Vol.4 - 公益社団法人 人権啓発センター

りり香と結希に授乳中のプーリー
●人権をまもり、
人権がまもられる社会を! 橋本敏春
●﹁みんなが暮らしやすい国をめざして!∼ダイバーシティと人権∼﹂
︿第七回人権啓発研修会﹀ 小池百合子衆議院議員
●プロジェクトY〝 勇気を出して相談しよう!〟
いじめ防止プロジェクト活動報告
vol.4
2015
(平成27)
年6月
◎タイトルデザイン/森島知子 Satoko Morishima
人権をまもり、
人権がまもられる社会を!
権が侵害される事例がたくさんあ
ります。障碍者への配慮不足、女性
蔑視、 LGBT
(性的少数者)への無
理解、ヘイトスピーチと言われる
外国人排斥運動、高齢者排除、同
和問題等の人権問題は、各個人の
人権意識の現れでもあります。人
権意識が高く、人権が尊重される
社会をつくりあげるのは、ひとえ
に私たち自身にかかっています。
互いの違いを認め合い、誰もが
社会参加して各自の個性が生かさ
れ能力が発揮できる社会は、とり
もなおさず人権実現の社会である
ということができるでしょう。こ
のような「ダイバーシティ」の理
念をふまえながら今後とも人権啓
発活動に取り組んでいきます。
公益社団法人人権啓発センター
では、正会員、賛助会員、パート
ナー会員、寄付などによって、皆
様からお力添えをいただき、各種
啓発事業を進めていきます。私た
ちの活動の趣旨をご理解いただ
き、これからもご協力をよろしく
お願いいたします。
橋本敏春
なればと願っています。
東日本大震災から四年余が経
過しました。復興庁が発表して
いる被災者の状況は、未だに避
難者が四七都道府県にわたって
二二万五千人いるとされています
( 平 成 二 七 年 三 月 三 一 日 発 表 )。
さらに震災関連死の死者数は、一
都九県で三一九四人。そのうちの
九八パーセントは岩手、宮城、福
島の三県で占められています。
復興に向けて津波対策、施設の
復旧、住宅整備等、鋭意努力され
ているものの、被災された人々へ
の支援は容易ならざるものである
と痛感します。避難者は地震、津
波、原子力発電所の事故等を経験
し、肉体的・精神的苦痛やストレ
スを大きく受けたことでしょう。
これらに対応すべく、心のケアを
中心とした取り組みが今後とも必
要です。大震災を風化させること
なく、被災された人々の人権回復
に力を注いでいくことを私たちは
忘れてはなりません。
社会には偏見や差別によって人
表 紙
の
ことば
せる力がある。友を信じて!
水口好久
よう。正義の一声は、みんながもっている友情を目覚めさ
やめよう、やめるべきだ……勇気を出して声に出してみ
友情を信じよう。仲間を信じよう。やめてほしい、もう
に刻む。みんな正義の心をもっているからだ。
をしていた者も、何もしなかったことを後悔の念として心
を負う。目の前のいじめを観察していた者、見て見ぬふり
と、加害者は、自分が犯した行為を悔み、自身の心に傷
仲間、すべてのメンバーに及ぶ。成長して人権感覚を学ぶ
いじめの被害は、当の被害者だけでなく、同じ舞台の
サークル仲間……、残念ながらいじめの舞台ともなる。
こうしたエピソードと同じ舞台。クラスメート、部活・
える光り輝くスピーチが続く。
新婦が、互いに相手を見直してしまう、そんな友情を称
り、太い絆が結ばれていくエピソードが紹介される。新郎
えた悲しい出来事。新婦(新郎)との出会い、友情が深ま
び。旅先で一緒に味わった大きな感動。支え合って乗り越
きびしいトレーニングに共に励み、勝利したときの喜
されてマイクを握る大親友も……。
会の会場だ。宴が進み、保育園からずっと一緒の、と紹介
メート、部活・サークルの仲間たち、テーブルは、ミニ同窓
郎友人、新婦友人という肩書が並ぶ。小中高校のクラス
人生の大きな門出、結婚式。披露宴の席次表には、新
友
浦誠司氏が登壇。水口好久当センター
専務理事がコーディネーターとなり、
いじめ防止の取り組みについてシンポ
ジウムを行いました。
冨田氏は、子どもの数が減少してい
