トップ営業マンレポート 第2号

トップ営業マンレポート
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第2号
自身だけでなく部下もトップに育てた
トップ営業マンのストーリー
トップ営業マンレポート
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第2号
ジェイックとは
ジェイックは教育研修と人材紹介を通して人と組織の活性化を行っております。具体的な事業とし
ては、教育研修事業・即戦力人材紹介事業・営業カレッジ事業(若手ポテンシャル採用支援)IT事
業(エンジニアの派遣紹介)
・キャリアサポート事業(行政のセミナー代行)にて営業職と幹部の採用、
研修をしております。
目次
はじめに
1章
今回のトップ営業マン
1)経歴のご紹介
2章
トップ営業マンを大量育成するための方法
1)優秀な部下と信頼関係をつくる方法
2)トップ営業マンのつくり方
3章
トップの財布の紐をゆるくするコンサルティングセールス
1)トップとの信頼関係の作り方
2)相手に気持ちよく本音を話してもらう方法
3)相手から欲しいと言わせるクロージングのかけ方
最後に
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本文は著作権により保護されていますが、商用の場合を除き、ご自由に転送、転載していただいて結構です。
トップ営業マンレポート
はじめに
こんにちは!ジェイックの稲本です。今月もトップ営業マンレポートをお送りさせて頂きます。
といいますか、お送りすることができるようになりました。これも皆様から、第 1 号に対してたくさ
んのお声を頂いたお陰です。前回は『営業革新の急所』という弊社メルマガを普段ご覧になって下さ
っている方と、お取引があり懇意にさせて頂いているお客様に関してだけ、各担当からメールにて告
知させて頂いたところ、100 件を超える請求依頼を頂くことができました。そして、請求して下さった
方から暖かい励ましのお声を頂きました結果、この企画を正式に続けることができるようになりまし
た。皆様、本当にありがとうございました。今後、毎月 1 回のペースで発行させて頂こうと思ってお
ります。配信する日時を確定させることは難しいのですが、毎月 1 回は必ず発行します。私の心情と
しましては、もっと早いペースで発行したくてたまりません。何故かというと、日々素晴らしいトッ
プ営業マンの話を伺って、それを糧に自分の成長を実感しているからです。既にこの企画のために
4 名のトップ営業マンの方にインタビューを実施しました。いずれも卓越した実績を出されてきた方で、
同じ営業マンとして、たくさんのことを学ぶことが出来ました。その情報を皆様に発信したくてたま
りません。しかし、大変申し訳ございません。私の本業は、営業です。マネージャーなので部下も 4
名います。チームの数字も持っています。そのため月に何回も発行することが、どうしてもできませ
ん。時間の関係で月 1 回の発行とさせて頂きます。ご了承ください。その代わりにその 1 回には、渾
身の気持ちをこめた作品を皆様にお届けしたいと思います。導入が長くなりました。では、さっそく
今月のトップ営業マンの紹介に移ります。
1章
今回のトップ営業マン
1)経歴のご紹介
第 2 号は、大手中古車売買の会社のトップ営業マンにインタビューをしました。今回は、佐藤氏(仮
名)という方です。まず、その方のご経験とご実績を簡単に・・・
【トップ営業マンパーソナルデータ】
31 歳 男性 2 社経験。
2000 年 4 月に大手中古車販売の会社に入社。直営店部門の営業スタッフからスタートし、店長、
営業マネージャーとして 50 名∼60 名のスタッフの管理、育成業務に従事。その後、大手コンサル
ティング会社の子会社に入社。
直営部門本部長室長として、
前年対比 130%超の数値改善を達成し、
同年 12 月親会社に逆出向する。自動車業界の社長に対して、開発されたノウハウを販売する営業
活動を精力的に実施。その後、ブランド推進部マネージャーとなり、現在に至る。
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トップ営業マンレポート
【実績内訳】
●大手中古車販売会社での実績
◆ 2000年5月、1ヶ月間買い取り率 100% 達成。(他メンバー買い取り率平均:40%)
◆ 1ヶ月間に中古車 11台 販売(他メンバー月間販売台数平均: 2台)
◆ 入社 3ヶ月 で 副店長
◆ 新規2店舗立ち上げ。
就任 (昇格最短記録)
◆ 1年目に全国エリア経常利益達成率1位獲得
◆ 全国達成率1位店長を輩出
2004年度年間達成率135%の実績
◆
経常利益前年度対比120%UP
◆
2004年度、最下位地域を2位まで向上
エリアリーダー店長として近隣他店舗への指導(新人店長・低迷店長のバックアップ)
◆
店舗実績 新記録更新 数回
◆
全国500店舗中 達成率1位
●コンサルティング会社での実績
◆ 営業として入社後、半年間で売上 1 億円以上の実績を出す。
◆ 入社後 1 年で SV 事業部【加盟店指導】マネージャーに就任
◆ 入社後 1 年半でブランド推進部マネージャーに就任
本当に素晴らしい実績ですね。彼は、営業マンとして非常に優秀です。
また、たくさんの営業マネージャーの育成も手がけてきました。そこで、今回は
○
トップ営業マンを大量に育成するための方法
○
対社長向けコンサルティングセールス
についてお話を伺っていきます。
2章
トップ営業マンを大量に育成する方法
稲本⇒まずは仕事内容を理解するために、営業のプロセスを教えて頂いてもよろしいですか?
