薬学生NEWS information magazine for pharmacy students No.3 2011年2月15日発行 発行: 社団法人 日本薬剤師会 発行人:児玉 孝 〒160-8389 東京都新宿区四谷3-3-1 富士・国保連ビル7F TEL 03(3353)1170 gaku@nichiyaku.or.jp 2010 FAPA CONGRESS IN TAIPEI, TAIWAN 第23回 アジア薬剤師会連合(FAPA)学術大会に参加して アジア薬剤師会連合(FAPA:Federation of Asian 本会補助事業により、21名(大学院生8名、学部生13名) Pharmaceutical Associations)の第23回学術大会が、 の薬学生が参加いたしました。今号では、学部生の皆さん 昨年11月5日(金)から8日(月)にかけて台湾の台北市で の参加レポートをいくつかご紹介し、参考に供します。 開催されました。FAPAは、1964年に、日本、韓国、台湾、 (次回のFAPA学術大会は、 2012年11月にインドネシアのバリ島にて開催予定) 香港、フィリピン、タイ、パキスタン、イスラエルの8カ国が 参加して発足したもので、様々な活動の一環として、隔年に 加盟国(現在は19カ国)の持ち回りで学術大会を開催して います。 第23回 今大会は、“Pharmacy and Society”のメインテーマ FAPA学術大会参加レポート 清和英里子さん(城西国際大学4年) ………… 2P のもと、約40カ国から1,800名(日本からは約130名)の 薬剤師・研究者・薬学生が参加し、様々なテーマに基づく 田中 諒さん(武蔵野大学5年) …………… 2P シンポジウムや研究発表、各種の催し物を通じ、活発な討 田村 有美さん(同志社女子大学5年) ……… 3P 論・国際交流が図られました。 小路 晃平さん(大阪薬科大学3年) ………… 3P 日本薬剤師会では、我が国の薬学生もこのような国際会 串畑 太郎さん(摂南大学3年) ……………… 4P 議に積極的に参加し、様々な知識を吸収するとともに、海 酒井 麻衣さん(武庫川女子大学5年) ……… 5P 外の薬剤師・薬学生と直接意見を交わすことにより国際的 石田 隆之さん(神戸学院大学2年) ………… 5P な視野を醸成することは、今後の我が国の薬剤師業務や 吉原 智美さん(長崎国際大学5年) ………… 6P 薬学教育にも非常に有益であると考えています。今大会には、 1 第23回 FAPA学術大会参加レポート FAPA台湾大会報告 清和英里子さん(城西国際大学4年) 私は今回初めてFAPAに参加させてい ただきました。学生の身では、日本の様々 な薬学関係者の方とお話しする機会は滅 多にありません。台湾では、現場で働い ておられる先生方や他大学の方とお話し することができ、大変勉強になりました。 また、日本だけでなく諸外国の方とも交流 することができ、非常に有意義な時間を 過ごすことができました。このような貴重 な機会を与えて下さった日本薬剤師会の 皆様には心から感謝しています。 私が一番印象に残った発表はフィリピ ンの方のプレゼンテーションです。フィリピ ンでは、薬剤師はただ単に調剤をこなす 役割を果たしているわけではなく、地域住 民の健康増進を担う役割の方が多分に 大きい、ということに国家間の差を感じま した。フィリピンでは薬剤師がヘルスケア を担うことでセルフメディケーションが可 能になっているということでした。私たち 城西国際大学と東邦大学が共同で発表 したポスターでは、日本の薬学生を対象 にした、現在の薬剤師や薬学教育に対す る意識調査をまとめています。その中の一 つとして、日本の薬剤師はセルフメディケー ションにおける健康管理において十分な 役割を果たしておらず、調剤だけをしてい る印象が強い、という結果がありました。 私自身も、現状、利用者の健康管理を担っ ている存在として、薬剤師は位置づけら れていないように感じます。医療費増加な どの影響もあり、スイッチOTCが注目され、 セルフメディケーションの需用が高まるな かで、薬剤師の果たすべき役割はこれか らさらに増えていくと思います。利用者の 健康増進の手助けをしていくために、薬 剤師が中心となり積極的に活動し、社会 のニーズに応えていく必要がある、という ことを大変考えさせられました。 城西国際・東邦大 共同ポスター発表 FAPAの講演やポスター発表を見てみ ると、Long-Term Careに関する内容が 多いと感じました。これは少なからず高 齢化が影響しているように思います。日本 だけでなくアジアで見ても高齢化が進行 しています。患者を長期にわたってケアし ていく中でも、やはりQOLの向上を目指 す必要があると思いました。薬剤師が医 師、看護師、医療スタッフと連携すること で、より良いサービスを患者に提供できる ということを改めて感じました。 また今回の旅の中でひしひしと感じた のが英語スキルの必要性です。相手の意 図していることは理解できるのに、自分の 想いを上手く伝えられないもどかしさがあ りました。もちろん単語をつなげたり、ジェ スチャーを取り入れたりすることでもコミュ ニケーションを取ることはできます。しかし、 自分の意見をぶつけることで初めてより深 い交流をすることができると思うのです。 今回感じたもどかしさは、英語を学んでい こうというこれからの原動力になりました。 私は今回の経験で本当に多くのことを 感じ、学びました。数日間ではあったもの の、私にとっては本当に実りある旅となり ました。学生である“今”、このような貴重 な体験をさせてもらえた私は本当に恵ま れていると思います。そして、“今”感じる ことができたからこそ、今後の学生生活 に生かしていけるチャンスができました。 この経験を単なる思い出ではなく、身の あるものとし、還元できるように頑張りた いと思います。 