る反面、児童虐待、不登校、いじめ問
題等が増加していると指摘し、可児市
では、いじめ防止活動を中心として、
子どもの見守り、子育てがしやすいま
ちづくりに取り組んでいることが紹介
書のパフォーマンスを披露した文字
職人杉浦誠司氏
されました。なかでも企業や自治会に
おける標語づくりや市民からの情報提
供の推進で、子どもたちへ周囲のおと
なが応援しているというメッセージを
発信していると説明しました。
杉浦氏は、「ねこのまるけ講演会」
で自分がいじめられた体験を語り、い
じめ根絶を呼びかけていると。講演後
子どもたちからは、見て見ぬふりはや
めよう、勇気を出して声をかけてあげ
ることが大切、などの感想が寄せられ
ており、日ごろから人と人とのつなが
りを強くしていくことが重要ではない
かと訴えました。
その後、文字職人としてパフォーマ
ンスを行い、ひらがなの「あ・り・
が・と・う」の五文字を使って漢字の
「夢」を大書し、
「あなたの命 あなた
の夢 あなただけのものじゃない あ
なたの存在は宝 あなたのすべてにあ
りがとう」と添え書きしました。
最後に、アニメ「ねこのまるけ」の
主題歌を作曲したシンガーソングライ
ターの佐藤梓さんが二人のパネリスト
に花束を贈呈。「みんなが手を取り
合って子どもたちをいじめから守って
いきましょう」と呼びかけました。
地域のいじめ防止活動を紹介する
冨田成輝可児市長
公益社団法人 人権啓発センター
代表理事会長
平成二五(二〇一三)年施行され
た「いじめ防止対策推進法」では、
い じ め 防 止 、早 期 発 見 に 努 め て い
くことが重要だとして、官民挙げ
ての取り組みが求められました。
か に
すでに岐阜県可児市では、全国
に先駆けていじめ防止条例を制定
し、市民全体でいじめをなくそう
と取り組んでいたところですが、
この法によって一層全国に広がり
をみせ、国民的運動への足掛かり
になったことは事実です。
当センターにおいても、いじめ
防止活動を人権啓発の重点事項と
とらえ、いじめ防止相談窓口のP
Rやキャンペーンソングによる啓
発などを行う「プロジェクトY
〝勇気を出して相談しよう!〟」
を起ち上げました。
特に小中学校を中心にしてこの
活動を広めており、すでに全国で
二千校近くの学校へ歌のCDや楽
譜、啓発ポスターを届けることが
できました。今後もさらに多くの
学校に声をかけ、少しでもいじめ
防止、いじめ根絶に向けた一助に
みんなが暮らしやすい国をめざして!
第二部は、プロジェクトY実行委員
で可児市長の冨田成輝氏、文字職人杉
少子高齢・人口減少が急激に進行し
ている日本社会に触れ、労働環境など
の価値の転換が迫られているとして、
それに対応するため、女性、障碍者、
外国人などを積極的に受け入れ、さま
ざまな人が能力を発揮できる多様性が
認められた社会〝ダイバーシティ〟の
実現が急務であると訴えました。
〝ダイバーシティと人権〟
〝いじめ防止の取り組みを考える〟
第七回人権啓発研修会
❖
人権が尊重される社会を築いていこ
うと第七回人権啓発研修会を平成二六
年五月二六日、可児市文化創造セン
ター小劇場で開催しました。市民をは
じめ、行政、学校、企業関係者三〇〇
人が参加。
第一部は、「ダイバーシティと人権~
女性、障碍者、シニア…みんなが暮ら
しやすい国をめざして~」と題して、
当センターが主催するいじめ防止プロ
ジェクト「プロジェクトY〝勇気を出
して相談しよう!〟」の実行委員長で
もある小池百合子衆議院議員が講演し
ました。
小池氏はいじめのない、誰もが安心
安全と思うまちづくりをしていかなけ
ればいけないと強調。いじめは国民的
課題であるという認識の上に立って、
いつ加害者にも被害者にもなるかわか
らないので、いじめの予防と早期発見
が重要であると話し、プロジェクトY
の活動で制作したキャンペーンソング
「Yの花」をみんなで歌うなどして社
会全体で考えていこうと呼びかけまし
た。
上/開会のあいさつをする橋本敏春会長
可児市文化創造センターの会場には300人が集まった