佐藤氏⇒前職は中古車の売買仲介をメイン事業としている会社でした。大手企業だったので、法人
と個人の 2 種類のお客様と取引をしています。その中で、私は、個人のお客様をメインと
した事業部に所属していました。各地域に店舗を構えて、来店して頂いたお客様に対して
営業活動をしていましたので、お客様の車を買い取り、さらに新しい車を販売がすること
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が最高のゴールになります。営業活動の流れは、まずは、来店してもらって個人情報を取
得します。その後、電話、メール、手紙で追いかけします。そして、再度来店して頂き、
クロージングするというのが一般的な流れですかね。
稲本⇒そうすると、個人のお客様に来店して頂いて営業をしていくのですね。
佐藤氏⇒来店型ですけど、もちろん訪問もします。例えば、旦那様が来店してくれて、車を売る承
諾を得ているが、奥様が首を立てに振らないというケースもあります。そういう時は、旦那
様の許可を頂いて訪問をします。奥様を口説きに行くということですね。
稲本⇒ありがとうございます。営業プロセスは理解することが出来ました。ちなみに、最短記録で副
店長になり、その後も店長、営業マネージャーと短期間で昇格されていますよね。
なぜそんなに早く出世できたのですか?
佐藤氏⇒自慢になってしまうのですが、営業マンとして圧倒的な実績を残したことと、実績を出せ
る営業マンや店長をたくさん育ててきたからだと思います。
稲本⇒何人くらい育てたのですか?
佐藤氏⇒正確な数字はわかりませんが、二桁は育てたと思います。一番多い時で、15 店舗で 60 名
くらい見ていました。ほとんど自分が育てて店長にした子ばかりです。僕のやり方や考え
を、汲み取って実行してくれますし、融通も利きます。その子達ががんばって実績を出し
てくれたから、出世が早かったかもしれないですね。
稲本⇒そうですか、では、佐藤さんがどうやってメンバーを育ててきたかということについてお伺い
してもよろしいですか?
1)優秀な部下と信頼関係をつくる方法
稲本⇒まずは、社員の育て方についてお聞かせください。僕も現在 4 人のチームを持っていますが、
全員新卒です。手前味噌ですが、素直で良い子たちばかりなので、一人一人成長してくれてい
ますし、チームでそれなりの実績も出せています。なので、そんなにマネジメントに苦労して
いる感覚はありません。しかし一方で、経営者様とお話しさせていただくと、部下のマネジメ
ントや教育で苦労されている方が、すごく多いですよね。
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佐藤氏⇒コンサルティングをしているので私自身もそれを実感しています。私の経験では、
社長様のお悩みは
1 位 マネジメント
2 位 後継者問題
3 位 売上拡大
に集約される気がします。
稲本⇒お客様とお話ししていると、特に 20 代の社員の育成と 30 代のマネージャーの育成に悩んでい
る方が多いように感じます。
「若い子の気持ちがわからない」
、
「意思疎通ができない」
、
「期待と
違うことをやってしまう」
、
「報連相が少ない」などといった悩みが多いですね。佐藤様の場合
ですと、店長になったのが 22 歳で、営業マネージャーになられたのは 26 歳の時ですから、年
上の部下を持つというケースも多かったと思います。そこで一番気になるのが、社員の育て方
なんですが、それについて伺ってもよろしいですか?
