平成 24 年 3 月発行 信濃観月文庫 通信 麻績村 発行/信濃観月苑 長野県東筑摩郡麻績村麻 8059-2 TEL・FAX(0263)67-3933 第21号 大空は梅のにほひにかすみつつ くもりもはてぬ春の夜の月 藤原 定家 私 と俳 句 ︱月のおもいで︱ 水上 孤城 並並 べ て い る だ け で、 と て も 作 並 とと、感じたことを手当たり次第 と 事事 を 開 始 し た ば か り。 見 た こ 事 ここ の 年 の 夏 休 み に 俳 句 の 真 似 こ 書書けたが下五が思い浮かばぬ。 書 帳帳 を 開 く。 上 五・ 中 七 ま で は 帳 らら 聞 い た。 ペ ン を 取 り 出 し 手 ら かか よ ー﹂ そ ん な 揶 揄 を 背 後 か か めめ て さ、 歌 人 か 俳 人 の つ も り め 見見つめた。 見 ﹁何だ、月なんか眺 とと か 俳 句 に し た い。 私 は 月 を と あ っ た。 こ の 大 き な 月 を な ん やファッションの話に夢中で 関 心 が な く、 フ ォ ー ク ソ ン グ い る。 他 の 同 級 生 は 月 に な ど いると大きな月が昇り始めて た。 そ の 帰 り、 車 窓 を 眺 め て のバスハイクで聖湖まで行っ 私が麻績村をはじめて訪れ たのは高校二年の時である。秋 尾芭蕉も松島で月を詠んでい たのは後年のことである。松 も、このようなことが分かっ しなくてはならない。もっと 告にならぬように一句を構築 合的に考えながら、説明や報 ム、響き、といったことを総 の効用を考え、句全体のリズ ぬ。次に、季語を覚え、切字 ずは約束事を覚えねばなら るのはそう簡単ではない。ま 思われがちだが、よい句を得 きるため、楽な文芸のように に嵌め込めばそれなりにはで ない。俳句は五七五という型 しかし作品としては残ってい 五 七 五 を 並 べ た 覚 え が あ る。 揃 っ て い る。 か な り 稚 拙 な 束 の 香 り と 月 光 と。 材 料 は る頃には月が昇っていた。稲 事をした飯田龍太の﹁満月に を得るに至ったのである。師 約十年、ようやく一定の成果 績村で月を詠もうとしてから はその翌年の夏に詠んだ。麻 つあったように思う。三句目 折の作。俳句の骨格ができつ 俳句大会のため四国へ行った の。二句目は、二十七歳の時、 へ赴任した十九歳の時のも と い っ た 句 を 収 め て い る。 一句目は、就職をして新潟市 ため、稲束を稲架に掛け終わ 品品 と は 呼 べ な い も の ば か り で 品 な い。 ﹁月を詠む﹂のは存外 目をみひらいて花こぶし﹂は、 海外旅行でもヨーロッパを ている。 の句は今も一つの目標となっ 表現の初々しさ、清明さ。こ 満月に目をみひらく、という 〃 青林檎耳朶色の月のぼる 〃 大小の島引き寄せし良夜かな 背の高き絣歩むや潟の月 ああ っ た。 そ し て こ の 麻 績 の 月 あ むずかしい、というのがその 私 の 俳 句 開 眼 の 一 句 で あ る。 月を詠んで一応の句ができ たのはいつ頃のことであった 孤城 ははとうとう詠めずに終わった。 は 頃の私の感想であった。 手手 伝 わ な け れ ば な ら な か っ 手 ろう。第一句集 ﹃交響﹄ には ﹁昭 そ の 二、三 日 後 に 稲 刈 り が ははじまる。両親が小農を営ん は たた た。まだ稲刈機の導入以前の 和五十三年以前﹂の項に、 でで でいるため、稲刈りくらいは ここ ことである。すべて手作業の 名名 名月や煙はひ行く水の上 嵐雪 名名 名月や兎のわたる諏訪の湖 蕪村 月のまはり真空にして月見草 〃 春の月水の音して上りけり 〃 名月を取てくれろと泣く子かな はじめさまざまな国で月を見 た。