台湾で出会い、私に様々な感情を与え てくれた全ての方々に感謝したいです。 台湾では実際に薬局と病院に見学に 行かせていただきました。薬局に行った とき、薬局内でOTCを取り扱っている割 合が多いと思いました。聞いてみると、高 齢者の方々が、健康のためにサプリメン トをよく使うそうです。実際、サプリメント や漢方は多く置いてありました。また、台 湾にはOTCを取り扱わず、調剤薬局だけ というところはないそうです。これらのこと から、患者さんは薬剤師を頼りにすること が多いと思いました。しかし、現状では OTCの割合は低下しているとのことでし た。また、台湾ではカウンセリングのスペー スを作ることを推奨しているようです。現在、 これがどれだけ進んでいるかはわかりま せんが、確かにこうすることで、薬剤師を 頼ることが多くなる可能性は大いにあると 思いました。在宅医療についてですが、 台湾では最近このシステムが広がりつつ あるそうです。日本も一部の薬局が在宅 医療をしていて、ほとんどシステムも確立 しています。これは日本も台湾もそんなに 変わりはないと感じました。 病 院 見 学 で は N a t i o n a l Ta i w a n Universityに行かせていただきましたが、 まず規模に驚きました。約2,600床あり、 薬剤師は約170人いるということです。院 内のシステムも発達していて、様々な機械 を入れているし、薬のピッキングや在庫 管理もデジタル化が進んでいて、効率よく かつ確実に業務が進むように工夫されて いました。調剤室でもパソコンで処方を チェックするのと同時に生化学データも合 わせてチェックするようになっていました。 チェックして問題があった時は、すぐに医 師へ電話し確認をしていただくようなシス テムです。ここは日本とはそんなに変わら ないと思いました。 FAPA参加報告 田中 諒さん(武蔵野大学5年) 今回FAPA学術大会に参加する上で、 いくつか目標を持っていました。一つ目に 他国の薬学システムの現状を知ること、 二つ目に他国の方々との交流です。 一つ目の目標で他国の薬学のシステム は日本とは異なる部分もやはりありました。 日本は薬剤師の地位が医師に比べ低い 感じを受けますが、アジアの他国でも同じ ような印象を受けました。マレーシアでは 医師が薬を調剤し投与することもあるそう です。台湾では院内処方が多く、院外は 少ないようなので、日本とは違い医薬分 業が進んでいないのだろうと思いました。 2 見学先で台湾の薬剤師さんとパチリ 日本と台湾を比較したとき、違いや進 んでいる部分、また遅れている部分は何 かと考えた時、日本は医薬分業などの制 度は進んでいるのではと感じました。他に もお薬手帳や服薬指導、疑義照会といっ たシステムも日本は確立していると感じま した。台湾では、最も驚いたのは病院内 の機械化の発達でしたが、他にも薬剤師 としての地位は日本よりも確立しているの ではと感じました。それでも、まだまだ問 題点は多いようですが、一つの解決策と して、国際的に組織を作り、情報やシス テムを共有するということが提案されてい ました。そういう意味では今回のFAPAと いう学術大会は素晴らしい機会であり、 重要だと思いました。 二つ目の目的として他国の方々との交 流でした。私は多くの懇親会に参加し、 外国の方々と接することができました。私 はここで英語を使うという機会、そして友 達を作るということ、そして今後の交流の 継続を目標にしていました。 私自身、国際交流にとても興味を持っ ていて、今までも留学や国際交流パーティ に参加するなど活動をしてきました。しか し、日本で英会話を使う機会というのは 少ないです。ここも他国とは違うと感じた 部分ですが、台湾の薬学生は英語が本 当に上手でした。それは教育システムに も関係していて、台湾では教科書はほと んど英語で、英語は必須となります。学会 でも、同じくらいの年齢なのに、発表をし ていました。FAPAのスタッフの方々は薬 学生が多く、英語が流暢で、理解力も高 かったです。日本でも国公立や一部の研 究室などでは英語でディスカッションをし ていますが、それでも日本は英語とは離 れていると感じました。これから国際化が 進むにつれ、英語を実際に使うということ が重要になってくると思います。私は英語 をもっと実用的に使えるようになりたいと 強く感じ、刺激を受け、今回、本当に良 い機会を得ることができたと実感しました。 日本に帰ってきてからも連絡を取り続け、 交流や情報交換、また次回会うことがで きたら素晴らしいと思っています。大学卒 業後、この経験が社会で役に立つよう活 動していきたいと思います。 FAPAに参加して 田村有美さん(同志社女子大学5年) 今回台湾で行われたFAPAの中で一 番印象に残ったことは、YPG students& Travel Scholarships meetingに参加で きたことです。このミーティングには若い 薬剤師や薬学生が世界各国から参加し、 それぞれのテーマについていくつかのグルー プに分かれ、現状での薬剤師の活動報 告やこれから薬剤師として何ができるの かなどのディベートを行い、その後発表を 行いました。私たちのグループのテーマは 禁煙活動についてで、それぞれの国の発 言を聞いていて感じたことは、政府のレ ベルで禁煙活動を行っているということ です。例えばある国ではタバコのパッケー ジにタバコによる害を促すような写真を掲 載したり、禁煙を行うために入院できるプ ログラムがあったり、禁煙が定められてい る場所での喫煙はかなりの罰金が厳しく 課されたりと、国としての活動を積極的に 行っていることが挙げられました。しかし 一方では、何の規制もなく喫煙の低年齢 化が深刻になっている国もあるのが現状 で、そのためにはやはり教育の面から薬 剤師が関わって禁煙活動を行う重要性 があるという結果に結びつきました。