通信キャリアの強みである ネットワークサービス を活かしクラウド を核に

Success story for your business
Red Hat K.K. EDITORIAL 2011
オープンソースの 新 時 代 を 築く、サクセスストーリー
OPEN EYE
06
vol.
2011 SUMMER
INDEX
ユーザー事例 Success Story
トップインタビュー
トッ
ンタビュー
ソフトバンクテレコム株式会社 執行役員 サービス事業統括
副統括 兼 クラウドサービス開発本部 本部長
鬼頭 周氏
ユーザー事例 Success Story
ソフトバンクテレコム株式会社
ホワ トクラウドに仮想化技術
ホワイ
に仮想化技術KVM
KVMと
RedHatEnterpr
i
seLinuxを採用
を採用
Red Hat Summit and
JBoss World 2011 開催レポート
ユーザー事例
事例
Success Story
ソフトバンクテレコム
トップインタビュー
クラウド時代をリードする新たなる
テクノロジーと戦略を発表。
株式会社大和ネクスト銀行
日本初、勘定系システム
勘定系システムにLinux
Linuxを採用。
を採用。
その基盤を支えるレッドハット
海外事例 Success Story
海外事
CMEグループ
世界の金融機関がレッ
世界の金融機関
がレッドハットを採用。
グローバル経済のインフラに
レッドハットフォーラム 2011
開催レポート
OSSとクラウドでユーザー自らが
問題を解決できる時代に。
通信
通信キャ
リアの強みである
の強みであるネットワークサービス
ワークサービス
を活かしクラウド
を活かし
クラウドを核にビジネス展開
を核にビジネス展開
オープンソース(OSS
OSS)を活用して、コモディティ化する
コモディティ化するクラウド市場
クラウド市場で、
で、
確かな競争力
確かな
競争力を生み出すソフ
を生み出すソフトバンクグルー
トバン グループ。
ソフトバンクテレコム株式会社 執行役員 サービス事業統括 副統括 兼 クラウドサービス開発本部 本部長
鬼頭 周氏
所、総面積4万平米の広さを誇
ループの特長の一つとして、ま
り、全国津々浦々をカバーする
ず自らがシステムを活用し、効
はの強みとソフトバンクグループのスケールメリット、
ネットワークと世界74カ国をま
果 が 実 証 され たもの だ け を
―その戦略の中でレッドハッ
総合力を活かしてグローバル市場で通用するクラウド
たにかける国際ネットワークと
サービスへと展開していること
トをどう活 用されているので
サービスを展開されています。その中でいかにしてOSS
ともにサービスを展開していま
が挙げられます。
そのため、
サー
しょうか?
を活用されているのか? 執行役員 サービス事業統括
す。その中でも我々はまずアジ
ビスインした時点からお客様に
ソフトバンクテレコム株式会社では、キャリアならで
副統括 兼 クラウドサービス開発本部 本部長 鬼頭 周
氏にお聞きしました。
パートナーの1社です」。
アに注力する構想を掲げてお
安心して使っていただけます。
「例えばクラウドの分野では
り、2011年5月に韓国のコリア
次にビジネスソリューション
既に多くの企業がサービスを
テレコムとの提携を発表した
にも特長があります。中国の大
提供しており、
コモディティ化し
ばかりです。
連にBPOセンターを開設し、お
ている面もあります。そうした
―ソフトバンク グループの
クラウド分野におけるキャリ
客様のバックオフィス業務をサ
中で競争力をつけるためには
クラウドサービス戦略について
アの強みは、フィックスドライン
ポートしています。これにより低
高 額なライセンス製 品よりも
(固定網)、ブロードバンド、モ
コストで高品質なトータルサー
OSS などフリーなものを活用
お聞かせください。
バイルを包括したネットワーク
ビスの提供を実現しています。
し、ソリューションを構築する
「当社では2009年11月にホ
からデータセンターまでをワン
また我々は共生型ビジネス
方が有利です。しかし企業から
ワイトクラウドを発表し、2010
ストップで提供できることにあ
を推進しています。自分たちだ
は安心と安全を求められるの
年 2 月にサービスを開始しまし
ると思います。
けではサービスを提供できな
で、それをサポートする体制が
た。データセンターは国内11ヶ
さらに我 々ソフトバ ンクグ
OSSでソリューションを構築し
競争力を高める
い分野で、販売パートナー、ソ
重要となります。レッドハット製
リューションパートナーという
品は徹底的に検証されており、
二つのカテゴリにおいて世界
商用として安心・安全に使える
中の企業とアライアンスを組ん
ため導入実績も多いですし、世
で、お客様のニーズにきめ細か
界中でサポートを受けられる
く対応できる体制を整えていま
ので、我々は安心してサービス
す。レッドハットはその重要な
の開発に注力できるのです」。
Success story for your business
ユーザー事例
事例
Success Story
ソフトバンクテレコム
ホワイトクラウド構築
ホワイトクラ
ホワ
クラウドの仮想化環境
の仮想化環境にKVM
KVMを、
を、
ゲスト
トOS
OSにRe
Red Ha
Hat Enterpris
Enterprise Linux
を採用し、
採用し、SMB
SMB向けマーケッ
向けマーケットを強化。
ホワイトクラウドの『シェアードH aaSスタンダード』に
レッドハットのソリューションを採 用
ホワイトクラウドとは、ソフトバンクグループが提供するクラウドサービスの総称。従来のIT環境における、さまざまな制約や束縛からお客様を解
放し、ビジネスの成長に貢献することをコンセプトに展開されているサービスです。企業のさまざまなニーズに対応するためにいくつかのライン
ナップが存在していますが、
『シェアード HaaS スタンダード』の仮想サーバ環境にレッドハットの KVM を採用。さらにゲストOSとして Red Hat
Enterprise Linux を新たに採用します。OSS のメリットをフルに活用することで、信頼性の高い仮想サーバでありながら月額基本料金 8,400 円∼
という低料金を実現しています。
背景
より多くの企業がITのメリットを
享受できるサービスの必要性
必要もないので、規模が小さくIT に多くの予算を割
の支払いをお客様に求めることになり、本来の狙い
けない企業でも利用することができます」。
からはずれてしまいます。そこで、OSS の活用を前提
さらに大川氏は、
こう続けます。
としてサービスを開発することにしたのです」。
「もちろん、クラウドは大企業が活用してもメリット
営業開発本部クラウドビジネス統括部 クラウドプ
のあるサービスです。従来の物理サーバではシステ
KVMを選んだ決め手
ロダクト2 部 部長代行 大川 啓一氏はホワイトクラウ
ムのサイジングが困難でリソースに無駄が出ること
