製品の売上
高は、合計265億ドルでした。
Arimidexは売上高15億ドル、前年比29%増とな
り、現在、米国、日本、フランスでは有力な乳がん
内分泌療法薬となっています。この成長の持続
は、主に大規模臨床試験ATACの調査結果による
ものです。この調査では、がんの再発リスクが最
も高い術後5年間において、Arimidexはタモキシフ
ェンより優位性を有することが明らかになりまし
た。6月には相互認証制度による新しい用途の承
認後、それまでタモキシフェンの処方を受けてい
た多数の欧州の患者さんも、現在はArimidexに切
り替えられるようになりました。
「最高経営責任者を拝命して1年が経ち、
この度Annual Reviewを発行できたこ
とを大変光栄に感じております。本書で
は2006年の堅調な財務実績はもとよ
り、ますます厳しさを増すビジネス環境
において、当社をはじめとする製薬業界
が直面している課題を克服し、引き続き
業界トップクラスの業績を実現するため
の取り組みを明らかにしています。」
01 Patients
02 products
03 people
04 performance
AstraZeneca Annual Review 2006
最高経営責任者によるレビュー
JONATHAN SYMONDS
最高財務責任者
JOHN PATTERSON
開発担当エグゼクティブ・ディレクター
高コレステロール血症治療薬あるCrestorは、20億
ドル超の売上高を達成し、前年比59%の増加とな
りました。2つの臨床試験(2005年のORION試験、
2 0 0 6 年 の A S T E R O I D 試 験 )の デ ー タから 、
Crestorはアテローム性動脈硬化症の治療において
高いポテンシャルを有することが分かりました。現
在はME TEOR試 験も完了しており、その結果は
2007年3月に発表される予定です。METEOR試験
は、アテローム性動脈硬化症を適応症とする米国
食品医薬品局(FDA)に対する申請と、欧州諸国に
おける相互認証手続きによる申請の基礎資料とな
っています。これらの申請は2007年1月に行い、
ASTEROID試験とORION試験も裏づけとなる試験
として申請に含めました。
胃酸関連疾患治療薬であるNexiumは、52億ドル
の売上高を達成しました。2006年には、胃食道逆
流症(GERD)を発症した12~17才の小児における
使用の追加について承認を受けたほか、希少な胃
酸関連疾患であるゾリンジャー・エリソン症候群の
患者さんの治療における新しい用途について承認
を得ました。
Seroquel(売上高は34億ドル)は、米国市場におけ
る非定型抗精神病薬としてのリーディング・ポジシ
ョンをさらに強固なものとし、他の市場でも引き続
き堅調な伸びを記録しました。すでに統合失調症
と双極性躁病の治療薬として使用されており、米
国では本年、双極性うつ病での使用についても承
認を得ました。Seroquelは、双極性障害の躁病とう
つ病の両方で承認を得た最初で唯一の薬剤です。
欧州特許庁は12月、Nexiumの欧州物質特許の1つ
を棄却することを決定しました。Nexiumおよび
Seroquelの両製品は、2005年と2006年の簡略新
薬承認申請の提出後に米国で特許訴訟の対象と
なっていますが、NexiumとSeroquelを保護する一
連の知的財産の正当性に対する当社の確信はまっ
たく変わっておらず、今後も両製品を保護する知的
財産権を守り、その権利を行使していく所存です。
MARTIN NICKLASSON
グローバル・マーケティング
担当エグゼクティブ・バイスプレジデント
TONY ZOOK
北米担当
エグゼクティブ・バイスプレジデント
Symbicortは、2006年は全世界で12億ドルの売上
高を達成し、18%の増加となりました。本製品につ
いては、今年、12才以上の喘息患者さんの維持療
法として、米国で加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)
製剤の承認を得ました。引き続き2007年中頃に本
製品を米国で上市する予定ですが、この上市スケジ
ュールは、開発部門から製造部門への技術移転が
順調に行われ、バリデーション・バッチの作業が完
了 す る か どう か に 左 右 さ れ ま す。さ ら に 、
Symbicort維持・リリーバー療法(SMART)におけ
る成人での使用について、欧州相互認証手続きに
より承認を得ました。
開発パイプラインの強化
当社の製品別実績については本書の他のセクショ
ンに詳しく記載しています。
社内の創薬研究開発の強化
市場動向
医療に対する需要が増えるにつれて、医療費を負
担する政府等の組織・団体からの医療費予算に対
する圧力が高まっています。当社はこうした動向に
伴う薬価引き下げに対応せざるを得ず、その一方
で、優れた医薬品を提供するために継続的に投資
していかなければなりません。2006年は欧州では
薬価への圧力が特に厳しく、欧州諸国政府は、ドイ
ツの大規模な基準薬価制度のような費用抑制策を
継続的に導入しています。現在も世界最大の医薬
品市場である米国では、中間選挙における民主党
の躍進は、同国の薬価を取り巻く環境に今後変更
が生じる前兆となるかもしれません。
こうした課題に対処し、既存市場においてリーディ
ング・ポジションの構築に注力するとともに、中国
のような急速に成長している市場でも当社のポジ
ション強化を目指していきます。アストラゼネカは
本年、今後3年間に中国での研究開発のために1億
ドルの設備投資を行うと発表しました。このような
投資は重要な市場において地歩を確立する当社の
取り組みを反映したものです。同活動の一環とし
て、本年当社シニア・エグゼクティブ・チーム会議を
初めて中国で開催しました。
開発パイプラインを強化する当社の戦略には主軸
となる3つの項目があります。まず、自社内の創薬
研究開発活動の生産性を向上させること。第2に今
後もアウトソーシングによる有望なプロジェクトを
評価・取得するペースを加速すること。これは、開
発パイプラインの穴を埋める短期的な応急措置で
はなく、重要な発想の転換といえるものです。当社
は、社外の広大な科学研究基盤の利用を強化する
長期的な取り組みに着手しています。第3の項目
は、バイオ医薬品分野においてアストラゼネカの
確固とした国際的な存在感を確立することです。
2006年は引き続き社内の研究開発プロセスの効
率性と意思決定の有効性の向上を図ることによ
り、見込みのない候補化合物を早い段階で除外
し、重要な医療の進歩に役立つ可能性が最も高い
化合物の迅速かつ活発な開発に集中できるように
しました。さらに、疾患別目標分野の見直しを行
い、重点業務の内容を再調整し、当社のスキルが
最も本領を発揮できると考える領域に研究資源を
優先順位に沿って配分するよう徹底しました。
生産性の向上に努めている当社の取り組みの結果
は、早期開発段階のポートフォリオの持続的な成長
に表れています。2006年には開発に向けて21の候
補化合物を選定しました(2005年は25、2004年は
18 でした )。また、が ん治 療 薬 のZ a c t i m a 、
Recentin(開発コード:AZD2171)、循環器領域の
AGI-1067、AZD6140など多数の化合物が後期開発
段階に入っています。
シニア・エグゼクティブ・チーム(SET)の議長
はDavid Brennanが務めています。SETの
他のメンバーはここに掲載の通りです。
DAVID SMITH
オペレーション担当
エグゼクティブ・バイスプレジデント
JAN LUNDBERG
ディスカバリー・リサーチ担当
エグゼクティブ・バイスプレジデント
外部の新薬開発力の利用
開発パイプラインのさらなる強化に向けてアウトソ
ーシング 活 動 を 継 続 する取り組 み は 、新 部 門
Strategic Planning and Business Development
(SPBD)の設置に反映されています。同部門は、利用
可能な最適な機会を見つけだし、高品質の取引遂
行・提携管理能力を発揮することに専念していま
す。2007年1月には、Bristol-Myers
Squibb
Company (BMS)との共同研究開発について発表
し、後期段階開発パイプラインの強化において大
きな一歩を踏み出しました。これは、BMS社が創製
し、2型糖尿病治療薬として試験中である2種類の
後期開発段階の化合物の開発・商品化に関するも
のです―糖尿病は医療上のニーズに十分応えられ
ていない重要な治療領域です。このBMS社との提
携も、画期的な乳がん治療薬の共同開発と共同で
の商品化に関するSchering社との提携や、混合型
脂質異常症向け併用薬の共同開発と販売に関する
Abbott社との提携など、その他の最近の成果とと
もに、当社が提携先の皆様から望まれる好ましい
パートナーとなるためにすでに前進していることを
示しています。
バイオ医薬品分野における地歩の確立
バイオ医薬品―生物分子に由来する医薬品は、近
年、医薬品市場で最も急速に成長してきたセグメン
トです。アストラゼネカの科学基盤は、新しいバイ
オ医薬品に関する一定の創薬研究開発能力をすで
に保有していますが、当社の伝統的な強みは小分
子研究を中心としており、当社のすべての治療領
域において統合化された方法で小分子製剤と生物
製剤の新たな疾患別目標に取り組む能力を強化す
る必要があります。Cambridge
Antibody
Technology Group plc(CAT)の買収は、この目標
の達成に向けた大きな一歩となりました。CAT社の
バイオ医薬品に関するスキルにより、小分子研究
分野の当社独自の専門知識を補強し、これを土台
として双方の研究分野から今後の新製品パイプラ
インを構築します。将来2010年以降は、研究開発
が商品化につながる可能性の高い当社の有望な候
補化合物4つのうち1つは、生物製剤となる見込み
です。
BRUNO ANGELICI
欧州、日本、アジア太平洋、その他の地域
担当
エグゼクティブ・バイスプレジデント
こうした取り組みは当社の長期的な持続可能性の
強化につながるだけでなく、本年、当社の開発パ
イプラインにおいて生じた一部の支障による影響
を持ちこたえるうえでも一助となるでしょう。
2006年2月に、当社は患者さんの安全上の理由か
ら抗凝固剤のExantaを市場から回収し、その開発
を中止しました。また、後 期開発段階にあった
Galida(糖尿病治療薬候補)とNXY-059(脳卒中
治療薬候補)についても、患者さんの十分なベネ
フィットが実証されなかったため、開発を中止しま
した。残念ではありましたが、上記の決定は、新
薬を市場に送り出すことに伴う課題を示しており、
製品ポートフォリオを最も可能性の高い最高品質
の候補だけに保つための当社の真剣な取り組みを
反映しています。
このような活動全体において、企業責任(CR)に
対する当社の基本的なコミットメントを維持する
ことは、常に変わらぬ最優先事項です。この分野
における当社のCRコミットメント、ポリシーおよび
実 績 の 詳 細 につ いては 、別 冊 の C o r p o r a t e
Responsibi-lity Summary Report 2006、または当
社のウェブサイトをご覧ください。
アストラゼネカの社員
最高経営責任者(CEO)を拝命した最初の1年の間
に、私は様々な地域のアストラゼネカ各社を視察
し、世界各地に勤務する社員のスキルと独創性と
プロフェッショナリズムに一貫して強い印象を受け
ました。社員は当社の貴重な資産であり、事業目
標の達成に向けた社員の継続的なコミットメント
がなければ、アストラゼネカが成功を収めること
はないでしょう。私はこの機会をお借りして、当社
の長期的な成功の促進に向けた社員の懸命な取
り組みと貢献に対し全社員に感謝いたします。
TONY BLOXHAM
人事担当
エグゼクティブ・バイスプレジデント
今後の見通し
製薬業界を取り巻くビジネス環境は、厳しさを増
すばかりです。このような環境の中で引き続き成功
を収めるには、当社の課題を把握し、それに適切に
対処するとともに、医療に対するニーズの高まりと
科学技術の進歩がもたらす様々なビジネスチャン
スを積極的に活用しなければならないことは明ら
かです。
開発パイプラインの強化が今後も当社の最優先事
項となりますが、同時に、これからも当社事業のあ
らゆる要素において挑戦し続けることにより生産
性の向上を図り、戦略目標の達成を支える投資の
増加に備えてまいります。この一環として2007年
2月に、当社の供給組織の効率性と有効性の向上
を図るさらなる計画を発表しました。これには人
員削減が含まれる予定です。今回のような決定は
決して簡単に下されたものではなく、この決定が対
象となる社員と当社が事業を展開する地域社会に
及ぼす影響を私は十分に承知しています。人員削
減については、労使協議会、労働組合その他の従
業員の代表と十分な協議プロセスの議題として取
り上げ、各地域の労働法に従って協議を重ね、公正
で透明性の高いプロセスとなるように徹 底しま
す。
強力なリーダーシップと明確な経営指揮のもと、
常に緊迫感を持って戦略の実現に取り組む当社
には、長期的な成功に向けた健全な基盤が確立
されていると確信しております。特に、今後も世界
各国の医療のために有益な貢献を尽くしながら、
アストラゼネカの持続的な収益性の高い成長を実
現し、その成長を確実に管理することを目指しま
す。
David R Brennan
最高経営責任者
AstraZeneca Annual Review 2006
当社は全世界の人々の健康増進と生活の質の向上に
役立つ
医薬品の臨床上の安全性に関する
専門スタッフで構成された
500
名
つの重要な治療領域
ー循環器、がん、消化器、感染症、ニューロサイエンス、
呼吸器・炎症 ーにおいて、患者さんのニーズにお応えで
きる幅広い強力な製品群を有しています。
01
を超える社内チームが、医薬品のライ
フサイクル全体を通して医薬品の安全
性に対する当社の責務を確実に遂行す
るべく、安全性に関する業務に専念し
ています。
アストラゼネカ全社内で、共通の目標―患者さんの健康に最大の効
果をもたらす可能性のある医薬品を提供することにより、病気との闘
いに最大限の貢献すること―が共有されています。
Patients
患者さんと医療従事者の方々のニ
ーズに応えることこそ、私たちが成
し遂げるべき責務の核心です。
私たちは当社のスキルと経験が最
も本領を発揮できると考える6つ
の治療領域に経営資源を集中的に
投入しています。
これらの治療領域は、世界で最も
重篤な疾患など、世界各国で医療
上のニーズの高い領域です。
患者さんや担当医師の方々
と継続的に話し合い、絶え
ず変化するニーズの把握に
努めています。
1940
年代
Paludrine
抗マラリア薬
Xylocaine
局所麻酔剤
当社の新薬開発の実績は
70年の期間に及び、世界ト
ップクラスの医薬品が数多
くあります。
1950
年代
Hibitane
消毒剤。院内感染の抑制
Fluothane
吸入麻酔剤
1960
年代
>当社のすべての医薬品の潜在能力を最大限に引
き出す。
1970
年代
Zestril
心臓病
Losec
胃酸関連疾患
Diprivan
静脈全身麻酔剤
Zoladex
前立腺がん
Rhinocort
アレルギー性鼻炎
EMLA
局所麻酔剤
Pulmicort
喘息
>重要な治療領域で革新的で効果的な医薬品を提
供する。
>患者さんが何を必要とし、何を重視しているか把
握する。
Citanest
局所麻酔剤
1980
年代
重点課題
Tenormin
βブロッカー
Bricanyl
喘息
Nolvadex
乳がん
Seloken/Toprol-XL
βブロッカー
>患者さんの安全性を常に最優先事項とするよう
徹底する。
>当社の医薬品のベネフィットとリスクに関する情
報を的確に伝える。
1990
年代
Casodex
前立腺がん
Arimidex
乳がん
Entocort
炎症性腸疾患
Merrem
広域抗生物質
Naropin
外科麻酔剤
Atacand
高血圧、心不全
Zomig
即効性の片頭痛治療薬
Seroquel
統合失調症
新薬の上市後も、患者さんに最も効
果のある用途を引き続き調査研究し
ています。
2000
年代
Nexium
胃酸関連疾患
Faslodex
進行性乳がん
Symbicort
喘息、慢性閉塞性肺疾
患
Iressa
肺がん
Crestor
高コレステロール血症治
療薬
AstraZeneca Annual Review 2006
Patients
困難に直面する患者さんの支援
当社は重要な治療領域において患者さんのニーズ
にお応えできる幅広い強力な製品群を有してお
り、多数の製品が世界でトップセールスを記録して
います。革新的で効果的な薬剤を生み出し、患者
さんに付加価値をもたらすことを目的とした製品
ばかりであり、副作用が減少し、治療が受けやすく
なるなどのベネフィットをもたらしています。また、
新薬の上市後も、患者さんに最も効果のある用途
を引き続き調査研究しています。
Symbicortの例を見てみましょう。当初、喘息治療
薬として導入された本剤は、現在は慢性閉塞性肺
疾患―致命的な主要疾患の1つ―の治療薬として
も用いられていますが、当社はいまも喘息治療薬
としてSymbicortの開発を継続しており、2006年に
は新たなSymbicort維持・リリーバー療法 (
SMART)について欧州諸国で承認を得ました。喘
息の患者さんは、この療法に
より変動的な症状の管理をコントロールしやすくな
るため、SMARTは治療法に変革をもたらすもので
あるといえます。即効性の長時間作用性気管支拡
張剤とコルチコステロイドが単一の吸入器に配合
されており、高い抗炎症作用があります。患者さん
は通常の療法に基づいてSymbicortを維持療法目
的に吸入して喘息症状をコントロールし、症状が
悪化しはじめたときは追加吸入します。これにより
症状が急速に緩和されるだけでなく、喘息症状を
コントロールしやすくなります。
(通常の2つの吸入
器ではなく)単一の吸入器を使用しますので、患者
さんにとって用法が簡単になり、しかもたとえ症状
の緩和に用いる場合でも吸入の都度、基本的な炎
症が抑えられるため、発作のリスクが軽減されま
す。
さらにSymbicortについては本年、12才以上の喘
息患者さんの維持療法として、米国で加圧式定量
噴霧吸入器(pMDI)製剤の承認を得ました。上市
は2007年中の予定です。
健康に関する課題
循環器
ニューロサイエンス
消化器
Cardiovascular disease claims
毎年世界中で1,700万人が循環
器疾患で死亡しています―循環
器疾患は多くの成人にとって最
大のリスクとなっており、成 人
3人に1人は、高血圧、高コレステ
ロール、糖尿病などの何らかの
心 臓 血管疾 患をかかえていま
す。
ある時点で統合失調症の症状が
現れる患者さんは人口の約1%
で、少なくとも1度は大うつ病に
かかる患者さんは人口の15%に
のぼります。アルツハイマー病は
認知症の最大の原因であり、世
界で2,400万人を超える患者さん
がいます。疼痛管理は、人々が治
療を求める最大の理由です。
欧米の成人の約10~20%が胃食
道逆流症(GERD)を患っている
と推定されます。アジアでは欧
米ほどではありませんが、胃食
道逆流症は増加しています。
がん
呼吸器・炎症
感染症
がんは、先進諸国における主な
死因の2番目であり、発展途上諸
国でも同様の傾向を裏づけるデ
ータがあります。欧米では乳が
ん、前立腺がん、結腸・直腸がん
が多く、アジアでは胃がん、肝が
んのほうが優勢であり、全世界
のがんによる死因の中では肺が
んが最も多くなっています。a
世界保健機関の推定では世界で
1億人が喘息に苦しんでいます。
慢性閉塞性肺疾患は世界の死
因の第4位となっています。慢性
関節リウマチと変形性関節症は
重度の障害を伴う関節疾患で、
いずれも医療ニーズの高い領域
です。
感染症により毎年1,100万人を超
える人々が死亡しています。重篤
な感染症のリスクが高まり、薬
剤耐性菌が増加するなか、抗生
物質に対するニーズは依然とし
て高いレベルにあります。結核
は全世界における感染症による
主な死因の1つで、毎日5,000人を
超える人々が結核で亡くなって
います。
統合失調症治療薬のSeroquelを1997年に上市した
際は、効果的な疾患管理面で本剤がもたらすベネ
フィットとして、副作用プロファイルを改善する側
面のあることが、医療従事者と患者さんの双方に
よってすぐに認められました。その後、統合失調症
だけでなく双極性躁病治療薬としてもSeroquelを
開発・上市し、世界各国でさらに多くの患者さんが
通常の生活を送れるようになっています。さらに米
国では2006年、双極性うつ病での使用についても
承認を得ました。Seroquelは、双極性障害の躁病
とうつ病の両方で承認を得た最初で唯一の薬剤で
す。
がん治療薬のArimidexは、1990年代の導入以来、
閉経後乳がんの新たな標準治療を確立するうえで
先駆的な役割を果たしてきました。再発リスクが最
も高い術後5年間での優れた効果により、現在、米
国、日本およびフランスでは従来のゴールドスタン
ダードであるタモキシフェンを超える存在となって
います。Arimidexは、このような高い効果と既知の
予測・管理可能な副作用プロファイルにより、世界
トップクラスの乳がん内分泌療法薬の1つとして認
められています。2006年には新しい用途が承認さ
れたことから、これまでタモキシフェンの処方を受
けていた欧州の患者さんも現在はArimidexに切り
替えられるようになりました。
12600
万枚
2000年の上市以
来のNE XIUMの
処方箋発行枚数
胃食道逆流症(GERD)の主な症状は、
「胸やけ」や
「胃酸の逆流」とよく言われますが、患者さんの生
活の質に多大な影響を及ぼし、そのまま放置する
と胃潰瘍や食道がんなどのもっと深刻な問題を引
き起こしかねません。当社の製品群には、胃酸を作
る細胞に作用し、胃酸の産生・放出量を減少させる
2種類のプロトンポンプ阻害剤が含まれます。当社
は世界初のプロトンポンプ阻害剤であるLosec/
Prilosecを1998年に導入し、その後、改善した治療
薬、Nexiumを開発しました。2000年に上市した
Nexiumは、より多くの患者さんの治療・症状緩和
に役立っており、しかも主要な競合製品(当社の当
初の治療薬を含みます)より短期間で効果が表れ
ます。2 0 0 6 年にはN e x i u m の用途を拡 大し 、
GERDを発症した12~17才の小児における使用の
追加について米国で承認を受けたほか、欧州諸
国、米国、オーストラリアでは、希少な胃酸関連疾
患であるゾリンジャー・エリソン症候群の患者さん
の治療における新しい用途について承認を得まし
た。
医療の質の向上とは、病気の症状はもとよりその
原因に対処することです。当社の製品群に含まれ
るCrestorは、心疾患の一因となるコレステロール
値を改善するスタチン製剤です。市場には他のスタ
チン製剤もありますが、CrestorはLDL-C、
(「悪玉」
コレステロール)を低下させ、HDL-C(「善玉」コレ
ステロール)を増加させる強力な効果により、リス
クの高い患者さんにとって特に有益な薬剤として
認知度が高まっています。
個別ニーズへの対応能力の向上
8200
万枚
2001年の上市以来の
SYMBICORTの処方
箋発行枚数
当社では、治療法の選択肢が限られ、医療上のニ
ーズに応えられていない治療領域にも力を注いで
います。Iressaは、2002年の上市時点では、分子標
的薬という新しい分類で初めて承認された進行非
小細胞肺がん(NSCLC)治療薬です。Iressaは特定
の患者さんですぐに効果が表れる傾向があり、劇
的な結果が得られることもあります。
化学療法で効果が見られない進行NSCLCの患者さ
んを対象とした2004年の調査結果から、生存期間
に一定の改善がみられました。この調査結果は、統
計的に有意なものではありませんでしたが、腫瘍
縮小など、Iressaに関する多数の臨床上のベネフィ
ットが確認され、アジア人と喫煙経験のない患者
さんにおける生存期間の伸長が示唆されました。
1900
万人
19 9 7 年 の上市 以
降、SEROQUELの
投与を受けた患者
さん
900
万人
2003年の上市以
降、CRESTORの
投与を受けた患
者さん
その後、アストラゼネカでは欧州におけるIressaの
申請を自主的に取り下げ、米国とカナダの規制当
局により、Iressaの使用はすでに本剤の効果が表れ
ている患者さんのみに限定されました。アジア太
平洋地域では、肺がんに人種上の差異があるた
め、Iressaは既治療の進行NSCLCにおける治療選
択肢の一つとなっています。どのような患者さん
に、どのような治療条件でIressaが最も効果的であ
るか確認する作業は、現在も続けられています。日
本人の患者さんを対象とした2006年の調査結果
は、全生存率についてIressaの統計的な非劣性を
実証するには至りませんでした。しかし当社は、こ
うし た デ ー タ に よって 治 療 歴 の あ る 日 本 人
NSCLC患者さんにおけるIressaのリスク/ベネフィッ
トは変わらないと考えます。
100
万人
1995年の上市以
降、ARIMIDEXの