また、 ある国の薬剤師の方と話していて、世界 禁煙デーについて知っているかという問 いを投げかけられました。かすかに聞い たことがあるという程度だったので何も答 えられない自分が恥ずかしくなりましたが、 いつか世界中で世界禁煙デーの日に薬 剤師としてのイベントを何かしたいね、と いう話にもなりました。 のような団体があることで、様々な現場で 働く薬剤師同士の意見交換や交流の場 も広がり、薬剤師としての集結力も高まり、 先に述べたような禁煙活動を行うなどの 薬剤師としての活動もより出来るのでは ないかと思います。また、日本だけに留ま らず、世界を見ることで今回のような新た な発見などがたくさん出てくると思います。 そのためにも、各国の薬剤師と対話する ための英語力を身につける必要性もます ます増えてくるのではないでしょうか。 今回参加できたことで、日本のみならず、 世界中に多くの友人ができました。FAPA 終了後もメールなどのやり取りをし、 「今 度遊びに来たら、薬局など案内するよ。 」 などといった交流も続いています。ここで 出会ったつながりを大切にし、より多くの 人に世界に興味を持ってもらうために、ま ずは近くにいる友人や後輩に今回の経験 を伝えることで、一人ひとりの価値観や視 野が広がることを期待しています。そして 今の学生の段階から様々なテーマに興味 を持ち、薬学生として何ができるのかを話 し合うきっかけになったらいいなと思います。 特に関心のあったプログラム 小路晃平さん(大阪薬科大学3年) 海外の薬剤師・薬学生ともたくさんの交流が 今回このミーティングに参加して、世界 中の薬剤師の方々とディベートを行うことで、 様々な情報を得ることができました。様々 な情報を得ることで、何がいいのか、どん なことを行っていくべきかなど、日本にいる だけではわからないことを知り、多くの刺 激を受けました。また、これから薬剤師と して働く中で治療の分野だけでなく、健康 についてももっと目を向ける必要があるこ とを実感しました。薬剤師は身近に相談 できる医療従事者として健康促進活動に 力を入れ、何かあったら薬剤師に相談し ようというようになったらいいなと思います。 また、他の国の薬剤師は非常に様々 な活動に積極的だなと思いました。各国 にはYoung Pharmacist Group(通称 YPG)という団体があり、これからの世代 を担う薬剤師が集まってワークショップや イベントを行ったり、他の国のYPGと連 携を取り合いながら、薬剤師としての向 上心を高めようという活動を行っているこ とは、私にとって非常に魅力的でした。こ 3 FAPAに参加して特に関心のあった口 頭発表でのプログラムは、2日目にあっ た『Pharmaceutical Education and Students Section』です。 『Implementation of a pharmacist continuing education program in promoting pharmaceutical long-term care in taipei』では、 「地域において患 者さんの治療を進めていくには『ケアカン ファレンス』が重要で、質の高い『ケアカ ンファレンス』が行えるようにするための、 薬剤師や他の医療従事者の教育プログ ラム」についての発表でした。 その教育プログラムは、医療者間で連 携をとるための研修制度です。研修に参 加することで認定書がもらえます。研修で は、病院薬剤師、薬局薬剤師だけでなく、 医師、看護師が参加して、事例をもとに 患者さんの治療計画について話し合って いきます。それをすることで、薬剤師は医 師や看護師の仕事を理解したり、連携を とるスキルを得るだけでなく、参加した医 師や看護師も薬剤師の仕事について理 解することができます。そうすることで、ケ アカンファレンスをスムーズに行うことがで きるのです。私は、在宅に興味があるの で、そのような研修制度は非常に素晴ら 非常に重要だと感じました。 FAPAといった国際的な活動にも参加し しく感じました。各病院、薬局で研修制 私が今回参加したプログラムはどれも ていることが紹介されました。 度が実践されているのではなく、地域で 素晴らしいものでした。 『Pharmaceutical 私は世界各国で大学を卒業して間もな 研修が行われることで、会社など関係な Education and Students Section』の い若い薬剤師の方々が自身の職能を高め、 く、医療従事者同士の連携が取れること 互いに情報交換を行い、また地域貢献 は重要だと感じました。最後の質疑応答で、 プログラムでも、英語を理解するのが大 変でしたが、話を聞き、スライドの写真を や薬学生の後押しのための活動をしてい 『学生がそこに参加して、体感することが 見たり、スライドの文字を辞書で調べたり ることを、とても素晴らしいことだと思いま できれば良いのに……』という質問があ して、何とか理解することができました。 した。同時に、私が知らないだけかもし りましたが、薬学生が参加すると、 『これ FAPAでは、日本の大学の先生が座長を れませんが、日本にはYPGのような若い が必要だから、大学で学ぶ必要があるの されていることが多いのですが、このプロ 薬剤師による全国的な組織はないので、 だ!』 『医療現場はすごい!』と肌で感じる グラムでも、日本の大学の先生が座長を 今後日本でもYPGのような組織が必要だ ことができるのにな、と思いました。 されていたので、休憩時間に質問に行く と思いま した。 『service-learning for pharmacist と、聞きとれなかったポイントをフォローし 台湾の薬学生の WU YI-CHIさんの students through a university-local てくださいました。