2.ゴム・プラスチック電線・ケーブル使用上の注意事項 ゴム・プラスチック電線・ケーブルは送配電用、機器配線 用、信号、制御用等いろいろな用途と場所に使われており ます。電線・ケーブルの役目は電力や信号を伝送すること にあり、このため構造としては、銅やアルミニウム等の導 体と、それを取り巻く絶縁体と保護シースから成っており ます。電気的絶縁性能と機械的または化学的保護性能を兼 ね備えた材料は少ないので、一般的には絶縁体に電気的機 能を、シースに保護機能を分担させるようにしております。 ゴム・プラスチックの種類は非常に多く、それぞれ特長を 活かして用途に適したものを選択して組み合わせております。 電線・ケーブルの発注に当って、規格を指定される場合と、 使用条件を与えて電線メーカーに設計を一任される場合と があります。ある用途に対して、特定の規格の電線・ケー ブルを指定することは、一種の設計といえます。この設計 が不適切であれば事故の原因となります。したがって、ゴ ム・プラスチック材料の基礎知識・ケーブル取扱い上の注 意事項をよく理解した上で、正しい選択を行なうことが大 切です。電線メーカーに設計を一任される場合は表2-0-1 の項目について情報をご連絡いただきますようお願い致します。 表2-0-1 設計に必要な情報 No. 項 目 1 電 流 2 周 波 数 3 公称線間電圧 4 相数,線心数 5 中性点接地方式 6 布設時の最低温度 7 布 設 条 8 用 1.ドラムの取扱い (1) トラックからのケーブル積降ろし 道板またはレッカー等を使用して降ろし、絶対に落下を避 けてください。 (2) ドラムの回転方向 ドラムに記入してある矢印の方向としてください。逆方向 に回わすとケーブルの巻がゆるんできます。なおドラムの ころがし運搬は避けてください。 件 途 9 移動または可動用 の場合 10 繰り返し屈曲を受 ける場合 11 ねじりを受ける 場合 12 振動 13 張力 ケーブルの 14 外径制限 15 型式認定の要否 2.布設時の注意 (1) 事前チェック 延線する前に絶縁抵抗の測定及び、ケーブルの断線や混線 などの異常がないことの確認を行ってください。 内 容 ACかDCか?通電電流または送電容量,負 荷率 最高電圧 非接地,抵抗またはリアクタンス接地 (抵抗値またはリアクタンス値) ビニルシースの場合特に問題 1)布設場所 2)日射の有無 3)周囲温度(最高,最低値) 4)埋設の場合,埋設深さ ケーブルの配置と間隔 5)多条布設の場合, 6)管路またはコンジット内布設の場合, 内径と材質 7)架空布設の場合,風速,径間弛度 8)乾燥地か湿潤地か 9)油,薬品類の有無と種類,濃度 10)布設ルートの平面と縦断面 11)その他の特殊条件 1) 固定用か,移動用か? 2) 繰り返し屈曲を受けるか? ケーブルの使用法(図示頂きたい) 移動(可動)距離と頻度 m mm 1) 屈曲径 回/分 2) 屈曲の頻度 N{kgf} 3) 張力 / mm 1) ねじり角度 (ねじりを受けるケーブル長) 回/分 2) ねじりの頻度 1)振幅 mm 2)振動を受けるケーブル長 mm 3)振動数 Hz N mm以下 1)近接電力ケーブルの イ)電圧 ロ)事故電流 ハ)定常電流 電磁遮へい制御ケ 2)制御ケーブルの ニ)遮へい層の接地抵抗 16 ーブルの場合 ホ)遮へい係数 3)電力ケーブルと制御ケーブルの平行間隔と亘長 17 その他 (2) ケーブルの最小許容屈曲半径 表2-2-1の通りです。 表2-2-1 ケーブルの最小許容屈曲半径 (ケーブル仕上り外径Dに対する倍率) No. ケーブルの種類 単心 代表品種例 非分割導体 分割導体 多心 600V CV,IV 8D 12D 2 遮へい あり 600V CV-S,6600V CV 10D 12D - 20D 20D 20D - 15D 15D 15D 600V CV-L 10D 12D 10D 3 アルミ被ケーブル 波付 4 鉛被・鉄線がい装 5 波付鋼管がい装 7 丸形キャブタイヤケーブル 4D - VCT - 4D - - 10D 低圧 EM-FP 10D 8D※ 高圧 6600V EM-FP 13D 10D※ ※トリプレックス形等の単心より合せ形を含む(Dは、 より合わせ外径とする) 77 固定配線の場合 6 技術資料 LPN 低圧 含鋼帯がい装ケーブル 8D - 8 アルミソリッド 9 耐火ケーブル 8D※ 600V CVMAZV 6kV以下口出線 6 6. 