C-Tube 取扱い説明書 - コンフォーカルサイエンス

C-Tubeキット
ご使用の手引き(第6版)
A Simplified Crystallization Method in the Capillary with Gel-Tube
2012 年 3 月
株式会社
コンフォーカルサイエンス
目次
1.
キット内容 ...................................................................................................................... 1
2.
概要 ................................................................................................................................. 2
3.
原理 ................................................................................................................................. 3
4.
特長 ................................................................................................................................. 4
5.
用意するもの ................................................................................................................... 5
6.
使用方法 .......................................................................................................................... 6
7.
結晶の取出し ................................................................................................................... 8
8.
結晶の凍結処理 ............................................................................................................... 9
9.
キャピラリー中の溶液拡散時間経過 ............................................................................ 10
9.1.
ゲルチューブ長さによる結晶化試薬の拡散時間の制御 ........................................ 10
9.2.
タンパク質試料長さによる拡散時間の制御 ...........................................................11
9.3.
キャピラリー内径による拡散時間の違い .............................................................. 14
9.4.
ゲルチューブのプレサチュレーション ................................................................. 15
10.
試料濃度・試料量の考え方 ....................................................................................... 16
11.
PEG 溶液中の最適塩濃度 ......................................................................................... 18
12.
こんなときに使うカウンターディフュージョン法 ................................................... 20
13.
使用上のノウハウ(Q and A) ................................................................................. 21
14.
利用上の注意 ............................................................................................................. 23
15.
C-Tube キットの応用可能性 ..................................................................................... 24
16.
使用上の注意 ............................................................................................................. 25
1. キット内容
MB2004-CRT200
C-Tube キット GT-R
1 セット
キット内容
MB2004-CRT201
蓋付試験管
16.5 x 105, glass
24
MB2004-CRT202
ゲルチューブ
1.0(2.0) x 1000, silicone
1
MB2004-CRT203
キャピラリー(内径 0.3mm)
0.3(1.1), DURAN® glass
30
MB2004-CRT204
キャピラリー(内径 0.5mm)
0.5(1.1), DURAN® glass
20
MB2004-CRT206
キャピラリーカッター
1
MB2004-CRT207
サンプル吸引セット
1
MB2004-CRT208
シ-リグコンパウンド
1
スターターキット
1 セット
MB2004-CRT209
寸法:内径(外径x長さ(mm)
1
2. 概要
タンパク質結晶生成容器「C-Tube キット GT-R」は、液液拡散法の一種であるカウン
ターディフュージョン法[1]を用いて、キャピラリー内で X 線回折実験向けタンパク質
結晶を生成させるためのキットです。
本キットは、
(独)宇宙航空研究開発機構(旧宇宙開発事業団)(JAXA)の業務委託に
より(財)宇宙環境利用推進センターと(株)丸和栄養食品が共同で技術開発した成果
を利用しており*、JAXA より許諾を受けて利用しています。
[1] Tanaka, H. et al.: J. Synchrotron Rad., 11, 45-48 (2004)
*特許第 4354457 号、米国特許 US7531037
2
3. 原理
本キットでは、先端にゲルが入ったチューブ(以下、ゲルチューブと称します)を
装着したキャピラリー内で結晶生成させる点が特徴です。キャピラリーは蓋付試験管
にセットします。キャピラリー内にはタンパク質溶液を、蓋付試験管内には結晶化溶
液をそれぞれ充填します。
タンパク質ならびに結晶化剤はキャピラリー先端のゲルチューブを介して互いに拡
散します(図 3-1)
。対向する方向に両者が拡散することから、カウンターディフュー
ジョン法[2][3]と呼ばれます。時間の経過に伴いタンパク質ならびに結晶化剤の拡散
は進行し、キャピラリー内には、奥側から入口側にかけてのタンパク質の濃度勾配な
らびに、逆方向の結晶化剤の濃度勾配が形成されます。下図に示すように、両濃度勾
配は時間とともに連続的に変化することから、タンパク質ならびに結晶化剤に関し広
範囲の濃度条件の組み合わせを連続的に実現します。その結果、結晶化条件が整った
キャピラリー内の場所でタンパク質の結晶成長が始まります。
キャピラリー内の濃度時間経過が、蒸気拡散法と違って比較的ゆっくりであること
と、広範囲の濃度条件を連続的に実現できることから、結晶生成の確実性、再現性は
良く、また高品質の結晶が生成する確率が高まります。
本キットではこのカウンターディフュージョン法の特長を生かして結晶生成します。
タンパク質試料溶液 2μl 程度(結晶化条件検討時)
、結晶化溶液 1~2ml で実験可能で
す。またゲル充填済みのゲルチューブを切り出して使用するため、ゲルの長さを調節
することにより、拡散の時間経過を調節することができます。
図 3-1.キャピラリー内での溶液の濃度勾配形成
3
[2] McPherson A., Crystallization of Biological Macromolecules, Cold Spring
Harbor Lab. Press (1999)
[3] Garcia-Ruiz, J.M., Moreno, A.: Acta Cryst., D50, 484-490(1994)
4. 特長
・ 少ないタンパク質試料量: キャピラリー1 本当たり 2μl(条件探索時)~10μl
(回折実験向結晶生成)です。
・ 緩和な結晶化条件: ゲルチューブとタンパク質試料のキャピラリー中の長さ、な
らびにタンパク質と結晶化剤濃度を調節することで、緩和な結晶化条件を実現でき
ます。
・ 簡単な充填: ゲルチューブの使用により適当な長さのゲルを簡単に準備できます。
・ 高い再現性/信頼性: JAXA が行っている宇宙実験で使用している技術です。高い
再現性、信頼性は実証済みです。
・ ソーキングが容易: 結晶が生成しているキャピラリーをソーキング用外液の入っ
た容器に移し替えるだけで、ソーキングができます。
・ 長期安定性: 生成した結晶はキャピラリー中では長期にわたり安定です。
・ 最適条件の検討: 1-D シミュレーションプログラム(別売)で結晶化条件の時間
経過を推定可能です。
・ 特に、カウンターディフュージョン法の特長を生かせる使い方については、12 項を
ご参照ください。
図 4-1
クリスタルチューブキット組立図
4
5. 用意するもの
C-Tube キット GT-R
1 セット
タンパク質溶液
濃度:5~10mg/ml 程度
量:2~10μl/キャピラリー
結晶化剤溶液
適当な濃度(10 章参照)の結晶化剤溶液
量:1~2ml/試験管
その他
カッター、ピペット等
5
6. 使用方法
① ゲルチューブをカッターで切り出します