そのため、より深く理解 「International View-what did/do/ government partnership in a comできたと思います。 will I see the world-as a pharmacy munity health and development proFAPAで学んだことを、日本の薬学生 student?」の発表では、PCE(Patience gram in rural philippines』では、へき地 にこれから還元していけたらと考えていま Consulting Event)という患者診察の模 に薬学生が地域医療を学びに行くプログ す。そのための活動として、薬学生の交 擬練習を行い、薬学生の内から患者に ラムについての発表でした。 『へき地・地 接する際の態度や技能などを学んでい フィリピンでは、沢山の島が存在します。 流の場での発表だけでなく、 域医療について薬学生が学べる機会』や ること、IPSF(International Pharmacy そのため、薬剤師がへき地に興味を持つ student Federation)に参加し、世界 ことや、公衆衛生などに関与することは 『多くの医療従事者、医療従事者を目指 す学生との交流』を作っていきたいと思う の薬学生と各国の文化の違い、教育制 非常に重要です。薬学生は、子供たちに ことができました。 度、薬剤師を取り巻く現状や直面してい 公衆衛生について教えたり、お薬教育を る問題などを共有するなどの交流を行っ します。他に、薬草の栽培方法を学び、 ていること、SEP(Student Exchange 薬草の使い方を学んだりして、その方法 FAPA報告 Program)で自身がオランダに留学され を教えたりしていました。薬学生はグルー 串畑太郎さん(摂南大学3年) て、地域薬局での体験やオランダのマリ プでこのプログラムを行い、グループでそ 私は、2010年11月5日〜8日に台湾 ファナの合法化、安楽死、健康保険制度 の島で想い出を作ったり、素敵な景色の などを学んできたことを、紹介されました。 ところで写真をとったりしていました。私は、 で行われた、第23回FAPA学術大会に 参加しました。 このように海外の薬学生は意識が高く 現在の日本でもへき地・地域医療につい 6日の午後から参加した、YPG,Travel 国際的な活動を積極的に行っていること て興味を持つことは非常に重要なのでは Scholarship&Students Meetingでは、 に非常に刺激を受け、私の参加している ないかと感じています。そのため、日本で 世界各国のYPGの方々による発表やディ 西日本薬学生ネットワークでも海外の薬 も薬学生がへき地の医療施設に行き、学 スカッションが行われました。 学生との交流をぜひとも行っていきたい ぶことが必要だと思います。 と思いました。また、会場のスタッフをさ 『learning pharmacy education and れていた台湾の薬学生の方々が、英語 pharmacy practice via video conが流暢なことにも驚かされました。 gress』では、台湾の薬学生が大学で、ビ T Y P G に よる「S u r v e y o f G o o d デオチャットを使いながらアメリカなどの Pharmacy Practice in Asia」では、アジ 外国の薬学生と交流をするプログラムに アを中心に14ヶ国にアンケート調査を行 ついての発表でした。教室に大きなスクリー い、それをもとに「Patients Counseling」 ンがあり、ビデオカメラが付けてあり、外 「Congitive Service」 「Public Health」 国側と台湾側が映し出せるようになって の3グループに分かれてディスカッション いて、学生が会話をします。海外にいる ディスカッションはすべて英語! が行われました。 薬学生同士が交流を持つことにより、互 台 湾 の K u a n C h i n H u a 氏 による 私 の グ ル ープ で は、 「C o n g i t i v e いに刺激をうけることができます。質疑応 Service」についてのディスカッションが行 答の中で、 『ビデオチャットの際に、どんな 「TYPG - The past,present&future われ、 「薬剤師が調剤をする際に薬の相 質問が双方の薬学生から出ましたか?』 perspectives」の発表では、TYPGは 2003 年に設立された大学卒後 5 年以 互作用をチェックしているか?」 「その問題 という質問がありました。その解答は、 『そ 内の若い薬剤師による団体で、若い薬 を解決するために医師に問い合わせる れぞれの国の教育制度の事や、医療制 剤師の「職能や社会的責任を促進する」 か?」などの議題に「薬剤師の数が足りて 度の事がよく質問で聞かれました』という 「 国 際 的な薬 おらず、細かいチェックはできない」 「医 ものでした。今回、YPGでも『その国はど 「リーダーシップを養う」 剤師のネットワークへの参加」などを目 薬分業が進んでおらず、院外処方箋がで んな教育制度なのだろう?』 『どんな医療 的にGPP(Good Pharmacy Practice) ない」 「病院で薬が処方される(医師に 制度なのだろう?』という話題で盛り上が -Workshopの開催やFIP(International 調剤権がある)」 「薬剤師以外も薬を売っ りました。 『他国はどうなのか?』 『自分の ている」 「地方と都市部の格差が大きい」 国はどうなのか?』について見ていくことは、 Pharmaceutical Federation)-YPGや 4 「国民医療保険のような制度がない」な ど様々な意見が飛び交い、国によっての 法律や制度の違いや、国民の薬剤師に 対する認知度、薬に対しての知識の違い について話し合われました。 