わけても一九九〇年に俳 一茶 木をのぼる水こそ清し夏の月 人・石寒太さんや作家・畑山 〃 けた桂樹の甘い香りの中で大 月の光が降りそそぐ。花をつ 科の名の由来となった桂樹に た。暗い桂林の町。モクセイ あたりは月の海のようであっ て、タラップを踏んだとたん、 の人のそれも同じ俎上に並べ 白い。有名人の作る句も無名 しもならないところがまた面 ている。名句=秀句とは必ず 呼ばれるような作品も混じっ いささか疑問が残る。通俗と が本当に秀句かと問われれば の名句であろう。だがそれら の人とは異なる角度から、月 が持てる。私も刺激を受けこ るのではないか。そんな期待 今までの月の例句を塗りかえ い 詩 情 が 加 わ っ た 作 品 群 は、 である。科学の知識にほどよ これらは、句集﹃静かな水﹄ に収められたもののごく一部 たい。中国民航の飛行機を出 桂林での十六夜の月は忘れが 博さんたちと行った、中国・ といった作品が並んでい る。各人各様、いずれも名月 月見れば月の引力朴の花 〃 きな月をめでた。 られる。ここに俳句の大衆性 の新しい句をめざしたいと 思っている。 今から十年前に、信濃観月 苑のお月見俳句大会に選者と れた月はいくらか赤みを帯び て い る。 そ の の ち 雲 に 隠 れ てしまったが、酒の酔いも手 伝 っ て 気 分 は 上 々 で あ っ た。 その日の俳句大会の小学生の 部で、月の句ではないが、一 年生の女の子の作った﹁なの 花もわたしもげんきせんせい も﹂という句が印象に残った。 作った少女ももう妙齢となっ ていよう。もしかしたら月を 仰ぎ見て、五七五を並べてい るかも知れない。 水上孤城略歴 一九五〇年長野市生まれ。一九六七年 より作句。 飯田龍太、加藤楸邨、矢島渚男に師事。 ニ〇〇一年第十六回俳壇賞受賞。 著書﹁矢島渚男俳句散歩﹂など 句集﹁交響﹂﹁水の歌﹂ 長野市在住。 現在﹁梟﹂同人﹁長野雲母の会﹂所属。 雨さんをはじめ、参加された し て 出 席 し た。 句 会 終 了 後、 水の地球すこしはなれて春の月 皆さんと月の出を待った。現 選者の玉木春夫さん、中島畦 ゆう子 水をテーマに月を詠む。 う子がいる。彼女は、宇宙と 現代の俳人の句はどうであ ろう。注目すべき人に正木ゆ への入口がある。 ところで、古人は名月をど のように詠んでいるのであろ うか。歳時記を開けば、 名月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉 名月や畳の上に松の影 其角 1 5 13:30 26 ∼ 15:30 立川叔男 古楽コンサート 現代はどんな状況でも音楽が聞ける。車を運転し ながらでも、地下鉄の轟音の中でも、またドームを うめ尽くす何万人の人達と共にでも音楽を聞くこと ができる。 でもどれだけ「聞いている」だろうか? たとえば農作業中、うぐいすのさえずりがしても、 それはトラクターの音に掻き消されてしまう。けれ 場所/月の館大寄せの間 どもエンジンを止めてひと休みする時、うぐいすの さえずりに耳を傾け、自分の心の中の穏やかさ、優 しさに気づく。 いにしえの音楽にはそんな響きがあります。 「信 濃観月苑」は、それを体験するのに最高の時空を創 り出してくれるでしょう。 曲目予定 輝ける星、聖母マリア頌歌/日本に伝え られたと思われる聖歌 森の妖精/ F. クープラン さらば、愛しき人よ/セファルディ 他 ※楽器コンディション等により、内容変更します。 楽器紹介 南蛮渡来ビウエラ 信長の時代に日本に最初にやって来た西洋楽器。指ではじいて弾くタイプと弓で弾くタイプとある。 キタローネ リュート属最大の楽器で 2m 近い。複雑な調律を採る。14 ∼ 20 弦。 ハーディガーディ バグパイプの弦楽器版。形はギター、リュート、ヴァイオリン型など色々ある。3∼6弦。10 世紀∼ 現代も民族音楽で使われる。 リュートギター 形はリュートだがギターの調律を採る。