ドサービス開発の背景について次のように語ります。
もありましたが、クラウドなら必要に応じてサーバを
「クラウドサービスの提供にあたり、我々はより多
追加することも、削減することも容易でリソースを有
自社でOSSを導入して効果を実証し、
信頼ある仮想環境としてKVMを選択
くの企業が IT のメリットを享受できるようにしたい
効に活用できます。そこで、基本となるHaaS サービ
もちろん企業のビジネスに利用するサービスであ
と考えました 。今では ほとんどの 企 業 がインター
スをお客様のニーズに合わせて使い分けていただ
る以上、信頼性が重要です。その実現には、鬼頭氏が
ネットやメール、
グループウェアなどのITシステムを
けるよう
『シェアードHaaS スタンダード』、
『シェアー
語る自らユーザーとして検証するソフトバンクの特
活用していますが、自社でサーバを保有してビジネ
ドHaaSプレミアム』、
『プライベートHaaS』の3タイプ
長が大きなアドバンテージとなったと言います。
スに応じたアプリケーションを開発・利用できるの
で展開することにしました」。
「当社を含め、ソフトバンク グループ内(通信3社)
は一部の大企業に限られていました。クラウドなら
で約 3,000 を超えるシステムを実際にOSS 基盤の上
ハードウェアやソフトウェアの調達など面倒なこと
ビジネス課題
に構築しています。例えばグループ内システムの監
は必要ない上、自社にサーバを設置して管理する
高額なライセンス料を必要とせず、
中小のお客様が手軽に利用できる環境
視及びジョブスケジューラーとしてOSSを活用したシ
ステムを導入。
また現在はIP交換機を核に8350ブー
しかしクラウドサービスは各社から続々登場し、
コールセンターソリューションを展開中です。KVMも
競争が激化することは目に見えていました。前述の
OSS の仮想環境として実際に我々が検証し、信頼性
鬼頭氏の話にもあるようにコモディティ化が進みつ
を確認していたので『シェアードHaaS スタンダード』
つある状況でした。クラウドサービス開発本部 ビジ
の仮想基盤に採用しました」
(鬼頭氏・立田氏)。
スに IVR(音声自動応答システム)&CTI を含んだ
ネス開発室 室長 立田 雅人氏は、当時の課題につ
いて次のように語っています。
KVMがもたらす効果
「『シェアードHaaSプレミアム』は比較的大きな企
業、
『プライベートHaaS』は自社でデータセンターを
保有するような大規模企業の利用をイメージしてい
Amane Kito
キャリアとしての強みと融合し、
低価格でワンストップサービスを提供
たので、ある程度商用パッケージソフトウェア製品の
KVMを活用することで、有償ライセンスを必要と
活用を想定していました。しかし
『シェアードHaaSス
する製品と同等のパフォーマンスを実現できたと言
タンダード』は主に SMB マーケットと呼ばれる中堅・
います。
中小企業での利用を想定し、より良いものをより安く
「実際に他の仮想環境や OSと比較しても引けを
提供するために考えたプランですので、商用パッケー
とらないパフォーマンスを発揮し、問題なく活用で
ジソフトウェア製品を利用すると高額なライセンス料
きています。お客様も特に OSS であることを意識す
レッドハットが選ばれた背景と効果
01
背景
02
ビジネス課題
03
KVMを選んだ決め手
04
KVMがもたらす効果
より多くの企業が
ITのメリットを享受できる
サービスの必要性
高額なライセンス料を
必要とせず、中小のお客様が
手軽に利用できる環境
自社でOSSを導入して
効果を実証し、信頼ある
仮想環境としてKVMを選択
キャリアとしての強みと融合し、
低価格でワンストップサービス
を提供
・今までサーバを保有できなかった
企業に仮想サーバを提供
・ITが持つ可能性をより多くの
企業に提供
・高額なライセンスが不要な
仮想サーバを構築
・中堅・中小企業が手軽に利用
しやすいサービス
・ソフトバンク グループのシステムで
実証
・OSSの仮想環境として実績ある技術
・有償ソフトウェアと変わらない
パフォーマンス
・低価格でワンストップサービスを
実現
2 OPEN EYE
Red Hat K.K. EDITORIAL 2011
▼ ホワイトクラウドのシステム概要
基本サービスの範囲
Datacenter
(共有インターネット回線)
基本サービスの範囲
The Internet
インターネット
からの利用
アプリケーション
アプリケーション
アプリケーション
OS
OS
OS
仮想サーバ
仮想サーバ
仮想サーバ
仮想マシン・モニター
ロード
バランサー
お客様
システム管理者
(仮想サーバリソース)
サーバ
ストレージ
ファイアー
ウォール
ソフトバンクテレコム
運用担当者
バックアップ、
テンプレート用
ソフトバンクテレコム株式会社
営業開発本部 クラウドビジネス統括部
クラウドプロダクト2部 部長代行
大川 啓一
お客様ラック
ソフトバンクテレコム株式会社
クラウドサービス開発本部
ビジネス開発室 室長
立田 雅人
氏
氏
ソフトバンクテレコム データセンター
お客様管理者向け
運用ツールのご提案
ソフトバンクテレコム
による運用・監視体制
ることなく快適に活用されています。具体的な活用
ことで、我々のサービスを活用してアプリケーション
モバイルをシームレスに連携させることで Anytime、
の一例として東日本大地震の際もNPO 法人に無償
やソリューションを展開する企業も増えてくると思い
Anywhere、Anyscreenの世界を実現しています。
で『シェアードHaaSスタンダード』を提供し、震災支
ます」
( 立田氏)。
またソフトバンク グループでは 19,500 台という
援にも役立てていただけました」
( 鬼頭氏)。
世界最大規模のシンクライアント環境を運用してい
「我々はホワイトクラウドの提供において、
『世界の
ITを解放する』
というミッションの下、オペレーション
フリー(高品質・低コストなアウトソースによるオペ
レーション負担の軽減)、スクリーンフリー(いつで
Red Hat(Linux)がもたらす効果
グローバルでの実績とサポート体制が
世界へ向けた戦略を後押し
も、どこでも、どのスクリーンからでも)、アセットフ
「前述のようにRed Hat Enterprise Linux は世界
リー(所有から利用へ)、リソースフリー(企業のコア
中で導入実績があり、サポートも世界中で受けられ
業 務 へのリソースの集 中 )、ベンダーフリー(ベン
るというメリットもあります」
( 鬼頭氏)。
ダー依存からの解放)の 5 つを掲げています。OSS は
「鬼頭の話にもありましたが、我々はアジア、アメリ
スを活かすことで、お客様のニーズに応えられる新
しいサービスを生み出していきます」
( 鬼頭氏)。
今後の展望 2
トータルなサービスを提供する
基盤技術としてレッ
してレッドハット
トやOSSに期待
やOSSに期待