下/いじめ防止について意見交換した第2部のシンポジウム
左から水口好久専務理事、杉浦誠司氏、冨田成輝可児市長
2
vol.4 (2015.06.01)
vol.4 (2015.06.01)
3
多様性が認められた社会の実現を
訴える小池百合子衆議院議員
❼
❺「勇気を出して相談しよう!」のキャッチコピーといじめ相談窓口の電話番号を記
載した、啓発ポスターを計10,500枚作成。CD配布校の校内掲出。ヤマダ電機全国
650店舗に掲出。その他、協賛団体、寄付者、一般希望者に配布。
❻啓発アニメーション『ねこのまるけ』の上映およびミニコンサート(文字職人・杉浦
誠司氏、シンガーソングライター佐藤梓氏)による学校講演会を計7回(恵那市立明
智小学校、海津市立城山小学校、大垣市立墨俣小学校、関市立寺尾小学校、郡上市立
川合小学校、郡上市立西和良小学校、郡上市立小川小学校)開催した。
❼その他
・公式サイト http://www.projecty.jp/ の開設
・キャッチコピーを印刷したカンバッチの制作・配布
・ヤマダ電機:◆新聞折り込み等チラシに啓発広告掲載(20回・全国配布)
◆家電フェア・啓発広告入りティッシュ配布(1回・約5000個)
◆「上毛新聞」等へCSR活動報告の中でプロジェクトYの掲載(約10回)
・ゆめ花絵画展、横浜「象の鼻テラス」で開催
❺
いじめ防止活動
プロジェクトY〝勇気を出して相談しよう!〟
平成26年3月からスタートしたいじめ防止活動「プロジェクトY」は、多数の企業・団体の皆様からご支援、
ご協賛をいただき、活動を展開することができました。
とりわけキャンペーンソングの「Yの花」は、小中学校で好評を得て、人権教育の授業で取り上げてもらう
などして、
「勇気を出して相談しよう!」のキャッチフレーズが子どもたちに浸透しています。
プロジェクトYは引き続き2015
(平成27)
年度も継続し、
さらに全国の学校へ広めていくこととしています。
これまでに実施した事業について報告します。
http://projecty.jp/
プロジェクトの概要
師と園長、ぞう使
生まれた子どもの命を守ること…
いの判断で、プー
「人権」の最初の一歩
リーとりり香(生後
ゾウの出産エピソードから
九ケ月)を赤ちゃん
の寝室に同居させる
ことにした。一時間後、ゆっくりと赤
平成二六年六月一二日午前二時三四
分、ゾウの赤ちゃんが産まれた。男の
ちゃんをプーリーに近づけると、直接
子だ。母親の名前は「ズゼ」。出産の
乳を吸うことに成功。プーリーは、赤
ため、神戸王子動物園から市原ぞうの
ちゃんをやさしく迎え入れてくれたの
国にやってきた。ズゼは、二度出産子
だ。りり香もすぐに仲良くなり、おっ
育てに失敗している。出産したものの
ぱいの吸い方を教えているようなしぐ
お乳を与えることができなかった。生
さを見せる。赤ちゃんの命、これで大
後間もなく母親を亡くしたズゼは、自
丈夫だ。
分自身、乳を吸った記憶がない。仲間
ズゼから搾乳した母乳とプーリーか
のゾウの出産・授乳を見たこともな
ら直接飲む母乳で育っている赤ちゃ
い。残念ながら、その時の二頭共赤
ん。希望を結ぶ子となるようにと願い
ちゃんは命を失った。
「結希(ゆうき)」と名付けられた。
「りり香」の母、出
そこで、「ゆめ花」
坂本小百合園長は、「人間の子育てで
産・子育ての先輩「プーリー」のいる
も、育児ノイローゼによるネグレクト
ぞうの国に、平成二五年一〇月にやっ
などがあります。多くの悲しいニュー
てきたのだ。無事出産、けれどもズゼ
スを耳にします。結希の守られた命か
は子どもを近づけさせない信号を送っ
ら、私たちは、とても大切なことをい
ているように見える。赤ちゃんを近づ
ろいろと学ぶことができるのではない
け乳を吸わせようとすると、ズゼは拒
でしょうか。ゾウは知能が高く、人間
否。自分の子どもであることは認識し
と同じように感情がある動物です。結
ている様子だが、その後もおっぱいか
希とりり香が
ら乳を与えることはできなかった。赤
一緒に成長し