特にシューベルト時代のヴィーンで人気があった。19 世紀。 立川 叔男プロフィール 13 歳よりギターを始める。芳志戸幹雄氏に師事。スペイン政府の奨学金により、サンチャゴ・デ・ コムポステラ マスタークラス、及びオスカル エスプラ音楽院に学ぶ。J・トマス、M・バルベラ両 氏に師事。リュートをD・ミンキン氏に師事。ルネサンスギター、オルファリオン、ギターラバテンテ、 コラッシオーネ、アンジェリクの日本初の再現演奏。リュートによるバッハ無伴奏チェロ組曲全曲及び、 無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ全曲演奏。NHK - FM、TBSテレビドキュメントなどに 出演。 遠山 望プロフィール 山川 拓也プロフィール 1975 年大町市出身。国立音楽大学附属音楽高校、 及び同大学器楽学科サクソフォン専攻卒業。現在、長 野県各地に於いて、演奏、レッスン、吹奏楽団・合唱 団指導を行い、近年は東京へも活動の場を広げている。 サクソフォンを石渡悠史、下地啓二、指揮法を伊藤 栄一、声楽を及川愼の各氏に師事。 女声合唱団アンサンブル・ピュア(大町市)常任指 揮者。 東京都町田市立金井中学校吹奏楽部コーチ。 松本市出身。5歳よりピアノを始める。武蔵野音楽 大学ピアノ科卒業。 ピアノを茅野元子、小林香織各氏に師事。 大学在学中は、ピアノを宮澤晴子氏、指揮法を谷口 雄資氏、作曲法を坂幸也氏に師事。 ピアノソロだけにとらわれず、他楽器とのセッショ ン等も数多く行っている。 卒業後は、松本市内を中心に、後進の指導や演奏活 動に活躍している。 2 秋の楽しい音楽会みんなで歌いましょう! 9 合唱指導とテノール独唱 場所/月の館大寄せの間 9 9 14:00 23 ∼ 16:00 講師●テノール独唱/島津 和平 ピ ア ノ 伴 奏/関崎 千奈美 昨年はお世話になりました。とても素晴らしい場所で松韻に浸りながら楽し い時を過ごさせていただきました。 皆さんが本当に音楽が好きということが伝わってきたように思います。 さて、今回は2回の開催を予定しているということで、とても楽しみにして おります。 そこで内容の予告をこの紙面をお借りして紹介させていただきたいと思います。 第1回「高い声がでるようにしたい」 第2回「息をうまく使ってみましょう」 よくこんな声を皆さんから聞きます。学生時代 歌う上で大切な事は、どう息を吸ったらよいかというこ とです。無駄なく無理なく息を使って歌を歌いたいもので す。息が流れるところに言葉をのせる。こんなイメージで 歌えたらよいのです。 そして、詞が聞いている人に正しく伝わるか、これが歌 の命です。何を伝えようとしているのかが分からなければ、 歌の存在意味がありません。そんなことも少しやってみた いと思います。 2回通して同じ曲をやって、2回目は仕上げるつもりで やってみましょう。 最後に数曲私が独唱をします。どんな曲になるか楽しみ にして下さい。 に絞り出すようにして声を出すことがトラウマの ようになっているのではないでしょうか。 声は出すのではなく、響かすことがまず大切に なるかと私は思います。体のどこに自分の声を共 鳴させるか。この響かせるポイントが分かると、 声は見違えるようになります。このことを少しやっ てみましょう。 声の出やすい曲を何曲か歌ってみましょう。そ こで、響かせるコツをつかんでみましょう。 最後に数曲私が独唱をします。お楽しみに。 島津 和平プロフィール 幼少より歌が好き。高校生の時に音楽の教師になる事を決意、この時より正式に音楽の基礎勉強を始める。信大教育学部の 音楽科に入学。卒業後、主に県下の中学校の音楽教師として活躍する。 3年前に定年退職し、アマチュアコーラスに所属したり様々な音楽活動を続けている。平成初年ころより、元芸大教授の岡 部多喜子先生に師事、主にイタリア歌曲、オペラアリア、日本歌曲を研鑽している。 