その大部分で役立つと思いますし、従来の IT 製品は
カ、ヨーロッパに目を向け、世界中のユーザーを意
もちろんホワイトクラウドも今後、進化していくと
クラウドの体系にそぐわない面もあるので今後ます
識して高品質なサービスを展開しようとしています。
言います。
ますOSSが重要になってくると思います」
(立田氏)。
今後、グローバルにサポートを提供できるのも重要
「クラウドの特性としてサービスを利用している人
「実際に当社の強みであるネットワーク回線など
となってきます」
( 大川氏)。
間が容易にハンドリングできるので、IT 部門を介さ
を含めて 8,400 円∼という価格で提供できていま
Red Hat Enterprise Linux は、物理サーバで稼
なくても、ユーザー部門が直接クラウドを活用して
す。他社で同等のサービスを利用しようとすると、
働しているアプリケーションやハードウェアが仮想
業務上の問題を解決できるようになっていくと思い
10,000円前後の価格になります。またロードバラン
サーバでも同様に稼働することを前提としたサポー
ます。このような中、我々もユーザー部門の視点から
サなどのオプションも低価格で、充実したワンストッ
トを行っているので、今後さまざまなアプリケーショ
課題を解決するソリューションアダプタというものを
プサービスを実現できました」
( 大川氏)。
ンを『シェアードHaaS スタンダード』で稼働させるこ
提供しています。これは一般で言うSaaS の分野にあ
とができるでしょう。
たるものですが、システム以外のアウトソーシングも
一括して行うバリューオペレーションというサービス
Red Hat( Linux)を選んだ決め手
エンタープライズレベルの信頼性を
求めるなら、Red Hat Enterprise Linux
また当初、ゲストOSはWindowsとCent OSしか用
05
ます。我々自身が体験したユーザーエクスペリエン
今後の展望 1
スマートフォン、
スマートパッドで
多様化するワークスタイルに対応
も含め、よりお客様の課題解決に特化しています。
今後はこうしたサービスラインナップを増やし、トー
タルなソリューションを提供していきたいと思いま
す。そのインフラとしてKVM や Red Hat Enterprise
意されていませんでしたが、今回新たに Red Hat
さらに今後の展望についてお聞きしました。
Linuxに期待しています」
( 立田氏)。
Enterprise Linuxが選択肢に加えられます。
「スマートフォンとスマートパッドの普及により、ワー
「クラウドはインターネットがあれば世界中誰でも
「 やはり企 業 向 けの L i n u xと言えば、R e d H a t
クスタイルは大きく変わろうとしています。実際、もはや
どこでも申込みができるサービスであるため、日本
Enterprise Linuxというイメージが強いようで、お客
プライベートと仕事の垣根もなくなりつつあります。当
の IT も世界に出ていくことができるチャンスです。
様からの要望が強かったため新たにラインナップに
グループでも紙の書類を電子化し、
いつでもどこでもス
我々もこのホワイトクラウドを軸にあっと驚くような
加えました。KVMを活用している
『シェアードHaaSス
マートパッドやPCで参照したり、プレゼンテーションに
世 界に通じるサービスを提 供したいと考えていま
タンダード』
だけでなく
『シェアードHaaSプレミアム』
に
活用したりしています。紙をなくすとワークスタイルが
す。レッドハットはベストサポーターとして製品の徹
おいても選択できるようになっています」
(大川氏)。
変わるだけでなくコストも大きく削減できます。我々は
底的な品質保証を始め我々の世界への展開に協力
「Red Hat Enterprise Linux を選べるようになる
クラウドを発展させるとともに固定網、ブロードバンド、
してくれると期待しています。」
( 鬼頭氏)。
Red Hat(Linux)
を
選んだ決め手
06
Red Hat(Linux)が
もたらす効果
07
今後の展望 1
08
今後の展望 2
エンタープライズレベルの
信頼性を求めるなら、
Red Hat Enterprise Linux
グローバルでの実績と
サポート体制が世界へ向けた
戦略を後押し
スマートフォン、
スマートパッドで多様化する
ワークスタイルに対応
トータルなサービスを提供する
基盤技術としてレッドハットや
OSSに期待
・ユーザーから支持されたLinux
・エンタープライズレベルの信頼性
・グローバルでの実績とサポート体制
・物理環境と変わらない仮想環境の
サポート
・クラウドとスマートフォン、
スマートパッドとの融合
・多様化するワークスタイルに
いつでも、
どこでも対応
・ユーザー部門の視点で
ソリューションを開発
・ユーザー自身が問題を解決できる
クラウドへ
OPEN EYE 3
Success story for your business
ユーザー事例
事例
Success Story
大和ネクスト銀行
システム構築レポート
日本初、勘定系
勘定系システ
システムにLinux
Linuxを採用。
を採用。
そのスケーラビリ
のスケーラビリティと競争力を支えるのは、
Linuxマーケッ
Linux
マーケットリーダーのレッ
トリーダー
ドハット。
大 和証券グループの総 合 力を活かし
新しい銀行のかたちを目指す大和ネクスト銀行
株式会社大和ネクスト銀行は2011 年 5月にサービスをスタートし、全国 120ヶ所に店舗を持つ大和証券を銀行代理店とすることで、インターネット
のみならず、対面においても、幅広いお客様にローコスト経営による好金利を提供しています。
そのための基盤となるのがITインフラです。大和ネクスト銀行では、大和証券グループが『大和クラウド』
と呼ばれるインターナルクラウドをRed Hat
Enterprise Linuxベースで構築し、システムの標準化を行ってきた経験を活かして日本で初めてLinuxを勘定系に採用。ベンダー任せのシステムから脱
却し、競争力あるサービスの創出に取り組んでいます。
背景
システムと分散系システムに分け、それぞれの特性に
し、不具合も起こります。仮に不具合が起きた後に修
ハードやソフトのアップデートに
縛られないインフラの必要性を実感
合わせた見直しを行いました。当時分散系システム
正されたとしても、どこに原因があったのかユーザ
では、用途別にサイロ型のシステムを構築するのが
には明確な説明がされない場合もあります。またベ
一般的で、全システムを一斉に切り替えるのは現実
ンダーの保障期間切れなどのアップグレードでは、
今回、Red Hat Enterprise Linux を採用し、日本
的ではありませんでした。システム移行も含めるとプ
その対応にかける甚大な作業費用にみあう効果が
で初めて Linux による勘定系システムを構築した背
ロジェクト完了には年単位での時間が掛かかる上に、
得られないのが実情です。もしかするとベンダー側