投与を受けた患
者さん
AstraZeneca Annual Review 2006
Patients
2006年には、ステークホルダーの主だった方々を
対象として、ステークホルダーとのかかわりを明確
にする総合的な調査に着手し、当社と企業活動に
対するステークホルダーの皆様の認識について理
解を深めました。
こうした取り組みから得られるフィードバックは、ス
テークホルダーとのかかわりや全社的な評判の管
理に関する一貫性の高いアプローチの策定につい
て伝える際の一助となっており、例えば、常に実際
の患者さんのニーズに根づいた活動を展開するの
に役立つ洞察力を蓄え、常にそれを把握する能力
のさらなる向上を図ることなども含まれます。
意見の聴取と知識の蓄積
当社の長期的な成功には、患者さんと医療従事者
のニーズを把握し、規制当局と医療費の負担者の
考え方を理解することがきわめて重要になります。
当社では活動全体においてこうした方々と密接に
協力しながら、患者さんとその他のステークホルダ
ーの方々に利益をもたらす適切な新薬を送り出し
続けるために必要な洞察力を蓄えています。
これとは別に、患者さんや担当医師の方々と継続
的に話し合い、医療現場におけるニーズの把握に
努めています。例えば、個別の健康問題に関する特
定の患者さん団体と協力し、支援するほか、医療
従事者や患者さんが直面するさらに広範な疾患上
の課題について医療従事者と協議しています。
さらに当社では、患者さんや医師の方々が健康問
題に対処できるよう効果的な医薬品の提供のほか
にどのようなお手伝いができるか、医療現場の皆
様にご意見を伺っています。
10
例えば、高コレステロールで治療中の患者さんは治
療目標のハードルが高くて達成できないと思われ
ることがあります。そのため、治療効果がすぐに表
れないと目標を達成する前にやめてしまう場合が
あります。当社では提供情報の内容を見直し、医
療上の必要性だけでなく患者さんの気持ちにも配
慮して、Crestorの即効性に関する情報を盛り込む
ことにより、患者さんが治療を続けられ、コレステ
ロールの目標値を達成する一助になればと考えて
います。
患者さんの治療継続を支援する別のアプローチと
して、最近、地域を限定して、携帯電話技術とテキ
ストメッセージを利用して薬の服用時間を患者さ
んにお知らせする試行試験を実施し評価検討しま
した。統合失調症では服薬遵守状況が転帰に重大
な影響を及ぼすため、この試みではSeroquelを対
象としました。患者さんが決められた通りに薬を服
用するのにメッセージが役立ったようであり、医療
従事者からもこのアイデアについて好意的な反応
が得られました。このシステムをさらに評価検討す
るため、追加的な試行試験が実施または計画され
ています。
患者さんの安全性に関する継続
的な取り組み
当社の医薬品を利用される患者さんの安全性は、
最重要事項です。理想としては、治療対象の疾患
のみをターゲットとし、他の作用をまったく及ぼさ
ない医薬品が望ましいのですが、現実には研究者
の懸命な取り組みにもかかわらず、そのような医薬
品はまだ存在していません。どのような医薬品でも
副作用が生じることがあります。したがって、医療
従事者は患者さんと話し合いながら、医薬品のベ
ネフィットと副作用の可能性を十分に比較検討し、
どの程度のリスクであれば受け入れられるかを判
断しなければなりません。
当社では、各医薬品のライフサイクル全体を通して
リスクを最小限に抑え、ベネフィットを最大限に引
き出すことを目指しています。創薬研究では、新薬
となる可能性のある化合物を見つけだすために何
千もの化合物について調査研究を行っても、薬剤
の安全性と作用機序を中心に据えた選別プロセス
の厳しい基準のために、新薬となるものはごくわず
かにすぎません。最も有望な化合物を開発する間
も、安全性が引き続き優先事項となります。ヒトを
対象として新薬となる可能性のある薬剤の試験を
実施する前に、動物試験から得た安全性データを
規制当局に提出する必要があり、安全性データは、
ヒトを対象とした試験の全段階を通して継続的に
収集され評価されます。
当社の臨床試験に関する情報は専用ウェブサイト (www.astrazenecaclinicaltrials.com)でご覧
いただけます。
新薬の販売承認の取得は、規制当局が申請書類を
厳格に審査したうえで、許容可能なベネフィット・
リスク・プロファイルであるという当社の判断を認
めるかどうかにかかっています。
さらに、医薬品の日々の作用状況を把握すること
も、医薬品を利用される患者さんの安全性を保護
するうえできわめて重要です。そのため、上市後も
引き続き当社の医薬品をすべてモニターし、開発
段階で確認されなかった副作用が生じたときはす
ぐに察知できるようにしています。
2006年の抗凝固剤Exantaの回収および開発中止
の決定は、新たな臨床試験のデータが重度の肝障
害の潜在的なリスクを示唆したことが誘因となり
ました。このデータは、現在、本剤の販売が承認さ
れている期間を上回る35日を超える期間での静脈
血栓塞栓症の長期予防として、整形外科手術後に
Exantaの使用を調査する臨床試験から得られたも
のでした。当社では、患者さんの安全性のために
Exantaを市場から回収するとともに、その開発を
中止しました。
規制当局に加えて、薬剤を処方する医師などの医
療従事者の方々と広く連絡をとり、新たな患者さん
へのExantaの投与を開始しないようお知らせしま
した。また、回収に関する報道の際は、錠剤の服用
をやめる前にまず医師に相談すべきことを伝える
患者さんに対するメッセージが、当社の公表情報
に必ず含まれるようにしました。
医薬品の安全性に関する専用リソース
継続的なコミュニケーション
医薬品の臨床上の安全性については、アストラゼネカ
全社で500名を超える専門スタッフからなる経験豊
富な社内チームが、上記のプロセス全体を通して
製品の安全性に対する当社の責務を確実に遂行す
るべく、安全性に関する業務に専念しています。ま
た、
(開発中の製品、上市製品の別を問わず)製品
ごとに医薬品の安全性についてグローバルに検討
する担当医師を定め、医薬品の安全性を専門とす
る研究チームのサポートのもと、担当製品の安全性
を継続的に監視いただいています。アストラゼネカ
グループの各国企業の医薬品安全管理責任者は、
各自の国内における製品の安全性について責任を
負っています。
新薬の承認プロセスとそれ以降の業務の一環とし
て、当社は規制当局と協力し、使用上の注意、服用
指示、警告、禁忌、予測される副作用など、医療従
事者が処方を行う際の判断に必要となるベネフィ
ット・リスク情報をまとめた処方情報を作成してい
ます。また、適宜、患者さんに対しても当社の医薬
品や使用方法に関する情報を提供しています。
当社が依頼した臨床試験の結果については、好結
果か否かにかかわらず公表しており、自由にご利用
いただけます。また、実施中の試験に関する最新
情報も公表しています。こうした情報は当社の専用
ウェブサイト(astrazenecaclinicaltrials.com)でご
覧いただけます。
11
AstraZeneca Annual Review 2006
開発パイプラインのプロジェクト件数
プロジェクト
49
プロジェクト
23
プロジェクト
20
プロジェクト
28
前臨床
第I相
第II相
第III相
私たちが社会にもたらす価値は、幅広く医療に貢献する製品を創製・開発し、市場に
送り出す当社の能力が中心となっており、事業の長期的な成功は、ますます厳しさを
増すビジネス環境の中で、その貢献の質を維持できるかどうかにかかっています。
医療に対する需要は高まるばかり
です。高齢化が進み、人口が増加す
るなか、十分な処置がとられていな
い疾患は依然として数多くありま
す。このようなチャンスに恵まれて
いる一方で、厳しさを増す薬価へ
の圧力、新薬開発に対する規制強
化、競争の激化など、様々な困難
な課題にも直面しています。
私たちはこうした課題に対処し、こ
れからも真に価値ある医薬品の進
歩を図る機会を最大限に活用しな
ければなりません。
12
1,600
100
販売地域
万ドル
研究開発費
1営業日当たり
カ国超
重点課題
>新薬の創薬研究開発活動の質とスピードを向
上させる。
>社外の新薬開発力を利用して社内の取り組み
を強化する。
>卓越した高水準のマーケティング活動を促進
し、既存製品から最大限の価値を引き出す。
当社の成長の推進力となってい
るのは5つの主力成長製品です。
これらの製品は長期的な成功の
基盤となっています。同時に当社
では未来に向けた地固めを行っ
ています。
>急速に発展する市場に戦略的な投資を行うこ
とにより、当社の強みを増強する。
売上高(百万ドル)
,
06
0
,6
,
0
,6
06
,6
0
0
,0
06
,0
0
,6
0
0
06
0
0
,0
06
0
0
21
候補化合物
2006年に発見された有望な新薬候補
,
,
,006
13
AstraZeneca Annual Review 2006
Products
研究開発部門への投資
(百万ドル)
開発プロジェクト1
前臨床段階
伸び率
06
第I相臨床段階
第II相臨床段階
第II相臨床段階
計
06
3,902 +16%
49
23
20
28
120
05
05
3,379
45
-4%
17
29
15
106
04
04
3,467
+6%
新薬開発への道
「最優先事項は、いまだ満たされていない医療ニーズに対
応できる医薬品を送り出すことです。このため、品質と安
全性に特に重点を置いた、より質の高い医薬品を創製・
開発できる組織を築かなければなりません。競争世界で
は、スピードもきわめて重要です。
新薬を市場へ送り出すプロセスは長く、複雑で、巨
額の費用を要し、リスクを伴います。優秀な研究者
たちが最先端の装置・設備、技術を駆使し、8~
12年もの歳月をかけて創薬研究開発に取り組まな
ければならないこともあります。新薬となる可能性
が最も高い化合物を見つけだすために何千もの化
合物について調査研究を行っても、当社や規制当
局が厳しい承認基準を課しているため、発売に至
るのはごくわずかです。製品の販売に至るまでに、
通常8億ドルを超える費用が新薬開発のために投
じられます。
長期的には、現在の当社の研究能力に加えて、革新的なバ
イオマーカーと画像技術を利用し、さらに生物製剤分野
へ戦略的進出を図ることにより当社の変革を目指し、急
速に成長しているバイオ医薬品部門において確固とした
地歩を確立します」
当社は世界各地に研究開発組織を擁し、世界8カ
国にある16の主要研究拠点で約1万2,000名に及ぶ
従業員が価値ある新薬の創薬研究開発に打ち込
んでいます。創薬研究組織では、最先端の科学技
術を駆使し、新薬となる可能性の高い新しい化合
物の発見に努めており、開発組織では、より良い薬
剤をより短期間で開発することに力を注いでいま
す。研究者全員が一丸となり国境や組織の枠を越
えて経験を共有し、ベストプラクティスの実践を促
進するなど、大規模な組織力を持つグローバル企
業という環境から得られる科学基盤を最大限に生
かしています。
John Patterson FRCP
継続的改善に向けた取り組み
短期的には、製品ライフサイクルを管理し、第III相臨床開
発プログラムを実行することで当社の事業上のニーズに
対応します。
中期的には、引き続き社外の広大な科学研究基盤を利用
する必要があることを念頭におきながら、できる限り迅速
に薬剤コンセプトに関する確証と成分に関する確証を得
るため、第I相・第II相臨床開発および前臨床開発プロジェ
クトを推し進めていくことを目指します。
開発担当エグゼクティブ・ディレクタ
当社は、新薬を市場へ送り出すスピードと質の面に
おいて業界トップクラスとなることを目指しており、
そのため業務プロセスの効率性の向上に継続的に
取り組むことにより、見込みのない化合物を早い
段階で除外し、重要な医療の進歩に役立つ可能性
が最も高い化合物の迅速かつ活発な開発に集中
できるようにしています。
31
17
17
26
91
さらに2006年には疾患別目標分野の見直しを行
い、重点業務の内容を再調整し、医療への貢献と
長期的な競争力の強化に向けて、当社の研究資源
の最適な配分を徹底しました。重点的に取り組ん
でいる治療領域は以前と同様ですが、これらの治
療領域の中で、当社のスキルを最も有効活用でき
ると思われる疾患を優先し、成功の見込みが低い
と思われる領域からは撤退しました。このほか今
期はNew Opportunities Teamを設置しました。こ
れは、当社の現在の治療領域の枠にとらわれず
に、将来の目標とするにふさわしい新しいチャンス
について評価検討する専門チームです。
常に生産性の向上に努めている当社の取り組みの
結果は、早期開発段階のポートフォリオの成長に表
れています。2006年には21の新薬候補化合物を選
定しました(2005年は25、2004年は18でした)。ま
た、がん治療薬のZactima、Recentin(開発コード:
AZD2171)、循環器領域のAGI-1067、AZD6140など
多数の化合物が後期開発段階に入っています。開
発パイプラインの全化合物の詳細については18~
19頁の表をご覧ください。
新薬開発力の拡充
科学の進歩が著しい今日の世界では、自社内の創
薬研究開発活動だけに全面的に頼っている企業は
存在せず、当社でも独自のスキルや資源を補完す
る能力を持つ外部パートナーとの買収や提携を通
じて、社内の能力の強化に努めており、適宜、疾患
研究の基礎を広げ1,850件を超える共同研究開発
や業務提携を行っています。
2006年は研究開発活動にさらに拍車をかけまし
た。当社は、新生する科学分野の最新情報を継続
的にモニターし、患者さんにより良い結果をもたら
す次世代の医薬品開発に役立つ機会を常に模索し
ています。
そうした機会の1つが、バイオ医薬品(生物分子に
由来する医薬品)です。生物分子とは、一般に、疾
患に反応して生体組織内で自然に生成されるもの
です。例としては、抗体が挙げられます。新技術に
より、それ自体には効果がない場合でも、自然反応
を模倣し改善できるようになってきています。
新規化合物および適応症・剤型の追加を含みます。
1
14
CAMBRIDGE ANTIBODY TECHNOLOGY社の生物学的治療薬
に関するスキルにより小分子研
究分野の当社独自の専門知識
と強みを補強します。
候補化合物の発見
発見された有望な新薬候補化合物
06
21
05
04
25
18
急速に成長している本分野で確固とした地歩を築
き、実り多い提携関係を確立する戦略目標に沿っ
て、当社は2006年にCambridge Antibody Technology Group plc(CAT)―英国に本拠を置く世界トッ
プクラスのバイオテクノロジー企業を買収しまし
た。CAT社のスキルにより、小分子研究分野の当社
独自の専門知識と強みを補強し、これを土台とし
て双方の研究分野から今後の新製品パイプライン
を構築します。将来2010年以降は、研究開発が商
品化につながる可能性の高い当社の有望な候補化
合物4つのうち1つは、生物製剤となる見込みです。
このほか本年の重要な取引としては、画期的な乳
がん治療薬の共同開発と共同での商品化に関する
Schering社との提携や、コレステロール併用薬の
共同開発と販売に関するAbbott社との提携が挙
げられます。さらに2007年1月には、Bristol-Myers
Squibb Companyとの世界的な提携について発表
しました。これは、2型糖尿病治療薬として試験中
の2種類の治験薬の開発・商品化に関するもので
す。
2006年に設置した新組織Strategic Planning and
Business Development(SPBD)は、当社のアウト
ソーシング活動の重点課題の設定および調整・実
施、特に外部の研究開発技術や製品、業務提携の
利用をさらに改善することを目的としています。
市場ニーズに焦点を合わせた活動
既存製品の成長の促進
当社では社内の部門の枠を超えて協力しあいなが
ら、新たに生じる研究機会の優先順位を効果的に
設定し、市場ニーズに合った研究機会を開拓すると
ともに、既存製品の潜在的能力を最大限に活用す
ることにより、当社の製品ポートフォリオの品質を
維持するように努めています。
当社がビジネスを展開する競争の熾烈な環境で
は、既存製品の高い実績を市場でさらに促進する
ことが、成功を収めるうえできわめて重要になりま
す。短・中期的には、当社の成長の推進力となるの
は、過去12年間に上市した5つの主力製品です。こ
れらの製品は長期的な成功の基盤となっていま
す。同時に当社では、社内の生産性を向上するだけ
でなく社外の新薬開発力を利用することにより、未
来に向けた地固めを行っています。
研究開発活動の指針とするため、特定の疾患との
闘いで最も効果をあげるには薬剤のプロファイル
に何が必要と考えられるか、当社では初期段階で
明確にします。こうした疾患別「目標製品プロファ
イル」
(TPP)は、患者さんや薬剤を処方する医師
など医薬品の受け手となる人々のほか、医療費を
負担する人々のニーズに関する当社の見識に基づ
いて定められます。
新薬となる可能性の高い化合物が見つかったとき
は、その候補化合物(CD)に関する個別のTPPを作
成します。このプロファイルは以降の開発段階を通
して用いられることになり、その後、当社や規制当
局が定めた基準に基づいて進捗を評価する際にも
活用されます。これにより、製品パイプラインの
CD群全体に対する追加投資の優先順位を定め、
革新的な新薬として成功する可能性が最も高い
CDに常に集中することができます。
2006年にはTPPの要件を満たさなかったために
2製品の開発を中止しました。新しい糖尿病治療薬
となる見込みのあった薬剤と脳卒中治療薬です。
残念ではありましたが、このような決定は、新薬を
市場に送り出すことに伴う課題を示しており、製品
ポートフォリオを最も可能性の高い最高品質の候
補だけに保つための当社の真剣な取り組みを反映
しています。
これらの5つの主力成長製品(Arimidex、Crestor、
Nexium、Seroquel、Symbicort)の2006年の売上
高は、合計133億ドルに達し、前年比23%増となり
ました。Zoladex、Seloken/Toprol-XL、Casodex、
Zomig、Merremなど好調な成熟製品を含む全製
品の売上高は、合計265億ドル(11%増)でした。売
り上げの最も多い各製品の個別の実績については
13頁をご覧ください。
地球規模で検討し、地域に密着した活動を展開
当社のグローバルな組織力には自負を持っていま
すが、各地の状況に応じたきめ細かい配慮こそが
重要であることを心得ています。
当社は100カ国を超える国々で事業を展開してお
り、全世界を網羅する広範な営業・マーケティング
ネットワークを確立し、地域市場で強固な関係を
築き、常に変化する顧客のニーズに迅速かつ効果
的に対応することに注力しています。ほとんどの場
合、当社の製品は主に医師をはじめとする医療従
事者を対象に、当社の現地法人が販売活動を行っ
ています。こうした販売活動は、まず、医薬情報担
当者が直接面談することから始まります―これは
現在も唯一最も効果的なマーケティング手法で
す。
15
AstraZeneca Annual Review 2006
製品
当社では本年、がん研究施設(設備投資6,000万ドル)と
生物学研究部門(設備投資1,600万ドル)を英国で新設
し、同国における当社の強力な研究拠点をさらに強化し
ました。また、今後3年間に中国での研究開発のために
1億ドルの設備投資を行うことも発表しました。これには
創薬研究開発専門センターの建設が含まれ、当初はがん
領域に重点的に取り組む予定です。
当社の営業スタッフは最高の部類に属すると考え
ていますが、適切な科学知識を確実に身につけ、
営業スタッフの効率性と卓越したマーケティング活
動を促進することを目的としたグローバルな研修
プログラムにより、引き続きベストプラクティスと
好成績のさらなる促進を図っています。
主要市場における成功をさらに促進することは最
優先事項の1つです。米国、日本、欧州などの既存
市場においてリーディング・ポジションを築くとと
もに、中国のような急速に成長している市場へ戦
略的な投資を行い、今後も当社のポジション強化
を目指していきます。
営業スタッフの活動を補完するため、当社では多様
なコミュニケーションツールを活用しており、例え
ばインターネットは、当社の医薬品とその治療対象
の疾患に関する情報を医療従事者などの方々にお
知らせするうえで、ますます重要な役割を果たすよ
うになっています。このほか、消費者向け直接テレ
ビ広告が容認されている米国では、こうした手法も
活用しています。
2006年には今後3年間に1億ドルを投入し、中国で
創薬研究開発センターを設立することを発表しま
した。同センターでは、中国の患者さん、バイオマ
ーカー、遺伝的性質に関する知識を蓄積すること
により、トランスレーショナル・サイエンス研究に取
り組む予定であり、当初の治療領域は、がん領域
が中心となります。さらに、地元の中国組織との共
同科学研究件数をさらに増やすほか、中国臨床薬
理部門を設置する計画により当社の研究能力を拡
充していきます。
いずれの地域の営業・マーケティング活動において
も、情報提供チャネルの違いを問わず、必ず、国内
外の行動規範や厳格なモニタリング・プロセスに従
い、最高の倫理基準を遵守して取り組んでいます。
取り組みの詳細については、別冊のCorporate
Responsibility Summary Report 2006、または当
社のウェブサイトをご覧ください。
顧客が当社の製品を必要とする時期・場所を問わ
ず、迅速、効率的かつ安全に顧客の手に製品が届
くよう確実にすることも、当社の優先事項の1つで
す。当社のサプライチェーンは柔軟性が高く、即応
できるように構築されており、世界19カ国、27の製
造拠点で各地域のニーズに応えることに専念して
います。
16
薬価
薬剤費は、通常、国民医療費全体のわずか10~
20%を占めるにすぎず、ほとんどの国では国内総
生産(GDP)の2%未満です。しかしながら、世界で
の需要が増えるにつれて、医療費を負担する側―
政府、医療保険会社、マネージドケア組織、雇用
者、患者さんなどでは医療費予算に対する圧力が
高まっています。当社では継続的な課題として、こ
うした動向に伴う薬価引き下げ圧力への対処に努
める一方、継続して新薬を市場に送り出していくた
めに必要な投資を続けています。
当社が医薬品の価格を設定するときは、その製品
が患者さん、医療費を負担する側、そして社会全体
にもたらす包括的な価値を考慮に入れます。また、
公開会社である当社には、常に株主の皆様に投資
に対する利益を還元する責任があるという事実も
考慮します。当社のグローバルな価格ポリシーで
は、患者さんの適切なアクセスの確保など、多様な
要因を比較検討し、当社製品の収益性を持続可能
な方法で最適化する枠組みを定めています。
知的財産
当社では創薬研究開発、製造、その他の事業活動
から生じたすべての発明や新薬について、適切な
知的財産の保護を申請するポリシーに従っていま
す。このポリシーの目的は、すべての重要な市場に
おいて有効かつ強制可能な特許権等の知的財産
権の効果的なポートフォリオを製品ごとに確立し、
商品化プロセスにおける不当な競争から当社製品
を保護することにあります。
新薬が上市された時点での特許保護期間は、通常
8~15年であり、重要な治療領域向け医薬品の供
給に要した当社の投資をその期間で回収すること
になります。当社の知的財産の保護期間が満了す
ると、他社は、当社医薬品の後発品を販売開始で
きるようになり、その際の価格は、当社のように巨
額の研究開発費を負担する必要がないため、より
安価となります。
90%
新薬の90%超は研究開発型医薬品企業によるものです。
豊富なスキル、経験、経営資源をあわせもち、万全の体制
で真の医薬品の進歩のために必要な活動に取り組んでい
るのは、研究開発型医薬品企業をおいてほかにありませ
ん。
経済上のベネフィット
アストラゼネカの製品群
当社の医薬品は治療上のベネフィットだけでなく、
経済上の利点をもたらすことから、医療費を負担
する側の方々と協議するときは、こうした利点に関
する説明を盛り込み、当社の医薬品の価値が完全
に理解されるようにします。このためには医薬品の
開発段階全体を通して、医薬品の安全性と有効性
を確認するための従来の研究に加えて、費用効果
や費用便益、成果(例えば、生存率の改善、生活の
質の向上)を実証するための研究に投資する必要
があります。
がん領域
Arimidex(アナストロゾール)トップクラスのアロマターゼ阻害剤。乳がん
Casodex(ビカルタミド)トップクラスの抗アンドロゲン剤。前立腺がん
Faslodex(フルベストラント)エストロゲン受容体拮抗剤。乳がん
Iressa(ゲフィチニブ)上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤。肺がん
Nolvadex(クエン酸タモキシフェン)現在も広く処方されている乳がん治療薬
Zoladex(酢酸ゴセレリン・インプラント)LHRHアゴニスト。前立腺がん、乳がん