佐藤氏⇒色々なやり方を試しましたが、試行錯誤する中で方法を確立することができました。前職
に僕が所属していた時は、飛ぶ鳥を落とす勢いで会社が成長していました。その中、中途
でご入社される方が自分より年上の部下になることは多かったです。腕に自信のある、屈
強な営業マンがたくさん転職してきましたね。前職でも営業を精力的にやってきて、新し
い会社で、地位や名声、お金を手に入れてやろうという意欲的な人が多かったですね。
稲本⇒そういう方って過去の成功体験に縛られて、新しいやり方を受け入れなかったりすることが多
いのではないですか?また、プライドも高そうですし、接し方も難しそうですよね。
佐藤氏⇒それはありますね。環境に合わないままだと数字を上げないどころか周りに悪影響を与え
ますから。接し方には気をつけていましたね。
稲本⇒注意していた点はどのようなところですか?
佐藤氏⇒当然のことですが、私が礼節をきちんと守ることですね。年上の方は、仕事上では僕が上
司ですけど、人生の先輩ですから。そこは意識して対応していました。
稲本⇒なるほど、具体的にはどういうことをやられていたんですか。
佐藤氏⇒名前を「さん」づけで呼んだり、仕事外で会う時は、その人を立てる会話をしたり、わか
らないことは素直に教えて頂いたりといったことです。
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稲本⇒素晴らしいですね。でも、逆になめられたりしませんか。
佐藤氏⇒そういう可能性もあります。そうならないために、実績を背中で見せることを意識しまし
た。100 の言葉より 1 つの実績です。また、工夫していたことでいうと、中途の人が配属
された時は、2 人きりで飲みに行き、必ず話を「聞く」ようにしていました。
稲本⇒どんな話を聞くのですか?
佐藤氏⇒まあ、一言で言うと、相手を理解するために「価値観を聞く」ことです。詳しく言うと、
過去の栄光を聞き出します。上場企業のトップ営業マンが、伸びているとはいえ、わざわ
ざベンチャー企業に入ってくるわけです。鼻息も荒いし、自信満々です。それを理解せず
に、
「うちではこういうやり方なので、それを守って下さい」と押し付けても、反発する
だけだと思うんです。ですから、まずその人の思考や言動を理解するために、過去の成功
体験や失敗体験を徹底的に聞きます。
「どれくらいの実績を上げられてきたんですか?」
「はあーすごいですね。どうやったんで
すか?」
「いやー素晴らしい勉強になります。
」と、相手が話しやすいようにします。
そうやって過去の栄光をヒアリングした後に、前職の退職理由とうちの会社に入社した経
緯を聞きます。前職での不満を解消したかったり、新しい職場で何か手に入れたくて入社
してきたわけですから。全部聞いた後に、一緒に成果をコミットしようという話をします。
「○○さん、今日はすごく勉強になりました。ありがとうございます。それで、○○さんは
こうなりたいですよね。僕はそのために、全力でお手伝いするんで、厳しいことや失礼な
ことを言ったりするかもしれませんが、許してもらえますか」って。
そうすると、
「もちろんです。一緒にがんばっていきましょう!」という雰囲気になります。
この状況になって、初めて指示が通りやすい関係が出来上がります。また、何か困難に直
面した場合にも、
「○○さんあの時、二人でこうなろうって誓ったじゃないですか」と言っ
て、その時の気持ちを思い出させることによって乗り越える力を与えることが出来ます。
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
部下を理解する
・部下が年上ならば、仕事以外では、人生の先輩として立てる。
・新しく人が入社したらまず、価値観を聞いて、その人を理解する
過去の成功体験
過去の失敗体験
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前職の退職理由・不満
自社に入社した経緯
・それを踏まえて、自分の考え・経験・やり方を共有する
・本人のやりたいことを叶えるために全力で支援することを約束する
・困難に直面した時は、約束を思い出させる
-----------------------------------------------------------------------------------------稲本⇒そこまで自分のことを理解しようとしてくれる上司って、なかなかいないですものね。転職し
