environment Update −海外環境関連情報誌− 第5号 Vol.1 No.5 (2000.1) ≪目次≫ 1. WEEE 関連 1) WEEE 最新動向と JBCE の対応 〜欧州委員会関係総局の見解〜 環境・安全グループ作成 2) JBCE の WEEE 第 3 次ドラフトに対するコメント 和訳版 2. 2) P.17 トピックス 1) 欧州官報 2) 子供用玩具への使用禁止物質に関する決定(英文) OJ 1999.12.9 L315 通商・国際協力グループ制作 WTO2000 年ラウンド ウェッブ・サイト開設のお知らせ 5. P. 8 欧州関連 ・連載 欧州環境規制動向 ~在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ 4. P. 4 モニタリング 1) 米国関連 ・連載 米国における環境関連動向 ~在ワシントン/コンサルタントのモニタリング情報② 3. P. 2 その他 環境・安全グループ関連ニュース 1) 担当委員会の活動状況 2) 新書籍紹介 3) 台湾の電気電子機器の検査簡略に関する新措置公表 事務局便り P.27 P.31 P.32 P.34 P.40 P.46 WEEE 最新動向と JBCE の対応 〜欧州委員会関係総局の見解〜 日本機械輸出組合/環境・安全G作成 「廃電気電子機器(WEEE)回収、リサイクル指令」は、既報のとおり欧州委員会環境総局が提示し た第 3 次ドラフトに対し、日欧米関係業界がそれぞれロビーイング活動を行っています。このうち、 昨年 11 月 JBCE(在欧日企業ビジネス協議会、事務局;日本機械輸出組合ブラッセル事務所)が欧州 委員会関係先に提出したコメントの和文について、前号の英文に引続き参考までに掲載します(公式 文書は英文) 。 JBCE では、 同コメント提出後、去る 12 月に欧州委員会関係総局である、 trade (通商) 総局、enterprise (企業)総局、environment(環境)総局の担当官と個別に会合を持ちました。以下は、それぞれの 会合結果に関する JBCE 提供の資料を基に、JBCE がコメントで言及した各項目に対する関係総局の 考え方を環境・安全グループで作成したものです。 JBCE コメントと欧州委員会関係総局の見解 〜JBCE/欧州委員会(1999.12.9)会合メモから〜 項目 JBCE Enterprise DG Trade DG Environment DG ・ JBCE 案の根拠が分からない ・ 消耗品は企業が本体と消耗品を 別々に扱うなら対象外 対象製品 ・ 当初は大型機器に限定、 ・ 段 階 的 拡 大 と す る 経験を積んだ後に小型 JBCE 案を支持 機器の追加を検討すべ ・ 製品と共に廃棄され き る消耗品は対象、消 ・ 消耗品は除外すべき 耗品単品は従来の廃 棄システムでカバー 物質の 使用禁止 ・ リスクアセスメント実 施後、水平的指令で取扱 うべき ・ 水平的扱いとする JBCE 案に同意 ・ EOLV(廃自動車)指 令案での取扱いが影 響 ・ WTO 協定に鑑み反 対 ・ 水平的扱いとする JBCE 案を支持 ・ 事前にリスクアセス メント必要(電池内 のカドミウムのリス クアセスメントが行 われ危険性がないと いう結果がでたとの 情報あり) ・ 水平的に扱うことはほとんどな い。通商法との関連は政治的問 題 ・ 物質使用禁止のタイムテーブル は、そのための生産・販売体制 の整備に必要な時間の再考の余 地あり 回収 ・ 経済効率の観点から自 治体の既存回収ネット ワークを活用すべき ・ 回収コストも自治体の 負担とすべき ・ contaminant free を 明 確に ・ JBCE 案に同意 ・ WTO 協定に鑑み反 対 ・ 自治体責任とすることはまだ決 めていないが一つのオプション としてありうる JMC environment Update 2 Vol.1 No.5 (2000.1) WEEE 最新動向と JBCE の対応〜欧州委員会関係総局の見解 JBCE Enterprise DG Trade DG historical waste ・ 企業に遡及的な責任を 課す不当なもの ・ 製品寿命が 10-20 年の 長いものあり、企業のコ スト負担は膨大になる ・一定の移行期間 (5-10 年)を設け、 その間は自治体が負 担、その後は製造者 負担 ・ WTO 協定に鑑み反 対 ・ 製品寿命が 10-20 年 と長いものが企業負 担となることから JBCE 案を理解 リサイク ル費用 負担 ・ 産業界はリサイクル費 用を徴収でき、国毎、製 品毎にリサイクルコス トを徴収する方法を選 択できるよう明確化す べき ・ visible fee 方式を採 用すべき(産業によ り立場が異なってい て苦慮) ・ ファイナンシングの アイデア求む ・ 加盟国が産業界にコスト回収方 法を選択可能にすることはあま り問題ない ・ visible fee 採用で定額の fee は競 争法上問題 リサイク ル率 ・ 関連データを考慮し指 令施行後政府と産業界 で検討決定 ・ 高いリサイクル率なら 熱回収も対象に、熱回収 を対象外とするならリ サイクル率を低くすべ き ・ リサイクル率の定義を 明確にすべき ・ 製品セクター毎に率 を決め、compulsory でなく indicative な ものとすべき方向で 環境総局と調整へ ・ リサイクル率のターゲットは compulsory ・ ミニマムなリサイクル率水準に との産業界の要請は考慮したい が熱回収以外のリサイクルを促 進するために高いリサイクル率 を設定したい ・ プラスチックは長期的には焼却 でなくリサイクルさせるべきだ が、短期的にはエネルギー回収 もリサイクル手段の一つとして 考慮の余地あり ・ リサイクル率の計算でよいアイ デアがあれば提案されたい 域外での リサイク ル規制 ・ 域外での処理工場が技 術用件に合致しないと 輸出できない規制は第 三国のリサイクル処理 サービスに不当な制限 を課す 使用済み 製品から の特定物 質の除去 ・ 付属書Ⅲ(廃棄物の材料 と部品の選択的処理)か ら LCD を対象から除く べき ・ LCD の安全性につい て理解、除去の対象 とすべきでない ・ LCD の毒性の有無についてはま だ最終判断をしていない。理事 会で議論すべき ・ 分別回収は必要 OEM とリ サイクル 責任 ・ ブランド保持者が持つ べき ・ これまでの JBCE と の議論を通じて理解 ・ その方向で担当総局 と調整中 ・ ブランド保持者が持つべき考え であるが、ドラフトでは不明確 なので書き直す必要あり 項目 ・ 対象 ・ 移行期間必要なし ・ コストはメーカー負担 ・ 通商法に整合しないなら規制し ない、加盟国の意見を聞く 排出者 (消費者) の責務 ・ 自治体、製造者のみなら ・ 消費者もリサイクル ず消費者も責務を有し、 の一翼を担うべき責 加盟国の啓蒙を義務づ 任があることを認識 けるべき させることは重要 ・ 責任を明確にすべき ・ 消費者のメンタリテ ィを変えることは難 しいが、リサイクル の一翼を担うべき責 任があることを認識 させることが重要 今後の 見通し ・ 1-2 月に第 4 次ドラ フトが出される見込 み ・ inter-service consultation は 官 房 レベルの段階、今後 は政治的に決定 ・ 1-2 月までに調整、ド ラフトへ JMC environment Update Environment DG 3 ・ 官房レベルの調整段階で、1-2 月に終了し最終ドラフトが発表 見込み(政治的な妥協の結果ゆ え、ISC は行われない見込み) Vol.1 No.5 (2000.1) WEEE 第三次ドラフトに対するコメント 和訳版 1999 年 11 月 JBCE 1.対象製品 1)対象製品は大型機器のみでなく、シェーバー、電話機、ゲーム機等の小型機器にまでわたっているが、 小型機器の環境負荷は極めて小さい一方で、リサイクルの経験が未だ蓄積されていないことを考慮す れば、リサイクルのベネフィットに比べコストが過大となる可能性が高く問題である。対象製品につ いては、当初は大型機器に限定し、その後、一定の経験を積んだ後にその経験をベースに他の製品の 追加を検討すべき。 2) インク・カートリッジやトナーカートリッジはメーカー等によりリサイクルされているケースが多く、 本指令の対象から除外しても環境負荷の面での害は少ない。また、カートリッジが使用後にオリジナ ルの製造者以外の第三者により回収され、インクないしトナーを再充填された後に販売されると、機 器の製造者と当該再充填業者のいずれに責任が生じるか明確でないことや、再充填品がオリジナルブ ランドのまま販売されると充填業者が特定出来ないことなど、仮に本指令のフレームワークで規制し ようとした場合においては、責任者が確定出来ない事態が生じることになる。従って、インクカート リッジ、トナーカートリッジ等の消耗品は、本指令の対象から除外すべき。 2.物質の使用禁止 物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB 及び PBDEs)の使用禁止は本指令に盛り込むべきでなく、 包括的なリスクアセスメントが行われた後に、水平的指令で取り扱うべき。その理由は以下の通り。 1)物質の使用禁止は、包括的リスク・アセスメントによって必要であると証明され、経済的に実行可能 な方法で使用されうる適切な代替物が存在する場合にのみ実施されるべきであるが、Explanatory Memorandum では十分なリスクアセスメントが提示されていない。即ち、物質の使用禁止の根拠とし ては、単に危険の疑いがあるという従来からの見方に基づいており、電気電子機器の使用による人や 環境への影響についての分析を欠き、代替物の安全性・耐久性などを含めた利用可能性や、潜在的健 康・環境リスクの検証を行っていないなど正当性に欠ける。 2)上記の物質は、電気電子機器以外にも幅広く用いられており、電気電子機器のみにおいて使用が禁止 されることは合理性がない。 3)物質の使用禁止に対応するためには、部品レベルでの取り組みが必要であり、部品を製造する中小企 業を含めて産業界全体の対応が必要になる。電気電子機器の部品は他の製品にも用いられており、電 気電子機器のみにおいて使用禁止を行うことは、産業界全体に不要な混乱とコスト増を招くことにな る。 4)物質の使用禁止は、当該物質や当該物質を使用した機器の輸入者が域内においてこれらのものを販売 JMC environment Update 4 Vol.1 No.5 (2000.1) JBCE の WEEE 第3次ドラフトに対するコメント することを不可能にし、新たな貿易障壁を築くものであり、1)〜3)を踏まえれば、数量制限の禁 止等を定めた WTO 協定に違反する。 5)鉛、水銀、カドミウムなどを有害物質としているが、これらを使用することによって余分な環境汚染 を減らすことができる場合もあるので、全面的に禁止するのは返って環境に悪影響を与える。たとえ ば分析・医療機器に使われている高感度検出器にはこれらの物質をしばしば使用しているが、これら の物質を使用しないと検出器の感度が低くなるため、概して装置自体が大きくなり、資源の使用量、 輸送コスト、エネルギーの増加や人体への悪影響(X線被爆量の増加)などマイナス面が増える。 6)ドラフトのように例外項目をリストアップする方法では、5)であげたようなものをすべて網羅する のは不可能である。例外リストは定期的に見直し、技術的科学的進歩に応じて修正するとあるが、た とえ1年に1度見直しを行ったとしても、その間ある種の装置を市場に出せない事態が起こり、環境 測定、診断などの面で大きな被害が出る。 3.回収 1)ドラフトでは一般家庭からの廃棄物については加盟国の判断、一般家庭以外からの廃棄物については 製造者が回収義務を負うこととなっている。しかしながら、多くの欧州諸国は自治体によって運営さ れコスト負担されている回収インフラを有しており、経済効率の観点から自治体の回収ネットワーク を活用すべきである。また、回収コストも自治体の負担とすべき。すでに存在している回収ネットワ ークを無視して新たに製造者に回収義務を課すと無用な混乱を招き、自治体、消費者、製造者のすべ ての当事者の利益に反することになる。 2)ビジネス上の予見可能性の必要上、5.2 条の”contaminant free”の意味するところを明確にすべき。 4.Historical Waste 指令施行前の機器(HW)も企業の負担で回収、リサイクルの対象とすることは、企業に遡及的な責 任を課す不当なものである。いくつかのケースにおいて、遡及適用条項は正当な期待の原則および公平 な扱いの原則に反しており無効であるとの判断が欧州裁判所から出されており、本指令においても製造 者等に対し遡及して義務を課すことは出来ない。 また、家電製品の中には製品寿命が 10 年から 20 年と長いものもあり、HW を対象とすると 20 年前 に販売した製品までリサイクルする義務が生じ、企業のコスト負担は膨大なものとなる。過去に販売さ れた製品の引き取りに関して、コストを回収できるような条項がないことから新たな負担が生じ、欧州 での操業中止を余儀なくされる企業が出たり、欧州への投資を避ける事態も懸念される。すなわち製造 者はバランスシートに過去に上市し、その後販売されたすべての製品についてリサイクル等にかかる費 用を付加利子として計上しなければならず、しかもその費用は単一会計年度に計上し、かつ historical waste を取り扱うすべての見積もりコストをカバーしなければならないため、多くの企業が会計上倒産 せざるを得ない事態に至ることとなる。 JMC environment Update 5 Vol.1 No.5 (2000.1) JBCE の WEEE 第3次ドラフトに対するコメント 5.リサイクル費用負担 1)リサイクル・処理の責任をメーカーが全うするためには、ビジネス活動を通じて、その費用を円滑に 調達できることが必要である。どのようにすれば、費用の調達を円滑に行えるかは、製品価格に対す るリサイクル費用の割合、製品の付加価値の高さ、リサイクルに要する費用、リサイクルから回収さ れる物質の価値、製品の販売ルート等に依存するものであり、製品ごとに異なる。またこれまでのリ サイクルの方法等は国によって異なり、それに応じて業界の選択しうる方法も国によって異なってく る可能性がある。産業界はリサイクル費用を回収するために、販売時点で定額のリサイクル費用を徴 収するスキームを導入しなければならない場合もある。従って、産業界が販売時点で徴収すべきリサ イクルコストを定めることを望めば、定額のリサイクル費用が販売時点で徴収されるシステムを導入 できることを明確にすることを含めて、産業界はリサイクル費用を徴収でき、かつ各国ごと、製品ご とにリサイクルコストを徴収する方法を選択できることを明確にすべき。 なお、オランダでは、リサイクルコストは IT 機器の場合はメーカーが負担し、家電の場合ユーザーが 負担している。これは、IT 機器の場合は、引き取った製品を再整備・修理等(リサイクル)をして販 売することが比較的容易なものがあり、家電の場合は流通ルートが多岐にわたる上、リサイクルがビ ジネス上の観点から難しいという業種毎の実態に基づいている。 2)製品カテゴリー2,5,6 及び 9 について費用負担の義務発生時期を明記すべき。 6.リサイクル率 1)一般に Life Cycle Assessment によれば、多大なエネルギーを利用して再使用・リサイクルするよりは 熱回収した方が環境負荷が少ないことがあり、どんな場合においても再使用・リサイクルが環境負荷 が少ないとは限らない。本指令の目的、とりわけ廃電気電子機器の処理・処分に係わる環境へのリス クとインパクトの最小化の観点からは、 熱回収も有効なリサイクル手段の一つとして考えられるべき。 Explanatory Memorandumでは小型機器の大規模リサイクリングは実験結果によって70%達成可能 と出たとしているが、金属が多い製品なら金属を分けるなどによって 70%のリサイクルが可能な場合 もあろうが、小型の製品でプラスチックが多いとリサイクル率はそれほど高く出来ない。 日本の場合、法律で定められたリサイクル率は冷蔵庫および洗濯機で 50%、テレビで 55%、エア コンで 60%の水準であり、これに比べてもドラフトの 70〜90%のリサイクル率は極めて高い。 従って、リサイクル率については、他の環境負荷や技術的可能性、今後蓄積されるデータを考慮し て、本指令施行後一定期間を経た後に、政府と産業界の間で検討して決めることとするべき。少なく とも高いリサイクル率にするなら熱回収も対象にし、熱回収を対象外とするならリサイクル率は低く すべきで、その後、引き上げる場合には、技術的進展、製品の世代交代などを考慮に入れて、段階的 に引き上げるべき。 2)ドラフトではリサイクル率の定義が明確でないので、明確に定義すべき。 JMC environment Update 6 Vol.1 No.5 (2000.1) JBCE の WEEE 第3次ドラフトに対するコメント 7.域外でのリサイクル規制 メーカーは、世界中で販売した製品を一カ所で集中して行うなど、環境の保護を前提としつつ最もビ ジネス上合理的な方法で行っている。 本指令案では EU で回収した製品をリサイクルのために EU 域外で 処理(treatment)する場合、当該処理工場が EU の技術要件に合致していないと域外に輸出できないこ ととしているが、第3国の環境保護、人の安全は当該第3国がその主権と責任に基づき行うべきもので あり、このような規制は、第三国におけるリサイクル・処理サービスに不当な制限を課するものである。 通商法上、本規制は GATS 違反である。 8.使用済み機器からの特定物質の除去 使用済み機器から除去すべきものとして液晶ディスプレイ(LCD)が対象となっているが、液晶モジ ュール中のバックライトや駆動回路基盤を取り除いた LCD そのものには Annex II に該当する水銀、 鉛、 六価クロムのような有害物質は含まれていない。 また処理の際にすべての液体の除去が義務付けられているが、LCD は、一対のガラス等の基盤の間に 流体である液晶材料が微量封止されているもので、微量であることから基盤との表面張力で保持された 状態にあり、万一、ガラス等の基盤が割れたとしても液晶材料が LCD の外部に流出することはほとんど ない。 以上の理由により、Annex III から LCD に関する記述を除去し、6.1 条の液体除去規定から除外する特 記事項を追加すべき。 9.OEM とリサイクル責任 OEM 製品(完成品で供給されると半完成品で供給されるとを問わず)において、リサイクルの責任が ブランド保持者にあるのかブランド非保持者(実際に当該製品を製造しブランド保持者に納入する者) にあるのか明らかでない。実際問題として、納入者は当該品の販売量や販売価格等の市場戦略に関知し ないことから、OEM 製品についてのリサイクル責任はブランド保持者側が持つべき。 (注)OEM(Original Equipment Manufacturing)製品とは、自ら製品を製造しない企業 のブランドで上市された完成品、半完成品をいう。 10.排出者(消費者)の責務 環境を保全するためには、自治体、製造者のみならず排出者(消費者)も天然資源の無駄な消費を減 らし、汚染を防止すること等に責務を有していることを加盟国政府が各国民に啓蒙するよう義務付ける べき。消費者は分別回収に協力する、汚染したものを出さない、排出物に他のものを混入させないとい う責務を負っており、仮に消費者がこのような責務を全うしない場合には、自治体は消費者から、また 製造者は自治体等から機器の引き取りを拒否できることを明記すべき。□ JMC environment Update 7 Vol.1 No.5 (2000.1) 連載 米国における環境関連動向 〜在ワシントン/コンサルタントによるモニタリング情報 ② ● はじめに 本報告書は今年 9 月末から 11 月までの最新の米国の環境関連動向を包括的にまとめている。今回は、環 境政策を積極的に進めてきた有力議員の死が米国連邦議会の環境関連立法に及ぼす影響のほか、国連気候 変動枠組条約第5回締約国会議の動向などを含めた地球温暖化に対する米国の動きなどにふれている。ま た、EPA(環境保護庁)の各種環境情報提供プログラムや、開発が進む環境会計関連ソフトウエアなどに ついてもまとめている。 ポイント ・連邦議会上院では積極的に環境政策を進めてきたジョン・チェーフィー議員の急逝で、今後の環境関連 立法が大きく変化する可能性が出てきた。 ・環境関連政府予算を含む 2000 年度(1999 年 10 月〜2000 年 9 月)の連邦政府予算が成立した。スー パーファンド法を一部改正し、金属のリサイクル事業関係者への罰則軽減を一部認める法案も成立し、 関係者は今後の動向に注目している。 ・地球温暖化を防止するための気候変動枠組み条約の第5回締約国会議がドイツのボンで開かれ、米国を はじめとする先進各国が削減目標達成のための柔軟性条項などについて、話し合ったが、目覚ましい進 展はほとんどなかった。 ・ 「地球温暖化防止対策は既に手遅れ」 「熱帯林の破壊は取り返しが付かない状態」などとする極めて悲観 的な「地球環境概況」を国連環境計画(UNEP)が発表した。 ・EPA は現在、 「エンバイロファクツ・ウェアハウス」 「サーフ・ユア・ウォーターシェッド」の2つを中 心とする環境情報提供プロジェクトに力を入れている。 ・環境会計が定着するにつれ、関連するソフトウエアの開発が進んでおり、環境会計をアウトソーシング する経済的余裕がない中小企業などの需要が多いとみられている。 JMC environment Update 8 Vol.1 No.5 (2000.1) 米国における環境関連動向〜在ワシントンコンサルタントによるモニタリング情報② ● チェーフィー上院環境公共事業委員長の死と 今後の環境関連立法 であり、環境保護に対して、チェーフィー議員がい かに積極的だったか、明確に示している) 。 米国の 90 年代環境政策の柱といえる存在だったジ ョン・チェーフィー議員(John H. Chafee:ロードア イランド州選出:共和党)の急逝で、今後の米国連 邦議会上院の環境関連立法が大きく変化する可能性 が指摘されている。というのも、環境公共事業委員 会(Environment and Public Works Committee)の委 員長だったチェーフィー議員の後がまとして、就任 したのが、環境保護に対しては否定的な立場で知ら れるロバート・スミス(Robert Smith:ニューハン プシャー州出身)議員で、大きな政策転換が予想さ れているためである。各種環境保護立法の策定に尽 力し、環境保護団体などから高い信頼を受けていた チェーフィー議員とは対照的に、スミス議員は既に、 開発推進(pro-development)と EPA の規制緩和を訴 えている。 チェーフィー議員が中心になってまとめた主な立法 には次のようなものがある。 ・1990 年大気清浄法(Clean Air Act of 1990) 「1970 年大気清浄法」を大幅に改訂し、排気や燃 料物資に含まれる有害物質含有量などを厳格に規 制している。自動車メーカー、電力会社、エネル ギー関連事業者などが主な対象となっている。 ・1987 年水質清浄法(Clean Water Act of 1987) 「1972 年水質清浄法」を大幅に改訂し、105 の水 質汚染物質に関する厳格な規制を盛り込んでいる。 化学メーカーのほか、各種事業者が対象で、1989 年のエクソン・バルディス(Exxon Valdez)号原 油流出事件ではこの法律を基に多額の賠償が請求 されている。 チェーフィー議員は10月24日、 心不全で死去した。 同議員は 1970 年代から環境保護に積極的な立場を 貫いており、90 年代には米国連邦議会上院で環境関 連立法の中心となる環境公共事業委員長として、各 種環境保護立法の策定に尽力してきた。 特に、 「1990 年大気清浄法 (Clean Air Act of 1990) 」 「1987 年水質 清浄法(Clean Water Act of 1987) 」 「1984 資源保全 回収法(Resource Conservation and Recovery Act of 1984) 」の立法過程では中心的な役割を果たした。ま た、厳しい責任追及主義で知られており、共和党保 守派を中心に規制緩和を求める改革の動きがある 「1980 年スーパーファンド法(包括的環境対処・補 償 ・ 責 任 法 = Comprehensive Environmental Response and Liability Act) 」については、緩和を認 めない立場を貫いてきた。