「Patients Counseling」のグループで は、 「患者に薬を渡すとき診察をするか?」 「 薬 局に診 察のためのスペースがある か?」などの議題に、 「すべての薬剤師が 診察を行う必要があるが、国ごとに異なっ た制度があり、実際にはいくつかの国で 薬剤師による診察は行われていない」 「診 察を行うための薬剤師の訓練が欠如して おり、大学のカリキュラムの問題やジェン ダーの障壁もある」 、問題の解決として「国 内外の薬剤師の連携を行い、薬剤師の 倫理観や職能を高め、また薬剤師と国民 の教育が必要である」といった趣旨の発 表がされました。 「Public Health」のグループでは、 「あ なたの国の薬剤師が薬物中毒、結核、 性感染症などの分野で治療プログラムを 直接観察することはあるか?」 「あなたの 国の薬剤師が禁煙や感染症の予防のよ うな予防医療に参加するか?」などの議 題の禁煙指導について話し合われ、公衆 衛生に携わるものとして、薬剤師の禁煙 の重要性が認識され始めており、禁煙キャ ンペーンや薬剤師による学校などでの啓 発活動によって、広く国民に多くの情報を 提供し、特に若い世代に対しての啓発が 重要であるという趣旨の発表がされました。 このディスカッションを通して、国や地 域によって法律や制度の違いはあっても、 薬剤師のおかれている現状は厳しいもの であり、それを打破するために各国の薬 剤師の方が非常に努力されていることが 分かりました。これら各国の薬剤師が直 面している問題は、日本の薬剤師が国民 への啓発、医薬分業の推進、6年制薬学 教育の導入などで取り組んできた問題で あり、今後、日本の薬剤師は欧米の薬剤 師に追いつくと共に、アジアの薬剤師を 牽引していく役割を担うことができるので はないかと思いました。そのためには、日 本の薬剤師はもっとFAPAやFIPのような 国際的な場に積極的に参加して、視野を 広げ、問題意識を共有し、活発に活動し ていくことが必要だと思いました。 今回、FAPA台湾大会に参加して、各 国の薬剤師を取り巻く現状や様々な取り 組みを知ることで、日本の薬剤師の置か れている現状やその取り組みについても 再認識することができました。また、英語 でのディスカッションに全くついていけず、 一度も発言できなかったことや、台湾の 薬学生の方とあまりコミュニケーションが 取れなかったことは非常に残念で、自分 の英語力と知識の無さを痛感させられま した。今回の経験を忘れずに、残りの学 生生活が有意義なものになるよう日々精 進していきます。 最後に、このような貴重な機会を与え てくださった日本薬剤師会の先生方に深 くお礼申し上げます。 FAPA台湾大会に参加して 酒井麻衣さん(武庫川女子大学5年) まず始めに、今回この様な貴重な機会 を与えてくださった日本薬剤師会に感謝 いたします。また、現地においても様々な 面から私たち学生をサポートして下さっ た先生方に御礼を申し上げます。 私は、5年間の大学生活の中で薬学に 関する知識や薬剤師の歴史を学び「薬剤 師」という職業について理解したつもりで いました。しかし、FAPA台湾大会に参加 することで、いかに狭い範囲の知識しか持っ ていなかったかを痛感させられました。授 業では欧米諸国の薬剤師制度について 学ぶ機会はあっても、アジア諸国につい て触れられたことはなく、私自身がそれを 意識したことさえない状況でした。例えば、 最近話題の薬局薬剤師による在宅医療。 これは、高齢化が進む日本ならではの制 度なのかと思っていたのですが、台湾に はhome care pharmacist がいるそうで、 日本以外に在宅に対して政策を進めてい る国があるということに衝撃を受けました。 日本からも多数の講演・発表が 今 回の参 加で 私が 最も印 象に残っ ているのはYPG & Students & Travel scholarships - Special meeting です。 プログラムの中で、アジア諸国や南米な どの薬剤師業務に関連したアンケートの 発表を聞き、ディスカッションを行いました。 その中でも特に驚いたのは疑義照会に 関する項目でした。日本では、 「薬の相互 作用の確認」や「疑義事項の医師への確 認」 、そして「疑義照会の記録」はすべて 5 法規で定められており、行えていない国 もあるということは私にとって信じ難い事 実でした。疑義照会を十分に行えていな い理由としては、 「多忙により疑義照会を 行う時間がない」、 「調剤アシスタントが 調剤する機会が多く、薬剤師が疑義照会 を行う機会が十分に確保されていない」 等があるそうです。また、疑義照会に関す る法律が定められていない、違反した際 の規定が定められていない等の法規上 の違いも挙げられました。 実務実習先でも、疑義照会は当たり 前の業務で、淡々と処方鑑査を行ってい るように感じましたが、FAPA台湾大会に 参加して、様々な理由で疑義照会を行え ない国もあるのだと知ることができ、当然 だと思っていた処方鑑査ですが、それが できる環境に対して感謝しなければなら ないのだと感じました。また、疑義照会を 単なる日常の業務と考えるのではなく、患 者により良い医療を提供するために必要 であり、とても大切な業務なのだというこ とを改めて認識することができました。 他国の薬剤師について知ることで、日 本の薬剤師について新たな視野で考える ことができるようになったと感じます。今 回はアジアの中でも数カ国の話しか聞く ことができなかったのですが、これをきっ かけに、様々な国の薬剤師について勉強 していきたいと感じました。 FAPA台湾大会に関するレポート 石田隆之さん(神戸学院大学2年) 2010年11月5日から7日にかけての3 日間、FAPA学術大会に参加させていた だきました。この3日間でいくつかの講義 を拝見させていただきましたが、その中 で特に印象に残った講義がありました。 