たての時は、不安の方が大きいですから。信頼されますよね。
佐藤氏⇒それ以外にも、ご家族をお持ちの方に関しては、なるべく家族ぐるみの付き合いが出来る
ようにします。上場前後で休みがない状態でしたし、数字は厳しいので、心身ともに追い
込まれた状況が続きます。そうなってくると、ご家族の理解がないと仕事に集中すること
ができません。ですから、出来るだけ奥さんに会わせてもらって、働いている職場が見え
るように、状況をお話していました。また、
「上司はこんなやつです」っていうことがわか
るように自分のことを話すことを心がけていました。顔が見えないよりは、見えるほうが
奥さんも安心されますし、ご家族の支えがあれば、仕事に注力できて、相乗効果で実績も
上がります。
そのために、必ず、その人を立てて奥様にお話することを意識していました。
「僕が若いか
らミスも多くて。そういうときに○○さんにいつも助けてもらってるんですよ。本当に助
かってます」と。
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
部下と信頼関係をつくる方法
その1
・部下のご家族と接する場を作る
・奥様に対しては、その場で、旦那様に助けてもらっていることを伝える
-----------------------------------------------------------------------------------------稲本⇒その他、部下育成で気をつけていたことってありますか?
佐藤氏⇒そうですね。先ほど話したことと付随するのですが、やはり基本は動機を確認して、そこ
を握る(約束する)ということですよね。つまり、「自分がやりたいこと」
、「将来叶えた
いこと」と「会社で仕事をすること」を結びつけることですね。
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稲本⇒もう少し詳しく教えて頂いてもよろしいですか?
佐藤氏⇒例えば、転職理由が、実績を出したのに満足する給与がもらえなかったことだとします。
そういう時は、「どれくらい給与が欲しいのか?」、「それを何に使いたいか?」を明確に
します。そして、「これだけ実績出せば、欲しい給与を手に入れることができるよ」とい
うことをイメージさせます。すると、「叶えられなかったことがここでは叶えられるかも
しれない」ということでモチベーションがあがります。
そこで畳み掛けるように、実績を出す方法を示唆します。ポイントは、決して 私抜き
では達成出来ない方法
を示唆する事です。
「この方法で行えば、これだけの実績を出すことができる。その代わりに厳しく指摘は
します。いかがですか?」といった感じです。もちろん理由もお話しするので、ご納得
されることが多く、その方法を実行してくださる様になりました。
また、事前にこういった話をしておくことで、その方が壁に当たって苦しんでいる時に、
再度その話をすることによって、入社当時の思いを喚起させてあげることができます。
「なんのために入社したんだ。その状況でいいのか?1,000 万円欲しかったんじゃない
のか?」って。
あわせて、出世すると楽になるということを常に発信していました。もちろんプレッシ
ャーがすごかったので、実際楽だったわけじゃないです。しかし、上司が辛そうにして
いたら、部下は出世したいと思いません。そうすると、出世しない方法を考えるように
なります。ですから、
「俺はこれだけもらっていて、こんなに楽だぞ。早くお前もそうな
れよ。応援しているぞ」といつも伝えていましたね。
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
部下と信頼関係をつくる方法
その2
・部下が叶えたいことを把握する
・そのために、今何をやらなくてはいけないかをイメージさせ、仕事と結びつける
・夢を叶える近道の案内を自分はできることを伝える
部下のモチベーションを上げる秘訣
・出世すると楽しくなることを伝える
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稲本⇒ただその手法は、動機が明確な人には良いのですが、そうでない人にはあてはまりません。
「うちの会社になぜ入社したの?」
「なんとなく。」
「将来どうなりたいの?」
「特にありません、」
みたいな。そういう場合はどうされるんですか?