Abraxane®(タンパク接着パクリタキセル小粒子懸濁注射液)アルブミン接着製剤。乳がん。本剤はAbraxis BioScience, Inc.が権利を保有しており、米国で同社と共同で販促活動を展開。
循環器領域
Atacand1(カンデサルタンシレキセチル)アンジオテンシンII拮抗剤。高血圧、心不全
Crestor2(ロスバスタチンカルシウム)スタチン。高コレステロール血症治療薬
Plendil(フェロジピン)カルシウム拮抗剤。高血圧、狭心症
Seloken/Toprol-XL(コハク酸メトプロロール)1日1回服用。高血圧、心不全、狭心症
Zestril3(リシノプリル二水和物)ACE(アンテジオテンシン転換酵素)阻害剤。高血圧など広範な循環器(CV)疾患
効果的な治療薬は、入院や手術など費用のかさむ
治療の必要性が削減されることにより、医療費節
減の一助となることがあります。例えば2002年に
実施された米国での調査によれば、より新しい薬
剤の追加費用として1ドル支出すると、医療費全体
で6.17ドルの節減となる場合があることが明らか
になっています(病院の費用4.44ドルの節減を含み
ます)*。
消化器領域
Entocort(ブデソニド)局所作用性コルチコステロイド剤。炎症性腸疾患。
Losec/Prilosec(オプメラゾール)世界初のプロトンポンプ阻害剤(PPI)。胃酸関連消化器疾患
Nexium(エゾメプラゾールマグネシウム)PPI。胃酸関連消化器疾患
また、生産性に関するベネフィットも生じます。疾
患の発症を軽減する新薬や、疾患管理を改善でき
る新薬を使用すれば、仕事や学校を休んだり、そ
の他の日常活動から離れたりする時間が削減され
ることになります―患者さんが生産的な日常生活
を送るのに役立ちます。
感染症領域
Merrem/Meronem4(メロペネム)静脈投与用カルバペネム系抗生物質。重篤な院内感染
ニューロサイエンス領域
Diprivan(プロポフォール)静脈麻酔剤。全身麻酔の導入・維持、集中治療中の鎮静
Naropin(ロピバカイン)世界でトップセールスの長時間作用性局所麻酔剤
Seroquel (フマル酸クエチアピン)非定型抗精神病剤。統合失調症、双極性躁病、
(米国では)双極性うつ病
Xylocaine(リドカイン)局所麻酔剤。上市から50年を経た現在も世界で最も幅広く使用されている
Zomig(ゾルミトリプタン)前兆を伴うあるいは伴わない片頭痛
当社の医薬品と同様に事業活動全体も、地域での
雇用や賃金の支払、納税、地域支援、地域や国内
から調達される材料・サービスの購入により、当社
が事業を展開している地域社会の経済発展に貢献
しています。当社では新興経済地域での存在感を
増す場合と同様に、設備投資、地域パートナーとの
提携、臨床試験プログラム、さらに地域社会から
の人材の雇用により貢献しようとしています。
呼吸器・炎症領域
Accolate(ザフィルルカスト)経口ロイコトリエン受容体拮抗剤。喘息
Oxis(フォルモテロール)即効性の長時間作用性βアゴニスト。喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)
Pulmicort(ブデソニド)吸入式コルチコステロイド剤。喘息
Pulmicort Respules(ブデソニド吸入懸濁剤)噴霧吸入式コルチコステロイド剤。生後12カ月の幼児向け
Rhinocort(ブデソニド)点鼻ステロイド剤。アレルギー性鼻炎、通年性鼻炎、鼻ポリープ
Symbicort(ブデソニド/フォルモテロール)喘息、COPD。優れた効果を発揮し、投与量を調整しやすい
武田薬品工業株式会社よりライセンス取得
シオノギ製薬株式会社よりライセンス取得
3
Merck & CO., Inc.よりライセンス取得
4
住友製薬株式会社よりライセンス取得
1
* Frank R. Lichtenberg:「新薬のベネフィットとコスト:最
新事情」全米経済研究所、マサチューセッツ州ケンブリ
ッジ、2002年6月。
2
17
AstraZeneca Annual Review 2006
製品
開発パイプライン
治療領域
研究領域
第III相臨床段階:適応症・剤型の追加
進行性乳がん(ファーストライン薬)
がん
アジュバント療法
糖尿病性網膜症
高血圧(32/12.5mg、32/25mg)
アテローム性動脈硬化症
循環器
鬱血性心不全(CHF)の転帰
末期腎疾患の転帰
ハイドロクロロサイアザイド(HCTZ)
(併用薬)
NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)に伴う胃腸副作用-症状の消散
NSAIDに伴う胃腸副作用-潰瘍の治癒
消化性潰瘍出血
消化器
胃食道逆流症(GERD)
消化性潰瘍(低用量アスピリン関連)
統合失調症
双極性維持
双極性うつ病
ニューロサイエンス 全般性不安障害
大うつ病性障害
双極性躁病
双極性うつ病
Symbicort維持・リリーバー療法(SMART)
(喘息)
呼吸器・炎症
喘息
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
第III相臨床段階:新規化合物
NSCLC(非小細胞肺がん)
がん
NSCLCおよびCRC(結腸直腸がん)
アテローム性動脈硬化症
循環器
動脈血栓症
糖尿病
第II相臨床段階:適応症・剤型の追加
がん
乳がん
消化器
食道外逆流疾患
第II相臨床段階:新規化合物
甲状腺髄様がん
前立腺がん
がん
固形がん
毛細胞白血病
脂質異常
脂質異常
循環器
血栓症
糖尿病
炎症性腸疾患
消化器
GERD
感染症
重度敗血症
変形性関節症(OA)および慢性関節リウマチ(RA)の徴候・症状
ニューロサイエンス 統合失調症における認知障害
アルツハイマー病
慢性関節リウマチ(RA)
呼吸器・炎症
喘息
化合物
申請予定
欧州
米国
>2009
>2009
2009
2H 2008
申請済
2H 2008
2009
該当なし
販促可能1
上市済
1H 2008
申請済
>2009
申請済
4Q 2007
4Q 2007
2H 2008
2H 2008
1H 2008
1H 2008
>2009
>2009
2009
該当なし
申請済
2H 2008
2009
承認済
申請済
申請済
1H 2008
承認済
>2009
申請済
2Q 2007
承認済
1H 2008
1H 2008
1H 2008
1H 2008
Symbicort Turbuhaler
承認済
該当なし
Symbicort(pMDI製剤)
Symbicort(pMDI製剤)
申請済2
申請済2
承認済3
1H 2008
Faslodex
Faslodex
Atacand
Atacand Plus
Crestor
Crestor
Crestor
Seloken/Toprol-XL
Nexium
Nexium
Nexium
Nexium (小袋入り製剤)
Nexium (低用量アスピリン併用)
Seroquel SR
Seroquel
Seroquel
Seroquel SR
Seroquel SR
Seroquel SR
Seroquel SR
Zactima
Recentin(開発コード:AZD2171)4
AGI-1067
AZD6140
サクサグリプチン(BMS社)
Iressa
Nexium
Zactima
ZD4054
AZD5896; AZD6244 (ARRY-142886)
CAT-3888
Crestor/ABT-335(Abbott社)
AZD6610
AZD9684; AZD0837
ダパグリフロジン(BMS社)
AZD9056
AZD3355
Cytofab™
PN-400(Pozen社)
AZD3480
AZD3480
AZD9056
AZD1981
2H 2008
2H 2008
>2009
>2009
4Q 2007 2Q/3Q 2007
>2009
>2009
>2009
1H 2008
>2009
>20095
2H 2008
>2009
>2009
>2009
該当なし
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>20095
2H 2008
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
2009
>2009
>2009
>2009
>2009
信頼できる典拠によれば、これらの症状はすでにGERDの分類内に含まれており、
「ナプロキセンやロフェコキシブとの臨床上の相互作用はありません」という表示が承認されてい
ます。
2008年に補足資料として、2つの追加的な濃度に関する裏づけデータを提出する予定です。
3
米国での承認は12才以上の小児への投与に基づくものです。
4
本化合物は、現在、第II相から第III相の臨床開発段階にあります。
5
食道外逆流疾患(逆流喘息)のプロジェクトが完了しても規制当局への申請は行わない予定です。
1H:上半期、2H:下半期 2Q:第2四半期、3Q:第3四半期、4Q:第4四半期
1
2
18
治療領域
研究領域
第I相臨床段階:新規化合物
固形がんおよび悪性血液疾患
がん
固形がん
乳がん
脂質異常
循環器
糖尿病/肥満症
不整脈
神経因性疼痛
不安およびうつ病
ニューロサイエンス
多発性硬化症
アルツハイマー病
慢性関節リウマチ
呼吸器・炎症
COPD
喘息
前臨床段階:新規化合物
固形がん
がん
固形がんおよび悪性血液疾患
悪性血液疾患
糖尿病
止血
脂質異常
循環器
血栓症
糖尿病/肥満症
GERD
消化器
機能性消化器障害
感染症
感染症
アルツハイマー病
神経因性疼痛
多発性硬化症
侵害受容性神経因性疼痛
ニューロサイエンス パーキンソン
痛覚消失
不安
統合失調症
短時間作用性麻酔剤
COPD
変形性関節症(OA)
呼吸器・炎症
喘息
慢性関節リウマチ
喘息/COPD
化合物
申請予定
欧州
米国
AZD0530; AZD1152
AZD4769; AZD4877; AZD1689; AZD8931; AZD7762
AZD2281
AZD2479
AZD1175; AZD2207
AZD1305
AZD9272
AZD2327; AZD3783
AZD5094
AZD1080
AZD5672; AZD6703
AZD4818; AZD5904
CAT-354; AZD1744
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
AZD9935; AZD0424, AZD5180; AZD1845; AZD8830;
AZD9468; AZD2932; CAT-5001; AZD6918
>2009
>2009
AZD4922
AZD3646
CAT-8015
AZD6370
AZD8593
AZD4121; AZD5861
AZD1283
AZD1656; AZD3988
AZD2066
AZD5329
AZD5099
AZD3102; AZD0328
AZD6538
AZD8797
AZD1940
AZD3241
AZD2066; AZD1386; AZD7903
AZD6280
AZD2624
AZD3043
AZD6067; AZD7928; AZD1236; AZD5069; AZD9668
AZD6357; AZD6605
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
>2009
AZD2392; AZD3825; AZD9215; AZD1678; AZD8848;
AZD8075
CAM-3001
AZD3199
治療領域
化合物
適応症・剤型の追加中止
Faslodex(アロマターゼ阻害剤無効後のセカンドライン薬)
がん
Iressa(頭頸部がん)
Exanta(心房細動(AF)時の脳卒中の予防)
循環器
新規化合物の開発中止
Galida; AZD1092; AZD8677; AZD7009; AZD8450
循環器
AZD9343; AZD6538; AZD8081; AZD9272; AZD9335
消化器
ニューロサイエンス NXY-059; AZD9272; AZD9335; AZD7512
AZD3778; AZD2914; AZD8955; AZD9056; AZD8309;
呼吸器・炎症
AZD3342
備考
Exantaは2006年2月に市場から回収しました。その他のプロジェクトの
中止は、目標製品プロファイルの要件を満たさなかったことによりま
す。
化合物に関する情報を開示するにあたっては、ビジネス上の秘密保持
の必要性との兼ね合いを考慮することになるため、本セクションに掲載
した一部の化合物に関する情報は現時点では開示していません。
19
AstraZeneca Annual Review 2006
当社では社員一人ひとりが事業目
標に沿って各自の明確な目標と責
任を持つように徹底しています。
全 世 界 の 従 業 員 数
当社の事業はダイナミックで刺激に満ちたビジネスである一方、要求の厳
しいビジネスでもあります。事業目標の達成に向けて常に全力を尽くし責
任を持って取り組むよう社員に求めるのであれば、私たちはそれが可能と
なる適切な職場環境を社員に提供しなければならないと考えています。
社 員 には 、明 確 な目的 意 識 、課 題
への対応能力に対する自信、そして
アストラゼネカとその成功への貢献に
対する誇りを持って、前向きに、意欲
的な心構えで各自の仕事に臨んでもら
いたいと考えています。
つまり、社員を鼓舞する効果的なリー
ダーシップを発揮し、自由なコミュニ
ケーションの場を用意し、学習・能力
開発の十分な機会を提供するととも
に、各自の長所と実績のみに基づい
て、社員一人ひとりが成功できる受容
性の高い企業文化を醸成することを意
味します。
20
重点課題
>社員が誇りを持って働ける会社であり続ける。
>効果的なリーダーシップを発揮し、目標と責任
を明確にする。
>多様性に富んだ機会平等の社風の中で、社員
が最高の成果を挙げられるよう社員の意欲を
引き出しサポートする。
>自由なコミュニケーションの場を用意する。
>人々との交流を重視していることが全社員に理
解されるようにする。
>社員を鼓舞し、職場を活性化する。
私たち企業が何を行う
かということは重大な意
味を持っていると考えて
います。また、それをどの
ように行うかということ
も同様に重大であると
考えています。
アストラゼネカの
コア・バリュー
高潔
高い倫理基準
社員の勤務地別分布
英国18%
スウェーデン21%
オープン、誠実
信頼、協力
その他の
地域41%
米国20%
個人と多様性の
尊重
すべてのレベル
における
リーダーシップ
21
AstraZeneca Annual Review 2006
People
当社では全社員が部門や地域の枠
を超えて自分の知識やアイデアを
共有するように奨励しています。
た社風の中では、
「いつものやり方」は再考すべき
当然の理由となります。
率先垂範
能力の向上
絶えず変化し、厳しさを増しているビジネス環境
において企業として成功を持続させ、高業績を促
進するには、適切なリーダーシップを発揮すること
がきわめて重要になります。
また、全社員が最高の成果を挙げられるよう手助
けするため、社員の最大限の能力開発を奨励・サ
ポートしており、高度な研修や能力開発の機会を
提供しています。
高い業績目標を設定するだけでは十分でないこと
は明らかです。活動内容を明確にしたうえで、適切
に責任を割り当て、活動の実行を徹底しなければ
なりません。
管理職社員は、一貫したアプローチを確実にする
一連の基本方針と共通プロセスに基づき、チーム
メンバー全員の能力を明確にし開発する責任を負
っています。
アストラゼネカ取締役会は、アストラゼネカグルー
プの戦略とポリシーを定め、事業目標を承認し、そ
れらの目標達成に向けた進捗をモニターします。
例えば、財務実績やビジネス上の重要な問題を定
期的に見直します(取締役についての詳しい情報
は32~33頁をご覧ください)。
さらに、リーダーシップ能力の向上、中核となるマ
ネジメントスキルの強化、他組織との良好な協力関
係の開発促進を目的とする一連のグローバルな研
修プログラムを実施しています。これらのプログラ
ムを補完するものとして各地域でも能力開発に取
り組んでおり、こうした取り組みにはリーダーシッ
プ開発における各機能領域や各国固有の側面が含
まれます。
シニア・エグゼクティブ・チーム(SET)は、最高経営
責任者をトップとする機能領域横断型の多地域に
わたるメンバーで構成されたグループで、事業運営
における日常業務を中心に取り組み、ビジネス上
の重要な問題について決定を下し、事業目標の達
成を指揮します。
全世界6万6,800名に及ぶ社員について、社員一人
ひとりが高度な事業目標に沿って各自の明確な目
標と責任を持つように徹底しています。業務の遂行
を最適化することが優先事項であり、管理職社員
は配下のチームメンバーと協力して業績目標を策
定する責任を負っています。各社員とチームの貢献
はその目標に基づいて評価され、報酬が決定され
ます。
22
差異の尊重
アストラゼネカは、グローバルな人材がもたらす多
様性に富んだ経験とスキルから多大な創造力と活
力が生まれると考えています。したがって、一人ひと
りの差異が完全に認められ尊重される受容性の高
い社風の中で、全社員が部門や地域の枠を超えて
自分の知識やアイデアを共有し、好成績のチーム
を確立するように奨励しています。
また、当社の事業はイノベーションを基盤としてい
るため、社員が常に独創性を発揮し、前提やシステ
ムに疑問を持ち、互いに切磋琢磨しあいながら、
新しい考え方を身につけ、新規のより良い仕事の
進め方を見つけだすように奨励しています。こうし
当社の長期的な目標は、多様性が各職場で適切に
支持され、リーダーシップに反映されるようにする
ことです。多様性と人事管理はSETの目標に含まれ
ており、多様性の受容の考え方が、人事管理プロセ
スに一貫して反映されるようにグローバルに足並み
の そろった 一 連 の 最 低 基 準 を定めています。
2006年は、上級管理職クラスにおいて多様性が適
切に反映されるよう徹底することを引き続き重要
課題としました。1つの指標として、現在はSET直属
の上級管理職79名のうち33%(2005年は88名中
22%)が女性となっています。
継続的な対話
社員がアストラゼネカとその目標に対する各自のコ
ミットメントについて常に確信を持てるようにする
には、情報の共有が不可欠であることは明らかで
す。そのため、社員面談を行うなど様々なコミュニ
ケーションツールを活用し、社員が常に業務の進行
について最新の情報を知らされ、それが自分にとっ
てどのような意味を持つかについて明確に理解で
きるようにしています。
フィードバックは当社にとって非常に重要であるた
め、あらゆるレベルのコミュニケーションの中でフ
ィードバックを行えるようにしています。さらに、当
社の行動規範には社員が誠実性に関する懸念を提
起する際の手順が定められており、社内ヘルプライ
ンの電話番号なども記載されています。
多様性も調査項目の1つであり、全体では社員の
63%が、経営陣は全社員の機会均等を支持してい
ると考えていることが調査結果から明らかになり
ました。これはグローバル高実績基準を上回ってい
ます。また、女性の69%、男性の70%が、社内で偏
見や差別を受けたことはなく、ほかの人がそのよう
な目に遭っているのを見たこともないと答えまし
た。さらに調査結果には全データの部門別・地域
別内訳も含まれ、さらなる改善が必要な領域を確
認できるようになっています。
このほか、社員の勤務状況を追跡調査し、検討が
必要な領域を明らかにするため、2年に一度、イン
ターネットを利用した世界の全社員を対象とする
意識調査を実施しています。2006年には4回目の
調査を行い、社員が信頼できるフィードバックの仕
組みとして評価していることを反映して、過去最高
の回答率(86%)となりました。社員に公表された
調査結果は、全カテゴリーにおいて2004年の前回
調査時より改善がみられ、ほとんどの事例で医薬
品業界の基準を上回りました。肯定的なフィードバ
ックが示された領域としては、社員の健康、安全、
情報の共有、コミュニケーション(特に、直属の上
司のフィードバックに対するオープン性の向上)が
挙げられます。また、社員は、社外取引に適用され
る当社の倫理基準を高く評価しています。全体的
に勤務状況は堅実ですが、リーダーシップと業績
管理の一部の側面ではさらなる改善が必要である
ことが明らかになりました。これらの領域に重点を
置いた取り組み―マネジメントの枠組みに組み込
まれる責任の明確性を向上させる施策などが、す
でに開始されています。
安全で健康的な職場環境の促進
安全な職場環境を整え、全社員の健康と福利厚生
を促進することは、常に当社の最優先事項です。
事業活動が拡大し変化し続ける中で、当社は絶え
ず取り組みを強化・調整しており、職場行動や勤
務態度に重点を置いた従来のプログラムを増強す
るとともに、ストレスを管理し、社員が各自の健康
上のリスクを理解しやすくする新しいアプローチを
採用しています。
2006年初めに、実績の継続的な改善の促進を目
的とした安全・健康・福利厚生に関する2010年ま
での新たな全社的目標と関連する設定目標を導入
しました。安全・健康・福利厚生に関する新しい主
要行動指標(KPI)は、致命傷・重傷事故と業務上
の疾病発症の頻度を1つのKPIにまとめたもので、
2010年までに上記の2つの発生頻度を2001年/
2002年の基準値に対し全体で50%削減させること
が目標です。
さらに当社では、仕事と家庭を健全に両立させる
ことを奨励・サポートしており、全世界の社員の長
期的な福利厚生を図るには、当然、仕事と家庭の
両立が不可欠となります。
人々との交流の重視
ステークホルダーの皆様や地域社会にとって企業
が何をするかのみならず、それをどのように実行す
るのかが重大な意味を持っていると考えます。企
業として責任ある活動を行うことによってのみ、信
用と信頼を得ることができ、そうした信用と信頼が
なければ当社の企業としての評価や事業免許を維
持していくことはできません。
つまり、社内、社外でどのような行動をとるかによっ
て社員個人、また組織全体としての信用を築いて
いくということでもあります。
アストラゼネカでは、高いレベルの企業コア・バリ
ューが全世界で一貫して認識され、適切な行動と
して反映されるための努力を重ねています。日々の
ビジネスの中で、全社員が当社の企業責任ポリシ
ーと評価基準に基づいて、企業としての責任につい
て常に認識できるよう取り組みを継続していま
す。
例えば、管理職社員に対してグローバルレベルの
基準をどのように各地域での業務に適用するの
かを指針として提供したり、社員とのこまやかな
コミュニケーションによって、社員が当社の取り
組みをしっかりと理 解しているかを確 かめ、ま
た、アストラゼネカが今後も国際社会の重要な一
員として歓迎され続けるために、社員一人ひとりが
重要な役割を担っていることを伝えています。
当社の企業責任に関する取り組みとその実績の詳
細については、別冊のCorporate
Responsibility
Summary Report 2006、または当社のウェブサイト
をご覧ください。
23
AstraZeneca Annual Review 2006
売上総利益
百万ドル
売上高に
対する
比率
(%)
06
05
04
20,916 79.0%
06
77.6%
05
75.8%
04
18,594
16,233
研究開発費および販売・一般管理費
百万ドル
売上高に
対する
比率
(%)
12,998 49.1%
12,074
11,735
営業利益
百万ドル
売上高に
対する
比率
(%)
06
50.4%
05
54.8%
04
8,216 31.0%
6,502
4,547
アストラゼネカの医薬品は、患者さんにベネフィットをもたらし、広く社会に価値を
還元することを目的としています。この目的を適切に達成することから生まれる高い
財務実績があればこそ、当社は公開会社としての責務を果たし、株主の皆様の期待
に応える投資収益を実現できるのです。
患者さんと広く社会に利益をもた
らし、永続的な株主価値を創出す
るために、当社の経営資源、スキ
ル、能力を結集して取り組んでいま
す。
これらの目標の達成に向けて、急
速に変動する世界のビジネス環境
において成功を収めるために明確
な戦略を定め、私たちの進捗を常
にモニターし評価する枠組みの中
で、たゆまぬ努力を続けています。
24
27.2%
21.2%
営業利益
百万ドル
伸び率
06
8,216 +28%
05
04
「過去2年間に培われた売上と利益の向上を促進する当
社の活力は、
(本書の別のセクションに記載された)製品
ライフサイクルのチャンスを活かし、生産性の継続的改
善に取り組むことにより、今後も維持していくことができ
ると考えています。長期的には、自社の研究開発パイプラ
イン内から、あるいはアウトソーシングを通じて新しい医
薬品を市場に送り出すことにより、さらなる業績の達成を
推し進めていく予定です。
当社の売上高は、2006年末までの過去5年間でじつに
10%を超える年平均伸び率を達成し、1株当たり利益 (EPS)は17%の伸びを記録しています。その当時、当社
の売上高のほぼ半分を占めていた複数の製品が特許切れ
の時期を迎える中で、上記のような業績を達成してきま
した。
今後も堅調な業績の達成を促進するために何が必要か
は明白です。もちろん新薬の開発がきわめて重要になり
