日本自律訓練学会ニューズレター

日本自律訓練学会ニューズレター
2014 No.1 [2014. 5. 20 発行]
発行:日本自律訓練学会 理事長:久 保 千 春 広報・HP 委員長:佐々木大輔 編集担当:佐 藤 研
日本自律訓練学会事務局
〒305− 8574 茨城県つくば市天王台 1 丁目 1−1
筑波大学体育系 坂入研究室内
ホームページアドレス http://www.jsoat.jp/
目 次
・日本自律訓練学会 第37回大会のご案内
須 藤 信 行 …… 1 頁
・日本自律訓練学会 第36回大会を開催して
江 花 昭 一 …… 3 頁
・開催報告
学会認定ワークショップ:
教育領域における自律訓練研究の在り方
藤 原 忠 雄 …… 4 頁
・アドバンス研修会に参加して
壁谷眞由美 …… 6 頁
・第36回日本自律訓練学会の基礎講習会に参加して
丸屋かおり …… 7 頁
・日本自律訓練学会・学会賞 第36回大会で受賞された先生方
…… 9 頁
日本自律訓練学会 第37回大会のご案内
日本自律訓練学会 第37回大会長 九州大学 須 藤 信 行
・大会長挨拶
日本自律訓練学会第 37 回大会を, 九州大学(福岡市)で開催することになりました. 学会
員の皆様のご参加, ご発表などご協力よろしくお願いいたします.
九州大学での開催は, 現在の本学会の理事長である久保千春先生が, 1999 年に第 22 回大会
を開催して以来, 15 年ぶりとなります. 特に九州地区, 四国, 中国地区の会員の皆様のご参
加を心より歓迎いたします. 第 22 回大会の際には, 私も事務局長として関わらせて頂きまし
た. 大会の懇親会の最中に当時の福岡ダイエーホークスが日本シリーズで勝利し, 中州の繁
華街が大騒ぎになっていたことを覚えています. 今回大会を引き受けさせていただいた際に
は, ならば今年もホークスの優勝が期待できるかな, などと考えてしまいました.
さて, 本大会は「ストレス対処と自律訓練法」をテーマといたしました. 私どもの教室が
ストレス関連疾患の要素の強い心身症を扱う心療内科であることから, ストレス対処法とし
ての自律訓練法の役割をテーマに掲げました. しかし, ストレスが人の心や体, 認知, 行動
に影響を及ぼす点では, 産業場面や教育場面など社会的活動が行われる全ての場面で共通す
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日本自律訓練学会ニューズレター 2014 No.1
るテーマと思われますので, 全ての会員の皆様が日頃の研究成果や臨床での成果, 疑問を討
論できるのではないかと期待しております.
折しも今年は NHK の大河ドラマで, 黒田官兵衛が放映されています. 歴史好きの方はご存
知かもしれませんが, 江戸時代の福岡は黒田藩が統治していました(http://fukuokakanbe.jp/
relation/)
. その初代藩主が官兵衛の長男であった黒田長政です. 黒田藩ゆかりの福岡城趾や
太宰府天満宮などを訪れるのも, 学会の楽しみの一つになるのではないでしょうか.
大会は, 2014 年 10 月 3 日(金曜日)
〜 5 日(日曜日)となっております. 会員の皆様のご参
加を, 心よりお待ち申し上げております.
記
日本自律訓練学会 第 37 回大会
・大会日程と概要
大会テーマ:ストレス対処と自律訓練法
開 催 日 時: 2014 年 10 月 3 日(金)〜 10 月 5 日(日)
10 月 3 日(金)
理事会・各種委員会
10 月 4 日(土)
会長講演 / 総 会 / 評議員会 / 一般演題
シ ン ポ ジ ウ ム『ストレス関連症状に対する自律訓練法の適用(仮題)』
ワークショップ『集団自律訓練法の指導現場(仮題)』
特別講演 / 有資格者・相互研修会 / 参加者情報交換会 ほか
10 月 5 日(日)
基礎講習会(講習会の趣旨説明 / 自律訓練法の概要・歴史
自律訓練法標準練習(1)/ 自律訓練法標準練習(2)
自律訓練法の指導と倫理 / 質疑応答)
アドバンス研修会 テーマ:「集団自律訓練法の指導実際」
学会認定ワークショップ 「自律訓練法に関する事例研究の進め方とまとめ方(仮)」
・大会会場:九州大学医学部百年講堂
〒 812 − 8582 福岡市東区馬出 3 − 1 − 1
http://www.med.kyushu-u.ac.jp/100ko-do/
・自律訓練学会 第 37 回大会事務局
九州大学大学院医学研究院心身医学 教授室内
〒 812 − 8582 福岡市東区馬出 3 − 1 − 1
TEL:092 − 642 − 5316
FAX:092 − 642 − 5336
E-mail: at37.fukuoka@gmail.com
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日本自律訓練学会ニューズレター 2014 No.1
日本自律訓練学会 第36回大会を開催して
日本自律訓練学会 第36回大会長 神奈川大学 江 花 昭 一
2013 年 10 月 5 日・6 日に, 多くの方にご参加いただき, 日本自律訓練学会第 36 回大会を
開催いたしました.