8 14:30 遠山 望 26 16:30 サクソフォンコンサート ∼ 場所/月の館大寄せの間 3 催し物 案 内 第 13 回曼陀羅の里 お月見俳句大会 10 月 20 日 土 第 20 回月の里俳句作品募集 13:00 ∼ 16:00 当日句 2句(自由題) 会費/ 1,500 円 (投句料・聴講料・懇親会費) 選者/「信濃俳句通信」主宰・佐藤文子 「黒姫」主宰・神田北童 「岳」編集長・小林貴子 「梟」同人・水上孤城 大人 3句一組(何組でも可) 投句料/ 1,000 円 小学3年生∼中学生 2句まで 投句料/無料 選者/「信濃俳句通信」主宰・佐藤文子 「黒姫」主宰・神田北童 「岳」編集長・小林貴子 「梟」同人・水上孤城 8月 31 日 金 募集締切 茶室清香亭月釜 第 19 回紅葉がりの茶会 10 月 28 日 日 受付/ 10:00(受付終了 14:00) 定員/ 150 名 会費/ 2,500 円 薄茶席 耕月軒 薄茶席 観月堂(立札) 点心席 月の館大寄せの間 松林のなかの茶室にて季節のお点前をお楽しみください。 時間 10:00 ∼ 15:30 終了時間は変ることがあります。 会費/ 600 円 点心&お抹茶 2,500 円(要予約。3名様以上) 4月 29 日 日 武者小路千家 亀の香り茶稽古の会(松本市) 5 月 20 日 日 裏千家 島津宗純社中(長野市) 5 月 27 日 日 表千家 金井宗美社中清流会(筑北村) 6 月 17 日 日 裏千家 小山宗道社中(長野市) 7 月 15 日 日 裏千家 山中宗艶社中(長野市) 7 月 22 日 日 石州流 芳香庵松悠(筑北村) 8 月 19 日 日 裏千家 公民館茶道クラブ(麻績村) 9月 16 日 日 武者小路千家 亀の香り茶稽古の会(松本市) (予定) 00 観月苑文化講座 16 参加者募集中 00 山口勝人写仏教室 14 ︻第1土曜日︼ 30 ∼ 会費/前期・後期とも 15 000円 各5、 講師/安養寺住職山口勝人 30 御詠歌教室 13 ︻第1水曜日︼ ∼ 会費/前期・後期とも 30 000円 各5、 講師/法善寺大屋明子 11 松尾芭蕉を読む 00 ︻第3土曜日︼ 30 00 ∼ 会費/月1、 000円 15 12 ︵前期・後期とも 各6000円︶ 講師/﹁岳﹂同人窪田英治 30 00 やさしい着付教室 13 10 ︻第1・第3土曜日︼ 第1土/ ∼ 第3土/ ∼ 会費/月2、 600円 ︵ 回シリーズ︶ 講師/前結び美装流助教授 浅野和子 12 10 4 ギ ャ ラ リ ー 展 写仏教室作品展 ウズベキスタンの人々の暮らし展と山田文作品展 4 月7 日 土 ∼4月 30 日 月 出展/山口勝人 写仏教室受講者 山田文 工房山窩 木工作品展 5月2日水 ∼ 5 月 13 日 日 出展/並木諭 さつき会作品展(和紙・油絵・書・工芸品など) 5 月 16 日 水 ∼ 5 月 27 日 日 出展/西澤康晴ほか さつき会一同 春の野草盆栽展 4 月 16 日 月 ∼ 4 月 30 日 月 出展/塚原ふじ子ほか (外待合にて実施) 藍友禅 橋詰清貫の世界展 6 月1日 金 ∼6月3日日 出展/橋詰清貫 絵の里づくり絵画展・アトリエどんぐり作品展 6 月 9 日 土 ∼ 6 月 30 日 土 出展/窪田明仁・久保田優子ほか 安藤ひかり作品展 7月 4 日 水 ∼ 7 月 29 日 日 出展/安藤ひかり 江間廣作陶展 8 月 5 日 日 ∼ 8 月 23 日 木 出展/江間廣 窪田孟恒あんず染織展 8 月 25 日 土 ∼9月3日月 出展/窪田孟恒 武捨亮一木彫展 岸田怜作陶展 開催期間中、木彫の講習会(アクセサリー又はレリーフ) があります。お子さんの彫刻刀で彫ります。 