ますが短期的には、既存の製品群や計画の中にも当社の
活力を持続させるための多数の要因を見つけることがで
きます。
6,502
4,547
+39%
+12%
重点課題
>ビジネスのあらゆる側面で約束を果たすことに
より、トップクラスの財務実績の達成を促進す
る。
>業界トップに匹敵する持続可能な収益性の高
い成長を実現する。
>厳しいコスト管理を行い、継続的な生産性の向
上を図る。
>常に業績を評価しモニターすることにより、進
捗を評価する。
> 効
果的なライフサイクル管理と卓越した営業活動に
より、当社の主力成長製品である5製品をサポート
し、売上を向上させます。
> 良
好な売上成長を達成しながら、さらなる利幅の拡
大を目指して経営資源の配分とより積極的なコスト
管理を引き続き統制すると同時に、研究開発部門へ
の投資の増強に向けて資金を確保します。
> 重
点地域への拡大と開発パイプラインの強化に向け
た取り組みに豊富な資金を投入すると同時に、株主
の皆様に競争力のある投資収益をもたらします」
Jonathan symonds CBE
最高財務責任者
25
AstraZeneca Annual Review 2006
戦略
当社の戦略
当社の目標
アストラゼネカは、全世界で事業を展開してい
る先進の研究開発型医薬品企業であり、重要
な治療領域において革新的な新薬を送り出す
ことにより、患者さんの生活の質を高め、株主
の皆様はもとより広く社会に価値を還元するこ
とを目指しています。
戦略の実現に不可欠の原動力として定めた当
社の目標では、次の4つの中核的な領域に重点
を置いています。
当社が引き続き医療のために最大限の貢献を
尽くし、医薬品業界を牽引する持続的な成長
を実現し、その成長を確実に管理できるように
するため、当社の戦略は次の3つの重要な優先
事項を中心としています。
> 自社の研究所のみならず、社外の創薬研究
開発機関を利用することにより、新薬開発
パイプラインを強化する。
> 製品ライフサイクルを厳しく管理し、質の高
い顧客サポートを提供することにより、全既
存製品の潜在的能力を完全に引き出す。
> 原価構造を見直し、上記の重要な事業活動
で必要になる追加投資のための資金を確保
する。
当社は、今後も事業活動全般においてステー
クホルダーの方々と密接に協力しながら、当社
の既存の治療領域にとどまらず、さらに広範な
領域で患者さんのニーズにお応えし、社会に価
値を還元できる医薬品を提 供してまいりま
す。
当社ではこの戦略を実現するために一連の明
確な目標を設定しており、社員のプロフェッシ
ョナリズムとコミットメントにより、業界トップ
に匹敵する業績を達成したいと考えていま
す。
PATIENTS(患者さん)
> 以下を実施することにより、医療ニーズを効
果的に把握し、その情報を活用します。
> 以下を実施することにより、既存製品の潜
在的能力を完全に引き出します。
各製品のライフサイクルを積極的に管理し、
当社製品群の治療上・商業上の潜在的能力
を十分に活かします。
高水準の営業効率と卓越したマーケティン
グ活動を促進します。
患者さんや医療従事者と密接に協力しなが
ら、医療現場で何が必要とされ、何が重視
されているか把握します。
既存市場において当社のリーディング・ポジ
ションを確立し、重要な新興市場における
当社の存在感を高めます。
創薬からマーケティング、さらに多岐にわた
る当社のビジネス上の意思決定のあらゆる
側面において、こうした洞察を組み込み、最
も重要な医療ニーズに重点を置いた取り組
みを持続できるようにします。これには、最
も高い効果を得られる患者さんを医薬品の
ターゲットに設定することが含まれます。
PEOPLE(人材)
> 以下を実施することにより、当社の全世界の
人材から精鋭メンバーを結集させます。
> 以下を実施することにより、卓越した顧客サ
ポートを提供します。
患者さんと医療従事者が疾患や治療法の選
択に関する理解を深め、必要な医薬品を入
手し、医薬品から最大限のベネフィットを得
られるようにする革新的な業務遂行を目指
します。
PRODUCTS(製品)
> 以下を実施することにより、研究開発プラッ
トフォームとパイプラインを強化し、革新的
な新製品を市場に送り出します。
常に当社の業務プロセス全体における効果
的なリスクマネジメント、意思決定および効
率性の促進に力を注ぐとともに、最先端の
科学基盤を活用することにより、社内の創
薬研究開発活動の質、スピード、生産性のさ
らなる向上を図ります。
新製品パイプラインの強化につながる提携
や協力や買収を通じて魅力的な社外のチャ
ンスを活用し、社内の創薬開発力を高めま
す。
生物製剤分野への戦略的進出を図り、急速
に成長しているバイオ医薬品部門において
確固とした地歩を確立します。
効果的なリーダーシップを発揮し、目標と責
任を明確にします。
効果的な人事管理および能力開発を行いま
す。
多様性を受容する社風を促進し、社員一人
ひとりが尊重され、各自とチームの貢献に応
じて適切に報われていると感じられるように
します。
> 以下を実施することにより、人々との交流を
大切にします。
当社の事業内容はもとよりその経営姿勢も
同様に重要であり、社員一人ひとりが当社の
コア・バリューを各自の日常的な業務活動に
反映させる責任を負っていることを社員がし
っかりと理解するように徹底します。
PERFORMANCE(業績)
> 以下を実施することにより、業界トップに匹
敵する業績を達成し、卓越した先見性をも
つ責任ある企業としての評 判を確 立しま
す。
ビジネスのあらゆる側面で約束を果たし、中
核的な優先課題に重点的に取り組み、どの
ようにそれらを実現するかに集中します。
事業活動全体におけるビジネスチャンスとそ
れに伴うリスクに効果的に対処します。
原価構造を厳格に見直し、コスト効果の向
上を図り、卓越した業務遂行を強化します。
コーポレートガバナンスとコンプライアンス
を堅持する継続的な取り組みを徹底しま
す。
26
業績評価
取締役会およびシニア・エグゼクティブ・チーム
(SET)は、四半期業績管理(BPM)報告書を
用いて当社の戦略目標の達成度を評価しま
す。
この報告書により、取締役会とSETは、非財務
面の短期目標および長期的戦略目標に向けた
当期設定目標に基づいてその時点の進捗に対
する見通しを共有します。
毎年、様々な財務目標とその他の目標が設定
されますが、2006年は次の重要領域に重点を
置きました。
>
>
>
>
>
>
製品の実績e
開発パイプライン
生産性および収益性
株主利益
企業評価
コーポレートガバナンス
2006年には、当社では戦略目標の達成に重点
を置いた活動をさらに強化するため、当社の
業績管理の枠組みを見直しました。現在の戦
略目標は次の4つの領域に分けられます。
>
>
>
>
Patients(患者さん)
Products(製品)
People(人材)
Performance(業績)
企業評価とコーポレートガバナンスの目標は、
当社の事業活動全体において一貫した行動を
統合することの重要性を反映して、上記の4つ
の領域すべてに含まれます。
株主利益は、業績に含まれます。
こうした領域の実績評価手法としては、量的に
比較する実績評価基準から広範囲にわたる詳
細な量的分析まで多様な手法があります。
全体的に、そうした手法は、目標の達成度と永
続的な株主価値の最終的な実現状況を常にモ
ニターし報告する枠組みを提 供するもので
す。
取締役会およびSETが上記領域の実績を評価
する際に用いる個別の評価基準や、株主の皆
様が当社の事業について理解を深め評価する
うえで役立つその他の判断基準については、
本書の各セクションで説明し、具体的なデータ
を掲示しています。例えば、次のようなデータ
です。
製品
発売製品
> 販売額の伸び(恒常為替レートベース。31頁
参照)。
> 全世界における主力成長製品の売上高 (13頁参照)。
> 主力成長製品のマーケットシェア。
> 製品ライフサイクルの状況。
開発パイプライン
> 新薬候補(15頁参照)。
> 開発段階別開発プロジェクト件数(14頁参
照)。
> 研究開発部門への投資(米ドル換算。14頁
参照)。
> 開発目標の達成度。
業績
> 1株当たり利益の伸び(表紙裏面参照)。
> コストの伸び率。
> 売上総利益率、コスト比率および営業利益
率(時系列的な推移)
(24頁参照)。
> 配当金および株式買い戻し(表紙裏面参
照)。
> フリーキャッシュフロー。
> 株主総利益(40頁参照)。
2006年に当社の業績管理の枠組みを見直した
ことに伴い、Patients(患者さん)とPeople(人
材)の領域に関する2007年の目標は現在策定
中であり、これらの目標については適切な時期
にご報告します。
企業評価
上述した実績評価は、価値ある医薬品をお届
けし、それにより株主価値を実現するという当
社の事業の進度を評価するものです。先に述
べたように、企業評価とコーポレートガバナン
スの目標は上記の重要な領域にも含まれま
す。
企業姿勢の評価については、一連の主要行動
指標(KPI)を用いており、これらの指標によっ
て企業責任(CR)の重要な領域の進捗を評価
しています。コンプライアンス監査と外部機関
による保証は、高い倫理基準に則った行動規
範の遵守を徹底するうえできわめて重要であ
り、コンプライアンスは、当社のCRの進捗評価
に用いられる多数のKPIに組み込まれていま
す。KPIおよび2006年の当社実績についての詳
細は、別冊のCorporate Responsibility Summary Report 2006または当社のウェブサイトを
ご覧ください。
このほか当社は、Dow Jones Sustainability
Indexなどの主要な外部調査の対象となってい
ます。上記指数は、当社の業績を評価し、持続
可能な開発の必要性についても理解を深めら
れる有力な手法の1つです。
アストラゼネカは、世界の資産運用責任者が
社会的責任投資を行う際に指標として用いる
2007 Dow Jones Sustainability World Indexの
対象銘柄です。しかし、対象に選ばれるための
順位争いが熾烈なEuropean Index (Dow
Jones STOXX)では、スコアの伸長にもかかわ
らず、2005年に失った地位の回復には至りませ
んでした。
コーポレートガバナンス
AstraZeneca Code of Conduct(行動規範)
(当社ウェブサイトで閲覧できます)は、当社
が社員に求める行動に関する最高の基準を定
めたもので、その遵守を義務づけるものです。
本規範に基づき適用法令や行動規範をすべて
遵守すべき責務の一環として、当社は、コーポ
レートガバナンスに関する英国統合規範に定
められた、優良なガバナンスに関する基本的
な規範をすべて適用しています。また、英国統
合規範の諸規定をすべて遵守しており、当社
のコーポレートガバナンスにかかわる慣行は、
一般にニューヨーク証券取引所のコーポレー
トガバナンスに関する上場基準に合致してい
ます。アストラゼネカの「継続的保証」プロセ
スは、上記基準の当社の遵守状況を効果的に
モニターできるようにすることを目的としてい
ます。
27
AstraZeneca Annual Review 2006
ファイナンシャルレビュー(要旨)
はじめに
ファイナンシャルレビュー(要旨)の目的は、
2006年度の財務上の業績と2006年末現在の
財務状態や、事業に影響する可能性のあるビ
ジネス上の主な要因と動向について、重要な
要因と動向を含むバランスの取れた包括的な
分析を提供することにあります。
当社の売上の97%以上は医療用医薬品による
ものです。医薬品の売上は短期的には一般の
経済状況にさほど影響を受けません。それよ
りも医療上のニーズに直接影響を受け、通常、
健康保険制度や国の医療予算により負担され
ます。
当社の業績は、短期的および長期的に通常の
競争とは別の複数の要素に影響を受ける場合
があります。
> 独占特許の失効または特許切れに伴う後発
品参入による競合リスクが販売量と価格に
マイナスの影響を与える可能性。例えば、
Toprol-XL 25mgの後発競合製品が2006年
11月に上市されました。
> 各国の規制当局に影響されうる新製品上市
のタイミングと、新製品が予想通りに成功し
ないリスク。
> 売上高の伸び率と新製品上市に伴うコス
ト。
> 規制環境の結果としての医薬品の価格に対
するマイナスの影響。米国では価格について
政府から直接の規制はありませんが、個別
の州のプログラムおよび医療保険団体から
の圧力が実勢価格を下げる方向に影響して
います。米国以外では、政府によって課せら
れる価格と量に関する様々な規制メカニズ
ムや売上高に応じた遡及的なリベートなど
があります。
> 為替変動。当社の機能通貨および報告通貨
は米ドルですが、当社は他の通貨、特にユー
ロ、円、英ポンド、スウェーデンクローナから
も多大な影響を受けています
より長期的には、研究開発の成功がきわめて
重要です。当社はこの分野に膨大な資源を投
入していますが、こうした投資から得られる利
益は長い期間を経て実現されるものであり、
本質的に、将来の製品を生み出すか否かにつ
いては相当な不確実要素が存在します。
28
2006年の財務実績について最も重要な事項は
次の通りです。
> 通年の売上高は11%増の264億7,500万ドル
でした。
> 5つの主力成長製品の売上高は引き続き堅
調な伸びを記録し、23%増の133億1,800万
ドル(売上高全体の50%超)となりました。
> 営業利益は82億1,600万ドルで、営業利益率
は3.8ポイント改善され、31.0%でした。
> 製品ポートフォリオのうち年間売上高が10億
ドルを超える製品は、5年前の2製品から
11製品になりました。
> フリーキャッシュフローは67億8,800万ドル
で、7億3,600万ドル増加しました。
> 1株当たり利益は34%増の3.86ドルでした。
> 2005年12月から2007年1月までの期間中に
12の大型ライセンシング・買収プロジェクト
に加えて、9つの大型共同研究開発プロジェ
クトに関する契約を結ぶことにより、当社の
研究開発ポートフォリオを強化しました。
> 研究開発部門への投資は16%増加し、39億
200万ドルでした。これは実質的な研究開発
活動の増強と買収の影響の両方によるもの
です。
当社の売上高は、2006年末までの過去5年間
じつに10%を超える年平均伸び率を達成し、
1株当たり利益(EPS)は17%の伸びを記録して
います。その当時、当社の総売上高のほぼ半分
を占めていた複数の製品が特許切れの時期を
迎える中で、上記のような業績を達成してきま
した。
過去2年間に培われた売上と利益の向上を促
進する当社の活力は、製品ライフサイクルのチ
ャンスを活かし、生産性の継続的改善に取り
組むことにより、今後も維持していくことがで
きると考えています。長期的には、自社の研究
開発パイプライン内から、あるいはアウトソー
シングを通じて新しい医薬品を市場に送り出
すことにより、さらなる業績の達成を推し進め
ていく予定です。
業績評価
当社では主要領域の業績を評価するにあた
り、以下に記載した個別の評価基準を用いて
おり、財務評価基準の一部、特に売上と経費
の伸び率、営業利益、したがって1株当たり利
益では恒常為替レート(CER)で算出したデー
タを用いています。恒常為替レートは、為替変
動の影響を排除することにより、数量・価格・
コスト水準に応じて変化する売上高と費用の
変動を前期と比較して評価できるようにする
ものです。
> 恒常為替レートベースの売上高とコストの伸
び率を算出することにより、経営陣はそれら
の現地での実質的な変動を把握し、最近の
傾向や関連する投資収益率を比較検討する
ことができます。
> 恒常為替レートベースの1株当たり利益の増
加からは、
(税引後利益に基づく)事業の収
益性だけでなく(特に株式買い戻しプログラ
ムによる)資本構成の管理状況がわかりま
す。
その他の評価基準は為替レートの直接的な影
響をそれほど受けないか、実質的な影響を受
けません。
> 売上総利益率と営業利益率。これは主要な
実績の利幅の向上を表し、事業の総合的な
質が理解できます。
> 主力成長製品の処方量と傾向。これによっ
て請求額ベースの売上高より適切かつ直接
的に実質的な事業の成長と個々の製品の進
捗状況を把握できます。
> 営業実績。米国のToprol-XLに関しては、後
発品の承認・上市時期に関する不確実要素
を考えると、売上を予測することはますます
困難になっているため、同製品の貢献分は
営業実績から控除しています。
> フリーキャッシュフロー。これにより財務活
動を含まない正味キャッシュフローがわかり
ます。事業の買収、短期投資・固定性預金の
変動および無形固定資産の売却による資金
の変動を調整して、財務活動を含まない資
金の純増額を算出します。
> 株主の総利益は、当社が株主の皆様に提供
する利益を算定したもので、配当の再投資
を前提とした株価の変動を反映しており、同
業他社の業績との比較に用いられます。
業績
特記がない限り、データはすべて恒常為替レー
トで算出されています。
売上高
年間売上高は11%増加し、すべての地域で堅
調な売上増が得られました(米国16%増、欧
州6%増、日本5%増、他の地域11%増)。この
伸びは販売量の増加によるものですが、
(特に
米国と一部の欧州地域における)価格低下に
より一部相殺されることになりました。ToprolXLは、後発競合製品が2006年11月から米国で
発売される事態に直面しており、米国市場の
Toprol-XLの売上高(2006年は13億8,200万ド
ル、2005年は12億9,100万ドル)を控除した売
上高の伸び率は11%でした。
年間売上高が10億ドルを超える製品は11製品
となり、主力5製品( Arimidex、Cres tor、
Nexium、Seroquel、Symbicort)の総売上高
は23%増の133億1,800万ドルに達し、現在では
(2005年の45%からさらに上昇し)当社の売
上高全体の50%超を占めています。
消化器領域は2年連続で売上を伸ばし、4%の
増加となりました。Losec/Prilose cは前期に
続き減収となったものの、Nexiumの好調な売
上がこれを十分に補い、Nexium の売上高は
12%増加しました。米国市場では、Nexiumの
販売量は引き続き好調な伸びを示しました
が、実勢価格の低下により一部相殺され、
13%増の35億2,700万ドルとなりました。他の
市場では、フランスおよびイタリアでの良好な
売上増がドイツでの大幅な価格崩壊を補い、
N e x i u m の 売 上 高は10 % 増 加しました 。
Losecの売上高は16%減の13億7,100万ドル(米
国12%減、他の地域17%減)でした。
循環器領域の売上高は15%の増加となりまし
た。Crestorの売上高は59%増となり、20億ド
ルを突破し、米国内の売上高は57%増の11億
4,800万ドルに達しました。米国スタチン市場
の新規処方に占めるCrestorのシェアは2006年
12月現在、9.6%(期首時は6.9%)であり、他の
市場でも欧州の好調な売れ行きに支えられ、
さらに日本での上市が加わり、売上高を61%伸
ばしました。Seloken/Toprol-XLの売上高は
3%増加しました。米国での売上の伸びは、
Toprol-XL 25mgの後発品が11月に上市された
ことに伴い、社内での収益の計上時期を(出荷
時から)従来の処方箋の作成時にしたもあり、
7 % の 増 加 にとど まりました 。C r e s t o rと
Seloken/Toprol-XLの好調により、それぞれ7%
と24%の減収となったZestrilとPlendilの落ち
込みを補うことができました。
呼吸器・炎症領域の売上高は10%の増加とな
りました。この売上増の主な原動力となったの
はSymbicortで、その売上高は18%増加しまし
た。Symbicortの米国での上市は2007年中頃
に予定していますが、この上市時期は、技術移
転に成功し、必要な製品バッチのバリデーショ
ンを終了できるかどうかによって変更される可
能性があります。そのほか本治療領域では、
Pulmicor t の売上高は11%増加した一方、
Rhinocortは7%の減収となりました。
がん領域の売上高は12%の増加となりまし
た。Arimidexの売上高は29%増加しました。
Casodexの売上高は9%増加し、米国以外の売
上が好調でした。Zoladexの売上高は2年連続
して10億ドルを突破しました。Iressaの売上高
は、アジア太平洋地域での売上増により米国
での落ち込みを幾分補うことができたものの
11%の減少となりました。
ニューロサイエンス領域の売上高は16%の増
加となりました。Seroquelの売上高は30億ドル
を突破し、24%増加しました。米国の抗精神
病 薬 市 場 で の 新 規 処 方 箋 枚 数 に占 め る
Seroquelのシェアは12月に30%を超えるまで
に上昇し、他市場での売上高も23%増加しま
した。
米国での年間売上高は16%増加しました。
Prilosecなど減収となった製品があったもの
の、Nexium 、Seroquel 、Arimidex および
Crestorの売上高は良好な伸びを示し、14億
4,10 0万ドルに達しました。20 0 6 年および
2005年の売上高からToprol-XLの売上を控除し
た調整後の売上高の伸び率は11%でした。
現在では米国以外からの収益が売上高全体の
53%を占めます。欧州での年間売上高は6%増
加し、販売量は順調な伸びを示しましたが、価
格引き下げの影響を受けました。主力5製品の
売上高は全体で21%増となりました。しかしな
がらドイツでは、後発薬の処方が奨励されてお
り、売上が伸び悩みました。
日本での売上高は、CasodexとArimidexの好
調な業績を反映し、さらにCrestorの上市によ
り5%増加しました。中国での売上高は、主要
治療領域の中でも特にがん領域製品の堅調な
売上増により19%の増加となりました。
営業利益および留保利益
営業利益率は27.2%から31.0%に3.8ポイント
増加しました。為替差益等の影響を控除する
と、2006年の営業利益率は実質2.9ポイントの
改善となりました。
売上総利益率は1.4ポイント増の79.0%でした。
Merck社に対する支払比率が若干低下したこ
とにより(対売上比4.7%)、売上総利益率に
0.1ポイントのプラス影響が出た一方、為替変動
とロイヤルティの支払が売上総利益率を0.3ポ
イ ント 引 き 下 げ る 要 因 と な り ま し た 。
MedPointe社との米国におけるZomig販売契
約の中途解除に伴う前期の費用と製造引当金
のほか、Toprol-XL、NXY-059および製造効率
化に関連して繰り入れた当期引当金を控除す
ると、売上総利益率は実質1.5ポイントの改善
となりました。
正味利息・配当収入の2005年からの増加は、
主に平均投資残高と利回りが昨年を上回った
ことによります。
実効税率は12カ月累計29.0%(前年は29.1%)
でした。この前年からの税率の低下は、主に利
益の地域分散、株式報酬に関連する税額控除
および税額控除の繰り越しに対する繰延税金
資産の認識によって生じた減税額から、主に
国際移転価格問題に関連する税金引当金の増
加額を減じた差額によるものです。
1株当たり利益は、2005年の2.91ドルから本年
は34%増の3.86ドルとなりました。当社の概算
では、
(将来の受取利息を考慮後の)株式買い
戻し制度による1株当たり利益の上昇は6セン
ト、また、1株当たり利益に対するToprol-XLの
貢献度は50セントでした。Toprol-XLを除外し
た1株当たり利益の増加率は36%となります。
財務状況(キャッシュフローおよ
び流動性を含む)
当社の資産の純簿価は136億9,100万ドルから
154億1,600万ドルに増加しました。純利益か
ら株式買い戻しプログラムにより41億4,700万
ドル、配当金として22億1,700万ドルを分配しま
した。株式発行費用は総額9億8,500万ドルで
した。
設備等の増設および為替差損益(合計15億
1,100万ドル)が、減価償却費と設備等の減損(
10億300万ドル)ならびに処分費用を上回った
ことにより、有 形 固 定 資 産の 純 簿価 が 4 億
6,800万ドル増加しました。営業権と無形固定
資産の大幅な増加は、主に当社のアウトソーシ
ング・プログラムの拡大によるもので、これにつ
いては以下において詳しく説明します。棚卸資
産は、継続的な在庫水準の削減努力により7%
余り減少しました。受取債権は、為替変動の影
響のほか、米国と英国で売掛金が増加したこ
とにより7億8,300万ドル増加しました。買掛金
および引当金は実質的に4億9,900万ドルの増
加となりましたが、これは主として(Merck社か
らの購入量の増加に伴う)米国での買掛金の
増加、米国における非主要製品の権利の売却
による繰延所得、ならびに為替変動の影響に
よるものです。
研究開発費は16%増加し、売上高に対する比
率は14.7%で、0.6ポイント上昇しました。販売
・一般管理費の増加は前期比5%増にとどま
り、これにより営業利益率は2.0ポイント増加し
ました。
営業外損益については、主としてロイヤルティ
の支払額が増加したほか、米国とスカンジナ