景について、大和証券グループのインフラを統括す
ハードウェアの進化は止まることはありません。ソフト
のビジネス戦略から、我々にとっては必要のない機
る株式会社大和総研 専務取締役 鈴木 孝一氏は、
ウェアのバージョンも次から次へと変わってしまいま
能が改善されているかも知れません。そうした状況
次のように語ります。
す。分散系システム刷新が一旦は完了したとしても、
を変えなければ、いつまで経ってもベンダー依存か
「大和証券グループでは、早い段階からLinuxを積
増え続けるシステムの更改作業からは、いつまで経っ
ら脱却できず、目に見えないところでリスクを背負う
極的に取り入れてきました。2002 年から開始したリ
ても抜けられないという問題が生じていました」。
ことにもなりかねません」。
テール部門のシステム刷新では、システムをホスト系
また、株式会社大和ネクスト銀行のシステム企画
部長 水島 正美氏は、過去のシステムが持っていた
ビジネス課題を実現するシステム要件
本質的な問題を、次のように指摘します。
「本来、銀
OSSにより自ら管理できることは
もちろん、信頼性や汎用性も不可欠
行のシステムは一度設計すると長く使うものですが、
メインフレームやUNIXはハードウェアとOSが切り離
せません。ハードウェアはどんどん新しいものに変わ
「Linux は検証を重ねた上で 2004∼2005 年くら
るため、ハードとOS が一体になっていると、いずれ
いから本格導入し、安定的に稼働していたので、
ミッ
かの更新タイミングで、システムの検証作業や、最低
ションクリティカルなシステムでも継続的に活用で
限のアップデートを行わなければなりません。そうし
きると感じました。何よりソースの中身が見えるの
た問題点から、統合や標準化の必要性を感じ、ハー
で、技術者が自分の責任で管理し、バックアップシス
ドウェアに 依 存しな い O S としてオープンソース
テムなどを含めて整備していく環境が整いました。
(OSS)
であるLinuxが候補に挙がりました」。
その後、Linuxをさまざまなシステムに適用していっ
たことで、社内にもノウハウやスキルが蓄積された
ので、今回の大和ネクスト銀行の勘定系システムも
ビジネス課題
ベンダーに依存する環境から
自分たちが主導する環境への脱却
株式会社大和総研
専務取締役
鈴木 孝一 氏
Linuxで構築することになりました。」
( 鈴木氏)。
今回のシステム導入に当たっては、UNIX で構築
されていた勘定系システムをベースに、Linux に移
さらに鈴木氏は、
こう続けます。
行したとのこと。しかし今回のベースとなった UNIX
「メインフレームや UNIX には、中身がブラック
はすでにOSS化され、Linuxと同じようにx86サーバ
ボックス化されて、自分たちで管理できないという問
にも対応済み。その選択の差を分けた要因は何だっ
題もあると思います。実績のある製品を活用してい
たのか、率直に鈴木氏にお聞きしました。
るからと言って、必ずしも安心できるとは限りません
「例えオープンソースであっても、特定のベンダー
システム導入の経緯と効果
01
背景
02
ビジネス課題
03
ビジネス課題を
実現するシステム要件
04
Red Hat(Linux)
を
選んだ決め手
ハードやソフトの
アップデートに縛られない
インフラの必要性を実感
ベンダーに依存する環境から
自分たちが主導する
環境への脱却
OSSにより自ら
管理できることはもちろん、
信頼性や汎用性も不可欠
あらゆるベンダーが
サポートしている事実と
豊富な導入実績
・サイロ型システムによる悪循環
・ハードウェアとOSが一体となる弊害
・ブラックボックス化されたシステム
・目に見えないリスクを背負う可能性
・ミッションクリティカルな信頼性
・特定のベンダーに頼らない汎用性
・豊富なアプリケーション、ハードウェア
・海外、国内での実績に
裏打ちされた信頼
4 OPEN EYE
Red Hat K.K. EDITORIAL 2011
▼ システム概要図
証券システム
銀行システム
入出金
預金
ATM
為替
勘定系システム
基幹システム
(メインフレーム)
Red Hat Enterprise Linux
振り込み
X86サーバ
パソコン
自動振替
証券口座
株式会社大和ネクスト銀行
システム企画部長
預金口座
水島 正美
須藤 厚
氏
氏
しか扱っていなかったり、特殊なスキルを必要とし
完了した要因を、株式会社大和ネクスト銀行のシステ
ンフラの 共 通 化 、標 準 化をすることで、サービス
たりするのでは意味がありません。ハードウェアと
ム企画部 副部長 須藤 厚氏は次のように語ります。
の 迅 速 な 展 開 や 運 用 人 員 や コストの 削 減 を 実
OS を切り離すメリットのひとつが、ベンダーを自由
「今回、非常に短期間でシステムを構築しなけれ
現できます。仕 様 が 同じなので、余っているサー
に選べるということなのに、その選択肢を狭めてし
ばなりませんでしたが、自社で Red Hat Enterprise
バ などのリソースを 有 効 に活 用 することができ、
まうからです。またハードウェアを含めた周辺環境の
Linux ベースのシステムを構築してきた実績があっ
個 別 に ハ ードウェアを 調 達 する 必 要もありませ
サポートにも影響します」。
たのと、今回サポートしてもらった富士通株式会社
ん 。開 発 環 境も共 通 化できるので 開 発 にか かる
にUNIXからRed Hat Enterprise Linuxへ移行した
期 間 を 短 縮 することが できます 」
( 水 島 氏・須 藤
実績が多かったため、スムーズに導入することがで
氏 )。
Red Hat( Linux)を選んだ決め手
あらゆるベンダーがサポート
している事実と豊富な導入実績
きました。システムの安定性や信頼性に問題がな
かった分、サービス品質の検証および向上に時間を
今後の展望
費やすことができました」。
ユーザー企業としてオープンソースを
フル活用し、顧客サービスを充実
今回、Red Hat Enterprise Linux が選ばれた決
め手は、数多くのハードウェアベンダー、ソフトウェ
Red Hat(Linux)のメリット2
アベンダー、システムプロバイダーなどがサポートし
システム構築コストを
UNIXの約1/2以下に抑制
て、預金と為替に絞っているシステムを、今後さら
「基幹業務のシステムは 5 年、10 年とできるだけ
さらにUNIXと比較すると、コスト的なメリットも大
後にこれからの展望やレッドハットに期待すること
ており、社外/社内での導入実績が豊富だったこと
が挙げられています。
大和ネクスト銀行では、2011 年 5 月時点におい
に拡充し、より有益なサービスを提供する予定。最
長く使いたいものです。特殊な環境でしか使えない
きかったと言います。
を伺いました。
システムだと、そのためだけにノウハウを蓄積しな