大会2日目の午前中、フィリピンのロデ リック=サレンガー氏が講演された「薬 学生のための教育プログラム」という講義 です。その内容は、フィリピンの薬学生が よりよい環境でコミュニケーション能力を 養えるようにするために、地方の病院に 配属された薬学生はただ与えられた仕事 をこなすだけでなく、その地方の人々と交 流する機会を設けるという教育プログラ ムの紹介でした。交流の一環として薬学 生と地元民が一緒に畑で野菜を育て、そ の野菜で作った料理で一緒に食事をとり ます。もちろん調理も共同で作業して作ら れたものです。ともに仕事をこなし、コミュ ニケーションをとっていく。その中で自然 に薬学生たちはコミュニケーションスキル を養っているとサレンガーさんはおっしゃっ ていました。氏は、この教育現場の様子 を写真付きで紹介されていて、写真に写 るフィリピンの薬学生と地元民の笑顔が まぶしい講義でした。 この教育プログラムは、農業盛んなフィ リピンならではの方法であり、無理なく薬 学生達にコミュニケーションをとってもらい、 そのスキルを向上できる画期的な教育で あると思います。薬学生はどうしても勉学 に追われる身であることから、コミュニケー ションをはかる場所や時間は限られてき ます。その中で大学側から薬学生がコミュ ニケーションを自然にとれる環境をつくる ことで、コミュニケーション不足を解消す るこの教育プランは、これからの薬剤師 を大きく変えていくことでしょう。“ひと”を 診るのが医療者であり、薬剤師もその例 外でないのであれば、この教育は目に見 える以上に大きな意味をもつことになると 私は講義の後に思いました。 私は大学2年生ということもあり、この 薬学の世界をしってから1年半程度しか たっておりません。まだ薬学の門前にいる ような私がこのようなアジア各国の薬剤 師の方々が参加する学術大会に値する のか、と疑問に思うこともありました。で すが、この大会中で知り合った様々な国 の薬剤師及び薬学生の皆さんは私を歓 迎してくださいました。 「薬学について何 を知っているかではなく、知ろうとする意 志が大切なのだ」と言う方もおられました。 私がこの大会で学んだことは、大会中講 義をなさった方々の意見や報告だけでな く、薬剤師という職業が知識や技術のみ ならず、患者・他の薬剤師・他職種の医 療者や研究者など、自己と触れ合い助力 してくれる“ひと”を知るべき職業でもある のだという事実でした。それは、台湾もフィ リピンもベトナムもタイもインドネシアetc. そして私達の国である日本でも、変わら ない事実であるように私は思えました。こ の学術大会は、私の中の薬剤師のイメー ジを大きく変える大会になりました。再来 年のインドネシアが、とても楽しみです。 次回開催地バリ島のPRも FAPA学術大会報告 吉原智美さん(長崎国際大学5年) アジア薬剤師会連合(FAPA)学術大 会に参加しての報告を致します。 まず、私がこの大会に参加しようと思っ た理由を述べます。私は今年の5月から 7月まで病院実習に行きましたが、佐世 保という土地柄、外国人患者も多く、そ の対応に苦慮している現状を見ました。 その時、私は他の国では外国人に対して、 どのようにして薬の説明を行っているの か知りたいと思ったのです。 知人もなく、不安な気持ちで飛行機に 飛び乗り、台北へ向かいました。会場に 着き、受付を済ませ、ウェルカムレセプショ ンに参加しました。ここで、一人の日本 人学生と出会い、少し安心しました。そ の後、日本人参加者(学生)の集会があ りました。ここに来ていた学生は自分の 意見をしっかり持っていて、自分がどのよ うな薬剤師になりたいとか、どのように社 会に関わっていきたいかとか、はっきりと 自分の考えを持っている人ばかりでした。 みんなの意見を聞いて大変刺激になりま した。 大会初日は、 「地域薬局と社会」につ いての話を聞きました。ポスター発表も 行われていました。午後からは、若い薬 剤師のミーティングに参加しました。日 本では薬の説明を行ってから、患者に 薬を渡すのが普通なのですが、国によっ ては薬の説明することなく渡す国もある と伺いました。また、薬剤師でない人が 薬を売っている現状や、にせ薬が多く出 回っている現状についても話を聞きまし た。日本では考えられないことです。大 会終了後、若手の薬剤師が集まるパー ティに参加しました。ここでは、いろいろ な国の人と交流することができました。こ こで、台湾の病院薬剤師の方とお話し をすることができたので、私が大会に参 加しようと思うきっかけになった「外国人 に対しての薬の説明の仕方」について尋 ねました。台湾では「英語で説明を行う」 と答えられました。台湾の人はどの方も、 流暢に英語を話し、中にはドイツ語まで 話せる方もいて感心させられました。また、 スイスからの参加者とも話ができ、大変 盛り上がり、楽しく過ごすことができまし た。 2日目は、前日出会ったスイスの薬剤 師と朝食を取り、一緒に会場に出かけ ました。私は、 「シームレスケア」につい てのシンポジウムに参加しました。シン 6 ポジウムも終わりに近づき、 「シームレス ケア」について日本では教えられていな いので、私は「日本ではまだ一部の地 域でしかシームレスケアは行なわれてい ないと思います。実際、私は病院実習 に行きましたが、行われていないように 感じました。先生はその点についてどう 思いますか。もし行われていないのな らば、どうすればよいと思いますか。」と シンポジストの一 人の Prof.Oishi( 九 州大学)に英語で質問をしました。する と、Prof.Oishiから返答を頂く前に、米 国のProf.Godwin(カンザス大学)から 「シームレスケアがうまくいっていないの は、日本だけでなく、世界の問題なんだ よ!」と返答されました。 「日本で、学生 にも教育する機会を与えれば、広がると は考えられませんか。」