ビア諸国で非主要製品の権利を売却したこと
により前年に比べて増加し、これにより営業利
益率は1.1ポイント増加しました。
29
AstraZeneca Annual Review 2006
ファイナンシャルレビュー(要旨)
(続き)
キャッシュフロー
当社は高収益をあげる企業であり続けます。
28頁に記載した様々な要因に左右されるもの
の、当社の現金資産は現在必要とする用途に
は充分であり、当社の既存の資本計画、自社株
の買い戻し、新製品の上市にとって充分な現預
金があると考えています。また、2008年に実現
するかもしれないMerck社の利権の買収につ
いても充分であると考えています。
本年の営業活動によるキャッシュフローは
20 05年から9 億 5, 0 0 0万ドル増加し、76 億
9,300万ドルとなりました。税引前利益は18億
7,600万ドル増加しましたが、その一方で必要
な運転資本が2億2,400万ドル増加し、支払税
額も5億6,300万ドル増加しました。
投資活動による年間累計現金支出は前年の
11億8,200万ドルに対して2億7,200万ドルでし
た。長期預金と当座資金間の資金移動を除い
た投資活動からの実質的なキャッシュフロー
は、前年の6億9,100万ドルに対して本年は13億
9,200万ドルのアウトフローとなりました。この
増加は、Cambridge Antibody Technology社
やKuDOS Pharmaceuticals社の買収など、新た
な共同研究開発プロジェクトに伴う無形資産
の取得によるものです。
本年のフリーキャッシュフローは前年の60億
5,200万ドルに対して67億8,800万ドルでした。
株主への還元は53億8,200万ドルで、内訳は正
味株式買い戻し額31億6,200万ドル、株主に対
する配当金22億2,000万ドル、
(入金を差し引
いた)買収による正味支出額11億4,800万ドル
でした。その 結果、正味資金は全体で11億
3,500万ドル増加しました。
投資、投資資産の売却および資本支出
当社では社内の創薬研究開発活動への投資を
持続するとともに、社外のビジネスチャンスを
獲得することにより当社の製品パイプライン
を強化するべく努力を重ねており、その結果、
2件の大型買収を成立させたほか、複数の大型
ライセンス契約と重要な共同研究開発契約を
結ぶことができました。
当社は本年、KuDOS Pharmaceuticals社(2億
600万ドルを投じ、複数のがん治療薬に関する
権利を取得)、Cambridge Antibody Technology社(11億1,600万ドルを投じ、生物製剤パイ
プラインの確立に向けた基盤を構築)の2社の
買収を実 施しました。その後、Cambridge
Antibody Technology社の買収により取得し
たHumiraTMのライセンス権から生じる非主要
製品に関する無形資産については、6億6,100万
ドルで売却しました。
これらの買収を補完するものとして、重要な大
型ライセンス契約と共同研究開発契約を締結
しました。例えば、AtheroGenics社(冠動脈疾
患の患者さんを対象とした画期的な抗アテロ
ーム性動脈硬化剤)、Protherics社(抗敗血症
薬)、Targacept社(認知障害向けニューロン系
30
地域別売上高
2006年
2005年
百万ドル
百万ドル
伸び率
%
米国
12,449
10,771
16
欧州
8,903
8,463
6
日本
1,503
1,527
5
その他
3,620
3,189
11
合計
26,475
23,950
11
1株当たり
配当
配当総額
ドル
百万ドル
株主への
還元総額
百万ドル
株主への還元(まとめ)
株式の
買い戻し
費用
(百万株)
百万ドル
1999
4.4
183
0.700
1,242
1,425
2000
9.4
352
0.700
1,236
1,588
2001
23.5
1,080
0.700
1,225
2,305
2002
28.3
1,190
0.700
1,206
2,396
2003
27.2
1,154
0.795
1,350
2,504
2004
50.1
2,212
0.940
1,555
3,767
2005
67.7
3,001
1.300
2,068
5,069
2006
72.2
4,147
1.720
2,649*
6,796*
合計
282.8
13,319
7.555
12,531
25,850
* 配当総額は2006年12月31日現在の発行済株式数に基づく概算。.
部分的ニコチン作動薬)、Pozen社(エソメプラ
ゾールとナプロキセン配合薬の開発・商品化)
の各社と締結した4つの大型契約が挙げられ
ます。このほか、ScheringAG、Array、Kinacia、
Dynavax、Cubist、Argentaの各社とも契約を
締結し、約7,000万ドルの無形資産を計上して
います。さらに、当社のCrestorとAbbott社のフ
ェノフィブレートを配合した単一ピル・一定用
量製品の共同開発と共同販売促進に関して
Abbott社と取り決めを結んでいます。これら
の契約にはいずれも調印時の頭金や前払金に
加えて、特定の開発目標や販売目標に応じた
追加的な支払に関する規定が含まれています。
ま た 、2 0 0 6 年 6 月 に は 米 国 に お い て
Abraxane®に関する共同販売促進契約を締結
し、調印時の前払金2億ドルを無形資産として
計上しており、この業務提携から現在までに
1,800万ドルの収益を得ています。
当社は期末後に、Bristol-Myers Squibb Company(BMS)およびPalatin Technologies Inc.
の各社と2つの共同研究開発契約を締結しま
した。BMS社との提携は、2型糖尿病治療薬と
して試験中の2種類の治験薬の開発・商品化
に関するもので、一方、Palatin社との提携で
は、肥満症、糖尿病およびメタボリックシンド
ローム向け治療薬の探索研究・商品化を目指
しています。このほか、抗ウイルス治療薬の探
索 研 究・開 発 に 重 点 的 に 取り組 んで い る
Arrow Therapeutics Ltd.の全株式を買収する
契約を締結しています。
株総数および株主利益率
取締役会は今後も引き続き収益に応じて配当
金を増額(配当倍率を2~3倍の範囲に維持)
しながら、株式の買い戻しによりキャッシュフ
ローのバランスを調整する予定です。取締役会
は、フリーキャッシュフローがまず必要とされ
るのは業務上のニーズであると確信しており、
従来通り、株主の皆様には余剰金を返還する
予定です。取締役会では本年は40億ドルの株
式の買い戻しを予定していますが、この金額
は、新株の発行により潤沢な資金が確保され
れば増額される可能性があります。
2006年には総額41億4,700万ドルを費やして
7,220万株を買い戻し消却しました。株式買い
戻しプログラムが1999年に開始されてからこ
れまでに買い戻された総株式数は2億8,280万
株(合併後当初の当社株式資本の15.9%)で、
累計133億1,900万ドルが支払われました。
20 06年12月31日現在の発行済株式総 数は
15億3,200万株です。
当社は2006年3月20日に2005年第2回目の中
間配当として0.92ドルを支払い、2006年9月
18日に同年第1回目の中間配当を行い、普通株
式1株当たり0.49ドルを支払いました。また、同
年第2回中間配当については普通株式1株当た
り1.23ドルの配当を発表済みです。
今後の見通し
製品別売上高
過去3年間にわたる堅調な財務実績は、主力製
品の良好な売上増と厳しい費用管理の賜物で
す。当社をはじめとする製薬業界全体が特許切
れへの対応に追われ、政府や民間保険会社か
ら薬価引き下げの圧力を受けて厳しい局面を
迎えている現在のような時期において、当社で
は競争力のある財務実績を維持できるよう今
後も堅実な経営に努めます。社内の創薬研究
開発の生産性の向上を図るとともに、社外のビ
ジネスチャンスの獲得に向けて継続的に取り組
むことにより製品パイプラインを強化すること
が、今後も当社の最優先事項となります。同時
に、これからも当社事業のあらゆる要素におい
て挑戦し続けることにより、長期的な成長の持
続を可能とする新製品パイプラインの確立に
必要な資金を活用できるようにします。
2006年
2005年
がん
百万ドル
百万ドル
これに併せて、生産性の向上を図る新たな施策
を採用しており、グローバルサプライチェーンの
資産活用改善プログラムを発表しました。今後
3年間に、当社は生産資産を合理化する計画で
あり、会計上約5億ドルの引当金(このうち約3億
ドルは現金資金)を計上するほか、約3,000名の
人員削減を進める予定です。
「はじめに」の部分に記載した様々な要因に左
右されますが、2007年は主力製品群の持続的
な成長に牽引され、売上高は恒常為替レートベ
ースで1桁台後半の伸び率になると予想されま
す。厳格な費用管理により、2桁台の1株当たり
利益の増加を実現しながら、研究開発部門へ
の投資を大幅に拡大できるようにします。な
お、上述した今後の予測では米国における
Toprol-XLの売上と貢献の影響を除外していま
す。
米国企業改革法(SarbanesOxley Act)第404条
当社は、米国企業改革法(Sarbanes-Oxley
Act)第404条に基づき、財務報告に対する内
部統制の有効性について報告することを義務
づけられており、2006年12月31日に終了した
年度について、財務報告に対する当社の内部
統制が有効であることを評価済みです。当社
の評価内容についてKPMG Audit plcの監査を
受け、同監査法人より無限定の適正意見に基
づく監査報告書が作成されています。
伸び率
%
Arimidex
1,508
1,181
29
Casodex
1,206
1,123
9
Zoladex
1,008
1,004
Iressa
237
273
(11)
Faslodex
186
140
32
1
Nolvadex
89
114
その他
28
10
180
合計
4,262
3,845
12
循環器
Crestor
2,028
1,268
59
Seloken/Toprol-XL
1,795
1,735
3
Atacand
1,110
974
14
Tenormin
320
352
(7)
Zestril
307
332
(7)
(24)
(19)
Plendil
275
360
その他
283
311
合計
6,118
5,332
消化器
Nexium
5,182
4,633
12
Losec/Prilosec
1,371
1,652
(16)
その他
78
70
11
合計
6,631
6,355
4
感染症
Merrem
604
505
19
その他
73
102
(28)
合計
677
607
11
ニューロサイエンス
Seroquel
3,416
2,761
24
Zomig
398
352
13
(17)
(9)
15
Diprivan
304
369
局所麻酔剤
529
511
5
その他
57
66
(12)
合計
4,704
4,059
呼吸器・炎症
Pulmicort
1,292
1,162
11
Symbicort
1,184
1,006
18
Rhinocort
360
387
(7)
Oxis
88
91
(3)
13
Accolate
81
72
その他
146
155
合計
3,151
2,873
16
(6)
10
31
AstraZeneca Annual Review 2006
取締役会
Louis Schweitzer (64)
David R Brennan (53)
Jonathan Symonds CBE (47)
Marcus Wallenberg (50)
Erna Möller (66)
John Varley (50)
John Buchanan (63)
Joe Jimenez (47)
非常勤会長、取締役指名委員会会長
2004年3月11日付で当社取締役に任命。2005年4月よ
りRenault SAの非常勤会長。1992年から2005年まで
Renault SAの会長兼最高経営責任者。
2002年から2005年までRenault-Nissan BV取締役会会
長。Renault SAで1988年から1992年まで最高財務責
任者兼エグゼクティブ・バイスプレジデント、1990年か
ら1992年まで社長兼最高執行責任者。BNP-Paribas、
Electricité de France、Veolia Environment、Volvo
AB、L'Oréalの非常勤取締役。Supervisory Board of
Philips Electronics NVの副委員長。
非常勤取締役、監査委員会委員
1999年4月6日付で当社取締役に任命。Astra ABの元
取締役(1989年5月18日付で任命)。2005年12月31日
付で当社の監査委員会委員を辞任。Skandinaviska
Enskilda Banken ABの会長、Saab ABの会長。
Telefonaktiebolaget LM Ericssonの副会長。
Electrolux AB、Stora Enso OyjおよびKnut and Alice
Wallenberg Foundationの非常勤取締役を兼務。
International Chamber of Commerce(ICC)の会長。
非常勤取締役、監査委員会会長および報酬委員会委
員を兼務
2002年4月25日付で当社取締役に任命。1996年から
2002年までBP p.l.c.の取締役およびグループ最高財務
責任者。
1997年から2001年までUK Accounting Standards
Boardの会員。BHP Billiton Plcのシニア独立取締役。
Vodafone Group Plcの会長代理。Smith & Nephew
plcの会長。
32
取締役兼最高経営責任者
2005年3月14日付で当社取締役、2006年1月1日付で最
高経営責任者に任命。Pharmaceutical Research and
Manufacturers of America(PhRMA)の理事。
European Federation for Pharmaceutical Industies
and Associations(EFPIA)の理事。2001年から2005年
までAstraZeneca PLCの北米担当エグゼクティブ・バイ
スプレジデント。2004年から2006年までAmerican
Heart Associationの南東部支部長。
非常勤取締役、報酬委員会および科学委員会の委員
1999年4月6日付で当社取締役に任命。Astra ABの元
取締役(1995年5月15日付で任命)。
Knut and Alice Wallenberg Foundationの取締役。
Clinical Immunologyの教授およびKarolinska InstituteのNobel Assemblyの副委員長。
Royal Swedish Academy of Engineering Sciences、
Royal Swedish Academy of Scienceの会員。
非常勤取締役、報酬委員会および取締役指名委員会
委員
2003年7月1日付で当社取締役に任命。H J Heinz Company副社長および20 02年から20 06年までHeinz
Europeの社長兼最高経営責任者。
1998年から2002年までHeinz North Americaのコーポ
レート・バイスプレジデント、シニア・バイスプレジデ
ント、社長を歴任。Blue Nile, Inc.の非常勤取締役。
取締役兼最高財務責任者
1997年10月1日付で取締役に任命。戦略計画およびビ
ジネス・ディベロップメント、情報サービス、グローバル
調達全般の責任者。Diageo plc.の非常勤取締役。UK
Accounting Standards Boardの元会員(2003年8月~
2006年8月)。Business Tax Forumの共同会長。
Advisory Board of Oxford University Centre for
Business Taxationの委員。
非常勤取締役、報酬委員会委員
2006年7月26日付で当社取締役に任命。1998年より
Barclays Bank plcおよびBarclay plcの取締役、2004年
よりグループ最高経営責任 者。20 01年よりA s co t
Authority Holdingsの取締役。Employers' Forum on
Disabilityの議長、International Advisory Panel of the
Monetary Authority of Singaporeの委員。
St. Dunstan'sの財務担当役員兼理事、Thornton Smith
Plevins Young People's Trustの理事ならびにBusiness
Action on Homelessnessの会長。
John Patterson FRCP (58)
Håkan Mogren KBE (62)
Michele Hooper (55)
Professor Dame Nancy Rothwell (51)
Jane Henney (59)
Sir Peter Bonfield CBE, FREng (62)
開発担当取締役
2005年1月1日付で当社取締役に任命。Royal College
of Physiciansの会員。British Pharma Groupの取締
役、Cobham plcの非常勤取締役。2001年から2004年
までAmersham plcの非常勤取締役。
2002年から2004年までAssociation of the British
Pharmaceutical Industryの会長。1990年から1994年
までSupervisory Board of the UK Medicines Control
Agencyの委員。1999年から2004年までAstraZeneca
PLCの製品戦略・ライセンシング担当エグゼクティブ・
バイスプレジデント。
非常勤取締役、科学委員会委員長
2006年4月27日付で当社取締役に任命。企業責任の
監督責任者を兼任。University of ManchesterのMRC
Research担当教授およびResearch担当副学長。
Cancer Research UKおよびCampaign for Medical
Progressの理事、Research Defence Societyの会長、
Wellcome Trust Public Engagement Strategy Panelの
会長を兼務。
Biotechnology and Biological Sciences Research
Councilの委員。
これまでにBritish Neuroscience Associationの会長と
Medical Research Councilの委員を歴任。
非常勤副会長、取締役指名委員会委員
1999年4月6日付で当社取締役に任命。Astra ABの元
最高経営責任者兼取締役(1988年5月18日付で任
命)。
Investor AB、Rémy Cointreau SA、Groupe Danone、
Norsk Hydro ASA、Marianne and Marcus Wallenberg
Foundationの取締役を兼務。
Royal Swedish Academy of Engineering Sciencesの
会員。
非常勤取締役、監査委員会、取締役指名委員会、科学
委員会の委員
2 0 01年 9月24日付 で 当 社 取 締 役 に任 命 。現 在、
University of Cincinnati Medical Academic Health
Centerの副社長兼Health Affairs長官(2003年4月任
命)。
これまでに米国National Cancer Instituteの副所長、
University of Kansas Medical CenterのHealth担当副
総長、米国Food and Drug Administrationのオペレー
ション担当副コミッショナー、米国Food and Drug
AdministrationのFood and Drugs担当コミッショナー
を歴任。
AmerisourceBergen CorporationおよびCIGNA Corporationの非常勤取締役。
このほかCommonwealth Fund、China Medical
Board、OMERIS、BIO/STARTの委員を兼務。
非常勤取締役、監査委員会委員
2003年7月1日付で当社取締役に任命。1998年から
1999年までStadtlander Drug Companyの社長兼最
高経営責任者。
1992年から1998年までInternational Businesses of
Caremark International Inc.の副社長と社長を歴任。
PPG Industries, Inc.、Warner Music Group, Inc.の非常
勤取締役を兼務。
シニア非常勤取締役、報酬委員会委員長および取締
役指名委員会委員を兼任
1995年1月1日付で当社取締役に任命。
Royal Academy of Engineeringの会員。
Telefonaktiebolaget LM Ericsson、Mentor Graphics
Corporation、Taiwan Semiconductor Manufacturing
Company, Ltd.、Sony Corporation(日本)、Actis Capital LLPの非常勤取締役。
British Quality Foundationの副社長を兼務。Citigroup
International Advisory Boardの会員。
Sony Corporation Advisory Boardの会員。
NXP Supervisory Boardの会長。Corporate Board of
the Department for Constitutional Affairsの非常勤取
締役。
2006年12月31日現在におけるその他の役員には、4~
5頁に掲載のシニア・エグゼクティブ・チームのメンバー
が含まれます。
Graeme Musker
グループ秘書役兼弁護士
1993年6月6日付で当グループ秘書役に任命。
33
AstraZeneca Annual Review 2006
コーポレートガバナンス(要旨)
取締役会
2006年12月31日現在の取締役についての詳細
な情報は、32頁および33頁に記載されていま
す。
取締役会の構成、プロセスおよび
責任
取締役会は取締役および非常勤取締役の双方
で構成されています。コーポレートガバナンス
に関する英国の統合規範とニューヨーク証券
取引所のコーポレートガバナンス基準に沿っ
て、取締役会では取締役メンバーの大多数が
独立した非常勤取締役です。
取締役全員が会社の成功に対して共通の責任
を負っていますが、常勤取締役が事業の運営
に直接的な責任を負っているのに対し、非常
勤取締役は独立した立場から、取締役会の決
定に客観的な判断を加味する責任を負ってい
ます。これには経営陣に対する建設的な批判
や会社の戦略策定への支援が含まれます。非
常勤取締役は経営の内容を詳細に検討し、財
務情報の健全性、内部管理、リスクマネジメン
トなどに関する様々な責任を負っています。常
勤取締役に加え、シニア・エグゼクティブ・チー
ム(SET)のメンバーが交代で定例的に取締役
会に出席することで、取締役会における経営陣
の存在感を増し、維持するように努めていま
す。取締役会が終了すると、その都度、非常勤
取締役による会議が開かれ、常勤取締役はこ
れには出席しません。
新規取締役の取締役会への任命については、
取締役指名委員会によって運営される手順が
確立しており、客観的な基準に照らして評価し
た候補者の実績に基づいて任命されます。すべ
ての取締役は年次株主総会の都度退任し、株
主の皆様による再任に臨むことができます。取
締役会では上級の役職への後継の状況を取締
役会のレベルも含めて年に一度見直し、後任
候補と定期的に連絡を取っています。
取締役会では、会社の戦略と方針を決定し、そ
の目標の達成に向けた進展を監視します。こ
のため、毎年正式に戦略の見直しを行うほか、
当社の株主の皆様その他に対する取締役会の
義務が理解され達成されているかについての
評価も行います。これには、当社の財務実績や
重要な業務上の問題に対する定期的な審議が
含まれます。
34
2006年12月の取締役会では、2006年第4四半
期に会長が各非常勤取締役とそれぞれの業
績、ならびに取締役会全体の業績について個
別に話し合った内容に関して、会長から報告が
ありました。最高経営責任者(CEO)と他の常
勤取締役が退席し、非常勤取締役がこれらの
取締役の業績について審議しました。さらに、
会長が退席し、シニア独立取締役が議長を務
め、その同じ12月の取締役会で会長の業績に
ついて審議しました。
取締役の選挙および再選挙
当社では2006年の通年にわたり取締役・役員
賠償責任保険に加入していました。2006年初
めには取締役会の各メンバーのために損害保
険に加入しました。定款第134条に基づき、現