結晶化剤として塩類や有機溶媒類等、低分子化合
物を使用する場合には 13~17mm 程度切り出しま
す。

結晶化剤として PEG 類等、高分子化合物を使用す
る場合には 9~11mm 程度切り出します。

切り出したゲルチューブは乾燥しないように蒸留

水あるいはバッファー溶液などに浸けておきます。 チューブ
切り出したゲルチューブは、セットアップの数日
図 6-1
切り出したゲル
前からバッファーに浸漬しておくことをお勧めします。また結晶化を急ぎ
たいときや、タンパク質試料が低塩強度で沈殿を生成する場合などは、結
晶化溶液に浸漬しておくことも良い方法です。
② キャピラリーにタンパク質溶液を充填します

結晶化条件を探索する目的の場合、内径 0.3mm
のキャピラリーに 30mm 程度、サンプル吸引セッ
トを用いて吸引、または毛管現象により充填し
ます(試料溶液約 2μl)
。

X 線回折実験用結晶の生成を目的とする場合、
内径 0.5mm のキャピラリーに 50~60mm 程度、サ
図 6-2
ンプル吸引セットを用いて吸引、または毛管現象
の充填
タンパク質溶液
により充填します(試料溶液約 10μl)
。
※
内径の大きなキャピラリーを用いることで大きな結晶を得ることができま
す。また、試料長を長めにすることで、より広範囲で、緩和な結晶生成条件を
得ることができます。キャピラリーの奥に行くにしたがって良質で大型な結晶
が得られる傾向があります。
※
予め蒸留水等とお手持ちのキャピラリーを用いて、サンプル吸引セットで
の吸引を練習されることをお勧めします。
③ キャピラリー上端をシーリングコンパウンド(粘土)
で封止します

封止が不完全な場合、浸透圧差によるタンパク質溶
液量の変化が起こり、結晶生成がうまくいかない場
図 6-3
合がありますのでご注意ください。
パウンドで封止
6
シーリングコン
④ ゲルチューブをキャピラリー先端に取り付けます

キャピラリーをゲルチューブに 3~5mm 程度差し込みます。気泡がキャピラリ
ーとゲルチューブの間に入らないように注意します。

ゲルチューブ内に残ったゲルの長さが重要です。
この長さがタンパク質と結晶化剤の拡散時間経
過を決定します。以下でゲルチューブ長といっ
た場合、この残ったゲルの長さを意味します。

低分子化合物(塩類、有機溶媒類)が結晶化剤
の場合、
ゲルチューブ長は 10~12mm が適当です。

高分子化合物(PEG 等)が結晶化剤の場合、6~8mm
図 6-4
が適当です。
装填
ゲルチューブの
ゲルチューブからはみ出したゲルはカッターで
切り落とします。この際、ゲルチューブの先端を斜めに切ると、試験管の底
にゲルがつきません。
⑤ 蓋付試験管の中に結晶化溶液をピペットで注入します

