5月号 - 河北総合病院

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社会医療法人 河北医療財団 河北総合病院広報誌 ● No.136
● 特集
河北総合病院院長からのメッセージ
臨床の現場から
じ
▶ 痔核
(いぼ痔)の治療
5
2015年
月号
●
特 集
河北総合病院院長からのメッセージ
地域の健康を支援するため
向上し続ける病院を目指します
昨年 6 月に河北総合病院院長に就任した清水利夫院長から、
河北総合病院が目指す方向についてご説明します。
常によりよい病院を目指して
能評価機構の認定を受けました。今
河北総合病院が開院したのは 1928
でこそ、医療の安全への取り組みは
年。最初は病床数 30 床でスタート
当たり前で、医療の質の向上はどの
しましたが、その後、地域の方々の
病院に対しても求められていますが、
要望に応えて、施設、診療科を拡充
当院では、地域の皆さんに安全で質
し、私が当院に就職した 1989 年に
の高い医療を提供するために、20年
は 290 床規模の総合病院となってい
以上前から病院を挙げてより良い病
ました。その頃から病院は予防医学、
院を目指して取り組んできました。
周産期医療、在宅医療に力を入れ、
高円寺の健診センターが開設されま
した。私も在宅の患者さんの往診を
した記憶があります。
2
り、1998年に1回目の日本医療機
正しい知識に裏付けられた医療を
私は外科医として当院に着任して
いたときに、後天性免疫不全の患者
現在は、年間 8,000 台以上の救急
さんの虫垂炎の手術を行ったことが
車を受け入れる急性期病院の役割
あります。当時は、エイズ・HIV の
も果たしています。小児病棟を備え、
患者さんの受け入れを躊躇する医療
小児救急の受け入れが可能なのは、
機関が少なくありませんでした。し
杉並区では当院のみです。
かし、当院は「 正しい知識に裏付け
ちゅうちょ
また、当院は 1990 年代当初から
られた医療 」を提供するという考え
医療の質向上に向けて取り組んでお
のもと、他の医療機関が躊躇するよ
かわぴたる No.136( 2015年5 月号 )
し みず とし お
河北総合病院 院長 清水 利夫
<プロフィール>
1976 年、東京大学医学部卒業。茅ヶ崎市立病院外科、東京大学医学部附
属病院第 1 外科、国立療養所東京病院外科などでの勤務を経て、1989 年
に河北総合病院外科、1996 年から国立国際医療センターにて外科医長や
副院長などを務めた後、2014年 6 月、河北総合病院院長に就任。専門領
域は腹部外科および食道外科。 ▶外来:月曜日【 本院:消化器・一般外科 】
うな患者さんも偏見なく受け入れて
目指していただきたいと思います。
きました。常に質の向上を目指すこ
そのために、私たちは様々な支援を
とと、全ての病気に何らかの初期診
行います。すぐに本来の生活の場に
療を行うことは私たちのポリシーで
戻ることが難しい場合は、グループ
す。
内施設でのリハビリテーションや療
私は総合病院院長として、そのポ
養などをお勧めし、患者さんの在宅
リシーを大切にし、全職員が一丸と
復帰を支援します。また、ご自宅に
なって、常に患者さんにベストな医
戻られた後も、訪問看護・訪問介護
療を提供できるような病院運営を心
などを通じて患者さんを支援します。
掛けていこうと思っています。
患者さん、ご家族、医療機関の
協働作業で健康を守る
河北総合病院は、365日 24 時間体
おもいやり
制で「質の高い恕 のある医療を行う
とともに地域の健康向上に寄与 」す
ることを目指しています。
病気を治すことは、医療機関だけ
が行うものではなく、患者さん、ご
家族、病院との協働作業だと思って
います。
病気の急性期を脱したら、患者さ
んには、その病気と付き合いながら、
ご自分の生活の場に復帰することを
かわぴたる No.136( 2015年5 月号 )