9 月 5 日 水 ∼ 9 月 28 日 金 出展/武捨亮一 10 月 1 日 月 ∼11 月 4 日 日 出展/岸田怜 秋の野草盆栽展 10 月 13 日 土 ∼10 月 21 日 日 出展/塚原ふじ子ほか 法善寺所有の軸、巻物、短冊などの常設展もお楽しみください。 冬季間は常設展となりますが、企画展を行うこともあります。(月の里俳句小中学生入選作品短冊展示など) 5 魅 了 さ れ、 自 身 が 持 っ て い 特な技術とその奥深い色澤に 法と出会い、天然藍染めの独 歳の折、初めて伝統藍染め技 り ま し た。 わ た く し 四 十 九 顔をおもいつつ創作してまい 人々の着飾って嬉しそうなお 術 を 駆 使 し 三 十 数 年 に 亘 り、 友禅の幅広い精錬された技 振り返れば十九歳の日より 染職人一筋五十年を迎え、京 手で体験し、そして江戸時代 程を試行錯誤しながら自身の 刈り取り乾燥まですべての工 を習得するために、栽培から 特性と伝統藍染料の製造技術 術を確立するため蓼藍植物の せて染料︵すくも︶の作成技 大型陶瓶より取り寄せ、合わ 五斗︶を徳島県大谷焼特製の 要な仕込みの瓶︵最大で三石 しました。そして、何より重 に︵藍友禅工房︶を開設いた 久の時を超え存在させる事を 友禅染め﹂作品を幾千年の悠 禅の技法で深く表現させ﹁藍 ね藍染めの多階層濃淡を京友 つを三十数回の染色工程を重 ます。その後に、作品一つ一 い意志と忍耐力が必要とされ 体力を消耗する仕事であり強 整を行います。見た目以上に する事で、撹拌やペーハー調 変重要な事は藍液を毎日管理 す。長期保存させるために大 価値を有するものとおもいま ある物や文化的財産に多大な 出来るため、歴史的に価値の 効果が有り保存に耐える事が 染められた生地は抗菌・防虫 も納められております。藍に は古く、正倉院の宝物の中に させたのです。藍染めの歴史 申し上げます。 来苑いただきますようご案内 ます。どうぞご期待の上、ご を取りそろえてお迎えいたし いと思い、思い出に残る作品 を是非ともご鑑賞いただきた 様に藍の素晴らしさ、美しさ を開催いたします。麻績の皆 於きましてわたくしの作品展 度、ご縁があり麻績観月苑に して創作しております。この 月の館通信 二十一号によせて る﹁京友禅﹂の繊細な絵染め そのままに天然灰汁発酵建 目標に私はすべてを﹁一﹂ ﹁貫﹂ 橋詰 清貫 藍の奥深い色澤に魅了され の美と特色を組み合わせ独自 で﹁京都友禅﹂の藍液を完成 大阪住吉大社 個展 京都文化博物館個展 入選・奨励賞・佳作等 受賞 一九九九 京都府現代の名工 受賞 二〇〇二 宇治市技能功労賞 受賞 二〇一〇 厚労省 現代の名工受賞 京都府工芸産業コンクール 橋詰清貫略歴 の表現をしようと京都宇治市 国立台湾工芸研究所 指導講師 国立台湾工芸研究所 台中県文化センター 師弟展 京都 東寺 食堂︵国宝︶個展 光明寺個展﹁法然上人ゆかりのお寺﹂ 泉涌寺︵歴代天皇家菩提寺︶ 知恩院個展 他 6 パート・ド・ヴェール れてきます。だからネタ切れ 常の身の回りのことから生ま まえのこと。作品は自分の日 特別なことではなく、あたり と同じ。自然に触れることも づくりは、ご飯を食べること 囲まれて。私にとって、作品 で暮らし、理解ある応援団に 北信州木島平村の大自然の中 作品を制作させてもらえる 環 境 に い ら れ る こ と に 感 謝。 しょう。幸せな毎日です。 きっと一生続いて行くことで いられない、こんな暮らしが 私なりに。何かを作らずには にしていると、忙しいんです、 でもよくばって感じ取るよう 形、喜怒哀楽、なんでもかん じですが、自然の中から色や んでいて、のんびりとした感 ﹁日々の暮らし﹂ 。山の上に住 安藤 ひかり はありません。ひとつ作ると パート・ド・ヴェー 作品は、 ※ ルという技法で制作していま 私をガラス作りに夢中にさせた技法 次から次へと作りたいものが す。