1~2ml あれば十分です
⑥ ゲルチューブ付きキャピラリーを蓋付試験管に静かに
入れます
⑦ 蓋付試験管の蓋をしっかりと閉め、静置します
低分子化合物が結晶化剤の場合、2 週間~1 ヶ月程度で結晶
化剤の拡散はほぼ平衡に達します。高分子化合物の場合には
2~3 ヶ月以上かかります。時間経過の把握には、別売のシミ
図 6-5 結晶化開始
ュレーションプログラムをご利用ください。
より確実に結晶生成条件を最適化するためには、充填後の時間経過観察をお勧めし
ます。充填直後は 1 日おきに、1~2 週間経過後は数日おきに観察し、結晶生成あるい
は沈殿、オイル等の生成があった場合には、その時期とキャピラリー内の位置を記録
します。シミュレーションプログラムを利用すれば、その時の結晶周辺の結晶化剤濃
度を知ることができます。
7
7. 結晶の取出し
① ハーベスト溶液の準備
キャピラリー中の結晶化剤は平衡に達するまでに 2~
3 か月以上かかる場合があります。このため、取り出
そうと狙った結晶周辺の結晶化剤濃度とほぼ同じか、
やや高い濃度の結晶化剤を含むハーベスト溶液を予
図 7-1 切断したキャピラリー
め準備します。濃度の予測には別売のシミュレーショ
ンプログラムをご利用下さい。ただしシミュレーショ
ンプログラムはあくまで計算による予測です。
② キャピラリー切断
目的の結晶から 1~2mm 離れたところで、キャピラリ
ーをキャピラリ-カッターを用いて切断します(図
7-1)
。
図 7-2 ピペッティング操作
③ 結晶の取出し
最も結晶に損傷を与えずに取り出す方法は、ピペ
ッティングによる水流で結晶をキャピラリー中か
ら流し出すことです(図 7-2)。しかし結晶によっ
てはキャピラリーのガラス面に固着している場合
があります。このような場合には、慎重にナイロ
ンワイヤー等で動かします(図 7-3)。
④ ループによる掬い取り
図 7-3 ナイロンワイヤーによる操作
ハーベスト溶液中に取り出された結晶(図 7-4)
は、ナイロンループ等で掬い取って、X 線回折実
験に利用します。
キャピラリー中の結晶化剤濃度は、その位置により、
またその充填後の時間により異なります。結晶をハー
ベストする際には、ハーベスト溶液の結晶化剤濃度を、
狙っている結晶付近の結晶化剤濃度と合わせます。も
し濃度が合っていない場合には、結晶が溶けたり、浸
透圧差で破損することがあります。
より確実な結晶の取出しのためには、予測濃度の上
図 7-4 取り出された結晶
下数種類の溶液を準備し、事前にリゾチーム等の結晶の取出しで練習し、操作手順を
習熟されることをお勧めします。リゾチームはキャピラリー内面に固着しやすく、操
作を習熟するには比較的よい試料です。
8
8. 結晶の凍結処理
放射光を利用した X 線回折実験では、結晶を凍結する必要がある場合があります。
この際には、ハーベスト溶液と同濃度の結晶化溶液と、氷晶が生じない濃度の凍結保
護剤を含む溶液で結晶を処理する必要があります。
凍結保護剤として最もよく使われるものはグリセロールです。概ね 40%程度の濃度で
氷晶の生成を抑えることができます。また結晶化剤として使用される PEG 類には凍結
保護作用があります。これも概ね 40%程度の濃度で氷晶の生成を抑えることができます。
もし結晶化剤としてこの程度の濃度の PEG を使われている場合には、だいたいそのま
ま凍結処理をすることができます。またこれより低濃度の PEG を使用している場合に
は、グリセロールを追加することで凍結保護することができます。この際の濃度は、
PEG 濃度と合わせて概ね 40%となることが目安です。その他、凍結保護剤としては、ト
レハロース、PEG 400 等が使用されています。
凍結保護剤の利用は、ループで掬った結晶を数秒間その溶液に浸し、結晶周辺の溶
液を置換するという方法が最も多く用いられています。ただし、この方法を適用した
際、浸透圧差が大きくて結晶にひびが入る等の問題が起こることがあります。この場
合には、時間をかけて凍結保護剤入り溶液にソーキングすることをお勧めします。
C-Tube キットの場合には、外液を凍結保護剤入りの溶液にすることで、時間をかけて
結晶周りの溶液を置換することができます。
凍結の方法としては、吹き付け凍結が最も頻用されています。液体窒素への直接浸
漬は、結晶の周りに気化した窒素ガスの泡が付着して冷却効果が妨げられ、結果とし
て氷晶の生成が起こりやすいため推奨できません。
9
9. キャピラリー中の溶液拡散時間経過
より確実な結晶生成のためには、キャピラリー中のタンパク質と結晶化剤の拡散の
時間経過を把握することが重要です。以下では、C-Tube キットを使用するに当たって、
可変条件とそれによる拡散の変化について説明します。より詳しい検討は、別売の1
次元シミュレーションプログラムの利用をお勧めします。
9.1.
ゲルチューブ長さによる結晶化試薬の拡散時間の制御
i)
iii)
ii)
iv)
図 9-1 ゲルチューブ長の違いによる拡散の違い
i) 結晶化試薬 PEG 4000, ゲルチューブ長 6mm ii) 結晶化試薬 PEG 4000, ゲルチューブ長
12mm iii) 結晶化試薬 分子量 120 程度の低分子, ゲルチューブ長 6mm iv)結晶化試薬 分子量
120 程度の低分子, ゲルチューブ長 12mm
充填後 1(◆)、7(■)、14(▲)、30(X)、60(*)日目
横軸:ゲルチューブ先端からの距離 縦軸:結晶化試薬濃度