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臨 床 の 現 場 から
じ
うめ たに なお ゆき
痔 核( いぼ痔 )の治療
消化器・一般外科 部長 梅谷 直亨
肛門に異常を感じたら、
早めの受診をおすすめします
肛門およびその周辺の調子が悪い
方、便通に異常を感じる方、肛門か
内痔核Ⅱ度
ら出血がみられる方は、早めに「大
腸肛門病専門医」を受診しましょう。
外痔核
恥ずかしい気持ちから受診が遅れが
直腸
内痔核Ⅲ度
出血
ちですが、直腸がんなどの重篤な病
治すには、一般的に手術が必要で
気が隠れている場合もあります。
す。
けっさつ
ここでは、代表的な肛門疾患であ
当院では、通常の結紮切除法の
る痔核(いぼ痔)について説明し
ほか、痛みの少ない痔核硬化療法
ます。大部分の痔核は便通の調整や
ALTA(ジオン)注射療法および
薬物療法で改善します。外来では、
PPH 法を行っており、専門医が肛
肛門指診、肛門鏡などによる検査
門の状態に応じて最適な方法を選択
を行い、適切な治療法を選択しま
します。
じ
す。脱出したまま戻らないか、戻
私たちは、できるだけ患者さんの体
してもまたすぐに飛び出す痔核を
にやさしい治療法を実践しています。
けっ さつ
結 紮 切除法
痔核硬化療法
ALTA( ジオン )注射療法
PPH 法
最も標準的な手術療法。 内痔核に硬化薬剤の ALTA 専用の機械を使い、直腸
痔核に血液を送ってい ( ジオン )を直接注射。痔に 粘膜を環状に切除縫合す
る痔核動脈を縛ったう 流れ込む血液の量を減らし、 ることで痔核を吊り上げ
えで、痔核自体を切り 痔を硬くして癒着・固定さ て直す方法。
取る方法。
せる方法。
▶ 直腸肛門外来のご案内
診察日時 金曜日午前
診察場所 本院外科外来
担 当 医 消化器・一般外科部長
梅谷 直亨医師
4
かわぴたる No.136( 2015年5 月号 )
直腸肛門疾患の診療は、専門外来だけでなく、通常の一般外
科外来でも行っています。時間の都合がつかない方や、急い
で受診を希望される方は、一般外科外来を受診してください。
※初診で他の医療機関からの紹介状をお持ちでない場合、保険外併
用療養費( 3,240 円[ 税込み ]
)が必要です。
高い知識や技術を備えた“ 専門看護師・認定看護師 ”をご存じですか?
河北で活躍する
専門看護師
認定看護師
- 第 13 回-
感染管理認定看護師
すずき
な
お
こ
鈴木 奈穂子( 分院 2 階病棟 )
病院に出入りする全ての人を
感染から守ります
病棟師長として、看護師を取りま
とめ、チームがうまく動けるよう、
日々努力していました。あるとき、
えに応えたい一心で、毎日の勉強を
頑張ることができました。
感染管理認定看護師には、専門
上司の勧めをきっかけに感染管理認
的な知識と技術を用いて、患者さ
定看護師という道が開かれることに
んや病院に出入りする全ての人々
なりました。正直戸惑いもありまし
を感染源から守る役割があります。
たが、病棟管理と感染管理は切り離
現在、病棟勤務をしながら感染
せない業務ですので、チャンスと思
管理業務に携わっています。現場
い、挑戦することにしました。
で 指 導 し た こ と に 対 し て、 反 応
認定試験合格までの道のりは平坦
ではありませんでしたが、多くの支
や 成 果 を 直 に 感 じ る こ と が で き、
やりがいがあります。インフルエン
ザやノロウィルス感染症の流行時期
には現場に赴き、現状を把握した上
でスタッフと一緒に対策を考えてい
ます。
「 うつらない!うつさない! 広げ
ない!」を基本として、これからも、
病棟内では薬剤師など他職種も入って感染
防止のミーティングを行っています
皆さんの健康維持・向上のお役に立
ちたいと思っています。
かわぴたる No.136( 2015年5 月号 )
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健康診断で測定する項目と、その意味や診断基準を分かりやすく解説します!