佐藤氏⇒それは簡単ですよ。その人を伸ばそうとしないことですね。
稲本⇒その人を伸ばそうとしない?とはどういうことですか。
佐藤氏⇒特にやりたいことや軸がない人に動機を聞いても、出てこない場合が多いんですね。もち
ろん徹底的に聞けば出てくるケースもあるんですけれど。そういう場合は、その人にアプ
ローチすることはやめます。基本ですけれど、マネジメントは、チームの生産性を最大化
するために、実行しやすく、効果が高いことから優先順位をつけて行います。その視点か
らいうと、成長する気がない人に、成長を求めるためのアプローチをすることって、見込
みのないお客さんに無理に買ってくださいって売り込んでいるのと等しいと思います。こ
れって、パワーを必要とする割に、結果出ないことが多いと思います。
実際どうするかという話ですが、そのチームの中で一番伸びそうな人に絞って教育を実施
します。大体、負けず嫌いで、
「自分はトップになりたい」という意欲を持ったタイプの人
が多いんですけど。その人を望みどおり、トップ営業マンにします。結果、その人は自然
と数字あげてくれるようになりますよね。次に 2 番目に見込みある人を徹底的に教育しま
す。それを繰り返します。たとえば、5 人チームのうち 2 人がそういう状態になると、教
育された人たちの発言が変わってきます。その発言は、僕がみんなに対して叱ったり、教
えたりする 10 倍の効果があるんですよ。現場発信ですから。
それで、話は戻るのですが、その軸がない人たちの特性が一つあるんですよ。それは、流
されやすいということです。ですから、軸がない人は、
「チームの雰囲気を変えることによ
って影響力を与えて、成長を促す」という育て方をします。
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
効率よく部下を育てる方法
・見込みがありそうな人に絞って徹底的に育てる
・見込みがない人は環境を変えることで成長させる
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2)トップ営業マンのつくり方
稲本⇒その考え方は思いもしなかったですね。今のお話では、動悸が明確であれば、トップ営業マン
にすることが出来るということですか?
佐藤氏⇒そうです。実際に何人か 1 位にしていますからね。もちろん素養の部分もあるので、全員
は難しいですけれど、いけると思った人は大体トップになりました。何人出したかって言
われるとメンバーがいっぱいいたので覚えていないですけど、二桁に近い人数は、トップ
として送り出しています。
稲本⇒そうなのですか。トップ営業マンってどうやって作るのですか。
佐藤氏⇒まずトップ営業マンになるというのを本人と約束することですね。さきほどと同じですよ。
将来どうなりたいか?の部分を話すときに、トップ営業マンになることを一緒に約束する
んです。そうすると、意識が高くなるので、言動や行動は変わってきますし、自分が言う
ことも入っていきやすいですね。ただ、チームで一人しかその方法できないですけどね。
トップは一人しかとれないですから。
---------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
部下をトップ営業マンにする秘訣 その1
・トップ営業マンになることをコミットさせる
・そのために全力で支援することを伝える
-----------------------------------------------------------------------------------------稲本⇒簡単におっしゃいますが、それだけでトップになれるものですか?やはり気になるのが、マイ
ンド面のお話がすごく多いので、トップ営業マンになるって決意してもやり方が間違ったりす
ると、うまくいかないこともあるのではないかと思うのですが、いかがですか?