ゲルチューブの長さは拡散の時間経過を調整するのに重要です。上の図からわかるよ
うに、ゲルチューブ長が長くなると、結晶化剤の濃度上昇は遅くなります。また高分子
量の結晶化剤は拡散が遅くなります。経験的には、
PEG 類の場合ゲルチューブ長を 6~8mm、
低分子量結晶化剤の場合 10~12mm 程度を推奨します。
10
9.2.
タンパク質試料長さによる拡散時間の制御
i)
iv)
ii)
v)
iii)
vi)
図 9-2a タンパク質試料溶液長さの違いによる拡散の違い(結晶化試薬が低分子の場合。ゲルチュ
ーブ長は 12mm に固定)
タンパク質試料溶液長が 30mm の場合の i) 結晶化試薬の拡散 ii) タンパク質の拡散 iii) タン
パク質溶液濃度 vs. 結晶化試薬濃度
タンパク質試料溶液長が 60mm の場合の iv) 結晶化試薬の拡散 v) タンパク質の拡散 vi) タン
パク質溶液濃度 vs. 結晶化試薬濃度
充填後 1(◆)、7(■)、14(▲)、30(X)、60(*)日目
i), iv) 横軸:ゲルチューブ先端からの距離 縦軸:結晶化試薬濃度
ii), v) 横軸:ゲルチューブ先端からの距離 縦軸:タンパク質溶液濃度
iii), vi) 横軸:結晶化試薬濃度 縦軸:タンパク質溶液濃度
11
i)
iv)
ii)
v)
iii)
vi)
図 9-2b タンパク質試料溶液長さの違いによる拡散の違い(結晶化試薬が PEG 4000 の場合。ゲル
チューブ長は 12mm に固定)
タンパク質試料溶液長が 30mm の場合の i) 結晶化試薬の拡散 ii) タンパク質の拡散 iii) タン
パク質溶液濃度 vs. 結晶化試薬濃度
タンパク質試料溶液長が 60mm の場合の iv) 結晶化試薬の拡散 v) タンパク質の拡散 vi) タン
パク質溶液濃度 vs. 結晶化試薬濃度
充填後 1(◆)、7(■)、14(▲)、30(X)、60(*)日目
i), iv) 横軸:ゲルチューブ先端からの距離 縦軸:結晶化試薬濃度
ii), v) 横軸:ゲルチューブ先端からの距離 縦軸:タンパク質溶液濃度
iii), vi) 横軸:結晶化試薬濃度 縦軸:タンパク質溶液濃度
12
キャピラリーに充填するタンパク質試料の量(長さ)はキャピラリー中での結晶化
剤とタンパク質の濃度組み合わせの範囲を決定します。図 9-2a は、低分子量結晶化剤
(LMP)と、分子量 15,000 程度のタンパク質を充填した場合についての、結晶化剤とタ
ンパク質濃度の時間経過を、キャピラリー内試料長が 30mm と 60mm の場合について示
したものです。タンパク質試料長を長くすると、タンパク質がキャピラリーの外に拡
散漏出しても、キャピラリーの奥の方は比較的高濃度に保たれるため、より広い範囲
の濃度組み合わせ領域の結晶化条件を実現することができます。
タンパク質試料長は充填試料量に比例しますので、安易に長くすることはできない
ですが、低分子量結晶化剤で結晶化条件を探索するような場合には、できれば 60mm 程
度は確保したいところです(内径 0.3mm のキャピラリーの場合 4.2μl)
。
PEG 類の場合にはタンパク質の拡散が PEG 類により抑えられることから、キャピラリ
ーの外への拡散漏出は抑えられます。このため 30mm 程度の短いキャピラリー内試料長
でも、図 9-2b に示すように広範囲の結晶化条件を探索できます。むしろ、試料長を長
くした場合には、PEG 類がキャピラリー奥まで到達するのに時間がかかり、結晶生成ま
でに時間がかかることになります。
13
キャピラリー内径による拡散時間の違い
9.3.
i)
iii)
ii)
iv)
図 9-3 キャピラリー内径の違いによる拡散の違い
結晶化試薬は分子量 120 程度の低分子、ゲルチューブ長は 12mm、タンパク質溶液試料長は 30mm
に固定。
キャピラリー内径 0.3mm の場合の i) 結晶化試薬の拡散 ii) タンパク質の拡散
キャピラリー内径 0.5mm の場合の iii) 結晶化試薬の拡散 iv) タンパク質の拡散
充填後 1(◆)、7(■)、14(▲)、30(X)、60(*)日目
横軸:ゲルチューブ先端からの距離 縦軸:結晶化試薬またはタンパク質の濃度
キャピラリーの内径は、結晶化条件を探索する際には試料量を極力少なくするため、
0.3mm のキャピラリーの使用をお勧めします。一方、X 線回折実験向け結晶を生成する
場合には、結晶の大きさが内径にある程度比例して大きくなることから、0.5mm のもの
をお勧めします。この際、上図のように時間経過がやや変わります。
14
ゲルチューブのプレサチュレーション
9.4.
i)
ii)
iii)
図 9-4 ゲルチューブのプレサチュレーションによるタンパク質の拡散の違い
結晶化試薬は PEG 4000、ゲルチューブ長は 6mm、タンパク質溶液試料長は 30mm、キャピラリー
内径は 0.5mm に固定。
i)プレサチュレーションなし、ii) 結晶化溶液:緩衝液=1:1 溶液でプレサチュレーション、 iii) 結
晶化溶液でプレサチュレーション
充填後 1(◆)、7(■)、14(▲)、30(X)、60(*)日目
横軸:結晶化試薬濃度 縦軸:タンパク質濃度
上図のように結晶化剤の拡散の時間経過を早めるには、予めゲルチューブを結晶化
溶液に浸漬(プリサチュレーション)しておくことは一つの方法です。
15
10. 試料濃度・試料量の考え方