健診 で 健康キープ
No.
1
河北総合病院健診センター(河北健診クリニック)
糖尿病の検査
「 血糖値 」と「HbA1c」
糖尿病は自覚症状がないままに進行することが多く、健診で見つけるべ
き代表疾患といえます。そのための検査項目は、
「 血糖値 」と「HbA1c」です。
◦血糖値
食後は誰でも血糖値が上がります。血糖値は食事時間やその内容によって様々に
変化しますが、健診では通常「空腹時血糖」
(おおむね8時間以上の絶飲食後)を測
定します。この値が「126mg/dl 以上」だと「糖尿病型」と診断されます。健診は、
病気を予防し、健康を維持することが目的なので、
「110 ~125mg/dl を境界域」
、
「100 ~109mg/dl を正常高値」として、受診者の皆さんに注意を促しています。
また、必要に応じて負荷検査やフォローアップ(事後指導)をお勧めしています。
◦HbA1c
血糖値は採血時の条件で値が大きく変動するため、より安定した検査項目として採
用されているのが「 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」です。これは赤血球に含ま
れるヘモグロビンにブドウ糖が結びついたもので、約 1 ~ 2 か月間、血液中に存在し、
血糖の高い状態が続くと HbA1c の値も上昇します。HbA1c を調べることで、採血
の条件に左右されることなく、過去 1 ~ 2 か月間の血糖の状態を把握できます。診
断基準は「6.5%以上が糖尿病型」に該当しますが、血糖値同様「5.6 ~ 6.4%」の方々
にも、血糖値との組み合わせによって再検査や精密検査をお勧めしています。
● 河北総合病院健診センター( 河北健診クリニック )
住 所 〒166 - 0003
東京都杉並区高円寺南 4 - 27 -12
月~土 9:00 ~ 17:00
電 話 03 - 5377- 2511 ( )
※ 祝日除く
人間ドックは当院 Web サイトの
「 予約・空き状況 」
(右QRコード )
からご予約いただけます。
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かわぴたる No.136( 2015年5 月号 )
JR 高円寺駅
南口
至 阿佐ヶ谷
ロータリー
至 新宿
三井住友銀行
高円寺ビル
5F・6F・7F
河北総合病院健診センター
(河北健診クリニック)
転倒予防体操
やってみ
よう!
その 1
(全2回)
くぼた ゆきお
監修:河北リハビリテーション病院 セラピー部 部長 窪田 幸生
加齢によるバランス機能の低下、関節・筋
力の衰えなどで、転びやすくなり、場合によっ
ては骨折してしまうことも。転倒を予防する
には、筋力を鍛えることが最も大切です。
だいたい し とうきん
大腿四頭筋
そこで、足の筋肉を鍛える体操を 2 回に渡っ
てご紹介します。今回は、椅子に座って行う
体操です。病院の待合室や職場、家にいる少
ぜんけいこつきん
前頸骨筋
ひ ふくきん
腓腹筋
しの時間でぜひ行ってみてください。
1
3
爪先、かかとの上げ 下げ
かかとを床につけて爪先を上げ、下
ろします。次に爪先をつけてかかと
を上げ、下ろします。<各10 回>
膝合わせ
両膝の間にタオルを挟み、太もも
の内側に力を入れてタオルを押し
付けます。< 1 回 5 秒を 3 セット>
2
4
膝伸ばし
左右交互に、体が後ろに反らない
ように気を付けながら、膝を伸ば
します。<各10 回>
足で字を書く
片脚を上げて膝を伸ばし、空中に自
分の名前を書きます。体が後ろに反
らないように気を付けましょう。
ó 運動を行うときは、呼吸を止めないように意識しましょう。
ó 勢いよく動かすと、筋肉が痛く感じることがあります。無理をせず、やさしい動き、少な
い回数から始めてください。
ó ❶~❹はどれから始めても構いません。
☞次回は立位で行う転倒予防の体操です。お楽しみに!