そのため、チェーフィー 議員は資源保全有権者連盟(League of Conservation Voters)などの環境保護団体の「環境保護への取り 組みスコアカード」では常に 80 点前後であり、環境 保護に積極的な民主党議員との党派を超えた環境立 法で知られていた(注:資源保全有権者連盟や米国 市民自由連合(ACLU)などの、米国の公共利益団体 は、運動の一環として、連邦議会議員を 採点 し ており、チェーフィー議員の「環境保護への取り組 みスコアカード」での点数は、民主党でもっともリ ベラルといわれる議員の一人である、エドワード・ ケネディ(Edward Kennedy)議員とほぼ同じレベル JMC environment Update ・1984 資源保全回収法(Resource Conservation and Recovery Act of 1984) 1976 年資源保全回収法を強化したもので、未処理 の有毒廃棄物の埋め立てを厳しく規制している。 化学メーカーのほか、幅広い事業者が対象となっ ている。 米国連邦議会上院の場合、下院に比べ、委員会をリ ードする委員長の権限が非常に強いといわれている。 これは、数ある法案の中からどれを選び審議する審 議選択権や法案採決権が委員長に集中しているため で、委員長の議題設定(アジェンダセッティング) 機能が非常に強い。環境関連立法でもこの特徴は例 外ではなく、上院環境公共事業委員会では、委員長 の環境問題に関する考え方やイデオロギーなどが直 接、立法過程に反映される傾向にあり、例えばチェ ーフィー議員は環境保護に積極的なマックス・ボー カス(Max Bocus:モンタナ州選出) 、ジョセフ・リ ーバマン(Joseph Liberman:コネチカット州選出) ら民主党議員との党派を超えた環境立法を展開し、 自分の所属する共和党議員の反対を押しきってきた。 第 104 議会(1995-1996)では、前年選挙での共和 党の大幅躍進で、下院の ギングリッチ旋風 に代 表されるように、保守の勢いが増し、環境政策も大 きく後退するかと見られたが、 「上院でもスミス議 9 Vol.1 No.5 (2000.1) 米国における環境関連動向〜在ワシントンコンサルタントによるモニタリング情報② 出 ジェームス・インフォフ(James Inhofe) :オクラホ マ州選出 クレイグ・トーマス(Craig Thomas) :ワイオミング 州選出 クリストファー・ボンド(Christopher Bond) :ミズ ーリ州選出 ジョージ・ボイノビッチ(George Voinovich) :オハ イオ州選出 マイク・クラポ(Mike Crapo) :アイダホ州選出 ロバート・ベネット(Robert Bennett) :ユタ州選出 ケイ・ベイリー・ハッチソン(Kay Bailey Hutchison) : テキサス州選出 リンカーン・チェーフィー(Lincoln D. Chafee) :ロ ードアイランド州選出 員に代表される保守派の声が強くなり、EPA の予算 なども大幅に削られたが、その中にあってチェーフ ィー議員の努力で救われた環境政策も数多い」 (議 会関係者)といわれていた。このように、チェーフ ィー議員の環境保護立法リーダーシップは、やはり 上院環境公共事業委員会で、1970 年に米国の環境保 護政策を強力にリードし、伝説的な存在ともなって いるエドモンド・マスキー元議員(民主党、メイン 州選出)と匹敵するといわれている。 一方、下院の場合は、立法化を統括する議長の権限 が強く、法案を選択し、特定の委員会に審議を委託 する権利などが議長に集中しているため、個々の委 員長の力は上院に比べてかなり弱い。特に、環境関 連立法に関しては商業委員会(特に、健康環境小委 員会) 、資源委員会(特に、エネルギー鉱山資源、漁 業野生動物海洋、国立公園森林土地、水電力資源各 小委員会) 、科学委員会(特に、エネルギー環境小委 員会)と3委員会が担当するため、委員会のリーダ ーシップが取りにくいといわれている。下院に対し、 環境政策の審議が環境公共事業委員会に集中するこ とが多い上院では、委員長人事が環境政策に与える 重要度はかなり大きいといわれている。 チェーフィー議員の後任委員長人事は、11 月上旬、 上院の慣習に従い、議会与党(現在は共和党)のう ち、通常、議員歴がもっとも長い議員が担当するが、 議員歴が一番長いジョン・ワーナー(John Warner: バージニア州選出)議員は軍事委員会で既に委員長 になっているため、次に続く経歴のロバート・スミ ス議員に委員長ポストを譲った。また、チェーフィ ー議員のポストには、法律に従い、出身州のロード アイランド州のアーモンド知事に任命権が与えられ、 知事の意向を受け、チェーフィー議員の子息で、同 州ワーウィック(Warwick)市の市長であるリンカー ン・チェーフィー (Lincoln D. Chafee) 氏が就任した。 リンカーン・チェーフィー氏が父の代わりに環境公 共事業委員会に所属する。 最新の上院環境公共事業委員会は次のとおりである。 共和党 ロバート・スミス(Robert Smith) :ニューハンプシ ャー州出身 ジョン・ワーナー(John Warner) :バージニア州選 JMC environment Update 民主党 マックス・ボーカス(Max Bocus) :モンタナ州選出 ダニエル・モイニハン(Daniel Moynihan) :ニュー ヨーク州選出 フランク・ローテンバーグ(Frank Lautenberg) :ニ ュージャージー州選出 ハリー・リード(Harry Reid) :ネバダ州選出 ボブ・グラハム(Bob Graham) :フロリダ州選出 ジョセフ・リーバマン(Joseph Liberman):コネチ カット州選出 バーバラ・ボクサー(Barbara Boxer) :カリォルニ ア州選出 ロン・ワイデン(Ron Wyden) :オレゴン州選出 スミス議員は、親ビジネス(pro-business)の立場で 知られる。同議員は、全米独立事業者連盟(National Federation of Independent Business)などの各種業 界ロビー団体の声を基に、スーパーファンド法の改 訂を常に訴えており、 「EPA(環境保護庁)の独裁を 許してはならない」 「環境問題は連邦政府ではなく、 ビジネス界や地方自治体が担当すべきだ」 「 地球温 暖化 に対する各種規制は、米国の地位を揺るがそ うとするリベラル派の陰謀だ」などと発言してきた。 資源保全有権者連盟の「環境保護への取り組みスコ アカード」は 10 点前後と非常に低い。 そのため、現在、環境保護団体や EPA 関係者からは 「スミス議員では、環境保護が大きく後退する」い う強い不安の声が上がりつつある。ワシントンの環 10 Vol.1 No.5 (2000.1) 米国における環境関連動向〜在ワシントンコンサルタントによるモニタリング情報② 議員らの努力で予算減は免れている。また、クリー ンエネルギー開発などを目的にしたクリントン大統 領が大幅予算増を狙った「環境変化に対する技術イ ニ シ ア テ ィ ブ ( Climate Change Technology Initiative) 」に対する 2000 年度予算も、予算教書の 要求額よりも 1 億 1500 万ドル少ない、99 年度と同 じ 1 億 1100 万ドルにとどまった。 境保護団体「環境ワーキンググループ (Environmental Working Group) 」のマイク・ケーシ ー(Mike Casey)氏は「大気汚染法など、チェーフ ィー議員が中心に取り組み法制化された環境立法が 特に心配だ」と話している。ある EPA 関係者は「規 制緩和をとなえるレーガン政権時代に、EPA の機能 を弱めるために長官に任命された企業寄りのアン・ バーフォード(Anne Burfold)とスミス議員が重なっ てみえる」と指摘している。 また、共和党保守派を中心に環境関連予算案に「ラ イダー(rider:提出した法案の狙いとは直接、関連 がない法案条項で、困難な法案を成立させるための 隠し球 として、連邦議会ではしばしば利用され る立方手段) 」として盛り込まれた各種環境規制緩和 案のほとんどが未成立に終わったものの、スーパー ファンド法を一部改正し、金属のリサイクル事業関 係者への罰則軽減を認める法案が成立することにな った。 スミス議員は委員長就任後、環境保護派を刺激しな いように政策方針などの発言には非常に慎重になっ ているが、それでも開発推進と EPA の規制緩和の立 場は変えていないのは間違いなく、委員会内で、ス ミス委員長よりも開発推進の立場を取っているジェ ームス・インフォフ議員(James Inhofe:オクラホ マ州選出)と共闘していくとみられている(なお、 資源保全有権者連盟のインフォフ議員に対する「環 境保護への取り組みスコアカード」はゼロ点と全議 員の中で最低となっている) 。 成立したスーパーファンド法の部分改正は前号で紹 介したボーエラート議員(Sharwood Boehlert:ニュ ーヨーク州選出)らが提出していたスーパーファン ド改革法案「米国土地リサイクル法(Recycle America’s Land Act. HR1300) 」の一部条項とほぼ同 じである。有害・危険物質問題に対する厳しい責任 追及主義をうたっているスーパーファンド法の対象 に金属リサイクル事業者という例外をほぼ初めて設 けたという点で、非常に注目されている。 いずれにしろ、チェーフィー議員の死とスミス議員 のリーダーシップは今後の米国連邦議会上院の環境 関連立法を大きく変化させるという見方がアナリス トの間で多い。個々の立法が日本など海外からの進 出企業や輸出品に影響するのはまだ、当分、先にな るが、今後の米国の環境政策を占う上で、上院環境 公共事業委員会の動向が注目される。 このスーパーファンド法改正法案の成立もあって、 連邦議会内では今後の抜本的なスーパーファンド法 改革に対する期待が少しずつ高まっている。これは、 11 月 12 日に、銀行・証券の垣根を設けたグラス・ スティーガル法が 66 年ぶりに改訂され、銀行・証 券・保険の業務の垣根を撤廃する金融制度改革法案 が成立したためで、同法に続く、長年の課題ともい えるスーパーファンド法改革法案に両党の議会指導 部の注目が集まっている。また、前述のように、上 院環境公共事業委員会の委員長にスーパーファンド 法改革を訴えるスミス議員が就任したのも、改革派 にとっては追い風になっている。スーパーファンド 法は環境保護の象徴となってはいるものの、遡及適 用されるほか、責任者が契約している金融機関まで 責任が及ぶため、企業にとっては、訴訟に対する極 度の不安から経済活動の支障になっているという指 摘が多く、これまでに数々の改革案が論じられてき ● 環境関連政府予算とスーパーファンド改革法 案の行方 環境関連政府予算を含む 2000 年度(1999 年 10 月 〜2000 年 9 月)の連邦政府予算が 11 月末、成立し た。2000 年度歳出予算は新年度開始時(10 月 1 日) までに法案が成立していなかったため、議会は暫定 予算を採択し、審議を続けていたが、共和、民主両 党が歩み寄り、各予算法案の審議は 11 月下旬にまと まった。環境関連政府予算の中ではクリントン大統 領が今年はじめ提出した予算教書よりも 5000 万ド ル少ないものの、EPA 予算に 99 年度と同じ 75 億 9000 万ドルが割り当てられた。共和党が上下院で多 数を占めることになった 95 年から、EPA の予算削減 の圧力が大きくなっているが、前述のチェーフィー JMC environment Update 11 Vol.1 No.5 (2000.1) 米国における環境関連動向〜在ワシントンコンサルタントによるモニタリング情報② たが、いずれも未成立に終わっていた。 議期間中後半に、開かれた各国の環境相クラスの閣 僚級会合では意見の違いが鮮明になった。 ● ボンで温暖化防止会議 このほか、数値目標を達成できなかった場合の罰則 や、森林が吸収する二酸化炭素の扱い(通称「シン ク(sink) 」 ) 、京都議定書で削減義務を負わなかった 途上国が将来、削減に参加するかをめぐる「途上国 問題」などについても議論されたが、合意に至らな かった。途上国の中には参加に積極的な国がある半 面、 「発展途上国の排出削減は先進国からの資金、技 術移転が先」という立場の国も多く、主要な争点に ついては結論を先送りした。このように、各国の思 惑が複雑に絡み合い、ボン会議では 2000 年の第6 回会議(ハーグ会議)で詳細な内容の合意を目指す という前回の会議の決定事項を再確認する「ブエノ スアイレス行動計画の実施」のシシュコ議長決議を 採択した以外には、目覚ましい進展はほとんどなか ったという見方も少なくない。 地球温暖化を防止するための気候変動枠組み条約の 第5回締約国会議(COP5。正式には国連気候変動枠 組条約第5回締約国会議)が 10 月 25 日から 11 月 5 日までの日程でドイツのボンで開かれた。温室効果 ガスの排出削減を目的に、1997 年の温暖化防止京都 会議で採択された京都議定書(Kyoto Protocol)の具 体化などが協議された。2000 年 11 月にオランダの ハーグで開かれる次回締約国会議までに詳細につい て合意を目指すことになっており、ボン会議はその ための重要な布石となる。 ボン会議では特に、削減目標達成のための柔軟性条 項の扱いが焦点となり、米国政府をはじめ、国際機 関や非政府組織(NGO)の代表らの代表が激しい議 論を交わした。柔軟性条項は、温室効果ガスの排出 削減を義務付けた京都議定書に、法的拘束力のある 先進各国の数値目標を達成する手段として採用する ことが認められた特別な制度であり、1)先進国同 士が排出枠を売り買いする「排出権取引(emission trading) 」 、2)複数の国が共同で削減事業を行い、 削減分を分け合う「排出削減事業の共同実施(joint implementation) 」 、3)発展途上国の削減事業に協 力すれば、一部を先進国の削減分とみなす「クリー ン開発メカニズム(clean development mechanism = CDM) 」――の3種類がある。 京都議定書では、二酸化炭素のほかメタン、代替フ ロンなど6種類の温室効果ガスを対象として、先進 国と旧ソ連圏諸国が 2008 年から 2012 年までの平均 の排出量を1990年レベルから計5%以上削減するこ とが義務付けられている。二酸化炭素(CO2) ,メタ ン(CH4) ,亜酸化窒素(N2O) ,ハイドロフルオロカ ーボン(HFC) 、パーフルオロカーボン(PFC) ,六フ ッ化硫黄(SF6)の6種を温室効果ガスの対象として いる。 削減目標値は均一ではなく日本はマイナス6%、 米国同 7%、欧州連合(EU)同 8%など。アイスラ ンドなど一部の国には排出増加を認めている。また、 また、1990 年以降の植林、再植林を排出量から差し 引き、伐採は二酸化炭素を排出すると見なす「ネッ ト方式」が採用されている。 京都会議に続く、昨年 11 月の第4回締約国会議(ブ エノスアイレス会議)では、柔軟性条項の一部内容 について合意を図る動きもあったが、最終的に意見 調整はつかず、2000 年の第6回会議(ハーグ会議) で詳細な内容の合意を目指すことが決まった。その ため、今回のボン会議ではその土台となる「決定文 書」の原案をどこまで決めることができるかが、焦 点となった。 京都議定書の発効には、55 以上の国が自国の議会で 批准する必要がある。1999 年 11 月現在、議定書を 批准した国は 16 カ国で、その全てが途上国であり、 批准した先進国はない。世界の総排出量の約4分の 1を占める米国では、 「京都議定書」について、議会 はじめ業界、労働組合が強く反発しており、近年の 排出増が目立った中国を念頭に「先進国だけの削減 は不公平」と批判している。そのため、京都議定書 への調印も 1998 年冬と主要国の中では一番遅かっ た。条約の批准権を持つ上院は中国やインド、その 他の途上国の排出ガスの多い国が条約に調印するま ボン会議では当初の予想のとおり、米国と日本が柔 軟性条項の自由な運用を主張しているのに対し、欧 州連合は「国内努力を優先させ、取引などで得られ る削減分には一定の上限を設けるべきだ」として意 見が対立し、妥協点は見いだせなかった。特に、会 JMC environment Update 12 Vol.1 No.5 (2000.1) 米国における環境関連動向〜在ワシントンコンサルタントによるモニタリング情報② 池、風力などを推進する強力な政策が必要と指摘さ れている。 で、条約を承認しないとみられる。フェデリコ・ペ ーニャ(Federico Pena)前エネルギー長官や、現在 のビル・リチャードソン(Bill Richardson)同庁長官 のいずれも「発展途上国の参加がない限り法的に拘 束されるべきではない」としており、クリントン大 統領も当分、批准を上院に要請しないといわれてい る。このように、米国内では、議定書の批准はまだ、 見通しが立っていない。 ● 「地球環境概況 2000」 京都議定書の目標達成は、現状では米国に限らず、 日本でも EU でも極めて難しい。 これを反映してか、 国連環境計画(UNEP=United Nations Environmental Programme)が 9 月末に発表した「地球環境概況 2000」 では、 「地球温暖化の防止はおそらく既に手遅 れ」という極めて悲観的な内容になっている。 今回のボン会議でも、EU や日本を含む諸国が「1992 年に開かれたリオ地球サミットの 10 年にあたる 2002 年に議定書を発効させる」と主張したが、アメ リカ代表はこれまでのとおり、途上国の排出抑制へ の参加が保証されるまでは批准しない、との立場を 貫いた。このため、EU・日本などで先行批准もや むなしとする動きもあったといわれている。 「地球環境概況」は国連環境計画が中心になり、世 界の約 850 人の専門家による、国際機関のデータや 各国研究機関の研究成果、研究者の調査などを総合 して地球環境の現状や今後の評価、政策提言をまと めた報告書で、1997 年に最初の報告書を公表して以 来、毎年、まとめている。 議定書を米国が批准しなくても、数の上では、議定 書の発効が可能であるという指摘についてボン会議 の米国代表のフランク・ロイ(Frank Loy)氏は「計 算上、たとえそうなるとしても、世界の総排出量の 約4分の1を占める米国が加わらなくては、発効し ても意味がない。リーダーシップ不足になるだろう」 と指摘している。しかし、その一方で、同氏は「米 国は早期発効を支持するが、国内の批准には途上国 の意味ある参加がさらに必要である」と述べ、これ までの米国の主張を貫いている。 「地球環境概況 2000」では「90 年代後半の大気中 の二酸化炭素濃度は過去 16 年間で最高であり、温室 効果ガス排出増による地球温暖化の防止はおそらく 手遅れであり、京都議定書の目標も達成が難しい」 としているほか、 「2050 年には世界の二酸化炭素の 排出は 2.4 倍になる」と予想している。また、温暖 化を防ぐ、森林、植林についても「熱帯林の破壊は 既に取り返しが付かない状態であり、失われた森林 の回復には多くの時間が必要。森林とともに失われ た文化は永久に回復できない」と述べている。 ● 米国の温室効果ガス、微増 温暖化の他にも「地上の淡水資源は、今後数 10 年間 の需要増には対応できそうになく、ほ乳類の4分1 が絶滅の危機にあるなど、かつて地球上に存在した 生物多様性を保つことは既に手遅れの状態となって いる」 「今のままのペースが続けば、ダイオキシンな ど、 有害物質の排出は 2050 年には地球全体では現在 の3倍、途上国では5倍近くになる」 「2050 年には 世界人口の3分の2の 20 億人が極度の水不足に悩 む」 「天然漁業資源は乱獲の影響で、現在年間 8,800 万トンで頭打ちだが、2050 年の需要は 1 億 7,000 万 トンに達する」など、非常に悲観的な予測になって いる。まとめとして、目先の経済的な利益のために しばしば無視されてきた環境問題を各国政府の重要 課題とするように、訴えている。 エネルギー省はこのほど、 米国の 1998 年の温室効果 ガス排出量は炭素換算で 18 億 300 万トンで、前年 に比べ 0.2%の増加にとどまったと発表した。排出が 微増にとどまったのは、暖冬で暖房用燃料の需要が 少なかったため。産業部門からの二酸化炭素(CO2) 排出は前年比 1.3%増えた。 温室効果ガス排出量は CO2 とメタンなど他のガスの 合計値。温室効果ガスの1割近くを占めるメタンに ついては、90 年に比べ約 4.5%減った。 しかし、前述の地球温暖化防止の京都議定書が米国 に義務付けた7%削減の基準となる90 年の排出量に 比べると、それでも約 10%多く、燃料電池、太陽電 JMC environment Update 13 Vol.1 No.5 (2000.1) 米国における環境関連動向〜在ワシントンコンサルタントによるモニタリング情報② 通しを持つ意見もある(ワールドウオッチ研究所の 試算では、 米国の 1998 年の温室効果ガス排出量は前 年に比べて 0.4%増となっており、連邦政府試算より もやや多くなっている) 。 温暖化については、一方で、環境保護団体のワール ドウオッチ研究所の試算では昨年、世界の二酸化炭 素排出量が五年ぶりに減少に転じ、特に中国が 3.7% という大幅な減少を達成したとしており、先進国に 排出削減を義務付けた京都議定書の実現に明るい見 図:1998年CO2排出量国別割合(ワールドウォッチ研究所調べ) 米国 23% その他 40% 中国 13% EU 9% ロシア 6% インド 4% 日本 5% ● EPA の環境情報提供 なデータを一般市民に開放することが狙いである。 EPA は現在、各種環境情報の提供に力を入れている。 その中でも、エンバイロファクツ・ウェアハウス (Envirofacts Warehouse) 」 「サーフ・ユア・ウォー ターシェッド(Surf Your Watershed) 」との2つのプ ロジェクトは最新情報が盛り込まれており、注目を 集めている。 エンバイロファクツのソフトウェアは、EPA が全米 のデータを管理するために使用しているメインフレ ーム・システムからデータを抽出し、オラクルのリ レーショナル・データベース管理システム(RDMS) に蓄えている。RDMS のアップデートは少しずつ継 続的に行われ、全体では 1 カ月周期で更新されてい る 。 こ の デ ー タ は 、 ウ ェ ブ ペ ー ジ (http://www.epa.gov/enviro/)からアクセスするこ とができる(1999 年 11 月現在)。また、全米規模の GIS データベース「Arc/Info」と組み合わせることで、 特定地域のマップを見ながら、環境関連データ(汚 染レベル、工業排水基準合格度など)にアクセスす ることも可能となる。 1)「エンバイロファクツ・ウェアハウス (Envirofacts Warehouse) 」 1997 年から、EPA の情報リソース管理局(Office of Information Resources Management)が実施してい る。 「エンバイロファクツ」というのは、 「環境」と 「事実」の合成語であり、そのウェアハウスという 名称からもわかるように、環境に関する政府の豊富 JMC environment Update 14 Vol.1 No.5 (2000.1) 米国における環境関連動向〜在ワシントンコンサルタントによるモニタリング情報② EPA によると、同サイトは月間 25 万ヒットという高 水準のアクセスを記録している。また、連邦法で義 務づけられている政府機関としての情報公開も、利 用者の一部がエンバイロファクツに移行したために 効率化(書類による情報請求が 20%も減少)したと いわれている。 した上で追加される。 SURF 環境情報や環境問題に関連した専門ウェブサイトの ディレクトリ。地域や組織、キーワードなどでの検 索が可能である。また、現住所をインプットすると、 地元に関連したサイトがリストされる。上記と同じ く、自主応募による情報を審査の上掲載する形式で、 現在 2,400 のサイトを紹介している。 2)「サーフ・ユア・ウォーターシェッド(Surf Your Watershed) 」 1996 年から開始されたプログラムで、水質保護関係 の代表的なウェブ情報源として定評がある。 