前項で説明したように、C-Tube キットを利用した結晶化の場合、1 本のキャピラリ
ーがいわゆる結晶生成条件を表す相図上で、キャピラリーに充填したタンパク質濃度
と、外液の結晶化剤濃度で囲まれた領域のかなりの部分をスキャンします。ただし相
図上の右上に、スキャンされていない領域が残る傾向があります(下図)
。
タンパク質濃度
初期タンパク質濃度
キャピラリー中の各部分
キャピラリー上端側
でのタンパク質濃度と結
晶化剤の関係曲線
キャピラリー先端側
外液の結晶化剤濃度
スキャンエリア:キャピラリー中の曲線は相
図上、左から右に時間経過する
結晶化剤濃度
相図上の時間経過
通常の蒸気拡散法(タンパク質溶液と結晶化剤溶液を1:1混合)で結晶が生成し
始めるのは通常、上図の長方形の右上の濃度エリア内ですので、それと同等の結晶化
条件を数日~数週間以内に実現させるためには、望ましくはタンパク質溶液、結晶化
溶液それぞれの濃度を高くするのが良いと考えられます。
高濃度のタンパク質溶液が用意できる場合には、条件検討の上からは好ましいです
が、試料の濃縮操作は損失を伴います。試料量が少ない場合、損失は極力避けたいと
ころです。また濃縮に関わる作業は手間が大きく、沈殿を生成しやすくなるという問
題もあります。
これに対し結晶化剤濃度に関しては比較的容易に濃度を上げることができます。相
図上のスキャンするエリアを広げる観点からは、1.5~2 倍程度高濃度の溶液を準備す
ることが望ましいように思われます。この際、濃度を変えるのは結晶化剤として働く
成分のみを想定します。例えば、これまでの蒸気拡散法での結晶化条件検討で、適当
な結晶化溶液の組成が「10% PEG 8000、100mM 酢酸ナトリウム、2mM 塩化カルシウム」
の場合、C-Tube キット向けの溶液組成は「20% PEG 8000、100mM 酢酸ナトリウム、2mM
塩化カルシウム」とします。結晶化剤が溶けにくく 2 倍濃度にならない場合は、溶解
しうる最大濃度で作成します。
16
ゲル長に関しては、硫酸アンモニウム等、塩類や有機溶媒類の低分子化合物の結晶
化剤を使用する場合には、10~12mm を、ポリエチレングリコール等、高分子の結晶化
剤を使用する場合には、6~8mm がまずは推奨できる長さです。ただし、より的確に結
晶生成の時間経過を調整したい場合には、シミュレーションを参考に決定します。
市販のスクリーニングキット等を利用して、結晶化条件を探索することも可能です。
この場合、内径 0.3mm のキャピラリーを使用するとタンパク質溶液量を1条件あたり
1~数μl 程度に抑えることが可能になります。ただし、市販のスクリーニングキット
は蒸気拡散法、もしくはバッチ法を想定して開発されているため、C-Tube キットには
向いていないかもしれません。とくに短期間に結晶化を確認し条件を検索するために
は、結晶化剤濃度を本来であれば 1.5~2 倍程度にしたものが必要です。またゲル長を
短めにセットすると時間経過が早く、結晶生成の可能性チェック等には向いています。
しかし、高品質な結晶生成では、長めのゲル長とタンパク質試料長で拡散の経過時間
を長くする方が有利です。
結晶化条件の最適化では、沈殿や結晶生成までの時間経過観察(結晶が生成したキ
ャピラリー内での位置と、結晶生成が始まった時間を調べる)をし、その結果をシミ
ュレーションプログラムで得たキャピラリー内のタンパク質と結晶化剤の濃度変化に
あてはめ、結晶生成が起きる濃度条件を求めます。次いで、その条件を適当な時間経
過で通過するようにゲル長や結晶化剤濃度を調整します。
沈殿のみで結晶が生成しない場合には、結晶化剤濃度が高すぎ、時間経過が速すぎ
ることが考えられるので、結晶化剤濃度を下げる、もしくは、ゲル長を伸ばして再度
セットします。溶液に変化が見られない場合には、結晶化剤濃度が低いことが考えら
れるので、外液の結晶化濃度を高め、ゲル長を短くします。
なお結晶が生成し始める時間を短縮したい場合には、キャピラリー内のタンパク質
溶液にあらかじめ低濃度の結晶化剤を混ぜる、あるいは、ゲル長を短めにセットする
と効果があります。
17
11. PEG溶液中の最適塩濃度
カウンターディフュージョン法の場合には、タンパク質溶液量に対し、リザーバ溶液の
絶対量の方が圧倒的に大きいため、蒸気拡散法と同じ溶液をそのまま用いると、タンパク
質試料溶液中では、タンパク質濃度はやや減少、PEG 等の結晶化剤濃度は上昇するという、
原理的に期待される効果の他に、塩類やバッファ成分は限りなくリザーバ溶液と同じ濃度
になるという、蒸気拡散法とは異なる条件に到達します。
実際、カウンターディフュージョン法を用い、さまざまな塩濃度を含む PEG 溶液をリザー
バ溶液として結晶化を行ったところ、次のような興味深い結果が得られました[4]。
Protein
Lysozyme
pH
alpha-Amylase
Glucose Isomerase
4.5
7.0
5.5
7.0
9.0
7.0
9.0
0
clear
clear
clear
clear
clear
clear
clear
100
clear
clear
C
clear
clear
clear
clear
200
clear
clear
C
C,O
O
C,P
C
NaCl
300
clear
C
C
C,O
O
C,P
C,P
(mM)
400
C
C
C,O
O
O
C,P
C,P
500
C
C
-
O
O
C,P
C,P
600
C