かわぴたる No.136( 2015年5 月号 )
7
☆河北医療財団の活動や取り組みなどをお知らせするコーナーです。
第3回 がん講座
参加費無料!
知っておきたい胃がんのはなし 〜最新の予防法・治療法〜
◦日時:2015 年 5 月15 日
(金)
11:00 ~12:00 ◦ 定員:60 名( 申込先着順 )
ばんどう みち や
◦ 講師:消化器・一般外科部長 坂東 道哉( 医師 )
第2回 骨粗しょう症予防教室
参加費無料!
年をとるとどうして骨が弱くなるの?〜美しく年齢を重ねるために私たちにできること〜
(金)
10:30 ~12:00 ◦ 定員:80 名( 申込先着順 )
◦ 日時:2015 年 5 月 29 日
た なか みず え
たけ だ
あさ こ
◦ 講師:整形外科臨床部長 田中 瑞栄( 医師 )/ 栄養科科長 武田 朝子( 管理栄養士 )
こばやし
ち なつ
リハビリテーション科 小林 千夏( 理学療法士 )
き
だ
まさかず
わたなべ
ま ゆみ
整形外科 木田 将量( 医師 )/ 画像診断部 渡邉 真弓( 診療放射線技師 )
共通
◦会場:河北総合病院 西館講堂 地下 1 階( エレベータ無 )
杉並区阿佐谷北 1-7-3
JR 中央線「 阿佐ヶ谷 」駅北口徒歩 5 分( お車でのご来場はご遠慮ください )
河北総合病院 地域連携課(広報担当) ☎ 03 - 3339 - 5724(月~土 9:00~17:00
祝日除)
河北総合病院と杉並区のアレルギー対応ホットラインに関する協定書締結について
社会医療法人河北医療財団( 東京都杉
並区、理事長:河北博文 )の河北総合病
院は 3 月 24 日、杉並区と「 アレルギー対
応ホットライン 」に関する協定書を締結
し、2015 年 4 月 1 日より運用を開始いた
しました。
アレルギー対応ホットラインの運用
は東京 23 区内では初めてとなります。
河北医療財団は、1928 年の開設から
杉並区を中心として医療事業を展開し
ており、2001 年 2 月にはリハビリテー
ション病院を開設、2004 年 10 月には都
内初の全室個室の介護老人保健施設を
開設するなど、患者ニーズを先取りした
医療サービスの提供を行っています。
中でも小児救急医療は特に力を入れ
ている事業の一つで、杉並区における
園児・児童及び生徒のアレルギー症状
発症時に教職員が的確かつ迅速な対応
が行えるよう、専用の電話回線を設置
し、教育機関からの相談・助言及び救
急搬送の受け入れなどを行います。
地域の教育機関との連携を深めるこ
とで、必要な時に最適な医療
の提供が出来るよう医療社
会の発展に邁進いたします。
表紙の言葉 「 湖畔 」ふわ こういちろう / 木々も水面も風も人も 初夏の色に移りゆきます
河北総合病院の『理念と目的』
理 念 ● 社会文化を背景とし 地球環境と調和した
よりよい医療への挑戦
目 的 ● 質の高い 恕(おもいやり)のある医療を行う
とともに 地域の健康向上に寄与する
「かわぴたる」へのご意見、ご感想をお寄せください
皆さまからのお声を、誌面作りの参考にさせていただきたい
と思います。電話、eメール(右縦書き部分参照)で受け付け
ています。皆さまからのお声を心よりお待ちしております。
発行責任者:河北 博文 発行:社会医療法人 河北医療財団 河北総合病院 地域連携課 〒166-8588 東京都杉並区阿佐谷北1-7-3 ☎03-3339-2121
(代)
e-mail : info@kawakita.or.jp
河 北 健 康 教 室
お申し込み・お問い合わせ
年6回発行(1月・3月・5月・7月・9月・11月)
河北健康教室
No.136 2015.5
河北健康教室