航空保安体制の世界的動向 ~米国同時多発テロ後のセキュリティ強化と限界~ RISTEX Seminar on SEECAT 2010 October 8 2010 Tokyo, Japan 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻 宇田川登紀 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science CONTENTS 1. 2. 3. 4. 5. 6. 「航空保安」の歴史 Terrorism 米国同時多発テロの衝撃 厳戒体制の限界 日本の航空保安体制は? Additional Interests Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 2 1. 「航空保安」の歴史 ~国際機関の設立~ 1903 1910 1914 1941 1944 1947 ライト兄弟「ライトフライヤー号」 航空運航の基本原則@パリ 第一次世界大戦 第二次世界大戦 →戦時下、航空機の開発競争 国際民間航空条約@シカゴ 国際民間航空機関(ICAO) (日本の加盟は1953年) Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 3 1. 「航空保安」の歴史 ~「航空保安」という概念の登場~ 1947 戦後初のハイジャック@ルーマニア 1950~ 航空運輸交通の時代に突入 東欧でハイジャック多発 1961 米国とキューバの国交断絶 ハイジャック多発「キューバ急行」 1961.5 米国「ハイジャック防止法」 1968.2 デルタ航空843便ハイジャック事件 FAA「ハイジャック防止システム」 金属探知器、手荷物検査、監視カメラ、私服保安員 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 4 1. 「航空保安」の歴史 ~日本における「航空保安」~ 1970 「よど号」ハイジャック事件 →東京条約批准 1973 ドバイ事件 →モントリオール条約批准 1977 ダッカ事件「人命は地球より重い」 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 5 2. Terrorism ~次世代機器の導入~ Security Checkpoint @ Airport 爆発物検知装置 (photo: TSA HP) 手荷物用 受託荷物用 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 旅客用 6 2. Terrorism ~次世代機器の導入~ Security Checkpoint @ Airport 成田国際空港で実証実験(2010年7-9月) (photo: TSA HP) Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 7 3. 米国同時多発テロの衝撃 ~9.11の前~ 1990-2000 1993 NY世界貿易センタービル爆破事件 1995 オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件 →国家の重要インフラである空港も狙われるかも・・・ 航空保安体制の再確認、爆発物検知装置の開発推進、 CAPS、保安検査員の訓練、フライトデッキの保護 空港の保安体制は間違いなく強化されていた But セキュリティホールはある=テロ対策は常に不完全 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 8 3. 米国同時多発テロの衝撃 ~9.11の後~ 2001- 米国同時多発テロ「米国本土への攻撃」 セキュリティ最優先の厳戒体制 US内:危機管理システムの再構築 ATSA(航空安全法) DHS(国土安全保障省)、TSA(運輸保安庁) 空港保安体制を「民」の責任から「官」の責任へ セキュリティ機器の開発・導入 他国への影響:ペナルティ付TSAルールの強制 TSAロック付スーツケース、ESTA(電子渡航認証)、全指の指紋 押捺 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 9 4. 厳戒体制の限界 ~米国主導から対等へ~ 今年2010年 米国同時多発テロから9年以上 →いつまでセキュリティを叫び続けるのか? テロの記憶=薄れ始めた、過去のもの ☆「旅客」の視点≧「テロ対策」の視点☆ 最低限の保安体制は維持 旅客の利便性とプライバシーを考慮 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 10 4. 厳戒体制の限界 ~転換期:EU流?米国流?~ ★「見せる」セキュリティから 「見せない」セキュリティへ ★「ストレスフル」セキュリティから 「ストレスフリー」セキュリティへ EU流航空保安体制の展開→アジア・アフリカ圏への導入も視野に!! 運用側のメリット:人件費等コストの削減、時間の短縮、航空機の定時運 行、保安検査員とのトラブル軽減 など EUは他の国々と協調路線をとる 米国は他国の保安体制を信用しない Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 11 5. 日本の航空保安体制は? ~任意の保安検査~ 保安検査の実施: =旅客の協力を得て行う任意の保安検査 ボディチェック、持ち物検査、没収 → 強制力を伴う 保安検査は航空会社の責任 →民間企業の航空会社が民間企業の警備会社に委託 =権限のない組織が権限のない組織に委託 航空輸送の安全を脅かすもの(脅かすかもしれないもの)の 徹底排除と抑止効果・・・国家機関の後ろ楯が必要 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 12 5. 日本の航空保安体制は? ~情報提供の重要性~ 欧米:一般の人々の目をわざとセキュリティ情報に 触れさせて、目に見える抑止効果を狙う セキュリティへの意識を促す ‘Security is confidential’ それは本当に秘密にすべき情報なのか? 公開すべき情報はそれだけなのか? Information? or Intelligence? 「何のための保安検査ですか?」 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 13 6. Additional Interests 航空保安の課題 貨物検査 CBRNテロ&サイバーテロ 保安検査員の教育・訓練 乗り継ぎ旅客への保安検査 液体物検査 Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 14 6. Additional Interests ~新しい機器の開発・導入~ (photo: TSA HP) 次のご旅行までに・・・ Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 15 SEECATで説明させていただいた全資料を載せておりません。す べての資料をご希望の方は「宇田川登紀」宛にご連絡をいただけま すようにお願いいたします。 Contact 東京大学大学院 宇田川 登紀 tokiju-asm@live.jp Toki Janet UDAGAWA (The University of Tokyo, JAPAN) tokiju-asm@live.jp Department of International Studies Graduate School of Frontier Science 16
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