「地元 の水系を探索しよう」という意味の名称を持つこの サイト(http://www.epa.gov/surf/)は、次の 5 つの 情報コーナーで構成されている (1999年11月現在) 。 EPA 関係者によると、不特定多数のユーザーを対象 にしていることから、EPA にとっての具体的メリッ トが測りにくいという理由で、これまで配分された 予算は比較的低水準であったという。しかし、でき るだけ、オンライン情報のリアルタイム性を高める ための努力をしているという。また、 「サーフ・ユ ア・ウォーターシェッド」は、州や自治体などが提 供している大気汚染度などのデータなどへのリンク も提供しており、環境総合サイトとして、役立つよ うに工夫しているとしている。 地 元 の 水 系 保 護 に 参 加 し よ う ( Adopt Your Watershed) 全米の水系保護関連グループのデータベースとリン クを提供。自分の住む州、郵便番号、グループ名、 特定の河川名などから検索ができる機能がある。現 在、自主的な情報提供に基づいて、4,400 以上のグ ループがリストされている。EPA は、リンクを掲載 する前に個々のウェブサイトの内容を簡単にチェッ クしている。 湿原修復事業(Wetlands Restoration Projects) 全米で失われつつある湿原の環境修復に取り組む関 係者が、プロジェクトの進行に関する情報を定期的 に発信している。現在、45 のプロジェクト情報が含 まれており、州・水系別に分類整理されている。 ● 開発進む環境会計ソフトウエア 発言しよう(Speak Out) 環境に関するさまざまな問題について、サイトを訪 問した人々が意見を交換するためのディスカッショ ン・データベースで、管理者つき掲示板のフォーマ ットを取っている。ディスカッションの内容は、分 野・話題・発言者・日付などで検索可能である。 企業が環境対策に投じた費用とその効果を金額など で公表する情報開示方式である環境会計 ( environmental audit あ る い は environmental accounting)が定着するにつれ、関連するソフトウ エアの開発も進んでいる。いずれも、環境情報をイ ンプットすると、自動的に図表が作成される分かり やすい形式で、環境会計をアウトソーシングする経 済的余裕がない中小企業などの利用が多いとみられ ている。 アメリカン・ヘリテージ河川サービス (American Heritage Rivers Services) コミュニティ単位で地元の河川を豊かにするために 役立つ各種のサポートサービスを案内。紹介されて いる支援の分野は、環境・経済・文化など多方面に わたる。現在、500 種類のサービスが掲載されてお り、情報は、支援母体からの自主応募の内容を審査 JMC environment Update 環境会計とは、企業が環境対策に投じた費用とその 効果を金額で表し、公表する情報開示方式である。 15 Vol.1 No.5 (2000.1) 米国における環境関連動向〜在ワシントンコンサルタントによるモニタリング情報② が多く、コストが掛からない環境会計ソフトなどの 導入が急務になっているというわけである。 従来、企業の財務分析の中に反映されにくかった環 境保全に関する投資及び経費とその効果を正確に把 握するための仕組みであり、企業が一定期間(多く の場合、1 年)に環境保全のために使った費用と、 それによって得られた効果との損得を数値や金額で 比較するケースが多い。米国では法律で規制されて いる有害物質の報告・公開義務のほかに、環境会計 を規定する法律はなく、あくまでも企業の自主責任 に任している。しかし、直接、環境会計の義務をう たっていなくても、企業の環境配慮に関する法律・ 規制(例えば、大気清浄法、水質清浄法、TRI=有害 物質放出明細=報告制度、など)は数多いため、環 境に対する企業の認識は高く、そのため、環境会計 を充実させる企業は数多い。 米国では、今後も企業の社会責任の一環として、環 境会計を公表する企業は今後、増えていくとみられ ており、各種環境会計ソフトもさらに開発が進むの は間違いない。 環境会計に関する様々なソフトウエア開発企業の代 表的な例が、 アトリオン・インターナショナル (Atrion International。バージニア州レストン) 、グリーンウ エア・エンバイロメンタルシステムズ(Greenware Environmental Systems。カナダ・トロント) 、KNEX (メリーランド州ボルチモア)などで、いずれの企 業のソフトウエアも図表が中心で、各種環境情報を インプットすると、自動的に図表が作成できる。ま た、各種規制に準拠しているかどうか、一目で分か るようになっている。 また、環境コンサルティング企業が各事業者に適し たカスタムソフトウエアを提供している例も増えて おり、特に、環境問題に対応した管理、運用体制が 整っている事業所や企業に与えられる国際規格 「ISO14000」シリーズ関係ソフトウエアは事業者ご との異なるニーズに対応するように開発されている ケースが多い。 環境会計ソフト開発が進む背景には、大手企業の環 境会計への取り組みが積極的になっていく中、下請 企業を含む取引先に環境報告書の提出を要請する企 業が増えているという事実がある。これは、環境会 計という制度を普及させる絶好の機会ではあるもの の、比較的財政面での余裕がない下請企業にとって は、環境報告書作成に必要な環境監査などのコスト などは大きな負担となっている。企業にとってみれ ば指定された化学物質についての環境排出を報告す ることが求められるため、自らも把握していない情 報データをも調べて報告しなければならないケース JMC environment Update 16 Vol.1 No.5 (2000.1) 連載 欧州環境規制動向 〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報 ⑤ I. EU 1. 欧州議会、新環境コミッショナーの任命を 承認 ・ 拡大問題については、現行 EU 法の厳格な共通基 欧州議会は、スウェーデン社会民主党の Margot 準の執行を、EU 加盟候補国に加盟への必要条件と 策の完了。 Wallström を欧州環境コミッショナーに任命するこ して遵守させることに重点をおく。 とを承認した。1999 年 9 月 15 日の投票で、Romano Prodi 委員長と19 名の強力なチームが3 月16 日に辞 公聴会で同コミッショナーは、気候変動を最優先 任した前委員会から統制権を引継ぐことを公認した。 議題とし、この問題の複雑さと緊急性を認識してい この任命により、環境担当職員は前環境コミッショ ると発言した2。また、議会が重視している航空機お ナーRitt Bjerregard の辞任後保留状態にあった職務 よび重量車に関する提案を支持することを約束し、 を再開できる(Prodi 体制は本誌 No.4、P64 参照) 。 欧州議会議員が利用可能な最善の技術の使用を重視 していることについても認識を示した。また、現行 欧州議会による Prodi チームの承認は、 個別ではな の排出ガス戦略を修正し、加盟国にとって遵守する く総体として行われたが、それでも実質的に就任面 価値があるような奨励措置の導入を予定している。 接を意味する一連の公聴会の中で、一部の候補者が 期待に達していないことを明らかにしている。 しか また、エネルギー生産に起因する排出ガスへの課 し、これは Wallström のことではない。欧州議会環 税を支持すると公約し、その立法化をめぐる複雑な 境委員会議員(MEP)も非政府組織(NGO)の代表 側面についても認識を示した。さらに、環境税によ も 9 月 2 日の同氏の公聴会には好印象を示した。 る財源は、加盟国のグリーン税改革財源や、これま での環境破壊の修復にすべて充当すべきであると発 公聴会で、 Wallström は、書面による議会の質問 言した。 1 への回答にほとんど付加えなかった 。詳細は最小限 にとどめたものの、直ちに取組むべき次の5つの重 化学物質に関しては、現行政策を変更する意向が 要分野について見解を明らかにした。 あることを明らかにした。現行政策を「あきれるほ ・ 気候変動―京都会議の基準の達成を優先課題とす ど不十分である」として、特定対象のリスク評価を る。 含む政策に変更し、製造業者に証明責任を課し、有 ・ 環境、特に化学物質を含めた公衆衛生の保護。 害物質に代る可能性のある代替物質の調査を実施す ・ EU の水に関する枠組指令案の最終決定と実施。 ・ 事前警告原則を含めた EU の化学物質に関する政 2 1 関する概要ステートメント」を参照、ストラスブール、1999 年 10 欧州委員会:欧州議会における Margot Wallström の公聴会―環境、 公衆衛生、消費者政策委員会 JMC environment Update 新委員会の気候変動に関する方針についての詳細、「気候変動に 月 6 日、スピーチ/99/125 17 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ ると発言している。 数百万ドルにおよぶ追加コストの負担が強いられる ことになると主張している。前回の第2次指令案と 一方、持続可能な開発に重点をおく第 6 次環境行 同様に、一般家庭から出る廃家電の引取りについて th 動計画(the 6 Environmental Action Program)を促 は、最終所有者の負担はなく、流通業者および小売 進する。立法措置に関して欧州議会に欧州理事会と 業者が同様の新製品を販売する際に、古い製品を無 同じ発言権が与えられる共同決定プロセスを経て、 料で引取ることが義務づけられている。 同計画を承認することを確言している。この新行動 計画は第5次計画より対象期間が短く、より戦略的 同計画は全体的に4年以上も懸案になっていて、 かつ政治的な内容になるが、従来の計画を基本とし 製造業者に製品ライフサイクル最終段階での引取を た上で新プロセスなどの詳細な内容を付加したもの 義務づけ、その対象商品は 11 の製品分野に及んでい になる予定であると、発言している。同氏の持続可 る。 能な開発を実践するための戦略では、新しい形態の 展開が要求され、経済成長を刺激するために効率性 現在同案は、欧州委員会における合意に向けて最 を改善し、環境に配慮した貿易を実施することが求 終準備段階にあり、この後、正式提案となる。同法 められている。同氏の計画には人々の行動や生活様 案が法律となるには、委員会提案後に欧州議会と閣 式の変化が重要な意味をもつ。 僚理事会の承認が必要である。しかし、業界団体が 現指令案の変更を強く求めているため、新欧州委員 さらに、人々の関心を直接環境問題に集めるため 会がテイクバックスキーム(引取義務)を盛込んだ にインターネットを利用することで、市民の情報へ まま合意に達するかは、今後を待たねばならない。 のアクセスを改善することを公約している。特に第 6次環境行動計画の最終文書を市民に配信し、理解 さらに指令案では、将来の電子製品廃棄物に対す してもらうために、ネット上で読めるようにすべき る責任を業界団体に負担させる以外に、法律の成立 であるとしている。 前に製造された古い製品の引取りを、製造業者に義 務づけるものでもある。 最後に、EU が率先して範を示すべきであると考え ている。次回の 2002 年気候変動に関する国際会議、 業界団体は引取り義務における遡及的側面につい いわゆる「リオ+10」への出席にあたっては持続可 ては猛烈に抵抗している。代表的業界ロビー団体 能な開発に関する現実的な立場を示したいという意 ORGALIME はポジションペーパーを回覧し、一般家 向をもっている。EU は、 Wallström が主張するよう 庭や企業から出る電子製品の処分は地方自治体の管 な展開に対する重要な新技術に重点をおき、従来の 轄とすることを求めており、製造者の責任は、行政 欧州および開発途上国におけるモデルからの飛躍を 回収分別された消費者製品に限り対象とすべきと提 目指すことになる。 案している。 2. WEEE 提案を阻止する強力なロビー活動が 進行中 法律制定後の製品に限るべきであると主張している。 また、どのような形の引取り制度であれ、対象は 電子機器製造業者に使用済み製品(WEEE)の回収 この他に 2004 年から、水銀、カドミウム、六価ク を義務づける新 EU 法が提案される見込みであるこ ロム、PBB/PBDE、特定用途に使用される鉛の特定物 とから、業界による激しいロビー活動が展開されて 質を、電子機器の製造に使用することを禁止してい いる。 る。 1999年7月に業界および環境団体に提示された最 一方、欧州委員会担当総局は、同案がもたらす各 新の第3次指令案によると、欧州委員会の計画には 種の環境的および経済的利点に言及している。例え 製造者責任条項が含まれている。これにより業界は、 ば、資源やエネルギーの節約、埋立て地や焼却施設 JMC environment Update 18 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ の利用ならびに関連コストの低減、有害物質による その他、米国の AEA(米国電子協会)は、引取り 危険性の緩和、何千人という新規雇用の創出などで 義務化は競合相手と比べて彼らに不当な負担を課す ある。 ものであると発言している。 (本稿は本誌 2 ページ WEEE 最新動向と JBCE の対 初期目標として、1年間に住民1人当たり 4kg の 応を参照) 電子製品廃棄物すなわち1年間で総量 150 万メトリ ックトンの回収を達成するという仮定に基づき、総 るのにかかる総コストが1年間で 5 億〜9 億ユーロ 3. 廃自動車指令案、ついに EU 閣僚理事会を 通過 (5 億2500 万〜9 億4500 万ドル) と試算している。 ドイツの反対にもかかわらず、EU 加盟国は閣僚理 この試算はリサイクル資源の販売収益を差引いた額 事会で 2 年以上続いた論争に終止符を打ち、1999 年 である。 7 月 29 日に、自動車製造業者にリサイクルを目的と 局は EU 全域で回収およびリサイクル目標を達成す する自動車の引取り義務化に関する懸案の計画につ いて正式に合意した(前号 62 ページを参照) 。 これだけのコストを要すると大半の製品価格が平 均で 1%上昇することになる。しかし、テレビやそ の他のモニターなど一部の製品価格は 2%〜3%上 今後欧州議会の承認が必要ではあるものの、いわ 昇する場合もあるという。しかし、規模の経済や一 ゆる廃自動車指令案によって、自動車メーカーは 部の加盟国がすでに計画を実施しているという事実 2001 年以降製造された自動車の引取りを義務づけ などの要因を考慮すると、この指令による実際のコ られ(所有者の負担はない) 、2006 年からは、法律発 スト増は試算より「実質上少ない」ものになると主 効日以前に製造された自動車についてもすべて引取 張している。 りが義務づけられる。 この指令には、環境目標に加えて EU 域内市場に この取決めでは、2006 年からの車両重量の 80% おける貿易障害を防止する各国の措置を調和すると リサイクルもしくは再使用、また自動車に使用され いう意図がある。同指令は、環境と域内市場の2つ る鉛、水銀、カドミウムの使用量削減も自動車メー の目標を反映するため、これら2目標に関連した EU カーに義務づけているが、欧州委員会が最初に提案 条約に基づくことになる。しかし、業界代表は、同 した指令案あるいは EU 加盟国が 1998 年 12 月に原 指令の文言は多くの点で粗雑なため、各国間の相違 則合意した内容ほど厳しいものではない。 点を狭めるられる可能性はかなり低いと主張してい 以前の指令案は、2003 年よりすべての自動車の引 る。 取りを自動車メーカーに義務づける内容であった。 また、車両重量の 80%リサイクルの義務化も、原提 欧州業界の他に、欧州委員会の提案には米国政府 案より発効日が 1 年遅れることになる。 も困惑している。米国政府は同提案に対して容認し がたい貿易障壁であるとの認識を示している。8 月 10 日、 米国大使 Richard Morningstar はブラッセル このような譲歩にもかかわらず、欧州自動車工業 発・隔年レターの中で、廃電子機器に関する同提案 会(ACEA)は直ちにこの取決めを非難した。 「2006 には然るべき科学的根拠がないと警告している。 年(からの)取扱いに記された全ての全自動車無料 引取り制度は、自動車業界に大きな資金的負担を課 「同提案は…リスク評価(調査)に裏付けられた すものであり、同業界の経済状況や競争姿勢に影響 ものとは思えないので、 (WTO)規則と相反する。 を及ぼすことは必至である」と、スポークスマン われわれは、廃棄物処理をめぐる環境問題を扱う場 Thierry Proteau は発表している。 合、より貿易制限的でない措置を検討するよう欧州 また指令案は解体業者、リサイクル業者、破砕業 委員会に勧めた…」と述べている。 者などリサイクル業界の業務効率改善意欲を後退さ JMC environment Update 19 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ せるものであると発言し、ACEA は欧州議会での指令 WEEE とパッケージで取扱われる模様) 。 案修正をめざして今後ロビー活動に力を入れると発 5. 欧州委員会、塩化ビニル樹脂(PVC)問題 で進展 表している。 同指令案の承認をめぐる欧州議会と閣僚理事会と 1999 年 10 月、欧州委員会環境総局は、PVC 廃棄 の意見の相違の解決については、調停委員会 物(焼却、リサイクルまたは埋立て場に投棄される (Conciliation Committee)に委ねられることになる。 場合)の影響に関する 3 つの研究成果を公表する見 欧州議会は、秋に同指令案の第2読会を開く予定で 込みである。その後欧州委員会は、PVC に関するコ ある。 ミュニケーションを作成するが、これは年内に発表 される見込みはない。同文書の内容(特に、PVC の 欧州議会は、1998 年 12 月に原則合意された閣僚 制約程度)は、Wallström 新環境コミッショナーと環 理事会の廃車法案に合意しているが、欧州議会の政 境総局職員らの見解により決定される。 治バランスが 1999 年 6 月の選挙後に変わり、現在 では中道右派政党が多数派を占めている。特にドイ その間、 (フタル酸エステル類を含有する)ソフト ツの中道右派は業界の懸念に共鳴するものと思われ PVC の玩具の使用に関する討議が続く。ひとつ問題 る。 なのは、消費者保護総局と産業総局の対立である。 前者の DG24 は製品の安全性に関する指令に基づき、 玩具へのソフト PVC の使用について緊急禁止措置を 4. 業界、ニカド電池禁止措置の回避を求めて 自主的リサイクル計画を提案 求めたが、DG3 は時限措置を支持したという経緯が ある。時限措置の場合、実施までにより時間がかか EU 環境総局の執行部は、実行可能な代替物質が利 る。 用できると主張しているため、2008 年までにニカド 電池を禁止するという欧州委員会の提案が論議を引 次期保健および消費者保護担当コミッショナー David Byrne は、1999 年 9 月 3 日の欧州議会の公聴 き起こしている。 会で、できるだけ早期に製品安全に関する指令を修 数年来検討中の委員会提案に対抗して、1999 年 8 正したいという意向を明らかにした。 「私はこの問 月 10 日、国際カドミウム協会(the International 題にあまり進展が見られないことを懸念しており、 Cadmium Association)はニカド電池リサイクルに関 この問題の進展のためにもう一度取組むつもりであ して、主要業界内で自主協定を策定中であると発表 る。 」 した。 欧州で、ソフト PVC に関する国内禁止措置をすで 一方米国は、このような禁止措置の裏付けとなる に採択した国、また同措置の採択を委員会に通知し ている国は 8 カ国である。 科学的根拠が不十分であるとして、委員会案に対し 抗議している。Morningstar 駐 EU 大使による「ブラ ッセル便り」の中で、現在検討中のこの改正指令案 玩具業界は、規制の再検討を加盟国に求めている。 は正当な技術的根拠に欠けており、WTO に提訴する 同業界は、ソフト PVC 玩具や育児用品から溶出する 可能性があると述べている。 フタル酸エステル可塑剤を測定するオランダと英国 の試験方法について、その有効性が明らかに証明さ 欧州委員会のスポークスマン Thierry Daman によ れていると主張している。 「TIE(the Toy Industries ると、 このニカド電池禁止指令案の投票は 1999 年秋 of Europe:欧州玩具業界)は、ソフト PVC と育児用 に行われる見込みである。しかし、同スポークスマ 品の安全性を常に維持してきた。現在では、試験方 ンは欧州委員会の産業、通商、単一市場総局がこの 法の有効性も確認され、これは玩具業界による溶出 禁止措置に反対していることを認めている(事務局 制限要件の遵守を実証するのに役立つものである」 注:電池の改正指令案はまだ投票に至っていない。 と、TIE の Alan Munn 会長は発言した。 JMC environment Update 20 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ 6. 欧州委員会、コピー用紙および電球のエコ ラベル基準を公表 7. ホワイトアスベスト禁止に関する新指令 クリソタイルアスベスト(ホワイトアスベスト) 8 月初旬、 EU はコピー用紙および電球に関する EU の使用が、遅くとも 2005 年 1 月 1 日までに EU で違 エコラベル適用のためのエコ基準を公表した。 法となる。アスベストは一部の建築資材と自動車部 品に使用されている。この禁止措置は、1999 年 7 月 EU は、コピー用紙に関する 1999 年 8 月 10 日の 27 日の欧州委員会決定の効力により導入されてい 決定で、紙製品製造の際の廃水、排気、使用される る。これは、危険物質に関する指令 76/769/EEC の エネルギーに含まれる汚染物質に基準値を設けてい 付属書 I に基づき、ホワイトアスベストにまで適用 る。1999/554/EC 委員会決定はコピー用紙のエコラ 範囲を拡大する指令を採択するという決定である。 ベルに関する EU96/467/EEC に代わるものである3。 同禁止措置の早期導入が見込まれる国、またすでに この新措置は「市場の動向を反映するものである」 導入済みの加盟国が多く存在する(本報告書、英国、 と述べている。 項目 1 を参照) 。 1999/554/EC 決定によると、EU エコラベル要件を この禁止措置の決定において、欧州委員会は「そ 満たすコピー用紙は、持続可能な森林管理を推進す れ以下であればクリソタイルアスベストが、ガンの るために、 「リサイクル繊維またはバージン繊維、も リスクを引き起こさないという曝露臨界値は特定さ しくはその混合素材」を使用しなければならない。 れていない」と発表している。 また、EU エコラベル適格要件として、コピー用紙 この指令は、クリソタイルアスベストが健康に及 製造業者は、操業に使用する危険化学物質を制限し ぼす危険性に関する最近の科学データの検討を、毒 なければならない。例として、漂白剤の塩素ガスの 性、生態毒性および環境に関する EU 科学委員会に 使用を禁止している。 2003 年 1 月 1 日までに実施するよう要求している。 欧州委員会は、委員会報告によっては例外措置の適 電球の基準を定めた 1999 年 8 月 14 日付の委員会 用、その他の法律修正提案の可能性もあるとしてい 決定は 96/337/EEC 決定に代わるものである4。新た る。 な 1999/568/EC 決定は、家庭用電球に主に使用され ているシングルエンド型電球と蛍光灯などのダブル この禁止措置は、自動車のブレーキやクラッチラ エンド型電球に適用される。欧州委員会は、新規採 イニング同様、パイプや屋根ふき材料などのアスベ 択の目的を「電球製造業者と輸入業者の(EU)エコ ストセメント製品に使用されるクリソタイルアスベ ラベル計画への参入を促すこと」としている。 ストに適用される。しかし、一部の塩素製造プラン この電球に関する決定により、電球のエネルギー効 トで使用される電解用ダイヤフラムには適用されな 率および寿命に関する要件、さらに水銀と段ボール い。欧州委員会は、科学委員会と協議の上、この例 梱包の使用に関する制約が課せられる。 