等、まだ質問し たいこともあったのですが、言いたいこ とが言えずに悔しい思いをしました。次 は、もっと英語を身につけて、自分の意 見をきちんと伝えられるようになりたいと 思いました。しかし、そのセッションの終 了後、多くの先生方が、 「学生なのにチャ レンジして偉いよ。」と声をかけてくださり、 とても嬉しく思いました。 3日目は、日本薬剤師会のプロモート に従って、お昼から台北市の薬局見学 に行きました。なじみのある日本の薬も たくさん置いてあり、驚きました。日本で は相互作用を確認して、適切な医薬品 内容にして、薬を出してフィーをもらって いるのに対して、スイスでは相互作用を 説明するだけでフィーがとれるとのこと でした。その後、ガラディナーに参加し て、私の初めての学術大会は幕を閉じ ました。 晩餐会では恒例の国別出し物が 今回、大会参加のチャンスを頂き、日 本にいては得られなかった多くのことに 出会いました。このことを契機に大学で の学習に生かしていきたいと思います。 今回参加の機会を作っていただいた 日本薬剤師会の皆さま、支援をしてくださっ た長崎国際大学の先生方に感謝いたし ます。 西日本薬学生ネットワーク 10月企画 メインテーマは、 『 実務実習』 開 催 日:平成22年10月31日(日) 開催場所:大阪府薬剤師会館 は自分の肌を通して体感でき るのだと思うと、大きな期待 と胸の高まりを感じました。 当日のスケジュール 交流会では、児玉会長の 11:00 開会式 激励の言葉をいただき身が引き締まりま 11:10 IceBreak(交流企画) 12:00 昼食 した。 13:00 実務実習企画 私はこの会を通し、薬学生同士の輪・ 15:30 交流会 つながりがさらに広がったと感じました。 17:00 イベント終了 他大学・他学年の薬学生、さらには薬剤 師の先生方との交流や意見交換ができ、 参加感想文・1 とても視野が広くなりました。そして、何よ 『西日本薬学生ネットワーク 10月企画』 り長期実務実習に対するイメージが「大 が10月31日(日)に大阪府薬剤師会館 変そう」から「楽しそう」に変わりました。 にて『実務実習』をメインテーマに開催 どちらも短い4文字ではありますが、その されました。アイスブレイク(仲良し企画) 、 心境の変化には薬剤師の先生方ならび メイン企画、立食形式の交流会などが行 に5年生の先輩方が『6年制薬学』という われ、アイスブレイクでは仲間探しゲーム 新境地を開拓し、その恩恵に与ることが や握手ゲームなど簡単なゲームを通じて、 できたからこそだと思います。これからも、 場の緊張した雰囲気が温まりました。 このような会があればぜひ参加していき たいと感じました。 (鈴鹿医療科学大学 薬学部3年 藤戸淳夫) 参加感想文・2 午後からは1グループ 9 人に分かれ、 受け入れ先の薬剤師の先生方、病院や 薬局・薬店に行った5年生を交えたメイ ン企画の『What’s実務実習!?』が行われ ました。この企画では、初めに1〜4年生 を中心に実務実習に対する率直な疑問・ 不安などを出し合いました。私たちのグルー プでは「実習に行く前に、どのくらいの薬 を覚えていかなければならないのか?」 「白 衣は何枚必要なのか?」 「昼食は持って 行った方がいいのか?」 「実習で楽しかっ たこと・嬉しかったことは?」などの意見 が挙がり、その質問に対して薬剤師の先 生方や5年生が応答していくという流れ で意見交換をしました。先輩方から2ヶ月 半という長丁場の実習で起こったエピソー ドも聞くことができ、とても新鮮で、さらに 現場ではこんなにもハプニングが起こっ ているのだという衝撃もありました。ある 薬剤師の先生から「大学で学ぶ内容も 多いが、実際に現場に出て学ぶことの方 が多い」ということを聞き、1年時に行わ れた早期体験学習では感じ得ることがで きなかったことが、2ヶ月半の実務実習で 今回は、新入生歓迎会に続き2回目の 参加でしたが、初めに行ったアイスブレイ クでは握手ゲームや自己紹介ゲームを通 して他大学・他学年の多くの人と気軽に 話せるようになりました。お昼はアイスブレ イクで一緒になった人たちと班で食べま した。私の班は女の人ばかりだったこと もあり、とても楽しい雰囲気でいろいろな 話をすることができました。 お昼の後は実務実習に行った先輩が 実務実習の概要などをパワーポイントで 話してくれました。付箋紙に実務実習に 対するイメージや実習生 や実際に実習生を受け入 れている薬剤師の先生に 聞きたいことを書きましたが、 実務実習のイメージがほと んどなく実務実習のことを 何も知らないのだなと感じ ました。実習生たちからは薬局と病院の 話を聞きました。 薬局の話では、ドラックストアに行った 実習生が話してくれました。このドラッグス トアでは、高齢者の利用が多いらしく、オ ムツの種類でどれが使いやすいかや、入 れ歯用接着剤の種類などをよくお客さん に聞かれて戸惑った、という話が印象的 7 でした。ドラッグストアの薬剤師は薬だけ でなく、日用品についても精通していなけ ればならなく、お客さん目線の薬剤師が 大切だと思いました。 病院の話では、早期体験学習ではあ まり聞けなかった疑義照会の話や病棟で の服薬指導の話などを聞きました。同じ 学生から話を聞くことで身近に感じ、自 分たちが実務実習に行ったときのイメー ジが湧きました。実習生が見せてくれた 医療用医薬品の添付文書を実際にじっ くりと見たのは初めてでした。薬の箱もあ り、全く違う薬でも会社が同じものは色 やデザインがとても似ていて間違えやすそ うだと思いました。薬剤師の先生の話で は、夜勤はあるのかという付箋紙に対し て、 「医療は24時間だから当然夜勤はあ る。むしろ医師や看護師があるのに薬剤 師がないのはおかしい。」ということを聞き、 確かにそうだと思いました。 交流会では、実習生の人たちが薬局 や病院から持ってきてくれた経口補水液 や服薬補助剤を実際に食べました。