送迎時のミスをなくす取り組み

送迎時のミスをなくす取り組み
送迎ノート・マニュアル・マップの作成から
送迎ノート
送迎マニュアル
危険箇所マップ
デイサービスセンター・なごみの郷
広島県・広島市
たなか
介護職員・田中
坂本
け ん の すけ
憲之介
光 ・山本 有紀恵・ 吉岡 孝二
松林
E-mail Address
今回の発表の施設
またはサービスの
概要
nagomi@nagominosato.jp
克典
Fax 番号 082-841-1336
開設:平成 14 年 5 月、所在地:広島市安佐北区落合
定員:52 名(一般型 42 名、認知症型 10 名) 併設事業:特別養護老人ホーム・
ケアハウス・短期入所生活介護・訪問介護・居宅介護支援事業
<取り組んだ課題>
通所介護における送迎業務は、安全・安心である
ことが求められる。その為、忘れ物や送迎忘れ、遅
刻、怪我、車両の破損等を起こす送迎時のミス(以
下、送迎ミス)をなくす取り組みは常に必要とされ
ている。デイサービスセンターなごみの郷(以下、
当事業所)において、平成 24 年 7 月 1 日から平成 25
年 3 月 31 日に介護職員(以下、CW)からあがる送迎
ミスの報告は 85 件だった。何れも、CW の過失や失念、
確認、注意、認識不足等が原因と考えられた。当事
業所では送迎ミスをなくすため送迎体制、帳票類の
簡素化と記入方法の変更、送迎ノート、送迎マニュ
アル、危険箇所マップの作成に取り組んだ結果、以
降 9 か月間の送迎ミスは 48 件に減少した。当事業所
の取り組みにより送迎ミスが減少したと考えられた
ため報告する。
<具体的な取り組み>
平成 24 年度までの送迎業務には CW18 名と運転手 1
名が従事し車両を 8 台使用する体制だった。送迎の
際、CW は利用者の情報や業務連絡等が集約された連
絡ノートと車両、利用者名、到着時刻を記載した送
迎一覧表(以下、送迎表)を確認した後、必要と感
じた内容を各自が準備したメモ等に転記していた。
平成 25 年度より、運転手を 1 名増員し、6 台の車
両を使用する体制とした。CW は送迎時の注意点等を
視覚的に図示した送迎ノートを作成した。送迎表に
は利用者の個別対応方法を記載する欄を設けた。送
迎表の内容を転記するメモ用紙の書式を統一し、出
発前に必ず複数の職員で声だし確認を行った。当事
業所の送迎規則を周知するため送迎マニュアルを作
成し内容を職員会議で共有した。車両事故の予防に
備え、送迎時に注意を要す場所等を地図に示した危
険箇所マップを作成し、事業所内の壁に掲示した。
以上の送迎ミスをなくす取り組みの効果を確認する
ため、変更前後の送迎ミス件数を比較した。比較
期間を統一するため、変更前を平成 24 年 7 月 1 日
から平成 25 年 3 月 31 日、変更後を平成 25 年 4 月
1 日から平成 25 年 12 月 31 日のそれぞれ 9 か月間
とし、比較項目を忘れ物、送迎忘れ・遅刻、送迎
時の怪我、車両の破損、その他、総件数とした。
<活動の成果と評価>
送迎ミスの比較(件)
項 目
変更前
変更後
忘れ物
40
22
送迎忘れ・遅刻
22
16
送迎時の怪我
13
6
車両の破損
7
1
その他
3
3
合 計
85
48
取り組みにより、連絡ノートや、上履き等の忘
れ物の件数が 40 件から 22 件(45%)、利用者の送
迎忘れや予定時間に間に合わない等の遅刻の件数
が 22 件から 16 件(27%)、転倒、転落、皮膚剥離
等に対する送迎時の怪我が 13 件から 6 件(54%)、
車両の破損が 7 件から 1 件(86%)の減少となった。
結果から、送迎体制、帳票類の簡素化と記入方
法の変更、送迎ノート、送迎マニュアル、危険箇
所マップの作成を行ったことが、CW の過失や失念、
確認、注意、認識不足等に対して、相乗的に効果
を発揮し「複数職員による確認」と「送迎情報の
集約」を図ることができ、送迎ミスの件数を 37 件
(44%)に減らすことができたと考えられた。
<今後の課題>
取り組みは送迎ミスを減らせたが、ゼロという
結果には至らなかった。今後も送迎ミスを誘発し
ない方法について研鑽を積み重ねながら安全な送
迎業務を実践し続けていきたい。