外規定を2008年1月1日までに見直すとしている。 この2種類の製品群について設定された基準は、 クリソタイルの主要生産国であり、この禁止措置 1999 年 7 月 17 日から 2002 年 7 月 1 日までを有効 に異議を唱えているカナダは、欧州委員会が WTO 期間とする。但し、2003 年 7 月 1 日までの延長規定 (世界貿易機関)紛争処理パネルの決定を待たなか が設けられている。 ったことに驚きをあらわにしている。同パネルは、 カナダ政府が提訴したフランスのクリソタイル国内 禁止措置を審理中で、決定は秋(1999 年)に出る見 込みである。 3 OJ、1999 年 8 月 10 日、No. L210 4 OJ、1999 年 8 月 14 日、No. L216 JMC environment Update 「パネルがフランスの措置に対抗する有効な根拠 をカナダに与えることになれば、EU は極めて微妙な 21 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ 立場に置かれる」と、在 EU カナダ大使館の Maurice 白書の起草は欧州委員会の内部承認手続の完了を Bernier 参事官は発言した。 目前に、1999 年 3 月にサンテール委員長を始めとす る委員会の辞任により棚上げされていた。新コミッ EU は、あらゆるアスベストについて、その発癌性 ショナーの就任により、公表に向けての作業がかな が証明されており、様々に深刻な肺病を引き起こす り進展すると思われる。 可能性があることを強調しているが、カナダはクリ ソタイルの全面禁止は、クリソタイルアスベストの 9. 欧州企業、環境報告で先行 最大用途であるアスベストセメントに使用されるリ KPMG およびアムステルダム大学(the University スクに見合わないと主張している。 of Amsterdam)の報告書によると、欧州企業は環境 カナダが懸念しているのは、欧州全域の禁止措置 年間報告書の提出で先行している。ドイツでは企業 による経済への影響ではない。欧州におけるアスベ の 36%、スウェーデンでは 34%が環境報告書を提 ストセメント製品市場は成熟しており、この 10 年間 出している。また、ノルウェーと英国の企業は報告 輸入は一貫して減少傾向にあるという。しかし、欧 書の提出率で米国企業を凌駕している。但し、年次 州域外の各国が EU の例に倣った場合の「ドミノ効 環境実績調査は国際的に一般化してきている。世界 果」をむしろ恐れているのである。 的に、環境年間報告書を提出する企業は、1996 年の 19%から 1999 年には 24%にまで増加している。 Bernier 氏は、パイプへのアスベストセメントの使 用禁止は PVC プラスチックへの転換につながると指 EU 域内外で企業が報告書を提出するかどうかは 摘している。それはそれでまた環境保護論者や一部 法律の存在が影響しているが、最大の理由ではない。 の政府にとって懸念材料となるものである。 EU の環境管理と監査システム(EMAS)は、参加す る企業に報告書の提出を義務づけている5。また、統 合的汚染防止・管理(IPPC)に関する指令6の第 15 8. 民事責任白書、11 月に発行の見込み 条では、各国の排出データを登録し一般に公開する 欧州情報筋によると、長期懸案事項であった環境 ことを義務づけている。この2つの措置により、加 破壊をめぐる民事責任に関する白書が 11 月に出版 盟国内での報告に関する立法化が進むものと予想さ される見込みである。Wallström 新環境コミッショナ れる。 ーは同白書を優先事項として、年内に出版すること 業界自身も報告書の提出を奨励している。1998 年 を約束している。 11 月、欧州化学産業協議会(CEFIC: the European 同白書は将来の EU 法の青写真となるものであり、 Chemical Industry Council)は環境報告に関する指針 クリーン・アップ・スーパーファンドに基づく米国 を公表している。また、一部の国では環境報告書に の実践とは対照的に、遡及性に反対する内容となる。 対する報奨制度が設けられている。 欧州委員会は立案の当初から、責任条項は将来の汚 環境問題を以前から重視してきた国々の法律がよ 染に適用するもので、過去の環境破壊には適用しな り徹底した内容となっている。このことから調査結 いことを明確にしている。 果に現れたドイツおよび北欧諸国の、順位の高さの この EU 法案の概要は白書の中で明らかになるが、 理由が分かる。 デンマークの企業は 1996 年以降報告 例外なしにすべての業界に一律に適用される。しか 書の提出を義務づけられてきたが、政府はまもなく し、すべての環境破壊が適用対象になるとは限らな その質の評価を開始する。 オランダの法律では、 1999 い。欧州委員会の職員は、自然の生息地と生物多様 性への損害については拘束力をもつ法律ではなく、 自主的提言にとどめることを検討している。 JMC environment Update 22 5 理事会規則 No 1836/93、OJ 1993、L168/1 6 理事会指令 96/61、OJ 1996、 L 257/26 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ 年には 300 社以上の企業に報告書提出が義務づけら 研究の中で、フタル酸エステル類は環境および健康 れている。 ノルウェーとスウェーデンは 1999 年会計 に害を及ぼし、他の軟化剤による代替もかなり限定 年度より全企業に環境報告書の提出を義務づけてい 的であると論じ、ソフト PVC を「よりリスクの少な る。KPMG によると、企業の報告を促す最大要因は い物質」ですべて代替することを求めた。 市民の圧力であって法律の存在ではない。つまり、 しかし、PVC 業界は、ソフト PVC 代替物質が呈す 最終的に重要なのは企業イメージなのだという。 る潜在的リスクについての情報が不足していると主 環境に対する懸念と株価との連動が強まってきて 張している。1998 年春より、ドイツの玩具小売業界 いるようである。その結果、立法措置は一部にとど は自主的にフタル酸エステル類を含有する乳児用製 め自発的取組を主体とする欧州流の立法措置が貿易 品の段階的撤廃を進めている。しかしながら、他の および産業における真の環境配慮を刺激する最も有 小売店が同可塑剤を含有する商品を依然として販売 効な手法であることが証明されるかもしれない。米 しているため、政府は規制決議の必要性を認めてい 国流の手法は立法措置が過剰気味で報告書の提出を る。 脅威と感じさせるほどである。 保健省は新EU コミッショナーにEU レベルでもこ の問題を再び議論してほしいとの希望を表明してい る。 II. ドイツ 2. 環境法令集計画、無期限延期 1. ドイツ、乳児用玩具へのフタル酸エステル 類使用を禁止 (Umweltgesetzbuch―UGB)の無期限延期を余儀な ドイツは、3 歳未満乳児対象のフタル酸エステル くされた。UGB の第一部を制定し、2つの EU 指令 可塑剤含有玩具および育児製品の禁止を正式に提案 (IPPC と影響評価に関する指令)を国内法に組込む した。この禁止措置は欧州委員会への通知後、1999 計画は、ドイツ法務省が法律に基づく異議を唱えた 年 10 月に発効する。 ために放棄された。 環境省は、予定されていた環境法令集 ノルウェーを始め、同様の禁止措置をすでに導入 UGB の主たる目的はドイツの主要環境規制を統合 したり、あるいは導入を計画している EU 加盟国は 文書にまとめると同時に簡素化、調和および更新を 他にもあるが、ドイツが EU 最大国であること、ま はかることであった。しかし、この草案は、ドイツ た強力な化学業界の圧力団体が存在することからこ 国憲法を犯すと法務省が異議を唱えている水使用管 の決議の意義は大きい。 理に関する条項を含んでいた。憲法では、16 の地方 自治体(Bundesländer)に対し水規制に関する主要 保健省が起草した同提案に大蔵省が異議を唱える な法的権限を認めている。環境省は、違反条項を修 かどうかは定かではなかったが、スポークスマンに 正することでこの異議申立てに対抗しようとしたが よれば、現在のところこの禁止措置を全面的に支持 失敗し、 Trittin 環境大臣はこの案を諦めざるをえなく しているという。 なった。現在、同大臣は憲法改正を公約している。 しかし、憲法改正には議会の3分の2の支持が必要 オランダと英国は、フタル酸エステル溶出量を正 であり、これは決して容易な作業ではない。 確に測定できる試験方法を開発したが、ドイツは溶 批評家の中には、内閣は単に法律上の理由で UGB 出量を制限しても、同物質が健康に及ぼす潜在的リ スクから適切に身を守れないと考えている。 を棚上げにしたのではないと見る向きもある。一部 の専門家によれば、政府にとって法律上の疑義は、 環境庁(Umweltbundesamt, UBA)は最近実施した JMC environment Update 業界の反対に追随し、UGB を凍結するのに格好の条 23 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ 件になっている。現在、環境法は 20 から 25 の異な ことが明らかになっている。 る法律に分散している。企業が工場を新設する場合、 10 にものぼる部局からの環境許可が必要になる。し 地方および地域の行政レベルではいくつかの問題 かし、簡素化の他に、UGB には新たな規制強化がい 地域付近の個別操業許可の変更を開始しているが、 くつか盛込まれており、これも業界内の反発を買う 環境省は現行の等級別工業地域に関する公害規制法 原因となった。 で十分であると主張している。一方、環境保護論者 は、政府は工業地域付近の鉛汚染を緩和するために より積極的な措置を取るべきであると要求しつづけ ている。さらに、鉛汚染に反対する全国キャンペー ンを展開する地球の友フランス支部は、鉛汚染を管 III. フランス 理できないのであれば政府に対しバッテリー・リサ イクル断念の検討を提言さえしている。同組織は、 1. 裁判所、鉛汚染を理由にバッテリー・リサ イクル工場に閉鎖命令 有害廃棄物指定埋立て地の方が、現行のリサイクル 業務より環境とヒトの健康に及ぼすリスクは少ない 1999 年 7 月 1 日、下級裁判所の裁判長が北部の町 と提案している。 Bourg-Fidele にあるバッテリー・リサイクル工場に 閉鎖命令を出した。工場を発生源とする鉛汚染によ 2. 調査結果が曝露、クリーンテクノロジーよ り末端対策に投資する業界 り周辺地域に影響が出ているのが理由である。 産業省が 8 月に公表した新しい調査結果によると、 メタルブラン(Metal Blanc)工場は毎日 150 トン の使用済み自動車用バッテリーを処理しているが、 フランス企業は 1:3 の割合でクリーンテクノロジー 工場敷地と周辺地域の鉛汚染が長期に渡り非難され より末端管理への投資を優先している。 ていたため、1997 年より監視下におかれていた。 最大手企業が 1997 年に排気・廃水、水質管理、騒 1998 年中頃、疫学調査により児童 95 名中 21 名の 音緩和対策などの末端処理に投じた資金の総額は 血液中の鉛レベルが 1 リットル当たり 100 マイクロ 40 億仏フラン(6 億 4500 万ドル)であった。一方、 グラムを超えていることが明らかになった。この値 工業プロセスのクリーンテクノロジー研究、開発お は平均値をはるかに上回るものであり、WHO が定め よび実施への投資は13 億仏フラン (2 億900 万ドル) る第一警告レベルも上回るものであった。この調査 のみであったと、調査結果に報告されている。 結果が引き金となって、Bourg-Fidele 環境保護協会 と地球の友(Friends of the Earth)フランス支部が また、同報告書によると、クリーンテクノロジー 1998 年後半に Metal Blanc に対して司法訴訟および への投資は 1994 年以降 50%以上の伸びを示してい 行政訴訟を起こした(Bourg-Fidele 環境保護協会 るものの、依然として末端処理が著しく優先されて v.Metal Blanc , 地 球 の 友 v.X , Tribunal de いるという。 Grande-Instance de Charleville-Mezières) 。 上下2巻よりなるこの報告書「投資と公害対策費 メタルブラン訴訟は、最近報告のあったいくつかの の 現 状 ( Investments and Current Anti-Pollution 鉛汚染事件の一つである。東南部の町 Villefranche で Spending) 」によって、初めて仏産業界の長年の環境 実施され、1999 年 6 月 15 日に公表された疫学調査 投資が分野別に詳細に分析された。 では、Metaleurop バッテリー・リサイクル・センタ 報告書では、年間の環境投資の 80%以上を占める ー付近に住む児童に同様な高濃度の鉛中毒が見られ た。また、北部の Nord-Pas-de-Calais 行政地域で行 五分野が指摘されている。 われた環境サンプリング調査では、2つの大規模製 ・ 電気、ガス、水道の生産および配給(投資総額の 29%) 錬所付近の土壌および野菜が同様に汚染されている JMC environment Update 24 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ ・ 化学製品、ゴム、プラスチックの製造(19%) くいった」と発言した。 ・ 金属の精錬および加工(13%) ・ ガソリンその他の石油燃料の生産(12%) ホワイトアスベストは、現在ブレーキライニング、 ・ 農業、農工業生産(9%) ガスケットとシール、アスベストセメント、織物(例 えば、アスベスト製手袋)のような複合材料に主に 1995 年の水質汚濁処理のための投資は、末端処理 使用されている。 にかかる総額の 47%を占めた。次に大気汚染対策へ の投資が約 29%、廃棄物処理が 20%、騒音対策が 2. 政府、消費者製品委員会を発足 4%であった。 Meacher 環境大臣は、消費者製品が環境に与える そのわずか 2 年後、大気汚染緩和を目的とする新 影響の軽減方法を検討する政府諮問委員会を新たに 国家法の成立後には、大気汚染軽減のための投資が 発足させた。同委員会は、家庭用品小売業 B&Q の 総額の 46%に急上昇した。次に水質汚濁が 36%、 Alan Knight を議長として、以下の問題について提言 廃棄物処理が 15%、騒音対策が 3%となった。 する。 ・ 製品が、生産から処分にいたるまでのライフサイ 現在の環境支出は、末端処理、クリーンテクノロ クルを通じて環境に与える影響を減らすための方法、 ジー、研究への投資を含めて定義すると、1995 年か およびこれらの戦略を英国で実施するための方法 ら 1997 年の期間平均が 60 億仏フラン(10 億ドル) (EU レベルの「IPP 統合製品政策」の動向を考慮す と報告されている。一方、自然保護およびリスク防 る) 。 止に対する産業界の投資を含めて計算すると、その ・ 消費者に対して環境情報の提供を最適に実施する。 額は約 100 億仏フラン(16 億ドル)に達する。 ・ 「グリーン」製品に対する需要を喚起するための 新たなラベル表示制度または報奨制度。 また、報告書によると、フランス産業界が、業界 ・ 特に英国製品を対象とする長期環境改善戦略。 全体の総投資の内、環境問題に充当しているのが約 3%であるのに対して、ドイツ産業界は年平均で 大臣はまた、不明瞭で無意味なグリーンクレーム 4.5%を公害対策に拠出している。 を防止する措置を講じると約束した。新諮問委員会 は、1998 年 10 月の協議文書「消費者製品と環境」 に提示された提案を遵守するものである。 IV. 英国 3. 政府、電解用燃料に対する気候変動税を免 除 1. ホワイトアスベストを早期禁止 政府は業界圧力に屈する形で、アルミニウム精錬 英国は、1999 年 11 月 24 より他の EU 加盟国より などに使用する電解用燃料について、1999 年 3 月の 5 年ほど早くホワイトアスベストの輸入、供給およ 予算で明らかにされた懸案の気候変動税を免除する び使用を禁止する。 EU 指令の採択に続き、国内の ことに同意した。 遵守期限を早期に設定した(本報告書の P.21-22 を 1999 年7 月27 日付で大蔵省が発表した声明では、 参照) 。 気候変動税を徴収することになる関税局は、鉄鋼生 同様の厳しい規則がホワイトアスベストを含む製 産用燃料についても免税とする措置を協議中である 品の輸入、販売および使用に適用される。新規則を という。その他免税に関しても同じく協議中である。 発表した副首相 John Prescott は、 「代替品の安全性 と、この潜在的有害物質を禁止する UK の公約につ エネルギー集約型産業の代表は、3 月の予算で明 いての健全な科学的知識は、最終的に期待通り上手 らかにされた気候変動に関する原提案への一連の修 JMC environment Update 25 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州環境規制動向〜在ブラッセル弁護士モニタリング情報⑤ 正提案を提示した。例えば、環境・運輸・地方行政 提案されている変更点は以下の通りである。 省とエネルギー効率に関する協定を締結した企業に ・ ベンゼン、1,3 ブタジエン、一酸化炭素の目標達 は、免税、税控除あるいは何らかの上限設定方式に 成期限を 2005 年から 2003 年に早める。 よって財政的中立性を与えるよう求めている。化学 ・ 鉛の目標達成期限を2005 年から2004 年に早め、 工業会はすでにそのような協定を締結している。 2008 年を期限とする目標より厳しい値を新たに この業界代表の提案には、ベストプラクティスを 設定する。 共有しエネルギー効率文化を採用すると思われる非 ・ 二酸化窒素の通年基準は変更しないが、1時間当 集約型ユーザーも含まれている。 たりの目標値を強化する。現状から判断して、特 にロンドンでは年間目標の達成は厳しいと、政府 業界代表は、 2001年4月まで気候変動税の実施を、 は表明している。これらの削減目標は、2 年後の 1年間遅らせることも要求している。また、同税と さらに情報が出揃った段階で再び見直されること 雇用者の国民保険拠出金減額とを連携させることに、 になる。植生保護のための新目標は 2000 年に導 疑問を投げかけている。 入される予定である。 ・ 二酸化硫黄については、2000 年に自然界におけ 大蔵省経済担当次官 Patrica Hewitt と貿易産業大 る同汚染物質の目標値を新たに導入する。 臣 John Battle は、今年後半に政府は「全体計画」を ・ 一般大気中のオゾンおよび二酸化硫黄に関する目 発表し、英国が気候変動に関する義務をどのように 標値は変更しない。 履行していくかを明らかにすると、発言している。 ・ 粒子物質(PM-10)については、既存の目標値を この義務とは、 京都議定書と 2010 年までに二酸化炭 緩和する。ニュースリリースでは以下のように述 素の排出量を 1990 年水準から 20%削減するという べられている。 「オリジナルのエア・クオリティに 英国独自のより厳しい公約のことである。 関する PM-10 の目標値は、当時の限られた情報を もとに、1997 年初期に前政権によって定められた ものである。現在では、粒子物質の発生源および 4. エア・クオリティに関する戦略改訂案、6 種類の汚染物質の目標値を強化 種類に関する理解が深まり、本来の日程でこの目 1999 年 8 月 25 日、政府はエア・クオリティに関 あることが明らかになっている。粒子物質の発生 する国家戦略改定案の内容を明らかにした。この改 を削減するために容認できないほど厳格な国家的 定案では、1997 年 3 月の第一期「エア・クオリティ 措置をもってしても、本来の目標値を上回る(値 に関する戦略」に定められた目標値より、大気清浄 を示す)だろう。 」 標値を達成することは、非現実的であり不可能で 7 化目標が厳しく設定されている 。 エア・クオリティに関する戦略案に対する意見は 1999 年 10 月 22 日までに提出しなければならない。 環境・運輸・地方行政省は、政府が改訂後の「エ ア・クオリティに関する戦略」を来年初めに一旦公 表するという表明の中で、同改定案に関する意見を 吸収、検討していると述べた。 改定案は6種類の汚染物質の目標値を強化する一 方で、PM-10 という大気中の粒子物質の削減提案を 緩和するものである。 7 DETR、 「イングランド、ウェールズ、北アイルランドの大気の質 に関する戦略(the Air Quality Strategy for England,Wales and Northern Ireland) 」 JMC environment Update 26 Vol.1 No.5 (2000.1) L 315/46 EN Official Journal of the European Communities 9. 12. 