佐藤氏⇒そういう意味でいうと、やり方をある程度確立させて、忠実に実行させることに、こだわ
っていたかもしれないですね。
稲本⇒例えばどういうことですか。
佐藤氏⇒販売や買い取りまでのシナリオとプロセスは細かく分解して設計していました。また、そ
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のプロセス毎のアクションの数値を取らせていました。それは、課題を発見することが目
的です。次に時間の使い方にも気をつけさせていました。それに加えてお客様に気持ちよ
く購買の意思決定してもらえるようなシナリオを共有しました。
例えば、お客様に、まずは物凄く良い車を見せます。そうすると、興味を強く持ってくだ
さいます。しかし、当然良い車は高いので、この値段だと手が出せないという話になりま
す。そこで、次に、安い車を見せます。すると、今度は値段で興味を持ってくださいます
が、品質が良くないので、やはり気に入りません。色々なお話をしていく中で一番の要望
を具体化させます。でないと「安くて良い物」というこの世にないものを求めることにな
ってしまいます。
不動産だと、
「銀座の一等地で坪 1 万円の物件はないのか」とか。御社でいうと、
「年収
1,000 万円で休みがたくさんあって、プレッシャーもほとんどない仕事はないですか?」
という要望ですね。
その過程のシナリオを部下に徹底させます。お客様に、「たくさんある希望の中で、自分
にとって必要なものは何か?」ということを、考えて頂くこと。そうなって初めて、「本
当に欲しい」ものを探せるようになると思います。最後に、お客様が選んだ条件に合った
ものを提案して、最後に一押ししてあげるだけで、お客様は「やっと探し出せた」という
感覚で喜んで商品を購入されます。
あとは車を買ったらどんな状態になるのかというイメージをお客様に持ってもらえるよう
話す教育します。当たり前のことだと思うのですが、
「ゴルフバックが 4 つ楽々入ります」
とか、
「100 キロで走っていても、楽に追い越すことができるくらいパワーあります」
、
「こ
の車種のこの色、女の子に人気なのですよ。声かけるのに最適なツールですよ」
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
トップ営業マンを育成する秘訣 その2
・売れる商談プロセスを設計(演出)して共有する
・売れる型(営業方法)にはめ込む
・お客様の欲しい理由を明確にして整理する過程を身に付けさせる
-----------------------------------------------------------------------------------------稲本⇒部下を管理していく上で注意していたことはありますか?
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佐藤氏⇒営業プロセス上の課題に対する対策手段と、チェックの仕方も気をつけていましたね。ど
ういうことかというと、例えば、クロージングが下手で実績が出せないメンバーがいると
するじゃないですか。その場合は、クロージングをする前に、必ず一回報告させる流れを
とっていました。「今こういう状況なので、クロージングして良いでしょうか?」と。そ
れに対して、僕が何でそう思ったかを質問していきます。すると、
「お客様のニーズが把
握できていない」
、
「リスクの説明が足りない」など、やらなくてはいけないことを実施で
きていないケースが出てきます。報告を義務化することによって、その可能性をつぶして
いきます。これを徹底させていました。
稲本⇒これは部下の育成とは別の話ですが、購入意欲が低いお客様に対して実行していたことはあり
ますか?
佐藤氏⇒ありますよ。例えば、査定だけを目的に来るお客様に対するアプローチです。こういう目
的のお客様は多いのですが、情報だけを取られて逃げられてしまいます。その時は、査定
の話をする前に、次に購入しようとしている車の話を聞き出すようにしていました。査定
に来る本当の目的は、現在の車を売って、そのお金で次の車を買おうとしているわけです
から、次の車をウチで買っていただく話になれば、自然と下取りの流れになります。
査定だけだと、どうしても価格だけで判断されてしまうのですが、下取りになると、買い
取りの金額が判断基準ではなくなります。僕は、お客様が求めているのは、
「買い取りの値
段ではなく、安く良い買い物をしたい」というだけだと思っています。ですから、部下に
は、査定に来たお客様には、必ず次の車をどのぐらいの予算で買いたいのかを確認してか
ら、下取りとしての価格を提示するようにさせていました。ほんの少しの工夫ですけど、
これをやると売上げ全然違います。
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
部下をトップ営業マンにする秘訣 その3
・営業プロセス上の課題を明確にする
・課題上で報告が来る仕組みをつくる
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3章
トップの財布の紐をゆるくするコンサルティングセールス
稲本⇒現在、佐藤さんはコンサルティング会社でも営業で実績を出していらっしゃいます。そちらの
ノウハウを伺いたいのですが、どんな商品を扱っていらっしゃるのですか?
佐藤氏⇒現在は、クルマ関連の事業を行なう会社に対して、経営コンサルティングを行っている会
社に在籍しています。コンサルティングの商材としては、『マネジメント強化、営業力強
化』を実践するための商品になります。
稲本⇒単価はどれくらいなのですか?