考 6D※ 1 遮へい なし 平滑 備 (7) 電線・ケーブルに対する衝撃および加圧 (3) ケーブル引入れ前注意事項 シース材料は、高温あるいは低温では物理特性値が著しく 人間の打身と同様で、 (外観上分らないことが多い)長時間 低下するため損傷を受け易くなります。手で触れて熱いと の課電によりこの部分から絶縁破壊事故を起こすことが多 感じる場合は引入れ作業は行わず、シース温度が低下して いのでケーブルには衝撃を加えないでください。 から作業するようにしてください。シースは直射日光に晒 特にビニル電線を冬期に取り扱う場合は、衝撃を加えない ようにしてください。また電線をまっすぐにするため床や されることにより温度上昇するので、引入れ前はケーブル 地面に叩きつけることは絶対に避けてください。 (周囲温度 は日光に晒されないようにしてください。 が0℃以下の場合にはビニルケーブルの取り扱いは避けて また、ビニルシースの場合、低温脆化を起こし易いので、 ください。 ) 氷点下での布設は避けてください。 (8) ケーブルの圧縮 (4) ケーブル引入れ時の許容張力 A. 布設時の許容側圧 下記以上の張力は加えないようにしてください。 表2-2-2 平滑面に対するケーブルの許容側圧 A. プーリングアイの場合 〔 〕 6 8 ×導体断面積(mm2 N 以下 : (7. )×線心数 0) (kgf) アルミ導体(硬アルミ) 2 〕 (9) 単心ケーブルによる鉄の温度上昇 ビニルシース、ポリエチレンシース、耐燃性ポリエチレンシース A. 単心ケーブルを鉄筋入りヒューム管内に布設すること 〕 8 ×シース断面積(mm2) N 以下 : 9. (1. 0) (kgf) は避けてください。 B. 鉄製アングル製の棚に単心ケーブルを布設する場合、 クロロプレンシース 同一アングルに同相ケーブルを配列することは避けて 〕 . 9 ×シース断面積(mm2) N 以下 : (4 0. 5) (kgf) ください。 (アングルの温度上昇が20~30%増加します) ワイヤグリップは500mm以上の長さでケーブルを把持して ください。 シース断面積:単心より合せ形(CVT等)の場合は1心 U1 U2 V1 V2 W1 W2 U1 V1 W1 鉄製アングル の断面積とする。 (注意) 1. 布設ルートの屈曲部では張力が急増し、ケーブルに側圧が加わ るので極端な屈曲は避けてください。 2. 布設ルートのS字屈曲は避けてください。 3. 曲りのある布設ルートでは、曲りの方から引込んだ方が張力が 少なくてすみます。 4. 単心ケーブルを中間引きすることはシールド用銅テープを痛め ることがありますので、避けてください。 U2 V2 W2 鉄製アングル (a)不良配列例 (b)正常な配列例 図2-2-1 単心ケーブル配列 (10)プーリングアイ付きケーブルの延線後の注意 延線による張力および外傷等により、布設後にプーリング (5) ケーブルの引き出し アイ部よりケーブル内に浸水する恐れがあります。布設後 ドラム横倒しのまま引き出さないでください。タバものな は直ちにプーリングアイを切断し、防水キャップその他適 どはターンテーブルにのせるなどして、ケーブルにねじれ 当な方法によりケーブルの防水処理を実施してください。 が加わらないようにしてください。 技術資料 6 2、 900 (300) で固定する場合は、ゴム等の座床を施してください。 B. ワイヤグリップの場合 〔 2、 400 (250) 波付鋼管がい装 ケーブルヘッドを固定するため、シース上をブラケット等 22 ×導体断面積(mm2) N 以下 : (2 ×線心数 (kgf) . 3) 〔 2、 900 (300) B. ブラケットによる圧縮 (軟アルミ) 〔 丸形CVケーブル トリプレックス形ケーブル 張力(N) (注)ケーブルの側圧(N/m)= 屈曲半径(m) N 以下 〔(439.0)×導体断面積(mm )×線心数〕(kgf) : 許容側圧〔N/m(kgf/m) 〕 ケーブル 銅導体 (プーリングアイ切断不可の場合は、プーリングアイ部に テープ巻き等による防水処理を行ない、さらに端末部は直 (6) ケーブルの引き摺り 接水につけないようにしてください。 ) 鋭利な突起状の上を引き摺らないようにしてください。 78 電気設備技術基準において、波付鋼管がい装ケーブルとして、 (1 1)制御、計装ケーブルの遮へいの接地方法 鋼帯がい装ケーブルと同様裸直埋布設が認められています。 制御、計装ケーブルにおいては外部からの誘導障害による また昭和51年10月の改正で、波付鋼管がい装ケーブルは水底 誤動作を防止するため遮へいを施すことが多いですが、そ ケーブルとしての使用も認められました。 の接地の方法を誤ると折角の遮へいも役立たなくなります 波付鋼管がい装ケーブルは機械的強度が大きく、完全水密性 ので、次のようにかならず正しい接地を行ってください。 で屈曲性に富み、 かつ軽量であり従来の各種金属シースの種々 A. 静電遮へいの場合 の特長を兼ね備えております。 銅テープあるいは銅編組などによる静電遮へいを施したケ しかし、波付鋼管がい装ケーブルは薄肉金属テープを用い、波 ーブルの場合、遮へいはその片端を確実に接地してくださ 付け加工を施していますので、延線時過大な張力を加えると伸 い。接地を施さなかったり、あるいは両端で接地したりす び易い欠点もあります。 ると、遮へいの効果が著しく減少したり、かえって誘導を この資料は波付鋼管がい装ケーブルの特色を充分生かしてご 拾ったりすることになります。 使用いただくために、布設工事等のケーブル取扱いに関してご B. 電磁遮へいの場合 注意いただきたい事項をまとめ、需要家各位のご参考に供する 銅テープ+鉄テープあるいは銅テープ+波付鋼管がい装など ものです。 による電磁遮へいを施したケーブルの場合、遮へいはその 両端を確実に接地してください。なおこの場合、接地抵抗 (2) 電気設備技術基準との関係 (地中電線路の場合) はできる限り小さな値となるようにしてください。 電気設備技術基準・解釈に示される波付鋼管がい装ケーブルと 3.波付鋼管がい装ケーブルの取扱い方法 一般ケーブル、CDケーブル、鋼帯がい装ケーブルの比較を表 2-3-1に示します。 (1) まえがき 〔注意事項〕 ①波付アルミ管がい装ケーブルおよびアルミ被ケーブルは、 がい装 (鎧装) ケーブルとして認められておりませんので、 裸直埋布設はできません。 ②単心波付鋼管がい装ケーブルには、材質の鉄損発熱の関係より鋼は使 用できませんので、非磁性体であるアルミまたはステンレス鋼を使用するこ とになります。 したがって裸直埋布設方式とする場合にはステンレス鋼を 用いた波付鋼管がい装となります。 波付鋼管がい装ケーブルは鋼、 アルミ、 ステンレスなどの薄肉金 属テープをケーブル周囲に円筒形に成形縦添えし、合わせ目を 連続溶接した後、 波付け加工を施したものです。 波付鋼管がい装ケーブルは、世界各国で実用化されており、 わ が国でも大量に使用されています。 表2-3-1 77kV以下のゴム・プラスチックケーブルの直埋方法の比較 一般ケーブル +上部を板 または樋で覆う 一般ケーブル +コンクリート トラフ CDケーブル 鋼帯がい装 ケーブル (単心は黄銅帯) 波付鋼管がい装 ケーブル 重量物の圧力を受ける場所 (土冠1.2m以上) × ○ ○ ○ ○ その他の場所 (土冠0.6m以上) ○ ○ ○ ○ ○ 重量物の圧力を受ける場所 (土冠1.2m以上) × ○ ○ ○ ○ その他の場所 (土冠0.6m以上) ○ ○ ○ ○ ○ 重量物の圧力を受ける場所 (土冠1.2m以上) × ○ × (上部側部を (上部側部を 板または樋で覆う) 板または樋で覆う) ○ ○ その他の場所 (土冠0.6m以上) × ○ × ( 項 目 低 圧 (600V) および制御 高 圧 (3,300V~ 6,600V) 特 高 圧 (11kV~ 77kV) ○:布設可 ×:布設不可 ○ )( 上部側部を 板または樋で覆う ○ ) 上部側部を 板または樋で覆う 技術資料 6 79
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