C
-
O
O
C,P
C,P
700
C
C
-
O
O
C,P
C,P
1)
結晶生成には最適な塩濃度範囲があり、それより低いと結晶が全く生成しない。
また、それより高いと、オイルや沈殿になる。
2)
結晶が生成するのに必要な、最小の塩濃度は、溶液の pH がタンパク質の等電点よ
り離れるほど高くなる[5]。概ね、タンパク質分子の電荷密度の 6 割に相当する濃度である
(図 11-1)[4]。
このため、弊社ではタンパク質のアミノ酸シーケンスを読み込んで、PEG 類で結晶化させ
る際の最低塩濃度を見積もるソフトを作成し、試用中です。結果として、PEG 類での結晶化
を試みる場合には、共存する塩濃度について広くスクリーニングする必要はなくなったと
考えています。また、蒸気拡散法での結晶化で、PEG 類に対して全く結晶成長しないとか、
オイルや沈殿になる場合には、上記の観点から、塩濃度を再検討すると良好な結果になる
ことも多いです。
18
図 11-1 タンパク質分子の電荷密度と溶液中のイオン強度の関係
[4] Yamanaka, M., et al.: J. Synchrotron Rad., 18, 84-87 (2011)
[5] Matsushima, M., et al.: The 7th Annual Meeting of the Protein Science Society
of Japan, Sendai, Japan. 2P-113 (2007)
19
12. こんなときに使うカウンターディフュージョン法
■
結晶化条件を制御したい
カウンターディフュージョン法は、蒸気拡散法とは異なり、結晶成長速度や核形成頻度
を、ゲルチューブやキャピラリーの長さ、結晶化剤濃度を調節することにより、制御する
ことができます。したがって、結晶成長速度が速すぎて良質の結晶が育たない場合や、核
形成の頻度が高すぎて十分に大きな結晶が育たない場合には、本法のご試用をお勧めしま
す。
■
化合物をソーキングさせたい
結晶にリガンドとなる化合物をソーキングで結合させたい場合に、カウンターディフュ
ージョン法はその特長を発揮することができます。キャピラリーに結晶が入ったままの状
態で、外液である結晶化溶液を化合物を含む溶液に代えることで、キャピラリー内へ化合
物をゆっくりと拡散させ、結晶に化合物を取りこませることができます。特に、急激な化
合物ソーキングで結晶にダメージを与えやすい場合にはお勧めの方法です。また、結晶を
直接触ることなくソーキングできるので、結晶に与えるダメージを減らすことができます。
■
抗凍結剤を緩やかに添加したい
結晶をX線回折実験に供する際に、添加する抗凍結剤によって結晶に損傷が起きやすい
場合、キャピラリーに結晶が入ったままの状態で、外液に抗凍結剤を添加しキャピラリー
内を拡散させることで、ゆっくりと結晶周りの溶液を置換することができます。
■
タンパク質溶液のタンパク質以外の成分を濃縮したくない
蒸気拡散法の場合、タンパク質および結晶化剤以外の塩やディタージェント等の成分も
一様に濃縮されるため、それが結晶化に悪影響を及ぼす場合があります。カウンターディ
フュージョン法では、タンパク質溶液と結晶化溶液の塩やディタージェント等の成分濃度
を同じにすることで、結晶化の過程を通じて一定濃度に保つことができます。
■
精製と結晶化に用いるディタージェントが異なる
膜タンパク質を結晶化したい場合、精製時とは異なるディタージェントを使用したい場
合があります。蒸気拡散法の場合、精製時に使われるディタージェントがタンパク質溶液
の中に残っており、それが時間とともに濃縮していくため、結晶化を妨害することがあり
ます。カウンターディフュージョン法では、タンパク質溶液に含まれるディタージェント
は時間とともにキャピラリーから拡散していき、逆に結晶化溶液に含まれるディタージェ
ントがキャピラリー内に拡散していくので、結晶生成の妨げになりません。
20
13. 使用上のノウハウ(Q and A)
1.Q.
A.
適切なタンパク質濃度のめやすはありますか。
比較的短期間に、広範囲の結晶化条件を検索するためには、タンパク
質濃度は高めの方が望ましいです。しかし高濃度のタンパク質溶液は、沈殿が生成し
やすいため、蒸気拡散法やバッチ法で通常使用している程度の濃度でも特に支障はあ
りません(5~10mg/ml)
。
2.Q.
A.
適切な結晶化剤濃度の目安はありますか。
比較的短期間に、確実に広範囲の結晶化条件を検索するためには、高
濃度の結晶化剤濃度が望ましいです。例えば、蒸気拡散法やバッチ法での結晶生成と
比較し、1.5~2 倍程度濃度が望ましいです。ただし、結晶化剤によっては溶解度が低
く、必ずしもこの濃度まで高められないことも考えられます。この際には、可能な範
囲内の結晶化溶液を準備します。
3.Q.
A.
ゲルの長さの目安や取扱い上の注意はありますか。
硫酸アンモニウム等、塩系低分子の結晶化剤を使用する場合および有
機系の結晶化剤使用の場合には、ゲル長 10~12mm を、ポリエチレングリコール等、高
分子の結晶化剤を使用する場合には、ゲル長 6~8mm が目安です。なお、ゲルチューブ
は純水に浸潤しております。このままの使用でも通常は問題ありませんが、イオン強
度の低下で容易に沈殿が生じるようなタンパク質試料の場合には、切断後のゲルチュ
ーブを数日間タンパク質試料溶液と同じバッファーと塩類を含む溶液に浸漬しておく
ことが望ましいです。
4.Q.
A.