佐藤氏⇒まず、初期費用として、経営コンサルティング料を 600 万円いただきます。それに加えて、
別途月額 45 万を頂きます。契約期間によるのですが、長期での契約が多いので、大体 1 本
で 3,000 万くらいです。
稲本⇒かなり、高単価な商品ですね。しかもコンサルティングは、費用対効果がわかりづらいので、
売るのがすごく難しそうですね。
佐藤氏⇒それはあります。営業に自信がある人しか入社しないのですが、やはり離職率も高くて、
今までの自信を木っ端微塵に砕かれて、去っていく人もたくさんいらっしゃいました。
稲本⇒受注できる人と出来ない人の差ってありますか?
佐藤氏⇒お客様との信頼関係構築と、ヒアリングだと思います。
1)トップとの信頼関係の作り方
稲本⇒信頼関係を作るポイントは何だとお考えですか?
佐藤氏⇒まず大事なのは、信頼関係を作るための雑談を行うことです。これが、すごく大切です。
信頼関係を作らないと、ヒアリングをしようとしても、本質を聞くこと出来ません。それ
で、私が行っていたのは、他社と比較してお客様の特徴を褒めることです。建物や従業員
の雰囲気、看板、名刺。小さなことでも他社と違う点に注目します。そこには、社長の思
いが詰まっています。まずは、その部分を見つけることに専念します。例えば、「社長!
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僕は今まで何百社も回っているのですけど、こんなに挨拶が素晴らしい会社は初めてです。
挨拶に対して何か思い入れとかあったりするのですか?もしくは、何か特別に取り組まれ
ているところはあるのですか?」とか。それが社長のこだわっている部分に当てはまって
いるのであれば、話がすごく盛り上がりますね。
他には、社長の想いに触れるまで、深堀って聞くことですかね。
稲本⇒深堀はすごく大事だと思うのですが、あまりにも「なんで?」「なんで?」と聞きすぎると気
分を害される方も多いと思います。具体的にはどういった聞き方をされていたのですか?
佐藤氏⇒「何故ですか?」という質問の仕方をすることもありますけど、あまり使わないようにし
ていました。そういう意味でいうと、仮説型の質問をぶつけることを心がけていました。
ポイントは、『社長を持ち上げられるような質問をし続けること』です。例えば、先ほど
の例でいうと、挨拶が特徴的な会社で、それを話題にすると悪い気持ちはしないと思うの
です。その結果、信頼関係ができるので、少しずつ、本音を聞かせて頂ける状態になりま
す。そして、そういった質問を継続して行っていきます。「佐藤君がそういってくれるの
は嬉しいけどね。でもうちも色々問題もあってさ。実はさ・・・」という流れで悩みとか
課題を話してくれます。そこから本格的なヒアリングに入ります。
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
トップの財布の紐を緩める秘訣 その1
・社長がこだわっている点を話題にする
・社長の想いを把握する
・社長を立てた仮説型の質問をし続け、本音と悩みを把握する
------------------------------------------------------------------------------------------
2)相手に気持ちよく本音を話してもらう方法
稲本⇒ヒアリングはどんなことを中心に聞くのですか?
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佐藤氏⇒お客様の「過去の栄光」と「苦労話」を中心に聞いています。やはり誰でもピークの時が
あると思います。成長意欲が旺盛な社長は、
「ピーク時を超えたい」という想いが強いです。
その他には「創業した理由」や「継承時の苦労」、「社員の離反」、などを伺います。ある
程度聞き出せたらヒアリング終了です。「そうしたら次回社長のやりたいことを叶えるため
のプランを持ってきますね」といっていったん持ち帰ります。
また一方では、話を聞くだけでなく、強く意見をぶつけることも大事です。できるかどう
かは度外視して構いません。「この部分をこうしたらもっと儲かるじゃないですかね?」
そうすると、「それは、儲かるに決まっているじゃないか!!」って言い返してきます。
「じゃあ何でやらないのですか?」と更に返します。すると、「そんな事はない。前から
やりたいって思っていたのだよ!」と言い返してきます。そこで、更に話すと言い訳が出
ます。「この部分とネックで、出来ない!」。そうしたら最後に、「じゃあ弊社でその部
分を解決できたらどうするのですか?」と言います。すると、社長は「・・・それだった
らやりたいよ」となります。
稲本⇒なるほど、社長が自分で言った課題や想いに対して訴求するのですね!