ちゃんには、ズゼから搾乳した母乳を
ていく姿は、
哺乳瓶で飲ませるが、お腹は満たされ
これからも大
ない。
「ボ~ボ~」と泣いて、
「おなかが
切なことを教
すいた~」
「さみしいよ~」とズゼによ
えてくれるの
びかけている。このままでは、衰弱し
ではないかな
てしまう。命が心配だ。
と思っており
ます」と語っ
ている。
翌朝、赤ちゃんは壁に鼻を付けて、
おっぱいを探す行動を繰り返す。獣医
(1)事 業 の 名 称
プロジェクト Y〝勇気を出して相談しよう!〟
(2)主
者
公益社団法人人権啓発センター
援
文部科学省 法務省 厚生労働省ほか
(3)後
催
(4)企 画 趣 旨
(5)期
間
(6)企 画・ 運 営
)とりり香
仲良くじゃれ合う結希(左
市原ぞうの国
〒290-0521 千葉県市原市山小川937
TEL.0436-88-3001 FAX.0436-88-2943
www.zounokuni.com
お車でお越しの方
千葉東JCT
川崎浮島JCT
5
千葉東IC
東京湾アクアライン
東京・横浜・羽田方面からアクア
ライン経由高速バスご利用の方
浜松町
東京
横 浜
羽田
電車でお越しの方
東京
JR総武線
vol.4 (2015.06.01)
千葉東金道路
東金IC・JCT
木更津JCT
木更津IC
東京湾アクアライン経由
千葉
蘇我
JR内房線
八幡宿
圏央道
圏央道
市原鶴舞IC
市原鶴舞バスターミナル
五井
小湊鉄道
上総牛久
高滝
(7)実施した事業
県道168号線
無料送迎バス・タクシー利用
無料送迎バス利用
無料送迎バス・タクシー利用
いま、子どもたちの暮らしの中に蔓延するいじめ。子どもたちの心を病ませ、命も奪ういじめ。社会的課題として、いじ
めにどう対処すればいいのか。けして学校教育の現場に限られた課題ではない。大人たちも含めた日常生活の様々な場
面に解決の糸口があるはずだ。
いじめ当事者の子どもたち、傍観する子どもたち、ささいな兆候から気付くこともできるはずの大人たち、みんなが
「いじめ」と声をあげることが解決の第一歩。子どもたちが勇気を出して相談する。大人たちも勇気を出して声をかける。
そうすれば、必ず解決の道が拓ける。
いじめ防止対策推進法の制定により、
「いじめ防止等のための基本的な方針(国の基本方針)」が策定された。
「法制定の
意義」として、「…大人社会のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどといった社会問題も、いじめと同じ
地平で起こる。いじめ問題への対応力は、我が国の教育力と国民の成熟度の指標であり、…異質な他者を差別したりと
いった大人の振る舞いが子供に影響を与えるという指摘もある。…いじめの問題は、心豊かで安全・安心な社会をいか
にしてつくるかという、学校を含めた社会全体に関する国民的な課題である…」と述べ、「国の基本方針の内容」として、
「…いじめの問題への対策を社会総がかりで進め、いじめの防止、早期発見、いじめへの対処、地域や家庭・関係機関間の
連携等をより実効的なものにするため…いじめ防止等のための取組を定めるものである。…実現には、学校・地方公共
団体・社会に法の意義を普及啓発し、いじめに対する意識改革を喚起し、いじめの問題への正しい理解の普及啓発…の
実施が必要である」と掲げている。
こうした国の基本方針を踏まえ、多くの人びとが、いじめに対し勇気を出して解決に向けて一歩踏み出す社会環境を
醸成するため、多様な手法による啓発活動を行う。
とくに、
「いじめの早期発見」の基本的考え方として「…電話相談窓口の周知等により、児童生徒がいじめを訴えやすい
体制を整えるとともに、地域、家庭と連携して児童生徒を見守ることが必要である」という指摘に対し、実効的な啓発活
動を行う。
平成26(2014)年3月1日~平成27(2015)年3月31日
プロジェクト
実行委員長
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
実行委員
事務局長
Y〝勇気を出して相談しよう!〟実行委員会