在の取締役と役員は1985年会社法に従ってす
でに保護されていますが、最近の同法の改正
に伴い、質の高い有能な人材を確保するため、
現在の市場では企業が各取締役のために損害
保険に別途加入するのが一般的になっていま
す。本書の発行日現在、これらの損害保険は有
効に存続しており、各取締役が当社またはその
子会社の取締役として各自の権限を行使し、各
自の責務と責任を果たすことから生じる一切
の損害について、当社は法令と当社定款により
認められる範囲内で取締役を免責することが
規定されています。
取締役会の各委員会
2006年には6回の定例取締役会と1回の臨時取
締役会が開催されました。このうち5回はロン
ドンで、1回はセーデルテリエで行われ、残り
1回はテレビ会議でした。
現在の指名委員会の委員は次の通りです。
Louis Schweitzer(委員長)、Håkan Mogren、
Sir Peter Bonfield、Jane HenneyおよびJoe
Jimenez。
取締役の交代
昨年報告しましたように2006年1月1日付で、
David BrennanがCEOに任命されました。
非常勤取締役のDame Bridget Ogilvieは、
2006年4月27日に開催された年次株主総会で
取締役会から退任しました。同氏は9年にわた
り当社の非常勤取締役として勤務し、取締役
会の様々な委員会の委員を歴任してきました。
ごく最近では監査委員会と科学委員会の委員
を務めていました。
Professor Dame Nancy RothwellおよびJohn
Varleyは、それぞれ2006年4月27日付と2006年
7月26日付で非常勤取締役に任命されまし
た。
定款第65条に基づき、2007年4月の年次株主
総会ですべての取締役は退任します。年次株
主総会の案内状にて新任および再任に臨む取
締役立候補者について詳細をお知らせしま
す。Sir Peter BonfieldおよびErna Möllerの両名
は、2007年の年次株主総会で当社取締役を退
任する予定です。
現在の監査委員会の委員は次の通りです。
John Buchanan(委員長)、Jane Henneyおよ
びMichele Hooper。Dame Bridget Ogilvieも
2006年4月27日付で当社取締役を退任するま
で本委員会の貴重なメンバーでした。
現在の報酬委員会の委員は次の通りです。Sir
Peter Bonfield(委員長)、John Buchanan、
Joe Jiminez、Erna Möllerおよび(2006年7月
26日より)John Varley。
なお、Sir Peter BonfieldおよびErna Möllerの両
名は、2007年の年次株主総会で退任する予定
であり、Bonfield卿が務めていた委員長の役割
はJohn Varleyが引き継ぐ予定です。
現在の科学委員会の委員は次の通りです。
Jane Henney、Erna Möller、Dame Nancy
Rothwell(2006年のDame Bridget Ogilvieの
退任後、委員長に就任)
(以上のメンバーは全
員非常勤取締役)、Jan Lundberg、John PattersonおよびChristopher Reilly。
コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスに関する英国の統合
規範
取締役会では、2003年7月に英国の財務報告
審議会によって発行され、2006年6月に改正さ
れたコーポレートガバナンスに関する英国の統
合規範と関連ガイダンスに準拠して本報告書
を作成しました。
当社は統合規範に定められた優良なガバナン
スに関する基本的な規範および補助的な規範
をすべて適用しており、統合規範のすべての規
定を遵守しています。
内部管理とリスクマネジメント
取締役会は当社の内部管理システムに対し全
面的な責任を負っています。内部管理は、株主
の皆様の投資と当社の資産を守ることが目的
であり、それにより、会計の適正な記録を維持
し、事業や発表で使う財務情報が正確かつ信
頼できるものであり、またそれが会社の状況と
業績を公正に示すことを確実にします。取締役
はまた、内部管理システムの有効性を見直す
責任も負っています。このシステムは、事業の
効率的な運営と法律および規制の遵守を合理
的に保証するものです(必ずしも絶対的な保
証を与えるものではありません)。詳細につい
ては、下記の2002年米国企業改革法に関する
説明個所をご覧ください。
ターンブル報告書に定められたガイダンス
1999年9月にイングランド・ウェールズ勅許会
計士協会によりターンブル報告書「内部統制:
統合規範に関する取締役のためのガイダン
ス」が公表されたことに伴い、取締役は、グル
ープの管理システムの有効性、リスクマネジメ
ント、そして当社の高次の内部統制機構の見直
しに継続的に取り組んでいます。これらの見直
しには、内部統制の評価、特に経営陣が統制
の維持を保証することによって裏づけられた
財務面の内部統制の評価のほか、法定監査業
務の過程で明らかになった諸事項に関するグ
ループ内部監査部門および外部監査人からの
報告が含まれます。
こうした見直しの土台となっているのは、毎年
実施される「保証確認書」のプロセスであり、
責任者はこのプロセスにより、財務面および非
財務面の内部統制システムの妥当性とそれら
のシステムが当社のポリシーと関連法令・規則
(製薬業界の規制要件を含みます)に適合し
ていることを確認するとともに、何らかの統制
上の不備があれば当社の継続的な保証プロセ
スを通じて報告済みであることを確認していま
す。
したがって取締役は、当社は社内に組み込ま
れた有効な内部統制システムを維持しており、
ターンブル報告書のガイダンスを遵守している
と確信しています。
グループのリスクと管理に関する方針/リスク
諮問グループ
当社では、Group Risk & Control Policy(グルー
プのリスクと管理に関する方針)とそれを支え
る基準を取締役会で採用することによって、す
べての業務の重要な要素としてビジネスリスク
の管理を確認し様式化することを目指してきま
した。
ライン部門の管理については、専門のリスクマ
ネジメント・チームがサポートしており、重要な
リスクを特定し、適宜、関連部署へ伝達するよ
う徹底化を図っています。このチームの成果
は、各事業領域を代表する上級管理職社員で
構成されるリスク諮問グループ(RAG)によっ
て評価されます。RAGは、新たに出現するリス
クはもとより組織内の複数の部門に横断的に
影響するリスクについて検討するだけでなく、
ベストプラクティスを組織全体で共有すること
によりリスク管理の継続的な改善を促進する
うえでも重要な役割を担っています。RAGの議
長は最高財務責任者が務め、年2回、シニア・エ
グゼクティブ・チームに報告します。当社のリス
クプロファイルに関するRAGの報告書は、監査
委員会と取締役会の両方によって評価されま
す。
2002年米国企業改革法(Sarbanes-Oxley
Act)
アストラゼネカPLCのADS(米国預託株式)は
ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されて
おり、したがって当社は外資系企業に適用され
る米証券取引委員会(SEC)の報告その他の要
請に従っています。米国企業改革法(
Sarbanes-Oxley Act)は2002年7月末に施行さ
れました。当社はニューヨーク証券取引所に上
場しているため、外資系企業に適用される同
法の条項に従う必要があります。同法第404条
により、企業は財務報告の内部統制を確立す
る経営陣の責任について記載した経営陣によ
る報告書を、米証券取引委員会に提出する年
次報告書に含め、かかる内部統制の有効性を
毎年評価することを義務づけられています。さ
らに、外部監査人が経営陣の評価について証
明し、報告しなければなりません。大規模早期
登録会社(large accelerated filer)に該当する
外資系企業であるアストラゼネカは、まず、
2006年12月31日に終了する会計年度に関して
第404条を遵守する必要があります。
当社は外資系上場企業に適用される上述の条
項をすでに遵守しています。取締役会では、同
法が施行される以前に、当社がすでに健全な
コーポレートガバナンスの枠組み、財務状況お
よび業績に関する正確で時宜を得た適切な報
告プロセス、また効果的で堅固な内部統制シ
ステムを確立できていたと考えています。この
ため、当社は、主として既存のコーポレートガ
バナンスの枠組みおよび報告、内部統制、その
他の関連事項にまつわるプロセスを発展・調
整させることで同法を遵守しました。
財務報告の内部統制の有効性に関する取締役
会による評価については、31頁のファイナンシ
ャルレビュー(要旨)に記載しています。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)
当社は、NYSEでADSが取引されている外資系
上場企業として、米国企業がNYSE上場基準に
基づき遵守を義務づけられるコーポレートガバ
ナンスの慣行について見直しを行っており、当
社の慣行は全般的にそれらの基準に合致して
います。
行動規範
当社は、すべての子会社およびその社員が、高
潔さと誠実さという最高の倫理基準に従い、
充分なスキル、配慮、勤勉さ、公平さをもって
業務の遂行にあたることを要求し、これを方針
としています。当社の経営陣は、業務全体を通
して当社のCode of Conduct(行動規範)に定
めた基準を強化するよう努めており、特にすべ
ての社員に対して、Code of Conductの文書お
よびその精神、またその補足として当社が定
める高い倫理基準を遵守するよう求めていま
す。Code of Conductは当社のウェブサイト
(astrazeneca.com)でご覧いただけます。
最高経営責任者、シニア・エグゼク
ティブ・チームおよび権限の委任
最高経営責任者(CEO)は、取締役会から付与
された権限に基づき、特段に取締役会に留保さ
れている諸事項を除く一切の経営事項に関し
て、長期的な株主価値を高めるという第一の目
標の実現に向け、収益性を高める方向に沿って
当社を経営し、発展させる責任を負っていま
す。
CEOは、会社の方針、留保権限、日常的な報告
要件の枠組みの中で、会社の事業の経営と業
績について、取締役会に対して責任を負ってい
ます。CEOは特定の重要事項については取締役
会に決裁を仰ぐ義務があります。取締役会、取
締役会委員会、会長、CEO、シニア・エグゼクテ
ィブ・チーム(SET)の役割と、会社の権限の委
任先、留保権限、事業の運営方法、業務機能の
役割はすべて文書に記述されています。
35
AstraZeneca Annual Review 2006
CEOはまた、SETを設置し、その議長を務めてい
ます。CEOは取締役会から付与された権限に伴
う責任を完全に留保しつつ、SETの機構を通じ
て、当社の事業(Aptium
OncologyとAstra
Techを含む)に関わる権限を行使しています。
SETのメンバーは4~5頁に掲載の通りです。
SETは、通常、月1回会議を行い、重要な業務上
の問題について検討し決定するほか、通例、取
締役会の注意を要する、あるいは取締役会に
委ねるべき規模や重要性を有する事項につい
ても、取締役会の審議・決定に向けて提出する
前にそれらの事項について検討します。
情報開示ポリシーおよび開示委員会
当社では、株主や投資家の皆様が関心を持た
れる内部情報等の取り扱いと開示の枠組みを
定めた情報開示ポリシーを適用しています。ま
た、このポリシーには開示委員会の役割も規
定されています。開示委員会は最高財務責任
者が委員長を務め、定期的に会議を開いて、
CEOが内部情報とその開示について決定を下
せるよう手助けし、決定内容を伝達します。
監査人への情報開示
各取締役の知る限り、当社監査人が認識して
いない重要な監査情報は存在しないこと、な
らびに各取締役が重要な監査情報を入手し、
当社監査人がその情報について知っているよ
う確実にするため、取締役として実行すべきす
べての措置を講じていることが、2006年取締
役報告書承認日現在の在任取締役により確認
されています。
株式資本の変動
2006年における当社普通株式資本の変動は、
以下の表に掲載の通りです。
2006年1月1日現在
株式の発行 株式の買い戻し
株主への還元
当社が明言している配当ポリシーには、定期
的な配当金と株式買い戻しの要素が含まれ、
株主の皆様に利益を還元すると同時に、長期
的な資本構成の管理をより効果的に行える柔
軟な手段を講じています。
株主の皆様が何を優先されるかはそれぞれ異
なることから、取締役会では定期的な配当金
と株式買い戻しプログラムを組み合わせること
で、全株主グループの利益の均衡を図ることが
できると確信しています。
取締役会では株主利益に関する戦略の継続的
な見直しを行っており、収益に応じて配当を引
き上げる一方、1株当たり利益の対配当倍率を
少なくとも2倍にするという意図を2006年にも
改めて表明しました。
また取締役会では、フリーキャッシュフローが
まず必要とされるのは事業への投資であり、そ
のうえで株主の皆様に余剰金を還元すべきで
あると確信しています。したがって、取締役会
では2007年は株式買い戻しプログラムにより
株主の皆様に40億ドルを還元することを予定
していますが、社員によるストックオプション
の行使に伴う株式発行により2007年中にさら
なる余剰資金が生じた場合は、こうした追加資
金により株式買い戻しプログラムを拡大するこ
とについて取締役会で検討する予定です。
2006年には、普通株式7,220万株(額面0.25ド
ル)を総額41億ドルで買い戻し、消却しまし
た。一方、2006年には総額10億ドルの社員スト
ックオプションに関連して2,350万株が発行さ
れました。したがって2006年に買い戻された
正味株式数は4,870万株で、これは2006年1月
1日現在の当社の発行株式総数の3.1%に相当
します。
百万ドル
1,581
395
23
6
(72)
2006年12月31日現在
1999年の買い戻しプログラム開始以来、買い
戻し消却された普通株式の総数は2億8,280万
株、総額133億ドルとなります。この株式数は、
1999年に買い戻しプログラムが開始された当
時の当社発行株式総数の約15.9%に相当しま
す(30頁の表参照)。
36
株式数
(百万株)
1,532
(18)
383
当社は英国の法律ならびに英監督当局(FSA)
の上場規定、情報開示規定および目論見書に
関する規定を確実に遵守するため、自社株買
い戻しプログラムのすべての面に関して厳しい
管理を維持していきます。特に当社の開示委
員会は当社が禁止期間中に自社株を買い戻さ
ないことを徹底させています。当社は、2007年
の年次株主総会で、自社株の買い戻しについ
て、株主の皆様に新たに承諾を求める予定で
す。
債権者への支払に関するポリシー
英国産業連盟(CBI)のサプライヤーへの迅速
な支払に関する規約の遵守は、当社のポリシ
ーに正式に明記されていませんが、当社では
取引条件について取り決める際にその都度す
べてのサプライヤーと適切な支払条件につい
て合意するポリシーに従っており、サプライヤ
ーに対する支払条件の周知徹底を図り、取引
条件が遵守された場合には必ず支払条件を
守っています。AstraZeneca PLCの子会社にお
ける貸借対照表日付現在の債権者に対する未
払総額は、74日間の平均仕入額に相当しま
す。
年次株主総会
当社の2007年の年次株主総会は2007年4月
26日木曜日に開かれます。主要会場はロンド
ンです。ストックホルムにサテライト会場が用
意されます。
外部監査人
2007年の年次株主総会で、当社の監査人とし
てKPMG Audit Plc(ロンドン)を再任する議案
を提出する予定です。
取締役会を代表して
G H R Musker
グループ秘書役兼弁護士
2007年2月1日
取締役報酬報告書(要旨)
この取締役報酬報告書(要旨)は、Directors'
Remuneration Report Regulations 2002
(2002年取締役報酬報告書規定)に従って作
成 さ れて いま す。同 規 定 の 要 件 に 従 い 、
2007年4月26日木曜日に開催される年次株主
総会で、取締役報酬報告書の承認を求める議
案を提出する予定です。
報酬委員会は、Sir Peter Bonfield(委員長)、
John Buchanan、Joe Jimenez、Erna Möllerお
よび(2006年7月26日より)John Varleyの5名
で、委員は全員が非常勤取締役で構成されて
います。Sir Peter BonfieldおよびErna Möllerの
両名は2007年の年次株主総会で取締役の再
任 候 補 に 名 を 連 ね な い 意 向 で あり、
Bonfield卿が務めていた委員長の役割はJohn
Varleyが引き継ぐ予定です。
全体的な報酬のポリシーおよび目的
報酬委員会は取締役の報酬水準を決定するに
あたり、以下のような全社員に関するポリシ
ー、実践方法、その他の要因について検討しま
す。
当社はダイナミックな成果主義の文化を維持
することに努めています。成果主義の文化と
は、各社員が当社の目標を明確に理解すると
ともに、各自の業務がその目標に及ぼす影響
を理解し、高いレベルの成果を達成すること
で報酬を得るものです。こうした背景の下で、
取締役およびその他のシニア・エグゼクティブ
・チーム(SET)メンバーの個別の報酬が取締
役会と報酬委員会の審議において検討されま
す。
取締役会では、今期の取締役会のアプローチ
に沿って、当社の今後の全体的な報酬のポリ
シーおよび目的を次のようにすることを確認し
ています。
> 世界でベストの製薬企業の1社としてのポジ
ションを持続できるように、優秀な人材を引
きつけ定着させます。
> 社員が株主利益の持続的な向上に必要なレ
ベルの成果を達成できるよう環境を整えま
す。
これを達成するための報酬ポリシーおよび実
践方法は、次の通りです。
> 個人とチームの報酬を各レベルで業務の成
果に合わせる。
> 社員の能力が最大限に発揮できるよう奨励
する。
> 社員が自らの利益と株主の皆様の利益を結
び付けて考えるよう奨励する。
> 短期および長期的に社員を通じて業務上の
成果を達成し、優れた成果を評価するマネ
ージャーの責任をサポートする。
> 現実的かつ有益であるために地域を重視し
柔軟性を持つ。
> 市場ニーズに応じて現実的で有益であるよ
う社内で一貫性を持つ。
> 各雇用市場で競争力と高いコスト対効果を
持つ。
報酬パッケージの内容のコストおよび価値は、
包括的に考慮され、
下記の通り設計されていま
す。
> 短期および長期的な目標と連動して、業務
に関する内容の固定と変動部分の適切なバ
ランスを確実にとる。
> 市場の競争力を反映させる。
エグゼクティブ・ディレクターの報酬
2006年のエグゼクティブ・ディレクターに関す
る個別の項目は次の通りです。
> 年収―各エグゼクティブ・ディレクターの実
際の給与は、取締役会を代表する報酬委員
会によって決定され、英ポンドで設定されま
す。全エグゼクティブ・ディレクターの報酬条
件は、以下に記載するDavid Brennanの年金
(健康保険を含む)に関する取り決めを除
き、英国の基準に則っています。
2007年に向けて見直しを行ったエグゼクティ
ブ・ディレクターの年収は次の通りです。
– David Brennan 94万ポンド(2006年より
8.05%増)
– John Patterson 50万4,692ポンド
(2006年より3.50%増)
– Jonathan Symonds 60万ポンド(2006年
より8.15%増)
> 短期ボーナス
– 最高経営責任者は、
下記の基準に照らして
評価した業績に基づく年次ボーナスを受け
取る資格があり、このボーナスは年収の0~
180%の範囲で支払われ、目標業績を達成
した場合は年収の90%が支給可能でし
た。本ボーナスは年金受給の対象とはなり
ません。2006年のDavid Brennanのボーナ
スは104万9,220ポンド(年収の120.6%)で
した。2007年のボーナスも同様の範囲とな
ります。
– 最高財務責任者および開発担当エグゼク
ティブ・ディレクターは、
下記の基準に照ら
して評価した業績に基づく年次ボーナス
をそれぞれ受け取る資格があり、このボー
ナスは年収の0~150%の範囲で支払わ
れ、目標 業績を達成した場合は年 収の
75%が支給可能でした。本ボーナスは年
金受給の対象とはなりません。2006年の
Jonathan
Symondsのボーナスは56万
6 ,936ポンド(年 収の102. 2%)、J o h n
Pattersonのボーナスは48万9,124ポンド(
年収の100.3%)でした。2007年の両氏の
ボー ナスも 同 様 の 範 囲 となりま す。
エグゼクティブ・ディレクター(およびその他
のSETメンバー)の年次ボーナスを査定する
際の業績評価基準は、次の通りです。
– 50%は、1株当たり利益を基準とする。
– 25%は、個人の特定の担当領域の査定(ま
たは、最高経営責任者の場合は他の各
SETメンバーの成果の平均)に基づいて決
定する。
– 25%は、業務実績の質に対応した質的量
的バランスに基づいて決定する(以下の「
業績目標と業績評価」において説明しま
す)。
SETメンバーについては、確定したボーナスの
一部を3年間にわたって支払を繰り延べる規定
があり、繰り延べられる現在の割合は、エグゼ
クティブ・ディレクターの場合はボーナス(税
込み)の3分の1、他のSETメンバーの場合は6分
の1となっています。
> 長期報奨金
– エグゼクティブ・ディレクターはまた、数年
間にわたって当社の株価が上昇した場合
には、アストラゼネカ・ストックオプション
・プランに基づきストックオプションの付
与を受けることができます。上記オプショ
ンの付与は報酬委員会によって判断され
ます。同様に、報酬委員会は、適用する業
績目標と、オプションの付与や行使にその
業績目標を適用すべきかどうかについて
判断を行います。
– さらに2006年にはエグゼクティブ・ディレ
クター(およびその他のSETメンバー)は、
後述するアストラゼネカ業績連動ストック
・プランの参加資格を有していました。
> 年収同等額の株式を保有し、アストラゼネカ
・ストックオプション・プランに基づき取得し
た正味株式数については、オプション行使後
少なくとも6カ月間保有することが予想され
ています。
> 当社の柔軟な福利厚生制度に参加すること
により、その他の慣習的なベネフィット(車や
医療給付など)も受けることができます。
> 年金に関する取り決めについては以下に記
載します。 37
AstraZeneca Annual Review 2006
取締役報酬報告書(要旨)
(続き)
業績目標と業績評価
上述した2006年の短期ボーナスに関する重要
な要因としては、予測を上回る堅調な財務実績
と重要領域における卓越した進歩が挙げられ
ます。1株当たり利益は前年比34%増となり、全
世界の売上高は全体で11%増加し、主力製品
の売上は23%増加しました。また、営業利益は
28%増加し、研究開発部門への投資は16%増
加しました(上記データはすべて恒常為替レー
トベース)。開発パイプラインが強化されたこ
とにより、現在のプロジェクト件数は120(前年
は106)を数え、95の新規化合物と25のライフ
サイクル管理プロジェクトが含まれます。重要な
アウトソーシング活動としては、6件の重要なラ
イセンス契約と買収契約を本年中に締結したこ
と、特にCambridge Antibody Technology
Group plc.の買収が挙げられます。製品ライフ
サイクルの管理面で良好な進歩がみられ、米国
や欧州諸国において9件の申請を行い、9件の
承認を得ました。例えば、Crestor(アテローム
性動脈硬化症)とSeroquel SR(統合失調症)に
ついて欧州諸国および米国の両方で申請を行
いました。こうした業績は、コスト統制、生産性
向上、業績管理に重点を置いて継続的に取り
組んできたことが土台になっており、2006年の
ボーナス査定には以下の事項に関する明確な
目標に基づく2006年の全社の業績と関連部門
の業績が反映されました。
財務実績
研究開発活動の進歩
リスクマネジメント
経営幹部の能力開発と継承
コーポレートガバナンスおよび企業の社会
的責任
> 企業評価
>
>
>
>
>
2006年には、当社では戦略目標の達成に重点
を置いた活動をさらに強化するため、当社の
業績管理の枠組みを見直しました。2007年の
ボーナス査定には以下の事項に関する明確な
目標に基づく全社の業績と関連部門の業績が
反映される予定です。
>
>
>
>
Patients(患者さん)
Products(製品)
people(人材)
performance(業績)
これらの目標の詳細については26~27頁に記
載しています。
年金に関する取り決め
最高経営責任者は、旧Astra Merck社員に適用
される付帯条項に基づきアストラゼネカ米国
確定給付年金に加入しています。本制度の加
入者に提供される給付は非課税であり、本制
度の所定の方法と米国税法に基づく一定の限