自律訓練法は, 教育, スポーツや産業の現場のほか, 心理療法や医療の一環として導入さ
れることも少なくありません. 私たち医療や福祉に携わる者は, その治療や予防で自律訓練
法を用いますが, 治療技法としてのエビデンス(根拠)はどうなのか, またどのように説明し
て(語って)治療に導入するのがより効果的なのか, などの点に注目してまいりました.
そこで今大会では, このような論点を皆さまと一緒に検討したいと考え, テーマを『治療
としての自律訓練法〜ナラティブとエビデンス』にいたしました. また, 会長挨拶・講演
『自律訓練法はどのように語られてきたか』
, シンポジウム『自律訓練法のエビデンス』
, パネ
ルディスカッション『自律訓練法をどう説明しどう行うか〜私の極意〜』も, そのテーマに
沿わせて設定いたしました.
シンポジウムでは, 古川洋和先生(鳴門大学大学院)より「治療効果のエビデンスの考え方」
,
篠崎雅江先生(東北大学大学院)より「過敏性腸症候群に対する自律訓練法のエビデンス」
,
第36回大会長 江花昭一 先生
大会風景
ポスター会場
情報交換会
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若林邦江先生(国立国際医療研究センター国府台病院)より「心療内科における自律訓練法の
効果」というご発表をいただき, エビデンスについて実りある議論が行われました.
パネルディスカッションでは, 坂入洋右先生(筑波大学大学院)より「目的に応じた自律訓
練法の説明と安全な導入のポイント」
, 富岡光直先生(九州大学大学院)より「自律訓練法習
得による患者の Benefit を予測し, 指導する」
, 小池一喜先生(日本大学歯学部付属歯科病院)
より「口腔に愁訴を持つ患者さんに対する工夫」というご発表をいただき, また芦原睦先生
(中部労災病院)より特別発言をいただきました. いずれも豊富なご経験をお持ちの先生方か
ら「私の工夫」を伺うことができ, 大変有意義な時間でした.
特別講演には『相棒』鑑識米沢守役で有名な六角精児氏をお招きし,「演技者としての緊張
とリラックス」について語っていただきました. 実際には私と六角氏との対談という形式で
進めていきましたが,「そのときどきの人との関係が大切」というお話が心に残りました.
また今年は, 日本生産性本部の飯田進一郎氏により, 記念講演「日本自律訓練学会と JMI
記念賞」と題して講演を行っていただきました. 歴史を振り返り, 今後の期待と展望が述べ
られた素晴らしいご講演でした.
一般演題も多数ご発表いただきましたが, そのうち「最優秀ポスター賞」として中塚健太
郎先生(筑波大学)の「練習前における心身の状態の違いが自律訓練法の効果へ与える影響」
が選ばれました.
夜の情報交換会(懇親会)では, IKE(アイク)池田氏と押川聖子氏による生演奏が行われ,
十分に堪能していただいたことと思います.
2 日目には, 学会主催講習会, ワークショップが行われ, これにも多数のご参加をいただき
ました. また芦原睦先生による教育セミナー『心と身体のストレス解消法』も行われ, 好評
を博しました.
最後になりましたが, 多くの方々, および団体から温かいご支援をいただきましたことを,
心より感謝申し上げます.
開催報告 学会認定ワークショップ:
教育領域における自律訓練研究の在り方
研究推進委員会 兵庫教育大学大学院 藤 原 忠 雄
研究推進委員会が企画する学会認定ワークショップも 4 回目の開催となりました. 2013 年
度に企画実施したものの中から「教育領域における自律訓練研究の在り方」について, その
概要を報告させて頂きます.
教育領域における自律訓練研究は, 他の領域と比較して十分に取り組まれているとは言い
難い状況にあります. その要因として, 学校で実践する場合の手続きの煩わしさ, 集団を対
象とする場合の配慮の必要性, 効果検証の難しさなどが考えられます. そこで, 実践者から
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の話題提供を基に, 実践研究を行う場合の手続きや留意点, 効果の検討方法などのポイント
を整理し, 教育領域における自律訓練研究の推進に資することを目的としました.