1999 COMMISSION DECISION of 7 December 1999 adopting measures prohibiting the placing on the market of toys and childcare articles intended to be placed in the mouth by children under three years of age made of soft PVC containing one or more of the substances di-iso-nonyl phthalate (DINP), di(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP), dibutyl phthalate (DBP), di-iso-decyl phthalate (DIDP), di-n-octyl phthalate (DNOP), and butylbenzyl phthalate (BBP) (notified under document number C(1999) 4436) (Text with EEA relevance) (1999/815/EC) THE COMMISSION OF THE EUROPEAN COMMUNITIES, (5) The Danish authorities have informed the Commission, in four notifications presented in April and July 1997 under Article 8 of Directive 92/59/EEC, of the serious and immediate risk presented by certain soft PVC teething rings containing the phthalates DINP, DEHP, DBP, DIDP, DNOP and BBP; (6) The Spanish authorities have informed the Commission, in a notification presented in the same framework in February 1998, of the risk presented by a soft PVC imitation fruit containing the phthalate DINP, intended for children; (7) The Greek authorities adopted on 15 January 1999 measures concerning the withdrawal from the market of soft PVC childcare articles intended for teething by infants and the prohibition of the import and marketing of certain soft PVC toys intended for children under the age of three years; (8) The Austrian authorities adopted on 4 August 1998 a law prohibiting toys containing phthalates; intended for children of less than three years of age, which are, under normal and foreseeable conditions of use, sucked, chewed or otherwise frequently placed in the mouth; (9) The Danish authorities issued on 15 March 1999 a Statutory Order prohibiting the production, import and marketing of childcare articles intended or likely to be placed in mouth, and of toys, and products which must be expected to be used as toys by children under the age of three years, or parts thereof, containing more than 0,05 % of phthalates; (10) The Swedish authorities adopted on 10 June 1999, a measure prohibiting the marketing and sale of phthalatecontaining toys and childcare articles intended for children under three years of age and which can be put in the mouth; (11) The Finnish authorities adopted on 23 September 1999, a Resolution of the Council of State prohibiting childcare articles and toys which can be put into the mouth by children under three years of age which are made of soft PVC and contain more than 0,05 % by weight of DINP, DEHP, DBP, DIDP, DNOP or BBP; Having regard to the Treaty establishing the European Community, Having regard to Council Directive 92/59/EEC of 29 June 1992 on general product safety (1), and in particular Article 9 thereof, Whereas: (1) (2) Pursuant to Article 3 of Directive 92/59/EEC, producers are obliged to place only safe products on the market; the Directive stresses in particular the need to ensure a high level of protection of the health and safety of children; Article 9 of the Directive provides that the Commission may, under certain conditions and in conformity with the procedure set out in the Directive, adopt a decision requiring Member States to take temporary measures to prevent, restrict or submit to particular conditions the placing on the market of a product, or requiring its withdrawal from the market, if it presents a serious and immediate risk to the health and safety of consumers; (3) The Commission may adopt such a decision with regard to a product which, in accordance with information provided by a Member State, presents a serious and immediate risk and in respect of which one or more Member States have adopted measures entailing restrictions on the marketing of the product or requiring its withdrawal from the market; (4) Such a decision is subject to the conditions that Member States differ on the adoption of measures to deal with the risk in question; that the risk cannot be dealt with in a manner compatible with the urgency of the case under the other procedures laid down by the specific Community legislation applicable to the product or category of products concerned; that the risk can be eliminated effectively only by adopting appropriate measures applicable at Community level, in order to ensure the protection of the health and safety of consumers and the proper functioning of the internal market; (1) OJ L 228, 11.8.1992, p. 24. JMC environment Update 27 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州官報 1999.12.9 L315 9. 12. 1999 (12) (13) (14) (15) (16) (17) EN Official Journal of the European Communities The Italian authorities adopted on 30 September 1999 a measure prohibiting the marketing of soft plastic toys for children under three years of age intended or likely to be put in the mouth, containing more than 0,05 % of DINP, DIDP, DEHP, DBP, DNOP or BBP; in addition the Italian authorities notified the Commission on 14 June 1999 within the framework of Directive 98/34/EC of the European Parliament and of the Council (1) as last amended by Directive 98/48/EC (2), of a draft measure prohibiting the use of four phthalates (DIDP, DEHP, DINP, DBP) in plastic materials and elastomers and restricting the use of certain other phthalates to a maximum of 5 % by weight in childcare articles; The French authorities adopted on 5 July 1999 a measure suspending the marketing, production, import and export and ordering a withdrawal of certain toys and childcare articles intended for placing in the mouth by children under 36 months in soft PVC containing DINP, DIDP, DEHP, DBP, DNOP and BBP; they have in addition notified the Commission within the framework of Directive 98/34/EC of a draft measure prohibiting the use of DINP, DIDP, DEHP, DBP, DNOP and BBP in toys and childcare articles intended for placing in the mouth by children under three years of age; The German authorities notified the Commission on 24 August 1999 within the framework of Directive 98/ 34/EC of a draft measure prohibiting the marketing, production and import of teething rings and certain plastic toys for children up to three years of age entirely or partly made of plastic materials, of which the plastic parts are intended or can be foreseen to be put in the mouth, containing more than 0,1 % of any phthalates; All the abovementioned notifications and measures relate to the risks associated with exposure of children to phthalates and concern childcare products and/or toys made of soft PVC containing certain phthalates which are intended or Likely to be placed in the mouth by young children; The Commission adopted, on 1 July 1998 recommendation 98/485/EC (3) on phthalates in certain childcare articles and toys, on the basis of the scientific knowledge then available, inviting Member States to monitor the level of phthalate migration from the products in question, taking into account the opinion of the Scientific Committee on Toxicity, Ecotoxicity and the Environment (SCTEE) of 24 April 1998, and to take the measures required to ensure a high level of child health protection; The Scientific Committee on Toxicity, Ecotoxicity and the Environment (SCTEE), consulted by the Commission, in its opinion on phthalates in toys of 27 November 1998, taking into account the results of the most recent ( ) OJ L 204, 21.7.1998, p. 37. (2) OJ L 217, 5.8.1998, p. 18. (3) OJ L 217, 5.8.1998, p. 35. 1 JMC environment Update 28 L 315/47 relevant studies, has confirmed that there are grounds for concern with the low safety margins as regards the exposure of children to the phthalate DEHP and DINP, in connection with the use of certain toys and childcare articles made of soft PVC containing these substances; (18) The SCTEE has come to this conclusion on the basis, inter alia, of adverse effects of DINP for liver and kidney and testicular damage caused by DEHP observed in laboratory tests;. it therefore appears that under certain conditions these substances may have serious adverse health effects: (19) In the light of the SCTEE opinion, the Commission considers that young children who use certain toys and childcare articles which are placed in the mouth, made of phthalate-containing soft PVC, may be subject to daily levels of exposure to DINP and DEHP higher than the levels deemed to be safe; (20) The SCTEE found the release of the other phthalates (DNOP, DIDP, BBP and DBP) to be low and to present no risk under current conditions of use. The Committee observed that a larger release would occur if they were used as plasticisers in higher concentrations; (21) The Commission considers that, should the use of DNOP, DIDP, BBP and DBP be allowed to replace DINP and DEHP, as a consequence of the prohibition of these two substances as plasticisers in the products in question, the exposure of children to them would increase and consequently the risk would be higher. Therefore, the Commission, adopting a precautionary approach, considers that this Decision should also apply to them; (22) Young children are also exposed to phthalates from sources other than PVC toys and childcare articles, but the level of exposure due to these sources cannot, according to the SCTEE opinion, be quantified because of lack of sufficient data; the existence of such additional exposure should however be taken into account in managing the risks in question; (23) Although the serious effects mentioned above do not become manifest until some time after exposure, the risk associated with the products in question is an immediate one because it is directly associated with exposure to the phthalates; such products. following the normal period of use by a child, may lead to significant exposure with serious effects later in life; (24) Therefore, the Commission considers that toys and childcare articles for young children made of soft PVC containing phthalates arc liable to present a serious and immediate risk to health; Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州官報 1999.12.9 L315 L 315/48 (25) EN Official Journal of the European Communities The products which pose the abovementioned risks are toys and childcare articles which. are intended to be placed in the mouth by young children and are made of soft PVC containing one or more of the phthalates in question, because they are expected to be placed in the mouth for periods long enough and in a way liable to give rise to daily phthalate-extraction above the levels deemed to be safe; this Decision concerns, taken into account the nature of the risk, both products produced in the Community and imported products; (26) Denmark, Austria, Greece, Finland, Sweden, Italy, France and Germany have decided to submit the products belonging to the category in question to restrictive measures with different scope, aimed at eliminating the use of phthalates in this application; the Commission has ascertained, that Member States differ on the adoption of measures to deal with the risk in question; (27) Because of the differences between Member States and between the scope of the measures taken by certain Member States, a Community measure is necessary to eliminate the risk and effectively ensure a consistent high level of protection of child health and the proper functioning of the internal market; (28) Council Directive 76/769/EEC of 27 July 1976 on the approximation of the laws, regulations and administrative provisions of the Member States relating to restrictions on the marketing and use of certain dangerous substances and preparations (1), as last amended by Directive 1999/77/EC (2) applies to dangerous substances and preparations, but does not yet contain provisions concerning phthalates; Council Directive 88/378/EEC of 3 May 1988 on the approximation of the laws of the Member States concerning the safety of toys (3), as last amended by Directive 93/ 68/EEC (4), as regards dangerous substances refers to the relevant Community legislation relating to certain categories of products or to the prohibition, restriction of use or labelling of certain dangerous substances and preparations; it does not apply to childcare articles and does not provide for an emergency procedure; (29) The Danish authorities requested the Commission on 