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
トップの財布の紐を緩める秘訣
その2
・社長の過去の栄光、苦労を聞く
・社長が叶えたいことを把握する
・社長のためになるのであれば、自分の意見をはっきりと述べる
-----------------------------------------------------------------------------------------3)相手から欲しいといわせるクロージングのかけ方
稲本⇒持ち帰った後、提案書を作成し、次回の訪問でプレゼンをすると思うのですが、そこからクロ
ージングするまでに気をつけていた事ってあります?
佐藤氏⇒2 回目の訪問の流れで気をつけていたことでいうと、プレゼン後の出来ない理由に耳を傾け
ることです。「ウチの社員は使えない」や「周りの会社との兼ね合いで…」、「地域特性
上絶対に無理だ」とか。その場合、解決策が出せる場合は提示します。実は、解決策を言
うことがポイントではなく突き放すことが大切です。
「では諦めるのですね?いいですよ、
もう」
稲本⇒社長は、どう反応されるのですか?
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トップ営業マンレポート
佐藤氏⇒100%に限りなく近く食いついてきますね。そこで追い討ちをかけます。「まあ、社長の想
いがそんなものなら、ウチがいくらやっても無駄ですもんね」
稲本⇒その後は帰ろうとするのですか?
佐藤氏⇒いや、「帰ります」と言うと気分を害するかも知れませんし、商談が終わる可能性があり
ます。何もせずじっと見つめ続けます・・・・
稲本⇒怖いですね。
佐藤氏⇒心臓バクバクですけどね。すると、大体は、どうしたら出来るかどうかを考えて、社長か
ら意見をぶつけてきます。その流れにのって話を進めると受注に繋がります。指示されて
実行するよりも、自分で決めて実行する方が、やる気が出るのだと思います。これは部下
に対する接し方でも同じですよね。
-----------------------------------------------------------------------------------------★ 真似できるポイント ★
トップの財布の紐を緩める秘訣
その3
・クロージングで迎合しない
・無言をうまく使って顧客に考えさせる
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トップ営業マンレポート
最後に
長い文章をお読みくださりありがとうございました。今回のレポートは如何だったでしょうか?佐
藤氏は、コンサルタントという雰囲気ではなく、情に熱く、人が大好きな、人情味ある営業マンです。
その人柄と仕事ぶりからファンも多く、彼がアポイントを取ると、宿泊するホテルまで取ってくれる
社長もいらっしゃるほどです。
さて、弊社は、このインタビューを通して、3 つのことを学びました。
1 つ目は、部下の育成に関して。仕事の仕方や考え方を指導することに関しては、実施していましたが、
部下が何でこの会社に入ってきたか、将来どうなりたいと思っているのか?ということは、聞いてい
ませんでした。ましてや、その動機や夢と会社の仕事を結びつけることに関して言うと、皆無でした。
佐藤氏から話を伺ったあとに、入社の経緯や動機、将来どうなりたいと思っているかなどを聞き、さ
らに、月に 1 回実務と全く関係のない面談する機会をつくりました。
2 つ目は、雑談の進め方についてです。すべての人間関係において、相手の望む雑談が出来る人は人間
関係が円滑に進むと思います。佐藤さんは、相手の特徴やこだわりを見つけ、相手を持ち上げながら
雑談を行うことで、初対面で、気難しい人と関係を構築していました。
3 つ目は、商談の進め方です。相手が本当にやりたいことを聞き出し、それを叶えるための筋道をつく
る。そして、出来ない理由を話してもらい、その状態でいいのですか?と突き放し、あくまでもお客
様に決めさせる。この方法であれば、お客様は自分で意思決定したと納得して商談を終えられます。
このロジックを含めたトーク設計を行い全社で共有しました。
ご覧になる方々によって感じるところや気づきは異なると思われます。このレポートが御社の業績発
展に、少しでも繋がることを信じております。
追伸
次回は、知名度があまりなかったベンチャー企業で全社の売上げの 20%(10 億円中 2 億円)を叩き出
していたトップ営業マンの情報をお伝えさせて頂きます。また、ご意見ご感想があれば、稲本
(cs@jaic-g.com)までご連絡頂ければ幸いです。
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