38
度を超える確定年金は、補足的な非適格年金
により提供されます(英国会計勘定に計上さ
れている英国での勤務に関する確定額)。いず
れの制度も通常の年金受給開始年齢は65才で
す。ただし、下記のすべての条件を満たしてい
る場合は、適格年金では62才以前でも減額な
しで早期退職給付を受け取ることができま
す。
> 退職時の年齢と勤続年数の合計が85以上で
ある
> 1996年7月1日の時点で年齢と勤続年数の合
計が60以上であった
> 非高額所得社員の区分に該当する加入者で
あった
補足的な非適格年金は高額所得社員に関する
ものであり、非適格年金でも同様の早期退職
条件が適用されます。
退職後に死亡した場合、加入者が退職前に選
択していれば残された配偶者や被扶養者に支
払われる年金があります。
英国では2006年4月6日から年金税制に関する
一部の改正が施行されたことから、報酬委員
会は、今回の改正が英国エグゼクティブ・ディ
レクターの年金制度に及ぼす影響について検
討しました。報酬委員会では、将来の年金の
代わりに、エグゼクティブ・ディレクター各人の
選択に応じて毎年提供され支払われる一時金
を支給することを認めていますが、この一時金
については、代替的な年金給付全体の経費と
整合化が図られています。
開発担当エグゼクティブ・ディレクターは、選択
権を有する2006~2007年に関して一時金を受
け取るのではなく、当社が基本とする英国の
確定給付年金に引き続き加入することを選択
しました。本制度では通常の年金受給開始年
齢は62才です。しかし、加入者は60才から保険
数理による減額なしに確定年金を受け取るこ
とができます。また、早期退職の希望を会社が
承諾した場合は57才から、会社の要請により
退職した場合は50才から、減額なしで確定年
金を受け取ることができます。退職後に死亡し
た場合、退職後5年間は確定年金の全額の支
払が保証されており、その後は残された配偶
者や被扶養者がいる場合は、3分の2に減額さ
れた金額が支払われます。
最高財務責任者には、開発担当エグゼクティブ
・ディレクターに適用される確定給付年金制
度と同等の年金の取り決めに基づいて支給さ
れます。この取り決めの構成は、法定所得制限
の 適 用 に 端 を 発した も ので す。同 規 定 は
2006年4月に施行された英国年金税制改正後
に削除されましたが、同等の年金の取り決め
は現在も変更されておらず、以下の方法の組み
合わせにより年金が支給されます。
> 当 社 は 基 本 給 の 2 6 % を 毎 年 支 払う 。
Jonathan Symondsに関する2006年の当社
の年金関連負担額は17万2,000ポンドでし
た。この金額は、3月までの50%の料率によ
る3カ月分と上記の新しい料率による9カ月
分に相当します。
> 上記支給により、英国確定給付年金と同等
の給付が提供されない場合は、当社におい
て差額を埋め合わせます。
アストラゼネカ業績連動ストック・
プラン
2006年は、アストラゼネカ業績連動ストック・
プラン(「本プラン」)の施行から2年目となり
ます。
報奨の付与と確定
本プランは、AstraZeneca PLCの普通株式(「株
式 」)に関して、業績に連 動した報 奨(「報
奨」)として株式を付与することを規定していま
す(ただし、米国では米国預託株式の形で付与
される場合があります)。本プランの規則また
は報酬委員会の裁量により定められる例外的
な場合を除き、報奨の確定は、アストラゼネカ
グループにおける所定の業績目標と勤続期間
を満たすことが条件となります。報奨は年金受
給の対象とならず、譲渡することはできません
(ただし、本プランの参加者が死亡した場合
は除外され、その場合は参加者の遺言執行者
や遺産管理人に譲渡できます)。
参加基準
報酬委員会は、本プランに基づく報奨を承認
し、業績目標など本プランの運用方法に関す
るポリシーを定め、本プランへの参加を求める
社員を決定する責任を負っています。
通例、報奨はいつでも付与できますが、当社の
決算期間中は付与できません。昨年報告しま
したように、最初の報奨の認定は2005年6月
29日に行われました(「20 05年報 奨 」)。
2006年の報奨の認定は3月24日および5月19日
に行われました(「2006年報奨」)。これらの
付与の詳細については、40頁に掲載した表を
ご覧ください。
業績期間
2005年報奨の場合、業績目標の対象期間は
2005年1月1日から始まる3年間とされており、
2006年報奨に関しては、業績目標の対象期間
は2006年1月1日から始まる3年間となります。
業績目標
上記のいずれの報奨についても、業績目標は、
該当する3年間の当社の株主総利益(TSR)と、
選定した製薬企業12社からなる同業他社の同
期間のTSRを比較して評価されます。これらの
製薬企業は次の通りです。アボット・ラボラトリ
ーズ、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、イーライ
リリー、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・
エンド・ジョンソン、メルク、ノバルティス、ファ
イザー、ロシュ、サノフィ・アベンティス、シェリ
ング・プラウ、ワイス。
TSRとは、該当する業績期間の開始日からその
終了日までの期間中、一定数の株式について
株価の上昇と配当の再投資の推移を調べ、選
定した比較企業各社を当該期間のTSRの実績
に基づいてランク付けするものです。当該報奨
に基づき付与される株式数は、以下の報奨確
定表に従い、業績期間中の当社のTSRランキン
グにより決定されます。
当社の TSRランキング
中位より低い
中位
上位25%以内
報奨に基づき
確定する株式の割合
0%
30%
100%
中位から上位25%までの間ランキングに応じ
て按分した割合
短期変動の影響を軽減するため、該当する業
績期間の開始前および終了前3カ月間の各社
のTSRを算出して収益性指数を平均化していま
す。
報酬委員会は、当社のTSRの実績が比較企業
上位25%のTSRよりかなり上回っている場合
は、報奨により付与される株式にさらに最高
25%の株式を上乗せして認定する裁量を有し
ています。
報酬委員会は、その公正かつ妥当な活動によ
り上記業績目標がもはや適切ではないと信じ
るに至ったときは、当該事情を考慮のうえ業績
目標を変更するか、業績目標の適用をやめる
ことができます。
アストラゼネカ業績連動ストック・プランにお
ける2006年の業績
次頁のグラフは、各報奨について、該当する業
績期間の開始日から2006年12月31日までの当
社のTSRの実績が、比較企業各社のTSRと比べ
てどの程度であったか、また、この場合、当社
は同業他社との比較において何番目にランキ
ングされるかを表しています。
エグゼクティブ・ディレクターの雇用契約の詳細(2006年12月31日現在)
エグゼクティブ・ディレクター
雇用契約日
David R Brennan
Jonathan Symonds
John Patterson
2006年12月31日
現在の残存期間
通知期間
2006年1月1日
1年
1年
1998年5月20日
1年
1年
2005年1月1日
1年
1年
エグゼクティブ・ディレクターの雇用契約
株主の総利益
各エグゼクティブ・ディレクターの個別の雇用
契約については、上掲の表に詳しく記載してい
ます。エグゼクティブ・ディレクターの雇用契約
が解除される場合、状況次第では、当該エグゼ
クティブ・ディレクターが契約上の通知期間中
に受け取るはずであった給与とベネフィットに
相当する補償金の支払に加えて、開発担当エグ
ゼクティブ・ディレクターの場合は38頁に記載
した減額なしの年金受給資格を提供する責任
が当社に生じることがあります。現在のエグゼ
クティブ・ディレクターに関しては、当社の予想
では上記の責任は、1年間の基本給、設定ボー
ナスおよびその他のベネフィットが算定基礎に
なると思われます。エグゼクティブ・ディレクタ
ーの雇用契約を解除する場合の当社のポリシ
ーは、契約上の権利を上回るエグゼクティブ・
ディレクターに対する責任の負担を回避し、可
能な限り最大限度まで責任が軽減されるよう
に取り計らうことにあります。
2002年取締役報酬報告書規定では、取締役報
酬報告書において、当社株式の保有に係る5年
間の株主総利益(TSR)と、広範な株式市場の
株価指数の算出に使われる同種・同数の銘柄
を保有した場合のTSRを対比して表示したグラ
フを記載することが義務づけられています。当
社はファイナンシャルタイムズ100社(F TSE
100)株価指数の対象企業であり、したがって
次頁に掲載した本グラフには適切な指数とし
てFTSE 100株価指数を選択しています。本グラ
フは順次5年の期間の開始時に100社の株価
指数に基づいて再計算されます。
非常勤取締役の地位
非常勤取締役とは雇用契約を締結しておらず、
非常勤取締役には業績に連動したボーナスや
ストックオプションの付与を受ける資格はあり
ません。また、非常勤取締役のために年金拠出
金の払い込みは行われません。非常勤取締役
の報酬は、エグゼクティブ・ディレクターで構成
される取締役会委員会によって設定されま
す。
業績連動ストック・プランによる報
奨に関する取締役の権利
アストラゼネカ業績連動ストック・プランや
アストラゼネカ米国エグゼクティブ業績連動ス
トック・プランに基づく報奨の対象となる株式
または米国預託株式(ADS)に関する取締役
の権利については、46頁に掲載した取締役の
報酬一覧表には含めずに、次頁の表にまとめ
て記載しています。なお、
「設定株式数」とは、
確定率が100%の場合に確定する最大株式数
を指しています。
取締役会を代表して
G H R Musker
グループ秘書役兼弁護士
2007年2月1日
2006年の取締役の報酬
2006年12月31日に終了した年度の取締役の役
務について支払または計上された報酬総額
(年金拠出金ならびにストックオプションおよ
び業績連動ストック・プランによる報奨額を除
く)は、1,200万ポンド(2,100万ドル)となって
います。個別の取締役の報酬は46頁にポンド
換算および米ドル換算で記載されています。
39
AstraZeneca Annual Review 2006
取締役報酬報告書(要旨)
(続き)
グラクソ・スミスクライン(GSK)
4位
ブリストル・マイヤーズ
スクイブ(BMS)
ワイス
(WYE)
ロシュ(RCH)
シェリング・
プラウ(SP)
ジョンソン・エンド・
ジョンソン(J&J)
イーライリリー
(LLY)
ノバルティス
(NOV)
サノフィ・
アベンティス(SA)
ファイザー(PFI)
*出典:Thomson Financial Datastream
アストラゼネカ(AZ)
*出典:Thomson Financial Datastream
80
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
アボット・
ラボラトリーズ(ABT)
同業他社平均
TSR−2006年1月1日から12月31日までの
アストラゼネカと同業他社との比較
(2006年報奨の場合)*
メルク(MRK)
FTSE 100
メルク(MRK)
アストラゼネカ
アボット・
ラボラトリーズ(ABT)
イーライリリー
(LLY)
ブリストル・マイヤーズ
スクイブ(BMS)
0
2002年1月 2003年1月 2004年1月 2005年1月 2006年1月 2007年1月
アストラゼネカ(AZ)
サノフィ・
アベンティス(SA)
ノバルティス
(NOV)
ワイス
(WYE)
シェリング・
プラウ(SP)
ジョンソン・エンド・
ジョンソン(J&J)
50
ロシュ(RCH)
100
80
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
グラクソ・
スミスクライン(GSK)
150
3位
TSR−2005年1月1日から2006年12月31日までの
アストラゼネカと同業他社との比較
(2005年報奨の場合)*
ファイザー(PFI)
TSR−過去5年間のアストラゼネカと
同業他社との比較*
*出典:Thomson Financial Datastream
業績連動ストック・プランに基づく報奨に関する取締役(退任取締役を含む)の権利
権利を保有する報奨(設定株式数)
2006年1月1日現在 2006年12月31日現在
報奨および業績期間
または任命現在
または辞任日現在
報奨の 対象となる 設定株式数
報奨の
金銭的価値
(ポンド)1
認定日
確定予定日
2,174,993
2006年3月24日
2009年3月24日
543,740
2006年5月19日
2009年5月19日
David R Brennan
2006年報奨:2006年1月1日-2009年1月1日
–
73,109
73,1092
2006年報奨:2006年1月1日-2009年1月1日
–
19,092
19,092 合計
–
92,201
92,201
2,718,733
John Patterson
2005年報奨:2005年1月1日-2008年1月1日
41,945
41,945
41,9454
939,987
2005年6月29日
2008年6月29日
2006年報奨:2006年1月1日-2009年1月1日
–
32,319
32,3192
961,490
2006年3月24日
2009年3月24日
合計
41,945
74,264
74,264
Jonathan Symonds
2005年報奨:2005年1月1日-2008年1月1日
47,723
47,723
47,7234
1,069,472
2005年6月29日
2009年6月29日
2006年報奨:2006年1月1日-2009年1月1日
–
41,646
41,6462
1,238,968
2006年3月24日
2009年3月24日
2,308,440
合計
3
1,901,477
47,723
89,369
89,369
Sir Tom McKillop5
2005年報奨:2005年1月1日-2008年1月1日
104,417
104,417
104,4174
2,339,985
合計
104,4176
104,4176
104,417
2,339,985
2005年6月29日
2009年6月29日
該当する設定された割合の各取締役の給与額を、報奨認定日の1株当たりの株価で割って設定株式数を算出しました。
報奨認定日現在の株価は2,975ペンスでした。
3
報奨認定日現在の株価は2,848ペンスでした。
4
報奨認定日現在の株価は2,241ペンスでした。
5
2005年12月31日付で取締役を退任。
6
2005年取締役報酬報告書の74頁で説明しましたように、この報奨は今後按分されることになります。
1
2
アストラゼネカ米国エグゼクティブ業績連動ストック・プラン(2000年制定)に基づく報奨の対象となるAstraZeneca PLCのADSについて、2006年12月
31日現在、David Brennanが保有する権利は上掲の表に含まれておらず、以下の通りです。ADS 1株はアストラゼネカ普通株式1株に相当します。
Brennan氏が報奨確定予定日に無条件で権利を付与されるADS株式数は、3年間の業績期間におけるアストラゼネカの株主総利益と、米国
Pharmaceutical Human Resources Associationに加入する他企業の株主総利益を比較評価して決定されます。
認定された
認定された
報奨の当初の
2006年に
権利を保有する報奨(設定ADS株式数)
報奨(設定
金銭的価値
確定した報奨
2006年1月1日現在
2006年12月31日現在 ADS株式数)
(ドル) (ADS株式数)
David R Brennan
33,104
–
33,104
1,163,9371
31,780
–
28,826
28,826
28,826
1,344,1563
27,877
27,877
合計:
89,807
56,703
2
40
1,643,9792
–
27,877
4
1,124,837 –
–
89,807
3,632,930
31,780
1,643,979
報奨認定時の価格は35.16ドルでした。
2006年3月25日(報奨確定日)におけるADSの終値は51.73ドルでした。
3
報奨認定時の価格は46.63ドルでした。
4
報奨認定時の価格は40.35ドルでした。
1
2006年に
確定した報奨の
金銭的価値
2006年に
(ドル)
消滅した報奨
認定日
報奨確定
予定日
1,324 2003年3月25日 2006年3月25日
– 2004年3月26日 2007年3月26日
– 2005年3月24日 2008年3月24日
1,324 財務報告書(要旨)
独立監査報告書
この財務報告書(要旨)は、当社グループの財
務諸表、取締役報告書および取締役報酬報告
書に記載された情報の要約であって、当社グ
ループの正式の年次財務諸表、取締役報告書
および取締役報酬報告書とは異なり、当社グ
ループの業績および事業状況に関して完全に
理解していただくのに十分な情報を提供してい
るとはいえません。より詳細な情報を必要とさ
れる株主の皆様には、当社グループのAnnual
ReportおよびForm 20-F Informationを1部無
料で入手する権利があります。これは当社登録
事務所の事務局で配布しています。
1 9 8 5 年 会 社 法 第 2 5 1 条 の 規 定 に 基 づく
ASTRAZENECA PLCの監査報告書
私たちは42~46頁に掲げられた財務報告書要
旨を監査しました。この報告書は1985年会社
法第251条に従って、団体としての当社の構成
員に対してのみ報告されたものです。私たちの
監査はこのような報告書の中で報告を必要と
する事項について、当社の構成員に報告できる
ように意図されており、他のいかなる目的を意
図したものでもありません。法律が認める限
り、私たちは私たちの監査、本報告書、あるい
は私たちの意見に対して、アストラゼネカ社お
よび団体としてのアストラゼネカ社の構成員以
外のいかなる人物に対しても責任を認めたりあ
るいは負ったりすることはありません。
42~46頁に記載された財務報告書(要旨)は
2007年2月1日に取締役会において承認され、
取締役会を代表して以下の取締役により署名
されました。
David R Brennan Jonathan Symonds
取締役
取締役
取締役および監査人の責任
取締役は、関連法規に従ってAnnual
2006を作成する責任があります。
Review
私たちの責任はAnnual Review 2006に記載さ
れている財務報告書要旨が、正式な年次財務
諸表、取締役報告書および取締役報酬報告書
に合致しており、1985年会社法第251条および
これに基づく諸規則によって定められている
要件を遵守しているか否かに関して、自らの意
見を表明することにあります。
意見の根拠
私たちは、監査業務委員会が発行したBulletin
1999/6「財務報告書要旨に関する監査人のス
テートメント」に基づいて作業を行いました。グ
ループの正式な年次財務諸表に掲げられた私
たちのステートメントには、これらの財務諸表
と取締役報酬報告書に関する監査人の意見の
根拠が説明されています。
監査意見
私 た ち の 意 見 で は 、財 務 報 告 書 要 旨 は
AstraZeneca PLCの2006年12月31日に終了し
た年度の正式な年次財務諸表、取締役報告
書、取締役報酬報告書に合致しており、1985年
会社法第251条およびこれに基づく諸規則によ
って定められている要件を遵守しています。
2007年2月1日
KPMG Audit Plc
勅許会計士
登録監査人
8 Salisbury Square
London EC4Y 8BB
私たちはまたAnnual Review 2006に記載され
ている他の情報を読み、明らかな虚偽の記載
または財務報告書(要旨)との重大な不一致を
認めた場合、それが私たちの報告に与える影
響を検討します。
41
AstraZeneca Annual Review 2006
連結損益計算書
12月31日終了年度
2006年
$m
2005年
$m
2004年
$m
売上高
26,475
23,950
21,426
売上原価
(5,559)
(5,356)
(5,193)
物流費用
(226)
(211)
(177)
研究開発費
(3,902)
(3,379)
(3,467)
販売費および一般管理費
(9,096)
(8,695)
(8,268)
その他の営業収益および営業費用
524
193
226
営業利益
8,216
6,502
4,547
合弁会社における持分の売却利益
–
–
219
金融収益
888
665
532
金融費用
(561)
(500)
(454)
税引前利益
8,543
6,667
4,844
税金 (2,480)
(1,943)
(1,161)
当期利益
6,063
4,724
3,683
株主持分損益:
少数株主持分損益
6,043
20
4,706
18
3,664
19
基本的額面0.25ドル普通株式1株当たり利益
$3.86
$2.91
$2.18
希薄化後額面0.25ドル普通株式1株当たり利益 $3.85
$2.91
$2.18
加重平均発行済普通株式数(百万株)
1,564
1,617
1,673
希薄化後加重平均発行済普通株式数(百万株)
1,570
1,618
1,675
当期配当金
2,217
1,676
1,408
2006
$m
2005
$m
2004
$m
6,063
4,724
3,683
922
(1,052)
744
(20)
(10)
31
(108)
(35)
(179)
すべての活動は継続事業に関連するものです。
連結認識損益計算書
12月31日終了年度
当期利益
合併に対する外国為替変動調整額等
株主持分に繰り入れた売却可能有価証券評価(損)益 (Available for sale (losses)/gains taken to equity)
保険数理による当期損失 (Actuarial loss for the period)
準備金に直接繰り入れた項目に適用される税金 (Tax on items taken directly to reserves)
137
(25)
416
931
(1,122)
1,012
当期総認識損益
6,994
3,602
4,695
株主持分損益:
少数株主持分損益
6,970
24
3,595
7
4,690
5
2004年に準備金に直接繰り入れた項目に適用される税金には、2000年に生じた外国為替換算差損に関連する3億5,700万ドルの控除が含まれてい
ます。
$mは百万ドルを表します。
42
連結貸借対照表
12月31日現在
2006年
$m
2005年
$m
2004年
$m
7,453
6,985
8,097
3,050
資産の部
固定資産
有形固定資産
無形固定資産
4,204
2,712
その他の長期投資
119
256
262
繰延税金資産
1,220
1,117
1,218
12,996
11,070
12,627
2,250
2,206
3,020
流動資産
棚卸資産
売掛金その他の受取債権
5,561
4,778
4,620
その他の短期投資
657
1,624
1,198
所得税還付未収金
1,365
183
120
現預金等価物
7,103
4,979
4,067
16,936
13,770
13,025
資産合計
29,932
24,840
25,652
負債の部
流動負債
利付き短期借入金
(136)
(90)
(142)
買掛金その他の支払債務
(6,334)
(5,466)
(5,478)
未払所得税
(2,977)
(1,283)
(967)
(9,447)
(6,839)
(6,587)
固定負債
利付き長期借入金
(1,087)
(1,111)
(1,127)
繰延税金負債
(1,559)
(1,112)
(1,328)
退職給付債務
(1,842)
(1,706)
(1,761)
引当金等
(327)
(309)
(266)
その他の長期未払金
(254)
(72)
(86)
(5,069)
(4,310)
(4,568)
負債合計
(14,516)
(11,149)
(11,155)
純資産
15,416
13,691
14,497
資本の部
資本金および資本準備金
株式資本金
383
395
411
550
株式払込剰余金
1,671
692
株式償還積立金
71
53
36
合併積立金
433
433
433
その他の積立金
1,398
1,345
1,384
利益剰余金
11,348
10,679
11,590
14,404
15,304
13,597
少数株主持分
112
94
93
資本合計
15,416
13,691
14,497
42~46頁に記載された財務報告書(要旨)The Summary Financial Statementsは2007年2月1日に取締役会において承認され、取締役会を代表して
以下の取締役により署名されました。
David R Brennan
取締役
Jonathan Symonds
取締役
43
AstraZeneca Annual Review 2006
連結キャッシュフロー計算書
12月31日終了年度
2006年
$m
2005年
$m
2004年
$m
事業活動によるキャッシュフロー
税引前利益
8,543