「単純な比較はできませんが、UNIXと比べて半分
「 お 客 様 にとって、預 金も投 資もす べて同じだ
ければなりません。Red Hat Enterprise Linux は多
くらいのコストで仕上がっていると思います。また、
と思います。我々は大和証券グループのシナジー
くのベンダーが採用し、汎用性も高く、導入実績も豊
今後ハードウェアを調達する場合にも、汎用性の高
を 最 大 限 に発 揮し、お 客 様 の ニ ーズ に応じて最
富なので、継続してノウハウを活かせます。
いサーバを活用できるので、よりコスト効果が高ま
適 な チャネルで 最 適 な 商 品・サービスを 提 供し、
今回は勘定系システムのベースとなった UNIX の
ると思います。こうしたものは競争力の源泉となるも
今までにない 銀 行のかたちを目指していきます」
ノウハウを多く持つ、富士通株式会社を選定しまし
のであり、結果としてお客様に有益なサービスを提
たが、今後はその時の条件にあったベンダーを選定
供することができると思います」
( 水島氏・須藤氏)。
「クラウドで は オープンソース が 主 流となると
することができます」
( 鈴木氏)。
「UNIX の場合、我々がリクエストできる範囲が限
思 います。そのためユ ーザー自らがノウハウを蓄
「社内の他のシステムでも経験を積んでいたこと
られていますし、何かあった場合の検証も困難です。
積し、技 術を磨 いてい かなければなりません 。個
で、相乗効果が出せるというメリットもありました。実
Linux の場合、ソースが開示されており、ユーザー、
社 対 応 には 限 界もあるため 、我 々は ユ ーザ ー 企
際、大和証券のオンライントレードの更改と平行し
システムプロバイダー、ベンダーが中身を見ている
業 が 協 力して 問 題 解 決 にあたるため のアライア
て、今回のプロジェクトを進められました」
(水島氏)。
ので、具体的なリクエストができますし、それぞれが
ンス・クラウド検 証センターを設 けました。しかし
リスクを検証して前向きに改善でき、投資効果も高
ながら、クラウドを IT サービスとして捉えてしまい
まると思います」
( 鈴木氏)。
ますと、せっかく自社にノウハウがたまるチャンス
Red Hat( Linux)のメリット1
今回のシステム構築においては、サービスインまで
実質 1 年半というスピードでプロジェクトが完了した
と言われています。そこまで短期間にプロジェクトが
Red Hat(Linux)の
メリット1
06
(水島氏)。
を自ら捨てることになってしまいます。レッドハッ
短期間で信頼性の高い
ネットバンクシステムを実現
05
株式会社大和ネクスト銀行
システム企画部 副部長
Red Hat(Linux)のメリット3
ト社 に は テクノロジ ー カン パ ニ ーとして の ポ ジ
グループのインフラとしてノウハウを
共有することで相乗効果を実現
ション を 明 確 にして、ユ ー ザ ー 企 業 が オ ープン
「 R e d H a t E n t e r p r i s e L i n u x を ベ ースにイ
Red Hat(Linux)の
メリット2
07
ソースのメリットを享受し、ノウハウを蓄積できる
ような 強 力 な サ ポ ートを 期 待して います 」
(鈴木
氏)。
Red Hat(Linux)の
メリット3
08
今後の展望
短期間で信頼性の高い
ネットバンクシステムを実現
システム構築コストを
UNIXの約1/2以下に抑制
グループのインフラとして
ノウハウを共有することで
相乗効果を実現
ユーザー企業として
オープンソースをフル活用し、
顧客サービスを充実
・サービスインまで実質1年半での導入
・高い安定性のもと、
サービス品質を向上
・UNIXと比較して導入コスト1/2以下
・今後のハードウェア調達も有利
・運用管理者の負担とコストを削減
・迅速な調達とシステム
開発期間の短縮
・さらなるサービスの拡充と
満足度の向上
・アライアンスでOSSのメリットを享受
OPEN EYE 5
Success story for your business
海外事例
Success Story
グローバル化する
金融業界
世界の金融
世界の
金融機関
機関がレッ
レッドハットを採用。
トを採用。
ミッションクリテ
ティカルな
ィカルなシステムに対応できる
ステムに対応できる
信頼性が、
信頼性
今日も世界経済
今日も
世界経済を動かしている。
を動かしている。
市場がグローバル化される中、
日々新たな商品が生み出され、証券、先物、外貨、不動産など幅広い取引が
行われる金融業界。しかも各国の法律の変化にも迅速に対応しなければならず、ITインフラにはミッションク
リティカルなシステムに対応できる信頼性と高いスケーラビリティ、柔軟な拡張性が求められます。そうした厳
しい要件の中でCitigroup, Morgan Stanley, Merrill Lynch, Credit Suisse, GE Money Bank, Union Bank
など世界的な金融機関がレッドハットを採用。証券取引所においてもニューヨーク証券取引所を運営する
NYSEユーロネクストや東京証券取引所など世界の26の証券取引所がレッドハットをミッションクリティカル
なシステムに採用しており、
世界の証券取引の50%以上がRed Hat Enterprise Linux上で行われています。
これらはオープンソースがもたらす信頼性と堅牢性、さらには投資効果が認められた証明でもあります。
今回はその先駆けとも言えるCMEグループの導入事例を紹介します。
■ 導入ソリューション
・Red Hat Enterprise Linux
レッドハットのソリューションで、従来のUNIXに比べ
2倍のパフォーマンス、コスト半減を実現。競争力を手にしたCMEグループ
・JBoss Enterprise Application Platform
・Red Hat Technical Account Manager
(TAM)
■ 背景
CMEグループは、デリバティブ金融商品を幅広く取り扱う世界最大の金融取引所です。シカゴ・マーカンタイル
・Red Hat Training
取引所、
シカゴ商品取引所、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の歴史を受け継ぐCMEグループは、世界中の顧
客のリスクマネージメントのニーズに応えています。国際的な金融取引市場として、CMEグループのCME Globex
■ 導入ハードウェア
約4,000台のクアッドコアx86サーバ
電子取引プラットフォームやシカゴとニューヨークの取引所には商品の買い手と売り手の両方が集まってきます。
CMEグループは、金利、株価指数、FX、そして不動産をはじめとするオルタナティブ投資(代替投資)商品を
含めてあらゆる先物取引やオプション取引を扱っています。同グループのビジョンは、先進的な金融商品の開
■ 導入前のシステム