15 April 1998 to adopt a decision introducing restrictive measures in relation to the products in question, in compliance with Article 9 of Directive 92/59/FEC; (30) The European Parliament, in its resolution on a consumer policy action plan, adopted on 4 May 1999, has called on the Commission to take steps in removing phthalates from PVC toys intended for babies and young children (5); (1) (2) (3) (4) (5) L L L L C OJ OJ OJ OJ OJ 262, 207, 187, 220, 279, (31) The SCTEE, consulted by the Commission. has concluded in its opinion of 28 September 1999 on TNO, LGC and United States CPSC reports on phthalatemigration test validation that none of the phthalatemigration test methods which have been subject to validation attempts is currently suitable for control purposes; (32) In the absence of a test method of phthalate migration that has been validated and standardised at Community level, it is not currently feasible to guarantee a consistently high level of child health protection by laying down limits on the migration of these substances from the toys and childcare articles in question, and to ensure standard and non-discriminatory application of these limits; furthermore it is at present very difficult to establish phthalate migration limits which take account of the contribution to phthalate child exposure from sources other than PVC toys and childcare articles; (33) The scientific evidence on phthalate migration-test methods mentioned above, which has been made available recently, has shown that Recommendation 98/ 485/EC is not sufficient to ensure a consistent high level of child health protection; it is now urgent to prohibit rapidly the placing on the market of toys and childcare articles intended to be placed in the mouth by children under three years, because it has now become evident that there is no other effective control measure currently available for regulatory purposes; (34) The Commission has presented a proposal for an amendment to Directive 76/769/EEC on restrictions on the marketing and use of dangerous substances and preparations prohibiting, the use of DINP, DEHP, DIDP; DNOP, DBP and BBP in toys and childcare articles made of soft PVC and intended to be put in the mouth by children under the age of three. Furthermore, the placing on the market of such products is not allowed if they contain the mentioned phthalates; the proposal aims, in addition, at ensuring that other toys and childcare articles of soft PVC intended for children under the age of three and which could be put in the mouth should bear a label in order to ensure that the children do not put them in the mouth; (35) In order to ensure a consistent high level of child health protection throughout the EU, in the period preceding the adoption by the European Parliament and the Council of the proposed Directive and its implementation by the Member States, and given that toys and childcare articles of soft PVC containing phthalates intended for placing in the mouth by children under three years of age present a serious and immediate risk, it is necessary to prohibit immediately their placing on the market; 27.9.1976, p. 201. 6.8.1999, p. 18. 16.7.1988, p. 1. 30.8.1993, p. 1. 1.10.1999, p. 86. JMC environment Update 9. 12. 1999 29 Vol.1 No.5 (2000.1) 欧州官報 1999.12.9 L315 9. 12. 1999 Official Journal of the European Communities EN (36) All the relevant phthalates must be covered by this Decision in order to eliminate those which are presently used and prevent use of the others which pose comparable risks for child health; (37) This Decision should eliminate the deliberate use of the relevant phthalates as plastisizers in the products in question. while acknowledging the possibility of their presence at a trace level of up to 0,1 % by weight which is considered a level allowing for non-intended impurities not giving rise to concern for child health; (38) The duration of the validity of this Decision is limited to three months; period of validity may be prolonged if necessary; (39) Pursuant to Article 11(3) of Directive 92/59/EEC Member States shall take all necessary measures to implement the decision adopted within less than 10 days; (40) The measures provided for in this Decision are in accordance with the opinion of the Emergencies Committee, — butyl benzyl phthalate (BBP) CAS No 85-68-7 Einecs No 201-622-7, — dibutyl phthalate (DBP) CAS No 84-74-2 Einecs No 201-557-4, — intended to be placed in the mouth by children of less than three years of age. Article 2 For the purposes of this Decision: — a ‘toy’ shall mean any product designed or clearly intended for use in play by children, — childcare article shall mean any product intended to facilitate sleep, relaxation. the feeding of children, or sucking on the part of children. Article 3 Member States shall prohibit the placing on the market of the toys and childcare articles referred to in Article 1. Article 4 Member States shall take the measures necessary to comply with this Decision within less than 10 days of its notification. They shall forthwith inform the Commission thereof. HAS ADOPTED THIS DECISION: Article 1 This Decision shall apply to toys and childcare articles: — made of, or in part made of; soft PVC containing more than 0,1 % by weight of one or more of the following substances: — di-isononyl phthalate (DINP) CAS No 28553-12-0 Einecs No 249-079-5, — di(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP) CAS No 117-81-7 Einecs No 204-211-0, — di-n-octyl phthalate (DNOP) CAS No 117-84-0 Einecs No 204-214-7, — di-iso-decyl phthalate (DIDP) CAS No 26761-40-0 Einecs No 247-977-1, JMC environment Update L 315/49 30 Article 5 This Decision shall be applicable until 8 March 2000. Article 6 This Decision is addressed to the Member States. Done at Brussels, 7 December 1999. For the Commission David BYRNE Member of the Commission Vol.1 No.5 (2000.1) WTO2000 年ラウンド ウェッブ・サイト開設のお知らせ サイト開設のお知らせ 新しいラウンドのスタートとなる WTO のシアトル閣僚会議が昨年 1999 年の 12 月 1 日より開催さ れました。新ラウンドについては、閣僚会議前に閣僚宣言も出来ないという事態となり、今後の交渉 についても現在凍結中で、再開に向けての今後のタイムフレームについても現在のところ(2000 年 1 月現在)全く予想が立っていないという状況です。しかし、21 世紀を間近に控え、ますますグローバ ル化し、複雑さを増す世界経済における通商ルールを、どのように定めるかについて新ラウンド交渉 の帰趨は、大変重要な意味をもっています。 日本機械輸出組合では、新ラウンドについて、日本の機械産業の利害を反映すべく既存の委員会を 活用し、様々な提言を行なうための準備をしております。本ウェッブ・サイトもその一環として企画 されたものです。未完成ではありますが、今後は、日本機械輸出組合としての独自の分析も加え、ま た、皆様方のご意見を参考によりウエッブ・サイトの構築に努めたいと考えております。 ウエッブ・アドレス:http://www.jmcti.org/2000round/index.htm WTO2000 年ラウンドのウエッブ・サイトに関するお問合せ・ご質問は通商・国際協力Gの河合 年ラウンドのウエッブ・サイト (TEL:03-3431-9307, FAX:03-3436-6455, E-mail:y-kawai@jmcti.or.jp)までお願い致します。 JMC environment Update 31 Vol.1 No.5 (2000.1) 環境・安全グループ担当委員会の活動状況 1.貿易関連環境問題対策委員会 <通算第55回委員会(12/22;組合会議室)> ・地球温暖化問題と国内政策 –環境税と国内排出権取引-について ——地球温暖化防止会議(COP3)を受け、日本を含む先進国を中心に地球温暖化の原因となってい る温室効果ガスの削減義務が定められた。その対策として炭素税等環境税の導入あるいは国内 排出権取引の導入など、国内対策及び欧州主要各国の取組みについて㈱野村総合研究所リサー チ・コンサルティング部門環境・エネルギー研究部主任研究員水野勇史氏を講師に迎え説明を 伺い意見交換を実施 ・EU廃家電指令案(WEEE)に係る情報交換 —— WEEE第3次ドラフトに対するJBCEコメント及び欧州委員会関係総局の見解を説明後、意見交換、 情報交換を実施 ・2000年に向けての各社の環境課題コメント —— 2000 年に向けての環境課題、あるいは、1999 年を振返って、これまでに取組んできた環境問 題、または取組むことができずにやり残した問題等についてのコメント ・委員会社(カシオ計算機㈱、日本ビクター㈱)が発行した環境報告書等紹介 2.貿易と環境専門委員会 <平成11年度 第6回委員会(12/9;組合会議室)> ・貿易と環境の海外動向 —— WEEE第3次ドラフトに対するJBCEコメント、TCO99ラベル、バーモント州水銀規制等、欧州・ 米国等の環境規制動向について情報交換 3.海外生産と環境専門委員会 <平成11年度 第4回委員会(12/17;組合会議室)> ・タイの最新環境規制動向 ——(財)地球・人間環境フォーラム企画調査部部長中寺良栄氏よりタイの主要な環境問題である 水質汚濁、大気汚染、有害廃棄物問題に対する具体的な環境規制の内容や仕組み等タイの環境 に関わる最新動向の説明を受けた後、意見交換及び当委員会の調査結果とクロスチェックを実 施 JMC environment Update 32 Vol.1 No.5 (2000.1) 環境・安全グループ担当委員会の活動状況 4.環境法規専門委員会 <平成11年度 第5回委員会(12/14;組合会議室)> ・平成12年度活動報告書について方向性の検討 ・欧州環境規制に関する定期レポートの内容分析 5.環境問題関西委員会 <平成11年度 第2回委員会(12/16;大阪支部会議室)> ・内外における製品回収リサイクル制度の課題と業界対応 —— EUROBIT(欧州の事務機械工業会)等欧州リサイクル指令(案)に対する主要産業団体のポジ ションの比較等について太田委員(シャープ)より説明 ・欧州各国のリサイクル法のとりまとめについて、とくに運用面、仕組み等を重視し検討 ・バーモント州水銀規制、ミネソタCRTリサイクル規制等米国の環境規制動向について情報交換 6.CEマーキング対策委員会/基準・認証問題専門委員会 <平成11年度 CEマーキング対策委員会(11/25-26;XIV鳥羽)> ・ 「アジア主要国の製品安全関連基準・認証制度調査報告書」完成 ——調査委託先の㈱エーペックス・インターナショナルより、調査内容の報告 ・㈱エーペックス・インターナショナル見学会 ——安全及びEMC試験所の見学会を実施 <基準・認証問題専門委員会> ・ 「CEマーキングガイドブック1998」追補版の編集 ① R&TTE指令(11/25;XIV鳥羽) ② 機械指令 (11/25;XIV鳥羽) 7.海外PL問題対策委員会 <平成 11 年度 第 11 回委員会(12/2;大阪支部会議室)> ・インドネシア、シンガポール、インドにおける PL 制度 ——調査委託先の㈱住友海上リスク総合研究所より中間報告 JMC environment Update 33 Vol.1 No.5 (2000.1) 環境・安全グループ 新書籍紹介 『地球環境時代の企業経営』刊行 〜環境配慮型経営への意識改革に向けて〜 環境負荷や環境影響を改善、向上させて行くことは、今や企業にとっては必要不可欠となってきました。環境 への配慮を欠くことは、企業活動のあらゆる面でマイナスの要素をもつ可能性もあり、とくに企業の信頼獲得や 競争力の弱体化に繋がり、消費者、取引先から排除され、マーケットからの撤退を余儀無くされる可能性を十分 に含んでいます。 今後 21 世紀に向け企業経営を継続して行く為には、経営戦略の中で「環境」を考え、十分な対策を講じて行 くことが重要となってきます。 本報告書は、今後の経営戦略において「環境」を考えるための基礎資料として、企業経営に関連した「環境」 の動向と「環境」に対応した企業の取組みを抽出・整理するとともに、特に重要と思われるものについて、関連 主体やその活動、今後の見通し等を調査し、紹介しています。 以下に本書の一部「経営戦略における環境側面への対応に関する課題」をご紹介いたします。 経営戦略における環境側面への対応に関する課題 1.企業の環境対応として求められる課題 環境側面のキーワードの動向について、共通する傾向を①商品、②工場(事業)、③企業に分けて傾向をみると 次のように捉えることができる。 ① ② 商 工 品 場 : : 法律や社会システムによる環境配慮型商品の普及促進 = 商品の差別化 商品のライフサイクルでの環境対応の推進 = 拡大生産者責任 工場における環境保全に関する管理・対策の強化 = 環境マネジメント (エンドオブパイプから発生抑制へ) ③ 企 業 : 商品や工場・事業に関わる環境関連の情報開示 = 説明責任・環境 コミュニケーション ◎ 全 般 : 環境に関わる海外や国際的な動向への対応 JMC environment Update 34 = 環境対応の国際化 Vol.1 No.5 (2000.1) 新書籍紹介 特に、商品に関わる環境対応、環境コミュニケーション、環境対応の国際化は今後さらに強まると見込まれ、 経営戦略上において留意すべき事項であると考えられる。 (1) 商品に関わる環境対応 企業におけるかつての環境対策は、工場での公害防止対策が中心であり、工場から排出される排ガスや排水 などを適正に処理していればよかった。しかしながら、環境問題を解決するためには、工場対策だけでなく商 品の使用時あるいは廃棄時に伴う環境負荷を低減することも重要な対策として考えられている。 このように商品に関わる環境対応を進めるためには、商品のコンセプトづくりや設計・開発、マーケティン グといった企業経営のコア部門(戦略的部門)において「環境」を取り込むことが必要不可欠となっている。 これまでは「環境」をあまり意識しなかった部門において「環境」を新たに組み入れることは容易なことでは ない。 また、対処療法的に環境対応を行っているだけでは、単なるコストアップとして負担になり、また十分な費 用対効果が得られない。その結果、企業にとっては環境対応がリスクとしてのし掛かる事態に陥いりかねない。 今後、商品の環境対応に関わる動きを把握し、的確に判断することが企業戦略、事業戦略において重要なキ ー・ポイントになる。経営戦略に影響しうる環境側面を捉える場合には、常に「商品」とのつながりを視点に もつことが重要である。 (2) 環境コミュニケーション(説明責任) 環境規制以上に環境対策に取り組むことが企業に強く求められるようになり、環境対策への取り組み状況や その結果が、環境 NGO や環境意識の高い消費者、公共機関などから注目されている。また、投資家等からは環 境対策による負担増などが企業リスクとして捉えられ、企業の環境ポリシーや取組状況が投資判断材料の1つ として重要視されつつある。 以前は、環境規制を遵守していれば問題なく、環境対策を具体的に公表する必要はなかった。しかしながら、 企業が環境対策に積極的に取り組むことは当然のこととなり、むしろ社会責任あるいは企業経営として、企業 がどのように環境対応に努めているかをステークホルダーに知らせる必要性が高まっている。 今後、ステークホルダーに対する環境情報の提供は企業経営において必要不可欠な業務であり、環境コミュ ニケーションの受け手としてではなく、むしろ働き手として積極的な意識をもつことが重要である。このため、 経営戦略に影響しうる環境側面を捉える際には、ステークホルダーの関心事項が何かという視点から動向を把 握し、環境コミュニケーションに活用することが望まれる。 (3) 環境対応の国際化 環境問題が地球規模となり、またマーケットが国際的に広がった今日では、企業の環境対応も国際的な動向 を十分に把握することが必要となっている。 世界各国において、環境規制の強化が行われる一方で、環境規制が貿易障壁になるとして貿易問題に発展し たり、ISO による環境マネジメントシステムの規格化などが行われている。当然のことながら、このような動 きは商品のマーケティングに直接影響を及ぼしうるものであり、国際的なビジネスを展開している企業にとっ JMC environment Update 35 Vol.1 No.5 (2000.1) 新書籍紹介 て留意しなければならない。 また、様々な業界において企業再編が国際的に展開されており、投資家などは国際的に投資活動を行ってい る。海外の投資家などからみた環境対応のリスク評価は、国内でのリスクに対する考え方とは異なる面があり、 海外投資家からの資金調達を円滑にするためには、彼らが環境対応をどのように評価しているかを把握するこ とも重要と考えられる。 今後、企業の環境対応を国際的な視点で取り組むことは、これまで以上に重要になるといえる。このため、 経営戦略に影響しうる環境側面を捉えるためには、海外の企業や投資家などの先進的な動きに注目する必要が あるだろう。 2.環境対応のあり方・方向性に関する課題 先進的に環境対応を進めている企業の取り組みを参考に、具体的なあり方・方向性として考察を行った。 