6,667
4,844
金融収益および費用
(327)
(165)
(78)
合弁会社における持分の売却利益
–
–
(219)
減価償却費、償却費および減損額
1,345
1,327
1,268
売掛金その他の受取債権の増加
(470)
(502)
(207)
棚卸資産の減少
158
596
129
買掛金その他の支払債務の増加
420
238
11
263
220
384
資金移動を伴わないその他の費用の変動
事業活動から得られた資金
9,932
8,381
6,132
支払利息
(70)
(32)
(69)
支払税金
(2,169)
(1,606)
(1,246)
事業活動からの正味キャッシュフロー
7,693
6,743
4,817
投資活動によるキャッシュフロー
事業の買収
(1,148)
–
–
事業の売却
–
–
355
短期投資および固定性預金の変動
1,120
(491)
1,855
有形固定資産の取得
(794)
(810)
(1,063)
有形固定資産の売却
35
87
35
無形固定資産の取得
(545)
(157)
(215)
無形固定資産の売却
661
–
–
(117)
長期投資の取得
(17)
(12)
長期投資の売却
68
–
–
受取利息
352
206
119
少数株主に対する子会社の支払
(4)
(5)
(5)
受取配当金
–
–
6
投資活動からの正味キャッシュフロー
(272)
(1,182)
970
財務活動前の正味キャッシュフロー 7,421
5,561
5,787
財務活動によるキャッシュフロー
株式の発行による受取額
985
143
102
自社株買い戻し
(4,147)
(3,001)
(2,212)
貸付金
–
–
746
借入金の返済
–
–
(21)
配当金の支払
(2,220)
(1,717)
(1,378)
短期借入金の変動
16
3
2
財務活動からの正味キャッシュフロー
(5,366)
(4,572)
(2,761)
当期現預金等価物の正味増加高
2,055
989
3,026
現預金等価物期首残高
4,895
3,927
872
為替変動の影響
39
(21)
29
現預金等価物期末残高
6,989
4,895
3,927
44
配当金
2006年
1株当たり
2005年
1株当たり
2004年
1株当たり
2006年
$m
2005年
$m
2004年
$m
2006年3月に支払われた前期確定配当金
$0.920
$0.645
$0.540
1,453
1,061
914
2006年9月に支払われた中間配当金 $0.490
$0.380
$0.295
764
615
494
$1.410
$1.025
$0.835
2,217
1,676
1,408
後日、確定配当金として支払われる当期第2回中間配当金は1株当たり1.23ドル、総額18億8,500万ドルです。この配当金は2007年3月19日に支払の予
定です。
配当金の支払に伴い、300万ドルの為替差損(2005年は4,100万ドルの為替差損、2004年は3,000万ドルの為替差益)が発生しました。これらの為替
差損益は金融収益および金融費用に含まれます。
1株当たり利益
2006年
2005年
2004年
特別損益調整前当期利益($m)
6,043
4,706
3,378
税引後特別損益($m)
–
–
286
当期利益($m)
6,043
4,706
3,664
特別損益調整前普通株式1株当たり利益
$3.86
$2.91
$2.01
特別損益にかかわる普通株式1株当たり利益
–
–
$0.17
普通株式1株当たり利益
$3.86
$2.91
$2.18
$3.85
$2.91
$2.01
希薄化後特別損益にかかわる普通株式1株当たり利益
–
–
$0.17
希薄化後普通株式1株当たり利益
$3.85
$2.91
$2.18
加重平均発行済普通株式数(百万株)
1,564
1,617
1,673
ストックオプション残高の希薄効果(百万株)
6
1
2
希薄化後加重平均発行済普通株式数(百万株)
1,570
1,618
1,675
希薄化後特別損益調整前普通株式1株当たり利益
社員ストックオプション制度を除いて、未発行株式に係わるオプション、ワラントまたは新株引受権の残高は存在していません。上の計算に使用され
た利益の数値は、普通株式1株当たりの希薄化後利益の計算用に変更はされていません。2004年の特別損益調整前普通株式1株当たり利益は、次の
2つの項目による影響を除外して算出しています―合弁会社における持分の売却による税引後利益(2億2,800万ドル)と、米税務当局との合意によ
り、2002年に計上したZoladexの和解金の一部が税控除の対象として認められたことに伴う減税額(5,800万ドル)。
後発事象
当社は期末後に、Bristol-Myers Squibb CompanyおよびPalatin Technologies Inc.の各社と2つの共同研究開発契約書を締結し、それぞれ頭金とし
て1億ドルと1,000万ドルを支払っており、これらの支出額については2007年に無形資産として計上する予定です。Bristol-MyersSquibb社との提携は、
2型糖尿病治療薬として試験中の2種類の治験薬の開発・商品化に関するものです。このほか、Arrow Therapeutics Ltd.の全株式を1億5,000万ドルで
買収する契約書を締結しています。Arrow Therapeutics Ltd.は非公開会社で、抗ウイルス治療薬の探索研究・開発に重点的に取り組んでいる英国の
バイオテクノロジー企業です。
45
AstraZeneca Annual Review 2006
2006年の取締役の報酬
2006年12月31日に終了した年度の取締役の役務について支払または計上された報酬総額(年金拠出金ならびにストックオプションおよび業績連動
ストック・プランによる報奨額を除く)は、1,200万ポンド(2,100万ドル)となっています。個別の取締役の報酬は以下にポンド換算および米ドル換算
で記載されています。取締役の給与、報酬、ボーナスおよびその他の給付はすべて英ポンドで設定されています。
ポンド
給与および
報酬
現金
£’000
£’000
ボーナス
株式1
£’000
課税対象
給付
£’000
その他
£’000
2006年
総額
£’000
2005年
総額
£’000
2004年
総額
£’000
260
312
Louis Schweitzer
260
–
–
–
–
260
David R Brennan
942
699
350
1
671
2,663
John Patterson
483
326
163
14
21
Jonathan Symonds
3
該当なし
1,007
1,049
該当なし
970
819 598
378
189
6
5
1,176
1,269
Sir Peter Bonfield
82
–
–
–
–
82
82
76
John Buchanan
69
–
–
–
–
69
69
61
Jane Henney
57
–
–
–
–
57
57
54
Michele Hooper
49
–
–
–
–
49
49
43
Joe Jimenez
Håkan Mogren
Erna Möller
49
–
–
–
–
49
49
43
100
–
–
–
–
100
100
4794
57
–
–
–
–
57
57
54
Dame Bridget Ogilvie 18
–
–
–
–
18
57
54
Dame Nancy Rothwell6
30
–
–
–
–
30
–
–
John Varley7
21
–
–
–
–
21
–
–
Marcus Wallenberg
40
–
–
–
–
40
49
46
5
退任取締役
その他8
–
–
–
–
–
–
2,289
2,115
合計 2,855
1,403
702
21
697
5,678
6,255
4,026
給与および
報酬
現金
$’000
$’000
ボーナス
株式1
$’000
課税対象
給付
$’000
その他
$’000
2006年
総額
$’000
2005年
総額
$’000
2004年
総額
$’000
476
562
米ドル
Louis Schweitzer
475
–
–
–
–
475
David R Brennan
1,720
1,278
639
2
1,226
4,865
John Patterson
Jonathan Symonds
Sir Peter Bonfield
3
1,499 該当なし
883
596
298
25
37
1,839
1,918
該当なし
1,093
691
345
11
9
2,149
2,321
1,764
150
–
–
–
–
150
150
138
John Buchanan
126
–
–
–
–
126
126
111
Jane Henney
104
–
–
–
–
104
104
98
89
–
–
–
–
89
90
78
Michele Hooper
Joe Jimenez
89
–
–
–
–
89
90
78
Håkan Mogren
183
–
–
–
–
183
183
8714
Erna Möller
104
–
–
–
–
104
104
98
Dame Bridget Ogilvie5
34
–
–
–
–
34
104
98
Dame Nancy Rothwell6
56
–
–
–
–
56
–
–
John Varley 39
–
–
–
–
39
–
–
Marcus Wallenberg
73
–
–
–
–
73
90
84
7
退任取締役
その他8
–
–
–
–
–
–
4,191
3,847
合計 5,218
2,565
1,282
38
1,272
10,375
11,446
7,321
本欄の数字は、2006年のボーナスのうち保有株式による支給が3年間繰り延べられる部分を表しています。
通年ではありません。
3
2005年3月14日付で取締役に任命されたため通年ではありません。
4
補償金45万ポンド(81万8,000ドル)、2004年8月までの非常勤取締役報酬2万9,000ポンド(5万3,000ドル)を含みます。
5
2006年4月27日付で取締役を退任したため通年ではありません。
6
2006年4月27日付で取締役に任命されたため通年ではありません。
7
2006年7月26日付で取締役に任命されたため通年ではありません。
8
Sir Tom McKillopの2005年報酬総額225万3,000ポンド(412万5,000ドル)のほか、Åke Stavlingに対する最終支払額3万6,000ポンド(6万6,000ドル)を含みます。
1
2
46
グループ財務データ
12月31日終了年度
売上高および利益
売上高
2003年
$m
2004年
$m
2005年
$m
2006年
$m
18,849
21,426
23,950
26,475
売上原価
(4,463)
(5,193)
(5,356)
(5,559)
物流費用
(162)
(177)
(211)
(226)
研究開発費
(3,012)
(3,467)
(3,379)
(3,902)
販売費および一般管理費
(7,393)
(8,268)
(8,695)
(9,096)
その他の営業収益および営業費用
188
226
193
524
営業利益
4,007
4,547
6,502
8,216
合併会社における持分の売却利益
–
219
–
–
金融収益
381
532
665
888
金融費用
(311)
(454)
(500)
(561)
税引前利益
4,077
4,844
6,667
8,543
税金
(1,033)
(1,161)
(1,943)
(2,480)
3,044
3,683
4,724
6,063
当期利益
当社株主持分損益
3,022
3,664
4,706
6,043
少数株主持分損益
22
19
18
20
1株当たり利益
特別損益調整前額面0.25ドル普通株式1株当たり利益
$1.77
$2.01
$2.91
$3.86
額面0.25ドル普通株式1株当たり利益(基本)
$1.77
$2.18
$2.91
$3.86
額面0.25ドル普通株式1株当たり利益(希薄化後)
$1.77
$2.18
$2.91
$3.85
配当金
$0.725
$0.835
$1.025
$1.410
売上利益率
営業利益(対売上高比率)
21.3%
21.2%
27.2%
31.0%
利益対固定費率(IFRS)
100.4
93.6
85.6
92.7
2003年
$m
2004年
$m
2005年
$m
2006年
$m
10,574
11,147
9,697
11,657
12月31日現在
貸借対照表
固定資産(有形および無形)
その他の投資
133
262
256
119
繰延税金資産
1,261
1,218
1,117
1,220
流動資産
11,593
13,025
13,770
16,936
資産合計
23,561
25,652
24,840
29,932
流動負債
(6,558)
(6,587)
(6,839)
(9,447)
固定負債
(3,828)
(4,568)
(4,310)
(5,069)
純資産
13,175
14,497
13,691
15,416
資本および資本準備金
13,086
14,404
13,597
15,304
少数株主持分
89
93
94
112
株主持分および準備金合計
13,175
14,497
13,691
15,416
2003年
$m
2004年
$m
2005年
$m
2006年
$m
事業活動による正味キャッシュフロー
3,368
4,817
6,743
7,693
投資活動による正味キャッシュフロー
(852)
970
(1,182)
(272)
財務活動による正味キャッシュフロー (2,674)
(2,761)
(4,572)
(5,366)
(158)
3,026
989
2,055
12月31日終了年度
キャッシュフロー
47
AstraZeneca Annual Review 2006
株主情報
アストラゼネカ
発行済普通株式-百万株
期末現在
当期加重平均発行済普通株式数
株価-額面0.25ドル普通株式1株当たり
最高値(ペンス)
最安値(ペンス)
期末現在株価(ペンス)
発行済株式の所有数別の状況(2006年12月31日現在)
2002年
2003年
2004年
2005年
1,719
1,693
1,645
1,581
1,532
1,733
1,709
1,673
1,617
1,564
3625
2868
2749
2837
3529
1799
1820
1863
1861
2574
2220
2680
1889
2829
2744
2006年
所有規模別
株式数 2006年
%
1 – 250
0.5
251 – 500
0.7
501 – 1,000
0.9
1,001 – 5,000
1.3
5,001 – 10,000
0.2
10,001 – 50,000
1.0
12.3
50,001 – 1,000,000
1,000,001-†
83.1
発行済株式総数
100.0
† VPCおよびADRの保有を含む
2006年12月31日現在、AstraZeneca PLCには137,137名の株主が登録されており、所有株式数は額面0.25ドル普通株式1,532,245,608株です。2006年
12月31日現在、ADR(米国預託証券)の株主数は約100,000名で発行済株式の10.48%を占めており、またVPC Services Agreementのもと157,000名
の株主が発行済株式の23.32%を占めています。それぞれのADRは普通株式1株に相当し、JP Morgan Chase Bankから発行されています。
2006年株式配当
米ドル
英ペンス
スウェーデンクローナ
支払日
第1回中間配当分
0.49
26.6
3.60
2006年9月18日
第2回中間配当分
1.23
63.0
8.60
2007年3月19日
合計 1.72
89.6
12.20
2006年配当金の支払い
2006年3月19日に支払われる2006年第2回中間配当の基準日は2007年2月9日(英国、米国およびスウェーデン)に設定されています。ロンドン証券
取引所およびストックホルム証券取引所で2007年2月7日以降に取引されている株式は配当落ちとなっています。また、ニューヨーク証券取引所で
は、同日以降、配当落ちADRが取引されています。2007年以降の配当金は、通常、以下の予定により支払われます。
第1回中間配当: 7月に発表、9月に支払を実施。
第2回中間配当: 1月(または2月)に発表、3月に支払を実施。
2007年9月17日に支払予定(英国、米国およびスウェーデン)の2007年第1回中間配当の配当基準日は、2007年8月10日です。
2007年財務カレンダー
2007年4月26日
年次株主総会および2007年第1四半期決算発表
2007年7月26日
2007年第2四半期決算および上半期決算発表
2007年11月1日
2007年第3四半期決算および9カ月決算発表
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正式なANNUAL REPORTおよびFORM 競争状態にかかわる記述
20-F INFORMATIONの入手方法
将来予想に関する記述についての
警告文
当社ではAnnual ReportとForm 20-F Informationのほか、それほど詳細な情報を必要とされ
ない投資家の皆様向けに本Annual Reviewを
発行しています。いずれの文書も当社のウェブ
サイト(astrazeneca.com)でご覧いただけま
す。株主の皆様が正式なAnnual
Reportと
Form 20-F Informationの受領を希望される旨
を当社の株主登録機関に通知されていない限
り、本Annual Reviewは発行日現在の全株主に
送付されます。あるいは別の方法として、株主
の皆様はShareviewにおいて登録されること
により、財務報告書が発行された際に電子メー
ルによる通知の受領を選択することもできま
す。冊子形態の財務諸表は、当社事務局にご
連絡をいただければ送付させていただきま
す。
Annual Reviewは、当社の株主の皆様に情報
を提供することを目的としていますが、特に米
国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act 1995)の「セーフハーバ
ー」規定の適用を受けるため、当社は以下の
警告文を発します:本Annual Reviewには、
アストラゼネカグループの事業運営、業績およ
び財政状態にかかわる将来予想に関する記述
が一部記載されています。当社では予想は合
理的な仮定に基づいていると考えていますが、
将来予想に関する記述は、その性質上リスクや
不確実要素を伴い、様々な要因の影響を受け
る可能性があり、かかる要因によって実際の成
果や結果は、予測と大幅に異なったものになる
可能性があります。将来予想に関する記述は、
本Annual Reviewの作成日現在入手可能なデ
ータや情報を反映しており、当社がこうした将
来予想に関する記述を更新する義務を負うも
のではありません。将来予想に関する記述の
中で当社が使用している言葉として、
「期待」
「
考え」
「予想」
「意図」などが挙げられますが、
それと類似した表現も使用しています。実際の
結果が将来予想に関する記述と大幅に異なっ
たものになる重要な要因には、当社にとって不
可抗力のものが含まれます。かかる要因とし
て、特に次のことが挙げられます:特許権や独
占販売または商標の消失ないし満了、実質的
な悪影響を及ぼす訴訟/政府の調査要求およ
び不十分な保険の補償範囲に関するリスク、
為替相場の変動、研究開発の結果商業的成功
につながる新製品が開発されないリスク、戦略
的提携が不成功に終わるリスク、競争による
影響、価格統制および価格の下落、課税のリス
ク、多額の製造物責任請求、サードパーティが
材料やサービスを供給できない場合の影響、
不適切な危機管理に伴うリスク、新製品の上市
が遅れるリスク、製品に対する規制当局の承認
を獲得し維持することが困難な状況、規制当
局の取り締まりに従わないことのリスク、新製
品が期待通りに機能しないリスク、環境に関す
る法的責任を被ることのリスク、新興市場での
事業活動に伴うリスク、評判にダメージを受け
るリスク、製品が偽造されるリスク。したがっ
て、本Annual Reviewは絶対に利益を予測する
ものと解釈しないでください
Shareview
アストラゼネカの株主の皆様でインターネット
にアクセスできる方は、shareview.co.ukで必要
事項を登録していただくと、ポートフォリオが
作成されます。Shareviewは、当社の株主登録
機関であるLloyds TSB Registrarsが運営する無
料で安全なオンラインサービスで、損益の推
移、株価表示、最近の配当に関する情報など
をご覧いただけます。
商標
アストラゼネカグループの商標は本文書中、斜
体で表示しています。AstraZenecaのロゴ、シン
ボルはすべて、アストラゼネカグループの商標
です。アストラゼネカ以外の他社の商標には
®またはTMの表示を付記しております。
用語の使用
本Annual Reviewでは、文脈上他を意味する
場合を除いて、
「アストラゼネカ」
「当社グルー
プ」
「全社」
「当社」
「私たち」
「私たちの」とい
う用語は、AstraZeneca PLCとその連結会社を
意味します。
特に記載がなければ、本Annual Reviewに掲
載されており、当社の事業または製品のおか
れた状況を、競合他社ないし競合製品との関
連で説明される市場情報は、医薬品業界に統
計 資 料 を提 供 する大 手リサー チ 会 社 I M S
Healthから入手したデータに基づいています。
当該資料は、2006年9月30日に終了した12カ月
間を対象にした公表されているデータです。他
に記載がなければ、IMS Healthから入手したマ
ーケットシェアおよびデータは、当該期間にお
ける当社の総売上高を競合他社および市場全
体の売上高と比較することによって算出してい
ます。本Annual Reviewでは、医薬品の世界市
場等に関する言及は、IMS
HealthのMIDAS
Quantumデータベースに収録されている52カ
国のデータに関するものであり、これはIMS
Healthの監査対象国の約95%(金額ベース)
に相当します。
ShareGift
アストラゼネカはすべての株主の皆様を、所有
株式の多寡に関わらず歓迎し重要視していま
す。しかし、少数の株式を保有されている株主
の皆様で、その株式の価値が売却しても経済
的でない場合、現在あるいは将来において、そ
の株式をShareGiftを通じて慈善団体に寄付す
ることを 望 まれ るか もし れ ま せ ん 。
ShareGiftは独立した慈善株式寄付スキームで
す。このスキームの特徴の1つは、ShareGiftを
通じた株式の寄付には英国で課税対象となる
キャピタルゲインもロスも発生しないことで、
現在は寄付によって英国での所得税が減額さ
れる場合もあります。ShareGiftについての詳
細はウェブサイトsharegift.orgをご覧いただく
か、ShareGift(電話番号:020-7337-0501、住
所:46 Grosvenor Street, London W1K 3HN)
までお問い合わせください。株式の寄付に関
する英国での税金の状況についての詳細は、
英国歳入関税庁(ホームページ:hmrc.gov.
uk)にお問い合わせください。寄付に必要な株
式譲渡の書類は、アストラゼネカの株主登録
機関であるLloyds TSB Registrars(ホームペー
ジアドレスは本書背表紙に掲載)から入手でき
ます。ShareGift はOrr Mackintosh Foundation(慈善団体登録番号:1052686)によって
運営されています。
Contact Information
Registered office
and corporate headquarters address
AstraZeneca PLC
15 Stanhope Gate
London W1K 1LN
UK
Tel: +44 (0)20 7304 5000
Fax: +44 (0)20 7304 5151
Investor relations contacts
UK: as above or e-mail
IR@astrazeneca.com
Sweden:
AstraZeneca AB
SE-151 85 Södertälje
Sweden
Tel: +46 (0)8 553 260 00
Fax: +46 (0)8 553 290 00
or e-mail
IR@astrazeneca.com
US:
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1800 Concord Pike
PO Box 15438
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DE 19850-5438
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Fax: +1 (302) 886 2972
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