SPARCサーバ上で稼動するSun Solaris
発と継続的な技術革新、そして最高水準の金融取引サービスを提供し世界の経済成長の一翼を担っていくこ
とです。総取引は2008年時点で33億件、金額では1200兆ドルに相当します。
1997 年以来、金融取引はそれまで主流だったトレーディングフロアから同グループの電子取引プラット
■ 導入効果
フォームであるGlobex へシフトしていきました。今日では、その取引の 80%が電子取引プラットフォームを介
・毎日、数百万に及ぶクリティカルな金融トラ
ンザクション処理を2倍に高速化
・ハードウェアコスト、ライセンス費を削減し、
して行われており、残りの20%だけがトレーディングフロアで取引されています。
これにより、ITインフラは日々
数百万を超えるトランザクションを処理しなければならず、パフォーマンス、スケーラビリティ、信頼性、容易な
操作、
コスト効率といった厳しい要件が求められます。
ITコストを1/2に抑制
・マイグレーションと管理の簡素化、スケーラ
ビリティの向上を実現
ビジネス課題
UNIXプラットフォームへの依存が、
費用対効果を悪化させていた
証を行いました。社内での厳しいテストの結果、CME
グループの IT チームの結論は、Linux 環境への移行
はコスト、パフォーマンス、信頼性の全ての面におい
て、当時利用していたUNIXプラットフォームよりも優
「我々が市場において競争力を維持し続ける
1秒を争う金融取引のインフラはミッションクリティ
ためには、テクノロジーパートナーであるレッド
カルなシステムでなければなりません。どのような場
ハットは欠かせない存在です。我々はレッドハッ
合においても遅延を限りなく抑え、ミリ秒単位のレス
トをテクノロジーリーダとして期待しています。
Red Hatが提供したソリューション 1
ポンスを顧客に保証する必要があるのです。また、顧
レッドハットから提供されるアップデートやサ
客のニーズや市場規模の変化に応じて速やかに拡
ポートが我々の環境を常に最新に保ってくれる
張できる柔軟なアーキテクチャも求められます。CME
ので、我々はお客様にベストなエクスペリエンス
はそれまでライセンスベースの商用 UNIX OS 環境に
UNIXからx86ベースの
分散プラットフォームへの移行により
1/2のコストでパフォーマンスは2倍に
を提供できるのです」
。
依存してきましたが、2002 年、よりハイパフォーマン
CMEグループでは Linux への移行プロジェクトに
CMEグループ
Enterprise Technology Services
マネージング・ディレクター
6 OPEN EYE
れ、そのメリットを享受できるというものでした。
スで費用対効果の高いシステムへの移行を検討しは
おいて、同社のビジネスに最適化したサポートを提
じめました。
供可能なテクノロジー・ベンダーとしてレッドハットを
CMEグループの Enterprise Technology Services
選びました。
マネージング・ディレクターであるJoe Panfil氏は、当
「我々のシステムは極めてミッションクリティカル
時の状況を下記のように振り返ります。
で、何か問題が発生した場合、誰もが容易に手出しで
「我々は商用 UNIXプラットフォームに依存してい
きるものではありません。我々は万が一の場合に対
ました。しかしシステムへの要求が増えるに連れ、運
応できるベンダーを探し求め、レッドハットがベスト
用するアプリケーションの数も増大し、運用コストも
なサポート体制と最も安定した製品を提供している
増え続けていました」。
と確信しました」
(Panfil氏)。
CMEグループでは新たなプラットフォームの比較
またCMEグループの Distributed Computingアソ
を行い、オープンソースであるLinux に的を絞って検
シエート・ディレクターであるVinod Kutty 氏は次の
Red Hat K.K. EDITORIAL 2011
世界中の証券取引所を支えているレッドハット
英国
オランダ
ドイツ
フランス
ベルギー
ポルトガル
カナダ
アメリカ合衆国
クウェート
韓国
日本
パキスタン
ヨルダン
中国
香港
カタール
インド
フィリピン
オマーン
シンガポール
世界22ヵ国、26の証券取引所がレッドハットを採用
ように振り返ります。
「我々は Linux の優れたパフォー
マンスを理解した上で、コストを削減しつつ、当社の
オーストラリア
お客様により優れたサービスを提供できる方法を探
全世界の金融取引の50%以上が
レッドハット上で実行されている
りました。Red Hat Enterprise Linuxはその要件を満
たし、我々は徐々に内部的に実装して検証を重ねま
した。当社はオープンソース・テクノロジーの先進
「過酷な要件を求められる日々のトレーディング処
CMEグループでは、今後もRed Hat Enterprise
ユーザーであると自負しており、2003 年には最初の
理に確実に応えつつ、運用している数千のサーバに
LinuxとJBoss Enterprise Application Platformソ
Linuxを実装しています」。
対して漸 増 的 に容 量を追 加できるのは 、プラット
リューションの両方によるライセンス費用の排除、そ
Red Hat Enterprise Linuxは、2004 年からCMEグ
フォームが Linuxであり、レッドハットからのサポート
してリソースの再配置がコスト削減に貢献し続けると
ループの電子取引プラットフォームであるGlobexのプ
があるからです。そして、我々は自らが求めていた水
考えています。
ライマリOSとして安定稼働し続けています。それは
平型の拡張モデルへの移行を成功させることができ
Red Hat Enterprise Linux 2.1 に始まりRed Hat
たのです」。
Enterprise Linux 5 にいたるまで、常に信頼性とパ
フォーマンスで時代をリードする新しいバージョンに
Red Hatが提供したソリューション 2
順次移行されてきました。初めてCMEグループのプロ
JBoss Enterprise Middlewareの導入
により、生産性と投資効果を向上
ダクションラインに導入された 2004 年、Red Hat
Enterprise LinuxはそれまでのUNIXと比較して2倍の
導入効果と今後の展望
システムのパフォーマンスが競争力に。
経験値の向上で、
さらなる発展を
CMEグループは提供しているサービスのパフォー
マンスの高さを顧客から評価されています。顧客の
パフォーマンスと50%のコスト削減を実現しました。
レッドハットとこれまで築きあげてきた有効な関係
多くが重要視しているのは、低遅延とスピードです。
これだけのコスト削減効果を得た背景にはシステ
から、CMEグループではそのパートナーシップの範
その要求についてKutty氏は次のように語ります。
ムが柔軟性を得たこともあげられます。CMEグループ