結晶生成条件のスクリーニングに使う場合にはどうしたらいいですか。
まずは市販のスクリーニングキット等を利用して、本キットによる結
晶化実験を実施します。この場合 0.3mm のキャピラリーを使用します(タンパク質溶
液量は 2μl 程度)
。ただし、比較的短期間に結晶化条件を検索するためには、市販の
スクリーニングキット等の結晶化剤濃度は 1.5~2 倍程度にしたものを使用することを
お薦めします(2.Q.参照)。また、ゲル長を短めにセットすると時間経過が早くな
ります。
沈殿や結晶生成までの時間経過観察(結晶が生成したキャピラリー内での位置と、
結晶生成が始まった時間を調べる)をします。その結果を別売のシミュレーションプ
ログラムで得たキャピラリー内のタンパク質溶液と結晶化溶液の経時的濃度変化にあ
てはめ、結晶生成が起きる濃度条件を求めます。
沈殿のみで結晶が生成しない場合には、結晶化剤濃度が高すぎ、時間経過が速すぎ
ることが考えられますので、結晶化剤濃度を下げて再度セットします。溶液に変化が
21
見られない場合には、キャピラリーはそのままにし、継続して結晶化剤濃度を徐々に
高め、状況を観察します。
5.Q.
A.
結晶が生成し始める時間を短縮したいときはどうしたらいいですか。
キャピラリー内のタンパク質溶液にあらかじめ低濃度の結晶化剤をま
ぜておきます。ゲル長を短めにセットしても時間を短縮できます。
6.Q.
A.
実験開始後、1~数日で全体に沈殿が生成してしまうのですが。
タンパク質溶液に結晶化剤を若干混ぜると、タンパク質が安定化する
ことがあります。
22
14. 利用上の注意
C-Tube キットを利用する場合に注意すべき点として、蒸気拡散法やバッチ法と大き
く異なる点がいくつかあります。これまでに経験していることの概略は以下のとおり
です。
・ タンパク質試料溶液と外液の pH が異なる場合には、最終的にキャピラリー中の pH
が外液 pH になるため、キャピラリー中の結晶化条件の時間経過が複雑になる。こ
のためなるべく合わせておいた方がよい。
・ タンパク質試料溶液をキャピラリーで充填後、明らかに結晶化剤の拡散よりも急速
に、キャピラリー全体に沈殿が生じる場合には、タンパク質試料溶液にも外液を若
干混合するとよい。おそらく塩強度が上昇しタンパク質試料が安定化する。
・ ゲルチューブは通常純水で調製するため、そのまま使用すると、キャピラリー入口
付近ではタンパク質試料溶液の塩強度が低下し、沈殿を生じることがある。この場
合には予めゲルチューブを短く切った後に数日間バッファー溶液に浸漬し、タンパ
ク質試料溶液と同じ塩強度にする。
・ タンパク質試料溶液中に含む微量成分が重要な場合には、同濃度の成分を外液に加
えておく必要がある。
・ 外液の結晶化剤として高濃度(例えば数モル)の塩類、有機溶媒類等を利用する場
合、ゲル部分をはさんでキャピラリー中のタンパク質溶液との間に数気圧の浸透圧
差が生じる。この浸透圧差は、タンパク質成分をキャピラリー外に吸い出す方向の
力を生じるため、キャピラリー中タンパク質濃度が想定以上に急速に低下し、結晶
生成に至らないことがある。対策としては、
(1)予めキャピラリー中に外液の 1/2
濃度程度の結晶化剤を混ぜておくか、(2)予めキャピラリー中に外液の結晶化剤
のモル濃度と同程度の結晶化に影響しない低分子化合物(例えばグリセリン)を混
ぜておくと効果がある。高濃度の塩類あるいは有機溶媒類を結晶化剤に使用して、
キャピラリー中のタンパク質試料溶液に何も反応がない(結晶も沈殿も生じない)
ときには、このような対策を試みるとよい。
・ 外液の結晶化剤として特に有機溶媒類等を利用する際には、濃度を高めすぎると最
終的に変性を引き起こす濃度以上になりやすい。クライオプロテクタントとしてエ
チレングリコールを用いる場合も同様である。PEG 類は少々濃度が高くても問題が
少ない。
23
15. C-Tubeキットの応用可能性
膜タンパク質への応用
膜タンパク質の 3 次元結晶生成への応用は C-Tube キットの特長を活かしやすい例です。
膜タンパク質の結晶化では、結晶化剤だけでなくディタージェントも共存する溶液を使
用しますが、蒸気拡散法では結晶化溶液ドロップが濃縮されるに従い、溶液中のタンパ
ク質試料、結晶化剤ならびにディタージェントの濃度が同時に上昇します。このため溶
液が相分離しやすく、そのために結晶が得られないケースがあります。
これに対し C-Tube キットの場合、外液中の結晶化剤濃度のみを高めることで、キャピ
ラリー中溶液の結晶化剤濃度だけを上昇させることができます。このため、相分離を回
避できる可能性が高くなります。ただし、外液にもキャピラリー中タンパク質試料溶液
と同濃度のディタージェントを溶かしておく必要がありますので、高価なディタージェ
ントを使用する場合には外液体積を可能な限り少なくする等の配慮が必要です。
ソーキングが容易
C-Tube キットではタンパク質試料溶液が充填されたキャピラリーを試験管から取り出
すことは容易で、短時間であれば中の溶液にはまったく影響はありません。このため、
外液を違う組成のものに変えるのは簡単です。この特長を活かせば、
(1)ソーキングに
よる複合体結晶の生成、(2)凍結保護剤の事前処理、等が容易です。また、
(3)結晶
化を開始する時点で一過的に結晶化剤濃度を上昇させて核形成を促進させる「パルスデ
ィフュージョン法」も容易に実現できます。
24
16. 使用上の注意