企業における環境対策の重要性が高まるつれて、各産業および各企業における環境対策は進展しつつあること は確かである。しかしながら、多くの産業あるいは企業では、これまでの環境対策の流れでの対応に留まってお り、企業経営において「環境」を取り込めていないと考えられる。 このような企業経営では、中長期的にも厳しくなると見込まれる法規制の強化や社会システムの改革に対して、 新たなコスト、人材の負担につながり、経営リスクとしての要素が高まる可能性が高くなる。環境対応も国際化 しつつある今、企業経営の1要素として「環境」を位置づけることが重要といえる。 (1) リスクマネジメント力の強化 環境側面の動向に伴う経営リスクを捉える上で重要なことは、まず経営リスクとして評価することである。 省エネや廃棄物、化学物質などに関する法規制等の動向には注目しておく必要があるが、それぞれ影響の大き さ、影響の時期(タイミング)などが異なり、かつ産業あるいは企業ごとに違ってくる。それらの環境側面が どのような影響を及ぼしうるか、どのような経営リスクとなりうるかを的確に評価し、その上で経営リスクに 対して対策を講じていくこと、つまり環境面でのリスクマネジメントが非常に重要となる。 このように、リスクマネジメントとして環境経営を認識し、リスクマネジメント力を強化することが、21 世 紀における環境経営の課題と考えられる。 (2) 組織力の強化 現場レベルでは、これまで「環境」に関する意識や取り組みが重視されてこなかったため、すぐに現場での 環境対応を浸透させることは難しい面がある。また、環境対応のための組織体制や業務内容等の見直しを行っ たとしても、見直すこと自体が目的化してしまい、環境対応としての意識や行動が十分に伴わないという問題 もある。実際に、環境専門部署と現場部署との意識がかけ離れていたり、それぞれの部署の環境関連業務が社 内で明確化されていない場合がある。 環境対応に必要なことは、これまでの経営に「環境」を取り込むことであり、環境担当組織が必要なのでは なく、環境に関わる組織力を高めなければばならない。また、環境経営においては、他の経営と同様に企画レ JMC environment Update 36 Vol.1 No.5 (2000.1) 新書籍紹介 ベルでの環境対応と、実行レベルでの環境対応を明確に分けて認識することが重要である。 本調査での先進的な企業の事例から、環境対応のための、組織力の強化手段として、 ・明確なトップダウンによる環境対応の推進 ・経営企画部署における環境対応 ・環境対応における現場部署の役割の明確化 といったことが挙げられる。 (3) ビジネスチャンスとしての再認識 これからの環境対応では、単なる環境対策の実施、強化といったものだけではなく、環境保全に貢献しうる 技術や商品・サービスの充実が大きなキー・ファクターになると考えられる。特に自動車や家電をはじめ、すで に環境対応した技術、商品をもつことがビジネスを続けて行く上で必要不可欠になっている。つまり、品質・ コスト・納期の3要素に加えて環境が加わりつつある。このため、これらの動向を経営リスクとして捉えると ともに、逆にビジネスチャンスとして再認識することが 21 世紀における環境経営を左右しうるといえる。 今後は、環境対応した技術や商品・サービスの開発、提供は自社の経営資源の強化につながり、ひいては他 社への技術供与やデファクト・スタンダード化、商品・サービスの差別化やシェア拡大といった展開を視野に 入れることも必要であろう。 さらに、もう1つ環境経営を進める上で留意すべきポイントとして、環境経営は、これまでになかった「環 境」という要素を経営に取り組むことであり、容易に実施できるものではないことを上述した。このため、各 企業において環境経営を充実させていくには、自社の環境経営の取り組み状況、「環境」に関わる経営資源を把 握し、現状にあった対応策を考えることが重要である。 例えば、環境経営に取り組んでこなかった企業では、第1段階として環境に関する社員教育といった観点で の組織体制と環境対応を行い、社内での環境対応が浸透してきた段階で経営レベルでの環境対応と組織体制に 見なおすといった考え方も参考になるだろう。 <報告書の主要目次は次のとおり> 1. 経営戦略に関わる環境側面の分類・体系化 経営戦略に関わる環境側面の全体像、 分 類 ・ 体 系 化 に お け る 考 え 方 ( 切 り 口 )、 環境側面(キーワード)の分類・体系化 2. 環境側面(キーワード)に関する動向 ・環境側面(キーワード)の評価・選定 ・注目すべき環境側面の最新動向 環境会計 JMC environment Update 環境報告書 エコファンド 37 グリーン調達・グリーン購入 Vol.1 No.5 (2000.1) 新書籍紹介 3. PRTR 化学物質 省エネルギー 環境ラベル 土壌汚染 グリーン税 国内外企業における環境報告書の比較 ・対象とする企業と環境報告書 ・欧米と日本の環境報告書の特徴 ・環境報告書にみる企業の取組状況 4. 5. 国内企業における環境側面への対応状況 鉄鋼 化学工業(樹脂) 電気機器 建設業 銀 行 業 (企業の環境対応を評価する第三者機関として) 建設機械 経営戦略における環境側面への対応に関する課題 ・企業の環境対応として求められる課題 ・環境対応のあり方・方向性に関する課題 (別表)環境報告書にみる企業の主な環境対策 裁 : A4 版 頒布価格 : 一般価格 4,500 円(組合員割引価格 1,500 円) (消費税込み、送料別) 体 67 ページ *お申込み、お問い合わせは、環境・安全グループまで TEL:03-3431-9230(直通) JMC environment Update 38 FAX:03-3436-6455 Vol.1 No.5 (2000.1) 新書籍紹介 平成 年 月 日 日本機械輸出組合 国際業務部門 環境・安全グループ行き (FAX:03‐3436‐6455) 書籍購入申込書 報 告 書 一般価格 (組合員割引価格) 名 購入希望部数 4,500 円 地球環境時代の企業経営 部 〜環境配慮型経営への意識改革にけて〜 (1,500 円) *必ず部数をご記入下さい。 *送料、銀行手数料はご負担下さい。/価格は消費税込みの金額です。 氏 名 役 職 名 所 属 名 会 社 名 住 所 〒 T E L FAX E‑Mail JMC environment Update 39 Vol.1 No.5 (2000.1) 台湾の電気電子機器の 検査簡略に関する新措置公表 本年1月4日付けで、台湾経済部商品検験局(BCIQ)は験簡略化に関する新規措置を公表した 旨、当組合が貿易・投資関連につきモニタリングを委託している弁護士事務所からメモラン ダムが届きました。取り急ぎ原文のまま掲載します。なお、当該検験簡略化措置の内容につ きましては、当グループ発行の「中国・香港・台湾における製品安全関連基準・認証の実態と 動向」(1999.12)に制度全体と併せて詳細が掲載されていますので、ご参照下さい。 MEMORANDUM Taiwan Issues New Measures for the Inspection of Electrical Appliances Summary On January 4, Taiwan’s Bureau of Commodity Inspection & Quarantine (BCIQ) under the Ministry of Economic Affairs implemented a new system to streamline the inspection of household electrical appliances. The list of affected electrical products is attached to this report. Analysis This new measure exempts some 200 electrical appliance items from inspection during every shipment. Instead, it only requires the registration of inspection-approval records for the affected items. According to the BCIQ, this time-saving measure will gradually include more electrical appliances over the next one to three years. 1. Measures Governing Registration of Product Certification These Measures are established in pursuance of Article 7(2) of the Commodity Inspection Act. During the buffer period of January 1 to March 1, 2000, manufacturers can chose between the new streamlined procedures and examination of products lot by lot. After March 1, 2000, the streamlined procedure will be applied. 2. Conformity Assessment Procedures The conformity assessment procedures concerning registration of product certification shall, as determined by competent authorities, be applicable to the following various modules or combination of modules: JMC environment Update 40 Vol.1 No.5 (2000.1) 台湾の電気電子機器の検査簡略に関する新措置公表 (i) Self-control module: For simple products with lower safety concerns, the applicant must lodge the technical documentation and statement to the effect that the products were manufactured to meet the specified criteria or related technical standard(s). (ii) Type-test module: Applicant for the Type examination module must lodge a specimen and technical documentation as well as a prototype test report. The test is carried out in accordance with specified criteria or relevant technical standard(s) by the competent inspection authority or its recognized laboratories. (iii) Conformity-to-type declaration module: For products of Conformity-to-type declaration modules, the applicant must lodge a statement, stating that the type manufactured is identical to the prototype mentioned in the test report issued by the competent inspection authority or its recognized laboratories. (iv) Full quality assurance system module: The manufacturer must establish the CNS12681 (ISO 9001) quality assurance system. Following approval by the competent certification authority or its recognized laboratories of the system, the manufacturer will be given the certificate of full quality assurance registration. (v) Production quality assurance system module: The manufacturer must establish the CNS12682 (ISO 9002) quality assurance system. Following approval by the competent certification authority or its recognized laboratories of the system, the manufacturer will be given the certificate of full production assurance registration. (vi) Product quality assurance system module: The manufacturer must establish the CNS12683 (ISO 9003) quality assurance system. Following approval by the competent certification authority or its recognized laboratories of the system, the manufacturer will be given the certificate of full production assurance registration. (vii) Plant Review Regulation module: The manufacturer must establish quality assurance standard(s) as published by the competent certification authority. Following approval by the competent certification authority of the system, the manufacturer will be given the notice for factory on-site examination registration. 3. Registration Procedures The application for the registration of product inspection accompanied by relevant conformity assessment information must be lodged by the manufacturer with the competent certification authority. Foreign manufacturers may, however, lodge the application through an appointed representative who has an address or business in the territory of the Republic of China. In the event that the accompanied technical documentation is in a non-Chinese version, the competent certification authority may request that applicant to attach a translation in Chinese. All other specific certification markings issued by the competent certification authority may be replaced by the original registration for certification marking. In examining the registration of inspection, the competent inspection authority may, if necessary, request the applicant to carry out a specific test or a supervised test on a certain item of the product. The registration shall be accepted only after approval of the test. JMC environment Update 41 Vol.1 No.5 (2000.1) 台湾の電気電子機器の検査簡略に関する新措置公表 4. Product Certification Products that have been issued the registration of product certification shall be issued a registration number and are allowed to use the certification marking. The certification marking, along with the registration number must be affixed to the product. However, if the product is too small then the certification marking and registration number must be affixed to the packaging. The validity of the product certification registration certificate shall be determined by the competent certification authority in accordance with the nature of the product. Three months prior to the expiry of the certificate, an application for renewal must be filed by the manufacturer and upon approval after review, a new certificate shall be issued. 5. Customs Clearance Domestic manufacturers may move the product out of the factory site and importers may, with the product certification registration certificate (original or copy), proceed with the process of customs clearance. With respect to products that have been issued the registration of product certification, the competent certification authority may dispatch its inspector(s) to the factory site, harbor warehouse, premises of the importer or distributor to carry out sampling inspection or follow-up action at the factory site. In the event that the manufacturer changes the design, the original type or specification of products that received the registration of product certification, he must ask the original competent certification authority whether the change requires (i) a new application for registration of product certification, (ii) registration under the registered product series or for the file only. 6. Cancellation / Revocation of Product Certification Registration In the event that any of the following, the registration of product certification shall be canceled: Failure to affix the marking in accordance with established regulations and inability to make improvement within a given time limit after notice for correction has been served. Test results of the sample prove to be at variance with specific criteria or related technical standards. Certificate of quality assurance system of the registrant has been revoked. Refusing spot sampling or follow-up action without due cause. Failure to pay annual registration fee and failure to pay within a given time limit after notice for payment has been served. Use of certification marking or registration number beyond approved scope. Defect of certified and registered product that has caused serious bodily injury or hazard to public safety. All other serious non-compliant or false or untrue instances. In the following instances, the product certification registration certificate shall be revoked: Request for cancellation has been filed by the registrant. Products subject to registration of product certification have been rescinded through public announcement. Permitted registered administrative action has been rescinded or withdrawn. JMC environment Update 42 Vol.1 No.5 (2000.1) 台湾の電気電子機器の検査簡略に関する新措置公表 