小池百合子 衆議院議員 赤松 良子 公益財団法人日本ユニセフ協会会長・元文部大臣
有馬真喜子 ジャーナリスト・元国民生活センター会長
稲積謙次郎 太宰府市教育委員長・元西日本新聞編集局長
岩井賢太郎 富岡市長
金子 眞吾 凸版印刷株式会社代表取締役社長
坂本小百合 市原ぞうの国代表取締役園長
佐久間隆義 市原市長
炭谷 茂 社会福祉法人恩賜財団済生会理事長
冨田 成輝 可児市長
中村 紀子 株式会社ポピンズ代表取締役CEO
永峰 好美 読売新聞東京本社編集委員
橋本 敏春 公益社団法人人権啓発センター代表理事会長
山田 昇 株式会社ヤマダ電機代表取締役CEO
山中千枝子 千斗枝グローバル教育研究所
吉田 茂視 株式会社メモリード代表取締役社長
水口 好久 公益社団法人人権啓発センター専務理事
(委員50音順/ 2015年3月31日現在)
❶
❸
❹
❶子ぞう・ゆめ花(市原ぞうの国)が、鼻で「勇気」と書くパフォーマンス実施と公式サイト http://www.projecty.jp/ に
動画掲載
❷いじめ防止キャンペーン・ソング「Yの花」
(作詞:さいとういんこ 作曲:佐瀬寿一 歌:ちえみーだ、すみだ少年少
女合唱団)の制作・CDおよび合唱用譜面の無償配布
【配布先】群馬県内学校493校、岐阜県内学校643校、福岡県内学校157校、大分県内学校18校、佐賀県内学校3校、東京都内
学校183校など、計1858校(配布予定を含む)
❸啓発メッセージのデザインをラッピングした(有)ジャパンクリーンサービスのパッカー車保有車両が、収集業務で啓
発を図った。
❹啓発メッセージをデザインした啓発屋外広告看板を
(株)
内藤建設本社ビル
(東戸塚駅前・横浜市)
設置し啓発を図った。
❷
vol.4 (2015.06.01)
4
「命の大切さ」
考える
「
❖ ねこのまるけ」
講演会
プロジェクトY〝勇気を出して相談
しよう!〟の事業の一つで、子どもた
ちに「勇気」「思いやり」「命の大切
さ」を考えてもらおうと、アニメ「ね
このまるけ」上映等の出前講座を岐阜
県内の各地で開きました。
「ねこのまるけ」は、(有)ジャパンク
リーンサービス(岐阜県可児市)が社
会貢献活動の実践部隊として設けてい
るCSR事業部「チームクカバラ」が
制作したショートムービー。自動車に
ひかれて傷ついた子猫を助けようとし
た主人公のおさむが、家族や友人に相
談をしながら、友情の輪を広げ、病気
や命について考えていくというもの。
学校ではアニメを見た後、プロジェ
クトY実行委員会の委員に名を連ね
る、文字職人・杉浦誠司さんやシン
ガーソングライターの佐藤梓さんが講
演。杉浦さんは、いじめられた体験を
語った上で、「見て見ぬふりをしない
で友達へ声をかけてあげよう」と訴え
ました。
「ねこのまるけ」の主題歌を作
曲した佐藤さんは、みんなで曲を合唱
したり、思いやりの心を伝える歌を披
露したりして、曲から伝わってくる感
情を大事にしてほしいと話しました。
参加した子どもからは「これからは
こころに伝わる
人権メッセージ
人権の絵手紙展
困っている子がいたら声をかけてあげ
たいです」「みんなで歌って気分良く
なりました」などと感想をもらしてい
ました。
チームクカバラでは平成二七年三月
一四日、「ドリームサンクスフェスティ
バル」を開催。杉浦誠司さんの書道パ
フォーマンス、佐藤梓さんのミニコン
サートに続いて、可児市内のトキワ幼
稚園とひろみ保育園の園児一五〇名が
「ねこのまるけ」の主題歌を合唱。
「い
じめから子どもたちを守ろう!」と募
金活動もしました。
持っている」などと書かれています。
会場は、可児市福祉センター、岐阜
市内のふれあい福寿会館、十六銀行本
店、また、作品を多数応募した岐阜市
立黒野小学校、岐北中学校の校内にも
展示し、児童や保護者に見ていただき
ました。
ネットいじめの
現状を知る
人権シンポジウム
右/全校児童が「ねこのまるけ」を鑑賞(明智小学校にて)
右下/勇気を出して声をかけようと訴える杉浦誠司さん