囲をJBoss Enterprise Middlewareテクノロジーへと
「パフォーマンスと信頼性のバランスを取る必要が
はベンダーロックインを避けるため、マルチベンダー
拡大しています。Front-End Systems のリード・アプ
ありました。お客様のビジネスニーズの変化に速やか
戦略を取り入れています。レッドハットでは数多くの
リケーション・アーキテクトであるJoel Tosi 氏は次の
に対応する必要があるのです。パフォーマンスのばら
認定済みハードウェアベンダーとソフトウェアベン
ように語っています。
つきは許されませんし、ダウンタイムなどもってのほか
ダーのエコシステムを活かし、柔軟にプラットフォー
「これまでもJBossの技術者とは一緒に問題を解決
です。それを解決するために、我々が実感したことの1
ムを選べる選択肢を提供しています。その効果につ
してきました。そしてレッドハットがOSで行ってきたよ
つがLinuxが極めて高速であることです。スピードは競
いて、Kutty氏は次のように証言します。
うに、我々がJBossでオープンソース・ソフトウェア・コ
争の激しいこの業界にとってとても重要なことです」
。
「もちろんコストを抑えることを目標としていました
ミュニティを動かしていけるかどうかを見極めている
Panfil氏が異口同音に続けます。
が、これほどまで劇的なコスト削減が実現可能だとは
ところです。」
「お客様の取引要求に対して、可能な限り短いレス
想像もしていませんでした。UNIX からLinux への移
OSとミドルウェア・レイヤの両方のサポートを同じ
ポンスタイムで応えたいと思っています。Red Hat
行当初は運用サポートの面でコスト削減が見られま
ベンダーから受けることで得られるメリットを CMEグ
Enterprise Linux はそれを実現するスピードだけで
したが、その後も、Linuxと標準的なx86ハードウェア
ループは実感しています。
なく、
コスト削減までもたらしてくれました」。
の組み合わせは、継続的なコスト削減を実現してく
「レッドハットは、OSとミドルウェアの両方で我々が
現在、
ミッションクリティカルなシステムに欠かす事
れています」。
求めている極めて透明性の高いソリューションを提
の出来ない卓越したパフォーマンスと信頼性を実現
現在、Red Hat Enterprise Linux ベースのサーバ
供してくれるのです。また、コストの削減はOSとミドル
し続けていくために、CMEグループはレッドハットの
は、CMEグループの電子取引プラットフォームである
ウェアだけにとどまらず、スタッフの生産性の範囲に
パフォーマンス・チームと密に連携をとりながらシス
Globexとトレーディングフロアの両方を支える存在
まで広がっていると我々は考えています。我々のス
テムをチューニングしています。また、レッドハットと
となっています。また同社の分散型プラットフォーム
タッフがコードの中身を見れるようになったこと、そ
協力し、システム要求を再現する人工的なワークロー
の 99%が Red Hat Enterprise Linux 上で稼動して
してシステムの管理が簡素化されたことが生産性の
ドを構築して、Red Hat Enterprise Linuxや他の製品
います。
向上に繋がっています」。
の今後の開発にも役立てています。レッドハットと
「我々は今でもトレーディングフロアに対して少な
CMEグループでは、それまでシステム管理者が
CMEグループのテクノロジー・パートナーシップは、
からぬ思い入れを持っていますが、取引のスピード
培ってきたUNIXでの経験値を、新しいシステムへ対
オープンソースコミュニティ全体、そしてレッドハット
を重視する人たちにとって、電子取引プラットフォー
応させることができました。IT チームではスキルとシ
のユーザーコミュニティの発展に貢献しています。
ムはとても魅力的なのです。Red Hat Enterprise
ステム両方の移行を容易にするためにレッドハット
「レッドハットとCMEグループの関係はとても良好で
Linuxは、サーバ・フロア・ディスプレイとタブレットの
のハンズオン形式のトレーニングの各コースを活用
す。我々はこれまで 6 年間以上にわたって培ってきた
ようなポータブルデバイスを介して、電子取引プラッ
した結果、シームレスな移行を達成しました。また、
関係のように、これからもレッドハットとのパートナー
トフォームとトレーディングフロアでの取引の両方を
CMEグループは専任の Red Hat Technical Account
シップを育てていきたいと考えています」
(Tosi氏)
。
サポートしています」
(Panfil氏)。
Manager( TAM)からもスキルを習得しています。
「我々が市場において競争力を維持し続けるため
また信頼性の確保のため、CMEグループのITアーキ
TAM は、ニーズに応じて追加のアドバイスやサポー
にレッドハットは欠かせない存在です。レッドハット
テクチャでは全てのアプリケーションが最低 2 台の
トを我々のITチームに提供してくれます。CME担当の
から提供されるアップデートやサポートが我々の環
サーバと、ディザスタリカバリ・サーバで稼動するよう
TAMはサポートの第一線として活躍し、新たなテクノ
境を常に最新に保ってくれるので、我々はお客様に
に設計されています。
「お客様に提供しているサービス
ロジーへの対応や、サポートの必要性が発生した場
ベストなエクスペリエンスを提供できるのです。この
を阻害しないよう、アプリケーションがシームレスに
合に CMEグループがレッドハットと協力して課題を
業界において競争力を維持し続けるには、可能な限
フェイルオーバーできるよう設計しました」
(Panfil氏)
。
解決していくための対応窓口を務めてくれます。
りベストなアプリケーション、OS、サーバを採用して
さらに標準的なx86ハードウェア上で稼動するRed
「Linux へ移行する際、実践的なハンズオン形式の
いる必要があります。我々が業界をリードできている
Hat Enterprise Linux への移行と同時に、CMEグ
レッドハットのトレーニングのコースは非常に役立ち
のは、そのミッションクリティカルなシステムに Red
ループは水平型の拡張モデルへの移行も果たしまし
ました。我々のシステム管理者の全てが Red Hat
Hat Enterprise Linux を使っているからなのです」
た。Kutty氏は次のように証言します。
Certified Engineer(RHCE)
です」
(Kutty氏)。
(Panfil氏)。
OPEN EYE 7
Success story for your business
Red Hat K.K. EDITORIAL 2011
Red Hat Summit and JBoss World 2011
開催レポート
既存のクラウド環境の投資を有効活用