服薬 補助剤はミルク味や抹茶味などがありま したが、あまりおいしいものではなかった です。薬剤師の先生とも自由に話ができ、 ふるさと実習などの話も少しだけ聞かせ てもらえました。始まったばかりの実務実 習の話を直接聞けることや薬剤師の先生 と話ができることはあまりないので、とて も貴重な体験でした。 (摂南大学 薬学部1年 伊藤淳津子) 日本薬学生連盟(旧:薬学生の集い) 定例シンポジウム 第12回 『年会』開催! ! 開 催 日:12月4日(土)、5日(日) 開催場所:東京理科大学野田キャンパス 私たち日本薬学生連盟(旧:薬学生の 集い)は『学生のうちから薬学・医療を真 剣に考えていこう』 という主旨のもと活動し ている全国的薬学生組織です。国際薬学 生連盟(IPSF)に正加盟しており、世界に 通じた活動から、地域に根差した活動ま で様々な活動を行っています。昨年12月 4日(土) 、5日(日)に千葉県にある東京 理科大学野田キャンパスにて、第12回日 本薬学生連盟の定例シンポジウムである 第12回『年会』を開催しました。年会では 「1年間の活動をまとめ振り返ることにより、 来年度以降につなげていく」 「仲間同士話 し合い、共に行動に移すきっかけをつくる」 「薬学生としての意識や興味関心の向上、 知識習得、意見交換」 「同、他大学の学 生、社会人など多くの人との交流を深める」 ことを目的として毎年12月に開催していま す。全国から薬学部の学生を中心として 100名を超える参加者が東京理科大学に 集結しました。 この度のテーマは「Break the Wall〜 思考扌 ➡行動扌 ➡結果➡➡未来〜」で行 いました。このテーマを掲げた背景として は、現在の薬学生が様々なことに対して 『壁』を作り出してしまっていると大学生 活を通じて感じることがあります。その様々 な『壁』を破壊するために自分が日々学 んでいる薬学という学問を見つめなおし、 『薬学の可能性』を参加者で見出しまし た。この2日間で学んだことを今後の学 生生活、更には卒業後の生活に活かして いきたいと思います。 ① グループワーク 年会における大きな醍醐味の一つは、 普段会うことの できない全 国 の薬学部の学 生や、他学部 の学生と交流 できることです。 初めて会った 人々と仲良くな るべく、グルー プワークを 行 いました。自己紹介 ののちにグループで 協力し、紙だけを用いてどれだけ高く積み 上げられるかを競う 『ペーパースカイツリー』 という企画を行いました。この企画の意図 は、アイスブレーキングはもちろんのこと、 柔軟な思考を養うこと、グループで協力し 一つのミッションを成し遂げることでチーム ワークの大切さを学ぶことでした。 続いて行った企画として『薬学の可能 性』を見出すべく、連想ゲームを行いまし た。現在の薬学、薬業の世界は変革の 時を迎えています。薬学部が『4年制』 『6 年制』に分かれ、昨年は初の実務実習も 行われました。薬剤師の職域拡大も騒が れている中、私たち学生は『薬学とはどこ までつながることができるのか、どこまで 広がることができるのか』を真剣に考える 必要があります。今回の年会では熱い話 ができて、とても充実していました。 ② 特別講演 東京理科大学学長である藤嶋昭先生 を演者としてお招きし、講演をしていただ きました。演題は 『研究は感動する ことから-光触媒 を例にして-』で、 藤 嶋 先 生が 行っ てきた研究のお話 はもちろんのこと、 研究・勉強へのアドバイスもいただき、参 加者には今後の大学生活への懸け橋に なったと思います。 ③ ワークショップ 私たちのような薬学生組織のほかにも、 医学生組織や獣医学生組織など他医療 系学生団体があります。学生のうちから 医療連携を推進するべく、会員に他の学 部の学生はどのような考えを持っている のかを知ってもらうべく、ワークショップを 行いました。他にもOB・OGの方々に来 ていただき、魅力的なお話を聞くことがで きました。 ④ 服薬指導のワークショップ 『PCE:Pacient Counselling Event』 今回の年会のメイン企画として、PCEを 8 行いました。まだ学生である参加者に実 際に服薬指導を体験してもらい、理想的 な服薬指導を考えました。参加者の中に は4年制の学生もいましたが、薬学部の 学生として薬剤師の職務に関して知識を 持っておく必要は必ずあり、創薬研究者と 薬剤師は今後とも強固に関係を築いてい くべきだと思います。そのために、4年制、 6年制の学生は、学生のうちからお互い の目指すものを学んでいます。 ⑤ パーティー 日本薬学生連盟では、全国の薬学生 で活動していますが、忙しい大学生活と住 んでいる場所の関係で、そう簡単に会うこ とができません。そのため、合同新歓や年 会は再会の貴重な機会となります。真剣に 薬学や自分の将来を考えることと同時に、 パーティーなども通じて、本当に多くの友 達を作ることができ、素敵な団体であると 思います。 ⑥ 最後に 日本薬学生連盟は今後も公衆衛生活動、 薬学教育、交換留学、国際活動など様々 な活動に力をいれて活動していきます。た だの大学生で終わりたくない、大学生の間 でしかできない体験をしたい、多くの友達 を作りたいなど、何か楽しいことがしたい と思ったらぜひ私たちと一緒に活動しましょ う!!少しでも興味がある方は事務局アドレ スまでお気軽にご連絡ください。またHPな どもぜひ参考にしてください。みなさんとお 会いできることを楽しみにしております。 (文責:日本薬学生連盟代表 大橋正誠) 日本薬学生連盟 事務局アドレス:APSjapan_Sec@hotmail.com HPアドレス:http://yakutsudo.web.fc2.com
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