左下/子どもたちと主題歌を歌うシンガーソングライター佐藤梓さん
「ねこのまるけ」
主な実施校
恵那市立明智小学校
海津市立城山小学校
大垣市立墨俣小学校
関市立寺尾小学校
郡上市立川合小学校
郡上市立西和良小学校
郡上市立小川小学校
産、授乳……、と本来は、母子の顔と
顔、目と目が合って愛情が培われる場
面で「子育て写真メール」発信に夢中
になる母親、という実情を深く憂慮す
ると報告しました。
書き込みサイトでは、同和地区の場
所を特定する情報が流され、新たな
「部落地名総鑑」問題が起きていると
説明しました。
シンポジウムでは、恩賜財団済生会
理事長・同会代表世話人の炭谷茂氏が
コーディネート。アルコール、薬物、
ギャンブルなどとともに「ネット依存
症」に対する治療体制の必要性などを
指摘しました。
また、子ども人権サポーターの会事
務局長・同会世話人の平清太郎氏がパ
ネリストとして登壇。大津市のいじめ
自殺事件を例に挙げながら、学校や教
育委員会が隠ぺいすることなく、第三
者機関を起ち上げて早期に事実を解明
することが重要だと訴えました。
マ ❖
「今、子どもの人権は~インターネッ
ト…いじめ~」のテーマで平成二六年
一二月九日、東京の参議院議員会館会
議室において人権シンポジウムが開催
されました。人権文化を育てる会主
催、(公社)人権啓発センター共催。
はじめに、同会会員で千斗枝グロー
バル研究所代表の山中千枝子さんが基
調報告。
山中さんは高知県の教員として人権
教育に携わったのち、人権教育・啓発
に関する研修や生涯学習全般を行う
「千斗枝グローバル教育研究所」を設
立し、子どもの人権を守るため、さまざ
まなサポート活動を実施しています。
携帯電話が普及した今日、中高生の
間ではネットに依存する度合いが多く
なり、書き込みなどによるいじめ問題
が多発していると指摘。
また、母親のネット依存について、
産室にまでケータイが持ち込まれ、出
魔・ジック
ドリム
サンク
6
vol.4 (2015.06.01)
vol.4 (2015.06.01)
7
「ねこのまるけ」は、車の事故で傷ついた子猫を救うために行動した男の子の物語。
25分のショートムービーから、コミュニケーションの大切さ、いのちの大切さ、友達の大切さを考えます。
上映だけでなく、文字職人・杉浦誠司氏の講演や、シンガーソングライターで「ねこのまるけ」の主題歌を作曲した佐藤梓さんの
ライブコンサートをセットにして、楽しく体験しながら学べるプログラムとなっています。
(60分∼90分)
小学生むけの学習会やイベントに最適!詳しくは下記までお問い合わせください。
公益社団法人人権啓発センター TEL 0574-61-1338
人杉浦誠司が
を実施している文字職
年間10 0以上の学校講演
り続けた作品
手がけ、長年構想を練
自らシナリオとイラストを
26 話を予定。
は全
!
物語
実現
の絵本化がついに
「ドリムとサンク」
頭文字から始まり、
Zまでのアルファベットの
テーマはそれぞれA∼
い卓越した
。文字職人杉浦誠司らし
「ALONE」
!
第1話のテーマは
。ご期待ください!
メッセージを届けます
表現力で子どもたちに
現 在
制作中
❖
毎年一二月四日からの人権週間にち
なんで、人権メッセージを発信しよう
と岐阜県内各地で、「人権の絵手紙展」
を開催しました。岐阜市、岐阜市教育
委員会、可児市、可児市教育委員会の
後援。
九月末まで作品募集を行って、岐阜
市や可児市などから、一五〇点余の作
品が届けられました。これらはすべて
パネルに貼り付け巡回展示しました。
人権の絵手紙は、花や果物などの絵
とともに偏見や差別をなくそうとする
言葉を書いたもので、見ていただく方
に思いやりや優しさの重要性を感じ
取ってもらおうとするものです。
作品には「みんなの力を信じて認め
合って」「いじめないで助け合おう」
「信頼と思いやりの心はみんな両手に
可児市福祉センターに展示した人権の絵手紙
中高生のネット依存などについて実情を把握したシンポジウム
文字職人 杉浦誠司が
!