クラウド時代をリードする新たなる
テクノロジーと戦略を発表。
しながらも、他の様々なクラウドを利用
できる運用環境が得られます。
『OpenShift』はクラウド上のアプリ
ケーションの配備/管理を行う開発者
日産自動車が『BEST』
プログラム
の取り組みでアワードを受賞
去る2011 年 5 月3日∼6日に開催さ
れた R e d H a t S u m m i t a n d J B o s s
World 2011。日本からは過去最大の
ラットフォームの標準化やベンダーロッ
向けの PaaSです。これによりクラウド利
クインからの脱却、大幅なコスト削減を
用を前提に開発したアプリケーション
実現してきたことが紹介されました。
を動作させる環境(データセンター等)
を買い揃える必要なく、開発したアプリ
レッドハット初となる
クラウド製品ソリューションを発表
12社21名が参加。会期中に発表された
また、レッドハットの新たなクラウド
Red Hat Summit Innovation Awards
製品『CloudForms』
と
『OpenShift』を
には世界中の名だたる企業の中で日産
発表。
ケーションを迅速にテスト、リリースす
ることが可能になります。また、ミドル
アワードを受賞した 日産自動車 CIO 行徳
セルソ氏とRed Hat 取締役副社長 兼 製品・
技術担当最高責任者ポール・コーミア
自動車株式会社が見事受賞を果たし、 『CloudForms』は複数ハイパーバイ
ウェアJBoss についても新製品『JBoss
Enterprise Application Platform 6』
と
『JBoss Enterprise Data Grid 6』を
発表。
『JBoss Enterprise Data Grid 6』
CIO の行徳セルソ氏が基調講演をされ
ザ混在のハイブリッドクラウドを構築す
パブリッククラウドをも包括した IaaS
は、大規模なトランザクション処理を可
ました。行徳氏の講演では、日産自動車
るためのソフトウェア群から構成されて
環境を構築することができます。仮想
能にし、DaaS の提供や BigData への対
が 2005 年から
『BEST』
と名付けられた
いるIaaS 構築のための製品です。これ
環 境は KVM だけでなく、Hyper-V や
応を実現します。いずれのセッションも
改 革プログラムに着 手し、R e d H a t
により企業内の物理サーバや仮想サー
VMware にも対応しているため、クラウ
クラウド時代の OSS 活用の方向性が示
Enterprise LinuxやJBossを活用してプ
バはもちろん、プライベートクラウドや
ドベンダーにロックインされることなく
され、大盛況のうちに幕を閉じました。
できなかったユーザー企業の課題を解
レッドハットフォーラム 2011 開催レポート
決できると語り、それを後押しするのが
OSS のリーダーであるレッドハットの責
務と付け加えました。さらに基調対談で
オープンソース・ソフトウェアとクラウドで日本の復興へ貢献する
は大和証券グループや NTTグループに
おけるOSS やクラウドへの取り組みなど
OSSとクラウドでユーザー自らが
が紹介され、世界の動きと連動して日本
でもOSSの導入が活発化し、
それが今後
グラムを展開。さらなるインフラサービ
問題を解決できる時代に。
の復興を後押しするだろうという見込み
スの品質向上とコスト削減を目指されて
が語られました。
おり、レッドハットのソリューションがそ
クラウド時代を加速し、
ユーザー主導のITを実現
佐川急便グループでは
ソフトウェアの調達コストが1/9に
れを支えていることが紹介されました。
佐川急便グループのシステムを担う
SG システムでは、OSS によるプラット
「オープンソース・ソフトウェアとクラ
また、先進企業の導入事例として日産
フォームの共通化
ウドで日本の復興へ貢献する」
をテーマ
自動車 木附 敏氏とSGシステム 三原 渉
と 標 準 化 に より
に開 催されたレッドハットフォーラム
氏の講演も行われました。
ユ ーザー主 導の
2 0 1 1 。冒 頭あいさつに立ったレッド
ハット社長 廣川裕司と米 Red Hat CEO
Jim Whitehurst
日産自動車では
IT を実現。ハード
『BEST』プログラ
ウェア調達コスト
ジム・ホワイトハーストは近年の順調な
領域でビジネスを拡大し始める」
と力強
ムにより、プライ
は 1/6、同様にソ
成長について、
「金融不況により、コスト
く語りました。
ベートクラウドの
削減と業務のニーズに対して柔軟に対
応できるオープンソースに目を向ける
企業が増えた」
ことを挙げました。また、
「Linux OS市場では85%のシェアを持
導入を推進。現在
OSSの導入企業は増え続け、
クラウドも後押し
世界の証券取引の 50%以上がレッド
では新規システム
日産自動車株式会社
木附 敏 氏
フトウェアは 1/9
SGシステム株式会社
三原 渉 氏
までに削減できた
と言います。また
の 94%を共通プ
3/11 の地震以降、1 週間以内でどこよ
ラットフォーム上
りも早く営業を開始できた裏には、この
つ が 、そ れ だ け
ハットをベースにしたシステムで行われ
で稼働させ、従来
プラットフォームによる情報共有、ネッ
でなくミドルウェ
ていることにも触れ、OSS の活用はもは
リソースの準備や割り当てに2 週間必要
トワークの復旧がありました。さらに、現
アである J B o s s
や一部の企業にとどまらないことが紹
だった期間をわずか 1 日に圧縮するな
在取り組み中であるSaaS 型物流システ
や仮想化技術の
介されました。またジム・ホワイトハース
ど、コスト削減だけでなく迅速な IT の展
ムを東北の中小企業へ提供することの
KVMなど、ITイン
トは、
クラウド・コンピューティングはそも
開を実現されたと言います。また、2011
検討など、様々な構想についても語ら
フラ全 体で O S S
そもGoogleやAmazonといったWeb2.0
年からは、予定より早く目標を達成した
れました。今後もレッドハットでは、先進
企業が自らの問題を解決するために生 『BEST』
をさらに進化させ『VITESSE』
(フ
ユーザーの事例を折に触れ紹介してい
み出したものであるため、これまで解決
きます。
のソリューション
を提供し、様々な
Yuji Hirokawa
ランス語で速度、変速ギア等の意)
プロ
◎ レッドハットの製品、
サービスに関するお問い合わせはこちらまで >>> セールス オペレーションセンター ☎ 0120-266-086(携帯電話からは ☎ 03-5798-8510) e-mail: sales-jp@redhat.com
〔受付時間/平日 9:30∼18:00〕
OPEN EYE Vol.06
2011年 8月 発行
発行:レッドハット株式会社
東京都渋谷区恵比寿 4-1-18
tel:03(5798)8500