私の作品は原型を粘土で 一 番 大 切 に し て い る こ と は、 湧いてきます。制作する上で 7 つ の 理 由 は、 大 好 き な﹁ 色 ﹂ 粘土を使っています。もう1 じることができる素材なので より、手のぬくもりを直接感 らかな表現ができること、何 を成形でき、重量感のある柔 攻していたこと、あらゆる形 つです。大学時代に陶芸を専 にひかれた大きな理由のひと ことがパート・ド・ヴェール 材である粘土で原型を作れる 作ります。私の一番好きな素 ます。 ラスに夢中にさせた⋮と思い ル技法との出会いが、私をガ るのです。パート・ド・ヴェー ような、そんなガラスもでき のある石のような砂糖菓子の らしい珍しいガラス、暖かみ もいろいろな表現ができ、私 ド・ヴェールでは、ガラスで 合いません。しかし、パート・ て、緊張感があって私には似 ラした感じ、冷たくて、鋭く 好きではありません。キラキ 会ができますように⋮ が生まれるような、そんな展覧 をどうぞ、ご覧下さい。微笑み くと生きてきた証。そんな作品 他 ギャラリーエノモト︵大阪︶ 柴山画廊︵銀座︶ 他 ︻展覧会、他の活動︼ 二 〇 〇 五 年 ガ ラ ス の か た ち︵ 金 津 創作の森アートコアギャラリー︶ 二 〇 〇 五 年 ひ と の か た ち 展︵ 志 賀 高原ロマン美術館︶ 二〇〇五年 ワークショップ講師︵徳 島ガラス工房︶ 二〇〇七年 ワークショップ講師︵金 津創作の森、ガラス工房︶ 二〇〇八年 ﹃手作りガラス電気炉工 房﹄ほるぷ出版 協力 二〇〇一年 二〇〇二年 二〇〇七年 二〇一〇年 ※ パート・ド・ヴェールとは 耐熱性のある鋳型にガラス の粉を敷き詰め、炉に入れて 熔融成形する技法。 紀元前 世紀にメソポタミ アで発明されたと言われてい るが、紀元前 世紀に吹きガ ラスが発明されると、量産が できないパート・ド・ヴェー ルは急速に途絶えた。 1 ︵ウィキペディアより引用︶ 1880年代にアンリ・クロ が こ の 技 法 を 復 興 す る と、 ル ネ・ラリックをはじめとする当 時のガラス作家たちが数々の アール・ヌーヴォー様式のガラ ス器を制作・発表した。製法を 秘密にしたため、当時の技法の 大半は失われている。 1970年代に入り、復興さ れた。 その後、改良が施された 技法が現在に伝えられている。 16 作品について グラスギャラリーカラニス︵青山︶ ギャルリーカンディード︵銀座︶ ﹁ひまわり﹂をモチーフとし ギャラリーアルテファクト 東 た作品を多く制作しています。 (京 ) 無門庵ギャラリー二人展︵東京︶ 子供の頃見に行った﹁ゴッ ホ展﹂でヒマワリの絵に魅せ られてから、絵画、陶芸、ガ ラス⋮とずっと作り続けてい ま す。 力 強 く、 た く ま し く、 可愛らしくもあり、枯れ方も 大胆で潔いところ、次へ続く 種をたくさん残す所⋮まだま だ色々ありますが、わたしに とって、とても興味深いネタ のつきないモチーフです。 ︻個 展︼ 一九九八年 一九九九年 一九九六年 日本現代ガラス展奨励賞受賞 ︻公募展︼ 一九九四年 現代ガラス展入選 (JAPAN GLASS ART SOCIETY) 一九九五年∼ NEW GLASS REVIEW 17.20.21 ︵ニューヨーク・コーニング美術館︶ 一九九二年 東京ガラス工芸研究所卒業 事 油 ( 彩画を学ぶ ) 一九八四年 女子美術短期大学専攻科 卒業︵陶芸専攻︶ ︻略 歴︼ 一九六二年 東京都生まれ 一九七四年∼画家吉加江京司氏に師 安藤ひかり が限りなく使えること。ガラ スは、透明∼不透明もあって す。融けすぎてしまったり割 今まで触れてきた素材の中 で最も扱い難いのがガラスで のふたつの好きなことを満た れてしまったり、リスクも多 色 に 限 り が あ り ま せ ん。 こ してくれるのがパート・ド・ いのですが、その分こんなに 無いと思います。