る
け
が
手
を
本
絵
の
願
念
活動の記録
ご支援・入会のご案内
(寄付金・会員募集)
2010
(平成22年) 12月10日
人権啓発センターの運営は全国の皆さまからの会費・寄付金で支え
られています。ひとりでも多くの人びとが、生きるよろこびと幸せな
暮らしを実感できる真に豊かな持続可能な社会を目指す、人権の伸
長と差別解消の活動です。パートナーとしてのご支援、会員としての
ご参加、よろしくお願いいたします。
◇パートナー会員
法人
1口
20,000円
個人
1口
3,000円
一般のご寄付、事業協賛寄付なども随時受け付けています ※公益社団法人人権啓発センターへの寄付金は、所得税、法人税、相
続税の控除対象となります。
◇正会員
10月~
人権の絵手紙展・人権メッセージ展の開催
4月20日
震災支援「メッセー字カー」仙台市へ出発 子どもたちのメッセージを
多賀城市内の小学校へ届ける
6月 8日
第2回人権啓発研修会(講師:文字職人・杉浦誠司氏)
9月29日
第3回人権啓発研修会(講師:文字職人・杉浦誠司氏)
11月~
12月 9日
2012
人権の絵手紙展・人権メッセージ展の開催
シンポジウム「福島原発事故・社会的差別を抑え込むために」
(共催:人権文化を育てる会)
2月15日
子ぞう・ゆめ花が書いた「人権」を可児市へ寄贈
2月27日
第4回人権啓発研修会(講師:文字職人・杉浦誠司氏)
子ぞう・ゆめ花が描いた「桜の絵」を石巻市へ寄贈
4月20日
市原ぞうの国を訪問
30,000円
30,000円
5月19日
JT生命誌研究館視察
個人
入会金
年会費
3,000円
3,000円
6月 8日
第5回人権啓発研修会 テーマ「子どもの人権~小児がんの現場から~」
ドキュメンタリー映画「風のかたち」上映と伊勢真一監督のトーク
7月13日
人権に関する意見交換会
1口
11月~
10,000円
12月10日
(3口以上)
3,000円
1口
公益社団法人人権啓発センター役員名簿
12月27日
2013
(平成25年)
橋本敏春(非常勤)
専
務
理
事
水口好久(常 勤)
常
務
理
事
吉田圭三(常 勤)
事
田代正美(非常勤) 株式会社バロー代表取締役社長
2014
(平成26年)
菱山謙二(非常勤) 筑波大学名誉教授
寺村範夫(非常勤)
第6回人権啓発研修会
テーマ「震災から2年・これまでの支援~これからの支援」
講師:(公社)日本フィランソロピー協会理事長 髙橋陽子氏
10月24日
啓発アニメ「ねこのまるけ」完成披露試写会
11月~
人権の絵手紙・メッセージ展の開催
3月25日
5月26日
6月 2日
9月~
12月10日
山田誠治(非常勤)
子ぞう・ゆめ花が書いた「勇気」を可児市へ贈呈
人権メッセージ展の開催
11月~
福田一成(非常勤)
シンポジウム「同和問題のいま~隣保館周辺地域の実態調査から~」
(共催:人権文化を育てる会)
2月~
10月~
原 英和(非常勤)
人権の絵手紙展・メッセージ展の開催
6月 6日
12月10日
2015
(平成27)
年6月1日現在
代表理事・会長
事
第1回人権啓発研修会 テーマ「これからの人権啓発の方向」
講師:炭谷茂氏(社会福祉法人恩賜財団済生会理事長、元環境事務次官、
元総務庁地域改善対策室長)
入会金
年会費
◆詳しい入会申込方法は、「入会申込書」またはホームページをご覧
ください
http://www.jinken-center.jp
監
12月15日
(平成23年)
(平成24年)
「企業・人権・CSR・シンポジウム」
(共催:人権文化を育てる会)
テーマ
「ISO26000 社会的責任に関する手引き」
発行とこれからのCSR
法人
個人
理
2011
公益社団法人の認定を受ける
4月 3日
法人
◇賛助会員
8月11日
シンポジウム「ダイバーシティと人権…女性の働き方を中心に」
(共催:人権文化を育てる会)
プロジェクトY2014-15“勇気を出して相談しよう!”実行委員会
第7回人権啓発研修会 テーマ「みんなが暮らしやすい国をめざして!」
“ダイバーシティと人権” “いじめ防止の取り組みを考える”
ゆめ花絵画展・象の鼻テラスイベント(横浜市)