最初にワークショップの目的を確認の後, 内藤啓子先生(岡山市立瀬戸中学校)と大賀恵子
先生(倉敷高等学校)から, 自律訓練法を適用した実践研究に関して, 実際の手続きや留意点,
効果の検討方法などを中心にその概要を報告して頂きました. そして, 参加者との質疑を通
して, 実践内容とそのポイントに関する理解を深めました.
最後に, 実践の前提, 実践の工夫, 効果の検討などについて, 次のように総括しました.
実践の前提として, 次のようなことが大切だと思われます. 実践者は学会員であり, 基礎
講習会を受講し自律訓練法標準練習を自ら習得していることが望ましいです. また, 禁忌・準
禁忌の確認は不可欠であります. そのため, 養護教諭や担任との連携は不可欠であり, 必要
に応じて主治医や校医に相談することが大切です. さらに, 子どもだけではなく周囲の自律
訓練法に関する理解が重要です. そのため, 管理職や同僚の理解とともに保護者の理解も得
た上で(例えば, 保護者向け通信や保護者会など)
, 実践することが大切です.
実践の工夫として, 次のようなことが大切だと思われます. 丁寧な導入と目標設定が実践
の成否の鍵を握ります. そのため, 子どもの実態やニーズに合わせた身近な事柄(例えば, 部
活や受験など)で動機付けるとともに, 継続的な取り組みに繋がるような目標設定が必要で
す. また, 展開する内容及び場面としては, 標準練習第 1・2 公式(四肢重温感)までで十分
であり, 日々の教育活動の中で継続的に取り組むことができる枠組み(例えば, 朝の学活・
ショートホームルームや授業初めの 3 分間など)の設定と, ホームワーク(自宅での取り組み)
と練習記録を課すことが重要です. さらに, 取り組みのシェアリングが重要です. 定期的な
シェアリングは継続的な動機付けとなり, ドロップアウトの予防に繋がります. また, 練習
記録のチェックの中で気になった内容を全体の場でフィードバックすることにより, 同じよ
うな状況にある子どもへの間接的支援となります.
効果の検討として, 次のようなことが大切だと思われます. 実践の目的に応じた指標の設
定が必要です. 個人では心理・
生理指標や個人目標など, 集団
では学級・クラスの雰囲気や人
間関係などが挙げられます. ま
た, 練習記録や取り組みの感想
も重要であり, 習得の判断には
不可欠です. さらに, 効果の主
張には客観性の担保が必要で
す. そのため, 統制群の設定,
事前及び事後の測定, 統計的検
討が重要です. そうした研究デ
ザインの検討や統計処理などの
支援が学会レベルで行えること
が望まれます.
ワークショップ
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日本自律訓練学会ニューズレター 2014 No.1
アドバンス研修会に参加して
昭和大学藤が丘病院精神神経科 壁谷眞由美
アドバンス研修会は講師の先生方の研究の成果やご経験, 工夫などを伺える貴重な機会と
して毎回興味深く参加させて頂いている. それらは日常の臨床の中に本質的な部分の再確認
や新たな視点をもたらしてくださるものである.
今回はまず笠井仁先生から「自律訓練法におけるイメージの利用」についてお話を伺った.
上級段階として, シュルツの構想を基礎とする「自分の色彩」をみつける練習を, 先生のご
指導の下に実際に体験することが出来た. 私にとっては初めての試みで半信半疑の思いだっ
たが, 先生の言葉かけをきっかけに意識を向けていくと, 自分の中に広がり浮かび続ける色
があったことは心地良い驚きだった. それはまず比較的暗い中からピンク色の線上の物が現
われ, 細かく動きながら球体になろうとした.「あなたの色です」「しばらく見てみましょう」
と言葉かけが進むうちに, 色は次第に紫色に近づき動きはより柔らかくゆったりしたものに
変わった. こういったイメージが, より具体化され, さらに抽象化されて感情への結びつき
などにつながるというご説明があり, ほんの入り口ではあるが体験する時間を設けて頂いた
ことは貴重なひと時となった.