List of Electrical Products Affected by the New Inspection Measures (Announcement No. 88463280 of the Ministry of Finance, January 5, 2000) HS Code 8414.51.00.00A 8414.59.00.00A 8414.60.00.00 8415.10.00.00 8415.81.00.00 8415.82.00.00 8418.21.90.00 8418.22.90.00 8418.29.90.00 8418.40.00.00 8421.12.00.00 8422.11.00.00 8422.19.00.00 8450.11.10.00 8450.11.20.00 8450.11.30.00 8450.12.10.00 8450.12.20.00 8450.12.30.00 8450.19.10.00 8450.19.20.00 8450.19.30.00 8450.20.00.00 8451.21.10.00 8451.21.20.00 8451.21.30.00 8451.29.00.00 8469.11.00.00 8469.12.00.00 8469.20.10.00 8469.20.90.00 8469.30.11.00 8469.30.19.00 8469.30.20.00 8469.30.90.00 8470.10.10.00 8470.10.20.00 8470.21.00.00 8470.29.00.00 JMC environment Update Description Table , floor, wall, window, ceiling or roof fans, with a self-contained electric motor of an output not exceeding 125 W Other fans and blowers Hoods having a maximum horizontal side not exceeding 120 cm Air-conditioning machines, window or wall types, self-contained Air-conditioning machines, incorporating a refrigerating unit and a valve for reversal for the cooling/heating cycle, of less than 22400KCAL/H Other, incorporating a refrigerating unit, of less than 22400KCAL/H Other refrigerators, household type, compression-type Other refrigerators, household toe, absorption-type, electrical Other refrigerators, household type Freezers of the upright type, not exceeding 900 l capacity Clothes dryers Dish washing machine of the household type Other dish washing machines Fully automatic washing machines, including machines which both wash and dry, each of a dry linen capacity of 8 kg and over, but less than 10 kg Fully automatic washing machines, including machines which both wash and dry, each of a dry linen capacity of 6 kg and over, but less than 8 kg Fully automatic washing machines, including machines which both wash and dry, each of a dry linen capacity less than 6 kg Other washing machines, with built-in centrifugal drier each of a dry linen capacity of 8-10 kg Other washing machines, with built-in centrifugal drier each of a dry linen capacity of 6kg and over, but less than 8 kg Other washing machines, with built-in centrifugal drier each of a dry linen capacity of less than 6kg Other washing machines, each of a dry linen capacity of 8-10 kg Other washing machines, each of a dry linen capacity of 6 kg and over but less than 8 kg Other washing machines, each of a dry linen capacity of less than 6 kg Washing machines, including machines which both wash and dry, each of a dry linen capacity exceeding 10 kg Drying machines, each of a dry linen capacity of 8-10 kg Drying machines, each of a dry linen capacity of 6kg and over but less than 8 kg Drying machines, each of a dry linen capacity of less than 6kg Drying machines, each of a dry linen capacity exceeding 10 kg Word processing machines Automatic typewriters Electric typewriters Other typewriters, electric Braille typewriters, weighing not more than 12 kg Braille typewriters, weight exceeding 12 kg Typewriters, non-electric, weighing not more than 12 kg, excluding case Other typewriters, non-electric Pocket-size data recording, reproducing and displaying machines with calculating functions Electronic calculators capable of operation without an external source of electric power Electronic calculating machines, incorporating a printing device Other electronic calculating machines 43 Vol.1 No.5 (2000.1) 台湾の電気電子機器の検査簡略に関する新措置公表 8470.30.00.00 8470.40.00.00 8470.50.00.00 8471.10.00.00 8471.30.00.00 8471.41.00.00 8471.49.00.00 8471.50.00.00 8471.60.10.00 8471.60.20.10 8471.60.20.20 8471.60.20.30 8471.60.20.90 8471.60.30.00 8471.60.90.10 8471.60.90.90 8471.70.10.10 8471.70.10.20 8471.70.10.30 8471.70.10.90 8471.70.90.00 8471.80.00.00 8471.90.10.00 8471.90.30.00 8471.90.40.00 8471.90.90.00 8472.90.50.00 8473.30.10.90 8472.90.50.00 8479.89.10.00A 8479.89.10.00B 8504.40.21.00 8504.40.29.00 8504.40.30.00 8518.40.90.00 8518.50.00.00 8519.10.00.00 8519.29.00.00 8519.31.00.00 8519.92.00.00 8519.93.00.10 8519.93.00.90 8519.99.10.00 8519.99.90.10 8519.99.90.90 8520.32.10.00 8520.33.00.00 8520.39.10.00 JMC environment Update Other calculating machines Accounting machines Cash registers Analogue of hybrid automatic data processing machines Portable digital automatic data processing machines, weighing not more than 10kg, consisting of at least a central processing unit, a keyboard and a display Digital automatic data processing machines comprising the same housing at least a central processing unit and an input and output unit, whether or not combined Other digital automatic data processing machines, presented in the form of systems Digital processing units other than those of subheadings 8471.41 and 8471.49, whether or not containing in the same housing one or two of the following types of unit: storage units, input units, output units. Terminals Dot matrix printer Laser printer Daisy printer Other printer Keyboard Image scanners Other input or output units, whether or not presented with the rest of a system and whether or not containing storage units in the same housing. Hard disc device Soft disc device Optical disc device Other magnetic disc device Other storage unit Other units of automatic data processing machines Computers controlled by special programs and word processing machines with memory storages Magnetic or optical readers Data transcribing machines for inputing into data processing machines, such as card punch machines, verifying machines, magnetic tape encoders, etc. Other automatic data processing machines of heading 8471. Automatic teller machines Other parts and accessories of machines under headings 8471.10, 8471.30,8471.41, 8471.49, 8471.50, 8471.60, 8471.70 Automatic teller machines Air humidifiers De-humidifiers Static converters for automatic data processing machines and units thereof, and telecommunication apparatus Other power supply, exchange type Uninterruptible power supply Other static converters Electric sound amplifier sets Coin or disc-operated record-players Other record-player, with loudspeaker Turnables (record-decks) with automatic record-changing mechanism Pocket-size cassette-players Cassette player for motor vehicles Other cassette players Magnetic audio disc player Optical audio disc player Other sound reproducing apparatus Digital audio type recorder or digital compact cassette recorder Other cassette type recording apparatus Open-reel tape recorder 44 Vol.1 No.5 (2000.1) 台湾の電気電子機器の検査簡略に関する新措置公表 8520.39.20.00 8520.39.90.00 8521.10.12.00 8521.10.19.00 8521.10.22.00 8521.10.29.00 8527.12.00.00 8527.13.00.00 8527.19.00.00 8527.21.00.00 8527.29.00.00 8527.31.00.00 8527.32.00.00 8527.39.00.00 8528.12.00.90 8528.13.00.00 8528.21.90.00 8528.22.90.00 8528.30.10.00 8543.89.91.00 8544.51.90.00 8544.59.90.00 8544.60.90.00 9009.21.20.00 9017.10.10.00 9017.20.10.00 9019.10.19.00 9405.10.00.00 9405.20.00.00 9405.30.00.00 9405.40.50.00 9405.40.90.00 9405.60.00.00 JMC environment Update Cartridge tape recorder Other magnetic tape recorders incorporating sound reproducing apparatus Magnetic tape-type video tape recorder/player, other than professional specifications for magnetic tape of a width of ¾ inch and over Other magnetic tape-type video tape recorder/player, other than professional specifications Magnetic tape-type video tape players, for magnetic tapes of a width3/4 inch and over, other than professional specifications Other magnetic tape-type video tape players, other than professional specifications pocket-size radio cassette players Other apparatus combined with sound recording or reproducing apparatus Radio-broadcast receivers capable of operating without an external source of power, not combined with sound recording or reproducing apparatus. Radio-broadcast receivers not capable of operating without an external source of power, of a kind used in motor vehicles, combined with sound recording or reproducing apparatus Radio-broadcast receivers not capable of operating without an external source of power, of a kind used in motor vehicles, not combined with sound recording or reproducing apparatus Other radio broadcast receivers, combined with sound recording or reproducing apparatus. Other radio broadcast receivers, not combined with sound recording or reproducing apparatus but combined with a clock Other radio-broadcast receivers Other color television receivers Black and white or other monochrome reception apparatus for television, whether incorporating radio-broadcast receivers or sound or video recording or reproducing apparatus Other color video monitors Other black and white or other monochrome video monitors Color video projector Electrical machines with translation or dictionary functions Other power supply wire and wire sets, fitted with connectors, for a voltage exceeding 80V but not exceeding 1000 V Other wires and cables, not fitted with connectors, for a voltage exceeding 80V but not exceeding 1000V Other electric conductors for a voltage exceeding 1000V Color photo-copying apparatus, incorporating an optical system Drafting tables and machines fitted with data processing system, whether or not automatic Abacuses Other massage apparatus Chandeliers and other electric ceiling or wall lighting fittings, excluding those used for lighting public open spaces or thoroughfares Electric table, desk, bedside or floor standing lamps Lighting sets of a kind used for Christmas trees Miner’s lamps Other electric lamps and lighting fittings Illuminated signs, name-plates and the like 45 Vol.1 No.5 (2000.1) 事務局便り 環境・安全グループ ◇「2000 年あけましておめでとうございます」 初荷の environment Update, Vol.1 No.5 をお届け します。 2000 年は循環型社会元年といわれていますが、皆様におかれましての新年のスタートはいかが でしたでしょうか。国内では循環型社会基本法を始め、通産、厚生、農水、建設各省から環境関連法案が 次期国会に提案されると報じられていますし、海外でも前年に引き継いで EU の WEEE 指令、同指令の姉 妹指令といわれる改正電池指令と廃自動車指令案、またドイツの電子機器政令案の動きなどが注目されま す。 ◇今号では、WEEE に関して JBCE と欧州委員会の 3 つの関係総局担当官との意味ある会合から、結果に 基づき最新動向をまとめてみました。これによれば(遅れる可能性があるとの情報もありますが)どうや ら 2 月までに WEEE 第 4 次ドラフトが提示される模様です。その中で、特に物質禁止と historical waste の取扱いのがどうなるかが、関係業界のもっとも関心の的となっているようです。今後も JBCE の協力を 得ながら本件をフォローします。 ◇これまで当グループでは、貿易ないしは海外投資先に関連する環境関連の報告書を関連委員会の活動成 果として作成、刊行してきましたが、今般、少し視点を変えて、環境配慮型経営への意識改革に向けて「地 球環境時代の企業経営」と題する書籍を発行しました。事務局が野村総合研究所と企画、調整しながら同 研究所に執筆願ったもので、既に謹呈として全組合員への送付を終え、引続き本テーマに関するセミナー の開催を近日中の案内を予定しています。 ◇ところで、2000 年 1 月は暖冬傾向が続いています。先日も、名だたる豪雪地帯で有名な長野県飯山市に スキーにいったところ、町中はもちろん周辺の田畑にはまったく積雪がありません。さらにそこから標高 1000m の斑尾高原に登坂しても高原直下の標高 800m 位まで路肩にも雪がないのです。スキー場もひどい もので、公式発表では積雪 90cm でしたが、東南に面するゲレンデは茶色の部分が多く土が露出したり、 平地には水がたまり、蕗のとうが出てきそうな状況です。ここへは 25 年間毎冬訪れていますが、1 月でこ のような事態は始めてです。地球全体が異常気象なのか日本の一部が異常なのかわかりませんが、屋根の 雪下ろしが不要で喜んでいる地元の方とは違って、環境問題に関心をもつ一市民としては異常気象の自然 環境や生態系への影響が心配です(TI) JMC environment Update 46 Vol.1 No.5 (2000. 1)
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