本キットは研究試験用です。目的以外には使用しないで下さい。

研究成果を発表する際に技術的な面で論文を引用される場合には、[1]なら
びに[3]の論文を引用して下さい

キャピラリーにゲルチューブを装着したり、切断する際に破損する恐れがあ
ります。けがをしないようご注意下さい。
C-Tube キットはカウンターディフュ-ジョン法によるタンパク質結晶生成実験を、簡便
に実施することができます。大規模な結晶化ロボット等とは異なり、単純、低コストで
すが信頼性は高く、小規模な実験室に向いている方法です。また蒸気拡散法に比べ結晶
化に関わるパラメータを制御しやすいことや時間経過を遅く設定しやすい特徴がありま
す。このため、蒸気拡散法で容易に良好な単結晶が得られない場合等、是非お勧めした
い方法です。もともと JAXA の宇宙実験向けに開発した方法ですが、地上でも非常に有効
な手法です。
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本商品は(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)の技術開発成果を、許諾を受けて利用して
います。特許第 4354457 号、米国特許 US7531037
● お問合せ先
株式会社 コンフォーカルサイエンス
〒101-0032 東京都千代田区岩本町 2-12-2 第二早川ビル7階
TEL: 03-3864-6606
FAX: 03-3864-6605
E-mail: info@confsci.co.jp
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