江花昭一先生による「自律訓練法と他の治療法の組み合わせ」については, 先生のご症例
をもとにお話頂いたことで, 具体的な理解の助けとなった. 臨床でしばしば経験することだ
が, クライエントが自律訓練法によるなんらかの変化を捉えると, 治療への前向きな姿勢に
スイッチがはいることは多い. バイオフィードバック法との合体は身体的な変化を可視的に
証明する点で説得力がある. 日々進歩するビジュアル技術やデータ解析による新たな知見は,
指導する側にとっても心強い味方となり得る. 施設によってその実現に難しい状況は多いが,
それらの情報を示すだけでも練習を続けるモチベーションにつながると思われる. また, 交
流分析や行動療法などを併用
し, 治療役割を分担することに
よる変化の経緯を伺い, ひとつ
の症例をトータルに考えるため
の視点をお示し頂いた. 自律訓
練法で自らリラックス状態のコ
ントロール感覚を獲得してきた
クライエントは, 症状改善への
意欲が増し, 環境変化への抵抗
が柔軟になって他の治療法に対
しても一歩を踏み出せる. この
相乗的な効果を, 十分に活用し
ていける関わり合いが大切な課
アドバンス研修会
題と思われる.
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今回はお二人の先生から, ご症例もまじえて大変興味深いお話を伺った. アドバンス研修
会は, 受講者のキャリアが幅広く, また抱えるテーマも異なると思われ, そのテーマ選びに
はご苦労が多いことであろう. 毎回, テーマと講師の方のお名前を目にすると期待が膨らむ.
時には, 経験や興味によって選択できるような形式を望む声を伺うこともあり, より深く学
ぶための大切な場としてその位置づけが理解できる. 運営担当の方や講師の先生方のご苦労
には思い至らない点を承知しつつ, これからも充実した研修会をお願いする次第である.
第36回日本自律訓練学会の基礎講習会に参加して
九州大学病院心療内科 丸屋かおり
初めて自律訓練基礎講習会に参加させて頂きました. まず, 笠井仁先生のご講義【自律訓
練法の概要・歴史】を拝聴し, 自律訓練法(autogenes Training)の意味:「auto =自然に・自
分で」+「genes =生まれる・生む」
, つまり,“自然に生まれるリラクセーションの訓練法”
,
という自律訓練法の極意が名称に表れていたことを知り感銘を受けました. また, シュルツ
の本の副題:Konzentrative Selbstent Spannung(注意集中性自己弛緩法)の意味を教えて頂
き, Selbstent の ent(何かを取る=緩和)+ spannung(緊張)=「過剰な/余計な緊張を取る=
緊張緩和」であり, Konzentrative を合わせると,「受動的注意集中ができるようになっていく
プロセスが自律訓練法」と, シュルツが副題で明示していたことは, 82 年後の現代における
マインドフルネスにも繋がっていく深い思想であったと知り, 自律訓練法の奥の深さに驚き
ました.
19 世紀から始まる自律訓練法の発展の歴史の講義も, 大変興味深く拝聴しました. シュル
ツがフロイトより先に催眠を行っていたこと, 1932 年〜 70 年の第 13 版まで出版されたシュ
ルツの著書にまつわる歴史, ルーテの登場と功績など, まるで 19 世紀にタイムスリップし,
シュルツやルーテ本人の「生きた言葉」を聞けたような感動を覚えました. また, イタリア,
フランス, イギリスで自律訓練法が受け入れ活用されている事実にも驚きました. 特にイタ
リアやフランスの文化的特性と,「地道に毎日訓練を繰り返し続けていくこと」がマッチする
のかと疑問を持ちましたが,「あるがまま」を愛し,「そのうち何とかなるさ」と気楽に気長に
生きる, という国民性(あくまでもイメージですが)に自律訓練法はピッタリなのかもしれな
いとも思いました. その他も, 自律訓練法の基本(標準)段階が構成された根拠を知り, 生理
学的なエビデンスに基づく療法であること, 適応領域(医療・教育・産業・スポーツなど)の
広さ, 治療構造なども勉強することが出来て大変有意義でした. その中でも,「自律訓練法が
目指すもの」として笠井先生が提示して下さったフロイトとシュルツの対話が印象的でした.
フロイト:あなたは, 人を治せると本当に思えないのですか
シュルツ:ええ, でも庭師がするようにその人の成長を妨げるものを取り除く事はできます
フロイト:それなら, 私たちは話が合うだろう
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その人の本来の力, 可能性を引き出すお手伝いができる自律訓練法は素晴らしいと思いま
した. 笠井先生のご講義の後, 村上正人先生, 佐藤安子先生, 松岡素子先生, 小池一喜先生,
それぞれの自律訓練法のご講義を拝聴しました. そして, 先生方のご指導のもと, 標準練習
を実際に体験したり, 3 人一組でロールプレイ(治療者・患者・観察者)を行ったりしました.