全国の小中学校に「Yの花」CD・楽譜・啓発ポスター頒布
「ねこのまるけ」講演会各地で開催
人権の絵手紙・メッセージ展の開催
シンポジウム「今、子どもの人権は~インターネット…いじめ~」
(共催:人権文化を育てる会)
國松慶太(非常勤) 税理士
「ひと・人・ヒト」について
人権の主体──人間は、胎内で生命を
授かる。ひとりひとりみんなちがった
顔をもつ。誕生して出会うのは、親の
顔、兄姉の顔、祖父母の顔……、血縁で
なくても、にいさん、ねえさん、おじさ
ん、おばさんと呼ぶ、よく知る顔たち
の中で育まれ、人生の幕も引かれる。person─仮面(ペ
ルソナ)が語源─“ひと”が主役の身近な暮らしの場面
だ。誰もが幸福な人生を求めるのは正当なことである。
が、虐待、いじめ、DV、セクハラ、パワハラ…“ひと”と
して正しくないことに、目をつぶっていてはいけない。
©公益社団法人 人権啓発センター 2015年
人 間 は、ヒ ト 科Hominidaeヒ ト 属
Homoヒ トSapiensで あ る。同 じ ヒ ト
科Hominidae Pongo Pygmaeusは、ボ
ルネオ・オランウータン、マレー語で
「森のヒト」。DNAは近い、あえて“ヒ
ト”の仲間に加えて考えてみたい。熱帯
雨林は、木材原料として伐採され、アブラヤシ畑へと開
発が進む。住まいである森が消滅している。
“ ヒト”の仲
間に絶滅危機が迫っているのだ。私たちは、パネル材や
パーム油の恩恵を受けている。が、こうした開発に“ヒ
ト”として正当性を認めることが許されるだろうか。
編 集 後 記
◎発行
2015(平成27)年6月1日
◎発行人
橋本敏春
◎発行所
公益社団法人 人権啓発センター
岐阜事務所
〒509-0203 可児市下恵土233-1
TEL 0574-61-1338 FAX 0574-42-8750
東京事務所
〒102-0093 千代田区平河町2-5-7 ヒルクレスト平河町407
TEL 03-3263-7710 FAX 03-3263-8105
E-mail:info@jinken-center.jp
◎制作協力
株式会社コミュニティ ディー
人間は、出生届により、○○市民、○○
県民、国民の一人となる。アジア人、日
本人、東北人…、○○世代、○年生まれ
──顔も知らない人びとで構成され
る「公」社会の一員としてカウントさ
れる。people“人”が、人権の主体とな
る場面だ。リンカーンは、自由と平等な社会の実現を目
指し─that government of the people, by the people,
for the people─政治の永遠の主役が“人”である決意
を述べた。差別、貧困、飢餓、虐殺、紛争…“人”は、正義
の主役としてこれらに立ち向かわなければならない。
人権問題は時折ニュースなどでも取り
上げられますが、残念ながら他人事とし
て捉えている人が多いようです。
「この学校にいじめなんてないよね。
だってみんなやさしい子たちばかりだか
ら」
「ヘイトスピーチって、東京や大阪の外
国人がたくさん集まっている一部の街で
行われているものでしょ」
「同和地区と言われるような地域は、こ
の辺にはなかったから部落差別は全くな
いよ」
当事者であるか、関心を持つ者でない
限り、社会の日常生活の中に潜伏する、
いじめ、偏見、差別を見つけ出すことは
難しいのかもしれません。しかし、これ
らの事に苦しんでいる人はたくさんいま
す。
今一度、身の回りを見渡して、いじめ
行為、障がい者や外国人に対する忌避意
識、特定の人々への悪感情がないかどう
か、自らを問いただす必要があります。
人権課題の解決には、問題を正しく知
り、人権感覚を磨いていくことが肝要で
す。いじめ防止対策を国民運動にしてい
くのと同じように、みんなで考え、行動
していくという姿勢が大事なのではない
でしょうか。
まずは、相手を思いやる気持ちを持つ
ことから―この原点に立ち返って日常生
活を送りたいと思います。(Y)
「ひと 人 ヒト」 vol.4
人権、human rights、人間の権理。rightには、
「 権利」とともに「正しいこと、正当性、正義」と
いう訳もある。その意味を含め「権理」と表記する。