そして、そ 表現の可能性を秘めた素材は ヴェールでした。 実は、ガラスという素材は、 の扱いにくさが私にとっては 魅 力 の ひ と つ で も あ り ま す。 飽きません。自分の思いどお りに仕上がった時はうれしさ 100倍です。 この度、ご縁があって観月苑 さんで展覧会をやらせていただ くことになりました。もうすぐ 歳。何の苦労もなく、すくす 50 8 パート・ド・ヴェール行程 粘土で原型を作り、 耐火石膏で型どりをする。 蜩やいまも旅籠の名を持てり 半生をマンションぐらし水を打つ 鈍角に落ちて散りじり深山滝 笑ふため生まれてきたる土雛 やはらかき雨音となり秋初め 乗物の苦手な母や茄子の馬 来し方は銀の道かたつむり 吉田 長久 宮下 裕太 三輪 浅茅 吉田 長久 田中 竹子 丸山 迪子 滝澤 清 荻久保八重子 第十九回 月の里俳句入選作品 一般の部 特 選 秀 逸 特 選 秀 逸 古坂 房 石原 孟 特 選 秀 逸 特 選 秀 逸 粉状に砕いたガラスに色粉を調合したものを 水で湿らせながら詰める。 帰省子へ山覗く部屋開け放つ ほろ酔いのゆまり憚る良夜かな 笑ふため生まれて来たる土雛 鳴かぬ日を取り戻すかにつくつくし しみじみと野分のまたの日でありぬ 山からの水とんとんとトマト打つ 乗物の苦手な母や茄子の馬 ❷色ガラス詰め 震災の希望あたえるクロッカス 野点の座夏期合宿の中学生 低きより色づく雲や虫送り 型ごと炉に入れ焼成した後、除冷。石膏型を 割り、ガラスを取り出す。 丸山 迪子 野口なつみ 宮下 早子 石原 孟 小伊藤美保子 吉田 長久 石原 孟 荻久保八重子 百瀬 信之 ❸型から外した状態 一之瀬文子 研磨後、水差し「奥山」完成 耕月軒の降りつくばい ❶粘土原型 白樺の精を宿して秋澄めり 向日葵に覗かれてゐる休み帳 ほろ酔ひのゆまり憚る良夜かな 小林貴子選 水上孤城選 佐藤文子選 神田北童選 ❹完成作品 信濃観月苑だより 広く文化活動や研修会、お茶会等にどうぞ 信濃観月苑をご利用ください お問い合わせ・ご予約 TEL/FAX 0263-67-3933 kangetu@vill.omi.nagano.jp メール ߴᩖɁᔪ Ȉຏᮓ̲ȉ ɸʭʳʴ˂ 展示発表の場としてご利用ください。 ■利用料金/半日 5,000 円・1日 10,000 円 ■利用料金/1会 10,000 円 ࢿᩖɁᔪȈᐖఌᢃȉ ■利用料金/半日 5,000 円・1日 10,000 円 ᬩഒʥ˂ʵ ■利用料金/半日 5,000 円・1日 10,000 円 ߆۾ȮɁᩖ ᜊఌڛ (2F 40 畳和室)ステージ付 お茶会、お稽古、句会、研修会、コンサート会場などに ご利用ください。 コンサート、発表会などに ご利用ください。 グランドピアノ KAWAI GM-10 お茶会、句会、月見の宴、神前結婚式などにご利用ください。 ■利用料金/半日 5,000 円・1日 10,000 円 ■利用料金/半日 3,000 円・1日 6,000 円 麻績村のホームページ 信濃観月苑のホームページ http://www.vill.omi.nagano.jp http://omigoto.vill.omi.nagano.jp/kangetsu 清香亭 お 抹 茶 点 心 信濃観月苑 午前9時∼午後5時 毎週火曜日 個人 高校生以上 300 円 小人 150 円 団体 20 名以上2割引 600 円 2,000円(3名様より。要予約) 観月堂 開苑時間 休 苑 日 入 場 料 月の館 長野県東筑摩郡麻績村〒399-7701 TEL/FAX(0263)67-3933 観音堂 信濃観月苑 表紙 今回もあんず染織作家窪田孟 恒氏の絵です。 おだやかな四季の暮らしを願 いつつ…
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