治療者・患者, それぞれのロールを行うことで主観的に感じたことや, 意見交換を通して
学べたことも多くありましたが, 観察者の視点から, 初心者による「自律訓練法という心理
療法の一部分」を見る体験は非常に有益でした. 治療者の不安や緊張感が患者に伝わったよ
うに感じられた場面や, 反対に, 治療者が患者と共に自律訓練法を行うような姿勢で, 呼吸
をあわせて行われた訓練では, 患者・治療者両者の緊張感が軽減されたような印象を受けま
した. 治療者自身が自律訓練法を体得することの大切さを学びました.
最後に, それぞれの講師の先生方の「自律訓練法をしていて感じた効果」のご意見が非常
に印象的でした. 小池先生は, 白血病の方の白血球数が 1 万 3 千あったところ, 自律訓練法
を行った後には 5 千に下がった奇跡的なエビデンスを教えて下さいました. 松岡素子先生は,
「私の体と心は自律訓練法です」と仰いました. そこまで影響を与える自律訓練法の可能性に
畏怖の念を感じつつ, これまで以上に興味を持ちました. 佐藤先生は, ご自身の体の緊張に
早く気づけるようになったことや, 歯科治療に麻酔が必要なくなったとお話して下さいまし
た. 笠井先生は「疲労感の回復」
, 杉江先生は「自分の疲れが早くわかる. 自分の体のメンテ
ナンスができる」と, そして, 松岡洋一先生は, 元来強かった緊張感や疲労感が下がった事
実を教えて下さいました.
まずは, 自分自身の身体感覚への気づきを得て, 心と体が出している SOS サインを早く
キャッチし, 心身ともにケアできるようになることは, 自律訓練法の治療者を目指す上で,
とても大切なことだと思いました. そのために, 自律訓練法を行い続けることから始めてい
ます. 個人的に歯科治療が苦手なので, いつか麻酔なしで受診できるかなと小さな楽しみも
抱いています. 大変貴重な機会を与えて頂き, ありがとうございました.
基礎講習会
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日本自律訓練学会・学会賞 第36回大会で受賞された先生方
第 25 回受賞 小池 一喜 先生
< JMI 記念賞>
産業メンタルヘルス運動を推進する(公益財団法
人)日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所が,
1989 年に日本自律訓練学会の発展を願い「JMI 記
念賞」の創設を提案しました. 「JMI」とは,“Japan
Mental Health Inventory”の略称で, 1980 年に
同研究所で開発され, これまでに 3,000 社以上の企
業で採用されている, 心の定期健康診断システムで
す. 学会理事会の推薦により, 自律訓練の研究と普及
に貢献した研究者に対して, 同研究所がこの賞を授
与することになりました.
今回は, 歯科領域における自律訓練法の普及とそ
の有効性を検証する実証的な研究の推進が評価され,
日本大学の小池一喜先生が受賞されました.
第 5 回受賞 坂入 洋右 先生
<独創研究 内山記念賞>
2002 年, 内山喜久雄先生から「研究奨励のため
に」と基金の寄附のお申し出があり, 創設の提案が
なされました. 池見研究奨励賞との相違は, 原則とし
て自律訓練法を中心テーマとして著し, 博士号を授
与された論文です. この他に, 多くの優れた論文や著
作のある研究者に対して授与されます.
今回は, 自律訓練法と運動による心理状態の自己
調整効果を検証した研究などが評価され, 筑波大学
の坂入洋右先生が受賞されました.
ベストポスター賞 中塚健太郎 先生(右)
<日本自律訓練学会 第36回大会 ベストポスター賞>
学会初日に開催された情報交換会にてベストポス
ター賞の発表があり, 筑波大学(現所属は徳島大学)
の中塚健太郎先生の「練習前における心身の状態の
違いが自律訓練法の効果へ与える影響」が選出され
ました.
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日本自律訓練学会ニューズレター 2014 No.1
■ 編集後記 ■
前担当の田副真美先生からニューズレター担当を引き継ぎました, 弘前大学
の佐藤と申します. 諸先生方のサポートをいただき, 今号を発行することがで
きました. ご多忙のところ, 原稿をお送りいただきました諸先生方, 第 36 回
大会の写真を提供いただきましたスタッフの皆様, ありがとうございました.
次号の内容につき, 広報委員会で検討しておりますが, ニューズレターに対し
てのご意見, ご希望などをお知らせいただければ幸いです. よろしくお願いい
たします.
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